特表2018-527237(P2018-527237A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-527237(P2018-527237A)
(43)【公表日】2018年9月20日
(54)【発明の名称】車速制御方法及び車速制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/14 20060101AFI20180824BHJP
   B60W 10/18 20120101ALI20180824BHJP
   B60K 31/00 20060101ALI20180824BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20180824BHJP
【FI】
   B60W30/14
   B60W10/18
   B60K31/00 Z
   B60T7/12 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-510913(P2018-510913)
(86)(22)【出願日】2015年8月28日
(85)【翻訳文提出日】2018年3月7日
(86)【国際出願番号】EP2015069728
(87)【国際公開番号】WO2017036492
(87)【国際公開日】20170309
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(72)【発明者】
【氏名】カールソン,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン,アンダース
(72)【発明者】
【氏名】カールソン,ラルス
(72)【発明者】
【氏名】アンダースン,ヘンリック
【テーマコード(参考)】
3D241
3D244
3D246
【Fターム(参考)】
3D241AA03
3D241AA65
3D241AB02
3D241AC02
3D241AC06
3D241AC14
3D241AC26
3D241AD41
3D241AD47
3D241AD51
3D241AE32
3D241AE41
3D241AE45
3D241AF09
3D241BA01
3D241BA51
3D241BB07
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3D241BC01
3D241CA15
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3D241CC08
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3D244AA01
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3D244AC57
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3D244AD21
3D244AD23
3D244AE04
3D244AE14
3D246AA14
3D246BA02
3D246DA01
3D246DA03
3D246EA03
3D246EA04
3D246EA10
3D246EA11
3D246GB33
3D246HA02A
3D246HA08A
3D246HA13A
3D246HA23A
3D246HA26A
3D246HA64A
3D246HA94A
3D246HB07A
3D246JB02
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、車両が降坂走行しているとき、ブレーキクルーズコントロールを搭載した車両(100)の車速を制御する装置及び方法に関する。本方法は、制動設定速度を第1の制動設定速度(VB1)に設定した状態で降坂走行させるステップと、現在の車速を検出するステップと、少なくとも補助ブレーキ(111)を使用して制動トルクを自動的に印加して第1の制動設定速度(VB1)を維持するステップと、車速を低下させるためにサービスブレーキの手動作動を検出するステップと、を含む。コントロールユニットは、運転者がサービスブレーキ(131,132,133)を作動させていることを検出すると、第1の制動設定速度(VB1)より低速な第2の制動設定速度(VB2)に制動設定速度を自動的に設定し、車速が第2の制動設定速度を超えると、少なくとも補助ブレーキを使用して制動トルクを印加するように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が降坂走行しているとき、ブレーキクルーズコントロールを搭載した車両の車速を制御する方法であって、
制動設定速度を第1の制動設定速度(VB1)に設定した状態で車両を降坂走行させるステップと、
現在の車速を検出するステップと、
少なくとも補助ブレーキ(111)を使用して制動トルクを自動的に印加し、前記第1の制動設定速度(VB1)を維持するステップと、
車速を低下させるために車両のサービスブレーキの手動作動を検出するステップと、
を含み、
コントロールユニットが、運転者が前記サービスブレーキ(131,132,133)を作動させていることを検出すると、
前記第1の制動設定速度(VB1)より低速な第2の制動設定速度(VB2)に前記制動設定速度を設定するステップと、
検出された現在の車速が前記第2の制動設定速度を超えると、少なくとも前記補助ブレーキを使用して制動トルクを印加するステップと、
を自動的に実行するように構成された、方法。
【請求項2】
