(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-529428(P2018-529428A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(54)【発明の名称】食道プローブ及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/02 20060101AFI20180914BHJP
A61B 18/12 20060101ALI20180914BHJP
【FI】
A61B17/02
A61B18/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-514880(P2018-514880)
(86)(22)【出願日】2016年9月19日
(85)【翻訳文提出日】2018年4月11日
(86)【国際出願番号】US2016052542
(87)【国際公開番号】WO2017049313
(87)【国際公開日】20170323
(31)【優先権主張番号】62/220,088
(32)【優先日】2015年9月17日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG
(71)【出願人】
【識別番号】391058060
【氏名又は名称】ベイラー カレッジ オブ メディスン
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR COLLEGE OF MEDICINE
(71)【出願人】
【識別番号】512038182
【氏名又は名称】テキサス ハート インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100203828
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多村 久美
(72)【発明者】
【氏名】メフディ ラザビ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート パイスリー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160AA11
4C160KK03
4C160MM38
(57)【要約】
食道などの管状器官を縮小させるための方法であって、当該方法は、管状器官内に装置を挿入し、管状器官のセクションを少なくとも部分的に閉鎖し、並びに吸引の適用により管状器官の壁を引き込むことを含む。当該装置は、処置又は治療を受けている領域から離して管状器官の壁を動かすために使用されてもよく、例えば高周波エネルギーの適用による管状器官への損傷を最小限にし、又は管状器官の温度上昇を制限する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状器官を縮小させる(collapsing)ための装置であって、以下:
近位端と遠位端との間の外表面に配置された少なくとも1つの開窓に接続する少なくとも1つの内部管腔を有する管部分;
前記管部分の近位端に連結された接続導管(connecting conduit)であって、前記少なくとも1つの内部管腔に接続された吸引ラインを収容し、かつ吸引源と連通する、前記接続導管;
前記管部分の前記近位端に配置された第1のシーリング機能(sealing feature); 並びに
前記管部分の前記遠位端に配置された第2のシーリング機能;
を備え、
ここで、前記管部分は、哺乳動物対象の管状器官内への挿入のために適合され、かつ、前記第1及び第2のシーリング機能は、前記管状器官の壁に対して可逆的シールを形成する、装置。
【請求項2】
管状器官を縮小させるための方法であって、以下:
哺乳動物対象の管状器官の一部分内に装置を挿入し、
前記装置は、以下:
近位端と遠位端との間の外表面に配置された少なくとも1つの開窓に接続する少なくとも1つの内部管腔を有する管部分;
前記管部分の近位端に連結された接続導管であって、前記少なくとも1つの内部管腔に接続された吸引ラインを収容し、かつ吸引源と連通する、前記接続導管;
前記管部分の前記近位端に配置された第1のシーリング機能;並びに
前記管部分の前記遠位端に配置された第2のシーリング機能;
を備え、
前記管状器官の壁に対して前記第1及び第2のシーリング機能をシールすることによって、前記部分のシールされた領域を形成し;
前記吸引源を作動することによって前記少なくとも1つの開窓に吸引を適用して、前記管部分に向かって前記シールされた領域で前記壁を引き込むこと;
を含み、
ここで、前記管部分に向かって前記シールされた領域で前記壁を引き込むことが、前記管状器官の前記シールされた領域の外寸を減少させる、方法。
【請求項3】
内部器官を処置するためのシステムであって、以下:
第1の内部器官を処置するための熱アブレーション装置であって、制御入力を受信するように適合される、前記熱アブレーション装置;
前記管状器官内への挿入により前記第1の内部器官から離して管状器官を縮小させるための装置であって、以下:
近位端と遠位端との間の外表面に配置された少なくとも1つの開窓に接続する少なくとも1つの内部管腔を有する管部分;
前記管部分の近位端に連結された接続導管であって、前記少なくとも1つの内部管腔に接続された吸引ラインを収容し、かつ吸引源と連通する、前記接続導管;
それぞれ前記管部分の前記近位端及び遠位端に配置された第1及び第2のシーリング機能であって、前記管状器官の壁に対して可逆的シールを形成する、前記第1及び第2のシーリング機能;
前記管部分の前記遠位端に配置された第2のシーリング機能;並びに
前記管部分上に配置され、かつ出力を有する、少なくとも1つの温度センサ;
を備える、装置、
