特表2018-530435(P2018-530435A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-530435熱間圧延製品を環状コイルに形成するための券回システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-530435(P2018-530435A)
(43)【公表日】2018年10月18日
(54)【発明の名称】熱間圧延製品を環状コイルに形成するための券回システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B21C 47/12 20060101AFI20180921BHJP
   B21C 47/34 20060101ALI20180921BHJP
   B21C 47/24 20060101ALI20180921BHJP
【FI】
   B21C47/12
   B21C47/34 A
   B21C47/24 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-519462(P2018-519462)
(86)(22)【出願日】2016年10月11日
(85)【翻訳文提出日】2018年5月28日
(86)【国際出願番号】SE2016050977
(87)【国際公開番号】WO2017065675
(87)【国際公開日】20170420
(31)【優先権主張番号】1551334-4
(32)【優先日】2015年10月15日
(33)【優先権主張国】SE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】517140941
【氏名又は名称】モルゴールシャマール アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ホルムベリ,マグヌス
(72)【発明者】
【氏名】ザクセ,セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】エングルンド,オヴェ
【テーマコード(参考)】
4E026
【Fターム(参考)】
4E026BD01
4E026DA18
4E026GA07
(57)【要約】
熱間圧延製品を券回するための券回システム(1)及び方法であって、システムは、−ベースプレート(6)、垂直軸に沿ってベースプレートから延在する中央ドラム(7)、及び前記中央ドラムの外部に配置された受取りスリーブ(8)を備えるベース組立体(3)と、−ベース組立体を支持するように構成され、垂直軸の周りにベース組立体を回転させるように構成される第1の駆動機構を備える支持構造(2)と、−コイル(17)を形成するため、ベース組立体に熱間圧延製品を給送するように構成される給送デバイス(4)とを備え、受取りスリーブは、前記受取りスリーブの内部でかつ前記中央ドラムの外部でコイルが形成し始めるように、前記ベースプレートに着地する熱間圧延製品の第1の端を受取るように構成され、ベース組立体は、券回後に、支持構造から取外されるように、第1の駆動機構に解放可能に接続される、システム及び方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間圧延製品を券回するための券回システム(1)において、
−ベースプレート(6)、垂直軸に沿って前記ベースプレート(6)から延在する中央ドラム(7)、及び前記中央ドラム(7)の外部に配置された受取りスリーブ(8)を備えるベース組立体(3)と、
−前記ベース組立体(3)を支持するように構成され、前記垂直軸の周りに前記ベース組立体(3)を回転させるように構成される第1の駆動機構を備える支持構造(2)と、
−コイル(17)を形成するため、前記ベース組立体(3)に熱間圧延製品を給送するように構成される給送デバイス(4)とを備え、
前記受取りスリーブ(8)は、前記受取りスリーブ(8)の内部でかつ前記中央ドラム(7)の外部でコイル(17)が形成し始めるように、前記ベースプレート(6)に着地する前記熱間圧延製品の第1の端を受取るように構成される、券回システムであって、
前記ベース組立体(3)は、券回後に、前記支持構造(2)から取外されるように、前記第1の駆動機構に解放可能に接続されることを特徴とする、券回システム。
【請求項2】
