特表2018-530931(P2018-530931A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特表2018-530931量子ビットを結合するアーキテクチャのための超伝導マイクロ波共振器空胴及びそれを構成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-530931(P2018-530931A)
(43)【公表日】2018年10月18日
(54)【発明の名称】量子ビットを結合するアーキテクチャのための超伝導マイクロ波共振器空胴及びそれを構成する方法
(51)【国際特許分類】
   H01P 7/00 20060101AFI20180921BHJP
   G06N 99/00 20100101ALI20180921BHJP
   H01L 39/00 20060101ALI20180921BHJP
   H03K 19/195 20060101ALI20180921BHJP
【FI】
   H01P7/00 Z
   G06N99/00 120
   H01L39/00 ZZAA
   H03K19/195
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-561380(P2017-561380)
(86)(22)【出願日】2016年5月23日
(85)【翻訳文提出日】2017年11月24日
(86)【国際出願番号】IB2016053010
(87)【国際公開番号】WO2017001951
(87)【国際公開日】20170105
(31)【優先権主張番号】14/755,181
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/949,248
(32)【優先日】2015年11月23日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108501
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 剛史
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】ダイアル、オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ステファン、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】マクルーア ザ サード、ダグラス、テンプルトン
(72)【発明者】
【氏名】ガンベッタ、ジェイ
【テーマコード(参考)】
4M113
5J006
5J042
【Fターム(参考)】
4M113AC45
5J006HA02
5J006HB03
5J006HC01
5J006LA02
5J006NA01
5J042BA02
(57)【要約】
【課題】 超伝導マイクロ波共振器空胴及びそれを構成する方法を提供すること。
【解決手段】 本発明は、超伝導マイクロ波空胴に関する。ポストのアレイは、空胴内で異なる高さを有し、アレイは、局在化されたマイクロ波モードをサポートする。ポストのアレイは、低共振周波数ポスト及び高共振周波数ポストを含む。高共振周波数ポストは、低共振周波数ポストのまわりに配置される。第1のプレートは、空胴内で第2のプレートに対向する。低共振周波数ポストの一端は、第2のプレートに電気的に接続されるように第2のプレート上に位置決めされる。アレイ内の低共振周波数ポストの別の端は、第1のプレートに対する電気的接続を形成しないように開放される。量子ビットがアレイ内の低共振周波数ポストに接続され、量子ビットの各々は、ポストのアレイ内の低共振周波数ポストの1つ又は2つに物理的に接続されるようになっている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超伝導マイクロ波空胴であって、
異なる高さのポストのアレイであって、前記ポストのアレイは各々、局在化されたマイクロ波モードをサポートし、前記ポストのアレイは、低共振周波数ポスト及び高共振周波数ポストを含み、前記高共振周波数ポストは、前記低共振周波数ポストのまわりに配置された、ポストのアレイと、
第1のプレートと、
前記第1のプレートに対向する第2のプレートと、
を備え、
前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストの一端は、前記第2のプレートに電気的に接続するように前記第2のプレート上に位置決めされ、
前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストの他端は、前記前記第1のプレートとの電気的接続を形成しないように開放され、
量子ビットが、前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストに接続され、前記量子ビットの各々は、前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストの1つ又は2つに物理的に接続されるようになっている、
空胴。
【請求項2】
前記第1のプレートは、前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストのそれぞれ上方にポートを含み、前記ポートは、前記量子ビットに結合し、これを駆動し、及びこれを測定するように構成される、請求項1に記載の空胴。
【請求項3】
前記高共振周波数ポストは、両端が短絡されており、前記高共振周波数ポストの第1の端が前記第1のプレートに短絡され、第2の端が前記第2のプレートに短絡される、前記請求項のいずれかに記載の空胴。
【請求項4】
前記高共振周波数ポストは、前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストのモード局在化を提供するように構成される、請求項3に記載の空胴。
【請求項5】
前記量子ビットは、超伝導量子ビット、半導体スピン量子ビット、光学的にトラップされたイオン、及び結晶の不純物中心のうちの少なくとも1つである、前記請求項のいずれかに記載の空胴。
【請求項6】
前記量子ビットは、同じ格子上の異なるタイプのものである、前記請求項のいずれかに記載の空胴。
【請求項7】
前記量子ビットの各々は、それ自体の読出し共振器をそれぞれ組み込む、前記請求項のいずれかに記載の空胴。
【請求項8】
前記読出し共振器は、前記第2のプレートを通して形成された円筒形共振器の中に延び、前記円筒形共振器は、前記量子ビットの各々の下にそれぞれ位置決めされて前記読出し共振器を受け入れる、請求項7に記載の空胴。
【請求項9】
前記ポストのアレイが正方形の格子を形成する、前記請求項のいずれかに記載の空胴。
【請求項10】
前記ポストのアレイが三角形の格子を形成する、請求項1から請求項9までのいずれかに記載の空胴。
【請求項11】
