(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-528819(P2018-528819A)
(43)【公表日】2018年10月4日
(54)【発明の名称】体液流量制御方法及び装置のための体管接触手段
(51)【国際特許分類】
A61F 2/48 20060101AFI20180907BHJP
【FI】
A61F2/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-510790(P2018-510790)
(86)(22)【出願日】2016年8月22日
(85)【翻訳文提出日】2018年2月26日
(86)【国際出願番号】US2016047963
(87)【国際公開番号】WO2017035050
(87)【国際公開日】20170302
(31)【優先権主張番号】14/837,113
(32)【優先日】2015年8月27日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】503116291
【氏名又は名称】プリシジョン メディカル デバイスズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セイエット、ピーター
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA14
4C097AA30
4C097BB01
4C097BB06
4C097BB08
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4C097DD01
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4C097DD10
4C097EE13
(57)【要約】
ホスト体内の流体の流れを制御するための埋め込み型装置が、開位置にあるときに体管内の流体の流れを許容し、また閉位置にあるときに体管内の流体の流れを減少させる狭窄部材を含む。遠隔テレメトリーを使用して、体外の位置から狭窄部材を操作することができる。狭窄部材は、体管の体内管表面に接触するための少なくとも2つの突起を有するピストンを含むことができる。流体作動部材は、体管内の流体の流れを減少させるために流体を受け入れ、体管内の流体の流れを可能にするために流体を排出することができる。開位置と閉位置との間で流体作動部材を操作するための作動部材が提供される。作動部材は、流体作動部材の内外に流体を流入及び流出させるための構造を有する。作動部材を操作するための制御装置が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト体内の流体の流れを制御するためのシステムであって、
開位置にあるときに体管内の流体の流れを許容し、閉位置にあるときに前記体管内の流体の流れを減少させるための狭窄部材と、
前記開位置と前記閉位置との間で前記狭窄部材を操作するためアクチュエータと、
ハウジングを有する制御構造体であって、前記ハウジングは第1の部分及び第2の部分を有し、前記制御構造体は前記アクチュエータを操作するためのものであり、前記制御構造体は、前記ホスト体の外部の位置からテレメトリー装置によって操作され、前記制御構造体は、前記テレメトリー装置へ、また前記テレメトリー装置から、信号を送信及び受信するための1以上のアンテナを含み、前記1以上のアンテナの少なくとも一部分が、前記ハウジングの前記第1の部分内の空隙空間内に突出しており、前記ハウジングの前記第1の部分は、テレメトリー信号に対し透過性の材料を更に有している、制御構造体と
を有するシステム。
【請求項2】
前記ハウジングの前記第2の部分は、テレメトリー信号に対し略不透過性の材料を有している、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ハウジングの前記第2の部分は、金属化合物を有している、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ハウジングの前記第2の部分は、2以上のセグメントを有している、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ハウジングの前記第2の部分は、チタンを有している、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ハウジングの前記第1の部分は、可撓性プラスチック材料を有している、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ハウジングの前記第1の部分内に突出する前記1以上のアンテナの前記部分は、前記テレメトリー装置へ、また前記テレメトリー装置から、信号を送信及び受信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ハウジングの前記第1の部分は、前記1以上のアンテナを受け入れるための空隙空間を画定しており、前記空隙空間は、前記空隙空間内に突出する前記1以上のアンテナが前記ハウジングの前記第1の部分に接触することなく前記空隙空間内を自由に動くことができるように、前記空隙空間内に突出する前記1以上のアンテナに十分な空間を提供するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ハウジングの前記第1の部分は、前記ハウジングの前記第2の部分に対して気密封止されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
ホスト体内の流体の流れを制御するための埋込型装置であって、
開位置にあるときに体管内の流体の流れを許容し、閉位置にあるときに前記体管内の流体の流れを減少させるための狭窄部材と、
前記開位置と前記閉位置との間で前記狭窄部材を操作するための作動部材であって、流体作動構造に流体を流入させ且つ流体作動構造から流体を流出させる手段を有する作動部材と、
前記作動部材を操作するための制御手段と
を有する埋込型装置において、
前記制御手段は、ハウジングを有する制御構造体を含み、前記ハウジングは、第1の部分及び第2の部分を含み、前記制御構造体は前記アクチュエータを操作するためのものであり、前記制御構造体は、前記ホスト体の外部の位置からテレメトリー装置によって操作され、前記制御構造体は、前記テレメトリー装置へ、また前記テレメトリー装置から、信号を送信及び受信するための1以上のアンテナを含み、前記1以上のアンテナの少なくとも一部分が、前記ハウジングの前記第1の部分内の空隙空間内に突出しており、前記ハウジングの前記第1の部分は、テレメトリー信号に対して透過性の材料を更に有している、埋込型装置。
【請求項11】
前記流体作動構造は液嚢である、請求項10に記載の埋め込み型装置。
【請求項12】
ホスト体内の流体の流れを制御するためのシステムであって、
遠位末端を有するプランジング部材であって、前記遠位末端は、前記ホスト体内の体管に対して圧力を加えるように適合された接触面を有している、プランジング部材と、
調節可能な力で前記体管に向かって前記プランジング部材の遠位末端を押すための手段を有する作動部材であって、それにより前記体管が前記接触面によって調節可能に圧迫されて、前記流体の流れを減少させる、作動部材と、
前記作動部材を操作するための制御手段と
を有するシステムにおいて、
前記制御手段は、前記アクチュエータを操作するための制御構造体を含み、前記制御構造体はハウジングを有し、前記ハウジングは第1の部分及び第2の部分を含み、前記制御構造体は、前記ホスト体の外部の位置からテレメトリー装置によって操作され、前記制御構造体は、前記テレメトリー装置へ、また前記テレメトリー装置から、信号を送信及び受信するための1以上のアンテナを含み、前記1以上のアンテナの少なくとも一部分が、前記ハウジングの前記第1の部分内の空隙空間内に突出しており、前記ハウジングの前記第1の部分は、テレメトリー信号に対して透過性の材料を更に有している、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本願は、2000年9月29日に出願された米国特許出願第09/676,336号(現在の米国特許第6,527,701号)の一部継続出願である、2001年9月28日に出願された米国特許出願第09/965,762号(現在の米国特許第6,689,046号)の一部継続出願である、2003年3月4日に出願された米国特許出願第10/379,431号(現在の米国特許第7,011,621号)の分割出願である、2013年2月26日に出願された同時係属中の米国特許出願第13/776,746号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、尿道などのホスト体管(body host canal)又は体内管(vessel)を通る流体の流れを制御するための埋め込み型医療装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
