特表2018-523908(P2018-523908A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-523908(P2018-523908A)
(43)【公表日】2018年8月23日
(54)【発明の名称】セラミック発熱体
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/18 20060101AFI20180727BHJP
   H05B 3/28 20060101ALI20180727BHJP
【FI】
   H05B3/18
   H05B3/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-528371(P2018-528371)
(86)(22)【出願日】2016年8月16日
(85)【翻訳文提出日】2018年2月21日
(86)【国際出願番号】CN2016095420
(87)【国際公開番号】WO2017032234
(87)【国際公開日】20170302
(31)【優先権主張番号】201510518736.2
(32)【優先日】2015年8月21日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】518060538
【氏名又は名称】チョンチン リ−マーク セラミック テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CHONGQING LE−MARK CERAMIC TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】リー,ピーター
【テーマコード(参考)】
3K034
3K092
【Fターム(参考)】
3K034AA04
3K034BC22
3K034BC23
3K034CA32
3K092QA01
3K092QB03
3K092QC25
(57)【要約】
セラミック発熱体が開示される。このセラミック発熱体は、絶縁層によって完全に覆われている。このセラミック発熱体は、使用または組み込みの際の短絡を防止することができる。このセラミック発熱体は強度が高められ、耐衝撃性が向上している。このセラミック発熱体は寿命が長く、また電源を入れたままにできる時間が長い。さらに、工程が簡略化され、構造が単純であり、コストが低い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層によって完全に覆われているセラミック発熱体。
【請求項2】
少なくとも2つの層を有する、請求項1に記載のセラミック発熱体。
【請求項3】
5つの層を有する、請求項2に記載のセラミック発熱体。
【請求項4】
内側から外側へ順に、内側導電層(1)、内側絶縁層(2)、外側抵抗層(3)、外側導電層(4)、および外側絶縁層(5)を有する、請求項3に記載のセラミック発熱体。
【請求項5】
内側導電層(1)がセラミック発熱体の中心に配置され;内側絶縁層(2)が内側導電層(1)の外側を覆い、内側絶縁層(2)が2つのセグメントに分けられ、その下部セグメントの外周が上部セグメントの外周よりも大きく;外側抵抗層(3)が内側絶縁層(2)の上部の外側を覆い、外側抵抗層(3)が2つのセグメントに分けられ、その下部セグメントの外周が上部セグメントの外周よりも小さく、外側抵抗層(3)の上部セグメントの外周が内側絶縁層(2)の下部セグメントの外周よりも小さく;外側導電層(4)が外側抵抗層(3)の下部セグメントの外側を覆い、外側導電層(4)が2つのセグメントに分けられ、その下部セグメントの外周が内側絶縁層(2)の下部セグメントの外周と等しく、その上部セグメントの外周が外側抵抗層(3)の上部セグメントの外周と等しく;外側絶縁層(5)が外側導電層(4)の上部セグメントおよび外側抵抗層(3)の上部セグメントの外側を覆い、外側絶縁層(5)の外周が外側導電層(4)の下部セグメントの外周と等しく;内側導電層(1)の下部は中心電極部(7)を有し、内側絶縁層(2)の上端部が接続穴(8)を有し、外側導電層(4)の下部の外側はサイド電極接続部(9)である、請求項4に記載のセラミック発熱体。
【請求項6】
6つの層を有する、請求項2に記載のセラミック発熱体。
【請求項7】
内側から外側へ順に、内側導電層(1)、内側抵抗層(6)、内側絶縁層(2)、外側抵抗層(3)、外側導電層(4)、および外側絶縁層(5)を有する、請求項6に記載のセラミック発熱体。
