特表2018-524610(P2018-524610A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-524610検出器信号読出チャンネル多重化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-524610(P2018-524610A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(54)【発明の名称】検出器信号読出チャンネル多重化方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/20 20060101AFI20180803BHJP
   G01T 1/161 20060101ALI20180803BHJP
   H04N 5/32 20060101ALI20180803BHJP
【FI】
   G01T1/20 F
   G01T1/161 C
   H04N5/32
   G01T1/20 E
   G01T1/20 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-515341(P2018-515341)
(86)(22)【出願日】2016年5月26日
(85)【翻訳文提出日】2017年12月6日
(86)【国際出願番号】CN2016083418
(87)【国際公開番号】WO2017000711
(87)【国際公開日】20170105
(31)【優先権主張番号】201510367105.5
(32)【優先日】2015年6月29日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515207606
【氏名又は名称】ライカン テクノロジー カンパニー リミテッド (スー チョウ)
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シエ,チングオ
(72)【発明者】
【氏名】ホワ,ユエシュアン
(72)【発明者】
【氏名】ウェン,フイホワ
(72)【発明者】
【氏名】シー,ダオミン
【テーマコード(参考)】
2G188
4C188
5C024
【Fターム(参考)】
2G188AA02
2G188BB07
2G188CC21
2G188CC22
2G188CC23
2G188DD05
2G188EE08
2G188EE25
2G188EE29
2G188EE32
2G188EE39
4C188EE02
4C188FF07
4C188JJ05
5C024GZ41
5C024HX03
5C024HX29
(57)【要約】
検出器信号読出チャンネル多重化方法が提供され、この方法は、L個の検出器をグループ化して第1のソース信号及び第2のソース信号を生成するステップと、L個の検出器信号を、2つの読出チャンネルA及びBを含む第1の信号伝送ラインと、2つの読出チャンネルC及びDを含む第2の信号伝送ラインとにそれぞれ導入し、同時に、第1の信号伝送ライン及び第2の信号伝送ライン上に第1の信号遅延ユニット及び第2の信号遅延ユニットを導入するステップと、4つの読出チャンネルA、B、C、Dのパルスに基づいて、信号を生成するソース検出器をシンボル化して、最終的なパルス情報を得るステップとを有する。この方法により、フラットパネル検出器は、4つの読出チャンネルのみで足り、1対1読出チャンネルでは、チャンネル数が過剰になる問題を効果的に解決できる。伝送ラインの時分割多重化設計は、異なる位置で検出器によって出力される信号の波形が1対1の読出モードの波形及び同様であることを保証し、バックエンド読出回路のダイナミックレンジの要求を低減する。更に、遅延ユニットを追加することにより、バックエンド読出回路の時間分解能に対する要求が大幅に緩和される。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
L個の検出器の信号をM個のグループにグループ分けするステップであって、各グループの検出器の数は、少なくとも2個、多くともN個であり、a番目のグループ内の検出器の信号数をP(a)とし、
【数1】
であり、a番目のグループのb番目の検出器の信号をSignal(a,b)と示され、M≧2、N≧2、1≦a≦M、1≦b≦NであるステップS1と、
ステップS1におけるL個の検出器の信号を第1のソース信号及び第2のソース信号に分割するステップS2と、
2つの読出チャンネルA及びBを含む第1の信号伝送ラインを提供し、前記検出器の信号を前記第1の信号伝送ラインに入力し、前記第1の信号伝送ライン上の前記検出器の信号の間に少なくとも1つの第1の信号遅延ユニットを設けるステップS3と、
2つの読出チャンネルC及びDを含む第2の信号伝送ラインを提供し、前記検出器の信号を前記第2の信号伝送ラインに入力し、前記第2の信号伝送ライン上の前記検出器の信号の間に少なくとも1つの第2の信号遅延ユニットを設けるステップS4と、
前記4つの読出チャンネルA、B、C及びDからのパルスに基づいて、前記信号を生成するソース検出器をシンボル化し、最終的なパルス情報を取得するステップS5と
を有する検出器信号読出チャンネル多重化方法。
【請求項2】
ステップS1において、前記M個のグループは、それぞれN個である同数の検出器を含み、M×N=L、M≧2、N≧2である請求項1記載の検出器信号読出チャンネル多重化方法。
【請求項3】
前記第1の信号伝送ライン及び前記第2の信号伝送ラインは、互いに直交しており、前記伝送ライン上の位置情報は、前記遅延ユニットによって分割される請求項1記載の検出器信号読出チャンネル多重化方法。
【請求項4】
ステップS3及びステップS4において、前記第1の信号伝送ライン及び前記第2の信号伝送ラインには、空間位置が対応する2つの検出器グループがそれぞれ接続される請求項1記載の検出器信号読出チャンネル多重化方法。
【請求項5】
ステップS3及びステップS4において、前記第1の信号伝送ライン及び前記第2の信号伝送ラインには、前記各検出器の2つの読出チャンネルがそれぞれ接続される請求項1記載の検出器信号読出チャンネル多重化方法。
【請求項6】
ステップS3において、前記a番目のグループの検出器の第1のソース信号を第1の信号として機能し、前記M個のグループにおいてM個の第1の信号が生成され、前記M個の第1の信号が第1の信号伝送ラインに入力され、前記少なくとも1つの第1の信号遅延ユニットは、前記M個の第1の信号のうちの隣接する2つの第1の信号の間に設けられる請求項1記載の検出器信号読出チャンネル多重化方法。