を含み、
ここで、前記少なくとも1つの温度センサの前記出力は、感知された温度の上昇に応じて前記熱アブレーション装置の電力出力(power output)を減少させることによって、前記熱アブレーション装置のための制御入力を生じる、システム。
【請求項4】
前記第1及び第2のシーリング機能が、前記接続導管を介して少なくとも1つの膨張/収縮装置に取り付けられたシーリングバルーン(sealing balloon)をそれぞれ含む、請求項1、2又は3のいずれか一項に記載の装置、方法又はシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの内部管腔が、前記管部分の前記外表面上に等間隔で配置された複数の開窓に接続している、請求項1、2又は3のいずれか一項に記載の装置、方法又はシステム。
【請求項6】
前記管部分上に配置され、かつ出力を有する少なくとも1つのセンサをさらに含み、前記少なくとも1つのセンサが、温度センサ、圧力センサ、電気伝導性/抵抗センサ、位置センサ、MRI基準マーカー及びCT基準マーカーからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の装置又は方法。
【請求項7】
前記管部分上に配置され、かつ熱アブレーション装置の電力出力を制御する出力を有する、少なくとも1つの温度センサをさらに含む、請求項1又は2に記載の装置又は方法。
【請求項8】
前記管部分が、約8センチメートルの長さを有する、請求項1、2又は3のいずれか一項に記載の装置、方法又はシステム。
【請求項9】
前記第1及び第2のシーリング機能が、約3センチメートルの直径を有するシールを形成する、請求項1、2又は3のいずれか一項に記載の装置、方法又はシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの開窓の直径が約0.5センチメートルよりも小さい、請求項1、2又は3のいずれか一項に記載の装置、方法又はシステム。
【請求項11】
各管部分の間に配置された付加的なシーリング機能を有する前記管部分の前記遠位端に少なくとも1つの付加的な管部分をさらに含む、請求項1、2又は3のいずれか一項に記載の装置、方法又はシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの開窓のそれぞれにおける吸引が、個別に制御されるか、又はグループで制御される、請求項1、2又は3のいずれか一項に記載の装置、方法又はシステム。
【請求項13】
前記シールされた領域を形成すること、及び前記吸引を適用することが、前記管状器官における温度変化を検出した後に行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記管部分から外側に向かって展開するように適合された支柱をさらに含む、請求項1、2又は3のいずれか一項に記載の装置、方法又はシステム。
【請求項15】
前記管状器官が食道を含む、請求項1、2又は3のいずれか一項に記載の装置、方法又はシステム。
【請求項16】
前記熱アブレーション装置が、心臓における心房細動を処置するためのRFアブレーション装置を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項17】
前記管状器官の前記シールされた領域の外寸を減少させることが、約50%の直径の縮小を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
展開可能な支柱を用いて、前記壁の引き込みに対して前記壁の一部分を支持することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2015年9月17日に出願された、発明の名称「食道プローブ」と称する、米国仮特許出願第62/220,088号明細書の利益及び優先権を主張し、その内容は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、食道などの管状器官を縮小させる(collapsing)ための装置及び方法に関する。管状器官は、管状器官内に装置を挿入し、少なくとも部分的に管状器官のセクションを閉鎖し、並びに吸引の適用により管状器官の壁を動かすことによって、縮小され得る。本発明はさらに、そのような装置を使用する方法であって、処置又は治療を受けている領域から離して管状器官の壁を動かすための、例えば高周波エネルギーの適用による又は温度上昇による管状器官への損傷を最小限にするための、方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
心房細動アブレーション(Atrial fibrillation ablation)は、心臓組織への高周波(RF)エネルギーの送達に関与する。RFエネルギーは、組織の熱損傷及びアブレーションにつながる。これは、その治療効果を生み出す主要な手段である。食道と心臓の左心房との近さにより、左心房の組織(特に左心房の後壁の組織、又は肺静脈付近の領域の組織)のアブレーションは、食道へのRFエネルギーの送達につながり得る。熱損傷及び二次的病変は食道組織にまで及び得る。これは心房食道瘻(atrioesophageal fistula)(AEF)の潜在的かつ可能性のある機構であり、まれではあるが、手順の致命的な合併症である。AEFを有する患者の約75%がこの症状により死亡する。AEFから患者を保護する最も効果的な手段は、食道に近い領域の熱損傷を避けることであることを示唆する文献が着実に増加している。アブレーションの全ての施術者(心臓電気生理学者)に明らかなことは、食道に近い領域の熱損傷は避けられるべきであることである。残念ながら、第一に、これらの領域はしばしば心房細動の主要なトリガーである。したがって、食道周辺の領域におけるアブレーションを避けることは実際に、アブレーション術の成功率の低下、及び心房細動の治癒率の低下につながる可能性がある。
