(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-524637(P2018-524637A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(54)【発明の名称】スマートコンタクトレンズ及びスマート眼鏡
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20180803BHJP
G02C 11/00 20060101ALI20180803BHJP
A61B 3/10 20060101ALI20180803BHJP
A61F 9/007 20060101ALI20180803BHJP
A61M 37/00 20060101ALI20180803BHJP
【FI】
G02C7/04
G02C11/00
A61B3/10 Z
A61F9/007 170
A61M37/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2018-507476(P2018-507476)
(86)(22)【出願日】2016年4月25日
(85)【翻訳文提出日】2017年11月27日
(86)【国際出願番号】KR2016004295
(87)【国際公開番号】WO2016171529
(87)【国際公開日】20161027
(31)【優先権主張番号】10-2015-0058154
(32)【優先日】2015年4月24日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.アンドロイド
(71)【出願人】
【識別番号】517370537
【氏名又は名称】ファイ・バイオメッド・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】セ・クワン・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・チョル・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ボム・ホ・ムン
(72)【発明者】
【氏名】コン・ジェ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドヒ・クム
(72)【発明者】
【氏名】ス・ジン・キム
【テーマコード(参考)】
2H006
4C167
4C316
【Fターム(参考)】
2H006BB03
2H006BB07
2H006BB08
2H006BC00
4C167AA80
4C167BB23
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4C316AB07
4C316AB13
4C316AB14
4C316FC14
4C316FZ02
4C316FZ03
(57)【要約】
本出願は、眼疾患をリアルタイムで非侵襲的に感知可能なセンサーと薬物貯蔵所を含むスマートコンタクトレンズ及び前記スマートコンタクトレンズを制御するスマート眼鏡を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾病マーカーを感知し得るプローブが固定されたセンサー;及び
眼球に接触するコンタクトレンズの内側面に外側に向けて引き入れられた形態の薬物ウェルに形成され、前記薬物ウェルは、金を含む電極パターンにより密封されている薬物貯蔵所を含み、
前記センサーで疾病マーカーを感知したとき、薬物貯蔵所の電極パターンの金が生体内の塩素にとけてAuCl4−になりつつ薬物貯蔵所がオープンすることを特徴とするコンタクトレンズ。
【請求項2】
コンタクトレンズは、シリコーンハイドロゲル(Silicon hydrogel)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリ(乳酸−グリコール酸)(PLGA)、ポリビニルピロリドン(PVP)またはポリ酢酸ビニル(PVA)を基盤とすることを特徴とする、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項3】
疾病マーカーは、一酸化窒素(NO)、血管表皮成長因子(VEGF)、表皮生長因子(EGF)、葡萄糖ラクトース、水分含有量、FAD(flavin adenine dinucle)、BSA(Bandeiraea simplicifolia agglutinin)、過酸化水素、酸素、アスコルビン酸塩(ascorbate)、リゾチーム(lysozyme)、鉄分、糖、ラクトフェリン(lactoferrin)、リン脂質(phospholipid)、滲透圧及び眼圧からなるグループから選択された一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項4】
疾病マーカーは、一酸化窒素(NO)、血管表皮成長因子(VEGF)または糖であることを特徴とする、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項5】
プローブは、ヘミン(hemin)、アプタマー、グルコースオキシダーゼ、抗原、抗体、RNA及びDNAからなるグループから選択された一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項6】
プローブは、ヘミン(hemin)、アプタマーまたはグルコースオキシダーゼであることを特徴とする、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項7】
センサーは、疾病マーカーがプローブに結合して現われる電流の変化を感知することを特徴とする、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項8】
薬物貯蔵所は、薬物;または薬物を放出し得る薬物伝達体、及び薬物放出制御物質を含むことを特徴とする、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項9】
薬物は、タンパク質薬物であり、薬物伝達体は、前記タンパク質薬物を発現するウイルスベクターであることを特徴とする、請求項8に記載のコンタクトレンズ。
【請求項10】
ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、パルボウイルスベクター、セムリキ森林ウイルス(semiliki forest virus)ベクター、カナリア痘ウイルス(canarypox virus)ベクター、ワクチニアウイルス(vaccinia virus)ベクター、鶏痘ウイルス(vowlpox virus)ベクター、シンドビスウイルス(sindbis virus)ベクター、アデノウイルスベクター、ピコドナウイルスベクター及びアルファウイルスベクターからなるグループから選択される一つ以上を含むことを特徴とする、請求項9に記載のコンタクトレンズ。
【請求項11】
ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターであることを特徴とする、請求項9に記載のコンタクトレンズ。
【請求項12】
ウイルスベクターは、タンパク質薬物を暗号化する核酸配列を一つ以上含むDNAカセットを含む組換えベクターにより製造された組換えウイルスであることを特徴とする、請求項9に記載のコンタクトレンズ。
【請求項13】
タンパク質薬物は、VEGFR及びPDGFRであることを特徴とする、請求項12に記載のコンタクトレンズ。
【請求項14】
タンパク質薬物は、Fcが連結されている融合タンパク質であることを特徴とする、請求項13に記載のコンタクトレンズ。
【請求項15】
DNAカセットは、転写/翻訳開始核酸配列を介して連結された、VEGFR−Fcを暗号化する核酸配列と、PDGFR−Fcを暗号化する核酸配列と、を含むことを特徴とする、請求項14に記載のコンタクトレンズ。
【請求項16】
転写/翻訳開始核酸配列は、IRES(internal ribosome entry site)核酸配列であることを特徴とする、請求項15に記載のコンタクトレンズ。
【請求項17】
DNAカセットは、テトラサイクリンまたはドキシサイクリンにより移入遺伝子の発現が制御されることを特徴とする、請求項12に記載のコンタクトレンズ。