前記補助ブレーキ(111)によって前記第2の制動設定速度が維持できるレベルに、前記第2の制動設定速度(VB2)を設定する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記運転者が前記サービスブレーキを解放すると、検出された車速に前記第2の制動設定速度(VB2)を設定する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コントロールユニットが降坂状態の終了を検出すると、前記ブレーキクルーズコントロールの制動設定速度を前記第1の制動設定速度(VB1)に戻す、ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記運転者がレジューム命令を発行すると、前記ブレーキクルーズコントロールの制動設定速度を前記第1の制動設定速度(VB1)に戻す、ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記運転者が加速手段を操作すると、前記制動設定速度を前記第1の制動設定速度に戻す、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記運転者がレジュームスイッチを操作すると、前記ブレーキクルーズコントロールの設定速度を前記第1の制動設定速度に戻す、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
車両が降坂走行しているとき、ブレーキクルーズコントロールを搭載した車両(100)の車速制御システムであって、
現在の車速を検出するように構成されたセンサ(136)と、
サービスブレーキ(131,132,133)と、
少なくとも1つの補助ブレーキ(111)と、
現在の車速を第1の制動設定速度(VB1)と比較し、前記補助ブレーキ(111)を制御して前記第1の制動設定車速を維持するように構成された、制動設定速度を受信するユーザ選択可能な入力部を有するコントロールユニット(140)と、
を備え、
前記コントロールユニット(140)は、前記サービスブレーキ(131,132,133)が手動で作動されて車速を低下させたか否かを検出するように構成され、
前記サービスブレーキの手動作動が検出されると、前記コントロールユニット(140)は、前記第1の制動設定速度(VB1)より低速な第2の制動設定速度(VB2)に前記制動設定速度を自動的に設定し、前記現在の車速が前記第2の制動設定速度を超えると、少なくとも前記補助ブレーキを使用して制動トルクを印加するように構成された、
ことを特徴とする車速制御システム。
【請求項9】
前記コントロールユニット(140)は、前記補助ブレーキ(111)によって前記第1の制動設定速度(VB1)が維持できるレベルに、前記第2の制動設定速度を設定するように構成された、ことを特徴とする請求項8に記載の車速制御システム。
【請求項10】
前記運転者が前記サービスブレーキ(131,132,133)を解放すると、検出された前記車速に前記第2の制動設定速度を設定するように構成された、ことを特徴とする請求項8に記載の車速制御システム。
【請求項11】
前記コントロールユニットが前記降坂状態の終了を検出すると、前記コントロールユニットは、前記制動設定速度を前記第1の制動設定速度(VB1)に戻すように構成された、ことを特徴とする請求項8〜請求項10のいずれか1つに記載の車速制御システム。
【請求項12】
前記運転者がレジューム命令を発行すると、前記コントロールユニットは、前記制動設定速度を前記第1の制動設定速度(VB1)に戻すように構成された、ことを特徴とする請求項8〜請求項10のいずれか1つに記載の車速制御システム。
【請求項13】
コンピュータで実行されたとき、ブレーキクルーズコントロールを搭載した車両の車速を制御する請求項1〜請求項7のいずれか1つのステップを実行するプログラムコード手段を備えたコンピュータプログラム。
【請求項14】
コンピュータで実行されたとき、ブレーキクルーズコントロールを搭載した車両の車速を制御する請求項1〜請求項7のいずれか1つのステップを実行するプログラムコード手段を備えたコンピュータプログラムを保持するコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の方法のステップを実行するように構成され、ブレーキクルーズコントロールを搭載した車両の車速を制御するコントロールユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が降坂走行しているとき、ブレーキクルーズコントロールを搭載した車両の車速を制御する方法及びシステムに関する。本発明は、トラック、バス及び建設機械などの大型車両に適用することができる。大型車両に関して本発明を説明するが、本発明は、この特定車両に限定されず、多関節型ホーラー、ホイールローダー、他の作業機械又は自動車など、他の車両にも適用することができる。
【背景技術】
【0002】
クルーズコントロールシステムと呼ばれることが多い、車速を自動制御する運転者支援システムは、運転者が作動手段(actuating means)を介して選択可能な走行速度を指定することを可能にする。そして、設定速度は、車両のアクセルペダルの操作に関係なく維持される。この速度は、運転者が設定することができ、登坂走行又は降坂走行などの走行状況に関係なく保持することもできる。車両は、補助ブレーキ又はサービスブレーキなどの適切な手段を使用して設定速度を維持する。
【0003】
独国特許出願公開第10200605179号明細書は、傾斜によって自動的に生じるエネルギーを吸収できる、ブレーキクルーズコントロールとして一般的に知られている、下方に向かう速度を自動的に制御する方法に関する。この方法により、運転者は、積極的に走行速度を略一定に維持する必要がない。アクセルペダルが解放されて車両が降坂路を加速し始めると、下方に向かう速度制御が開始される。運転者によって設定された所望の所定の一定車速である目標車速に向けて、車速が制御される。
【0004】
ブレーキクルーズコントロールを使用して車両が降坂走行しているとき、補助ブレーキのみを使用して制動設定速度を維持することは必ずしも可能ではない。長い降坂状態又は急な降坂状態において、車速を低下させるか、制動設定速度を手動でリセットさせるか、その両方を行うことによって、サービスブレーキの過度な使用を避ける必要がたびたびある。サービスブレーキを長時間作動させると、サービスブレーキの摩耗が増えて損傷することさえある、サービスブレーキの過熱を引き起こす可能性がある。
【0005】