【請求項8】
内側導電層(1)がセラミック発熱体の中心に配置され;内側抵抗層(6)が内側導電層(1)の外側を覆い;内側絶縁層(2)が内側抵抗層(6)の外側を覆い、内側絶縁層(2)が2つのセグメントに分けられ、その下部セグメントの外周が上部セグメントの外周よりも大きく;外側抵抗層(3)が内側絶縁層(2)の上部の外側を覆い、外側抵抗層(3)が2つのセグメントに分けられ、その下部セグメントの外周が上部セグメントの外周よりも小さく、外側抵抗層(3)の上部セグメントの外周が内側絶縁層(2)の下部セグメントの外周よりも小さく;外側導電層(4)が外側抵抗層(3)の下部セグメントの外側を覆い、外側導電層(4)が2つのセグメントに分けられ、その下部セグメントの外周が内側絶縁層(2)の下部セグメントの外周と等しく、その上部セグメントの外周が外側抵抗層(6)の上部セグメントの外周と等しく;外側絶縁層(5)が外側導電層(4)の上部セグメントおよび外側抵抗層(3)の上部セグメントの外側を覆い、外側絶縁層(5)の外周が外側導電層(4)の下部セグメントの外周と等しく;内側導電層(1)の下部は中心電極部(7)を有し、内側抵抗層(6)の上端部が接続穴(8)を有し、外側導電層(4)の下部の外側はサイド電極接続部(9)である、請求項7に記載のセラミック発熱体。
【請求項9】
4つの層を有する、請求項2に記載のセラミック発熱体。
【請求項10】
内側から外側へ順に、内側導電層(1)、内側絶縁層(2)、抵抗層(11)、および外側絶縁層(5)を有する、請求項9に記載のセラミック発熱体。
【請求項11】
内側導電層(1)がセラミック発熱体の中心に配置され;内側絶縁層(2)が内側導電層(1)の外側を覆い、内側絶縁層(2)が2つのセグメントに分けられ、その下部セグメントの外周が上部セグメントの外周よりも大きく;抵抗層(11)が内側絶縁層(2)の上部の外側を覆い、抵抗層(11)が2つのセグメントに分けられ、その上部セグメントの外周が下部セグメントの外周よりも小さく、抵抗層(11)の下部セグメントの外周が内側絶縁層(2)の下部セグメントの外周と等しく;外側絶縁層(5)が抵抗層(11)の上部セグメントの外側を覆い、外側絶縁層(5)の外周が抵抗層(11)の下部セグメントの外周と等しく;内側導電層(1)の下部は中心電極部(7)を有し、内側抵抗層(11)の上端部が接続穴(8)を有し、抵抗層(11)の下部の外側はサイド電極接続部(9)である、請求項10に記載のセラミック発熱体。
【請求項12】
中心電極部(7)が中実である、請求項5、8、または11に記載のセラミック発熱体。
【請求項13】
円柱体または扁平形状体である、請求項1〜11のいずれかに記載のセラミック発熱体。
【請求項14】
円柱体または扁平形状体である、請求項12に記載のセラミック発熱体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発熱体に関し、特にセラミック発熱体に関する。
【背景技術】
【0002】
既存のセラミック発熱体は、迅速な起動および高温に関しては有利であるが、耐衝撃性が低いこと、外側導電層と内側導電層の下端の距離が近いこと、望まぬ接続が起こり易いこと、および加工の工数が多いこと等の欠点がある。
【0003】
上記の問題を解決するために、中国特許第100496169号では、完全にセラミックでできた6層構造の発熱体が開示され、「完全にセラミックでできた6層構造の発熱体は、内側導電層、内側抵抗層、内側絶縁層、外側抵抗層、外側導電層、外側絶縁層、および中心電極ソケットを含み;内側導電層は発熱体の中心に位置し、中心電極ソケットは内側導電層の底端部の中心に位置し;内側抵抗層は2つのセグメントに分けられ、その下部セグメントの外径は上部セグメントの外径よりも大きく、内側抵抗層の下部セグメントは内側導電層の外側を覆い;内側絶縁層は3つのセグメントに分けられ、その中間セグメントの外径は上部セグメントの外径よりも大きく、下部セグメントの外径は中間セグメントの外径よりも大きく、内側絶縁層の上部セグメントは内側抵抗層の上部セグメントの外側を覆い、内側絶縁層の中間セグメントおよび下部セグメントは内側抵抗層の下部セグメントの外側を覆い;外側抵抗層は2つのセグメントに分けられ、その上部セグメントは内側絶縁層の上部セグメントの外側を覆い、外側抵抗層の下部セグメントは外部の内側絶縁層の中間セグメントの外側を覆い、外側抵抗層の下部セグメントの外径は内側絶縁層の下部セグメントの外径よりも小さく;内側絶縁層の上部セグメントの最上部には接続穴があり、外側抵抗層の素材の一部が内側抵抗層の素材の一部と接続穴において接続され;外側導電層は外側抵抗層の下部セグメントの外側を覆い、外側導電層は2つのセグメントに分けられ、その下部セグメントの外径は内側絶縁層の下部セグメントの外径と等しく、外側導電層の上部セグメントの外径は外側導電層の下部セグメントの外径よりも小さく、外側導電層の下部セグメントはサイド電極接続部であり;外側絶縁層は外側導電層の上部セグメントの外側を覆う」と記載されている。図1を参照のこと。