【請求項18】
疾病マーカーを感知し得るプローブが固定されたセンサー;及び薬物貯蔵所を含むコンタクトレンズの製造方法であって、
前記薬物貯蔵所は、(a)一面に非晶質シリコーン層が形成された透明基板の前記非晶質シリコーン層上にバッファー層を形成し、前記バッファー層の一部面に金を含む電極パターンを形成する段階;
(b)前記電極パターンが形成されないバッファー層、及び電極パターン上に薬物が受容される薬物ウェルを含む薬物ウェル層を形成する段階;
(c)前記薬物ウェル層上にプラスチック基板を積層する段階;
(d)非晶質シリコーン層が形成されない透明基板の一面にレーザーを照射して非晶質シリコーン層を分離する段階、を通じて製造されることを特徴とするコンタクトレンズの製造方法。
【請求項19】
段階(b)は、電極パターンが形成されないバッファー層、及び電極パターン上にSU8を形成した後、前記SU8をパターニングして開口部を有する薬物ウェルを形成し、
前記薬物ウェルの開口部は、電極パターン上に形成されることを特徴とする、請求項18に記載のコンタクトレンズの製造方法。
【請求項20】
段階(d)を実行した後、バッファー層をパターニングして薬物ウェルと接触する電極パターンを露出させる段階を追加して含むことを特徴とする、請求項18に記載のコンタクトレンズの製造方法。
【請求項21】
段階(d)を実行した後、薬物ウェル層上にSU8層を蒸着し、
前記SU8層及びバッファー層をパターニングして薬物ウェルと接触する電極パターンを露出させる段階を追加して含むことを特徴とする、請求項18に記載のコンタクトレンズの製造方法。
【請求項22】
バッファー層をパターニングして電極パターンを露出させるとき、部分的に電極パターンを露出させることを特徴とする、請求項20または請求項21に記載のコンタクトレンズの製造方法。
【請求項23】
疾病マーカーを感知し得るプローブが固定されたセンサー及び眼球に接触するコンタクトレンズの内側面に外側に向けて引き入れられた形態の薬物ウェルに形成され、前記薬物ウェルは金を含む電極パターンにより密封されている薬物貯蔵所を含むスマートコンタクトレンズ;及び
無線で電気的な信号を送信して前記スマートコンタクトレンズのセンサー及び薬物貯蔵所の駆動を調節するスマート眼鏡を含むことを特徴とするシステム。
【請求項24】
スマートコンタクトレンズのセンサーは、スマート眼鏡から送信された電気的な信号を通じて駆動し、
前記信号が受信されたセンサーでは、疾病マーカーがプローブに結合して現われる電流の変化を感知し、その結果をRF無線通信を通じて前記スマート眼鏡に送信することを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
スマートコンタクトレンズの薬物貯蔵所は、スマート眼鏡から送信された電気的な信号を通じて駆動し、前記信号が受信された薬物貯蔵所では、前記薬物貯蔵所を密封する電極パターンの金が塩素にとけてAuCl4−になりつつ前記電極パターンがオープンすることを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
スマート眼鏡の無線電気コイル(Witricity coil)から発生したパワーは、スマートコンタクトレンズの無線電気アンテナ(Witricity antenna)で受信され、ICチップの制御を通じて受信されたパワーをセンサー及び薬物貯蔵所の駆動に使用することを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
スマートコンタクトレンズは、外部の光を感知して電気に変換する光電素子(photocoltaic)を追加して含むことを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【請求項28】
スマートコンタクトレンズは、自家パワリングのためのフォトセル(photocell)を追加して含むことを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートコンタクトレンズ及びスマート眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートデバイスを小型軽量に制作して身体に装着することで利便性を向上させたスマートウェアラブルデバイス(Smart wearable device)に関する研究が非常に活発である。このようなスマートウェアラブルデバイスを本格的に研究して革新的な製品を市販しようとする代表的な会社としては、三星電子、アップル、グーグル、ナイキまたはアディダスなどがある。
【0003】
グーグルでは、グーグルグラス2.0(Google Glass 2.0)に引き続きスマートウォッチ(Smart watch)を発表したのであり、最近、スマートコンタクトレンズの開発を通じて新たに注目されている。このように世界の幾多の研究企業は、e−healthシステムの発展に伴って人間の疾病を診断して治療するために多様な電子機器を開発している。また、一層便利に疾病を治療して注射と薬物の服用を規則的にするために、簡便にスマートフォンを利用して薬物伝達システムを調節し得る診断システムを開発した。
【0004】
眼鏡は、主に視力の矯正または日光から目を保護するための安全の用途で使われている。現在提示された特殊眼鏡としては、電子機器を眼鏡に接合させて日常生活の便宜をはかったGoogle−Xのグーグルグラス、ReconのRecon Jet、Epson、Lumus、Vuzix、Oakley、Laster、Olympus、Digilens及びMicrosoft FortalezaとSonyで開発した電子機器眼鏡などがある。このような特殊眼鏡を通じて写真を撮ったりビデオまたはオーディオを録画し得、眼鏡を通じて特定の画面を表示し得る。しかし、このような特殊眼鏡は、長期間使用するにはサイズが大きくて重いので不便であるという短所がある。一番最新の特殊眼鏡は、optical head−mounted display(OHMD)technology技術を利用したグーグルグラスである。前記グーグルグラスは、多様な機能が搭載された万能特殊眼鏡であるが、一般的に使用するにはパワーを多量に消費し、遅い速度によりディスプレイ変換が遅く、非常に高価であるという短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国公開特許第2011−0127658号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
眼疾患のうちの一つである新生血管疾患は、失明をもたらし得る深刻な疾病として、復旧が不可能で且つ継続的に進行するので、体内で規則的かつ正確にリアルタイムに診断するためのシステムが必要である。したがって、新生血管であるとき、眼内で過量分泌される一酸化窒素、血管表皮成長因子(vascular endothelial growth factor、VEGF)または糖を感知し得るセンサーが要求される。しかし、現在までに開発されて来た多様なセンサーは、多様な酵素、細胞、抗原または組職のようなセンサーの一部が流体内で不安定性を示すので、ターゲット物質を感知するには低い感知度を示す。したがって、ヒトの体液内でターゲット物質を正確に感知する技術が必要である。
【0007】
また、眼球の疾患を治療するために眼に薬を投与する方法としては、眼薬、眼内注射及び手術を通じた薬物の挿入がある。しかし、眼薬の場合、涙による洗い出し現象により実際に眼球内には入る薬の量に限界があり、効率が非常に低い。眼内注射の場合、効率は良いが苦痛が連れる。手術を通じて薬物を挿入する場合は、多様な副作用が生ずる。したがって、効率を高めながら副作用を最小化するための薬物伝達システムが必要である。
【0008】
また、長期的な薬物の放出が必要な疾病の場合、規則的な薬物投与の複雑さを避けるために携帯電話やPCコントロールを利用した薬物伝達システムが必要である。現在、黄斑変性による視力消失を阻むために、遺伝的な治療を利用して血管表皮成長因子(VEGF)のような非正常的な血管増殖を誘発する多様な因子の活性を抑制する研究が行われているが、薬物の不安定性と低い効率による治療の限界により安定したウイルスベクターを利用した治療方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、疾病マーカーを感知し得るプローブが固定されたセンサー;及び眼球に接触するコンタクトレンズの内側面に外側に向けて引き入れられた形態の薬物ウェルに形成され、前記薬物ウェルは、金を含む電極パターンにより密封されている薬物貯蔵所を含み、前記センサーで疾病マーカーを感知したとき、薬物貯蔵所の電極パターンの金が生体内の塩素にとけてAuCl
