特表2018-524587(P2018-524587A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-524587目的物を検出するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-524587(P2018-524587A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(54)【発明の名称】目的物を検出するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/10 20060101AFI20180803BHJP
   G01N 27/72 20060101ALI20180803BHJP
【FI】
   G01V3/10 F
   G01N27/72
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-566853(P2017-566853)
(86)(22)【出願日】2016年6月17日
(85)【翻訳文提出日】2018年2月1日
(86)【国際出願番号】EP2016064013
(87)【国際公開番号】WO2016207073
(87)【国際公開日】20161229
(31)【優先権主張番号】102015211551.8
(32)【優先日】2015年6月23日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】517288874
【氏名又は名称】ズィルコン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】ZIRCON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】ライメ、ゲルト
【テーマコード(参考)】
2G053
2G105
【Fターム(参考)】
2G053BA02
2G053BA13
2G053BA14
2G053BC02
2G053BC14
2G053CA03
2G053CA18
2G053DA01
2G053DA09
2G053DA10
2G053DB02
2G105AA01
2G105BB05
2G105DD02
2G105EE01
2G105HH04
(57)【要約】
【課題】物体の背後に隠れた格子状目的物の検出の際に生じ得る評価エラーを抑制又は阻止すること。
【解決手段】電磁放射に対し透過性の物体(12)の背後に配置された目的物(9.1)を検出する装置。該装置は、第1送信コイル(1.1)及び第1送信コイルに対し直角に配置された第1受信コイル(2.1)を有するコイルアレンジメント、但し、コイルアレンジメントは、該装置と物体(12)の間の相対運動時に目的物(9.1)を検出するセンサを形成し、及び、少なくとも1つの送信コイル(1.1)の制御のための及びセンサの出力信号の評価のための制御回路を有する。コイルアレンジメントは、第1送信コイル(1.1)及び少なくとも1つの更なる送信コイル(1.2、1.3、1.4)と、第1受信コイル(2.1)及び少なくとも1つの更なる受信コイル(2.2、2.3、2.4)を含み、第1送信コイル(1.1)の軸(1.5)と少なくとも1つの更なる送信コイル(1.2)の軸(1.6)は互いに対し直角に配されており、第1送信コイル(1.1)及び少なくとも1つの更なる送信コイル(1.2)の軸(1.5、1.6)は第1受信コイル(2.1)の軸(2.5)と直角に交差している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁放射に対し透過性の物体(12)の背後に配置された目的物(9.1)を検出する装置であって、
該装置は、
・第1送信コイル(1.1)及び第1送信コイルに対し直角に配置された第1受信コイル(2.1)を有するコイルアレンジメント、
・但し、コイルアレンジメントは、該装置と物体(12)の間の相対運動時に目的物(9.1)を検出するセンサを形成し、及び、
・少なくとも1つの送信コイル(1.1)の制御のための及びセンサの出力信号の評価のための制御回路
を有し、
・コイルアレンジメントは、第1送信コイル(1.1)及び少なくとも1つの更なる送信コイル(1.2、1.3、1.4)と、第1受信コイル(2.1)及び少なくとも1つの更なる受信コイル(2.2、2.3、2.4)を含み、
・第1送信コイル(1.1)の軸(1.5)と少なくとも1つの更なる送信コイル(1.2)の軸(1.6)は互いに対し直角に配されており、
・第1送信コイル(1.1)及び少なくとも1つの更なる送信コイル(1.2)の軸(1.5、1.6)は第1受信コイル(2.1)の軸(2.5)と直角に交差している、
装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
第1受信コイル(1.1)及び少なくとも1つの更なる送信コイル(1.2)の軸(1.5、1.6)は第1受信コイル(2.1)の軸(2.5)と1つの点で交差している、
装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置において、
送信コイル(1.1、1.2)の軸(1.5、1.6)は、受信コイル(2.1、2.2、2.3、2.4)が配置されている面に位置する、