前記量子ビットの格子は、量子誤り訂正コードを実行するように構成される、前記請求項のいずれかに記載の空胴。
【請求項12】
前記ポストのアレイは、標準機械加工技術、標準ミクロ機械加工技術、及び3D印刷のうちの少なくとも1つを用いて製作される、前記請求項のいずれかに記載の空胴。
【請求項13】
異なる高さを有する前記ポストのアレイは、0.75GHzから150GHzまでの共振モードをサポートすることに対応する、0.5mmと100mmとの間の長さである、前記請求項のいずれかに記載の空胴。
【請求項14】
前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポスト間の分離距離は、前記低共振周波数ポストの高さより小さい、前記請求項のいずれかに記載の空胴。
【請求項15】
超伝導マイクロ波空胴を構成する方法であって、
異なる高さのポストのアレイを設けることであって、前記ポストのアレイは各々、局在化されたマイクロ波モードをサポートし、前記ポストのアレイは、低共振周波数ポストと、前記低共振周波数ポストのまわりに配置された高共振周波数ポストとを含む、ポストのアレイを設けることと、
第1のプレートを第2のプレートに対向して構成することと、
前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストの一端を、前記第2のプレートに電気的に接続されるように前記第2のプレート上に位置決めすることと、
前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストの他端を、前記第1のプレートに対する電気的接続を形成しないように開放するように位置決めすることと、
量子ビットを前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストに接続して、前記量子ビットの各々が前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストの1つ又は2つに物理的に接続されるようにすることと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記第1のプレートは、前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストのそれぞれ上方にポートを含み、前記ポートは、前記量子ビットに結合し、これを駆動し、及びこれを測定するように構成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記高共振周波数ポストは、両端が短絡されており、前記高共振周波数ポストの第1の端が前記第1のプレートに短絡され、第2の端が前記第2のプレートに短絡される、請求項15又は請求項16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記高共振周波数ポストは、前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストのモード局在化を提供するように構成される、請求項15から請求項17までのいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記量子ビットは、超伝導量子ビット、半導体スピン量子ビット、光学的にトラップされたイオン、及び結晶の不純物中心のうちの少なくとも1つである、請求項15から請求項18までのいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記量子ビットは、同じ格子上の異なるタイプのものである、請求項15から請求項19までのいずれかに記載の方法。
【請求項21】
超伝導マイクロ波空胴であって、
側壁で接続された上部プレートと底部プレートとを含む筐体と、
前記筐体内の低共振周波数ポスト及び高共振周波数ポストを含むポストのアレイと、
前記低共振周波数ポストに接続された量子ビットであって、前記量子ビットの各々が、前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストの1つ又は2つに物理的に接続されるようになっている、量子ビットと、
を備え、
前記低共振周波数ポストの一端は、前記底部プレートに電気的に接続するように前記底部プレート上に位置決めされ、一方、前記低共振周波数ポストの他端は、前記上部プレートとの電気的接続を形成しないように開放され、
前記高共振周波数ポストは、両端が短絡されており、前記高共振周波数ポストの第1の端が前記上部プレートに短絡され、第2の端が前記底部プレートに短絡され、
前記上部プレートは、前記低共振周波数ポストのそれぞれ上方にポートを含み、前記ポートは、前記量子ビットに結合し、これを駆動し、及びこれを測定するように構成される、
空胴。
【請求項22】
前記高共振周波数ポストは、前記低共振周波数ポストのまわりに配置される、請求項21に記載の空胴。
【請求項23】
前記量子ビットの各々は、それ自体の読出し共振器をそれぞれ組み込む、請求項21又は請求項22のいずれかに記載の空胴。
【請求項24】
前記読出し共振器は、前記底部プレートを通して形成された円筒形共振器の中に延び、前記円筒形共振器は、前記量子ビットの各々の下にそれぞれ位置決めされて前記読出し共振器を受け入れる、請求項23に記載の空胴。
【請求項25】
前記上部プレート、前記底部プレート、及び前記側壁が超伝導材料で作られた、請求項21から請求項24までのいずれかに記載の空胴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超伝導技術に関し、より詳細には、共振器のアレイを形成する超伝導空胴のためのアーキテクチャに関する。
【背景技術】
【0002】
量子コンピューティングは、情報を格納するための量子ビットと呼ばれる共振構造体と、量子ビットの読出し及び操作のための共振器(例えば二次元(2D)導波路として又は三次元(3D)マイクロ波空胴として)とを使用する。今日まで、主たる焦点は、量子ビットがデコヒーレンスに至って情報が失われる前に計算(すなわち操作及び読出し)を行うことを可能にするために、量子ビットの寿命を改善することに向けられてきた。現在、量子ビットのコヒーレンス時間は、100ミリ秒ほどの長さにまですることができており、コヒーレンス時間を延長する努力が行われている。超伝導3D空胴は、整列して空胴の壁を構築するポケットを有する2つの金属部品を嵌合することによって作ることができる。空胴は、銅で作ることができ、銅は希釈冷凍機温度であっても常伝導金属(normal metal)のままであるので、これは全ての共振モードのQ因子をおよそ10,000に制限する。