【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つに隣接して接続されて、動作中に本体の面又はその近傍で受ける圧縮−引張応力(compression−tension stress)に抵抗する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、前記主面のうちの少なくとも1つに対してある角度で向けられ、動作中に本体が受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材と
を備える、オーディオ・トランスデューサ振動板で構成されるといえる。
【0010】
好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材のそれぞれは、振動板本体とは別々のものであり、振動板本体に接続されて、本体によって提供される、せん断に対するいかなる抵抗とも別に、応力補強材の面上のせん断変形に対する抵抗を与える。
【0011】
好ましくは、それぞれの内部補強部材は、振動板本体の冠状面に実質的に直交して振動板本体の中で延びる。
【0012】
好ましくは、それぞれの内部補強部材は、実質的に振動板の質量中心位置から最遠位である、振動板本体の1つ又は複数の周辺領域に向かって、且つその中で延びる。
【0013】
好ましくは、振動板は、複数の内部補強部材を備える。好ましくは、それぞれの内部補強部材は、少なくとも約8MPa/(kg/m
3)である比弾性率を有する材料から形成される。好ましくは、それぞれの内部補強部材は、少なくとも約20MPa/(kg/m
3)である比弾性率を有する材料から形成される。
【0014】
それぞれの内部補強部材又は両方は、たとえばアルミニウムや炭素繊維強化プラスチックから形成されてもよい。
【0015】
別の態様では、本発明は概して、
前の態様に定められた振動板、及び動作中に動くように構成された、その関連する機能と、
振動板に作動可能に接続され、振動板の運動に関連して作動する変換機構と、
振動板を中に、又は間に収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備えるハウジングとを備え、
振動板が、ハウジングと物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を有する外周部を備える、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0016】
好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
【0017】
別の態様では、本発明は概して、
前の態様のうちのいずれか1つに定められた振動板、及び動作中に動くように構成された、その関連する機能と、
振動板を中に、又は間に収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備えるハウジングと
を備える、オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0018】
別の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体が受ける圧縮−引張応力に抵抗する、垂直応力補強材とを有する振動板であって、
振動板本体と関連付けられた質量分布又は垂直応力補強材と関連付けられた質量分布又はその両方は、振動板が、振動板の1つ又は複数の比較的質量の大きい領域の質量と比べて、振動板の1つ又は複数の質量の小さい領域では比較的小さい質量を有するものである、
振動板、並びに
振動板を中に又は間に収容するためのエンクロージャ及び/又はバッフルを備えるハウジングを備え、
振動板が、少なくとも部分的にはハウジングの内部と物理的に連結しない周辺部を備える、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0019】
以下の記述は、前の態様のうちのいずれか1つに適用される。
【0020】
好ましくは、振動板は、ハウジングの内部と物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を備える。好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは、少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
【0021】
いくつかの実施例では、比較的小さい空気間隙により、振動板のこの1つ又は複数の周辺領域が、ハウジングの内部から隔てられる。
【0022】
いくつかの実施例では、トランスデューサは、振動板の1つ又は複数の周辺領域とハウジング内部との間に強磁性流体を有する。
【0023】
好ましくは、強磁性流体は、振動板の冠状面の方向において、振動板にかなりの支持を与える。
【0024】
好ましくは、トランスデューサは、振動板に作動可能に接続され、振動板の運動に関連して作動する変換機構をさらに備える。
【0025】
以下の記述は、前の態様のうちの任意の1つ又は複数に適用される。
【0026】
好ましくは、振動板本体は、コア材料から形成される。好ましくは、このコア材料は、3次元で一様でない、相互連結された構造を備える。このコア材料は、発泡体でも、規則正しく並んだ3次元ラティス構造の材料でもよい。このコア材料は、複合材料を備えてもよい。好ましくは、コア材料は、発泡ポリスチレンフォームである。代替の材料には、ポリメチルメタクリルアミドフォーム(polymethyl methacrylamide foam)、ポリ塩化ビニルフォーム、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、エアロゲルフォーム、段ボール、バルサ材、シンタクチックフォーム、金属マイクロラティス及びハニカムが含まれる。
【0027】
好ましくは、補強材から切り離した振動板本体は、100kg/m
3未満の、比較的小さい密度を有する。より好ましくはこの密度は50kg/m
3未満であり、さらに好ましくはこの密度は35kg/m
3未満であり、最も好ましくはこの密度は20kg/m
3未満である。
【0028】
好ましくは、補強材から切り離した振動板本体は、0.2MPa/(kg/m
3)を上回る、比較的大きい比弾性率を有する。最も好ましくは、この比弾性率は、0.4MPa/(kg/m
3)より大きい。
【0029】
好ましくは、垂直応力補強材は、それぞれが本体の前記主面のうちの1つの近傍に接続される、1つ又は複数の垂直応力補強部材を備える。
【0030】
好ましくは、それぞれの垂直応力補強部材は、振動板本体の対応する主面に沿って接続される、1つ又は複数の細長い支柱を備える。
【0031】
より好ましくは、それぞれの支柱は、その幅の1/60より大きい厚さを有する。
【0032】
好ましくは、これらの支柱は、相互連結され、振動板本体の関連付けられた面の相当な部分にわたって延びる。
【0033】
好ましくは、1つ又は複数の垂直応力補強部材は、異方性であり、いくつかの方向では、実質的に直交する他の方向におけるスティフネスの少なくとも2倍のスティフネスを発揮する。
【0034】
好ましくは、振動板は、振動板本体の対向する主面又はその近傍に接続される、少なくとも2つの垂直応力補強部材を備える。
【0035】
好ましくは、振動板は、振動板本体の対向する主面に第1の補強部材及び第2の補強部材を備え、第1の補強部材と第2の補強部材は、振動板本体の冠状面に対して実質的に垂直な方向における変位に対して振動板本体を支持する、三角形の補強材を形成する。
【0036】
好ましくは、それぞれの垂直応力補強部材は、少なくとも約8MPa/(kg/m
3)である比弾性率を有する材料から形成される。好ましくは、それぞれの垂直応力補強部材は、少なくとも約20MPa/(kg/m
3である比弾性率を有する材料から形成される。好ましくは、それぞれの垂直応力補強部材は、少なくとも約100MPa/(kg/m
3)である比弾性率を有する材料から形成される。
【0037】
垂直応力補強材は、たとえばアルミニウムや炭素繊維強化プラスチックから形成されてもよい。
【0038】
好ましくは、振動板本体は実質的に厚い。
【0039】
たとえば、振動板本体は、本体の最大長さ寸法の少なくとも約11%である最大厚さを有してもよい。より好ましくは、この最大厚さは、本体の最大長さ寸法の少なくとも約14%である。
【0040】
好ましくは、振動板が示す質量中心から振動板本体の最遠位周辺部までの振動板半径に対して、振動板厚さは、この振動板半径の少なくとも15%であり、またより好ましくは、この半径の少なくとも約20%である。
【0041】
好ましくは、振動板本体と関連付けられた質量分布又は垂直応力補強材と関連付けられた質量分布又はその両方は、振動板が、振動板の1つ又は複数の比較的質量の大きい領域の質量と比べて、振動板の1つ又は複数の質量の小さい領域では比較的小さい質量を有するものである。
【0042】
好ましくは、1つ又は複数の質量の小さい領域は、振動板の質量中心位置から遠位である周辺領域にあり、1つ又は複数の質量の大きい領域は、質量中心位置又はその近位にある。
【0043】
好ましくは、1つ又は複数の質量の小さい領域は、質量中心位置から最遠位である周辺領域にある。
【0044】
いくつかの実施例では、質量の小さい領域は、振動板の一方の端部にあり、質量の大きい領域は、対向する端部にある。
【0045】
代替の実施例では、質量の小さい領域は、振動板の外周部全体に実質的に分布し、質量の大きい領域は、振動板の中央領域にある。
【0046】
いくつかの実施例では、垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、1つ又は複数の質量の小さい領域に配置されるものである。
【0047】
好ましくは、質量の小さい領域は、いかなる垂直応力補強材も有さない。
【0048】
好ましくは、1つ又は複数の周辺領域の総表面積の少なくとも10パーセントは、垂直応力補強材を有さない。
【0049】
好ましくは、垂直応力補強材は、本体のそれぞれの主面と関連付けられた補強材プレートを備え、それぞれの補強材プレートは、1つ又は複数の質量の小さい領域に、1つ又は複数の凹部を備える。
【0050】
いくつかの実施例では、振動板本体の質量分布は、振動板本体が、1つ又は複数の質量の小さい領域で比較的小さい質量を有するものである。
【0051】
好ましくは、振動板本体の厚さは、好ましくは質量中心位置から、1つ又は複数の質量の小さい領域に向かって先細りになることによって減少する。
【0052】
好ましくは、1つ又は複数の質量の小さい領域は、質量中心位置から振動板の最遠位周辺部までの総距離の50パーセントである、振動板の質量中心位置を中心とする半径に、又はそれを越えて配置される。
【0053】
好ましくは、1つ又は複数の質量の小さい領域は、質量中心位置から振動板の最遠位周辺部までの総距離の80パーセントである、振動板の質量中心位置を中心とする半径に、又はそれを越えて配置される。
【0054】
好ましくは、振動板本体の厚さは、回転軸から振動板本体の対向する終端部に向けて減少する。
【0055】
好ましくは、振動板本体の側方外側に取り付けられる支持体及び/又は同様の垂直補強材は存在しない。
【0056】
好ましくは、振動板本体の終端面に取り付けられる支持体及び/又は同様の垂直補強材は存在しない。
【0057】
いくつかの実施例では、垂直応力補強部材は、振動板本体のそれぞれの主面で、又はそのすぐ近傍で、振動板本体の長さ全体の相当な部分に沿って実質的に長手方向に延びる。
【0058】
好ましくは、一方の面の垂直応力補強材は、振動板本体の終端部まで延在し、振動板本体の対向する主面にある垂直応力補強材と連結する。
【0059】
垂直応力補強材は、本体の外部で、少なくとも一方の主面に接続されてもよく、別法として、本体の中に、動作中、圧縮−引張応力に十分に抵抗するように、この少なくとも一方の主面のすぐ近傍で、且つそれに実質的に近位に接続されてもよい。
【0060】
好ましくは、垂直応力補強材は、少なくとも一方の主面に対しておおよそ平行に向けられる。
【0061】
好ましくは、垂直応力補強材は、本体の密度より実質的に大きな密度の材料から構成される。好ましくは、垂直応力補強材材料は、本体の密度の少なくとも5倍である。より好ましくは、垂直応力補強材材料は、本体の密度の少なくとも10倍である。さらに好ましくは、垂直応力補強材材料は、本体の密度の少なくとも15倍である。さらに好ましくは、垂直応力補強材材料は、本体の密度の少なくとも50倍である。最も好ましくは、垂直応力補強材材料は、本体の密度の少なくとも75倍である。
【0062】
好ましくは、振動板本体は、少なくとも1つの実質的に滑らかな主面を備え、垂直応力補強材は、前記実質的に滑らかな主面のうちの1つに沿って延びる少なくとも1つの補強部材を備える。好ましくは、この少なくとも1つの補強部材は、1つ又は複数の対応する主面の相当な部分又は全体に沿って延びる。この滑らかな主面は、平面でも、別法として(3次元に延びる)湾曲した滑らかな面でもよい。
【0063】
いくつかの実施例では、それぞれの垂直応力補強部材は、関連付けられた主面に対応するプロファイルを有し、振動板本体の関連付けられた主面を覆って、又はすぐ近傍に接続するように構成された、1つ又は複数の実質的に滑らかな補強材プレートを備える。
【0064】
同じ、又は代替の実施例では、それぞれの垂直応力補強部材は、振動板本体の対応する主面に沿って接続される1つ又は複数の細長い支柱を備える。好ましくは、1つ又は複数の支柱は、主面に沿って実質的に長手方向に延びる。好ましくは、それぞれの垂直応力補強部材は、対応する主面に沿って実質的に長手方向に延びる、間隔をおいて配置された複数の支柱を備える。別法として、又は追加的に、それぞれの垂直応力補強部材は、対応する主面の長手方向軸に対して傾いて延びる、1つ又は複数の支柱を備える。垂直応力補強部材は、対応する主面の相当な部分に沿って延びる、比較的傾けられた支柱の網目を備えてもよい。
【0065】
好ましくは、垂直応力補強材は、それぞれが振動板本体の1対の対向する主面と接続された、又はそのすぐ近傍の、1対の補強部材を備える。
【0066】
好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材のそれぞれは、振動板本体のコア材料とは別々のものであり、振動板本体のコア材料に接続されて、コア材料によって提供される、せん断に対するいかなる抵抗とも別に、応力補強材の面上のせん断変形に対する抵抗を与える。
【0067】
好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材のそれぞれは、前記主面のうちの少なくとも1つに対し、使用時にせん断変形に抵抗するのに十分に傾いて、コア材料の中で延びる。好ましくは、この角度は、主面に対して、40度から140度の間、またより好ましくは60から120度の間、またさらに好ましくは80から100度の間、また最も好ましくは約90度である。
【0068】
好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材のそれぞれは、本体の1対の対向する主面の中、及びそれらの間に埋め込まれる。好ましくは、それぞれの内部補強部材は、1対の対向する主面と実質的に直交して延び、且つ/又は振動板本体の矢状面に対して実質的に平行に延びる。
【0069】
好ましくは、それぞれの内部補強部材は、どちらか一方の側において、対向する垂直応力補強部材のどちらか一方に接続される。別法として、それぞれの内部補強部材は、対向する垂直応力補強部材に隣接はするが、それと隔てられて延びる。
【0070】
好ましくは、それぞれの内部補強部材は、振動板本体の冠状面に実質的に直交するコア材料内で延びる。好ましくは、それぞれの内部補強部材は、実質的に、関連付けられた主面の大半では振動板の質量中心位置から遠位である、1つ又は複数の周辺縁部領域に向かって延びる。
【0071】
好ましくは、それぞれの内部補強部材は、個体のプレートである。別法として、それぞれの内部補強部材は、同一平面上にある支柱の網目を備える。これらのプレート及び/又は支柱は、平面でも、3次元でもよい。
【0072】
好ましくは、それぞれの垂直応力補強部材は、プラスチック材料と比べて比較的高い比弾性率を有する材料、たとえばアルミニウムなどの金属、酸化アルミニウムなどのセラミック、又は炭素繊維強化プラスチックに含まれるものなどの高弾性率繊維から形成される。
【0073】
好ましくは、それぞれの垂直応力補強部材は、少なくとも約8MPa/(kg/m
3)、またさらに好ましくは少なくとも20MPa/(kg/m
3)、また最も好ましくは少なくとも100MPa/(kg/m
3)である比弾性率を有する材料から形成される。
【0074】
好ましくは、それぞれの内部補強部材は、非複合プラスチック材料と比べて比較的高い最大比弾性率を有する材料、たとえばアルミニウムなどの金属、酸化アルミニウムなどのセラミック、又は炭素繊維強化プラスチックに含まれるものなどの高弾性率繊維から形成される。好ましくは、それぞれの内部補強部材は、振動板本体の冠状面に対して約+45度及び約−45度の方向に、高い弾性率を有する。
【0075】
好ましくは、それぞれの内部補強部材は、少なくとも約8MPa/(kg/m
3)、また最も好ましくは少なくとも20MPa/(kg/m
3)である比弾性率を有する材料から形成される。たとえば、ある内部補強部材は、アルミニウム又は炭素繊維強化プラスチックから形成されてもよい。
【0076】
好ましくは、振動板本体は実質的に厚い。たとえば、振動板本体は、本体の最大長さ寸法の少なくとも約11%である最大厚さを有してもよい。より好ましくは、この最大厚さは、本体の最大長さ寸法の少なくとも約14%である。別法として、又は追加的に、振動板本体は、本体の長さの少なくとも約15%、またより好ましくは本体の長さの少なくとも約20%である最大厚さを有してもよい。
【0077】
別法として、又は追加的に、振動板本体は、振動板本体の主面に沿った最短の長さの約8%より大きい厚さを有してもよく、最短の長さの約12%より大きい厚さを有しても、約18%より大きい厚さを有してもよい。
【0078】
好ましくは、それぞれの垂直応力補強部材は、たとえばエポキシ系接着剤などの比較的薄い接着剤の層を介して、振動板本体の対応する主面に接着される。好ましくは、それぞれの内部補強部材は、エポキシ系接着剤の比較的薄い層を介して、コア材料及び対応する1つ又は複数の垂直応力補強部材に接着される。好ましくは、この接着剤は、対応する内部補強部材の重量の約70%未満である。より好ましくは、この接着剤は、対応する内部補強部材の重量の60%未満、又は50%未満、又は40%未満、又は30%未満、又は最も好ましくは、25%未満である。
【0079】
一実施例では、振動板本体は、振動板本体の矢状面に沿って実質的に三角形の断面を有する。
【0080】
好ましくは、振動板本体は、くさび形の形態を有する。
【0081】
代替の実施例では、振動板本体は、振動板本体の矢状面に沿って実質的に長方形の断面を有する。
【0082】
好ましくは、それぞれの内部補強部材は、以下の式で求められるような、(mmで測定される)値「x」未満の平均厚さを有し、
【数1】
[この文献は図面を表示できません]
ここで「a」は使用時に振動板本体によって押され得る(mm
2で測定される)空気の面積であり、「c」は好ましくは100である定数である。より好ましくは、c=200、またさらに好ましくは、c=400、また最も好ましくは、c=800である。
【0083】
いくつかの実施例では、それぞれの内部補強材は、厚さが0.4mm未満、またより好ましくは0.2mm未満、またより好ましくは0.1mm未満、またより好ましくは0.02mm未満の材料から作られ得る。