装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の装置において、
少なくとも1つの更なる送信コイル(1.2)と第1受信コイル(2.1)の間の距離は、第1送信コイル(1.1)と第1受信コイル(2.1)の間の距離と同じ大きさである、
装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の装置において、
その原点が第1受信コイル(2.1)と更なる受信コイル(2.2、2.3、2.4)の間の中心に位置しかつそのZ軸が検出されるべき目的物(9.1)の方向を指向する直交座標系において、受信コイル(2.1、2.2、2.3、2.4)はXY平面に位置し、他方、複数の送信コイルの少なくとも1つ(1.1)はXZ平面に位置しかつ複数の送信コイルの少なくとも他の1つはYZ平面に位置する、
装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の装置において、
少なくとも1つの共振コンデンサ(3.1)が、第1受信コイル(2.1)に対し並列にかつ少なくとも1つの更なる受信コイル(2.2、2.3、2.4)に対し並列に接続されており、
該少なくとも1つの共振コンデンサ(3.1)は、これらの受信コイル(2.1、2.2、2.3、2.4)と共に振動回路を形成する、
装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の装置において、
コイルアレンジメントは、第1送信コイル(1.1)及び少なくとも1つの更なる送信コイル(1.2)と第1受信コイル(2.1)及び少なくとも1つの更なる受信コイル(2.2、2.3、2.4)を含む第1コンフィギュレーションと、少なくとも1つの第3送信コイル(1.3)及び第4送信コイル(1.4)と第1受信コイル(2.1)及び少なくとも1つの更なる受信コイル(2.2、2.3、2.4)を含む第2コンフィギュレーションを有し、
第3及び第4送信コイル(1.3、1.4)の軸(1.7、1.8)と第1送信コイル(1.1)の軸(1.5)は1つの面に位置し、
制御回路は、測定信号(8.3)のために、第1コンフィギュレーションの振幅推移(8.1)と第2コンフィギュレーションの振幅推移(8.2)を加算するよう構成かつ適合化されており、これらの振幅推移(8.1、8.2)は夫々該装置と物体(12)の間の相対運動時にセンサの進路(x)に沿って生成する、
装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、
コイルアレンジメントは、少なくとも2つの更なる受信コイル、即ち第3受信コイル(2.2)及び第4受信コイル(2.4)を有し、
コイルアレンジメントは、少なくとも1つの更なる送信コイル(1.2)及び第3送信コイル(1.3)と第3受信コイル(2.2)及び第4受信コイル(2.4)を含む第3コンフィギュレーションと、第1送信コイル(1.1)及び第4送信コイル(1.4)と第3受信コイル(2.2)及び第4受信コイル(2.4)を含む第4コンフィギュレーションを有し、
第1、第3及び第4送信コイル(1.1、1.3、1.4)の軸(1.5、1.7、1.8)は1つの面に位置し、
制御回路は、前記進路を2次元的に評価するよう構成かつ適合化されている、
装置。
【請求項9】
電磁放射に対し透過性の物体(12)の背後に配置された目的物(9.1)の検出方法であって、
第1送信コイル(1.1)及び第1送信コイルに対し直角に配置された第1受信コイル(2.1)を有するコイルアレンジメントが設けられ、
コイルアレンジメントは、検出装置と物体(12)の間の相対運動時に目的物を検出するセンサを形成し、
少なくとも1つの送信コイル(1.1)が信号によって制御され、この信号によって影響を受けるセンサの出力信号が評価され、
第1送信コイル(1.1)と少なくとも1つの更なる送信コイル(1.2、1.4)は互いに対し直角に配置されておりかつ周期的な交流電圧信号(5.1、5.2)によって駆動され、
第1送信コイル(1.1)及び少なくとも1つの更なる送信コイル(1.2、1.4)の軸(1.5、1.6、1.8)は第1受信コイル(2.1)及び少なくとも1つの更なる受信コイル(2.2、2.4)の面に位置し、
周期的な交流信号のためにこれらの送信コイルから送出される電磁界は、周期的交流電圧送信信号(5.1、5.2)の第1の半周期中では第1受信コイル(2.1)の方向に夫々向けられており、周期的交流電圧送信信号の第2の半周期中では第1受信コイル(2.1)の反対側に向けられており、
第1受信コイル(2.1)は、少なくとも1つの更なる受信コイル(2.2、2.3、2.4)と直列に接続されかつ駆動され、
コイルアレンジメントを貫通通過する有利には一様な電磁界は、これらの受信コイル(2.1、2.3;2.2、2.4)において互いに対し逆向きの電圧を生成する、
検出方法。
【請求項10】
請求項9に記載の検出方法において、
第1送信コイル(1.1)及び少なくとも1つの更なる送信コイル(1.2)と第1受信コイル(2.1)及び少なくとも1つの更なる受信コイル(2.2、2.3、2.4)を含む第1コンフィギュレーションと、少なくとも1つの第3送信コイル(1.3)及び第4送信コイル(1.4)と第1受信コイル(2.1)及び少なくとも1つの更なる受信コイル(2.2、2.3、2.4)を含む第2コンフィギュレーションを有し、