同じ種類のアルミニウム空胴は、種々の洗浄、機械加工、及び材料特性に応じて、100万から5000万までの範囲のQ因子を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0264283号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、超伝導マイクロ波共振器空胴及びそれを構成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施形態によれば、超伝導マイクロ波空胴が提供される。空胴は、低共振周波数ポスト及び高共振周波数ポストを含む、異なる高さのポストのアレイを含む。アレイ内の各ポストは、局在化されたマイクロ波モードをサポートする。高共振周波数ポストは、低共振周波数ポストのまわりに配置される。空胴は、第1のプレートと、第1のプレートに対向する第2のプレートとを含む。ポストのアレイ内の低共振周波数ポストの一端は、第2のプレートに電気的に接続するように第2のプレート上に位置決めされる。ポストのアレイ内の低共振周波数ポストの他端は、第1のプレートとの電気的接続を形成しないように開放される。量子ビットがポストのアレイ内の低共振周波数ポストに接続され、量子ビットの各々は、ポストのアレイ内の低共振周波数ポストの1つ又は2つに物理的に接続されるようになっている。
【0006】
1つの実施形態によれば、超伝導マイクロ波空胴を構成する方法が提供される。この方法は、異なるポストのアレイを設けることを含む。ポストのアレイは、局在化されたマイクロ波モードを各々がサポートする、低共振周波数ポスト及び高共振周波数ポストを含む。高共振周波数ポストは、低共振周波数ポストのまわりに配置される。この方法は、第1のプレートを第2のプレートに対向して構成することと、ポストのアレイ内の低共振周波数ポストの一端を、第2のプレートに電気的に接続されるように第2のプレート上に位置決めすることとを含む。この方法は、ポストのアレイ内の低共振周波数ポストの他端を、第1のプレートに対する電気的接続を形成しないように開放するように位置決めすることと、量子ビットをポストのアレイ内の低共振周波数ポストに接続して、量子ビットの各々がポストのアレイ内の低共振周波数ポストの1つ又は2つに物理的に接続されるようにすることとを含む。
【0007】
1つの実施形態によれば、超伝導マイクロ波空胴が提供される。空胴は、側壁で接続された上部プレートと底部プレートとを含む筐体と、筐体内の低共振周波数ポスト及び高共振周波数ポストを含むポストのアレイとを含む。また、空胴は、低共振周波数ポストに接続された量子ビットを含み、量子ビットの各々は、ポストのアレイ内の低共振周波数ポストの1つ又は2つに物理的に接続されるようになっている。低共振周波数ポストの一端は、底部プレートに電気的に接続するように底部プレート上に位置決めされ、一方、低共振周波数ポストの他端は、上部プレートとの電気的接続を形成しないように開放される。高共振周波数ポストは、両端が短絡されており、高共振周波数ポストの第1の端が上部プレートに短絡され、第2の端が底部プレートに短絡されるようになっている。上部プレートは、低共振周波数ポストのそれぞれ上方にポートを含み、ポートは、量子ビットに結合し、これを駆動し、及びこれを測定するように構成される。
【0008】
付加的な特徴及び利点は、本発明の技術を通じて実現される。本発明の他の実施形態及び態様は、本明細書で詳細に説明され、特許請求される発明の一部とみなされる。本発明を利点及び特徴と共により良く理解するために、説明及び図面を参照する。
【0009】
本発明とみなされる主題は、本明細書の結論部にある特許請求の範囲において具体的に指摘され明確に特許請求される。本発明の上記及び他の特徴並びに利点は、添付の図面との関連で解釈される以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態による、量子ビット及び側壁を除いた、超伝導マイクロ波共振器空胴の斜視図である。
図2】実施形態による、上部プレートを除いた、超伝導マイクロ波共振器空胴の平面図である。
図3】実施形態による、低共振周波数ポストに関連付けられた電場の計算を示す、超伝導マイクロ波共振器空胴の概念図である。
図4】実施形態による超伝導マイクロ波共振器空胴の態様の概念図であり、図4(A)は、高共振周波数ポストと低共振周波数ポストと量子ビットとの小ピッチの量子ビットアレイのモデルを示し、図4(B)は、低及び高共振周波数ポストを省いて量子ビットの配置のみを示した略図である。
図5】実施形態による、低共振周波数ポストの上方の入力ポートを示す、例示的な超伝導マイクロ波共振器空胴の断面図である。
図6】実施形態による超伝導マイクロ波共振器空胴の略図である。
図7】実施形態による、低共振周波数ポストに垂直に取り付けられた量子ビットを示す、超伝導マイクロ波共振器空胴の略図である。
図8】実施形態による、低共振周波数ポストの所与の量子ビットに対する結合強度が低共振周波数ポスト間のポスト間分離によって制御されることを示す、超伝導マイクロ波共振器空胴の略図である。
図9】実施形態による超伝導マイクロ波共振器空胴の1つの実装の詳細を示す。
図10】表面コード誤り訂正スキームのための量子ビットの正方形アレイのセクションを示す。
図11図10に示す格子の共振器ベースの実装を示す。
図12図11の量子ビット−共振器ネットワークを、実施形態による本開示の特徴を用いて実装することができることを示す。
図13】実施形態による超伝導マイクロ波共振器空胴を構成する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態によれば、複数の量子ビットの容易な結合を可能にし、長いコヒーレンス時間を保ち、量子ビットのフットプリントを(例えば100倍まで)削減し、従来の機械加工又はミクロ機械加工が適用可能な、超伝導マイクロ波共振器空胴の新規な3Dアーキテクチャが開発された。
【0012】
図1は、超伝導マイクロ波共振器空胴100の斜視図を示し(量子ビット40は示さない)、図2は、実施形態による空胴100の(取外し可能な上部プレート25を除去した状態の)平面図を示す。空胴100は、共振器(例えば、λ/2共振器)としての高い共振周波数ポスト10(斜線)と、共振器(例えば、λ/4共振器)としての低共振周波数ポスト20(網点)とを含む。高い共振周波数と低共振周波数とのネットワークパターンは、説明目的で単に示したものである。空胴100は、取外し可能な上部プレート25と、底部プレート30とを示すが、図1及び図2において側壁は示されていない。側壁35は、図3で示される。取外し可能な上部プレート25、底部プレート30、高い共振周波数ポスト10、低共振周波数ポスト20、及び側壁35は、全て超伝導材料(例えば、ニオブ、アルミニウム、ニオブチタン、スズめっき銅、窒化チタンめっき銅、窒化チタン、窒化ニオブ、及びタンタルなど)で作られる。1つの事例において、材料は、銅などの非超伝導材料とすることができる。
【0013】
