【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の一態様によれば、バイオアベイラビリティ、吸湿性、安定性、溶解性、純度、製造のし易さなどの少なくとも1項において式Iの化合物又は式Iの化合物のその他の塩よりも優れた、5-((R)-1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)-4'-メトキシ-6'-((S)-2-メチルピペラジン-1-イル)-3,3'-ビピリジン-6-アミンのクエン酸塩結晶(以下、「式Iの化合物のクエン酸塩結晶」という)を提供する。
【0012】
本発明の別の態様によれば、式Iの化合物をクエン酸と接触させることを含む、式Iの化合物のクエン酸塩結晶の製造方法を提供する。
【0013】
また、本発明の別の態様によれば、式Iの化合物のクエン酸塩結晶を含む結晶組成物を提供する。
【0014】
さらに、本発明の別の態様によれば、式Iの化合物のクエン酸塩結晶、又はその結晶組成物、又はその医薬組成物、又は結晶組成物を含む医薬組成物を提供する。
【0015】
さらに、本発明の別の態様によれば、式Iの化合物のクエン酸塩結晶、又はその結晶組成物、又はその医薬組成物、又はその結晶組成物の医薬組成物の、疾患を治療および/または予防する医薬の製造のための使用を提供する。
【0016】
本発明の式Iの化合物のクエン酸塩結晶において、式Iの化合物とクエン酸との比率は同一でも異なってもよく、例えば、前記式Iの化合物のクエン酸塩結晶において、式Iの化合物とクエン酸とのモル比は1:0.5-4であってもよく、具体的には、式Iの化合物と薬学的に許容される酸とのモル比は1:0.5、1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5又は1:4であってもよい。本発明のいくつかの実施形態において、前記式Iの化合物のクエン酸塩結晶における式Iの化合物とクエン酸とのモル比は1:1である。
【0017】
本発明の具体的な実施形態によれば、本発明により提供される式Iの化合物のクエン酸塩結晶において、前記式Iの化合物のクエン酸塩結晶には、5-((R)-1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)-4'-メトキシ-6'-((S)-2-メチルピペラジン-1-イル)-3,3'-ビピリジン-6-アミンのクエン酸塩のAタイプ結晶(以下、「式Iの化合物のクエン酸塩のAタイプ結晶」という)、又は5-((R)-1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)-4'-メトキシ-6'-((S)-2-メチルピペラジン-1-イル)-3,3'-ビピリジン-6-アミンのクエン酸塩のBタイプ結晶(以下、「式Iの化合物のクエン酸塩のBタイプ結晶」という)、又は5-((R)-1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)-4'-メトキシ-6'-((S)-2-メチルピペラジン-1-イル)-3,3'-ビピリジン-6-アミンのクエン酸塩のCタイプ結晶(以下、「式Iの化合物のクエン酸塩のCタイプ結晶」という)が含まれる。
【0018】
本発明のいくつかの具体的な実施形態において、前記式Iの化合物のクエン酸塩のAタイプ結晶、式Iの化合物のクエン酸塩のBタイプ結晶、或いは式Iの化合物のクエン酸塩のCタイプ結晶において、式Iの化合物とクエン酸とのモル比は1:1である。
【0019】
本発明の一態様によれば、CuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、2θで12.78°、14.61°、17.63°、18.98°、21.42°及び23.47°付近に特性ピークを有し、好ましくは、7.05°、9.48°、12.78°、14.61°、15.66°、17.63°、18.98°、21.42及び23.47°付近に特性ピークを有し、より好ましくは、5.73°、7.05°、9.48°、12.78°、13.76°、14.31°、14.61°、15.66°、17.63°、18.98°、21.42°、21.82°、23.47°及び25.68°付近に特性ピークを有し、さらに好ましくは、5.73°、7.05°、8.60°、9.48°、12.78°、13.76°、13.99°、14.31°、14.61°、15.66°、17.63°、18.98°、20.25°、20.82°、21.42°、21.82°、22.26°、22.49°、23.47°、25.68°、26.64°及び30.19°付近に特性ピークを有し、最も好ましくは、5.73°、7.05°、8.60°、9.48°、12.78°、13.76°、13.99°、14.31°、14.61°、15.66°、16.68°、17.13°、17.63°、18.98°、20.25°、20.82°、21.42°、21.82°、22.26°、22.49°、23.47°、24.86°、25.68°、26.00°、26.64°、27.25°、28.04°、28.76°、29.64°、30.19°、31.33°、31.70°、32.64°、33.47°、33.74°、34.60°、35.72°及び38.44°付近に特性ピークを有する、ことを特徴とする式Iの化合物のクエン酸塩のAタイプ結晶を提供する。
【0020】
さらに、本発明の式Iの化合物のクエン酸塩のAタイプ結晶の、CuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、特性ピークのピーク位置及び強度は下記の表に示される。