従来の車両では、運転者が手動で制動設定速度を調整してブレーキペダルを踏み込むことによってサービスブレーキを作動させ、車速を所望の速度まで低下させて、サービスブレーキの過度な使用を避けなければならない。降坂路区間の終わりには、運転者は制動設定速度を本来の設定値に手動で戻さなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述した問題を解決した、ブレーキクルーズコントロールを搭載した車両の車速を制御する方法及びシステムを提供することにある。本発明によって、運転者による最小限の介入を必要とし、かつ、高レベルの快適性を提供する、車速の自動制御が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、ブレーキクルーズコントロールを搭載した車両の車速を制御する方法及びシステムを提供することにある。この目的は、添付の特許請求の範囲に記載された方法及びシステムによって達成される。
【0008】
本明細書において、「サービスブレーキ」という用語は、大型車両で使用される常用ブレーキ又は主ブレーキを表すために使用され、通常、運転者がサービスブレーキペダルを踏み込むことによって作動する。サービスブレーキは必ずしも必要ではないが、しばしば、各車輪に備えられた摩擦ブレーキを制御して車両を制動させる、圧縮エアで作動するエアブレーキである。「補助ブレーキ」という用語は、車両の制動をアシストする付加手段を表すために使用される。補助ブレーキは、サービスブレーキのアシストを必要とせずに、サービスブレーキに加えて使用され、長時間ブレーキを作動させることを可能にする。このようにして、サービスブレーキの摩耗及び不必要な加熱を回避することができる。このような補助ブレーキとしては、排気ブレーキを作動させる排気バルブ、圧縮開放エンジンブレーキを作動させるエンジンブレーキバルブ、プロペラシャフトに制動力を発生させる流体リターダ、又は、コンプレッサ若しくは発電機を駆動して制動力を発生させる手段を含むことができる。電気車両及びハイブリッド車両については、補助ブレーキとして、発電機、電動発電機又は他の適切な手段を含むことができる。
【0009】
本発明は、ブレーキクルーズコントロールシステムを備えた車両に適用可能である。本発明によれば、このシステムは、内燃機関を備えた車両、電気車両及びハイブリッド車両に使用することができる。このクルーズコントロールシステムは、降坂走行前又は降坂走行中に、運転者が作動させることができる。実際の車速又は現在の車速が運転者によって設定された制動設定速度を超えると、エンジンブレーキ、電動発電機又は同等品(similar)などの補助ブレーキが作動(engage)して、その速度を補助ブレーキの限度内に維持する。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、この目的は、添付の方法クレームに記載の方法によって達成される。本発明は、車両が降坂走行しているとき、ブレーキクルーズコントロールを搭載した車両の車速を制御する方法に関する。この方法は、制動設定速度を第1の制動設定速度に設定した状態で車両を降坂走行させるステップと、現在の車速を検出するステップと、少なくとも補助ブレーキを使用して制動トルクを自動的に印加し、第1の制動設定速度を維持するステップと、車速を低下させるために車両のサービスブレーキの手動作動を検出するステップと、を含んでいる。
【0011】
この明細書において、現在の車速を検出するステップ、及び、少なくとも補助ブレーキを使用して制動トルクを自動的に印加し、第1の制動設定速度を維持するステップは、運転者からの入力がなくても、ブレーキクルーズコントロールによって実行される動作である。
【0012】
車両に設けられたコントロールユニットがサービスブレーキの手動作動、即ち、運転者がサービスブレーキを作動させていることを検出すると、コントロールユニットは、第1の制動設定速度より低速な第2の制動設定速度に制動設定速度を設定するステップと、検出された現在の車速が第2の制動設定速度を超えると、少なくとも補助ブレーキを使用してブレーキトルクを印加するステップと、を自動的に実行するように構成されている。
【0013】
この方法の利点は、ブレーキペダルを短時間操作することを除いて、運転者が何らかの操作をする必要がなく、車速をより低速な制動設定速度に低下させることにある。追加のスイッチ又はコントロールを操作する必要がなく、運転者が新たな設定速度を選択する必要がない。この目的を要求する手動操作を減らすことによって、運転者が道路に集中することができ、運転の快適性が向上する。
【0014】
第1の代替例によれば、コントロールユニットは、補助ブレーキによって第2の制動設定速度が維持できるレベルに、第2の制動設定速度を自動的に設定するように構成されている。
【0015】
第2の代替例によれば、コントロールユニットは、運転者がサービスブレーキを解放すると、検出された車速に第2の制動設定速度を自動的に設定するように構成されている。
【0016】
この方法は、降坂状態の終了が検出されるまで、即ち、傾斜が水平になって通常のクルーズコントロールが再開されるまで、上述のステップを繰り返すように構成されている。従って、制動設定速度を第2の制動設定速度に設定した状態で降坂走行するとき、必要に応じてさらなる速度低下を行うことができる。コントロールユニットが、例えば、予想より急な傾斜によってもたらされるサービスブレーキのさらなる手動作動を検出した場合、第2の制動設定速度より低速な第3の制動設定速度に制動設定速度が設定される。
【0017】
コントロールユニットが降坂状態の終了を検出すると、ブレーキクルーズコントロールの制動設定速度が第1の制動設定速度に戻され、1つ以上のアップシフトが実行される。第1の代替例によれば、傾斜センサ、加速度計、車載の地形データベース、GPS受信機、同様な適切なデバイスによって、コントロールユニットに送信された1つ以上の信号に応答して、このステップが自動的に実行される。
【0018】
第2の代替例によれば、運転者がレジューム命令(resume command)を発行すると、制動設定速度が第1の制動設定速度に戻される。そのようなレジューム命令は、ダッシュボード上又はステアリングホイール上若しくはその付近の加速手段又はレジュームスイッチを運転者が操作することを必要とする。第1の制動設定速度に戻すレジューム命令は、コントロールユニットによって検出される。
【0019】