4−になりつつ薬物貯蔵所がオープンするコンタクトレンズを提供する。
【0010】
また、本発明は、疾病マーカーを感知し得るプローブが固定されたセンサー;及び薬物貯蔵所を含むコンタクトレンズの製造方法であって、前記薬物貯蔵所は、(a)一面に非晶質シリコーン層が形成された透明基板の前記非晶質シリコーン層上にバッファー層を形成し、前記バッファー層の一部面に金を含む電極パターンを形成する段階;(b)前記電極パターンが形成されないバッファー層、及び電極パターン上に薬物が受容される薬物ウェルを含む薬物ウェル層を形成する段階;(c)前記薬物ウェル層上にプラスチック基板を積層する段階;(d)非晶質シリコーン層が形成されない透明基板の一面にレーザーを照射して非晶質シリコーン層を分離する段階を通じて製造されるコンタクトレンズの製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、疾病マーカーを感知し得るプローブが固定されたセンサー及び薬物貯蔵所を含むスマートコンタクトレンズ;及び無線で電気的な信号を送信して前記スマートコンタクトレンズのセンサー及び薬物貯蔵所の駆動を調節するスマート眼鏡を含むシステムを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、コンタクトレンズ内のセンサーを利用して疾病をリアルタイムで感知できるので、患者の疾病の進行状態を容易にかつ迅速に確認し得る。また、センサーは、高い安全性を有するので、流体内で長期間使用が可能であり、迅速な感知能力により一層正確に治療の可否を判断し得る。
【0013】
また、センサーを通じた一酸化窒素(NO)、血管表皮成長因子(VEGF)または糖のような眼球内疾病マーカーの感知技術は、多様な癌診断システムに応用可能である。
【0014】
コンタクトレンズ内に挿入される薬物貯蔵所は、電気的に調節して希望する時間に薬物の放出が可能なので、多様な眼疾患の治療のために適用され得る。
【0015】
前記薬物貯蔵所内に挿入されるレンチウイルスが発現するアフリベルセプト(Aflibercept)は、安定的で効果の高い眼球新生血管治療剤である。
【0016】
薬物貯蔵所を基盤とした電気的信号により調節可能な薬物伝達システムを利用して希望するときに、例えば、テトラサイクリンを放出し、前記テトラサイクリンによりon/offシステムで細胞内の薬物の生成が可能である。これを利用して眼疾患の治療に利用し得る。
【0017】
また、本発明では、生体内に存在する兔疫グロブリン(immunoglobulin)の特性を活用したハイブリッド(hybrid)Fcを治療物質に導入することで、既存の抗体治療に比べて生物学的活性と体内持続力が高く、ADCC及びCDC反応に誘導される細胞死滅機能を遮断するタンパク質の発現を基盤とした進歩された治療遺伝子の導入方法を構築し得る。これを通じて、臨床に近接した動物実験及びナノシステムを利用した遺伝子伝達システムの製作が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】糖センサーの構造を示した写真(a)、糖濃度による糖センサーのリアルタイムの電流変化を示したグラフ(b)、及び糖以外の物質に対する糖センサーの電流変化を示したグラフ(c)である。
【
図2】薬物貯蔵所の正面写真(a)、断面構造模式図(b)及びSEMイメージ(c)である。
【
図3】柔軟基板上に製作された薬物貯蔵所の動作のための電流測定方法及び結果を示した図である。
【
図4】薬物貯蔵所から薬物が放出される前後の写真(a)、蛍光ダイが放出された蛍光イメージ写真(b)、時間による電流変化とともに放出される薬物の濃度を示したグラフ(c、d)、及びmetforminとgenisteinを入れた薬物貯蔵所と薬物を入れない薬物貯蔵所のイメージ(f−h)である。
【
図5】スマートコンタクトレンズの構造及び送受信過程を示したイメージである。
【
図6】コンタクトレンズの特性評価結果を示した図である。
【
図7】Tetracyclineにより抗血管新生因子の発現が調節されるようにするためのレンチウイルスの発現システムのイメージである。
【
図8】レンチウイルスが感染した細胞でtherapeutic geneの発現をmRNA及びタンパク質水準で確認した結果を示した図である。
【
図9】DOxの有無によるVEGFR−Fc及びPDGFR−Fcの発現を測定したグラフである。
【
図10】動物モデルでのGFPを発現するレンチウイルスの眼球内発現の結果を示した図である。
【
図11】STZを利用して糖尿病性網膜変症の動物モデルが構築されたことを確認した結果を示した図である。
【
図12】VEGFR−Fc及びPDGFR−Fcを発現するレンチウイルスが糖尿病性網膜変症の動物モデルの眼内で新生血管形成の抑制効果があることを確認した結果を示した図である。
【
図13】コンタクトレンズの製作過程と無線電気を利用したエネルギーの供給及びコードレス通信を示したイメージである。
【
図14】コンタクトレンズとスマート眼鏡の模型イメージである。
【
図15】スマート眼鏡のアウトラインイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、疾病マーカーを感知し得るプローブが固定されたセンサー;及び眼球に接触するコンタクトレンズの内側面に外側に向けて引き入れられた形態の薬物ウェルに形成され、前記薬物ウェルは、金を含む電極パターンにより密封されている薬物貯蔵所を含み、前記センサーで疾病マーカーを感知したとき、薬物貯蔵所の電極パターンの金が生体内の塩素にとけてAuCl
4−になりつつ薬物貯蔵所がオープンするコンタクトレンズを提供する。
【0020】
本発明でコンタクトレンズは、シリコーンハイドロゲル(Silicon hydrogel)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリ(乳酸−グリコール酸)(PLGA)、ポリビニルピロリドン(PVP)またはポリ酢酸ビニル(PVA)の高分子を基盤とし得る。具体的に、前記コンタクトレンズは、シリコーンハイドロゲル(Silicon hydrogel)またはポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)を基盤とし得る。
【0021】
本発明によるコンタクトレンズは、内部にセンサー及び薬物貯蔵所を含む。
【0022】
本発明でセンサーは、疾病マーカーを感知し得るプローブが固定されて前記プローブが疾病マーカーを感知することで疾病の有無を判断し得る。
【0023】
前記疾病マーカーの種類は特別に制限されず、一酸化窒素(NO)、血管表皮成長因子(VEGF)、表皮生長因子(EGF)、葡萄糖ラクトース、水分含有量、FAD(flavin adenine dinucle)、BSA(Bandeiraea simplicifolia agglutinin)、過酸化水素、酸素、アスコルビン酸塩(ascorbate)、リゾチーム(lysozyme)、鉄分、糖、ラクトフェリン(lactoferrin)、リン脂質(phospholipid)、滲透圧及び眼圧からなるグループから選択された一つ以上であり得、具体的に、一酸化窒素(NO)、血管表皮成長因子(VEGF)または糖であり得る。
【0024】
また、プローブの種類は特別に制限されず、ヘミン(hemin)、アプタマー、グルコースオキシダーゼ、抗原、抗体、RNA及びDNAからなるグループから選択された一つ以上であり得、具体的に、ヘミン(hemin)、アプタマーまたはグルコースオキシダーゼであり得る。
【0025】
本発明でセンサーは、疾病マーカーがプローブに結合して現われる電流の変化を感知して疾病の有無を判断し得る。
【0026】