【0021】
【表1】
【0022】
ある具体的な実施形態において、本発明の式Iの化合物のクエン酸塩のAタイプ結晶は、
図1に示されるような粉末X線回折パターンに代表される特徴を有する。
【0023】
これに限定されるものではなく、本発明の式Iの化合物のクエン酸塩のAタイプ結晶は、示差走査熱量(DSC)グラフにおいて、195.9℃付近に吸収ピークを有し、具体的には、
図4に示されるような示差走査熱量(DSC)グラフに代表される特徴を有する。
【0024】
これに限定されるものではなく、本発明の式Iの化合物のクエン酸塩のAタイプ結晶は、
図7に示されるような熱重量分析(TGA)グラフに代表される特徴を有する。
【0025】
これに限定されるものではなく、本発明の式Iの化合物のクエン酸塩のAタイプ結晶は、赤外吸収スペクトル(IR)において、3462.3 cm
-1、2998.2 cm
-1、1721.2 cm
-1、1686.4 cm
-1、1603.4 cm
-1、1380.2 cm
-1及び1201.8 cm
-1付近に吸収ピークを有し、好ましくは、3462.3 cm
-1、2998.2 cm
-1、1721.2 cm
-1、1686.4 cm
-1、1603.4 cm
-1、1567.7 cm
-1、1491.3 cm
-1、1460.3 cm
-1、1412.1 cm
-1、1344.3 cm
-1、1380.2 cm
-1及び1201.8 cm
-1付近に吸収ピークを有し、最も好ましくは、3462.3 cm
-1、2998.2 cm
-1、1721.2 cm
-1、1686.4 cm
-1、1603.4 cm
-1、1567.7 cm
-1、1491.3 cm
-1、1460.3 cm
-1、1412.1 cm
-1、1380.2 cm
-1、1344.3 cm
-1、1277.3 cm
-1、1246.6 cm
-1、1201.8 cm
-1、1180.8 cm
-1、1162.3 cm
-1、1071.5 cm
-1、1050.6 cm
-1、1022.7 cm
-1、1002.1 cm
-1及び815.2 cm
-1付近に吸収ピークを有し、具体的には、
図9に示されるような赤外吸収スペクトル(IR)に代表される特徴を有する。
【0026】
本発明の別の態様によれば、CuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、2θで6.74°、12.62°、18.42°、22.96°及び25.22°付近に特性ピークを有し、好ましくは、6.74°、7.19°、12.62°、16.42°、18.42°、22.65°、22.96°及び25.22°付近に特性ピークを有し、さらに好ましくは、6.74°、7.19°、12.16°、12.62°、13.12°、13.77°、14.14°、16.42°、18.42°、22.02°、22.65°、22.96°、24.08°、25.22°及び27.45°付近に特性ピークを有し、最も好ましくは、6.14°、6.74°、7.19°、10.50°、11.47°、12.16°、12.62°、13.12°、13.77°、14.14°、15.20°、16.42°、17.15°、18.42°、20.13°、21.18°、21.40°、22.02°、22.65°、22.96°、24.08°、25.22°、25.88°、27.45°、28.35°、30.45°、32.09°、32.79°、33.27°、33.88°及び34.92°付近に特性ピークを有する、ことを特徴とする式Iの化合物のクエン酸塩のBタイプ結晶を提供する。
【0027】
さらに、本発明の式Iの化合物のクエン酸塩のBタイプ結晶の、CuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、特性ピークのピーク位置及び強度は下記の表に示される。
【0028】
【表2】
【0029】
ある具体的な実施形態において、本発明の式Iの化合物のクエン酸塩のBタイプ結晶は、
図2に示されるような粉末X線回折パターンに代表される特徴を有する。
【0030】
これに限定されるものではなく、本発明の式Iの化合物のクエン酸塩のBタイプ結晶は、示差走査熱量(DSC)グラフにおいて、194.3℃付近に吸収ピークを有し、具体的には、
図5に示されるような示差走査熱量(DSC)グラフに代表される特徴を有する。
【0031】
これに限定されるものではなく、本発明の式Iの化合物のクエン酸塩のBタイプ結晶は、
図8に示されるような熱重量分析(TGA)グラフに代表される特徴を有する。
【0032】
これに限定されるものではなく、本発明の式Iの化合物のクエン酸塩のBタイプ結晶は、赤外吸収スペクトル(IR)において、2993.1 cm
-1、1731.1 cm
-1、1600.0 cm
-1、1451.2 cm
-1、1389.6 cm
-1、1270.0 cm
-1及び1200.4 cm
-1付近に吸収ピークを有し、好ましくは、3490.2 cm
-1、2993.1 cm
-1、1731.1 cm
-1、1684.0 cm
-1、1600.0 cm
-1、1686.4 cm
-1、1489.5 cm
-1、1451.2 cm
-1、1389.6 cm
-1、1270.0 cm
-1、1248.7 cm
-1及び1200.4 cm
-1付近に吸収ピークを有し、最も好ましくは、3490.2 cm
-1、3310.8 cm
-1、3063.4 cm
-1、2993.1 cm
-1、2841.9 cm
-1、1731.1 cm
-1、1684.0 cm
-1、1600.0 cm