第1、第3及び第4送信コイル(1.1、1.3、1.4)の軸(1.5、1.7、1.8)は1つの面に位置し、
検出装置と物体(12)の間の相対運動時に、センサの進路(x)に沿って、第1コンフィギュレーションによって検出される振幅推移(8.1)が第2コンフィギュレーションによって検出される振幅推移(8.2)と、測定信号(8.3)のために、加算される、
検出方法。
【請求項11】
請求項10に記載の検出方法において、
コイルアレンジメントは、少なくとも2つの更なる受信コイル、即ち第3受信コイル(2.2)及び第4受信コイル(2.4)を有し、
コイルアレンジメントは、少なくとも1つの更なる送信コイル(1.2)及び第3送信コイル(1.3)と第3受信コイル(2.2)及び第4受信コイル(2.4)を含む第3コンフィギュレーションと、第1送信コイル(1.1)及び第4送信コイル(1.4)と第3受信コイル(2.2)及び第4受信コイル(2.4)を含む第4コンフィギュレーションを有し、
第1、第3及び第4送信コイル(1.1、1.3、1.4)の軸(1.5、1.7、1.8)は1つの面に位置し、
第1及び第2コンフィギュレーションの振幅推移は、測定信号のために、経路(x)に沿って互いに加算され、
第3及び第4コンフィギュレーションの振幅推移は、測定信号のために、経路(x)に対する横方向において互いに加算される、
検出方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の検出方法において、
対向して位置する2つのコンフィギュレーションから得られる振幅の量的な和は、コイルアレンジメントの仮想の直交座標系の原点が、格子構造体の電気的に導通する2つの閉回路を互いに対し分離する格子セグメント(9.1)の上方の中心に正確に位置する丁度そのとき最大であり、但し、該原点は第1受信コイル(2.1)と更なる受信コイル(2.2、2.3、2.4)の間の中心に位置し、該直交座標系のXY平面はこれらの受信コイル(2.1、2.2、2.3、2.4)に位置し、該直交座標系のZ軸は検出されるべき格子セグメント(9.1)の方向を指向する、
検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、2015年6月23日に提出されたドイツ特許出願10 2015 211 551.8に基づく優先権に関連しかつこれを主張するものである。該ドイツ特許出願の開示内容はその全体が引用を以って本願に繰り込まれ、本願の対象とされるものとする。
【0002】
本発明は、請求項1及び請求項9の前置部に記載の特徴を有する、電磁放射に対し透過性の物体の背後に配された目的物を検出するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、包囲する媒体中において金属製導電性目的物を発見(検出)するための誘導型センサは、例えばUS5,729,143Aから既知である。
【0004】
非金属製目的物の存在又は運動をフラットな物体を通して(反対側で)、例えば光放射に対し透過性でないプレートを通して(反対側で)検出するセンサは、大抵、容量測定の原理に基づいて構築されている。例えば、既知の応用例としては、例えばDE 103 24 579 A1から既知のような容量型タッチパッド又はDE 101 31 243 C1に記載されているような容量型接近センサがあり、この場合、複数のセンサ電極を有する1つのセンサと、該センサに割り当てられたセンサ信号を評価するための制御回路が設けられており、更なる1つの電極が該センサ電極を取り囲んでいる。これらの応用例では、センサユニットは(電磁界が)透過するべきプレートと固定的に結合しており、センサユニットから見ると、検出されるべき目的物はこのプレートの背後で運動する。センサとプレートは、その機械的構造によって、それらの間に固定的な容量(キャパシタンス)を有するが、これは測定値において一定の基本容量として反映されている。
【0005】
更なる応用例としては、例えばEP 0 657 032 B1及びEP 1740 981 B1から既知であるようなセンサがあるが、これらは、背後にある目的物の位置を測定するために、フラットな物体ないしプレート(の面)の上方で移動される必要がある。そのようなセンサには、いわゆる「梁探知器」(スタッド検出器)が属する。梁探知器は、例えば完成家屋において閉じた板張りないし壁面(ボード)の背後にある桁ないし梁、支柱又は配管ないし導線を検出するために、家庭大工及び職業大工のための一般的な補助装置である。このため、センサは壁(面)の上方で案内される。センサは電極を用いて壁に対する容量を測定する。検出領域に木製桁、配管又は導線が存在すれば、誘電体の変化によって容量は大きくなる。これが相応に評価され、利用者に提示される。センサがフラットな物体ないしプレートに対して正確に等距離で移動される間は、センサとフラットな物体ないしプレートとの間の容量は変化しない。容量は最初に挙げた2つの例では一定値としてのみ測定信号に入り込む。しかしながら、梁探知器の例では、一定の距離を維持することは実際上殆ど不可能であり、従って、壁の構造に基づく基本容量は距離に依存して著しく変化することが追認できる。それゆえ、本発明の以下の説明においては、梁探知器もまた実施例として選択される。
【0006】