失禁は、人が自発的な泌尿器機能を支配しなくなる状態である。この状態は、様々な関連疾患及び無関係な疾患、老化、及び自発的な尿道括約筋の悪化を含む様々な原因から生じる可能性がある。この状態に苦しんでいる人への費用と不便さは莫大である。先行技術において知られているいくつかの治療法が存在する。これらの中で最も一般的なものは、小規模及び大規模の外科的矯正、薬物、排出物を捕獲(回収)するのに役立つ装置及びおむつ捕獲システムである。別の解決策は、望ましくない排出を防ぐために尿口の上にパッチを置くことである。おそらく、現在までの最も有効な解決策は、人工括約筋の使用である。この装置は、外科的に設置され、液圧式又は空気圧式に駆動され、バラストの膨張によって作動し、流体の流れを抑制する。しかしながら、この装置の制御は困難であることがあり、しばしば不便である。利用可能な治療の選択肢の全範囲にわたって、効力、有効寿命、及び合併症のレベルは大きく異なり、現在の治療の選択肢には、特に重篤な症例において特に有効なものはない。したがって、自発的な泌尿器機能の喪失を制御するための改良された装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、尿道などの体管又は体内管を通る流体の流れを制御するための新規な埋め込み型体液流量制御装置を介して、当該技術分野における上述の欠点及び不利な点を克服し、軽減する。
【0005】
概して言えば、本発明の第1の観点によれば、ホスト体内の流体の流れを制御するための埋め込み型装置が、開位置にあるときに体管内に流体を流入させ、閉位置にあるときに体管内の流体の流れを減少させる狭窄部材と、前記開位置と閉位置との間で狭窄部材を操作するための作動部材(actuating member)と、前記作動部材を操作するための制御手段とを含む。
【0006】
好ましくは、狭窄部材は、第1の係合要素と、第1の係合要素に結合して体管を包囲するための第2の係合要素とを備える。第1の係合要素及び第2の係合要素のうちの少なくとも1つは、体管の表面から及び体管の表面への組織の成長を可能にする開口部を有することが好ましい。第1の係合要素及び第2の係合要素をロック位置内にロックするために、ロック部材が設けられることが好ましい。
【0007】
狭窄部材は、プランジング部材(押し込み部材)を含み、プランジング部材は、前記体内管を前記閉位置に圧迫(圧縮)するために前記体内管に対して圧力を加えることができるように可動であることが好ましい。作動部材は、第1及び第2の端部を有するコネクタを含むことが好ましい。コネクタの第1の端部は、前記プランジング部材に取り付けられることが好ましく、前記制御手段によって軸方向に移動可能であり、前記プランジング部材を移動させる。
【0008】
作動部材は、ハウジングを備えることができ、それによってコネクタの第2の端部は、ハウジング内の開口部を通って摺動可能に延在し、ハウジング内に設けられたアクチュエータに(例えば、物理的に又は磁場によって)結合され、これによってアクチュエータの動作は、体内管から離れる前記プランジング部材の移動をモータらし、少なくともいくつかの流体がそこを通って流れることを可能にする。作動部材は、好ましくは、モータの作動によりコネクタの第2の端部がモータに向かって軸方向に引かれるように、コネクタの第2の端部に動作可能に結合されたモータを備え、その結果、体内管から離れる前記プランジング部材の移動をモータらし、少なくともいくつかの流体がそこを通って流れることを可能にする。
【0009】
モータを作動させるためのトリガ機構が設けられていることが好ましい。トリガ機構は、磁気的に操作されるスイッチ、無線制御回路、患者の皮膚の下に埋め込まれた(移植された)手動操作されるボタン、又は任意の他の適切なトリガ機構とすることができる。手動オーバーライドシステムもまた含むことができる。手動オーバーライドシステムは、患者の体外で使用できる磁石を含むことができる。
【0010】
本発明の第2の観点は、閉位置にあるときに体管内の流体の流れを制限し、開位置にあるときに体管内の流体の流れを許容するための狭窄部材と、前記開位置と閉位置との間で狭窄部材の移動を制御するための制御機構と、狭窄部材及び制御機構をホスト体の異なる部分に植え込むことができるように狭窄部材及び制御機構を連結するリンク部材とを含むホスト体内で流体の流れを制御するための埋め込み型装置を提供する。
【0011】
制御機構は、前記リンク部材から分離可能とすることができ、これによって前記制御機構は、狭窄部材又はリンク部材をホスト体から取り外すことなく交換することができる。
【0012】
好ましくは、リンク部材は、体管内の流体の流れを変えるように、前記開位置と閉位置との間で前記狭窄部材を移動させるように適合され、作動部材が、前記リンク部材を作動させるために設けられることが好ましい。リンク部材は、保護スリーブ内に設けられたケーブルであってもよいし、又は狭窄部材と制御部材との間の他の適切なリンク(例えば、電子制御信号を運ぶワイヤー、無線通信システムなど)であってもよい。
【0013】
作動部材及び制御機構は、狭窄部材とは別個のハウジング内に設けられることが好ましい。作動部材は、好ましくはモータであり、最も好ましくは遠隔操作されるトリガ機構(例えば、患者の体外の位置からモータ又は磁気ユニットを作動させるための磁気的に作動するトリガ機構)を有するモータである。
【0014】
モータ又は磁気ユニットは、ウォームギアを介して作用することが好ましい。好ましくは、ウォームギアは軸を画定し、リンク部材はケーシングに取り付けられ、ウォームギアは、ウォームギアの軸に平行な方向に前記ケーシングを移動させるために前記ケーシング内に設けられたねじ穴と協働する。
【0015】
本発明の別の一観点によれば、細長いリンク部材用のシールが提供され、リンク部材は、ホスト体内に植え込むための埋め込み型装置と制御機構との間に延在する。リンク部材は、ハウジング内の開口部を貫通して延在する。シールは、2つの開口部を有する管状膜を含み、一方の開口部はハウジングにシールされ、他方の開口部はリンク部材にシールされ、これによってリンク部材の周囲のハウジングに入る流体は、膜によって捕捉される。膜は、シャフトが動くように撓む。
【0016】
膜は、膜及びシャフトの周囲に延在する把持手段によって、前記リンク部材にシールされることが好ましい。把持手段は、コイルを含むことができる。膜は、リンク部材がハウジングの内部から軸方向に離れるように移動するときに内方に折り畳まれ、リンク部材がハウジング内に軸方向に移動するときに膨張するベローズを含むことが好ましい。ベローズは、ベローズの折り畳みを制御することができるように補強リングを含んでもよい。
【0017】
本発明の更に別の一観点によれば、体管内の流体の流れを制御するための狭窄部材のための操作機構が提供される。狭窄部材は、開位置と閉位置との間で作動可能である。操作機構は、狭窄部材を作動させるために狭窄部材に操作可能に接続された軸方向に移動可能なリンク部材を含む。リンク部材を軸方向に移動させるための操作手段が設けられている。リンク部材と操作手段との間には軸方向移動を選択的に伝達するための継手が接続されている。
【0018】
継手は、一方向において、操作手段とリンク部材との間に確実に係合するように作用し、他方向において、操作手段とリンク部材との間にいくらかの遊びが許容されるように作用する。継手は、リンク部材に作用する操作手段の直接的作動によって体管の開放が達成されるように使用することができるが、体管の閉鎖時には、継手は、操作手段によって体管に直接的に圧力が加わるのを防止し、したがって、体管への損傷の可能性を低減する。
【0019】
継手は、磁石又は圧縮性部材を含むことができる。磁石をリンク部材に取り付けることができ、少なくとも1つの他の磁石を操作手段に取り付けることができる。磁石は、互いに近づいたり離れたりするように物理的に移動可能とすることができるか、又は、必要なときに動作することができるように電磁石であってもよい。圧縮性部材が、可動ケーシング内に設けられてもよい。リンク部材は、圧縮性部材に動作可能に接続され、モータは、ケーシングを移動させるように作用し、圧縮性部材は、リンク部材を移動させるように作用することができる。あるいはまた、継手は、チェーンリンク又は連結された伸長可能なフレームワーク、又は体管への圧力の直接印加を防止する他の手段を含むことができる。
【0020】
磁石を含む継手の場合、手動オーバーライドシステムが含まれてもよく、この手動オーバーライドシステムは、患者の体外から操作可能な別の磁石を含む。手動オーバーライド磁石は、操作手段に取り付けられた磁石の磁力に抗してリンク部材に取り付けられた磁石を動かすのに十分な強度でなければならない。
【0021】
本発明の別の一観点は、ホスト体内の流体の流れを制御する方法を提供する。本方法は、閉位置にあるときに身体体内管内の流体の流れを減少させる、体管の周りに狭窄部材を埋め込むステップを含む。本方法は更に、ホスト体内に制御機構を埋め込むステップと、制御機構が狭窄部材を制御することを可能にするために、狭窄部材と制御機構との間にリンク部材を設けて埋め込むステップとを含む。制御機構は、狭窄部材及び連結部材を取り外すことなく、ホスト体から取り外して交換することができる。
