特表2018-522077(P2018-522077A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-522077瀝青複合材料の各瀝青バインダー用添加剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-522077(P2018-522077A)
(43)【公表日】2018年8月9日
(54)【発明の名称】瀝青複合材料の各瀝青バインダー用添加剤
(51)【国際特許分類】
   C08L 95/00 20060101AFI20180713BHJP
   C09J 195/00 20060101ALI20180713BHJP
   C08K 9/04 20060101ALI20180713BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20180713BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20180713BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20180713BHJP
   C04B 22/06 20060101ALI20180713BHJP
   C04B 26/26 20060101ALI20180713BHJP
【FI】
   C08L95/00
   C09J195/00
   C08K9/04
   C08K3/22
   C09J11/04
   C09J11/06
   C04B22/06 Z
   C04B26/26 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-555240(P2017-555240)
(86)(22)【出願日】2016年4月18日
(85)【翻訳文提出日】2017年10月25日
(86)【国際出願番号】EP2016058521
(87)【国際公開番号】WO2016169880
(87)【国際公開日】20161027
(31)【優先権主張番号】15164726.0
(32)【優先日】2015年4月22日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】514034618
【氏名又は名称】エーエムペーアー アイトゲネッシーシェ マテリアールプリューフングス− ウント フォルシュングスアンシュタルト
(71)【出願人】
【識別番号】508092576
【氏名又は名称】エーテーハー チューリヒ
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100187207
【弁理士】
【氏名又は名称】末盛 崇明
(72)【発明者】
【氏名】エティエンヌ、ジョフロワ
(72)【発明者】
【氏名】マンフレート、パートル
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ、スチュダルト
【テーマコード(参考)】
4G112
4J002
4J040
【Fターム(参考)】
4G112MA00
4J002AG001
4J002DE096
4J002DE116
4J002FB026
4J002FB076
4J002FB086
4J002FB236
4J002FB266
4J002FD116
4J002GJ02
4J002GL00
4J002GT00
4J040BA211
4J040HA136
4J040JA01
4J040JB01
4J040JB09
4J040KA23
4J040KA25
4J040KA38
4J040KA42
4J040LA06
4J040NA12
4J040PA29
(57)【要約】
特に舗装道路の亀裂およびアスファルトにおける深い微小亀裂をヒーリングするための、交番磁界を印加すると瀝青複合材料の各瀝青バインダー粘度を低減できる瀝青複合材料の各瀝青バインダー用の添加剤であって、ある量の磁気酸化鉄粒子を含んでなる添加剤は、迅速かつ簡便な方法で溶融させることができ、特に現場でアスファルト構造の亀裂に使用可能な瀝青複合材料の各瀝青バインダーを得るために改善されなければならない。これは、脂肪酸でコーティングされた平均サイズ1nm〜300nmを有する磁気酸化鉄ナノ粒子の少なくとも一部を含んでなる添加剤を形成することによって達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交番磁界を印加することによって瀝青複合材料の各瀝青バインダーの粘度を低減することができる、瀝青複合材料の各瀝青バインダーの一部として界面活性剤でコーティングされた、長さおよび/または幅で1nm〜300nmの平均サイズを有する磁気鉄系、コバルト系、ニッケル系、または希土類系酸化物ナノ粒子の少なくとも一部を含んでなる添加剤の、接着性および凝集性舗装道路の亀裂およびアスファルト中の深い微小亀裂をヒーリングするための使用。