前記受取りスリーブ(8)の上で前記中央ドラム(7)の周りに配置され、前記熱間圧延製品を前記製品の直前に券回した部分上に誘導するため、前記給送デバイス(4)と共に軸方向に移動可能である環状収集部材(10)を更に備える、請求項1に記載の券回システム。
【請求項3】
前記環状収集部材(10)は、前記中央ドラム(7)より前記垂直軸に沿って短い伸長部を有するため、前記環状収集部材(10)は、前記中央ドラム(7)のわずかな部分だけを囲む、請求項2に記載の券回システム。
【請求項4】
前記環状収集部材(10)は、前記給送デバイス(4)に接続される、請求項2または3に記載の券回システム。
【請求項5】
前記環状収集部材(10)は、回転可能収集リング(10)の形態である、請求項1から4のいずれか1項に記載の券回システム。
【請求項6】
前記収集リング(10)がその上に回転可能に搭載される支持体(11)を更に備える、請求項5に記載の券回システム。
【請求項7】
前記垂直軸の周りに前記収集リング(10)を回転させるように構成される第2の駆動機構(12)を更に備える、請求項5または6に記載の券回システム。
【請求項8】
前記第1の駆動機構及び前記第2の駆動機構は、互いに独立に動作可能であるように構成される、請求項7に記載の券回システム。
【請求項9】
前記熱間圧延製品を、前記給送デバイス(4)から給送されているときに、曲げるるように構成される予備曲げデバイス(9)を更に備える、請求項1から8のいずれか1項に記載の券回システム。
【請求項10】
前記中央ドラム(7)は、外側位置と内側位置との間で移動可能である壁セグメント(7a,7b,7c)を備える、請求項1から9のいずれか1項に記載の券回システム。
【請求項11】
水平なまたは本質的に水平な平面内で、前記ベース組立体(3)を前記支持構造(2)から離して移動させるように構成される搬送配置構成(13)を更に備える、請求項1から10のいずれか1項に記載の券回システム。
【請求項12】
熱間圧延製品を環状コイル(17)に券回するための方法において、
−ベース組立体(3)、前記ベース組立体(3)を支持する支持構造(2)、及び給送デバイス(4)を備える券回システム(1)を設けるステップであって、前記ベース組立体(3)は、垂直軸の周りに回転可能であり、ベースプレート(6)、前記ベースプレート(6)から延在する中央ドラム(7)、及び前記中央ドラム(7)の外部に配置された受取りスリーブ(8)を備える、設けるステップと、
−前記受取りスリーブ(8)の内部でかつ前記中央ドラム(7)の外部で、前記ベースプレート(6)上で前記熱間圧延製品の第1の端を誘導するステップと、
−前記熱間圧延製品を、前記給送デバイス(4)を使用して下方に給送しながら前記垂直軸の周りに前記ベース組立体(3)を回転させることによって、前記熱間圧延製品を、前記中央ドラム(7)の周りで環状コイル(17)に形成するステップと、
−前記券回システム(1)から前記コイルを取外すステップとを含む、方法であって、
前記券回システム(1)から前記コイル(17)を取外す前記ステップは、前記ベース組立体(3)から前記コイル(17)を取外す前に、前記支持構造(2)から前記ベース組立体(3)を取外すことを含むことを特徴とする、方法。
【請求項13】
前記券回システム(1)から前記コイル(17)を取外す前記ステップは、前記コイル(17)を取外す前に、前記ベース組立体(3)を傾斜させることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記券回システム(1)は券回ステーションに位置し、前記コイル(17)を保持する前記ベース組立体(3)は、前記ベース組立体(3)から前記コイル(17)を取外す前に、コンベヤを使用して前記券回ステーションから離れるように輸送される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項15】
前記中央ドラム(7)の周りに配置された環状収集部材(10)が提供され、方法は、前記給送デバイス(4)を前記環状収集部材(10)と共に前記垂直軸に沿って上方に移動させることによって、前記製品の直前に券回された部分の上に前記熱間圧延製品を誘導することを含む、請求項12から14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の熱間圧延製品を券回するための券回システム、及び、独立方法請求項のプリアンブルに記載の熱間圧延製品を形成するための方法に関する。熱間圧延製品は、ここで、熱間圧延によって形成され、限定はしないが、銅、真鍮、アルミニウム、及び、ばね鋼、軸受鋼、ステンレス鋼等のような鋼を含む金属材料から作られる、バー、ワイヤ、ロッド、ストリップ、または同様なものを指す。
