(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
ボードコアと、実質的な厚さ(例えば、少なくとも約0.02インチ)の濃縮層とを備える、複合石膏ボードについて開示する。濃縮層は、ボードコアより高い重量パーセントの増強添加物を含む。ボードコアは、濃縮層の厚さより大きい厚さを有し、ボード体積の大半を形成する。濃縮層は、ボードコアの密度より高い密度(例えば、少なくとも約1.1倍大きい)を有する。複合石膏ボードを調製する方法についても開示する。
(a)少なくとも水、漆喰および任意で増強添加物より形成される硬化石膏を備える、ボードコアであって、乾燥密度および乾燥厚さを有し、第1および第2コア面を正対関係で画定する、ボードコアと、
(b)少なくとも水、漆喰および前記増強添加物より形成される、濃縮層であって、前記第1コア面に結合関係で配置され、前記ボードコアの前記乾燥密度より、少なくとも約1.1倍高い乾燥密度を有する、濃縮層と、を備え、
(i)前記増強添加物が、前記コア形成において存在するとき、前記増強添加物は、前記ボードコア形成より前記濃縮層形成において、より高い濃度で含まれ、
(ii)前記ボードコアの乾燥厚さは、前記濃縮層の前記乾燥厚さより大きい、複合石膏ボード。
前記濃縮層の前記乾燥厚さは、約0.035インチ(約0.09cm)から約0.05インチ(約0.13cm)である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合石膏ボード。
前記デンプンが、VMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、前記アルファ化デンプンは、約20センチポイズから約700センチポイズの前記粘度を有する、請求項13に記載の複合石膏ボード。
前記デンプンは、前記濃縮層形成において、前記漆喰の重量で約5%から約40%の量で含まれ、前記ボードコア形成において、前記漆喰の重量で約0%から約4%の量で含まれる、請求項11〜15のいずれか一項に記載の複合石膏ボード。
前記増強添加物は、ポリビニルアルコールを含み、前記ポリビニルアルコールは、前記漆喰の重量で約1%から約5%の量で、前記濃縮層の中に存在し、前記漆喰の重量で約0%から約1%の量で、前記ボードコアの中に存在する、請求項17に記載の複合石膏ボード。
前記増強添加物は、ホウ酸を含み、前記ホウ酸は、前記漆喰の重量で約0.1%から約1%の量で、前記濃縮層の中に存在し、前記漆喰の重量で約0%から約0.1%の量で、前記ボードコアの中に存在する、請求項17に記載の複合石膏ボード。
前記ナノセルロース、マイクロセルロースまたはそれらのいかなる組み合わせは、前記漆喰の重量で約0.05%から約1%の量で、前記濃縮層の中に存在し、前記漆喰の重量で約0%から約0.01%の量で、前記ボードコアの中に存在する、請求項20に記載の複合石膏ボード。
前記石膏セメントは、前記濃縮層形成において、前記漆喰の重量で約5%から約30%の量で含まれ、前記ボードコア形成において、前記漆喰の重量で約0%から約10%の量で含まれる、請求項22に記載の複合石膏ボード。
前記ポリリン酸塩は、トリメタリン酸ナトリウム、トリメタリン酸カリウム、トリメタリン酸アンモニウム、トリメタリン酸リチウムまたはそれらのいかなる組み合わせである、請求項24に記載の複合石膏ボード。
前記ポリリン酸塩は、前記濃縮層形成において、前記漆喰の重量で約0.2%から約0.4%の量で含まれ、前記ボードコア形成において、前記漆喰の重量で約0%から約0.2%の量で含まれる、請求項24または25に記載の複合石膏ボード。
前記分散剤は、ナフタレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、リグノスルホン酸塩、スルホン化リグニンまたはそれらのいかなる組み合わせである、請求項27に記載の複合石膏ボード。
前記分散剤は、前記濃縮層形成において、前記漆喰の重量で約0.1%から約0.2%の量で含まれ、前記ボードコア形成において、前記漆喰の重量で約0%から約0.4%の量で含まれる、請求項27または28に記載の複合石膏ボード。
前記ボードは、ASTM C473−10の方法Bに従う、少なくとも約68lbの力の釘引き抜き抵抗を有する、請求項1〜29のいずれか一項に記載の複合石膏ボード。
前記濃縮層は、前記ボードコアの平均コア硬度より、少なくとも約4倍大きい前記平均コア硬度を有し、前記平均コア硬度は、ASTM C−473−10に従って測定される、請求項1〜30のいずれか一項に記載の複合石膏ボード。
前記増強添加物は、以下、デンプン、ポリビニルアルコール、ホウ酸、ナノセルロース、マイクロセルロースおよび石膏セメントのうちの少なくとも二つを備える、請求項1〜35のいずれか一項に記載の複合石膏ボード。
前記増強添加物は、前記デンプンが前記VMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの前記粘度を有する、アルファ化デンプンと、ポリビニルアルコールと、ホウ酸とを備える、請求項36に記載の複合石膏ボード。
前記増強添加物は、(i)前記デンプンが前記VMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの前記粘度を有する、アルファ化デンプンと、(ii)マイクロセルロースおよび/またはナノセルロースと、を備える、請求項36または37に記載の複合石膏ボード。
前記増強添加物は、前記デンプンが前記VMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの前記粘度を有する、アルファ化デンプンと、石膏セメントと、を備える、請求項36〜38のいずれか一項に記載の複合石膏ボード。
前記増強添加物は、前記デンプンが前記VMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの前記粘度を有する、アルファ化デンプンを備え、前記コアおよび/または前記濃縮層はさらに、ポリリン酸塩および分散剤より形成される、請求項36〜39のいずれか一項に記載の複合石膏ボード。
前記ボードはさらに、前記上部カバーシートと前記ボードコアとの間および/または前記底部カバーシートと前記ボードコアとの間に配置される結合層を備え、前記結合層は、約0.01インチ(約0.03cm)から約0.015インチ(約0.04cm)の厚さを有する、請求項2〜41のいずれか一項に記載の複合石膏ボード。
(a)第1スラリー、少なくとも水、漆喰および任意で増強添加物より形成される、硬化石膏を備える、ボードコアであって、前記第1スラリーは、第1の水対漆喰の割合を有し、前記コアは、第1密度を有し、前記コアは、第1および第2コア面を正対関係で画定する、ボードコアと、
(b)少なくとも水、漆喰および前記増強添加物を備える、第2スラリーより形成される、濃縮層であって、前記第2スラリーは、第2の水対漆喰の割合を有し、前記濃縮層は、前記第1コア面に結合関係で配置され、前記濃縮層は、前記ボードコアの前記密度より、少なくとも約1.1倍高い密度を有する、濃縮層と、を備え、
(i)前記増強添加物が、前記第1スラリーの中に存在するとき、前記増強添加物は、前記第1スラリー中より、前記第2スラリー中により高い濃度で含まれ、
(ii)前記ボードコアは、前記濃縮層の前記厚さより大きい厚さを有し、
(iii)前記第2の水対漆喰の割合は、前記第1の水対漆喰の割合より少なくとも約1.2倍高い、複合石膏ボード。
前記濃縮層は、前記ボードコア形成において使用される、少なくとも約1.2倍の前記増強添加物より形成される、請求項46〜52のいずれか一項に記載の複合石膏ボード。
前記デンプンは、前記VMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの前記粘度を有する、アルファ化デンプンを備える、請求項55に記載の複合石膏ボード。
前記濃縮層は、前記ボードコア形成において使用される、少なくとも約1.2倍の前記増強添加物より形成される、請求項57〜59のいずれか一項に記載の複合石膏ボード。
前記濃縮層は、前記ボードコア形成において使用される、少なくとも約1.2倍の前記増強添加物より形成される、請求項63〜65のいずれか一項に記載の複合石膏ボード。
前記デンプンは、前記VMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの前記粘度を有する、アルファ化デンプンを備える、請求項71に記載の複合石膏ボード。
(a)少なくとも水、漆喰および任意で増強添加物より形成される、硬化石膏を備える、ボードコアであって、乾燥密度を有し、第1および第2コア面を正対関係で画定する、ボードコアと、
(b)少なくとも水、漆喰および前記増強添加物より形成される、濃縮層であって、前記第1コア面に結合関係で配置される、濃縮層と、を備え、
(i)前記増強添加物が、前記コア形成において存在するとき、前記濃縮層は、前記ボードコア形成において使用される、少なくとも約1.2倍の前記増強添加物より形成され、
(ii)前記ボードコアは、約30pcf以下の乾燥密度を有し、
(iii)前記濃縮層は、前記ボードコアの乾燥密度より高い乾燥密度を有する、複合石膏ボード。
前記デンプンは、前記VMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの前記粘度を有する、アルファ化デンプンを備える、請求項77に記載の複合石膏ボード。
(a)少なくとも水、漆喰、ならびに任意で分散剤および/またはポリリン酸塩のうちの一つまたは両方より形成される、硬化石膏を備える、ボードコアであって、乾燥密度を有し、第1および第2コア面を正対関係で画定する、ボードコアと、
(b)少なくとも水、漆喰ならびにポリリン酸塩および分散剤のうちの一つまたは両方より形成される、濃縮層であって、前記第1コア面に結合関係で配置される、濃縮層と、を備え、
(i)前記ポリリン酸塩および/または分散剤が、前記コア形成において存在するとき、前記ポリリン酸塩および/または分散剤は、前記ボードコア形成より前記濃縮層形成において、より高い濃度で含まれ、
(ii)前記濃縮層は、前記ボードコアの乾燥密度より高い乾燥密度を有する、複合石膏ボード。
前記濃縮層はさらに、増強添加物を原料とし、前記ボードコアは任意でさらに、増強添加物より形成され、前記増強添加物が、前記ボードコア形成において含まれるとき、前記増強添加物は、前記ボードコア形成より前記濃縮層形成において、より高い濃度で含まれる、請求項82に記載の複合石膏ボード。
前記デンプンは、前記VMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの前記粘度を有する、アルファ化デンプンを備える、請求項86に記載の複合石膏ボード。
前記ボードは、約33pcf以下の密度と、ASTM C473−10の方法Bに従う、少なくとも約68lbの力の釘引き抜き抵抗と、を有する、請求項88〜92のいずれか一項に記載の方法。
前記デンプンは、前記VMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの前記粘度を有する、アルファ化デンプンを備える、請求項97に記載の方法。
乾燥すると、前記濃縮層は、約0.02インチ(約0.05cm)から約0.2インチ(約0.5cm)の厚さを有する、請求項88〜98のいずれか一項に記載の方法。
乾燥すると、前記濃縮層は、前記ボードコアの平均コア硬度より、少なくとも約1.5倍大きい前記平均コア硬度を有する、請求項88〜100のいずれか一項に記載の方法。
前記ボードは、ASTM C473−10の方法Bに従う、少なくとも約72lbの力の釘引き抜き抵抗を有する、請求項102〜110のいずれか一項に記載の方法。
前記デンプンは、前記VMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの前記粘度を有する、アルファ化デンプンを備える、請求項112に記載の方法。
乾燥すると、前記濃縮層は、前記ボードコアの平均コア硬度より、少なくとも約1.5倍大きい前記平均コア硬度を有する、請求項102〜113のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の実施形態は、複合ボード(例えば、ウォールボードなどの石膏ボード)の新規構成、およびそのようなボードを作製する方法を提供する。本明細書で使用する通り、石膏ウォールボード(しばしば、乾式壁と呼ばれる)は、壁だけでなく、天井および当該技術分野において理解されるような他の場所にも使用されるボードを網羅し得る。一態様において、複合ボードは、例えば、最終製品において硬化石膏の連続的な結晶性マトリクスの形態の、異なるセメント系組成物を包含する、複数層を包含する。一つの層がボードコアを形成し、別の層が実質的な厚さ(例えば、少なくとも約0.02インチまたは約0.05cm)の濃縮層を形成する。ボードコアは概して、好ましい実施形態の濃縮層より厚く、ボードの外皮の体積の大半(例えば、約70%超、約75%超など、約60%超)を占める。通常、ボードはまた、上部(正面)および底部(裏)カバーシートも含む。
【0017】
ボードコアおよび濃縮層は両方、セメント系材料および水より形成される。本開示の好ましい実施形態によって、濃縮層は、ボードコアが有するより高い密度(例えば、少なくとも約1.1倍高い)を有するように構築される。より密度の低いボードコアを構築するには、当該技術分野において知られるような発泡剤がボードコアに使用され得るが、特にさらなる支出が受け入れられ得る場合には、例えば、軽量の骨材またはパーライトを含む、軽量充填剤など、密度を低下させる他の材料が、代替または追加原料としてボードコア形成用のスラリー中に含まれ得る。濃縮層は、その層でより高い所望の密度を達成するために、より少ない発泡剤を含むもしくは全く含まない、および/またはより少ない軽量充填剤を含むもしくは全く含まない場合がある。
【0018】
いかなる特定の理論にも縛られることは望まないものの、複合ボードのそれぞれの層の組成および相互関係が、製品に驚くほど予想外の特性を付与すると考えられる。特に、濃縮層における増強添加物に的を絞った使用は、所望のボード特性を付与し、所望の通りプロセスの効率を強化するように使用され得ると考えられる。加えて、一部の実施形態では、(a)濃縮層の厚さ、密度および/もしくは強度、ならびに/または(b)紙およびボードコアそれぞれに対する濃縮層の特性などの態様は、所望の通りボード特性を最適化するように使用され得る。これらの態様に少なくとも一部基づき、濃縮層からの所望の特性が、ボード中に分配され方向づけられ、それによって、所望の通りボードコアの中への物理特性を維持しながら、複合ボードの生産を促進し得ると考えられる。
【0019】
一部の実施形態によって、乾燥した濃縮層は、概して隣接している上部カバーシートの剛性値により近い、剛性値を有する。濃縮層は、一部の実施形態では、ボードコアより高い剛性値を有する。したがって、一部の実施形態では、濃縮層は、比較的優れた剛性および強度を持つ材料(すなわち上部カバーシート)と、より低い剛性および強度を持つ材料(すなわちボードコア)との間に配置され得る。剛性値が、当該技術分野において知られる通り、ヤング率により測定され得ることは理解されるであろう。
【0020】
いかなる特定の理論にも縛られることは望まないものの、所望の強度特性を付与する、より高い重量パーセントの増強添加物を、濃縮層に含むことによって、結果として効率的な所望の強度特性をもたらすと考えられる。濃縮層は、上部カバーシートと、好ましくはより軽くより弱いボードコアとの間に配置される。驚くほどかつ予想外に、濃縮層は、負荷からエネルギーを吸収し、負荷が望ましくはより容易に弱まり消散するように、より均一にボードコアの中へおよびボード中に負荷を分散する働きをする。そのため、発明の複合石膏ボードは、優れた強度特性を実証し、特性がボードコアの中へ分配され得る濃縮層において、強度の強化に的を絞ることによって、より低重量のボードを生成することを可能にするであろう。例えば、この利点は、ASTM 473−10の方法Bに従って当該技術分野において理解される通り、一部の実施形態では、釘引き抜き抵抗および曲げ強度試験の優れた結果を通して示され得る。
【0021】
ボードコアおよび濃縮層の組成
本開示の一部の実施形態によって、複合石膏ボードは、増強添加物がボードコアに(仮にあったとして)含まれるより高い濃度で増強添加物を含むように合わせられる。その結果ボードは、所望の強度特性を持つ複合石膏ボードを実現するように形成され得る。
【0022】
一部の実施形態によって、驚くほどかつ予想外なことに、ボードコアと比べて濃縮層中のより高い濃度の増強添加物は、例えば、釘引き抜き抵抗、圧縮強度、曲げ強度など、所望の強度特性の点で効率的なボード性能をもたらすことが判明している。本発明者は、増強添加物を含むように、それぞれのボードコアおよび濃縮層の組成物の処方を合わせることによって、増強添加物の使用を、好ましい実施形態によって最適化することができ、それらの影響により、所望の強度特性(すなわち、ボードコア中より濃縮層中の方が、重量パーセントが高い)を達成する効果、および全体的な水への必要性の低下以上のものを提供し得ることを発見した。この発見によって、増強添加物の全体的使用量の減少、それによる、原材料費の削減、製造効率性の強化、および例えば、充分な強度特性を持ったより軽量な製品を可能にする、製品強度の増強を含むがそれらに限定されない、考慮すべき利点が付与される。
【0023】
一部の実施形態では、濃縮層形成用のスラリーは、例えば、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍など、ボードコア形成用のスラリーと比較して、少なくとも約1.2倍の濃度の増強添加物を包含し、これらの範囲の各々は、例えば、約60、約50、約40、約30、約20、約10、約9、約8、約7、約6.5、約6、約5.5、約5、約4.5、約4、約3.5、約3、約2.5、約2、約1.5など、必要に応じていかなる好適な上限をも有し得る。本明細書で使用する通り、「より高い濃度」は、原料の総計とは対照的に、増強添加物の相対量(漆喰の重量による)を指すことは理解されるであろう。ボードコアは、濃縮層による寄与と比較すると、ボードへのかさ体積および厚さの寄与がより大きいため、ボードコアのスラリー中に、例えば、ポンドまたはキログラムの単位で、より大きな総計でいかなる特定の添加物を提供してもよいが、濃縮層用のスラリーと比較すると、すなわち、例えば重量パーセント(wt%)で、より低い相対量においては、より低い重量濃度で提供することが可能である。
【0024】
驚くほどかつ予想外に、本開示の一部の実施形態は、複合石膏ボードを作製する際に使用する水の全体量を、効果的に減少する。この点において、濃縮層およびボードコアのそれぞれの組成物を合わせることによって、より必要な場合(例えば、濃縮層において)、水はより高い濃度で存在し、必要性が低い場合(例えば、ボードコアにおいて)、水は減少されるため、ボードを作製するのに使用する水の総量を、水の使用量を最適化するように減少し得る。
【0025】
硬化石膏は、水および漆喰を包含する、漆喰スラリー(時に石膏スラリーと呼ばれる)より形成されるため、水対漆喰の割合(「WSR(water‐to‐stucco ratio)」)を観察し得ることは理解されるであろう。一部の実施形態では、ボード体積の大半を形成し得るボードコアは、濃縮層を形成するのに使用されるWSRと比較すると、より低いWSRより形成され得る。したがって、濃縮層による全体のボード体積への寄与が、ボードコアによる全体のボード体積への寄与より少ないため、全体として、複合石膏ボード全体の水使用量およびWSRは、一部の実施形態では有利に下がり得る。
【0026】
ボードコアおよび濃縮層は、いかなる好適なWSRより形成され得る。一部の実施形態では、濃縮層は、ボードコアを形成するのに使用されるスラリーのWSRより高いWSRを有するスラリーより形成される。例えば、一部の実施形態では、濃縮層は、ボードコアを形成するのに使用されるスラリーのWSRより少なくとも約1.2倍高い(例えば、少なくとも約1.5倍高い、少なくとも約1.7倍高い、少なくとも約2倍高い、少なくとも約2.2倍高い、少なくとも約2.5倍高い、少なくとも約2.7倍高い、少なくとも約3倍高い、少なくとも約3.2倍高い、少なくとも約3.5倍高い、少なくとも約3.7倍高い、少なくとも約4倍高いなど。これらの範囲の各々は、例えば、約7、約6.5、約6、約5.5、約5、約4.5、約4、約3.5、約3、約2.5、約2、約1.5など、必要に応じていかなる好適な上限をも有し得る)、WSRを有するスラリーより形成される。
【0027】
一部の実施形態では、ボードコアは、例えば、約0.3から約1.2、約0.3から約1.2、約0.3から約1.2、約0.3から約1.2、約0.3から約1.1、約0.3から約1、約0.3から約0.9、約0.4から約1.3、約0.4から約1.2、約0.4から約1.1、約0.4から約1、約0.4から約0.9、約0.5から約1.3、約0.5から約1.2、約0.5から約1.1、約0.5から約1、約0.5から約0.9、約0.6から約1.3、約0.6から約1.2、約0.6から約1.1、約0.6から約1、約0.6から約0.9、約0.6から約0.8、約0.6から約0.7といった、約0.3から約1.3の水対漆喰の割合を有する、漆喰スラリーより形成される。
【0028】
一部の実施形態では、例えば、約0.3から約0.7、約0.3から約0.6、約0.3から約0.5、約0.3から約0.4、約0.4から約0.8、約0.4から約0.7、約0.4から約0.6、約0.4から約0.5、約0.5から約0.8、約0.5から約0.7、約0.5から約0.6、約0.6から約0.8、約0.6から約0.7など、例えば、約0.3から約0.8というように、より低い水対漆喰の割合が好ましい。
【0029】
一部の実施形態では、濃縮層は、例えば、約0.7から約1.7、約0.7から約1.4、約0.7から約1.2、約0.7から約1、約0.8から約2、約0.8から約1.7、約0.8から約1.4、約0.8から約1.2、約0.8から約1、約1から約2、約1から約1.7、約1から約1.4、約1から約1.2、約1.2から約2、約1.2から約1.7、約1.2から約1.4、約1.4から約2、約1.4から約1.7など、約0.7から約2の水対漆喰の割合を有するスラリーより形成される。濃縮層は、増強添加物の水の必要性を満足させる、より高い含水量を有し得る。一部の実施形態では、増強添加物含有量が濃縮層中でより濃縮されているため、水の必要性がより高まることは、濃縮層ではより稀であり得ることから、ボードコア中のWSRを低下させる効果があり、複合ボードの体積の塊へのボードコアの大きな寄与を特に考慮すると、全体の水使用量を有利に低下させることが可能になる。
【0030】
複合ボードの密度
本開示の実施形態による複合石膏ボードは、石膏ボード、すなわち、乾式壁またはウォールボード(壁だけでなく、天井および当該技術分野において理解されるような他の場所にも使用されるボードを網羅し得る)に対して、様々な所望の密度において有用性を有する。本明細書に述べる通り、ボードの重量は厚さの関数である。ボードはよく、様々な厚さ(例えば、3/8インチ、1/2インチ、3/4インチ、1インチなど)で作製されるため、本明細書ではボードの重量の尺度として、ボードの密度が使用される。本開示の実施形態による複合石膏ボードの利点は、例を挙げると、約18pcf(約290kg/m
3)から約43pcf(約690kg/m
3)、約20pcf(約320kg/m
3)から約43pcf、約20pcfから約40pcf(約640kg/m
3)、約24pcf(約380kg/m
3)から約43pcf、約27pcf(約430kg/m
3)から約43pcf、約20pcfから約38pcf(約610kg/m
3)、約24pcfから約40pcf、約27pcfから約40pcf、約20pcfから約37pcf(約600kg/m
3)、約24pcfから約37pcf、約27pcfから約37pcf、約20pcfから約35pcf(約560kg/m
3)、約24pcfから約35pcf、約27pcfから約35pcfなど、例えば、約43pcf以下といった、より高いボードの密度まで含む、乾燥密度の範囲に見ることができる。
【0031】
本明細書に述べる通り、石膏ウォールボードから固体の塊を除去すると、強度において付随して発生する損失を補うのが、かなり困難になり得る。本開示の一部の実施形態によって、驚くほどかつ予想外に、優れた強度を持つより低重量ボードを使用し、水の必要性を減少し、増強添加物を効率的に使用することが可能になる。例えば、一部の実施形態では、乾燥ボードの密度は、例えば、約16pcfから約27pcf、約16pcfから約24pcf、約18pcfから約33pcf(約530kg/m
3)、約18pcfから約31pcf、約18pcfから約30pcf、約18pcfから約27pcf、約18pcfから約24pcf、約20pcfから約33pcf、約20pcfから約32pcf(約510kg/m
3)、約20pcfから約31pcf(約500kg/m
3)、約20pcfから約30pcf(約480kg/m
3)、約20pcfから約30pcf、約20pcfから約29pcf(約460kg/m
3)、約20pcfから約28pcf(約450kg/m
3)、約21pcf(約340kg/m
3)から約33pcf、約21pcfから約32pcf、約21pcfから約33pcf、約21pcfから約32pcf、約21pcfから約31pcf、約21pcfから約30pcf、約21pcfから約29pcf、約21pcfから約28pcf、約21pcfから約29pcf、約24pcfから約33pcf、約24pcfから約32pcf、約24pcfから約31pcf、約24pcfから約30pcf、約24pcfから約29pcf、約24pcfから約28pcfまたは約24pcfから約27pcfといった、約16pcfから約33pcfであり得る。
【0032】
複合ボードの構造およびアセンブリ
本開示の実施形態を図示するために、複合石膏ボード10の概略断面図を示す、
図1を参照する。表紙12は、上部カバーシートとして機能を果たす。表紙12は、第1面14および第2面16を有する。濃縮層18は、表紙12と結合関係にある。濃縮層18は、第1面20および第2面22を有する。ボードコア24は、第1面26および第2面28を有する。裏紙30は、底部カバーシートとして機能を果たす。裏紙30は、第1面32および第2面34を有する。
【0033】
図1に見られる通り、複合石膏ボード10は、表紙12の面16が濃縮層18の第1面20に面し、濃縮層18の第2面22がコア24の第1面26に面するように配置される。コア24の第2面28は、裏紙30の第1面32に面する。
【0034】
一部の実施形態による複合石膏ボードは、当該技術分野において理解されるであろう通りに構成され、アセンブリに使用され得ることは理解されるであろう。概して、理解されるであろう通り、複合ボードは、木、金属などのいかなる好適な材料より形成されるスタッドに、いかなる好適な配置でも付加され得る。ボードの上部または表カバーシートは外に面し、概して、使用のために装飾される(例えば、ペンキ、生地、壁紙などで)一方、底部または裏カバーシートはスタッドに面する。使用の際には、スタッドの裏に通常、空洞が存在し、裏紙に面する。所望の場合、当該技術分野において知られる通りの絶縁材が、任意で空洞の中に置かれ得る。一実施形態では、アセンブリは二つの複合ボードを備え、複合ボードはそれらの間にある空洞を使用して、スタッドによって接続され、それぞれのボードの底部カバーシートに面する。
【0035】
ボードコア
ボードコアは、複合石膏ボードの体積の大部分を形成する。一部の実施形態では、ボードコアは、例えば、ボード体積の少なくとも約70%、ボード体積の少なくとも約80%、ボード体積の少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約97%など、ボード体積の少なくとも約60%を形成する。濃縮層が実質的な厚さを有する一方で、ボードコアはより一層厚くなり得る。例えば、一部の実施形態では、乾燥ボードコアは、例えば、濃縮層の約2.5倍から約30倍、約2.5倍から約25倍、約2.5倍から約20倍、約2.5倍から約15倍、約2.5倍から約10倍、約2.5倍から約5倍、約2.8倍から約35倍、約2.8倍から約30倍、約2.8倍から約25倍、約2.8倍から約20倍、約2.8倍から約15倍、約2.8倍から約10倍、約2.8倍から約5倍、約5倍から約35倍、約5倍から約30倍、約5倍から約25倍、約5倍から約20倍、約5倍から約15倍または約5倍から約10倍厚いといった、乾燥濃縮層の約2.5倍から約35倍の厚さであり得る。
【0036】
一部の実施形態では、ボードコアは、例えば、濃縮層の約8倍から約12倍、約9倍から約16倍、約9倍から約14倍、約9倍から約12倍、約10倍から約16倍、約10倍から約14倍厚いなど、濃縮層の約8倍から約16倍厚い。
【0037】
ボードコアは少なくとも水および漆喰より形成される。本明細書中で言及する通り、漆喰は、アルファ硫酸カルシウム半水和物、ベータ硫酸カルシウム半水和物および/または無水硫酸カルシウムの形態であり得る。漆喰は繊維質または非繊維質であり得る。漆喰および水に加えて、ボードコアは、低密度充填剤(例えば、パーライト、低密度骨材など)または発泡剤など、より低密度に寄与する、薬剤より形成される。当該技術分野において、様々な発泡剤の処方がよく知られている。発泡剤は、硬化石膏の連続的な結晶性マトリクス内で、気泡の分散を形成するように含まれ得る。一部の実施形態では、発泡剤は、不安定な成分の主要な重量部分および安定した成分の小さい重量部分を備える(例えば、不安定および安定/不安定のブレンドが組み合わされる)。不安定成分対安定成分の重量比率は、硬化石膏コア内に気泡の分散を形成するのに効果的である。例えば、米国特許第5,643,510号、第6,342,284号および第6,632,550号を参照のこと。一部の実施形態では、発泡剤は、アルキル硫酸界面活性剤を備える。
【0038】
ペンシルベニア州アンブラーのGEO Specialty Chemicalsの石鹸製品のHYONICシリーズ(例えば、25AS)など、多くの商業的に知られる発泡剤が利用可能であり、本開示の実施形態により使用され得る。他の市販の石鹸は、イリノイ州ノースフィールドのStepan CompanyのPolystep B25を含む。本明細書に記載する発泡剤は、単独または他の発泡剤との組み合わせで使用し得る。泡は事前に作成し、その後漆喰スラリーに追加され得る。事前作成は、水性発泡剤の中に空気を挿入することによって行い得る。泡を作成する方法および装置はよく知られている。例えば、米国特許第4,518,652号、第2,080,009号および第2,017,022号を参照のこと。
【0039】
一部の実施形態では、発泡剤は、少なくとも一つのアルキル硫酸塩、少なくとも一つのアルキルエーテル硫酸塩もしくはそれらのいかなる組み合わせを備える、それらから成る、または本質的にそれらから成るが、本質的にオレフィン(例えば、オレフィン硫酸塩)および/またはアルキンはない。本質的にオレフィンまたはアルキンがないというのは、発泡剤が、(i)漆喰の重量に基づき0wt%、もしくはオレフィンおよび/もしくはアルキンなし、または(ii)効果のない量のオレフィンおよび/もしくはアルキン、もしくは(iii)重要でない量のオレフィンおよび/もしくはアルキンのいずれかを包含することを意味する。効果のない量の例は、当業者が理解するであろう通り、オレフィンおよび/またはアルキン発泡剤を使用する本来の目的を達成するための閾値を下回る量である。重要でない量は、当業者が理解するであろう通り、漆喰の重量に基づき、例えば、約0.0005wt%未満、約0.001wt%未満、約0.00001wt%など、約0.001wt%未満であってもよい。
【0040】
本開示の実施形態による、不安定な石鹸の一部タイプは、様々な鎖長および様々な陽イオンを持つアルキル硫酸界面活性剤である。好適な鎖長は、例えば、C
8‐C
10またはC
10‐C
12といった、例えば、C
8‐C
12であり得る。好適な陽イオンは、例えば、ナトリウム、アンモニウム、マグネシウムまたはカリウムを含む。不安定な石鹸の例は、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸マグネシウム、デシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸アンモニウム、ドデシル硫酸カリウム、デシル硫酸カリウム、オクチル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸マグネシウム、ドデシル硫酸アンモニウム、それらのブレンドおよびそれらのいかなる組み合わせを含む。
【0041】
本開示の実施形態による、安定した石鹸の一部タイプは、様々な(概して、より長い)鎖長および様々な陽イオンを持つアルコキシル化(例えば、エトキシ化)アルキル硫酸界面活性剤である。好適な鎖長は、例えば、C
12‐C
14またはC
10‐C
12といった、例えば、C
10‐C
14であり得る。好適な陽イオンは、例えば、ナトリウム、アンモニウム、マグネシウムまたはカリウムを含む。安定した石鹸の例は、例えば、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウレス硫酸マグネシウム、ラウレス硫酸アンモニウム、それらのブレンドおよびそれらのいかなる組み合わせを含む。一部の実施形態では、これらの一覧からの安定した石鹸および不安定な石鹸のいかなる組み合わせも使用し得る。
【0042】
発泡剤の組み合わせ、および発泡石膏製品の調製におけるそれらの追加に関する例は、米国特許第5,643,510号に開示され、参照することによって本明細書に組み込まれる。例えば、安定した泡を形成する第1発泡剤、および不安定な泡を形成する第2発泡剤を組み合わせ得る。一部の実施形態では、第1発泡剤は、例えば、8〜12個の炭素原子のアルキル鎖長、および1〜4単位のアルコキシ(例えば、エトキシ)基鎖長を持つ、アルコキシル化アルキル硫酸塩石鹸を持つ石鹸である。第2発泡剤は任意で、例えば、6〜18個または6〜16個の炭素原子といった6〜20個の炭素原子のアルキル鎖長を持つ、非アルコキシル化(例えば、非エトキシ化)アルキル硫酸塩石鹸である。一部の実施形態により、これら二つの石鹸のそれぞれの量を調節することで、安定した石鹸おおよそ100%または不安定な石鹸おおよそ100%に到達するまで、ボードの泡構造を制御することが可能になると考えられる。
【0043】
一部の実施形態では、脂肪アルコールが任意で、例えば、泡を調製する事前の混合において、発泡剤を伴って含まれ得る。これにより、泡の安定性向上をもたらすことができ、それによって、泡(空気)の空隙サイズおよび分散をより良く制御することが可能になる。脂肪アルコールは、いかなる好適な脂肪族脂肪アルコールでもあり得る。本明細書中で定義する通り、「脂肪族」は、アルキル、アルケニルまたはアルキニルを指し、置換または非置換、分岐または非分岐、および飽和または不飽和であり得、一部の実施形態に関連して、例えば、C
X‐C
yでxおよびyが整数である、本明細書で説明する炭素鎖によって表されることは理解されるであろう。したがって、用語脂肪族はまた、基の疎水性を保全する、ヘテロ原子置換による鎖も指す。脂肪アルコールは、単一化合物であり得、または二つ以上の化合物の組み合わせであり得る。
【0044】
一部の実施形態では、任意の脂肪アルコールは、C
6‐C
20脂肪アルコール(例えば、C
6‐C
18、C
6‐C
116、C
6‐C
14、C
6‐C
12、C
6‐C
10、C
6‐C
8、C
8‐C
16、C
8‐C
14、C
8‐C
12、C
8‐C
10、C
10‐C
16、C
10‐C
14、C
10‐C
12、C
12‐C
16、C
12‐C
14またはC
14‐C
16脂肪族脂肪アルコールなど)である。例は、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノールまたはそれらのいかなる組み合わせを含む。C
10‐C
20脂肪アルコールは、直線または分岐C
6‐C
20炭素鎖および少なくとも一つの水酸基を備える。水酸基は、炭素鎖上のいかなる好適な位置に付着し得るが、好ましくは末端炭素に、または末端炭素近辺に付着する。ある実施形態では、水酸基は、炭素鎖のα‐、β‐またはγ‐位置に付着し得、例えば、C
6‐C
20脂肪アルコールは、以下の構造サブユニットを備え得る。
【0046】
したがって、一部の実施形態による所望される任意の脂肪アルコールの例は、1‐ドデカノール、1‐ウンデカノール、1‐デカノール、1‐ノナノール、1‐オクタノールまたはそれらのいかなる組み合わせである。
【0047】
一部の実施形態では、任意の泡安定剤は脂肪アルコールを備え、本質的に脂肪酸アルキロアミドまたはカルボン酸タウリド(tauride)がない。一部の実施形態では、例えば、より大きい界面活性剤含有量を可能にするために、グリコールを含み得るが、一部の実施形態では、任意の泡安定剤は本質的にグリコールがない。前述の原料のいずれもが本質的にないというのは、泡安定剤が、(i)これらの原料のいずれの重量に基づき0wt%、または(ii)効果のない量のいかなるこれらの原料、もしくは(iii)重要でない量のいかなるこれらの原料のいずれかを包含することを意味する。効果のない量の例は、当業者が理解するであろう通り、これらの原料のいずれを使用する本来の目的を達成するための、閾値を下回る量である。重要でない量は、当業者が理解するであろう通り、漆喰の重量に基づき、約0.00005wt%未満、約0.00001wt%未満、約0.000001wt%など、例えば、約0.0001wt%未満であってもよい。
【0048】
好適な空隙の分散および壁の厚さ(単独で)は、特に、より低密度のボード(例えば、約35pcf未満)で、強度を強化するのに効果的であり得ることが分かっている。例えば、米国特許第2007/0048490号および第2008/0090068号を参照のこと。概して直径約5μm以下の空隙を有する蒸発水の空隙はまた、前述の気泡(泡)を伴う全体の空隙分散にも寄与する。一部の実施形態では、約5ミクロンより大きい孔径を持つ空隙対約5ミクロン以下の孔径を持つ空隙の体積比率は、例えば、約0.7:1から約9:1、約0.8:1から約9:1、約1.4:1から約9:1、約1.8:1から約9:1、約2.3:1から約9:1、約0.7:1から約6:1、約1.4:1から約6:1、約1.8:1から約6:1、約0.7:1から約4:1、約1.4:1から約4:1、約1.8:1から約4:1、約0.5:1から約2.3:1、約0.7:1から約2.3:1、約0.8:1から約2.3:1、約1.4:1から約2.3:1、約1.8:1から約2.3:1など、約0.5:1から約9:1である。
【0049】
本明細書で使用する通り、空隙サイズは、コアの中の個々の空隙の最大直径から計算される。最大直径はフェレー径と同一である。画定される各空隙の最大直径は、サンプルの画像からに入手し得る。画像は、二次元画像を提供する、走査電子顕微鏡法(SEM)などのいかなる好適な技術を使用して撮られ得る。大きな孔径の空隙は、空隙の断面(管孔)のランダムネスによって、平均直径を提供できるため、SEM画像で測定され得る。サンプルのコアの至る所に無作為にある、複数の画像における空隙を測定することで、この計算の精度を高め得る。加えて、いくつかの二次元SEM画像に基づいて、コアの三次元立体モデルを構築することでも、空隙サイズの計算精度を向上し得る。別の技術は、三次元画像を提供する、X線コンピューター断層撮影解析(XMT)である。別の技術は、明度のコントラストを使用して、例えば、空隙の深さの判定を支援し得る、光学顕微鏡法である。空隙は、手動で、または例えば、NIHによって開発されたImageJといった画像解析ソフトウェアを使用してのいずれかで測定し得る。当業者は、画像からの空隙サイズおよび分散の手動判定は、各空隙の寸法の視覚による観察によって判定し得ることを理解するであろう。サンプルは、石膏ボードを薄片にすることで入手され得る。
【0050】
発泡剤は、例えば、所望の密度によって、いかなる好適な量でコアのスラリー中に含まれ得る。一部の実施形態では、発泡剤は、すべて漆喰の重量で約0.01%から約0.5%、約0.01%から約0.4%、約0.01%から約0.3%、約0.01%から約0.25%、約0.01%から約0.2%、約0.01%から約0.15%、約0.01%から約0.1%、約0.02%から約0.4%、約0.02%から約0.3%、約0.02%から約0.2%など、例えば、漆喰の重量で約0.5%未満の量で、ボードコア形成用のスラリー中に存在する。濃縮層がより高密度を有するため、濃縮層形成用のスラリーは、例えば、漆喰の重量で約0.0001%から約0.025%、漆喰の重量で約0.0001%から約0.02%、または漆喰の重量で約0.001%から約0.015%といった、例えば、漆喰の重量で約0.0001%から約0.05%の量で、より少ない泡(または泡が全くない)で作製し得る。
【0051】
脂肪アルコールは、含まれる場合には、いかなる好適な量でコアのスラリー中に存在し得る。一部の実施形態では、脂肪アルコールは、例えば、漆喰の重量で約0.0001%から約0.025%、漆喰の重量で約0.0001%から約0.02%、または漆喰の重量で約0.0001%から約0.01%といった、漆喰の重量で約0.0001%から約0.03%の量で、コアのスラリー中に存在する。濃縮層のスラリーがより少ない泡を有し得る、または泡を全く有さないことがあり得るため、脂肪アルコールは濃縮層中に必要とされない、または例えば、漆喰の重量で約0.00001%から約0.003%、漆喰の重量で約0.00001%から約0.0015%、もしくは漆喰の重量で約0.00001%から約0.001%といった、漆喰の重量で約0.0001%から約0.004%など、より少ない量で含まれ得る。
【0052】
本明細書に記載する通り、強度特性を付与する増強剤もまた、任意でボードコア形成用のスラリー中に含まれ得る。当該技術分野で知られる通り、例えば、促進剤、抑制剤等を含む、他の原料もまた、ボードコアのスラリー中に含まれ得る。促進剤は様々な形態であり得る(例えば、湿潤石膏促進剤、耐熱促進剤および気候安定化(climate stabilized)促進剤)。例えば、米国特許第3,573,947号および第6,409,825号を参照のこと。促進剤および/または抑制剤が含まれる、一部の実施形態では、促進剤および/または抑制剤は各々、例えば、漆喰の重量で約0%から約5%(例えば、約0.1%から約5%)など、漆喰の重量で約0%から約10%(例えば、約0.1%から約10%)などにしっかり基づいた量で、ボードコア形成用の漆喰スラリー中にあり得る。