【0022】
狭窄部材は、それらの間に開口部を画定する係合要素を含むことができ、本方法は、体管が開口部を貫通して延在するように、係合要素で体管を囲むステップを含む。
【0023】
本方法は、係合要素を体内管に縫合するステップを更に含むことができる。また、制御機構は、体管から離れて埋め込まれてもよい。
【0024】
本発明の更に別の一観点は、埋め込み型装置のための遠隔テレメトリーシステムを含み、テレメトリーシステムは、埋め込み型装置の動作を監視するためにホスト体内に埋め込まれた制御ユニットとの間で信号を送受信することができる信号伝達機構を含み、テレメトリーシステムは、埋め込み型装置の動作設定を変更することができる。
【0025】
信号は、好ましくは電磁放射(最も好ましくは無線信号)である。埋め込み型装置は、ホスト体上の埋め込み型装置の動作を監視するためのセンサを含むことができ、テレメトリーシステムは、感知されたデータに対するフィードバックを提供するためにセンサに問い合わせるための機構を含む。好ましくは、センサは、埋め込み型装置の可動部分によってホスト体の一部分に対して及ぼされる圧力を、つまり、埋め込み型装置の可動部分の移動範囲を変更するコマンドを含む感知されたデータに対するフィードバックを監視することができる。
【0026】
本発明の別の一観点は、ホスト体内の流体の流れを制御するための埋め込み型装置を含む。埋め込み型装置は、管を選択的に狭窄させるためにホスト体の管に選択的に圧力を加えるための往復運動可能な部材を含む狭窄機構を含む。往復運動可能な部材によって管に加えられる圧力を検出するための圧力センサが含まれている。前記管への損傷を防止するために、前記圧力センサによって感知された圧力に応答して前記往復運動可能な部材の動きを変更するためのフィードバックシステムもまた含まれる。
【0027】
本発明の埋め込み型流体流量制御装置の目的及び利点は、狭窄されるべき管又は体内管を切断すること無しに埋め込み及び使用を可能にする。更に、管又は体内管に対して外傷が最小限に抑えられ、本発明の装置は、比較的小さく、軽量であり、耐腐食性材料(例えば、耐久性のあるプラスチック、チタン、又はステンレス鋼)でできているので、本装置は、(例えば、排尿、排便、射精、肥満の制御のための栄養吸収などを制御するために)多数のタイプの体内管を通る流体の流れを制御するために長期間使用するのに適している。
流体流量制御装置とその制御ボックスを分割することもまた、大きな利点を提供する。流体流量制御装置を埋め込むための手術は繊細で複雑であるが、制御ボックスを埋め込む手術は、制御ボックスを患者の皮膚直下の容易にアクセス可能な場所に埋め込むことができるので、はるかに複雑ではない。したがって、制御ボックスのいずれかの部分が故障した場合、流体流量制御装置を調整する必要無しに、制御ボックスを取り外して新しい制御ボックスに交換することができる。したがって、制御ボックスの交換は、専門外科医によって行われる必要はなく、局所麻酔のもと、多数の病院又は医師の診療所でさえ実施することができる。したがって、この外科手術は患者にとってはるかに外傷が少なく、特殊な泌尿器科外科手術を行うことができる病院ではなく、患者に都合のよい場所で実施することができる。
【0028】
ホスト体内の流体の流れを制御するための埋め込み型装置は、開位置にあるときに体管内での流体の流れを許容し、閉位置にあるときに体管内の流体の流れを減少させるための狭窄部材を含む。狭窄部材は、液嚢(ブラダー)を含む。液嚢は、体管内の流体の流れを減少させるために流体を受け入れ、体管内の流体の流れを可能にするために流体を排出する。作動部材は、開位置と閉位置との間で狭窄部材を操作する。作動部材は、液嚢に流体を流入・流出させるための構造を含む。作動部材を操作するための制御手段が設けられている。
【0029】
狭窄部材は、管の一部を実質的に取り囲むための係合要素を含むのが好ましい。液嚢は、流体を受け入れたときの液嚢の拡張によって、液嚢が管を係合要素に押し付けて、体管内の流体の流れが減少するように、狭窄部材内に配置される。作動部材は、ポンプと、流体リザーバと、流体リザーバと液嚢とを接続する流体導管とを備えることができる。ポンプは、リザーバと液嚢の間で流体を移動させる。
【0030】
ポンプは、可撓性移送導管と、流体移送導管を圧迫し、それによって流体移送導管から流体を圧送するためのインペラとを含むことができる。流体移送導管の少なくとも一部分は、円弧状に配置されることが好ましい。ポンプインペラの一部は、流体移送導管に沿って円弧状に移動して流体移送導管を圧迫し、流体を流体移送導管から圧送する。インペラは、半径方向に配置された複数のローラを含むことができる。ローラは、モータによって回転された駆動ディスク上に取り付けられ、流体移送導管を圧迫するために流体移送導管に沿って円弧状にローラを移動させることができる。モータの方向は、第1の方向においてポンプが流体を液嚢内に移動させ、第2の方向においてポンプが液嚢から流体を引き出すように可逆的である。流体は、液体(例えば、水)又は気体(例えば、空気)を含む任意の適切な流体とすることができる。
【0031】
本発明に係るテレメトリーシステムは、狭窄部材の動作を制御するために提供される。テレメトリーシステムは、アクチュエータのためのコマンドを操作するために符号化された電磁信号を送信及び受信するための構造を含むことが好ましい。信号は、符号化された一連のパルス(例えば、短いパルス及び長いパルス)とすることができる。パルスは、適切な受信機によって受信され、適切な論理構造によって解釈され、パルスをコマンド又は装置を維持又は動作させるのに有用である情報に変換する。コマンド又は情報は、その後、本発明のモータ又は他の構成を操作するために使用される。
【0032】
本発明のこれらの及び他の目的、構成、及び利点は、説明の目的のために選択され、添付の図面に示されている、以下の本発明の実施形態の詳細な説明からよりよく理解され認識することができる。したがって、本発明を例示する特定の実施形態は、例示的なものに過ぎず、本発明の限定としてみなされるべきではないことを理解すべきである。特に、図示の実施形態は、尿道用の人工括約筋に関するものであるが、本装置は、任意の体液流路又は体内管と共に使用できることを理解すべきである。
【0033】
本発明の前述の及び他の目的、利点、及び構成、及びそれらが達成される方法は、好適かつ例示的な実施形態を示す添付の図面と併せて以下の本発明の詳細な説明を考慮すると、より容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明に係る体液流量制御装置の正面分解図である。
【
図2】
図1の体液流量制御装置の側面分解図である。
【
図3】閉位置における
図1の装置の部分側面図である。
【
図4】閉位置における
図1の装置の部分正面図である。
【
図5】体液流量制御装置と共に使用するための制御ボックス及び装置の側面分解図である。
【
図6】
図5の制御ボックス及び装置の部分上面図である。
【
図7】開位置における
図1の装置と共に使用するためのモータ駆動作動部材の部分断面図である。
【
図8】中間位置における
図7のモータ駆動作動部材の部分断面図である。
【
図9】閉位置における
図7のモータ駆動作動部材の部分断面図である。
【
図10】制御ボックス及び装置の一代替実施形態の上部部分断面図である。
【
図11】
図10のケーブルとリンク部材との間の継手の拡大断面図である。
【
図12】モータ駆動作動部材の一代替実施形態の部分断面図である。
【
図13】制御ボックス及び装置の更に別の一実施形態の上部部分断面図である。
【
図15】リンク部材を体液流量制御装置に接続する一代替手段の部分断面図である。
【
図16】リンク部材を体液流量制御装置に接続する更なる一代替手段の部分断面図である。
【
図17】ホスト体内の流体の流れを制御するための、流体操作された埋め込み型装置の概略図である。
【
図18】ポンプインペラアセンブリの部分破断概略図である。
【
図19】本発明に係るテレメトリー制御装置の斜視図である。
【
図20A】
図19のテレメトリー制御装置と通信するためのアンテナを備えた制御ボックスの一代替実施形態の側面図である。
【
図20B】
図20Aのアンテナを備えた制御ボックスの一代替施形態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明のより完全な理解とそれに伴う多くの利点を例示し、提供するために、以下の詳細な説明が、新規な埋め込み型体液制御装置及びその使用に関して与えられる。
【0036】
ここで図面をより詳細に参照すると、いくつかの図面を通して同様の番号は同様の部分を示す。
図1〜