【請求項2】
前記界面活性剤が、オレイン酸のような脂肪酸、クエン酸ナトリウムなどのカルボン酸塩、ポリビニルアルコールなどのポリマー、またはシリカなどの無機材料を含んでなる、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記界面活性剤が、ポリ(ビニル)ブチラール、ポリ(ビニル)ピロリドン、ソルビタンオレエート、ブロックコポリマー、ドデシル硫酸ナトリウムまたはアルキルフェノールエトキシレートを含んでなる、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
ある量のFe3O4および/またはγ−Fe2O3O(マグヘマイト)を磁気酸化鉄ナノ粒子に使用する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
前記界面活性剤コーティングの平均厚さが1nm〜10nmであり、好ましくは1nm〜5nmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
交番磁界を印加した場合に瀝青複合材料の各瀝青バインダー粘度を低下させることができ、特に接着性および凝集性舗装道路の亀裂およびアスファルトにおける深い微小亀裂のヒーリングのための瀝青複合材料の各瀝青バインダー用の添加剤の製造法であって、前記添加剤がある量の磁性酸化物粒子を含んでなり、
・平均サイズ1nm〜300nmを有する磁気鉄系、コバルト系、ニッケル系、または希土類系酸化物ナノ粒子を、溶媒中、ある量の界面活性剤と混合するステップと、
・超音波処理と、少なくとも40℃まで、好ましくは60℃まで少なくとも2時間、好ましくは24時間加熱する一方で、ナノ粒子表面上を界面活性剤コーティングでコーティングされた酸化物ナノ粒子を含んでなる添加剤溶液が形成されるステップと、その後、
・コーティングされた磁気ナノ粒子から過剰の界面活性剤を分離するために、コーティングを破壊することなく過剰の界面活性剤の除去を可能にする極性非プロトン性溶媒、特にアセトンを添加するステップと、続いて
・磁場でコーティングされた磁気ナノ粒子をトラップし、溶媒、過剰の界面活性剤および前記極性非プロトン性溶媒を少なくとも部分的に除去した後、最終的にコーティングされた磁気ナノ粒子が瀝青バインダー中で混和性であるステップと
を特徴とする、方法。
【請求項7】
前記溶媒を、請求項6に記載の添加剤混合物から、特に蒸発によって少なくとも部分的に除去する、請求項6に記載の添加剤の製造方法。
【請求項8】
前記溶媒が水、トルエン、キシレンまたはテトラクロロエチレンである、請求項6または7に記載の添加剤の製造法。
【請求項9】
界面活性剤がオレイン酸のような脂肪酸、クエン酸ナトリウムなどのカルボン酸塩、ポリビニルアルコールなどのポリマー,またはシリカなどの無機材料を含んでなる、請求項6〜8のいずれか1項に記載の添加剤の製造法。
【請求項10】
前記界面活性剤が、ポリ(ビニル)ブチラール、ポリ(ビニル)ピロリドン、ソルビタンオレエート、ブロックコポリマー、ドデシル硫酸ナトリウムまたはアルキルフェノールエトキシレートを含んでなる、請求項6〜8のいずれか1項に記載の添加剤の製造法。
【請求項11】
熱可塑性材料の形態および無機充填剤および/または砂および/または石骨材の量の瀝青バインダーを含んでなり、
前記瀝青バインダーが、界面活性剤でコーティングされた、平均サイズ1nm〜300nmを有する磁性酸化物ナノ粒子の少なくとも一部を含んでなり、前記瀝青バインダー中の前記コーティングされた磁気酸化鉄ナノ粒子の体積百分率が0.1体積%〜5体積%である、瀝青複合材料。
【請求項12】
前記界面活性剤が、オレイン酸のような脂肪酸、クエン酸ナトリウムなどのカルボン酸塩、ポリビニルアルコールなどのポリマー、またはシリカなどの無機材料を含んでなる、請求項11に記載の瀝青複合材料。
【請求項13】
前記瀝青複合材料が0.5体積%〜5体積%の磁気コーティングされた酸化物ナノ粒子を含んでなる、請求項11または12のいずれか1項に記載の瀝青複合材料。
【請求項14】
前記界面活性剤コーティングの平均厚さが1nm〜10nm、好ましくは1nm〜5nmである、請求項11〜13のいずれか1項に記載の瀝青複合材料。
【請求項15】
請求項11〜14に記載の瀝青複合材料の製造方法であって、