【0004】
当業者は、上記特許文書により提供された技術的解決法に従って作製されたセラミック6層発熱体を使用し、該セラミック6層発熱体に以下の欠点があることを見出した。
1.組み込みおよび使用に際し、該セラミック6層発熱体は金属素材と重なり易く、その結果短絡が発生する。
2.長期間使用すると、酸化および炭素の沈着が生じる。
3.強度が不十分であり、耐衝撃性が未だ要件を満たさない。
4.製造および使用の過程で外面に微小なクラックが生じ易く、外観品質が低下する。
5.中心電極が溶接されている箇所の耐熱性が低いため、長時間製品の電源を入れたままにすると、製品寿命に深刻な影響を与える。
6.発熱体の表面に多くの欠陥がある。
7.電源を入れたままにできる1回あたりの持続時間が短い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、短絡を防止することができ、強度の高いセラミック発熱体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、絶縁層によって完全に覆われたセラミック発熱体によって達成される。既存のセラミック発熱体に関して言えば、組み込みおよび使用の過程で金属と重なることによる短絡がしばしば発生し、また長時間の使用後、セラミック発熱体の表面に炭素が沈着し、その結果発熱体の短絡が生じることとなる。既存のセラミック発熱体を絶縁層で完全に覆うことによって、上記の現象の発生を防止し、セラミック発熱体の強度を高めて耐衝撃性を向上させ、かつ発熱体の発熱層をその表面に存在する空気から隔離することで表面の欠陥を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】既存のセラミック発熱体の構造を示す。
図2】実施例1の内部構造を示す。
図3】実施例2の内部構造を示す。
図4】実施例3の内部構造を示す。
図5】実施例5の内部構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
セラミック発熱体の適合性をさらに改善するために、セラミック発熱体は少なくとも2つの層を有する。
【0009】
さらにセラミック発熱体の温度領域を広げ、パワーを高めるために、セラミック発熱体は5つの層を有する。
【0010】
セラミック発熱体の機能をさらに強化し、発熱体の表面をより緻密なものとするために、セラミック発熱体は内側から外側へ順に、内側導電層、内側絶縁層、外側抵抗層、外側導電層、および外側絶縁層を有する。
【0011】
セラミック発熱体の構造をさらに最適化するために、内側導電層はセラミック発熱体の中心に配置され;内側絶縁層は内側導電層の外側を覆い、内側絶縁層は2つのセグメントに分けられ、下部セグメントの外周は上部セグメントの外周よりも大きく;外側抵抗層は内側絶縁層の上部の外側を覆い、外側抵抗層は2つのセグメントに分けられ、その下部セグメントの外周は上部セグメントの外周よりも小さく;外側抵抗層の上部セグメントの外周は内側絶縁層の下部セグメントの外周よりも小さく、外側導電層は外側抵抗層の下部セグメントの外側を覆い、外側導電層は2つのセグメントに分けられ、その下部セグメントの外周は内側絶縁層の下部セグメントの外周と等しく、その上部セグメントの外周は外側抵抗層の上部セグメントの外周と等しく;外側絶縁層は、外側導電層の上部セグメントおよび外側抵抗層の上部セグメントの外側を覆い、外側絶縁層の外周は外側導電層の下部セグメントの外周と等しく;内側導電層の下部は中心電極部を有し、内側絶縁層の上端部は接続穴を有し、外側導電層の下部の外側はサイド電極接続部9である。
【0012】
さらに発熱体の起動および加熱を迅速なものとするために、セラミック発熱体は6つの層を有する。
【0013】