図4は、本発明に係る体液流量制御装置を示している。体液流量制御装置は、第1の係合要素102と第2の係合要素104とを含む。第1の係合要素102が第2の係合要素104と結合されると、ホスト体の管(すなわち、尿道などのヒト又は動物の体内の任意の管又は体内管V)の周囲に嵌合するのに適した内径が形成される。
【0037】
体液流量制御装置はまた、第1及び第2の係合要素102及び104を一緒にロックするためのロック機構106を含む。ロック機構106は、任意の適切な形態のものでよい。図示の実施形態では、ロック機構106は、第1の係合要素102上に配置されたロックピン108と、第2の係合要素104上に配置されたロック孔110との形態である。図示の実施形態では、2つのロック孔110は、係合要素104のそれぞれの側に提供される。各ロックピン108は、ロック孔110のいずれかに取り付けることができる。したがって、部品102と104との間に形成された内径は、異なるサイズの体内管と共に使用するために調整することができる。この目的のために他の同等のロック機構を使用することができることを理解すべきである。本発明が意図する代替的なロック機構は、ストラップ及びスナップピンの使用、又は第1及び第2の係合要素102及び104上での相互接続成形品を含むが、これに限定されない。
【0038】
本発明の体液流量制御装置は、好ましくは、第1及び第2の係合要素102及び104の結合によって形成された内径内に配置されたピストン状の又はプランジング部材112を更に含み、これによってプランジング部材112は、尿道などの体管又は体内管に対して圧力を加えることができる。
図2及び
図15から最も明らかに分かるように、プランジング部材112は、使用時にプランジング部材の外縁突起のみが体内管表面に接触するように湾曲した輪郭を有することができる。これは、平らなプランジング部材で可能であるよりも小さい面積にわたって体内管に圧力をかけることができるので、体内管の組織の壊死の可能性を実質的に減少させる。プランジング部材112の湾曲した輪郭は、外科医が体内管のサイズに対して適切なサイズのプランジャヘッドを選択できるように、取り外し可能なプランジャヘッド上に設けられてもよい。
【0039】
流体流量制御装置は、図示のもの以外の形態をとってもよいことを理解すべきである。例えば、2つの係合部材内に設けられたプランジング部材の代わりに、係合部材の一方が、内部で流体の流れを制限するために、他方に対して移動可能であり、体内管を圧迫してもよい。あるいはまた、体内管を圧迫するための人工の外部環状括約筋又は他の手段の形態の流体流量制御装置を体内管に適用してもよい。
【0040】
開口部113が、第1の係合要素102内に設けられてもよい。開口部113は、体液制御装置を体内管に固定するために、体内管の表面から及び体内管の表面へと貫通する組織成長を可能にする。係合要素が組織の成長によって定位置に完全に固定されるまで、溶解可能な縫合糸を使用して、係合要素を体内管に一時的に固定することができるように、更なる開口部(図示せず)を設けてもよい。
あるいはまた、係合要素の材料は、貫通して縫合を可能にするものであってもよく、又は係合要素が他の方法で体内管に取り付けられてもよい。組織の成長は、ホスト体内に装置を埋め込んでから数週間以内に達成されることが判明しており、従って、体内管へのいかなる形態の取り付けも無しに装置を埋め込むことができ、単に組織の成長によって、時間の経過とともに装置を体内管にしっかりと取り付けることができる。
【0041】
装置の全ての構成要素は、生物学的に不活性で適合性のある材料から作製される。例えば、流体流量制御装置は、ポリプロピレン、シリコーン、チタン、ステンレス鋼、及び/又はテフロン(登録商標)で作ることができる。
【0042】
作動部材は、本発明の体液流量制御装置によって使用され、体液流量制御装置が閉位置にあるときに体内管に対して圧力を加えるようにプランジング部材112を付勢し、プランジング部材112を体内管から離して引き、装置を開放する。作動部材は、保護スリーブ又はシース116によって覆われたケーブル114を含むことができ、ケーブル114は、第1の端部118及び第2の端部120を有する。ケーブル114は、好ましくは、編組ステンレス鋼ケーブルであるが、任意の適切な材料を使用してもよい。保護スリーブ116は、好ましくは、その上の組織成長を妨げる非粘着特性を有する生体適合性材料から作製される。適切な材料はテフロン(登録商標)である。ケーブル114は、スリーブ116内で摺動可能に動作可能であってもよいし、又はケーブル114及びスリーブ116は、共に摺動可能に移動可能であってもよい。
【0043】
ケーブル114の第1の端部118は、第2の係合要素104の開口部(図示せず)を通って摺動可能に延びており、プランジング部材112に取り付けられている。スリーブ116の周りにカラー122が設けられ、スリーブ116がケーブル114と共に移動するように設計されている場合には、第2の係合要素104上及びその周りの組織成長が、開口部を通ってスリーブ116の動きを妨げないようにするために、カラー122は、第2の係合要素104内の開口部を通過する。ケーブル114がスリーブ116内で摺動可能に移動可能である場合、カラー122は、スリーブ116の端部内への組織の進入を防止する。
【0044】
図5〜
図9は、ケーブル114の端部120に接続された流体流量制御装置用の制御ボックスを示す。制御ボックスは、ハウジング202と、ウォームギア206を有するモータ204と、バネ208と、スリーブ116の周囲にシールを提供するためのベローズ210とを含む。ハウジング202は、ポリプロピレン又は任意の他の適切な生物学的に不活性な材料で作ることができる。体内への埋め込みに好適であるべき電池212(例えば、米国ニューヨーク州クラレンスに所在のウィルソン・グレイバッチ・リミテッド(Wilson Greatbatch Ltd)によって製造された電池)もまた提供される。操作機構(図示せず)を制御ボックス内に設けてもよいし、又は容易にアクセス可能な場所にホスト体内に別個に埋め込んでもよい。
【0045】
制御ボックス及びケーブル114の配置は、流体流量制御装置とは別に、制御ボックスを体内に埋め込むことを可能にする。例えば、制御ボックスは、ケーブル114及びスリーブ116が制御ボックス202から尿道又は他の体内管の周りに埋め込まれた流体流量制御装置まで延在した状態で、患者の腹部の皮膚の近くに埋め込まれてもよい。
【0046】
ケーブル114は、ハウジング202内の摺動可能に移動可能なケーシング214の内部に配置されたナット216に端部120で取り付けられている。またバネ208が、ケーシング214内に配置され、ケーシング214は、ねじ穴218を有し、ウォームギア206がケーシング214の内部に進入するのを可能にする。
【0047】
バネ208は、モータ204からケーブル114へ、したがって体内管Vへの軸方向運動を選択的に伝達するための継手を提供するために、モータ204とケーブル114との間に介在され、その操作は、
図7〜
図9を参照して以下に説明される。図示の実施形態では、モータ204は、ケーシング214に作用して、ナット216によってバネ208及びケーブル114を移動させる。しかしながら、任意の適切な圧縮性部材をケーシング214内で使用して、モータの動作から体内管を衝撃保護(cushion)してもよく、例えば、ケーシング214が適切にシールされている場合は、弾性変形可能な材料が使用されてもよく、又は圧縮性流体(例えば、気体)が使用されてもよい。あるいはまた、バネ又は他の圧縮性部材をケーブル114に直接接続するか、又はケーブル114に挿入してもよい。このような構成では、好ましくは、モータの動作時にケーブル114に押し込み及び引っ張り動作が依然として与えられるのに十分堅い圧縮性材料を使用する。
【0048】
摺動可能なケーシング214及びウォームギア206は、モータ204によってケーブル114に軸方向移動を付与することを可能にするが、ケーブル114の任意の適切な軸方向作動が使用されてもよいことを理解すべきである。例えば、モータ204は、軸方向に移動可能なアクチュエータを有していてもよく、歯付きラック又は他の軸方向に移動可能な要素に作用するように適切なギアリングを設けてもよい。あるいはまた、ケーブルは、ハウジング202内の軸の周りに巻き付けることができる可撓性の端部を有することができる。
【0049】
体液の侵入がモータ及び制御ボックスの他の構成要素を損傷するのを防ぐために、ケーブル114を含むスリーブ116はハウジング202に密封されるべきである。任意の適切なシールを使用することができるが、スリーブ116が摺動可能に移動できるように設計されている場合、スリーブは、プランジング部材112に移動を与えるために軸方向に移動可能でなければならないので、スリーブ116の周りをしっかりとシールすることはできないことに留意すべきである。スリーブ116をハウジング202に密封する1つの方法は、ベローズ機構を使用することである。適切なベローズ機構210が
図7〜
