(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-528402(P2018-528402A)
(43)【公表日】2018年9月27日
(54)【発明の名称】液体サンプルの分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20180831BHJP
G01N 21/59 20060101ALI20180831BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20180831BHJP
G01N 21/01 20060101ALI20180831BHJP
G01N 21/03 20060101ALI20180831BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20180831BHJP
G01N 21/78 20060101ALN20180831BHJP
G01N 21/77 20060101ALN20180831BHJP
【FI】
G01N35/00 B
G01N21/59
G01N1/00 101H
G01N21/01 B
G01N21/01 C
G01N21/03 Z
G01N21/27 A
G01N21/78 Z
G01N21/77 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-568130(P2017-568130)
(86)(22)【出願日】2016年7月1日
(85)【翻訳文提出日】2018年1月24日
(86)【国際出願番号】FR2016051681
(87)【国際公開番号】WO2017006036
(87)【国際公開日】20170112
(31)【優先権主張番号】1556307
(32)【優先日】2015年7月3日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517308242
【氏名又は名称】アヴァルン
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】プトー パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ポエール ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス ポール
【テーマコード(参考)】
2G052
2G054
2G057
2G058
2G059
【Fターム(参考)】
2G052AA29
2G052AD06
2G052AD26
2G052AD46
2G052BA17
2G052CA04
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2G052GA09
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2G052GA21
2G052GA28
2G052GA29
2G052HB04
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2G052JA04
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2G052JA07
2G052JA09
2G054AA02
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2G054JA04
2G057AA01
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2G057AB06
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2G057FA06
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2G058BB02
2G058BB09
2G058BB16
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2G058GC05
2G059AA01
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2G059AA03
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2G059BB14
2G059CC16
2G059CC17
2G059DD12
2G059DD13
2G059DD16
2G059EE01
2G059EE20
2G059FF01
2G059GG01
2G059GG02
2G059HH01
2G059HH02
2G059HH03
2G059KK04
(57)【要約】
本発明は、貫通した開口(121)を有し、この開口(121)が、収集素子(200)の一部を受けるように適合され、開口(121)から収集素子(200)の挿入軸に沿って長軸方向に延びる筐体(120)に繋がるケース(110)を含む分析素子(100)を含む液体サンプルの分析装置に関する。本発明の液体サンプルの分析装置において、収集素子(200)はさらに、筐体(120)内に挿入長軸に沿って挿入されるように適合された流体の測定チャンバ(221)を含み、長軸に沿って延びる本体(220)と、本体の軸に対して実質的に直交して延びる、液体サンプルを受ける受け面(211)とを含む。
【選択図】
図1b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析素子(100)を含み、
前記分析素子(100)は、
内部空間の範囲を定め、貫通した開口(121)を有し、前記開口(121)が、液体サンプルの収集素子(200)の一部を受けるように適合され、前記開口(121)から、前記収集素子(200)の挿入長軸に沿って長軸方向に延びて前記内部空間内に配置された筐体(120)に繋がるケース(110)と、
液体サンプルの少なくとも1つの代表的なパラメータの検出分析素子(150)とを含む液体サンプルの分析装置(1)であって、
液体サンプルの前記収集素子(200)はさらに、
前記筐体(120)内に当該筐体の前記挿入長軸に沿って長軸方向に挿入されるように適合された流体の測定チャンバ(221)を含み、長軸に沿って延びる本体(220)と、
前記本体(220)が前記筐体(120)内に挿入されるとき、液体サンプルを受けるように、前記筐体(120)の外部に位置され、前記本体(220)に組み合わされ、前記本体の長軸に対して実質的に直交して延び、前記測定チャンバ(221)と流体連通している収集口(212)を含む受け面(211)とを含む、分析装置(1)。
【請求項2】
前記分析素子(100)の前記筐体(120)と前記収集素子(200)は、
前記収集素子の前記本体(220)が前記筐体内に挿入されるとき、
前記収集口(212)と前記測定チャンバ(221)との間の距離(D1)が、前記筐体の前記開口(121)と前記測定チャンバ(221)との間の距離(D2)とほぼ等しく、好ましくは2cm以下となるように、サイズが規定されている、請求項1に記載の分析装置(1)。
【請求項3】
前記収集素子(200)は、前記本体(220)に組み合わされ、前記受け面(211)を形成する1つの面を含む収集部(210)を含み、前記収集素子の前記本体(220)が前記筐体(120)内に挿入されるとき、前記収集部(210)は前記筐体の前記開口(121)の端において前記ケース(110)の壁と接触する、請求項1または2に記載の分析装置(1)。
【請求項4】
前記ケースは上壁(111)と下壁(112)とを含み、前記上壁と前記下壁は、前記上壁および前記下壁の寸法よりも小さい寸法を有する側壁(113)によって互いに接続され、
前記筐体の前記開口(121)は、前記ケース(110)の前記上壁(111)の部分に位置し、
前記筐体は、前記下壁の方向に、前記上壁に対して実質的に直交して延びている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分析装置(1)。
【請求項5】
