特表2018-526181(P2018-526181A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特表2018526181-歯列矯正用口蓋アンカプレート 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-526181(P2018-526181A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(54)【発明の名称】歯列矯正用口蓋アンカプレート
(51)【国際特許分類】
   A61C 7/00 20060101AFI20180817BHJP
【FI】
   A61C7/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-532020(P2018-532020)
(86)(22)【出願日】2016年8月9日
(85)【翻訳文提出日】2018年3月7日
(86)【国際出願番号】KR2016008729
(87)【国際公開番号】WO2017052069
(87)【国際公開日】20170330
(31)【優先権主張番号】10-2015-0133470
(32)【優先日】2015年9月22日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】518077879
【氏名又は名称】ハン、ビョン ジュ
【氏名又は名称原語表記】HAN,Byeong−Ju
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ビョン ジュ
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA06
4C052JJ10
(57)【要約】
本発明は、口蓋に固定して、歯の移動時に強固な固定源を提供することにより、歯を固定源とする場合に起こる反作用(固定源となる歯の移動)を低減し、歯を固定源とする場合に得難い様々な方向の歯の移動に対して確固な固定源を提供する歯列矯正用口蓋アンカプレートに関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯列の矯正治療時にスクリューによって口蓋に固定可能なベース部材(10)と、前記ベース部材(10)の左右両側にそれぞれ対称的に延設される掛止部(20)とを含んでなる歯列矯正用口蓋アンカプレートにおいて、前記ベース部材(10)には前後にそれぞれ形成された締結孔(50)の周囲の口蓋側に3つの円筒状の突出部(30)が三角形状をなして形成され、前記掛止部(20)には内側に左右両側にそれぞれ締結溝(40、40´)が一定の間隔で形成されることにより、牽引部材を締結させることができるようにし、前記口蓋固定装置の材質は純チタンASTM F67 Grade3であることを特徴とする、歯列矯正用口蓋アンカプレート。
【請求項2】
前記掛止部(20)は逆U字形であることを特徴とする、請求項1に記載の歯列矯正用口蓋アンカプレート。
【請求項3】
前記突出部(30)は1.0〜1.2mmの高さ及び1mmの直径を有することを特徴とする、請求項2に記載の歯列矯正用口蓋アンカプレート。
【請求項4】
前記締結溝(40、40´)は3〜6個形成されることを特徴とする、請求項3に記載の歯列矯正用口蓋アンカプレート。
【請求項5】
前記突出部(30)は、口蓋の軟組織への密着を最小限に抑えることができるようにするために間隔(L)が4mmであることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の歯列矯正用口蓋アンカプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯列矯正用口蓋アンカプレート(Anchor Plate)に関し、より詳細には、口蓋に固定して、歯の移動時に歯を固定源とする場合に起こりやすい反応(固定源となる歯の移動)を低減し、得難い様々な方向への歯の移動に対して確固な固定源を提供する口蓋固定装置(アンカプレート)に関する。
【背景技術】
【0002】
乱れた歯列の矯正及び顎顔面の骨格的な不調和の解決のためには、歯にブラケットなどを付着した後、矯正用鋼線を挿入して持続的な力を加えてのぞむ方向への歯の移動と骨格的な不調和の改善を計る。しかし、移動させる歯に対する固定源として歯を用いる場合、力の法則に基づく反応すなわち固定源になる歯などが動く現象起こり、そのような反作用を完全に防ぐことは難しいものである。
【0003】
その解決方法としては骨に直接矯正用のスクリューおよびプレートを植立し、固定源として用いるような方法がある。特に矯正用のスクリューは歯と歯の間に植立するため、空間的な制限があるとともに歯の移動も制限される場合もある。その代わり、口蓋正中部にスクリューにて固定するプレートは空間的な制限が少なく口蓋正中部の良質の骨によって安定性を高めることができ、新しい骨固定源を提供する場所として認められている。口蓋(palate;口腔と鼻腔を分離している口腔上壁)正中部に矯正用のアンカプレートをスクリューで固定し、バネ或いはゴムスレッド(power chain or power