一具体例で、センサーは、一酸化窒素(NO)センサー、血管表皮成長因子(vascular endothelial growth factor、VEGF)センサーまたは糖センサーであり得る。
【0027】
本発明では、前記一酸化窒素(NO)センサー、VEGFセンサーまたは糖センサーを使用してヒトの体液内で疾患を正確に感知し得る。
【0028】
前記一酸化窒素(NO)センサーは、一酸化窒素(NO)のみを選択的に感知するPoly(3、4−ethylenedioxythiophene)(PEDOT)チャンネルを基盤としたセンサーにヘミン(hemin)分子を結合させて製造し得る。PEDOTとヘミン分子のパイパイ(π−π)電子結合により高い安全性を有し、ヘミンの一酸化窒素に対する高い結合力により前記センサーは流体内の一酸化窒素をリアルタイムで高い感知度で感知し得る。
【0029】
また、VEGFセンサーは、ナノワイヤ半導体と炭素ナノチューブ基盤のトランジスターを利用して高感度と正確性を有し、即刻的にVEGFの感知が可能である。具体的に、VEGFセンサーは、n−typeとp−typeの炭素ナノチューブトランジスターのゲートにanti−VEGFアプタマーが結合され、前記アプタマーにVEGF分子が結合されてVEGFを感知し得る。
【0030】
一具体例で、上述のセンサーは、ASICチップと連結されて無線通信を可能にし得る。前記センサーは、ASICチップを通じて後述するスマート眼鏡から送信される電気的な信号を感知(受信)して駆動可能であり、また、センサーで感知された結果をスマート眼鏡に送信して前記スマート眼鏡で薬物貯蔵所の駆動を調節するように誘導し得る。
【0031】
本発明で薬物貯蔵所は、薬物ウェルに形成され得る。前記薬物ウェルは、眼球に接触するコンタクトレンズの内側面が外側に向けて引き入れられた形態を有し、前記薬物ウェルは、金を含む電極パターンにより密封され得る。
【0032】
一具体例で、前記薬物貯蔵所は、薬物;または薬物を放出し得る薬物伝達体及び薬物放出制御物質を含み得る。
【0033】
ここで、薬物は、タンパク質薬物であり得、薬物伝達体は、前記タンパク質薬物を発現するウイルスベクターであり得る。
【0034】
前記ウイルスベクターの種類は特別に制限されず、レトロウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、パルボウイルスベクター、セムリキ森林ウイルス(semiliki forest virus)ベクター、カナリア痘ウイルス(canarypox virus)ベクター、ワクチニアウイルス(vaccinia virus)ベクター、鶏痘ウイルス(vowlpox virus)ベクター、シンドビスウイルス(sindbis virus)ベクター、アデノウイルスベクター、ピコルナウイルスベクター及びアルファウイルスベクターからなるグループから選択される一つ以上であり得る。具体的に、前記ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターであり得る。
【0035】
一具体例で、ウイルスベクターは、組換えベクターにより製造された組換えウイルスであり得る。前記組換えウイルスは、タンパク質薬物を暗号化する核酸配列を一つ以上含むDNAカセットを含み得る。ここで、タンパク質薬物は、VEGFR及びPDGFRであり得、前記タンパク質薬物は、Fcが連結されている融合タンパク質であり得る。
【0036】
すなわち、DNAカセットは、転写/翻訳開始核酸配列を介して連結された、VEGFR−Fcを暗号化する核酸配列と、PDGFR−Fcを暗号化する核酸配列と、を含み得る。
【0037】
前記転写/翻訳開始核酸配列は、IRES(internal ribosome entry site)核酸配列であり得る。
【0038】
本発明で用語「IRES(internal ribosome entry site)」は、内部リボソーム流入点とも言い、真核細胞で一つのmRNAから多くのタンパク質の合成が可能にリボソームが直接結合するmRNA内部に存在している特定領域を意味する。
【0039】
一具体例で、DNAカセットは、テトラサイクリンまたはドキシサイクリンにより移入遺伝子の発現が制御され得る。
【0040】
本発明による薬物貯蔵所で、電極パターンは金を含み得る。具体的に、前記電極パターンは、陽極であり得、Ti/Au/Tiの構成を有し得る。
【0041】
本発明の薬物貯蔵所は、後述するスマート眼鏡から送信された電気的な信号を感知(受信)すると、電極パターンの金が塩素にとけてAuCl
4−になりつつ前記電極パターンがオープンされて薬物貯蔵所内の薬物などが外部に放出され得る。
【0042】
また、本発明は、疾病マーカーを感知し得るプローブが固定されたセンサー;及び薬物貯蔵所を含むコンタクトレンズの製造方法であって、前記薬物貯蔵所は、(a)一面に非晶質シリコーン層が形成された透明基板の前記非晶質シリコーン層上にバッファー層を形成し、前記バッファー層の一部面に金を含む電極パターンを形成する段階;(b)前記電極パターンが形成されないバッファー層、及び電極パターン上に薬物が受容される薬物ウェルを含む薬物ウェル層を形成する段階;(c)前記薬物ウェル層上にプラスチック基板を積層する段階;(d)非晶質シリコーン層が形成されない透明基板の一面にレーザーを照射して非晶質シリコーン層を分離する段階を通じて製造されるコンタクトレンズの製造方法を提供する。
【0043】
段階(a)では、透明基板、非晶質シリコーン層及びバッファー層が順次に形成されている構造のバッファー層上に電極パターンを形成する。
【0044】
一具現例で、透明基板は、レーザーが透過可能なものであれば、その種類は特別に制限されず、ガラスまたはサファイアであり得る。非晶質シリコーン層は、水素が含有された非晶質シリコーン層(a−Si:H)であり得る。前記透明基板及び非晶質シリコーン層上にレーザーを照射すると、非晶質シリコーン層内の水素は気化して、前記非晶質シリコーン層は透明基板から分離される性質を有し得る。
【0045】
前記非晶質シリコーン層上に形成されるバッファー層は、レーザーから発生する熱と圧力を阻むことが可能なものであれば、その種類は特別に制限されず、例えば、二酸化珪素(SiO
2)を含み得る。後述する透明基板を通じてレーザーの照射時にレーザーはバッファー層を透過せず、前記レーザーの光学的エネルギーは熱エネルギーに転換されて、非晶質シリコーン層内の水素を気化し得る。
【0046】
一具体例で、バッファー層上に積層される電極パターンは、四角形態の陽極と前記陽極に共通して連結された陰極からなり、前記電極パターンは、複数個の陽極がアレイを成す形態であり得る。前記電極パターンのうち陽極は金を含み得、具体的に、Ti/Au/Tiで構成され得る。前記電極パターンの金は、電解質内で印加される電圧により電気分解されて除去され得る。したがって、前記電極パターンの陽極は、電圧により受容される薬物を伝達する通路のゲートとして利用できる。前記電極パターンは、バッファー層の一部面に形成され得る。
【0047】
本発明で段階(b)は、電極パターンが形成されないバッファー層及び電極パターン上に薬物が受容される薬物ウェルを含む薬物ウェル層を形成する段階である。
【0048】
一具体例で、薬物ウェル層は、SU8(またはSU−8ともいう)を含み得る。前記SU8は、ネガティブ(negative)のエポキシ類型である近紫外線(near−UV)フォトレジストであり得る。
【0049】
前記段階では、電極パターンが形成されないバッファー層、及び電極パターン上にSU8を形成した後、前記SU8をパターニングして開口部を有する薬物ウェルを形成し得る。この時、薬物ウェルの開口部は、電極パターン、具体的に、陽極のパターン上に形成可能であり、前記開口部により下部の電極パターンのうち陽極が露出し得る。SU8の濃度、Spin−coating条件、パターニングするマスクのサイズによって薬物ウェル(貯蔵所)のサイズを容易に調節し得る。
【0050】
本発明で段階(c)は、前記薬物ウェル層にプラスチック基板を積層する段階である。前記段階では、接着層が塗布されているフレキシブルプラスチック基板を薬物ウェル層に積層して薬物ウェルを密封し得る。前記塗布される形態の接着層の代わりに接着テープなどもプラスチック基板と薬物ウェル層の接着を目的として使用し得る。
【0051】