本願請求項1の前置部に関連するDE 20 2004 011 921 U1から、送信コイルと該送信コイルに対し直角方向に配置された受信コイルからなる、とりわけ金属探知器のための、コイル構造体が知られている。この直角配置の特色は、受信コイルに外部からの影響がない限り、電子信号によって駆動される送信コイルによって誘導(誘起)される電圧を測定することができないよう、これらのコイルを互いに対し位置付けることができるという点にある。センサの検出領域に金属製導電性目的物が存在すれば、送信され受信コイルを貫通通過する電磁界の力線は曲げられ、その結果、受信コイルの誘導電圧を測定することができる。この電圧については、以下において、測定信号と称する。
【0007】
例えばそのような誘導型センサによってコンクリート中の鉄筋を検出しようとする場合には、センサはコンクリートの表面に沿って案内される。鉄筋(補強鉄棒)がセンサ装置に対し最小の距離を有する場合、最大の測定信号が生じる。それに応じて、測定信号の最大値が生じる空間的位置に、鉄筋が存在すると評価(判断ないし推定)される。
【0008】
例えばコンクリート中に埋め込まれた鉄筋格子がこの方法で誘導型センサによって測定される場合、誘導型センサの送信された電磁界によって金属製導電性目的物中に生成する渦電流が測定(値)に悪影響を及ぼし、その結果、例えば、測定信号の最小値が格子の(或る1つの)鉄筋セグメント上に生じ、測定信号の最大値が格子の中央部の空間部上に生じることが起こり得る。電気ループ(Schleifen)のように作用する格子構造体に沿って流れる循環電流(Ringstroeme)がこの効果の原因である。
【0009】
かくして、鉄筋セグメントの空間的位置は最大測定信号が生じる部位に存在すると評価されるので、評価エラー(過誤評価)が得られ得る。評価エラーをもたらし得る格子状金属製導電性目的物の不都合な部位における測定信号最大値又は測定信号最小値の不所望の生成については、以下において、格子効果と称する。
【0010】
DE 37 33 529 A1は、少なくとも4つの励起(励磁)コイルと少なくとも1つの受信コイルを有する誘導型金属探知機を記載している。4つの励起コイル(これらの中心点は閉じた円軌道上に配置されている)は、夫々異なる電流による周期的シーケンスで、結果として生成する磁界が実質的に同一に振幅を維持しつつその方向を当該シーケンスに対応する繰り返し周波数でほぼ連続的に変化するよう、制御される。励起コイルは、円軌道によって規定される(張られる)面に配置されるか又は該面に対し直角をなすよう夫々配置される。
【0011】
US 2009 0 219 027 A1は、不発弾の検出及び特定のためのマルチセンサを記載している。マルチセンサは、互いに対し直角をなして配置された少なくとも2つの送信コイルと、該送信コイルに対し直角をなして配置された複数の受信コイルを有する。受信コイルは、互いに対し離隔されかつ送信コイルに対し直角方向に延在する2つの面に配置され、送信コイルはこれらの受信コイルの間に配置されている。
【0012】
DE 10 2010 007 620 A1からは、第1送信コイルと、第2送信コイルと、少なくとも1つの受信コイルと、第1送信コイル及び第2送信コイルに接続されている励起(励磁)装置と、少なくとも1つの送信コイル及び/又は励起装置に及び少なくとも1つの受信コイルに接続されている評価装置を有する接近センサが知られている。
【0013】
EP 1 092 988 A1は、周囲の媒体によって隠された(覆われた)金属製目的物を検出する誘導型センサ装置を記載している。センサ装置は、互いに対し定義された距離をなして隣接しかつ1つの面に配置された2つの送信コイルと、一対の受信コイルを有する。これらの受信コイルは夫々、鉄含有目的物が存在しない周囲においてこれらに電圧が誘導(誘起)されないよう、送信コイルの夫々の磁界中に配置されている。
【0014】
DE 10 2009 010 943 A1は、基礎媒体中の金属製目的物を検出する磁気センサのための運転方法及びコイルアレンジメントであって、第1メインコイルと、第1メインコイルの拡張(延長)された巻線シリンダの内部空間に配された第1コイル群の少なくとも2つのコイルと、第1メインコイルの拡張(延長)された巻線シリンダの内部空間に配された第2コイル群の少なくとも2つのコイルを有し、第2コイル群のコイルが第1コイル群のコイルとは異なる配向を有するものに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】US5,729,143A
【特許文献2】DE 103 24 579 A1
【特許文献3】DE 101 31 243 C1
【特許文献4】EP 0 657 032 B1
【特許文献5】EP 1740 981 B1
【特許文献6】DE 20 2004 011 921 U1
【特許文献7】DE 37 33 529 A1
【特許文献8】US 2009 0 219 027 A1
【特許文献9】DE 10 2010 007 620 A1
【特許文献10】EP 1 092 988 A1
【特許文献11】DE 10 2009 010 943 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の課題は、これらの従来技術から出発し、格子効果を抑制し、更には除去する装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この課題は、請求項1ないし請求項9の特徴を有する、電磁放射に対し透過性の物体の背後に配置された目的物を検出する装置及び方法によって解決される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