セラミック発熱体の機能をさらに強化するために、セラミック発熱体は内側から外側へ順に、内側導電層、内側抵抗層、内側絶縁層、外側抵抗層、外側導電層、および外側絶縁層を有する。
【0014】
セラミック発熱体の強度をさらに高めて迅速な起動を可能とするために、内側導電層はセラミック発熱体の中心に配置され;内側抵抗層は内側導電層の外側を覆い;内側絶縁層は内側抵抗層の外側を覆い、内側絶縁層は2つのセグメントに分けられ、下部セグメントの外周は上部セグメントの外周よりも大きく;外側抵抗層は内側絶縁層の上部の外側を覆い、外側抵抗層は2つのセグメントに分けられ、その下部セグメントの外周は上部セグメントの外周よりも小さく、外側抵抗層の上部セグメントの外周は内側絶縁層の下部セグメントの外周よりも小さく;外側導電層は外側抵抗層の下部セグメントの外側を覆い、外側導電層は2つのセグメントに分けられ、その下部セグメントの外周は内側絶縁層の下部セグメントの外周と等しく;その上部セグメントの外周は外側抵抗層の上部セグメントの外周と等しく;外側絶縁層は、外側導電層の上部セグメントおよび外側抵抗層の上部セグメントの外側を覆い、外側絶縁層の外周は外側導電層の下部セグメントの外周と等しく;内側導電層の下部は中心電極部を有し、内側抵抗層の上端部は接続穴を有し、外側導電層の下部の外側はサイド電極接続部である。
【0015】
セラミック発熱体の構造をさらに簡略化するためには、セラミック発熱体を4層とする。そのような配置により、材料を節約してコストを下げることもできる。
【0016】
本セラミック発熱体の機能をさらに強化するために、セラミック発熱体は内側から外側へ順に、内側導電層、内側絶縁層、抵抗層、および外側絶縁層を有する。
【0017】
セラミック発熱体の構造をさらに最適化するために、内側導電層はセラミック発熱体の中心に配置され;内側絶縁層は内側導電層の外側を覆い、内側絶縁層は2つのセグメントに分けられ、下部セグメントの外周は上部セグメントの外周よりも大きく;抵抗層は内側絶縁層の上部の外側を覆い、抵抗層は2つのセグメントに分けられ、その上部セグメントの外周は下部セグメントの外周よりも小さく、抵抗層の下部セグメントの外周は内側絶縁層の下部セグメントの外周と等しく;外側絶縁層は、抵抗層の上部セグメントの外側を覆い、外側絶縁層の外周は抵抗層の下部セグメントの外周と等しく;内側導電層の下部は中心電極部を有し、抵抗層の上端部は接続穴を有し、抵抗層の下部の外側はサイド電極接続部である。
【0018】
さらにセラミック発熱体の寿命を改善し、かつその表面の欠陥を低減させるために、中心電極部は中実となっている。既存のセラミック発熱体では、中心電極部にはV形ソケットがあり、導電性セラミック電極はこのV形ソケットに差し込まれる。しかしながら、そのようなセラミック発熱体は、作動中に導電性セラミック電極が熱を発して膨張し、セラミック発熱体に微小なクラックが形成され、寿命が短くなる。さらに、長時間電源を入れたままにすると、内部にある中心電極の溶接部が損なわれ、製品に破断が生じて寿命に影響が出ることとなる。中心電極部が中実となる構成とし、導電性セラミック電極を中心電極部に溶接することで、熱の発生および導電性セラミック電極の膨張に起因する、セラミック発熱体における微小クラックの形成の防止;セラミック体内部の損傷の防止およびそれによるセラミック発熱体寿命の改善;ならびに溶接過程におけるセラミック体内部の損傷の防止および発熱体表面の欠陥の低減が達成できる。
【0019】
セラミック発熱体の構造をさらに最適化するためには、セラミック発熱体を円柱体または扁平形状体とする。このような配置により、セラミック発熱体の製造工程および構造を簡略化できる。
【0020】
本発明によるセラミック発熱体を利用することにより、以下の有益な効果が得られる。
1.このセラミック発熱体は、使用または組み込みの際の短絡を防止することができる。
セラミック発熱体の外側を絶縁層で完全に覆うことによって、組み込みまたは使用の過程においてセラミック発熱体が金属と重なることによって生じる短絡を防止することができ、長時間使用した後にセラミック体の表面に炭素が沈着することによって生じる短絡も防止できる。
2.セラミック発熱体の強度が改善され、耐衝撃性が高められる。
セラミック発熱体の表面が絶縁層によって完全に覆われていない場合、強度は10〜20kgであり、耐衝撃性は低く、絶縁容量はゼロである。これに対し、セラミック発熱体の表面が絶縁層によって完全に覆われている場合、強度は25〜45kg、耐衝撃性は良好であり、絶縁容量は2000Ω以上である。