-1、1686.4 cm
-1、1489.5 cm
-1、1451.2 cm
-1、1403.7 cm
-1、1389.6 cm
-1、1343.3 cm
-1、1316.3 cm
-1、1270.0 cm
-1、1248.7 cm
-1、1224.5 cm
-1、1200.4 cm
-1、1031.9 cm
-1、995.5 cm
-1及び825.7 cm
-1付近に吸収ピークを有し、具体的には、
図10に示されるような赤外吸収スペクトル(IR)に代表される特徴を有する。
【0033】
また、本発明の別の態様によれば、CuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、2θで7.00°、12.78°、13.66°、15.64°、18.14°及び23.43°付近に特性ピークを有し、好ましくは、7.00°、12.78°、13.66°、14.01°、14.56°、15.64°、17.58°、18.14°、18.89°、21.37°及び23.43°付近に特性ピークを有し、さらに好ましくは、7.00°、9.48°、12.78°、13.66°、14.01°、14.56°、15.64°、17.58°、18.14°、18.89°、19.84°、20.83°、21.37°、21.76°、22.47°、23.43°、23.66°、24.23°、24.87°、25.61°及び30.16°付近に特性ピークを有し、最も好ましくは、5.71°、6.43°、7.00°、8.54°、9.48°、11.22°、12.19°、12.78°、13.66°、14.01°、14.56°、15.64°、16.66°、16.99°、17.58°、18.14°、18.89°、19.84°、20.21°、20.83°、21.37°、21.76°、22.47°、23.43°、23.66°、24.23°、24.87°、25.61°、25.91°、26.55°、27.21°、28.00°、28.76°、30.16°、31.26°、31.69°、33.41°、33.71°、34.52°及び35.70°付近に特性ピークを有する、ことを特徴とする式Iの化合物のクエン酸塩のCタイプ結晶を提供する。
【0034】
さらに、本発明の式Iの化合物のクエン酸塩のCタイプ結晶の、CuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、特性ピークのピーク位置及び強度は下記の表に示される。
【0035】
【表3】
【0036】
ある具体的な実施形態において、本発明の式Iの化合物のクエン酸塩のCタイプ結晶は、
図3に示されるような粉末X線回折パターンに代表される特徴を有する。
【0037】
これに限定されるものではなく、本発明の式Iの化合物のクエン酸塩のCタイプ結晶は、示差走査熱量(DSC)グラフにおいて、196.2℃付近に吸収ピークを有し、具体的には、
図6に示されるような示差走査熱量(DSC)グラフに代表される特徴を有する。
【0038】
これに限定されるものではなく、本発明の式Iの化合物のクエン酸塩のCタイプ結晶は、赤外吸収スペクトル(IR)において、3490.5 cm
-1、2993.6 cm
-1、1730.2 cm
-1、1600.4 cm
-1、1489.0 cm
-1、1270.0 cm
-1及び1200.8 cm
-1付近に吸収ピークを有し、好ましくは、3490.5 cm
-1、3299.9 cm
-1、2993.6 cm
-1、1730.2 cm
-1、1683.6、1600.4 cm
-1、1489.0 cm
-1、1451.5 cm
-1、1380.0 cm
-1、1270.0 cm
-1、1247.8 cm
-1、1200.8 cm
-1、1031.8 cm
-1及び826.1 cm
-1付近に吸収ピークを有し、最も好ましくは、3490.5 cm
-1、3299.9 cm
-1、3062.3 cm
-1、2993.6 cm
-1、2842.4 cm
-1、1730.2 cm
-1、1683.6 cm
-1、1600.4 cm
-1、1489.0 cm
-1、1451.5 cm
-1、1404.5 cm
-1、1380.0 cm
-1、1343.8 cm
-1、1270.0 cm
-1、1247.8 cm
-1、1200.8 cm
-1、1161.3 cm
-1、1120.0 cm
-1、1099.3 cm
-1、1077.8 cm
-1、1050.0 cm
-1、1031.8 cm
-1、995.7 cm
-1及び826.1 cm
-1付近に吸収ピークを有し、具体的には、
図11に示されるような赤外吸収スペクトル(IR)に代表される特徴を有する。
【0039】
本発明において、粉末X線回折スペクトル測定は、以下の通りである。
計器型番:Bruker D2 のX線回折計
条件及び方法:30kv 10mA 、スリット:0.6/3/Ni/8、2θ:5〜40°、time[s]:0.1、ステップ幅:0.02°。
【0040】
本発明において、DSCスペクトル測定は、以下の通りである。
計器型番:METTLER TOLEDO DSC1、
条件:30〜300℃の範囲において10℃/minで昇温
方法:走査DSCパターン
【0041】
本発明において、TGAスペクトル測定は、以下の通りである。
計器型番: PerkinElmerPyris I型式 熱重量分析計
条件:25〜700℃の範囲において20℃/minで昇温
方法:JY/T014-1996熱分析通則
【0042】
本発明において、IRスペクトル測定は、以下の通りである。
計器型番: Perkin Elmer Spectrum 100 赤外分光分析計