有利な発展形態は従属請求項の対象である。特許請求の範囲において個々に列記された特徴事項は技術的に意味のある態様で夫々組み合わせることが可能であると共に、明細書に記載された説明のための種々の実施形態及び図面に記載された詳細によって補充することも可能である。これらには、本発明の更なる実施のバリエーションが明記されている。
【0019】
上記の課題を解決するために、送信コイル(複数)及び受信コイル(複数)は、互いに対し直角をなすよう配置され、及び、コイルアレンジメントの下方に格子セグメントが存在するのか又は格子構造体の内部の空隙が存在するのかを、振幅推移(変化)を計算・考慮する(Verrechnung)ことにより、決定する(求める)ことができるよう、交互に(交互的態様で)種々異なるコンフィギュレーションで作動される。送信コイル及び受信コイルの特別な配置及び特別な配線接続(Beschaltung)によって、金属製導電性目的物の正確な位置決定のための種々の利点が得られる。とりわけ、既存の誘導型センサでは格子効果が生成し得る、金属製導電性格子状構造体及び/又は電気的に接触したループ(Schleifen)の正確な位置決定の際に種々の利点が得られる。本書に記載するコイルアレンジメントは格子効果の発生を阻止し、かくして、個々の金属製導電性目的物の位置も、複数の金属製導電性セグメントから構成される格子状構造体の位置も正確に決定することができる。
【0020】
有利には、複数の送信コイル及び複数の受信コイルを含むコイルアレンジメントに存在するコイル(複数)の2つの対向配置コンフィギュレーションを使用することにより、及び夫々のコンフィギュレーションにおいて検出される(求められる)信号振幅の加算により、センサの(1つの)進路(経路ないし走行路)に沿って対称的な測定信号を検出する(求める)ことができる。有利には、第1の2つのコンフィギュレーションに対し直角(方向)に配置された更なるコンフィギュレーション(複数)が使用される場合、評価は、当該進路に対する直角(直交)方向においても、従って2次元的にも行うことができる。複数のコンフィギュレーションを時間的に多重化(Multiplexen)することにより、複数の測定信号をただ1つの評価ユニットによって受容及び処理することができる。
【0021】
更なる利点は、従属請求項及び好ましい実施例についての以下の説明から得られる。
【0022】
以下において、本発明は添付の図面に記載された実施例を用いて詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】単純な幾何学的コイルアレンジメントの一例の平面図。
図2図1のコイルアレンジメントの(図1の紙面下側から上側に見た)側面図。
図3】2次元的進路のための、図1のものと比べて拡張されたコイルアレンジメントの一例の平面図。
図4図3の拡張コイルアレンジメントの(図3の紙面下側から上側に見た)側面図。
図5】送信信号(複数)と送信コイル(複数)の並列制御の一例。
図6】受信コイル(複数)の電気回路の一例。
図7】単純コイルアレンジメントが金属製導電性格子の上方を通過する際に生じる信号推移(変化)の模式的一例。
図8】対称的1次元的測定について、拡張コイルアレンジメントが金属製導電性格子の上方を通過する際に生じる信号推移(変化)の模式的一例。
図9】対称的2次元的測定について、拡張コイルアレンジメントが金属製導電性格子を上方通過する際に生じる4つの可能なコンフィギュレーションの信号推移(変化)の模式的一例。
図10】格子において生じるような、磁界の方向と電流の方向の間の関係の一例。
【実施例】
【0024】
本発明はここから例示的に添付の図面を参照して詳細に説明される。尤も、実施例は単なる例示に過ぎず、本発明のコンセプトを特定の形態に限定するものと解すべきではない。本発明を詳細に説明するに当たって指摘すべきことは、本発明は装置の個々具体的な部材及び個々具体的な方法ステップに限定されないことである。なぜなら、これらの部材及び方法は変更可能だからである。ここで使用される概念は、特定の実施形態を説明するためにのみ規定されており、限定的なものとして使用されていない。更に、明細書又は請求の範囲において単数形又は不定冠詞が使用される場合、開示全体から一義的に異なることが明らかでない限り、これらは関連する要素の複数形も意味する。
【0025】
図面には、電磁放射に対し透過性の、有利にはフラットな物体12の背後に配置された(隠れた)目的物を検出する装置の一例が示されている。この目的物は、実施例では、壁の中(ないし内側)の鉄筋格子(格子状鉄筋)の格子セグメント9.1である。尤も、本装置は、原理的に、送信コイル(複数)からの交流電圧送信信号5.1によって生成(誘起)されている電磁界に影響を及ぼす目的物による変化の検出にも、同様に適切である。このような目的物は、床、天井、壁(の中)の任意の物体ないし材料に覆われている(の背後に隠れている)こともあり得る。
【0026】