図9に示されている。ベローズ210は、スリーブ116が軸方向に移動するにつれてベローズ210が拡張又は崩壊するように設計され、これによってスリーブ116の周りでハウジング202内に滲出した流体がベローズ210によって捕捉され、装置が閉位置に移動するとき、ベローズ210をハウジング212から強制的に戻すことができる。
【0050】
スリーブ116は、ねじ付きボルト220及びナット222によって、ベローズ210及びハウジング202に密封されてもよい。ボルト220は、ハウジングの内部にその頭部224を有して、ハウジング202の開口部を貫通する。スリーブ116は貫通し、ボルト220の中央ボア226と密接に嵌合している。ベローズ機構210は概ね管状であり、Oリングシール228によってボルト220の頭部224の下面に密封されている。ナット222がボルト220に締め付けられると、Oリングシール228の圧縮は、ボルト220の外側の周りのハウジング202内への流体の進入を防止するための密封(きついシール)を引き起こす。ベローズ210は、ボルト220の頭部224の周りに延在し、しっかりと巻かれたバネ230によってハウジング202の内部のスリーブ116に密封される。可能な限り最もきついシールを得るために、スリーブ116強制的にベローズ210及びバネ230を貫通する前に、バネ230をベローズ210上に配置してもよい。ベローズ210をスリーブ116に密封する他の方法には、ケーブルクランプ、Cクリップ、接着剤などが含まれる。ベローズ210の一方の表面には補強リング234が設けられ、スリーブ116が軸方向に移動するのにつれてベローズ210が正確に崩壊することを保証する。補強リング234は、ベローズ210の壁の厚くされた領域であってもよいし、又は接着又は任意の他の適切な手段によってベローズに取り付けられた別個のリングであってもよい。補強リング234の代わりに、又は補強リング234に加えて、ベローズは、流体流量制御装置が閉位置に移動したときに、正しい折り畳みを保証するために、プリーツ加工又は折り畳まれてもよい。
【0051】
ベローズ210は、シールがハウジングに及びスリーブの周りに作られ、ベローズがハウジングの内外へのスリーブの移動を可能にするならば、任意の適切な形状とすることができることに留意すべきである。例えば、ベローズ210は、管の端部がハウジング及びスリーブに密封されている単純な管状であってもよい。あるいはまた、ベローズ210は、円錐台形状又はより複雑な形状(例えば、ベル形状)であってもよく、折り畳まれていてもプリーツ状であってもよい。ハウジングへのシールは、図示されているように、シールがハウジングの内側又はハウジングの外側のいずれかに延在するハウジング内の開口部の近くにあってもよい。あるいはまた、シールは、ボルト220の周り又は後ろのハウジングの壁に作られてもよい。
【0052】
ベローズ機構を使用せずにスリーブ116及びハウジング202をシールすることは可能であるが、スリーブ116の移動がシールに対して摩擦を生成するときにエネルギー損失が生じることが分かった。これにより、モータの電池寿命が最高1/3に短縮される可能性がある。例えば、可撓性環状リングをスリーブ116とハウジング202との間にシールしてもよく、環状リングは、スリーブが軸方向に移動するときに伸長する。あるいはまた、スリーブ116に沿って一連のシールを設けてもよく、各シールはハウジング202への流体の進入を防止する。
【0053】
操作機構からの信号を受信するとモータを動作させる制御回路(
図7〜
図9には図示せず)が設けられている。本発明の目的が破られない限り、いくつかの周知の制御装置のいずれかを使用して、ユーザによって本発明の体液流量制御装置の動作を制御することができる。適切な操作機構は、無線制御装置、又は制御回路によって感知され得る磁気装置を含む。磁気装置では、ユーザは、ユーザが携行する別個の磁石を設けることができ、これらの磁石は、装置を操作したいときに、埋め込まれたスイッチの上で皮膚に隣接して配置される。磁石は、任意の適切な形状であってもよく、その目的が他の人々に直ちに明らかとはならないように、例えばペン又はクレジットカードのような形状にすることができる。磁石は弱い磁場を有するべきであり、これによって磁石がポケット内で携行される場合に装置の誤動作を防止するために、装置を動作させるためにスイッチの近くに配置しなければならない。あるいはまた、タッチセンサ、赤外線、音声、又は音の作動が使用されてもよく、又は手動で操作されるスイッチが患者の皮膚の下に埋め込まれてもよい。
【0054】
遠隔操作される操作機構は、手動で操作されるトリガで起こるように、皮膚に刺激を与えずに装置を操作することができるので好ましい。好ましい実施形態では、遠隔操作されるトリガ機構に加えて、手動オーバーライドスイッチが設けられてもよい。手動オーバーライドスイッチは、制御ボックスが故障し、ユーザが制御ボックスを変えるための医師のオフィス又は病院に近くにいない場合、一時的に使用されるように設計されている。手動オーバーライドスイッチは、制御ボックス内に設けられてもよく、(例えば、膜シールによる)スイッチの第1の作動が行われるまで、制御ボックスの内部から封止されてもよい。このような手動オーバーライドスイッチの使用は、最終的に、制御ボックス内への流体の進入を可能にし、その場合には交換する必要があり得る。あるいはまた、手動オーバーライドスイッチを設けなくてもよく、これは制御ボックスが交換されるまで、ユーザは失禁パッドを使用しなければならないことを意味する。
【0055】
制御回路は、モータの動作を制御し、(例えば、ケーシングの位置又はモータに作用する抗力を介して)プランジング部材の位置を検出することができる。好ましくは、制御回路はまた、電池内の充電レベルを監視する。制御回路は、問題(例えば、低電池又は欠陥モータが検出された場合に、流体流量制御装置の開放を開始又は閉鎖を防止するように使用することができ、これによって装置を開位置にとどめることができる。例えば、装置が開放されると、アバットメント(図示せず)がケーシング214と接触して、それ以上の移動を防止することができる。また、モータを停止させることができる。バネ208を圧縮してケーシング214内で膨張させて、ケーブル114を移動させて装置を開閉することができるので、装置は手動オーバーライドによって依然として操作可能とすることができる。
【0056】
制御ボックス202はまた、医師がボックス自体にアクセスすることなく遠隔テレメトリーシステムによって制御回路に問い合わせることを可能にする構成要素を含むことができる。そのような構成要素は、テレメトリーシステムによって送受信される電波又は他の双方向信号、又は任意の他の適切な機構によって問い合わせ及び/又は制御することができる。これにより、医師は、電池内の電荷、内部センサのチェック、ケーブル114の張力の変更、及びその他の適切な調整を行うことができる。プランジャ112が閉位置にあるとき、プランジャ112と体内管Vとの間の圧力を監視するために、圧力センサをプランジャ112上に設けることができる。また、圧力センサは、テレメトリーシステムによって問い合わせることができ、テレメトリーシステムは、次に、制御装置の設定を変更するために使用することができる。例えば、装置の各動作時にモータ204がウォームギア206に発生させるターン数は、ケーブル114の正確な移動距離を設定するために、したがって、体内管Vに及ぼされる過剰な圧力を緩和するように、任意の特定の患者のためのプランジャ112を設定するために変更することができる。更に、テレメトリーシステムは、通常の操作手段に対するオーバーライドシステムとして、又はインサイチューで装置を試験するために通常の操作手段に加えて、モータに体液流量制御装置を開閉させる制御コマンドを含むことができる。
【0057】
問題が検出された場合に、制御ボックスが装置を故障させるか、又は開位置のままにしておくと、これは単に、患者が装置を埋め込む前の状態、つまり、失禁の状態に戻ることを意味するだろう。装置が閉位置で故障した場合、患者はカテーテルを施す必要があるだろう。しかしながら、手動オーバーライドシステムは、患者がかなり長い期間、又は医学的補助が得られるまで手動でシステムを操作することを可能にするだろう。
【0058】
装置の作動は、
図7〜
図9を参照して説明される。
図7に示す開位置では、モータ204は、ウォームギア206を作動させて、ケーシング214をモータ204の方に引く。これにより、ナット216がケーシング214と共に引っ張られ、こうしてプランジング部材112を体内管Vから引き離すようにケーブル114に作用する。ベローズ210はまた、その完全に伸びた位置にある。流体制御装置を閉じるために、モータ204は、装置を開くのに使用される方向と反対の方向にウォームギア206を回転させるように作動される。ウォームギア206が操作されると、
図8に示すように、ケーシング214がモータ204から離れるように動かされ、バネ208がナット216を押して、プランジング部材112を体内管Vに対して付勢する。モータ204が更に作動すると、体内管Vは、プランジャ112が移動することを防止し、体内管114が既に閉じられているときに、ケーブル114を体内管Vに対して移動させるのに必要な力が増大したために、ケーブル114の移動、したがってナット216の移動を防止する。