【背景技術】
【0002】
熱間圧延製品をコイルに形成するための一般的なタイプの券回システムは、支持構造によって支持されたベース組立体を備える。支持構造は、垂直回転軸の周りにベース組立体を回転させるように構成される駆動機構を備える。ベース組立体は、コイルを支持するためのベースプレート、垂直軸に沿ってベースプレートから延在する中央ドラム、及び、前記中央ドラムの外部でベースプレートに取付けられた外側ハウジングを備え、それにより、環状空間が中央ドラムと外側ハウジングとの間に形成される。券回システムは、コイルを形成するため、ベース組立体に熱間圧延製品を給送するように構成される給送デバイスを更に備える。使用中であるとき、熱間圧延製品は、熱間圧延製品の第1の端がベースプレートに着地するように、給送デバイスから、中央ドラムと外側ハウジングとの間に設けられた空間に給送される。ベース組立体が回転するとき、熱間圧延製品は、中央ドラムの周りにコイルを形成する。外側ハウジングは、コイルの新たに形成される各ループが、既に形成されたループの上部上に形成されることを保証する。
【0003】
しかし、この券回システムに関する問題は、給送デバイスと熱間圧延製品の既に券回された部分との間のギャップであって、給送デバイスから給送される熱間圧延製品がギャップの上部に着地する、ギャップが、コイル形成サイクル全体を通して変動することである。これは、低くかつ不均一な密度及び不充分な安定性を有するコイルをもたらす。したがって、らせん状給送チューブが使用される券回システムが開発され、らせん状給送チューブを通して、熱間圧延製品が、中央ドラムと外側ハウジングとの間の環状空間内に給送される。こうしたらせん状給送チューブは、環状空間に挿入され得、それにより、既に券回した部分の上に熱間圧延製品が落ちる距離を減少させ得る。形成されるコイルの密度は、それにより改善されるが、こうした給送チューブは、一方で、高価でかつ維持するのが難しい。らせん状給送チューブは、作業中の安全上の問題を同様に伴い、こうした給送チューブによって取得可能な密度は、多くの用途について不十分である。
【0004】
国際公開第WO2009123685号パンフレットは、外側ハウジングが、給送デバイスと共に垂直方向に移動可能である券回システムを開示する。こうして、熱間圧延製品が落ちる距離は、大幅に減少し得る。しかし、この券回システムならびに他の知られている券回システムは、非常に背が高くかつ場所をとる。完成したコイルが券回システムから取外されるとき、コイルは、ベース組立体から持上げられる、または、ベース組立体は、コイルが取外されるように下げられる。したがって、ベースメントまたは更なる床が、通常、コイルを取外すことができるために必要とされる。これは、利用可能な空間が、しばしば制限され、また、他の目的のために必要とされる場合があるため、不都合である。
【0005】
知られている券回システムに関する別の問題は、1つのコイルを完成した後に券回システムからコイルを取外し、第2のコイルの形成のために券回システムを準備するために必要とされる時間量のせいでサイクルタイムが比較的長いことである。したがって、圧延ミルからの熱間圧延製品を、交互に受取り券回し得る2つの別個の券回システムがしばしば使用される。更に別の問題は、システムの大きな慣性モーメントから生じる券回システムの大きなエネルギー消費である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第WO2009123685号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
先に述べた問題の少なくとも一部を克服することが本発明の目的である。特に、少ない垂直空間がそれによりコイル形成プロセス中に必要とされ、また、サイクルタイム及びエネルギー消費がそれにより低減され得る、解決策を提供することが目的である。別の目的は、多用途でありかつ異なるコイルサイズ及び製品直径に対して容易に適合可能である券回システムを提供することである。更に別の目的は、完成したコイルの比較的高い密度及び均一性がそれによって達成され得る熱間圧延製品を形成するための券回システム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