前記ケースの前記上壁(111)は表示画面(114)を含む、請求項4に記載の分析装置(1)。
【請求項6】
前記筐体(120)に固定され、前記筐体の長軸に対して平行に延びて前記筐体の範囲を部分的に定め、また、前記収集素子が前記筐体(120)内に挿入されるときに前記収集素子の前記測定チャンバ(221)を含む前記本体(220)の一部に接するように配置されたベアリング面(131)を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の分析装置(1)。
【請求項7】
前記検出分析素子(150)は、前記ベアリング面(131)の前記筐体(120)と反対側に配置された光センサ(152)を含み、
前記ベアリング面(131)は、前記収集素子の前記本体(220)が前記筐体(120)内に挿入されるとき、前記測定チャンバ(221)から来る光に対して透明である、請求項6に記載の分析装置(1)。
【請求項8】
前記検出分析素子(150)は、前記筐体の前記開口(121)からの長軸方向の距離(D2’)が2cm以下の位置、および/または、前記筐体(120)からの横方向の距離(D3)が2cm以下の位置に配置された光センサ(152)を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の分析装置(1)。
【請求項9】
前記筐体(120)内のロック位置に前記本体(220)を保持するように適合されたロック解除素子(130)を含み、
前記ロック解除素子(130)は、
前記本体(220)が前記筐体の長軸に対して平行な方向に前記筐体(120)内に挿入されるときに前記本体(220)に対して退出力を及ぼすように適合され、前記筐体の前記開口(121)に対向して配置された解除部材(132)と、
前記本体(220)が前記筐体(120)内の前記ロック位置に挿入されるときに前記本体(220)のベアリング部(225)に接するように適合された少なくとも1つの支台部(143)を含み、前記筐体の長軸に沿った退出力を受ける前記収集素子(200)を固定するロック部材(140)とを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の分析装置(1)。
【請求項10】
前記収集素子の前記本体(220)の前記ベアリング部(225)は、前記測定チャンバ(221)を含む中央第1部(223)と、前記受け面(211)に対して前記本体(220)の末端との間に位置される前記本体の側肩からなる、請求項9に記載の分析装置(1)。
【請求項11】
前記ベアリング面(131)の縁に沿って長軸方向に配置され、前記ベアリング面に対して前記筐体の方向に突出した少なくとも1つのスペーサ要素(135)を含み、
長軸に沿って前記筐体内を前記本体が移動しているときに前記ベアリング面(131)に対して前記本体(220)が間隔を空けるように、前記スペーサ要素(135)の長軸方向の端(135a, 135b)が傾斜している、請求項6または請求項7に従属する請求項9または請求項10に記載の分析装置(1)。
【請求項12】
前記ロック部材(140)は、前記筐体の長軸に対して実質的に横方向に、前記筐体(120)に対して移動可能であり、前記本体(220)が前記筐体内に挿入されるとき、ベアリング面(131)の方向に前記本体(220)に対して耐力を及ぼすように適合されている、請求項9〜11のいずれか1項に記載の分析装置(1)。
【請求項13】
前記ロック解除素子(130)は、前記ロック部材(140)の前記支台部(143)と前記収集素子の前記ベアリング部(225)との間の嵌合を解除し、前記退出力の作用によって前記筐体に対して前記本体(220)を離脱するように、前記ロック部材(140)の移動を起こすように適合されたアンロック部材(133)を含む、請求項9〜12のいずれか1項に記載の分析装置(1)。
【請求項14】
前記検出分析素子(150)は、少なくとも1つの光源と(151)と、前記収集素子の前記本体が前記筐体内に挿入されるときに前記筐体(120)のそれぞれの反対側に前記測定チャンバ(221)の照明軸に沿って配置された光センサ(152)とを含み、
前記ロック部材(140)は、前記光源(151)と前記光センサ(152)との間に位置する中空部を含み、
前記照明軸に沿って前記中空部を通って照明光が伝播することが可能である、請求項9〜13のいずれか1項に記載の分析装置(1)。
【請求項15】
前記本体が前記筐体内に挿入されベアリング面に接しているときに、前記ベアリング面(131)を介して前記測定チャンバ(221)に熱を伝達するように適合された加熱要素(171)を含む加熱素子(170)をさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の分析装置(1)。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の分析装置(1)を用いる液体サンプルの分析方法であって、
前記収集素子の前記本体(220)が前記筐体(120)に導入され、
液体サンプルが前記収集口(212)に接するように、前記収集素子の前記受け面(211)上に液体サンプルが配置され、
液体サンプルの少なくとも1つの代表的なパラメータが検出され分析され、
前記分析素子の前記筐体から前記収集素子が排出される、分析方法。
【請求項17】
前記受け面上に液体サンプルを配置する間、前記分析素子(100)はユーザによって手で持たれる、請求項16に記載の分析方法。
【請求項18】
前記受け面上に液体サンプルを配置する工程の間、前記受け面は重力軸に対して実質的に直交して配置される、請求項17に記載の分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の属する分野は、液体サンプルの分析、例えば、生物学的液体中の分析物の存在の検出およびそれらの濃度の評価である。本発明は、液体サンプルの収集素子とこの収集素子と協働するように適合された分析素子とを含む液体サンプルの分析装置、および、液体サンプルの分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(米国特許出願公開第2007/0202007号明細書)において、分析素子と協働するように適合された収集素子を含む液体サンプルの分析装置が公知となっている。
【0003】
この分析素子は、液体サンプルの分析を目的として、液体サンプルの代表的なパラメータを電気化学的に検出する素子に合わせて、側壁に収集素子の一部の挿入が可能な筐体を含む。
【0004】
この収集素子は細片の形態を有し、この細片は、細片の第1の端から液体サンプルと反応する試薬を有する測定領域に延びる2つの電極を備える。この収集素子は、第1の端と反対側の第2の端に液体サンプルを受ける表面を含み、この表面は、流体流路を介して測定領域と流体連通している。
【0005】
実際の測定では、収集細片の第1の端が分析素子の筐体内に挿入され、その後、受け面に液体サンプルが配置され、測定領域への毛管移動により液体サンプルが試薬と反応することが可能となる。この分析素子ではその後、細片の電極間の電位差を適用し、液体サンプルの代表的なパラメータがこれらの電極から測定され、分析される。
【0006】
特許文献2(国際公開第98/19159号)には、液体サンプルの代表的なパラメータの光学的検出に基づく液体サンプルの分析が可能な分析装置の他の例が開示されている。
【0007】
この分析装置は、収集素子の一部を受ける筐体と対向して配置された光学的検出素子を含む。収集素子は液体サンプルと反応する試薬がある測定領域を備えた細片の形態を有し、細片の面に対して実質的に直交して延び、流体流路の第1の端に位置された収集口から液体サンプルを測定領域に移動させることが可能な流体流路を含む。
【0008】
収集素子が分析素子内に挿入されるとき、測定領域を含む部分は、筐体内において、光学的検出素子と同じ高さに位置される。収集口を有する収集素子の流体流路は、筐体の外部に残る。液体サンプルは収集口に配置され、サンプルの毛管移動によって、測定領域に移動する。液体サンプルの代表的なパラメータの光学的検出は、測定領域を照明する光源と、照明光の影響を受けて液体サンプルから発せられる光を受ける光検出器とを用いて実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0202007号明細書