【0084】
いくつかの実施例では、垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、関連付けられた主面の一方の端部の近傍の、質量が小さいほうの領域にあるものである。いくつかの形態では、振動板は、この質量が小さいほうの領域においていかなる垂直応力補強材も有さない。他の形態では、垂直応力補強材は、この質量が小さいほうの領域において、他の領域に比べて小さい厚さ、又は小さい幅、又はその両方を有する。
【0085】
いくつかの実施例では、垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、関連付けられた主面の1つ又は複数の周辺縁部領域にあるものである。いくつかの形態では、振動板は、これらの1つ又は複数の周辺領域においていかなる垂直応力補強材も有さない。他の形態では、垂直応力補強材は、これら1つ又は複数の周辺領域において、他の領域に比べて小さい厚さ、又は小さい幅、又はその両方を有する。
【0086】
いくつかの実施例では、振動板本体は、一方の端部又はその近傍で、比較的小さい質量を有する。好ましくは、振動板本体は、この一方の端部において比較的小さい厚さを有する。いくつかの実施例では、振動板本体の厚さは先細りにされて、厚さが一方の端部に向かって減少する。他の実施例では、振動板本体の厚さは段をつけられて、厚さがこの一方の端部に向かって減少する。いくつかの実施例では、両方の端部の間の厚さのエンベロープ又はプロファイルは、振動板本体の冠状面に対して少なくとも4度、またより好ましくは振動板本体の冠状面に対して少なくとも約5度の角度がつけられる。
【0087】
いくつかの実施例では、振動板本体は、一方の端部又はその近傍で、比較的小さい質量を有する。好ましくは、振動板本体は、この一方の端部において比較的小さい厚さを有する。いくつかの実施例では、振動板本体の厚さは先細りにされて、厚さが一方の端部に向かって減少する。他の実施例では、振動板本体の厚さは段をつけられて、厚さがこの一方の端部に向かって減少する。いくつかの実施例では、両方の端部の間の厚さのエンベロープ又はプロファイルは、振動板本体の冠状面に対して少なくとも4度、またより好ましくは振動板本体の冠状面に対して少なくとも約5度の角度がつけられる。
【0088】
以下は、上記のオーディオ・トランスデューサの態様のそれぞれに適用される。
【0089】
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、
振動板が回転可能に接続されて動作中に回転する、トランスデューサ基部構造と、
振動板に作動可能に接続され、振動板の回転に関連して作動する変換機構と
をさらに備える。
【0090】
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、振動板をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続するヒンジ・システムをさらに備える。
【0091】
いくつかの実施例では、ヒンジ・システムは、振動板の運動を容易にするように構成され、振動板のトランスデューサ基部構造に対する並進変位(translational displacement)への抵抗に大いに寄与し、約8GPaより大きい、またより好ましくは約20GPaより大きいヤング率を有する、1つ又は複数の部分を備える。
【0092】
好ましくは、使用時に振動板を作動可能に支持するヒンジ組立体のすべての部分は、約8GPaより大きい、またより好ましくは約20GPaより大きいヤング率を有する。
【0093】
好ましくは、振動板の運動を容易にするように構成され、振動板のトランスデューサ基部構造に対する並進変位への抵抗に大いに寄与するヒンジ組立体のすべての部分は、約8GPaより大きい、またより好ましくは約20GPaより大きいヤング率を有する。
【0094】
いくつかの実施例では、ヒンジ・システムは、1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備え、それぞれのヒンジ接続部は、ヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材は、接触面を有し、動作中に、それぞれのヒンジ接続部は、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体は、ヒンジ要素を接触面に向かって付勢する。
【0095】
好ましくは、ヒンジ組立体は、付勢機構をさらに備え、ヒンジ要素は、付勢機構によって接触面に向かって付勢される。
【0096】
好ましくは、付勢機構は、実質的に追従的である。
【0097】
好ましくは、付勢機構は、動作中、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して実質的に垂直な方向に実質的に追従的である。
【0098】
いくつかの他の実施例では、ヒンジ・システムは、少なくとも1つのヒンジ接続部を備え、それぞれのヒンジ接続部は、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部は、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素は、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性(translational rigidity)、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備える。
【0099】
上記のオーディオ・トランスデューサのうちの任意の1つを含み、且つオーディオ・トランスデューサの振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間に配置されて、振動板とオーディオ・デバイスのこの少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減するデカップリング・マウンティング・システムをさらに備え、このデカップリング・マウンティング・システムが、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、オーディオ・デバイス。
【0100】
好ましくは、オーディオ・デバイスのこの少なくとも1つの他の部分は、このデバイスのオーディオ・トランスデューサの振動板の別の部分ではない。好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、トランスデューサ基部構造とある他の部分との間に接続される。好ましくは、このある他の部分は、トランスデューサハウジングである。
【0101】
第1の実施例では、オーディオ・トランスデューサは、電気音響スピーカであり、振動板に作用して、使用時に振動板を動かす力伝達構成要素をさらに備える。
【0102】
好ましくは、変換機構は、電磁的機構を備える。好ましくは、この電磁的機構は、磁気構造及び導電性の要素を備える。
【0103】
好ましくは、力伝達構成要素は、振動板に強固に取り付けられる。
【0104】
別の態様では、本発明は、上の態様のオーディオ・トランスデューサのうち任意の1つ又は複数を組み込み、それを通して独立したオーディオ信号を再生できる2つ以上の異なるオーディオ・チャネルを備える、2つ以上の電気音響スピーカを備えるオーディオ・デバイスから構成されてもよい。好ましくは、このオーディオ・デバイスは、使用者の耳の約10cm以内でのオーディオ用になされた個人用オーディオ・デバイスである。
【0105】
別の態様では、本発明は、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサと前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちのいずれか1つのその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを組み込む、個人用オーディオ・デバイスから構成されるといえる。
【0106】
別の態様では、本発明は、それぞれの耳又はその近位で使用者によって装着されるように構成された1対のインタフェース・デバイスを備える個人用オーディオ・デバイスであって、それぞれのインタフェース・デバイスが、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサと前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちのいずれか1つのその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを備える、個人用オーディオ・デバイスから構成されるといえる。
【0107】
別の態様では、本発明は、それぞれの耳又はその周囲で装着されるように構成された1対のヘッドホン・インタフェース・デバイスを備えるヘッドホン装置であって、それぞれのインタフェース・デバイスが、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサと前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちのいずれか1つのその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを備える、ヘッドホン装置から構成されるといえる。
【0108】
別の態様では、本発明は、使用者の耳の外耳道又は甲介内に装着されるように構成された1対のイヤホン・インタフェースを備えるイヤホン装置であって、それぞれのイヤホン・インタフェースが、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサと前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちのいずれか1つのその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを備える、イヤホン装置から構成されるといえる。
【0109】
別の態様では、本発明は、オーディオ・トランスデューサが、音響電気トランスデューサである、上の態様のうちのいずれか1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに関連する機能、構成及び実施例から構成されるといえる。
【0110】
別の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つに隣接して接続されて、動作中に振動板本体が受ける圧縮−引張応力に抵抗する、垂直応力補強材と、
コア材料に埋め込まれ、垂直応力補強材に対してある角度で向けられ、動作中に本体が受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材とを有し、
垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、組み立てられた振動板の質量中心位置から遠位である、関連付けられた主面の1つ又は複数の周辺縁部領域にあるものである、
振動板で構成されるといえる。
【0111】
好ましくは、質量中心位置から遠位である1つ又は複数の領域は、質量中心位置から最遠位である1つ又は複数の領域である。
【0112】
いくつかの実施例では、質量中心位置から最遠位である1つ又は複数の領域は、いかなる垂直応力補強材も有さない。
【0113】
いくつかの実施例では、垂直応力補強材は、補強材プレートを備え、このプレートの前記質量中心位置から遠位である領域は、1つ又は複数の凹部を備える。好ましくは、質量中心位置から遠位である1対の対向する領域は、1つ又は複数の凹部を備える。好ましくは、それぞれの凹部の幅は、前記質量中心位置からの距離に応じて増加する。
【0114】
いくつかの実施例では、垂直応力補強材の少なくとも1つの凹部は、1対の内部補強部材の間に配置される。
【0115】
いくつかの実施例では、垂直応力補強材は、補強材プレートを備え、このプレートの前記質量中心位置から遠位である領域は、質量中心位置又はその近位である領域に比べて、小さい厚さを有する。
【0116】
このプレートの厚さは、この近位領域と遠位領域との間で段をつけられても、先細りにされてもよい。
【0117】
第3の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体が受ける圧縮−引張応力に抵抗する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、垂直応力補強材に対してある角度で向けられ、本体が動作中に受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを軽減する、少なくとも1つの内部補強部材とを有し、
振動板本体が、振動板の質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域で比較的小さい質量を有する、
振動板で構成されるといえる。
【0118】
好ましくは、振動板本体は、質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域で、比較的小さい厚さを有する。
【0119】
好ましくは、質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域は、質量中心位置から最も遠位な1つ又は複数の領域である。
【0120】
いくつかの実施例では振動板本体の厚さは、先細りにされて、遠位領域に向かって厚さが減少する。他の実施例では、振動板本体の厚さは、段をつけられて、遠位領域に向かって厚さが減少する。
【0121】
いくつかの実施例では、振動板本体は、振動板の質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域で、比較的小さい質量を有する。
【0122】
好ましくは、質量中心から最遠位である1つ又は複数の周辺領域は、実質的に先端が直線状である。
【0123】
第4の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有するコア材料から構成される振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体が受ける圧縮−引張応力に抵抗する垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、垂直応力補強材に対してある角度で向けられ、本体が動作中に受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを軽減する、少なくとも1つの内部補強部材とを有し、
振動板が、振動板の質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域で比較的小さい質量を有する、
オーディオ・トランスデューサ振動板で構成されるといえる。
【0124】
好ましくは、質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域は、質量中心位置から最遠位な1つ又は複数の領域である。
【0125】
好ましくは、垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、質量中心位置から遠位な、関連付けられた主面の1つ又は複数の周辺縁部領域にあるものである。別法として、又は追加的に、振動板本体は、振動板の質量中心位置から遠位な、振動板の1つ又は複数の周辺領域で、比較的小さい質量を有する。
【0126】
好ましくは、振動板本体は、1つ又は複数の遠位領域で比較的小さい厚さを有し、垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、1つ又は複数の遠位領域にあるものである。
【0127】
好ましくは、質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域は、質量中心位置から最遠位な1つ又は複数の領域である。
【0128】
いくつかの実施例では、質量中心位置から最遠位な1つ又は複数の領域は、いかなる垂直応力補強材も有さない。
【0129】
いくつかの実施例では、垂直応力補強材は、補強材プレートを備え、このプレートの前記質量中心位置から遠位である領域は、1つ又は複数の凹部を備える。好ましくは、質量中心位置から遠位である1対の対向する領域は、1つ又は複数の凹部を備える。好ましくは、それぞれの凹部の幅は、前記質量中心位置空の距離に応じて増加する。
【0130】
いくつかの実施例では、垂直応力補強材の少なくとも1つの凹部は、1対の内部補強部材同士の間に配置される。
【0131】
いくつかの実施例では、垂直応力補強材は、補強材プレートを備え、このプレートの前記質量中心位置から遠位である領域は、質量中心位置又はその近位である領域に比べて、小さい厚さを有する。
【0132】
別の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体が受ける圧縮−引張応力に抵抗する、垂直応力補強材とを有する振動板であって、
垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、振動板の質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域にあるものである、
振動板、並びに
振動板を収容するためのエンクロージャ及び/又はバッフルを備えるハウジングを備え、
振動板が、少なくとも部分的にはハウジングの内部と物理的に連結しない周辺部を備える、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0133】
好ましくは、振動板は、ハウジングの内部と物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を備える。
【0134】
好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは、少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは、少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
【0135】
いくつかの実施例では、外周部の、振動板の質量中心位置から最遠位である領域のほうが、質量中心位置に近位である領域よりも、ハウジングの内部によって支持されない。
【0136】
好ましくは、質量中心位置から最遠位な1つ又は複数の領域は、いかなる垂直応力補強材も有さない。
【0137】
好ましくは、振動板本体は、質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域で、比較的小さい質量を有する。
【0138】
好ましくは、振動板本体は、この1つ又は複数の遠位領域で、比較的小さい厚さを有する。この厚さは、この1つ又は複数の遠位領域に向かって先細りにされても、段をつけられてもよい。
【0139】
一実施例では、振動板本体の厚さは、質量中心位置の領域又はそれに近位な領域から質量中心位置から最遠位である1つ又は複数の領域に向かって連続的に先細りにされる。
【0140】
好ましくは、振動板本体の1つ又は複数の遠位領域は、垂直応力補強材の1つ又は複数の遠位領域に合わせられる。
【0141】
別の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体が受ける圧縮−引張応力に抵抗する垂直応力補強材とを有する振動板であって、
少なくとも1つの主面が、1つ又は複数の周辺縁部領域においていかなる垂直応力補強材も有さず、それぞれの周辺縁部領域が、質量中心位置から主面の最遠位周辺縁部までの総距離の50パーセントである、振動板の質量中心位置を中心とする半径に、又はそれを越えて配置される