第2の代替例の方法ステップの利点は、車両の第1の制動設定速度に戻すために、運転者が任意の操作、又は、アクセルペダルの短時間の操作若しくは1つのスイッチの操作を伴う単一の操作のみを行う必要がないことにある。追加のスイッチ又はコントロールを操作する必要がなく、運転者が新たな設定速度、以前の設定速度、その両方を選択する必要がない。これにより、必要な手動操作がさらに減り、運転者が道路に集中することができ、運転の快適性が向上する。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、この目的は、添付の装置クレームに記載の装置によって達成される。本発明は、車両が降坂走行しているとき、ブレーキクルーズコントロールを搭載した車両の車速制御システムに関する。このシステムは、現在の車速を検出するように構成されたセンサと、サービスブレーキと、少なくとも1つの補助ブレーキと、現在の車速を第1の制動設定速度と比較し、補助ブレーキを制御して第1の制動設定速度を維持するように構成された、制動設定速度を受信するユーザ選択可能な入力部を有するコントロールユニットと、を備えている。第1の制動設定速度は、運転者によって一度設定され、その後の使用のためにコントロールユニットに格納される。その代わりに、システムは、例えば、現在格納されている設定速度値を表示することによって運転者に入力を促し、運転者が入力しなければ、格納されている第1の制動設定速度が使用される。速度センサは、この目的のために備えられた独自のセンサであって、サービスブレーキのABS装置の一部を形成するセンサか、適切なエンジンパラメータ及び変速機パラメータから車速が算出される仮想センサとすることができる。コントロールユニットは、サービスブレーキが作動して車速が低下したか否かを検出するように構成されている。サービスブレーキの手動作動が検出されると、コントロールユニットは、第1の制動設定速度より低速な第2の制動設定速度に制動設定速度を自動的に設定するように構成されている。現在の車速が第2の制動設定速度を超えると、コントロールユニットは、続いて、少なくとも補助ブレーキを使用して制動トルクを印加するように構成されている。このようにして、補助ブレーキは、制動トルクの一次供給源として使用される。1つ以上の補助ブレーキが第2の制動設定速度を維持できない場合にのみ、コントロールユニットがサービスブレーキを作動させることができる。サービスブレーキの自動作動は、断続的に短時間のみ行うべきである。サービスブレーキの長時間に亘る自動作動が実行された場合には、運転者に通知することができる。
【0021】
第1の代替例によれば、コントロールユニットは、1つ以上の補助ブレーキが制動設定速度を維持できるレベルに、第2の制動設定速度を設定するように構成されている。
【0022】
第2の代替例によれば、コントロールユニットは、運転者がサービスブレーキを解放すると、検出された車速に第2の制動設定速度を設定するように構成されている。
【0023】
コントロールユニットが降坂状態の終了を検出すると、ブレーキクルーズコントロールの制動設定速度が第1の制動設定速度に戻される。第1の代替例によれば、コントロールユニットが降坂状態の終了を検出すると、コントロールユニットは、制動設定速度を第1の制動設定速度に戻すように構成されている。コントロールユニットは、傾斜センサ、加速度計、車載の地形データベース、GPS受信機、同様な適切なデバイスによって、コントロールユニットに送信された1つ以上の信号に応答して、この動作を行うように構成されている。
【0024】
第2の代替例によれば、運転者がレジューム命令を発行すると、コントロールユニットは、制動設定速度を第1の制動設定速度に戻すように構成されている。そのようなレジューム命令は、ダッシュボード上又はステアリングホイール上若しくはその付近の加速手段又はレジュームスイッチを運転者が操作することを必要とする。
【0025】
本発明の第3の態様によれば、この目的は、コンピュータで実行されたとき、ブレーキクルーズコントロールを搭載した車両の車速を制御する、上述の方法ステップを実行するプログラムコード手段を備えたコンピュータプログラムによって達成される。本発明はまた、コンピュータで実行されたとき、ブレーキクルーズコントロールを搭載した車両の車速を制御する、上述の方法ステップを実行するプログラムコード手段を備えたコンピュータプログラムを保持するコンピュータ可読媒体に関する。最後に、本発明はさらに、上述の方法ステップを実行するように構成された、ブレーキクルーズコントロールを搭載した車両の車速を制御するコントロールユニットに関する。
【0026】
ブレーキクルーズコントロールシステムの自動制御を含む方法及びシステムを提供することによって、ブレーキコントロールシステムの制御がコントロールユニットに移され、運転者が多くの手動操作から解放されるという利点がある。ブレーキコントロールシステムを作動させると、運転者は、速度低下を望んでいることを示すサービスブレーキを作動させるだけでよい。サービスブレーキが解放されると、コントロールユニットは、制動設定速度をより低い値に自動的に設定する。この低い値は、降坂路区間の終わりまで、又は、運転者がさらなる速度低下を示すまで保持される。コントロールユニットは、降坂路区間の終わりに、制動設定速度を制動設定速度の初期値に自動的にリセットするように構成することができる。その代わりに、例えば、運転者がレジュームスイッチを操作するか、アクセルペダルを踏み込んでレジューム命令を発行することによって、制動設定速度の初期値にリセットすることを示すことができる。このようにして、運転者に要求される多くの手動操作が最小限に抑えられ、運転者が道路に集中して快適性を向上させることができる。
【0027】
本発明のさらなる利点及び有利な特徴は、以下の説明及び従属請求項に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下、添付図面を参照して、例として挙げられる本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【0029】
図1】本発明の一実施形態に係る車速制御システムを備えた車両の概略図である。
図2】本発明に係るブレーキクルーズコントロールシステムを備えた車両の速度変動の一例を示す概略図である。
図3A】本発明に係る方法を実行するフローチャートの概略図である。
図3B】本発明に係る方法を実行するフローチャートの他の概略図である。