瀝青バインダーを、界面活性剤でコーティングした1nm〜300nmの長さおよび/または幅の平均サイズを有する磁気鉄系、コバルト系、ニッケル系または希土類系酸化物ナノ粒子の少なくとも一部を含んでなる添加剤と混合し、一方、前記界面活性剤がオレイン酸のような脂肪酸、クエン酸ナトリウムなどのカルボン酸塩、ポリビニルアルコールなどのポリマー、シリカなどの無機材料、ポリ(ビニル)ブチラール、ポリ(ビニル)ピロリドン、ソルビタンオレエート、ブロックコポリマー、ドデシル硫酸ナトリウムまたはアルキルフェノールエトキシレートを含んでなり、さらに無機充填剤および/または砂および/または石骨材および/または他の材料成分、例えば鉱物骨材の部分を含んでなることを特徴とする製造方法。
【請求項16】
請求項11または14に記載の瀝青複合材料中で、既成瀝青要素を既存の表面に接着する、および/または舗装道路の亀裂ならびにアスファルト中の深い微小亀裂をヒーリングするための方法であって、
交番磁界を瀝青複合材料に数秒から2分まで印加し、瀝青バインダー粘度を一時的に低下させ、前記舗装道路の亀裂の近傍および/またはアスファルト中の前記微小亀裂中の前記瀝青複合材料の流れが前記亀裂を閉じることを可能にするステップと、
続いて交番磁界を除去するステップと、
によって特徴づけられる、方法。
【請求項17】
請求項16に記載のアスファルトにおける舗装道路の亀裂および深い微小亀裂をヒーリングするための方法であって、0.1〜1MHzの範囲内、好ましくは285kHzと、10〜100mTの範囲内の振幅の交番磁界を磁気コーティングされたナノ粒子を含有する瀝青複合材料に、瀝青バインダーが亀裂に充填されるまで充分な時間適用する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瀝青複合材料の各瀝青バインダー用の添加剤であって、交番磁界を印加することによって瀝青複合材料の各瀝青バインダーの粘度を低下させることができ、特に接着性および凝集性舗装道路の亀裂ならびにアスファルトにおける深い微小亀裂をヒーリングするためのものであり、ある量の磁性酸化物粒子を含んでなる添加剤、交番磁界を印加すると瀝青複合材料の各瀝青バインダーの粘度を低下させることができ、特に接着性および凝集性舗装道路の亀裂ならびにアスファルトにおける深い微小亀裂をヒーリングするための瀝青複合材料の各瀝青バインダー用の添加剤であって、ある量の磁性酸化物粒子を含んでなる添加剤の製造方法、熱可塑性材料の形態の瀝青バインダーとある量の無機充填剤および/または砂および/または石骨材とを含んでなる瀝青複合材料、瀝青複合材料を製造する方法ならびに瀝青複合材料中で既成瀝青要素を既存の表面へ接着するためおよび/または舗装道路の亀裂およびアスファルト中の深い微小亀裂をヒーリングするための方法を記載する。
【背景技術】
【0002】
数年の機械的応力および熱応力への暴露ならびに環境的影響(空気による酸化、UV、湿分など)は道路舗装の剛性および脆弱性に影響を及ぼし、これにより舗装道路は接着性および凝集性が失われるためにひび割れしやすくなる。その結果、微小亀裂ならびに舗装材料の成分(例えば石)間および舗装層間の界面の微小剥離が発生し、最終的に合体し、マクロ亀裂を形成し、剥離し、かくして不可逆的な損傷を引き起こす。
【0003】
しかしながら、微小亀裂自体の発生段階では、これらの微小亀裂および剥離領域を部分的または全体的に閉じることによって機械的特性の回復を達成できた。破局的故障に至る際の微小亀裂の役割のために微小亀裂を閉じることにますます重点がおかれている。
【0004】
A. Bhasin, A framework to quantify the effect of healing in bituminous materials using material properties, Road Materials and Pavement Design, 9 (2008) 219-242で概説されているように、瀝青材料内の微小亀裂をヒーリングすることができる。
【0005】
基本的には、道路舗装および建物用のアスファルトなどの瀝青複合材料は、瀝青バインダー、無機充填剤(通常<0.063mm)、砂(通常0.063〜2mm)、立方体石骨材(通常2〜16mm)および気泡(通常20体積%まで)からなる複合物である。
【0006】
瀝青バインダーは原油蒸留から得られる熱可塑性瀝青系材料である。瀝青バインダーは、石との物理的および化学的相互作用から生じる高い結合能を有する高分子量の有機炭化水素の混合物から本質的になる。瀝青バインダーはポリマーなどの添加剤を含んでもよいか、または繊維を瀝青複合材料の各瀝青バインダーに添加して、機械的および物理化学的特性を増強することができる。