振動板、並びに
振動板を収容するためのエンクロージャ及び/又はバッフルを備えるハウジングを備え、
振動板が、少なくとも部分的にはハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0142】
好ましくは、振動板は、ハウジングの内部と物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を備える。好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは、少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは、少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。好ましくは、それぞれの1つ又は複数の周辺縁部領域は、質量中心位置から主面の最遠位周辺縁部までの総距離の80パーセントのところに、又はそれを越えて配置される。
【0143】
好ましくは、垂直応力補強材は、振動板本体の対向する主面に接続される1対の補強部材を備える。
【0144】
好ましくは、1つ又は複数の主面の総表面積の少なくとも10パーセントは、垂直応力補強材を有さず、又は1つ又は複数の主面の総表面の少なくとも25%、又は少なくとも50%は、垂直応力補強材を有さない。
【0145】
好ましくは、振動板は、質量中心から遠位な1つ又は複数の周辺縁部領域で、単位面積当たりで比較的小さい質量を有する。
【0146】
好ましくは、振動板は、振動板の1つ又は複数の周辺縁部領域で、振動板の冠状面と比較して、また別法として振動板本体の主面の面と比較して、単位面積当たりで比較的小さい質量を有する。
【0147】
好ましくは、振動板本体は、振動板の1つ又は複数の周辺縁部領域で、比較的小さい厚さを有する。この厚さは、この1つ又は複数の遠位周辺縁部領域に向かって先細りにされても、段をつけられてもよい。
【0148】
第7の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体が受ける圧縮−引張応力に抵抗する垂直応力補強材とを有し、
垂直応力補強材が、前記主面のうちの1つ又は複数に補強部材を備え、それぞれの補強部材が、一連の支柱を備える、
振動板、並びに
振動板を収容するためのエンクロージャ及び/又はバッフルを備えるハウジングを備え、
振動板が、少なくとも部分的にはハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0149】
好ましくは、振動板は、ハウジングの内部と物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を備える。好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは、少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは、少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
【0150】
好ましくは、前記支柱は、振動板の質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域において、減じられた厚さを有する。
【0151】
好ましくは、それぞれの支柱は、その幅の1/100より大きい厚さを有する。より好ましくは、それぞれの支柱は、その幅の1/60より大きい厚さを有する。最も好ましくは、それぞれの支柱は、その幅の1/20より大きい厚さを有する。
【0152】
好ましくは、1つ又は複数の垂直応力補強部材は、異方性材料から形成される。
【0153】
好ましくは、異方性垂直応力補強部材は、少なくとも8MPa/(kg/m
3)、またより好ましくは、少なくとも20MPa/(kg/m
3)、また最も好ましくは、少なくとも100MPa/(kg/m
3)である比弾性率を有する材料から形成される。
【0154】
好ましくは、この異方性材料は繊維複合材料であり、ここでは繊維はそれぞれの支柱を通って実質的に一方向の向きで通される。好ましくは、繊維は、関連付けられた支柱の長手方向軸と実質的に同じ向きで通される。好ましくは、それぞれの支柱は、一方向炭素繊維複合材料から形成される。好ましくは、前記複合材料は、ヤング率が少なくとも約100GPaで、より好ましくは200GPaより大きい、最も好ましくは400GPaより大きい炭素繊維を組み込む。
【0155】
好ましくは、垂直応力補強材は、振動板本体の対向する主面に接続される1対の補強部材を備え、一方の主面の第1の補強部材の1つ又は複数の支柱は、振動板本体の周辺部で、対向する主面の第2の補強部材の1つ又は複数の支柱と連結する。
【0156】
好ましくは、第1の補強部材と第2の補強部材は、実質的に振動板本体の冠状面に対して垂直な方向における変位に対して振動板本体を支持する三角形の補強材を形成する。
【0157】
好ましくは、それぞれの補強部材は、複数の支柱を備える。好ましくは、これらの複数の支柱は、交差する。好ましくは、支柱相互間の交差領域は、振動板の質量中心位置から振動板の周辺部までの総距離の50パーセントのところに、又はそれを越えて位置する。他の交差領域は、この総距離の50パーセント以内に配置されてもよい。
【0158】
好ましくは、振動板本体の少なくとも1つの主面は、関連付けられた主面の1つ又は複数の周辺縁部領域においていかなる垂直応力補強材も有さず、それぞれの周辺縁部領域は、質量中心位置から主面の最遠位周辺縁部までの総距離の50パーセントである、質量中心位置を中心とする半径に、又はそれを越えて配置される。
【0159】
好ましくは、垂直応力補強材は、振動板本体の対向する主面に接続される1対の補強部材を備え、両方の主面は、関連付けられた周辺縁部領域において、いかなる垂直応力補強材も有さない。
【0160】
好ましくは、1つ又は複数の主面の総表面積の少なくとも10パーセント、又は少なくとも25%、又は少なくとも50%は、1つ又は複数の周辺縁部領域において、垂直応力補強材を有さない。
【0161】
好ましくは、振動板本体は、振動板の質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域で比較的小さい質量を有する。
【0162】
好ましくは、振動板本体は、この1つ又は複数の遠位領域で、比較的小さい厚さを有する。この厚さは、この1つ又は複数の遠位領域に向かって先細りにされても、段をつけられてもよい。
【0163】
前に述べたオーディオ・トランスデューサの態様のうちのいずれか1つ、並びにそれらの関連する機能、実施例、及び構成の、第1の実施例では、オーディオ・トランスデューサは、電気音響スピーカであり、振動板に作用して、使用時に振動板を動かす力伝達構成要素をさらに備える。
【0164】
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、
トランスデューサ基部構造と、
変換機構とをさらに備え、振動板が、トランスデューサ基部構造に可動に接続され、且つ変換機構に作動可能に接続され、その結果、動作中、基部構造に対する振動板の動きにより、変換機構によって受けられる電気オーディオ信号が音に変換される。
【0165】
好ましくは、トランスデューサ基部構造は、実質的に厚く、ずんぐりしたジオメトリを有する。
【0166】
好ましくは、変換機構は、電磁的機構を備える。好ましくは、電磁的機構は、磁気構造及び導電性の要素を備える。好ましくは、磁気構造は、トランスデューサ基部構造に接続され、トランスデューサ基部構造の一部を形成し、導電性の要素は、振動板に接続され、振動板の一部を形成する。好ましくは、磁気構造は、永久磁石と、間隙で隔てられ、それらの間に磁界を発生する内側ポールピース及び外側ポールピースとを備える。好ましくは、導電性の要素は、少なくとも1つのコイル巻線を備える。好ましくは、振動板は、振動板基部フレームを備え、導電性の要素は、振動板基部フレームに強固に接続される。
【0167】
第1の構成では、振動板は、トランスデューサ基部構造に対して回転可能に接続される。好ましくは、振動板基部フレームは、振動板の一方の端部に配置され、それに強固に接続される。好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、振動板をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続するためのヒンジ・システムをさらに備える。
【0168】
好ましくは、振動板は、動作中、回転軸を中心に振動する。
【0169】
一形態では、ヒンジ・システムは、1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備え、それぞれのヒンジ接続部は、ヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材は、接触面を有し、動作中に、それぞれのヒンジ接続部は、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体は、ヒンジ要素を接触面に向かって付勢する。好ましくは、ヒンジ組立体は、付勢機構をさらに備え、ヒンジ要素は、付勢機構によって接触面に向かって付勢される。好ましくは、付勢機構は、実質的に追従的である。好ましくは、付勢機構は、動作中、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して実質的に垂直な方向に実質的に追従的である。
【0170】
別の形態では、ヒンジ・システムは、少なくとも1つのヒンジ接続部を備え、それぞれのヒンジ接続部は、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部は、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素は、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備える。
【0171】
第2の構成では、オーディオ・トランスデューサは、直線動作トランスデューサであり、ここでは振動板は、トランスデューサ基部構造に対して直線的に運動可能である。好ましくは、振動板基部フレームは、振動板の中央領域に接続され、この構造の主面から磁気構造に横切って延びる。
【0172】
好ましくは、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサは、ごく部分的に、振動板を周辺部の周長の周りでハウジング又は周囲の構造に連結する振動板サスペンションを備える。好ましくは、このサスペンションは、周辺部の周長の80%未満の長さに沿って振動板を連結する。好ましくは、このサスペンションは、周辺部の周長の50%未満の長さに沿って振動板を連結する。好ましくは、このサスペンションは、周辺部の周長の20%未満の長さに沿って振動板を連結する。
【0173】
前に述べたオーディオ・トランスデューサ態様のうちのいずれか1つ、並びにそれらの関連する機能、実施例、及び構成の第2の実施例では、オーディオ・トランスデューサは、音響電気トランスデューサであり、使用時に振動板の作用を受けて、振動板の動きに応答して電気エネルギーを生み出すように構成された力伝達構成要素をさらに備える。
【0174】
別の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体が受ける圧縮−引張応力に抵抗する、垂直応力補強材とを備える
振動板、並びに
使用時に、回転軸を中心に振動板を作動可能に支持するように構成されたヒンジ組立体を備え、
少なくとも1つの主面が、主面の1つ又は複数の周辺縁部領域でいかなる垂直応力補強材も有さず、周辺縁部領域が、回転軸から主面の最遠位周辺縁部までの総距離の80パーセントである、回転軸を中心とする半径に、又はそれを越えて配置される、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0175】
好ましくは、振動板本体は実質的に厚い。好ましくは、振動板本体は、振動板本体の最大長さの少なくとも11%、またより好ましくは、振動板本体の最大長さの少なくとも14%である最大厚さを有する。
【0176】
好ましくは、振動板本体は、回転軸から振動板の最遠位周辺領域までの総距離の少なくとも15%である最大厚さを有する。より好ましくは、この最大厚さは、この総距離の少なくとも20%である。
【0177】
別の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体の面又はその近傍で受ける圧縮−引張応力に抵抗する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、垂直応力補強材に対してある角度で向けられ、本体が動作中に受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材と
を備える振動板、並びに
振動板に接続されて、使用時に、関連付けられた回転軸を中心に振動板を回転させるヒンジ組立体
を備えるオーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0178】
このヒンジ組立体は、振動板に直接的に接続されても、1つ又は複数の中間の構成要素によって間接的に接続されてもよい。
【0179】
好ましくは、1つ又は複数の主面は、実質的に平面である。
【0180】
好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材のそれぞれは、振動板本体の矢状面に対して実質的に平行に向けられる。好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材のそれぞれは、ヒンジ組立体の回転軸に対して実質的に垂直であり、且つ/又は振動板本体の長手方向軸に対して実質的に平行な長手方向軸を備える。好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材のそれぞれは、回転軸の、又は回転軸に近位な領域と振動板本体の対向する端部との間に延びる。
【0181】
好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材のそれぞれは、振動板本体の厚さの相当な部分にわたって横方向に、且つ振動板本体の長さの相当な部分に沿って長手方向に延びる、少なくとも1つのパネルを備える。
【0182】
好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材のそれぞれは、直接的に、又は少なくとも1つの中継の構成要素を介して、ヒンジ組立体に強固に接続される。
【0183】
中継の構成要素は、ヤング率が約8GPaより大きい、またより好ましくは約20GPaより大きい材料から作られてもよい。
【0184】
好ましくは、1つ又は複数の中継の構成要素は、振動板本体の冠状面に対して約30度より大きい角度で向けられ、且つ振動板の回転軸に対して実質的に平行である、実質的に平面のセクションを組み込み、ヒンジ機構と内部補強部材の間で、最小限の追従性で冠状面に平行な方向に負荷を伝達する。
【0185】
一実施例では、電気音響トランスデューサは、振動板に作用して、使用時に振動板を動かす力伝達構成要素を有する励起機構を備える電気音響スピーカ、又はその一部である。
【0186】
好ましくは、電気音響スピーカは、2つ以上の電気音響スピーカの構成を通じて2つ以上の異なるオーディオ・チャネルを使用するオーディオ・デバイス内に構成される。
【0187】
好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材のそれぞれは、直接的に、又は少なくとも1つの中継の構成要素を介して、力伝達構成要素に強固に連結される。
【0188】
好ましくは、垂直応力補強材は、振動板本体の1対の対向する主面のいずれか一方に、1つ又は複数の垂直応力補強部材を備える。
【0189】
好ましくは、いずれかの主面の1つ又は複数の垂直応力補強部材は、直接的に、又は1つ又は複数の中継の構成要素を介して、力伝達構成要素に強固に連結される。
【0190】
好ましくは、いずれかの主面のこれらの1つ又は複数の垂直応力補強部材は、直接的に、又は1つ又は複数の中継の構成要素を介して、ヒンジ組立体に強固に連結される。
【0191】
好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材とヒンジ組立体、少なくとも1つの内部補強部材と力伝達構成要素、1つ又は複数の垂直応力補強部材とヒンジ組立体、及び/又は1つ又は複数の垂直応力補強部材と力伝達構成要素の間のうち、任意の1つ又は複数の剛性連結を容易にする、任意の中継の構成要素は、スチールや炭素繊維などの実質的に剛性の材料から形成される。好ましくは、この中継の構成要素は、プラスチック材料から形成されない。
【0192】
好ましくは、振動板本体の厚さは、回転軸から振動板本体の対向する終端部に向けて減少する。好ましくは、この厚さは、回転軸と振動板本体の対向する終端部の間で先細りにされる。
【0193】
好ましくは、垂直応力補強材の質量分布は、回転軸に近位である1つ又は複数の領域に配置される質量と比べて、比較的小さい質量が、振動板本体の終端部、又はその近位である1つ又は複数の領域に配置されるものである
【0194】
好ましくは、振動板本体の終端部に近位な、それぞれの主面の1つ又は複数の領域は、垂直応力補強材を有さない。
【0195】
好ましくは、これらの1つ又は複数の領域は、少なくとも1つの内部補強部材の近傍の間に配置される。
【0196】
別法として、又は追加的に、比較的小さい質量の垂直応力補強材の、1つ又は複数の領域は、回転軸に近位である1つ又は複数の領域に位置する垂直応力補強材に比べて減じられた厚さの垂直応力補強材を備える。
【0197】
好ましくは、振動板は、5つ以下の内部補強部材を備える。好ましくは、振動板は、4つの内部補強部材を備える。
【0198】
好ましくは、垂直応力補強部材は、振動板本体のそれぞれの主面で、又はそのすぐ近傍で、振動板本体の長さ全体の相当な部分に沿って実質的に長手方向に延びる。
【0199】
好ましくは、振動板本体の側方外側に取り付けられる支持体及び/又は同様の垂直補強材は存在しない。
【0200】
好ましくは、振動板本体の終端面に取り付けられる支持体及び/又は同様の垂直補強材は存在しない。好ましくは、いかなる種類の膜又は塗料も存在しない。塗料が存在する場合、これは実質的に薄く、軽量であることが好ましい。好ましくは、振動板本体のコア材料が、発泡ポリスチレンフォーム又はそれと同様のものである場合、通常、熱線はより大きい密度の溶融層を生み出すので、これはたとえば熱線で溶融されるのではなく、機械的に切断される。
【0201】
好ましくは、垂直応力補強材は、両方の主面の振動板本体の終端部で、又はその手前で終端する。
【0202】
別法として、一方の面の垂直応力補強材は、振動板本体の終端部まで延在し、振動板本体の対向する主面にある垂直応力補強材と連結する。
【0203】
別の態様では本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体の面又はその近傍で受ける圧縮−引張応力に抵抗する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、垂直応力補強材に対してある角度で向けられ、本体が動作中に受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材と
を備える振動板、並びに
使用時に振動板を作動可能に支持する1つ又は複数の薄肉のフレキシブル・ヒンジ要素を備える、ヒンジ組立体