【0053】
加えて、ボードコアおよび/または濃縮層はさらに、一部の実施形態では、流動性を強化するために、少なくとも一つの分散剤より形成され得る。分散剤は、漆喰スラリー中に、他の乾燥原料と共に乾燥形態で、および/または他の液体原料と共に液体形態で含まれてもよい。分散剤の例は、Coatex, Inc.から市販されている、例を挙げると、MELFLUX 2641F、MELFLUX 2651F、MELFLUX 1641F、MELFLUX 2500L分散剤(BASF)およびCOATEX Ethacryl Mといった、例えば、PCE211、PCE111、1641、1641FもしくはPCE 2641−Type Dispersantsといったポリカルボン酸エーテルなどのポリカルボン酸塩分散剤、ならびに/またはリグノスルホン酸塩もしくはスルホン化リグニンだけでなく、ポリナフタレンスルホン酸およびその塩(ポリナフタレンスルホン酸塩)、ならびにナフタレンスルホン酸およびホルムアルデヒドの凝縮製品である派生物などのナフタレンスルホン酸塩を含む。リグノスルホン酸塩は、水溶性陰イオンの高分子電解質ポリマーであり、亜硫酸蒸解を使用する木材パルプの生産からの副産物である。本開示の実施形態の原理を実践するのに有用なリグニンの一連は、Reed Lignin Inc.から市販されているMarasperse C−21である。
【0054】
より低分子量の分散剤が概して好ましい。ナフタレンスルホン酸塩の分散剤は、一部の実施形態では、約3,000から約10,000(例えば、約8,000から約10,000)の分子量を有するように選択される。一部の実施形態では、より水の必要性が高いナフタレンスルホン酸塩は、例えば、10,000を上回る分子量を有して使用され得る。別の図の通り、一部の実施形態では、PCE211タイプの分散剤について、分子量は、60,000を上回る分子量を有する分散剤より、少ない遅延を呈する、約20,000から約60,000であり得る。
【0055】
ナフタレンスルホン酸塩の一例は、GEO Specialty Chemicalsから市販されているDILOFLOである。DILOFLOは45%のナフタレンスルホン酸塩水溶液であるが、例えば、重量固体含有量で約35%から約55%の範囲の他の水溶液もまた、容易に利用可能である。ナフタレンスルホン酸塩は、例えば、GEO Specialty Chemicalsから市販されているLOMAR Dなど、乾燥した個体または粉末の形態で使用され得る。ナフタレンスルホン酸塩の別の例は、ペンシルベニア州アンブラーのGEO Specialty Chemicalsから市販されているDAXADである。
【0056】
含まれる場合、分散剤はいかなる好適な量でも提供され得る。一部の実施形態では、例えば、分散剤は、例を挙げると、漆喰の重量で約0.1%から約0.2%といった、例えば、約0.05%から約0.5%の量で、濃縮層のスラリー中に存在し得、例を挙げると、漆喰の重量で0%から約0.4%といった、例えば、約0%から約0.7%の量で、ボードコアのスラリー中に存在し得る。
【0057】
一部の実施形態では、ボードコアおよび/または濃縮層はさらに、所望の場合には、生強度、寸法安定性および/またはたわみ抵抗を強化するように、少なくとも一つのリン酸塩包含化合物より形成され得る。例えば、一部の実施形態において有用なリン酸塩包含成分は、水溶性成分を含み、一つのイオン、一つの塩、および一つの酸、すなわち各々が二つ以上のリン酸単位を備える、濃縮リン酸の形態、各々が二つ以上のリン酸塩単位を備える、濃縮リン酸塩の複数の塩もしくはイオンの形態、ならびに水溶性非環式ポリリン酸塩だけでなくオルトリン酸塩の複数の一塩基酸塩または複数の一価イオンの形態であり得る。例えば、米国特許第6,342,284号、第6,632,550号、第6,815,049号および第6,822,033号を参照のこと。
【0058】
一部の実施形態で追加される場合、リン酸塩組成物は、生強度、永久歪み(例えば、たわみ)に対する抵抗、寸法安定性などを強化し得る。生強度は、製造中にまだ湿っている間のボードの強度を指す。製造プロセスの厳格性のため、充分な生強度がない場合には、ボード前駆体は製造ライン上で損傷し得る。
【0059】
例えば、トリメタリン酸ナトリウム、トリメタリン酸カリウム、トリメタリン酸リチウムおよびトリメタリン酸アンモニウムを含む、トリメタリン酸化合物が使用され得る。トリメタリン酸ナトリウム(STMP)が好ましいが、例えば、テトラメタリン酸ナトリウム、約6〜約27個の反復リン酸塩単位を有し、n=6〜27である分子式Na
n+2P
nO
3n+1を有するヘキサメタリン酸ナトリウム、分子式K
4P
2O
7を有するピロリン酸四カリウム、分子式Na
3K
2P
3O
10を有するトリポリリン酸三ナトリウム二カリウム、分子式Na
5P
3O
10を有するトリポリリン酸ナトリウム、分子式Na
4P
2O
7を有するピロリン酸四ナトリウム、分子式Al(PO
3)
3を有するトリメタリン酸アルミニウム、分子式Na
2H
2P
2O
7を有する酸性ピロリン酸ナトリウム、1,000〜3,000個の反復リン酸塩単位を有し、n=1,000〜3,000である分子式(NH
4)
n+2P
nO
3n+1を有するポリリン酸アンモニウム、または二つ以上の反復リン酸単位を有し、nが2以上である分子式H
n+2P
nO3
n+1を有するポリリン酸を含む、他のリン酸塩が好適であってもよい。
【0060】
含まれる場合、ポリリン酸塩はいかなる好適な量でも存在し得る。説明すると、一部の実施形態では、ポリリン酸塩は、例えば、漆喰の重量で約0.2%から約0.4%といった、例えば、約0.1%から約1%の量で濃縮層のスラリー中に存在し得、例えば、漆喰の重量で約0%から約0.2%といった、例えば、約0%から約0.5%の量でボードコアのスラリー中に存在し得る。したがって、分散剤およびポリリン酸塩は任意で、一部の実施形態において、コアのスラリーが、濃縮層のスラリーより高い重量パーセントの分散剤および/またはポリリン酸塩を包含するような、コアのスラリー中および/または濃縮層のスラリー中にいかなる好適な量であり得る。代替実施形態では、分散剤および/またはポリリン酸塩が、コアのスラリー(分散剤および/またはポリリン酸塩ゼロのコアのスラリーを含む)中より高い重量パーセントで濃縮層のスラリー中に含まれ得る(増強添加物が、濃縮層中により濃縮されている場合でも、または濃縮されていない場合でも)。
【0061】
ボードコアは、例えば、コア密度が約18pcfから約40pcf、18pcfから約38pcf、18pcfから約36pcf、18pcfから約32pcf、20pcfから約40pcf、20pcfから約36pcf、20pcfから約32pcf、22pcfから約40pcf、22pcfから約36pcf、22pcfから約32pcf、26pcfから約40pcf、26pcfから約36pcfまたは26pcfから約32pcfといった、例えば、約16pcf(約260kg/m
3)から約40pcfなど、所望される複合ボード全体の密度に寄与するのに有用な、いかなる好適な密度を有し得る。一部の実施形態では、ボードコアは、例えば、約30pcf以下、約29pcf(約460kg/m
3)以下、約28pcf以下、約27pcf(約430kg/m
3)以下、約26pcf以下など、より一層低い密度を有する。例えば、一部の実施形態では、コア密度は、約12pcf(約190kg/m
3)から約30pcf、約14pcf(約220kg/m
3)から約30pcf、16pcfから約30pcf、16pcfから約28pcf、16pcfから約26pcf、16pcfから約22pcf(約350kg/m
3)、18pcfから約30pcf、18pcfから約28pcf、18pcfから約26pcf、18pcfから約24pcf、20pcfから約30pcf、20pcfから約28pcf、20pcfから約26pcf、20pcfから約24pcf、22pcfから約28pcfなどである。
【0062】
濃縮層
もしあれば、ボードコアのスラリー中の同一の増強添加物の重量による量より濃縮されている量で、濃縮層のスラリー中に増強添加物が存在するため、濃縮層は一部の実施形態で「濃縮」される。一部の実施形態では、濃縮層は、ボードコアの密度より少なくとも約1.1倍高い密度を有し、および/または少なくとも約0.02インチ(約0.05cm)など、実質的な厚さを有する。
【0063】
濃縮層は、水と、最終製品の中に、例えば、硬化石膏の連続的な結晶性マトリクスといった水和硬化材料を形成するように水和する、漆喰などのセメント系材料とを備える、スラリーより形成される。好ましい実施形態では、セメント系材料は漆喰であり、濃縮層形成用のスラリーは漆喰スラリーである。述べる通り、濃縮層形成用のスラリーはさらに、ボードコア形成用のスラリー中における増強添加物の濃度より高い相対重量濃度の増強添加物を備える。濃縮層形成用のスラリーは任意で、濃縮層に所望の密度を生成するために、発泡剤、または本明細書に記載するような、他の軽量な薬剤を含み得る。含まれる場合、一部の実施形態では、発泡剤または他の軽量な薬剤が、濃縮層形成用のスラリー中により少ない量で存在し、または発泡剤が、ボードコアの密度より高い所望の密度を達成するために、当該技術分野において知られる通り、泡の空隙の全体数を少なくとも減少させる程度まで「たたき出」され得る。したがって、発泡剤または他の軽量な薬剤の効果的な量(または発泡剤もしくは他の軽量な薬剤が全くない)の中で、所望の密度にまで濃縮層を形成するのは、本明細書に記載する通り、当業者によって達成され得る。促進剤および抑制剤などの他の原料は、任意で、本明細書に記載するように所望の通り、濃縮層中に含まれ得る。
【0064】
繊維がさらに、石膏ボードを調製するプロセスを改善するように、任意の添加物として濃縮層中に含まれ得る。この点において、本明細書に説明する通り、濃縮層のスラリーは、例えば、高速で、ローラーまたは他の拡散手段を使用して、紙に塗布することができ、ローラーの下流の紙に均等に塗布される前に、ローラーの上流に蓄積するスラリーの頭部を形成する(そして、それによって、ボードの端部が、濃縮層のスラリーからローラーの境界辺りに通常形成される)。濃縮層が塗布される環境は、三次元振動による一時的なもので、スラリーの扇形形成につながり、それによって、比較的大きな空気連行が発生する可能性があり、対処しない場合には、ボード内の欠陥につながり得る、でこぼこで均一ではないスラリーをもたらし得る。そのような欠陥は、紙、柔らかいおよび/または硬い端部などの層間剥離だけでなく、空隙またはブリスターと呼ばれる大きなエアポケットの形成を含み得る。
【0065】
当該技術分野で知られる通り、エアポケットを壊す機械の破片の使用を含む、プロセス中の不規則な環境によって誘導される流れにおいて、水/漆喰の比率、スラリーの粘度などを含む処方の調整はもちろん、スラリースプレッダー、様々なミキサーの排出処理だけでなく、ライン上のバイブレーターなど、扇形形成に対処するのに、様々な機械的処理および他の処理が利用可能である。しかしながら、発明者は、例えば、濃縮層が塗布される頭部(例えば、好ましい実施形態ではローラーの上流)に、扇型形成も大きなエアポケットもより少ない状態の、より滑らかなスラリーを形成する方法として、濃縮層のスラリーに遷移を追加する、別の任意の技術を発見した。いかなる特定の理論にも縛られることは望まないものの、繊維がより滑らかな流れを保証するために、スラリーのレオロジーを有利に向上させると考えられる。また繊維は、スラリーの粘度、レオロジーおよび粒子間力のバランスが向上し、スラリーが塗布ローラー上により均一に分配され、望ましくない連行空気がスラリーからより簡単に放出されるように、スラリーの流体力学特性を向上させると考えられる。
【0066】
繊維は、いかなる好適な繊維の形態であり得る。一部の実施形態では、繊維は、ガラス繊維、鉱物繊維、炭素繊維、紙繊維およびそのような繊維の混合物のうちの一つ以上、ならびにプロセスおよび/または最終製品に同等の利点を提供する他の同等の繊維の形態であり得る。一部の実施形態では、ガラス繊維は、濃縮層のスラリー、およびその結果もたらされる結晶性のコア構造に取り入れられる。水を吸収しないため、ガラス繊維が好ましい。
【0067】
ガラス繊維など、一部の繊維の場合には、一部の実施形態で、繊維をサイジング剤添加物で任意で処理して、その特性および取り扱いを向上させるのに有用であり得る。例えば、サイジング剤は、例えば、表面のコーティングおよび特性を変更するために、個々の繊維のサイズ決定を可能にし、通常、有機官能性シラン、形成剤、界面活性剤、消泡剤、潤滑剤および/または安定剤のうちの一つ以上の形態であり得る。当業者が理解するであろう通り、各原料の正確な選択は、繊維特性および望ましい適用によって異なり得る。例えばシランは、例を挙げると、例えば、アミノプロピルトリエトキシシランもしくはアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノベース、例えば、ビニルトリメトキシシランもしくはビニルトリアセトキシシランなどのビニルベース、メチルトリメトキシシランもしくはメチルトリエトキシシランなどのアルキルベース、またはそれらのいかなる組み合わせであり得る。
【0068】
形成剤はしばしばポリマーであり、所望の湿潤特性および繊維対繊維の損傷からの保護を提供するように、疎水性であり得る。形成剤は、例えば、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアルケンおよびエポキシの形態であり得る。カチオン潤滑剤を任意で追加することができ、ステアリン酸エタノールアミドなどの脂肪族エタノールアミド、もしくはポリエチレンイミンポリアミド、アルキルアミドアルキルスルタインもしくはポリエチレンオキシド、またはそれらのいかなる組み合わせの形態であり得る。界面活性剤は、例えば、形成剤が疎水性のときに、形成剤を乳化するために任意で含まれ得る。一部の実施形態では、界面活性剤は、もし含まれる場合には、非イオン性またはわずかに陽イオンであり、アミドの形態、または例えば、ポリオキシエチレングリコールアルキルエステル、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのコポリマー、コカミドモノエタノールアミンもしくはそれらのいかなる組み合わせといった、他の好適な形態であり得る。消泡剤は、ガラス繊維による泡の形成を制御するため、利点を提供することができ、いかなる好適な消泡剤を使用し得る。例えば、好適な消泡剤は、鉱油、ワックス、エチレンビスステアロアミド、シリコーン油、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのコポリマーベースの消泡剤、またはそれらのいかなる組み合わせなど、これらに限定されないものの、シロキサンベース、油ベースまたはポリマーベースであり得る。安定剤は、サイズ決定の処方を安定化させる利点を提供し、いかなる好適な安定剤を使用し得る。一部の実施形態では、潤滑剤などの添加物は、スラリーの流れをさらに向上させると考えられる、正の表面電荷を提供する。
【0069】
含まれる場合、サイジング剤は濃縮層形成用のスラリー中に、いかなる好適な量でも提供され得る。例えば、サイジング剤は、繊維の約0.05wt%から約1wt%または約0.1wt%から約1.5wt%など、繊維の約0.02wt%から約2wt%の量で提供され得る。ボードコアのスラリーまたは濃縮層のスラリーのいずれかに関連して、本明細書に提供する原料の重量パーセントについて、一部の実施形態では、ボード製品の中の濃縮層および/またはボードコアは、列挙した範囲内の量で列挙した原料を包含し得る。
【0070】
繊維(例えば、ガラス繊維)は、いかなる好適な長さを有し得る。例えば、一部の実施形態では、繊維は、例えば、約0.125インチ(約0.32cm)から約0.75インチ(約1.9cm)、約0.125インチから約0.5インチ(約1.3cm)、約0.125インチから約0.375インチ(約1cm)、約0.125インチから約0.25インチ(約0.6cm)、約0.25インチから約1インチ(約2.54cm)、約0.25インチから約0.75インチ、約0.25インチから約0.5インチ、約0.25インチから約0.375インチ、約0.375インチから約1インチ、約0.375インチから約0.75インチ、約0.375インチから約0.5インチ、約0.5インチから約1インチ、約0.5インチから約0.75インチ、約0.75インチから約1インチなど、約0.125インチから約1インチの平均長を有し得る。
【0071】
繊維(例えば、ガラス繊維)は、いかなる好適な平均直径を有し得る。例えば、一部の実施形態では、繊維は、約5ミクロンから約20ミクロン、約10ミクロンから約15ミクロン、約10ミクロンから約20ミクロン、約8ミクロンから約18ミクロン、約5ミクロンから約25ミクロン、約9ミクロンから約20ミクロン、約10ミクロンから約18ミクロン、約7ミクロンから約18ミクロン、約10ミクロンから約25ミクロンの平均直径、約11から約17ミクロンの直径または約15ミクロンから約17ミクロンの直径を有し得る。
【0072】
一部の実施形態では、そのようなガラス繊維は、約0.5から約0.675インチ(約1.7cm)の平均長および約13から約16ミクロンの直径、約0.5から約0.75インチの平均長および約11から約17ミクロンの直径、または0.5インチの平均繊維長および約15.24ミクロンから約16.51ミクロンの平均直径を有し得る。
【0073】
繊維のアスペクト比は、直径で割った長さを指し、実際はスラリーの流動特性に影響を与えると考えられる。単位を一貫させるために、インチを単位とする長さは、ミクロンに変換することが可能で、値は無名数である。一部の実施形態では、好ましいアスペクト比は、例えば、約800から約1500、約250から約1000、約500から約1500といった、約400から約1300、または約700から約1600、約800から約1400など、約200から約2000である。
【0074】
含まれる場合、ガラス繊維などの繊維は、例えば、漆喰の重量で約0.13%から約2.5%または約0.5%から約1%といった、約0.1%から約3%などのいかなる好適な量で、濃縮層形成用のスラリー中に存在し、例えば、漆喰の重量で0%から約0.5%といった、約0%から約1%などのいかなる好適な量で、ボードコア中に存在する。所望の場合、繊維(およびサイジング剤などの、前述の関連添加物)はまた、これらの列挙した重量パーセントなどのいかなる好適な量で、コア中に含まれ得る。
【0075】
濃縮層は望ましくは、実質的な厚さを有する。一部の実施形態では、乾燥濃縮層は、約0.02インチから約0.2インチ(約0.5cm)など、少なくとも約0.02インチ(約0.05cm)の実質的な厚さを有する。例えば、様々な実施形態では、濃縮層は、少なくとも約0.025インチ(約0.06cm)、少なくとも約0.03インチ(約0.075cm)、少なくとも約0.035インチ(約0.09cm)、少なくとも約0.04インチ(約0.1cm)、少なくとも約0.045インチ(約0.11cm)、少なくとも約0.05インチ(約0.13cm)、少なくとも約0.055インチ(約0.14cm)、少なくとも約0.06インチ(約0.15cm)、少なくとも約0.065インチ(約0.17cm)、少なくとも約0.07インチ(約0.18cm)、少なくとも約0.075インチ(約0.19cm)、少なくとも約0.08インチ(約0.2cm)、少なくとも約0.085インチ(約0.22cm)、少なくとも約0.09インチ(約0.23cm)、少なくとも約0.095インチ(約0.24cm)、少なくとも約0.1インチ(約0.254cm)、少なくとも約0.11インチ(約0.28cm)、少なくとも約0.12インチ(約0.3cm)、少なくとも約0.13インチ(約0.33cm)、少なくとも約0.14インチ(約0.36cm)、少なくとも約0.15インチ(約0.38cm)または少なくとも約0.16インチ(約0.41cm)の最小の厚さを持つ実質的な厚さを有し、これらの範囲の各々は、例えば、約0.2インチ、約0.185インチ(約0.47cm)、約0.175インチ(約0.45cm)、約0.16インチ、約0.15インチ(約0.38cm)、約0.145インチ(約0.37cm)、約0.13インチ、約0.12インチ(約0.3cm)、0.1インチ、約0.09インチ(0.23cm)、約0.08インチ、約0.07インチ、約0.06インチ、約0.055インチ、約0.05インチ、約0.045インチ、約0.04インチ、約0.035インチなど)、数学的な必要に応じて、好適な上限を有する。
【0076】
説明するために、限定するものではないが、乾燥濃縮層は、例えば、約0.02インチから約0.15インチ、約0.02インチから約0.12インチ、約0.02インチから約0.1インチ、約0.02インチから約0.08インチ、約0.02インチから約0.055インチ、約0.02インチから約0.05インチ、約0.02インチから約0.04インチ、約0.02インチから約0.03インチ、約0.03インチから約0.2インチ、約0.03インチから約0.175インチ、約0.03インチから約0.15インチ、約0.03インチから約0.12インチ、約0.03インチから約0.1インチ、約0.03インチから約0.08インチ、約0.03インチから約0.055インチ、約0.03インチから約0.05インチ、約0.04インチから約0.2インチ、約0.04インチから約0.175インチ、約0.04インチから約0.15インチ、約0.04インチから約0.12インチ、約0.04インチから約0.1インチ、約0.04インチから約0.08インチ、約0.04インチから約0.055インチ、約0.04インチから約0.05インチ、約0.05インチから約0.2インチ、約0.05インチから約0.175インチ、約0.05インチから約0.15インチ、約0.05インチから約0.12インチ、約0.05インチから約0.1インチ、約0.05インチから約0.8インチ、約0.06インチから約0.2インチ、約0.06インチから約0.175インチ、約0.06インチから約0.15インチ、約0.06インチから約0.12インチ、約0.06インチから約0.1インチ、約0.06インチから約0.8インチなど、約0.02インチから約0.175インチの厚さを有し得る。
【0077】
濃縮層は好ましくは、ボードコアの密度より高い、乾燥密度および/または乾燥強度を有する。例えば、一部の実施形態では、濃縮層は、ボードコアの密度より、例えば、少なくとも約1.2倍大きい、少なくとも約1.3倍大きい、少なくとも約1.4倍大きい、少なくとも約1.5倍大きい、少なくとも約1.6倍大きい、少なくとも約1.7倍大きい、少なくとも約1.8倍大きい、少なくとも約1.9倍大きい、少なくとも約2倍大きいなど、少なくとも約1.1倍大きい密度を有し、これらの範囲の各々は、例えば、約3倍大きい、約2.9倍大きい、約2.8倍大きい、約2.7倍大きい、約2.6倍大きい、約2.5倍大きい、約2.4倍大きい、約2.3倍大きい、約2.2倍大きい、約2.1倍大きい、約2倍大きい、約1.9倍大きい、約1.8倍大きい、約1.7倍大きい、約1.6倍大きい、約1.5倍大きい、約1.4倍大きい、約1.3倍大きいおよび約1.2倍大きいなど、数学的な必要に応じて、好適な上限を有する。
【0078】
したがって、例えば、濃縮層は、ボードコアの密度の、例えば、約1.1から約3倍、約1.1から約2.7倍、約1.1から約2.5倍、約1.1から約2.2倍、約1.1から約2倍、約1.1から約1.7倍、約1.1から約1.5倍、約1.1から約1.4倍、約1.1から約1.3倍、約1.2から約3倍、約1.2から約2.5倍、約1.2から約2.2倍、約1.2から約2倍、約1.2から約1.7倍、約1.2から約1.5倍、約1.2から約1.4倍、約1.2から約1.3倍、約1.3から約3倍、約1.3から約2.5倍、約1.3から約2倍、約1.3から約1.7倍、約1.3から約1.5倍、約1.3から約1.4倍、約1.4から約3倍、約1.4から約2.5倍、約1.4から約2.5倍、約1.4から約2倍、約1.4から約1.7倍、約1.4から約1.6倍、約1.4から約1.5倍、約1.5から約3倍、約1.5から約2.5倍、約1.5から約2倍、約1.5から約1.8倍、約1.5から約1.7倍、約1.5から約1.6倍、約1.6から約3倍、約1.6から約2.5倍、約1.6から約2倍、約1.1から約1.8倍、約1.7から約3倍、約1.7から約2.5倍、約1.7から約2.2倍、約1.7から約2倍、約1.7から約1.9倍、約1.8から約3倍、約1.8から約2.7倍、約1.8から約2.5倍、約1.8から約2.2倍、約1.8から約2倍、約1.9から約3倍、約1.9から約2.7倍、約1.9から約2.5倍、約1.9から約2.2倍、約2から約3倍など、約1.1から約3倍である乾燥密度を有し得る。
【0079】
複合石膏ボードは、濃縮層とボードコアとのいかなる好適な乾燥密度差をも示すように設計され得る。一部の実施形態では、濃縮層とボードコアとの密度差は、少なくとも約8pcf(約130kg/m
3)であり得る。例えば、一部の実施形態では、濃縮層と結合層との乾燥密度差は、少なくとも約10pcf、少なくとも約12pcf、少なくとも約14pcf、少なくとも約16pcf、少なくとも約18pcf、少なくとも約20pcfなどであり得る。一部の実施形態では、濃縮層とボードコアとの密度差は、約8pcfから約45pcf(約720kg/m
3)、約8pcfから約40pcf、約8pcfから約35pcf、8pcfから約30pcf、約8pcfから約25pcf(約400kg/m
3)、約8pcfから約20pcf、約8pcfから約15pcf(約240kg/m
3)、約8pcfから約12pcf、約10pcf(約160kg/m
3)から約50pcf、約10pcfから約45pcf、約10pcfから約40pcf、約10pcfから約35pcf、約10pcfから約30pcf、約10pcfから約25pcf、約10pcfから約20pcf、約10pcfから約15pcf、約15pcfから約50pcf(約800kg/m
3)、約15pcfから約45pcf、約15pcfから約40pcf、約15pcfから約35pcf、約15pcfから約30pcf、約15pcfから約25pcf、約15pcfから約20pcf、約20pcfから約50pcf、約20pcfから約45pcf、約20pcfから約40pcf、約20pcfから約35pcf、約20pcfから約30pcf、約20pcfから約25pcf、約25pcfから約35pcf、約25pcfから約30pcfなど、約8pcfから約50pcfである。
【0080】
濃縮層は、本明細書に記載する実施形態の所望のパラメータ内に収まる、いかなる好適な乾燥密度をも有し得る。一部の実施形態では、濃縮層は、約28pcfから約65pcf(約1040kg/m
3)、約28pcfから約60pcf(約960kg/m
3)、約28pcfから約55pcf(約880kg/m
3)、約28pcfから約50pcf、約28pcfから約45pcf、約28pcfから約40pcf、約28pcfから約35pcf、約34pcfから約70pcf(約1120kg/m
3)、約34pcfから約65pcf、約34pcfから約60pcf、約34pcfから約55pcf、約34pcfから約50pcf、約34pcfから約45pcf、約34pcfから約40pcf、約38pcfから約70pcf、約38pcfから約65pcf、約38pcfから約60pcf、約38pcfから約55pcf、約38pcfから約50pcf、約38pcfから約45pcf、約40pcfから約70pcf、約40pcfから約65pcf、約40pcfから約60pcf、約40pcfから約55pcf、約40pcfから約50pcf、約40pcfから約45pcf、約36pcfから約38pcfなど、約28pcfから約70pcfの乾燥密度を有する。
【0081】
濃縮層は概して、ボードコアの乾燥剛性値より大きい、乾燥剛性値を有する。述べる通り、ヤング弾性率が、本明細書で乾燥剛性の測定値として使用され得る。一部の実施形態では、乾燥濃縮層は、例えば、約2倍から約10倍、約2倍から約8倍、約2倍から約6倍、約2倍から約4倍、約3倍から約10倍、約3倍から約8倍、約3倍から約6倍、約3倍から約5倍、約4倍から約10倍、約4倍から約8倍、約4倍から約6倍、約5倍から約10倍、約5倍から約8倍、約6倍から約10倍、約6倍から約8倍など、例を挙げると、ボードコアのヤング率の2倍といった、ボードコアのヤング率の少なくとも約1.5倍であるヤング率を有する。一部の実施形態では、各剛性値がヤング率によって測定されるとき、濃縮層は、ボードコアの剛性より、上部および/または底部カバーシートの剛性値により近い剛性値を有する。一部の実施形態では、濃縮層は、カバーシートのうちの少なくとも一方のヤング率が約0.1から約0.5である、ヤング率による剛性値を有する。
【0082】
カバーシート
カバーシートはいかなる好適な形態であり得る。カバーシートに関して、用語「正面」シートおよび「上部」シートは、本明細書では互換的に使用され、用語「裏」および「底部」も同様に、本明細書では互換的に使用されることは理解されるであろう。例えば、カバーシートは、セルロース系繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、ミネラルウールまたは前述の材料の組み合わせを備えてもよい。シートの一方または両方は、個々のシートまたは複数のシートを備えてもよい。好ましい実施形態では、カバーシートはセルロース系繊維を備える。例えば、マニラ紙またはクラフト紙などの紙シートが、裏シートとして使用され得る。有用なカバーシート紙は、イリノイ州シカゴのUnited States Gypsum Corporationから市販されているManila7層およびNews−Line3層または7層、インディアナ州ニューポートのInternational Paperから市販されているGrey−Back3層およびManila Ivory3層、ならびにイリノイ州シカゴのUnited States Gypsum Corporationから市販されているマニラ厚紙およびMH Manila HT(高張力)紙を含む。例示的なカバーシート紙は5層のNewsLineである。一部の実施形態では、裏シートは任意で、その中に例えば、ピンホールといった穴を画定し得る。そのような穴は、キルンの中での乾燥を援助して、加熱プロセス中に形成されるいずれの蒸気にも排出口を提供する。
【0083】
加えて、紙(例えば、セルロース系)は、いかなる他の材料または材料の組み合わせを備え得る。例えば、一方または両方のシート、特に、正面(上部)シートは、紙の強度を強化するために、ポリビニルアルコール、ホウ酸、または本明細書に記載する通りのポリリン酸塩(例えば、トリメタリン酸ナトリウム)を含み得る。一部の実施形態では、紙は、ポリビニルアルコール、ホウ酸および/またはポリリン酸塩のうちの一つ以上の溶液と接触し得るため、紙は少なくとも一部濡れる。紙は、一部の実施形態では、少なくとも一部飽和し得る。ポリビニルアルコール、ホウ酸および/またはホウ酸は、一部の実施形態では、紙の中の繊維に侵入し得る。当該技術分野において理解されるであろう通り、ポリビニルアルコール、ホウ酸および/またはポリリン酸塩の溶液は、いかなる好適な量でもあり得、いかなる好適な方式で塗布され得る。例えば、溶液は、ポリビニルアルコール、ホウ酸および/またはポリリン酸塩に存在する各原料が、水中で合わせて約1%から約5%の個体重量である形態であり得、それらは、一つの溶液中、または所望される場合には、複数の溶液中に追加され得る。
【0084】
一部の実施形態では、一方または両方のシートは、ガラス繊維、セラミック繊維、ミネラルウールまたは前述の材料の組み合わせを備え得る。本開示による一方または両方のシートは、概して親水性であり得、シートが少なくとも一部、水分子をシートの表面上に吸収、および/または水分子をシートの中に吸収できることを意味する。
【0085】
他の実施形態では、カバーシートにガラス繊維、セラミック繊維、ミネラルウールまたはそれらの混合物が「実質的にない」ことがあり得、それは、カバーシートが、(i)シートの重量に基づき0wt%、もしくはそのようなガラス繊維、セラミック繊維、ミネラルウールもしくはそれらの混合物が全くない、または(ii)ガラス繊維、セラミック繊維、ミネラルウールもしくはそれらの混合物の効果のない量、もしくは(iii)重要でない量のいずれかを包含することを意味する。効果のない量の例は、当業者が理解するであろう通り、ガラス繊維、セラミック繊維、ミネラルウールもしくはそれらの混合物を使用する本来の目的を達成するための、閾値を下回る量である。重要でない量は、当業者が理解するであろう通り、重量の漆喰に基づき、約2wt%未満、約1wt%未満、約0.5wt%未満、約0.2wt%未満、約0.1wt%または約0.01wt%未満など、例えば、約5wt%未満であってもよい。しかしながら、代替の実施形態で所望される場合、そのような原料は、カバーシートに含まれ得る。
【0086】
一部の実施形態では、上部および/または底部シートの熱伝導性は約0.1w/(m.k.)より小さい。例えば、上部および/または底部シートの熱伝導性は約0.05w/(m.k.)より小さい。
【0087】
所望の場合、一部の実施形態では、一方または両方のカバーシートは任意で、そのような特性が求められる、より大きな耐火性を適切に付与する、無機化合物または無機化合物の混合物のいかなる好適な量を含み得る。好適な無機化合物の例は、三水和アルミニウムおよび水酸化マグネシウムを含む。例えば、カバーシートは、結晶化後に高い含水量を持ついかなる無機化合物もしくは無機化合物の混合物、または加熱すると水を放出するいかなる化合物をも備え得る。一部の実施形態では、シート中の無機化合物または無機化合物の混合物全体の量は、シートの重量で約0.1%から約30%の範囲である。シート中に使用される無機化合物または複数の無機化合物は、いかなる好適な粒度またはいかなる好適な粒度分布から成り得る。
【0088】
アルミナ三水和物およびアルミナ水和物としても知られる三水和アルミナ(ATH)が、結晶後の含水量または化合物の含水量によって耐火性を増加し得る。一部の実施形態では、ATHは、シートの総重量で約5%から約30%の量で追加され得る。ATHは通常、室温で非常に安定する。約180℃および205℃の間の温度より上になると、ATHは通常、吸熱分解を経て水蒸気を放出する。そのようなATH添加物を分解する熱は、約1000ジュール/グラムより大きく、一実施形態では、約1170ジュール/グラムである。理論に縛られずに、以下の式に従い、ATH添加物は205℃より高温で加熱すると、結晶化した水のおよそ35%を水蒸気として放出するように分解すると考えられる。Al(OH)
3→Al
2O
3+3H
2O
【0089】
ATHなど、高い含水量の無機粒子を備えるカバーシートは、複合ボードの耐火性を増加させ得る。一部の実施形態では、無機化合物または化合物の混合物がシートに取り入れられる。ATHを備える紙などのカバーシートは、第一に約1%のコンシステンシーで水にセルロース系繊維を希釈し、その後、所定の割合でATH粒子と混合することによって調製され得る。混合物は、排水するために底部に金網を有し得る型の中に注がれ得る。排水の後、繊維およびATH粒子が網状に保持される。濡れたシートは吸い取り紙に移され、約200〜360°Fで乾燥され得る。
【0090】
一部の実施形態では、カバーシート中または漆喰スラリー中への含有について記載した通り、例えば、約20μm未満のATH粒子が好ましいが、ATHのいかなる好適な資源または等級も使用され得る。例えば、ATHは、ブランド名SB 432(10μm)またはHydral(商標)710(1μm)でHuberなどの商業供給元から入手し得る。
【0091】
一部の実施形態では、カバーシートは水酸化マグネシウムを備えてもよい。これらの実施形態では、水酸化マグネシウム添加物は、好ましくは、180℃から205℃以上で、約1350ジュール/グラムなど、約1000ジュール/グラムより大きい分解熱を有する。そのような実施形態では、オハイオ州アクロンのAkrochem Corp.を含む供給元から市販されているものなど、いかなる好適な水酸化マグネシウムも使用し得る。
【0092】
他の実施形態では、カバーシートにATH、水酸化マグネシウムまたはそれらの混合物など、無機化合物が「実質的にない」ことがあり得、それは、カバーシートが、(i)シートの重量に基づき0wt%、もしくはATH、水酸化マグネシウムもしくはそれらの混合物など、そのような無機化合物が全くない、または(ii)ATH、水酸化マグネシウムもしくはそれらの混合物など、そのような無機化合物の効果のない量、もしくは(iii)重要でない量のいずれかを包含することを意味する。効果のない量の例は、当業者が理解するであろう通り、ATH、水酸化マグネシウムまたはそれらの混合物など、無機化合物を使用する本来の目的を達成するための、閾値を下回る量である。重要でない量は、例えば、約2wt%未満、約1wt%未満、約0.5wt%未満、約0.1wt%未満、約0.05wt%未満、約0.01wt%未満など、例えば、約5wt%未満であってもよい。
【0093】
カバーシートはまた、いかなる好適な全体の厚さを有し得る。一部の実施形態では、カバーシートのうちの少なくとも一方が、例えば、少なくとも約0.014インチの厚さといった、比較的大きい厚さを有する。一部の実施形態では、例えば、少なくとも約0.015インチ、少なくとも約0.016インチ、少なくとも約0.017インチ、少なくとも約0.018インチ、少なくとも約0.019インチ、少なくとも約0.020インチ、少なくとも約0.021インチ、少なくとも約0.022インチまたは少なくとも約0.023インチといった、より一層大きな厚さがあることが望ましい。これらの範囲のいずれの好適な上限は、例えば、約0.030インチ、約0.027インチ、約0.025インチ、約0.024インチ、約0.023インチ、約0.022インチ、約0.021インチ、約0.020インチ、約0.019インチ、約0.018インチなどの範囲の上端が採用され得る。シート全体の厚さは、石膏ボードに付着する、各シートの厚さの合計を指す。
【0094】
カバーシートはいかなる好適な密度を有し得る。一部の実施形態では、カバーシートのうちの少なくとも一方、例えば、上部(正面)カバーシートが、濃縮層の密度以上である密度を有する。例えば、一部の実施形態では、カバーシートの少なくとも一方または両方が、例を挙げると、約36pcfから約44pcf、約36pcfから約42pcf、約36pcfから約40pcf、約38pcfから約46pcf、約38pcfから約44pcf、約38pcfから約42pcfなど、例えば、約36pcfから約46pcfといった、少なくとも約36pcfの密度を有する。
【0095】
カバーシートはいかなる好適な重量をも有し得る。例えば、一部の実施形態では、例えば、約33lb/MSF(約160g/m
2)から約65lb/MSF(約320g/m
2)、約33lb/MSFから約60lb/MSF(約290g/m
2)、33lb/MSFから約58lb/MSF(約280g/m
2)、約33lb/MSFから約55lb/MSF(約270g/m
2)、約33lb/MSFから約50lb/MSF(約240g/m
2)、約33lb/MSFから約45lb/MSF(約220g/m
2)などの、例えば、少なくとも約33lb/MSF、または約45lb/MSF未満など、より坪量の低いカバーシート(例えば、紙より形成される)が、一部の実施形態で利用され得る。他の実施形態では、一方または両方のカバーシートが、約38lb/MSF(約190g/m
2)から約65lb/MSF、約38lb/MSFから約60lb/MSF、約38lb/MSFから約58lb/MSF、約38lb/MSFから約55lb/MSF、約38lb/MSFから約50lb/MSFまたは約38lb/MSFから約45lb/MSFの坪量を有する。
【0096】
しかしながら、所望の場合、一部の実施形態では、例えば、釘引き抜き抵抗をさらに強化するために、または、例えば、エンドユーザにとって望ましい「好み」の特徴を促進するように、使用感を強化するために、より一層高い坪量が使用され得る。したがって、カバーシートの一方または両方は、例えば、少なくとも約45lb/MSF(例えば、約45lb/MSFから約65lb/MSF、約45lb/MSFから約60lb/MSF、約45lb/MSFから約55lb/MSF、約50lb/MSFから約65lb/MSF、約50lb/MSFから約60lb/MSFなど)の坪量を有し得る。所望の場合、一部の実施形態では、一方のカバーシート(例えば、取り付けるとき「正面」の紙側)が、例えば、釘引き抜き抵抗および使用感を強化するために、前述のより高い坪量を有し得る一方、他方のカバーシート(例えば、ボードを取り付けるときの「裏」シート)は、所望の場合、少々低い重量ベース(重量ベースで、例えば、約33lb/MSFから約45lb/MSFまたは約33lb/MSFから約40lb/MSFといった、例えば、約45lb/MSF未満)を有し得る。
【0097】
増強添加物
増強添加物は所望の強度特性を提供する。好ましい実施形態では、増強添加物は、本明細書に記載する通り、ボードコアのスラリー(および/またはボード製品の中にその結果もたらされる層)中より、濃縮層のスラリー中の方がより濃縮されている。デンプン、ポリビニルアルコール、ホウ酸、石膏セメント、ナノセルロース、マイクロセルロースまたはそれらのいかなる組み合わせなど、好適な増強添加物の例は、強度を提供する一助となる。本明細書において単数形の用語である増強添加物を使用するのは、利便性のために使用しているが、当業者が容易に理解するであろう通り、複数、すなわち、一つより多い増強添加物を網羅すると理解されるであろう。したがって、増強添加物は、デンプン、ポリビニルアルコール、ホウ酸、石膏セメント、ナノセルロースおよび/またはマイクロセルロースのうちの一つ以上を備えてもよい。
【0098】