図9に示すように、ナット216はバネ208に押し付けられ、バネ208の圧縮を引き起こす。したがって、モータ204によるウォームギア206の更なる移動は、体内管Vの圧縮及び傷害をもたらさず、バネ208の更なる圧縮をもたらすことが分かる。このようにして、ケーシング214の軸方向移動は、ケーブル114に選択的に伝達させることができる。これは、体内管Vとバネ208との間の相互作用のために体内管を更に圧縮することができないので、モータ204の連続運転による装置の故障に対して体内管Vを保護する。
【0059】
制御ボックスの代替的な一実施形態を
図10及び
図11に示す。制御ボックスは、ハウジング902と、ウォームギア906を有するモータ904と、バネ908と、ベローズ910とを含む。制御回路(図示せず)と共に、電池912もまた設けられている。バネ908は、摺動可能なバネケーシング914内に配置される。操作機構(図示せず)は、制御ボックス内に設けられてもよく、又は容易にアクセス可能な場所にホスト体内に別個に埋め込まれてもよい。バネ、ウォームギア、及びモータの配置は、
図5〜9に記載した通りであり、これ以上説明しない。
【0060】
ハウジング902は、本体916と端部蓋918の2つの部分で形成されることが好ましい。端部蓋918は、本体916の端部922の内側に嵌合するリップ920を含む。O−リング926を受け入れるために、リップ920の周りに溝924が設けられている。端部蓋918はまた、良好なシールを提供するために本体916に音響的に密着接続(sonically welded)される。必要に応じて適切な工具を用いて蓋918を容易に取り外すことができるように、本体916の端部922の外側の周囲には溝928が設けられている。モータ904、ウォームギア906、摺動可能なケーシング914、ベローズ910、及び他の可動部品を電池912から分離するために、内部ハウジング930は、ハウジング902の長さに沿ってその一方の側まで延びる。内部ハウジング930は、本体916の端部922から離れた端部934にフランジ932を有し、Oリング溝936がフランジ932内に設けられている。また、モータ904をロックするために、セットスクリュー938が内部ハウジング930に設けられている。電気接点940が端部蓋918からモータ904まで延びる。雌ねじを有する内向きカラー942が、ハウジング902内のフランジ932の周りに延び、内部ハウジング930は、フランジ932を定位置に保持するために適所にねじ込まれた雄ねじ付きナット944によってハウジング902内に固定される。ナット944は、その締め付けを可能にするピン穴946を有することができる。ケーブル114が内部ハウジング930内に入ることを可能にするために、雌ねじを有する外向きカラー948もまた、ハウジング902に設けられる。
【0061】
スリーブ116は、第1の端部954及び第2の端部956を有する中空コネクタ952に取り付けられた端部950を有する。端部954において、コネクタ952は、その周辺部の周りに、端部950に隣接したスリーブ116の内側に取り付けられ、スリーブ116が引っ張られて緩くなるのを防止するように作用する後向きの歯958を有する。コネクタ952の第2の端部956は、雄ねじ960と、Oリング964を受け入れるのに適した溝962とを有する。ねじ960は、ハウジング902上のカラー948内に設けられた雌ねじにねじ込まれる。ケーブル114は、コネクタ952を介してハウジング902内へと延び、その端部120において、ケーシング914内へと延び、ナット216で終端を迎えるリンク部材966に取り付けられている。ケーブル114とリンク部材966との間の接続は、
図11に拡大して示されている。ケーブル端部120は、先細の端部970と、シールリングを受け入れるための溝972とを有するコネクタピース968に嵌合される。リンク部材966は、コネクタピース968を受け入れるための開口部974を有し、開口部974は、内部肩部976を有する。金属Oリング978は、肩部976によって受け入れられ、リング保持器980によって定位置に保持される。コネクタピース968は、金属Oリング978が溝972内に着座してコネクタピース968とリンク部材966との間にシールを形成するまで、開口部974に押し込められる。
【0062】
ベローズ910は、内向きカラー942にねじ込まれたナット944によってハウジング902に取り付けられている。ベローズ910は、内部ハウジング930のフランジ932に隣接して延在する端部フランジ982を有し、ベローズ910が内部ハウジング930によってハウジング902に気密封止されるように、フランジ932のOリング溝936内で封止する一体型Oリング984を有する。
ベローズ910はまた、ケーブルリンク986によってケーブルリンク部材966に取り付けられ、フランジ982の上方にプリーツ状の円錐形を有し、これによって圧縮時に容易に折り畳むことができる。
図10の実施形態では、スリーブ116は軸方向に移動不能であるので、ベローズ910はスリーブ116に取り付けられていないことに留意すべきである。代わりに、ケーブル114は、スリーブ116内で軸方向に移動可能である。本実施形態では、良好なシールをコネクタ952と制御ボックス902との間に設けることができるので、ベローズ910は必要ではないかもしれない。しかしながら、制御ボックス902への流体の進入を防止するために(例えば、ベローズ910を使用して)追加のシールを提供することは有利である。
【0063】
図10の制御ボックスの動作は、
図5〜
図9の制御ボックスの場合と同じであり、これ以上は説明しない。
【0064】
スリーブのためのシール及びケーブルのためのアクチュエータの更なる代替の一実施形態を
図12に示す。図示の実施形態では、ボックスへの流体の進入が起こらないように、制御ボックス1200は完全に封止されている。一端1204でシールされた中空の円筒状のボア1202が、制御ボックス1200内に形成されている。ボア1202は、制御ボックス1200の外面に隣接して設けられた雌ねじ1206を有する。
【0065】
スリーブ116の端部は、コネクタ1208に取り付けられ、コネクタ1208は、端部1210及び端部1212を有する。コネクタ1208の端部1210は、スリーブ116の端部に入るように寸法決めされ、コネクタ1208は、スリーブ116の内部と係合してコネクタ1208をスリーブ116に固定するために、端部1210に外方かつ後方に向く歯1214を有する。コネクタ1208の端部1212は、スリーブ116の直径よりも僅かに大きく寸法決めされており、雄ねじ1216を有する。コネクタ1208は、ねじ山1216及び1206によって制御ボックス1200のボア1202にねじ込まれてもよい。
【0066】
ケーブル114の端部120は、ボア1202内に配置され、カラー1218を備えている。環状磁石1220は、ケーブル114の端部120の周りでカラー1218によって支持される。ケーブル114は、スリーブ116内で軸方向に移動可能であり、従って、スリーブ116の周りにベローズシールは不要である。また、スリーブ116が動かないので、スリーブの周りの組織の成長は、装置の動作に影響を及ぼす可能性が無い。
【0067】
モータ1222は、ケーシングの底部に配置されたねじ穴1228を介してケーシング1226と係合するねじ付きウォームギア1224を有する。ケーシング1226は、ボア1202の周囲に延び、環状磁石1230は、ケーシング1226の上縁部の内部の周りに支持されている。磁石1230は、ケーブル114の端部120に位置する磁石1220と位置合わせされている。
【0068】
流体流量制御装置を開閉するケーブル114を作動させるために、モータ1222は、ケーシング1226をボア1202の外側に沿って動かすウォームギア1224を作動させる。磁石1230は、ボア1202を含むプラスチック材料を通して作用し、磁石1220にその動きを追跡させる。これは、次いで、ケーブル114を軸方向に移動させ、流体流量制御装置を作動させる。体内管が既に閉じられているときにモータ1222がケーブル114に向かってウォームギア1224を作動させ続けると、磁石1230に対する磁石1220の引力は、体内管壁からの抵抗のためにケーブル114を更に移動させるには不十分であり、体内管への潜在的な損傷を防止する。したがって、ケーシング1226の軸方向移動がケーブル114に選択的に伝達される。更に、ケーシング1226は、ボア1202又は制御ボックス1200の内面に当たって、磁石の位置があまりにも大きく外れてしまうのを防止する。
【0069】
モータとケーブルとの間の磁気リンクは、