実施形態は、異なる周波数の同軸共振器ポスト10及び20の2つの相互貫入するアレイを備えた超伝導マイクロ波共振器空胴構造体100を提供する。λ/4共振器ポスト20のアレイは、種々の低共振周波数を有し、個々の量子ビット40を制御及び読出しトーンでアドレス指定する。λ/2共振器ポスト10のアレイは、高い共振周波数を有し、空胴100内でマイクロ波モードが長距離伝搬することを阻止する役割を果たす。高共振周波数(higher resonant frequency)及び低共振周波数(lower resonant frequency)という用語が本明細書で使用される。高(higher)/高い(high)共振周波数ポスト10の全てが、低(lower)/低い(low)共振周波数ポスト20の共振周波数より高い共振周波数を有することに留意されたい。
【0014】
3D量子ビット40は、低共振周波数ポスト20の間に懸架される。例えば、量子ビット40は、量子ビット40を支持するポスト20内のスロットによって所定位置に保持されることができる。1つの実施形態において、量子ビットチップ40の両端は、低共振周波数ポスト20に切り込まれたスロットの底に載置され、インジウムと共に所定位置に保持される。放射線の波長と同等である必要があるのは低共振周波数ポスト20の1つの次元だけなので、量子ビット密度を標準3Dアーキテクチャよりもかなり大きくすることができる。標準3D空胴共振器は、波長と同等の2つの次元と1つの短い次元とを有する箱(又は波長と同等の半径を有する円筒形空胴)である。しかしながら、実施形態によれば、低共振周波数ポスト20では、波長と同等にすべきなのは高さ(のみ)である。したがって、量子ビット密度は、実施形態において、標準3Dアーキテクチャと対照的により密にすることができ、実施形態においてポスト間分離は任意である。
【0015】
低共振周波数(共振器)ポスト20及び/又は高共振周波数ポスト10は、同軸ポスト(例えば、同軸ケーブル)とすることができる。さらに、この空胴100内の量子ビット40(例えば、3Dトランスモン量子ビット)は、長いコヒーレンス時間を有することができる。量子ビットのコヒーレンス時間は、Tで表される。量子ビットの緩和時間は、Tで表される。高及び低周波数共振器ポスト10及び20は、1つの実装において超伝導材料で構築することができる。別の実装において、高及び低周波数共振器ポスト10及び20は、銅などの常伝導金属(例えば非超伝導材料)で構築することができる。
【0016】
低共振周波数ポスト20は、量子ビット40に局所的に結合される。高い共振周波数ポスト10は、2つ又はそれより多くの個々の低共振周波数ポスト20間の結合を阻止する。高い共振周波数ポスト10は、低共振周波数ポスト20の各々をそれ自体のモードで保持する(すなわち、各低共振周波数ポスト20は、それ自体の低共振周波数を有する)。高い共振周波数ポスト10は、低共振周波数ポスト20が近くの低共振周波数ポスト20と共振することを阻止する。具体的には、高い共振周波数ポスト10は、低共振周波数ポスト20が他の低共振周波数ポスト20のいずれか/全てと結合することを防止する。各低共振周波数ポスト20の共振周波数を別の低共振周波数ポスト20との結合から隔離することに加えて、高い共振周波数ポスト10は、上部プレート25及び底部プレート30に接続する(並びにこれらを機械的に支持する)。
【0017】
実施形態によれば、図3は、低共振周波数ポスト20(λ/4)の1つに関連付けられた電場(矢印で示す)の計算を示す、空胴100の概念図であり、これは低共振周波数ポスト20(λ/4)のモード局在化を示す。図3は、この3Dアーキテクチャの特定の実装の描画である。図3において、各低共振周波数ポスト20は、共振器を形成し、これが量子ビット40(分かりやすくするために図3には示していない)に結合することができる。量子ビット40は、低共振周波数ポスト20間に置くことができ、各量子ビット40は、その量子ビット40が直接隣接した低共振周波数ポスト20のモードにのみ強く結合する。
【0018】
上記のように、低共振周波数ポスト20は、基部プレート30に短絡された一端を有し、低共振周波数ポスト20の他端は、自由空間に開放されている(すなわち空胴100内に開放されている)。これらの低共振周波数ポスト20(λ/4共振器を形成する)は、大まかにc/4dで与えられる低い共振周波数を有し、ここでcは光速であり、dは低共振周波数ポスト20の高さである。長い高共振周波数ポスト10は、密閉された空胴100の基部プレート30及び上部プレート25に短絡された両端を有する。これらのプレート25及び30は、同軸共振器内で遮蔽の概念的役割を果たす。実施形態において、長い高共振周波数ポスト10(λ/2共振器を形成する)は、c/2hで与えられる高い共振周波数を有し、ここでhは空胴100の高さである。短い低共振周波数ポスト20が空胴100の高さの少なくとも半分であれば、長い高共振周波数ポスト10は、それに応じて、短い低共振周波数ポスト20よりも高い共振周波数を有することになる。高い共振周波数ポスト10は、短い低共振周波数ポスト20のモードが良好に局在化された状態を保持して、個々の量子ビット40のアドレス指定能力(addressability)を可能にする。この特定の低共振周波数ポスト20のモード(共振周波数)のこの局在化は、図3において、この特定の低共振周波数ポスト20について電場矢印の局在化を理論的に示す。
【0019】
図4(A)及び図4(B)は、実施形態による空胴100の態様の概念図を示す。図4(A)は、高共振周波数ポスト10と、低共振周波数ポスト20と、低共振周波数ポスト20に接続された量子ビット40との、小ピッチの量子ビットアレイのモデルを示す。図4(B)は、量子ビット40の配置のみを、低共振周波数ポスト20に対する取付けを省き、高共振周波数ポスト10を省いて示す略図である。
【0020】
高共振周波数ポスト10の高さ及び低共振周波数ポスト20の高さのみが、そのそれぞれの共振器周波数を制御することに留意されたい。したがって、製作を容易にし、量子ビット40に対して結合するモードにおける電場の大きさを制御し、及び/又はデバイスをスケール変更するために、高共振周波数ポスト10及び低共振周波数ポスト20の直径及び分離を任意に選択することができる。図4は、(ポスト10及び20の)ポストアレイ内の量子ビット40を示す。図4(A)において、読出し及び制御のために各量子ビット40の下に付加的な円筒形共振器305を機械加工することもできる。円筒形共振器305は、底部プレート30を通って量子ビット40にほぼ達するまで延びる。読出し及び制御のために、円筒形共振器305は、マイクロ波パルスがその上方の個々の量子ビット40に方向付けられることを可能にし、この共振器305の周波数を測定することは、その上方の量子ビット40のみの状態を測定することに対応する。具体的には、量子ビット(共振)周波数で適用されるマイクロ波パルス/トーンが、(対応する円筒形共振器305の上方の)特定の量子ビット40を操作し、一方、円筒形共振器305の共振周波数付近で適用されるマイクロ波パルスが、量子ビット40を測定する。
【0021】