一部の実施形態では、増強添加物は、デンプンなどの原料を含まない複合ボードの強度に対して、複合石膏ボードの乾燥強度を増加させる(例えば、圧縮強度、釘引き抜き抵抗、曲げ強度、コア硬度またはその他強度のパラメータを増加させることによって)のに効果のある、デンプンなどの原料を備える。デンプンに関して、コア強度の強化ではなく、紙とコアの結合強化を概して提供する、酸変性の移動するデンプンより、概して好まれる、ヒドロキシエチルデンプンもしくはヒドロキシプロピルデンプンまたはそれらの組み合わせなどのヒドロキシアルキルデンプン、生デンプンまたはアルファ化デンプンを含む、いかなる好適な強度強化デンプンをも使用し得る。しかしながら、一部の実施形態では、所望の場合、酸変性の移動するデンプンが増強添加物と共に含まれ得る。
【0099】
デンプンは加熱済みまたは生であり得る。生デンプンは、冷水に溶けず、かつ半結晶構造を有すると特徴づけられる。通常、生デンプンは湿式粉砕によって入手され、加熱デンプンの場合のように、湿潤デンプンを加熱することによって変性される。加熱デンプンは、冷水に溶けやすく、かつ非結晶構造を有すると特徴づけられる。加熱デンプンは、湿潤デンプンを加熱することによって調製され、例えば、押出技術によって調製し得る。例えば、同時係属中の米国特許出願第14/494,547号、第14/044,582号および第13/835,002号を参照し、それらの押出技術は参照によって援用される。
【0100】
加熱デンプンは、デンプン粒の結晶構造が融解するので、時にはアルファ化デンプンと呼ばれ、偏光による顕微鏡下での複屈折の消失によって特徴づけられる、デンプン糊化を結果としてもたらす。好ましいデンプンは、調理または生にかかわらず、同一の強度特性を与えない、酸変性の移動デンプンとは異なり、かつより短い鎖長によって紙とコアの界面に移動するため、紙とコアの結合を強化するために当該技術分野で使用される。酸変性の移動デンプンは、通常、約6,000ダルトンを下回る、最小の分子量を有する。一部の実施形態では、本開示の実施形態による好ましいデンプンは、例えば、少なくとも約30,000ダルトンといった、より高い分子量を有する。
【0101】
例えば、一部の実施形態では、濃縮層のスラリーに追加されるデンプンは、例えば、約30,000ダルトンから約150,000,000ダルトン、約30,000ダルトンから約100,000,000ダルトン、約30,000ダルトンから約50,000,000ダルトン、約30,000ダルトンから約10,000,000ダルトン、約30,000ダルトンから約5,000,000ダルトン、約30,000ダルトンから約1,000,000ダルトン、約30,000ダルトンから約500,000ダルトン、約30,000ダルトンから約100,000ダルトン、約50,000ダルトンから約150,000,000ダルトン、約50,000ダルトンから約100,000,000ダルトン、約50,000ダルトンから約50,000,000ダルトン、約50,000ダルトンから約10,000,000ダルトン、約50,000ダルトンから約5,000,000ダルトン、約50,000ダルトンから約1,000,000ダルトン、約50,000ダルトンから約500,000ダルトン、約50,000ダルトンから約100,000ダルトン、約100,000ダルトンから約150,000,000ダルトン、約100,000ダルトンから約100,000,000ダルトン、約100,000ダルトンから約50,000,000ダルトン、約100,000ダルトンから約10,000,000ダルトン、約100,000ダルトンから約5,000,000ダルトン、約100,000ダルトンから約1,000,000ダルトン、約100,000ダルトンから約500,000ダルトンまたは約100,000ダルトンから約100,000ダルトンなど、約30,000ダルトンから約150,000,000ダルトンの分子量を有し得る。
【0102】
生デンプンの特性は、冷水(すなわち、77°F(25℃)の温度で)中で低い粘度を有することを含む一方、アルファ化デンプンの特性は、冷水中で即座に高い粘度を有することを含む。生デンプンは、改良された急速粘度分析器の方法により測定される通り、冷水中で約10センチポイズ以下(例えば、約3センチポイズから約7センチポイズなど、約1センチポイズから約10センチポイズ)の粘度を有する傾向がある。急速粘度分析器の方法は、Cereal Chemistry、66巻、第6号、493〜499ページ(1989年)のDeffenbaugh, L.B.およびWalker, C.E.による「Comparison of Starch Pasting Properties in the Brabender Viscoamylograph and the Rapid Visco−Analyzer」の本文に説明され、サンプルの調製および試験プロフィールに関して本明細書に定義するように、以下の通り変更する。Waringブレンダー(型式31BL92)で15秒間低速で混合している間に、デンプン(20g、乾燥)を水(180g)の中に追加する。デンプン溶液(28g)を計量カップに入れて重さを量る。急速粘度分析器のパドル速度は160rpmに設定する。試験プロフィールを25℃の初期温度で10分間に設定する。15℃/minの加熱速度で93℃にまで加熱する。93℃の温度を5分間維持する。−15℃/minの冷却速度で50℃にまで冷却し、1分間50℃を維持する。30秒後に測定される粘度値を、デンプンの粘度として使用する。
【0103】
アルファ化デンプンは、即座に水中に溶解する傾向があるため、冷水中で「即座に」高い粘度を有する。改良された急速粘度分析器の方法により測定する通り、加熱デンプンまたはアルファ化デンプンは、少なくとも約100センチポイズ(例えば、約350センチポイズから約1000センチポイズなど、約50センチポイズから約1000センチポイズ)の冷水粘度を有する傾向がある。
【0104】
一部の実施形態では、水と混合しやすいために、生デンプンが選択される。これは、水中での低い粘度のためである。アルファ化デンプンは、混合している間に水溶液の中に形成される、一つ以上の大きな塊によって特徴づけられる状態である、「フィッシュアイ」を時に引き起こし得る。いかなる特定の理論にも縛られることは望まないものの、大きな塊は、混合プロセス中に、デンプンの急速な水の吸収によって作られると考えられ、塊の表面上に粘性のある膜を形成し、それによって塊の透水を避ける。生デンプンは、その冷水不溶性によってフィッシュアイ状態を避け、結果としてデンプン粒の分離をもたらすと考えられる。しかしながら、アルファ化デンプンは、デンプンと石膏結晶との間の水素結合を可能にする、官能基を露出するのに望ましいため、本開示の実施形態によって使用され得ることは理解されるであろう。
【0105】
好適な生デンプンの例は、具体的な代表例では、例えば、トウモロコシデンプン(標準、ろう状および/またはハイアミロース)、小麦デンプンA粒、小麦デンプンB粒、エンドウ豆デンプン、少なくとも約30,000ダルトンの分子量を持つ酸変性デンプン、デンプンの水酸基上に置換基(酢酸、リン酸塩、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルなど)を有する置換デンプン、またはそれらのいかなる組み合わせを含む、天然の穀類デンプン、天然の地下デンプン、天然の塊茎デンプンおよび/または化工デンプンのうちの一つ以上を含むが、それらに限定されない。一部の実施形態では、生デンプンはエンドウ豆デンプンを除外する。
【0106】
いずれの好適なアルファ化デンプンは、本明細書に記載するその調製方法および所望の粘度範囲を含む、米国特許第2014/0113124号A1および米国特許第2015/0010767号A1に記載する通り、増強添加物に含まれ得る。含まれる場合、アルファ化デンプンはいずれの好適な粘度を呈し得る。一部の実施形態では、アルファ化デンプンは、当該技術分野において知られ、例えば、米国特許第2014/0113124号A1に説明される通りの、VMA法によって測定されると、中程度の粘度のデンプンであり、VMA法はここに参照することによって援用する。
【0107】
一部の実施形態による望ましいアルファ化デンプンは、例えば、15wt%のデンプン水溶液で測定すると、例えば、約20センチポイズから約600センチポイズ、約20センチポイズから約500センチポイズ、約20センチポイズから約400センチポイズ、約20センチポイズから約300センチポイズ、約20センチポイズから約200センチポイズ、約20センチポイズから約100センチポイズ、約30センチポイズから約700センチポイズ、約30センチポイズから約600センチポイズ、約30センチポイズから約500センチポイズ、約30センチポイズから約400センチポイズ、約30センチポイズから約300センチポイズ、約30センチポイズから約200センチポイズ、約30センチポイズから約100センチポイズ、約50センチポイズから約700センチポイズ、約50センチポイズから約600センチポイズ、約50センチポイズから約500センチポイズ、約50センチポイズから約400センチポイズ、約50センチポイズから約300センチポイズ、約50センチポイズから約200センチポイズ、約50センチポイズから約100センチポイズ、約70センチポイズから約700センチポイズ、約70センチポイズから約600センチポイズ、約70センチポイズから約500センチポイズ、約70センチポイズから約400センチポイズ、約70センチポイズから約300センチポイズ、約70センチポイズから約200センチポイズ、約70センチポイズから約100センチポイズ、約100センチポイズから約700センチポイズ、約100センチポイズから約600センチポイズ、約100センチポイズから約500センチポイズ、約100センチポイズから約400センチポイズ、約100センチポイズから約300センチポイズ、約100センチポイズから約200センチポイズなど、約20センチポイズから約700センチポイズといった中程度の粘度を有し得る。
【0108】
一部の実施形態に従って、アルファ化デンプンは、米国特許第2015/0010767号A1に記載する通り、例えば、デンプンが押出機において一ステップでアルファ化および酸変性によって調製される、押出デンプンとして調製することができ、押出方法はここに参照することによって援用する。手短に言えば、一軸押出機(例えば、イリノイ州サウスベロイトに位置するAmerican Extrusion Internationalから市販されているAdvantage 50)または二軸押出機(例えば、カンザス州サベサに位置するWengerから市販されているWenger TX52)など、いかなる好適な押出機をも使用し得る。概して、一部の実施形態では、(a)アルファ化デンプンの前駆体、すなわち、非アルファ化デンプン、(b)カルシウムイオンをキレートするのを実質的に避ける、弱酸の形態である酸および/または少量の強酸、ならびに(c)水が混合され、押出機の中に送り込まれる。一部の実施形態では、さらなる水が押出機に追加されてもよい。一部の実施形態では、例えば、硫酸アルミニウム(アラム)は、カルシウムイオンをキレートするのを実質的に避けるため、湿潤デンプンを調製する際に使用するのに適切な弱酸である。
【0109】
例えば、一部の実施形態では、弱酸は、デンプンの重量に基づく約0.5wt%から約5wt%の量で含まれる。強酸の量は比較的少なく、デンプンの重量で、例えば、約0.0001wt%から約0.05wt%といった約0.05wt%以下などである。本開示の一部の実施形態により使用される強酸の量は、例えば、35gのデンプンに対して少なくとも約2gの硫酸を使用した従来のシステムで含まれていたものより、かなり少ない。一部の実施形態では、上記の通り少量の強酸が、本明細書に記載する通り、アラムなど、カルシウムイオンをキレーしない弱酸と組み合わせて使用され得る。
【0110】
押出機の中にある間、発熱体および機械的剪断の組み合わせによって、デンプンを融解してアルファ化し、弱酸によって、本明細書に記載するのと同じくらい望ましい粘度によって示される、所望の分子量にまでデンプンを一部加水分解する。例えば、湿潤デンプンは、温度が約150℃(約300°F)から約210℃(約410°F)のダイを有する押出機の中でアルファ化して酸変性し得る。押出機内部の圧力は、当業者が認識するであろう、押し出される原材料、水分含量、ダイの温度および軸の速度によって決定される。例えば、押出機の中の圧力は、例えば、約2,000psi(約13,800kPa)から約5,000psi(34,500kPa)といった、少なくとも約2,000psiであり得る。押出機内の条件によって、力学的エネルギーのため、デンプン分子も分解し、それによって酸変性と同一の効果を一部生み出す。一部の実施形態による押出機内の条件(例えば、高い反応温度および高い圧力)によって、この化学反応が促進されるため、弱酸および/または少量の強酸が使用され得ると考えられる。
【0111】
冷水溶解性は、室温(約25℃)でのいかなる量の水可溶分をも有する、アルファ化デンプンに関係する。一部の実施形態では、アルファ化デンプンは、一部加水分解され、約70%からおおよそ100%、約75%からおおよそ100%、約80%からおおよそ100%、約85%からおおよそ100%、約90%からおおよそ100%、約95%からおおよそ100%、約70%から約99%など、約75%から約99%、約80%から約99%、約85%から約99%、約90%から約99%、約95%から約99%の所望の冷水溶解性を有し得る。一部の実施形態では、アルファ化デンプンは、例えば、動的測定に反作用トルクを使用するViscograph−Eといった、C.W. Brabender Viscographを使用して、粘度を測定するブラベンダー法によって測定される、約10BUから約120BUの冷水粘度(固体10%、25℃)を有する。例えば、冷水粘度は、約20BUから約110BU、約30BUから約100BU、約40BUから約90BU、約50BUから約80BUまたは約60BUから約70BUであり得る。本明細書に定義する通り、ブラベンダー単位は、75RPMの700cmgのカートリッジで、16fl oz(約500cc)のサンプルカップサイズを使用して測定されることに留意されたい。当業者はまた、ブラベンダー単位が、センチポイズ(例えば、測定カートリッジが700cmgのとき、cP=BU×2.1)またはクレブス単位(KU)などの他の粘度測定値に変換し得ることは、容易に認識するであろう。
【0112】
一部の実施形態では、デンプンは、2番の紡錘を持つBrookfield社製粘度計により回転速度30rpmで測定すると、25℃で測定したとき水中で10%のデンプンスラリーが、約60cPから約160cPの冷水粘度を有する。例えば、25℃で測定したとき水中で10%であるデンプンスラリーの冷水粘度は、約60cPから約150cP、約60cPから約120cP、約60cPから約100cP、約70cPから約150cP、約70cPから約120cP、約70cPから約100cP、約80cPから約150cP、約80cPから約120cP、約80cPから約100cP、約90cPから約150cP、約90cPから約120cP、約100cPから約150cPまたは約100cPから約120cPであり得る。
【0113】
含まれる場合、増強添加物として本明細書に記載される、いかなるタイプのデンプンも、いかなる好適な量で存在し得る。一部の実施形態では、デンプンは、例えば、漆喰の重量で約5%から約35%、漆喰の重量で約5%から約30%、約5%から約25%、約5%から約20%、約5%から約15%、約5%から約10%、約10%から約30%、約10%から約25%、約10%から約20%、約10%から約15%など、漆喰の重量で約5%から約40%の量で濃縮層に存在する。デンプンは、例えば、漆喰の重量で約0.1%から約4%、漆喰の重量で約0.1%から約3%、漆喰の重量で約0.1%から約2%、漆喰の重量で約0.1%から約1%、漆喰の重量で約1%から約4%、漆喰の重量で約1%から約3%、漆喰の重量で約1%から約2%など、漆喰の重量で約0%から約4%の量でボードコアに存在し得る。
【0114】
一部の実施形態では、デンプンの有無に関わらず、増強添加物は強度を強化するように、ポリビニルアルコールおよび/またはホウ酸を含み得る。一部の実施形態では、ポリビニルアルコール、ホウ酸およびデンプンが全て存在する。理論に縛られることは望まないものの、ホウ酸は、デンプンをさらに強化するように、ポリビニルアルコールおよびデンプンに対する架橋剤として働くと考えられる。一部の実施形態では、濃縮層中のポリビニルアルコールおよび/またはホウ酸の濃度は、表紙の強度に良い影響を与えると考えられ、本明細書に記載する通り、ポリビニルアルコールおよび/またはホウ酸によって表紙に侵入することによって、この度合いが増し得る。
【0115】
含まれる場合、ポリビニルアルコールおよびホウ酸は、いかなる好適な量でも存在し得る。例えば、一部の実施形態では、ポリビニルアルコールは、漆喰の重量で約1%から約5%の量で、濃縮層中に存在し得る。加えて、ポリビニルアルコールは、漆喰の重量で約0%から約1%の量で、ボードコア中に存在し得る。ホウ酸は、漆喰の重量で約0.1%から約1%の量で濃縮層中に存在することができ、漆喰の重量で約0%から約0.1%の量でボードコア中に存在し得る。
【0116】
一部の実施形態では、増強添加物は任意で、例えば、釘引き抜き抵抗または他の強度パラメータといった強度を強化するために、ナノセルロース、マイクロセルロースまたはそれらのいかなる組み合わせを備える。含まれる場合、ナノセルロース、マイクロセルロースまたはそれらの組み合わせは、例を挙げると、漆喰の重量で約0.05%から約1%といった、例えば、約0.01%から約2%の量で、例えば、濃縮層のスラリー中に、および例を挙げると、漆喰の重量で0%から約0.01%といった、例えば、約0%から約0.5%といった量でボードコアのスラリー中になど、いかなる好適な量でも存在し得る。
【0117】
増強添加物は、一部の実施形態では、例えば、釘引き抜き抵抗または他の強度パラメータといった強度を強化するために、石膏セメントを備え得る。石膏セメントは任意であり、いかなる好適な量でも存在し得る。例えば、一部の実施形態では、石膏セメントは、漆喰の重量で約5%から約30%の量で濃縮層中に含まれることができ、漆喰の重量で約0%から約10%の量でボードコア中に存在し得る。
【0118】
ボード強度
一部の実施形態では、本開示によって作製される複合ボードは、ASTM標準C473−10に従う試験プロトコルに合致する。例えば、一部の実施形態では、ボードが1/2インチの厚さで成型されるとき、乾燥ボードは、例えば、少なくとも約68lb
f、少なくとも約70lb
f、少なくとも約72lb
f、少なくとも約74lb
f、少なくとも約75lb
f、少なくとも約76lb
f、少なくとも約77lb
fなど、ASTM C473−10(方法B)に従って決定される通り、少なくとも約65lb
f(重量ポンド)の釘引き抜き抵抗を有する。様々な実施形態では、釘引き抜き抵抗は、約65lb
fから約100lb
f、約65lb
fから約95lb
f、約65lb
fから約90lb
f、約65lb
fから約85lb
f、約65lb
fから約80lb
f、約65lb
fから約75lb
f、約68lb
fから約100lb
f、約68lb
fから約95lb
f、約68lb
fから約90lb
f、約68lb
fから約85lb
f、約68lb
fから約80lb
f、約70lb
fから約100lb
f、約70lb
fから約95lb
f、約70lb
fから約90lb
f、約70lb
fから約85lb
f、約70lb
fから約80lb
f、約72lb
fから約100lb
f、約72lb
fから約95lb
f、約72lb
fから約90lb
f、約72lb
fから約85lb
f、約72lb
fから約80lb
f、約72lb
fから約77lb
f、約72lb
fから約75lb
f、約75lb
fから約100lb
f、約75lb
fから約95lb
f、約75lb
fから約90lb
f、約75lb
fから約85lb
f、約75lb
fから約80lb
f、約75lb
fから約77lb
f、約77lb
fから約100lb
f、約77lb
fから約95lb
f、約77lb
fから約90lb
f、約77lb
fから約85lb
fまたは約77lb
fから約80lb
fであり得る。
【0119】
一部の実施形態では、ボードは、ASTM C473−10の方法Bに従って決定される通り、例えば、少なくとも約12lb
f、少なくとも約13lb
f、少なくとも約14lb
f、少なくとも約15lb
f、少なくとも約16lb
f、少なくとも約17lb
f、少なくとも約18lb
f、少なくとも約19lb
f、少なくとも約20lb
f、少なくとも約21lb
fまたは少なくとも約22lb
fといった、少なくとも約11lb
fの平均コア硬度を有し得る。一部の実施形態では、ボードは、例えば、約11lb
fから約22lb
f、約11lb
fから約21lb
f、約11lb
fから約20lb
f、約11lb
fから約19lb
f、約11lb
fから約18lb
f、約11lb
fから約17lb
f、約11lb
fから約16lb
f、約11lb
fから約15lb
f、約11lb
fから約14lb
f、約11lb
fから約13lb
f、約11lb
fから約12lb
f、約12lb
fから約25lb
f、約12lb
fから約22lb
f、約12lb
fから約21lb
f、約12lb
fから約20lb
f、約12lb
fから約19lb
f、約12lb
fから約18lb
f、約12lb
fから約17lb
f、約12lb
fから約16lb
f、約12lb
fから約15lb
f、約12lb
fから約14lb
f、約12lb
fから約13lb
f、約13lb
fから約25lb
f、約13lb
fから約22lb
f、約13lb
fから約21lb
f、約13lb
fから約20lb
f、約13lb
fから約19lb
f、約13lb
fから約18lb
f、約13lb
fから約17lb
f、約13lb
fから約16lb
f、約13lb
fから約15lb
f、約13lb
fから約14lb
f、約14lb
fから約25lb
f、約14lb
fから約22lb
f、約14lb
fから約21lb
f、約14lb
fから約20lb
f、約14lb
fから約19lb
f、約14lb
fから約18lb
f、約14lb
fから約17lb
f、約14lb
fから約16lb
f、約14lb
fから約15lb
f、約15lb
fから約25lb
f、約15lb
fから約22lb
f、約15lb
fから約21lb
f、約15lb
fから約20lb
f、約15lb
fから約19lb
f、約15lb
fから約18lb
f、約15lb
fから約17lb
f、約15lb
fから約16lb
f、約16lb
fから約25lb
f、約16lb
fから約22lb
f、約16lb
fから約21lb
f、約16lb
fから約20lb
f、約16lb
fから約19lb
f、約16lb
fから約18lb
f、約16lb
fから約17lb
f、約17lb
fから約25lb
f、約17lb
fから約22lb
f、約17lb
fから約21lb
f、約17lb
fから約20lb
f、約17lb
fから約19lb
f、約17lb
fから約18lb
f、約18lb
fから約25lb
f、約18lb
fから約22lb
f、約18lb
fから約21lb
f、約18lb
fから約20lb
f、約18lb
fから約19lb
f、約19lb
fから約25lb
f、約19lb
fから約22lb
f、約19lb
fから約21lb
f、約19lb
fから約20lb
f、約21lb
fから約25lb
f、約21lb
fから約22lb
fまたは約22lb
fから約25lb
fといった、約11lb
fから約25lb
fのコア硬度を有し得る。
【0120】
一部の実施形態では、濃縮層は、ボードコアの平均乾燥コア硬度より少なくとも約1.5倍大きい、平均乾燥コア硬度を有し、平均コア硬度は、例えば、少なくとも約2倍大きい、2.5倍大きい、3倍大きい、3.5倍大きい、4倍大きい、4.5倍大きいなど、ASTM C−473−10に従って測定され、これらの範囲の各々は、例えば、8、7、6、5、4、3または2など、数学的に適切ないかなる上限をも有し得る。
【0121】
曲げ強度に関して、一部の実施形態では、厚さ1/2インチのボード中に成型されるとき、乾燥ボードは、ASTM標準C473−10に従って決定される通り、縦方向に少なくとも約36lb
f(例えば、少なくとも約38lb
f、少なくとも約40lb
fなど)および/または幅方向に少なくとも約107lb
f(例えば、少なくとも約110lb
f、少なくとも約112lb
fなど)の曲げ強度を有する。様々な実施形態では、ボードは、例えば、約36lb
fから約55lb
f、約36lb
fから約50lb
f、約36lb
fから約45lb
f、約36lb
fから約40lb
f、約36lb
fから約38lb
f、約38lb
fから約60lb
f、約38lb
fから約55lb
f、約38lb
fから約50lb
f、約38lb
fから約45lb
f、約38lb
fから約40lb
f、約40lb
fから約60lb
f、約40lb
fから約55lb
f、約40lb
fから約50lb
fまたは約40lb
fから約45lb
fといった、約36lb
fから約60lb
fの縦方向曲げ強度を有し得る。様々な実施形態では、ボードは、例えば、約107lb
fから約125lb
f、約107lb
fから約120lb
f、約107lb
fから約115lb
f、約107lb
fから約112lb
f、約107lb
fから約110lb
f、約110lb
fから約130lb
f、約110lb
fから約125lb
f、約110lb
fから約120lb
f、約110lb
fから約115lb
f、約110lb
fから約112lb
f、約112lb
fから約130lb
f、約112lb
fから約125lb
f、約112lb
fから約120lb
fまたは約112lb
fから約115lb
fといった、約107lb
fから約130lb
fの幅方向曲げ強度を有し得る。
【0122】
有利なことに、本明細書に記載する通りの様々なボードの密度における様々な実施形態では、乾燥石膏ボードは、例えば、約170psi(1,170kPa)から約1,000psi(6,900kPa)、約170psiから約900psi(6,200kPa)、約170psiから約800psi(5,500kPa)、約170psiから約700psi(4,800kPa)、約170psiから約600psi(4,100kPa)、約170psiから約500psi(3,450kPa)、約170psiから約450psi(3,100kPa)、約170psiから約400psi(2,760kPa)、約170psiから約350psi(2,410kPa)、約170psiから約300psi(2,070kPa)または約170psiから約250psi(1,720kPa)といった、少なくとも約170psiの圧縮強度を有し得る。一部の実施形態では、ボードは、少なくとも約450psi(3,100kPa)、少なくとも約500psi(3,450kPa)、少なくとも約550psi(3,800kPa)、少なくとも約600psi(4,100kPa)、少なくとも約650psi(4,500kPa)、少なくとも約700psi(4,800kPa)、少なくとも約750psi(5,200kPa)、少なくとも約800psi(5,500kPa)、少なくとも約850psi(5,850kPa)、少なくとも約900psi(6,200kPa)、少なくとも約950psi(6,550kPa)または少なくとも約1,000psi(6,900kPa)の圧縮強度を有する。加えて、一部の実施形態では、圧縮強度は前述のポイントのうちのいずれか二つに縛られ得る。例えば、圧縮強度は、約450psiと約1,000psiとの間(例えば、約500psiと約900psiとの間、約600psiと約800psiとの間など)であり得る。圧縮強度は、ペンシルベニア州バトラーのApplied Test SystemsよりATS機械型式1610として市販されている、材料試験システムを使用して測定され得る。1インチ/minの速度で、継続的に衝撃を与えずに荷重をかける。
【0123】
濃縮層およびその利点の少なくとも一部によって、驚くほどかつ予想外に、これらの標準(例えば、釘引き抜き抵抗、曲げ強度およびコア硬度)は、本明細書に記載する通り、超低密度ボード(例えば、約32pcf以下、31pcf以下、30pcf以下、29pcf以下、28pcf以下、27pcf以下、26pcf以下など、約33pcf以下)に関してまでも合致し得る。さらに、一部の実施形態では、本開示の実施形態が製造効率性を提供するように、全体でより少ない増強添加物を使用して、より軽く、より弱く、および/もしくはより柔らかいコアを持ち、ならびに/または全体の水使用量をより少なくしながら、これらの標準に驚くほど合致し得る。
【0124】
複合石膏ボードの調製プロセス
本開示の実施形態による複合石膏ボードは、典型的な石膏ウォールボードの製造ライン上で作製され得る。例えば、ボード製造技術は、例えば、米国特許第7,364,676号および米国特許出願公開第2010/0247937号に記載されている。手短に言えば、プロセスは通常、動くコンベア上にカバーシートを送り出すことを伴う。石膏ボードは普通、「正面を下にして」形成されるため、このカバーシートは、そのような実施形態においての「正面」カバーシートである。
【0125】
本開示の態様により、二つの別個のスラリーを形成する。一つのスラリーは、ボードコアを形成するのに使用される漆喰スラリーであり、他方のスラリーは、濃縮層を形成するのに使用される。濃縮層は、例えば、硬化石膏といった硬化材料に水和する、漆喰などのセメント系材料を含む、いかなる好適な材料より形成され得る。したがって、様々な実施形態では、所望のセメント系材料を包含するスラリーを調製し得る。本明細書に記載する通り、ボードコアおよび濃縮層の両方が漆喰スラリーより形成される、一部の実施形態では、ボードコア形成用の漆喰スラリーは、一部の実施形態で濃縮層作製用に使用される漆喰スラリーのWSRより低いWSRを有し得る。
【0126】
本明細書に述べる通り、密度パラメータを達成する限りにおいて、ある泡または軽量の材料が濃縮層のスラリー中に含まれ得るが、発泡剤(または他の軽量な材料)は概して、より低い密度を提供するように、ボードコアのスラリー中により多くみられる。一部の実施形態では、増強剤の濃度は、濃縮層中でより高い場合があり、ある増強剤は、一部の実施形態によってはボードコアのスラリー中に存在さえしなくともよい。したがって、それぞれのミキサーへの供給ラインはそれに応じて調整でき、充分に当業者のレベルの範囲内である。
【0127】
二つのスラリーはいかなる好適な手法でも形成し得る。例えば、原材料を撹拌しそれぞれのスラリーを形成する、二つの別個のミキサーを使用し得る。ミキサーは連続、または非接続であり得る。代替として、一つのミキサーを使用して、両方のスラリー流を発現させ得る。
図2は、本開示によりスラリーがどのように形成され得るかの例を示す、代替の概略フロー図を示す。
図2の描写Aに見られる通り、単一のミキサーを使用し得る一方、描写BおよびCでは、二つのスラリーを、例えば、所望の通り「ピンミキサー」または「ピンレスミキサー」の形態である、別個のミキサーで形成する。流れ
図BおよびCに見られる通り、効率のために所望される場合、濃縮層に塗布するのに必要なスラリーの量が、ボードコアを形成するのに塗布されるスラリーの量より少ないため、濃縮層に使用するミキサーは、一部の実施形態では、より小さい混合容積を有し得る。「主」ミキサー(すなわち、ボードコアのスラリー形成用)は、本体および排出導管(例えば、当該技術分野で知られる通りのゲート・キャニスター・ブート設備、または米国特許第6,494,609号および第6,874,930号に記載される通りの改良排出口設計(MOD)設備)を備える。三つの描写A〜Cすべてに見られる通り、発泡剤はミキサーの排出導管に(例えば、米国特許第5,683,635号および第6,494,609号に記載する通り、例えば、ゲートの中に)追加し得る。
【0128】
図Aは、ステップが一つのミキサー、すなわち、主ミキサー100を使用して発生する、実施形態を示す。漆喰102および水104が、主ミキサー100の中に挿入される一方、泡106は、改良排出口設計またはキャニスターを含み得る、排出導管108の下流に挿入され、泡は主ミキサー100の胴体には挿入されないことを意味する。本質的に泡がない、スラリー110の一部分は、出口ポートからミキサー100よりそらされ、例えば、濃縮層のスラリー112を形成するように、概して排出導管108から離れる。主ミキサー100は、加圧スラリーラインを流れる、濃縮層のスラリー用のより小さい排出ポートから、無発泡スラリー110を追い出すポンプとして働く。湿潤形態114の添加物、特に増強添加物は、注入ポートを通って加圧スラリーラインの中に注入される。当業者のレベルの範囲内では判定され得るが、ラインは、増強添加物を含むスラリーを均一に混合するのを可能にするのに充分長い方が望ましいことを本発明者が発見した。漆喰または水を別個に導入する必要はない。描写Aに見られる通り、端部スラリー流116および118もまた、当該技術分野で知られる通り、端部に使用するために所望の硬度を有するように、泡なしで主ミキサー100からそらし得る。
【0129】
図Bでは、二つのミキサー200および202が連続して接続しているのを見ることができる。漆喰204および水206が、主ミキサー200に追加される。泡208は、排出導管210(改良排出口設計またはキャニスターを包含し得る)の中で、主ミキサー200の胴体の下流に追加される。したがって、泡のないスラリー212は、出口ポートを通ってミキサー200から出て、濃縮層用のより小さい二次ミキサー202の中に挿入することができ、増強添加物を含む乾燥および湿潤添加物214(例えば、別個のラインを経由して)は、所望の通りの濃縮効果を提供するように、別個に追加され得る。端部スラリー流214および216もまた、主排出210とは別のポートから出るように示されており、そこで泡を最小化し、所望されるスラリー流の硬度を提供する。
【0130】
図Cでは、二つのミキサー300および302があるが、スラリーは別個に作製され、各ミキサーは所望の通り、漆喰および水に対してそれぞれの投入量を有することを見ることができる。特に、漆喰304および水306が、主ミキサー300の中に追加される。泡308は、排出導管310(米国特許第6,494,609号および第6,874,930号に記載される通り、キャニスターまたは改良排出口設計を包含し得る)の中で、主ミキサー300の胴体の下流に追加される。端部スラリー流312および314は、主排出310とは別のポートから出て、そこで泡を最小化し、所望されるスラリー流の硬度を提供し得る。濃縮層のスラリー316を形成するための二次ミキサー302では、漆喰および水318、320を追加し混合し得る。本明細書に記載する通り、増強添加物を含む乾燥および湿潤添加物(例えば、別個のラインを経由して)を、濃縮層ミキサー302の中に挿入し得る。そのため、濃縮層のスラリー316は、主ミキサー300の中で形成されるコアのスラリーとは別個に調製される。
【0131】
一部の実施形態では、端部スラリーは、主ミキサーの代わりに、所望の通り、濃縮層ミキサーから抽出され得る。端部は、一部の実施形態では、ボードコアより密度が高くなり得、例えば、濃縮層と同じ密度を有し得る。例えば、濃縮層が横向きになると、濃縮層のスラリーの一部分は、一つの境界に関する
図5および6に見られる通り、最終製品の端部を形成するように、ローラーの境界の周りに流れ得る。ローラーの長さは、この方式による端部の形成を受け入れるように構成され得る(例えば、紙の幅より短くする)。
【0132】
一部の実施形態では、排出導管が、例えば、米国特許出願公開第2012/0168527号A1(出願番号第13/341,016号)および米国特許出願公開第2012/0170403号A1(出願番号第13/341,209号)に記載のものなど、単一の供給入口または複数の供給入口のいずれかを持つ、スラリー分配装置を含み得ることは、理解されるであろう。複数の供給入口を持つスラリー分配装置を使用する、それらの実施形態では、排出導管は、米国特許出願公開第2012/0170403号A1に記載のものなど、好適な流れスプリッタを含み得る。
【0133】
当該技術分野において理解されるであろう通り、ボードは普通並行して継続的に、サンドイッチ構造に形成される。表カバーシートは、コンベア上を連続リボンとして動く。ミキサーから送り出された後、濃縮層のスラリーは、動く表カバーシートに塗布される。また、当該技術分野において知られる通り、所望の場合、硬い端部も、例えば、便宜のため濃縮層を形成する同じスラリー流より形成され得る。
【0134】
その後、ボードコアのスラリーが、濃縮層のスラリーを帯びる、動く表紙の上に塗布され、最終製品のボード前駆体である、サンドイッチ構造形態の湿潤アセンブリを形成するように、第2カバーシート(通常、「裏」カバーシート)で被覆される。裏(底部)カバーシートは任意で、濃縮層用と同じまたは異なる石膏スラリーより形成され得る、スキムコートを帯びてもよい。カバーシートは、紙、繊維マットまたは他のタイプの材料(例えば、金属の薄片、プラスチック、ガラスマット、セルロース系および無機充填剤のブレンドなどの不織布材料など)より形成されてもよい。一部の実施形態では、濃縮層は、ボードの主要な両側面に、すなわち、上部および底部シートの両方に結合関係で塗布される。
【0135】
それによって提供される湿潤アセンブリは、製品を所望の厚さに合わせて作る(例えば、成形板によって)形成工程に、および製品を所望の長さに切断する、一つ以上のナイフ部に運ばれる。湿潤アセンブリは、硬化石膏の連結する結晶性マトリクスを形成するように硬くなることが可能であり、余分な水は、乾燥プロセスを使用して(例えば、キルンを通ってアセンブリを輸送することで)除去される。驚くほどかつ予想外なことに、本開示により調製されるボードは、ボードの配置および組成物が、水への必要性が低い特徴を有するために、乾燥プロセスにおいて必要とする時間が有意に少ないことが分かっている。これは、エネルギー費用を削減するため有利である。
【0136】
また、石膏ボードの製造において、堆積したスラリーから大きな空隙またはエアポケットを排除するために、振動を使用するのが通常である。上のステップの各々、ならびにそのようなステップを実施するプロセスおよび機器は、当該技術分野において知られている。
【0137】
以下の実施例では、さらに本発明を説明するが、もちろん決して、その範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0138】
実施例1
本実施例は、本開示の原理に従う、異なるタイプのボードサンプルの強度の特徴を実証する。
【0139】
具体的には、三つの異なるボードを試験した。ボード1は、濃縮層のない比較用ボードであった。ボード2および3は、各々が本開示の原理に従って、濃縮層およびボードコアを包含する、複合石膏ボードであった。各ボードは、表紙も裏紙も含まない、約26pcfの合成密度で、約1/2インチの厚さに調製された。
【0140】
各ボードは、
図1に示す全般的な配置に従い、6インチ×6インチの実験室サンプルとして生成された。各ボードは、48lb/MSFの坪量を有する表紙と、42lb/MSF(MSF=1000ft
2)の坪量を有する裏紙とを包含した。各ボードの濃縮層(存在する場合)およびボードコアのそれぞれの厚さおよび密度を、表1Aおよび1Bに提供する。
【0141】
増強添加物は、VMA法に従って決定された、773センチポイズの粘度を有するアルファ化トウモロコシデンプンであった。ボード2および3では、増強添加物が、ボードコア中より濃縮層中でより濃縮されたことが表1Aおよび1Bに見ることができる。
【0142】
釘引き抜き抵抗は、ASTM 473−10の方法Bに従って試験された。釘引き抜き値は表1Cで報告する。
【0146】
表1Cから分かり得る通り、比較サンプル(ボード1)は、低い釘引き抜き抵抗値を有する一方、複合ボード2および3の両方は、釘引き抜き抵抗の向上を呈した。したがって、本実施例は、本開示による改良された複合設計は、表紙に隣接する濃縮層を取り入れることによって、釘引き抜き抵抗を強化することを示す。濃縮層は、本開示の原理に従って、考慮すべき厚さによって、望ましい釘引き抜き抵抗に寄与する。
【0147】
実施例2
本実施例は、濃縮層を表す石膏円板における、様々なデンプンの強度への効果を実証する。各組成物は表2に説明する原料を含むが、表3に示す通り、デンプンのタイプが異なった。特に組成物2Aは、デンプンを全く含まない、比較用の組成物であった。組成物2Bは、米国特許第2014/0113124号A1で説明される通り、VMA法に従って測定されるような、80cPの粘度を有するアルファ化デンプンの形態である、加熱デンプンを含んでいた。組成物2C〜2Oは、表3に示す通り、様々な生デンプンのうちの一つを含んだ。
【0149】
円板は、別個のスラリー組成物2A〜2Oより調製された。比較組成物2Aでは、デンプンがないため、総重量は799.8gであった。各組成物は、組み合わせられた乾燥および湿潤混合物より調製された。各湿潤混合物は、Conair Corp.(ニュージャージー州イーストウィンザー)から市販されているWaringブレンダー(型式CB15)のミキシングボウルの中で、水、分散剤、抑制剤1%溶液、分散剤およびトリメタリン酸ナトリウム10%溶液の重さを量ることで調製された。トリメタリン酸ナトリウム10%溶液は、トリメタリン酸ナトリウムの割合10(重量)を、水90(重量)の割合で溶解することによって調製し、一方、抑制剤1%溶液は、ジエチレントリアミン五酢酸の五ナトリウム塩(ミシガン州ミッドランドのDOW Chemical Companyから市販されているVersene(登録商標) 80)の水溶液から成り、Versenex(登録商標) 80の割合1(重量)を水99(重量)の割合で混合することによって調製された。残りの原料、特に、漆喰、耐熱促進剤およびデンプン(存在する場合)は重さを量り、乾燥混合物の中で調製された。耐熱促進剤は、すりつぶした粉末石膏およびデキストロースから成っていた。乾燥混合物は、湿潤原料と共にブレンダーの中に注がれ、5秒間浸され、その後15秒間高速で混合された。
【0150】