【特許文献2】国際公開第98/19159号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術のこれらの例の分析装置は、収集素子が、受け面または収集口と測定領域との間を流体結合するに充分に長い流体流路を必要とするという不利点を有し、このことは、比較的多くの量の液体サンプルを必要とすることを余儀なくさせる。また、分析が、液体サンプルまたは液体サンプル中に存在する試薬の温度調整を必要とするとき、この温度調整は一般的に、分析素子内に存在する温度調整電気的要素によって行われる。このことは、分析領域がこの電気的要素によって規定される温度調整領域に近くなるまで、流体流路を長くすることを余儀なくさせる。この収集流路の延長に比例して、収集領域が増加する。そして、液体サンプルを配置し検出する工程の間、収集素子の大部分は筐体の外部に残る。したがって、この工程の間に、検出を妨げ、分析結果に影響を与える可能性がある収集素子の誤操作のリスクがある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、従来技術の不利点を少なくとも部分的に改善することであり、特に液体サンプルの収集素子と、このサンプルの収集素子と協働するように適合された分析素子とを含み、必要な液体サンプルの量を低減することが可能な液体サンプルの分析装置を提供することである。
【0012】
この目的のために、本発明は、液体サンプルの分析装置を提供する。
本発明の液体サンプルの分析装置は、分析素子を含み、
前記分析素子は、
内部空間の範囲を定め、貫通した開口を有し、前記開口が、液体サンプルの収集素子の一部を受けるように適合され、前記開口から、前記収集素子の挿入長軸に沿って長軸方向に延びて前記内部空間内に配置された筐体に繋がるケースと、
液体サンプルの少なくとも1つの代表的なパラメータの検出分析素子とを含む。
本発明の液体サンプルの分析装置において、
液体サンプルの前記収集素子はさらに、
前記筐体内に当該筐体の前記挿入長軸に沿って長軸方向に挿入されるように適合された流体の測定チャンバを含み、長軸に沿って延びる本体と、
前記本体が前記筐体内に挿入されるとき、液体サンプルを受けるように、前記筐体の外部に位置され、前記本体に組み合わされ、前記本体の長軸に対して実質的に直交して延び、前記測定チャンバと流体連通している収集口を含む受け面とを含む。
【0013】
この分析装置の好ましいが、非限定的な態様は、以下の通りである。
【0014】
前記分析素子の前記筐体と前記収集素子は、前記収集素子の前記本体が前記筐体内に挿入されるとき、前記収集口と前記測定チャンバとの間の距離が、前記筐体の前記開口と前記測定チャンバとの間の距離とほぼ等しく、好ましくは2cm以下となるように、サイズが規定されることができる。
【0015】
前記収集素子は、前記本体に組み合わされ、前記受け面を形成する1つの面を含む収集部を含み、前記収集素子の前記本体が前記筐体内に挿入されるとき、前記収集部は前記筐体の前記開口の端において前記ケースの壁と接触することができる。
【0016】
前記ケースは上壁と下壁とを含み、前記上壁と前記下壁は、前記上壁および前記下壁の寸法よりも小さい寸法を有する側壁によって互いに接続され、前記筐体の前記開口は、前記ケースの前記上壁の部分に位置し、前記筐体は、前記下壁の方向に、前記上壁に対して実質的に直交して延びることができる。
【0017】
ケースの上壁は、表示画面を含むことができる。
【0018】
分析装置は、前記筐体に固定され、前記筐体の長軸に対して平行に延びて前記筐体の範囲を部分的に定め、また、前記収集素子が前記筐体内に挿入されるときに前記収集素子の前記測定チャンバを含む前記本体の一部に接するように配置されたベアリング面を含むことができる。
【0019】
前記検出分析素子は、前記ベアリング面の前記筐体と反対側に配置された光センサを含み、
前記ベアリング面は、前記収集素子の前記本体が前記筐体内に挿入されるとき、前記測定チャンバから来る光に対して透明であることができる。
【0020】
前記検出分析素子は、前記筐体の前記開口からの長軸方向の距離が2cm以下の位置、および/または、前記筐体からの横方向の距離が2cm以下の位置に配置された光センサを含むことができる。
【0021】
分析装置は、前記筐体内のロック位置に前記本体を保持するように適合されたロック解除素子を含み、
前記ロック解除素子は、
前記本体が前記筐体の長軸に対して平行な方向に前記筐体内に挿入されるときに前記本体に対して退出力を及ぼすように適合され、前記筐体の前記開口に対向して配置された解除部材と、
前記本体が前記筐体内の前記ロック位置に挿入されるときに前記本体のベアリング部に接するように適合された少なくとも1つの橋台部を含み、前記筐体の長軸に沿った退出力を受ける前記収集素子を固定するロック部材とを含むことができる。
【0022】
前記収集素子の前記本体の前記ベアリング部は、前記測定チャンバを含む中央第1部と、前記受け面に対して前記本体の末端との間に位置される前記本体の側肩からなることができる。
【0023】
分析装置は、前記ベアリング面の縁に沿って長軸方向に配置され、前記ベアリング面に対して前記筐体の方向に突出した少なくとも1つのスペーサ要素を含み、長軸に沿って前記筐体内を前記本体が移動しているときに前記ベアリング面に対して前記本体が間隔を空けるように、前記スペーサ要素の長軸方向の端が傾斜していることができる。
【0024】
前記ロック部材は、前記筐体の長軸に対して実質的に横方向に、前記筐体に対して移動可能であり、前記本体が前記筐体内に挿入されるとき、前記ベアリング面の方向に前記本体に対して耐力を及ぼすように適合されていることができる。
【0025】
前記ロック解除素子は、前記ロック部材の前記支台部と前記収集素子の前記ベアリング部との間の嵌合を解除し、前記退出力の作用によって前記筐体に対して前記本体を離脱するように、前記ロック部材の移動を起こすように適合されたアンロック部材を含むことができる。
【0026】
前記検出分析素子は、少なくとも1つの光源とと、前記収集素子の前記本体が前記筐体内に挿入されるときに前記筐体のそれぞれの反対側に前記測定チャンバの照明軸に沿って配置された光センサとを含み、前記ロック部材は、前記光源と前記光センサとの間に位置する中空部を含み、前記照明軸に沿って前記中空部を通って照明光が伝播することが可能であることができる。
【0027】
分析装置は、前記本体が前記筐体内に挿入されベアリング面に接しているときに、前記ベアリング面を介して前記測定チャンバに熱を伝達するように適合された加熱要素を含む加熱素子をさらに含むことができる。
【0028】
本発明はまた、液体サンプルの分析方法を提供する。
本発明の液体サンプルの分析方法は、上記の特徴を有する分析装置を用いる液体サンプルの分析方法であって、
前記収集素子の前記本体が前記筐体に導入され、
液体サンプルが前記収集口に接するように、前記収集素子の前記受け面上に液体サンプルが配置され、
液体サンプルの少なくとも1つの代表的なパラメータが検出され分析され、
前記分析素子の前記筐体から前記収集素子が排出されるものである。
【0029】
受け面上に液体サンプルを配置する間、前記分析素子はユーザによって手で持たれることができる。
【0030】
前記受け面上に前記液体サンプルを配置する工程の間、前記受け面は重力軸に対して実質的に直交して配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の他の態様、目的、利点、および特徴は、以下の添付の図面を参照した以下の非限定的な例である好ましい実施形態の詳細説明からより明らかとなろう。添付の図面は以下の通りである。
【0032】
【
図1a】液体サンプルの分析素子とこの分析素子内に挿入される液体サンプルの収集素子とを含む分析装置の斜視図である。
【