【0007】
A. Bhasinによって開示されているように、瀝青バインダーの粘度を一時的に低下させることによって、瀝青材料は機械的特性を回復することができることが実証されている。「ヒーリング」と呼ばれるこの過程は、瀝青材料中の亀裂および剥離が部分的または完全に除去される機序と定義することができる。その結果、材料の耐用年数を延長することができる。
【0008】
瀝青材料における微小亀裂および剥離のヒーリングは、その温度を上昇させることによって開始できることはよく知られている。材料温度を50℃〜100℃(瀝青の種類に応じて)まで上昇させると、瀝青バインダーは流動し始める。破壊力学で定義されるモードI亀裂(オープニングモード)が発生する場合には、瀝青は亀裂に流入し、徐々に亀裂を満たす。冷却すると、亀裂中の瀝青バインダーは凝固する。
【0009】
米国特許出願公開第20120261861号明細書からわかるように、鋼繊維は瀝青複合材料の一部として瀝青材料において使用されてきた。交番磁界の影響下で、繊維から発生した熱は、伝導によって周囲の瀝青バインダーへ伝わり、その粘度の低下に至った。この技術は、石骨材を加熱する必要がなく、単に磁場を印加することによって、アスファルト構造内の粘度を低減できるという意味で有益である。しかしながら、鋼繊維は瀝青材料の機械的特性に影響を及ぼし、特に瀝青材料の後の表面で腐食を引き起こす可能性がある。さらに、鋼繊維は混合中にクラスターを形成する傾向があり、それによって、繊維の体積比が大きいために必要なレベルまで温度を上昇させるためにより長い時間とより高いエネルギーが必要とされる。クラスター化に関する問題は熱分配に影響を及ぼし、多くの場合、瀝青材料内で局所的温度勾配が大きくなり、このために局所的に非常に高温に達すると、構造が損傷を受ける可能性がある。
【0010】
韓国特許第101248960号では、磁場および亀裂修復法を使用する、自己ヒーリング機能を有するアスファルトが開示されている。導電性繊維と混合したアスファルトバインダーを舗装の亀裂部分に導入することができ、アスファルト内部の高周波磁場によって加熱される。アスファルトバインダーおよび導電性繊維以外に、グラファイト系強化繊維を組成物中に混合し、そして乳化剤を導電性繊維本体の外表面上にコーティングする。おそらく、導電性繊維のコーティングのために、結果として得られる加熱過程の効率は低く、その結果、不充分な加熱温度で長時間加熱ステップとなる。
【0011】
鉄、鉄合金および酸化鉄などのあらかじめ埋め込まれた導電性材料ならびに多様な他の導電性材料を有する瀝青複合材料のような熱可塑性製品を、電磁場を用いて溶融させる一般的方法が、米国特許出願公開第2014263283号明細書で提案されている。一般的考えは、熱可塑性製品を溶融させるために誘導加熱器を使用することであり、これは舗装道路の亀裂シーラントとして熱可塑性複合製品を使用するために導電性材料を添加した瀝青バインダーであり得る。米国特許出願公開第2014263283号明細書によると、使用した導電性材料は、粉末、ペレット、球、顆粒、小板、凝集体、繊維、フィラメント、フレーク、シェービング、チップ、チャンク、ビーズ、ワイヤ、ロッド、チューブ、コイルの形態、および/または任意の他の好適な形状であり得る。このリストは非常におおまかに感じられ、好ましい形状が存在するかどうかについては記載されていない。可能な粒子サイズは1nm〜2.5cmでなければならない。成分のほぼすべての濃度が可能であることが記載されており、これは非常にあいまいに感じる。粒子サイズは可能な限り小さくなければならず、複合材料中の導電性粒子の分散液は可能な限り均質でなければならず、均質な溶融が容易になることは、当業者にとっては明らかなようである。ミキサーを用いたヒーターセットアップを使用することによってさえ、結果として得られる溶融した複合材料は、短い溶融時間および求められる加熱過程効率に関する要件を満たさなかった。瀝青バインダー中に添加された粒子の極度のクラスター化の阻害が起こる。複合材料を舗装の亀裂ヒーリングのために使用する一方で、瀝青複合材料の粘度を制御して瀝青複合材料の気泡の充填を回避することができるかどうかも明らかではない。ナノスケール添加剤の場合、分散は非常に困難になり、米国特許出願公開第2014263283号明細書で提案されるようなフィーダーのみを使用することによってクラスター化に至る。
【0012】