円板の密度(したがって、重量)を減少させるために、泡を追加した。泡の調製のため、Hyonic(登録商標)PFM‐33石鹸(ペンシルベニア州アンブラーのGEO Specialty Chemicalから市販されている)の0.5%溶液を形成して、その後、空気泡を作るように空気と混合した。泡発生器を使用して、空気泡をスラリーに追加した。泡発生器は、乾燥した最終円板の密度38pcfを入手するのに充分な速度で動作させた。
【0151】
泡の追加後、スラリーは即座に、円板サンプルを形成するのに適した型のリング(内径4”および厚さ0.5”)タイプの中に注がれた。型の表面は、カリフォルニア州サンディエゴのWD−40 Companyから市販されているWD40(登録商標)の形態である潤滑剤で、予め噴霧されていた。スラリーは、型のリング上部のわずかに上にある地点に注がれた。余分なスラリーは、石膏が型にはまるとすぐに、こすり落とされた。円板が型の中で硬くなった後、円板は型から取り除かれ、300°F(149℃)で60分間加熱され、その後、110°F(43℃)で約48時間、一定の重量に到達するまで乾燥された。オーブンからの除去に続き、円板は、室温で1時間冷却することができた。最終円板は、4インチ(10.16cm)の直径および0.5インチ(1.27cm)の厚さという寸法であった。
【0152】
強度は、圧縮強度および釘引き抜き抵抗を測定することによって試験された。釘引き抜き抵抗は、ASTM 473−10、方法Bに従って試験された。圧縮強度は、MTS Systems Corp.(ミネソタ州エデンプレイリー)からSATE(登録商標) E/M Systemsとして市販されている、材料試験システムを使用して測定した。衝撃を加えずに、0.04インチ/minの速度で(15から40psi/sの一定の割合により)継続的に荷重をかけた。結果を表3に示す。
【0156】
デンプンが濃縮層に使用される実施形態では、強度に関する性能の向上が示す通り、加熱デンプンおよび生デンプンの両方が、強度を向上させるための増強添加物として利点を有することを、本実施例は示している。表3から分かる通り、生デンプンおよび加熱デンプンは、デンプンなしの比較組成物を上回る、考慮すべき強度の向上を示し、値の多くが、デンプンなしの対照群の強度より約50%以上、デンプンなしの対照群の強度より約75%以上、またはデンプンなしの対照群の強度よりおおよそ100%以上高かった。
【0157】
所望のデンプンが、強度向上のために石膏結晶間に追加の結合を提供することから、本発明の様々な実施形態により、加熱デンプンおよび生デンプンの両方から示される、円板に見られる強度の向上は、一部の実施形態による、石膏ウォールボードの濃縮層におけるこれらのデンプンの有用性を示す。デンプンは、強度を向上させるのに効果的であり、それによって、酸変性の移動デンプンによる場合に反して、移動の欠如を示唆した。それゆえ、実施例は、デンプンが濃縮層において効果的であろうことを示している。
【0158】
実施例3
本実施例は、濃縮層における任意での繊維の使用を実証する。具体的には、二つのタイプのスラリーが調製された。各スラリーはその後、製造ラインの湿潤境界上で調製され試される、別個の生産ボードの中で濃縮層を形成するように使用された。一つのタイプのスラリー(組成物3A)は、繊維を全く包含せず、他方のタイプのスラリー(組成物3B)は、0.5インチ(25,400μm)の繊維長および15.24〜16.51μmの直径を有し、それによって、約1540対約1670のアスペクト比(長さ÷直径)を有するガラス繊維を包含していた。ガラス繊維は、Johns Manville Inc.,(コロラド州デンバー)から市販されている、DuraCore(登録商標) SF+ 1/2M300のチョップドストランドの形態であった。
【0159】
説明のみの目的で、濃縮層に対する通常の代表的な処方範囲が表4に提供され、低および高の縦列は、実施形態によって低と高との間にある所望される原料範囲の例を示唆するように提供される。他の代表的な処方および実施形態は、提供された原料に対する範囲を含め、本明細書の全体の記載から用意に解明されるであろう。試した処方を表5Aおよび5Bに提供する。表5Aおよび5Bに見られ得る通り、ガラス繊維の違いのほかは、二つの処方は同一であった。
【0163】
耐熱促進剤は、細かくした粉末石膏およびデキストロースから成っていた。各スラリー組成物は、コアを調製する主ミキサーとは別に、濃縮層専用の二次ミキサーの中で混ぜ合わせられた、乾燥および湿潤原料から調製された。トリメタリン酸ナトリウム、抑制剤および分散剤を液状で追加した。抑制剤は、ジエチレントリアミン五酢酸の五ナトリウム塩(ミシガン州ミッドランドのDOW Chemical Companyから市販されているVersenex(登録商標) 80)の形態であった。分散剤は、ポリナフタレンスルホン酸カルシウム塩(poly naphthalene sulfonate calcium salt)(カナダ、カンディアクのRuetgers Polymersから販売されているDURASAR(登録商標))の形態であった。アラムは任意で、所望の場合、石膏の水和速度を修正するために含まれ得る。
【0164】
泡が濃縮層中に含まれ、両スラリーから生成された濃縮層の密度は、乾燥時で36pcfであった。泡の調製には、STEOL(登録商標) CS230およびPolystep 25発泡剤(イリノイ州ノースフィールドのStepan Co.から市販されている)の混合物の溶液を形成し、その後、泡発生器を使用して空気泡を作るように、空気と混合した。二次ミキサーで、空気泡をスラリーに追加した。追加した泡の量は、重量で発泡剤の1%であった。発泡剤(1%溶液)は、水の割合100(重量)の中に、発泡剤1(重量)の割合を溶解することによって調製した。
【0165】
当該技術分野でよく知られる通り、製造ライン上で試験ボードを調製するために、紙はコンベア上の連続ロールの上に放出された。濃縮層のスラリーは、二次ミキサーから送り出され、コンベアに沿って高速(600フィート/minを上回る)で動いて、紙の上に広げられた。従動ローラーが紙に対して直角に位置づけられ、紙に濃縮スラリーを塗るように使用された。ローラーは通常、紙が動く方向と反対の方向に回転する。スラリーが、最終的に完成ボード製品の端部を形成するように、紙の端部を超えて、ローラーの境界周辺を動くことが可能となるように、ローラーの長さは紙の幅よりわずかに短かった。ローラーは普通、紙の下の第2ローラーと連動し、ローラー間には、紙の厚さがローラーの間を動くことを可能にするのに充分な間隙がある。
【0166】
ローラーがスラリーの前進を妨害すると、回転ローラーの接線速度によって主に制御されて、スラリー頭部がローラーの背後でかつローラーの上流に形を成す。頭部は、広がりを提供して、入ってくる材料を減速するのを助けるスラリーの在庫であり、濃縮層および端部を形成するのに、適切な量のスラリーを準備する。スラリーは、頭部から拭き取られて、ローラーによってローラーの下流側へ運ばれ、紙上に再び堆積して、ボードの濃縮層になる箇所を広げるように拡散される。任意で、当該技術分野において知られる通り、頭部内に包含されるスラリーの密度をその後変化させる、使用する石鹸または泡の空気の量を変化させることによって、スラリーの体積を調製するために、頭部を制御するようレーザーを使用し得る。下流にはコアのスラリーが主ミキサーから濃縮層の上に堆積し、既知の技術を使用して、ボードの加工を完了する。
【0167】
図3〜6は、ガラス繊維なし(組成物3A、
図3および5)、および任意のガラス繊維あり(組成物3B、
図4および6)のスラリーを使用した製造試験から、スラリー頭部(
図3〜4)と、ローラー周辺の端部の形成(
図5〜6)とを描写する画像を示す。組成物3Aを使用して行う同一の試験が実施され、
図3および5に示す状態を示した一方で、組成物3Bを使用して行う同一の試験が実施され、
図4および6に示す状態を示した。
【0168】
図3〜4に見られる通り、濃縮層のスラリーは、ローラー400または500によって、紙カバーシート402または502に塗布された。
図3に示すガラス繊維なしのスラリーが、ローラー400の上流の紙402上に堆積し、堆積したスラリーは、波立って不均等なスラリー404として一列で、ローラー400の方へ動いた。流体力学的不安定性408によって、望ましくない空気連行がもたらされ、ガラス繊維なしのスラリーは、結果としてより扇形のスラリー頭部406となった。一方、
図4に示すガラス繊維ありのスラリーが、ローラー500の上流の紙502上に堆積し、堆積したスラリーは、安定したより波の少ないスラリー504として一列で移動した。ガラス繊維ありのスラリーは、流動学的特性の変化の結果としての、より安定的なスラリー508によって、結果として扇型になることが少なく、より一層滑らかな頭部506となった。扇形を包含する頭部406は、様々な長さおよび時間の尺度において、不安定な流動力学を作り出す傾向があり、それによって、製品をキルン乾燥すると、空隙、ブリスターまたは紙の層間剥離などの欠陥をもたらし得る。
【0169】
図5は
図3に示す試験に一致し、
図6は
図4に示す試験に一致する。特に
図5〜6は、ローラー400または500の端部410または510を示す。端部スラリー412または512は、生成されるボードの端部を最終的に形成するように、ローラー400または500の端部410または510周囲に形成される。ガラス繊維なしのスラリーは、
図5に見られる通り、結果としてよりむらがある端部となり、空隙、ブリスター、紙の層間剥離、柔らかいおよび/または硬い端部、ならびに端部形成および製造プロセスへの全体的な混乱を引き起こし得る。
図5に見られる通り、紙402の端部を超えて、端部スラリーの望ましくない跳ね上がり414がある。流れの変動によって、スラリーがローラー400の上方へ一部持ち上げられるとき、波416の形成が発生し得るため、波416が端部に到達すると、望ましくない形で跳ね上がりが引き起こされる。
図6に見られる通り、スラリー端部512はより制御され、紙502を超えて跳ね上がらない。ガラス繊維ありのスラリーは、
図6に見られる通り、端部の変動が少なく、その結果、より制御され、空隙、ブリスター、紙の層間剥離、柔らかいおよび/または硬い端部、ならびに製造プロセスへの他の混乱などの欠陥が起こる機会が減少した。
【0170】
ガラス繊維などの繊維が、濃縮層には必要ないことは理解されるであろう。ブリスター、空隙、層間剥離、不十分な端部などを含む欠陥は、様々な機械的手段または当該技術分野でよく知られる他の手段によってなど、他の手段で制御され得る。例えば、スラリー中の大きなエアポケットを除去するために、コンベアの下で機械のバイブレーターを使用し得る。加えて、スラリースプレッダーの使用、スラリー分配装置、頭部制御手段、ならびにミキサーの排出、ライン速度および処方の粘度に対する調整などを含む、他の機械または他のプロセスの調整については理解されるであろう。これらの機械および他の技術の例は、単独でまたは容認可能な結果を提供するガラスと組み合わせて使用し得る。
【0171】
実施例4〜10
以下の実施例4〜10では、スラリー組成物を次のように調製した。各スラリー組成物は、ミキサー(すなわち、コアのスラリー用の主ミキサー、および濃縮層のスラリー専用の二次ミキサー)の中で組み合わせられた、乾燥および湿潤原料から調製された。水、トリメタリン酸ナトリウム、抑制剤、分散剤およびアラムを液状で追加した。抑制剤は、ジエチレントリアミン五酢酸の五ナトリウム塩(ミシガン州ミッドランドのDOW Chemical Companyから市販されているVersenex(登録商標) 80)の形態であった。分散剤は、ポリナフタレンスルホン酸カルシウム塩(poly naphthalene sulfonate calcium salt)(カナダ、カンディアクのRuetgers Polymersから販売されているDURASAR(登録商標))の形態であった。漆喰、耐熱促進剤、ガラス繊維およびデキストロースを固形で追加した。所望の場合、石膏の水和速度を修正するために、アラムを任意で含めた。耐熱促進剤は、細かくした粉末石膏およびデキストロースから成っていた。裏(news−line)紙のカバーシートとの結合を向上させるために、一部の例では追加のデキストロースを追加した。
【0172】
コアのスラリーおよび濃縮層のスラリーには泡を含めた。泡の調製には、STEOL(登録商標) CS230およびPolystep 25発泡剤(イリノイ州ノースフィールドのStepan Co.から市販されている)の混合物の溶液を形成し、その後、泡発生器を使用して空気泡を作るように、空気と混合した。空気泡の密度は、1立方フィート当たりおよそ4.5lbであった。空気泡は、主ミキサーの排出導管で追加され、二次ミキサーで濃縮スラリーに追加された。特定原料の重量パーセントは、それ自体の重量対湿潤スラリー(したがって、紙以外)の全組成物に基づく。当業者が理解するであろう通り、総計のいかなる不一致も、例えば、ポンプおよび流量計などの機器からの測定値の有効限度によるなど、個々の原料に関する値の丸めのためである。
【0173】
実施例4
本実施例は、石膏ボードの中に濃縮層を含む利点を実証する。実施例は、濃縮層が釘引き抜きの性能を強化することを示す。二つのボード、ボード4Aおよびボード4Bが調製された。ボード4Aは濃縮層を包含せず、ボード4Bは包含していた。ボード4Aおよび4B調製用のスラリー組成物については、表6および7でそれぞれ説明する。
【0176】
ボード4Aおよび4Bは各々、実施例3に記載した通り、コアのスラリーを2枚の紙の間に堆積させ、ボード前駆体の連続リボンを形成する連続したプロセスにおいて、湿潤および乾燥原料を組み合わせるように、主要ピンミキサーを使用して、高速(600ft/minを上回る)のボード製造ライン(機械)上で調製された。濃縮層は、湿潤および乾燥原料を混ぜるように、二次ボードミキサーを用いて、ボード4Bを調製する際に使用された。塗布ローラーを使用してこの濃縮層のスラリーを表紙に塗布し、コアのスラリーを主ミキサーの排出導管からその上に堆積させた。最終ボード4Aおよび4Bを形成するために、前駆体を加工しキルン乾燥した。ボードの特性および寸法を表8で説明する。
【0178】
本実施例は、ボード製品の強度強化における、濃縮層の利点を示す。表8に見られる通り、濃縮層を含んだボード4Bは、釘引き抜き(抵抗)値の増加をもたらした。特に明記しない限り、本明細書における用語「釘引き抜き」は、ASTM 473−10の方法Bに従って測定するときの釘引き抜き抵抗を指すことは理解されるであろう。そのような釘引き抜きの改善は、ボードの分野において、強度を提供し性能を強化するのに有益である。有利なことに、濃縮層を用いた釘引き抜きの増加は、ボードの重量およびウォールボード製品製造のコストを削減するのに使用し得る。
【0179】
実施例5
本実施例は、石膏ボードに濃縮層を使用する利点を実証する。特に、スラリー中の原料を濃縮層形成に合わせることは、有益であり得る。濃縮層が強固になる速度は、主要(コア)スラリーがボード製造プロセス中に濃縮層のスラリーと出合うとき、濃縮層の流出をもたらすように、任意で調整し得る。流出は、コアのスラリーが、連続する製造プロセス中に濃縮層の上に分配されるときに発生し得る、濃縮層の除去を指す。流出によって、望ましくない方法で、製品の不均一および釘引き抜きの減少をもたらし得る。二つのボード、ボード5Aおよび5Bが調製された。ボード5Aおよび5B調製用の組成物については、表9および10でそれぞれ説明する。
【0180】
本実施例における漆喰スラリー(時には、石膏スラリーと呼ばれる)を強固にする速度は、アラムおよび抑制剤を使用して変更された。アラムの量をボード5Bにおいて減少して、硬化の速度を減少させ、抑制剤もボード5Bに追加して、硬化の速度を減少させた。
【0183】
ボード5Aおよび混合物5Bは各々、コアのスラリーを2枚の紙の間に堆積させ、ボード前駆体の連続リボンを形成するように、実施例3に記載した通り、連続したプロセスにおいて、湿潤および乾燥原料を組み合わせるように、主要ピンミキサーを使用して、高速機械上で調製された。濃縮層を使用してボード5Aおよび5Bを調製し、二次ボードミキサーを用いて、湿潤および乾燥原料を混ぜた。塗布ローラーを使用してこの濃縮層のスラリーを表紙に塗布し、コアのスラリーを主ミキサーの排出導管からその上に堆積させた。最終ボード5Aおよび5Bを形成するために、前駆体を加工しキルン乾燥した。ボードの特性および寸法を表11で説明する。
【0184】
流出は、サンプルの至る所の密度勾配を判定するために、X線技術を利用する、密度プロフィリメーター(profilimeter)マシン(すなわち、テネシー州ノックスビルのQuintek Measurement Systems, Inc.から市販されているQDP−01X Density Profiler)を利用して測定した。ボード5Aおよび5Bから取られた1インチのサンプルを調製し、ボードの幅方向で切断したため、各ボードの全体の幅および厚さを表すように、密度プロファイルを集めることができた。
【0186】
本実施例は、ボード5Aおよび5Bの両方が効果的であったことから、濃縮層を使用する利点を示す。より少ない流出を呈したため、より好ましいのはボード5Aであった。強固になる速度が減少したとき、より好ましいボードがもたらされた。表11に見られる通り、ボード5Aは、ボード5Bと比較すると、製造プロセス中において、濃縮層との接触による主要スラリーの流出に抵抗する能力が増大することを実証した。この点において、ボード5Aは、より少ない量の抑制剤およびより多くのアラムを使用して調製され、結果として流出がより少なくなったという点で、ボード5Bと異なる一方、ボード5Bは、より多くの抑制剤を使用して調製したが、含められたアラムはより少なかった。両方のボードとも有用な製品であったものの、表11に示す結果は、ボード5Bと比較すると、ボード5Aは50%少ない流出を示している。
【0187】
実施例6
本実施例は、石膏ボードに濃縮層を含む利点を実証する。特に、濃縮層形成用のスラリー組成物は、増強添加物を含むように合わせ得る。本実施例が示すように、デンプン濃度は、主要(コア)スラリーがボード製造プロセス中に濃縮層のスラリーと出合うとき、濃縮層の流出を減少させるように使用され得る。二つのボード、ボード6Aおよび6Bが調製された。ボード6Aおよび6B調製用のスラリー組成物については、表12および13でそれぞれ説明する。
【0190】
ボード6Aおよび6Bは各々、コアのスラリーを2枚の紙の間に堆積させ、ボード前駆体の連続リボンを形成するように、実施例3に記載した通り、連続したプロセスにおいて、湿潤および乾燥原料を組み合わせるように、主要ピンミキサーを使用して、高速機械上で調製された。濃縮層を使用してボード6Aおよび6Bを調製し、二次ボードミキサーを用いて、湿潤および乾燥原料を混ぜた。塗布ローラーを使用してこの濃縮層のスラリーを表紙に塗布し、コアのスラリーを主ミキサーの排出導管からその上に堆積させた。最終ボード6Aおよび6Bを形成するために、前駆体を加工しキルン乾燥した。ボードの特性を表14で説明する。流出は実施例5に記載する通りに測定した。
【0192】
本実施例は濃縮層を有する利点を示す。特に、コアのスラリーと比較すると、濃縮層のスラリー中により高い濃度のアルファ化デンプンを有することは有益であったことが分かり得る。表14に見られる通り、ボード6Bと比較すると、ボード6Aは流出がより多いことが実証された。この点において、ボード6Aは、より少ない量のアルファ化デンプンを使用して調製され、その結果より大きな流出をもたらしたという点で、ボード6Bと異なった一方、ボード6Bは、スラリー中により多くのアルファ化デンプンを含んでいた。表14に示す結果は、ボード6Aと比較すると、ボード6Bでは流出が75%減少したことを示す。例えば、アルファ化デンプンといった増強添加物を濃縮層中により多く使用することで、添加物を、最も多くの利点が見られる、すなわち、濃縮層中により多く置くため、かかる費用がより少なくなり、より効率的になり得る。
【0193】
実施例7
本実施例は、石膏ボードに濃縮層を含む利点を実証する。特に、濃縮層の密度は、釘引き抜きを向上させるように使用され得ることを示す。濃縮層中に包含される泡の量を変えることによって、密度を修正した。二つのボード、ボード7Aおよび7Bが調製された。ボード7Aおよび7B調製用のスラリー組成物については、表15および16でそれぞれ説明する。
【0196】
ボード7Aおよび7Bは各々、コアのスラリーを2枚の紙の間に堆積させ、ボード前駆体の連続リボンを形成するように、実施例3に記載した通り、連続したプロセスにおいて、湿潤および乾燥原料を組み合わせるように、主要ピンミキサーを使用して、高速機械上で調製された。濃縮層を使用してボード7Aおよび7Bを調製し、二次ボードミキサーを用いて、湿潤および乾燥原料を混ぜた。塗布ローラーを使用してこの濃縮層のスラリーを表紙に塗布し、コアのスラリーを主ミキサーの排出からその上に堆積させた。最終ボード7Aおよび7Bを形成するために、前駆体を加工しキルン乾燥した。ボードの特性および寸法を表17で説明する。
【0198】
本実施例は、濃縮層を使用する利点および効率性を示す。濃縮層中に強度添加物および密度を集中させることによって、全体的な強度の利点を効率的に提供する。両方のボードは、効果的な釘引き抜きを呈した。表17に見られる通り、ボード7Bと比較して、ボード7Aは釘引き抜きの低下を実証した。この点において、ボード7Aは、濃縮層のスラリー中により多くの発泡剤を使用して調製され、その結果より低い密度をもたらした点で、ボード7Bとは異なり、ボード7Bは濃縮層のスラリー中に含む泡がより少なく、その結果より高い密度となった。しかし、ボード7Bが、より高い重量パーセントのデンプンを伴って調製されたため、結果は類似であった。表17に示す結果は、濃縮層中において密度の増加を集中させ、濃縮層のスラリー中で増強添加物の用量を増加させる(重量パーセントで)ことは、効率的に釘引き抜きを増加させるのに効果的であることを示す。
【0199】
実施例8
本実施例は、石膏ボードに濃縮層を含む利点を実証する。濃縮層中のデンプン濃度は、釘引き抜きを向上させるように使用し得る。二つのボード、ボード8Aおよび8Bが調製された。本例では、試験条件下において流出がより広く認められたため、釘引き抜きの差を、流出が広まっていなかった、ボードの縦方向側(コーダーのない側)に沿って測定した。ボード8Aおよび8B調製用のスラリー組成物については、表18および19でそれぞれ説明する。
【0202】
ボード8Aおよび8Bは各々、コアのスラリーを2枚の紙の間に堆積させ、ボード前駆体の連続リボンを形成するように、実施例3に記載した通り、連続したプロセスにおいて、湿潤および乾燥原料を組み合わせるように、主要ピンミキサーを使用して、高速機械上で調製された。濃縮層を使用してボード8Aおよび8Bを調製し、二次ボードミキサーを用いて、湿潤および乾燥原料を混ぜた。塗布ローラーを使用してこの濃縮層のスラリーを表紙に塗布し、コアのスラリーを主ミキサーの排出導管からその上に堆積させた。最終ボード8Aおよび8Bを形成するために、前駆体を加工しキルン乾燥した。ボードの特性および寸法を表20で説明する。
【0204】
本実施例は濃縮層を使用する利点を示す。両方のボードが、濃縮層中のより高い濃度のデンプンによって、優れた釘引き抜きを実証した。より高い濃度のアルファ化デンプンを濃縮層に追加することで、より優れた強度をもたらされた。表20に見られる通り、ボード8Bと比較して、ボード8Aは釘引き抜きがより低くなることが実証された。この点において、ボード8Aは、ボード8Aの濃縮層を、より少ないアルファ化デンプンを使用して調製し、その結果より低い釘引き抜きをもたらしたという点で、ボード8Bと異なる一方、ボード8Bの濃縮層のスラリーはより多くのデンプンを含み、その結果より高い釘引き抜きをもたらした。表20に示す結果は、濃縮層のデンプン濃度が、釘引き抜きの結果を修正するように使用され得ることを示す。
【0205】
実施例9
本実施例は、石膏ボードに濃縮層を含む利点を示す。釘引き抜きの向上を達成するための、濃縮層の代表的な厚さを示す。本明細書中に記載する通り、他の厚さも使用し得る。二つのボード、ボード9Aおよび9Bが調製された。厚さは、塗布ローラーの速度を増大させ、濃縮層の広がりを狭めることによって修正され、それによってより厚くなった。9Aおよび9B調製用の組成物については、表21および22でそれぞれ説明する。
【0208】
ボード9Aおよび9Bは各々、コアのスラリーを2枚の紙の間に堆積させ、ボード前駆体の連続リボンを形成するように、実施例3に記載した通り、連続したプロセスにおいて、湿潤および乾燥原料を組み合わせるように、主要ピンミキサーを使用して、高速機械上で調製された。濃縮層を使用してボード9Aおよび9Bを調製し、二次ボードミキサーを用いて、湿潤および乾燥原料を混ぜた。塗布ローラーを使用してこの濃縮層のスラリーを表紙に塗布し、コアのスラリーを主ミキサーの排出導管からその上に堆積させた。最終ボード9Aおよび9Bを形成するために、前駆体を加工しキルン乾燥した。ボードの特性および寸法を表23で説明する。
【0210】
本実施例は濃縮層を使用する利点を示す。両方のボード9Aおよび9Bは充分に強く効果的であったが、濃縮層の厚さを増加させることで強度が強化された。両方のボードは、より高い濃度の増強添加物(デンプン)を濃縮層に包含していた。表23に見られる通り、ボード9Bと比較して、ボード9Aは釘引き抜きがより低くなることが実証された。この点において、ボード9Aは、塗布ローラーでより低速を使用して調製され、結果としてより薄い濃縮層がもたらされたという点で、ボード9Bとは異なり、ボード9Bは、塗布ローラーでより高速を使用して調製され、結果としてより薄い濃縮層がもたらされた。表23に示す結果は、濃縮層の厚さだけでなく、濃縮層中のデンプン濃度の増加が、釘引き抜きの結果を修正するように使用され得ることを示す。
【0211】
実施例10
本実施例は、濃縮層がボード重量目標の1,100lb/MSF(約5370g/m
2)で、釘引き抜き性能を強化することを実証する。二つのボード、ボード10Aおよびボード10Bが調製された。ボード10Bは濃縮層を包含せず、ボード10Aは包含していた。ボード10Aおよび10B調製用のスラリー組成物については、表24および25でそれぞれ説明する。組成物は実施例3に記載する通りに調製された。
【0214】
ボード10Aおよび10Bは各々、コアのスラリーを2枚の紙の間に堆積させ、ボード前駆体の連続リボンを形成するように、実施例3に記載した通り、連続したプロセスにおいて、湿潤および乾燥原料を組み合わせるように、主要ピンミキサーを使用して、高速機械上で調製された。濃縮層を使用してボード10Aを調製し、二次ボードミキサーを用いて、湿潤および乾燥原料を混ぜた。塗布ローラーを使用してこの濃縮層のスラリーを表紙に塗布し、コアのスラリーを主ミキサーの排出導管からその上に堆積させた。最終ボード10Aおよび10Bを形成するために、前駆体を加工しキルン乾燥した。ボードの特性および寸法を表26で説明する。
【0216】
本実施例は濃縮層を使用する利点を示す。表26に見られる通り、ボード10Bと比較して、ボード10Aは釘引き抜きがより高くなることが実証された。この点において、ボード10Aは、コアのスラリーと比較して、より高い濃度のアルファ化デンプンを含む濃縮層のスラリーを使用して調製され、その結果より高い釘引き抜きをもたらしたという点で、ボード10Bと異なり、ボード10Bは濃縮層を含まなかった。表26に示す結果は、高濃度のアルファ化デンプンを包含する濃縮層を、釘引き抜きを増加させるように使用し得ることを示す。
【0217】
本明細書に引用される公報、特許出願および特許を含む、すべての参照は、あたかも各参照が参照により組み込まれるように、個々にかつ具体的に示され、本明細書に全体として説明されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0218】
本発明を記載する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)語「一つの」および「前記」および「少なくとも一つの」ならびに類似の指示語の使用は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、単数形および複数形の両方を対象とすると解釈されるべきである。一つ以上の項目のリストが続く「少なくとも一つ」と言う語の使用(例えば、「AおよびBのうちの少なくとも一つ」)は、本明細書に別段の指示が無い限り、または文脈によって明確に否定されない限り、記載した項目から選択される一つの項目(AまたはB)、または記載した項目のうちの二つ以上のいかなる組み合わせ(AおよびB)を意味すると解釈されるべきである。本明細書で使用する通り、用語「結合関係」は、二つの層が直接接触していることを必ずしも意味しないことは理解されるであろう。用語「備える」、「有する」、「含む」および「包含する」は、特に記載の無い限り、非制限的な用語(すなわち、「含むがそれらに限定されない」ことを意味する)と解釈されるべきである。また、「備える」(またはその均等物)が使われる部分ではすべて、「備える」は、「から本質的に成る」および「から成る」を組み込むとみなされる。したがって、要素(単数または複数)を「備える」一実施形態は、その列挙した要素(単数または複数)「から本質的に成り」、その列挙した要素(単数または複数)「から成る」実施形態を支持する。「から本質的に成る」が使われる部分はすべて、「から成る」を組み込むとみなされる。したがって、要素(単数または複数)「から本質的に成る」一実施形態は、その列挙した要素(単数または複数)「から成る」実施形態を支持する。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書に別段の指示が無い限り、範囲内にある各々別個の値を個々に指す簡潔な方法として機能するように単に意図され、各々の別個の値はあたかも個々に本明細書に列挙されるように本明細書に組み込まれる。用語「例示的な」は一例を指し、最善の例を提案することを意図していない。本明細書に記載するすべての方法は、本明細書に別段の指示が無い限り、または文脈によって明確に否定されない限り、いかなる好適な順序でも実行し得る。本明細書に提供されるすべての例、または例示的な言葉(例えば、「など」「例を挙げると」)の使用は、本発明をより良く例示することを単に意図し、別段請求項に記載がない限り本発明の範囲に制限を課さない。本明細書における言葉は、請求項に記載されていない要素を、本発明の実践に不可欠なものとして示すように解釈されるべきではない。
【0219】
本発明の好ましい実施形態は、本発明を実施するために発明者が知る最良の形態を含め、本明細書に記載される。それらの好ましい実施形態の変形例は、前述の記載を読むことで当業者に明らかとなってもよい。発明者は、当業者が必要に応じて、そのような変形例を採用することを予想し、また発明者は、本発明が本明細書に具体的に記載する以外の方法で実践されることを意図している。したがって、本発明は、準拠法によって許可される通り、本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙される、主題の修正および同等物すべてを含む。さらに、それらすべての可能な変形例における上記要素のいかなる組み合わせも、本明細書に別段の指示が無い限り、または文脈によって明確に否定されない限り、本発明により網羅される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の実施形態は、複合ボード(例えば、ウォールボードなどの石膏ボード)の新規構成、およびそのようなボードを作製する方法を提供する。本明細書で使用する通り、石膏ウォールボード(しばしば、乾式壁と呼ばれる)は、壁だけでなく、天井および当該技術分野において理解されるような他の場所にも使用されるボードを網羅し得る。一態様において、複合ボードは、例えば、最終製品において硬化石膏の連続的な結晶性マトリクスの形態の、異なるセメント系組成物を包含する、複数層を包含する。一つの層がボードコアを形成し、別の層が実質的な厚さ(例えば、少なくとも約0.02インチまたは約0.05cm)の濃縮層を形成する。ボードコアは概して、好ましい実施形態の濃縮層より厚く、ボードの外皮の体積の大半(例えば、約70%超、約75%超など、約60%超)を占める。通常、ボードはまた、上部(正面)および底部(裏)カバーシートも含む。
【0017】
ボードコアおよび濃縮層は両方、セメント系材料および水より形成される。本開示の好ましい実施形態によって、濃縮層は、ボードコアが有するより高い密度(例えば、少なくとも約1.1倍高い)を有するように構築される。より密度の低いボードコアを構築するには、当該技術分野において知られるような発泡剤がボードコアに使用され得るが、特にさらなる支出が受け入れられ得る場合には、例えば、軽量の骨材またはパーライトを含む、軽量充填剤など、密度を低下させる他の材料が、代替または追加原料としてボードコア形成用のスラリー中に含まれ得る。濃縮層は、その層でより高い所望の密度を達成するために、より少ない発泡剤を含むもしくは全く含まない、および/またはより少ない軽量充填剤を含むもしくは全く含まない場合がある。
【0018】
いかなる特定の理論にも縛られることは望まないものの、複合ボードのそれぞれの層の組成および相互関係が、製品に驚くほど予想外の特性を付与すると考えられる。特に、濃縮層における増強添加物に的を絞った使用は、所望のボード特性を付与し、所望の通りプロセスの効率を強化するように使用され得ると考えられる。加えて、一部の実施形態では、(a)濃縮層の厚さ、密度および/もしくは強度、ならびに/または(b)紙およびボードコアそれぞれに対する濃縮層の特性などの態様は、所望の通りボード特性を最適化するように使用され得る。これらの態様に少なくとも一部基づき、濃縮層からの所望の特性が、ボード中に分配され方向づけられ、それによって、所望の通りボードコアの中への物理特性を維持しながら、複合ボードの生産を促進し得ると考えられる。
【0019】
一部の実施形態によって、乾燥した濃縮層は、概して隣接している上部カバーシートの剛性値により近い、剛性値を有する。濃縮層は、一部の実施形態では、ボードコアより高い剛性値を有する。したがって、一部の実施形態では、濃縮層は、比較的優れた剛性および強度を持つ材料(すなわち上部カバーシート)と、より低い剛性および強度を持つ材料(すなわちボードコア)との間に配置され得る。剛性値が、当該技術分野において知られる通り、ヤング率により測定され得ることは理解されるであろう。
【0020】
いかなる特定の理論にも縛られることは望まないものの、所望の強度特性を付与する、より高い重量パーセントの増強添加物を、濃縮層に含むことによって、結果として効率的な所望の強度特性をもたらすと考えられる。濃縮層は、上部カバーシートと、好ましくはより軽くより弱いボードコアとの間に配置される。驚くほどかつ予想外に、濃縮層は、負荷からエネルギーを吸収し、負荷が望ましくはより容易に弱まり消散するように、より均一にボードコアの中へおよびボード中に負荷を分散する働きをする。そのため、発明の複合石膏ボードは、優れた強度特性を実証し、特性がボードコアの中へ分配され得る濃縮層において、強度の強化に的を絞ることによって、より低重量のボードを生成することを可能にするであろう。例えば、この利点は、ASTM 473‐10の方法Bに従って当該技術分野において理解される通り、一部の実施形態では、釘引き抜き抵抗および曲げ強度試験の優れた結果を通して示され得る。
【0021】
ボードコアおよび濃縮層の組成
本開示の一部の実施形態によって、複合石膏ボードは、増強添加物がボードコアに(仮にあったとして)含まれるより高い濃度で増強添加物を含むように合わせられる。その結果ボードは、所望の強度特性を持つ複合石膏ボードを実現するように形成され得る。
【0022】
一部の実施形態によって、驚くほどかつ予想外なことに、ボードコアと比べて濃縮層中のより高い濃度の増強添加物は、例えば、釘引き抜き抵抗、圧縮強度、曲げ強度など、所望の強度特性の点で効率的なボード性能をもたらすことが判明している。本発明者は、増強添加物を含むように、それぞれのボードコアおよび濃縮層の組成物の処方を合わせることによって、増強添加物の使用を、好ましい実施形態によって最適化することができ、それらの影響により、所望の強度特性(すなわち、ボードコア中より濃縮層中の方が、重量パーセントが高い)を達成する効果、および全体的な水への必要性の低下以上のものを提供し得ることを発見した。この発見によって、増強添加物の全体的使用量の減少、それによる、原材料費の削減、製造効率性の強化、および例えば、充分な強度特性を持ったより軽量な製品を可能にする、製品強度の増強を含むがそれらに限定されない、考慮すべき利点が付与される。
【0023】
一部の実施形態では、濃縮層形成用のスラリーは、例えば、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍など、ボードコア形成用のスラリーと比較して、少なくとも約1.2倍の濃度の増強添加物を包含し、これらの範囲の各々は、例えば、約60、約50、約40、約30、約20、約10、約9、約8、約7、約6.5、約6、約5.5、約5、約4.5、約4、約3.5、約3、約2.5、約2、約1.5など、必要に応じていかなる好適な上限をも有し得る。本明細書で使用する通り、「より高い濃度」は、原料の総計とは対照的に、増強添加物の相対量(漆喰の重量による)を指すことは理解されるであろう。ボードコアは、濃縮層による寄与と比較すると、ボードへのかさ体積および厚さの寄与がより大きいため、ボードコアのスラリー中に、例えば、ポンドまたはキログラムの単位で、より大きな総計でいかなる特定の添加物を提供してもよいが、濃縮層用のスラリーと比較すると、すなわち、例えば重量パーセント(wt%)で、より低い相対量においては、より低い重量濃度で提供することが可能である。
【0024】
驚くほどかつ予想外に、本開示の一部の実施形態は、複合石膏ボードを作製する際に使用する水の全体量を、効果的に減少する。この点において、濃縮層およびボードコアのそれぞれの組成物を合わせることによって、より必要な場合(例えば、濃縮層において)、水はより高い濃度で存在し、必要性が低い場合(例えば、ボードコアにおいて)、水は減少されるため、ボードを作製するのに使用する水の総量を、水の使用量を最適化するように減少し得る。
【0025】
硬化石膏は、水および漆喰を包含する、漆喰スラリー(時に石膏スラリーと呼ばれる)より形成されるため、水対漆喰の割合(「WSR(water‐to‐stucco ratio)」)を観察し得ることは理解されるであろう。一部の実施形態では、ボード体積の大半を形成し得るボードコアは、濃縮層を形成するのに使用されるWSRと比較すると、より低いWSRより形成され得る。したがって、濃縮層による全体のボード体積への寄与が、ボードコアによる全体のボード体積への寄与より少ないため、全体として、複合石膏ボード全体の水使用量およびWSRは、一部の実施形態では有利に下がり得る。
【0026】
ボードコアおよび濃縮層は、いかなる好適なWSRより形成され得る。一部の実施形態では、濃縮層は、ボードコアを形成するのに使用されるスラリーのWSRより高いWSRを有するスラリーより形成される。例えば、一部の実施形態では、濃縮層は、ボードコアを形成するのに使用されるスラリーのWSRより少なくとも約1.2倍高い(例えば、少なくとも約1.5倍高い、少なくとも約1.7倍高い、少なくとも約2倍高い、少なくとも約2.2倍高い、少なくとも約2.5倍高い、少なくとも約2.7倍高い、少なくとも約3倍高い、少なくとも約3.2倍高い、少なくとも約3.5倍高い、少なくとも約3.7倍高い、少なくとも約4倍高いなど。これらの範囲の各々は、例えば、約7、約6.5、約6、約5.5、約5、約4.5、約4、約3.5、約3、約2.5、約2、約1.5など、必要に応じていかなる好適な上限をも有し得る)、WSRを有するスラリーより形成される。
【0027】
一部の実施形態では、ボードコアは、例えば、約0.3から約1.2、約0.3から約1.2、約0.3から約1.2、約0.3から約1.2、約0.3から約1.1、約0.3から約1、約0.3から約0.9、約0.4から約1.3、約0.4から約1.2、約0.4から約1.1、約0.4から約1、約0.4から約0.9、約0.5から約1.3、約0.5から約1.2、約0.5から約1.1、約0.5から約1、約0.5から約0.9、約0.6から約1.3、約0.6から約1.2、約0.6から約1.1、約0.6から約1、約0.6から約0.9、約0.6から約0.8、約0.6から約0.7といった、約0.3から約1.3の水対漆喰の割合を有する、漆喰スラリーより形成される。
【0028】
一部の実施形態では、例えば、約0.3から約0.7、約0.3から約0.6、約0.3から約0.5、約0.3から約0.4、約0.4から約0.8、約0.4から約0.7、約0.4から約0.6、約0.4から約0.5、約0.5から約0.8、約0.5から約0.7、約0.5から約0.6、約0.6から約0.8、約0.6から約0.7など、例えば、約0.3から約0.8というように、より低い水対漆喰の割合が好ましい。
【0029】
一部の実施形態では、濃縮層は、例えば、約0.7から約1.7、約0.7から約1.4、約0.7から約1.2、約0.7から約1、約0.8から約2、約0.8から約1.7、約0.8から約1.4、約0.8から約1.2、約0.8から約1、約1から約2、約1から約1.7、約1から約1.4、約1から約1.2、約1.2から約2、約1.2から約1.7、約1.2から約1.4、約1.4から約2、約1.4から約1.7など、約0.7から約2の水対漆喰の割合を有するスラリーより形成される。濃縮層は、増強添加物の水の必要性を満足させる、より高い含水量を有し得る。一部の実施形態では、増強添加物含有量が濃縮層中でより濃縮されているため、水の必要性がより高まることは、濃縮層ではより稀であり得ることから、ボードコア中のWSRを低下させる効果があり、複合ボードの体積の塊へのボードコアの大きな寄与を特に考慮すると、全体の水使用量を有利に低下させることが可能になる。
【0030】
複合ボードの密度
本開示の実施形態による複合石膏ボードは、石膏ボード、すなわち、乾式壁またはウォールボード(壁だけでなく、天井および当該技術分野において理解されるような他の場所にも使用されるボードを網羅し得る)に対して、様々な所望の密度において有用性を有する。本明細書に述べる通り、ボードの重量は厚さの関数である。ボードはよく、様々な厚さ(例えば、3/8インチ、1/2インチ、3/4インチ、1インチなど)で作製されるため、本明細書ではボードの重量の尺度として、ボードの密度が使用される。本開示の実施形態による複合石膏ボードの利点は、例を挙げると、約18pcf(約290kg/m