図1b】分析素子の内部に収集素子が挿入された
図1aに示す分析装置の部分断面図である。
【0033】
【
図2a】
図1aに示す例の収集素子の前面図である。
【
図2b】
図2aに示す収集素子を形成する雄部と雌部を示す斜視図である。
【0034】
【
図3a】一方向から見た分析素子のロック解除素子の図である。
【
図3b】上記と異なる方向から見た分析素子のロック解除素子の図である。
【
図3c】上記と異なる方向から見た分析素子のロック解除素子の図である。
【0035】
【
図4a】収集素子を挿入しているときの収集素子と分析素子のロック解除素子の図である。
【
図4b】収集素子がロック位置にあるときの収集素子と分析素子のロック解除素子の図である。
【0036】
【0037】
【
図6】加熱素子を備えた光センサの例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図面および以下の説明において、同一の符号は同一または同様の要素を表す。また、図面をより明確にするために、いくつかの要素は図示を省略してある。
【0039】
本発明は、液体サンプルの分析装置に関する。液体サンプルは、血液、唾液、尿、間質液等の生物学的体、または、代表的なパラメータを検出し分析する目的の他の種類の液体から得ることができる。液体サンプルの分析とは、液体サンプルの1つ以上の代表的なパラメータを評価することである。これらのパラメータは、液体サンプルの光学的特性(例えば、吸収率、比色、干渉パターン等)、電気的特性(例えば、インピーダンス、導電率等)、化学的特性(例えば、分析物の存在と濃度等)、またはこれら由来のものであることができる。分析は、液体サンプル中に存在する1つ以上の分析物、例えば、細胞、バクテリア、タンパク質等の生物学的粒子、またはそれらの中の1つの成分等の存在と濃度の検出と評価であることができる。液体サンプルは、変化しやすい1つ以上の試薬または液体サンプルの分析したい1つ以上の上記特性を有することができる。
【0040】
図1aは、一実施形態に係る、内部に液体サンプルの収集素子200が挿入される液体サンプルの分析素子100を含む分析装置1を示す。
【0041】
ここで、以下の説明のために、X軸が分析素子の幅方向、Y軸がその長さ方向、Z軸がその厚み方向である3次元正規直交座標を定義する。
【0042】
分析素子100は、内部空間の範囲を定める、側壁113によって互いに接続された上壁111と下壁112とからなるケース110を含む。ここで、上壁111は、(X, Y)平面と実質的に同一平面上にあり、表示画面114と素子の種々の使用モードを選択するキー115とを含むことができる。ここで、下壁112は、(X, Y)平面と実質的に同一平面上にある。ここで、分析素子100は、その幅と長さより小さい厚みを有する。
【0043】
収集素子200は、分析素子100の上壁111において、筐体内に挿入される。このとき、液体サンプルを受ける上面211を含む収集部210のみが素子の外部に存在する。受け面211は、収集素子の筐体内に挿入される部分の長軸および筐体の長軸に対して実質的に直交している。それは、サンプルを分析する目的のために、収集素子200内、結果的に分析素子100内に液体サンプルを導入する収集口212を含む。
【0044】
収集素子が分析素子内、より正確にはこの目的のために提供される筐体内に挿入されるとは、素子の一部が筐体内に嵌合または挿入され、収集部等の他部が筐体の外部に位置することを意味する。また、受け面が筐体の長軸または挿入軸に対して実質的に直交しているとは、収集素子が分析素子内に挿入されているとき、受け面に対して収集口の部分で正接する平面が、挿入軸に対して実質的に直交、すなわち直交から20°以内、好ましくは10°以内の角度であることを意味する。
【0045】
図1bは、分析素子の内部に収集素子が挿入された
図1aに示す分析装置の(X, Z)平面上の部分断面図である。
【0046】
分析素子のケース110は、液体サンプルの分析を行うための収集素子200の一部を受ける筐体120、収集素子のロックおよび解除のための素子130、および、サンプルに特有の1つ以上の特性を検出および分析するための素子150が存在する内部空間の範囲を定める。
【0047】
筐体120は、液体サンプルの検出および分析が可能な位置で収集素子の一部を受けるように適合されている。それは、ケースの上壁111に形成された貫通した開口121を介して外部環境に連通し、開口121から挿入軸とも言う長軸に沿って下壁112の方向に延びている。筐体120は、筐体の一方の側に沿って長軸方向に延びるベアリング面131と、筐体のベアリング面131と反対側に配置されたロック部材140と、筐体120の低部、すなわち筐体120の開口121に対する末端部と対向する解除部材132とを含むロック解除素子130によって、部分的に範囲が定められる。
【0048】
収集素子200は、液体サンプルの受け面211を形成する上面を含む収集部210と、長軸方向に沿って、収集部210に対して実質的に直交して延びる本体220とからなる。より正確には、本体220の長軸は、受け面211に対して収集口212の部分で正接する平面に対して、実質的に直交している。本体220は、流体流路222を介して収集口212に流体連通している測定チャンバ221を含む。この図において、本体220は筐体に嵌合され、収集部210は筐体の外部に位置するように、収集素子200は筐体120内に挿入されている。有利には、挿入軸に沿った分析素子100内における収集素子200の正確な位置決めと、液体サンプルを配置する間の収集部の支持とを確実にし、機械的負荷の分配を良好とするために、収集部は筐体110の壁上にまたは壁に接して載置される。
【0049】
分析素子100は、サンプルに特有の電気的、化学的、光学的等の1つ以上の特性を検出および分析する素子150を含む。この例において、検出素子150は、1つ以上の光源151と1つの光センサ152とを含む光学素子である。ここで、光源151は、照明方向、すなわちX軸に対して平行に、筐体120内に挿入される測定チャンバ221を照明するように配置される。光センサ152は、照明方向においてベアリング面131の裏側に配置された光検出器153を含み、ベアリング面131は、照明される測定チャンバ221から来る入射光に対して透明な材料により構成される。詳細については後記するが、有利には、検出素子150は、いわゆるレンズレス撮像技術による光学的検出を行う。なお、光源151と光センサ152との間に配置されるロック部材140は、筐体120の方向の照明光の光路が上記光との光学的干渉を含まないように構成される。
【0050】
検出分析素子150はさらに、測定データを処理するための分析ユニット(図示せず)を含む。分析ユニットは、ユーザのために所望の情報を表示する表示画面114に接続されている。標準的な方法では、分析ユニットは、プロセッサと、測定されたデータを処理するソフトウェアを保存することが可能なメモリとを含む。この分析ユニットはまた、例えば、データを保存し、他の要素と共に分析素子(コンピュータシステム等)に外部通信し、ボタンインターフェイスを管理し、検出分析素子150に電力を供給することができる。素子100のケース110内には、電力供給バッテリが備えられてもよい。
【0051】
図に示すように、例えば筐体120に嵌合された収集素子200の本体220に存在する情報を読み取る光学的読取素子160が備えられていてもよい。この情報はQR(Quick Response)(登録商標)コードまたはデータマトリクスコードに含まれ、例えば、分析される液体サンプルの種類、行われる検出の種類、測定チャンバ内に存在する試薬の種類、収集素子の失効期限、製造バッチ番号等に関することができる。この光学的読取素子160は少なくとも、光源161と、光センサ162と、好ましくはマトリクス光検出器とを含む。この例では、反射作用を用いる素子を示し、光センサ162は筐体120に対して光源161と同じ側に配置されているが、伝達が可能な配置であればよい。
【0052】
図1a、
図1bに示すように、収集素子200の一部が、挿入軸または長軸に沿って受け面211に対して実質的に直交して筐体120内に挿入されるように、分析素子100と収集素子200が適合されている。