【0004】
様々な技法が、アブレーションの過程で左心房から食道を熱的に分離するために試みられている。これらは、放射線不透過性又は放射線透過性カテーテルの形態での熱プローブの配置を含む。プローブは、左心房の後面に沿って横切る部分で食道の外形全体を部分的に覆う。当該プローブはまた、温度を感知し、RFエネルギー適用が増加した局所的(管腔内)食道温度をもたらしているか否かをオペレータに警告することになる。そのような温度上昇は、瘻孔形成を誘発するように理論化されている。他の技法は、アブレーション中に食道を冷却し、かつ食道を熱損傷から保護するように、食道交代浴(esophageal contrast bath)及び冷生理食塩水を用いる食道のイリゲーション(irrigation)の投与を含む。これら介入技法の使用の相対的な低頻度を考えると、たとえあったとしても、これら介入技法がAEFの開発にどのような影響を与えるのかを評価することは困難である。
【0005】
あるいは、アブレーションの過程でアブレーションカテーテルの近傍から離されるように、食道を選択的に移動させることが可能であることが望ましい場合がある。偏向(deflection)カテーテルを有する経鼻胃管が有効であることが示唆されている。内視鏡又は経鼻胃管を用いる食道の偏向に依存している現在の技術がある。しかしながら、これら技術は、より高価な偏向可能なカテーテルの使用、及び食道が実際に効果的に動かされるようなカテーテルの操作を必要とする。これは非常に煩雑になる可能性があり、かつ追加の人員が必要となり得る。多数のそのような手順を考えると、食道の機械的偏向を使用する経済的影響はおそらく法外になる。さらに、カテーテルが通過する食道全体のプロファイルは、造影剤が使用されない限り通常知られていない。それゆえ、食道の一部分がRFエネルギーが送達される領域に近すぎるままである危険性を残す。さらに、内視鏡の偏向は、食道を腹腔内で側方に押すことで、一方の胸壁よりも他方の胸壁に近接させることになる。偏向カテーテルは食道を突き又は過度に伸縮させる場合があり、食道を穿孔しておそらく瘻孔形成を誘発する危険性を増大させる。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
本発明は、食道などの管状器官を縮小させる装置及び方法に関する。管状器官は、管状器官内に装置を挿入し、少なくとも部分的に管状器官のセクションを閉鎖し、並びに吸引の適用により管状器官の壁を動かすことによって、縮小され得る。本発明はさらに、そのような装置を使用する方法であって、処置又は治療を受けている領域から離して管状器官の壁を変形させるための、例えば高周波エネルギーの適用による又は温度上昇による管状器官への損傷を最小限にするための、方法に関する。
【0007】
一般的に、管状器官を縮小させるための装置は、例えば食道のような、様々な身体構造に利用することができる。当該装置は一般に、装置により影響を受けることになる領域の近位の管状器官内に挿入されている管を含み得る。
【0008】
本発明の一態様では、当該装置は、近位端及び遠位端を有する管部分を含み得る。当該管部分は、少なくとも1つの開窓又は他のポートを有する外表面を有し、それらを通じて、吸引、あるいは液体又は気体を引き抜く他の手段が、管部分の周囲の領域に適用され得る。開窓は、管部分の近位端と遠位端との間に配置され得る。いくつかの実施形態では、管部分は複数の開窓又はポートを含んでもよく、当該複数の開窓又はポートは、吸引又は他の手段を管部分に沿った異なる位置に適用するために利用されてもよく、あるいは、例えば、単一の開窓又はポートを有するよりも大きな管部分の領域に沿って、適用された吸引又は他の手段を均一にするために利用されてもよい。開窓又はポートは、吸引又は他の手段の外部源(external source)に、例えば管部分内に形成された内部管腔を介して、あるいは接続導管(connecting conduit)内に運ばれた内部導管により、接続されてもよい。
【0009】
本発明の別の態様では、当該装置はさらに、装置により縮小されることになる管状器官の一部分を分離するための少なくとも1つのシーリング機能(sealing feature)を含み得る。一般的に、当該シーリング機能は、管状器官の壁に対して少なくとも部分的なシールを形成し得る。シーリングから非シーリング構成までの状態でシーリング機能が膨張性/収縮性又はさもなければ可変性であり得るという意味において、当該シールは可逆的であり得る。シーリング機能は、例えば、装置の管部分について変形可能又は圧縮可能な形態を含み得る。いくつかの実施形態では、シーリング機能は、バルーン又は他の機能を含んでもよく、それらは、管状器官の壁と接触するように選択的に拡張され、あるいは壁から離れるように収縮/縮小され得、例えば壁との付加的な接触又は摩擦無しに管状器官内で装置を動かすことを助ける。当該バルーン又は他の機能はまた、一般に、液体又は気体供給源、あるいは抜き取り(withdrawing)装置、例えば吸引ライン又はポンプに接続されてもよく、かつ、その接続は一般に、接続導管内で管腔(複数)又は導管(複数)/管(複数)によって運ばれ、並びに外部源又は装置に接続され得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、当該装置は、例えば、開窓又はポート(又はそれらのグループ)が2つのシーリング機能の間に位置するように、管部分の長さに沿って少なくとも2つのシーリング機能を含み得る。次に、当該2つのシーリング機能は、例えば、装置により変形されることになる特定の長さのいずれかの端部で、管状器官の特定の長さを閉鎖し得る。他の実施形態では、3つ以上のシーリング機能が、例えば、個別に変形されることになる複数の別個の特定の長さを作成するために、利用され得る。バルーン又は他の選択的に膨張性/収縮性の機能が利用される場合、それらは個別に制御されるか、又はグループで制御され得る。