また、ある研究が実施され、添加された導電性粒子のクラスター化をあまり示さず満足できる瀝青複合材料の各瀝青バインダーは今までのところ見出すことができなかった。亀裂の適用時間に加えて、最良の場合のヒーリング手順は、依然として数分かかる。発生するクラスター化は熱分配に対して多大な影響を及ぼし、したがって、大きな温度勾配を生じる傾向がある。それはまた、クラスター化の結果、局所的軟化「のみ」が起こるので、構造の機械的安定性にも影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、より速くより均質で簡単な方法で溶融し得る、特に現場で、舗装、目地材、防水層用アスファルトなどの、道路および建物用の瀝青バインダーを用いて作製された材料の凝集性および接着性の喪失に由来する亀裂ヒーリングのために使用可能な、瀝青バインダーの各瀝青複合材料をもたらす瀝青バインダーの各瀝青複合材料(すなわち、瀝青を含有するが、ポリマー、繊維などの他の成分も含有するバインダー)用の添加剤を作製し処理することである。
【0014】
瀝青複合材料を使用することで、建設労働者が必要な量だけ使用して少量の瀝青複合材料を非常に短時間でちょうど必要な場合に流動化させることが可能になり、これにより、より効率的で、それによって競合的な亀裂ヒーリング適用が得られる。
【0015】
我々の場合、ナノスケールサイズのコーティングされた粒子を含んでなる添加剤の使用により、瀝青バインダー内で温度勾配を誘発する高損傷を防止する。特に瀝青のような材料は大きな熱源中の温度勾配によって誘発される損傷を受けやすいので、これは重要な特徴である。さらに、本発明は、コーティングされたナノ粒子を有する安定なバインダー系を調製するための、明確で秩序正しい方法で定められた技術を具体的に提案する。
【0016】
材料に交番磁界を印加することで、実際、その成分の粘度を低下させるための代替物が開発されるが、瀝青材料内で高い磁気応答を可能にする一方で、瀝青材料構造の機械的安定性および機能性を同時に保証する実行可能な方法はまだ提案されていない。
【0017】
道路舗装、防水層または接合部用の瀝青材料の場合、加熱過程中および加熱過程後に材料の形状および構造を維持することが重要である。道路舗装の場合、気泡の存在のために、気泡は材料構造の安定性に悪影響を及ぼし得るので、気泡が瀝青バインダーで満たされることを回避するためには、粘度を局所的に制御しなければならない。
【0018】
現在の技術と比較して、本発明は、石を著しく加熱することなく、瀝青バインダーの粘度を迅速かつ均一に低下させるための効率的かつ再現性のある方法を提供する。我々の差別化は、例えば、少量で均一に分散された場合、ヒーリング用瀝青バインダーの機械的特性に影響を及ぼさない磁気ナノ粒子の使用にある。我々はまた、酸化鉄などのそれらの酸化物形態の磁気材料は腐食を引き起こさないという事実も調べる。
【0019】
さらに、ナノ範囲で、そのような磁気ナノ粒子は強力な磁気応答を示し、その結果、熱放散が起こり、したがって瀝青複合材料におけるバインダー粘度の低下が加速する。
【0020】
実際、我々の方法の適用可能性は、スチールウール繊維が埋め込まれた瀝青材料が構造中で均一に50℃の温度上昇を達成するためには数分の範囲内の時間かかる一方で、同じ増加が近接した磁場条件で、埋め込まれた磁気ナノ粒子を用いて数秒で達成でき、さらに局所過熱が回避されるという事実により強調される。
【0021】
最後に、磁気ナノ粒子を含有する瀝青バインダー材料を調製する方法は、ナノ粒子が常に瀝青バインダー中に限定され、それによって、汚染のリスクを排除することを保証するように設計される。
【0022】
瀝青バインダー中の磁気ナノ粒子の懸濁液の均一性は、ナノ粒子の表面を修飾して互いの反発を促進することによって保証される。本発明で記載する方法の多用途性は、この方法を道路および建物用の瀝青材料の適用のための便利かつ安全な手段とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の主題の好ましい例示的実施形態および本発明の主題で達成可能な結果を添付の図面とあわせて以下で記載する。
図1図1は、瀝青中に分散した、コーティングされた磁気ナノ粒子のCryoSEM画像を示す。
図2図2は、1体積%のコーティングされた磁気ナノ粒子を含んでなる瀝青に関する温度反応速度曲線(温度対時間)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
瀝青バインダーの量および無機充填剤、砂、石骨材および気泡などの成分を様々な濃度で含んでなる瀝青複合材料の各瀝青バインダーの適用性を改善するために、以下で提供される添加剤を見出すことができた。この添加剤は瀝青または瀝青複合材料の各瀝青バインダーの一部であり得、適用時間ははるかに短くなり、瀝青複合材料の各瀝青バインダーの溶融時間もはるかに短くなる。