【請求項7】
前記第1の信号遅延ユニットが複数存在し、前記第1の信号遅延ユニットの少なくとも1つは、前記M個の第1の信号のうちの任意の2つの隣接する第1の信号の間に設けられる請求項6記載の検出器信号読出チャンネル多重化方法。
【請求項8】
ステップS4において、M個のグループのそれぞれの第b番目の検出器の第2のソース信号を第2の信号として機能し、N個の第2の信号が生成され、前記N個の第2の信号が第2の信号伝送ラインに入力され、前記少なくとも1つの遅延ユニットは、前記N個の第2の信号の2つの隣接する第2の信号の間に設けられる請求項1記載の検出器信号読出チャンネル多重化方法。
【請求項9】
前記第2の信号遅延ユニットが複数存在し、前記第2の信号遅延ユニットの少なくとも1つは、前記N個の第2の信号のうちの任意の2つの隣接する第2の信号の間に設けられる請求項8記載の検出器信号読出チャンネル多重化方法。
【請求項10】
ステップ5において、前記4つの読出チャンネルA、B、C、Dにおける各信号の到着時間を測定し、読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時間差と、読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時間差とを算出し、前記時間差に基づいて前記信号ソースの行番号及び列番号を判定し、前記2つの時間差を使用して前記信号を生成するソース検出器をシンボル化する請求項1記載の検出器信号読出チャンネル多重化方法。
【請求項11】
ステップS5は、減算回路によって、前記読出チャンネルA及びBのパルス間の差分パルス、並びに前記読出チャンネルC及びDのパルス間の差分パルスを取得することと、前記差分パルスのパルス幅によって、前記読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時刻間の時間差、並びに前記読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時刻間の時間差を表すこととを含む請求項10記載の検出器信号読出チャンネル多重化方法。
【請求項12】
ステップ5において、減算回路によって、前記読出チャンネルA及びBのパルス間の差分パルス、並びに前記読出チャンネルC及びDのパルス間の差分パルスを取得することと、前記差分パルスの振幅によって、前記読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時刻間の時間差、並びに前記読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時刻間の時間差を表すこととを含む請求項10記載の検出器信号読出チャンネル多重化方法。
【請求項13】
ステップS5は、前記読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時刻間の時間差をxとし、前記読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時刻間の時間差をyとし、確率分布関数g(x,y)を算出することと、回路構造に基づいて、g(x,y)上のL個の検出器に対応する位置を算出することと、g(x,y)上の隣接する検出器間の分離線を算出して、g(x,y)上の異なる検出器に対応する分布領域を区別することとを含む請求項10記載の検出器信号読出チャンネル多重化方法。
【請求項14】
ステップS5は、前記読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時刻間の時間差をxとし、前記読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時刻間の時間差をyとし、確率分布関数g(x,y)を算出することと、確率分布関数g(x,y)に基づいて、g(x,y)上のL個の検出器に対応する位置を算出することと、g(x,y)上の隣接する検出器間の分離線を算出して、g(x,y)上の異なる検出器に対応する分布領域を区別することとを含む請求項10記載の検出器信号読出チャンネル多重化方法。
【請求項15】
ステップS5は、前記読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時刻間の時間差をxとし、前記読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時刻間の時間差をyとし、確率分布関数g(x,y)を算出することと、回路構造に基づいて、g(x,y)上のL個の検出器に対応する位置を算出することと、g(x,y)上の位置に対応する検出器の分布領域として、前記各位置の周囲の一定の領域を設定することとを含む請求項10記載の検出器信号読出チャンネル多重化方法。
【請求項16】
ステップS5は、前記読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時刻間の時間差をxとし、前記読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時刻間の時間差をyとし、確率分布関数g(x,y)を算出することと、確率分布関数g(x,y)に基づいて、g(x,y)上のL個の検出器に対応する位置を算出することと、g(x,y)上の位置に対応する検出器の分布領域として、前記各位置の周囲の一定の領域を設定することとを含む請求項10記載の検出器信号読出チャンネル多重化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年6月29日に中国国家知的所有権局に提出された「検出器信号読出チャンネル多重化方法」と題された中国特許出願第201510367105.5号に対する優先権を主張し、この文献は、参照により全体が本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、核検出及び核医学イメージングの技術分野に関し、特に、検出器信号読出チャンネル多重化方法に関する。
【背景技術】
【0003】
臨床ポジトロン放出断層撮影(positron emission tomography:以下、PET)デバイスは、30,000個の検出器を含み、したがって、各検出器によって生成される電気信号を直接読み出すためには30,000個の電子処理チャンネルが必要である。多数の電子チャンネルを設けることは高コストであり、PET電子システム全体の工程の実現が困難になる。