条件及び方法:KBr打錠法。具体的には、スペクトル純度臭化カリウムを粉末に研磨し、赤外線乾燥機で乾燥させる。スペクトル純度臭化カリウム粉末を約70mg取り、圧力20Mpaで2分打錠し、ブランク臭化カリウム錠に打錠した。450〜4000cm
-1でブランク走査を行った。そして、サンプルを約1.5mg取り、臭化カリウム粉末約200mgと研磨し均一に混合した後、混合粉末を約70mg取り、圧力20Mpaで2分打錠し、サンプルに打錠した。450〜4000cm
-1でサンプル走査を行った。
【0043】
任意の特定された結晶形式について、例えば、結晶形態などの因子に起因した好ましい配向によって、回折ピークの相対強度は変動する可能性があることは、結晶学分野において公知のことである。好ましい配向により影響されたところにおいて、ピーク強度は変化するが、結晶型の特性ピーク位置は変化できない。また、任意の特定された結晶型について、ピークの位置に僅かな誤差があることも、結晶学分野において公知のことである。例えば、サンプルを分析した時の温度の変化、サンプルの移動や計器の標定などにより、ピークの位置が移動し得り、2θ値の測量誤差が±0.2度°ほどとなることがある。このため、当業者に知られるように、各種の結晶構造を特定する際に、このような誤差を考慮に入れるはずである。
【0044】
DSC測定は、結晶がその結晶構造の変化或いは結晶の溶融により熱を吸収又は放出するときの転移温度を測定する。同一化合物の同一結晶型は、連続する分析において、熱転移温度及び融点の誤差が典型的に約5℃以内にあり、一般的に約3℃以内にある。ある化合物がある特定されたDSCピーク又は融点を有するということは、該DSC ピーク又は融点±5℃のことをいう。DSCによって、異なる結晶型を区分する補助的な方法が提供される。異なる結晶形態は、それなりの異なる転移温度特徴によって同定されることができる。なお、混合物について、そのDSCピーク又は融点はより広い範囲で変動する可能性がある。さらに、物質溶解の過程において分解を伴うため、熔化温度は昇温速度と関連性がある。
【0045】
IR測定分子における光に応答し振動する基に関連する特定の化学結合は、赤外吸収を引き起こす。異なる結晶型の分子内では、共有結合の電気環境が異なるため、共有結合の強度にも変化があり、共有結合の強度の変化によって、異なる結晶型のIRスペクトルが異なることに決まる。
【0046】
本発明の別の態様によれば、(1)式Iの化合物と、クエン酸と、第1の溶剤とを混合させ、選択的に加熱条件下で行うステップ、(2)固体を析出させるステップ、(3)析出された固体を分離するステップ、(4)析出された固体と第2の溶剤とを混合させ、選択的に加熱条件下で行うステップ、及び(5)固体を分離し、分離された固体を選択的に乾燥するステップを含む、式Iの化合物のクエン酸塩のAタイプ結晶の製造方法を提供する。
【0047】
前記製造方法では、ステップ(1)において、式Iの化合物と、クエン酸と、第1の溶剤とを混合させた後、式Iの化合物とクエン酸とを含む溶液を得た。
【0048】
前記製造方法では、式Iの化合物とクエン酸とのモル比は1:0.01〜100であり、好ましくは1:0.1〜10であり、さらに好ましくは1:1〜5であり、最も好ましくは1:1.1である。
【0049】
前記製造方法では、式Iの化合物1molあたり、式Iの化合物と、クエン酸と、第1の溶剤とを混合させて得られた溶液の体積は0.1〜100Lであり、好ましくは1〜30Lであり、さらに好ましくは5〜15Lであり、最も好ましくは10Lである。
【0050】
前記ステップ(1)における第1の溶剤は、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、1,4-ジオキサン、アセトン、ブタノン、ペンタノン、シクロペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド又はジメチルスルホキシドの1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、水、アセトニトリル又はアセトンの1種又は複数種であり、最も好ましくは、メタノール、エタノール、水、アセトニトリル又はアセトンの1種又は複数種である。
【0051】
前記ステップ(1)の混合は、振動又は撹拌下で行ってもよい。
【0052】
前記ステップ(1)は、必要に応じて好適な混合時間を選択でき、本発明のいくつかの具体的な実施形態において、混合時間は0〜2時間程度であり、好ましくは1時間程度である。
【0053】
前記ステップ(1)における加熱温度は、0℃〜混合後の溶剤系の沸点であってもよく、本発明のいくつかの具体的な実施形態において、前記加熱温度は混合後の溶剤系の沸点である。
【0054】
前記ステップ(2)における固体を析出させる状態は、静置でもよく、振動又は撹拌下で行ってもよい。
【0055】
前記ステップ(2)は、固体が析出した後継続的に混合してもよく、前記混合の時間は特に限定されない。本発明のいくつかの具体的な実施形態において、固体を析出させる時間は、1時間以上であり、好ましくは2時間以上である。前記混合の温度は、0℃〜混合後の溶剤系の沸点であってもよく、本発明のいくつかの具体的な実施形態において、前記混合の温度は溶剤系の沸点である。
【0056】