を備えるオーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0204】
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、トランスデューサ基部構造をさらに備え、ヒンジ組立体は、振動板をトランスデューサ基部構造に対して回転可能に接続する。
【0205】
好ましくは、ヒンジ組立体は、少なくとも1つのヒンジ接続部を備え、それぞれのヒンジ接続部が、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部が、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素が、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備える。
【0206】
一形態では、オーディオ・トランスデューサは、振動板を支持するための振動板基部フレームを備え、振動板基部フレームは、それぞれのヒンジ接続部の片方又は両方のヒンジ要素に直接取り付けられる。
【0207】
好ましくは、振動板基部フレームは、振動板とそれぞれのヒンジ接続部の間の剛性連結を容易にする。
【0208】
好ましくは、振動板は、それぞれのヒンジ接続部と密に結び付けられる。たとえば、振動板からそれぞれのヒンジ接続部までの距離は、回転軸から振動板の最遠位周辺部までの最大距離の半分未満、またより好ましくはこの最大距離の1/3未満、またより好ましくはこの最大距離の1/4未満、またより好ましくはこの最大距離の1/8未満、また最も好ましくはこの最大距離の1/16未満である。
【0209】
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、それぞれのヒンジ要素は、ねじれに対して実質的に剛性である。
【0210】
代替の実施例では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、ねじれに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、それぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的に剛性である。
【0211】
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ要素は、おおよそ、又は実質的に平面のプロファイル、たとえば平坦なシートの形態を有する。
【0212】
いくつかの実施例では、それぞれの接続部の1対のフレキシブル・ヒンジ要素同士は、共通の縁部に沿って連結、又は交差して、おおよそL形の断面を形成する。いくつかの他の構成では、それぞれのヒンジ接続部の1対のフレキシブル・ヒンジ要素同士は、中央領域に沿って交差して回転軸を形成し、これらのヒンジ要素は、おおよそX形の断面を形成する、すなわちヒンジ要素は、クロスばね(cross spring)構成を形成する。いくつかの他の構成では、それぞれのヒンジ接続部のフレキシブル・ヒンジ要素同士は、隔てられて、異なる方向に延びる。
【0213】
一形態では、この回転軸は、それぞれのヒンジ接続部のヒンジ要素同士が交差する点とおおよそ同一直線上にある。
【0214】
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、横方向の、この要素の長手方向の長さに沿った湾曲部を備える。ヒンジ要素は、わずかに曲げられて、その結果、動作中に実質的に平面の状態に屈曲することができる。
【0215】
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ接続部のヒンジ要素の片方又は両方の厚さは、振動板又はトランスデューサ基部構造から最遠位であるヒンジ要素の端部で、又はその近位で増加する。
【0216】
別の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体の面又はその近傍で受ける圧縮−引張応力に抵抗する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、垂直応力補強材に対してある角度で向けられ、本体が動作中に受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材と
を有する振動板、並びに
振動板を作動可能に支持し、1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ・システムであって、それぞれのヒンジ接続部が、第1のヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材が、接触面を提供する、ヒンジ・システムを備え、
使用時に、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素が接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成される、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0217】
好ましくは、各ヒンジ接続部ごとに、接触部材は、接触面を有し、それぞれのヒンジ接続部は、動作中、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら、関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体は、接触面に向かってヒンジ要素を付勢する。
【0218】
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、トランスデューサ基部構造をさらに備え、ヒンジ組立体は、振動板をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続して、動作中、ヒンジ組立体の回転軸又はおおよその回転軸を中心に振動板が回転することを可能にする。好ましくは、振動板は、動作中、回転軸を中心に振動する。
【0219】
好ましくは、実質的に安定した物理的接触は、実質的に安定した力を有する。
【0220】
好ましくは、ヒンジ組立体は、それぞれの接続部のヒンジ要素に、関連付けられた接触面に向かって追従的に付勢力を加えるように構成される。
【0221】
好ましくは、ヒンジ組立体は、付勢機構をさらに備え、ヒンジ要素は、付勢機構によって接触面に向かって付勢される。
【0222】
一形態では、付勢機構は、動作中、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して垂直な軸に対して25度未満、又は10度未満、又は5度未満の方向に付勢力を加える。
【0223】
好ましくは、付勢機構は、動作中、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して実質的に垂直な方向に付勢力を加える。
【0224】
好ましくは、付勢機構は、実質的に追従的である。好ましくは、付勢機構は、動作中、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して実質的に垂直な方向に、実質的に追従的である。
【0225】
好ましくは、ヒンジ要素と接触部材の間の接触により、ヒンジ要素は、動作中、接触領域で、接触面に対して垂直な方向に、接触部材に対する相対的な並進運動に逆らって、実質的に強固に拘束される。
【0226】
一実施例では、付勢機構は、接触部材に対する相対的な並進運動に対し、ヒンジ要素を、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して垂直な方向に強固に拘束する構造とは別々のものである。
【0227】
別の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体であって、振動板本体の最大厚さが、本体の最大長さの11%より大きい振動板本体
を有する振動板と、
振動板に接続されて、使用時に、関連付けられた回転軸を中心に振動板を回転させるヒンジ組立体とを備え、
使用者の耳の約10cm以内でのオーディオ用になされた電気音響スピーカである、オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0228】
別の態様では本発明は概して、通常、使用者の耳又は頭部の近傍で直接、又は直接関連して使用されるように構成されたオーディオ・デバイスであって、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体であって、振動板本体の最大厚さが、本体の最大長さの11%より大きい、振動板本体
を有する振動板と、
振動板に接続されて、使用時に関連付けられた回転軸を中心に振動板を回転させるヒンジ・システムと
を備える、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサを含む、オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0229】
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、電気音響スピーカであり、このオーディオ・デバイスは、使用者の耳の約10cm以内でのオーディオ用になされる。
【0230】
好ましくは、オーディオ・デバイスは、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサを中に収容するためのハウジングをさらに備える。
【0231】
好ましくは、オーディオ・トランスデューサの振動板本体は、少なくともその周辺部の一部に沿って、少なくとも部分的にはハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える。
【0232】
別の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体であって、振動板本体の最大厚さが、本体の最大長さの11%より大きい、振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体の面又はその近傍で受ける圧縮−引張応力に抵抗する、垂直応力補強材とを有し、
少なくとも1つの主面が、1つ又は複数の周辺縁部領域においていかなる垂直応力補強材も有さず、それぞれの周辺縁部領域が、質量中心位置から主面の最遠位周辺縁部までの総距離の50パーセントである、振動板の質量中心位置を中心とする半径に、又はそれを越えて配置される
振動板、並びに
振動板を収容するためのエンクロージャ及び/又はバッフルを備えるハウジングを備え、
振動板が、少なくとも部分的にはハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0233】
好ましくは、振動板は、ハウジングの内部と物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を備える。好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは、少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは、少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
【0234】
好ましくは、ハウジングの内部と物理的に連結しない、振動板周辺部の1つ又は複数の周辺領域とハウジングの内部との間には、小さい空気間隙が存在する。
【0235】
好ましくは、振動板の周辺縁部領域とハウジングの間の距離によって定められる空気間隙の幅は、振動板本体の主面に沿った最短の長さの1/10未満、より好ましくは1/20未満である。
【0236】
好ましくは、この空気間隙の幅は、振動板本体の長さの1/20未満である。好ましくは、この空気間隙の幅は、1mm未満である。
【0237】
別の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有するコア材料から構成される振動板本体であって、振動板本体の最大厚さが、本体の最大長さの11%より大きい、振動板本体と、
コア材料に埋め込まれ、1つ又は複数の主面に対してある角度で向けられ、コア材料が動作中に受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材と
を有する振動板、並びに
振動板に作用して、使用時に振動板を動かす、力伝達構成要素を備え、
使用者の耳の約10cm以内でのオーディオ用になされた電気音響スピーカである、オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0238】
別の態様では、本発明は概して、通常、使用者の耳又は頭部の近傍で直接、又は直接関連して使用されるように構成されたオーディオ・デバイスであって、
1つ又は複数の主面を有するコア材料から構成される振動板本体であって、振動板本体の最大厚さが、本体の最大長さの11%より大きい振動板本体と、
コア材料に埋め込まれ、1つ又は複数の主面に対してある角度で向けられ、コア材料が動作中に受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材と
を有する振動板、並びに
振動板に作用して、使用時に振動板を動かす、力伝達構成要素
を備える、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサを含む、オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0239】
別の態様では本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体のこの面又はその近傍で受ける圧縮−引張応力に抵抗する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、垂直応力補強材に対してある角度で向けられ、本体が動作中に受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材と
を有する振動板、
トランスデューサ基部構造、並びに
ヒンジ組立体を備え、
振動板が、ヒンジ組立体によって作動可能に支持されて、トランスデューサ基部構造に対しておおよその回転軸を中心に回転し、
振動板の運動を容易にするように構成され、振動板のトランスデューサ基部構造に対する並進変位への抵抗に大いに寄与し、約8GPaより大きい、またより好ましくは約20GPaより大きいヤング率を有する1つ又は複数の部分をヒンジ組立体が備える、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0240】
好ましくは、使用時に振動板を作動可能に支持する、ヒンジ組立体のすべての部分は、約8GPaより大きい、またより好ましくは約20GPaより大きいヤング率を有する。
【0241】
好ましくは、振動板の運動を容易にするように構成され、振動板のトランスデューサ基部構造に対する並進変位への抵抗に大いに寄与する、ヒンジ組立体のすべての部分は、0.1GPaより大きいヤング率を有する。
【0242】
別の態様では、本発明は概して、
動作中、実質的に剛性のままである振動板本体を有する振動板と、
使用時に、振動板を作動可能に支持するように構成され、1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備えるヒンジ・システムであって、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材が、接触面を有する、ヒンジ・システムとを備え、
動作中、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら、関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体が、接触面に向かってヒンジ要素を付勢する、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0243】
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、トランスデューサ基部構造をさらに備え、ヒンジ組立体は、振動板をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続して、動作中、ヒンジ組立体の回転軸又はおおよその回転軸を中心に振動板が回転することを可能にする。好ましくは、振動板は、動作中、回転軸を中心に振動する。
【0244】
好ましくは、実質的に安定した物理的接触は、実質的に安定した力を有する。
【0245】
好ましくは、ヒンジ組立体は、それぞれの接続部のヒンジ要素に、関連付けられた接触面に向かって追従的に付勢力を加えるように構成される。
【0246】
好ましくは、振動板は、実質的に剛性の振動板本体を有する。
【0247】
好ましくは、ヒンジ組立体は、付勢機構をさらに備え、ヒンジ要素は、付勢機構によって接触面に向かって付勢される。
【0248】
一形態では、付勢機構は、動作中、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して垂直な軸に対して25度未満、又は10度未満、又は5度未満の方向に付勢力を加える。
【0249】
好ましくは、付勢機構は、動作中、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して実質的に垂直な方向に付勢力を加える。
【0250】
好ましくは、付勢機構は、実質的に追従的である。好ましくは、付勢機構は、動作中、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して実質的に垂直な方向に実質的に追従的である。
【0251】
好ましくは、付勢機構は、実質的に追従的である。好ましくは、付勢機構は、動作中、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して実質的に垂直な方向に、付勢変位に相対するものとしての付勢力を加えるという点において、実質的に追従的である。
【0252】
好ましくは、付勢機構は、実質的に追従的である。好ましくは、付勢機構は、動作中、使用時に、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、ヒンジ要素が接触面に対して実質的に垂直な方向にわずかに移動する場合、その付勢力が大きく変化しないという点において、実質的に追従的である。
【0253】
好ましくは、ヒンジ要素と接触部材の間の接触により、ヒンジ要素は、動作中、接触領域で、接触面に対して垂直な方向に、接触部材に対する相対的な並進運動に逆らって、実質的に強固に拘束される。
【0254】
一実施例では、付勢機構は、接触部材に対する相対的な並進運動に対し、ヒンジ要素を、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して垂直な方向に強固に拘束する構造とは別々のものである。
【0255】
一実施例では、振動板は、付勢機構を備える。
【0256】
好ましくは、追加的な力がヒンジ要素に加えられ、その合力を表すベクトルが、ヒンジ要素と接触面の物理的接触位置を通り、その合力が、付勢力と比較して小さいとき、ヒンジ要素と接触部材の間の安定した物理的接触により、ヒンジ要素の接触部分が、トランスデューサ基部構造に対する並進運動に対して強固に拘束され、ヒンジ要素は、接点で、接触面に対して垂直な方向に、接触部材と接触する。
【0257】