【0004】
このために、本分野では、検出器信号読出チャンネル多重化技術の研究開発に注目が集まっている。既存の主流の読出チャンネル多重化方法では、抵抗ネットワークを利用して、行及び列に基づいて出力された検出器信号を重み付けし、次いで出力信号を読み出す。
【0005】
抵抗ネットワークによってチャンネルを多重化することにより、検出器の読出チャンネル数が減少し、チャンネル数が過剰になる問題が解決される。しかしながら、抵抗ネットワークでは、信号入力点が異なるために、抵抗ネットワークの同等の抵抗が検出器毎に異なり、異なる検出器の出力信号の振幅の間に大きな差が生じる。この場合、バックエンド読出回路は、大きなダイナミックレンジを必要とする。既存の処理回路は、通常、ダイナミックレンジが制限されており、すなわち、入力信号が小さいと信号対雑音比が低くなり、入力信号が大きいと飽和問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上述の技術的課題に鑑み、上述の欠点を克服し、チャンネル多重化された検出器によって出力される信号のダイナミックレンジ要求が過大になる問題を効果的に解決するように改良された、検出器信号を読み出すための構造を提供するチャンネル多重化方法を提供する必要がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、使用される電子チャンネルの数を減らし、バックエンド読出回路のダイナミックレンジに対する要求を効果的に低減し、及びバックエンド読出回路の時間分解能に対する要求を低減する検出器信号読出チャンネル多重化方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本開示は、以下の技術的ソリューションを提供する。
【0009】
すなわち、検出器信号読出チャンネル多重化方法を提供し、この方法は、
ステップS1:L個の検出器の信号をM個のグループにグループ分けするステップであって、各グループの検出器の数は、少なくとも2個、多くともN個であり、a番目のグループ内の検出器の信号数をP(a)とし、
【数1】
であり、a番目のグループのb番目の検出器の信号をSignal(a,b)と示し、M≧2、N≧2、1≦a≦M、1≦b≦Nであるステップと、
ステップS2:ステップS1におけるL個の検出器の信号を第1のソース信号及び第2のソース信号に分割するステップと、
ステップS3:2つの読出チャンネルA及びBを含む第1の信号伝送ラインを提供し、検出器の信号を第1の信号伝送ラインに入力し、第1の信号伝送ライン上の検出器の信号の間に少なくとも1つの第1の信号遅延ユニットを設けるステップと、
ステップS4:2つの読出チャンネルC及びDを含む第2の信号伝送ラインを提供し、検出器の信号を第2の信号伝送ラインに入力し、第2の信号伝送ライン上の検出器の信号の間に少なくとも1つの第2の信号遅延ユニットを設けるステップと、
ステップS5:4つの読出チャンネルA、B、C及びDからのパルスに基づいて、信号を生成するソース検出器をシンボル化し、最終的なパルス情報を取得するステップとを有する。
【0010】
上述した検出器信号読出チャンネル多重化方法では、好ましくは、ステップS1において、M個のグループは、それぞれN個である同数の検出器を含み、M×N=L、M≧2、N≧2である。
【0011】
上述した検出器信号読出チャンネル多重化方法では、好ましくは、第1の信号伝送ライン及び第2の信号伝送ラインは、互いに直交しており、伝送ライン上の位置情報は、遅延ユニットによって分割される。
【0012】
上述した検出器信号読出チャンネル多重化方法では、好ましくは、ステップS3及びステップS4において、第1の信号伝送ライン及び第2の信号伝送ラインには、空間位置が対応する2つの検出器グループがそれぞれ接続される。
【0013】
上述した検出器信号読出チャンネル多重化方法では、好ましくは、ステップS3及びステップS4において、第1の信号伝送ライン及び第2の信号伝送ラインには、各検出器の2つの読出チャンネルがそれぞれ接続される。
【0014】
上述した検出器信号読出チャンネル多重化方法では、好ましくは、ステップS3において、a番目のグループの検出器の第1のソース信号を第1の信号として機能し、M個のグループにおいてM個の第1の信号が生成され、M個の第1の信号が第1の信号伝送ラインに入力され、少なくとも1つの第1の信号遅延ユニットは、M個の第1の信号のうちの隣接する2つの第1の信号の間に設けられる。
【0015】
上述した検出器信号読出チャンネル多重化方法では、好ましくは、第1の信号遅延ユニットが複数存在し、第1の信号遅延ユニットの少なくとも1つは、M個の第1の信号のうちの任意の2つの隣接する第1の信号の間に設けられる。
【0016】
上述した検出器信号読出チャンネル多重化方法では、好ましくは、ステップS4において、M個のグループのそれぞれの第b番目の検出器の第2のソース信号を第2の信号として機能し、N個の第2の信号が生成され、N個の第2の信号が第2の信号伝送ラインに入力され、少なくとも1つの遅延ユニットは、N個の第2の信号の2つの隣接する第2の信号の間に設けられる。
【0017】
上述した検出器信号読出チャンネル多重化方法では、第2の信号遅延ユニットが複数存在し、第2の信号遅延ユニットの少なくとも1つは、N個の第2の信号のうちの任意の2つの隣接する第2の信号の間に設けられる。
【0018】
上述した検出器信号読出チャンネル多重化方法では、ステップ5において、4つの読出チャンネルA、B、C、Dにおける各信号の到着時間を測定し、読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時間差と、読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時間差とを算出し、時間差に基づいて信号ソースの行番号及び列番号を判定し、2つの時間差を使用して信号を生成するソース検出器をシンボル化する。
【0019】
上述した検出器信号読出チャンネル多重化方法では、好ましくは、ステップS5において、減算回路によって、読出チャンネルA及びBのパルス間の差分パルス、並びに読出チャンネルC及びDのパルス間の差分パルスを取得し、この差分パルスのパルス幅によって、読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時刻間の時間差、並びに読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時刻間の時間差を表す。