前記ステップ(4)中の第2の溶剤は、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、1,4-ジオキサン、アセトン、ブタノン、ペンタノン、シクロペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド又はジメチルスルホキシドの1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。好ましくは、メタノール、エタノール又は水の1種又は複数種であり、最も好ましくは、エタノールである。
【0057】
前記ステップ(4)の混合は、振動又は撹拌下で行ってもよい。
【0058】
前記ステップ(4)は、必要に応じて好適な混合時間を選択でき、本発明のいくつかの具体的な実施形態において、混合時間は1時間以上であり、好ましくは2時間以上である。
【0059】
前記ステップ(4)における加熱温度は、0℃〜混合後の溶剤系の沸点であってもよく、本発明のいくつかの具体的な実施形態において、前記加熱温度は溶剤系の沸点である。
【0060】
好ましくは、ステップ(1)は以下のステップにより行う。
(a)第3の溶剤に式Iの化合物を加えて、式Iの化合物を含む第3の溶液を生成するステップ、
(b)第4の溶剤にクエン酸を加えて、クエン酸を含む第4の溶液を生成するステップ、及び
(c)第4の溶液と第3の溶液とを混合させ、選択的に加熱条件下で行うステップ。
【0061】
前記ステップ(1)では、第4の溶剤と第3の溶剤との体積比は1:0.01〜100であり、好ましくは1:0.1〜10であり、最も好ましくは1:9である。
【0062】
前記ステップ(1)では、式Iの化合物1molあたり、前記式Iの化合物を含む第3の溶液の体積は0.1〜100Lであり、好ましくは1〜30Lであり、さらに好ましくは5〜15Lであり、最も好ましくは9Lである。
【0063】
前記ステップ(1)では、クエン酸の前記クエン酸を含む第4の溶液におけるモル濃度は、mol/Lで0.01〜100mol/Lであり、好ましくは0.1〜10mol/Lであり、さらに好ましくは1〜5mol/Lであり、最も好ましくは1.1mol/Lである。
【0064】
前記ステップ(a)中の第3の溶剤は、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、1,4-ジオキサン、アセトン、ブタノン、ペンタノン、シクロペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド又はジメチルスルホキシドの1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール又は水の1種又は複数種であり、さらに好ましくは、メタノール、エタノール又は水の1種又は複数種であり、最も好ましくは、メタノール又はエタノール及び水の混合溶剤である。
【0065】
前記ステップ(b)における第4の溶剤は、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、1,4-ジオキサン、アセトン、ブタノン、ペンタノン、シクロペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド又はジメチルスルホキシドの1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。好ましくは、メタノール、エタノール、水、アセトニトリル又はアセトンの1種又は複数種であり、最も好ましくは、メタノール、エタノール、水、アセトニトリル、アセトン又はエタノール及び水の混合溶剤である。
【0066】
前記ステップ(c)の混合は、振動又は撹拌下で行ってもよい。
【0067】
前記ステップ(c)は、必要に応じて好適な混合時間を選択でき、本発明のいくつかの具体的な実施形態において、混合時間は0〜2時間程度であり、好ましくは1時間程度である。
【0068】
前記ステップ(c)における加熱温度は、0℃〜混合後の溶剤系の沸点であってもよく、本発明のいくつかの具体的な実施形態において、前記加熱温度は、混合後の溶剤系の沸点である。
【0069】
また、本発明の別の態様によれば、(1)式Iの化合物と、クエン酸と、溶剤とを混合させ、選択的に加熱条件下で行うステップ、(2)固体を析出させ、固体を析出させるときに選択的に加熱するステップ、及び(3)析出された固体を分離し、分離された固体を選択的に乾燥するステップ、を含む式Iの化合物のクエン酸塩のBタイプ結晶の製造方法を提供する。
【0070】
前記製造方法では、ステップ(1)において、式Iの化合物と、クエン酸と、溶剤とを混合させた後、式Iの化合物とクエン酸とを含む溶液を得た。
【0071】
前記製造方法では、式Iの化合物とクエン酸とのモル比は1:0.01〜100であり、好ましくは1:0.1〜10であり、さらに好ましくは1:1〜5であり、最も好ましくは1:1.1である。
【0072】
前記製造方法では、式Iの化合物1molあたり、式Iの化合物と、クエン酸と、溶剤とを混合させて得られた溶液の体積は0.1〜100Lであり、好ましくは1〜30Lであり、さらに好ましくは5〜15Lであり、最も好ましくは10Lである。
【0073】
前記ステップ(1)における溶剤は、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、1,4-ジオキサン、アセトン、ブタノン、ペンタノン、シクロペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド又はジメチルスルホキシドの1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、水、アセトニトリル又はアセトンの1種又は複数種であり、最も好ましくは、メタノール、エタノール、水、アセトニトリル又はアセトンの1種又は複数種である。