好ましくは、追加的な力がヒンジ要素に加えられ、その合力を表すベクトルが、ヒンジ要素と接触面の物理的接触位置を通り、その合力が、付勢力と比較して小さいとき、ヒンジ要素と接触部材の間の安定した物理的接触により、ヒンジ要素の接触部分が、接点で、トランスデューサ基部構造に対するあらゆる並進運動に対して効果的に強固に拘束される。
【0258】
好ましくは、付勢機構は十分に追従的であり、その結果、
振動板が、動作中ニュートラル位置にあり、
追加的な力が、ヒンジ要素が接触面と接触する領域を通り、接触面に対して垂直な方向に、接触部材からヒンジ要素に加えられ、
この追加的な力が、付勢力と比較して比較的小さく、その結果、ヒンジ要素と接触部材の間の分離が起こらないとき、
結果として生じる、接触部材によってヒンジ要素に加えられる反力の変化は、結果として生じる、付勢機構によって加えられる力の変化よりも大きい。
【0259】
好ましくは、この結果として生じる変化は、少なくとも4倍、より好ましくは少なくとも8倍、最も好ましくは少なくとも20倍大きい。
【0260】
好ましくは、付勢構造の追従性は、接触部材と比較して、付勢機構内の非接合の構成要素同士の間の接触領域と関連付けられた、且つその領域での追従性を除く。
【0261】
好ましくは、振動板本体は、動作中、トランスデューサのFROにわたって、実質的に剛性の形態を保つ。
【0262】
好ましくは、振動板は、ヒンジ組立体と強固に連結される。
【0263】
好ましくは、振動板は、動作中、トランスデューサのFROにわたって、実質的に剛性の形態を保つ。
【0264】
いくつかの実施例では、振動板は、単一の振動板本体を備える。代替の実施例では、振動板は、複数の振動板本体を備える。
【0265】
好ましくは、ヒンジ要素と接触部材の間の接触により、ヒンジ要素は、接触部材に対するあらゆる並進運動に対して、強固に拘束される。
【0266】
好ましくは、回転軸は、それぞれのヒンジ接続部のヒンジ要素と接触面の間の接触領域と一致する。
【0267】
一構成では、ヒンジ組立体の1つ又は複数の構成要素は、トランスデューサ基部構造に強固に連結される。
【0268】
好ましくは、ヒンジ要素は、振動板の一部として、強固に連結される。
【0269】
好ましくは、接触部材は、トランスデューサ基部構造の一部として、強固に連結される。
【0270】
好ましくは、ヒンジ要素と接触部材のいずれか一方は、振動板の一部として強固に連結され、他方は、トランスデューサ基部構造の一部として強固に連結される。
【0271】
好ましくは、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触面との間の接触領域において、ヒンジ要素と接触部材のうちの一方は、振動板に強固に効果的に連結され、他方は、トランスデューサ基部構造に強固に効果的に連結される。
【0272】
一実施例では、実質的に安定した物理的接触は、実質的に安定した力を有し、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触面との間の接触領域において、ヒンジ要素と接触部材のうちの一方は、振動板に強固に効果的に連結され、他方は、トランスデューサ基部構造に強固に効果的に連結される。好ましくは、ヒンジ組立体は、それぞれの接続部のヒンジ要素に、関連付けられた接触面に向かって追従的に付勢力を加えるように構成される。好ましくは、ヒンジ組立体は、それぞれの接続部のヒンジ要素に、関連付けられた接触面に向かって追従的に付勢力を加えるように構成される。
【0273】
好ましくは、振動板本体は、回転軸から、対向して最遠位である振動板の終端部までの長さの15%より大きい、またより好ましくは20%より大きい最大厚さを有する。
【0274】
好ましくは、振動板本体は、接触面のすぐ近くにあるか、又はそれと接触する。
【0275】
好ましくは、振動板本体から接触面までの距離は、回転軸から振動板本体の最も遠い周辺部までの総距離の半分未満であり、またより好ましくはこの総距離の1/4未満であり、またより好ましくはこの総距離の1/8未満であり、また最も好ましくは、この総距離の1/16未満である。
【0276】
好ましくは、それぞれのヒンジ接続部の接触部材の、接触面のすぐ近くにある領域は、通常動作中は常に、効果的に強固にトランスデューサ基部構造に連結される。
【0277】
好ましくは、それぞれのヒンジ接続部の接触面とヒンジ要素の間の接触領域は、通常動作中は常に、並進変位の観点からいえば、振動板とトランスデューサ基部構造の両方に対して、効果的に実質的に不動である。
【0278】
好ましくは、振動板とトランスデューサ基部構造のうちの一方は、接触領域のすぐ近くで、それぞれのヒンジ接続部のヒンジ要素の少なくとも一部分に効果的に強固に連結され、振動板とトランスデューサ基部構造のうちの他方は、接触領域のすぐ近くで、それぞれのヒンジ接続部の接触部材の少なくとも一部分に効果的に強固に連結される。
【0279】
好ましくは、それぞれのヒンジ接続部の接触部材又はヒンジ要素のうち、回転軸に対して垂直な平面の断面プロファイルにおいて接触面の半径がより小さい方は、接触領域から回転軸に対して垂直な方向に、接触領域のすぐ近くの構成要素の局所的な部分に効果的に強固に連結されるすべての構成要素を横切る最大長さの30%未満、より好ましくは20%未満、最も好ましくは10%未満である。
【0280】
好ましくは、それぞれのヒンジ接続部の接触部材又はヒンジ要素のうち、回転軸に対して垂直な平面の断面プロファイルにおいて接触面の半径がより小さい方は、
接触部材の、ヒンジ組立体との接点のすぐ近傍の部分と、効果的に強固に連結されるすべての構成要素の端から端までの最大寸法と、
ヒンジ要素の、接触部材との接点のすぐ近傍の部分と、効果的に強固に連結されるすべての構成要素の端から端までの最大寸法のうち、
小さい方の、回転軸に対して垂直な方向の距離の30%未満、より好ましくは20%未満、最も好ましくは10%未満である。
【0281】
好ましくは、それぞれのヒンジ接続部のヒンジ要素は、接触面で、回転軸に対して垂直な方向において、接触領域から振動板の終端部までの長さ、及び/又は振動板本体の長さの30%未満、より好ましくは20%未満、最も好ましくは10%未満である半径を有する。別法として、それぞれのヒンジ接続部の接触部材は、接触面で、回転軸に対して垂直な方向において、接触領域からトランスデューサ基部構造の終端部までの長さ、及び/又はトランスデューサ基部構造の長さの30%未満、より好ましくは20%未満、最も好ましくは10%未満である半径を有する。
【0282】
いくつかの構成では、ヒンジ組立体は、単一のヒンジ接続部を備えて、振動板をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続する。いくつかの構成では、ヒンジ組立体は、振動板の左右に配置される複数のヒンジ接続部、たとえば2つのヒンジ接続部を備える。
【0283】
好ましくは、ヒンジ要素は、振動板の端面に埋め込まれ、又はそれに取り付けられ、ヒンジ要素は、接触面との安定した物理的接触を保ちながら、接触面で回転又は転動するように構成され、それによって振動板の運動が可能になる。
【0284】
好ましくは、ヒンジ接続部は、ヒンジ要素が、接触部材に対して実質的に回転して動くことを可能にするように構成される。
【0285】
好ましくは、ヒンジ要素は、動作中、問題にならない程度に摺動して接触部材に対して転動するように構成される。
【0286】
好ましくは、ヒンジ要素は、動作中、摺動せずに接触部材に対して転動するように構成される。
【0287】
別法として、ヒンジ要素は、動作中、接触面で擦れる又はよじれるように構成される。
【0288】
好ましくは、ヒンジ組立体は、ヒンジ要素と接触部材の間の接触により、接触領域又はそのすぐ近くに位置するヒンジ要素のある点が、接触部材に対するあらゆる並進運動に対して強固に拘束されるように構成される。
【0289】
好ましくは、ヒンジ要素と接触部材のうちの一方は、接触領域での、少なくとも回転軸に対して垂直な面に沿った断面プロファイルでは、凸形に湾曲した接触面を備える。
【0290】
好ましくは、ヒンジ要素と接触部材のうちの他方は、接触領域での、少なくとも回転軸に対して垂直な面に沿った断面プロファイルでは、凹形に湾曲した接触面を備える。
【0291】
好ましくは、ヒンジ要素又は接触部材のうちの一方は、オーディオ・トランスデューサに対して外力が発揮される、又は加えられるとき、ヒンジ要素又は接触部材の他方が、一段高くなった部分又は突出部を越えて動くことを防止するように構成される、この1つ又は複数の一段高くなった部分又は突出部を有する接触面を備える。
【0292】
一形態では、ヒンジ要素は、凸形に湾曲した接触面を備え、接触部材は、凹形に湾曲した接触面を備える。代替の形態では、ヒンジ要素は、凹形に湾曲した接触面を備え、接触部材は、凸形に湾曲した接触面を備える。
【0293】
一形態では、ヒンジ要素は、回転軸に対して垂直な平面でみたときに、少なくとも部分的には凹形又は凸形の断面プロファイルを有し、ここで接触面と物理的に接触する。
【0294】
一形態では、回転軸に対して垂直な平面でみたときに、ヒンジ要素は、少なくとも部分的には凸形の断面プロファイルを有し、接触面の形は、同じ平面において実質的に平坦であり、逆もまた同様である。
【0295】
別の形態では、ヒンジ要素は、回転軸に対して垂直な平面でみたときに、少なくとも部分的には凹形の断面プロファイルを有し、接触面は、回転軸に対して垂直な平面において凸形の断面プロファイルを有し、ここで物理的接触が生まれ、ヒンジ要素及び接触面は、使用時に、この凹形及び凸形の面に沿って、互いに対して揺れる又は転動するように構成される。
【0296】
別の形態では、ヒンジ要素は、回転軸に対して垂直な平面でみたときに、少なくとも部分的には凸形の断面プロファイルを有し、接触面は、回転軸に対して垂直な平面において凸形の断面プロファイルを有し、ヒンジ要素及び接触面が、使用時に、これらの面に沿って、互いに対して揺れる又は転動することを可能にする。
【0297】
別の形態では、ヒンジ要素と接触部材のうちの一方の第1の要素は、少なくとも断面プロファイルにおいて、回転軸に対して垂直な平面に沿って、凸形に湾曲した接触部を有し、ヒンジ要素と接触部材のうちの他方の第2の要素は、実質的に平面である、又は実質的に大きい半径を有する中央領域を有する接触面を備え、且つ通常動作中、第1の要素が中央に配置され、実質的に平面である中央領域を実質的に越えては動かないように、十分に広幅であり、且つ外力が発揮されるとき、回転軸に対して垂直な平面の断面プロファイルで見たときに、実質的な中央領域に向かって第1の要素を再度中心に位置決めするように構成される、1つ又は複数の一段高くなった部分を有する。
【0298】
この一段高くなった部分は、一段高くなった縁部の部分でもよい。
【0299】
別法として、中央領域は、通常動作中、又は外力が発揮されるとき、第1の要素を徐々に再度中心に位置決めするように、凹形である。
【0300】
好ましくは、第1の要素は、ヒンジ要素であり、第2の要素は、接触部材である。
【0301】
好ましくは、ヒンジ要素と接触面のうち、回転軸に対して垂直な平面に沿った断面プロファイルにおいて、曲率半径が相対的に小さい、凸形に湾曲した接触面を備える方は、以下の関係を満たす、単位がメートルである半径r、
【数2】
[この文献は図面を表示できません]
及び/又は以下の関係を満たす、単位がメートルである半径rを有し、
【数3】
[この文献は図面を表示できません]
ここでlは、単位がメートルである、接触部材に対するヒンジ要素の回転軸から振動板の最遠位部分までの距離であり、fは、単位がHzである振動板の基本共振周波数であり、Eは、好ましくは50〜140の範囲であり、たとえばEは140、より好ましくは100、なおより好ましくは70、さらに好ましくは50、最も好ましくは40である。
【0302】
一形態では、付勢機構は、磁気機構又は磁気構造を使用して、ヒンジ要素を接触部材の接触面に向かって付勢、又は勢いづかせる。
【0303】
好ましくは、ヒンジ要素は、磁気要素又は磁性体を備え、又はそれから構成される。
【0304】
好ましくは、磁気要素又は磁性体は、振動板に組み込まれる。
【0305】
好ましくは、磁気要素又は磁性体は、振動板本体の端面で振動板に接続される、またそうでない場合はその中に組み込まれる、強磁性スチールシャフトである。
【0306】
好ましくは、シャフトは、実質的に円筒形プロファイルを有する。
【0307】
好ましくは、シャフトのおおよそ円筒形プロファイルは、おおよそ1〜10mmの間の直径である。
【0308】
一形態では、このシャフトの、接触面との物理的接触を生み出す部分は、約0.05mmから0.15mmの間の半径を有する凸形プロファイルを有する。
【0309】
いくつかの実施例では、付勢機構は、ヒンジ要素に接触する、又はそれに強固に連結される第1の磁気要素と、第2の磁気要素も備えてもよく、第1の磁気要素と第2の磁気要素の間の磁力は、使用時にヒンジ要素と接触面の間の安定した物理的接触を保つように、ヒンジ要素を接触面に向かって付勢、又は勢いづかせる。
【0310】
第1の磁気要素は、強磁性流体でもよい。
【0311】
第1の磁気要素は、振動板本体の端部の近くに配置される強磁性流体でもよい。
【0312】
第2の磁気要素は、永久磁石や電磁石でもよい。
【0313】
別法として、第2の磁気要素は、接触部材の接触面に接続される、又はそれに埋め込まれる、強磁性スチール部品でもよい。
【0314】
好ましくは、接触部材は、第1の磁気要素と第2の磁気要素の間に配置される。
【0315】
いくつかの実施例では、付勢機構は、機械的機構を備えて、ヒンジ要素を接触部材の接触面に向かって付勢、又は勢いづかせる。
【0316】
一形態では、付勢機構は、ヒンジ要素を接触面に向かって付勢、又は勢いづかせる、弾性要素又は弾性部材を備える。
【0317】
好ましくは、この弾性要素は、スチール製の板ばねである。
【0318】
別法として、又は追加的に、付勢機構は、引っ張られたゴム製バンド、圧縮されたゴム製ブロック、及びマグネットによって引き寄せられた強磁性流体を備えることができる。
【0319】
好ましくは、ヒンジ接続部は、ヒンジ要素を接触部材に対して所望の作動位置及び物理的位置に配置するための固定構造も備える。
【0320】
一形態では、固定構造は、ヒンジ要素のそれぞれの端部に接続されるピンなどの固定部材、並びに固定部材に接続される一方の端部と接触部材に接続される別の端部とをそれぞれが有する1つ又は複数の紐を備える機械的固定組立体であり、紐の中間の部分は、ヒンジ要素の断面の周りで湾曲するように構成され、それによってヒンジ要素を接触部材に対する所望の作動位置及び物理的位置に保つ。
【0321】
一形態では、固定構造は、ヒンジ要素の端部に直接的又は間接的に固定される一方の端部と、接触部材に接続される別の端部とを有する、1つ又は複数の薄いフレキシブル要素を備える機械的固定組立体であり、この紐の中間の部分は、ヒンジ要素又はヒンジ要素に強固に取り付けられた構成要素の断面の周りで湾曲するように構成され、それによってヒンジ要素を接触部材に対する所望の作動位置及び物理的位置に保つ。
【0322】
好ましくは、この薄いフレキシブル要素は紐であり、最も好ましくはマルチストランドの紐である。
【0323】
好ましくは、この薄いフレキシブル要素は、僅かなクリープを示す。
【0324】
好ましくは、この薄いフレキシブル要素は、高い耐摩耗性を発揮する。
【0325】
好ましくは、この薄いフレキシブル要素は、vectran(商標)繊維などの芳香族ポリエステル繊維である。
【0326】
一形態では、固定構造は、ヒンジ要素の端部に直接的又は間接的に固定される一方の端部と、接触部材に接続される別の端部とを有する、1つ又は複数の紐を備える機械的固定組立体であり、この紐の中間の部分は、ヒンジ要素と接触部材のいずれかの構成要素のうち、それらが接触する位置での側面プロファイルにおいて、より凸形である方の断面の周りで湾曲するように構成され、それによってヒンジ要素を接触部材に対する所望の作動位置及び物理的位置に保つ。
【0327】
好ましくは、この紐が湾曲する半径は、同じ構成要素の接触面と実質的に同じ側面プロファイルである。
【0328】
好ましくは、この紐が湾曲する半径は、同じ構成要素の接触面の側面プロファイルと比較して、すべての位置において、同じ位置での紐の厚さの半分だけわずかに小さい半径である。
【0329】
一形態では、固定構造は、一方の端部をヒンジ要素に、別の端部を接触部材に連結するフレキシブル要素を備える機械的固定組立体であり、接触部材に対するヒンジ要素の回転軸の近くでそれに平行に配置され、その長さに沿ってよじれるという点で弾性であるために十分に薄肉であり、且つヒンジ軸に対して垂直で、接触面に対して平行な方向において十分に広幅であり、その結果、この固定構造は、同じ方向での一方の端部の並進運動という点では比較的非追従的であり、それによって同じ方向においてヒンジ要素が接触面に対して相対的に摺動することを制限する。
【0330】
好ましくは、この薄いフレキシブル要素は、板ばねである。
【0331】
好ましくは、この薄いフレキシブル要素は、薄い固体の帯状板、たとえば金属シムである。
【0332】
好ましくは、フレキシブル要素は、疲労及びクリープに対して耐性がある材料、たとえばスチールやチタンから作られる。
【0333】
好ましくは、ヒンジ組立体は、使用時に、実質的に一定である付勢力を使用して、ヒンジ要素を接触部材の接触面に向かって付勢する。
【0334】
好ましくは、ヒンジ組立体は、振動板に作用する重力の力より大きい、またより好ましくは振動板に作用する重力の力より1.5倍大きい付勢力を使用して、ヒンジ要素を接触部材の接触面に向かって付勢する。
【0335】
好ましくは、付勢力は、振動板の最大励起力と比べて実質的に大きい。
【0336】
好ましくは、付勢力は、トランスデューサの通常動作中に受ける最大励起力の1.5倍より大きく、またより好ましくは2.5倍より大きく、さらに好ましくは4倍より大きい。
【0337】
好ましくは、トランスデューサの通常動作中、振動板に最大励起が加えられるとき、ヒンジ組立体は、十分に大きい付勢力を使用して接触部材の接触面に向かってヒンジ要素を付勢し、その結果、ヒンジ要素と接触面の間で、実質的に非摺動の接触が保たれる。
【0338】
好ましくは、トランスデューサの通常動作中、振動板に最大励起が加えられるとき、特定のヒンジ接続部での付勢力は、ヒンジ要素と接触面の間のずれを引き起こすような方向に作用する反力の成分よりも3倍、又は6倍、又は10倍大きい。
【0339】
好ましくは、ヒンジ要素と接触部材の間の接触力の少なくとも30%、またより好ましくは少なくとも50%、また最も好ましくは少なくとも70%は、付勢機構によって提供される。
【0340】
好ましくは、付勢機構は、十分に追従的であり、その結果、通常動作中、振動板がその可動域の最大範囲を左右に動くとき、付勢機構が与える付勢力は、トランスデューサが停止しているときの平均の力の200%、またより好ましくは150%、またより好ましくは100を超えて変動しない。
【0341】
好ましくは、付勢構造は十分に追従的であり、その結果、ヒンジ接続部は、ある方向においてヒンジ要素に付勢力を与える付勢機構が、結果として生じる反力に対して追従的に適用されるという点で、著しく非対称である。
【0342】
好ましくは、前記反力は、実質的に一定の変位の形で加えられる。
【0343】
好ましくは、前記反力は、接触面を接触部材の主要本体に連結する、接触部材の比較的非追従的な部分によって与えられる。
【0344】
好ましくは、ヒンジ要素は振動板本体に強固に連結され、ヒンジ要素の、接触面のすぐ近くの領域、及びこの領域と振動板の他の部分との間の連結は、付勢機構に比べて非追従的である。
【0345】
いくつかの実施例では、ヒンジ要素に作用する付勢機構の総スティフネスk(ここで「k」はフックの法則のもとで定められるものである)、振動板の前記接触面によって支持される部分の、その回転軸を中心とする回転慣性、及び単位がHz(f)である振動板の基本共振周波数は、以下の式を満たし、