図12に示された以外の多くの方法で達成され得ることを理解すべきである。例えば、磁石は環状である必要はなく、ケーブルの片側に配置することができる。更に、磁石は相互引力によって動作する必要はなく、モータ駆動の磁石がモータに向かって引き戻されると体内管を開くように動作するバネ作用又は他の手段を用いて、体内管を閉じるために互いに反発することによって動作することができる。また、磁気結合は、一方が磁気的で他方が磁気的引力又は反発力によって動くことができる限り、モータ及びケーブル又はモータによって駆動される他の構造体が、それぞれ磁石を有することを必要としない。電磁石もまた可能である。反発作用により、磁石をケーブル及びモータによって駆動される軸方向に移動可能なアクチュエータの端部に直接配置することができる。本発明の磁気駆動機構は、狭窄装置以外の多くの他のタイプの埋め込み型医療装置を動作させるために利用できることが理解される。
【0070】
ケーブルへの軸方向移動を選択的に伝達するための磁気結合の代替的な一実施形態が、
図13及び
図14に示されている。これらの図は、完全に密封された制御ボックス1300を示している。制御ボックス1300には、ケーブル114の端部120を受け入れるための目くら端部1304を有するボア1302が設けられている。コネクタ1306は、スリーブ116をボア1302に接続するために使用される。コネクタ1306は、後方に向いた歯1310を有する第1の端部1308と、中央肩部1312と、外部ねじ山1316を有する第2の端部1314とを含む。コネクタ1306の端部1308は、スリーブ116の端部に押し込まれ、歯1310は、スリーブの内面に作用する。コネクタ1306の端部1314は、Oリングシール1318及びねじ山1316にねじ込まれた雌ねじ付きナット1320によって制御ボックス1300に接続されている。ナット1320は、1322で制御ボックス1300に溶接されて気密封止を形成する。
【0071】
ケーブル114は、ボア1302内に延びている。円筒状の磁石1324が、ケーブル1316の端部120に、カラー1324及びケーブル端部120上に変形してぴったり嵌合するカラー1326によって取り付けられている。制御ボックス1300は、
図10の実施形態に対して記載されるように、モータ1328と、ウォームギア1330と、電池1332とを含む。環状の磁石装置1336を有するケーシング1334がウォームギア1330に螺合され、
図10の実施形態と同じ方法で作動するので、更に説明はしない。IC1338を含む制御回路と、抵抗器及びコンデンサを含む他の標準部品1340も示されている。
【0072】
図15は、ケーブル114の第1の端部118を体液制御装置に結合するコネクタの一実施形態を示す。コネクタ1500は、スリーブ116の内面に把持される外向きの歯1504を有する第1の端部1502を有する。コネクタ1500の第2の端部1506は、体液流量制御装置に取り付けられたカラー1512の外向きねじ山1510に螺合された、内向きねじ山1508を有するカラーを有する。Oリング1514は、カラー1512に対して気密シールを形成する。
【0073】
図15はまた、プランジャ112を詳細に示している。プランジャ112は、金属カラー1518に取り付けられた穿孔された金属ブラケット1516を含む。プランジャ112の本体は、穿孔されたブラケット1516上に成形されたシリコンで形成され、シリコンはブラケットの穿孔を通って延び、プランジャ112、ブラケット1516、及びカラー1518の間で気密シールを形成する。金属カラー1518は、ケーブル118の端部118上に単に圧着してもよい。
【0074】
図16は、ケーブル114及びスリーブ116を体液流量制御装置に接続する更なる代替の一方法を示す。
図16の実施形態では、流体流量制御装置は、雌ねじ1602を有するカラー1600を有する。コネクタ1604は、スリーブ116をカラー1600に接続するために使用される。コネクタ1604は、雄ねじ1606と、中央カラー1608と、外向きの歯1610とを有する。コネクタ1604は、
図13に示すコネクタ1306と同じであってもよいことを留意すべきである。これは、スリーブ116の両端に1つのタイプのコネクタのみを設ける必要があるので、製造上の経済性を可能にする。金属カラー1612は、プランジャ(
図16には図示せず)をケーブル114の端部118に接続するために使用される。Oリング1614は、カラー1612とコネクタ1604との間を封止することができる。
【0075】
ホスト体内の流体の流れを制御するための埋め込み型装置が、
図17〜
図18に示される。本装置は、開位置にあるときに体液を体管内に流すことを許容し、閉位置にあるときに体管内の流体の流れを減少させるための狭窄部材1710を含む。狭窄部材1710は、液嚢1714を含む。液嚢1714は、体管を圧迫し、それによって体管を通る体液の流れを低減し、体液が体管を通って再び流れることを可能にするように作動流体を放出する。開位置と閉位置との間で狭窄部材を操作するための作動部材1720が設けられている。作動部材1720は、作動流体を液嚢1714に出入りさせるための構造を含む。この構造は、インペラアセンブリ1728とモータ1730とを有する図示のようなポンプ1724を含むことができる。流体移送導管1734は、ポンプ1724を液嚢1714と接続する。液嚢1714を操作するための作動流体を貯蔵するためのリザーバ1740を設けることができる。
【0076】
体管を実質的に包囲するために、係合要素1744を設けることができる。液嚢1714の拡張により、液嚢は、係合要素1744に対して体管を圧縮させ、体管を通る体液の流れを減少させる。液嚢からの作動流体の排出により、体管が拡張し、体液が体管内を流れることが可能になる。係合要素1744は、任意の適切な設計とすることができる。
図17に示す設計では、係合要素1744は、第1の部分1750と第2の部分1754とを含む。第1の部分1750は、適切な接続構造(図示せず)によって第2の部分1754に結合される。液嚢1714は、第2の部分1750の適切なシートに着座することができる。
【0077】
液嚢1714は、異なるサイズ及び形状、ならびに材料であってもよい。体管を狭窄するように液嚢1714が作動流体を受けて膨張することが必要である。生体適合性であるポリマー材料を利用することができる。液嚢の材料は、作動流体が充填されると伸びる材料とすることができ、又は可撓性材料とすることができる。あるいはまた、液嚢の代わりに、他の流体作動(fluid−operated)構造(例えばピストンを移動させて管に対して押し付けるために作動流体によって作用されるチャンバ内の剛性ピストン)を設けてもよい。
【0078】
流体移送導管1734を介した液嚢1714への作動流体の流れを制御するためのポンプは、多くの異なる設計のものとすることができる。ポンプ1724は、適切な水密ハウジング(例えば、制御ボックス1760)内に配置されることが好ましい。ポンプ導管1770は、リザーバ1740と流体移送導管1734との間で流体を移送する。ポンプ1724は、ポンプ導管1770を圧迫して、これによって強制的に作動流体をポンプ導管に通すための構造を有する。一実施形態では、ポンプ1724は、複数のローラ1764を有するインペラ1728を有する。ローラ1764は、ポンプ導管1770(
図18)に隣接して設けられる。ポンプ導管1770は、円弧状のハウジング1774に沿って設けられることが好ましい。ローラ1764は、インペラ1728の表面から外側に延びている。このようにして、インペラ1728の回転によりローラ1764はポンプ導管1770を圧迫する。作動流体は、リザーバ1740から流体入口1780を通ってポンプ導管1770に引き込まれる。作動流体は、ポンプ導管1770上でインペラ1728及びローラ1764の圧縮作用によって、流体出口1784を通って流体移送導管1734内へと押し出される。作動流体は、流体移送導管1734を通って液嚢1714内に移動し、これによって液嚢1714に体管を拡張させて圧迫させる。体管の圧迫は、体管を通る体液の流れを制限する。他のポンプ構造も本発明の範囲内である。
【0079】
モータ1730は、流れの一方向において作動流体がリザーバ1740からポンプ1724を通って液嚢1714に流れるように可逆的である。逆方向において、ポンプ1724は作動流体を液嚢1714から引き抜き、リザーバ1740内へと圧送する。これによって体管の圧迫が解除され、体液が体管を通って流れることが可能になる。いくつかの構造では、ポンプを逆転させて液嚢1714から作動流体を除去する必要はなく、ポンプ1724をオフにすることにより、作動流体を液嚢1714から排出させることもまた可能である。これは、液嚢1714は弾性的である場合、又は液嚢1714を最初の非拡張状態に戻すように作用する付勢が液嚢1714にある場合には可能である。必要に応じて作動流体の流れを制限又は許可するために、適切なバルブ又はチェックバルブ(逆止弁)を流路内に配置することができる。
【0080】
本発明に係るテレメトリーシステムは、アクチュエータ及び狭窄部材の動作を制御するための適切な情報及びコマンドを提供する。本発明に係るテレメトリー装置1910を