【0074】
前記ステップ(1)の混合は、振動又は撹拌下で行ってもよい。
【0075】
前記ステップ(1)は、必要に応じて好適な混合時間を選択でき、本発明のいくつかの具体的な実施形態において、混合時間は0〜2時間程度であり、好ましくは1時間程度である。
【0076】
前記ステップ(1)における加熱温度は、0℃〜混合後の溶剤系の沸点であってもよく、本発明のいくつかの具体的な実施形態において、前記加熱温度は混合後の溶剤系の沸点である。
【0077】
前記ステップ(2)における固体を析出させる状態は、静置でもよく、振動又は撹拌下で行ってもよい。
【0078】
前記ステップ(2)における加熱温度は、0℃〜混合後の溶剤系の沸点であってもよく、本発明のいくつかの具体的な実施形態において、前記加熱温度は溶剤系の沸点である。
【0079】
好ましくは、ステップ(1)は以下のステップにより行う。
(a)第5の溶剤に式Iの化合物を加えて、式Iの化合物を含む第5の溶液を生成するステップ、
(b)第6の溶剤にクエン酸を加えて、クエン酸を含む第6の溶液を生成するステップ、及び
(c)第6の溶液と第5の溶液とを混合させ、選択的に加熱条件下で行うステップ。
【0080】
前記ステップ(1)では、第6の溶剤と第5の溶剤との体積比は1:0.01〜100であり、好ましくは1:0.1〜50であり、最も好ましくは1:9である。
【0081】
前記ステップ(1)では、式Iの化合物1molあたり、前記式Iの化合物を含む第5の溶液の体積は0.1〜100Lであり、好ましくは1〜30Lであり、さらに好ましくは5〜15Lであり、最も好ましくは9Lである。
【0082】
前記ステップ(1)では、クエン酸の、前記クエン酸を含む第6の溶液におけるモル濃度は、mol/Lで0.01〜100mol/Lであり、好ましくは0.1〜10mol/Lであり、さらに好ましくは1〜5mol/Lであり、最も好ましくは1.1mol/Lである。
【0083】
前記ステップ(a)における第5の溶剤は、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、1,4-ジオキサン、アセトン、ブタノン、ペンタノン、シクロペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド又はジメチルスルホキシドの1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール又は水の1種又は複数種、さらに好ましくは、メタノール、エタノール又は水の1種又は複数種であり、最も好ましくは、メタノール、エタノール、メタノール及び水の混合溶剤、又はエタノール及び水の混合溶剤である。
【0084】
前記ステップ(b)における第6の溶剤は、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、1,4-ジオキサン、アセトン、ブタノン、ペンタノン、シクロペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド又はジメチルスルホキシドの1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。好ましくは、メタノール、エタノール又は水の1種又は複数種であり、最も好ましくは、水、メタノール及び水の混合溶剤、又はエタノール及び水の混合溶剤である。
【0085】
前記ステップ(c)の混合は、振動又は撹拌下で行ってもよい。
【0086】
前記ステップ(c)は、必要に応じて好適な混合時間を選択でき、本発明のいくつかの具体的な実施形態において、混合時間は0〜2時間程度であり、好ましくは1時間程度である。
【0087】
前記ステップ(c)における加熱温度は、0℃〜混合後の溶剤系の沸点であってもよく、本発明のいくつかの具体的な実施形態において、前記加熱温度は混合後の溶剤系の沸点である。
【0088】
さらに、本発明の別の態様によれば、(1)式Iの化合物と、クエン酸と、第7の溶剤とを混合させ、選択的に加熱条件下で行うステップ、(2)固体を析出させるステップ、(3)析出された固体を分離するステップ、(4)析出された固体と第8の溶剤とを混合させ、選択的に加熱条件下で行うステップ、及び(5)固体を分離し、分離された固体を選択的に乾燥するステップ、を含む式Iの化合物のクエン酸塩のCタイプ結晶の製造方法を提供する。
【0089】
前記製造方法では、ステップ(1)において、式Iの化合物と、クエン酸と、第7の溶剤とを混合させた後、式Iの化合物とクエン酸とを含む溶液を得た。
【0090】
前記製造方法では、式Iの化合物とクエン酸とのモル比は1:0.01〜100であり、好ましくは1:0.1〜10であり、さらに好ましくは1:1〜5であり、最も好ましくは1:1.1である。
【0091】
前記製造方法では、式Iの化合物1molあたり、式Iの化合物と、クエン酸と、第7の溶剤とを混合させて得られた溶液の体積は0.1〜100Lであり、好ましくは1〜30Lであり、さらに好ましくは5〜15Lであり、最も好ましくは10Lである。
【0092】
前記ステップ(1)における第7の溶剤は、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、1,4-ジオキサン、アセトン、ブタノン、ペンタノン、シクロペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド又はジメチルスルホキシドの1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、水、アセトニトリル又はアセトンの1種又は複数種であり、最も好ましくは、メタノール、エタノール又は水の1種又は複数種である。