【0053】
上記従来技術の例とは異なり、収集面は、本体の長軸および筐体の長軸に対して実質的に直交している。したがって、それは、筐体の開口の端と実質的に同一平面上にあり、収集素子が筐体内に挿入されるとき、筐体にできる限り近接して配置されることができる。このことは、収集素子において分析素子の外部に位置する部分を最小化することを可能とし、したがって、収集口を測定チャンバに接続する流体流路の長さを顕著に低減し、必要な液体サンプルの量を低減することが可能となる。また、収集素子において分析素子の外部に位置する部分が低減されることによって、検出を妨げ、分析結果に影響を与える可能性のある検出工程の間の収集素子の誤操作のリスクが低減される。
【0054】
上記従来技術の例とは異なり、筐体の開口は有利にはケースの上壁の部分に位置し、筐体は、下壁の方向に、上壁に対して実質的に直交して、すなわち直交から20°以内、好ましくは10°以内の角度で延びる。上壁は、少なくとも一部が平面でなく、例えば少なくとも部分的にドーム状である場合、筐体は、上壁に対して開口の部分で局所的に正接する平面に対して実質的に直交して延びることができる。筐体は、ケースが実質的に延びる方向に沿った平面、好ましくは下壁が存在する平面に対して、好ましくは実質的に直交、すなわち、直交から20°以内の角度で延びる。ここで、上壁と下壁は、側壁のZの寸法(すなわち厚み)よりも大きい寸法のXとY(すなわち長さと幅)を有する。
【0055】
また、液体サンプルは、例えば受け面上に患者の指を押すことによって受け面上に働く耐力によって受け面上に配置することができる。患者はしたがって、受け面上に、本体の長軸に対して平行であろう耐力を働かす。このことは、従来技術を参照して上記したような収集細片が受ける可能性のあるねじり力を防ぐ。また、収集部がケースの壁に接触しているときに耐力が筐体の長軸に対して平行であることによって、収集素子が受けてケースに伝達される機械的負荷の分配を向上することができる。受け面上に液体サンプルを配置する工程の間、受け面は有利には、重力軸を基準としてほぼ水平に、すなわち重力軸に対して実質的に直交に配置される。
【0056】
なお、収集部210は、本体に対して横方向に突出しており、本体220の特に測定チャンバの部分の断面より大きい面積の受け面211を有する。実際、本体は小さな筐体内に挿入されるため、横方向に比較的狭い一方、受け面は液体サンプルを受けるために比較的広い。例えば、測定チャンバの部分における本体の断面積は10〜数10mm
2のオーダーである一方、受け面の面積は100〜数100mm
2のオーダーである。受け面211のこの面積によって、生物学的サンプルの量が過剰であるとき、またはサンプルが不正確に配置されるときに、分析素子100の表面、特に筐体120の開口121の部分を保護することができる。
【0057】
また、分析素子100の筐体と収集素子200は、収集素子の本体220が筐体120内に挿入されるとき、収集口212と測定チャンバ221との間の距離D1が筐体の開口121と測定チャンバとの間の距離D2にほぼ等しくなるようにサイズが規定され、これらの距離は2cm以下であり、例えば1cm以下であってもよい。距離D1は、収集口212と測定チャンバのZ軸に沿った長軸の中心との間で測定することができる。同様に、距離D2は、例えばケースの壁の排出面の位置における開口121の部分と、測定チャンバのZ軸に沿った長軸の中心との間で測定することができる。距離D1と距離D2とが互いにほぼ等しいとは、これら2つの距離の差が大きい方の距離の25%以下、好ましくは10%未満であることを意味する。具体的には、収集部210が開口121の端に接触しているとき、これらの距離D1と距離D2とは収集部210の厚みを除いて等しい。例えば、距離D1は1cmであり、収集部の厚みは2mmであるとき、距離D2は0.8cmである。これによって、収集口212を測定チャンバ221の入口に接続する流体流路の長さを顕著に低減することができる。
【0058】
図2aは、2015年3月2日に出願された仏国出願第1551725号に記載の実施形態に係る例の収集素子200の前面図である。収集素子200は、分析素子100と協働するように適合されており、分析素子100内に挿入され、分析素子100から排出される。したがって、これは、分析素子100から取り出し可能である。
【0059】
上記したように、収集素子200は、収集部210と本体220とを含む。収集部210は、上部に液体サンプルを受ける受け面211を有する。それは、収集素子内に配置される液体サンプルの導入が可能な収集口212を含む。この収集口212は、流体流路222を介して、本体220内に配置された測定チャンバ 221と流体連通している。
【0060】
本体220の寸法は、筐体120の寸法に適合している。それは、一方の端が収集部210に組み合わされ、内部に流体流路222と測定チャンバ221が延びる中央部223を含む。測定チャンバ221は、光学的検出の場合に照明される領域が増加するように、流体流路に対してY軸方向に幅広である。本体の中央部223の反対側の端は、ユーザが素子を容易に取り扱うことを可能とする保持用の踵片を形成する第2部224に組み合わされる。踵片224は、Y軸に沿った側壁が少なくとも1つのベアリング部、ここでは、分析素子のロック素子と協働する肩の形態を有する2つのベアリング部225を含むように、Y軸方向の幅が本体の中央部の幅よりも大きくなっている。肩は、収集部の方向に配置されるベアリング面を形成するための本体の断面における急変化部分を意味する。代替的に、収集素子は、肩の形態ではなく、本体の中央部または踵片に形成された開口の形態を有するベアリング部を含むものであってもよい。
【0061】
ここで、踵片は、例えば測定チャンバの下方に、例えばQR(登録商標)コードまたはデータマトリクスコードの形態で書き込まれた情報のための領域を含む。
【0062】
それはまた、少なくとも1つの突出部、ここでは踵片の(Y, Z)平面に対して横方向に延びる2つの部分を含むことができる。これらの部分は、収集素子の誤利用または誤操作を避ける防誤機能を提供することができる。筐体は、そのような防誤用の部分を含む本体の挿入に適した形状を有する。
【0063】
図2bは、2015年3月2日に出願された仏国出願第1551725号に記載のように、2つの部分からなる、
図2aに示す収集素子の斜視図である。
【0064】
収集素子200は、互いに協働して素子を使用可能とする2つの分離した要素A、Bを含む。
【0065】
第1の要素Aは、チャネル231の開口断面が位置する雄部230を含む。チャネル231は、液体サンプルを受けるように適合された入口である第1の端232と第2の端233との間で長軸方向に延びている。チャネル231は、チャネル231の側面を形成する2つの側壁235a、235bによって縁取られた、底壁と呼ばれる長軸方向の壁234によって形成されている。
【0066】
第2の要素Bは、雄部230を収容するまたは受ける空洞の横方向の範囲を定める周壁241からなる雌部240を含む。また、周壁241の一部は、雌部が雄部を収容するとき、チャネル231の断面を閉じるキャップ242を形成する。雌部240は、雄部230と雌部240の長軸に対して横方向に延びる収集部210に組み合わされる。
【0067】
したがって、収集素子200を使用可能とするために、周壁241がチャネル231の断面を閉じ、好ましくはチャネルの長さ方向全体を閉じるように、第1の要素Aの雄部230は第2の要素Bの雌部240内に導入される。次いで、受け面211の収集口212を介して、液体サンプルがチャネル231の入口である端232に接触するよう導入され、これによって、チャネル231内へのサンプルの挿入と、チャネル231に沿った第2の端233の方向へのサンプルの毛管流とが生じる。
【0068】
チャネル231が開口断面を有する収集素子200が2つの別個の要素A、Bからなる結果、雄部の雌部内への挿入前においてチャネル内への直接アクセスと、雄部の雌部内への挿入後のチャネルの良好な閉じ込めが可能となる。