【0020】
上述した検出器信号読出チャンネル多重化方法では、好ましくは、ステップ5において、減算回路によって、読出チャンネルA及びBのパルス間の差分パルス、並びに読出チャンネルC及びDのパルス間の差分パルスを取得し、差分パルスの振幅によって、読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時刻間の時間差、並びに読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時刻間の時間差を表す。
【0021】
上述した検出器信号読出チャンネル多重化方法では、好ましくは、ステップ5において、読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時刻間の時間差をxとし、読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時刻間の時間差をyとし、確率分布関数g(x,y)を算出し、回路構造に基づいて、g(x,y)上のL個の検出器に対応する位置を算出し、g(x,y)上の隣接する検出器間の分離線を算出して、g(x,y)上の異なる検出器に対応する分布領域を区別する。
【0022】
上述の検出器信号読出チャンネル多重化方法において、好ましくは、ステップ5において、読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時刻間の時間差をxとし、読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時刻間の時間差をyとし、確率分布関数g(x,y)を算出し、確率分布関数g(x,y)に基づいて、g(x,y)上のL個の検出器に対応する位置を算出し、g(x,y)上の隣接する検出器間の分離線を算出して、g(x,y)上の異なる検出器に対応する分布領域を区別する。
【0023】
上述した検出器信号読出チャンネル多重化方法では、好ましくは、ステップ5において、読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時刻間の時間差をxとし、読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時刻間の時間差をyとし、確率分布関数g(x,y)を算出し、回路構造に基づいて、g(x,y)上のL個の検出器に対応する位置を算出し、g(x,y)上の位置に対応する検出器の分布領域として、各位置の周囲の一定の領域を設定する。
【0024】
上述した検出器信号読出チャンネル多重化方法では、好ましくは、ステップ5において、読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時刻間の時間差をxとし、読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時刻間の時間差をyとし、確率分布関数g(x,y)を算出し、確率分布関数g(x,y)に基づいて、g(x,y)上のL個の検出器に対応する位置を算出し、g(x,y)上の位置に対応する検出器の分布領域として、各位置の周囲の一定の領域を設定する。
【0025】
上述の技術的ソリューションは、従来技術に比べて以下の利点を有する。
【0026】
1.検出器信号を読み取るためのチャンネル多重化方法は、
【0027】
ステップS1:L個の検出器の信号をM個のグループにグループ分けするステップであって、各グループの検出器の数は、少なくとも2個、多くともN個であり、a番目のグループ内の検出器の信号数をP(a)とし、
【数2】
であり、a番目のグループのb番目の検出器の信号をSignal(a,b)とシンボル化し、M≧2、N≧2、1≦a≦M、1≦b≦Nであるステップと、ステップS2:ステップS1におけるL個の検出器の信号を第1のソース信号及び第2のソース信号に分割するステップと、ステップS3:2つの読出チャンネルA及びBを含む第1の信号伝送ラインを提供し、検出器の信号を第1の信号伝送ラインに入力し、第1の信号伝送ライン上の検出器の信号の間に少なくとも1つの第1の信号遅延ユニットを設けるステップと、ステップS4:2つの読出チャンネルC及びDを含む第2の信号伝送ラインを提供し、検出器の信号を第2の信号伝送ラインに入力し、第2の信号伝送ライン上の検出器の信号の間に少なくとも1つの第2の信号遅延ユニットを設けるステップと、ステップS5:4つの読出チャンネルA、B、C及びDからのパルスに基づいて、信号を生成するソース検出器をシンボル化し、最終的なパルス情報を取得するステップとを有する。本開示では、使用される電子チャンネルの数が少なくなり、PETシステム全体の工程の実現のコスト及び困難性が低減される。また、伝送ラインの時分割多重設計により、異なる位置の検出器によって出力される信号の波形と、読み出される波形とが1対1の形式で類似することが保証され、これによって、バックエンド読出回路のダイナミックレンジに対する要求が緩和される。更に、遅延ユニットを追加することによって、バックエンド読出回路の時間分解能に対する要求が大幅に緩和される。
【0028】
2.ステップS1において、M個のグループは、それぞれN個である同数の検出器を含み、M×N=L、M≧2、N≧2である。この技術的ソリューションにおいて、各行の検出器の数は、実際の状況に応じて、同じであってもよく、異なっていてもよく、このことは、本方法に影響を与えない。
【0029】
3.第1の信号伝送ライン及び第2の信号伝送ラインは、互いに直交しており、伝送ライン上の位置情報は、遅延ユニットによって分割される。この技術的ソリューションにおいて、信号は、直交する2本の伝送ラインに入力され、信号を出力する検出器の位置は、2本の伝送ライン上で判定された位置範囲に基づいて判定される。平面アレイ検出器の出力は、4つの読出チャンネルを介して取得される。
【0030】
4.第1の信号伝送ライン及び第2の信号伝送ラインには、空間位置が対応する2つの検出器グループがそれぞれ接続され、又は第1の信号伝送ライン及び第2の信号伝送ラインには、各検出器の2つの読出チャンネルがそれぞれ接続される。この技術的ソリューションは、検出器を伝送線路に接続する2つの手法を提供し、検出器の実際の状況に基づいて適切な手法を選択できる。例えば、検出器が2つの読出チャンネルを含む場合、2つの読出チャンネルを伝送ラインに接続する手法を選択できる。
【0031】