図4】コンピュータ装置に適用された本発明を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に係る車速制御システムを備えた車両の概略を示す。図1は、クラッチ機構121を介して変速機120に連結された電子制御式の内燃機関110を有する、トラクタ−セミトレーラ車両のトラクタなどの車両100を示す。図1に示す車両は、本発明のシステム及び方法のために適用可能な1つを表すにすぎないことに留意されたい。本発明は、本明細書で説明する車速制御システムを備えた、任意タイプの商用車又は産業車両に実装可能である。
【0031】
変速機120は、出力軸122を介して、一対の駆動輪124を駆動するドリブンアクスル123に連結された自動機械式変速機又は他の適切な変速機とすることができる。車両100は、少なくとも2つのアクスル、例えば、操舵可能なアクスル127と、少なくとも1つのリアドリブンアクスル123と、を含んでいる。図1は、関連した車輪124,126を有するリアドリブンアクスル123及びトレーリングアクスル125、並びに、関連する車輪128を有する操舵可能なアクスル127を示している。各アクスル123,125,127は、特定用途及び作動状態に応じて手動又は自動で作動することができる、サービスブレーキコンポーネント131,132,133を有する、対応する車輪124,126,128を支持している。例えば、アンチロックブレーキシステム(ABS)を搭載した車両は、車両制動中にシステムが1つ以上の車輪に十分なスリップ差を検出するか、クルーズコントロールシステムの制御下で車両が降坂走行しているときなど、適切な状態下で制動の自動制御を行うことができる。サービスブレーキコンポーネント131,132,133は、車輪速センサ及び電子制御式の圧力バルブ(図示せず)を含み、車両の制動システムの制御を行う。サービスブレーキコンポーネント131,132,133は、図1において入力部134及び出力部135で概略的に示されるように、適切な配線によって、中央電子制御ユニット(ECU)140に接続されている。車輪速センサ136は、図1に概略的に示されている。そのような1つ以上のセンサからの出力信号は、車速を算出するために使用することができる。
【0032】
車両100は、アクセルペダル141、ブレーキペダル142及び任意のクラッチペダル143(手動変速機用)などの従来のオペレータコントロール、並びに、ダッシュボードコントロールコンソール(図示せず)などのオペレータインタフェースを含んでいる。ダッシュボードコントロールコンソールは、ライト、ディスプレイ、ブザー、計器などの多くの出力デバイスの任意の1つ、スイッチ、プッシュボタン、ポテンショメータなどの様々な入力デバイスを含むことができる。入力デバイスの例としては、ブレーキクルーズコントロールシステムにおいて、ブレーキクルーズコントロールの設定速度を設定、復帰又はその両方を行うコントローラ144,145とすることができる。ブレーキクルーズコントロールの設定速度を設定するコントローラ144及びブレーキクルーズコントロールの設定速度を復帰するコントローラ145の両方は、ECU140に接続されている。
【0033】
車両制御システムは、エンジン110及び変速機120の電子制御モジュール146,147に夫々接続された中央ECU140を含んでいる。ECU140はまた、入力部148を介して様々なセンサと通信し、出力部149を介して多数のアクチュエータと通信する。センサ(図示せず)としては、操舵角センサ、車輪速センサ(サービスブレーキコンポーネント131,132,133に含まれる)、電子式アクセルペダルセンサ、ブレーキペダルセンサ若しくはスイッチ、クラッチ制御若しくはセンサ、出力速度センサ、少なくとも車両の前後方向の傾斜を示すセンサ若しくは加速度計151、及び、様々なエンジンパラメータのセンサ152を含むことができる。
【0034】
ブレーキクルーズコントロールが起動された状態での降坂走行中、ECU140は、複数のセンサからの情報を監視してそれらの入力値を評価し、多くのなかから、現在のエンジン速度、エンジントルク、ブレーキペダル位置、アクセルペダル位置、路面速度、クルーズコントロール状態、クルーズコントロールの制動設定速度、クルーズコントロールの複数のスイッチ、クラッチペダル位置などのパラメータを特定する。
【0035】
複数のアクチュエータとしては、変速機120内で変速を自動的に行う変速アクチュエータ、電子制御式の圧力バルブ(サービスブレーキコンポーネント131,132,133に含まれる)、エンジンリターダ111などの1つ以上の補助ブレーキを含むことができる。エンジンリターダは、長時間の降坂時にサービスブレーキ131,132,133を補助し、高頻度な発進操作及び停止操作においてサービスブレーキの寿命を延長するために利用されるデバイスである。複数のリターダは、エンジンブレーキ、排気ブレーキ、油圧リターダ及び電気リターダに分類することができる。エンジンリターダの一例は、生み出されたディーゼルエンジンの動力をエアコンプレッサの動力に変換する、公知の「ジェイクブレーキ」などのエンジンブレーキである。これは、圧縮行程中にピストンが上死点に近づくと、燃料を遮断して排気バルブを油圧で開弁することによって達成される。クルーズコントロールが作動すると、多くのエンジンメーカーがエンジンブレーキを無効にする。しかしながら、本発明は、ブレーキクルーズコントロールが作動したときにエンジンリターダを利用して、車両の減速を高めることができる。これは、降坂走行中に、エンジンリターダを直接制御することによって達成することができる。
【0036】
ECU140は、ハードウエア回路コンポーネントとプログラムされたマイクロプロセッサとの様々な組み合わせで実装される論理規則又はアルゴリズムを含み、様々な車両のシステム及びサブシステムの制御を行う。クルーズコントロール機能は、ブレーキクルーズコントロール機能を実装するのに必要な論理規則を表す、ECU140内のクルーズコントロールブロックとして組み込むことができる。このシステムの動作は、以下で詳細に説明する。
【0037】