thread)などで力を加える。このとき、口蓋骨との間に軟組織が存在するため、口蓋固定装置(アンカプレート)の周辺の圧迫による軟組織の壊死が起こりやすくまたアンカプレート周辺に炎症が生じることが多い。そのような炎症は患者に痛み及び不便さを与えるだけでなく、スクリューの脱落による口蓋固定装置(アンカプレート)の脱落をもたらす場合が少なくない。
【0004】
これを解消するための方法の一環として、口蓋粘膜切開術によって皮質骨を露出させ、口蓋固定装置(アンカプレート)をスクリューにて口蓋正中部に固定した後、縫合糸で縫合する方法もある。ところが、その方法は、術式が複雑であり、口蓋粘膜の伸びない堅い組織の特性により施術が難しく、粘膜を切開するなどの侵襲的な施術により患者の負担が増加する。
【0005】
韓国登録実用新案 第20-0464089号(2012. 12. 04.)では、粘膜を切開せずに直接スクリューで粘膜に口蓋固定を固定することにより、施術の便宜性を図ったが、口蓋粘膜接触部の組織の圧迫に起因する壊死及び炎症を回避することが難しい。
【0006】
したがって、かかる問題点を解決して施術の便宜性を高めて患者の便宜を図り、且つ、歯を固定源とする矯正治療を飛び越える新しい技術の開発が切実に求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる問題点を解決するために案出されたもので、口蓋に固定して確固な固定源を提供する口蓋固定装置(アンカプレート)に関する。これを口蓋部に固定するときに引き起こされるおそれのある口蓋組織の壊死と炎症を最小化して、長期間に渡る矯正治療期間中に確固な固定源の提供かつ安定性を確保することと歯の移動及び骨格の改善のために要求される様々な方向への力を加えることが可能な口蓋固定装置(アンカプレート)の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明はスクリューによって口蓋に固定可能なベース部材10と、前記ベース部材10の左右両側にそれぞれ対称的に延設される掛止部20とを含んでなる歯列矯正用口蓋アンカプレートにおいて、前記ベース部材10には前後にそれぞれ形成された締結孔50の周囲の口蓋側に3つの円筒状の突出部30が三角形状をなして形成され、前記掛止部20には内側に左右両側にそれぞれ締結溝40、40´が一定の間隔で形成されることにより、牽引部材を締結させることができるようにするが、前記口蓋固定具の材質は純チタンASTM F67 Grade3であることを特徴とする、歯列矯正用口蓋アンカプレートを提供する。
【0009】
一方、本発明に係るその他の具体的な課題の解決手段は、発明の詳細な説明に記載されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明はアンカプレートの前後に締結孔50の周囲の口蓋側に3つの円筒状の突出部30が三角形状をなして形成され、固定装置(アンカプレート)を口蓋にスクリューにて固定する時に3つの円筒状の突出部が口蓋皮質骨とアンカプレートの距離を一定に維持する。そのことよりアンカプレートが口蓋粘膜を圧迫する面積および程度が最小化されることになり、スクリューにて固定するアンカプレート周辺の軟組織に発生する壊死や炎症を大きく抑制することと長時間保つ可能性を高めることができる。
【0011】
また、口蓋固定装置の材質が純チタンASTM F67 Grade3であるので、薄い板状に製作できるし、患者の個別的な口蓋形状に合わせて容易に曲げることが可能であるという利点がある。
【0012】
さらに、牽引用ワイヤーと連結される牽引部材を固定源に固定することが可能な掛止部に力をかけることができる溝が左右の複数箇所に設けられており、牽引用力を多様に加えることができるので、前歯部の後方牽引だけでなく、歯を固定源とするときに得難い奥歯の後方移動及び押下(Intrusion)のための固定具として使用できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来技術に係る口蓋固定源が口蓋に設置された状態を示す図である。
図2】本発明に係る歯列矯正用口蓋アンカプレートの全体的な構造を示す図である。
図3】本発明に係る歯列矯正用口蓋アンカプレートのベース部材及び突出部が口蓋の皮質骨に固定された状態を示す断面図である。
図4】本発明に係る歯列矯正用口蓋アンカプレートが口蓋に適用された状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照してさらに詳細に説明する。本発明の実施形態は、当業分野における通常の知識を有する者に本発明をさらに完全に説明するために提供されるものなので、下記図面における要素の形状は、説明のために簡略化した。
【0015】