【0025】
開示した添加剤はある量のコーティングされた磁気ナノ粒子を含んでなり、このナノ粒子は、添加剤を含んでなる瀝青複合材料を形成する瀝青バインダー中に均一に埋め込むことができる。
【0026】
瀝青バインダーは、通常、高分子量の有機炭化水素の混合物を用いた原油蒸留から得られる瀝青またはポリマーで修飾された瀝青(修飾瀝青を表す伝統的な名称)を含む、少なくともある量の熱可塑性瀝青系材料を含んでなる。当業者は瀝青バインダーに使用可能な様々な瀝青系材料を知っている。
【0027】
瀝青系材料以外に、瀝青バインダーは、コーティングされた磁気、特に強磁性、フェリ磁性または超常磁性、ナノ粒子を含んでなる、ある量の添加剤を含んでなる。
【0028】
これらの磁性酸化物ナノ粒子は、長さおよび/または高さ1nm〜300nmの平均サイズ範囲で導電性ではない。これらの使用した酸化物ナノ粒子は従来技術で公知の導電性材料形態と比較してより大きな熱応答を提供する。したがって、磁性酸化物ナノ粒子の使用は、発熱および熱分配により適しているので、数キロメートルのアスファルトを含むアスファルト道路のような用途により好都合である。
【0029】
特に、酸化鉄ナノ粒子は、それらのサイズに関して磁気応答がより高いこと、それらは合成が容易であること、および低毒性であるために、好ましい。実験は、酸化鉄(III)(Fe3O4)および酸化鉄(III)を、特にマグヘマイトとして知られるガンマ相(γ−Fe2O3)において使用して最も良好な結果を示した。これらの酸化鉄ナノ粒子は瀝青道路構造の耐久性を増加させるために効果的に適用できる。この場合、これらの粒子は小鉱物骨材に適している。さらに、それらは酸化物であるので、腐食を回避できる。
【0030】
鉄系酸化物ナノ粒子以外に、コバルト系、ニッケル系または希土類系酸化物ナノ粒子も使用できる。
【0031】
後の瀝青の各瀝青バインダー中の磁気ナノ粒子の懸濁液の均一性は、ナノ粒子の表面を修飾して互いの反発を促進することによって保証される。
コーティング
【0032】
結果として得られる添加剤は、コーティングされた磁気ナノ粒子、特に鉄系酸化物ナノ粒子であって、上記平均サイズ範囲内であり、界面活性剤様材料、例えば脂肪酸でコーティングされた、特にオレイン酸でコーティングされたものを含んでなり、コーティングされた磁気ナノ粒子は非極性液体または低極性液体中に分散されている。
【0033】
本発明の意味での界面活性剤に相当し、表面活性分子を含んでなる、数種の界面活性剤様材料を使用して磁性酸化物ナノ粒子表面をコーティングすることができる。数例として、カルボン酸塩、例えばクエン酸ナトリウムおよびオレイン酸、ポリマー、例えばポリビニルアルコール、または無機材料、例えばシリカが挙げられる。
【0034】
表面活性分子の他の可能性は、ポリ(ビニル)ブチラール、ポリ(ビニル)ピロリドン、ソルビタンオレエート(商品名、例えばSpan80、Span85)、ブロックコポリマー(例えば、Pluronicファミリー)、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルフェノールエトキシレートおよびその他である。ここで、我々は、その瀝青バインダーの機械的安定性を同時に保証しつつ、有望な結果をもたらし、瀝青複合材料からのその後の高い磁気応答を可能にする典型的な表面活性分子の一例としてオレイン酸を使用することを提案する。
【0035】
結果として得られる界面活性剤または界面活性剤様コーティングの厚さは、1nm〜10nmであり、最も好ましくは1nm〜5nmであり、基本的には使用した分子の分子鎖サイズである。
添加剤、瀝青バインダーおよび瀝青複合材料の調製法
【0036】
磁気ナノ粒子を含んでなる、瀝青複合材料の各瀝青バインダーそれぞれの添加剤の調製法を以下で記載する。
(1)磁気ナノ粒子表面の修飾
【0037】
上述の平均サイズ範囲内の磁気酸化鉄ナノ粒子の形態の磁気ナノ粒子を、ナノ粒子が界面活性剤様表面活性分子の存在下で分散され得る任意の液体溶媒中に浸漬させる。ここでは特に水を使用し、コーティングは、例えばナノ粒子をトルエンまたは同等の非極性溶媒または低極性溶媒と、Span80またはSpan85の存在下で混合することによっても形成することができる。
【0038】
界面活性剤として作用する脂肪酸、特にオレイン酸を添加した後、溶液を超音波処理し、次いで60℃まで24時間加熱する。オレイン酸は酸化鉄ナノ粒子上にフィルムを部分的に形成し、固定コーティングを構築する。磁気ナノ粒子の表面をそれによって修飾する。
【0039】