【0069】
チャネル内、すなわち、その内空間およびその内面の少なくとも一部への直接アクセスは、従来技術では実現できない簡便さと有効さで、チャネル内を部分的または全体的に機能化および/または処理することを可能とする。したがって、チャネル内に液体サンプルと相互作用する乾燥またはフリーズドライの試薬を配置したい場合、チャネル内への直接アクセスは、簡便で速い方法で、特に試薬の均一な配置で、行うことを可能とする。実際、チャネル内はその長さ方向全体に渡って、直接アクセスが可能である。乾燥またはフリーズドライの試薬を配置する道具の正確な位置決めも容易である。また、(チャネルの入口、真ん中、出口のいずれであっても)チャネルの必要な領域に対して、乾燥またはフリーズドライの試薬の局所的な配置を簡便に行うことが可能である。また、簡便で正確な方法で、チャネル内に電極または吸収膜を配置することが可能である。あるいは、例えば共有化学結合によって、1つ以上の化学的分子または生物学的物質(タンパク質、DNA配列、抗体等)をチャネル壁上に直接、局所的に固定化することで、チャネル内を化学結合によって機能化することができる。
【0070】
雌部が雄部を収容するとき、収集素子はチャネルを効果的に閉じ込めることができ、これによって、チャネル内に存在する液体による外部環境の汚染と外部からのチャネルの汚染を制限または抑制することが可能となる。
【0071】
この例において、雄部230は実質的に長方形の断面を有するプレートからなる。チャネル231は、プレートの長軸方向の上面において、チャネル231の入口の端232がプレートの横方向の端の壁上に現れるように配置される。ここでは、プレートの断面は長方形であるが、断面は正方形または円形等の他の任意の形状であってもよい。チャネル231の長軸方向の底壁234は有利には、各側面235a, 235bの断面寸法より大きい断面寸法を有する。換言すれば、チャネルの幅と深さとの比で定義されるチャネル231の横方向のフォームファクタ(transverse form factor)は、この例において1超、好ましくは5超であり、10であってもよい。
【0072】
この例において、雌部240の周壁241は、好ましくはその全体的に、雄部230を受けて収容することが可能な空洞を形成して、Z軸に沿って長軸方向に延びている。また、周壁241の内寸法は、雌部240が雄部230を収容するとき、雄部230の周面が周壁241の内面に接触するように調整される。ここでは、周壁241は、(X, Y)平面において、雄部230の長方形の断面に対応した実質的に長方形の断面を有する空洞を形成している。ただし、雄部の形状と相補する他の任意の形状が可能である。空洞は、雄部が導入される挿入口と、チャネル内への液体サンプルの挿入のために液体サンプルを受ける収集口212の反対側との間に延びている。
【0073】
第2の要素Bはさらに、液体サンプルを受ける、ここではカップ状の受け面211を含む。雌部240は、空洞の収集口212が受け面211の部分で開口するように、受け面211に組み合わされる。受け面211は、本体の断面に対して、雌部240に対して実質的に直交して突出しており、湾曲したフレアー状の、より正確には凸状の、液体サンプルを収集口212に接触させることを容易にする形状を有している。この湾曲はまた、特に、指先から毛細管血を収集するときに起こり得る患者の指の端からの小滴を配置するのに適している。
【0074】
したがって、液体サンプルが受け面211上に配置され、収集口212に接触するとき、それは、測定チャンバ221に繋がる流体流路222を形成する第1部の入口の端232からチャネル231内に毛管現象で導入される。
【0075】
流路231内への毛管現象による液体サンプルの導入を高めるために、収集素子の壁の濡れ角は、理想的には90°未満、好ましくは50°未満である。これは、もともとこのような濡れ角を有する材料を選択する、あるいは、素子の要素A、Bを製造した後に化学的処理を行うことによって、実現することができる。酸素プラズマ処理、あるいは、酸素またはオゾンの存在下で強いUVランプに曝す処理を実施することができる。
【0076】
図2aに示すように、測定チャンバ221の流体流路222と反対側の端の部分で、大気に通じる通気孔227が測定チャンバ221の幅より小さい幅を有することができる流路を介して測定チャンバ221と連通している。この流路はまた、その幅と測定チャンバの幅との差のために液体の流れを止める機能を有し、パッシブバルブ機能を有することができる。
【0077】
一般的に、分析室から離れたところで、適切な手段でサンプルの分析を可能とするために、収集素子200は使い捨てであることができる。
【0078】
分析手段は、液体サンプルから発せられた、またはそれによって変更された光学的信号の分析に基づくことができ、本体220の壁は、測定される光信号の伝達と、光源から発せられる照明光の液体サンプルの方向の伝達が可能である。分析手段は、液体サンプルの電気的な分析に基づくものであってもよく、測定チャンバ内に配置され、収集素子が素子100内に挿入されるとき、電圧源または電流源に電気的に接続される1つ以上の電極を含むことができる。電極は、電極の薄膜蒸着によって製造することができ、本体220の踵片224と接触することが可能な接触線を用いることができる。
【0079】
収集素子、特に雄部230と雌部240は、例えばポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)等のプラスチック材料、または他の適した任意の材料の成形または射出成形の技術によって製造することができる。雄部と雌部を形成する材料は、特に液体サンプルの光学的分析を実施するとき、好ましくは可視光および/または赤外光に対して透明である。
【0080】
収集素子は、Z軸方向の総長さが数cmのオーダー、例えば2cmであり、カップは、面積が数cm
2、例えば2cm×1cmであり、収集口は、長さが数mm、例えば5mm、幅が0.1〜1mmであることができる。雄部は、長さと幅が数mm、例えば10mm×5mm、厚みが数100μmまたは数mm、例えば1mmであることができる。チャネルは、長さが数mmまたは数cm、幅が数100μm〜数mm、、厚みが数10μm〜数mmのオーダーであることができる。例えば、測定チャンバは、(Z軸方向の)長さが6.5mm、(Y軸方向の)最大幅が3mm、(X軸方向の)深さが150μmであることができる。これらの大きさのオーダーは、一例である。
【0081】
図3a〜3cは、
図2aおよび
図2bに示したような収集素子を受けるように適合された分析装置の分析素子の部分図である。
【0082】
図3aにおいて、筐体120は破線で示され、ケースの上部111内の開口121から筐体110の内部空間内に延びている。筐体120は、ロック部材140、解除部材132、アンロック部材133、およびベアリング面131を含むロック解除素子130によって、部分的に範囲が定められている。
【0083】
ロック部材140はケースに対して移動可能な部材であり、筐体120から離れてまたは筐体120の方に移動するように適合されている。それは、筐体120の方に配置され、開口121の近傍に位置された第1部または嵌合部141aからなり、ロック部材140が筐体120の方向に筐体の開口121から離れた方向に次第に延びるように、筐体の長軸に対して傾斜した接触面141を含む。接触面141は、筐体の長軸に対して平行な第2部またはベアリング部141bを含む。接触面141のスペーサ部141aとベアリング部141bは、開口に対して筐体の末端部の方に配置された支台部143の支台面142を介して互いに接続されている。ロック部材140は、筐体から離れてまたは筐体の方に、ここではX軸に沿って、移動することができる。そして、それは、ロック部材を筐体の方に、ここでは+Xの方向に移動させる力を及ぼすリターン要素144によって、強制的に移動させられる。ここでは、このリターン要素144は圧縮バネである。
【0084】