まず、本発明に係る歯列矯正用口蓋アンカプレートは、歯列の矯正治療時にスクリューによって口蓋に固定可能なベース部材10と、前記ベース部材10の左右両側にそれぞれ対称的に延設される掛止部20とを含んでなる歯列矯正用口蓋固定装置において、前記ベース部材10には前後にそれぞれ形成された締結孔50の周囲の口蓋側に3つの円筒状の突出部30が三角形状をなして形成され、前記掛止部20には内側面左右両側にそれぞれ締結溝40、40´が一定の間隔で形成されることにより、牽引部材を締結させることができるようになっている。また、口蓋固定装置(アンカプレート)の材質は純チタンASTM F67 Grade3である。
【0016】
図2に示すように、本発明の口蓋固定装置(アンカプレート)は、ベース部材10、一対の掛止部20、及び前記ベース部材10の前後に3つの円筒状の突出部が三角形状をなして突設された突出部30から構成されている。
【0017】
さらに図2及び図3に示すように、本発明の構成要素のうち、ベース部材10は、歯列矯正用口蓋アンカプレートの真ん中に位置して、その前後に形成された締結孔50にそれぞれスクリューを植立することにより口腔上壁の口蓋正中部に固定させることができる。
【0018】
従来技術では、図1に示すように、歯列矯正用口蓋固定具の前後に形成された多数の締結孔にそれぞれスクリューにて口蓋に固定するが、口蓋固定具の周囲口蓋組織の圧迫に起因する壊死およびそれに続く炎症に起因する肉芽組織の増加などによりスクリューの脱落を引き起こす可能性が多く、結果として口蓋固定具の脱落をもたらす。
【0019】
本発明者は、かかる問題点を解消するために長期間にわたって研究を重ねた結果、本発明を案出することになった。その解決手段として、図2に示すように、ベース部材10の前後に形成された締結孔50周りの口蓋側へ∴、∵のように3つの円筒状からなる三角形状が突出するように突出部30を形成して上述の問題点を解決することができるようになった。
すなわち、前後にそれぞれ形成された締結孔50にスクリューを用いて前記の口蓋固定装置(アンカプレート)を口蓋正中部に固定するときに、突出部30の先端部が口蓋の皮質骨に先に接触する。突出部30を構成する3つの円筒状は、1mmの直径及び4mmの間隔Lを有する、また口蓋正中部の後方部位(実質的に口蓋固定装置(アンカプレート)を固定する位置)の軟組織の厚さが平均的に1.0〜1.2mm程度であることを考慮して、突出部30の高さを1.0〜1.2mmとした。
【0020】
突出部によって、皮質骨とアンカプレート間の距離を一定に保つことになり、アンカプレートの下方の口蓋粘膜を軽く接触するか或いは全く圧迫しないようにする。従って、口蓋粘膜を切開しなくても簡単に施術することができるし、施術時間の短縮及び患者の便宜を図るとともに口蓋固定装置(アンカプレート)の周りの炎症を最小限に抑えることができる。
【0021】
さらに、前記ベース部材10の左右両側にはそれぞれ対称的に延びる掛止部20を形成し、一対の掛止部20には内側に一定の間隔で締結溝40、40´を形成し、バネ或いはゴムスレッド (power chain or power thread)がかかるようにするためのものである。前記締結溝40、40´は掛止部20の前方部に1〜2個、傾斜面に2〜4個、計3〜6個形成できる。前方部に形成される締結溝40´は前歯部の後方牽引のために、傾斜面に形成される締結溝40は大臼歯及び小臼歯に圧下の矯正力を加えるためにそれぞれ使用しやすくするように設計した。 例えば、図4に示すように、左右両側の奥歯に設置された装置は、ゴムスレッド(Power thread)によって、掛止部20の内側傾斜面に形成された締結溝40に連結されて歯に圧下する力を与える。
【0022】
図3に示すように、口蓋固定装置(アンカプレート)の一対の締結孔50を固定する所定のスクリュー(図面符号なし)は、被施術者の皮質骨80及び海綿骨90にスクリューで固定されている。ここで、突出部30が被施術者の口蓋に密着する接着面は、略直径1mm程度の点状であって、3つの突出部が三角形状をなすようになっており、スクリューによる固定の際にいずれか一方に傾かずに安定した位置を維持することができる。特に、被施術者の口蓋粘膜は、ベース部材10によって押されないので、その下部の粘膜組織が壊死するおそれがなくなる。
【0023】
また、前記掛止部20は、前記ベース部材10と一体に形成できることが好ましい。こうすることにより、歯列矯正用口蓋アンカプレートが薄い板状に製作できるため、患者の個別的な口蓋形状に合わせて容易に曲げることが可能である。
【0024】
したがって、その材質は、適切な剛性だけでなく、曲げ易い特性を一緒に備えている材質が理想的である。口蓋固定装置(アンカプレート)の材質は純チタンASTM F67(Grade3)を使用した。
【0025】
以上、本発明は、図面に示された実施形態を参考に説明しているが、これは例示的なものに該当し、当該技術の属する分野における通常の知識を有する者であれば、これから様々な変形及び均等な他の実施形態が可能であることを理解すべきであろう。よって、本発明の真正な技術的保護範囲が下記特許請求の範囲によって定められるのは自明のことである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】