k<C×10,000×(2πf)
2×I
ここでCは、好ましくは200、またより好ましくは130、またより好ましくは100、またより好ましくは60、またより好ましくは40、またより好ましくは20、また最も好ましくは10で与えられる定数である。
【0346】
いくつかの実施例では、付勢機構は十分に追従的であり、その結果、通常動作中、振動板がその平衡変位にあるとき、小さい等しい大きさで逆向きの2つの力が、1対の接触面に、各面に対して1力、これらの面を分離するような方向に垂直に加えられる場合、単に最初の分離を達成するのに必要とされる力を上回って超える、単位がニュートンである力の小さい(好ましくは微小な)増加分(dF)と、ドライバの他の部分の変形から生じ、非接合の構成要素同士の間の局部的な接触領域と関連付けられた、且つその領域での追従性を除く、単位がメートルである、結果として生じるこれらの面での分離の変化(dx)と、振動板の前記接触面によって支持される部分の、その回転軸を中心とする回転慣性(I
S)と、単位がHzである振動板の基本共振周波数(f)との間の関係は、以下の関係を満たし、
【数4】
[この文献は図面を表示できません]
ここでCは、好ましくは200、またより好ましくは130、またより好ましくは100、またより好ましくは60、またより好ましくは40、またより好ましくは20、また最も好ましくは10で与えられる定数である。
【0347】
好ましくは、付勢機構の一部は、トランスデューサ基部機構に強固に連結される。
【0348】
別法として、又は追加的に、振動板は、付勢機構を備える。
【0349】
いくつかの実施例では、振動板をその通常の動きの範囲内で任意の位置に変位させるように一定の励起力が加えられる間、ヒンジ組立体内の、数nのこの種類のヒンジ接続部内の、それぞれのヒンジ要素をその関連付けられた接触面に向かって付勢する、単位がニュートンであるすべての力(F
n)の平均(ΣF
n/n)は、以下の関係を常に満たし、
【数5】
[この文献は図面を表示できません]
ここでDは、好ましくは5に等しい、またより好ましくは15に等しい、またより好ましくは30に等しい、またより好ましくは40に等しい定数である。
【0350】
いくつかの実施例では、付勢機構は、ヒンジ組立体内の、数nのこの種類のヒンジ接続部内の、それぞれのヒンジ要素をその関連付けられた接触面に向かって付勢する、単位がニュートン(Fn)であるすべての力の平均(ΣF
n/n)を加え、これは、振動板をその通常の動きの範囲内で任意の位置に変位させるように一定の励起力が加えられるとき、以下の関係を常に満たし、
【数6】
[この文献は図面を表示できません]
ここでDは、好ましくは200に等しい、またより好ましくは150に等しい、またより好ましくは100に等しい、また最も好ましくは80に等しい定数である。
【0351】
いくつかの実施例では、付勢機構は、ヒンジ要素を接触部材に付勢する、以下の関係を満たす合力Fを加え、
F>D×(2πf
l)
2×I
s
ここでI
S(単位はkg.m
2)は振動板のヒンジ要素によって指示される部分の回転軸を中心とする回転慣性、f
l(単位はHz)はFROの下限、Dは好ましくは5に等しい、またより好ましくは15に等しい、またより好ましくは30に等しい、またより好ましくは40に等しい、またより好ましくは50に等しい、またより好ましくは60に等しい、また最も好ましくは70に等しい定数である。
【0352】
好ましくは、通常動作中、接触部材に対するヒンジ要素のすべての回転角で、この関係は常に満たされる。
【0353】
好ましくは、ヒンジ組立体は、励起力が振動板に加えられないとき、振動板を所望のニュートラル回転位置に復元するための復元機構をさらに備える。
【0354】
一形態では、復元機構は、振動板本体の端部に取り付けられるトーション・バーを備える。この構成では、トーション・バーは、ねじれて屈曲する中間セクションと、振動板及びトランスデューサ基部構造に接続される端部セクションとを備える。
【0355】
好ましくは、これらのセクションの少なくとも一方の端部は、トーション・バーの主軸方向の並進追従性を提供する。
【0356】
好ましくは、端部セクションの片方、またより好ましくは両方は、中間セクションの長さに対して垂直な方向における回転可撓性を組み込む。
【0357】
好ましくは、並進可撓性及び回転可撓性は、トーション・バーの片方又は両方の端部の、その平面がトーション・バーの主軸に対して実質的に垂直なほうに向けられる、1つ又は複数の実質的に平面で薄い壁部によって提供される。
【0358】
好ましくは、両方の端部セクションは、トーション・バーの主軸に対して垂直な方向における並進運動の点では比較的非追従的である。
【0359】
いくつかの実施例では、オーディオ・トランスデューサは、コイルとコイルに連結する導電性ワイヤとを含む励起機構をさらに備え、この導電性ワイヤは、トーション・バーの中間セクションの表面に取り付けられる。
【0360】
好ましくは、トーション・バーに対して平行に延び、トランスデューサの通常動作中、トーション・バーがそれを中心に回転する軸の近くに、このワイヤが取り付けられる。
【0361】
別の形態では、復元機構は、回転軸の近くに配置される、シリコンやゴムなどの追従的要素を備える。
【0362】
好ましくは、追従的要素は、細い中間セクションと、広げられた区域を有して安定的な連結に役立つ端部セクションとを備える。
【0363】
別の形態では、復元力の一部又はすべては、接触面のジオメトリ、並びに付勢構造によって加えられる付勢力の位置、方向及び強さを通して、ヒンジ接続部内で提供される。
【0364】
別の形態では、この中心に位置決めする力のいくらかは、磁気要素によって与えられる。
【0365】
一形態では、ヒンジ組立体の1つ又は複数の構成要素は、ヤング率が6GPaより大きい、またより好ましくは10GPaより大きい材料から作られる。
【0366】
別の態様では、本発明は概して、
動作中、実質的に剛性のままである振動板本体を有する振動板と、
使用時に、振動板を作動可能に支持するように構成され、且つ1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備える、ヒンジ・システムであって、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材が、接触面を有する、ヒンジ・システムとを備え、
動作中、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら、関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体が、ヒンジ要素を接触面に向かって付勢し、
接触面と隣接した領域にある、ヒンジ要素と接触部材の両方の少なくとも一部が、剛性の材料から作られる、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0367】
一実施例では、実質的に安定した物理的接触は、実質的に安定した力を有し、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触面との間の接触領域において、ヒンジ要素と接触部材のうちの一方は、振動板に強固に効果的に連結され、他方は、トランスデューサ基部構造に強固に効果的に連結される。好ましくは、ヒンジ組立体は、それぞれの接続部のヒンジ要素に、関連付けられた接触面に向かって追従的に付勢力を加えるように構成される。好ましくは、ヒンジ組立体は、それぞれの接続部のヒンジ要素に、関連付けられた接触面に向かって追従的に付勢力を加えるように構成される。
【0368】
好ましくは、37番目、又は38番目の態様において、ヒンジ要素と接触部材の両方の、接触面と隣接した領域にある部分は、ヤング率が6GPaより大きい、より好ましくは10GPaより大きい材料から作られる。
【0369】
好ましくは、振動板本体を基部構造に連結し、実質的に剛性の構成要素から構成される少なくとも1つの経路が存在し、それにより、ある剛性の構成要素が、別の構成要素に強固に連結されることなく接触する場所のすぐ近くでは、すべての材料は、6GPaより大きい、またさらに好ましくは10GPaより大きいヤング率を有する。
【0370】
より好ましくは、ヒンジ要素及び接触部材は、ヤング率が6GPaより大きい、またさらに好ましくは10GPaより大きい材料、たとえばアルミニウム、スチール、チタン、タングステン、セラミックなどであるが、これらに限定はされない材料から作られる。
【0371】
好ましくは、ヒンジ要素及び/又は接触面は、薄いコーティング、たとえばセラミックコーティングや陽極酸化コーティングを備える。
【0372】
好ましくは、接触位置のヒンジ要素の表面又は接触面のどちらか一方又は両方は、非金属の材料から構成される。
【0373】
好ましくは、接触位置のヒンジ要素と接触面の両方は、非金属の材料から構成される。
【0374】
好ましくは、接触位置のヒンジ要素と接触面の両方は、耐食性の材料から構成される。
【0375】
好ましくは、接触位置のヒンジ要素と接触面の両方は、フレッティング関連腐食への耐性がある材料から構成される。
【0376】
好ましくは、ヒンジ要素は、振動板の回転軸と実質的に同一直線上にある軸を中心に、接触面に対して転動する。
【0377】
好ましくは、ヒンジ組立体は、1自由度の振動板の動きを容易にするように構成される。
【0378】
一構成では、ヒンジ組立体は、少なくとも2方向における/少なくとも2つの実質的に直交する軸に沿った並進運動に対して、振動板を強固に拘束する。
【0379】
一構成では、ヒンジ組立体は、並進運動と回転運動の組合せから構成される振動板の動きを可能にする。
【0380】
好ましい構成では、ヒンジ組立体は、実質的に単一の軸を中心に回転する振動板の動きを可能にする。
【0381】
好ましくは、ヒンジ要素の肉厚は、接触位置でのヒンジ要素及び接触部材の接触面の半径のうち、側面プロファイルがより凸形の方の接触面の半径の1/8、又は1/4又は1/2より厚く、最も好ましくはその半径より厚い。
【0382】
好ましくは、接触部材の肉厚は、接触位置でのヒンジ要素及び接触部材の接触面の半径のうち、側面プロファイルがより凸形の方の接触面の半径の1/8、又は1/4又は1/2より厚く、最も好ましくはその半径より厚い。
【0383】
好ましくは、並進負荷が、ヒンジ接続部を介して振動板からトランスデューサ基部構造まで通過することができる、少なくとも1つの実質的に非追従的な経路が存在する。
【0384】
好ましくは、振動板は、電気及び運動を変換する変換機構の力伝達構成要素を組み込み、且つそれに強固に接続される。
【0385】
別の態様では、本発明は概して、
動作中、実質的に剛性のままである振動板本体を有する振動板と、
力伝達構成要素を有する、電気及び/又は運動を変換する変換機構であって、振動板が、力伝達構成要素を組み込み、且つ力伝達構成要素に強固に接続される、変換機構と、
使用時に、振動板を作動可能に支持するように構成され、且つ1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備える、ヒンジ・システムであって、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材が、接触面を有する、ヒンジ・システムとを備え、
動作中、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら、関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体が、接触面に向かってヒンジ要素を付勢する、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0386】
一実施例では、実質的に安定した物理的接触は、実質的に安定した力を有し、それぞれのヒンジ要素と、関連付けられた接触面との間の接触領域において、ヒンジ要素と接触部材のうちの一方は、振動板に強固に効果的に連結され、他方は、トランスデューサ基部構造に強固に効果的に連結される。好ましくは、ヒンジ組立体は、それぞれの接続部のヒンジ要素に、関連付けられた接触面に向かって追従的に付勢力を加えるように構成される。好ましくは、ヒンジ組立体は、それぞれの接続部のヒンジ要素に、関連付けられた接触面に向かって追従的に付勢力を加えるように構成される。
【0387】
別の態様では、本発明は概して、
動作中、実質的に剛性のままであり、振動板本体の最大長さの約11%より大きい最大厚さを有する振動板本体を有する振動板と、
使用時に、振動板を作動可能に支持するように構成され、且つ1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備える、ヒンジ・システムであって、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材が、接触面を有する、ヒンジ・システムとを備え、
動作中、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら、関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体が、接触面に向かってヒンジ要素を付勢する、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0388】
ヒンジ・システムを含むオーディオ・トランスデューサに関連する上の態様のうちの任意の1つにおいて、一形態では、ヒンジ組立体は、振動板の幅の左右に配置される1対のヒンジ接続部を備える。
【0389】
別法として、ヒンジ組立体は、少なくとも1対のヒンジ接続部が振動板の幅の左右に配置される、3つ以上のヒンジ接続部を備える。
【0390】
一形態では、複数のヒンジ組立体は、動作中、振動板を作動可能に支持するように構成される。
【0391】
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、少なくとも1つのヒンジ組立体を有する振動板サスペンションをさらに備え、この振動板サスペンションは、動作中、振動板を作動可能に支持するように構成される。
【0392】
好ましくは、振動板サスペンションは、単一のヒンジ組立体から構成されて、振動板組立体の運動を可能にする。
【0393】
別法として、振動板サスペンションは、2つ以上のヒンジ組立体を備える。
【0394】
#409一形態では、振動板サスペンションは、4バー・リンクを備え、ヒンジ組立体は、4バー・リンクのそれぞれの隅部に配置される。
【0395】
好ましくは、それぞれの振動板は、それぞれが著しく異なる回転軸を有する、2つ以下のヒンジ接続部に連結される。
【0396】
一構成では、ヒンジ要素は、磁力によって接触面に向かって付勢、又は勢いづかされる。
【0397】
一構成では、ヒンジ要素は、振動板本体の端面に取り付けられる、又はその中に、若しくはそれに沿って埋め込まれる、強磁性スチールシャフトである。ヒンジ接続部は、ヒンジ要素を接触面に向かって引き寄せるマグネットを備える。
【0398】
一構成では、ヒンジ要素は、機械的付勢機構によって接触面に向かって付勢、又は勢いづかされる。
【0399】
一形態の構成では、ヒンジ要素は、振動板本体の端面に、又はそれに沿って取り付けられ、又は埋め込まれる、振動板基部フレームである。
【0400】
機械的付勢構造は、プレテンションがかけられたばね部材を備えてもよい。
【0401】
好ましくは、ヒンジ要素に加えられる付勢力は、接触面に対する振動板の回転軸とおおよそ同一直線上にある縁部で加えられる。
【0402】
好ましくは、ヒンジ要素と接触面の間に加えられる付勢力は、回転軸に対して実質的に平行であり、且つヒンジ要素の接触する面と接触面の接触する面のうち、回転軸に対して垂直な平面における断面プロファイルでみたときにより凸形である接触する面側の接触半径の中心近くを通る線軸と実質的に同一直線上である縁部で加えられる。
【0403】
好ましくは、ヒンジ要素と接触面の間に加えられる付勢力は、回転軸に対して平行であり、且つヒンジ要素の接触する面と接触面の接触する面のうち、回転軸に対して垂直な平面における断面プロファイルでみたときにより凸形である接触する面側の接触半径の中心を通る線と同一直線上である縁部で加えられる。
【0404】
好ましくは、ヒンジ要素に加えられる付勢力は、接触面に対する振動板のおおよその回転軸上にある位置で加えられる。
【0405】
好ましくは、付勢力は、回転軸に対しておおよそ平行であり、ヒンジ要素と接触面のうち、回転軸に対して垂直な平面における断面プロファイルでみたときにより凸形である面側の半径のおおよその中心を通る軸で加えられる。
【0406】
好ましくは、付勢力は、振動板の可動域の最大範囲全体にわたり、この位置の近くで加えられる。
【0407】
好ましくは、通常動作中は常に、付勢力の位置及び方向は、回転軸に対して平行に向いてヒンジ要素と接触部材の間の接点を通る仮想線を通るものである。
【0408】
別の態様では、本発明は概して、ヒンジ・システムを含む上の態様のうちの任意の1つに従うオーディオ・トランスデューサであって、
振動板を中に、又は間に収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備えるハウジングをさらに備え、
振動板が、ハウジングと物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を有する外周部を備える、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0409】
好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは、少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは、少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
【0410】
いくつかの実施例では、トランスデューサは、振動板の1つ又は複数の周辺領域とハウジング内部との間に強磁性流体を有する。好ましくは、強磁性流体は、振動板の冠状面の方向において、振動板にかなりの支持を与える。
【0411】
好ましくは、振動板は、本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体の面又はその近傍で受ける圧縮−引張応力に抵抗する、垂直応力補強材を備える。
【0412】
別の態様では、本発明は概して、ヒンジ・システムを含む上の態様のうちの任意の1つに従うオーディオ・トランスデューサであって、振動板が、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体のこの面又はその近傍で受ける圧縮−引張応力に抵抗する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、前記主面のうちの少なくとも1つに対してある角度で向けられ、動作中に本体が受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材とを備える、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0413】
好ましくは、上の2つの態様のうちのいずれか1つにおいて、振動板本体と関連付けられた質量分布又は垂直応力補強材と関連付けられた質量分布又はその両方は、振動板が、振動板の1つ又は複数の比較的質量の大きい領域の質量と比べて、振動板の1つ又は複数の質量の小さい領域では比較的小さい質量を有するものである。
【0414】