【0093】
前記ステップ(1)の混合は、振動又は撹拌下で行ってもよい。
【0094】
前記ステップ(1)は、必要に応じて好適な混合時間を選択でき、本発明のいくつかの具体的な実施形態において、混合時間は0〜2時間程度であり、好ましくは0.5〜1.5時間程度であり、最も好ましくは1時間程度である。
【0095】
前記ステップ(1)における加熱温度は、0℃〜混合後の溶剤系の沸点であってもよく、本発明のいくつかの具体的な実施形態において、前記加熱温度は混合後の溶剤系の沸点である。
【0096】
前記ステップ(2)における固体を析出させる状態は、静置でもよく、振動又は撹拌下で行ってもよい。
【0097】
前記ステップ(4)における第8の溶剤は、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、1,4-ジオキサン、アセトン、ブタノン、ペンタノン、シクロペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド又はジメチルスルホキシドの1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。好ましくは、メタノール、エタノール又は水の1種又は複数種であり、最も好ましくは、エタノールである。
【0098】
前記ステップ(4)の混合は、振動又は撹拌下で行ってもよい。
【0099】
前記ステップ(4)は、必要に応じて好適な混合時間を選択でき、本発明のいくつかの具体的な実施形態において、混合時間は0〜2時間程度であり、好ましくは1時間程度である。
【0100】
前記ステップ(4)における加熱温度は、0℃〜混合後の溶剤系の沸点であってもよく、本発明のいくつかの具体的な実施形態において、前記加熱温度は溶剤系の沸点である。
【0101】
好ましくは、ステップ(1)は以下のステップにより行う。
(a)第9の溶剤に式Iの化合物を加えて、式Iの化合物を含む第9の溶液を生成するステップ、
(b)第10の溶剤にクエン酸を加えて、クエン酸を含む第10の溶液を生成するステップ、及び
(c)第10の溶液と第9の溶液とを混合させ、選択的に加熱条件下で行うステップ。
【0102】
前記ステップ(1)では、第10の溶剤と第9の溶剤との体積比は1:0.01〜100であり、好ましくは1:0.1〜50であり、最も好ましくは1:9である。
【0103】
前記ステップ(1)では、式Iの化合物1molあたり、前記式Iの化合物を含む第9の溶液の体積は0.1〜100Lであり、好ましくは1〜30Lであり、さらに好ましくは5〜15Lであり、最も好ましくは9Lである。
【0104】
前記ステップ(1)では、クエン酸の前記クエン酸を含む第10の溶液におけるモル濃度は、mol/Lで0.01〜100mol/Lであり、好ましくは0.1〜10mol/Lであり、さらに好ましくは1〜5mol/Lであり、最も好ましくは1.1mol/Lである。
【0105】
前記ステップ(a)における第9の溶剤は、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、1,4-ジオキサン、アセトン、ブタノン、ペンタノン、シクロペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド又はジメチルスルホキシドの1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール又は水の1種又は複数種、さらに好ましくは、メタノール、エタノール又は水の1種又は複数種であり、最も好ましくは、メタノール、エタノール、メタノール及び水の混合溶剤、又はエタノール及び水の混合溶剤である。
【0106】
前記ステップ(b)における第10の溶剤は、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、1,4-ジオキサン、アセトン、ブタノン、ペンタノン、シクロペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド又はジメチルスルホキシドの1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。好ましくは、メタノール、エタノール又は水の1種又は複数種であり、最も好ましくは、水、メタノール及び水の混合溶剤、又はエタノール及び水の混合溶剤である。
【0107】
前記ステップ(c)の混合は、振動又は撹拌下で行ってもよい。
【0108】
前記ステップ(c)は、必要に応じて好適な混合時間を選択でき、本発明のいくつかの具体的な実施形態において、混合時間は0〜2時間程度であり、好ましくは1時間程度である。
【0109】
前記ステップ(c)における加熱温度は、0℃〜混合後の溶剤系の沸点であってもよく、本発明のいくつかの具体的な実施形態において、前記加熱温度は混合後の溶剤系の沸点である。
【0110】
さらに、本発明の別の態様によれば、前記式Iの化合物のクエン酸塩結晶を含む結晶組成物であって、前記式Iの化合物のクエン酸塩結晶が結晶組成物重量の50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上を占め、前記の式Iの化合物のクエン酸塩結晶が式Iの化合物のクエン酸塩のAタイプ結晶、式Iの化合物のクエン酸塩のBタイプ結晶、又は式Iの化合物のクエン酸塩のCタイプ結晶である、結晶組成物を提供する。
【0111】