図19に示す。テレメトリー装置1910は、適切なハウジング1920を含むことができる。ハウジング1920内には、アクチュエータ及び狭窄装置の動作を制御する制御ユニットに送信されるテレメトリー信号を生成するための適切な回路がある。テレメトリー装置1910は、オン/オフ電源スイッチ1924を有することができる。適切な接続ポート又はジャック(例えば、電力入力ジャック1930及びイヤホンジャック1938)を設けることができる。ディスプレイ1950は、オプション及びテレメトリー情報の視覚的表示を提供する。機能を選択するための選択ボタン1954が設けられている。異なる機能を示すために、次のボタン1958が設けられている。電磁石1962は、埋め込まれた制御ユニットへのリンクを提供することができ、ジャック1966に接続することができる。
【0081】
テレメトリー装置は、様々な情報を送信するために、制御ボックス及び狭窄装置と通信するために使用することができる。テレメトリー信号は、装置を起動し、その動作を制御し、使用時に装置を再較正するために利用することができる。この情報は、制御ボックス及び狭窄装置の状態に関連することができる。この情報はまた、患者の状態(例えば、体温)に関連することができる。テレメトリーコマンドは、狭窄部材の位置を較正し、設定するのに特に有用であり得る。例えば、テレメトリーコマンドは、狭窄部材の締め具合を調整したり、開始点に再較正したり、スリープモードにしたり、スリープモードから覚ましたり、又は特別なオプション(例えば、電池が少ない場合、又は選択された時間に対して利用が無い場合のユニット診断)のために使用することができる。
【0082】
ここで、
図20A〜
図20Cを参照すると、制御構造体300の代替の一実施形態が示されている。この好ましい実施形態では、制御構造体300のハウジング302は、第1の部分304と第2の部分306とを含む。ハウジング306の第2の部分は、1以上のセグメント306’及び306”を含むことができる。制御構造体300は、アクチュエータを動作させ、テレメトリー装置1910によって操作される。制御構造体300は、テレメトリー装置1910との間で信号を送受信するための1以上のアンテナ308を含む。テレメトリー装置1910に信号を送受信するのに十分な1以上のアンテナ308の少なくとも一部は、制御構造体300のハウジング304の第1の部分内に突出している。ハウジング304の第1の部分は、テレメトリー信号に透過性の材料を含む。ハウジング306の第2の部分は、テレメトリー信号に対して略不透過性の材料を含む。好ましい一実施形態では、ハウジング304の第1の部分は、可撓性プラスチック材料を含む。ハウジング306の第2の部分は、金属化合物を含む。一実施形態では、ハウジング306の第2の部分はチタンを含む。好ましい一実施形態では、ハウジング304の第1の部分は、ハウジング306の第2の部分に対して気密封止されている。
【0083】
ハウジング304の第1の部分は、1以上のアンテナ308を収容する空隙空間310を画定する。空隙空間310は、たとえ1以上のアンテナ308が振動又は他の動きを受けても、空隙空間310内に配置された1以上のアンテナ308は空隙空間310内で自由に動くことができ、かつ1以上のアンテナ308はハウジング304の第1の部分に接触しないように、十分な空間と共に内部に突出された1以上のアンテナ308を提供するように構成される。空隙空間310内に空隙が画定され、空隙はアンテナ308とハウジング304の第1の部分との間に配置され、空隙は更にアンテナ308に対して十分な大きさであり、ハウジング304の第1の部分内でのアンテナ308の自由な移動を可能にし、これによってアンテナ308は、ハウジング304に接触することなくアンテナの動きの結果としてハウジング304内を自由に動くことができる。
概して金属ケーシングを含み、これによってハウジング306の第2部分の金属ケーシングと干渉しないテレメトリーコマンド信号の送受信を可能にするハウジング306の第2の部分を越えて、アンテナ308は、空隙310内に上へと延びている。テレメトリー装置1910との間で信号を送受信するのに十分な1以上のアンテナ308の一部のみがハウジング304の第1の部分内に突出する必要があることが理解される。ハウジング304の第1の部分内の空隙空間310のサイズは、空隙空間308がテレメトリー装置1910への制御ユニット300内のアンテナ308との間のテレメトリー信号の自由な流れを可能にするように、アンテナ308のサイズに対して寸法決めされる。アンテナ308は、オンボードのPCボード312を含むことができる。
【0084】
好ましい実施形態では、アンテナ308は、オンボードのPCボードに取り付けられた中実の突起を含む。更に別の好ましい一実施形態では、内部格子配置構造を有するモジュールを使用して、アンテナ及びオンボードPCボード312をハウジング302内にスライドさせる。
【0085】
テレメトリー装置は、適切な通信プロトコル及び符号化を使用して制御ボックスと通信する。この符号化は、モールス符号と同様に、電磁放射又は磁気放射の異なるバースト長の形態とすることができる。適切な制御信号の例を表1に示す。他の符号化システムが可能であり、いくつかの異なるフォーマット(例えば、テキスト、バーコード、又は音声)で出力を生成するために使用することができる。適切な論理回路又は制御ボックス内のマイクロプロセッサは、これらの制御信号の、モータ、バルブ、又は装置内の他の構造に対する動作コマンドへの変換を可能にする。
【0086】
表−US−00001 表1 PMDテレメトリー応答 .cndot. エラー、PMDが不明なコマンドを受信したか、又は要求された機能を実行できませんでした。* .cndot. .cndot. .cndot. − − 6ターン; 最も緩い * .cndot. .cndot. .cndot. .cndot. − 7ターン; 緩い * .cndot. − − − − 8ターン; 通常のデフォルト * .cndot. .cndot. .cndot. .cndot. .cndot. 9ターン; きつい * − .cndot. .cndot. .cndot. .cndot.10ターン; 最もきつい * .cndot. − .cndot. 再較正は開始されましたが完了しませんでした; 6、7、8、9、又は10ターンを設定する必要があります。* − .cndot. .cndot. PMDは無効です。 PMDはステータスコマンドのチェックのみに応答し、通常の操作コマンドを有効化します。 PMDは他のすべてにエラーで応答します。 −.cndot. 通常の操作を有効化します。 PMDは、無効化された場合、有効なターン数をリストアします。 .cndot.=短い信号 − =長い信号 * これらのコードは、チェックステータスコマンドを受信したときにPMDによって通知されることができます。
【0087】
これらのテレメトリー信号は、任意の適切な信号(例えば、磁気、電磁気、音響、及び任意の他の適切な信号)とすることができる。
【0088】
本発明の別の一観点によれば、ホスト体内の流体の流れを制御するための埋め込み型装置は、開位置にあるときに体管内の流体の流れを許容し、閉位置にあるときに体管内の流体の流れを低減させるための狭窄部材を含む。電気作動式アクチュエータは、開位置と閉位置との間で狭窄部材を操作する。アクチュエータを操作するための制御構造体が設けられている。制御構造体は、前記狭窄部材を制御するための電圧測定構造を含む。電圧測定構造は、電池電圧を測定することができる。電圧測定構造は、追加的又は代替的に、アクチュエータによって引き出される電圧を測定することができる。電池電圧が低い場合は、電池の枯渇した又は不良の電池を表す。アクチュエータ電圧が高い場合は、狭窄部材が障害物又は機械的抵抗に達した場合に起こるように、アクチュエータが過剰に電流を引き込んでいることを表す。電圧の不規則が生じた場合、アクチュエータは、体内の流体の蓄積を避けるために、体管を通る流体の流れを可能にするように、狭窄部材を開位置に動かす。
【0089】
本発明の様々な実施形態が例として開示されており、添付の特許請求の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には他の修正及び変更(例えば、参照により全体として本明細書に援用される2001年11月20日に発行された米国特許第6,319,191号に記載される実施形態など)が可能であることが理解されるだろう。
【0090】
したがって、本明細書に記載される本発明は、当業者には明らかであるようなそのような修正及び変更の全てに及ぶとともに、この説明の構成及び添付の図面の組み合わせ及び副組み合わせ(サブコンビネーション)にも及ぶ。本発明の好ましい実施形態が添付図面に示され、前述の詳細な説明に記載されているが、本発明は開示された実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲によって記載され定義されるように本発明の趣旨から逸脱すること無く、多数の再構成、修正、及び代替が可能であることが理解される。
【国際調査報告】