5.ステップS3では、a番目のグループの検出器の第1のソース信号を第1の信号として機能し、M個のグループからM個の第1の信号を生成し、M個の第1の信号を第1の信号伝送ラインに入力し、M個の第1の信号のうちの隣接する2つの第1の信号の間に、少なくとも1つの第1の信号遅延ユニットを設ける。この技術的ソリューションにより、遅延ユニットを追加することによって、バックエンド読出回路の時間分解能に対する要求が大幅に緩和される。
【0032】
6.第1の信号遅延ユニットが複数存在し、第1の信号遅延ユニットの少なくとも1つは、M個の第1の信号のうちの任意の2つの隣接する第1の信号の間に設けられる。この技術的ソリューションでは、各第1の信号に対して遅延ユニットを追加し、これにより、時間差の計算が容易になる。
【0033】
7.ステップS4において、M個のグループのそれぞれの第b番目の検出器の第2のソース信号を第2の信号として機能し、N個の第2の信号が生成され、N個の第2の信号が第2の信号伝送ラインに入力され、少なくとも1つの遅延ユニットは、N個の第2の信号の2つの隣接する第2の信号の間に設けられる。この技術的ソリューションにより、遅延ユニットを追加することによって、バックエンド読出回路の時間分解能に対する要求が大幅に緩和される。
【0034】
8.第2の信号遅延ユニットが複数存在し、第2の信号遅延ユニットの少なくとも1つは、N個の第2の信号のうちの任意の2つの隣接する第2の信号の間に設けられる。この技術的ソリューションでは、各第1の信号に対して遅延ユニットを追加し、これにより、時間差の計算が容易になる。
【0035】
9.ステップ5において、4つの読出チャンネルA、B、C、Dにおける各信号の到着時間を測定し、読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時間差と、読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時間差とを算出し、時間差に基づいて信号ソースの行番号及び列番号を判定し、2つの時間差を使用して信号を生成するソース検出器をシンボル化する。この技術的ソリューションでは、時間差を計算する手法が複数ある。4つのパルスに関する情報が最初にデジタル化される場合、4つの読出チャンネルにおける到着時間に基づいて時間差を計算できる。パルスの情報を可能な限り早くデジタル化することによって後続するアナログ回路からの干渉を低減できる。
【0036】
10.ステップS5において、減算回路によって、読出チャンネルA及びBのパルス間の差分パルス、並びに読出チャンネルC及びDのパルス間の差分パルスを取得し、読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時刻間の時間差、並びに読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時刻間の時間差を表す差分パルスのパルス幅を取得する。この技術的ソリューションでは、時間差を表すために差分パルスのパルス幅を使用できる。ある位相差でパルスが出力されると、そのパルスの差分パルスの幅を用いて位相差を表すことができる。この方法により、バックエンド読出回路のチャンネル数を減らすことができる。
【0037】
11.ステップ5において、減算回路によって、読出チャンネルA及びBのパルス間の差分パルス、並びに読出チャンネルC及びDのパルス間の差分パルスを取得し、取得した差分パルスの振幅によって、読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時刻間の時間差、並びに読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時刻間の時間差を表す。この技術的ソリューションでは、パルスの位相及び立ち上がり時間が適切である場合、差分パルスの振幅を用いて時間差を表すことができる。到着時間を測定する代わりに、ピーク検出を採用することによって、回路の複雑さを低減することができる。
【0038】
12.ステップ5において、読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時刻間の時間差をxとし、読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時刻間の時間差をyとし、確率分布関数g(x,y)を算出し、回路構造に基づいて、g(x,y)上のL個の検出器に対応する位置を算出し、g(x,y)上の隣接する検出器間の分離線を算出して、g(x,y)上の異なる検出器に対応する分布領域を区別する。この技術的ソリューションでは、回路構造のパラメータに基づいて確率分布関数上の検出器に対応する位置を計算することにより、試験プロセスにおける困難性が低減され、量産時の生産性が向上する。
【0039】
13.ステップ5において、読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時刻間の時間差をxとし、読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時刻間の時間差をyとし、確率分布関数g(x,y)を算出し、確率分布関数g(x,y)に基づいて、g(x,y)上のL個の検出器に対応する位置を算出し、g(x,y)上の隣接する検出器間の分離線を算出して、g(x,y)上の異なる検出器に対応する分布領域を区別する。この技術的ソリューションでは、異なる検出器の位置の間の分離線を用いて確率分布関数上の検出器に対応する分布領域を区別するため、システムの検出効率が向上する。各イベントは、位置によって判定される。
【0040】
14.ステップ5において、読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時刻間の時間差をxとし、読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時刻間の時間差をyとし、確率分布関数g(x,y)を算出し、回路構造に基づいて、g(x,y)上のL個の検出器に対応する位置を算出し、g(x,y)上の位置に対応する検出器の分布領域として、各位置の周囲の一定の領域を設定する。この技術的ソリューションでは、確率分布関数上の位置に対応する検出器の分布領域として、ある位置の周囲の一定の領域を設定することにより、誤認識されやすいイベントが排除され、信号対雑音比が改善される。
【0041】