少なくとも主要な目的は、最初に規定された券回システムによって達成され、その券回システムは、ベース組立体が、券回後に、支持構造から取外されるように、第1の駆動機構に解放可能に接続されることを特徴とする。こうして、ベースプレートが支持構造上に搭載されると、コイルは、ベースプレートから持上げられる必要がない。代わりに、完成したコイルを備えるベース組立体全体は、ベース構造からコイルを取外し、コイルを、例えばコンベヤまたはパレットまで搬送する前に支持構造から外され得る。これは、券回システムを収容するために必要とされる垂直空間を減少させる。それは、同様に、コイル製造プロセスの多用途性を増加させる。その理由は、ベース組立体からのコイルの取外しが、券回システムに即接続して、または、例えば、コンベヤを使用した輸送後に別の場所で実施され得るからである。コイルの取外しは、例えば、ベース組立体を傾斜させ、コイルを適したコイルホルダまで搬送することによって、または、コイルを持上げることによって達成され得る。いずれの方法でも、券回システムからコイルを取外すために必要とされる垂直空間が減少する。
【0009】
ベース組立体が取外し可能であるため、券回システムは、例えば、熱間圧延製品の異なる直径または異なる所望のコイル直径に適合するのが同様に容易である。ベース組立体を単に切換えることによって、同じ支持構造が、異なる用途について使用され得る。取外し可能ベース組立体は、同様に、券回システムのサイクルタイムを低減する。その理由は、券回後のベース組立体が、支持構造から迅速に取外され、別の空のベース組立体によって置換えられ得るからである。こうして、交互に行う2つの別個の券回システムを有することが必要でなくなる。1つの支持構造及び少なくとも2つのベース組立体を有することで十分である。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、券回システムは、受取りスリーブの上で中央ドラムの周りに配置され、熱間圧延製品を前記製品の直前に券回した部分上に誘導するため、給送デバイスと共に軸方向に移動可能である環状収集部材を更に備える。この実施形態において、受取りスリーブは、中央ドラムの高さより実質的に低い高さを有する。その理由は、受取りスリーブが、コイルが形成されているときに、コイルの第1の少数のループをカバーする必要があるだけであるからである。環状収集部材は、券回サイクルが進むにつれて、これらのループ上に熱間圧延製品を収集し誘導する。環状収集部材は、受取りスリーブの上に配置される。そのため、環状収集部材は、移動可能外側ドラムを形成し、給送デバイスと、熱間圧延製品がその上に着地する、直前に券回した部分との間の距離を減少させる。そのため、コイルの密度ならびに均一性が改善され得る。移動可能な環状収集部材は、固定した外側ハウジングが存在しないため、同様に、異なる高さの均一コイルの形成を可能にする。この実施形態の別の利点は、環状収集部材が、外側ハウジング、例えば、受取りスリーブであって、ベース組立体に接続され、ベース組立体と共に回転する中央ドラムと同様の垂直伸長部を有する、受取りスリーブについての必要性を取除くため、ベース組立体の慣性モーメントが低減され得ることである。券回システムの全エネルギー消費は、それにより低減され得る。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、環状収集部材は、中央ドラムより垂直軸に沿って短い伸長部を有するため、環状収集部材は、中央ドラムのわずかな部分だけを囲む。冷却システムの全体の高さは、それにより、形成されたコイルを完全にカプセル化する高い移動可能な外側ドラムまたは同様なものを備える冷却システムと比較して減少し得る。更に、冷却システムの重量は減少し、更に、エネルギー消費を低減する。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、環状収集部材は、給送デバイスに接続される。これは、給送デバイスと環状収集部材の同時の垂直移動を達成する好都合な方法である。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、環状収集部材は、回転可能収集リングの形態である。こうした収集リングは、券回されているときの熱間圧延製品について安定した支持を提供する。回転可能収集リングは、例えば、ベース組立体を回転させるために使用される第1の駆動機構によって、または、別個の駆動機構によって回転されてもよい。