(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-526566(P2018-526566A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(54)【発明の名称】蒸気タービンへの過負荷導入
(51)【国際特許分類】
F01D 17/10 20060101AFI20180817BHJP
F01D 17/00 20060101ALI20180817BHJP
F01D 15/10 20060101ALI20180817BHJP
【FI】
F01D17/10 G
F01D17/00 J
F01D15/10 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-506253(P2018-506253)
(86)(22)【出願日】2016年6月30日
(85)【翻訳文提出日】2018年3月1日
(86)【国際出願番号】EP2016065290
(87)【国際公開番号】WO2017025242
(87)【国際公開日】20170216
(31)【優先権主張番号】15180187.5
(32)【優先日】2015年8月7日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517298149
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・クーン
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・プラウマン
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・シュレフーバー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・スタニシック
【テーマコード(参考)】
3G071
【Fターム(参考)】
3G071AA04
3G071AA07
3G071AB01
3G071BA04
3G071BA09
3G071DA11
3G071HA02
(57)【要約】
本発明は、蒸気タービン(2)と過負荷弁(12)とを含む構造体(1)に関する。前記過負荷弁(12)は新鮮蒸気弁(7)に向き合うように設けられており、新鮮蒸気は一部が流路を通過して流れ、一部が前記過負荷弁(12)を介して過負荷流入領域(11)に流入する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部ハウジング(3)と前記外部ハウジング(3)の内部に設けられた内部ハウジングとを含む二重殻ハウジングを備える蒸気タービン(2)と、前記外部ハウジング(3)を通過してガイドされた接続部(4)とを含む構造体であって、
前記接続部(4)は、第一の接続開口部(4a)と第二の接続開口部(4b)とにより構成される一対の接続開口部(4a,4b)によって形成されており、前記第一の接続開口部(4a)と前記第二の接続開口部(4b)とは前記内部ハウジングに形成されており、前記構造体はさらに、蒸気を前記内部ハウジングの内部に供給するための第一の弁を含み、前記第一の弁は前記第一の接続開口部(4a)と流体接続されており、前記構造体はさらに、蒸気を排出するための第二の弁を含み、前記第二の弁は前記第二の接続開口部(4b)と流体接続されており、
前記蒸気タービン(2)はさらに、前記第二の弁と流体接続されている過負荷流入領域(11)を有し、
前記蒸気タービン(2)は、流れ方向に対して設計された翼列領域を有し、前記過負荷流入領域(11)は、流れ方向において下流にある翼段の後で、前記翼列領域に出口を有し、
前記接続開口部(4a,4b)は向き合うように前記内部ハウジングに形成されている、構造体(1)。
【請求項2】
前記蒸気タービン(2)は、第一流(14)と第二流(15)とから成る複流式タービンとされる請求項1に記載の構造体(1)。
【請求項3】
前記第一および第二の弁は、前記第一流(14)に設けられている請求項2に記載の構造体(1)。
【請求項4】
過負荷運転時に蒸気タービン(2)を運転するための方法であって、
前記方法において第一の弁を介して蒸気が蒸気タービン(2)の流入領域(5)に流入し、一部は翼列領域に流入し、一部は前記蒸気タービン(2)から過負荷導管(10)の内部に設けられた第二の弁を介して流れ、前記第二の弁から前記蒸気タービン(2)の下流にある過負荷流入領域(11)に流入し、
前記蒸気タービン(2)はさらに、前記蒸気タービンが流れ方向に対して設計された翼列領域を有し、前記過負荷流入領域(11)が、流れ方向において下流にある翼段の後で、前記翼列領域に出口を有するように形成され、
接続開口部(4a,4b)は向き合うように内部ハウジングに形成される、方法。