3)から約43pcf(約690kg/m
3)、約20pcf(約320kg/m
3)から約43pcf、約20pcfから約40pcf(約640kg/m
3)、約24pcf(約380kg/m
3)から約43pcf、約27pcf(約430kg/m
3)から約43pcf、約20pcfから約38pcf(約610kg/m
3)、約24pcfから約40pcf、約27pcfから約40pcf、約20pcfから約37pcf(約600kg/m
3)、約24pcfから約37pcf、約27pcfから約37pcf、約20pcfから約35pcf(約560kg/m
3)、約24pcfから約35pcf、約27pcfから約35pcfなど、例えば、約43pcf以下といった、より高いボードの密度まで含む、乾燥密度の範囲に見ることができる。
【0031】
本明細書に述べる通り、石膏ウォールボードから固体の塊を除去すると、強度において付随して発生する損失を補うのが、かなり困難になり得る。本開示の一部の実施形態によって、驚くほどかつ予想外に、優れた強度を持つより低重量ボードを使用し、水の必要性を減少し、増強添加物を効率的に使用することが可能になる。例えば、一部の実施形態では、乾燥ボードの密度は、例えば、約16pcfから約27pcf、約16pcfから約24pcf、約18pcfから約33pcf(約530kg/m
3)、約18pcfから約31pcf、約18pcfから約30pcf、約18pcfから約27pcf、約18pcfから約24pcf、約20pcfから約33pcf、約20pcfから約32pcf(約510kg/m
3)、約20pcfから約31pcf(約500kg/m
3)、約20pcfから約30pcf(約480kg/m
3)、約20pcfから約30pcf、約20pcfから約29pcf(約460kg/m
3)、約20pcfから約28pcf(約450kg/m
3)、約21pcf(約340kg/m
3)から約33pcf、約21pcfから約32pcf、約21pcfから約33pcf、約21pcfから約32pcf、約21pcfから約31pcf、約21pcfから約30pcf、約21pcfから約29pcf、約21pcfから約28pcf、約21pcfから約29pcf、約24pcfから約33pcf、約24pcfから約32pcf、約24pcfから約31pcf、約24pcfから約30pcf、約24pcfから約29pcf、約24pcfから約28pcfまたは約24pcfから約27pcfといった、約16pcfから約33pcfであり得る。
【0032】
複合ボードの構造およびアセンブリ
本開示の実施形態を図示するために、複合石膏ボード10の概略断面図を示す、
図1を参照する。表紙12は、上部カバーシートとして機能を果たす。表紙12は、第1面14および第2面16を有する。濃縮層18は、表紙12と結合関係にある。濃縮層18は、第1面20および第2面22を有する。ボードコア24は、第1面26および第2面28を有する。裏紙30は、底部カバーシートとして機能を果たす。裏紙30は、第1面32および第2面34を有する。
【0033】
図1に見られる通り、複合石膏ボード10は、表紙12の面16が濃縮層18の第1面20に面し、濃縮層18の第2面22がコア24の第1面26に面するように配置される。コア24の第2面28は、裏紙30の第1面32に面する。
【0034】
一部の実施形態による複合石膏ボードは、当該技術分野において理解されるであろう通りに構成され、アセンブリに使用され得ることは理解されるであろう。概して、理解されるであろう通り、複合ボードは、木、金属などのいかなる好適な材料より形成されるスタッドに、いかなる好適な配置でも付加され得る。ボードの上部または表カバーシートは外に面し、概して、使用のために装飾される(例えば、ペンキ、生地、壁紙などで)一方、底部または裏カバーシートはスタッドに面する。使用の際には、スタッドの裏に通常、空洞が存在し、裏紙に面する。所望の場合、当該技術分野において知られる通りの絶縁材が、任意で空洞の中に置かれ得る。一実施形態では、アセンブリは二つの複合ボードを備え、複合ボードはそれらの間にある空洞を使用して、スタッドによって接続され、それぞれのボードの底部カバーシートに面する。
【0035】
ボードコア
ボードコアは、複合石膏ボードの体積の大部分を形成する。一部の実施形態では、ボードコアは、例えば、ボード体積の少なくとも約70%、ボード体積の少なくとも約80%、ボード体積の少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約97%など、ボード体積の少なくとも約60%を形成する。濃縮層が実質的な厚さを有する一方で、ボードコアはより一層厚くなり得る。例えば、一部の実施形態では、乾燥ボードコアは、例えば、濃縮層の約2.5倍から約30倍、約2.5倍から約25倍、約2.5倍から約20倍、約2.5倍から約15倍、約2.5倍から約10倍、約2.5倍から約5倍、約2.8倍から約35倍、約2.8倍から約30倍、約2.8倍から約25倍、約2.8倍から約20倍、約2.8倍から約15倍、約2.8倍から約10倍、約2.8倍から約5倍、約5倍から約35倍、約5倍から約30倍、約5倍から約25倍、約5倍から約20倍、約5倍から約15倍または約5倍から約10倍厚いといった、乾燥濃縮層の約2.5倍から約35倍の厚さであり得る。
【0036】
一部の実施形態では、ボードコアは、例えば、濃縮層の約8倍から約12倍、約9倍から約16倍、約9倍から約14倍、約9倍から約12倍、約10倍から約16倍、約10倍から約14倍厚いなど、濃縮層の約8倍から約16倍厚い。
【0037】
ボードコアは少なくとも水および漆喰より形成される。本明細書中で言及する通り、漆喰は、アルファ硫酸カルシウム半水和物、ベータ硫酸カルシウム半水和物および/または無水硫酸カルシウムの形態であり得る。漆喰は繊維質または非繊維質であり得る。漆喰および水に加えて、ボードコアは、低密度充填剤(例えば、パーライト、低密度骨材など)または発泡剤など、より低密度に寄与する、薬剤より形成される。当該技術分野において、様々な発泡剤の処方がよく知られている。発泡剤は、硬化石膏の連続的な結晶性マトリクス内で、気泡の分散を形成するように含まれ得る。一部の実施形態では、発泡剤は、不安定な成分の主要な重量部分および安定した成分の小さい重量部分を備える(例えば、不安定および安定/不安定のブレンドが組み合わされる)。不安定成分対安定成分の重量比率は、硬化石膏コア内に気泡の分散を形成するのに効果的である。例えば、米国特許第5,643,510号、第6,342,284号および第6,632,550号を参照のこと。一部の実施形態では、発泡剤は、アルキル硫酸界面活性剤を備える。
【0038】
ペンシルベニア州アンブラーのGEO Specialty Chemicalsの石鹸製品のHYONICシリーズ(例えば、25AS)など、多くの商業的に知られる発泡剤が利用可能であり、本開示の実施形態により使用され得る。他の市販の石鹸は、イリノイ州ノースフィールドのStepan CompanyのPolystep B25を含む。本明細書に記載する発泡剤は、単独または他の発泡剤との組み合わせで使用し得る。泡は事前に作成し、その後漆喰スラリーに追加され得る。事前作成は、水性発泡剤の中に空気を挿入することによって行い得る。泡を作成する方法および装置はよく知られている。例えば、米国特許第4,518,652号、第2,080,009号および第2,017,022号を参照のこと。
【0039】
一部の実施形態では、発泡剤は、少なくとも一つのアルキル硫酸塩、少なくとも一つのアルキルエーテル硫酸塩もしくはそれらのいかなる組み合わせを備える、それらから成る、または本質的にそれらから成るが、本質的にオレフィン(例えば、オレフィン硫酸塩)および/またはアルキンはない。本質的にオレフィンまたはアルキンがないというのは、発泡剤が、(i)漆喰の重量に基づき0wt%、もしくはオレフィンおよび/もしくはアルキンなし、または(ii)効果のない量のオレフィンおよび/もしくはアルキン、もしくは(iii)重要でない量のオレフィンおよび/もしくはアルキンのいずれかを包含することを意味する。効果のない量の例は、当業者が理解するであろう通り、オレフィンおよび/またはアルキン発泡剤を使用する本来の目的を達成するための閾値を下回る量である。重要でない量は、当業者が理解するであろう通り、漆喰の重量に基づき、例えば、約0.0005wt%未満、約0.001wt%未満、約0.00001wt%など、約0.001wt%未満であってもよい。
【0040】
本開示の実施形態による、不安定な石鹸の一部タイプは、様々な鎖長および様々な陽イオンを持つアルキル硫酸界面活性剤である。好適な鎖長は、例えば、C
8‐C
10またはC
10‐C
12といった、例えば、C
8‐C
12であり得る。好適な陽イオンは、例えば、ナトリウム、アンモニウム、マグネシウムまたはカリウムを含む。不安定な石鹸の例は、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸マグネシウム、デシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸アンモニウム、ドデシル硫酸カリウム、デシル硫酸カリウム、オクチル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸マグネシウム、ドデシル硫酸アンモニウム、それらのブレンドおよびそれらのいかなる組み合わせを含む。
【0041】
本開示の実施形態による、安定した石鹸の一部タイプは、様々な(概して、より長い)鎖長および様々な陽イオンを持つアルコキシル化(例えば、エトキシ化)アルキル硫酸界面活性剤である。好適な鎖長は、例えば、C
12‐C
14またはC
10‐C
12といった、例えば、C
10‐C
14であり得る。好適な陽イオンは、例えば、ナトリウム、アンモニウム、マグネシウムまたはカリウムを含む。安定した石鹸の例は、例えば、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウレス硫酸マグネシウム、ラウレス硫酸アンモニウム、それらのブレンドおよびそれらのいかなる組み合わせを含む。一部の実施形態では、これらの一覧からの安定した石鹸および不安定な石鹸のいかなる組み合わせも使用し得る。
【0042】
発泡剤の組み合わせ、および発泡石膏製品の調製におけるそれらの追加に関する例は、米国特許第5,643,510号に開示され、参照することによって本明細書に組み込まれる。例えば、安定した泡を形成する第1発泡剤、および不安定な泡を形成する第2発泡剤を組み合わせ得る。一部の実施形態では、第1発泡剤は、例えば、8〜12個の炭素原子のアルキル鎖長、および1〜4単位のアルコキシ(例えば、エトキシ)基鎖長を持つ、アルコキシル化アルキル硫酸塩石鹸を持つ石鹸である。第2発泡剤は任意で、例えば、6〜18個または6〜16個の炭素原子といった6〜20個の炭素原子のアルキル鎖長を持つ、非アルコキシル化(例えば、非エトキシ化)アルキル硫酸塩石鹸である。一部の実施形態により、これら二つの石鹸のそれぞれの量を調節することで、安定した石鹸おおよそ100%または不安定な石鹸おおよそ100%に到達するまで、ボードの泡構造を制御することが可能になると考えられる。
【0043】
一部の実施形態では、脂肪アルコールが任意で、例えば、泡を調製する事前の混合において、発泡剤を伴って含まれ得る。これにより、泡の安定性向上をもたらすことができ、それによって、泡(空気)の空隙サイズおよび分散をより良く制御することが可能になる。脂肪アルコールは、いかなる好適な脂肪族脂肪アルコールでもあり得る。本明細書中で定義する通り、「脂肪族」は、アルキル、アルケニルまたはアルキニルを指し、置換または非置換、分岐または非分岐、および飽和または不飽和であり得、一部の実施形態に関連して、例えば、C
X‐C
yでxおよびyが整数である、本明細書で説明する炭素鎖によって表されることは理解されるであろう。したがって、用語脂肪族はまた、基の疎水性を保全する、ヘテロ原子置換による鎖も指す。脂肪アルコールは、単一化合物であり得、または二つ以上の化合物の組み合わせであり得る。
【0044】
一部の実施形態では、任意の脂肪アルコールは、C
6‐C
20脂肪アルコール(例えば、C
6‐C
18、C
6‐C
116、C
6‐C
14、C
6‐C
12、C
6‐C
10、C
6‐C
8、C
8‐C
16、C
8‐C
14、C
8‐C
12、C
8‐C
10、C
10‐C
16、C
10‐C
14、C
10‐C
12、C
12‐C
16、C
12‐C
14またはC
14‐C
16脂肪族脂肪アルコールなど)である。例は、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノールまたはそれらのいかなる組み合わせを含む。C
10‐C
20脂肪アルコールは、直線または分岐C
6‐C
20炭素鎖および少なくとも一つの水酸基を備える。水酸基は、炭素鎖上のいかなる好適な位置に付着し得るが、好ましくは末端炭素に、または末端炭素近辺に付着する。ある実施形態では、水酸基は、炭素鎖のα‐、β‐またはγ‐位置に付着し得、例えば、C
6‐C
20脂肪アルコールは、以下の構造サブユニットを備え得る。
【0046】
したがって、一部の実施形態による所望される任意の脂肪アルコールの例は、1‐ドデカノール、1‐ウンデカノール、1‐デカノール、1‐ノナノール、1‐オクタノールまたはそれらのいかなる組み合わせである。
【0047】
一部の実施形態では、任意の泡安定剤は脂肪アルコールを備え、本質的に脂肪酸アルキロアミドまたはカルボン酸タウリド(tauride)がない。一部の実施形態では、例えば、より大きい界面活性剤含有量を可能にするために、グリコールを含み得るが、一部の実施形態では、任意の泡安定剤は本質的にグリコールがない。前述の原料のいずれもが本質的にないというのは、泡安定剤が、(i)これらの原料のいずれの重量に基づき0wt%、または(ii)効果のない量のいかなるこれらの原料、もしくは(iii)重要でない量のいかなるこれらの原料のいずれかを包含することを意味する。効果のない量の例は、当業者が理解するであろう通り、これらの原料のいずれを使用する本来の目的を達成するための、閾値を下回る量である。重要でない量は、当業者が理解するであろう通り、漆喰の重量に基づき、約0.00005wt%未満、約0.00001wt%未満、約0.000001wt%など、例えば、約0.0001wt%未満であってもよい。
【0048】
好適な空隙の分散および壁の厚さ(単独で)は、特に、より低密度のボード(例えば、約35pcf未満)で、強度を強化するのに効果的であり得ることが分かっている。例えば、米国特許第2007/0048490号および第2008/0090068号を参照のこと。概して直径約5μm以下の空隙を有する蒸発水の空隙はまた、前述の気泡(泡)を伴う全体の空隙分散にも寄与する。一部の実施形態では、約5ミクロンより大きい孔径を持つ空隙対約5ミクロン以下の孔径を持つ空隙の体積比率は、例えば、約0.7:1から約9:1、約0.8:1から約9:1、約1.4:1から約9:1、約1.8:1から約9:1、約2.3:1から約9:1、約0.7:1から約6:1、約1.4:1から約6:1、約1.8:1から約6:1、約0.7:1から約4:1、約1.4:1から約4:1、約1.8:1から約4:1、約0.5:1から約2.3:1、約0.7:1から約2.3:1、約0.8:1から約2.3:1、約1.4:1から約2.3:1、約1.8:1から約2.3:1など、約0.5:1から約9:1である。
【0049】
本明細書で使用する通り、空隙サイズは、コアの中の個々の空隙の最大直径から計算される。最大直径はフェレー径と同一である。画定される各空隙の最大直径は、サンプルの画像からに入手し得る。画像は、二次元画像を提供する、走査電子顕微鏡法(SEM)などのいかなる好適な技術を使用して撮られ得る。大きな孔径の空隙は、空隙の断面(管孔)のランダムネスによって、平均直径を提供できるため、SEM画像で測定され得る。サンプルのコアの至る所に無作為にある、複数の画像における空隙を測定することで、この計算の精度を高め得る。加えて、いくつかの二次元SEM画像に基づいて、コアの三次元立体モデルを構築することでも、空隙サイズの計算精度を向上し得る。別の技術は、三次元画像を提供する、X線コンピューター断層撮影解析(XMT)である。別の技術は、明度のコントラストを使用して、例えば、空隙の深さの判定を支援し得る、光学顕微鏡法である。空隙は、手動で、または例えば、NIHによって開発されたImageJといった画像解析ソフトウェアを使用してのいずれかで測定し得る。当業者は、画像からの空隙サイズおよび分散の手動判定は、各空隙の寸法の視覚による観察によって判定し得ることを理解するであろう。サンプルは、石膏ボードを薄片にすることで入手され得る。
【0050】
発泡剤は、例えば、所望の密度によって、いかなる好適な量でコアのスラリー中に含まれ得る。一部の実施形態では、発泡剤は、すべて漆喰の重量で約0.01%から約0.5%、約0.01%から約0.4%、約0.01%から約0.3%、約0.01%から約0.25%、約0.01%から約0.2%、約0.01%から約0.15%、約0.01%から約0.1%、約0.02%から約0.4%、約0.02%から約0.3%、約0.02%から約0.2%など、例えば、漆喰の重量で約0.5%未満の量で、ボードコア形成用のスラリー中に存在する。濃縮層がより高密度を有するため、濃縮層形成用のスラリーは、例えば、漆喰の重量で約0.0001%から約0.025%、漆喰の重量で約0.0001%から約0.02%、または漆喰の重量で約0.001%から約0.015%といった、例えば、漆喰の重量で約0.0001%から約0.05%の量で、より少ない泡(または泡が全くない)で作製し得る。
【0051】
脂肪アルコールは、含まれる場合には、いかなる好適な量でコアのスラリー中に存在し得る。一部の実施形態では、脂肪アルコールは、例えば、漆喰の重量で約0.0001%から約0.025%、漆喰の重量で約0.0001%から約0.02%、または漆喰の重量で約0.0001%から約0.01%といった、漆喰の重量で約0.0001%から約0.03%の量で、コアのスラリー中に存在する。濃縮層のスラリーがより少ない泡を有し得る、または泡を全く有さないことがあり得るため、脂肪アルコールは濃縮層中に必要とされない、または例えば、漆喰の重量で約0.00001%から約0.003%、漆喰の重量で約0.00001%から約0.0015%、もしくは漆喰の重量で約0.00001%から約0.001%といった、漆喰の重量で約0.0001%から約0.004%など、より少ない量で含まれ得る。
【0052】
本明細書に記載する通り、強度特性を付与する増強剤もまた、任意でボードコア形成用のスラリー中に含まれ得る。当該技術分野で知られる通り、例えば、促進剤、抑制剤等を含む、他の原料もまた、ボードコアのスラリー中に含まれ得る。促進剤は様々な形態であり得る(例えば、湿潤石膏促進剤、耐熱促進剤および気候安定化(climate stabilized)促進剤)。例えば、米国特許第3,573,947号および第6,409,825号を参照のこと。促進剤および/または抑制剤が含まれる、一部の実施形態では、促進剤および/または抑制剤は各々、例えば、漆喰の重量で約0%から約5%(例えば、約0.1%から約5%)など、漆喰の重量で約0%から約10%(例えば、約0.1%から約10%)などにしっかり基づいた量で、ボードコア形成用の漆喰スラリー中にあり得る。
【0053】
加えて、ボードコアおよび/または濃縮層はさらに、一部の実施形態では、流動性を強化するために、少なくとも一つの分散剤より形成され得る。分散剤は、漆喰スラリー中に、他の乾燥原料と共に乾燥形態で、および/または他の液体原料と共に液体形態で含まれてもよい。分散剤の例は、Coatex, Inc.から市販されている、例を挙げると、MELFLUX 2641F、MELFLUX 2651F、MELFLUX 1641F、MELFLUX 2500L分散剤(BASF)およびCOATEX Ethacryl Mといった、例えば、PCE211、PCE111、1641、1641FもしくはPCE 2641−Type Dispersantsといったポリカルボン酸エーテルなどのポリカルボン酸塩分散剤、ならびに/またはリグノスルホン酸塩もしくはスルホン化リグニンだけでなく、ポリナフタレンスルホン酸およびその塩(ポリナフタレンスルホン酸塩)、ならびにナフタレンスルホン酸およびホルムアルデヒドの凝縮製品である派生物などのナフタレンスルホン酸塩を含む。リグノスルホン酸塩は、水溶性陰イオンの高分子電解質ポリマーであり、亜硫酸蒸解を使用する木材パルプの生産からの副産物である。本開示の実施形態の原理を実践するのに有用なリグニンの一連は、Reed Lignin Inc.から市販されているMarasperse C−21である。
【0054】
より低分子量の分散剤が概して好ましい。ナフタレンスルホン酸塩の分散剤は、一部の実施形態では、約3,000から約10,000(例えば、約8,000から約10,000)の分子量を有するように選択される。一部の実施形態では、より水の必要性が高いナフタレンスルホン酸塩は、例えば、10,000を上回る分子量を有して使用され得る。別の図の通り、一部の実施形態では、PCE211タイプの分散剤について、分子量は、60,000を上回る分子量を有する分散剤より、少ない遅延を呈する、約20,000から約60,000であり得る。
【0055】
ナフタレンスルホン酸塩の一例は、GEO Specialty Chemicalsから市販されているDILOFLOである。DILOFLOは45%のナフタレンスルホン酸塩水溶液であるが、例えば、重量固体含有量で約35%から約55%の範囲の他の水溶液もまた、容易に利用可能である。ナフタレンスルホン酸塩は、例えば、GEO Specialty Chemicalsから市販されているLOMAR Dなど、乾燥した個体または粉末の形態で使用され得る。ナフタレンスルホン酸塩の別の例は、ペンシルベニア州アンブラーのGEO Specialty Chemicalsから市販されているDAXADである。
【0056】
含まれる場合、分散剤はいかなる好適な量でも提供され得る。一部の実施形態では、例えば、分散剤は、例を挙げると、漆喰の重量で約0.1%から約0.2%といった、例えば、約0.05%から約0.5%の量で、濃縮層のスラリー中に存在し得、例を挙げると、漆喰の重量で0%から約0.4%といった、例えば、約0%から約0.7%の量で、ボードコアのスラリー中に存在し得る。
【0057】
一部の実施形態では、ボードコアおよび/または濃縮層はさらに、所望の場合には、生強度、寸法安定性および/またはたわみ抵抗を強化するように、少なくとも一つのリン酸塩包含化合物より形成され得る。例えば、一部の実施形態において有用なリン酸塩包含成分は、水溶性成分を含み、一つのイオン、一つの塩、および一つの酸、すなわち各々が二つ以上のリン酸単位を備える、濃縮リン酸の形態、各々が二つ以上のリン酸塩単位を備える、濃縮リン酸塩の複数の塩もしくはイオンの形態、ならびに水溶性非環式ポリリン酸塩だけでなくオルトリン酸塩の複数の一塩基酸塩または複数の一価イオンの形態であり得る。例えば、米国特許第6,342,284号、第6,632,550号、第6,815,049号および第6,822,033号を参照のこと。
【0058】
一部の実施形態で追加される場合、リン酸塩組成物は、生強度、永久歪み(例えば、たわみ)に対する抵抗、寸法安定性などを強化し得る。生強度は、製造中にまだ湿っている間のボードの強度を指す。製造プロセスの厳格性のため、充分な生強度がない場合には、ボード前駆体は製造ライン上で損傷し得る。
【0059】
例えば、トリメタリン酸ナトリウム、トリメタリン酸カリウム、トリメタリン酸リチウムおよびトリメタリン酸アンモニウムを含む、トリメタリン酸化合物が使用され得る。トリメタリン酸ナトリウム(STMP)が好ましいが、例えば、テトラメタリン酸ナトリウム、約6〜約27個の反復リン酸塩単位を有し、n=6〜27である分子式Na
n+2P
nO
3n+1を有するヘキサメタリン酸ナトリウム、分子式K
4P
2O
7を有するピロリン酸四カリウム、分子式Na
3K
2P
3O
10を有するトリポリリン酸三ナトリウム二カリウム、分子式Na
5P
3O
10を有するトリポリリン酸ナトリウム、分子式Na
4P
2O
7を有するピロリン酸四ナトリウム、分子式Al(PO
3)
3を有するトリメタリン酸アルミニウム、分子式Na
2H
2P
2O
7を有する酸性ピロリン酸ナトリウム、1,000〜3,000個の反復リン酸塩単位を有し、n=1,000〜3,000である分子式(NH
4)
n+2P
nO
3n+1を有するポリリン酸アンモニウム、または二つ以上の反復リン酸単位を有し、nが2以上である分子式H
n+2P
nO3
n+1を有するポリリン酸を含む、他のリン酸塩が好適であってもよい。
【0060】
含まれる場合、ポリリン酸塩はいかなる好適な量でも存在し得る。説明すると、一部の実施形態では、ポリリン酸塩は、例えば、漆喰の重量で約0.2%から約0.4%といった、例えば、約0.1%から約1%の量で濃縮層のスラリー中に存在し得、例えば、漆喰の重量で約0%から約0.2%といった、例えば、約0%から約0.5%の量でボードコアのスラリー中に存在し得る。したがって、分散剤およびポリリン酸塩は任意で、一部の実施形態において、コアのスラリーが、濃縮層のスラリーより高い重量パーセントの分散剤および/またはポリリン酸塩を包含するような、コアのスラリー中および/または濃縮層のスラリー中にいかなる好適な量であり得る。代替実施形態では、分散剤および/またはポリリン酸塩が、コアのスラリー(分散剤および/またはポリリン酸塩ゼロのコアのスラリーを含む)中より高い重量パーセントで濃縮層のスラリー中に含まれ得る(増強添加物が、濃縮層中により濃縮されている場合でも、または濃縮されていない場合でも)。
【0061】
ボードコアは、例えば、コア密度が約18pcfから約40pcf、18pcfから約38pcf、18pcfから約36pcf、18pcfから約32pcf、20pcfから約40pcf、20pcfから約36pcf、20pcfから約32pcf、22pcfから約40pcf、22pcfから約36pcf、22pcfから約32pcf、26pcfから約40pcf、26pcfから約36pcfまたは26pcfから約32pcfといった、例えば、約16pcf(約260kg/m
3)から約40pcfなど、所望される複合ボード全体の密度に寄与するのに有用な、いかなる好適な密度を有し得る。一部の実施形態では、ボードコアは、例えば、約30pcf以下、約29pcf(約460kg/m
3)以下、約28pcf以下、約27pcf(約430kg/m
3)以下、約26pcf以下など、より一層低い密度を有する。例えば、一部の実施形態では、コア密度は、約12pcf(約190kg/m
3)から約30pcf、約14pcf(約220kg/m
3)から約30pcf、16pcfから約30pcf、16pcfから約28pcf、16pcfから約26pcf、16pcfから約22pcf(約350kg/m
3)、18pcfから約30pcf、18pcfから約28pcf、18pcfから約26pcf、18pcfから約24pcf、20pcfから約30pcf、20pcfから約28pcf、20pcfから約26pcf、20pcfから約24pcf、22pcfから約28pcfなどである。
【0062】
濃縮層
もしあれば、ボードコアのスラリー中の同一の増強添加物の重量による量より濃縮されている量で、濃縮層のスラリー中に増強添加物が存在するため、濃縮層は一部の実施形態で「濃縮」される。一部の実施形態では、濃縮層は、ボードコアの密度より少なくとも約1.1倍高い密度を有し、および/または少なくとも約0.02インチ(約0.05cm)など、実質的な厚さを有する。
【0063】
濃縮層は、水と、最終製品の中に、例えば、硬化石膏の連続的な結晶性マトリクスといった水和硬化材料を形成するように水和する、漆喰などのセメント系材料とを備える、スラリーより形成される。好ましい実施形態では、セメント系材料は漆喰であり、濃縮層形成用のスラリーは漆喰スラリーである。述べる通り、濃縮層形成用のスラリーはさらに、ボードコア形成用のスラリー中における増強添加物の濃度より高い相対重量濃度の増強添加物を備える。濃縮層形成用のスラリーは任意で、濃縮層に所望の密度を生成するために、発泡剤、または本明細書に記載するような、他の軽量な薬剤を含み得る。含まれる場合、一部の実施形態では、発泡剤または他の軽量な薬剤が、濃縮層形成用のスラリー中により少ない量で存在し、または発泡剤が、ボードコアの密度より高い所望の密度を達成するために、当該技術分野において知られる通り、泡の空隙の全体数を少なくとも減少させる程度まで「たたき出」され得る。したがって、発泡剤または他の軽量な薬剤の効果的な量(または発泡剤もしくは他の軽量な薬剤が全くない)の中で、所望の密度にまで濃縮層を形成するのは、本明細書に記載する通り、当業者によって達成され得る。促進剤および抑制剤などの他の原料は、任意で、本明細書に記載するように所望の通り、濃縮層中に含まれ得る。
【0064】
繊維がさらに、石膏ボードを調製するプロセスを改善するように、任意の添加物として濃縮層中に含まれ得る。この点において、本明細書に説明する通り、濃縮層のスラリーは、例えば、高速で、ローラーまたは他の拡散手段を使用して、紙に塗布することができ、ローラーの下流の紙に均等に塗布される前に、ローラーの上流に蓄積するスラリーの頭部を形成する(そして、それによって、ボードの端部が、濃縮層のスラリーからローラーの境界辺りに通常形成される)。濃縮層が塗布される環境は、三次元振動による一時的なもので、スラリーの扇形形成につながり、それによって、比較的大きな空気連行が発生する可能性があり、対処しない場合には、ボード内の欠陥につながり得る、でこぼこで均一ではないスラリーをもたらし得る。そのような欠陥は、紙、柔らかいおよび/または硬い端部などの層間剥離だけでなく、空隙またはブリスターと呼ばれる大きなエアポケットの形成を含み得る。
【0065】
当該技術分野で知られる通り、エアポケットを壊す機械の破片の使用を含む、プロセス中の不規則な環境によって誘導される流れにおいて、水/漆喰の比率、スラリーの粘度などを含む処方の調整はもちろん、スラリースプレッダー、様々なミキサーの排出処理だけでなく、ライン上のバイブレーターなど、扇形形成に対処するのに、様々な機械的処理および他の処理が利用可能である。しかしながら、発明者は、例えば、濃縮層が塗布される頭部(例えば、好ましい実施形態ではローラーの上流)に、扇型形成も大きなエアポケットもより少ない状態の、より滑らかなスラリーを形成する方法として、濃縮層のスラリーに遷移を追加する、別の任意の技術を発見した。いかなる特定の理論にも縛られることは望まないものの、繊維がより滑らかな流れを保証するために、スラリーのレオロジーを有利に向上させると考えられる。また繊維は、スラリーの粘度、レオロジーおよび粒子間力のバランスが向上し、スラリーが塗布ローラー上により均一に分配され、望ましくない連行空気がスラリーからより簡単に放出されるように、スラリーの流体力学特性を向上させると考えられる。
【0066】
繊維は、いかなる好適な繊維の形態であり得る。一部の実施形態では、繊維は、ガラス繊維、鉱物繊維、炭素繊維、紙繊維およびそのような繊維の混合物のうちの一つ以上、ならびにプロセスおよび/または最終製品に同等の利点を提供する他の同等の繊維の形態であり得る。一部の実施形態では、ガラス繊維は、濃縮層のスラリー、およびその結果もたらされる結晶性のコア構造に取り入れられる。水を吸収しないため、ガラス繊維が好ましい。
【0067】
ガラス繊維など、一部の繊維の場合には、一部の実施形態で、繊維をサイジング剤添加物で任意で処理して、その特性および取り扱いを向上させるのに有用であり得る。例えば、サイジング剤は、例えば、表面のコーティングおよび特性を変更するために、個々の繊維のサイズ決定を可能にし、通常、有機官能性シラン、形成剤、界面活性剤、消泡剤、潤滑剤および/または安定剤のうちの一つ以上の形態であり得る。当業者が理解するであろう通り、各原料の正確な選択は、繊維特性および望ましい適用によって異なり得る。例えばシランは、例を挙げると、例えば、アミノプロピルトリエトキシシランもしくはアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノベース、例えば、ビニルトリメトキシシランもしくはビニルトリアセトキシシランなどのビニルベース、メチルトリメトキシシランもしくはメチルトリエトキシシランなどのアルキルベース、またはそれらのいかなる組み合わせであり得る。
【0068】
形成剤はしばしばポリマーであり、所望の湿潤特性および繊維対繊維の損傷からの保護を提供するように、疎水性であり得る。形成剤は、例えば、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアルケンおよびエポキシの形態であり得る。カチオン潤滑剤を任意で追加することができ、ステアリン酸エタノールアミドなどの脂肪族エタノールアミド、もしくはポリエチレンイミンポリアミド、アルキルアミドアルキルスルタインもしくはポリエチレンオキシド、またはそれらのいかなる組み合わせの形態であり得る。界面活性剤は、例えば、形成剤が疎水性のときに、形成剤を乳化するために任意で含まれ得る。一部の実施形態では、界面活性剤は、もし含まれる場合には、非イオン性またはわずかに陽イオンであり、アミドの形態、または例えば、ポリオキシエチレングリコールアルキルエステル、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのコポリマー、コカミドモノエタノールアミンもしくはそれらのいかなる組み合わせといった、他の好適な形態であり得る。消泡剤は、ガラス繊維による泡の形成を制御するため、利点を提供することができ、いかなる好適な消泡剤を使用し得る。例えば、好適な消泡剤は、鉱油、ワックス、エチレンビスステアロアミド、シリコーン油、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのコポリマーベースの消泡剤、またはそれらのいかなる組み合わせなど、これらに限定されないものの、シロキサンベース、油ベースまたはポリマーベースであり得る。安定剤は、サイズ決定の処方を安定化させる利点を提供し、いかなる好適な安定剤を使用し得る。一部の実施形態では、潤滑剤などの添加物は、スラリーの流れをさらに向上させると考えられる、正の表面電荷を提供する。
【0069】
含まれる場合、サイジング剤は濃縮層形成用のスラリー中に、いかなる好適な量でも提供され得る。例えば、サイジング剤は、繊維の約0.05wt%から約1wt%または約0.1wt%から約1.5wt%など、繊維の約0.02wt%から約2wt%の量で提供され得る。ボードコアのスラリーまたは濃縮層のスラリーのいずれかに関連して、本明細書に提供する原料の重量パーセントについて、一部の実施形態では、ボード製品の中の濃縮層および/またはボードコアは、列挙した範囲内の量で列挙した原料を包含し得る。
【0070】
繊維(例えば、ガラス繊維)は、いかなる好適な長さを有し得る。例えば、一部の実施形態では、繊維は、例えば、約0.125インチ(約0.32cm)から約0.75インチ(約1.9cm)、約0.125インチから約0.5インチ(約1.3cm)、約0.125インチから約0.375インチ(約1cm)、約0.125インチから約0.25インチ(約0.6cm)、約0.25インチから約1インチ(約2.54cm)、約0.25インチから約0.75インチ、約0.25インチから約0.5インチ、約0.25インチから約0.375インチ、約0.375インチから約1インチ、約0.375インチから約0.75インチ、約0.375インチから約0.5インチ、約0.5インチから約1インチ、約0.5インチから約0.75インチ、約0.75インチから約1インチなど、約0.125インチから約1インチの平均長を有し得る。
【0071】
繊維(例えば、ガラス繊維)は、いかなる好適な平均直径を有し得る。例えば、一部の実施形態では、繊維は、約5ミクロンから約20ミクロン、約10ミクロンから約15ミクロン、約10ミクロンから約20ミクロン、約8ミクロンから約18ミクロン、約5ミクロンから約25ミクロン、約9ミクロンから約20ミクロン、約10ミクロンから約18ミクロン、約7ミクロンから約18ミクロン、約10ミクロンから約25ミクロンの平均直径、約11から約17ミクロンの直径または約15ミクロンから約17ミクロンの直径を有し得る。
【0072】
一部の実施形態では、そのようなガラス繊維は、約0.5から約0.675インチ(約1.7cm)の平均長および約13から約16ミクロンの直径、約0.5から約0.75インチの平均長および約11から約17ミクロンの直径、または0.5インチの平均繊維長および約15.24ミクロンから約16.51ミクロンの平均直径を有し得る。
【0073】
繊維のアスペクト比は、直径で割った長さを指し、実際はスラリーの流動特性に影響を与えると考えられる。単位を一貫させるために、インチを単位とする長さは、ミクロンに変換することが可能で、値は無名数である。一部の実施形態では、好ましいアスペクト比は、例えば、約800から約1500、約250から約1000、約500から約1500といった、約400から約1300、または約700から約1600、約800から約1400など、約200から約2000である。
【0074】
含まれる場合、ガラス繊維などの繊維は、例えば、漆喰の重量で約0.13%から約2.5%または約0.5%から約1%といった、約0.1%から約3%などのいかなる好適な量で、濃縮層形成用のスラリー中に存在し、例えば、漆喰の重量で0%から約0.5%といった、約0%から約1%などのいかなる好適な量で、ボードコア中に存在する。所望の場合、繊維(およびサイジング剤などの、前述の関連添加物)はまた、これらの列挙した重量パーセントなどのいかなる好適な量で、コア中に含まれ得る。
【0075】
濃縮層は望ましくは、実質的な厚さを有する。一部の実施形態では、乾燥濃縮層は、約0.02インチから約0.2インチ(約0.5cm)など、少なくとも約0.02インチ(約0.05cm)の実質的な厚さを有する。例えば、様々な実施形態では、濃縮層は、少なくとも約0.025インチ(約0.06cm)、少なくとも約0.03インチ(約0.075cm)、少なくとも約0.035インチ(約0.09cm)、少なくとも約0.04インチ(約0.1cm)、少なくとも約0.045インチ(約0.11cm)、少なくとも約0.05インチ(約0.13cm)、少なくとも約0.055インチ(約0.14cm)、少なくとも約0.06インチ(約0.15cm)、少なくとも約0.065インチ(約0.17cm)、少なくとも約0.07インチ(約0.18cm)、少なくとも約0.075インチ(約0.19cm)、少なくとも約0.08インチ(約0.2cm)、少なくとも約0.085インチ(約0.22cm)、少なくとも約0.09インチ(約0.23cm)、少なくとも約0.095インチ(約0.24cm)、少なくとも約0.1インチ(約0.254cm)、少なくとも約0.11インチ(約0.28cm)、少なくとも約0.12インチ(約0.3cm)、少なくとも約0.13インチ(約0.33cm)、少なくとも約0.14インチ(約0.36cm)、少なくとも約0.15インチ(約0.38cm)または少なくとも約0.16インチ(約0.41cm)の最小の厚さを持つ実質的な厚さを有し、これらの範囲の各々は、例えば、約0.2インチ、約0.185インチ(約0.47cm)、約0.175インチ(約0.45cm)、約0.16インチ、約0.15インチ(約0.38cm)、約0.145インチ(約0.37cm)、約0.13インチ、約0.12インチ(約0.3cm)、0.1インチ、約0.09インチ(0.23cm)、約0.08インチ、約0.07インチ、約0.06インチ、約0.055インチ、約0.05インチ、約0.045インチ、約0.04インチ、約0.035インチなど)、数学的な必要に応じて、好適な上限を有する。
【0076】
説明するために、限定するものではないが、乾燥濃縮層は、例えば、約0.02インチから約0.15インチ、約0.02インチから約0.12インチ、約0.02インチから約0.1インチ、約0.02インチから約0.08インチ、約0.02インチから約0.055インチ、約0.02インチから約0.05インチ、約0.02インチから約0.04インチ、約0.02インチから約0.03インチ、約0.03インチから約0.2インチ、約0.03インチから約0.175インチ、約0.03インチから約0.15インチ、約0.03インチから約0.12インチ、約0.03インチから約0.1インチ、約0.03インチから約0.08インチ、約0.03インチから約0.055インチ、約0.03インチから約0.05インチ、約0.04インチから約0.2インチ、約0.04インチから約0.175インチ、約0.04インチから約0.15インチ、約0.04インチから約0.12インチ、約0.04インチから約0.1インチ、約0.04インチから約0.08インチ、約0.04インチから約0.055インチ、約0.04インチから約0.05インチ、約0.05インチから約0.2インチ、約0.05インチから約0.175インチ、約0.05インチから約0.15インチ、約0.05インチから約0.12インチ、約0.05インチから約0.1インチ、約0.05インチから約0.8インチ、約0.06インチから約0.2インチ、約0.06インチから約0.175インチ、約0.06インチから約0.15インチ、約0.06インチから約0.12インチ、約0.06インチから約0.1インチ、約0.06インチから約0.8インチなど、約0.02インチから約0.175インチの厚さを有し得る。
【0077】
濃縮層は好ましくは、ボードコアの密度より高い、乾燥密度および/または乾燥強度を有する。例えば、一部の実施形態では、濃縮層は、ボードコアの密度より、例えば、少なくとも約1.2倍大きい、少なくとも約1.3倍大きい、少なくとも約1.4倍大きい、少なくとも約1.5倍大きい、少なくとも約1.6倍大きい、少なくとも約1.7倍大きい、少なくとも約1.8倍大きい、少なくとも約1.9倍大きい、少なくとも約2倍大きいなど、少なくとも約1.1倍大きい密度を有し、これらの範囲の各々は、例えば、約3倍大きい、約2.9倍大きい、約2.8倍大きい、約2.7倍大きい、約2.6倍大きい、約2.5倍大きい、約2.4倍大きい、約2.3倍大きい、約2.2倍大きい、約2.1倍大きい、約2倍大きい、約1.9倍大きい、約1.8倍大きい、約1.7倍大きい、約1.6倍大きい、約1.5倍大きい、約1.4倍大きい、約1.3倍大きいおよび約1.2倍大きいなど、数学的な必要に応じて、好適な上限を有する。