本発明で段階(d)は、非晶質シリコーン層が形成されない透明基板の一面にレーザーを照射して非晶質シリコーン層を分離する段階である。前記段階では、レーザーにより非晶質シリコーン層に含有された水素が気化し、前記非晶質シリコーン層に加わる圧力が増加しながら非晶質シリコーン及び透明基板が物理的、化学的に分離され得る。
【0052】
一具体例で、段階(d)を実行した後、バッファー層をパターニングして薬物ウェルと接触する電極パターンを露出させる段階を追加して実行し得る。
【0053】
また、一具体例で、段階(d)を実行した後、薬物ウェル層上にSU8層を蒸着して前記SU8層及びバッファー層をパターニングして薬物ウェルと接触する電極パターンを露出させる段階を追加して実行し得る。
【0054】
前記バッファー層をパターニングして電極パターンを露出させるときは、部分的に電極パターンを露出させ得る。
【0055】
また、バッファー層をパターニングする前に、人体親和的な金属、例えば、金(Au)を蒸着して電極層を追加して形成し、前記電極層を窓模様にパターニングした後、電極パターン(陽極)が現われるようにバッファー層をパターニングし得る。これは陽極が非常に薄くて支持できる層をバッファー層上に形成し、3次元構造にしてサイズを最小しながら陰極と陽極の距離を最小化することで低い電力で駆動させるためである。
【0056】
製造された薬物貯蔵所を体内に入れて陽極と陰極の間に電圧を加えると、電極パターンの陽極がPBSの塩素にとけてAuCl
4−になりつつ電極パターン(陽極)に穴が開いて貯蔵所内に封入された薬物が放出され得る。
【0057】
また、本発明では、疾病マーカーを感知し得るプローブが固定されたセンサー及び薬物貯蔵所を含むスマートコンタクトレンズ;及び無線で電気的な信号を送信して前記スマートコンタクトレンズのセンサー及び薬物貯蔵所の駆動を調節するスマート眼鏡を含むシステムを提供する。
【0058】
本発明では、最尖端state−of−the−artナノ材料とon−chip optoelectronics、complementary metal−oxide−semiconductor(CMOS)、フレキシブルでバイオ親和性が好ましいmicro electro−mechanical system(MEMS)及びnano electro−mechanical system(NEMS)技術を利用してマイクロ単位の長距離調節が可能なスマート眼鏡を提供し得る。
【0059】
前記スマート眼鏡で電気的なパワーは、hybrid autopowering(Miniaturized photovoltaic system for power harvesting)と無線inductive power transfer(Witricity)技術を利用して示現可能であり、スマート眼鏡にあるBluetooth(登録商標)、infra−red(IR)とradio frequency(RF)を利用して無線通信ができる。
【0060】
スマート眼鏡の駆動システムは、アンドロイドOSであり、OMAP 4430 SoC、dual−coreを利用したCPUと4GB RAMメモリーが装着され得る。ディスプレイ画面は、640×360ピクセルからなり、音響は、Bone conduction transducerを使用し得る。マイクを通じて音声を利用して光センサー、バイオセンサー、圧力、温度、アコースティックEMセンサーの機能を調節してスマートフォンやスマートウォッチ、PCとペアリングされ得る。パワーは、内蔵された100mAhリチウムイオン電池を使用し、自家パワリングのためにフォトセルが挿入され得る。総重量は、20g未満であり、Wi−Fi 802.11b/g、Bluetooth、micro USBが可能である。搭載されたカメラを利用してPhotos:>15MP;Videos:>720pが可能である。
【0061】
また、スマートコンタクトレンズでは、Application specificintegrated circuit(ASIC)チップを利用してセンサーと薬物貯蔵所を駆動することが可能であり、無線電気(WiTricity)と光電素子(photovoltaic)を利用してエネルギーの供給が受けられる。パワーの調節は、power management integrated circuit(PMIC)を利用して電圧と時間を適切に調節し得る。
【0062】
一具体例で、センサーは、スマート眼鏡から送信された電気的な信号を通じて駆動し、前記信号が受信されたセンサーでは、疾病マーカーがプローブに結合して現われる電流の変化を感知し、その結果をRF無線通信を通じて前記スマート眼鏡に送信し得る。
【0063】
また、一具体例で、薬物貯蔵所は、スマート眼鏡から送信された電気的な信号を通じて駆動し、前記信号が受信された薬物貯蔵所では、前記薬物貯蔵所を密封する電極パターンの金が塩素にとけてAuCl
4−になりつつ前記電極パターンがオープンし得る。
【0064】
前記スマート眼鏡の無線電気コイル(Witricity coil)から発生したパワーは、スマートコンタクトレンズの無線電気アンテナ(Witricity antenna)で受信され、ICチップの制御を通じて受信されたパワーをセンサー及び/または薬物貯蔵所の駆動に使用できる。
【0065】
また、スマートコンタクトレンズは、外部の光を感知して電気に変換する光電素子(photocoltaic)及び自家パワリングのためのフォトセル(photocell)を追加して含み、生産されたパワーをセンサー及び/または薬物貯蔵所の駆動に使用できる。
【0066】
[発明の実施のための形態]
以下、本発明を下記実施例により詳しく説明する。ただし、下記実施例は本発明の例示に過ぎず、本発明の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【0067】
製造例1.センサーの製作:糖センサーの製作
25μm厚さのpolyethylene terephthalate(PET)基板上に、作業電極(working electrode、WE)、基準電極(reference electrode、RE)及び相対電極(counter electrode、CE)の3種の電極をシャドーマスクを利用して蒸着した。伝導性電極は、20nmのチタン(Ti)、10nmのパラジウム(Pd)及び200nmの白金(Pt)で構成され、電子ビームメタル蒸着機を利用して蒸着した。追加として、REは、Ag/AgClインクとシャドーマスクを利用して200nmの銀(Ag)でコーティングした。
【0068】
また、20mg・mL
−1の濃度を有するようにglucose oxidase(GOX)をpoly(3、4−ethylenedioxythiophene)−polystyrene sulfonate(PEDOT−PSS)1000溶液と混ぜた後、前記溶液2μlを電極上にコーティングしてからtitanium isopropoxide vapor環境で固めた。
【0069】
本発明で、
図1の(a)は、本発明により製造された糖センサーのイメージである。
【0070】
実験例1.センサーの反応
上述した製造例1で製造された糖センサーに対して、糖濃度による時間別電流測定変化及び他の物質に対する電流変化を測定した。
【0071】
糖濃度による電流変化の場合、糖センサーとプローブステーションを連結した後に700mVをかけ、0、0.25、0.5、1、2及び4mMで糖の濃度を異にして投与した後、電流の変化を観察した。
【0072】
前記電流変化の結果を
図1に記載した。前記
図1の(b)は、糖濃度による糖センサーの時間別電流変化を測定した結果を示したグラフであり、
図1の(c)は、糖以外の物質に対する糖センサーの電流変化を測定した結果を示したグラフである。
【0073】
図1に示したように、糖の濃度に比例して電流が増加することが確認でき、糖以外の物質(BSA、Ovalbumin、Fe、NaCl、Lysozyme、Lipocalin及びKCl)では電流の変化が感知されなかった。
【0074】
製造例2.金箔薬物貯蔵所の製作
金箔薬物貯蔵所の製作は下記方法によって製作した。
【0075】
前記薬物貯蔵所は、
図13の(a)〜(g)による方法で製造した。
【0076】
まず、ガラス基板を準備して(