【請求項5】
通常運転時に前記第二の弁は閉鎖されている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第一の弁は前記第二の弁に向き合うように設けられる、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記蒸気タービン(2)は第一流および第二流(15)を有して形成される、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部ハウジングと当該外部ハウジングの内部に設けられた内部ハウジングとを含む二重殻ハウジングを備える蒸気タービンと、外部ハウジングを通過してガイドされた接続部とを含む構造体に関し、前記接続部は、第一の接続開口部と第二の接続開口部とにより構成される一対の接続開口部によって形成されており、前記接続開口部は内部ハウジングに形成されており、前記構造体はさらに蒸気を内部ハウジングの内部に供給するための第一の弁を含み、当該第一の弁は第一の接続開口部と流体接続されている。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンは電気エネルギーを生じさせるために用いられる。通常運転時に、蒸気は蒸気発生器内で発生させられ、蒸気タービンの流入領域へとガイドされる。蒸気タービン内で蒸気の熱エネルギーは、ロータの機械的回転エネルギーに変換される。しかしながら蒸気タービンに対してより多くの出力が要求される運転状態があり得、それは蒸気発生器内で補足的ファイアリングが行われ、それにより蒸気の質量流量を増大させることによって達成される。蒸気の質量流量の当該増大は、既知の方法で、翼列領域内で下流にある過負荷流入領域を介して蒸気タービンの内部に供給される。そのために新鮮蒸気導管から分岐部が実現され、当該分岐部は下流において過負荷流入領域と流体接続される。
【0003】
過負荷導管の内部に、通常は閉鎖されている過負荷弁が設けられている。新鮮蒸気導管の内部に急速閉止弁および制御弁が設けられている。多くの実施形態において過負荷弁は、蒸気タービンの下方に設けられ、それにより不要な付加的な導管接続を生じさせる。過負荷弁および導管は付加的に取り付けられなければならず、それは付加的なコストを意味する。過負荷弁はタービン中心部の下方に配置され、それにより過負荷弁の排水部は絶対的低点となり、従って必然的に排水ステーションが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、過負荷運転のための比較的廉価な構造体と方法とを記載することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、請求項1に記載の構造体と、請求項4に記載の方法とによって解決される。
【0006】
有利な発展的構成は従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明は、過負荷弁と称され得る第二の弁の複雑な配管は回避され得るという観点から出発している。付加的な排水ステーションも省略することができる。第一の弁と第二の弁は、互いに比較的小さな距離をおいて蒸気タービンに設けられる。
【0008】
本発明の第一の態様において蒸気タービンはまた、第二の弁と流体接続されている過負荷流入領域を有する。
【0009】
本発明の第二の態様において蒸気タービンは、流れ方向に対して設計された翼列領域を有し、過負荷流入領域は、流れ方向において下流にある翼段の後で、当該翼列領域に出口を有する。
【0010】
本発明のさらなる態様において、内部ハウジングに設けられた接続開口部は向き合うように形成されている。
【0011】
本発明の上記の特性、特徴、および有利点と、それらが達成されるやり方とを、以下の実施形態の説明に関連させてさらに明らかにするが、当該実施形態は図面との関連でさらに詳しく説明される。
【0012】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図面は実施形態を寸法どおりに表示するものではなく、説明を行う図面は概略的な形および/またはやや歪められた形で実施されている。図面において直接的に認識可能な教示の補足に関しては、関連する従来技術を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】蒸気タービンと過負荷流入領域とを備える従来技術による構造体を示す。
【
図2】過負荷装置を備える本発明に係る構造体を示す。
【