ロック解除素子130はさらに、筐体120から離れた方向に、ここでは−Xの方向に、支台部143を筐体の外に押し出すように、ロック部材140を移動するように適合されたアンロック部材133を含む。ここでは、このアンロック部材133は、ケース110の外部に配置され、ロック部材140に堅く接続された押しボタンである。
【0085】
ロック解除素子130はさらに、筐体120の低部と対向配置され、収集素子200が筐体内に挿入されるとき、収集素子200に対して、筐体の長軸に沿って、ここでは+Zの方向に、退出力を及ぼすように適合された解除部材132を含む。
【0086】
ロック解除素子130はまた、筐体120の一部に沿って、筐体の長軸に対して平行に延びるベアリング面131を含む。それは、動く余地なく、ケース110に固定されている。このベアリング面は、筐体に沿って固定されたプレートの面であることができる。光学的検出の場合、ベアリングプレートのベアリング面131と反対側に光センサ152が配置され、収集素子が筐体内に挿入されるとき、ベアリングプレートは収集素子から来る光に対して透明な材料からなる。
【0087】
検出分析素子150は好ましくは、低い筐体の開口121に対して2cm以下、好ましくは1cm以下の長軸方向距離D2’、および/または、低い筐体120に対して2cm以下、好ましくは1cm以下の横方向距離D3で位置される光センサ152を含む。長軸方向距離D2’は、開口121、例えばケースの外部環境に曝された壁の表面と、光センサ152の光検出器153のZ軸に沿った長軸の中心との間で測定される距離を意味し、横方向距離D3は、X軸に沿った筐体の横方向の中心と光検出器153の検出面との間で測定される距離を意味する。
【0088】
図3aに示した素子をX軸に沿って示す
図3bに示すように、ここでは、ロック部材140は、ロック部材140に対して筐体120の反対側に位置された光源が、光がロック部材によって光学的に干渉されることなく、光センサの方向に照明光を照射できるように、逆U字状の中空部材により構成されている。
【0089】
図3bおよび
図3aに示した素子をZ軸に沿って示す
図3cに示すように、ロック解除素子130は、光学的検出の場合、有利には、少なくとも1つのスペーサ要素、ここでは透明なベアリング面131のそれぞれの反対側に配置された2つのスペーサ要素135を含む。これらのスペーサ要素135は、収集素子200の挿入と排出または離脱の間に、収集素子200がベアリング面131から離れて移動することを可能とする。ここでは、それぞれ、筐体の長軸に対して平行で、ベアリング面131のZ方向の寸法全体に、有利にはロック部材140の支台面142まで延びる細片135からなる。また、この細片は、挿入と排出または離脱の間に収集素子200がつかえることを抑制するために、長軸方向の端135a, 135bにおいて傾斜している。挿入と排出または離脱の間に、収集素子200をベアリング面131から離れて移動させるために、これらの細片は、ベアリング面に対して、例えば数100μm〜数mm、例えば200μmのオーダーで突出している。このことは、収集素子200が透明なベアリング面131上をこすり、透明な面131の光学的な表面の品質を低下させ、光センサの方向に伝達される光を干渉し、あるいは、こすりによるせん断応力を受けて光センサ152とプレート134とのアセンブリが悪化するリスクを避けることを可能とする。
【0090】
光学的検出素子の場合、光センサ152は、筐体120と対向配置された、ここでは筐体に対して透明なベアリング面131の反対側に配置された光検出器153を含み、ベアリング面131は光検出器153を覆うことが可能である。光検出器153は、収集素子が筐体内に挿入されるとき、収集素子の測定チャンバ内に配置された液体サンプルから来る光を検出するように適合される。光検出器153へのこれらの入射光は、光源による照明に反応して液体サンプルから発せられた、または液体サンプルによって伝達された照明光の一部に対応することができる。検出される光のスペクトル域は、赤外光および/または可視光および/または紫外光をカバーすることができる。光検出器は、CCD(Charge Coupled Device)センサタイプ、または、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)センサタイプであり、液体サンプルの画像を取得するために、有利にはマトリクスタイプである。光源(
図1bを参照されたい。)は1つ以上の発光ダイオードまたはレーザダイオードからなり、レーザダイオードとしては例えば半導体レーザダイオードが挙げられ、VCSEL(vertical-cavity surface-emitting laser)タイプが好適である。
【0091】
光学的検出素子は、いわゆるレンズレス撮像技術に従って光学的検出を実行するように適合されていることができる。これは特に、液体サンプル中で検出される分析物が回折を起こす物質である場合に有効である。この目的のために、光源151は、コヒーレント照明光を発するものが選択される。それは、レーザダイオード、例えば半導体レーザダイオードであることができる。それは、例えば、発せられた光の干渉を増加させることが可能な絞りを備えた発光ダイオード、または、絞りの必要のない充分に小さな寸法の、例えば、ダイオードの径が筐体からダイオードまでの距離の1/10未満である発光ダイオードであってもよい。光検出器153は、伝達された光および/または液体サンプル中に存在する分析物によって回折された光の画像を取得するためにマトリクスタイプである。それは、例えばX軸に沿った筐体の中心位置で、筐体120から100μm〜数cm、例えば1cm以下、有利には100μm〜2mmの距離のところに配置される。筐体内に存在する測定チャンバ221と光検出器153との間のこの小さな距離は、測定チャンバが照明されるとき、複数の回折パターンの間の干渉現象を制限することを可能とする。かかる構成では、筐体と光検出器との間に配置され得る拡大光学系を不要とすることができる。光検出器の個々の画素の前に配置されるマイクロレンズのアレイは、拡大機能なしに、光検出器の個々の画素の光学的集光を向上することができる。
【0092】
次に、分析素子に挿入しているとき(
図4a)およびロック位置にあるとき(
図4b)の収集素子を示す
図4aおよび
図4bを参照して、分析方法について、説明する。
【0093】
図4aに示すように、収集素子200は分析素子100の筐体120内に挿入される。この挿入の間、踵片224はロック部材140の接触面141の嵌合部141aに接触し、収集素子200はが筐体内に導入されるにつれて、それは次第に−Xの方向にロック部材140を押し、このことはバネ144の圧縮を導く。収集素子200は次いで、解除部材132、ここでは圧縮バネに接触し、解除部材132によって本体220に対して適用される退出力に反映されるバネの圧縮を導く。挿入と排出または離脱の間、収集素子200がベアリング面131をこすることを防ぐ必要があるなら、本体220のベアリング部225に相対するロック部材の支台部143の嵌合の前に、細片135と踵片224との間の接触のためにベアリング面131と本体220との間の空間を提供するスペーサ要素135を用いる。
【0094】
図4bに示すように、本体220の(
図4aに示した)ベアリング部225が−Zの方向にロック部材140の支台部143を越えることで、ロック位置となる。次いで、支台の嵌合、すなわち支台部143のベアリング部225への接触を起こすように、リターンバネ144は、ロック部材140を筐体の方向に移動させる。同時に、踵片224がベアリング面131に接触するように、接触面141のベアリング部141bは、収集素子の踵片224に対して+Xの方向に力を及ぼす。このことは、踵片224がスペーサ要素135に接触しておらず、Y軸方向の幅が踵片224の幅とスペーサ要素135間のスペースより小さい本体220の中央部223がスペーサ要素135によって押し返されないという事実によって可能である。
【0095】