図13の(a))、前記ガラス基板に水素が含有された非晶質シリコーン層(a−Si:H)を蒸着し、前記非晶質シリコーン層上にバッファー層(二酸化珪素、SiO
2)を積層した後、前記バッファー層の一部面に電極パターンを積層した(
図13の(b))。前記電極パターンは、複数個の陽極がアレイを成して陰極が窓模様を成す形態であり得る。前記電極パターンのうち陽極は、金を含み、具体的に、Ti/Au/Tiであり得る。
【0077】
その後、前記電極パターンが形成されないバッファー層及び電極パターン上に薬物ウェル層(SU−8)を形成した後、パターニングして開口部を有する薬物ウェルを形成した。前記パターニングは、電極パターン上に形成された薬物ウェル層で実行され、前記開口部を通じて電極パターンのうち陽極が露出した(
図13の(c))。
【0078】
薬物ウェル層に薬物をローディングして(
図13の(d))、前記ウェル層上に接着層が塗布されているフレキシブルプラスチック基板(PET)を形成して薬物ウェルを密封した。
【0079】
その後、ガラス基板の後面にレーザーを印加するレーザーリフトオープン工程を進行させた(
図13の(e)−(f))。これによって、前記非晶質シリコーン層に含有された水素が気化し、非晶質シリコーン層に圧力が増加しながらガラス基板及び非晶質シリコーン層がバッファー層から分離された。
【0080】
その後、バッファー層をパターニングした後エッチングして、陰極及び/または陽極の一部を露出させて外部に電極を連結可能にした(
図13の(g))。
【0081】
また、本発明では、バッファー層をパターニングする前にSU−8を追加して積層した後、電極パターン(陽極)が露出するようにエッチングしてもよい。
【0082】
本発明で、
図2は、本発明により製造された薬物貯蔵所の正面写真(a)、断面構造模式図(b)及びSEMイメージ(c)を示す。前記
図2の(c)で、SU8−50及びSU8−5は、各々厚さが50μm及び5μmであることを意味する。
【0083】
前記
図2の(a)に示したように、本発明による方法を利用して薬物が多数の空間に別途に貯蔵された薬物貯蔵所を製造し得る。
【0084】
また、前記
図2の(b)及び(c)の構造を通じて、薬物貯蔵所の陽極と陰極の間に電圧を印加すると、電極パターンの陽極がPBSの塩素にとけてAuCl
4−になりつつ陽極に穴があき、貯蔵所内に封入された薬物が放出される。これによって、MEMS基盤の薬物伝達システムを具現し得る。
【0085】
実験例2.電気的な信号による薬物貯蔵所での薬物放出
上述した製造例2で製造された薬物貯蔵所を1.0mM、pH7.4PBSバッファー溶液に入れた後、5秒間1.8Vを陽極と陰極にかけた。
【0086】
本発明で、
図3は、薬物貯蔵所の電流変化を測定した結果である。
【0087】
具体的に、
図3の(a)は、薬物貯蔵所をベンディングする場合、薬物貯蔵所の作動に必要な電流を測定するために前記薬物貯蔵所を円柱上に付着した状態であり、
図3の(b)は、薬物貯蔵所を円柱上に配置した後のベンディング半径を示し、
図3の(c)は、薬物貯蔵所のベンディングによって薬物放出をするために必要な電流を測定した結果を示したグラフであり、
図3の(d)は、曲率半径が5、10、15、20または25mmであるPDMS((Polydimethylsiloxane)半球上に薬物貯蔵所を乗せたイメージ写真である。
【0088】
前記
図3に示したように、ベンディングに関係なく一定の電流下で薬物貯蔵所の薬物が放出されることが確認できる。
【0089】
また、本発明で、
図4は、薬物貯蔵所で薬物が放出される前後の写真(a)、蛍光ダイが放出された蛍光イメージ写真(b)及び時間による電流変化(c)とともに放出される薬物の濃度を示すグラフ(d−e)及びmetforminとgenisteinを入れた薬物貯蔵所と薬物を入れない薬物貯蔵所のイメージ(f−h)である。
【0090】
まず、(a)は、電気的な信号によって薬物貯蔵所から薬物が放出される前(左側写真)後(右側写真)の状態を示す。前記(a)を通じて電気的な信号の後に薬物貯蔵所から薬物が放出されつつ蛍光が発生することが確認できる。
【0091】
(b)は、電気的な信号によって薬物貯蔵所から薬物が放出される前(左側写真)後(右側写真)の蛍光イメージである。赤色染料が添加された薬物を利用した。(b)を通じて電気的な信号の後に薬物貯蔵所から薬物が放出されつつ蛍光が発生することが確認できる。
【0092】
(c)は、時間による電流変化を示すグラフであり、(d)〜(e)は、放出される薬物の濃度を示すグラフである。本発明では、metformin及びgenisteinを薬物貯蔵所に各々添加してその放出濃度を測定した。(d)〜(e)では、薬物貯蔵所内に薬物がないリザーバーw/o drug、薬物があるリザーバーw drugから放出される薬物の量を初めて薬物をローディングした量drug loadedと比較した。前記グラフに示したように、5回の電気的な信号を加える度に薬物貯蔵所を阻む金箔がとけつつ3M程度の薬物が放出されることが確認できる。
【0093】
また、(f)〜(h)は、metforminとgenisteinを入れた薬物貯蔵所と薬物を入れない薬物貯蔵所のイメージである。前記グラフを通じて薬物がない貯蔵所では薬物放出濃度が0であるが、薬物がある貯蔵所では薬物が最初ローディングした量と類似して放出されることが確認できる。
【0094】
製造例3.コンタクトレンズの製造
シリコーンを含む材料を利用してコンタクトレンズを製造した。
【0095】
まず、methacryloxypropyl−tris(trimethylsiloxy)silane 1mLを、N、N−Dimethyl acrylamide(DMA)0.62mL、methacryloxypropyl(MC)−PDMS macromere 1mL、methyl acrylic acid(MAA)0.3mL、エタノール0.1mL及びN−vinylpyrrolidone(NVP)0.2mLとともに窒素環境で15分間混ぜた。そして、ultraviolet(UV)initiatorであるTPO 12μgを入れて5分間混ぜて「溶液1」を製造した。
【0096】
対照群としては、シリコーンを使用せず、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)(poly(hydroxyethylmethacrylate)、PHEMA)1mLと架橋剤であるethylene glycol dimethacrylate(EGDMA)25μlをTPO12μgと混ぜて「溶液2」を製造した。
【0097】
前記製造された溶液1及び溶液2を0.2mLを特殊製作されたポリプロピレン(polypropylene、PP)モールド内でラジカル重合を実行した後、オゾンプラズマを利用してポリマーの表面を親水性にして、PBS溶液に保管した。
【0098】
その後、製造例1で製造された糖センサーをASICチップと連結して無線通信が可能にした後、前記PBS溶液にchipと連結されたセンサー及び製造例2で製造された薬物貯蔵所を入れて、ポリプロピレン(PP)モールド内でラジカル重合させてレンズを製造した。
【0099】
本発明で、
図5は、スマートコンタクトレンズの構造及び送受信過程を示すイメージである。
【0100】
前記
図5に示したように、前記コンタクトレンズは、センサー及び薬物貯蔵所(DDS)を含む構成を有する(
図5の(a)参照)。
【0101】
また、前記製造されたコンタクトレンズは、レンズ内にセンサーと連結されたチップにより無線通信が可能である(
図5の(b)参照)。
【0102】
実験例3.コンタクトレンズの特性
上述した製造例3で製造されたコンタクトレンズの特性を評価した。
【0103】
前記評価の結果を
図6に記載した。
図6で、Silicone hydrogelは、製造例3で溶液1を使用して製造されたレンズを意味し、PHEMAは、溶液2を使用して製造されたレンズを意味する。pHEMAは、市販のレンズであり、Lotrafilcon Aは、市販のシリコーン材質のレンズである。
【0104】
図6の(a)は、Silicone hydrogelの構造を示す。前記(a)から、添加されたモノマーが適切に重合されたことが分かる。
【0105】