収集リングを回転させることは、熱間圧延製品に関するひっかき傷を防止する。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、券回システムは、収集リングがその上に回転可能に搭載される支持体を更に備える。支持体は、駆動機構を同様に支持し、環状収集部材を給送デバイスに接続するための好都合な手段を提供する。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、券回システムは、垂直軸の周りに収集リングを回転させるように構成される第2の駆動機構を更に備える。別個の駆動機構は、冷却システムの構造を簡略化する。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の駆動機構は、互いに独立に動作可能であるように構成される。こうして、収集リングの回転速度は、ベース組立体の回転速度と独立に調整され得、冷却条件は、それにより、最適化され得る。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、券回システムは、熱間圧延製品を、給送デバイスから給送されているときに、曲げるように構成される予備曲げデバイスを更に備える。これは、熱間圧延製品をコイルに形成するのをより容易にする。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、中央ドラムは、外側位置と内側位置との間で移動可能である壁セグメントを備える。コイルがベース組立体から取外されるとき、壁セグメントは、圧潰し得、取外し中にコイルを損傷するリスクを減少させる。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、券回システムは、水平なまたは本質的に水平な平面内で、ベース組立体を支持構造から離して移動させるように構成される搬送配置構成を更に備える。こうした搬送配置構成は、券回後に、支持構造からのベース組立体の高速な取外しを可能にし、短いサイクルタイムを可能にする。券回システムについて必要とされる垂直空間は、ベース組立体の移動が本質的に水平平面内であるため最小化され得るが、支持構造からベース組立体を解放するために小さな垂直移動が必要である場合がある。こうした垂直移動は、3〜4dm等、数デシメートルのオーダであり得る。更に、券回システムは、重いことが多い完成したコイルを保持するベース組立体の垂直持上げが大部分回避されるためエネルギー効率的である。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば、少なくとも主要な目的が、最初に規定されたように、熱間圧延製品を環状コイルに形成するための方法によって達成され、方法は、券回システムからコイルを取外す前記ステップが、ベース組立体からコイルを取外す前に、支持構造からベース組立体を取外すことを含むことを特徴とする。こうして、コイルは、垂直軸に沿ってコイルを持上げる必要なしで、券回システムから取外され得る。方法は、それにより、ベース組立体が支持構造上に搭載されるためコイルを券回システムから持上げることによってコイルが取外される、知られている方法に比べて、場所をとらずかつエネルギー効率的である。
【0021】
提案される券回システムは、有利には、本発明による方法において使用される。本発明による方法の利点及び有利な特徴は、提案される券回システムに関連して論じられるものに対応する。
【0022】
本発明のこの態様の一実施形態によれば、券回システムからコイルを取外すステップは、コイルを取外す前に、ベース組立体を傾斜させることを含む。垂直空間は、それにより、水平平面内の移動によってコイルがベース組立体から取外され得るため節約され得る。
【0023】
本発明のこの態様の別の実施形態によれば、券回システムは券回ステーションに位置し、コイルを保持するベース組立体は、ベース組立体からコイルを取外す前に、コンベヤを使用して券回ステーションから離れるように輸送される。これは、より小さな圧延ミルについて適し、コイルの時間効率的なハンドリングを可能にする。その理由は、コイルをコイル圧縮成形ステーションに輸送するために使用される中間コイルパレットまたは同様なものにコイルが搬送される必要がないからである。代わりに、ベース組立体は、コイルがベース組立体から取外され、その後、圧縮成形される圧縮成形ステーションに輸送される。