【0078】
したがって、例えば、濃縮層は、ボードコアの密度の、例えば、約1.1から約3倍、約1.1から約2.7倍、約1.1から約2.5倍、約1.1から約2.2倍、約1.1から約2倍、約1.1から約1.7倍、約1.1から約1.5倍、約1.1から約1.4倍、約1.1から約1.3倍、約1.2から約3倍、約1.2から約2.5倍、約1.2から約2.2倍、約1.2から約2倍、約1.2から約1.7倍、約1.2から約1.5倍、約1.2から約1.4倍、約1.2から約1.3倍、約1.3から約3倍、約1.3から約2.5倍、約1.3から約2倍、約1.3から約1.7倍、約1.3から約1.5倍、約1.3から約1.4倍、約1.4から約3倍、約1.4から約2.5倍、約1.4から約2.5倍、約1.4から約2倍、約1.4から約1.7倍、約1.4から約1.6倍、約1.4から約1.5倍、約1.5から約3倍、約1.5から約2.5倍、約1.5から約2倍、約1.5から約1.8倍、約1.5から約1.7倍、約1.5から約1.6倍、約1.6から約3倍、約1.6から約2.5倍、約1.6から約2倍、約1.1から約1.8倍、約1.7から約3倍、約1.7から約2.5倍、約1.7から約2.2倍、約1.7から約2倍、約1.7から約1.9倍、約1.8から約3倍、約1.8から約2.7倍、約1.8から約2.5倍、約1.8から約2.2倍、約1.8から約2倍、約1.9から約3倍、約1.9から約2.7倍、約1.9から約2.5倍、約1.9から約2.2倍、約2から約3倍など、約1.1から約3倍である乾燥密度を有し得る。
【0079】
複合石膏ボードは、濃縮層とボードコアとのいかなる好適な乾燥密度差をも示すように設計され得る。一部の実施形態では、濃縮層とボードコアとの密度差は、少なくとも約8pcf(約130kg/m
3)であり得る。例えば、一部の実施形態では、濃縮層と結合層との乾燥密度差は、少なくとも約10pcf、少なくとも約12pcf、少なくとも約14pcf、少なくとも約16pcf、少なくとも約18pcf、少なくとも約20pcfなどであり得る。一部の実施形態では、濃縮層とボードコアとの密度差は、約8pcfから約45pcf(約720kg/m
3)、約8pcfから約40pcf、約8pcfから約35pcf、8pcfから約30pcf、約8pcfから約25pcf(約400kg/m
3)、約8pcfから約20pcf、約8pcfから約15pcf(約240kg/m
3)、約8pcfから約12pcf、約10pcf(約160kg/m
3)から約50pcf、約10pcfから約45pcf、約10pcfから約40pcf、約10pcfから約35pcf、約10pcfから約30pcf、約10pcfから約25pcf、約10pcfから約20pcf、約10pcfから約15pcf、約15pcfから約50pcf(約800kg/m
3)、約15pcfから約45pcf、約15pcfから約40pcf、約15pcfから約35pcf、約15pcfから約30pcf、約15pcfから約25pcf、約15pcfから約20pcf、約20pcfから約50pcf、約20pcfから約45pcf、約20pcfから約40pcf、約20pcfから約35pcf、約20pcfから約30pcf、約20pcfから約25pcf、約25pcfから約35pcf、約25pcfから約30pcfなど、約8pcfから約50pcfである。
【0080】
濃縮層は、本明細書に記載する実施形態の所望のパラメータ内に収まる、いかなる好適な乾燥密度をも有し得る。一部の実施形態では、濃縮層は、約28pcfから約65pcf(約1040kg/m
3)、約28pcfから約60pcf(約960kg/m
3)、約28pcfから約55pcf(約880kg/m
3)、約28pcfから約50pcf、約28pcfから約45pcf、約28pcfから約40pcf、約28pcfから約35pcf、約34pcfから約70pcf(約1120kg/m
3)、約34pcfから約65pcf、約34pcfから約60pcf、約34pcfから約55pcf、約34pcfから約50pcf、約34pcfから約45pcf、約34pcfから約40pcf、約38pcfから約70pcf、約38pcfから約65pcf、約38pcfから約60pcf、約38pcfから約55pcf、約38pcfから約50pcf、約38pcfから約45pcf、約40pcfから約70pcf、約40pcfから約65pcf、約40pcfから約60pcf、約40pcfから約55pcf、約40pcfから約50pcf、約40pcfから約45pcf、約36pcfから約38pcfなど、約28pcfから約70pcfの乾燥密度を有する。
【0081】
濃縮層は概して、ボードコアの乾燥剛性値より大きい、乾燥剛性値を有する。述べる通り、ヤング弾性率が、本明細書で乾燥剛性の測定値として使用され得る。一部の実施形態では、乾燥濃縮層は、例えば、約2倍から約10倍、約2倍から約8倍、約2倍から約6倍、約2倍から約4倍、約3倍から約10倍、約3倍から約8倍、約3倍から約6倍、約3倍から約5倍、約4倍から約10倍、約4倍から約8倍、約4倍から約6倍、約5倍から約10倍、約5倍から約8倍、約6倍から約10倍、約6倍から約8倍など、例を挙げると、ボードコアのヤング率の2倍といった、ボードコアのヤング率の少なくとも約1.5倍であるヤング率を有する。一部の実施形態では、各剛性値がヤング率によって測定されるとき、濃縮層は、ボードコアの剛性より、上部および/または底部カバーシートの剛性値により近い剛性値を有する。一部の実施形態では、濃縮層は、カバーシートのうちの少なくとも一方のヤング率が約0.1から約0.5である、ヤング率による剛性値を有する。
【0082】
カバーシート
カバーシートはいかなる好適な形態であり得る。カバーシートに関して、用語「正面」シートおよび「上部」シートは、本明細書では互換的に使用され、用語「裏」および「底部」も同様に、本明細書では互換的に使用されることは理解されるであろう。例えば、カバーシートは、セルロース系繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、ミネラルウールまたは前述の材料の組み合わせを備えてもよい。シートの一方または両方は、個々のシートまたは複数のシートを備えてもよい。好ましい実施形態では、カバーシートはセルロース系繊維を備える。例えば、マニラ紙またはクラフト紙などの紙シートが、裏シートとして使用され得る。有用なカバーシート紙は、イリノイ州シカゴのUnited States Gypsum Corporationから市販されているManila7層およびNews−Line3層または7層、インディアナ州ニューポートのInternational Paperから市販されているGrey−Back3層およびManila Ivory3層、ならびにイリノイ州シカゴのUnited States Gypsum Corporationから市販されているマニラ厚紙およびMH Manila HT(高張力)紙を含む。例示的なカバーシート紙は5層のNewsLineである。一部の実施形態では、裏シートは任意で、その中に例えば、ピンホールといった穴を画定し得る。そのような穴は、キルンの中での乾燥を援助して、加熱プロセス中に形成されるいずれの蒸気にも排出口を提供する。
【0083】
加えて、紙(例えば、セルロース系)は、いかなる他の材料または材料の組み合わせを備え得る。例えば、一方または両方のシート、特に、正面(上部)シートは、紙の強度を強化するために、ポリビニルアルコール、ホウ酸、または本明細書に記載する通りのポリリン酸塩(例えば、トリメタリン酸ナトリウム)を含み得る。一部の実施形態では、紙は、ポリビニルアルコール、ホウ酸および/またはポリリン酸塩のうちの一つ以上の溶液と接触し得るため、紙は少なくとも一部濡れる。紙は、一部の実施形態では、少なくとも一部飽和し得る。ポリビニルアルコール、ホウ酸および/またはホウ酸は、一部の実施形態では、紙の中の繊維に侵入し得る。当該技術分野において理解されるであろう通り、ポリビニルアルコール、ホウ酸および/またはポリリン酸塩の溶液は、いかなる好適な量でもあり得、いかなる好適な方式で塗布され得る。例えば、溶液は、ポリビニルアルコール、ホウ酸および/またはポリリン酸塩に存在する各原料が、水中で合わせて約1%から約5%の個体重量である形態であり得、それらは、一つの溶液中、または所望される場合には、複数の溶液中に追加され得る。
【0084】
一部の実施形態では、一方または両方のシートは、ガラス繊維、セラミック繊維、ミネラルウールまたは前述の材料の組み合わせを備え得る。本開示による一方または両方のシートは、概して親水性であり得、シートが少なくとも一部、水分子をシートの表面上に吸収、および/または水分子をシートの中に吸収できることを意味する。
【0085】
他の実施形態では、カバーシートにガラス繊維、セラミック繊維、ミネラルウールまたはそれらの混合物が「実質的にない」ことがあり得、それは、カバーシートが、(i)シートの重量に基づき0wt%、もしくはそのようなガラス繊維、セラミック繊維、ミネラルウールもしくはそれらの混合物が全くない、または(ii)ガラス繊維、セラミック繊維、ミネラルウールもしくはそれらの混合物の効果のない量、もしくは(iii)重要でない量のいずれかを包含することを意味する。効果のない量の例は、当業者が理解するであろう通り、ガラス繊維、セラミック繊維、ミネラルウールもしくはそれらの混合物を使用する本来の目的を達成するための、閾値を下回る量である。重要でない量は、当業者が理解するであろう通り、重量の漆喰に基づき、約2wt%未満、約1wt%未満、約0.5wt%未満、約0.2wt%未満、約0.1wt%または約0.01wt%未満など、例えば、約5wt%未満であってもよい。しかしながら、代替の実施形態で所望される場合、そのような原料は、カバーシートに含まれ得る。
【0086】
一部の実施形態では、上部および/または底部シートの熱伝導性は約0.1w/(m.k.)より小さい。例えば、上部および/または底部シートの熱伝導性は約0.05w/(m.k.)より小さい。
【0087】
所望の場合、一部の実施形態では、一方または両方のカバーシートは任意で、そのような特性が求められる、より大きな耐火性を適切に付与する、無機化合物または無機化合物の混合物のいかなる好適な量を含み得る。好適な無機化合物の例は、三水和アルミニウムおよび水酸化マグネシウムを含む。例えば、カバーシートは、結晶化後に高い含水量を持ついかなる無機化合物もしくは無機化合物の混合物、または加熱すると水を放出するいかなる化合物をも備え得る。一部の実施形態では、シート中の無機化合物または無機化合物の混合物全体の量は、シートの重量で約0.1%から約30%の範囲である。シート中に使用される無機化合物または複数の無機化合物は、いかなる好適な粒度またはいかなる好適な粒度分布から成り得る。
【0088】
アルミナ三水和物およびアルミナ水和物としても知られる三水和アルミナ(ATH)が、結晶後の含水量または化合物の含水量によって耐火性を増加し得る。一部の実施形態では、ATHは、シートの総重量で約5%から約30%の量で追加され得る。ATHは通常、室温で非常に安定する。約180℃および205℃の間の温度より上になると、ATHは通常、吸熱分解を経て水蒸気を放出する。そのようなATH添加物を分解する熱は、約1000ジュール/グラムより大きく、一実施形態では、約1170ジュール/グラムである。理論に縛られずに、以下の式に従い、ATH添加物は205℃より高温で加熱すると、結晶化した水のおよそ35%を水蒸気として放出するように分解すると考えられる。Al(OH)
3→Al
2O
3+3H
2O
【0089】
ATHなど、高い含水量の無機粒子を備えるカバーシートは、複合ボードの耐火性を増加させ得る。一部の実施形態では、無機化合物または化合物の混合物がシートに取り入れられる。ATHを備える紙などのカバーシートは、第一に約1%のコンシステンシーで水にセルロース系繊維を希釈し、その後、所定の割合でATH粒子と混合することによって調製され得る。混合物は、排水するために底部に金網を有し得る型の中に注がれ得る。排水の後、繊維およびATH粒子が網状に保持される。濡れたシートは吸い取り紙に移され、約200〜360°Fで乾燥され得る。
【0090】
一部の実施形態では、カバーシート中または漆喰スラリー中への含有について記載した通り、例えば、約20μm未満のATH粒子が好ましいが、ATHのいかなる好適な資源または等級も使用され得る。例えば、ATHは、ブランド名SB 432(10μm)またはHydral(商標)710(1μm)でHuberなどの商業供給元から入手し得る。
【0091】
一部の実施形態では、カバーシートは水酸化マグネシウムを備えてもよい。これらの実施形態では、水酸化マグネシウム添加物は、好ましくは、180℃から205℃以上で、約1350ジュール/グラムなど、約1000ジュール/グラムより大きい分解熱を有する。そのような実施形態では、オハイオ州アクロンのAkrochem Corp.を含む供給元から市販されているものなど、いかなる好適な水酸化マグネシウムも使用し得る。
【0092】
他の実施形態では、カバーシートにATH、水酸化マグネシウムまたはそれらの混合物など、無機化合物が「実質的にない」ことがあり得、それは、カバーシートが、(i)シートの重量に基づき0wt%、もしくはATH、水酸化マグネシウムもしくはそれらの混合物など、そのような無機化合物が全くない、または(ii)ATH、水酸化マグネシウムもしくはそれらの混合物など、そのような無機化合物の効果のない量、もしくは(iii)重要でない量のいずれかを包含することを意味する。効果のない量の例は、当業者が理解するであろう通り、ATH、水酸化マグネシウムまたはそれらの混合物など、無機化合物を使用する本来の目的を達成するための、閾値を下回る量である。重要でない量は、例えば、約2wt%未満、約1wt%未満、約0.5wt%未満、約0.1wt%未満、約0.05wt%未満、約0.01wt%未満など、例えば、約5wt%未満であってもよい。
【0093】
カバーシートはまた、いかなる好適な全体の厚さを有し得る。一部の実施形態では、カバーシートのうちの少なくとも一方が、例えば、少なくとも約0.014インチの厚さといった、比較的大きい厚さを有する。一部の実施形態では、例えば、少なくとも約0.015インチ、少なくとも約0.016インチ、少なくとも約0.017インチ、少なくとも約0.018インチ、少なくとも約0.019インチ、少なくとも約0.020インチ、少なくとも約0.021インチ、少なくとも約0.022インチまたは少なくとも約0.023インチといった、より一層大きな厚さがあることが望ましい。これらの範囲のいずれの好適な上限は、例えば、約0.030インチ、約0.027インチ、約0.025インチ、約0.024インチ、約0.023インチ、約0.022インチ、約0.021インチ、約0.020インチ、約0.019インチ、約0.018インチなどの範囲の上端が採用され得る。シート全体の厚さは、石膏ボードに付着する、各シートの厚さの合計を指す。
【0094】
カバーシートはいかなる好適な密度を有し得る。一部の実施形態では、カバーシートのうちの少なくとも一方、例えば、上部(正面)カバーシートが、濃縮層の密度以上である密度を有する。例えば、一部の実施形態では、カバーシートの少なくとも一方または両方が、例を挙げると、約36pcfから約44pcf、約36pcfから約42pcf、約36pcfから約40pcf、約38pcfから約46pcf、約38pcfから約44pcf、約38pcfから約42pcfなど、例えば、約36pcfから約46pcfといった、少なくとも約36pcfの密度を有する。
【0095】
カバーシートはいかなる好適な重量をも有し得る。例えば、一部の実施形態では、例えば、約33lb/MSF(約160g/m
2)から約65lb/MSF(約320g/m
2)、約33lb/MSFから約60lb/MSF(約290g/m
2)、33lb/MSFから約58lb/MSF(約280g/m
2)、約33lb/MSFから約55lb/MSF(約270g/m
2)、約33lb/MSFから約50lb/MSF(約240g/m
2)、約33lb/MSFから約45lb/MSF(約220g/m
2)などの、例えば、少なくとも約33lb/MSF、または約45lb/MSF未満など、より坪量の低いカバーシート(例えば、紙より形成される)が、一部の実施形態で利用され得る。他の実施形態では、一方または両方のカバーシートが、約38lb/MSF(約190g/m
2)から約65lb/MSF、約38lb/MSFから約60lb/MSF、約38lb/MSFから約58lb/MSF、約38lb/MSFから約55lb/MSF、約38lb/MSFから約50lb/MSFまたは約38lb/MSFから約45lb/MSFの坪量を有する。
【0096】
しかしながら、所望の場合、一部の実施形態では、例えば、釘引き抜き抵抗をさらに強化するために、または、例えば、エンドユーザにとって望ましい「好み」の特徴を促進するように、使用感を強化するために、より一層高い坪量が使用され得る。したがって、カバーシートの一方または両方は、例えば、少なくとも約45lb/MSF(例えば、約45lb/MSFから約65lb/MSF、約45lb/MSFから約60lb/MSF、約45lb/MSFから約55lb/MSF、約50lb/MSFから約65lb/MSF、約50lb/MSFから約60lb/MSFなど)の坪量を有し得る。所望の場合、一部の実施形態では、一方のカバーシート(例えば、取り付けるとき「正面」の紙側)が、例えば、釘引き抜き抵抗および使用感を強化するために、前述のより高い坪量を有し得る一方、他方のカバーシート(例えば、ボードを取り付けるときの「裏」シート)は、所望の場合、少々低い重量ベース(重量ベースで、例えば、約33lb/MSFから約45lb/MSFまたは約33lb/MSFから約40lb/MSFといった、例えば、約45lb/MSF未満)を有し得る。
【0097】
増強添加物
増強添加物は所望の強度特性を提供する。好ましい実施形態では、増強添加物は、本明細書に記載する通り、ボードコアのスラリー(および/またはボード製品の中にその結果もたらされる層)中より、濃縮層のスラリー中の方がより濃縮されている。デンプン、ポリビニルアルコール、ホウ酸、石膏セメント、ナノセルロース、マイクロセルロースまたはそれらのいかなる組み合わせなど、好適な増強添加物の例は、強度を提供する一助となる。本明細書において単数形の用語である増強添加物を使用するのは、利便性のために使用しているが、当業者が容易に理解するであろう通り、複数、すなわち、一つより多い増強添加物を網羅すると理解されるであろう。したがって、増強添加物は、デンプン、ポリビニルアルコール、ホウ酸、石膏セメント、ナノセルロースおよび/またはマイクロセルロースのうちの一つ以上を備えてもよい。
【0098】
一部の実施形態では、増強添加物は、デンプンなどの原料を含まない複合ボードの強度に対して、複合石膏ボードの乾燥強度を増加させる(例えば、圧縮強度、釘引き抜き抵抗、曲げ強度、コア硬度またはその他強度のパラメータを増加させることによって)のに効果のある、デンプンなどの原料を備える。デンプンに関して、コア強度の強化ではなく、紙とコアの結合強化を概して提供する、酸変性の移動するデンプンより、概して好まれる、ヒドロキシエチルデンプンもしくはヒドロキシプロピルデンプンまたはそれらの組み合わせなどのヒドロキシアルキルデンプン、生デンプンまたはアルファ化デンプンを含む、いかなる好適な強度強化デンプンをも使用し得る。しかしながら、一部の実施形態では、所望の場合、酸変性の移動するデンプンが増強添加物と共に含まれ得る。
【0099】
デンプンは加熱済みまたは生であり得る。生デンプンは、冷水に溶けず、かつ半結晶構造を有すると特徴づけられる。通常、生デンプンは湿式粉砕によって入手され、加熱デンプンの場合のように、湿潤デンプンを加熱することによって変性される。加熱デンプンは、冷水に溶けやすく、かつ非結晶構造を有すると特徴づけられる。加熱デンプンは、湿潤デンプンを加熱することによって調製され、例えば、押出技術によって調製し得る。例えば、同時係属中の米国特許出願第14/494,547号、第14/044,582号および第13/835,002号を参照し、それらの押出技術は参照によって援用される。
【0100】
加熱デンプンは、デンプン粒の結晶構造が融解するので、時にはアルファ化デンプンと呼ばれ、偏光による顕微鏡下での複屈折の消失によって特徴づけられる、デンプン糊化を結果としてもたらす。好ましいデンプンは、調理または生にかかわらず、同一の強度特性を与えない、酸変性の移動デンプンとは異なり、かつより短い鎖長によって紙とコアの界面に移動するため、紙とコアの結合を強化するために当該技術分野で使用される。酸変性の移動デンプンは、通常、約6,000ダルトンを下回る、最小の分子量を有する。一部の実施形態では、本開示の実施形態による好ましいデンプンは、例えば、少なくとも約30,000ダルトンといった、より高い分子量を有する。
【0101】
例えば、一部の実施形態では、濃縮層のスラリーに追加されるデンプンは、例えば、約30,000ダルトンから約150,000,000ダルトン、約30,000ダルトンから約100,000,000ダルトン、約30,000ダルトンから約50,000,000ダルトン、約30,000ダルトンから約10,000,000ダルトン、約30,000ダルトンから約5,000,000ダルトン、約30,000ダルトンから約1,000,000ダルトン、約30,000ダルトンから約500,000ダルトン、約30,000ダルトンから約100,000ダルトン、約50,000ダルトンから約150,000,000ダルトン、約50,000ダルトンから約100,000,000ダルトン、約50,000ダルトンから約50,000,000ダルトン、約50,000ダルトンから約10,000,000ダルトン、約50,000ダルトンから約5,000,000ダルトン、約50,000ダルトンから約1,000,000ダルトン、約50,000ダルトンから約500,000ダルトン、約50,000ダルトンから約100,000ダルトン、約100,000ダルトンから約150,000,000ダルトン、約100,000ダルトンから約100,000,000ダルトン、約100,000ダルトンから約50,000,000ダルトン、約100,000ダルトンから約10,000,000ダルトン、約100,000ダルトンから約5,000,000ダルトン、約100,000ダルトンから約1,000,000ダルトン、約100,000ダルトンから約500,000ダルトンまたは約100,000ダルトンから約100,000ダルトンなど、約30,000ダルトンから約150,000,000ダルトンの分子量を有し得る。
【0102】
生デンプンの特性は、冷水(すなわち、77°F(25℃)の温度で)中で低い粘度を有することを含む一方、アルファ化デンプンの特性は、冷水中で即座に高い粘度を有することを含む。生デンプンは、改良された急速粘度分析器の方法により測定される通り、冷水中で約10センチポイズ以下(例えば、約3センチポイズから約7センチポイズなど、約1センチポイズから約10センチポイズ)の粘度を有する傾向がある。急速粘度分析器の方法は、Cereal Chemistry、66巻、第6号、493〜499ページ(1989年)のDeffenbaugh, L.B.およびWalker, C.E.による「Comparison of Starch Pasting Properties in the Brabender Viscoamylograph and the Rapid Visco−Analyzer」の本文に説明され、サンプルの調製および試験プロフィールに関して本明細書に定義するように、以下の通り変更する。Waringブレンダー(型式31BL92)で15秒間低速で混合している間に、デンプン(20g、乾燥)を水(180g)の中に追加する。デンプン溶液(28g)を計量カップに入れて重さを量る。急速粘度分析器のパドル速度は160rpmに設定する。試験プロフィールを25℃の初期温度で10分間に設定する。15℃/minの加熱速度で93℃にまで加熱する。93℃の温度を5分間維持する。−15℃/minの冷却速度で50℃にまで冷却し、1分間50℃を維持する。30秒後に測定される粘度値を、デンプンの粘度として使用する。
【0103】
アルファ化デンプンは、即座に水中に溶解する傾向があるため、冷水中で「即座に」高い粘度を有する。改良された急速粘度分析器の方法により測定する通り、加熱デンプンまたはアルファ化デンプンは、少なくとも約100センチポイズ(例えば、約350センチポイズから約1000センチポイズなど、約50センチポイズから約1000センチポイズ)の冷水粘度を有する傾向がある。
【0104】
一部の実施形態では、水と混合しやすいために、生デンプンが選択される。これは、水中での低い粘度のためである。アルファ化デンプンは、混合している間に水溶液の中に形成される、一つ以上の大きな塊によって特徴づけられる状態である、「フィッシュアイ」を時に引き起こし得る。いかなる特定の理論にも縛られることは望まないものの、大きな塊は、混合プロセス中に、デンプンの急速な水の吸収によって作られると考えられ、塊の表面上に粘性のある膜を形成し、それによって塊の透水を避ける。生デンプンは、その冷水不溶性によってフィッシュアイ状態を避け、結果としてデンプン粒の分離をもたらすと考えられる。しかしながら、アルファ化デンプンは、デンプンと石膏結晶との間の水素結合を可能にする、官能基を露出するのに望ましいため、本開示の実施形態によって使用され得ることは理解されるであろう。
【0105】
好適な生デンプンの例は、具体的な代表例では、例えば、トウモロコシデンプン(標準、ろう状および/またはハイアミロース)、小麦デンプンA粒、小麦デンプンB粒、エンドウ豆デンプン、少なくとも約30,000ダルトンの分子量を持つ酸変性デンプン、デンプンの水酸基上に置換基(酢酸、リン酸塩、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルなど)を有する置換デンプン、またはそれらのいかなる組み合わせを含む、天然の穀類デンプン、天然の地下デンプン、天然の塊茎デンプンおよび/または化工デンプンのうちの一つ以上を含むが、それらに限定されない。一部の実施形態では、生デンプンはエンドウ豆デンプンを除外する。
【0106】
いずれの好適なアルファ化デンプンは、本明細書に記載するその調製方法および所望の粘度範囲を含む、米国特許第2014/0113124号A1および米国特許第2015/0010767号A1に記載する通り、増強添加物に含まれ得る。含まれる場合、アルファ化デンプンはいずれの好適な粘度を呈し得る。一部の実施形態では、アルファ化デンプンは、当該技術分野において知られ、例えば、米国特許第2014/0113124号A1に説明される通りの、VMA法によって測定されると、中程度の粘度のデンプンであり、VMA法はここに参照することによって援用する。
【0107】
一部の実施形態による望ましいアルファ化デンプンは、例えば、15wt%のデンプン水溶液で測定すると、例えば、約20センチポイズから約600センチポイズ、約20センチポイズから約500センチポイズ、約20センチポイズから約400センチポイズ、約20センチポイズから約300センチポイズ、約20センチポイズから約200センチポイズ、約20センチポイズから約100センチポイズ、約30センチポイズから約700センチポイズ、約30センチポイズから約600センチポイズ、約30センチポイズから約500センチポイズ、約30センチポイズから約400センチポイズ、約30センチポイズから約300センチポイズ、約30センチポイズから約200センチポイズ、約30センチポイズから約100センチポイズ、約50センチポイズから約700センチポイズ、約50センチポイズから約600センチポイズ、約50センチポイズから約500センチポイズ、約50センチポイズから約400センチポイズ、約50センチポイズから約300センチポイズ、約50センチポイズから約200センチポイズ、約50センチポイズから約100センチポイズ、約70センチポイズから約700センチポイズ、約70センチポイズから約600センチポイズ、約70センチポイズから約500センチポイズ、約70センチポイズから約400センチポイズ、約70センチポイズから約300センチポイズ、約70センチポイズから約200センチポイズ、約70センチポイズから約100センチポイズ、約100センチポイズから約700センチポイズ、約100センチポイズから約600センチポイズ、約100センチポイズから約500センチポイズ、約100センチポイズから約400センチポイズ、約100センチポイズから約300センチポイズ、約100センチポイズから約200センチポイズなど、約20センチポイズから約700センチポイズといった中程度の粘度を有し得る。
【0108】
一部の実施形態に従って、アルファ化デンプンは、米国特許第2015/0010767号A1に記載する通り、例えば、デンプンが押出機において一ステップでアルファ化および酸変性によって調製される、押出デンプンとして調製することができ、押出方法はここに参照することによって援用する。手短に言えば、一軸押出機(例えば、イリノイ州サウスベロイトに位置するAmerican Extrusion Internationalから市販されているAdvantage 50)または二軸押出機(例えば、カンザス州サベサに位置するWengerから市販されているWenger TX52)など、いかなる好適な押出機をも使用し得る。概して、一部の実施形態では、(a)アルファ化デンプンの前駆体、すなわち、非アルファ化デンプン、(b)カルシウムイオンをキレートするのを実質的に避ける、弱酸の形態である酸および/または少量の強酸、ならびに(c)水が混合され、押出機の中に送り込まれる。一部の実施形態では、さらなる水が押出機に追加されてもよい。一部の実施形態では、例えば、硫酸アルミニウム(アラム)は、カルシウムイオンをキレートするのを実質的に避けるため、湿潤デンプンを調製する際に使用するのに適切な弱酸である。
【0109】
例えば、一部の実施形態では、弱酸は、デンプンの重量に基づく約0.5wt%から約5wt%の量で含まれる。強酸の量は比較的少なく、デンプンの重量で、例えば、約0.0001wt%から約0.05wt%といった約0.05wt%以下などである。本開示の一部の実施形態により使用される強酸の量は、例えば、35gのデンプンに対して少なくとも約2gの硫酸を使用した従来のシステムで含まれていたものより、かなり少ない。一部の実施形態では、上記の通り少量の強酸が、本明細書に記載する通り、アラムなど、カルシウムイオンをキレーしない弱酸と組み合わせて使用され得る。
【0110】
押出機の中にある間、発熱体および機械的剪断の組み合わせによって、デンプンを融解してアルファ化し、弱酸によって、本明細書に記載するのと同じくらい望ましい粘度によって示される、所望の分子量にまでデンプンを一部加水分解する。例えば、湿潤デンプンは、温度が約150℃(約300°F)から約210℃(約410°F)のダイを有する押出機の中でアルファ化して酸変性し得る。押出機内部の圧力は、当業者が認識するであろう、押し出される原材料、水分含量、ダイの温度および軸の速度によって決定される。例えば、押出機の中の圧力は、例えば、約2,000psi(約13,800kPa)から約5,000psi(34,500kPa)といった、少なくとも約2,000psiであり得る。押出機内の条件によって、力学的エネルギーのため、デンプン分子も分解し、それによって酸変性と同一の効果を一部生み出す。一部の実施形態による押出機内の条件(例えば、高い反応温度および高い圧力)によって、この化学反応が促進されるため、弱酸および/または少量の強酸が使用され得ると考えられる。
【0111】
冷水溶解性は、室温(約25℃)でのいかなる量の水可溶分をも有する、アルファ化デンプンに関係する。一部の実施形態では、アルファ化デンプンは、一部加水分解され、約70%からおおよそ100%、約75%からおおよそ100%、約80%からおおよそ100%、約85%からおおよそ100%、約90%からおおよそ100%、約95%からおおよそ100%、約70%から約99%など、約75%から約99%、約80%から約99%、約85%から約99%、約90%から約99%、約95%から約99%の所望の冷水溶解性を有し得る。一部の実施形態では、アルファ化デンプンは、例えば、動的測定に反作用トルクを使用するViscograph−Eといった、C.W. Brabender Viscographを使用して、粘度を測定するブラベンダー法によって測定される、約10BUから約120BUの冷水粘度(固体10%、25℃)を有する。例えば、冷水粘度は、約20BUから約110BU、約30BUから約100BU、約40BUから約90BU、約50BUから約80BUまたは約60BUから約70BUであり得る。本明細書に定義する通り、ブラベンダー単位は、75RPMの700cmgのカートリッジで、16fl oz(約500cc)のサンプルカップサイズを使用して測定されることに留意されたい。当業者はまた、ブラベンダー単位が、センチポイズ(例えば、測定カートリッジが700cmgのとき、cP=BU×2.1)またはクレブス単位(KU)などの他の粘度測定値に変換し得ることは、容易に認識するであろう。
【0112】
一部の実施形態では、デンプンは、2番の紡錘を持つBrookfield社製粘度計により回転速度30rpmで測定すると、25℃で測定したとき水中で10%のデンプンスラリーが、約60cPから約160cPの冷水粘度を有する。例えば、25℃で測定したとき水中で10%であるデンプンスラリーの冷水粘度は、約60cPから約150cP、約60cPから約120cP、約60cPから約100cP、約70cPから約150cP、約70cPから約120cP、約70cPから約100cP、約80cPから約150cP、約80cPから約120cP、約80cPから約100cP、約90cPから約150cP、約90cPから約120cP、約100cPから約150cPまたは約100cPから約120cPであり得る。
【0113】
含まれる場合、増強添加物として本明細書に記載される、いかなるタイプのデンプンも、いかなる好適な量で存在し得る。一部の実施形態では、デンプンは、例えば、漆喰の重量で約5%から約35%、漆喰の重量で約5%から約30%、約5%から約25%、約5%から約20%、約5%から約15%、約5%から約10%、約10%から約30%、約10%から約25%、約10%から約20%、約10%から約15%など、漆喰の重量で約5%から約40%の量で濃縮層に存在する。デンプンは、例えば、漆喰の重量で約0.1%から約4%、漆喰の重量で約0.1%から約3%、漆喰の重量で約0.1%から約2%、漆喰の重量で約0.1%から約1%、漆喰の重量で約1%から約4%、漆喰の重量で約1%から約3%、漆喰の重量で約1%から約2%など、漆喰の重量で約0%から約4%の量でボードコアに存在し得る。
【0114】
一部の実施形態では、デンプンの有無に関わらず、増強添加物は強度を強化するように、ポリビニルアルコールおよび/またはホウ酸を含み得る。一部の実施形態では、ポリビニルアルコール、ホウ酸およびデンプンが全て存在する。理論に縛られることは望まないものの、ホウ酸は、デンプンをさらに強化するように、ポリビニルアルコールおよびデンプンに対する架橋剤として働くと考えられる。一部の実施形態では、濃縮層中のポリビニルアルコールおよび/またはホウ酸の濃度は、表紙の強度に良い影響を与えると考えられ、本明細書に記載する通り、ポリビニルアルコールおよび/またはホウ酸によって表紙に侵入することによって、この度合いが増し得る。
【0115】
含まれる場合、ポリビニルアルコールおよびホウ酸は、いかなる好適な量でも存在し得る。例えば、一部の実施形態では、ポリビニルアルコールは、漆喰の重量で約1%から約5%の量で、濃縮層中に存在し得る。加えて、ポリビニルアルコールは、漆喰の重量で約0%から約1%の量で、ボードコア中に存在し得る。ホウ酸は、漆喰の重量で約0.1%から約1%の量で濃縮層中に存在することができ、漆喰の重量で約0%から約0.1%の量でボードコア中に存在し得る。
【0116】
一部の実施形態では、増強添加物は任意で、例えば、釘引き抜き抵抗または他の強度パラメータといった強度を強化するために、ナノセルロース、マイクロセルロースまたはそれらのいかなる組み合わせを備える。含まれる場合、ナノセルロース、マイクロセルロースまたはそれらの組み合わせは、例を挙げると、漆喰の重量で約0.05%から約1%といった、例えば、約0.01%から約2%の量で、例えば、濃縮層のスラリー中に、および例を挙げると、漆喰の重量で0%から約0.01%といった、例えば、約0%から約0.5%といった量でボードコアのスラリー中になど、いかなる好適な量でも存在し得る。
【0117】
増強添加物は、一部の実施形態では、例えば、釘引き抜き抵抗または他の強度パラメータといった強度を強化するために、石膏セメントを備え得る。石膏セメントは任意であり、いかなる好適な量でも存在し得る。例えば、一部の実施形態では、石膏セメントは、漆喰の重量で約5%から約30%の量で濃縮層中に含まれることができ、漆喰の重量で約0%から約10%の量でボードコア中に存在し得る。
ボード強度
【0118】
一部の実施形態では、本開示によって作製される複合ボードは、ASTM標準C473‐10に従う試験プロトコルに合致する。例えば、一部の実施形態では、ボードが1/2インチの厚さで成型されるとき、乾燥ボードは、例えば、少なくとも約68lb
f、少なくとも約70lb
f、少なくとも約72lb
f、少なくとも約74lb
f、少なくとも約75lb
f、少なくとも約76lb
f、少なくとも約77lb
fなど、ASTM C473‐10(方法B)に従って決定される通り、少なくとも約65lb
f(重量ポンド)の釘引き抜き抵抗を有する。様々な実施形態では、釘引き抜き抵抗は、約65lb
fから約100lb
f、約65lb
fから約95lb
f、約65lb
fから約90lb
f、約65lb
fから約85lb
f、約65lb
fから約80lb
f、約65lb
fから約75lb
f、約68lb
fから約100lb
f、約68lb
fから約95lb
f、約68lb
fから約90lb
f、約68lb
fから約85lb
f、約68lb
fから約80lb
f、約70lb
fから約100lb
f、約70lb
fから約95lb
f、約70lb
fから約90lb
f、約70lb
fから約85lb
f、約70lb
fから約80lb
f、約72lb
fから約100lb
f、約72lb
fから約95lb
f、約72lb
fから約90lb
f、約72lb
fから約85lb
f、約72lb
fから約80lb
f、約72lb
fから約77lb
f、約72lb
fから約75lb
f、約75lb
fから約100lb
f、約75lb
fから約95lb
f、約75lb
fから約90lb
f、約75lb
fから約85lb
f、約75lb
fから約80lb
f、約75lb
fから約77lb
f、約77lb
fから約100lb
f、約77lb
fから約95lb
f、約77lb
fから約90lb
f、約77lb
fから約85lb
fまたは約77lb
fから約80lb
fであり得る。
【0119】
一部の実施形態では、ボードは、ASTM C473‐10の方法Bに従って決定される通り、例えば、少なくとも約12lb
f、少なくとも約13lb
f、少なくとも約14lb
f、少なくとも約15lb
f、少なくとも約16lb
f、少なくとも約17lb
f、少なくとも約18lb
f、少なくとも約19lb
f、少なくとも約20lb
f、少なくとも約21lb
fまたは少なくとも約22lb
fといった、少なくとも約11lb
fの平均コア硬度を有し得る。一部の実施形態では、ボードは、例えば、約11lb
fから約22lb
f、約11lb
fから約21lb
f、約11lb
fから約20lb
f、約11lb
fから約19lb
f、約11lb
fから約18lb
f、約11lb
fから約17lb
f、約11lb
fから約16lb
f、約11lb
fから約15lb
f、約11lb
fから約14lb
f、約11lb
fから約13lb
f、約11lb
fから約12lb
f、約12lb
fから約25lb
f、約12lb
fから約22lb
f、約12lb
fから約21lb
f、約12lb
fから約20lb
f、約12lb
fから約19lb
f、約12lb
fから約18lb
f、約12lb
fから約17lb
f、約12lb
fから約16lb
f、約12lb
fから約15lb
f、約12lb
fから約14lb
f、約12lb
fから約13lb
f、約13lb
fから約25lb
f、約13lb
fから約22lb
f、約13lb
fから約21lb
f、約13lb
fから約20lb
f、約13lb
fから約19lb
f、約13lb
fから約18lb
f、約13lb
fから約17lb
f、約13lb
fから約16lb
f、約13lb
fから約15lb
f、約13lb
fから約14lb
f、約14lb
fから約25lb
f、約14lb
fから約22lb
f、約14lb
fから約21lb
f、約14lb
fから約20lb
f、約14lb
fから約19lb
f、約14lb
fから約18lb
f、約14lb
fから約17lb
f、約14lb
fから約16lb
f、約14lb
fから約15lb
f、約15lb
fから約25lb
f、約15lb
fから約22lb
f、約15lb
fから約21lb
f、約15lb
fから約20lb
f、約15lb
fから約19lb
f、約15lb
fから約18lb
f、約15lb
fから約17lb
f、約15lb
fから約16lb
f、約16lb
fから約25lb
f、約16lb
fから約22lb
f、約16lb
fから約21lb
f、約16lb
fから約20lb
f、約16lb
fから約19lb
f、約16lb
fから約18lb
f、約16lb
fから約17lb
f、約17lb
fから約25lb
f、約17lb
fから約22lb
f、約17lb
fから約21lb
f、約17lb
fから約20lb
f、約17lb
fから約19lb
f、約17lb
fから約18lb
f、約18lb