図2は、本発明に係るブレーキクルーズコントロールシステムを備えた車両の速度変動の一例を示す概略図である。図示するように、ブレーキクルーズコントロールを搭載した車両200は、初期道路区間Xに沿って走行して降坂路に近づいている。第1の地点Aにおいて、車両200は、第1の制動設定速度VB1と等しい速度で走行している。第1の降坂路区間Xの間、車両は加速し始め、現在の車速を監視するように構成されたブレーキクルーズコントロールシステムは、速度を低下させて第1の制動設定速度VB1を維持しようと試みる。速度低下は、最初、少なくとも1つの補助ブレーキ、望ましくは、エンジンリターダによって行われる。降坂路の傾斜が過度でない場合、車速は、図2において破線曲線で示されるように、所定の超過速度(overspeed)VLIM未満に維持することができる。しかしながら、より急な傾斜では、車速は、図2において実線曲線で示されるように、超過速度VLIMを超えることができる。車速が超過速度VLIMを超える場合には、ブレーキクルーズコントロールシステムは、サービスブレーキを自動的に作動させて、補助ブレーキをアシストして速度を制限することができる。このような状態下でのサービスブレーキの作動は、急な降坂路又は長い降坂路でのサービスブレーキの長時間使用が望ましくないため、運転者に警告する契機となり得る。
【0038】
第2の地点Bにおいて、運転者が介入、例えば、ブレーキペダルを踏み込むことによって、サービスブレーキを手動作動させて車速を低下させる。車両に備えられた中央電子制御ユニット(ECU)(図1参照)がサービスブレーキの手動作動を検出すると、ECUは、運転者のさらなる操作が不要である、多くのステップを自動的に実行して速度を低下させるように構成されている。
【0039】
第1のステップでは、ECUは、第1の制動設定速度VB1より低速な第2の制動設定速度VB2に制動設定速度を設定する。第2の制動設定速度VB2は、補助ブレーキのみによって低速が維持できるレベルに、ECUによって選択される。その代わりに、ECUは、運転者がサービスブレーキを解放すると、検出された車速に第2の制動設定速度VB2を設定するように構成されている。低速の制動設定速度に設定する動作は、例えば、短時間かつ明確な車両減速を行うことができるサービスブレーキか、低速ギヤへのダウンチェンジを行うことができる変速機からの自動応答を契機とすることができる。制動設定速度の低下に対する応答は、現在検出された道路傾斜に依存することができる。図2において、速度が第2の制動設定速度VB2に向けて低下すると、第2の降坂路区間Xに亘って、車両は点Bから点Cに向かって減速される。
【0040】
第2のステップにおいて、検出された現在の車速が第2の制動設定速度VB2を超えたことが検出されると、ECUは、少なくとも補助ブレーキ、望ましくは、補助ブレーキのみを使用して制動トルクを印加する。図2において、これは点Cで示されており、ECUは、第3の降坂路区間X3に亘って、車両を減速させて第2の制動設定速度VB2を維持するために補助ブレーキが使用できるか否かを判定する。
【0041】
公道の標準化された基準よりも傾斜が大きな特定状態下では、運転者がさらに速度を低下させるサービスブレーキを再作動させると、上述のステップを繰り返すことができる。
【0042】
点Dにおいて、コントロールユニットは、降坂状態の終了を検出する。第1の代替例によれば、ECUは、ブレーキクルーズコントロールの制動設定速度を第1の制動設定速度VB1に戻すように構成されている。ここで、第4の道路区間Xに亘って、クルーズコントロールシステムによって車速が第1の制動設定速度VB1まで増加する。コントロールユニットは、傾斜センサ、加速度計、車載の地形データベース、GPS受信機又は同様な適切なデバイスによって、コントロールユニットに送信された1つ以上の信号に応答して、この動作を実行するように構成されている。1つ以上のこれらの信号は、補助ブレーキの作動がないことを検出したことと組み合わされて、降坂状態の終了を検出するために使用することができる。
【0043】
第2の代替例によれば、ECUは、運転者がレジューム命令を発行すると、ブレーキクルーズコントロールの制動設定速度を第1の制動設定速度VB1に戻すように構成されている。そのような手動のレジューム命令は、ダッシュボード上又はステアリングホイール上若しくはその付近の加速手段又はレジュームスイッチ(図1参照)を運転者が操作する必要がある。
【0044】
図3Aは、ブレーキクルーズコントロールシステムを搭載した車両において、本発明に係る方法を実行する概略的なフローチャートを示す。図3Aから理解できるように、第1のステップ311で処理が開始され、これに続くステップ312において運転者が第1の制動設定速度を設定する。第3のステップ313において降坂状態が検出されると、第4のステップ314において、ブレーキクルーズコントロールシステムに車速を制御させて第1の制動設定速度を維持する。このステップ314では、車速や道路傾斜などの多くのパラメータが監視され、車速が第1の制動設定速度を超えると、少なくとも補助ブレーキが作動される。第3のステップ313で降坂状態が検出されないと、最後のステップ317で処理が終了する。
【0045】
降坂状態が続くのであれば、第5のステップ315において追加のチェックが行われ、サービスブレーキが手動で作動したか否かが判定される。運転者がサービスブレーキを作動させていなければ、処理は第3のステップ313へと戻り、降坂状態が続いているか否かを判定する。そして、処理は第4のステップ314へと進み、第1の制動設定速度を維持するブレーキコントロールクルーズの実行を継続する。一方、運転者がサービスブレーキを作動させたならば、処理は第6のステップ316へと進み、第1の制動設定速度より低速な第2の制動設定速度に制動設定速度が設定される。第2の制動設定速度は、ブレーキクルーズコントロールシステムによって自動的に設定され、格納されたテーブル若しくはマトリックスからか、現在の道路傾斜のようなパラメータに応じてか、その両方から、自動的に選択することができる。その代わりに、運転者がサービスブレーキを解放すると、検出された車速に第2の制動設定速度を設定することができる。その後、処理は第3のステップ313へと戻り、降坂状態が続いているか否かをチェックする。降坂状態が続いていれば、処理は第4のステップ314へと進み、ブレーキクルーズコントロールの実行を継続して、低速な第2の制動設定速度を維持する。ここで、制動設定速度が低下すると、ブレーキクルーズコントロールシステムは、ダウンシフトか、追加の動作か、その両方を実行して、車速を新たな制動設定速度に低下させることが要求される。その後、上述のように処理が再開される。