その後、極性非プロトン性溶媒、特にアセトンを懸濁液に添加して、酸化鉄ナノ粒子のコーティングを除去することなく過剰のオレイン酸をナノ粒子から分離する。コーティングされた磁性酸化物粒子は、簡単な乾燥によるか、またはコーティングを破壊することなく過剰の界面活性剤を除去することを可能にする任意の溶媒で洗浄することによって、コーティングされた粒子を懸濁液から除去され、したがってアセトン以外の溶媒を使用できる。
【0040】
次のステップでは、コーティングされたオレイン酸ではない過剰のオレイン酸、水およびアセトンを次いで、磁石を使用してナノ粒子をトラップすることによってほぼ完全に除去する。
(2)
【0041】
次のステップにおいて、コーティングされた磁気ナノ粒子を瀝青バインダーと混和性である低極性溶媒中に分散させる。
【0042】
結果として得られる添加剤混合物は、脂肪酸でコーティングした、特にオレイン酸でコーティングし、低極性溶媒中に懸濁させた磁気ナノ粒子を含んでなる。この形態で、添加剤を、瀝青複合材料の一部を形成する瀝青バインダーと混合することができる。例えば、トルエン、キシレンまたはテトラクロロエチレンを低極性溶媒としてコーティングされた磁気ナノ粒子に添加できるか、またはコーティングされた磁気ナノ粒子をトルエン、キシレンまたはテトラクロロエチレンと混合できる。ここでは、トルエンが好ましい。
(3)
【0043】
その後、液体は、トルエンと混合した後、例えば蒸発によって、(2)で得られる添加剤混合物から少なくとも部分的に除去される。例えば、トルエンを混和性物質として使用する場合、160℃で混合物を加熱することによって完全に蒸発させることができる。
添加剤の瀝青バインダーへの添加
【0044】
少なくとも部分的に蒸発した添加剤混合物各々の添加剤を瀝青バインダーと混合することができる。公知のように、添加剤を含んでなる瀝青バインダーを目的とする用途に必要な無機充填剤および/または砂および/または石骨材および/または鉱物骨材などの他の材料成分と混合して、瀝青複合材料を形成することができる。
実用的な瀝青複合材料の一例は以下のものを含んでなるものであった:
フィラー:7.5重量%重量パーセント
砂:35重量%
鉱物骨材:51重量%
瀝青バインダー:6.5重量%、1体積%のコーティングされた磁気ナノ粒子を含んでなるもの。
【0045】
瀝青複合材料は熱可塑性のままであるので、瀝青複合材料と、磁気コーティングされたナノ粒子を含んでなる瀝青バインダーを再加熱することができる。それは、界面への接着を可能にするためにも使用できる。磁気コーティングされたナノ粒子は、瀝青複合材料中の各バインダー中に均一に懸濁されたままである。
【0046】
図1の瀝青複合材料表面のSEM画像からわかるように、コーティングされた磁気ナノ粒子のゆるいクラスターの均一な分散を達成することができる。クラスターは3〜4マクロメートルの平均直径および15〜20マイクロメートルの平均距離を示す。磁気コーティングされたナノ粒子を瀝青複合材料中に埋め込むことによって、以下で記載するように、外部交番磁界によって瀝青を数秒で均一に加熱することが可能になる。
熱活性化
【0047】
本発明はまた、交番磁界を印加することによって、瀝青複合材料中の埋め込まれた磁気コーティングナノ粒子を熱により活性化する方法も含む。このようにして達成された瀝青バインダー粘度の一時的な低下は、バインダーとグリッドまたは鉱物骨材のような材料成分との間の接着を再活性化することによって舗装における微小亀裂のヒーリングを促進する。
活性化法/粘度の修飾
【0048】
瀝青複合材料中の瀝青バインダーの粘度を低下させるために磁気コーティングされたナノ粒子を活性化する方法を以下で開示する。
【0049】
従来の瀝青複合材料(我々が本明細書中で提示する瀝青バインダーを含まない)中の瀝青バインダーと鉱物骨材との間の亀裂または剥離を充填または接着しなければならない場合、添加剤と磁気コーティングされたナノ粒子を含んでなる瀝青複合材料を、舗装道路の亀裂中および/または従来型アスファルトにおける微小亀裂に適用しなければならない。我々が対象とする微小亀裂は、数マイクロメートルから数センチメートルの長さまたは幅の範囲である。
【0050】
既にナノ粒子を含んでなる瀝青複合材料(例えば舗装)中の接着性または凝集性亀裂の場合、以下のステップ(I)で記載するように活性化を直接適用することができる。
【0051】
(I)交番磁界の印加
【0052】