15.ステップ5において、読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時刻間の時間差をxとし、読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時刻間の時間差をyとし、確率分布関数g(x,y)を算出し、確率分布関数g(x,y)に基づいて、g(x,y)上のL個の検出器に対応する位置を算出し、g(x,y)上の位置に対応する検出器の分布領域として、各位置の周囲の一定の領域を設定する。この技術的ソリューションでは、既存のデータに基づいて確率分布関数を取得する。この方法では、検出器アレイ内の様々な分布パラメータを反映させることができ、したがって、より正確な位置を得ることができ、これは検出器アレイにより適している。
【0042】
以下、本開示の実施形態又は従来技術に基づく技術的ソリューションをより明確に示すために、本開示の実施形態又は従来技術の説明において必要とされる図面について簡単に説明する。明らかに、以下に説明する図面は、本開示の実施形態の一部のみを示すものであり、当業者であれば、これらの図面に基づいて、創造的な努力なしに他の図面を想到できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】両端に読出回路が設けられた伝送ラインへのパルス信号の入力を示す概略図である。
図2図1の伝送ライン上に遅延ユニットを追加した概略図である。
図3】両端に読出回路を設けた伝送ラインにパルス信号を入力し、伝送ライン上に複数の遅延器を設けた概略図である。
図4】検出器の積層構造を示す概略図である。
図5】4×4の平面アレイを有する結晶アレイを示す概略図である。
図6】本開示に基づく検出器信号読出チャンネル多重化方法における検出器回路基板上の第1の信号伝送ラインの概略構成図である。
図7】本開示に基づく検出器信号読出チャンネル多重化方法における検出器回路基板上の第2の信号伝送ラインの概略構成図である。
図8】本開示に基づく検出器信号読出チャンネル多重化方法において、第1の信号伝送ラインが第2の信号伝送ラインに直交することを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本開示は、使用される電子チャンネルの数を減らし、バックエンド読出回路のダイナミックレンジに対する要求を効果的に低減し、及びバックエンド読出回路の時間分解能に対する要求を低減する検出器信号読出チャンネル多重化方法を提供する。
【0045】
図1に示すように、両端に読出回路を有する伝送ラインにパルス信号を入力する場合、パルス信号は、入力点から両端に向かって伝送される。図2では、伝送ライン上に1つの遅延ユニットを追加している。伝送ライン上の信号の伝搬速度は、遅延器を通過する信号の速度よりも遥かに高いので、2つの端部の読出チャンネルにおける信号の到着時間の時間差は、伝送ライン上の遅延ユニットに依存する。更に、図3では、伝送ラインに複数の遅延ユニットを追加している。遅延ユニットの時間遅延は、入力点間で信号を送信する時間よりも遥かに大きいので、伝送ラインに入力される信号は、両端の各信号の到着時間の時間差に基づいて複数のグループにグループ分けされ、信号の時間差を測定することによって、すなわち、伝送ラインに信号が入力された位置区間(隣接する2つの遅延器の間の位置区間)を判定できる。図3において、参照符号100は、クリスタルアレイを示し、参照符号200は、シリコン光電子倍増管(silicon photomultiplier:SiPM)検出回路基板、参照符号300は、SIPM検出回路基板2を示している。
【0046】
上述のプロトタイプは、PET検出器に適用される。検出器には多くの種類があり、例えば、シリコン光電子増倍管(SiPM)検出器を用いることができる。SiPM検出器は、シリコン光電子増倍管(SiPM)回路基板と、SiPM回路基板上に結合されたクリスタルアレイとを含む。検出器の積層構造は、図4に示すとおりである。
【0047】
図5は、4×4の平面アレイを有する結晶アレイを示す概略図である。本開示による技術的ソリューションは、結晶アレイを例として説明される。
【0048】
図6図8において、参照符号400は、読出チャンネル、参照符号500は、伝送ライン、参照符号600は、遅延ユニット、参照符号700は、SIPMを示している。本開示による検出器信号読出チャンネル多重化方法は、ステップS1からステップS5を含む。
【0049】
ステップS1では、L個の検出器の信号をM個のグループにグループ分けする。各グループにおける検出器の数は、少なくとも2個、多くともN個であり、a番目のグループの検出器の信号数をP(a)とし、
【数3】
であり、a番目のグループのb番目の検出器の信号をSignal(a,b)と示し、ここで、M≧2、N≧2、1≦a≦M、1≦b≦Nである。
【0050】
ステップS2では、ステップS1におけるL個の検出器の信号を第1のソース信号及び第2のソース信号に分割する。
【0051】
ステップS3では、2つの読出チャンネルA、Bを含む第1の信号伝送ラインを提供し、検出器の信号を第1の信号伝送ラインに入力し、第1の信号伝送ライン上の各検出器の信号の間に少なくとも1つの第1の信号遅延ユニットを設ける。
【0052】
ステップS4では、2つの読出チャンネルC及びDを含む第2の信号伝送ラインを提供し、検出器の信号を第2の信号伝送ラインに入力し、第2の信号伝送ライン上の検出器の信号の間に少なくとも1つの第2の信号遅延ユニットを設ける。
【0053】
ステップ5では、信号を生成するソース検出器をシンボル化し、4つの読出チャンネルA、B、C及びDからのパルスに基づいて最終的なパルス情報を取得する。
【0054】
本開示では、使用される電子チャンネルの数が低減され、これにより、PETシステム全体の工程実施のコスト及び困難性が低減される。また、伝送ラインの時分割多重設計により、異なる位置の検出器によって出力される信号の波形と、読み出される波形とが1対1の形式で類似することが保証され、これによって、バックエンド読出回路のダイナミックレンジに対する要求が緩和される。更に、遅延ユニットを追加することによって、バックエンド読出回路の時間分解能に対する要求が大幅に緩和される。
【0055】
ステップS1において、M個のグループに含まれる検出器の数は、同じであってもよく、異なっていてもよい。M個のグループが同数の検出器を含む場合、この同数をNと表すことができ、M×N=L、M≧2、N≧2である。各行の検出器の数は、実際の状況に依存し、これらが同じであるか異なるかは、本方法に影響を与えない。