円筒形共振器305は、円筒形共振器305の中央を通って上に延びるピンを有する。ピンは、量子ビット40の近くまで来るが量子ビット40には触れない。各ピン及び/又は円筒形共振器305は、量子ビット40に容量結合することができる。1つの実装において、量子ビット40からピンまでの距離は、量子ビット40のサイズのおよそ1/10とすることができる。円筒形共振器305及びピンは、アルミニウム及びニオブなどの超伝導材料で作ることができる。別の事例において、円筒形共振器305及びピンは、銅で作ることができる。1つの事例において、ピンは、誘電体プラグで空胴の縁に固定することができる。例示的な実装は、サブミニチュア・プッシュオン(SMP)コネクタの中心ピンである。
【0022】
円筒形共振器305は、簡単にするために図4(B)には示されていない。簡潔にするために図示されていないが、低共振周波数ポスト20は、各量子ビット40の端のところに位置決めされ、各量子ビット40が各端で2つの低共振周波数ポスト20に接続(取付け及び接触)されるようになっている。すなわち、量子ビット40の一方の水平端が1つの低共振周波数ポスト20に接続され、他方の水平端が異なる低共振周波数ポスト20に接続される。量子ビット40を垂直方向に低共振周波数ポスト20を上って動かすことは、取り付けられた低共振周波数ポスト20に対する量子ビット40の結合を増大させることに留意されたい。逆に、量子ビット40を垂直方向に低共振周波数ポストを下がって動かすことは、取り付けられた(2つの)低共振周波数ポスト20に対する量子ビット40の結合を低減させる。
【0023】
図5は、実施形態による例示的な空胴100の断面図であり、低共振周波数ポスト20の上方の入力ポート405は、(低共振周波数ポスト20の)それぞれのモードに選択的に結合することができる。図5は、上部プレート25内に配置された、それ自体の低周波数共振器ポスト20に個々に結合する入力ポート405を示す。外部Q因子Qによって測定される結合強度は、当業者に理解されるいずれかの方式で入力ポート405を変更することによって制御することができる。入力ポート405の各々は、それぞれの低共振周波数ポスト20の上方にある個々のマイクロ波シリンダコネクタ410への(上部プレート25内の)入口である。最も左側の入力ポート405は、断面図で示されており、入力ポート405内のより大きい延長部420を示す。
【0024】
個々のマイクロ波シリンダコネクタ410は、個々の低共振周波数ポスト20に容量結合する。図5において、幾つかの量子ビット40は、この図面の頁の内外方向に延びて、別の低共振周波数ポスト20と接続することに留意されたい。
【0025】
図5において、高共振周波数ポスト10は、空胴100の側壁35として実装される。側壁35は、5つ以下の低共振周波数ポスト20が利用されている場合に、低共振周波数ポスト20のモードを局在化するように機能する。例えば、(高共振周波数ポスト10として機能する)側壁35は、低共振周波数ポスト20が他の共振周波数ポスト20と結合することを防ぐ。
【0026】
図6は、実施形態による空胴100の略図を示す。図6は、説明を簡単にするために単一の量子ビット40だけの例を示すが、本例は複数の量子ビット40にも適用されることが理解されるであろう。図6は、量子ビット40を低共振周波数ポスト20に対して平行に付加することができることを示す。平行な位置決めは、量子ビット40の長さ(最も長い方向)が空胴内で垂直方向に向けられることを示す。実施形態によれば、図7は、結合強度の必要性及び/又は幾何学的拘束条件に依存して場の勾配が最大である先端部において低共振周波数ポスト20に対して垂直な量子ビット40を示す略図である。具体的には、図7は、低共振周波数ポスト20のみを示し、一方、高共振周波数ポスト10が図5で論じたように空胴100の側壁内に実装された、例示的な実施形態である。
【0027】
実施形態によれば、空胴100のパラメータは、容易に調整することができる。例えば、図8は、所与の量子ビット40(図示せず)に対する低共振周波数ポスト20の結合強度が共振器モードにおける電場の強度を制御する低共振周波数ポスト20間のポスト間分離Aによって制御されることを示す、空胴100の略図である。このポスト間分離Aは、最短ポストの長さよりも小さく(すなわち低共振周波数ポスト20の長さよりも小さく)される。量子ビットと共振器との間の結合強度は、典型的には共振器の電場と量子ビットの有効双極子モーメントとのドット積として定量化され、量子ビットの存在が共振器の周波数を摂動させる度合いに影響を与える。
【0028】
別のパラメータとして、(低共振周波数ポスト20の)共振器モードの外部Q因子は、低共振周波数ポスト20の上部と入力ポート405との間の間隙Gによって制御される。間隙Gが大きいほど、外部Q因子は大きい。外部Q因子は、当業者に理解されるように、共振器が環境への結合によってエネルギーを損失する速度に対する共振器周波数の比であり、それゆえ、より大きい外部Q因子は、より弱い外部結合強度に対応する。共振器モードの共振周波数は、低共振周波数ポスト20の長さLによって制御される。
【0029】
低共振周波数ポスト20の共振周波数の隔離は、高共振周波数(λ/2)ポスト10の共振周波数によって制御される。
【0030】
図8は、筐体が、上部プレート25、底部プレート30、及び側壁35を含むことを示し、その各々は、1つの実装において超伝導材料で作られる。存在していることは理解されるが、簡単にするために、低共振周波数ポスト20に接続されている量子ビット40は図示せず、量子ビット40の直下に(図4(A)、図5及び図9に示すように)位置合わせされた円筒形共振器305は図示していない。分かりやすくするために省いているが、上部プレート25は、(図5に示すように)低共振周波数ポスト20の直上に入力ポート405を含むことが理解される。
【0031】
図9は、実施形態による超伝導マイクロ波共振器空胴100の1つの実装の詳細を示す。超伝導マイクロ波共振器空胴100の略した一部のみが示されている。本明細書で論じるように、各量子ビット40は、2つの低共振周波(λ/4)数ポスト20に取り付けられ、その一方で、高共振周波数(λ/2)ポスト10は、低共振周波数(λ/4)ポスト20のまわりに位置決めされる。図9は、底部プレート30を、底部プレート30内の円筒形穴850の内側の切取り図と共に示す。量子ビット40は、基板810上に形成されたトランスモン805を有するチップである。基板810は、サファイア、シリコン等とすることができる。円筒形穴850の直上に位置決めされた量子ビット40の読出しのための微細加工マイクロストリップ共振器815(すなわち、読み出し共振器)を、基板810に取り付け、又はその上に形成することができる。基板810の一部は、円筒形穴850の中へ下に延び、この部分が微細加工マイクロストリップ共振器815を収容する。基板810の他の部分は、円筒形穴850の(中ではなく)上方にあり、この部分がトランスモン805を収容する。微細加工マイクロストリップ共振器815は、円筒形共振器305内の中央部品と同じ役割を果たす。