図6の(b)は、レンズの分子構造を分析したグラフである。前記分子構造は、Attenuated total reflectance−Fourier transform infrared spectroscopy(ATR−FTIR)(TENSOR 27、Bruker)を利用して分析した。
【0106】
図6の(c)は、可視光線領域でのレンズの透過率(transmittance)を示すグラフである。前記透過率は、Vis spectrometer(SCINCO)を利用して測定した。測定結果を通じて可視光線領域でのレンズの透明度が確認できる。
【0107】
本発明による方法により製造されたSilicone hydrogel及びPHEMAは、400〜1000nm波長で約100%に近い透過率を示すことが確認できる。
【0108】
図6の(d)は、レンズ別平衡水分含量(equilibrium water content)を示すグラフである。前記平衡水分含量は、乾いたレンズの重さ(Wdry)と水分を含んだレンズの重さ(Wwet)を制御する式を通じて計算した。
【0109】
<式1>
(W
wet−W
dry)/W
dry x 100
【0110】
前記
図6の(d)に示したように、本発明による方法により製造されたSilicone hydrogelは、他のレンズと比較して優れた水分含量を有することが確認できる。
【0111】
また、
図6の(e)及び(f)は、時間による接触角(contact angle)の変化を示すグラフ及び写真である。前記接触角は、FEMTOFAB、Smartdropを使用して測定した。具体的に、(e)は、Silicone hydrogel及びPHEMAの接触角の変化を測定したグラフであり、(f)は、Silicone hydrogelの接触角の変化を16時間の間ポイント(1時間)ごとに観察した写真である。
【0112】
前記
図6の(e)及び(f)に示したように、レンズは、時間の経過に従って接触角値が減少する傾向を示すが、本発明による方法により製造されたSilicone hydrogelは、他のレンズと比較して相対的に高い接触角を有することが確認できる。
【0113】
製造例4.遺伝子調節基盤の薬物伝達システム
血管新生を誘導する主な新生血管誘導因子を抑制する治療剤の開発を目的として遺伝子調節基盤の薬物伝達システムを導入した。
【0114】
眼球の新生血管生成を治療するために、抗血管新生(anti−angiogenic)薬物であるアフリベルセプト(Aflibercept、VEGF−trap)と血小板由来成長因子受容体(platelet−derived growth factor receptor:PDGFR)を同時に発現するレンチウイルスを製作した。
【0115】
前記アフリベルセプトは、Fc融合タンパク質(fusion protein)であって、VEGFR1の2番ドメイン(Flt1)とVEGFR2の3番ドメイン(Flk1)のアミノ酸配列がIgG1 Fcドメインに融合された形態であり、アメリカ特許第7,070,959号に記載されたものであり得る。
【0116】
アフリベルセプトとともに血小板由来成長因子受容体(platelet−derivedgrowth factor receptor:PDGFR)を同時に発現させると、血管周辺細胞の形成をより効果的に抑制し得る。本発明によるPDGFRは、PDGFRの1番ドメイン、2番ドメイン及び3番ドメインのアミノ酸配列が融合した形態であり得る。これは、血管の消失や新生血管、そして出血のような血管の病変が進行された場合に適用が可能であり、アフリベルセプトと同様にIgG1 Fcドメインが融合した形態で発現され得る。
【0117】
ここで、前記VEGFRタンパク質及びPDGFRタンパク質と融合されるIgG1Fc領域は、変形された兔疫グロブリンのFc領域であるハイブリッドFcに置換され得る。この時、変形された兔疫グロブリンのFc領域は、Fc受容体及び補体(complement)との結合力が変形して抗体依存性細胞毒性(ADCC)または補体依存性細胞毒性(CDC)が弱化したものであり得る。前記変形は、遺伝子変異を通じてFc結合受容体の配列を置換または欠損させるなどの方法で達成できる。また、公知にされた技術に従って変形したIgG4を融合して発現させ得る。前記変形は、相違するタイプの兔疫グロブリンの配列を混合して製造し得る。
【0118】
本明細書で使用した用語「ハイブリッドFc」は、相違する種類のFc領域を組み合わせて製造されたものを意味する。前記ハイブリッドFcは、ヒトIgDヒンジ領域、ヒトIgD CH2ドメインのアミノ酸残基、ヒトIgG4のCH2ドメインのアミノ酸残基及びヒトIgG4のCH3ドメインのアミノ酸残基の部分を含むものであり得る。本発明によるハイブリッドFc領域は、アメリカ特許第7,、867,、491号に記載されたものであり得る。これはタンパク質薬物の持続的で且つ安定的な発現を助ける役目を実行する。
【0119】
VEGFR−Fcタンパク質とPDGFR−Fcタンパク質を共に発現させ得るレンチウイルスの製作のために、
図7のようなDNAカセットを製作した。
【0120】
この時、VEGFR−Fcタンパク質とPDGFR−Fcを同時に発現できるようにIRESを介してこれらタンパク質をコードする核酸配列を両側に配置し、VEGFR−Fcタンパク質とPDGFR−Fcの発現がテトラサイクリン(tetracycline)のon/offシステムにより調節されるようにDNAカセットを構成した。Tet−On advanced systemを利用した。このTet−Onシステムは、テトラサイクリンあるいはテトラサイクリンの誘導体であるドキシサイクリンの存在時にのみ移入遺伝子の転写が起きる。Tet−Onシステムでは、テトラサイクリンの存在時に、tTAのようなテトラサイクリン調節用転写因子がテトラサイクリンオペレータープローモーターに結合して移入遺伝子を発現させる。
【0121】
テトラサイクリンを利用して移入遺伝子の発現を制御すると、正確で可逆的であり且つ効果的に時間的、空間的on demand式の遺伝子誘導調節が可能な遺伝子を発現させ得る。
【0122】
したがって、本発明では、テトラサイクリンを使用して電気的な信号により希望する時に放出できる金箔薬物貯蔵所を製作し得る。
【0123】
患者が薬物を服用する時間になると、スマート眼鏡から電気的な信号を送って金箔(陽極)をとかし、薬物貯蔵所でテトラサイクリンとともにVEGFR−FcとPDGFR−Fcを発現し得るレンチウイルスが放出される。薬物貯蔵所には複数の薬物貯蔵空間が存在し得る。一つの薬物貯蔵空間には1回使用可能なテトラサイクリン及びレンチウイルスが存在し、前記薬物貯蔵所は、例えば、1ヶ月間使用可能な薬物貯蔵空間が存在し得る。前記薬物貯蔵所は、Micro−electro−mechanical drug delivery chipsがASIC chipに連結されてレンズ内部に存在する。
【0124】
製造されたDNAカセットを293T細胞に形質注入(transfection)した後、VEGFR−Fc及びPDGFR−Fc遺伝子を含むレンチウイルスが感染した293T細胞で前記遺伝子が発現することをmRNA水準で確認した(
図8の左側図)。図面において、2.5G−AntiAMD 10ng DNAは、陽性対照群を示し、mockは、陰性対照群を示し、GAPDH(Glyceraldehyde 3−phosphate dehydrogenase)は、増幅過程が同一に適用されたか否かなど本実験が正しく実行されたかが分かるコントロールとして使用した。
【0125】
これと共に、VEGFR−Fc及びPDGFR−Fcタンパク質の発現水準を確認した。すなわち、VEGFR−Fc及びPDGFR−Fc遺伝子を含むレンチウイルスを293T細胞に感染させてウイルス内の各タンパク質の発現をELISA分析方法で確認した。ヒトIgG ELISA Quantitationキット(E80−104、Bethyl Laboratories、Inc.,アメリカ)で確認し、実験は、各キットに含まれているマニュアルによって実行した。
【0126】
図8の右側グラフに示したように、VEGFR−Fc及びPDGFR−Fc遺伝子を含むレンチウイルスが感染した293T細胞では、約160ng/mlの高い濃度でヒトIgGが発現することが確認できる。
【0127】
前記製作されたレンチウイルスベクターを、Lipofectamineを使用して293T細胞(5x10