fから約25lb
f、約18lb
fから約22lb
f、約18lb
fから約21lb
f、約18lb
fから約20lb
f、約18lb
fから約19lb
f、約19lb
fから約25lb
f、約19lb
fから約22lb
f、約19lb
fから約21lb
f、約19lb
fから約20lb
f、約21lb
fから約25lb
f、約21lb
fから約22lb
fまたは約22lb
fから約25lb
fといった、約11lb
fから約25lb
fのコア硬度を有し得る。
【0120】
一部の実施形態では、濃縮層は、ボードコアの平均乾燥コア硬度より少なくとも約1.5倍大きい、平均乾燥コア硬度を有し、平均コア硬度は、例えば、少なくとも約2倍大きい、2.5倍大きい、3倍大きい、3.5倍大きい、4倍大きい、4.5倍大きいなど、ASTM C−473−10に従って測定され、これらの範囲の各々は、例えば、8、7、6、5、4、3または2など、数学的に適切ないかなる上限をも有し得る。
【0121】
曲げ強度に関して、一部の実施形態では、厚さ1/2インチのボード中に成型されるとき、乾燥ボードは、ASTM標準C473‐10に従って決定される通り、縦方向に少なくとも約36lb
f(例えば、少なくとも約38lb
f、少なくとも約40lb
fなど)および/または幅方向に少なくとも約107lb
f(例えば、少なくとも約110lb
f、少なくとも約112lb
fなど)の曲げ強度を有する。様々な実施形態では、ボードは、例えば、約36lb
fから約55lb
f、約36lb
fから約50lb
f、約36lb
fから約45lb
f、約36lb
fから約40lb
f、約36lb
fから約38lb
f、約38lb
fから約60lb
f、約38lb
fから約55lb
f、約38lb
fから約50lb
f、約38lb
fから約45lb
f、約38lb
fから約40lb
f、約40lb
fから約60lb
f、約40lb
fから約55lb
f、約40lb
fから約50lb
fまたは約40lb
fから約45lb
fといった、約36lb
fから約60lb
fの縦方向曲げ強度を有し得る。様々な実施形態では、ボードは、例えば、約107lb
fから約125lb
f、約107lb
fから約120lb
f、約107lb
fから約115lb
f、約107lb
fから約112lb
f、約107lb
fから約110lb
f、約110lb
fから約130lb
f、約110lb
fから約125lb
f、約110lb
fから約120lb
f、約110lb
fから約115lb
f、約110lb
fから約112lb
f、約112lb
fから約130lb
f、約112lb
fから約125lb
f、約112lb
fから約120lb
fまたは約112lb
fから約115lb
fといった、約107lb
fから約130lb
fの幅方向曲げ強度を有し得る。
【0122】
有利なことに、本明細書に記載する通りの様々なボードの密度における様々な実施形態では、乾燥石膏ボードは、例えば、約170psi(1,170kPa)から約1,000psi(6,900kPa)、約170psiから約900psi(6,200kPa)、約170psiから約800psi(5,500kPa)、約170psiから約700psi(4,800kPa)、約170psiから約600psi(4,100kPa)、約170psiから約500psi(3,450kPa)、約170psiから約450psi(3,100kPa)、約170psiから約400psi(2,760kPa)、約170psiから約350psi(2,410kPa)、約170psiから約300psi(2,070kPa)または約170psiから約250psi(1,720kPa)といった、少なくとも約170psiの圧縮強度を有し得る。一部の実施形態では、ボードは、少なくとも約450psi(3,100kPa)、少なくとも約500psi(3,450kPa)、少なくとも約550psi(3,800kPa)、少なくとも約600psi(4,100kPa)、少なくとも約650psi(4,500kPa)、少なくとも約700psi(4,800kPa)、少なくとも約750psi(5,200kPa)、少なくとも約800psi(5,500kPa)、少なくとも約850psi(5,850kPa)、少なくとも約900psi(6,200kPa)、少なくとも約950psi(6,550kPa)または少なくとも約1,000psi(6,900kPa)の圧縮強度を有する。加えて、一部の実施形態では、圧縮強度は前述のポイントのうちのいずれか二つに縛られ得る。例えば、圧縮強度は、約450psiと約1,000psiとの間(例えば、約500psiと約900psiとの間、約600psiと約800psiとの間など)であり得る。圧縮強度は、ペンシルベニア州バトラーのApplied Test SystemsよりATS機械型式1610として市販されている、材料試験システムを使用して測定され得る。1インチ/minの速度で、継続的に衝撃を与えずに荷重をかける。
【0123】
濃縮層およびその利点の少なくとも一部によって、驚くほどかつ予想外に、これらの標準(例えば、釘引き抜き抵抗、曲げ強度およびコア硬度)は、本明細書に記載する通り、超低密度ボード(例えば、約32pcf以下、31pcf以下、30pcf以下、29pcf以下、28pcf以下、27pcf以下、26pcf以下など、約33pcf以下)に関してまでも合致し得る。さらに、一部の実施形態では、本開示の実施形態が製造効率性を提供するように、全体でより少ない増強添加物を使用して、より軽く、より弱く、および/もしくはより柔らかいコアを持ち、ならびに/または全体の水使用量をより少なくしながら、これらの標準に驚くほど合致し得る。
【0124】
複合石膏ボードの調製プロセス
本開示の実施形態による複合石膏ボードは、典型的な石膏ウォールボードの製造ライン上で作製され得る。例えば、ボード製造技術は、例えば、米国特許第7,364,676号および米国特許出願公開第2010/0247937号に記載されている。手短に言えば、プロセスは通常、動くコンベア上にカバーシートを送り出すことを伴う。石膏ボードは普通、「正面を下にして」形成されるため、このカバーシートは、そのような実施形態においての「正面」カバーシートである。
【0125】
本開示の態様により、二つの別個のスラリーを形成する。一つのスラリーは、ボードコアを形成するのに使用される漆喰スラリーであり、他方のスラリーは、濃縮層を形成するのに使用される。濃縮層は、例えば、硬化石膏といった硬化材料に水和する、漆喰などのセメント系材料を含む、いかなる好適な材料より形成され得る。したがって、様々な実施形態では、所望のセメント系材料を包含するスラリーを調製し得る。本明細書に記載する通り、ボードコアおよび濃縮層の両方が漆喰スラリーより形成される、一部の実施形態では、ボードコア形成用の漆喰スラリーは、一部の実施形態で濃縮層作製用に使用される漆喰スラリーのWSRより低いWSRを有し得る。
【0126】
本明細書に述べる通り、密度パラメータを達成する限りにおいて、ある泡または軽量の材料が濃縮層のスラリー中に含まれ得るが、発泡剤(または他の軽量な材料)は概して、より低い密度を提供するように、ボードコアのスラリー中により多くみられる。一部の実施形態では、増強剤の濃度は、濃縮層中でより高い場合があり、ある増強剤は、一部の実施形態によってはボードコアのスラリー中に存在さえしなくともよい。したがって、それぞれのミキサーへの供給ラインはそれに応じて調整でき、充分に当業者のレベルの範囲内である。
【0127】
二つのスラリーはいかなる好適な手法でも形成し得る。例えば、原材料を撹拌しそれぞれのスラリーを形成する、二つの別個のミキサーを使用し得る。ミキサーは連続、または非接続であり得る。代替として、一つのミキサーを使用して、両方のスラリー流を発現させ得る。
図2は、本開示によりスラリーがどのように形成され得るかの例を示す、代替の概略フロー図を示す。
図2の描写Aに見られる通り、単一のミキサーを使用し得る一方、描写BおよびCでは、二つのスラリーを、例えば、所望の通り「ピンミキサー」または「ピンレスミキサー」の形態である、別個のミキサーで形成する。流れ
図BおよびCに見られる通り、効率のために所望される場合、濃縮層に塗布するのに必要なスラリーの量が、ボードコアを形成するのに塗布されるスラリーの量より少ないため、濃縮層に使用するミキサーは、一部の実施形態では、より小さい混合容積を有し得る。「主」ミキサー(すなわち、ボードコアのスラリー形成用)は、本体および排出導管(例えば、当該技術分野で知られる通りのゲート・キャニスター・ブート設備、または米国特許第6,494,609号および第6,874,930号に記載される通りの改良排出口設計(MOD)設備)を備える。三つの描写A〜Cすべてに見られる通り、発泡剤はミキサーの排出導管に(例えば、米国特許第5,683,635号および第6,494,609号に記載する通り、例えば、ゲートの中に)追加し得る。
【0128】
図Aは、ステップが一つのミキサー、すなわち、主ミキサー100を使用して発生する、実施形態を示す。漆喰102および水104が、主ミキサー100の中に挿入される一方、泡106は、改良排出口設計またはキャニスターを含み得る、排出導管108の下流に挿入され、泡は主ミキサー100の胴体には挿入されないことを意味する。本質的に泡がない、スラリー110の一部分は、出口ポートからミキサー100よりそらされ、例えば、濃縮層のスラリー112を形成するように、概して排出導管108から離れる。主ミキサー100は、加圧スラリーラインを流れる、濃縮層のスラリー用のより小さい排出ポートから、無発泡スラリー110を追い出すポンプとして働く。湿潤形態114の添加物、特に増強添加物は、注入ポートを通って加圧スラリーラインの中に注入される。当業者のレベルの範囲内では判定され得るが、ラインは、増強添加物を含むスラリーを均一に混合するのを可能にするのに充分長い方が望ましいことを本発明者が発見した。漆喰または水を別個に導入する必要はない。描写Aに見られる通り、端部スラリー流116および118もまた、当該技術分野で知られる通り、端部に使用するために所望の硬度を有するように、泡なしで主ミキサー100からそらし得る。
【0129】
図Bでは、二つのミキサー200および202が連続して接続しているのを見ることができる。漆喰204および水206が、主ミキサー200に追加される。泡208は、排出導管210(改良排出口設計またはキャニスターを包含し得る)の中で、主ミキサー200の胴体の下流に追加される。したがって、泡のないスラリー212は、出口ポートを通ってミキサー200から出て、濃縮層用のより小さい二次ミキサー202の中に挿入することができ、増強添加物を含む乾燥および湿潤添加物214(例えば、別個のラインを経由して)は、所望の通りの濃縮効果を提供するように、別個に追加され得る。端部スラリー流214および216もまた、主排出210とは別のポートから出るように示されており、そこで泡を最小化し、所望されるスラリー流の硬度を提供する。
【0130】
図Cでは、二つのミキサー300および302があるが、スラリーは別個に作製され、各ミキサーは所望の通り、漆喰および水に対してそれぞれの投入量を有することを見ることができる。特に、漆喰304および水306が、主ミキサー300の中に追加される。泡308は、排出導管310(米国特許第6,494,609号および第6,874,930号に記載される通り、キャニスターまたは改良排出口設計を包含し得る)の中で、主ミキサー300の胴体の下流に追加される。端部スラリー流312および314は、主排出310とは別のポートから出て、そこで泡を最小化し、所望されるスラリー流の硬度を提供し得る。濃縮層のスラリー316を形成するための二次ミキサー302では、漆喰および水318、320を追加し混合し得る。本明細書に記載する通り、増強添加物を含む乾燥および湿潤添加物(例えば、別個のラインを経由して)を、濃縮層ミキサー302の中に挿入し得る。そのため、濃縮層のスラリー316は、主ミキサー300の中で形成されるコアのスラリーとは別個に調製される。
【0131】
一部の実施形態では、端部スラリーは、主ミキサーの代わりに、所望の通り、濃縮層ミキサーから抽出され得る。端部は、一部の実施形態では、ボードコアより密度が高くなり得、例えば、濃縮層と同じ密度を有し得る。例えば、濃縮層が横向きになると、濃縮層のスラリーの一部分は、一つの境界に関する
図5および6に見られる通り、最終製品の端部を形成するように、ローラーの境界の周りに流れ得る。ローラーの長さは、この方式による端部の形成を受け入れるように構成され得る(例えば、紙の幅より短くする)。
【0132】
一部の実施形態では、排出導管が、例えば、米国特許出願公開第2012/0168527号A1(出願番号第13/341,016号)および米国特許出願公開第2012/0170403号A1(出願番号第13/341,209号)に記載のものなど、単一の供給入口または複数の供給入口のいずれかを持つ、スラリー分配装置を含み得ることは、理解されるであろう。複数の供給入口を持つスラリー分配装置を使用する、それらの実施形態では、排出導管は、米国特許出願公開第2012/0170403号A1に記載のものなど、好適な流れスプリッタを含み得る。
【0133】
当該技術分野において理解されるであろう通り、ボードは普通並行して継続的に、サンドイッチ構造に形成される。表カバーシートは、コンベア上を連続リボンとして動く。ミキサーから送り出された後、濃縮層のスラリーは、動く表カバーシートに塗布される。また、当該技術分野において知られる通り、所望の場合、硬い端部も、例えば、便宜のため濃縮層を形成する同じスラリー流より形成され得る。
【0134】
その後、ボードコアのスラリーが、濃縮層のスラリーを帯びる、動く表紙の上に塗布され、最終製品のボード前駆体である、サンドイッチ構造形態の湿潤アセンブリを形成するように、第2カバーシート(通常、「裏」カバーシート)で被覆される。裏(底部)カバーシートは任意で、濃縮層用と同じまたは異なる石膏スラリーより形成され得る、スキムコートを帯びてもよい。カバーシートは、紙、繊維マットまたは他のタイプの材料(例えば、金属の薄片、プラスチック、ガラスマット、セルロース系および無機充填剤のブレンドなどの不織布材料など)より形成されてもよい。一部の実施形態では、濃縮層は、ボードの主要な両側面に、すなわち、上部および底部シートの両方に結合関係で塗布される。
【0135】
それによって提供される湿潤アセンブリは、製品を所望の厚さに合わせて作る(例えば、成形板によって)形成工程に、および製品を所望の長さに切断する、一つ以上のナイフ部に運ばれる。湿潤アセンブリは、硬化石膏の連結する結晶性マトリクスを形成するように硬くなることが可能であり、余分な水は、乾燥プロセスを使用して(例えば、キルンを通ってアセンブリを輸送することで)除去される。驚くほどかつ予想外なことに、本開示により調製されるボードは、ボードの配置および組成物が、水への必要性が低い特徴を有するために、乾燥プロセスにおいて必要とする時間が有意に少ないことが分かっている。これは、エネルギー費用を削減するため有利である。
【0136】
また、石膏ボードの製造において、堆積したスラリーから大きな空隙またはエアポケットを排除するために、振動を使用するのが通常である。上のステップの各々、ならびにそのようなステップを実施するプロセスおよび機器は、当該技術分野において知られている。
【0137】
本発明はさらに、以下の実施形態の実施例によって示される。しかしながら、本発明は以下の実施形態によって限定されない。
【0138】
(1)(a)少なくとも水、漆喰および任意で増強添加物より形成される硬化石膏を備える、ボードコアであって、乾燥密度および乾燥厚さを有し、第1および第2コア面を正対関係で画定する、ボードコアと、
(b)少なくとも水、漆喰および増強添加物より形成される、濃縮層であって、第1コア面に結合関係で配置され、ボードコアの乾燥密度より、少なくとも約1.1倍高い乾燥密度を有する、濃縮層と、を備え、
(i)増強添加物が、コア形成において存在するとき、増強添加物は、ボードコア形成より濃縮層形成において、より高い濃度で含まれ、
(ii)ボードコアの乾燥厚さは、濃縮層の乾燥厚さより大きい、複合石膏ボード。
【0139】
(2)濃縮層は、第1および第2濃縮層面を画定し、
ボードはさらに、上部カバーシートを備え、第1濃縮層面は、上部カバーシートに面し、
第2濃縮層面は、第1コア面に面する、実施形態1に記載の複合石膏ボード。
【0140】
(3)ボードはさらに、底部カバーシートを備え、第2コア面は、底部カバーシートに面する、実施形態1または2に記載の複合石膏ボード。
【0141】
(4)上部および/または底部カバーシートは、少なくとも約0.014インチ(約0.036cm)の厚さを有する、実施形態2または3に記載の複合石膏ボード。
【0142】
(5)上部および/または底部カバーシートは、紙より形成され、約38lb/MSF(約185g/m
2)から約58lb/MSF(約283g/m
2)の坪量を有する、実施形態2〜4のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0143】
(6)上部および/または底部カバーシートは、約38pcf(約610kg/m
3)から約42pcf(約670kg/m
3)の密度を有する、実施形態2〜5のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0144】
(7)濃縮層の乾燥密度は、約36pcf(約580kg/m
3)から約45pcf(約720kg/m
3)である、実施形態1〜6のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0145】
(8)濃縮層の乾燥厚さは、約0.035インチ(約0.09cm)から約0.05インチ(約0.13cm)である、実施形態1〜7のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0146】
(9)ボードコアの密度は、約24pcf(約380kg/m
3)から約40pcf(約640kg/m
3)である、実施形態1〜8のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0147】
(10)ボードコアの厚さは、濃縮層の厚さより、約9倍から約14倍厚い、実施形態1〜9のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0148】
(11)増強添加物は、デンプンを備える、実施形態1〜10のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0149】
(12)デンプンは、ヒドロキシエチルデンプンもしくはヒドロキシプロピルデンプン、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態11に記載の複合石膏ボード。
【0150】
(13)デンプンは、アルファ化デンプンを含む、実施形態11または12に記載の複合石膏ボード。
【0151】
(14)デンプンが、VMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、アルファ化デンプンは、約20センチポイズから約700センチポイズの粘度を有する、実施形態13に記載の複合石膏ボード。
【0152】
(15)アルファ化デンプンは、VMA法による約30センチポイズから約200センチポイズの粘度を有する、実施形態14に記載の複合石膏ボード。
【0153】
(16)デンプンは、濃縮層形成において、漆喰の重量で約5%から約40%の量で含まれ、ボードコア形成において、漆喰の重量で約0%から約4%の量で含まれる、実施形態11〜15のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0154】
(17)増強添加物は、ポリビニルアルコールおよび/またはホウ酸を備える、実施形態1〜16のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0155】
(18)増強添加物は、ポリビニルアルコールを含み、ポリビニルアルコールは、漆喰の重量で約1%から約5%の量で、濃縮層の中に存在し、漆喰の重量で約0%から約1%の量で、ボードコアの中に存在する、実施形態17に記載の複合石膏ボード。
【0156】
(19)増強添加物は、ホウ酸を含み、ホウ酸は、漆喰の重量で約0.1%から約1%の量で、濃縮層の中に存在し、漆喰の重量で約0%から約.約0.1%の量で、ボードコアの中に存在する、実施形態17に記載の複合石膏ボード。
【0157】
(20)増強添加物は、ナノセルロース、マイクロセルロースまたはそれらのいかなる組み合わせを備える、実施形態1〜19のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0158】
(21)ナノセルロース、マイクロセルロースまたはそれらのいかなる組み合わせは、漆喰の重量で約0.05%から約1%の量で、濃縮層の中に存在し、漆喰の重量で約0%から約0.01%の量で、ボードコアの中に存在する、実施形態20に記載の複合石膏ボード。
【0159】
(22)増強添加物は、石膏セメントを備える、実施形態1〜21のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0160】
(23)石膏セメントは、濃縮層形成において、漆喰の重量で約5%から約30%の量で含まれ、ボードコア形成において、漆喰の重量で約0%から約10%の量で含まれる、実施形態22に記載の複合石膏ボード。
【0161】
(24)コアおよび/または濃縮層はさらに、ポリリン酸塩より形成される、実施形態1〜23のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0162】
(25)ポリリン酸塩は、トリメタリン酸ナトリウム、トリメタリン酸カリウム、トリメタリン酸アンモニウム、トリメタリン酸リチウムまたはそれらのいかなる組み合わせである、実施形態24に記載の複合石膏ボード。
【0163】
(26)ポリリン酸塩は、濃縮層形成において、漆喰の重量で約0.2%から約0.4%の量で含まれ、ボードコア形成において、漆喰の重量で約0%から約0.2%の量で含まれる、実施形態24または25に記載の複合石膏ボード。
【0164】
(27)コアおよび/または濃縮層はさらに、分散剤より形成される、実施形態1〜26のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0165】
(28)分散剤は、ナフタレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、リグノスルホン酸塩、スルホン化リグニンまたはそれらのいかなる組み合わせである、実施形態27に記載の複合石膏ボード。
【0166】
(29)分散剤は、濃縮層形成において、漆喰の重量で約0.1%から約0.2%の量で含まれ、ボードコア形成において、漆喰の重量で約0%から約0.4%の量で含まれる、実施形態27または28に記載の複合石膏ボード。
【0167】
(30)ボードは、ASTM C473‐10の方法Bに従う、少なくとも約68lbの力の釘引き抜き抵抗を有する、実施形態1〜29のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0168】
(31)濃縮層は、ボードコアの平均コア硬度より、少なくとも約4倍大きい平均コア硬度を有し、平均コア硬度は、ASTM C−473−10に従って測定される、実施形態1〜30のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0169】
(32)ボードコア形成用の水および漆喰は、水対漆喰の割合が約0.3から約0.7である、実施形態1〜31のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0170】
(33)濃縮層形成用の水および漆喰は、水対漆喰の割合が約0.7から約2.0である、実施形態1〜32のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0171】
(34)ボードは、約24pcf(約380kg/m
3)から約33pcf(約530kg/m
3)の密度を有する、実施形態1〜33のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0172】
(35)ボードは、約24pcf(約380kg/m
3)から約29pcf(約460kg/m
3)の密度を有する、実施形態1〜33のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0173】
(36)増強添加物は、以下、デンプン、ポリビニルアルコール、ホウ酸、ナノセルロース、マイクロセルロースおよび石膏セメントのうちの少なくとも二つを備える、実施形態1〜35のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0174】
(37)増強添加物は、デンプンがVMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの粘度を有する、アルファ化デンプンと、ポリビニルアルコールと、ホウ酸とを備える、実施形態36に記載の複合石膏ボード。
【0175】
(38)増強添加物は、(i)デンプンがVMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの粘度を有する、アルファ化デンプンと、(ii)マイクロセルロースおよび/またはナノセルロースと、を備える、実施形態36または37に記載の複合石膏ボード。
【0176】
(39)増強添加物は、デンプンがVMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの粘度を有する、アルファ化デンプンと、石膏セメントと、を備える、実施形態36〜38のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0177】
(40)増強添加物は、デンプンがVMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの粘度を有する、アルファ化デンプンを備え、コアおよび/または濃縮層はさらに、ポリリン酸塩および分散剤より形成される、実施形態36〜39のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0178】
(41)ポリリン酸塩は、トリメタリン酸ナトリウムであり、分散剤は、ナフタレンスルホン酸塩である、実施形態40に記載の複合石膏ボード。
【0179】
(42)ボードはさらに、上部カバーシートとボードコアとの間および/または底部カバーシートとボードコアとの間に配置される結合層を備え、結合層は、約0.01インチ(約0.03cm)から約0.015インチ(約0.04cm)の厚さを有する、実施形態2〜41のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0180】
(43)濃縮層はさらに、繊維より形成される、実施形態1〜42のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0181】
(44)繊維は、サイジング剤を含む、実施形態43に記載の複合石膏ボード。
【0182】
(45)増強添加物は、少なくとも約30,000ダルトンの分子量を有する、生デンプンを備える、実施形態1〜44のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0183】
(46)(a)第1スラリー、少なくとも水、漆喰および任意で増強添加物より形成される、硬化石膏を備える、ボードコアであって、第1スラリーは、第1の水対漆喰の割合を有し、コアは、第1密度を有し、コアは、第1および第2コア面を正対関係で画定する、ボードコアと、
(b)少なくとも水、漆喰および増強添加物を備える、第2スラリーより形成される、濃縮層であって、第2スラリーは、第2の水対漆喰の割合を有し、濃縮層は、第1コア面に結合関係で配置され、濃縮層は、ボードコアの密度より少なくとも約1.1倍高い密度を有する、濃縮層と、を備え、
(i)増強添加物が、第1スラリーの中に存在するとき、増強添加物は、第1スラリー中より、第2スラリー中により高い濃度で含まれ、
(ii)ボードコアは、濃縮層の厚さより大きい厚さを有し、
(iii)第2の水対漆喰の割合は、第1の水対漆喰の割合より少なくとも約1.2倍高い、複合石膏ボード。
【0184】
(47)濃縮層は、第1および第2濃縮層面を画定し、
ボードはさらに、上部カバーシートを備え、第1濃縮層面は、上部カバーシートに面し、
第2濃縮層面は、第1コア面に面する、実施形態46に記載の複合石膏ボード。
【0185】
(48)ボードはさらに、底部カバーシートを備え、第2コア面は、底部カバーシートに面する、実施形態47に記載の複合石膏ボード。
【0186】
(49)第2の水対漆喰の割合は、第1の水対漆喰の割合より少なくとも約1.4倍高い、実施形態46〜48のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0187】
(50)濃縮層は、ボードコアの平均コア硬度より、少なくとも約1.5倍大きい平均コア硬度を有する、実施形態46〜49のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0188】
(51)ボードコアは、約30pcf以下の乾燥密度を有する、実施形態46〜50のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0189】
(52)ボードコアは、約27pcf以下の乾燥密度を有する、実施形態46〜51のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0190】
(53)濃縮層は、ボードコア形成において使用される、少なくとも約1.2倍の増強添加物より形成される、実施形態46〜52のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0191】
(54)ボードは、約33pcf(約530kg/m
3)以下の密度を有し、ボードは、ASTM C473‐10の方法Bに従う、少なくとも約68lbの力の釘引き抜き抵抗を有する、実施形態46〜53のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0192】
(55)増強添加物は、デンプンを備える、実施形態46〜54のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0193】
(56)デンプンは、VMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの粘度を有する、アルファ化デンプンを備える、実施形態55に記載の複合石膏ボード。
【0194】
(57)(a)少なくとも水、漆喰および任意で増強添加物より形成される、硬化石膏を備える、ボードコアであって、密度を有し、第1コア面を画定する、ボードコアと、
(b)少なくとも水、漆喰および増強添加物より形成される、濃縮層であって、第1コア面に結合関係で配置される、濃縮層と、を備え、
(i)増強添加物が、コア形成において存在するとき、増強添加物は、ボードコア形成より濃縮層形成において、より高い濃度で含まれ、
(ii)ボードコアは、約30pcf以下の乾燥密度を有し、
(iii)濃縮層は、ボードコアの乾燥密度より高い乾燥密度を有する、複合石膏ボード。
【0195】
(58)濃縮層とボードコアとの密度差が、少なくとも約8pcf(約130kg/m
3)である、実施形態57に記載の複合石膏ボード。
【0196】
(59)濃縮層は、ボードコアの平均コア硬度より、少なくとも約1.5倍大きい平均コア硬度を有する、実施形態57または58に記載の複合石膏ボード。
【0197】
(60)濃縮層は、ボードコア形成において使用される、少なくとも約1.2倍の増強添加物より形成される、実施形態57〜59のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0198】
(61)ボードは、約33pcf(約530kg/m
3)以下の密度を有し、ボードは、ASTM C473‐10の方法Bに従う、少なくとも約68lbの力の釘引き抜き抵抗を有する、実施形態57〜69のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0199】
(62)増強添加物は、デンプンを備える、実施形態57〜61のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0200】
(63)(a)少なくとも水、漆喰および任意で増強添加物より形成される、硬化石膏を備える、ボードコアであって、密度を有し、第1コア面を画定する、ボードコアと、
(b)少なくとも水、漆喰および増強添加物より形成される、濃縮層であって、第1コア面に結合関係で配置され、ボードコアの密度より少なくとも約1.1倍高い密度を有する、濃縮層と、を備え、
(i)増強添加物が、コア形成において存在するとき、増強添加物は、ボードコア形成より濃縮層形成において、より高い濃度で含まれ、
(ii)濃縮層は、ボードコアのヤング率より、少なくとも約1.5倍高いヤング率を有し、
(iii)濃縮層は、ボードコアの乾燥密度より高い乾燥密度を有する、複合石膏ボード。
【0201】
(64)増強添加物は、デンプンを備える、実施形態63に記載の複合石膏ボード。
【0202】
(65)濃縮層は、ボードコアの平均コア硬度より、少なくとも約1.5倍大きい平均コア硬度を有する、実施形態63または64に記載の複合石膏ボード。
【0203】
(66)濃縮層は、ボードコア形成において使用される、少なくとも約1.2倍の増強添加物より形成される、実施形態63〜65のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0204】
(67)ボードは、約33pcf(約530kg/m
3)以下の密度を有し、ボードは、ASTM C473‐10の方法Bに従う、少なくとも約68lbの力の釘引き抜き抵抗を有する、実施形態63〜66のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0205】
(68)(a)少なくとも水、漆喰および任意で増強添加物より形成される、硬化石膏を備える、ボードコアであって、第1コア面を画定する、ボードコアと、
(b)少なくとも水、漆喰および増強添加物より形成される、濃縮層であって、第1コア面に結合関係で配置される、濃縮層と、を備え、
(i)増強添加物が、ボードコア形成において含まれるとき、増強添加物は、ボードコア形成より濃縮層形成において、より高い濃度で含まれ、
(ii)ボードコアは、濃縮層の厚さより大きい厚さを有し、
(iii)濃縮層は、ボードコアの平均コア硬度より、少なくとも約1.5倍大きい、平均コア硬度を有する、複合石膏ボード。
【0206】
(69)濃縮層は、ボードコア形成において使用される、少なくとも約1.2倍の増強添加物より形成される、実施形態68に記載の複合石膏ボード。
【0207】
(70)ボードは、約33pcf(約530kg/m
3)以下の密度を有し、ボードは、ASTM C473‐10の方法Bに従う、少なくとも約68lbの力の釘引き抜き抵抗を有する、実施形態68または69に記載の複合石膏ボード。
【0208】
(71)増強添加物は、デンプンを備える、実施形態68〜70のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0209】
(72)デンプンは、VMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの粘度を有する、アルファ化デンプンを備える、実施形態71に記載の複合石膏ボード。
【0210】
(73)ボードコアは、約30pcf以下の乾燥密度を有する、実施形態68〜72のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0211】
(74)濃縮層は、ボードコアのヤング率より、少なくとも約1.5倍高いヤング率を有する、実施形態68〜73のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0212】
(75)(a)少なくとも水、漆喰および任意で増強添加物より形成される、硬化石膏を備える、ボードコアであって、乾燥密度を有し、第1および第2コア面を正対関係で画定する、ボードコアと、
(b)少なくとも水、漆喰および増強添加物より形成される、濃縮層であって、第1コア面に結合関係で配置される、濃縮層と、を備え、
(i)増強添加物が、コア形成において存在するとき、濃縮層は、ボードコア形成において使用される、少なくとも約1.2倍の増強添加物より形成され、
(ii)ボードコアは、約30pcf以下の乾燥密度を有し、
(iii)濃縮層は、ボードコアの乾燥密度より高い乾燥密度を有する、複合石膏ボード。
【0213】
(76)ボードは、約33pcf(約530kg/m
3)以下の密度を有し、ボードは、ASTM C473‐10の方法Bに従う、少なくとも約68lbの力の釘引き抜き抵抗を有する、実施形態75に記載の複合石膏ボード。
【0214】
(77)増強添加物は、デンプンを備える、実施形態75または75に記載の複合石膏ボード。
【0215】
(78)デンプンは、VMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの粘度を有する、アルファ化デンプンを備える、実施形態77に記載の複合石膏ボード。
【0216】
(79)ボードコアは、約30pcf以下の乾燥密度を有する、実施形態75〜78のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0217】
(80)濃縮層は、ボードコアのヤング率より、少なくとも約1.5倍高いヤング率を有する、実施形態75〜79のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0218】
(81)濃縮層とボードコアとの密度差が、少なくとも約8pcf(約130kg/m
3)である、実施形態75〜80のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0219】
(82)(a)少なくとも水、漆喰、ならびに任意で分散剤および/またはポリリン酸塩のうちの一つまたは両方より形成される、硬化石膏を備える、ボードコアであって、乾燥密度を有し、第1および第2コア面を正対関係で画定する、ボードコアと、
(b)少なくとも水、漆喰ならびにポリリン酸塩および分散剤のうちの一つまたは両方より形成される、濃縮層であって、第1コア面に結合関係で配置される、濃縮層と、を備え、
(i)ポリリン酸塩および/または分散剤が、コア形成において存在するとき、ポリリン酸塩および/または分散剤は、ボードコア形成より濃縮層形成において、より高い濃度で含まれ、
(ii)濃縮層は、ボードコアの乾燥密度より高い乾燥密度を有する、複合石膏ボード。
【0220】
(83)濃縮層はさらに、増強添加物を原料とし、ボードコアは任意でさらに、増強添加物より形成され、増強添加物が、ボードコア形成において含まれるとき、増強添加物は、ボードコア形成より濃縮層形成において、より高い濃度で含まれる、実施形態82に記載の複合石膏ボード。
【0221】
(84)ボードコアは、約30pcf以下の乾燥密度を有する、実施形態82または83に記載の複合石膏ボード。
【0222】
(85)ボードは、約33pcf(約530kg/m
3)以下の密度を有し、ボードは、ASTM C473‐10の方法Bに従う、少なくとも約68lbの力の釘引き抜き抵抗を有する、実施形態82〜84のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0223】
(86)増強添加物は、デンプンを備える、実施形態82〜85のいずれか一つに記載の複合石膏ボード。
【0224】
(87)デンプンは、VMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの粘度を有する、アルファ化デンプンを備える、実施形態86に記載の複合石膏ボード。
【0225】
(88)(a)漆喰、水および増強添加物を備える、第1スラリーを調製するステップと、
(b)濃縮層を形成するように、第1カバーシートに結合関係で第1スラリーを塗布するステップであって、濃縮層は、第1面および第2面を有し、第1濃縮層面は、第1カバーシートに面する、ステップと、
(c)第2スラリーを形成するように、少なくとも水、漆喰および任意で増強添加物を混合するステップと、
(d)第1面および第2面を有するボードコアを形成するように、濃縮層に結合関係で第2スラリーを塗布するステップであって、第1ボードコア面は、第2濃縮層面に面する、ステップと、
(e)ボード前駆体を形成するように、第2ボードコア面に結合関係で第2カバーシートを塗布するステップと、
(f)ボードを形成するように、ボード前駆体を乾燥させるステップと、を含み、
i.第2スラリーが、増強添加物を包含するとき、増強添加物は、第2スラリーより第1スラリー中でより濃縮され、
ii.乾燥すると、ボードコアは、濃縮層の厚さより大きい厚さを有する、複合石膏ボードを作製する方法。
【0226】
(89)乾燥すると、濃縮層は、ボードコアの密度より、少なくとも約1.1倍高い密度を有する、実施形態88に記載の方法。
【0227】
(90)濃縮層とボードコアとの密度差が、少なくとも約8pcf(約130kg/m
3)である、実施形態88または89に記載の方法。
【0228】
(91)ボードは、約24pcf(約380kg/m
3)から約33pcf(約530kg/m
3)の密度を有する、実施形態88〜90のいずれか一つに記載の方法。
【0229】
(92)ボードは、約24pcf(約380kg/m
3)から約29pcf(約460kg/m
3)の密度を有する、実施形態88〜91のいずれか一つに記載の方法。
【0230】
(93)ボードは、約33pcf以下の密度と、ASTM C473‐10の方法Bに従う、少なくとも約68lbの力の釘引き抜き抵抗と、を有する、実施形態88〜92のいずれか一つに記載の方法。