3.セラミック発熱体の寿命が改善される。
中心電極部が中実となる構成とし、導電性セラミック電極を中心電極部に溶接することで、熱の発生および導電性セラミック電極の膨張に起因するセラミック発熱体における微小クラックの形成を防止することができ、セラミック体内部の損傷を防止することもでき、セラミック発熱体の寿命を改善できる。導電性セラミック電極が中心電極部でV形ソケットに差し込まれている既存のセラミック発熱体が故障するまでの平均寿命は10,000〜20,000スイッチングサイクルであり、本発明によるセラミック発熱体が故障するまでの平均寿命は、25,000〜40,000スイッチングサイクルである。
4.セラミック発熱体の電源を入れたままにできる時間が長くなる。
既存のセラミック発熱体の電源を入れたままにできる1回あたりの持続時間は数秒〜数十秒であるが、本発明によるセラミック発熱体電源を入れたままにできる1回あたりの持続時間は1〜8分である。
5.工程が簡略化され、構造が単純になり、コストが下がる。
【0021】
本発明は、添付図面に示す実施例を通じて以下で紹介されるが、本発明は紹介される実施形態に限定されず、それらの実施例の主旨に基づいてなされる改良や置き換えもまた、本発明の請求項で請求される範囲に属するものである。
【実施例】
【0022】
実施例1:
図2に示すセラミック発熱体において、セラミック発熱体は2層のセラミック発熱体であり、内側抵抗層1を含み、セラミック発熱体は外側絶縁層5によって完全に覆われ、セラミック発熱体の両端部に導電性カバー10が備えられている。
【0023】
この実施例のセラミック発熱体を利用することで、組み込みまたは使用の過程においてセラミック発熱体が金属と重なることによって生じる短絡を防止することができ、長時間使用した後にセラミック発熱体の表面に炭素が沈着することによって生じる短絡も防止できる。さらに、このセラミック発熱体は、高強度、長寿命、かつ電源を入れたままにできる1回あたりの持続時間も長いという点で有利である。
【0024】
この実施例のセラミック発熱体は円柱体であり、強度25kg、故障するまでの寿命は25,000スイッチングサイクル、また電源を入れたままにできる1回あたりの持続時間は最長1.2分である。
【0025】
実施例2:
図3に示すセラミック発熱体において、セラミック発熱体は絶縁層によって完全に覆われている。このセラミック発熱体は6つの層を有し、内側から外側へ順に、内側導電層1、内側抵抗層6、内側絶縁層2、外側抵抗層3、外側導電層4、および外側絶縁層5を有する。
【0026】
この実施例のセラミック発熱体は円柱体であり、内側導電層1はセラミック発熱体の中心に配置され;内側抵抗層6は内側導電層1の外側を覆い;内側絶縁層2は内側導電層6の外側を覆い、内側絶縁層2は2つのセグメントに分けられ、下部セグメントの直径は上部セグメントの直径よりも大きく;外側抵抗層3は内側絶縁層2の上部の外側を覆い、外側抵抗層3は2つのセグメントに分けられ、その下部セグメントの直径は上部セグメントの直径よりも小さく、外側抵抗層3の上部セグメントの直径は内側絶縁層2の下部セグメントの直径よりも小さく;外側導電層4は外側抵抗層3の下部セグメントの外側を覆い、外側導電層4は2つのセグメントに分けられ、その下部セグメントの直径は内側絶縁層2の下部セグメントの直径と等しく、その上部セグメントの直径は外側抵抗層3の上部セグメントの直径と等しく;外側絶縁層5は、外側導電層4の上部セグメントおよび外側抵抗層3の上部セグメントの外側を覆い、外側絶縁層5の直径は外側導電層4の下部セグメントの直径と等しく;内側導電層1の下部は中心電極部7を有し、内側抵抗層6の上端部は接続穴8を有し、外側導電層4の下部の外側はサイド電極接続部9である。中心電極部7は中実である。
【0027】
この実施例のセラミック発熱体を利用することで、迅速な起動および迅速な加熱が可能となり、組み込みまたは使用の過程においてセラミック発熱体が金属と重なることによって生じる短絡を防止することができ、長時間使用した後にセラミック発熱体の表面に炭素が沈着することによって生じる短絡も防止できる。さらに、このセラミック発熱体は、高強度、長寿命、かつ電源を入れたままにできる1回あたりの持続時間も長いという点で有利である。
【0028】