【0011】
本発明のさらなる態様では、当該装置はさらに、管状器官内に装置を配置するのを助けるための、及び/又は、装置によって変形されることになる管状器官の所望の領域を検出するための、センサ又は他の機能を含み得る。いくつかの実施形態では、管状器官の所望の領域は、領域において検出された条件、例えば温度、圧力、電気抵抗/伝導性、及び/又は任意の他の適切な条件、あるいはそれらの組み合わせにより、決定されてもよい。例えば、管状器官が作用する必要があり得る場所を決定するために、例えば付近の温度上昇による損傷から保護することを助けるために、温度が検出されてもよい。さらなる例として、装置の外表面と管状器官の壁との接触の圧力又は他の指標は、装置が管状器官を縮小されている度合いを決定するために利用され得る。これは、例えば、管状器官の損傷又は過度の変形を防止するための吸引又は引き込み力(drawing force)の度合いを制御するために望ましい場合がある。
【0012】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つの温度センサの出力は、熱アブレーション装置のための制御入力を生じ得る。当該入力は、感知された温度の上昇に応じて熱アブレーション装置の電力出力(power output)を減少させるために使用され得る。他の制御方法は、温度読み取りの視覚的読み出しを有するものを含むことができ、従って、オペレータが温度読み取りに基づいて熱アブレーション装置の電力出力を変更でき、あるいは、オペレータに温度上昇を警告することができる。
【0013】
本発明の別の態様では、当該装置は、吸引又は他の引き込み動作を管状器官の内側に適用して、管状器官の接触、変形、又はさもなければ、例えば、サイズ、直径若しくは内径の減少を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、当該装置は、食道壁を内側に引き込むために利用され、例えば食道又はその一部分を別の構造から離して、例えば心臓の一部分から離して動かすことができる。これは、食道のような隣接構造への損傷を引き起こし得る、例えば心臓アブレーション術などの、心臓に対する処置又は治療として望ましい場合がある。治療を受けている領域に隣接した領域における食道に対する装置の使用は、食道を治療領域から離して間隔をあけることを助けて、食道を偶発的な損傷から保護するか、又は少なくとも偶発的な損傷を減少させることができる。一般的に、食道を治療領域から離して引き込みそして縮小させるための吸引の適用は、変形を引き起こすためのより外傷性の形態の力を適用することなく、非外傷性の変形をもたらし得る。吸引は、胸における他の構造への食道の繊維性付着による内部及び外部両方への食道のけん引(伸縮)を最小限にすることができる。次に、これは食道を穿孔する危険性を減少させる。いくつかの実施形態では、当該装置はまた、処置中に温度が上昇している場所をモニターするために上述したようなセンサを採用して、食道に適用されている吸引又は他の引き込み力の位置及び度合いを制御することができる。当該センサはまた、例えば、吸引又は他の引き込み力に対するフィードバック制御機構で動作し、あるいはさらなる例として、隣接治療において誘導されている温度変化の程度を制御し又はその程度に影響を与えることで動作し得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、当該装置は、例えば吸引を適用する際に管状器官の壁の一部分を変形させることによって、管状器官を選択的に動かすための、機械的補助又は支柱を含み得る。例えば、管状器官の一方は、例えば管部分に支柱又は類似の構造を機械的に展開することにより、特定の方向における管状器官の縮小を制限するように、支持されてもよく、そうでなければその特定の方向における管状器官の縮小は、開窓を介して提供された吸引によって引き起こされることになる。さらなる例として、支柱は、例えば肺静脈と比較して狭いプロファイルを生じるために、吸引と共に管状器官の縮小した形状を変更することができる。支柱は、その通常の幅を超えて食道を伸縮させることはないが、その代わりにある方向では通常の幅を維持し得ると同時に、縮小を起こし、別方向の幅を縮小する。そのようにして、支柱は特定方向の縮小から壁を支持し得る。
【0015】
上記及び他の利点と共に本発明は、以下の本発明の実施形態の詳細な説明から最もよく理解され、及び図面に示され得る。以下の説明は、種々の本発明の実施形態及びその多くの具体的な詳細を示すが、限定ではなく、例示として与えられている。多くの置換、修正、追加又は再構成が本発明の範囲内で成されてもよく、かつ本発明はそのような全ての置換、修正、追加又は再構成を含む。
【0016】
図面の簡単な説明
添付の、本明細書の一部を構成する図面は、本発明の特定の態様を示すために含まれる。より明確な、本発明の及び構成要素の印象、並びに本発明により提供されるシステムの動作は、例示的な、従って非限定的な、図面に示された実施形態(同一の参照番号が同じ構成要素を指定する)を参照することによって、より容易に明らかになるであろう。図面に示された特徴は、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1及び1aは、管状器官を縮小させるための装置の外部特徴を示す;
【
図2】
図2、2a及び2bは、心臓に近い食道の一部分に作用するための装置の使用を示す;
【
図3】