【0231】
(94)ボードは、ASTM C473‐10の方法Bに従う、少なくとも約72lbの力の釘引き抜き抵抗を有する、実施形態88〜93のいずれか一つに記載の方法。
【0232】
(95)第2スラリーはさらに、漆喰を備える、実施形態88〜94のいずれか一つに記載の方法。
【0233】
(96)第1スラリーは、第1ミキサーの中で混合され、第2スラリーは、第2ミキサーの中で混合される、実施形態95に記載の方法。
【0234】
(97)増強添加物は、デンプンを備える、実施形態88〜96のいずれか一つに記載の方法。
【0235】
(98)デンプンは、VMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの粘度を有する、アルファ化デンプンを備える、実施形態97に記載の方法。
【0236】
(99)乾燥すると、濃縮層は、約0.02インチ(約0.05cm)から約0.2インチ(約0.5cm)の厚さを有する、実施形態88〜98のいずれか一つに記載の方法。
【0237】
(100)第1スラリーは、第2スラリー中に包含される増強添加物の少なくとも約1.2倍を包含する、実施形態88〜100のいずれか一つに記載の方法。
【0238】
(101)乾燥すると、濃縮層は、ボードコアの平均コア硬度より、少なくとも約1.5倍大きい平均コア硬度を有する、実施形態88〜100のいずれか一つに記載の方法。
【0239】
(102)(a)約0.7から約2の水対漆喰の割合を有する、第1スラリーを形成するように、少なくとも水、漆喰および増強添加物を混合するステップと、
(b)第1面および第2面を有する濃縮層を形成するように、第1カバーシートに結合関係で第1スラリーを塗布するステップと、
(c)約0.3から約1.1の水対漆喰の割合を有する、第2スラリーを形成するように、少なくとも水、漆喰および任意で増強添加物を混合するステップと、
(d)第1密度を有するボードコアを形成するように、濃縮層に結合関係で第2スラリーを塗布するステップであって、ボードコアは、第1面および第2面を有し、第1ボードコア面は、濃縮層第1面に面し、第2濃縮層面は、第1カバーシートに面する、ステップと、
(e)ボードを形成するように、第2コア面に結合関係で第2カバーシートを塗布するステップと、
(f)ボードを乾燥させるステップと、を含み、
i.第2スラリーが、増強添加物を包含するとき、増強添加物は、第2スラリーより第1スラリー中でより濃縮され、
ii.乾燥すると、ボードコアは、濃縮層の厚さより大きい厚さを有する、複合石膏ボードを作製する方法。
【0240】
(103)乾燥すると、濃縮層は、ボードコアの密度より、少なくとも約1.1倍高い密度を有する、実施形態102に記載の方法。
【0241】
(104)乾燥すると、濃縮層は、約0.02インチ(約0.05cm)から約0.2インチ(約0.5cm)の厚さを有する、実施形態102または103に記載の方法。
【0242】
(105)第1スラリーは、第1ミキサーの中で混合され、第2スラリーは、第2ミキサーの中で混合される、実施形態102〜104のいずれか一つに記載の方法。
【0243】
(106)第2ミキサーは、第1ミキサーより大きい混合容積を有する、実施形態105に記載の方法。
【0244】
(107)第2カバーシートとボードコアとの間に、結合層を塗布するステップをさらに含む、実施形態102〜106のいずれか一つに記載の方法。
【0245】
(108)ボードは、約24pcf(約380kg/m
3)から約33pcf(約530kg/m
3)の密度を有する、実施形態102〜107のいずれか一つに記載の方法。
【0246】
(109)ボードは、約24pcf(約380kg/m
3)から約29pcf(約460kg/m
3)の密度を有する、実施形態102〜108のいずれか一つに記載の方法。
【0247】
(110)ボードは、約33pcf(約530kg/m
3)以下の密度と、ASTM C473‐10の方法Bに従う、少なくとも約68lbの力の釘引き抜き抵抗と、を有する、実施形態102〜109のいずれか一つに記載の方法。
【0248】
(111)ボードは、ASTM C473‐10の方法Bに従う、少なくとも約72lbの力の釘引き抜き抵抗を有する、実施形態102〜110のいずれか一つに記載の方法。
【0249】
(112)増強添加物は、デンプンを備える、実施形態102〜111のいずれか一つに記載の方法。
【0250】
(113)デンプンは、VMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの粘度を有する、アルファ化デンプンを備える、実施形態112に記載の方法。
【0251】
(114)乾燥すると、濃縮層は、ボードコアの平均コア硬度より、少なくとも約1.5倍大きい平均コア硬度を有する、実施形態102〜113のいずれか一つに記載の方法。
【0252】
前述は単に実施形態の例であることに、留意すべきである。他の例示的な実施形態は、本明細書の全記載から明らかである。これらの実施形態の各々を、本明細書に提供する他の実施形態と様々に組み合わせて使用してもよいことは、当業者には理解されるであろう。
【0253】
以下の実施例では、さらに本発明を説明するが、もちろん決して、その範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0254】
実施例1
本実施例は、本開示の原理に従う、異なるタイプのボードサンプルの強度の特徴を実証する。
【0255】
具体的には、三つの異なるボードを試験した。ボード1は、濃縮層のない比較用ボードであった。ボード2および3は、各々が本開示の原理に従って、濃縮層およびボードコアを包含する、複合石膏ボードであった。各ボードは、表紙も裏紙も含まない、約26pcfの合成密度で、約1/2インチの厚さに調製された。
【0256】
各ボードは、
図1に示す全般的な配置に従い、6インチ×6インチの実験室サンプルとして生成された。各ボードは、48lb/MSFの坪量を有する表紙と、42lb/MSF(MSF=1000ft
2)の坪量を有する裏紙とを包含した。各ボードの濃縮層(存在する場合)およびボードコアのそれぞれの厚さおよび密度を、表1Aおよび1Bに提供する。
【0257】
増強添加物は、VMA法に従って決定された、773センチポイズの粘度を有するアルファ化トウモロコシデンプンであった。ボード2および3では、増強添加物が、ボードコア中より濃縮層中でより濃縮されたことが表1Aおよび1Bに見ることができる。
【0258】
釘引き抜き抵抗は、ASTM 473‐10の方法Bに従って試験された。釘引き抜き値は表1Cで報告する。
【0262】
表1Cから分かり得る通り、比較サンプル(ボード1)は、低い釘引き抜き抵抗値を有する一方、複合ボード2および3の両方は、釘引き抜き抵抗の向上を呈した。したがって、本実施例は、本開示による改良された複合設計は、表紙に隣接する濃縮層を取り入れることによって、釘引き抜き抵抗を強化することを示す。濃縮層は、本開示の原理に従って、考慮すべき厚さによって、望ましい釘引き抜き抵抗に寄与する。
【0263】
実施例2
本実施例は、濃縮層を表す石膏円板における、様々なデンプンの強度への効果を実証する。各組成物は表2に説明する原料を含むが、表3に示す通り、デンプンのタイプが異なった。特に組成物2Aは、デンプンを全く含まない、比較用の組成物であった。組成物2Bは、米国特許第2014/0113124号A1で説明される通り、VMA法に従って測定されるような、80cPの粘度を有するアルファ化デンプンの形態である、加熱デンプンを含んでいた。組成物2C〜2Oは、表3に示す通り、様々な生デンプンのうちの一つを含んだ。
【0265】
円板は、別個のスラリー組成物2A〜2Oより調製された。比較組成物2Aでは、デンプンがないため、総重量は799.8gであった。各組成物は、組み合わせられた乾燥および湿潤混合物より調製された。各湿潤混合物は、Conair Corp.(ニュージャージー州イーストウィンザー)から市販されているWaringブレンダー(型式CB15)のミキシングボウルの中で、水、分散剤、抑制剤1%溶液、分散剤およびトリメタリン酸ナトリウム10%溶液の重さを量ることで調製された。トリメタリン酸ナトリウム10%溶液は、トリメタリン酸ナトリウムの割合10(重量)を、水90(重量)の割合で溶解することによって調製し、一方、抑制剤1%溶液は、ジエチレントリアミン五酢酸の五ナトリウム塩(ミシガン州ミッドランドのDOW Chemical Companyから市販されているVersene(登録商標) 80)の水溶液から成り、Versenex(登録商標) 80の割合1(重量)を水99(重量)の割合で混合することによって調製された。残りの原料、特に、漆喰、耐熱促進剤およびデンプン(存在する場合)は重さを量り、乾燥混合物の中で調製された。耐熱促進剤は、すりつぶした粉末石膏およびデキストロースから成っていた。乾燥混合物は、湿潤原料と共にブレンダーの中に注がれ、5秒間浸され、その後15秒間高速で混合された。
【0266】
円板の密度(したがって、重量)を減少させるために、泡を追加した。泡の調製のため、Hyonic(登録商標)PFM‐33石鹸(ペンシルベニア州アンブラーのGEO Specialty Chemicalから市販されている)の0.5%溶液を形成して、その後、空気泡を作るように空気と混合した。泡発生器を使用して、空気泡をスラリーに追加した。泡発生器は、乾燥した最終円板の密度38pcfを入手するのに充分な速度で動作させた。
【0267】
泡の追加後、スラリーは即座に、円板サンプルを形成するのに適した型のリング(内径4”および厚さ0.5”)タイプの中に注がれた。型の表面は、カリフォルニア州サンディエゴのWD−40 Companyから市販されているWD40(登録商標)の形態である潤滑剤で、予め噴霧されていた。スラリーは、型のリング上部のわずかに上にある地点に注がれた。余分なスラリーは、石膏が型にはまるとすぐに、こすり落とされた。円板が型の中で硬くなった後、円板は型から取り除かれ、300°F(149℃)で60分間加熱され、その後、110°F(43℃)で約48時間、一定の重量に到達するまで乾燥された。オーブンからの除去に続き、円板は、室温で1時間冷却することができた。最終円板は、4インチ(10.16cm)の直径および0.5インチ(1.27cm)の厚さという寸法であった。
【0268】
強度は、圧縮強度および釘引き抜き抵抗を測定することによって試験された。釘引き抜き抵抗は、ASTM 473‐10、方法Bに従って試験された。圧縮強度は、MTS Systems Corp.(ミネソタ州エデンプレイリー)からSATE(登録商標) E/M Systemsとして市販されている、材料試験システムを使用して測定した。衝撃を加えずに、0.04インチ/minの速度で(15から40psi/sの一定の割合により)継続的に荷重をかけた。結果を表3に示す。
【0272】
デンプンが濃縮層に使用される実施形態では、強度に関する性能の向上が示す通り、加熱デンプンおよび生デンプンの両方が、強度を向上させるための増強添加物として利点を有することを、本実施例は示している。表3から分かる通り、生デンプンおよび加熱デンプンは、デンプンなしの比較組成物を上回る、考慮すべき強度の向上を示し、値の多くが、デンプンなしの対照群の強度より約50%以上、デンプンなしの対照群の強度より約75%以上、またはデンプンなしの対照群の強度よりおおよそ100%以上高かった。
【0273】
所望のデンプンが、強度向上のために石膏結晶間に追加の結合を提供することから、本発明の様々な実施形態により、加熱デンプンおよび生デンプンの両方から示される、円板に見られる強度の向上は、一部の実施形態による、石膏ウォールボードの濃縮層におけるこれらのデンプンの有用性を示す。デンプンは、強度を向上させるのに効果的であり、それによって、酸変性の移動デンプンによる場合に反して、移動の欠如を示唆した。それゆえ、実施例は、デンプンが濃縮層において効果的であろうことを示している。
【0274】
実施例3
本実施例は、濃縮層における任意での繊維の使用を実証する。具体的には、二つのタイプのスラリーが調製された。各スラリーはその後、製造ラインの湿潤境界上で調製され試される、別個の生産ボードの中で濃縮層を形成するように使用された。一つのタイプのスラリー(組成物3A)は、繊維を全く包含せず、他方のタイプのスラリー(組成物3B)は、0.5インチ(25,400μm)の繊維長および15.24〜16.51μmの直径を有し、それによって、約1540対約1670のアスペクト比(長さ÷直径)を有するガラス繊維を包含していた。ガラス繊維は、Johns Manville Inc.,(コロラド州デンバー)から市販されている、DuraCore(登録商標) SF+ 1/2M300のチョップドストランドの形態であった。
【0275】
説明のみの目的で、濃縮層に対する通常の代表的な処方範囲が表4に提供され、低および高の縦列は、実施形態によって低と高との間にある所望される原料範囲の例を示唆するように提供される。他の代表的な処方および実施形態は、提供された原料に対する範囲を含め、本明細書の全体の記載から用意に解明されるであろう。試した処方を表5Aおよび5Bに提供する。表5Aおよび5Bに見られ得る通り、ガラス繊維の違いのほかは、二つの処方は同一であった。
【0279】
耐熱促進剤は、細かくした粉末石膏およびデキストロースから成っていた。各スラリー組成物は、コアを調製する主ミキサーとは別に、濃縮層専用の二次ミキサーの中で混ぜ合わせられた、乾燥および湿潤原料から調製された。トリメタリン酸ナトリウム、抑制剤および分散剤を液状で追加した。抑制剤は、ジエチレントリアミン五酢酸の五ナトリウム塩(ミシガン州ミッドランドのDOW Chemical Companyから市販されているVersenex(登録商標) 80)の形態であった。分散剤は、ポリナフタレンスルホン酸カルシウム塩(poly naphthalene sulfonate calcium salt)(カナダ、カンディアクのRuetgers Polymersから販売されているDURASAR(登録商標))の形態であった。アラムは任意で、所望の場合、石膏の水和速度を修正するために含まれ得る。
【0280】
泡が濃縮層中に含まれ、両スラリーから生成された濃縮層の密度は、乾燥時で36pcfであった。泡の調製には、STEOL(登録商標) CS230およびPolystep 25発泡剤(イリノイ州ノースフィールドのStepan Co.から市販されている)の混合物の溶液を形成し、その後、泡発生器を使用して空気泡を作るように、空気と混合した。二次ミキサーで、空気泡をスラリーに追加した。追加した泡の量は、重量で発泡剤の1%であった。発泡剤(1%溶液)は、水の割合100(重量)の中に、発泡剤1(重量)の割合を溶解することによって調製した。
【0281】
当該技術分野でよく知られる通り、製造ライン上で試験ボードを調製するために、紙はコンベア上の連続ロールの上に放出された。濃縮層のスラリーは、二次ミキサーから送り出され、コンベアに沿って高速(600フィート/minを上回る)で動いて、紙の上に広げられた。従動ローラーが紙に対して直角に位置づけられ、紙に濃縮スラリーを塗るように使用された。ローラーは通常、紙が動く方向と反対の方向に回転する。スラリーが、最終的に完成ボード製品の端部を形成するように、紙の端部を超えて、ローラーの境界周辺を動くことが可能となるように、ローラーの長さは紙の幅よりわずかに短かった。ローラーは普通、紙の下の第2ローラーと連動し、ローラー間には、紙の厚さがローラーの間を動くことを可能にするのに充分な間隙がある。
【0282】
ローラーがスラリーの前進を妨害すると、回転ローラーの接線速度によって主に制御されて、スラリー頭部がローラーの背後でかつローラーの上流に形を成す。頭部は、広がりを提供して、入ってくる材料を減速するのを助けるスラリーの在庫であり、濃縮層および端部を形成するのに、適切な量のスラリーを準備する。スラリーは、頭部から拭き取られて、ローラーによってローラーの下流側へ運ばれ、紙上に再び堆積して、ボードの濃縮層になる箇所を広げるように拡散される。任意で、当該技術分野において知られる通り、頭部内に包含されるスラリーの密度をその後変化させる、使用する石鹸または泡の空気の量を変化させることによって、スラリーの体積を調製するために、頭部を制御するようレーザーを使用し得る。下流にはコアのスラリーが主ミキサーから濃縮層の上に堆積し、既知の技術を使用して、ボードの加工を完了する。
【0283】
図3〜6は、ガラス繊維なし(組成物3A、
図3および5)、および任意のガラス繊維あり(組成物3B、
図4および6)のスラリーを使用した製造試験から、スラリー頭部(
図3〜4)と、ローラー周辺の端部の形成(
図5〜6)とを描写する画像を示す。組成物3Aを使用して行う同一の試験が実施され、
図3および5に示す状態を示した一方で、組成物3Bを使用して行う同一の試験が実施され、
図4および6に示す状態を示した。
【0284】
図3〜4に見られる通り、濃縮層のスラリーは、ローラー400または500によって、紙カバーシート402または502に塗布された。
図3に示すガラス繊維なしのスラリーが、ローラー400の上流の紙402上に堆積し、堆積したスラリーは、波立って不均等なスラリー404として一列で、ローラー400の方へ動いた。流体力学的不安定性408によって、望ましくない空気連行がもたらされ、ガラス繊維なしのスラリーは、結果としてより扇形のスラリー頭部406となった。一方、
図4に示すガラス繊維ありのスラリーが、ローラー500の上流の紙502上に堆積し、堆積したスラリーは、安定したより波の少ないスラリー504として一列で移動した。ガラス繊維ありのスラリーは、流動学的特性の変化の結果としての、より安定的なスラリー508によって、結果として扇型になることが少なく、より一層滑らかな頭部506となった。扇形を包含する頭部406は、様々な長さおよび時間の尺度において、不安定な流動力学を作り出す傾向があり、それによって、製品をキルン乾燥すると、空隙、ブリスターまたは紙の層間剥離などの欠陥をもたらし得る。
【0285】
図5は
図3に示す試験に一致し、
図6は
図4に示す試験に一致する。特に
図5〜6は、ローラー400または500の端部410または510を示す。端部スラリー412または512は、生成されるボードの端部を最終的に形成するように、ローラー400または500の端部410または510周囲に形成される。ガラス繊維なしのスラリーは、
図5に見られる通り、結果としてよりむらがある端部となり、空隙、ブリスター、紙の層間剥離、柔らかいおよび/または硬い端部、ならびに端部形成および製造プロセスへの全体的な混乱を引き起こし得る。
図5に見られる通り、紙402の端部を超えて、端部スラリーの望ましくない跳ね上がり414がある。流れの変動によって、スラリーがローラー400の上方へ一部持ち上げられるとき、波416の形成が発生し得るため、波416が端部に到達すると、望ましくない形で跳ね上がりが引き起こされる。
図6に見られる通り、スラリー端部512はより制御され、紙502を超えて跳ね上がらない。ガラス繊維ありのスラリーは、
図6に見られる通り、端部の変動が少なく、その結果、より制御され、空隙、ブリスター、紙の層間剥離、柔らかいおよび/または硬い端部、ならびに製造プロセスへの他の混乱などの欠陥が起こる機会が減少した。
【0286】
ガラス繊維などの繊維が、濃縮層には必要ないことは理解されるであろう。ブリスター、空隙、層間剥離、不十分な端部などを含む欠陥は、様々な機械的手段または当該技術分野でよく知られる他の手段によってなど、他の手段で制御され得る。例えば、スラリー中の大きなエアポケットを除去するために、コンベアの下で機械のバイブレーターを使用し得る。加えて、スラリースプレッダーの使用、スラリー分配装置、頭部制御手段、ならびにミキサーの排出、ライン速度および処方の粘度に対する調整などを含む、他の機械または他のプロセスの調整については理解されるであろう。これらの機械および他の技術の例は、単独でまたは容認可能な結果を提供するガラスと組み合わせて使用し得る。
【0287】
実施例4〜10
以下の実施例4〜10では、スラリー組成物を次のように調製した。各スラリー組成物は、ミキサー(すなわち、コアのスラリー用の主ミキサー、および濃縮層のスラリー専用の二次ミキサー)の中で組み合わせられた、乾燥および湿潤原料から調製された。水、トリメタリン酸ナトリウム、抑制剤、分散剤およびアラムを液状で追加した。抑制剤は、ジエチレントリアミン五酢酸の五ナトリウム塩(ミシガン州ミッドランドのDOW Chemical Companyから市販されているVersenex(登録商標) 80)の形態であった。分散剤は、ポリナフタレンスルホン酸カルシウム塩(poly naphthalene sulfonate calcium salt)(カナダ、カンディアクのRuetgers Polymersから販売されているDURASAR(登録商標))の形態であった。漆喰、耐熱促進剤、ガラス繊維およびデキストロースを固形で追加した。所望の場合、石膏の水和速度を修正するために、アラムを任意で含めた。耐熱促進剤は、細かくした粉末石膏およびデキストロースから成っていた。裏(news−line)紙のカバーシートとの結合を向上させるために、一部の例では追加のデキストロースを追加した。
【0288】
コアのスラリーおよび濃縮層のスラリーには泡を含めた。泡の調製には、STEOL(登録商標) CS230およびPolystep 25発泡剤(イリノイ州ノースフィールドのStepan Co.から市販されている)の混合物の溶液を形成し、その後、泡発生器を使用して空気泡を作るように、空気と混合した。空気泡の密度は、1立方フィート当たりおよそ4.5lbであった。空気泡は、主ミキサーの排出導管で追加され、二次ミキサーで濃縮スラリーに追加された。特定原料の重量パーセントは、それ自体の重量対湿潤スラリー(したがって、紙以外)の全組成物に基づく。当業者が理解するであろう通り、総計のいかなる不一致も、例えば、ポンプおよび流量計などの機器からの測定値の有効限度によるなど、個々の原料に関する値の丸めのためである。
【0289】
実施例4
本実施例は、石膏ボードの中に濃縮層を含む利点を実証する。実施例は、濃縮層が釘引き抜きの性能を強化することを示す。二つのボード、ボード4Aおよびボード4Bが調製された。ボード4Aは濃縮層を包含せず、ボード4Bは包含していた。ボード4Aおよび4B調製用のスラリー組成物については、表6および7でそれぞれ説明する。
【0292】
ボード4Aおよび4Bは各々、実施例3に記載した通り、コアのスラリーを2枚の紙の間に堆積させ、ボード前駆体の連続リボンを形成する連続したプロセスにおいて、湿潤および乾燥原料を組み合わせるように、主要ピンミキサーを使用して、高速(600ft/minを上回る)のボード製造ライン(機械)上で調製された。濃縮層は、湿潤および乾燥原料を混ぜるように、二次ボードミキサーを用いて、ボード4Bを調製する際に使用された。塗布ローラーを使用してこの濃縮層のスラリーを表紙に塗布し、コアのスラリーを主ミキサーの排出導管からその上に堆積させた。最終ボード4Aおよび4Bを形成するために、前駆体を加工しキルン乾燥した。ボードの特性および寸法を表8で説明する。
【0294】
本実施例は、ボード製品の強度強化における、濃縮層の利点を示す。表8に見られる通り、濃縮層を含んだボード4Bは、釘引き抜き(抵抗)値の増加をもたらした。特に明記しない限り、本明細書における用語「釘引き抜き」は、ASTM 473‐10の方法Bに従って測定するときの釘引き抜き抵抗を指すことは理解されるであろう。そのような釘引き抜きの改善は、ボードの分野において、強度を提供し性能を強化するのに有益である。有利なことに、濃縮層を用いた釘引き抜きの増加は、ボードの重量およびウォールボード製品製造のコストを削減するのに使用し得る。
【0295】
実施例5
本実施例は、石膏ボードに濃縮層を使用する利点を実証する。特に、スラリー中の原料を濃縮層形成に合わせることは、有益であり得る。濃縮層が強固になる速度は、主要(コア)スラリーがボード製造プロセス中に濃縮層のスラリーと出合うとき、濃縮層の流出をもたらすように、任意で調整し得る。流出は、コアのスラリーが、連続する製造プロセス中に濃縮層の上に分配されるときに発生し得る、濃縮層の除去を指す。流出によって、望ましくない方法で、製品の不均一および釘引き抜きの減少をもたらし得る。二つのボード、ボード5Aおよび5Bが調製された。ボード5Aおよび5B調製用の組成物については、表9および10でそれぞれ説明する。
【0296】
本実施例における漆喰スラリー(時には、石膏スラリーと呼ばれる)を強固にする速度は、アラムおよび抑制剤を使用して変更された。アラムの量をボード5Bにおいて減少して、硬化の速度を減少させ、抑制剤もボード5Bに追加して、硬化の速度を減少させた。
【0299】
ボード5Aおよび混合物5Bは各々、コアのスラリーを2枚の紙の間に堆積させ、ボード前駆体の連続リボンを形成するように、実施例3に記載した通り、連続したプロセスにおいて、湿潤および乾燥原料を組み合わせるように、主要ピンミキサーを使用して、高速機械上で調製された。濃縮層を使用してボード5Aおよび5Bを調製し、二次ボードミキサーを用いて、湿潤および乾燥原料を混ぜた。塗布ローラーを使用してこの濃縮層のスラリーを表紙に塗布し、コアのスラリーを主ミキサーの排出導管からその上に堆積させた。最終ボード5Aおよび5Bを形成するために、前駆体を加工しキルン乾燥した。ボードの特性および寸法を表11で説明する。
【0300】
流出は、サンプルの至る所の密度勾配を判定するために、X線技術を利用する、密度プロフィリメーター(profilimeter)マシン(すなわち、テネシー州ノックスビルのQuintek Measurement Systems, Inc.から市販されているQDP−01X Density Profiler)を利用して測定した。ボード5Aおよび5Bから取られた1インチのサンプルを調製し、ボードの幅方向で切断したため、各ボードの全体の幅および厚さを表すように、密度プロファイルを集めることができた。
【0302】
本実施例は、ボード5Aおよび5Bの両方が効果的であったことから、濃縮層を使用する利点を示す。より少ない流出を呈したため、より好ましいのはボード5Aであった。強固になる速度が減少したとき、より好ましいボードがもたらされた。表11に見られる通り、ボード5Aは、ボード5Bと比較すると、製造プロセス中において、濃縮層との接触による主要スラリーの流出に抵抗する能力が増大することを実証した。この点において、ボード5Aは、より少ない量の抑制剤およびより多くのアラムを使用して調製され、結果として流出がより少なくなったという点で、ボード5Bと異なる一方、ボード5Bは、より多くの抑制剤を使用して調製したが、含められたアラムはより少なかった。両方のボードとも有用な製品であったものの、表11に示す結果は、ボード5Bと比較すると、ボード5Aは50%少ない流出を示している。
【0303】
実施例6
本実施例は、石膏ボードに濃縮層を含む利点を実証する。特に、濃縮層形成用のスラリー組成物は、増強添加物を含むように合わせ得る。本実施例が示すように、デンプン濃度は、主要(コア)スラリーがボード製造プロセス中に濃縮層のスラリーと出合うとき、濃縮層の流出を減少させるように使用され得る。二つのボード、ボード6Aおよび6Bが調製された。ボード6Aおよび6B調製用のスラリー組成物については、表12および13でそれぞれ説明する。
【0306】
ボード6Aおよび6Bは各々、コアのスラリーを2枚の紙の間に堆積させ、ボード前駆体の連続リボンを形成するように、実施例3に記載した通り、連続したプロセスにおいて、湿潤および乾燥原料を組み合わせるように、主要ピンミキサーを使用して、高速機械上で調製された。濃縮層を使用してボード6Aおよび6Bを調製し、二次ボードミキサーを用いて、湿潤および乾燥原料を混ぜた。塗布ローラーを使用してこの濃縮層のスラリーを表紙に塗布し、コアのスラリーを主ミキサーの排出導管からその上に堆積させた。最終ボード6Aおよび6Bを形成するために、前駆体を加工しキルン乾燥した。ボードの特性を表14で説明する。流出は実施例5に記載する通りに測定した。
【0308】
本実施例は濃縮層を有する利点を示す。特に、コアのスラリーと比較すると、濃縮層のスラリー中により高い濃度のアルファ化デンプンを有することは有益であったことが分かり得る。表14に見られる通り、ボード6Bと比較すると、ボード6Aは流出がより多いことが実証された。この点において、ボード6Aは、より少ない量のアルファ化デンプンを使用して調製され、その結果より大きな流出をもたらしたという点で、ボード6Bと異なった一方、ボード6Bは、スラリー中により多くのアルファ化デンプンを含んでいた。表14に示す結果は、ボード6Aと比較すると、ボード6Bでは流出が75%減少したことを示す。例えば、アルファ化デンプンといった増強添加物を濃縮層中により多く使用することで、添加物を、最も多くの利点が見られる、すなわち、濃縮層中により多く置くため、かかる費用がより少なくなり、より効率的になり得る。
【0309】
実施例7
本実施例は、石膏ボードに濃縮層を含む利点を実証する。特に、濃縮層の密度は、釘引き抜きを向上させるように使用され得ることを示す。濃縮層中に包含される泡の量を変えることによって、密度を修正した。二つのボード、ボード7Aおよび7Bが調製された。ボード7Aおよび7B調製用のスラリー組成物については、表15および16でそれぞれ説明する。
【0312】
ボード7Aおよび7Bは各々、コアのスラリーを2枚の紙の間に堆積させ、ボード前駆体の連続リボンを形成するように、実施例3に記載した通り、連続したプロセスにおいて、湿潤および乾燥原料を組み合わせるように、主要ピンミキサーを使用して、高速機械上で調製された。濃縮層を使用してボード7Aおよび7Bを調製し、二次ボードミキサーを用いて、湿潤および乾燥原料を混ぜた。塗布ローラーを使用してこの濃縮層のスラリーを表紙に塗布し、コアのスラリーを主ミキサーの排出からその上に堆積させた。最終ボード7Aおよび7Bを形成するために、前駆体を加工しキルン乾燥した。ボードの特性および寸法を表17で説明する。
【0314】
本実施例は、濃縮層を使用する利点および効率性を示す。濃縮層中に強度添加物および密度を集中させることによって、全体的な強度の利点を効率的に提供する。両方のボードは、効果的な釘引き抜きを呈した。表17に見られる通り、ボード7Bと比較して、ボード7Aは釘引き抜きの低下を実証した。この点において、ボード7Aは、濃縮層のスラリー中により多くの発泡剤を使用して調製され、その結果より低い密度をもたらした点で、ボード7Bとは異なり、ボード7Bは濃縮層のスラリー中に含む泡がより少なく、その結果より高い密度となった。しかし、ボード7Bが、より高い重量パーセントのデンプンを伴って調製されたため、結果は類似であった。表17に示す結果は、濃縮層中において密度の増加を集中させ、濃縮層のスラリー中で増強添加物の用量を増加させる(重量パーセントで)ことは、効率的に釘引き抜きを増加させるのに効果的であることを示す。
【0315】
実施例8
本実施例は、石膏ボードに濃縮層を含む利点を実証する。濃縮層中のデンプン濃度は、釘引き抜きを向上させるように使用し得る。二つのボード、ボード8Aおよび8Bが調製された。本例では、試験条件下において流出がより広く認められたため、釘引き抜きの差を、流出が広まっていなかった、ボードの縦方向側(コーダーのない側)に沿って測定した。ボード8Aおよび8B調製用のスラリー組成物については、表18および19でそれぞれ説明する。
【0318】
ボード8Aおよび8Bは各々、コアのスラリーを2枚の紙の間に堆積させ、ボード前駆体の連続リボンを形成するように、実施例3に記載した通り、連続したプロセスにおいて、湿潤および乾燥原料を組み合わせるように、主要ピンミキサーを使用して、高速機械上で調製された。濃縮層を使用してボード8Aおよび8Bを調製し、二次ボードミキサーを用いて、湿潤および乾燥原料を混ぜた。塗布ローラーを使用してこの濃縮層のスラリーを表紙に塗布し、コアのスラリーを主ミキサーの排出導管からその上に堆積させた。最終ボード8Aおよび8Bを形成するために、前駆体を加工しキルン乾燥した。ボードの特性および寸法を表20で説明する。
【0320】
本実施例は濃縮層を使用する利点を示す。両方のボードが、濃縮層中のより高い濃度のデンプンによって、優れた釘引き抜きを実証した。より高い濃度のアルファ化デンプンを濃縮層に追加することで、より優れた強度をもたらされた。表20に見られる通り、ボード8Bと比較して、ボード8Aは釘引き抜きがより低くなることが実証された。この点において、ボード8Aは、ボード8Aの濃縮層を、より少ないアルファ化デンプンを使用して調製し、その結果より低い釘引き抜きをもたらしたという点で、ボード8Bと異なる一方、ボード8Bの濃縮層のスラリーはより多くのデンプンを含み、その結果より高い釘引き抜きをもたらした。表20に示す結果は、濃縮層のデンプン濃度が、釘引き抜きの結果を修正するように使用され得ることを示す。
【0321】
実施例9
本実施例は、石膏ボードに濃縮層を含む利点を示す。釘引き抜きの向上を達成するための、濃縮層の代表的な厚さを示す。本明細書中に記載する通り、他の厚さも使用し得る。二つのボード、ボード9Aおよび9Bが調製された。厚さは、塗布ローラーの速度を増大させ、濃縮層の広がりを狭めることによって修正され、それによってより厚くなった。9Aおよび9B調製用の組成物については、表21および22でそれぞれ説明する。
【0324】
ボード9Aおよび9Bは各々、コアのスラリーを2枚の紙の間に堆積させ、ボード前駆体の連続リボンを形成するように、実施例3に記載した通り、連続したプロセスにおいて、湿潤および乾燥原料を組み合わせるように、主要ピンミキサーを使用して、高速機械上で調製された。濃縮層を使用してボード9Aおよび9Bを調製し、二次ボードミキサーを用いて、湿潤および乾燥原料を混ぜた。塗布ローラーを使用してこの濃縮層のスラリーを表紙に塗布し、コアのスラリーを主ミキサーの排出導管からその上に堆積させた。最終ボード9Aおよび9Bを形成するために、前駆体を加工しキルン乾燥した。ボードの特性および寸法を表23で説明する。
【0326】
本実施例は濃縮層を使用する利点を示す。両方のボード9Aおよび9Bは充分に強く効果的であったが、濃縮層の厚さを増加させることで強度が強化された。両方のボードは、より高い濃度の増強添加物(デンプン)を濃縮層に包含していた。表23に見られる通り、ボード9Bと比較して、ボード9Aは釘引き抜きがより低くなることが実証された。この点において、ボード9Aは、塗布ローラーでより低速を使用して調製され、結果としてより薄い濃縮層がもたらされたという点で、ボード9Bとは異なり、ボード9Bは、塗布ローラーでより高速を使用して調製され、結果としてより薄い濃縮層がもたらされた。表23に示す結果は、濃縮層の厚さだけでなく、濃縮層中のデンプン濃度の増加が、釘引き抜きの結果を修正するように使用され得ることを示す。
【0327】
実施例10
本実施例は、濃縮層がボード重量目標の1,100lb/MSF(約5370g/m
2)で、釘引き抜き性能を強化することを実証する。二つのボード、ボード10Aおよびボード10Bが調製された。ボード10Bは濃縮層を包含せず、ボード10Aは包含していた。ボード10Aおよび10B調製用のスラリー組成物については、表24および25でそれぞれ説明する。組成物は実施例3に記載する通りに調製された。
【0330】
ボード10Aおよび10Bは各々、コアのスラリーを2枚の紙の間に堆積させ、ボード前駆体の連続リボンを形成するように、実施例3に記載した通り、連続したプロセスにおいて、湿潤および乾燥原料を組み合わせるように、主要ピンミキサーを使用して、高速機械上で調製された。濃縮層を使用してボード10Aを調製し、二次ボードミキサーを用いて、湿潤および乾燥原料を混ぜた。塗布ローラーを使用してこの濃縮層のスラリーを表紙に塗布し、コアのスラリーを主ミキサーの排出導管からその上に堆積させた。最終ボード10Aおよび10Bを形成するために、前駆体を加工しキルン乾燥した。ボードの特性および寸法を表26で説明する。
【0332】
本実施例は濃縮層を使用する利点を示す。表26に見られる通り、ボード10Bと比較して、ボード10Aは釘引き抜きがより高くなることが実証された。この点において、ボード10Aは、コアのスラリーと比較して、より高い濃度のアルファ化デンプンを含む濃縮層のスラリーを使用して調製され、その結果より高い釘引き抜きをもたらしたという点で、ボード10Bと異なり、ボード10Bは濃縮層を含まなかった。表26に示す結果は、高濃度のアルファ化デンプンを包含する濃縮層を、釘引き抜きを増加させるように使用し得ることを示す。
【0333】
本明細書に引用される公報、特許出願および特許を含む、すべての参照は、あたかも各参照が参照により組み込まれるように、個々にかつ具体的に示され、本明細書に全体として説明されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0334】
本発明を記載する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)語「一つの」および「前記」および「少なくとも一つの」ならびに類似の指示語の使用は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、単数形および複数形の両方を対象とすると解釈されるべきである。一つ以上の項目のリストが続く「少なくとも一つ」と言う語の使用(例えば、「AおよびBのうちの少なくとも一つ」)は、本明細書に別段の指示が無い限り、または文脈によって明確に否定されない限り、記載した項目から選択される一つの項目(AまたはB)、または記載した項目のうちの二つ以上のいかなる組み合わせ(AおよびB)を意味すると解釈されるべきである。本明細書で使用する通り、用語「結合関係」は、二つの層が直接接触していることを必ずしも意味しないことは理解されるであろう。用語「備える」、「有する」、「含む」および「包含する」は、特に記載の無い限り、非制限的な用語(すなわち、「含むがそれらに限定されない」ことを意味する)と解釈されるべきである。また、「備える」(またはその均等物)が使われる部分ではすべて、「備える」は、「から本質的に成る」および「から成る」を組み込むとみなされる。したがって、要素(単数または複数)を「備える」一実施形態は、その列挙した要素(単数または複数)「から本質的に成り」、その列挙した要素(単数または複数)「から成る」実施形態を支持する。「から本質的に成る」が使われる部分はすべて、「から成る」を組み込むとみなされる。したがって、要素(単数または複数)「から本質的に成る」一実施形態は、その列挙した要素(単数または複数)「から成る」実施形態を支持する。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書に別段の指示が無い限り、範囲内にある各々別個の値を個々に指す簡潔な方法として機能するように単に意図され、各々の別個の値はあたかも個々に本明細書に列挙されるように本明細書に組み込まれる。用語「例示的な」は一例を指し、最善の例を提案することを意図していない。本明細書に記載するすべての方法は、本明細書に別段の指示が無い限り、または文脈によって明確に否定されない限り、いかなる好適な順序でも実行し得る。本明細書に提供されるすべての例、または例示的な言葉(例えば、「など」「例を挙げると」)の使用は、本発明をより良く例示することを単に意図し、別段請求項に記載がない限り本発明の範囲に制限を課さない。本明細書における言葉は、請求項に記載されていない要素を、本発明の実践に不可欠なものとして示すように解釈されるべきではない。
【0335】
本発明の好ましい実施形態は、本発明を実施するために発明者が知る最良の形態を含め、本明細書に記載される。それらの好ましい実施形態の変形例は、前述の記載を読むことで当業者に明らかとなってもよい。発明者は、当業者が必要に応じて、そのような変形例を採用することを予想し、また発明者は、本発明が本明細書に具体的に記載する以外の方法で実践されることを意図している。したがって、本発明は、準拠法によって許可される通り、本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙される、主題の修正および同等物すべてを含む。さらに、それらすべての可能な変形例における上記要素のいかなる組み合わせも、本明細書に別段の指示が無い限り、または文脈によって明確に否定されない限り、本発明により網羅される。
(a)少なくとも水、漆喰および任意で増強添加物より形成される、硬化石膏を備える、ボードコアであって、乾燥密度を有し、第1および第2コア面を正対関係で画定する、ボードコアと、
(b)少なくとも水、漆喰および前記増強添加物より形成される、濃縮層であって、前記第1コア面に結合関係で配置される、濃縮層と、を備え、
(i)前記増強添加物が、前記コア形成において存在するとき、前記濃縮層は、前記ボードコア形成において使用される、少なくとも約1.2倍の前記増強添加物より形成され、
(ii)前記ボードコアは、約30pcf以下の乾燥密度を有し、
(iii)前記濃縮層は、前記ボードコアの乾燥密度より高い乾燥密度を有する、複合石膏ボード。
(a)少なくとも水、漆喰、ならびに任意で分散剤および/またはポリリン酸塩のうちの一つまたは両方より形成される、硬化石膏を備える、ボードコアであって、乾燥密度を有し、第1および第2コア面を正対関係で画定する、ボードコアと、
(b)少なくとも水、漆喰ならびにポリリン酸塩および分散剤のうちの一つまたは両方より形成される、濃縮層であって、前記第1コア面に結合関係で配置される、濃縮層と、を備え、
(i)前記ポリリン酸塩および/または分散剤が、前記コア形成において存在するとき、前記ポリリン酸塩および/または分散剤は、前記ボードコア形成より前記濃縮層形成において、より高い濃度で含まれ、
(ii)前記濃縮層は、前記ボードコアの乾燥密度より高い乾燥密度を有する、複合石膏ボード。
前記デンプンは、VMA法による条件に従っている間に、粘度を測定すると、約20センチポイズから約700センチポイズの前記粘度を有する、アルファ化デンプンを備える、請求項5に記載の複合石膏ボード。
前記濃縮層はさらに、増強添加物を原料とし、前記ボードコアは任意でさらに、増強添加物より形成され、前記増強添加物が、前記ボードコア形成において含まれるとき、前記増強添加物は、前記ボードコア形成より前記濃縮層形成において、より高い濃度で含まれる、請求項3に記載の複合石膏ボード。