5cells)にtransfectionし、各々ドキシサイクリン(Dox)がある培地とない培地で48時間の間培養した。培養培地でVEGFR−FcとPDGFR−Fcの発現をFc ELISAを通じて測定した結果、Doxが添加された状況でFcの発現が〜500ng/mlまで増加する一方、Doxがない状況ではFc発現が確認されなかった(
図9)。これを通じてTet−regulationが正しく導入されたことを検証した。
【0128】
実験例4.動物モデルでのレンチウイルスの発現及び効果の確認
Male 8週齢SD ratモデルを3個のグループに分けてLenti/GFP10μlをガラス体に導入してGFP発現を確認した。
【0129】
本発明で、
図10は、動物モデルでのレンチウイルスの発現の確認結果を示した図で、週(1−12週(w))によるグループの観察結果を示す。この時、high、Middle及びLowは、Lenti/GFPの感染力(infectivity)の各々の割合を1/100に低めてtiterを補正した。
【0130】
−1週:網膜全体的に蛍光が観察され、高濃度(High)が注射された網膜でGFP蛍光が他の二つの濃度より強く観察された。
【0131】
−2週:網膜は1週の網膜よりGFP蛍光強度が一層強くなり、Innerplexiform layer(IPL)Outer plexiform layer(OPL)で高く観察された。
【0132】
−4週:低濃度(Low)と中間濃度(Middle)は2週とほぼ同じであるが、高濃度ではgreen発現するcellが観察された。
【0133】
−8週:低濃度では緑蛍光が弱くなり、高濃度では細胞で発現(矢印で表示)が観察された。
【0134】
−12週:中間濃度と高濃度で発現(矢印で表示)が観察された。
【0135】
これを通じて、注入したレンチウイルスの発現が中間濃度と高濃度で3ヶ月以上持続することを観察した。また、高濃度で網膜の変性が観察されて中間濃度を適正濃度と選定した。
【0136】
また、動物モデルで糖尿性網膜病症を誘導するために、糖尿誘導菌及びVEGFR−Fc及びPDGFR−Fcを発現するレンチウイルス処理群のラットに、60mg/kgの量でストレプトゾシン(streptozoticin、Sigma、アメリカ)を投与して糖尿を誘導し、投与1週間後、血糖を測定して前記ラットで糖尿を確認した(
図11)。
【0137】
以後、VEGFR−Fc及びPDGFR−Fcを発現するレンチウイルス処理群のラットをロムプン(Rompun、xylazine HCl23.3mg/ml、Bayer、ドイツ)及びゾレチル(Zoletil 50、Virvac、アメリカ)を使用して全身痲酔した後、アルカイン(Alcaine、Proparacaine HCl0.5%、Alcon、アメリカ)で点眼痲酔をした。その後、痲酔されたラットの水晶体内に薬物を10μlのボリュームで注射した。この時、VEGFR−Fc及びPDGFR−Fcを発現するレンチウイルスは、2.84x10
10TU/ml濃度で投与した。薬物投与4週後、全てのグループのラットを全身痲酔し、左心室にDEXTRAN−FITC(分子量40kDa10mg/ml及び分子量100kDa10mg/mlの混合物、Sigma−Aldrich、アメリカ)を1ml注射した後、眼球を摘出した。摘出された眼球は10%ホルマリンに固定し、PBSで洗浄した。洗浄した後、網膜のみを分離してガラススライド上においてflat mountした後、蛍光顕微鏡で観察した。その結果イメージは、100倍で保存した。保存されたイメージで正常血管と血管周辺のDextran−FITC蛍光強度を測定し、正常の網膜と比較して薬物の効果を確認した。蛍光強度は、Image Jプログラム(ver4.1、NIH)を使用して測定した。
【0138】
その結果として、VEGFによる血管漏水(leakage)現象を顕微鏡で観察した結果、糖尿誘導群と比較してVEGFR−Fc及びPDGFR−Fcを発現するレンチウイルスを処理したラットで血管漏水現象が有意的に減少して、前記製作されたレンチウイルスが眼内で新生血管形成の抑制効果を示すことを確認した(
図12)。
【0139】
製造例5.コンタクトレンズ及びスマート眼鏡を含むシステム
本発明で、
図13は、スマートコンタクトレンズの製作過程と無線電気を利用したエネルギーの供給及び無線通信を示す模式図である。
【0140】
前記
図13及び実施例2と実施例3で上述したように、コンタクトレンズは、薬物貯蔵所を製造して(
図13の(a)−(g))、送信機コイル(transmitter coil)に前記製造された薬物貯蔵所、ICチップ及びセンサーなどを結合させた後(
図13の(h)−(j))、レンズ材料に入れてモールディングして製造し得る(
図13の(k))。
【0141】
この時、ICは、相補性金属酸化膜半導体(Complementary−metal−oxide semiconductor、CMOS)を利用してマイクロ単位の集積回路(integrated circuit IC)を構成し得る。前記集積回路の面積は、最大1mm×1mmであり、厚さは、0.2 mmである。
【0142】
本発明により製造されたコンタクトレンズは、無線電気(WiTricity)を受信し、RFシステムを通じてコンタクトレンズの情報をPCなどに伝達し得る。
【0143】
また、
図14は、コンタクトレンズとスマート眼鏡の模型を示し、
図15は、スマート眼鏡のアウトラインを示す。
【0144】
スマート眼鏡は、On−demand薬物貯蔵所とセンサーの駆動のために無線で電気的な信号を送信し、RF無線通信を通じてスマート眼鏡で情報が受信される。特定用途志向集積回路(An application specific integrated circuit、ASIC)チップを介して無線電気と光電素子(photovoltaic)を利用したエネルギー供給が可能であり、一酸化窒素とVEGFの感知のためにセンサー駆動のための適切な電圧を伝達する。
【0145】
薬物貯蔵所で希望する時に薬物を放出するために、スマート眼鏡で電気的な信号を調節する。
【0146】
具体的に、前記
図14のスマートコンタクトレンズで、ICは、コンタクトレンズの全ての機能を制御することが可能であり、無線電気アンテナ(WiTricity Anetena)は、スマートレンズの内側内径に製作されてスマート眼鏡から共振現象を通じて無線電気でパワーを受信することが可能であり、アンテナ(Anetena)は、RFシステムを通じてパワーを受け、再度RFを通じて外部にスマートコンタクトレンズの情報(センサー糖濃度、薬物伝達濃度)などを伝送する役目を実行し得る。また、フォトセル(Photocell)は、無線電気(Witricity)、RF以外に太陽電池を通じて太陽光からエネルギーを受けることができる補助バッテリー手段であり得る。LEDは、スマートレンズの状態を伝達する手段であり得、光電素子(photodetector)は、眼または外部から来る光を感知してセンサー駆動を実行し得る。
【0147】
また、スマート眼鏡でEyeglass ICは、眼鏡にある集積回路でスマート眼鏡の全ての機能を調節することが可能であり、無線電気コイル(WiTricity Coil)は、コンタクトレンズにパワーを与えるためのシステムとして、共振効果を通じて特定の周波数でスマートレンズにある無線電気アンテナ(witricity antenna)にパワーを伝達することが可能であり、LED indicatorsは、コンタクトレンズの状態、眼鏡の状態などを知らせて、さらに別途のLEDの信号周波数調節を通じてスマートTVの調節、電子機器の調節または飛行機計器盤の調節などを実行し得る。また、IR transceivers(トランシーバー)は、太陽または人工照明からIR波長の光を受け入れて太陽電池のようにスマートレンズにパワーを充電する機能を実行し得る。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明では、コンタクトレンズ内のセンサーを利用して疾病をリアルタイムに感知することができるので、患者の疾病の進行状態を容易にかつ且つ迅速に確認できる。また、センサーは、高い安全性を有するので、流体内で長期間使用が可能であり、迅速な感知能力により一層正確に治療の可否を判断し得る。
【国際調査報告】