図3】本発明に係る複流式の構造体の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は従来技術による構造体1を示している。構造体1は、外部ハウジング3と外部ハウジング3の内部に設けられた内部ハウジング(図示せず)とを含む二重殻ハウジング(図示せず)を備える蒸気タービン2を含んでいる。蒸気タービン2はまた、外部ハウジング3を通過してガイドされる接続部4を含む。蒸気タービン2は回転可能に支承されたロータと、新鮮蒸気のための流入領域5とを含む。流入領域5は新鮮蒸気導管6と流体接続されている。新鮮蒸気導管6の内部に急速閉止弁7と制御弁8とが設けられている。構造体1はまた、分岐部9を含む。分岐部9に過負荷導管10が設けられており、蒸気タービン2内部の過負荷流入領域11に出口を有する。過負荷導管10の内部に過負荷弁12が設けられており、過負荷弁12は実際の構成では蒸気タービン2の下方に設けられており、それは不利点を生じさせる。
【0015】
通常運転時に新鮮蒸気は新鮮蒸気導管6と、急速閉止弁7と、制御弁8とを介して蒸気タービンの流入領域5に流入する。蒸気の熱エネルギーは、ロータの機械エネルギーに変換される。ロータの回転は最終的に発電機を用いて電気エネルギーに変換され得る。過負荷運転時、すなわち蒸気発生器が通常運転時よりも多くの蒸気流を発生させるとき、過負荷弁12が開放され、蒸気の一部は過負荷導管を介して過負荷流入領域11に流入する。通常運転時に過負荷弁12は閉鎖されている。過負荷弁12の開放により、蒸気タービン2の出力は増大させられ得る。
【0016】
図2は本発明に係る構造体1を示している。新鮮蒸気導管6は、急速閉止弁7と制御弁8とを介して流入領域5と流体接続されている。接続部4は、第一の接続開口部4aと第二の接続開口部4bとにより構成される一対の接続開口部4a,4bによって形成されており、接続開口部は内部ハウジングに形成されている。構造体1はさらに、過負荷弁と称され得るとともに、蒸気を排出するために形成されている第二の弁12を含む。蒸気の排出は排出導管13を介して行われ、過負荷導管10の内部に入り、過負荷流入領域11に出口を有する。こうして本発明に係る構造体1では、過負荷時に流入する蒸気は新鮮蒸気導管6を介して急速閉止弁7の内部にガイドされ、続いて制御弁8の内部にガイドされ、流入領域5を介して一部は流路に流入し、一部は再び排出導管13を介して蒸気タービン2から流出する。蒸気タービン2から外にガイドされた蒸気は、過負荷弁12および過負荷導管10を介して過負荷領域11に流入する。
【0017】
図3は
図2による構造体を拡大した実施形態を示す。
図3による構造体において過負荷蒸気は同じく、過負荷導管10を介して過負荷流入領域11にガイドされる。
図3による構造体が
図2による実施に対して有する相違点は、蒸気タービン2が第一流14と第二流15とを備える複流式蒸気タービンとして実施されていることである。新鮮蒸気は新鮮蒸気導管6を介して第一流14に流入し、第一流から蒸気タービン2を出て再熱器(図示せず)へと流れる。続いて蒸気は、中圧蒸気導管16と、中圧急速閉止弁17と、中圧制御弁18とを介して、中圧流入領域19に流入する。続いて蒸気は、第二流15において、流路を通過して蒸気タービン2から流出する。このとき蒸気の熱エネルギーは、ロータの機械エネルギーに変換される。
【0018】
図4は流入部を側方から見たものを概略的に示している。蒸気タービン2は垂直な対称軸線31に対して概ね対称に形成されており、対称軸線31は回転軸線30を通っている。
図4において表示されていないロータは、回転対称的に、回転軸線周りに回転可能に支承されている。第二の接続開口部4bおよび排出導管13は、対称軸線31を基準として、第一の接続開口部4aに対して鏡面対称的に向き合うように設けられている。どのように第二の接続開口部4bが対向的に設けられ得るかという第二の変化形態は、
図4において点線32によって示されている。このとき第二の接続開口部4bは、第一の接続開口部4aおよび回転軸線30を通る想像線33上に、向き合うように設けられている。このとき第二の接続開口部4bも想像線33上にある。
【0019】
本発明は、好適な実施形態により詳細に表示され、かつ説明されたが、本発明は開示された例によって限定されるものではなく、当業者により本発明から、本発明の保護範囲を逸脱しない限り、他の変化形態が導出されてよい。
【符号の説明】
【0020】
1 構造体
2 蒸気タービン
3 外部ハウジング
4 接続部、接続開口部
4a 第一の接続開口部
4b 第二の接続開口部
5 流入領域
6 新鮮蒸気導管
7 急速閉止弁
8 制御弁
9 分岐部
10 過負荷導管
11 過負荷流入領域
12 過負荷弁
13 排出導管
14 第一流
15 第二流
16 中圧蒸気導管
17 中圧急速閉止弁
18 中圧制御弁
19 中圧流入領域
30 回転軸線
31 対称軸線
32 点線
33 想像線
【国際調査報告】