【0024】
本発明のこの態様の別の実施形態によれば、中央ドラムの周りに配置された環状収集部材が提供され、方法は、給送デバイスを環状収集部材と共に垂直軸に沿って上方に移動させることによって、前記製品の直前に券回された部分の上に熱間圧延製品を誘導することを含む。
【0025】
本発明の他の有利な特徴ならびに利点は、以下の説明から明らかにになる。
【0026】
本発明は、以下において、添付図面を参照して例によって更に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1の位置の、本発明の一実施形態による券回システムを概略的に示す図である。
図2】第2の位置の、図1の券回システムを示す図である。
図3図2の券回システムの部品の側面図である。
図4】本発明の一実施形態による方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一実施形態による券回システム1を備える券回ステーションは図1〜3に示される。券回システム1は、支持構造2、ベース組立体3、及び給送デバイス4を備える。支持構造2は、床または地面上等、平坦表面5上に位置し、ベース組立体3を支持し、ベース組立体3は支持構造2の上部に位置決めされる。支持構造2は、ベース組立体3を垂直回転軸の周りに回転させるように構成される第1の駆動機構(図示せず)を備える。締結機構(図示せず)が使用されて、ベース組立体3を支持構造2に解放可能に締結する。締結機構は、例えば、ロック位置で互いに係合するように構成される雄及び雌締結部材を備え、それにより、ベース組立体3を支持構造2に確実に締結し得る。オープン位置において、締結部材は係脱し、ベース組立体3は支持構造2から解放される。
【0029】
ベース組立体3は、ベースプレート6、垂直軸に沿ってベースプレート6から延在する中央ドラム7、及び、中央ドラム7の外部に配置された受取りスリーブ8を備え、それにより、環状空間が中央ドラム7と受取りスリーブ8との間でベースプレート6の近くに設けられる。中央ドラム7は、外側位置と内側位置との間で移動可能である圧潰可能な壁セグメント7a、7b、7cを備える。受取りスリーブ8は、中央ドラム7の全体高さより実質的に低い、券回された熱間圧延製品の少数のループに対応する高さを有する。
【0030】
給送デバイス4は、熱間圧延製品を、例えば、圧延ミルから下方に、給送デバイス4の前端に設けられた予備曲げデバイス9まで給送するように構成される。予備曲げデバイス9は、熱間圧延製品を、券回される前に曲げるように構成される。給送デバイス4、特に、その前端は、垂直軸に沿って上下に移動可能であるため、熱間圧延製品は、適した高さでベース組立体3に給送され得る。
【0031】
給送デバイス4の前端で、中央ドラム7の周りに配置された回転可能収集リング10が設けられ、回転可能収集リング10は支持体11上に回転可能に搭載される。収集リング10は、受取りスリーブ8の内径と同等の内径を有する。収集リング10は、給送デバイス4と共に、垂直軸に沿って上下に移動可能である。垂直方向において、収集リング10は、中央ドラム7と比較して低い高さを有するため、中央ドラム7のわずかな部分だけを囲む。垂直軸の周りに収集リング10を回転させるように構成される第2の駆動機構12は、同様に支持体11上に設けられる。第2の駆動機構12は、ここで第1の駆動機構と独立に動作可能である。そのため、第2の駆動機構12は、収集リング10を、ベース組立体3と同じ回転速度で、または、異なる回転速度で回転させてもよい。
【0032】
券回システム1は、ベース組立体3が支持構造2から解放されると、ベース組立体3を水平平面内で、支持構造2から離れるように移動させるように構成される搬送配置構成13を更に備える。搬送配置構成13は、ここで、支持構造2とレスト16との間に位置決めされたハブ15から延在する2つの回転可能アーム14を備え、レスト16に対して、ベース組立体3が支持構造2から搬送され得る。搬送配置構成13は、同様に、コイル17を保持しない空のベース組立体3を、レスト16から支持構造2まで搬送するために使用される。ベース組立体3を支持構造2から離れるように移動させるために使用されてもよい搬送配置構成を設計する多くの異なる方法が存在することを当業者は認識する。
【0033】