【0046】
上述のような処理は、第3のステップ313において、降坂状態が検出される限り継続される。ブレーキクルーズコントロールシステムが降坂状態の終了を検出すると、処理は制御ループを抜けて、第3のステップ313から最後のステップ317へと進む。降坂状態の終了は、望ましくは、例えば、道路傾斜を監視することによって、ブレーキクルーズコントロールシステムが自動的に検出する。その代わりに、運転者がアクセルペダル又はこの目的のために設けられたスイッチを操作すると、降坂状態の終了が検出される。最後のステップ317で処理が終了し、検出されたパラメータを定期的に監視することに戻って、次の降坂状態が検出された場合にのみ再開される。以前の降坂路区間の間に制動設定速度が変更されると、次の降坂路区間に先立って制動設定速度が第1の制動設定速度に自動的にリセットされる。
【0047】
図3Bは、ブレーキクルーズコントロールシステムを搭載した車両において、本発明に係る方法を実行する他の概略的なフローチャートを示す。図3Bから理解できるように、この方法は第1のステップ321で処理が開始され、これに続く第2のステップ322において運転者が第1の制動設定速度を設定する。第1の制動設定速度は、運転者によって一度設定され、その後の使用のためにコントロールユニットに格納される。その代わりに、システムは、例えば、現在格納されている設定速度値を表示することによって運転者に入力を促し、運転者が入力しなければ、格納されている第1の制動設定速度が使用される。第3のステップ323において降坂状態が検出されると、第4のステップ324において、ブレーキクルーズコントロールシステムに車速を制御させて第1の制動設定速度を維持する。このステップ324では、車速や道路傾斜などの多くのパラメータが監視され、車速が第1の制動設定速度を超えると、少なくとも補助ブレーキが作動される。
【0048】
降坂状態が続くのであれば、第5のステップ325において追加のチェックが行われ、サービスブレーキが手動で作動したか否かが判定される。運転者がサービスブレーキを作動させていなければ、処理は第3のステップ323へと戻り、降坂状態が続いているか否かを判定する。そして、処理は第4のステップ324へと進み、第1の制動設定速度を維持するブレーキコントロールクルーズの実行を継続する。一方、運転者がサービスブレーキを作動させたならば、処理は第6のステップ326へと進み、第1の制動設定速度より低速な第2の制動設定速度に制動設定速度が設定される。第2の制動設定速度は、ブレーキクルーズコントロールシステムによって自動的に設定され、格納されたテーブル若しくはマトリックスからか、現在の道路傾斜のようなパラメータに応じてか、その両方から、自動的に選択することができる。その代わりに、運転者がサービスブレーキを解放すると、検出された車速に第2の制動設定速度を設定することができる。その後、処理は第3のステップ323を経て第4のステップ324へと戻り、ブレーキクルーズコントロールの実行を継続して、低速な第2の制動設定速度を維持する。ここで、制動設定速度が低下すると、ブレーキクルーズコントロールシステムは、ダウンシフトか、追加の動作か、その両方を実行して、車速を新たな制動設定速度に低下させることが要求される。その後、上述のように処理が再開される。
【0049】
上述のような処理は、第3のステップ323において、降坂状態が検出される限り継続される。ブレーキクルーズコントロールシステムが降坂状態の終了を検出すると、処理は制御ループを抜けて、第3のステップ323から第7のステップ327へと進む。降坂状態の終了は、望ましくは、例えば、道路傾斜を監視することによって、ブレーキクルーズコントロールシステムが自動的に検出する。その代わりに、運転者がアクセルペダル又はこの目的のために設けられたスイッチを操作すると、降坂状態の終了が検出される。第7のステップ327において、制動設定速度が変更されたか否かを判定する。制動設定速度が変更されていなければ、何の動作も必要なく、制動設定速度が変更されていれば、制動設定速度が第1の制動設定速度にリセットされる。
【0050】
最後のステップ328で処理が終了し、検出されたパラメータを監視することに戻って、次の降坂状態が検出された場合にのみ再開される。以前の降坂路区間の間に制動設定速度が変更されると、次の降坂路区間に先立って制動設定速度が第1の制動設定速度に自動的にリセットされる。
【0051】
本発明はまた、上述の実施例のいずれか1つに記載の方法を実行するため、コンピュータと共に使用される、コンピュータプログラム、コンピュータプログラム製品及びコンピュータ記録媒体に関する。
【0052】
図4は、本発明の一実施形態に係る装置400を示す。この装置400は、不揮発性メモリ420と、プロセッサ410と、読み書きメモリ460と、を備えている。メモリ420は、装置400を制御するためのコンピュータプログラムが格納された、第1のメモリ部430を有している。装置400を制御するためのメモリ部430のコンピュータプログラムは、オペレーティングシステムとすることができる。
【0053】
装置400は、例えば、コントロールユニット140のようなコントロールユニットを内蔵することができる。データ処理ユニット410は、例えば、マイクロコンピュータを含むことができる。メモリ420は、本発明に係る車速制御システムを制御するためのプログラムが格納される、第2のメモリ部440も有している。他の実施形態において、車速制御システムを制御するためのプログラムは、例えば、CD又は交換可能な半導体メモリなど、データのための別体の不揮発性記憶媒体450に格納される。このプログラムは、実行可能な形態又は圧縮状態で格納することができる。
【0054】
以下においてデータ処理ユニット410が特定機能を実行すると述べるとき、データ処理ユニット410がメモリ440に格納されたプロクラムの特定部分を実行、又は、不揮発性記憶媒体420に格納されたプログラムの特定部分を実行していることは明らかであろう。
【0055】