収集素子200はしたがって、Z軸方向に関しては、それに対して+Zの方向に力を及ぼす解除部材132と、収集素子200のベアリング部225に対して−Zの方向に反力を及ぼすロック部材140の支台部143の連合作用によってロックされる。また、収集素子200は、X軸方向に関しては、ロック部材140の接触面141のベアリング部141bによって踵片224に対して+Xの方向に及ぼされる力のために、ベアリング面131に対して接触する作用によってロックされる。
【0096】
このように、収集素子は筐体内にロックされ、ベアリング面に対して完全に制御された方法で配置され、このことは、後の検出工程の間に筐体の不本意な動きによって起こるすべてのリスクを避けることを可能とし、その結果、光学的技術、特に上記のレンズレス撮像技術に基づく検出の正確さと信頼性を向上することを可能とする。
【0097】
次いで、液体サンプルが配置される。この目的のために、ある量の液体、例えば人の指先上の一滴の血液が収集素子の受け面211上に配置される。上記したように、この際、受け面は、重力軸に対して実質的に直交して配置されることができる。ユーザが受け面上を押して収集部がケースに接触しているとき、収集素子が受けてケースの壁に伝達される機械的応力は最小化される。また、測定チャンバに対する受け面のこの配置は、限られた量の液体サンプルを配置することを可能とし、収集口の測定チャンバからの離間距離と、光センサに対する筐体の開口の離間距離が最小化される。この配置の間、分析素子100はユーザが手で持つことができる。
【0098】
液体サンプルは、例えば毛管現象によって、収集口から測定チャンバの方向に移動し、測定チャンバ221および/または流体流路222(
図1bまたは
図2aを参照されたい。)内には、(乾燥またはフリーズドライの)試薬が存在し得る。この場合、続いて化学反応が生じて、そのパラメータが検出され分析される。この検出は比色分析であることができ、例えば光学的検出素子は反応時のサンプルの最終色を測光してサンプル内に存在する分析物の濃度に比例する色の強度を測定することができる。上記したように、収集素子の本体がベアリング面に対して押されることによる、測定チャンバに対する光センサの制御された位置決めと近接によって、特に好適化されたレンズレス撮像によって光学的検出を行うことができる。検出素子によって得られた生データは、測定情報を処理し、ユーザに対して画面上に結果を表示する分析ユニットに伝達される。
【0099】
液体サンプルの検出と適切な分析の後に、ユーザは収集素子200を分析素子100から排出または離脱することができる。この目的のために、アンロック部材133を作動させ、支台が解除されるまで、具体的には、支台部143と収集素子のベアリング部225との間の機械的な接触が解除されるまで、ロック部材140を移動させる。解除部材132によって収集素子200に対して戻り力が適用される。ここでは、圧縮されたバネが、筐体120から収集素子200の好ましくは部分的な排出または離脱を導く。スペーサ要素135が存在するとき、踵片224はスペーサ要素に接触し、その結果、収集素子は移動の間、終始、透明なベアリング面131には接触しない。ここで、退出力は、筐体120内に部分的に収容された収集素子をアンロック位置に部分的に離脱する。次いで、分析素子をひっくり返し、収集素子を筐体から完全に外し、この目的のために提供される適切な容器の中に入れることが可能である。このことは、受け面が液体サンプルの痕跡を含む可能性がある収集素子を取り扱うことを避けることを可能とする。なお、解除部材132の戻り力は、収集素子200の筐体120からの完全排出を起こすに充分なレベルであってもよい。
【0100】
図5aおよび
図5bは、ロック解除素子130の一例の部分斜視図であり、
図5aはロック部材を示し、
図5bは解除部材を示す。
【0101】
図5aに、中空の橋形状で、一方が、アンロック部材133、ここでは押しボタンを形成する部分まで延び、他方が圧縮バネの形態を有するリターン部材144を形成するフレキシブル部分まで延びるベース上に形成されたロック部材140を含む、一体形成された機械的部材を示す。
【0102】
図5bに、解除部材132を形成する機械的部材を示す。この部材は、傾斜したフレキシブルなブレードを含み、それは、収集素子が筐体内に挿入されロック位置にあるとき、退出力を及ぼすことができる。この部材は、
図5aに示したベースの開口部の部分でロック部材140の下方に嵌合される。
【0103】
図6は、ベアリング面131、すなわち、測定チャンバを含む収集素子の本体の中央部の温度調整のための加熱素子170を備えた光センサ152の一例の断面図である。
【0104】
ここで、光センサ152は、セラミック体(図示せず)を介して光検出器153に電力を供給し、分析ユニットに検出信号を伝達する電子基板154、例えばプリント配線板(PCB)上に形成された光検出器153を含む。光検出器は、入射光に対して透明なプレートを含む第2の保護部材155によって覆われている。ベアリング面131、ここではプレート134の筐体に対向した面は、加熱素子170の一部を含む周囲の第2の電子基板156上に配置されている。
【0105】
加熱素子170は、少なくとも1つの加熱要素171を含み、好ましくはさらに少なくとも1つの温度プローブ172と少なくとも1つ温度調整ユニット173とを含み、加熱要素と温度プローブは温度調整ユニットに電気的に接続されている。
【0106】
加熱要素171は、例えばジュール効果によって発熱するように適合されており、本体がベアリング面131に接触しているときに、この熱を本体の中央部に伝達できるように配置されている。これは、導電性を有する、好ましくは透明な層171bと関連して、電流を運ぶときに熱を放出するように適合された導電線171a、例えば金属線を含むことができる。熱伝導層171bはしたがって、プレート134の筐体側のベアリング面131を形成する面、および/または、その反対面に配置されることができる。それは例えば、プレートの面にスクリーン印刷されたまたはスプレーされたアモルファスシリコンまたはインジウム錫酸化物(ITO)等の透明材料からなる層であることができる。この層172bは金属線171aによる発熱を伝達し、金属線171aは例えば、周囲の基板156とベアリングプレート134との境界面に位置することができる。それは、例えば周囲スタッドと電子基板を介して電流源に電気的に接続され、電流源は調整ユニット173に接続される。
【0107】
代替的に、加熱要素は、導電線に加えて、ベアリングプレート134自身を含むことができる。この場合、プレートは、熱伝導性を有する、好ましくは光学的に透明な材料、例えばサファイヤ等からなる。層171bは、省略することができる。
【0108】
温度を測定することが可能なプローブ172が備えられていてもよく、それは好ましくは、ベアリング面131に対してできる限り近接して配置される。それは、調整ユニット173に測定温度値を伝達するために、調整ユニット173に電気的に接続される。
【0109】
調整ユニット173は、金属線171aと温度プローブ172に電気的に接続される。それは、金属線171a内の電流値に反映され、結果的に目標温度値に反映される設定信号を電流源に送信する。この目標温度値は、プローブ172による温度測定値の作用のように、修正されることができる。
【0110】
加熱素子170はしたがって、収集素子の本体220がベアリング面131に接触しているとき、液体サンプルの温度を調整することを可能とする。ベアリング面はしたがって、光検出器に対する測定チャンバの制御された位置決めを可能とするという上記利点に加えて、測定チャンバの温度調整を可能とするという利点を有する。
【0111】
特定の実施形態について述べたが、当業者にとって、異なる変形や変更は明らかであろう。
【0112】
検出素子は、光学的検出の代替または追加として、液体サンプルの1つ以上の特性の電気化学的検出を行うものであってもよい。この目的のために、測定チャンバは、1つ以上の電極を備えることができる。収集素子が分析素子内に挿入されるとき、これらの電極は、例えばベアリング面の高さに位置された電気的接触スタッドに接触することができる。なお、これらのスタッドは、電圧源または電流源に電気的に接続されている。電極の電位差または電流を適用して、液体の電気化学的特性を検出し分析することができる。
【国際調査報告】