図3a及び3bは、ブタ食道の一部分を縮小させる装置の例を示す;
【
図4】
図4及び4aは、機械的に展開する支柱を有する管状器官を縮小させるための装置を示す;
【
図5】
図5は、非展開構成での縦支柱を有する管状器官を縮小させるための装置を示す;
図5aは、支柱支持体を装置の近位端に向かって動かすことによって展開された支柱を有する
図5に示された装置を示す;
図5bは、ブタ食道において展開された縦支柱を有する装置の図を示す;並びに
図5cは、ブタ食道において展開された装置の別の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
以下に記載した詳細な説明は、本発明の態様に従って提供された現在例示される方法、装置及びシステムの説明を意図するものであって、本発明が実施又は利用され得る形態のみを表すことを意図するものではない。しかしながら、同一又は等価の機能及び構成要素が異なる実施形態によって達成され得、その異なる実施形態はまた、本発明の趣旨及び範囲内に包含されることが意図されることを理解すべきである。
【0019】
別段定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと同一又は等価の任意の方法、装置及びシステムが、本発明の実施又は試験に使用され得るが、例示の方法、装置及びシステムをこれより説明する。
【0020】
本発明は、食道などの管状器官を縮小させるための装置及び方法に関し、具体的には、管状器官内に装置を挿入することによって管状器官を縮小させること、より具体的には、少なくとも部分的にセクションを閉鎖しそして、例えば吸引の適用により、管状器官の壁を動かすことによって管状器官を縮小させることに関する。本発明はさらに、そのような装置を使用する方法であって、処置又は治療を受けている領域から離して管状器官の部分を動かすための、例えば管状器官への損傷を最小限にするための、方法に関する。一般的に、管状器官は、限定されるものではないが、必要に応じて、ヒト対象又は他の哺乳動物対象におけるものであり得る。
【0021】
一般的に、管状器官を縮小させるための装置は、例えば食道のような、様々な身体構造に利用することができる。当該装置は一般に、装置によって影響を受けることになる領域の近位の管状器官内に挿入されている管を含み得る。
図1及び1aは、管状器官内に挿入されている管を含み得る管部分102を含む、管状器官を縮小させるための装置100の一実施形態を示す。哺乳動物対象の管状器官内への装置100の挿入を可能にするために、装置100は、潤滑に適した狭いプロファイル、平滑な表面を有し得、かつ、食道を穿孔することを避けるために柔軟な材料で作製され得る。装置100の挿入部分、例えば管部分102上の部分及び管部分102に隣接して配置された部分に使用される材料は、一般に、非毒性、生体適合性又はさもなければ身体の内部使用に安全であるように選択され得る。
【0022】
本発明の一態様では、当該装置は、少なくとも1つの開窓又は他のポートを有する管部分を含み得、それらを通じて吸引、あるいは液体又は気体引き抜く他の手段が、管部分の周囲の領域に適用され得る。
図1及び1a中の装置100の管部分102における開窓103で示されているように、いくつかの実施形態では、管部分は複数の開窓又はポートを含んでもよく、当該複数の開窓又はポートは、吸引又は他の手段を管部分に沿った異なる位置に適用するために利用されてもよく、あるいは、例えば、単一の開窓又はポートを有するよりも大きな管の領域に沿って、適用された吸引又は他の手段を均一にするために使用されてもよい。開窓103に接続する接続導管110の端部に外部接続112で示されているように、開窓又はポートは、吸引又は他の手段の外部源に、例えば管部分内に形成された内部管腔を介して、あるいは接続導管内に運ばれた内部管又は導管により、接続されてもよい。
【0023】
開窓又はポートは、管部分102に沿って任意の適当な形態又は数をとり得る。一般的に、管状器官の壁からの組織の顕著な量の引き込みによる目詰まり又は偶発的な損傷を引き起こすことなく吸引を適用するために、サイズ及び形状が適切であることが望ましい場合がある。例えば、食道に使用される場合、いくつかの実施形態は、約0.5cm未満の直径の円形又は楕円形の開窓を利用することができる。さらなる例として、開窓を有する管部分102の長さは、例えば食道の適切な長さを収容するなどのために、約8又は8.5cm程度であり得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、装置100はまた、選択的に管状器官を動かすための機械的補助又は支柱を含み得る。支柱は、例えば管状器官の壁の一部分を支持することによって、吸引の適用により生じる食道の横断面形状を変形させ得る。例えば、管状器官の一方の側は、例えば管部分102に支柱又は類似の構造を機械的に展開することにより、特定の方向における管状器官の縮小を制限するように、支持されてもよく、そうでなければ、その特定の方向における管状器官の縮小は、開窓103を介して提供された吸引によって引き起こされることになる。
図4及び4aは、管状器官90、例えば食道内に挿入されながら、機械的に展開する支柱105(格納された)、105a(展開された)を有する装置100を示す。
【0025】
本発明の別の態様では、当該装置はさらに、装置により縮小されることになる管状器官の一部分を分離するための少なくとも1つのシーリング機能を含み得る。