瀝青複合材料内の磁気コーティングされたナノ粒子から熱が発生するように交番磁界を適用すると、瀝青複合材料の温度の上昇に至る。例えば、0.1〜1MHzの範囲内、好ましくは0.3kHzの周波数と10〜100〜30mTの範囲内の振幅の交番磁界を、磁気コーティングされたナノ粒子を含有する瀝青複合材料に印加することで、数秒で充分な熱を発生させて、瀝青を流動させることができる。構造中で得られた温度は、赤外線撮像技術を用いてモニターすることができる。温度は、瀝青が流動できる温度以上(典型的には、瀝青バインダーの種類に応じて30℃〜200℃である)および瀝青が損傷を受け得る温度以下で充分長く維持されなければならない。
【0053】
(II)交番磁界の除去。
【0054】
瀝青バインダーを表面に接着させるかまたは亀裂を充填させことを可能にするために充分長く高温を維持した後、交番磁界を次いで除去する。
【0055】
一例として、実際の加熱測定は、30mTの磁場について285kHzを発生させる交番磁界を使用して実施することができる。サンプルを銅コイル(φ50mm、3回転)に挿入し、次いで20秒間加熱する。放出されるIR放射を測定する赤外線カメラを用いてサンプル表面温度を記録する。経時的な温度上昇を図2に表示する。
亀裂のヒーリングの工業的応用
【0056】
道路規模での交番磁界の使用の実行可能性に関して、アスファルト舗装を除去するために設計されたセットアップが市販されている。国際公開第200711102号パンフレット。この技術は、橋梁上の鋼板を加熱して瀝青層を剥離させることを可能にする。同様のセットアップを瀝青複合材料に埋め込まれた磁気添加剤の加熱に適合させることができる。
【0057】
我々の場合で典型的には、我々は、様々な道路層の最上層に存在する亀裂および剥離のヒーリングを目的とし、これは厚さ7センチメートル以下を意味する。その結果、場の減衰の影響は限定されなければならない。
【0058】
舗装ヒーリング適用に加えて、瀝青複合材料における瀝青バインダー粘度の「オンデマンド」温度に誘発される低下により多重効果の誘発が可能になる。例えば、それは、構造要素(例えば、コンクリートから作製)へ瀝青接合シーリングを取り付けること、または防水層を基体に接着することのような、瀝青複合材料の異なる表面への接着を促進できる。
【0059】
防水層は、建物構造と水との間のバリヤとして機能するために用いられる。膜の1つまたは様々な層を適用することで水が浸潤するのを防止する。典型的には、瀝青系膜はポリマー修飾瀝青を含有し、炎または熱風を用いて瀝青を溶融させることによって基体にシールする。方法に応じて、温度は400℃またはさらには800℃に達する可能性があり、瀝青微細構造の損傷に至る可能性がある。しかしながら、本願で記載する磁気ナノ粒子および交番磁界の組み合わせを使用して瀝青膜を徐々に加熱することにより、膜は過熱に関連する悪影響なしに特定の温度に到達できる。
【0060】
コーティングされた磁気ナノ粒子は、瀝青エマルジョンを破壊するためのトリガーとして使用することもできる。瀝青エマルジョンは、乳化剤を使用することによって分散させた水中瀝青の小さな液滴の分散液である。それらは概してメンテナンスのために使用され、高温を必要としない。エマルジョン中の瀝青からの水の分離はブレーキングと称する。このステップの後、瀝青部分は接着性および耐水性になる。ブレーキングを制御するために、酸化鉄でコーティングされたナノ粒子を瀝青滴中に組み入れることができる。交番磁界を利用してナノ粒子を加熱することによって、ブレーキングは全材料を通して即時に活性化される。大きな添加剤とは正反対に、ナノ粒子は小さなサイズおよび濃度のためにエマルジョン粘度の影響を及ぼさない。さらに、それらは、ピッカリングエマルジョンの原理と同様に、安定剤として使用することもできる。実際、それらは帯電し得るので、それらは水と瀝青との界面で瀝青滴と相互作用する。
【0061】
そのようなコーティングされた磁気ナノ粒子を使用して、発泡した瀝青の膨張を制御することもできる。発泡瀝青は、空気、水および瀝青の混合物からなる。それは膨張チャンバ−内で製造され、チャンバでは、少量の水を熱時瀝青に注入する。瀝青はそのもとの体積の5〜15倍まで膨張し、発泡体を形成する。この発泡体は鉱物骨材の表面を少量の瀝青で湿潤させコーティングするのに特に有用である。発泡体の膨張時間は制御されるべき重要なパラメータである。磁気コーティングされたナノ粒子を添加することによって、交番磁界でナノ粒子を活性化/不活化することにより、膨張時間を調節することができる。コーティングされた磁気ナノ粒子が発熱を開始すると、気泡が消失し始める。ここでも、他の添加剤とは逆に、重力のナノ粒子に対する影響は無視でき、したがってナノ粒子は気泡間の界面に位置することができる。ナノ粒子はまた、発泡中の安定剤として使用することもでき、それにより、周囲を局所的に加熱することによる膨張を停止することができる。
図1
図2
【国際調査報告】