さらに、本発明の別の態様によれば、式Iの化合物のクエン酸塩結晶、又はその結晶組成物を含む医薬組成物であって、治療有効量である本発明の前記式Iの化合物のクエン酸塩結晶、又はその結晶組成物を含み、前記式Iの化合物のクエン酸塩結晶が式Iの化合物のクエン酸塩のAタイプ結晶、式Iの化合物のクエン酸塩のBタイプ結晶、又は式Iの化合物のクエン酸塩のCタイプ結晶である医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物には、薬学的に許容される補助剤が含有されてもよい。さらに、本発明の医薬組成物には、その他の治療剤の1種又は複数種が含まれてもよい。
【0112】
前記「薬学的に許容される補助剤」とは、活性成分とともに投与され、活性成分の投与に寄与する不活性物質のことをいい、中国国家食品薬品監督管理局に許可される、人や動物(例えば、家畜)に用いられる任意の許容される流動促進剤、甘味剤、希釈剤、保存剤、染料/着色剤、矯味補強剤、界面活性剤、潤湿剤、分散剤、崩壊剤、懸濁剤、安定化剤、等張化剤、溶剤又は乳化剤を含むが、これらに限定されない。前記補助剤の非制限的な例として、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、各種類の糖及び各種類のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、並びにポリエチレングリコールが含まれる。
【0113】
本発明の医薬組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、ペースト剤、乳剤、懸濁剤、液剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル化剤、ミクロスフェア、及びエアゾールなどの固体状態、半固体状態、液体状態又は気体状態の製剤に調製することができる。
【0114】
本発明の医薬組成物の典型的な投与経路は、経口投与、直腸投与、経粘膜投与、経腸投与、又は局所投与、経皮投与、吸入投与、腸管外投与、舌下投与、膣内投与、鼻内投与、眼内投与、腹膜内投与、筋肉内投与、皮下投与、静脈内投与を含むが、これらに限定されない。好ましい投与途径は、経口投与である。
【0115】
さらに、本発明の別の態様によれば、タンパク質キナーゼを式Iの化合物のクエン酸塩結晶と接触させることを含む方法であって、前記式Iの化合物のクエン酸塩結晶が、式Iの化合物のクエン酸塩のAタイプ結晶、式Iの化合物のクエン酸塩のBタイプ結晶、又は式Iの化合物のクエン酸塩のCタイプ結晶である、タンパク質キナーゼ活性を調節する方法を提供する。好ましくは、前記タンパク質キナーゼはALKから選ばれる。さらに、前記タンパク質キナーゼには突然変異したキナーゼが含まれ、そのうち、突然変異キナーゼが突然変異したALKキナーゼから選ばれる。
【0116】
さらに、本発明の別の態様によれば、前記式Iの化合物のクエン酸塩結晶が、式Iの化合物のクエン酸塩のAタイプ結晶、式Iの化合物のクエン酸塩のBタイプ結晶、又は式Iの化合物のクエン酸塩のCタイプ結晶である、式Iの化合物のクエン酸塩結晶、又はその結晶組成物、又はその医薬組成物、又はその結晶組成物の医薬組成物の疾患を治療及び/又は予防する医薬の製造のための使用を提供する。そのうち、前記疾患がタンパク質キナーゼ(例えば、ALK)活性に関連する疾患、例えば異常細胞増殖であり、前記異常細胞増殖は癌を含む。また、本発明は、前記式Iの化合物のクエン酸塩結晶が、式Iの化合物のクエン酸塩のAタイプ結晶、式Iの化合物のクエン酸塩のBタイプ結晶、又は式Iの化合物のクエン酸塩のCタイプ結晶である、式Iの化合物のクエン酸塩結晶、又はその結晶組成物、又はその医薬組成物、又はその結晶組成物の医薬組成物のALKを介した疾患を治療及び/又は予防する医薬の製造のための使用を提供する。
【0117】
前記ALKを介した疾患は、ALK陽性非小細胞肺癌、未分化大細胞リンパ腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、鼻咽頭癌、乳癌、結腸直腸癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、全身組織球増殖症、及び神経芽細胞腫などを含む。好ましくは、ALK陽性非小細胞肺癌を含み、さらに好ましくは、ALK陽性の原発性又は転移性非小細胞肺癌を含む。
【0118】
また、本発明は、哺乳動物(例えば、人)に治療有効量である式Iの化合物のクエン酸塩結晶、又はその結晶組成物、又はその医薬組成物、又はその結晶組成物の医薬組成物を投与することを含み、前記式Iの化合物のクエン酸塩結晶が、式Iの化合物のクエン酸塩のAタイプ結晶、式Iの化合物のクエン酸塩のBタイプ結晶、又は式Iの化合物のクエン酸塩のCタイプ結晶である、哺乳動物(例えば、人)疾患を治療及び/又は予防する方法を提供する。そのうち、前記疾患がタンパク質キナーゼ(例えば、ALK)活性に関連する疾患である。
【0119】
さらに、本発明は、前記式Iの化合物のクエン酸塩結晶が、式Iの化合物のクエン酸塩のAタイプ結晶、式Iの化合物のクエン酸塩のBタイプ結晶、又は式Iの化合物のクエン酸塩のCタイプ結晶である、タンパク質キナーゼ活性を調節する、又は哺乳動物(例えば、人)のタンパク質キナーゼ活性に関連する疾患を治療及び/又は予防する式Iの化合物のクエン酸塩結晶、又はその結晶組成物、又はその医薬組成物、又はその結晶組成物の医薬組成物を提供する。前記タンパク質キナーゼは、好ましくはALKである。前記タンパク質キナーゼには突然変異したキナーゼが含まれ、前記突然変異キナーゼが突然変異したALKキナーゼから選ばれる。