【0056】
第1の信号伝送ライン及び第2の信号伝送ラインは、互いに直交しており、伝送ライン上の位置情報は、遅延ユニットによって分割される。ステップS3及びステップS4では、第1の信号伝送ライン及び第2の信号伝送ラインには、空間位置が対応する2つの検出器グループがそれぞれ接続される。あるいは、各検出器の2つの読出チャンネルは、第1の信号伝送ライン及び第2の信号伝送ラインにそれぞれ接続される。このように、直交する2本の伝送ライン(2本の伝送ラインが直交する場合、それぞれを行伝送ライン及び列伝送ラインと呼ぶことがある)を設け、伝送ラインを分割する遅延器に基づいて、伝送ライン上の位置(検出器グループ)を決定する。空間位置が対応する2つの検出器グループは、それぞれ2つの伝送ラインに接続してもよく、各検出器の2つの読出チャンネルを2つの伝送ラインにそれぞれ接続してもよい(この場合、2つの読出信号は、空間位置が対応する信号とみなすこともできる)。この技術的ソリューションでは、各信号が2つの直交する伝送ラインに入力され、信号を出力する検出器の位置は、2つの伝送ライン上の決定された位置範囲に基づいて決定され、4つの読出チャンネルを介して平面アレイ検出器の出力が取得される。
【0057】
検出器は、SiPM検出器、フォトダイオード検出器、又は1つの出力チャンネルのみを有する他の検出器であってもよい。光電子増倍管(PMT)のような1つの出力チャンネルのみを有する検出器には、2つのプロセスを適用できる。プロセスaでは、空間位置が対応する2つの検出器グループを2つの伝送ラインにそれぞれ接続する。プロセスbでは、アナログ回路を介して各出力信号を2つの信号に分割し、2つの信号を2本の伝送ラインにそれぞれ入力する。シリコン光電子増倍管(略称SiPM)検出器のような2つの出力チャンネルを有する検出器の場合、各信号は、アノード及びカソードの2つのチャンネルから同時に読み出すことができる。SiPMを行及び列に配置すると、各信号をアノード及びカソードから出力して2つの信号を生成できる。すなわち、第1のソース信号及び第2のソース信号は、同じ検出器から出力してもよく、空間位置が対応する2つの検出器から出力してもよい。
【0058】
ステップS3では、a番目のグループの検出器の第1のソース信号を第1の信号として機能し、M個のグループからM個の第1の信号を生成する。M個の第1の信号は、第1の信号伝送ラインに入力される。M個の第1の信号のうちの隣接する2つの第1の信号の間に、少なくとも1つの第1の信号遅延ユニットを設ける。この技術的ソリューションにより、遅延ユニットを追加することによって、バックエンド読出回路の時間分解能に対する要求が大幅に緩和される。
【0059】
ステップS4では、M個のグループのそれぞれのb番目の検出器の第2のソース信号を第2の信号として機能し、N個の第2の信号を生成する。N個の第2の信号は、第2の信号伝送ラインに入力される。N個の第2の信号の2つの隣接する第2の信号の間に、少なくとも1つの遅延ユニットを設ける。この技術的ソリューションでは、遅延ユニットを追加することによって、バックエンド読出回路の時間分解能に対する要求が大幅に緩和される。
【0060】
複数の第1の信号遅延ユニットと、複数の第2の信号遅延ユニットとを設けてもよく、M個の第1の信号のうちの任意の2つの隣接する第1の信号の間に少なくとも1つの第1の信号遅延ユニットを設け、N個の第2の信号のうちの任意の2つの隣接する第2の信号の間に少なくとも1つの第2の信号遅延ユニットを設ける。この技術的ソリューションでは、各第1の信号に対して遅延ユニットを追加し、これにより、時間差の計算が容易になる。
【0061】
図4に示すように、γ光子がシンチレーション結晶を介して可視光光子に変換されるとき、2つの端部の検出器によって可視光光子が検出される。両端の検出回路に接続された伝送ラインは、互いに直交しており、2つの伝送ラインの位置情報を介してγ光子を変換する結晶ストリップを決定でき、すなわち、γ光子の入射位置が検出される。更に、2つの検出器によって検出された波形を比較することによって、エネルギ位置深度(DOI)に関する情報を得ることもできる。
【0062】
ステップS5は、4つの読出チャンネルA、B、C、Dにおける信号の到着時間を測定し、読出チャンネルA及びBにおける信号の到着時間の時間差を算出し、読出チャンネルC及びDにおける信号の到着時間の時間差を算出し、時間差に基づいて信号ソースの行番号及び列番号を判定し、2つの時間差を使用して信号を生成するソース検出器をシンボル化することによって実現される。この技術的ソリューションでは、時間差は、複数の手法で算出できる。4つのパルス情報が最初にデジタル化される場合、4つの読出チャンネルにおける到着時間に基づいて時間差を算出できる。可能な限り早くパルスをデジタル化することによって、後続するアナログ回路からの干渉を低減できる。
【0063】
時間差を取得する手法は、以下に限定されるわけではないが、以下の2つを含む。
【0064】
第1の手法では、減算回路が、読出チャンネルA及びBのパルス間の差分パルスと、読出チャンネルC及びDのパルス間の差分パルスとを取得し、差分パルスのパルス幅を用いて、読出チャンネルA及びBの間の信号の到達時間の時間差と、読出チャンネルC及びDの間の信号の到達時間の時間差とを表現する。差分パルスのパルス幅は、時間差を表すために使用される。同じパルスが一定の位相差で出力される場合、パルスの差分パルスの幅を用いて位相差を表すことができる。バックエンド読出回路のチャンネル数は、第1の手法によって削減できる。
【0065】
第2の手法では、ステップS5において、減算回路が、読出チャンネルA及びBのパルス間の差分パルスと、読出チャンネルC及びDのパルス間の差分パルスとを取得し、差分パルスの振幅を用いて、読出チャンネルA及びBの間の信号の到達時間の時間差と、読出チャンネルC及びDの間の信号の到達時間の時間差とを表現する。パルスの位相及び立ち上がりエッジ時間が適切である場合、差分パルスの振幅を用いて時間差を表すことができる。到着時間を測定する代わりに、ピーク検出を採用して回路の複雑さを低減できる。
【0066】
時間差に基づいて信号ソースの行番号及び列番号を決定し、2つの時間差に基づいて信号を生成するソース検出器をシンボル化することは、以下のような手法で実施される。
【0067】