そのため、本装置は、少なくとも1つの第1送信コイル1.1と、第1送信コイルに対し直角方向に配置された(少なくとも1つの)第2送信コイル1.2と、第1送信コイル及び第2送信コイルに対し直角方向に配置された少なくとも1つの第1受信コイル2.1と、第1送信コイル及び第2送信コイルに対し直角方向に配置された(少なくとも1つの)第2受信コイル2.3を含んで構成されるセンサアレンジメントを有する。これによって、コイルアレンジメントは、本装置とフラットな物体の間の相対運動の際に目的物を検出するセンサを形成する。制御回路は、少なくとも1つの送信コイル1.1、1.2を制御し、センサの出力信号を評価する。
【0027】
本出願に記載するコイルは、任意のコイルであり得るが、とりわけ回路(導体)基板にプリントされたコイルであり得る。コイル相互の空間的位置は、以下において、仮想のコイル面によって及び/又はコイルの仮想の軸によって記述する。幾何学的な記述は、アレンジメントの説明のためにのみ使用されているのであって、数学的に厳密なものとして解釈してはならない。寧ろ、これら(幾何学的記述)は、記述される作用及び測定精度が達成可能である限りにおいて、ある程度の非厳密さ(曖昧さないし許容幅:Unschaerfe)を有し得る。このことは、とりわけアレンジメントの校正(Eichung)及び/又は調整(Justierung)という意味で、とりわけ電子的経路で達成されるコイル及び/又はその磁界のバーチャルな空間的位置合わせ(Justierung)及び/又は配向合わせ(Ausrichtung)という意味で、とりわけこれらが公差に起因する限りにおいて及び/又は図6に記載した回路によって簡単な態様で補償可能である限りにおいて、妥当する。
【0028】
コイル面とは、コイルの穴(ないし輪の内部:Auge)においてかつその導通状態において発生する平均磁束に対し直角に(直交方向に)延在する仮想面として理解することができる。ここで、平均磁束はとりわけ穴の中心点を通過するものである。
【0029】
コイルの軸とは、コイル穴を貫通通過し、平均磁束を貫通しかつ平均磁束の方向に延伸する直線として理解することができる。従って、仮想軸は、夫々の仮想コイル面に対し直角をなして(直交方向に)延在する。とりわけ、コイルによって生成される磁界の方向とは、コイル穴に生成する平均磁束の方向として理解することができる。従って、導通状態に応じ、仮想軸に沿って180°をなす正反対の2つの方向が考えられる。
【0030】
丸い巻線を有するコイルの場合、仮想軸及び仮想コイル面は、該巻線によって画成されかつコイルの穴を構成する円ないし円筒の中心点を通過する。
【0031】
プリントされたコイルの場合、コイル面とは、コイルがプリントされている表面によって規定される面として理解することが可能である。この場合、そのようなコイルの穴は2次元的なものとして理解することができ、同様に上記表面にある。
【0032】
コイルの穴とは、フラットなコイルの場合は巻線によって包囲された平面として、空間的に(3次元的に)広がっているコイルの場合は巻線によって包囲された立体として理解することができる。
【0033】
図1及び図2によれば、第1及び第2送信コイル1.1、1.2の軸1.5、1.6は、互いに対し直角に(直交方向に)延在し、第1受信コイル2.1の軸2.5と理想的には1つの点で、とりわけ直角に、交差する。即ち、送信コイルの軸1.5、1.6は、受信コイル2.1、2.2、2.3、2.4が配置されている面内にある。第2送信コイル1.2と第1受信コイル2.1の間の距離は、第1送信コイル1.1と第1受信コイル2.1の間の距離と同じ大きさである。これらの距離は可及的に小さい値が選択される。
【0034】
図1及び図2に示されていない一実施例においては、第1及び第2送信コイル1.1、1.2の軸1.5、1.6は、互いに対しずれて(ないし反って:windschief)直角に配置されており、第1受信コイル2.1の軸2.5と2つの点において、とりわけ夫々直角に、交差する。
【0035】
更なる送信コイルが第3送信コイル1.3及び第4送信コイル1.4として設けられる場合、図3及び図4に示すように、第1送信コイル1.1と第3送信コイル1.3の軸1.5、1.7は互いに対し平行に延在し、及び、第2送信コイル1.2と第4送信コイル1.4の軸1.6、1.8は互いに対し平行に延在する。図3の平面図において隣り合う送信コイル1.1、1.2、1.3、1.4の軸1.5、1.6、1.7、1.8は互いに対し直角に延在し、及び、送信コイル1.1、1.2、1.3、1.4の夫々2つの間に配置される受信コイル2.1、2.2、2.3、2.4の、送信コイル1.1、1.2、1.3、1.4の軸1.5、1.6、1.7、1.8に対し直角をなす軸2.5、2.6、2.7、2.8と、理想的には1つの点で、とりわけ、夫々の送信コイル1.1、1.2、1.3、1.4の軸1.5、1.6、1.7、1.8が互いに対しずれて(ないし反って:windschief)直角に配置されている場合は、2つの点で、交差する。かくして、例えば、第1送信コイル1.1と第4送信コイル1.4が隣り合わされており、かつ、それらの間に第4受信コイル2.4が包囲されている。これにより、第1送信コイル1.1及び第4送信コイル1.4ないしそれらの軸1.5、1.8は互いに対し直角に延在し、及び、これらの送信コイル1.1、1.4の間に配置された受信コイル2.4の、送信コイル1.1、1.2、1.3、1.4の軸1.5、1.6、1.7、1.8に対し直角な軸2.8と理想的には1つの点で交差する。従って、この場合も、送信コイル1.1、1.2、1.3、1.4の軸1.5、1.6、1.7、1.8は、受信コイル2.1、2.2、2.3、2.4が配置されている面内にある。なお、とりわけコイルアレンジメントの後述するコンフィギュレーションの内部における、協働する送信コイル(複数)と対応する受信コイル(複数)の間の距離も、同じ大きさであり、可及的に小さい値が選択される。