コイルが、図示する券回システム1を使用して形成されるとき、ベース組立体3は、壁セグメント7a、7b、7cが外側位置にある状態で支持構造2上に搭載される。ベース組立体3は、第1の駆動機構によって回転速度ω_1で回転する。給送デバイス4、予備曲げデバイス9、及び収集リング10を介して、熱間圧延製品の第1の端は、回転するベース組立体3に給送される。コイル形成プロセスが始まるため、給送デバイス4、予備曲げデバイス9、及び収集リング10は、図1に示すように、受取りスリーブ8に近い最も低い位置にある。熱間圧延製品は、予備曲げデバイス9を出るときに、収集リング10を介して、受取りスリーブ8と中央ドラム7との間に形成される環状空間内に入る。その間に、収集リング10は、第2の駆動機構12によって、第1の回転速度ω_1と同等かまたはそれとわずかに異なってもよい第2の回転速度ω_2で回転する。熱間圧延製品の第1の端は、ベースプレート6に着地し、回転するベース組立体3上に熱間圧延製品が連続して給送されるときに、コイル17が形成し始める。コイル17が高くなるにつれて、給送デバイス4及び収集リング10は上方に移動するため、券回される熱間圧延製品の着地位置と予備曲げデバイス9との間の垂直距離は、全コイル形成プロセス中、一定または本質的に一定に維持される。熱間圧延製品の第2の端がベース組立体3まで搬送されるとき、予備曲げデバイス9及び収集リング10は、一番上の位置に達し、コイル17は完成する、図2参照。
【0034】
完成したコイル17を保持するベース組立体3は、その後、支持構造2から解放され、回転可能アームのうちの1つのアームを使用してレスト16まで搬送される。同時に、空のベース組立体3は、別のコイルを形成するため、レスト16から支持構造2まで搬送される。完成したコイル17を保持するベース組立体3は、その後、傾斜し、壁セグメント7a、7b、7cは内側位置まで移動し、コイル17は、ベース組立体3から取外され、中間支持体19を介してコイルパレット18まで搬送される。コイル17を保持するコイルパレット18は、その後、例えば、コンベヤを使用して券回ステーションから離れるように輸送され得る。コイル17は、通常、券回ステーションから、コイルが更なる輸送の前に圧縮成形される圧縮成形ステーションまで搬送される。コイルパレット18を使用することに対する代替法は、コイル17を保持するベース組立体3全体を、コンベヤを使用して券回ステーションから離れるように輸送することである。
【0035】
本発明の一実施形態による熱間圧延製品を環状コイル17に形成するための方法は、図4に示される。第1のステップS1にて、上述した券回システム1が券回ステーション上に設けられる。第2のステップS2にて、ベース組立体3は、第1の駆動機構を使用して回転するように設定される。第3のステップS3にて、熱間圧延製品の第1の端は、圧延ミルから給送デバイス4を介して、受取りスリーブ8と中央ドラム7との間に設けられる環状空間内に誘導される。給送デバイス4を使用して熱間圧延製品を下方に給送しながら、垂直回転軸の周りにベース組立体3を回転させることによって、環状コイル17が、中央ドラム7の周りに形成し始める。第4のステップS4にて、収集リング10及びベース組立体3が共に回転するため、また、熱間圧延製品がベース組立体3まで連続して給送されるため、給送デバイス4は、収集リング10と共に垂直軸に沿って上方に移動する。第5のステップS5にて、ベース組立体3は、締結機構を解放することによって、支持構造2から取外され、回転可能アーム14のうちの1つのアームによって、ベース組立体3を、レスト16まで、または、コイル17を保持するベース組立体3を、例えば、圧縮成形ステーションまで輸送するために使用されるコンベヤまで搬送される。第6のステップS6にて、コイル17は、好ましくは、ベース組立体3を傾斜させた後にベース組立体3から取外される。
【0036】
本発明は、もちろん、いずれの点でも上述した実施形態に制限されるのではなく、その修正に対する多くの可能性が、添付特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者に明らかになるであろう。例えば、環状収集部材は、少なくとも2つの垂直に離間するリングを備えてもよく、その離間するリングの間に、幾つかの回転可能なロールが設けられる。ロールは、この場合、第2の駆動機構を使用することなく、熱間圧延製品を収集するのに役立つ。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】