図1及び1aは、シーリングバルーン(sealing balloons)106、108により示された、少なくとも2つのシーリング機能を有する装置100を示す。一般的に、シーリング機能は、管状器官の壁に対して少なくとも部分的なシールを形成し得る。シーリング機能は、例えば、装置の管について変形可能又は圧縮可能な形態を含み得る。いくつかの実施形態では、シーリング機能は、バルーン又は他の機能を含んでもよく、それらは、管状器官の壁に接触するように選択的に拡張され、あるいは壁から離れるように収縮/縮小され得、例えば壁との付加的な接触又は摩擦無しに管状器官内で装置を動かすことを助ける。接続導管110を介してシーリングバルーン106、108にそれぞれ接続している膨張/収縮ポート116、118で示されているように、バルーン又は他の機能はまた、一般に、液体又は気体供給源、あるいは抜き取り装置、例えば吸引ライン又はポンプに接続されてもよく、かつ、その接続は一般に、管内で管腔(複数)又は導管(複数)/管(複数)によって運ばれ、並びに外部源又は装置に接続され得る。次にポート116、118は、例えばシリンジ、ポンプ又は他の膨張/収縮装置に接続され得る。ポート116、118はさらに、シーリングバルーン106、108における膨張又は収縮のレベルを維持するための、ロック又は他の機構、例えばロックバルブ116a、118aを含み得る。他の選択的なシーリング機能はまた、例えば機械的に展開する支柱、拡張ステント、平坦化/拡大シール及び/又は任意の他の適切な機能あるいはそれらの組み合わせを利用することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、当該装置は、例えば、開窓又はポート(又はそれらのグループ)が2つのシーリング機能の間に位置するように、管の長さに沿って少なくとも2つのシーリング機能を含み得る。次に、当該2つのシーリング機能は、例えば、装置によって変形されることになる特定の長さのいずれかの端部で、管状器官の特定の長さを閉鎖し得る。他の実施形態では、3つ以上のシーリング機能が、例えば、個別に変形されることになる複数の別個の特定の長さを作成するために、利用され得る。バルーン又は他の選択的に膨張性/収縮性の機能が利用される場合、それらは個別に制御されるか、又はグループで制御され得る。
【0027】
本発明のさらなる態様では、当該装置はさらに、管状器官内に装置を配置するのを助けるための、及び/又は、装置によって影響を受けることになる管状器官の所望の領域を検出するための、センサ又は他の機能を含み得る。
図1及び1aは、管部分102の長さに沿って配置された複数のセンサ104を示す。いくつかの実施形態では、管状器官の所望の領域は、領域において検出された条件、例えば温度、圧力、電気抵抗/伝導性、及び/又は任意の他の適切な条件、あるいはそれらの組み合わせにより決定されてもよい。例えば、管状器官が作用する必要があり得る場所を決定するために、例えば付近の温度上昇による損傷から保護することを助けるために、温度が検出されてもよい。これは、例えば、センサ104として、熱電対、サーミスタ又は他の形態の温度センサを利用することができる。センサ104はまた、例えば位置追跡機能、例えば磁気共鳴画像(MRI)又はコンピュータ断層撮影(CT)の基準マーカー、ホール効果磁気センサ(Hall Effect magnetic sensors)又は他の適切な位置追跡機能を含み得る。さらなる例として、装置の管と管状器官の壁との接触の圧力又は他の指標は、装置が管状器官を縮小されている度合いを決定するために利用され得る。これは、例えば、管状器官の損傷又は過度の変形を防止するための吸引又は引き込み力の度合いを制御するために望ましい場合がある。センサー104は、例えば、管部分102の外側に作用する管状器官の壁の圧力を検出し得る。シーリング機能はまた、シールの展開のレベル又は状態を決定するための検出機能、例えば膨張するバルーンとともに使用するための圧力センサを備え得る。
【0028】
図1及び1aに示されているように、センサ104は少なくとも1つの外部装置に、例えばセンサ接続114を介して、接続されてもよく、当該センサ接続114は、管部分102におけるセンサ104への接続から接続導管110から出てくる。例えば、センサ接続114は、例えば接続114aを介して、温度又は他のセンサフィードバックをモニターするために利用され、及び/又は、接続114bを介してフィードバック制御シグナルを提供し得る。
【0029】
本発明の別の態様では、当該装置は、吸引又は他の引き込み動作を管状器官の内側に提供して、管状器官の接触、変形又はさもなければ、例えば、サイズ、直径若しくは内径の減少を引き起こし得る。
図2、2a及び2bは、心臓に関連した食道における装置100の使用を示す。いくつかの実施形態では、当該装置は、食道壁を内側に引き込むために利用され、例えば食道又はその一部分を別の構造から離して、例えば心臓の一部分から離して動かすことができる。
図2は、心臓80に隣接した領域における食道90内に挿入された装置100管部分102を示す。これは、食道のような隣接構造への損傷を引き起こし得る、例えば心臓アブレーション術などの、心臓に対する処置又は治療として望ましい場合がある。治療を受けている領域に隣接した領域における食道に対する装置の使用は、食道を治療領域から離して間隔をあけることを助けて、食道を偶発的な損傷から保護するか、又は少なくとも偶発的な損傷を減少させることができる。一般的に、食道を治療領域から離して引き込みそして縮小させるための吸引の適用は、より外傷性の形態の力を適用することなく非外傷性変形をもたらし得る。例えば内視鏡カテーテルによって機械的に達成され得る偏向は、例えば、食道の管腔などに外傷を引き起こす可能性があり、それは他の形態の損傷及び合併症の起こしやすさを増大させ得る。そのような手順はまた、一般に、施術者の一部により多大な技能及び注意を必要とし、さらに処理を複雑にする。
【0030】