この実施例のセラミック発熱体は、強度45kg、故障するまでの寿命は40,000スイッチングサイクル、また電源を入れたままにできる1回あたりの持続時間は最長8分である。
【0029】
実施例3:
図4に示すセラミック発熱体において、セラミック発熱体は絶縁層によって完全に覆われている。このセラミック発熱体は5つの層を有し、内側から外側へ順に、内側導電層1、内側絶縁層2、外側抵抗層3、外側導電層4、および外側絶縁層5を有する。
【0030】
この実施例のセラミック発熱体は扁平形状体であり、内側導電層1はセラミック発熱体の中心に配置され;内側絶縁層2は内側導電層1の外側を覆い、内側絶縁層2は2つのセグメントに分けられ、下部セグメントの外周は上部セグメントの外周よりも大きく;外側抵抗層3は内側絶縁層2の上部の外側を覆い、外側抵抗層3は2つのセグメントに分けられ、その下部セグメントの外周は上部セグメントの外周よりも小さく;外側抵抗層3の上部セグメントの外周は内側絶縁層2の下部セグメントの外周よりも小さく;外側導電層4は外側抵抗層3の下部セグメントの外側を覆い、外側導電層4は2つのセグメントに分けられ、その下部セグメントの外周は内側絶縁層2の下部セグメントの外周と等しく、その上部セグメントの外周は外側抵抗層3の上部セグメントの外周と等しく;外側絶縁層5は外側導電層4の上部セグメントおよび外側抵抗層3の上部セグメントの外側を覆い、外側絶縁層5の外周は外側導電層4の下部セグメントの外周と等しく;内側導電層1の下部は中心電極部7を有し、内側絶縁層2の上端部は接続穴8を有し、外側導電層4の下部の外側はサイド電極接続部9である。中心電極部7は中実であり、このセラミック発熱体は円柱体である。
【0031】
この実施例のセラミック発熱体を利用することで、組み込みまたは使用の過程においてセラミック発熱体が金属と重なることによって生じる短絡を防止することができ、長時間使用した後にセラミック発熱体の表面に炭素が沈着することによって生じる短絡も防止できる。さらに、このセラミック発熱体は、高強度かつ長寿という点で有利である。さらに、この実施例は、製造工程が簡略化され構造も簡単であるという点で有利である。
【0032】
この実施例のセラミック発熱体は、強度35kg、故障するまでの寿命は30,000スイッチングサイクル、また電源を入れたままにできる1回あたりの持続時間は最長6分である。
【0033】
実施例4:
図5に示すセラミック発熱体において、セラミック発熱体は絶縁層によって完全に覆われている。
【0034】
このセラミック発熱体は4つの層を有し、内側から外側へ順に、内側導電層1、内側絶縁層2、抵抗層11、および外側絶縁層5を有する。
【0035】
この実施例のセラミック発熱体は扁平形状体であり、内側導電層1はセラミック発熱体の中心に配置され;内側絶縁層2は内側導電層1の外側を覆い、内側絶縁層2は2つのセグメントに分けられ、下部セグメントの外周は上部セグメントの外周よりも大きく;抵抗層11は内側絶縁層2の上部の外側を覆い、抵抗層11は2つのセグメントに分割され、その上部セグメントの外周は下部セグメントの外周よりも小さく、抵抗層11の下部セグメントの外周は内側絶縁層2の下部セグメントの外周と等しく;外側絶縁層5は抵抗層11の上部セグメントの外側を覆い、外側絶縁層5の外周は抵抗層11の下部セグメントの外周と等しく;内側導電層1の下部は中心電極部7を有し、抵抗層11の上端部は接続穴8を有し、外側抵抗層11の下部の外側はサイド電極接続部9である。
【0036】
この実施例のセラミック発熱体を利用することで、組み込みまたは使用の過程においてセラミック発熱体が金属と重なることによって生じる短絡を防止することができ、長時間使用した後にセラミック発熱体の表面に炭素が沈着することによって生じる短絡も防止できる。さらに、このセラミック発熱体は、高強度かつ長寿という点で有利である。さらに、この実施例は、製造工程が簡略化されコストが低いという点で有利である。
【0037】
この実施例のセラミック発熱体は、強度30kg、故障するまでの寿命は30,000スイッチングサイクル、また電源を入れたままにできる1回あたりの持続時間は最長5分である。
【符号の説明】
【0038】
1.内側導電層
2.内側絶縁層
3.外側抵抗層
4.外側導電層
5.外側絶縁層
6.内側抵抗層
7.中心電極部
8.接続穴
9.サイド電極接続部
10.導電性カバー
11.抵抗層
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】