【0036】
図3に示したコイルアレンジメントの仮想の直交座標系(その原点は送信コイル1.1、1.3の間の中心にありかつそのZ軸は検出されるべき目的物の方向を指す)において、受信コイル2.1、2.2、2.3、2.4はXY平面内にある。第1送信コイル1.1が例えばXZ平面内にある場合、第2送信コイル1.2はYZ平面内にある。この直交座標系の原点は、コイルアレンジメントの中心点として理解することが可能であり、ないしは、当該中心点を規定することができる。
【0037】
検出されるべき格子構造体は、コイルアレンジメントの作動時、有利には仮想座標系のXY平面に対しないしは受信コイル2.1、2.2、2.3、2.4によって規定される面に対し平行に位置する。検出のために、コイルアレンジメントの受信コイル2.1、2.2、2.3、2.4は、格子構造体に対し平行に位置合わせされることができ、相応に当該格子構造体に対し平行にシフトされることができる。かくして、すべての受信コイル2.1、2.2、2.3、2.4は、更にはその軸1.5、1.6、1.7、1.8がとりわけXY平面内ないし受信コイル2.1、2.2、2.3、2.4の面内にあるすべての送信コイル1.1、1.2、1.3、1.4も、同じ強さでターゲット即ち格子構造体と誘導的に結合されている。送信コイル及び受信コイルについての概念、空間的位置関係及びそれと結びついた電気的意義(意味内容)は相互に置き換えることが可能であり、それにより同じ利点が得られる。以下においては、説明のために、すべての受信コイルが1つの(同じ)面に配置されておりかつ送信コイルが互いに対し直角に(直交方向に)配置されているバリエーションについてのみ検討する。なお、すべての送信コイルが1つの(同じ)面に配置されておりかつ受信コイルが互いに対し直角に(直交方向に)配置されている場合も同様に適用、更には計算される。
【0038】
コイルアレンジメントは、既述の利点を達成するために、以下のように制御されることができる:
第1及び第2送信コイルは、図5に示すように、送信コイル1.1、1.2の送信された電磁界(複数)が周期的な交流電圧送信信号5.1、5.2の一方の半周期の間にその都度両者が第1受信コイル2.1の方向に向けられ、周期的交流電圧送信信号の他方の半周期の間にその都度両者が第1受信コイル2.1の反対側に向けられるよう、AC信号5.1、5.2によって駆動される。送信信号(複数)は、送信コイル1.1、1.2の直交配置に基づき、同様に互いに対し直角をなし(直交し)、対応する軸の方向、従ってとりわけ受信コイル2.1、2.2、2.3、2.4の面の方向に進行する(伝播する)。第1受信コイル2.1は第2受信コイル2.3と直列接続されて駆動されることができる。受信コイル2.1、2.3は、構造(Aufbau)を貫通通過する有利には一様な電磁界が、これら2つの受信コイル2.1、2.3に互いに逆向きの電圧を生成するよう、互いに接続される。
【0039】
受信コイル対2.1、2.3には、共振コンデンサ(キャパシタンス)3.1を並列接続することができる。共振コンデンサは、受信コイル2.1、2.3と共に、誘導(誘起)されたAC信号を増幅及び平滑化する振動回路(共振回路)を形成する。
【0040】
受信コイル(複数)に誘導(誘起)された電圧は、適切な増幅回路によって増幅されて測定される。コイル(複数)の理想的な幾何学的配置の場合、測定される信号は、金属製導電性目的物が存在しなければ、AC成分のない「ゼロ信号(Nullsignal)」である。コイルアレンジメントの誤差(ないし公差:Toleranz)、とりわけ製造誤差及び/又はコイル相互間の幾何学的配置のより小さいずれは、補償インピーダンス7.1を介して振動回路に与えられる定義された位相及び定義された振幅を有する交流電圧補償信号6.1によって補償可能である。
【0041】
図1は単純構造のコイルアレンジメントの一例の平面図であり、図2はその側面図である。図5及び図6はそれに属するコイルの電気回路を示す。図示の回路を有する関連コンポーネントのこのアレンジメントは、図7に示した1次元的進路xにより格子セグメントの検出を可能にする第1コンフィギュレーションを形成する。格子構造体に対し平行なセンサの進路xに沿って生成する第1コンフィギュレーションの振幅推移8.1は図7に示されている。信号は、コイルシステムの幾何学的構造(配置)に依存して、ある程度の非対称性を示す。
【0042】
2つの更なる送信コイル1.3、1.4を追加することにより、図3及び図4に示した第2コンフィギュレーションが可能になる。このコンフィギュレーションでは、第1及び第2送信コイル1.1、1.2の代わりに,第3及び第4送信コイル1.3、1.4が交流電圧送信信号5.1によって駆動される。更に、第1及び第2受信コイル2.1、2.3が受信器として使用される。格子構造体に対し平行なセンサの進路(経路)xに沿って生成する第1及び第2コンフィギュレーションの振幅推移8.1、8.2は図8に示されている。第1振幅推移8.1と第2振幅推移8.2の和(ないし加算)により、対称的な測定信号が得られる。複数のコンフィギュレーションの時間的多重化(Multiplexen)により、複数の測定信号は、制御回路のただ1つの評価ユニット(不図示)によって受容されることができる。