【0032】
トランスモン805は、超伝導電荷量子ビットの1つのタイプであり、電荷ノイズに対する感度が低くなるように設計されている。その名称は、伝送ライン分路プラズマ振動量子ビット(transmission line shunted plasma oscillation qubit)という用語の略称である。トランスモンは、電荷エネルギーに対するジョセフソン・エネルギーの比を増大させることによって、電荷ノイズに対するその感度の低減を達成する。トランスモン805は、図9の量子ビット40内に明示的に示されている。トランスモン805は、他の図の他の量子ビット40内にも存在することは理解されるが、他の図では分かりやすくするためにトランスモン805の明示的な識別は省略されている。
【0033】
図9は、単一の円筒形穴の中に延びた単一の量子ビット40のみを示しているが、多数の量子ビット40がそれ自体の個々の円筒形穴850の中にそれぞれ延びていることが理解される。
【0034】
フォールト・トレラントな量子コンピューティングとの関連で、本実施形態は、表面コードなどの量子誤り訂正スキームの実装のために利用することができる。従来技術において、表面コード量子誤り訂正スキームは、図10に示すように、各量子ビットをその4つの最隣接量子ビットに結合する能力を必要とする。このパラダイムにおいて、「データ」量子ビット905(縦縞模様)は、所望の計算を実行するために用いられ、一方、網点模様の「アンシラ(ancilla)」量子ビット910及び横縞模様の「アンシラ」量子ビット920は、データ量子ビット905とエンタングルし、それぞれビット反転誤り及び位相反転誤りを検出するようになっている。図11は、各データ量子ビット905を2つの「バス」共振器925に結合することを伴う、要求される接続性を実装するための従来技術の手法であり、バス共振器の各々がそれに接続された4つの量子ビット間の相互作用を媒介する。各量子ビットは、この構成において有効には6つの最隣接(すなわち、2つのバス共振器925の各々に結合した他の3つの量子ビット)を有するが、そのうちの4つにのみ結合することを必要とすることに留意されたい。この配置に関するさらなる詳細は、特許文献1で見いだすことができる。
【0035】
図10は、表面コード誤り訂正スキームに利用される量子ビットの正方形アレイのセクションを示す。上記のように、縦縞模様の量子ビット905は、データ量子ビットを表す。網点模様の量子ビット910及び横縞模様の量子ビット920は、取り囲む4つのデータ量子ビットのX/Zパリティをチェックするためのアンシラ量子ビットを表す。ライン930は、エンタングリング演算によって結合することができる量子ビット対を接続する。正方形950は、単一のパリティチェック「プラケット(plaquette)」を示し、その中の数字は、アンシラ量子ビット920(中央)と取り囲む4つのデータ量子ビット905との間のエンタングリング演算の順番を示す。通常の演算中、この演算サイクルがあらゆるプラケット950上で同時に実行される(ここには他のプラケット950が存在することが理解される)。例示的なエンタングリング演算は、制御NOTゲート(CNOT)であり、これは、「ターゲット」量子ビットの状態を、「制御」量子ビットが|1>状態にあるときかつそのときのみ反転させるものであり、ここでは、この演算(制御NOTゲート(CNOT))は、一端に制御量子ビットを示す黒丸(●)を有し、他端にターゲット量子ビットを示す丸で囲まれた交差(circled cross:○含まれた+)を有する実線で表される。図11は、図10に示す格子の共振器ベースの実装を示す。図11において、各量子ビットは、ここでは太線(又は矩形)で示された最隣接の2つのバス共振器925に結合する。正方形は、ここでも、2つのバス925を介して全部で4つのデータ量子ビット905に結合した中央のアンシラ量子ビット920から成る単一のプラケット950を強調表示している。
【0036】
この様式で結合された量子ビットのネットワークを想定すると、誤り訂正は、以下の演算の組を5量子ビットのプラケット950の各々に対して同時に繰返し実行することによって達成される。
【0037】
1)アンシラを|0>状態に準備する。今日まで、これは典型的には量子ビットがそれ自体緩和するまで待つことによって達成されてきたが、高忠実度の測定及びフィードバックでは、単に量子ビットの状態を測定し、次いで、それを|0>状態に戻す必要がある場合に制御パルスを適用することも可能である。
【0038】
2)アンシラをその4つの隣接データ量子ビットとエンタングルさせる。超伝導量子ビットの場合、エンタングリング・ゲートの例は、交差共振(cross−resonance)及び共振器誘導位相ゲートを含む。アンシラ(すなわち、実装の詳細に応じて「網点模様」又は「横縞」のもの)の半数は、エンタングリング・ゲートの前後にそれらに適用されるアダマール(Hadamard)ゲートを有すべきである。
【0039】
3)アンシラの状態を測定する。この文書において、各量子ビットは、それを介して量子ビットの状態を読み出すことができる第3の共振器にも結合していると想定される。(本明細書で論じる実施形態は、各量子ビットのための読出し共振器の追加に適合したものとすべきであることに留意されたい)
【0040】
4)最も可能性が高い誤りの組を判定する。このステップは、古典的グラフ・マッチング・アルゴリズムの使用を伴うことが予想される。しかしながら、詳細は、この文書の範囲を超える。
【0041】
5)必要に応じて訂正を適用する。前のステップから推論された誤りを訂正する必要に応じて、量子ビット制御パルスを調整する。
【0042】
6)単一量子ビット及び2量子ビット(エンタングリング)ゲートの忠実度が特定の閾値より上であると想定すると、未訂正の誤りの率は、このアルゴリズムを実行する回路のサイズ(すなわち量子ビットの数)の関数として強力に抑制されることが示された。このアルゴリズムは、フォールト・トレラントな「論理」量子ビットを不完全な物理的量子ビットから構築することを簡単に可能にすることに留意されたい。このようなシステム上で論理演算を実行するための可能な方法は、この文書の範囲を超える。
【0043】
実施形態によれば、図12は、図11の量子ビット−共振器ネットワークそのものを、本開示の特徴を用いて実装することができることを示しており、λ/4共振器20は、隣接する量子ビット40を結合するバスとして働く。図12の点線のボックス1050の内側のネットワークに対応する5つのλ/4共振器20と4つの量子ビット40とを含む概念実証デバイスを生成し、特徴付けた。測定された量子ビット及び共振器パラメータは、過去の測定及びシミュレーションから予測された範囲内であり、この実施形態が意図したとおりに機能することを証明している。図7の概念実証デバイスは、筐体のアルミニウム側壁35がλ/2共振器10と同じ機能を行う、すなわちモードを局在化してクロストークを低減するので、λ/2共振器10を省いたものであることに留意されたい。しかしながら、より大型のデバイスはいずれも、別の実装においてλ/2共振器10を必要とし得る。