好ましくは、振動板本体は、振動板の質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域で比較的小さい質量を有する。好ましくは、振動板の厚さは、質量中心から遠位な周辺部に向かって減少する。
【0415】
別法として、又は追加的に、垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、組み立てられた振動板の質量中心位置から遠位である関連付けられた主面の1つ又は複数の周辺縁部領域にあるものである。
【0416】
別の態様では、本発明は概して、ヒンジ・システムを含む上の態様のうちの任意の1つを組み込み、オーディオ・トランスデューサの振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間に配置されて、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、デカップリング・マウンティング・システムをさらに備える、オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0417】
好ましくは、オーディオ・デバイスのこの少なくとも1つの他の部分は、このデバイスのオーディオ・トランスデューサの振動板の別の部分ではない。好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、トランスデューサ基部構造とある他の部分との間に接続される。好ましくは、このある他の部分はトランスデューサ・ハウジングである。
【0418】
別の態様では本発明は、上の態様の任意の1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサを組み込み、独立したオーディオ信号の再生が可能な2つ以上の異なるオーディオ・チャネルを提供する、2つ以上の電気音響スピーカを備えるオーディオ・デバイスで構成され得る。好ましくは、このオーディオ・デバイスは、使用者の耳の約10cm以内でのオーディオ用になされた個人用オーディオ・デバイスである。
【0419】
別の態様では、本発明は、前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちいずれか1つの、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサとその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを組み込む、個人用オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0420】
別の態様では、本発明は、それぞれの耳又はその近位で使用者によって装着されるように構成された1対のインタフェース・デバイスを備える個人用オーディオ・デバイスであって、それぞれのインタフェース・デバイスが、前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちいずれか1つの、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサとその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを備える、個人用オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0421】
別の態様では、本発明は、それぞれの耳又はその周りで装着されるように構成された1対のヘッドホン・インタフェース・デバイスを備えるヘッドホン装置であって、それぞれのインタフェース・デバイスが、前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちいずれか1つの、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサとその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを備える、ヘッドホン装置で構成されるといえる。
【0422】
別の態様では、本発明は、使用者の耳の外耳道又は甲介内に装着されるように構成された1対のイヤホン・インタフェースを備えるイヤホン装置であって、それぞれのイヤホン・インタフェースが、前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちのいずれか1つの、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサとその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを備える、イヤホン装置で構成されるといえる。
【0423】
別の態様では、本発明は、オーディオ・トランスデューサが、音響電気トランスデューサである、上の態様の任意の1つ、並びに関連する機能、構成及び実施例のオーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0424】
別の態様では、本発明は概して、
振動板と、
トランスデューサ基部構造と、
少なくとも1つのヒンジ接続部とを備え、それぞれのヒンジ接続部が、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部が、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素が、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備える、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0425】
好ましくは、それぞれのヒンジ接続部に関して、それぞれのヒンジ要素は、回転軸を中心にした振動板の回転運動を容易にするために、この要素の長さと比較して比較的薄い。
【0426】
一形態では、振動板は、振動板を支持するための振動板基部フレームを備え、振動板は、振動板基部フレームによって、振動板の端部に沿って、又はその近くで支持され、振動板基部フレームは、それぞれのヒンジ接続部のヒンジ要素の片方又は両方に直接取り付けられる。
【0427】
好ましくは、振動板基部フレームは、振動板とそれぞれのヒンジ接続部の間の剛性連結を容易にする。
【0428】
一形態では、振動板基部フレームは、1つ又は複数のコイル補剛パネル、1つ又は複数の側方円弧状補剛材トライアングル、上側支柱プレート及び下側基部プレートを備える。
【0429】
いくつかの実施例では、振動板は、振動板基部フレームを備えず、振動板は、それぞれのヒンジ接続部の片方又は両方のヒンジ要素に直接取り付けられる。
【0430】
好ましくは、振動板からそれぞれのヒンジ接続部の片方又は両方のヒンジ要素までの距離は、回転軸から振動板の最遠位周辺部までの最大距離の半分より短く、またより好ましくはこの最大距離の1/3より短く、またより好ましくはこの最大距離の1/4より短く、またより好ましくはこの最大距離の1/8より短く、また最も好ましくはこの最大距離の1/16より短い。
【0431】
好ましくは、1つ又は複数のヒンジ接続部は、振動板の少なくとも1つの面又は周辺部に連結され、それぞれの連結部の少なくとも1つの全体寸法サイズは、関連付けられた面又は周辺部の対応する寸法の1/6より大きく、またより好ましくは1/4より大きく、また最も好ましくは、1/2より大きい。
【0432】
別の態様では、本発明は概して、
振動板と、
トランスデューサ基部構造と、
少なくとも1つのヒンジ接続部とを備え、それぞれのヒンジ接続部が、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部が、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素が、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備え、
振動板からそれぞれのヒンジ接続部の片方又は両方のヒンジ要素までの距離が、回転軸から振動板の最遠位周辺部までの最大距離の半分より短い、オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。より好ましくは、この片方又は両方のヒンジ要素までの距離は、この最大距離の1/3より短く、またより好ましくは、この最大距離の1/4より短く、またより好ましくは、この最大距離の1/8より短く、また最も好ましくはこの最大距離の1/16より短い。
【0433】
別の態様では、本発明は概して、
振動板と、
トランスデューサ基部構造と、
少なくとも1つのヒンジ接続部とを備え、それぞれのヒンジ接続部が、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部が、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素が、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備え、1つ又は複数のヒンジ接続部が、振動板の少なくとも1つの面又は周辺部に連結され、それぞれの連結部の少なくとも1つの全体寸法サイズが、関連付けられた面又は周辺部の対応する寸法の1/6より大きい、オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。より好ましくは、この連結部の寸法サイズは、関連付けられた面又は周辺部の対応する寸法サイズの1/4より大きく、また最も好ましくは1/2より大きい。
【0434】
好ましくは、それぞれの連結部の2つの実質的に直交する寸法サイズは、関連付けられた表面又は面の対応する直交する寸法サイズの1/16より大きく、より好ましくはその1/4より大きく、最も好ましくはその1/2より大きい。
【0435】
以下の条項は、少なくとも前の3つの態様に適用される。
【0436】
#429d好ましくは、振動板の冠状面及びヒンジ軸に対して垂直な方向の、振動とそれぞれのヒンジ接続部の間の連結部の全体の厚さは[これはマルチ・ブレードに有効か?]、この1つ又は複数の連結部に沿ったあらゆる位置での、同じ方向の振動板の最大寸法の1/6より大きく、またより好ましくは1/4より大きく、また最も好ましくは1/2より大きい。
【0437】
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、それぞれのヒンジ要素は、ねじれに対して実質的に剛性である。
【0438】
代替の実施例では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、ねじれに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、それぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的に剛性である。
【0439】
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ要素は、おおよそ、又は実質的に平面のプロファイル、たとえば平坦なシートの形態を備える。
【0440】
いくつかの実施例では、それぞれの接続部の1対のフレキシブル・ヒンジ要素同士は、共通の縁部に沿って連結、又は交差して、おおよそL形の断面を形成する。いくつかの他の構成では、それぞれのヒンジ接続部の1対のフレキシブル・ヒンジ要素同士は、中央領域に沿って交差して回転軸を形成し、これらのヒンジ要素は、おおよそX形の断面を形成する(すなわち、これらのヒンジ要素は、クロスばねの構成を形成する)。いくつかの他の構成では、それぞれのヒンジ接続部のフレキシブル・ヒンジ要素同士は、隔てられて、異なる方向に延在する。
【0441】
一形態では、回転軸は、それぞれのヒンジ接続部のヒンジ要素同士が交差する点とおおよそ同一直線上にある。
【0442】
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、横方向の、この要素の長手方向の長さに沿った湾曲部を備える。ヒンジ要素は、わずかに曲げられて、その結果、動作中に実質的に平面の状態に屈曲することができる。
【0443】
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ接続部の1対のフレキシブル・ヒンジ要素は、20から160度の間、またより好ましくは30から150度の間、またさらに好ましくは50から130度の間、またいっそう好ましくは70から110度の間の角度で、互いに対して傾けられる。好ましくは、1対のフレキシブル・ヒンジ要素同士は、互いに対して実質的に直交する。
【0444】
好ましくは、それぞれのヒンジ接続部の一方のフレキシブル・ヒンジ要素は、回転軸に対して実質的に垂直である第1の方向に著しく延びる。
【0445】
好ましくは、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのヒンジ要素は、回転軸に対して垂直な平面における断面の点で、ヒンジ要素長さの、通常動作中に著しく変形する部分に沿って算出される平均断面積の平方根の3倍より大きい、またより好ましくは5倍より大きい、また最も好ましくは6倍より大きい、幅又は高さの平均寸法を有する。
【0446】
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ接続部の片方又は両方のヒンジ要素は、薄いシートであり、それぞれの薄いシートは、厚さ、幅及び長さを有し、ヒンジ要素の厚さは、その長さの約1/4未満であり、またより好ましくはその長さの約1/8未満であり、またさらに好ましくはその長さの約1/16未満であり、またいっそう好ましくはその長さの約1/35未満であり、またさらに好ましくはその長さの約1/50未満であり、また最も好ましくはその長さの約1/70未満である。
【0447】
いくつかの実施例では、ばね部材の厚さは、その幅の約1/4未満、又はその幅の約1/8未満、また好ましくはその幅の約1/16未満、またより好ましくはその幅の約1/24未満、またさらに好ましくはその幅の約1/45未満、またいっそう好ましくはその幅の約1/60未満、また最も好ましくはその幅の約1/70未満である。
【0448】
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのヒンジ要素は、その長さ及び幅の少なくとも大部分にわたり、実質的に均一な厚さを有する。
【0449】
いくつかの構成では、それぞれのヒンジ接続部のヒンジ要素は、一様でない厚さを有し、このヒンジ要素の厚さは、振動板に近位な縁部に向かって増加する。別法として、又は追加的に、それぞれのヒンジ接続部のヒンジ要素は、一様でない厚さを有し、このヒンジ要素の厚さは、トランスデューサ基部構造に近位な縁部に向かって増加する。
【0450】
一形態では、それぞれのヒンジ接続部のヒンジ要素の片方又は両方の厚さは、振動板又はトランスデューサ基部構造から最遠位であるヒンジ要素の端部で、又はその近傍で増加する。
【0451】
この厚さの増加は、段階的でも、先細りにされてもよい。
【0452】
別の態様では、本発明は概して、
振動板と、
トランスデューサ基部構造と、
少なくとも1つのヒンジ接続部とを備え、それぞれのヒンジ接続部が、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部が、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素が、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備え、それぞれのヒンジ接続部の片方又は両方のヒンジ要素が、振動板又はトランスデューサ基部構造と密に結び付けられた要素の縁部又は端部に向かって増加する厚さを有する、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0453】
この厚さの増加は、段階的でも、先細りにされてもよい。
【0454】
以下の条項は、少なくとも前の4つの態様に適用される。
【0455】
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのヒンジ要素は、振動板又はトランスデューサ基部構造に強固に連結するように構成された端部でフランジがつけられる。
【0456】
ヒンジ要素は、一様でない幅を有してもよく、この幅は、振動板及び/又はトランスデューサ基部構造と密に結び付けられた縁部/端部で、又はそれに向かって増加してもよい。またこの幅は、振動板又はトランスデューサ基部構造から遠位な端部/縁部で、又はそれに向かって増加してもよい。
【0457】
この幅の増加は、段階的でも、先細りにされてもよい。
【0458】
いくつかの実施例では、オーディオ・トランスデューサは、2つのヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備える。好ましくは、それぞれのヒンジ接続部は、振動板の左右に配置される。
【0459】
好ましくは、それぞれのヒンジ接続部は、振動板の正中矢状面からの距離が、振動板本体の幅の少なくとも0.2倍であるところに配置される。
【0460】
好ましくは、第1のヒンジ接続部は、振動板の端面の第1の隅部領域に近位に配置され、第2のヒンジ接続部は、この端面の、対向する第2の隅部領域に近位に配置され、これらのヒンジ接続部は、実質的に同一直線上にある。
【0461】
振動板は、エポキシなどの接着剤によって、又は溶接によって、又は留め具を使用したクランプによって、又は多数の他の方法によって、それぞれのヒンジ接続部に連結され得る。
【0462】
好ましい実施例では、それぞれの接続部のそれぞれのヒンジ要素は、ヤング率がたとえば8GPaより大きい材料から作られる。この材料は、金属やセラミックや、このようなスティフネスを有する任意の他の材料でもよい。
【0463】
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ要素は、ヤング率が20GPaより大きい材料から作られる。
【0464】
一形態では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのヒンジ要素は、金属やセラミックなどの連続的な材料から作られる。たとえば、ヒンジ要素は、高張力スチール合金、タングステン合金、チタン合金、又は「Liquidmetal」や「Vitreloy」などのアモルファス金属合金で作られてもよい。
【0465】
別の形態では、ヒンジ要素は、プラスチック強化炭素繊維などの複合材料から作られる。
【0466】
いくつかの構成では、振動板の振動板本体は、実質的に厚い。好ましくは、振動板本体は、振動板本体の最大長さの11%より大きい、またより好ましくは、振動板本体の最大長さの14%より大きい最大厚さを有する。
【0467】
別の態様では、本発明は概して、
振動板本体を有する振動板と、
トランスデューサ基部構造と、
少なくとも1つのヒンジ接続部とを備え、それぞれのヒンジ接続部が、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部が、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素が、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備え、振動板の振動板本体が、実質的に厚い、オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0468】
好ましくは、振動板本体は、回転軸から振動板本体の対向する遠位周辺部までのその長さの15%より大きい最大厚さを有する。
【0469】
以下の条項は、少なくとも前の5つの態様に適用される。
【0470】