図2に示されているように、心臓80の一部分は、例えば高周波(RF)アブレーションを用いて、例えば心臓80の領域における心房細動を治療するために、熱アブレーション処置を受けていてもよい。この手順の可能性のある合併症は心房食道瘻(atrioesophageal fistula)(AEF)であり、ここでは、肺静脈の標的部位に直接隣接した食道に対する熱関連損傷は、心房と食道との間の連絡路を作成し、当該連絡路は上述した外傷性の方法による食道の管腔への損傷によって悪化し得る。AFアブレーション後のAEFの発生率は、0.1%〜0.25%の範囲で報告されており、観察された場合、非常に高い80%の死亡率につながる。この合併症の予防には、食道温度のモニタリングを含む。
【0031】
図2に示されているように、いくつかの実施形態では、心臓80に隣接した食道90の部分92における管部分102上の熱電対104で示されているように、当該装置はまた、処置中に温度が上昇している場所をモニターするために上述したようなセンサを採用して、食道に適用されている吸引又は他の引き込み力の位置及び度合いを制御することができる。当該センサはまた、例えば
図1aに関して上述した接続114a、114bを介して、例えば、吸引又は他の引き込み力に対するフィードバック制御機構で動作し、あるいはさらなる例として、隣接治療において誘導されている温度変化の程度を制御し又はその程度に影響を与えることで動作し得る。
【0032】
図2〜
図2aの展開されたシーリングバルーン106、108で示されているように、心臓80の処置の過程中に、シーリング機能106、108は、先制して、又は熱電対104により検出された温度変化などの変化に応じてのいずれかで、展開され得る。検出された温度変化に応じて、次に吸引がシーリングバルーン106と108との間に開窓103を介して適用され得る、これは食道90内の気体及び/又は液体(典型的には食道の空気及び/又は分泌物として存在する)の排出をもたらし、そして、
図2bにおける間隙A形成で示されるように、食道90の部分92の狭窄を引き起こして、心臓80から離す。この間隙Aは、例えば部分92における吸引/真空レベルをロックすることによって、適切な期間にわたって維持することができる。これは、例えば、
図1aに示された外部接続112におけるバルブ、又は他の装置、例えば吸引源におけるルアーロックを閉じることによって、行われ得る。特定の理論に拘束されるものではないが、これは一般に、食道90に対する、例えば管腔に対する、最小限の外傷で処置されている心臓80の領域からの食道90の付加的な分離をもたらし得、かつ、より集中的な方法、例えば内視鏡偏向とは対照的に、一般的に装置100を操作するために特別な臨床的専門知識は必要とされない。
【0033】
いくつかの実施形態では、支柱又は機械的機能はまた、食道を動かすことを助けるために利用され得る。
図4及び4aは、食道90内に挿入された装置100を示しており、部分92は心臓80に面している側壁であり、並びに部分92aは反対側に面した側壁であり、装置100との間にそれぞれ内部間隙B、Cを有する。
図4に示されるように支柱105は展開されておらず、かつ格納されているので、間隙B、Cは実質的に等しいか又は同様のサイズであり得、食道90は装置100とほぼ同心である。次に、
図4aに示されるように、支柱105は一方の側、例えば心臓80の反対側に、その伸長状態105aへと展開されて、部分92aを支持し、そして吸引を適用する際にその縮小を防ぎ得る。支柱105は一般に、一方の側に食道90全体を支持して、間隙Bを縮小し、かつ間隙Cを増大させ得、これは一般に、食道部分92と心臓80との間の間隙Aを増大させ得る。このようにして、支柱105は食道の縮小した形状を変形させる。
【0034】
いくつかの他の実施形態では、支柱は、装置の管部分に沿って縦方向に取り付けられてもよい。
図5及び5aは、近位支持体120及び遠位支持体122上の管部分102に沿って取り付けられた支柱123を有する装置100を示す。
図5に示されているように、支柱123は一般に、その非展開構成において管部分102と並行であり得る。次に、
図5aに示されるように、支柱123は、近位支持体及び遠位支持体120、122の間の距離を減少させることによって、例えば近位支持体120に向かって遠位支持体122を引っ張ることによって、展開され得、これは次に支柱123の圧縮及び/又は外側へのしなりを引き起こし得る。これは、管状器官の、ある方向での拡張及び別方向での収縮(すなわち平坦化)を引き起こすために、食道などの管状器官の壁を変形させるために利用することができる。これは一般に、拡張方向が、管状器官と熱アブレーション術中の心臓などの潜在的な損傷源との間の所望の増大間隙の方向と直行するように行われる。
【実施例】
【0035】
吸引プローブを使用する食道収縮の例
上述した装置が利用され、当該装置は、管の遠位端に8cm離して取り付けられた2つの閉塞バルーンを有する18フレンチ二重管腔管(French dual lumen tube)からなる。閉塞バルーンを、4つの熱電対のアレイの近位端及び遠位端に取り付けた。また、閉塞バルーンの間及びサーミスタの周囲は、一連の吸引ポート(開窓)である。熱電対は、装置の近位端でコネクタにより終端され、ハンドヘルド温度モニタと連通された。各閉塞バルーンの膨張及び収縮を、別個の管腔を介して独立して維持し、一方で、別個の吸引ポートを、開窓に接続された第3の管腔を介して提供した。装置を、中咽頭を介して食道内に配置し、遠位端を吸引ポートを有する8cmの管部分まで通し、そして熱電対は、例えば切除と死体の両方を含むブタ試料の、左心房の後方に位置する。閉塞バルーンを膨らませ、そして食道を吸引を介して変形させ、0.1℃以内での温度検出を継続的に行った。装置を食道の適切なレベルに配置し、作動して、直径の変化を決定した。
図3aは、装置の配置後に測定された24mmの直径を有する天然の食道の一例を示す。