【0044】
図12に戻ると、模式図は、本開示を用いて量子誤り訂正に適した量子ビット−共振器ネットワークを実装するやり方を示す。λ/4共振器20は、量子ビット40を互いに結合するバス共振器として働き、一方、λ/2共振器10は、クロストークを低減するように働く。量子ビットは、データ量子ビット40A、アンシラ量子ビット40B(Xパリティチェックに利用される)及びアンシラ量子ビット40C(Zパリティチェックに利用される)として描かれている。
【0045】
図7の概念実証デバイスは、表面コードによる誤り訂正を実証するには小さすぎるかもしれないが、X及びZパリティチェック演算を実証するために用いることができ、次にこれが完全な誤り訂正実証のために利用される。2D共面アーキテクチャ内の超伝導量子ビットデバイス上の単一パリティチェック演算の詳細は、従来技術で報告されている。同様の実証を図7の概念実証デバイスを用いて行うことができる。
【0046】
本明細書で説明される例示的な適用は、本開示を用いてどのようにして量子誤り訂正を行うことができるかの一例に過ぎないことに留意されたい。これはまた、既存の、又は未だ設計されていないその他の誤り訂正スキームを実装するためにも、並びに、他の目的のためにも有用であり得る。
【0047】
図13は、実施形態による超伝導マイクロ波空胴100を構成する方法を示す。
【0048】
ブロック1105において、異なる高さのポストのアレイが設けられ、ポストのアレイは各々、局在化されたマイクロ波モードをサポートし、ここでポストのアレイは、低共振周波数ポスト20及び高共振周波数ポスト10を含む。
【0049】
ブロック1110において、第1のプレート(例えば上部プレート25)が第2のプレート(例えば底部プレート30)に対向して構成される。
【0050】
ブロック1115において、ポストのアレイ内の低共振周波数ポスト20の一端は、第2のプレート30に電気的に接続されるように第2のプレート30の上に位置決めされる。
【0051】
ブロック1120において、ポストのアレイ内の低共振周波数ポスト20の他端は、第1のプレート25に対する電気的接続を形成しないように開放される。
【0052】
ブロック1125において、量子ビット40がポストのアレイ内の低共振周波数ポスト20に接続され、ポストのアレイ内の1つ又は2つの低共振周波数ポスト20が量子ビット40の各々に物理的に接続されるようにする。1つの実装において、各低共振周波数ポスト20は、その特定の低共振周波数ポスト20に接続された量子ビット40に容量結合するように構成される。
【0053】
第1のプレート25は、ポストのアレイ内の低共振周波数ポスト20の各々のそれぞれ上方にポート405を含み、ポート405は、量子ビット40に結合し、これを駆動し、及びこれを測定するように構成される。
【0054】
高共振周波数ポスト10は、両端が短絡されており、高共振周波数ポスト10の第1の端が第1のプレート25に短絡され、第2の端が第2のプレート30に短絡されるようになっている。高共振周波数ポスト10は、ポストのアレイ内の低共振周波数ポスト20のモード局在化を提供するように構成される。
【0055】
量子ビット40は、超伝導量子ビット、半導体スピン量子ビット、光学的にトラップされたイオン、及び結晶の不純物中心のうちの少なくとも1つである。
【0056】
1つの事例において、量子ビット40は、同じ格子上の異なるタイプのものである。
【0057】
量子ビット40の各々は、それ自体の読出し共振器(例えばマイクロストリップ共振器815)をそれぞれ組み込む。読出し共振器(マイクロストリップ共振器815)は、第2のプレート30を通して形成された円筒形共振器305の中に延び、円筒形共振器305は、量子ビット40の各々の下にそれぞれ位置決めされて読出し共振器815を受け入れる。図4(A)及び図9を参照することができる。
【0058】
1つの実装において、ポストのアレイは、正方形の格子を形成する。別の実装において、ポストのアレイは、三角形の格子を形成する。
【0059】
実施形態によれば、量子ビット40の格子は、図7及び図12に示すように、量子誤り訂正コードを実行するように構成される。
【0060】
ポストのアレイは、標準機械加工技術、標準ミクロ機械加工技術、及び3D印刷のうちの少なくとも1つを用いて製作される。
【0061】
ポストのアレイは、0.75GHzから150GHzまでの共振モードをサポートすることに対応する、長さ0.5mmと100mmとの間の異なる高さを有する。ポストのアレイ内の低共振周波数ポスト20間の分離距離(例えば距離A)は、低共振周波数ポスト20の高さ(例えば長さL)より小さい。高共振周波数ポスト10の高さは、低共振周波数ポスト20の高さよりも大きいことに留意されたい。
【0062】
図面内のフローチャート及びブロック図は、本発明の種々の実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能、及び動作を示す。この点に関して、フローチャート又はブロック図内の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つ又は複数の実行可能命令を含む、モジュール、セグメント、又は命令の一部を表すことができる。幾つかの代替的な実装において、ブロック内に記された機能は、図面に記された順序とは異なる順序で行われることがある。例えば、連続して示された2つのブロックは、関与する機能に応じて、実際には実質的に同時に実行されることもあり、又はこれらのブロックはときとして逆順で実行されることもある。ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、及びブロック図及び/又はフローチャート図中のブロックの組合せは、指定された機能又は動作を実行する専用ハードウェア・ベースのシステムによって実装することもでき、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令との組合せを実行することもできることにも留意されたい。
【符号の説明】
【0063】
10:高共振周波数ポスト
20:低共振周波数ポスト
25:上部プレート
30:底部プレート
35:側壁
40:量子ビット
100:超伝導マイクロ波共振器空胴
305:円筒形共振器
405:入力ポート
410:マイクロ波シリンダコネクタ
420:延長部
805:トランスモン
810:基板
815:微細加工マイクロストリップ共振器
850:円筒形穴
905:データ量子ビット
910、920:アンシラ量子ビット
925:バス共振器
950:プラケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2018年1月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超伝導マイクロ波空胴であって、