データ処理ユニット410は、データバス414を介して、記憶媒体450と通信するように適合されている。データ処理ユニット410はまた、データバス412を介して、メモリ420と通信するように適合されている。さらに、データ処理ユニット410は、データバス411を介して、メモリ460と通信するように適合されている。データ処理ユニット410はさらに、データバス415を使用して、データポート490と通信するように適合されている。
【0056】
本発明は、上述及び図示の実施形態に限定されないことを理解されたい。むしろ、当業者であれば、添付の特許請求の範囲内で多くの変更及び修正が可能であることを認識するであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図4
【手続補正書】
【提出日】2018年5月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が降坂走行しているとき、ブレーキクルーズコントロールを搭載した車両の車速を制御する方法であって、
制動設定速度を第1の制動設定速度(VB1)に設定した状態で車両を降坂走行させるステップと、
現在の車速を検出するステップと、
少なくとも補助ブレーキ(111)を使用して制動トルクを自動的に印加し、前記第1の制動設定速度(VB1)を維持するステップと、
車速を低下させるために車両のサービスブレーキの手動作動を検出するステップと、
を含み、
コントロールユニットが、運転者が前記サービスブレーキ(131,132,133)を作動させていることを検出すると、
前記第1の制動設定速度(VB1)より低速な第2の制動設定速度(VB2)に前記制動設定速度を設定するステップと、
検出された現在の車速が前記第2の制動設定速度を超えると、少なくとも前記補助ブレーキを使用して制動トルクを印加するステップと、
を自動的に実行するように構成され、
前記補助ブレーキ(111)によって前記第2の制動設定速度が維持できるレベルに、前記第2の制動設定速度(VB2)を設定する、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記運転者が前記サービスブレーキを解放すると、検出された車速に前記第2の制動設定速度(VB2)を設定する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コントロールユニットが降坂状態の終了を検出すると、前記ブレーキクルーズコントロールの制動設定速度を前記第1の制動設定速度(VB1)に戻す、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記運転者がレジューム命令を発行すると、前記ブレーキクルーズコントロールの制動設定速度を前記第1の制動設定速度(VB1)に戻す、ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記運転者が加速手段を操作すると、前記制動設定速度を前記第1の制動設定速度に戻す、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記運転者がレジュームスイッチを操作すると、前記ブレーキクルーズコントロールの設定速度を前記第1の制動設定速度に戻す、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
車両が降坂走行しているとき、ブレーキクルーズコントロールを搭載した車両(100)の車速制御システムであって、
現在の車速を検出するように構成されたセンサ(136)と、
サービスブレーキ(131,132,133)と、
少なくとも1つの補助ブレーキ(111)と、
現在の車速を第1の制動設定速度(VB1)と比較し、前記補助ブレーキ(111)を制御して前記第1の制動設定車速を維持するように構成された、制動設定速度を受信するユーザ選択可能な入力部を有するコントロールユニット(140)と、
を備え、
前記コントロールユニット(140)は、前記サービスブレーキ(131,132,133)が手動で作動されて車速を低下させたか否かを検出するように構成され、
前記サービスブレーキの手動作動が検出されると、前記コントロールユニット(140)は、前記第1の制動設定速度(VB1)より低速な第2の制動設定速度(VB2)に前記制動設定速度を自動的に設定し、前記現在の車速が前記第2の制動設定速度を超えると、少なくとも前記補助ブレーキを使用して制動トルクを印加するように構成され、
前記コントロールユニット(140)は、前記補助ブレーキ(111)によって前記第1の制動設定速度(VB1)が維持できるレベルに、前記第2の制動設定速度を設定する、
ことを特徴とする車速制御システム。
【請求項8】
前記運転者が前記サービスブレーキ(131,132,133)を解放すると、検出された前記車速に前記第2の制動設定速度を設定するように構成された、ことを特徴とする請求項7に記載の車速制御システム。
【請求項9】
前記コントロールユニットが前記降坂状態の終了を検出すると、前記コントロールユニットは、前記制動設定速度を前記第1の制動設定速度(VB1)に戻すように構成された、ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の車速制御システム。
【請求項10】
前記運転者がレジューム命令を発行すると、前記コントロールユニットは、前記制動設定速度を前記第1の制動設定速度(VB1)に戻すように構成された、ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の車速制御システム。
【請求項11】
コンピュータで実行されたとき、ブレーキクルーズコントロールを搭載した車両の車速を制御する請求項1〜請求項6のいずれか1つのステップを実行するプログラムコード手段を備えたコンピュータプログラム。
【請求項12】
コンピュータで実行されたとき、ブレーキクルーズコントロールを搭載した車両の車速を制御する請求項1〜請求項6のいずれか1つのステップを実行するプログラムコード手段を備えたコンピュータプログラムを保持するコンピュータ可読媒体。
【請求項13】
請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の方法のステップを実行するように構成され、ブレーキクルーズコントロールを搭載した車両の車速を制御するコントロールユニット
【国際調査報告】