図3bに示されるように、バルーンの膨張及び吸引の作動後に、食道の直径は有意に12mmまで減少し、これは装置のおおよその直径に近かった。
【0036】
プローブ上の支柱を使用する食道収縮の例
図5及び5aに図示された装置をブタ食道内に挿入し、支柱123を
図5aにおけるように展開した。
図5b及び5cは、ブタ食道に対する影響を示している。
図5bは最も狭い方向を示し、これは支柱123の展開の方向と垂直であり、そして
図5cは最も広い方向を示し、支柱の展開からの食道の平坦化を示している。
【0037】
本発明をその特定の実施形態に関して説明してきたが、これらの実施形態は単なる例示であり、本発明を限定するものではない。要約及び概要の記載を含む、本発明の示された実施形態の本明細書の説明は、網羅的であること、又は本明細書に開示された厳密な形態に本発明を限定することを意図するものではない(特に、任意の特定の実施形態、特徴又は機能の包含が、係る実施形態、特徴又は機能に本発明を限定することを意図するものではない)。むしろ、当該説明は、例示的な実施形態、特徴及び機能を説明することを意図し、それは、要約又は概要に記載された任意の係る実施形態、特徴又は機能を含む、任意の具体的に記載された実施形態、特徴又は機能に本発明を限定することなく、当該技術分野の文脈において通常の知識を有する者に、本発明を理解させるためである。本発明の特定の実施形態及び本発明についての例は、例示の目的のみのために本明細書に記載されるが、関連技術分野における当業者は認識及び理解することになるように、種々の等価な改変が本発明の趣旨及び範囲内で可能である。示したように、これら改変は、本発明の示された実施形態の前述の説明に照らして、本発明に対して行われてもよく、かつ本発明の趣旨及び範囲内に含まれることになる。したがって、本発明を、その特定の実施形態を参照して本明細書に記載してきたが、改変の自由度、種々の変更及び置換が前述の開示において意図される。そして、一部の例において、本発明の実施形態のいくつかの特徴が、記載された本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、他の特徴の対応する使用をすることなく、採用されることが理解されるであろう。それゆえ、多くの改変が、本発明の本質的な範囲及び趣旨に対して、特定の状況又は材料を適合させるために使用され得る。
【0038】
本明細書を通して、「一実施形態」、「実施形態」、又は「特定の実施形態」あるいは同様の用語に対する言及は、実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれ、かつ必ずしも全ての実施形態に存在しなくてもよいことを意味する。したがって、本明細書を通して様々な場所における、「一実施形態では」、「実施形態では」、又は「特定の実施形態では」というフレーズあるいは同様の用語のそれぞれの出現は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、任意の特定の実施形態の特定の特徴、構造、又は特性は、1又は複数の他の実施形態と任意の適切な方法で組み合わされてもよい。本明細書に記載及び示された実施形態の他の変形及び改変が、本明細書の教示に照らして可能であり、かつ本発明の趣旨及び範囲の一部と考えられるべきであることを理解すべきである。
【0039】
本明細書の記載において、多数の特定の詳細、例えば構成要素及び/又は方法の例が提供されて、本発明の実施形態の完全な理解を提供する。しかしながら、関連技術の当業者は、1又は複数の特定の詳細を用いることなく、又は他の装置、システム、アセンブリ、方法、構成要素、材料、部品、及び/又は同様のものを用いて、実施形態を実施することが可能な場合があることを認識するであろう。他の例において、よく知られた構造、構成要素、システム、材料、又は操作は、本発明の実施形態の態様を不明瞭にすることを避けるために、具体的に示されていないか又は詳細に記載されていない。本発明は特定の実施形態を用いることによって例示され得るが、これは任意の特定の実施形態に本発明を限定するものではなく、そして、当業者は付加的な実施形態が容易に理解可能であり、かつ本発明の一部であることを理解するであろう。
【0040】
本明細書で使用される、用語「含む(comprises)」「含む(comprising)」「含む(includes)」「含む(including)」「有する(has)」「有する(having)」又はこれらの任意の他の変形は、排他的な包含をカバーすることを意図する。例えば、要素のリストを含むプロセス、製品、物品、又は装置は、必ずしもこれら要素のみに限定されるものではないが、明示的に列挙されていないか、あるいは係るプロセス、製品、物品、又は装置に固有の、他の要素を含み得る。
【0041】
さらに、本明細書で使用される用語「又は」は、一般に、別段指示の無い限り「及び/又は」を意味することを意図する。例えば、条件A又はBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真(又は存在する)かつBが偽(又は存在しない)、Aが偽(又は存在しない)かつBが真(又は存在する)、並びに、A及びBの両方が真(又は存在する)。以下に続く請求項を含み本明細書で使用される場合、「a」又は「an」が先行する用語(及び先行詞が「a」又は「an」である場合の「the」)は、特許請求の範囲内で別段明らかに指示されていない限り、係る用語の単数及び複数両方を含む(すなわち、参照「a」又は「an」は明らかに単数のみ又は複数のみを示す)。なお、文脈上明らかに異なる場合を除き、本明細書で使用される「において(in)」の意味には、「の中に(in)」に加えて「の上に(on)」も含まれるものとする。
【国際調査報告】