【0043】
第3及び第4受信コイル2.2、2.4を追加することにより,2つの更なるコンフィギュレーションが可能になる。第3コンフィギュレーションでは第2及び第3送信コイル1.2、1.3が、第4コンフィギュレーションでは第1及び第4送信コイル1.1、1.4が送信器として使用され(機能し)、他方、夫々第3及び第4受信コイル2.2、2.4が受信器として使用される(機能する)。図3はそのようなコイルアレンジメントの一例の平面図を示し、図4は4つの送信コイル1.1、1.2、1.3、1.4と4つの受信コイル2.1、2.2、2.3、2.4を有するそのようなコイルアレンジメントの一例の側面図を示す。
【0044】
第1コンフィギュレーションでは、第1送信コイル1.1の軸1.5と第2送信コイル1.2の軸1.6は互いに対し直角に(直交方向に)配置されており、及び、とりわけ直角に(直交方向に)、とりわけ理想的には、図1及び図3の実施例において示されているように、夫々直角にかつ1つの点において、第1受信コイル2.1の軸2.5と交差する。第1コンフィギュレーションは、更なる受信コイルとして、例えば第2受信コイル2.3を有する。
【0045】
第2コンフィギュレーションでは、第3送信コイル1.3の軸1.7と第4送信コイル1.4の軸1.8は互いに対し直角に(直交方向に)配置されており、及び、とりわけ直角に(直交方向に)、とりわけ理想的には、図3の実施例において示されているように、夫々直角にかつ1つの点において、第2受信コイル2.3の軸2.7と交差する。第2コンフィギュレーションは、更なる受信コイルとして、例えば第1受信コイル2.1を有する。
【0046】
第3コンフィギュレーションでは、第2送信コイル1.2の軸1.6と第3送信コイル1.3の軸1.7は互いに対し直角に(直交方向に)配置されており、及び、とりわけ直角に(直交方向に)、とりわけ理想的には、図3の実施例において示されているように、夫々直角にかつ1つの点において、第3受信コイル2.2の軸2.6と交差する。第3コンフィギュレーションは、更なる受信コイルとして、例えば第4受信コイル2.4を有する。
【0047】
第4コンフィギュレーションでは、第4送信コイル1.4の軸1.8と第1送信コイル1.1の軸1.5は互いに対し直角に(直交方向に)配置されており、及び、とりわけ直角に(直交方向に)、とりわけ理想的には、図3の実施例において示されているように、夫々直角にかつ1つの点において、第4受信コイル2.4の軸2.8と交差する。第4コンフィギュレーションは、更なる受信コイルとして、例えば第3受信コイル2.2を有する。
【0048】
この構造は、格子構造体に対する平行なセンサの2次元的移動(走行)による格子セグメント(複数)の測定を可能にする。
【0049】
図10は、反対方向の電磁界によって夫々貫通通過されている2つの閉じた導電性セグメントを有する格子の部分を示す。電磁界の異なる方向によって、回転の向きが異なる(2つの)循環電流が生成される。空間的に分離(離隔)されて異なる電磁界に位置する2つの受信コイルに、異なる極性の電圧が夫々誘導(誘起)される。
【0050】
図6に示した受信コイルの結合(接続形態)を用いることにより、コイルアレンジメントの中心点が2つの閉じた回路を互いに分離する格子セグメント9.1の真下に(genau unter)位置するまさにそのとき、互いに向かい合う2つのコンフィギュレーションにより得られる信号振幅の量的な(大きさの:betragsmaessig)和は最大になる。格子セグメントが相当に大きな(nennenswert)平面的及び/又は空間的(立体的)広がりを有する場合、真下に(genau unter)とは、中心点が格子セグメント9.1の中心部の下方に位置すること及び/又はコイルアレンジメントの仮想の直交座標系のZ軸が格子セグメント9.1と(その)中心部で交差することであるとして理解することが可能である。
【0051】
本開示は、添付の請求の範囲に均等な範囲内においてなされる多種多様な修正、変更及び適合化を施すことができることは自明である。
【符号の説明】
【0052】
1.1 第1送信コイル
1.2 第2送信コイル
1.3 第3送信コイル
1.4 第4送信コイル
1.5〜1.8 第1〜第4送信コイルの軸
2.1 第1受信コイル
2.2 第3受信コイル
2.3 第2受信コイル
2.4 第4受信コイル
2.5〜2.8 第1〜第4受信コイルの軸
3.1 共振コンデンサ(キャパシタンス)
4.1 増幅回路
5.1 交流電圧送信信号
5.2 反転された交流電圧送信信号
6.1 交流電圧補償信号
7.1 補償インピーダンス
8.1 第1コンフィギュレーションの振幅推移(変化)
8.2 第2コンフィギュレーションの振幅推移(変化)
8.3 第1及び第2コンフィギュレーションの振幅推移(変化)の和
9.1 格子セグメント
9.2 格子の空隙
11.1 格子に流れる電流の方向
11.2 格子を貫通する電磁力線の方向
12 物体
x センサの進路(経路ないし走行路ないし移動路)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】