第1の手法では、ステップS5において、読出チャンネルA及び読出チャンネルBの時間差をxとし、読出チャンネルC及び読出チャンネルDの時間差をyとし、確率分布関数g(x,y)を算出し、確率分布関数g(x,y)に基づいてg(x,y)上のL個の検出器に対応する位置を算出し、g(x,y)上の隣接する検出器間の分離線を算出し、g(x,y)上の異なる検出器に対応する分布領域を区別する。この確率分布関数は、後に、検出器の位置を認識するための基準となる。確率分布関数に従って検出器の位置を算出でき、検出器に対応する位置は、何らかの計算法によって確率分布関数上で「認識」される(例えば、白い斑点、白い斑点の周囲の領域、例えば、四角形内の領域を検出器に対応する位置として設定する)。後にパルスが検出されると、得られた(x,y)の値を確率密度グラフと照合し、このパルスのソースとなる検出器が判定又は区別される。異なる検出器の位置間の分離線は、確率分布関数上の検出器に対応する分布領域を区別するために使用され、これによりシステムの検出効率が改善される。各イベントは、位置によって決定される。
【0068】
第2の手法では、読出チャンネルA及び読出チャンネルBの時間差をxとし、読出チャンネルC及び読出チャンネルDの時間差をyとし、確率分布関数g(x,y)を算出し、回路構造に基づいてg(x,y)上のL個の検出器に対応する位置を算出し、g(x,y)上の隣接する検出器間の分離線を算出し、g(x,y)上の異なる検出器に対応する分布領域を区別する。検出器アレイ内の特定の検出器がパルス信号を出力すると、この信号は、4つの読出チャンネルで検出され、2つの時間差x、yが算出される。確率密度関数を使用して、検出器の位置を認識できる。アレイ内の特定の検出器に対応する値(x,y)は、回路構造に基づいて取得することもできる。伝送ライン内のパルスの伝播速度は、演算によって求めてもよく、一定としてもよい。したがって、伝送ラインにおける検出器の信号の2つの読出チャンネルへの伝播距離に基づいて、その検出器に対応する時間差(x,y)を算出できる。この時間差(x,y)は、後のデータ収集におけるパルスに対応する検出器の位置を取得するための基準とすることもできる。回路構成に基づいて検出器の位置情報の較正を行うことができる。確率密度関数上の検出器に対応する位置を回路構造のパラメータに基づいて計算することにより、試験プロセスの困難性が低減され、量産時の生産性が向上する。
【0069】
第3の手法では、ステップS5において、読出チャンネルA及び読出チャンネルBの時間差をxとし、読出チャンネルC及び読出チャンネルDの時間差をyとし、確率分布関数g(x,y)を算出し、回路構造に基づいてg(x,y)上のL個の検出器に対応する位置を算出し、その位置の周囲の一定の領域をg(x,y)上の対応する検出器の分布領域とする。その位置の周囲の一定の領域を確率分布関数上の対応する検出器の分布領域として設定することにより、誤認識されやすいイベントが排除され、信号対雑音比が改善される。
【0070】
第4の手法では、ステップS5において、読出チャンネルA及び読出チャンネルBの時間差をxとし、読出チャンネルC及び読出チャンネルDの時間差をyとし、確率分布関数g(x,y)を算出し、確率分布関数g(x,y)に基づいてg(x,y)上のL個の検出器に対応する位置を算出し、その位置の周囲の一定の領域をg(x,y)上の対応する検出器の分布領域とする。既存データに基づいて確率分布関数を求めることにより、検出器アレイ内の様々な分布パラメータを反映させることができ、したがって、より正確な位置を得ることができ、これは検出器アレイにより適している。
【0071】
上述した第3の手法及び第4の手法において、「一定の領域」は、以下のように定義される。
【0072】
1.確率分布関数において、検出器の決定された位置を中心とする半径Rの円を「一定の領域」とする。隣接する2つの検出器に対応する領域は、互いに重ならない。Rは、検出器に対応する斑点上に2次元ガウス曲面フィッティングを実行し、ガウス曲面フィッティングの関数の最大値の半分に相当する半径をRとすることによって求めてもよい。Rは、他の手法で判定してもよく、具体的な値は、実際の状況に応じて合理的に判定される。
【0073】
2.確率分布関数において、検出器の位置に対応する斑点が、ある値(例えば、最大値の1/3)より大きい領域を「一定の領域」とし、特定の値は、実際の状況に応じて合理的に決定される。
【0074】
第1の手法及び第2の手法が採用される場合、すなわち、分離線を用いて、異なる検出器に対応する位置を区別する場合、この後に取得される全ての情報は、対応する検出器、すなわち対応する位置に分類される。2つの手法では、検出器は、より高い感度を有し、すなわち、検出されるパルスは、いずれも「無駄」にならない。
【0075】
この多重化方法では、新たな検出パルスの時間差が、較正された位置情報の複数の点(x,y)に高度に一致する場合、どの点が時間差に最も適合しているかを判断することは困難であることがある。例えば、パルス情報がどの検出器に属するかを判定する際に、分離線に近いパルス情報は、正方形の真ん中のパルス情報に比べて、誤判定の可能性が高い。この場合、「この位置を中心とした一定の領域をg(x,y)上の対応する検出器の分布領域として設定する」第3、第4の手法では、位置の誤判定の可能性が高いパルスを直接的に除外することによって位置情報の誤りを低減できる。
【0076】
確率分布関数g(x,y)は、直接的には得られないが、統計的演算で得ることができる。まず一定量のデータを取得する必要がある。10,000個のパルスを検出すると、10,000個の(x,y)を取得することができ、表現に要求される精度の確率又は数で、10,000対の(x,y)をカウントする必要がある。例えば、ある特定の(x,y)における時間差の数が100個であり、別の(x,y)における時間差の数が50個である場合、得られた3次元グラフは、確率密度関数を表し、幾つかのデータを取得することによって確率密度関数を得て、検出器の位置情報を較正することができる。
【0077】
上述したように、上記の実施形態は、本開示の技術的ソリューションを説明することのみを意図しており、本開示を限定するものではない。本開示は、上述の実施形態を参照して詳細に説明されているが、当業者であれば、上記実施形態の技術的ソリューションに変更を加えることができ、技術的ソリューションの幾つかの技術的特徴を同等に置き換えることができ、これらの変形又は置換は、本発明の実施形態の技術的ソリューションの精神及び範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】