異なる高さのポストのアレイであって、前記ポストのアレイは各々、局在化されたマイクロ波モードをサポートし、前記ポストのアレイは、低共振周波数ポスト及び高共振周波数ポストを含み、前記高共振周波数ポストは、前記低共振周波数ポストのまわりに配置された、ポストのアレイと、
第1のプレートと、
前記第1のプレートに対向する第2のプレートと、
を備え、
前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストの一端は、前記第2のプレートに電気的に接続するように前記第2のプレート上に位置決めされ、
前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストの他端は、前記前記第1のプレートとの電気的接続を形成しないように開放され、
量子ビットが、前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストに接続され、前記量子ビットの各々は、前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストの1つ又は2つに物理的に接続されるようになっている、
空胴。
【請求項2】
前記第1のプレートは、前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストのそれぞれ上方にポートを含み、前記ポートは、前記量子ビットに結合し、これを駆動し、及びこれを測定するように構成される、請求項1に記載の空胴。
【請求項3】
前記高共振周波数ポストは、両端が短絡されており、前記高共振周波数ポストの第1の端が前記第1のプレートに短絡され、第2の端が前記第2のプレートに短絡される、前記請求項のいずれかに記載の空胴。
【請求項4】
前記高共振周波数ポストは、前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストのモード局在化を提供するように構成される、請求項3に記載の空胴。
【請求項5】
前記量子ビットは、超伝導量子ビット、半導体スピン量子ビット、光学的にトラップされたイオン、及び結晶の不純物中心のうちの少なくとも1つである、前記請求項のいずれかに記載の空胴。
【請求項6】
前記量子ビットは、同じ格子上の異なるタイプのものである、前記請求項のいずれかに記載の空胴。
【請求項7】
前記量子ビットの各々は、それ自体の読出し共振器をそれぞれ組み込む、前記請求項のいずれかに記載の空胴。
【請求項8】
前記読出し共振器は、前記第2のプレートを通して形成された円筒形共振器の中に延び、前記円筒形共振器は、前記量子ビットの各々の下にそれぞれ位置決めされて前記読出し共振器を受け入れる、請求項7に記載の空胴。
【請求項9】
前記ポストのアレイが正方形の格子を形成する、前記請求項のいずれかに記載の空胴。
【請求項10】
前記ポストのアレイが三角形の格子を形成する、請求項1から請求項9までのいずれかに記載の空胴。
【請求項11】
前記量子ビットの格子は、量子誤り訂正コードを実行するように構成される、前記請求項のいずれかに記載の空胴。
【請求項12】
前記ポストのアレイは、標準機械加工技術、標準ミクロ機械加工技術、及び3D印刷のうちの少なくとも1つを用いて製作される、前記請求項のいずれかに記載の空胴。
【請求項13】
ポストのアレイは、0.75GHzから150GHzまでの共振モードをサポートすることに対応する、長さ0.5mmと100mmとの間の異なる高さを有する、前記請求項のいずれかに記載の空胴。
【請求項14】
前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポスト間の分離距離は、前記低共振周波数ポストの高さより小さい、前記請求項のいずれかに記載の空胴。
【請求項15】
超伝導マイクロ波空胴を構成する方法であって、
異なる高さのポストのアレイを設けることであって、前記ポストのアレイは各々、局在化されたマイクロ波モードをサポートし、前記ポストのアレイは、低共振周波数ポストと、前記低共振周波数ポストのまわりに配置された高共振周波数ポストとを含む、ポストのアレイを設けることと、
第1のプレートを第2のプレートに対向して構成することと、
前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストの一端を、前記第2のプレートに電気的に接続されるように前記第2のプレート上に位置決めすることと、
前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストの他端を、前記第1のプレートに対する電気的接続を形成しないように開放するように位置決めすることと、
量子ビットを前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストに接続して、前記量子ビットの各々が前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストの1つ又は2つに物理的に接続されるようにすることと、
を含む、方法。
【請求項16】
超伝導マイクロ波空胴であって、
側壁で接続された上部プレートと底部プレートとを含む筐体と、
前記筐体内の低共振周波数ポスト及び高共振周波数ポストを含むポストのアレイと、
前記低共振周波数ポストに接続された量子ビットであって、前記量子ビットの各々が、前記ポストのアレイ内の前記低共振周波数ポストの1つ又は2つに物理的に接続されるようになっている、量子ビットと、
を備え、
前記低共振周波数ポストの一端は、前記底部プレートに電気的に接続するように前記底部プレート上に位置決めされ、一方、前記低共振周波数ポストの他端は、前記上部プレートとの電気的接続を形成しないように開放され、
前記高共振周波数ポストは、両端が短絡されており、前記高共振周波数ポストの第1の端が前記上部プレートに短絡され、第2の端が前記底部プレートに短絡され、
前記上部プレートは、前記低共振周波数ポストのそれぞれ上方にポートを含み、前記ポートは、前記量子ビットに結合し、これを駆動し、及びこれを測定するように構成される、
空胴。
【請求項17】
前記高共振周波数ポストは、前記低共振周波数ポストのまわりに配置される、請求項16に記載の空胴。
【請求項18】
前記量子ビットの各々は、それ自体の読出し共振器をそれぞれ組み込む、請求項21又は請求項17のいずれかに記載の空胴。
【請求項19】
前記読出し共振器は、前記底部プレートを通して形成された円筒形共振器の中に延び、前記円筒形共振器は、前記量子ビットの各々の下にそれぞれ位置決めされて前記読出し共振器を受け入れる、請求項18に記載の空胴。
【請求項20】
前記上部プレート、前記底部プレート、及び前記側壁が超伝導材料で作られた、請求項16から請求項19までのいずれかに記載の空胴。
【国際調査報告】