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、変換機構をさらに備える。
【0471】
一形態では、オーディオ・トランスデューサは、スピーカ・ドライバである。
【0472】
一形態では、オーディオ・トランスデューサは、マイクロホンである。
【0473】
一形態では、変換機構は、動電変換機構、又は圧電変換機構、又は磁歪変換機構、又は任意の他の適当な変換機構を使用する。
【0474】
一形態では、変換機構は、コイル巻線を備える。好ましくは、コイル巻線は、振動板に接続される。好ましくは、コイル巻線は、振動板のすぐ近くにあるか、それに直接取り付けられる。
【0475】
好ましくは、変換機構は、振動板のすぐ近くにあるか、それに直接接続される。
【0476】
一形態では、変換機構の力伝達構成要素は、振動板に接続される。
【0477】
一形態では、力伝達構成要素は、ずんぐりしたジオメトリを有する連結構造によって振動板に接続される。
【0478】
好ましくは、この連結構造は、8GPaより大きいヤング率を有する。
【0479】
一形態では、変換機構は、マグネット、外側ポールピース及び内側ポールピースを備える磁気回路を備える。
【0480】
一構成では、振動板に取り付けられるコイル巻線は、磁気回路内の外側ポールピースと内側ポールピースの間の間隙に配置される。
【0481】
一形態では、外側ポールピースと内側ポールピースの両方は、スチールで作られる。
【0482】
一形態では、マグネットは、ネオジムで作られる。
【0483】
一形態では、コイル巻線は、エポキシ系接着剤などの接着剤を使用して、振動板基部フレームに直接取り付けられる。
【0484】
一形態では、トランスデューサ基部構造は、振動板及び磁気回路を支持するためのブロックを備える。
【0485】
好ましくは、トランスデューサ基部構造は、厚く、ずんぐりしたジオメトリを有する。
【0486】
好ましくは、トランスデューサ基部構造は、振動板の質量よりも大きい質量を有する。
【0487】
いくつかの実施例では、トランスデューサ基部構造は、共振に対する抵抗を改善するために、金属などの大きい比弾性率を有する材料、たとえばアルミニウムやマグネシウムであるがそれらに限定されない金属、又はガラスなどのセラミックから作られてもよい。
【0488】
好ましくは、トランスデューサ基部構造は、ヤング率が8GPaより大きい、又は20GPaより大きい構成要素を備える。
【0489】
トランスデューサ基部構造は、エポキシやシアノアクリレートなどの接着剤によって、留め具を使用することによって、はんだ付けによって、溶接によって、又は任意の多数の他の方法によって、それぞれのヒンジ接続部に連結され得る。
【0490】
一構成では、オーディオ・トランスデューサは、振動板ハウジングをさらに備え、トランスデューサ基部構造は、振動板ハウジングに強固に取り付けられる。
【0491】
一形態では、振動板ハウジングは、ハウジングの1つ又は複数の壁部に、グリル(grill)を備える。一形態では、グリルは、スタンプされ、プレスされたアルミニウムで作られてもよい。
【0492】
一形態では、振動板ハウジングは、1つ又は複数の壁部に、1つ又は複数の補剛材を備えてもよい。一形態では、この補剛材も、スタンプされ、プレスされたアルミニウムから作られてもよい。
【0493】
一形態では、補剛材は、振動板がハウジング内に配置された後、振動板の近くの壁部又は壁部の一部に配置され得る。
【0494】
一形態では、トランスデューサ基部構造は、粘着剤又は接着剤によって、振動板ハウジングの床部に接続される。
【0495】
一形態では、振動板ハウジングの壁部は、障壁又はバッフルとして作用して、放射音がキャンセルされるのを軽減する。
【0496】
いくつかの実施例では、振動板ハウジングは、共振に対する抵抗を改善するために、金属などの大きい比弾性率を有する材料、たとえばアルミニウムやマグネシウムであるがそれらに限定されない金属、又はガラスなどのセラミックから作られてもよい。
【0497】
別の構成では、オーディオ・トランスデューサは、振動板ハウジングに強固に取り付けられるトランスデューサ基部構造を備えず、オーディオ・トランスデューサは、デカップリング・マウンティング・システムを介してトランスデューサ・ハウジングに収容される。
【0498】
いくつかの実施例では、オーディオ・トランスデューサは、中に振動板を収容するためのハウジングをさらに備え、振動板本体の外周部は、実質的にハウジングの内部と物理的に連結しない。好ましくは、振動板本体の周辺部とハウジングの内部の間に空気間隙が存在する。
【0499】
好ましくは、空気間隙のサイズは、振動板本体の長さの1/20未満である。
【0500】
好ましくは、空気間隙のサイズは、1mm未満である。
【0501】
好ましくは、振動板本体は、周辺部の長さの少なくとも20パーセントに沿って、またより好ましくは周辺部の長さの少なくとも50パーセントに沿って、またさらに好ましくは周辺部の長さの少なくとも80パーセントに沿って、また最も好ましくは、周辺部全体に沿って、ハウジングの内部と物理的に接触又は連結しない外周部を備える。
【0502】
別の態様では、本発明は概して、
振動板本体を有する振動板と、
トランスデューサ基部構造と、
少なくとも1つのヒンジ接続部とを備え、それぞれのヒンジ接続部が、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部が、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素が、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備え、振動板本体の外周部が、ハウジングの内部と実質的に物理的に連結しない、オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0503】
好ましくは、振動板本体は、周辺部の長さの少なくとも20パーセントに沿って、またより好ましくは周辺部の長さの少なくとも50パーセントに沿って、またさらに好ましくは周辺部の長さの少なくとも80パーセントに沿って、また最も好ましくは周辺部全体に沿って、ハウジングの内部と物理的に接触又は連結しない外周部を備える。
【0504】
いくつかの実施例では、振動板本体の周辺部とハウジングの内部の間に空気間隙が存在する。
【0505】
いくつかの実施例では、空気間隙のサイズは、振動板本体の長さの1/20未満である。
【0506】
好ましくは、空気間隙のサイズは、1mm未満である。
【0507】
いくつかの実施例では、トランスデューサは、振動板の1つ又は複数の周辺領域とハウジング内部との間に強磁性流体を有する。好ましくは、強磁性流体は、振動板の冠状面の方向において、振動板にかなりの支持を与える。
【0508】
別の態様では、本発明は概して、
振動板本体を有する振動板と、
振動板本体をトランスデューサの基部に対して回転可能に支持するように構成され、少なくとも1つのねじれ部材を備え、且つ振動板に回転軸を与える、ヒンジ組立体とを備え、
それぞれのねじれ部材が、回転軸に対して平行、且つすぐ近くに延びるように配置され、ねじれ部材が、長さ、幅及び高さを有し、ねじれ部材の幅及び高さが、振動板の、回転軸から振動板の最遠位周辺部までの長さの3%より大きい、
オーディオ・トランスデューサであるものである。
【0509】
好ましくは、ねじれ部材の幅及び/又は長さは、振動板の、回転軸から振動板の最遠位周辺部までの長さの4%より大きい。
【0510】
好ましくは、ねじればね部材は、このねじればね部材長さの、通常動作中に著しく変形する部分に沿って算出される(強さにあまり寄与しない接着剤及びワイヤを除く)平均断面積の平方根の1.5倍より大きい、またより好ましくはこのばね長さの、通常動作中に著しく変形する部分に沿って算出される平均断面積の平方根の2倍より大きい、またより好ましくは2.5倍より大きい、回転軸に対して垂直な方向の平均寸法を有する。
【0511】
好ましくは、少なくとも1つ又は複数のねじればね部材は、回転軸に、又はその近くにマウントされ、振動板が、回転軸に対して垂直な任意の方向において単なる小さい並進運動を受けるとき、組み合わせて、復元力の少なくとも50%を直接的に提供する。
【0512】
別の態様では、本発明は概して、
振動板本体を有する振動板と、
トランスデューサ基部構造と、
その場(in situ)のトランスデューサ基部構造に対して振動板を作動可能且つ回転可能に支持する、少なくとも1つのヒンジ接続部とを備え、それぞれのヒンジ接続部が、弾性部材の長さ及び/又は幅に比べて比較的小さい厚さを有する弾性部材を有し、弾性部材が、振動板に強固に連結される第1の端部と、トランスデューサ基部構造に強固に連結される第2の端部とを有し、この部材の第1の端部と第2の端部の両方の厚さ及び/又は幅が、弾性部材の中間中央領域から離れて延びるにつれて大きくなる、
オーディオ・トランスデューサであるものである。
【0513】
好ましくは、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれの弾性部材は、互いに対して傾けられた1対のフレキシブル・ヒンジ要素を備える。好ましくは、これらのヒンジ要素は、互いに対して実質的に直交して傾けられる。
【0514】
好ましい構成では、それぞれの接続部の一方のフレキシブル・ヒンジ要素は、回転軸に対して実質的に垂直な方向に延びる。別法として、又は追加的に、それぞれの接続部の一方のフレキシブル・ヒンジ要素は、回転軸に対して実質的に平行な方向に延びる。
【0515】
別の態様では、本発明は概して、
振動板と、ヒンジ組立体と、トランスデューサ基部構造とを備え、
振動板が、使用時にヒンジ組立体によって、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して回転可能に支持され、
ヒンジ組立体が、少なくとも1つのヒンジ接続部を備え、それぞれのヒンジ接続部が、第1のフレキシブル弾性要素及び第2のフレキシブル弾性要素を有し、
第1のフレキシブル弾性ヒンジ要素が、一方の端部でトランスデューサ基部構造に強固に接続され、対向する端部で振動板に強固に接続され、
第2のフレキシブル弾性ヒンジ要素が、一方の端部でトランスデューサ基部構造に強固に接続され、対向する端部で振動板に強固に接続され、
第1のヒンジ要素及び第2のヒンジ要素のそれぞれが、トランスデューサ基部構造と振動板の間の、この要素の長手方向の長さと比べて実質的に小さい厚さを有し、この厚さが、回転軸に対して実質的に垂直であって、回転軸を中心にする振動板の追従的な回転運動を容易にする寸法であり、
それぞれのヒンジ接続部の第1のヒンジ要素が延びる、回転軸に対して垂直である第1の方向が、第2のヒンジ要素が延びる、回転軸に対して垂直である第2の方向に対して少なくとも30度傾いて、第1の方向と第2の方向の両方におけるトランスデューサ基部構造に対する振動板の並進変位の点での、剛性の改善に役立つ、
オーディオ・トランスデューサであるものである。
【0516】
好ましくは、この第1の方向は、第2の方向に対して45、又は60度より大きい角度であり、また最も好ましくは、第1の方向は、第2の方向におおよそ直交する。
【0517】
好ましくは、第1のばね部材が第1の方向に延びる距離は、回転軸に対して垂直な方向における振動板の最大寸法に比べて著しく大きく、その結果、これらの各寸法の比は、0.05より大きく、又は0.06より大きく、又は0.07より大きく、又は0.08より大きく、また最も好ましくは、0.09より大きい。
【0518】
好ましくは、第2のばね部材が第2の方向に延びる距離は、回転軸までの振動板の最大寸法と比較して大きく、その結果、これらの各寸法の比は、0.05より大きく、又は0.06より大きく、又は0.07より大きく、又は0.08より大きく、また最も好ましくは0.09より大きい。
【0519】
別の態様では、本発明は概して、
振動板と、
振動板をその場で作動可能に支持するヒンジ組立体を備え、ヒンジ組立体が、少なくとも1つのねじれ部材を備え、ねじれ部材が、使用時に、直接的に且つ強固に振動板に取り付けられ、ねじれ部材が、変形して、ヒンジ組立体によって提供される回転軸を中心にした振動板の運動を可能にするように構成される、
オーディオ・トランスデューサであるものである。
【0520】
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、力伝達構成要素をさらに備える。
【0521】
好ましくは、ねじれ部材は、その長さに沿って変形して、振動板の回転運動を可能にするように構成される。
【0522】
好ましくは、ヒンジ組立体は、使用時に、回転軸を中心にした振動板の回転運動を可能にするように構成される。
【0523】
好ましくは、ヒンジ組立体は、回転軸を中心にした振動板の回転運動を可能にしながら、振動板を強固に支持して並進運動を制限する。
【0524】
一形態では、ねじれ部材は、おおよそC形の断面を有するトーション・ビームである。
【0525】
別の態様では、本発明は概して、
振動板と、
振動板をその場で作動可能に支持するヒンジ組立体とを備え、前記ヒンジ組立体が、ねじれ部材を備え、且つ振動板に回転軸を与え、
ねじれ部材が、回転軸に対して実質的に平行、且つすぐ近くに延びるように配置され、
ねじれ部材が、振動板の冠状面に対して垂直な方向の高さを有し、ミリメートルで測定される高さが、グラムで測定される振動板の質量のおおよそ2倍より大きい、
オーディオ・トランスデューサであるものである。
【0526】
好ましくは、ねじれ部材は、振動板に対して平行で軸に対して垂直な方向に幅を有し、これはミリメートルで測定されるとき、グラムで測定される振動板の質量の約2倍より大きい。
【0527】
好ましくは、ねじれ部材は、ミリメートルで測定されるとき、グラムで測定されるときの振動板の質量の約4倍より大きい、またより好ましくは6倍より大きい、また最も好ましくは8倍より大きい、幅及び高さを有する。
【0528】
いくつかの構成では、本開示の41番目から52番目の態様のうちの1つ又は複数は、近接場オーディオ・スピーカ用途に使用され、スピーカ・ドライバは、たとえばヘッドホンやインナーイヤー型イヤホン(bud earphone)で、使用時に耳の10cm以内に配置されるように構成される。
【0529】
別の態様では、本発明は概して、使用者の耳その場の10cm以内に配置されるように構成されたオーディオ・デバイスであって、
振動板と、
トランスデューサ基部構造と、
少なくとも1つのヒンジ接続部とを有する、
少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサを備え、それぞれのヒンジ接続部が、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部が、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素が、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備え、それぞれのヒンジ接続部の片方又は両方のヒンジ要素が、振動板又はトランスデューサ基部構造と密に結び付けられた要素の縁部又は端部に向かって増加する厚さを有する、オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0530】
以下の記述は、ヒンジ・システムを含む上のオーディオ・デバイスの態様の任意の1つ又は複数並びにそれらの関連する機能、実施例及び構成に関する。
【0531】
いくつかの実施例では、オーディオ・デバイスは、エンクロージャ又はバッフルの形をとるハウジングをさらに備え、振動板は、振動板の1つ又は複数の周辺領域ではハウジングと物理的に連結せず、この1つ又は複数の周辺領域は、強磁性流体によって支持される。
【0532】
好ましくは、この強磁性流体は、強磁性流体によって支持されるこの1つ又は複数の周辺領域を封止し、又はそれと直接的に接触し、その結果、この強磁性流体が、実質的にそれらの間の空気の流れを防止し、且つ/又は冠状面に対して平行な1つ又は複数の方向において振動板へのかなりの支持を実現する。
【0533】
好ましくは、振動板は、本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体のこの面又はその近傍で受ける圧縮−引張応力に抵抗する、垂直応力補強材を備える。
【0534】
別の態様では、本発明は概して、ヒンジ・システムを含む上の態様の任意の1つに従うオーディオ・トランスデューサあって、振動板が、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体のこの面又はその近傍で受ける圧縮−引張応力に抵抗する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、前記主面のうちの少なくとも1つに対してある角度で向けられ、動作中に本体が受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材とを備える、オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
【0535】
好ましくは、上の2つの態様のうちのいずれか1つにおいて、振動板本体と関連付けられた質量分布又は垂直応力補強材と関連付けられた質量分布又はその両方は、振動板が、振動板の1つ又は複数の比較的質量の大きい領域の質量と比べて、振動板の1つ又は複数の質量の小さい領域では比較的小さい質量を有するものである。
【0536】
好ましくは、振動板本体は、振動板の質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域で比較的小さい質量を有する。好ましくは、振動板の厚さは、質量中心から遠位な周辺部に向かって減少する。
【0537】
別法として、又は追加的に、垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、組み立てられた振動板の質量中心位置から遠位である、関連付けられた主面の1つ又は複数の周辺縁部領域にあるものである。
【0538】
いくつかの実施例では、オーディオ・デバイスは、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサ、並びに
振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間に配置されて、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサの振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する、少なくとも1つのデカップリング・マウンティング・システムであって、それぞれのデカップリング・マウンティング・システムが、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、少なくとも1つのデカップリング・マウンティング・システムを備える。
【0539】
好ましくは、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサは、トランスデューサ基部構造をさらに備え、オーディオ・デバイスは、中にオーディオ・トランスデューサを収容するためのハウジングを備え、デカップリング・マウンティング・システムは、オーディオ・トランスデューサのトランスデューサ基部構造とハウジングの内部との間を接続する。
【0540】
いくつかの実施例では、オーディオ・デバイスは、個人用オーディオ・デバイスである。
【0541】
一構成では、個人用オーディオ・デバイスは、それぞれの耳又はその近位で使用者によって装着されるように構成された1対のインタフェース・デバイスを備える。
【0542】
オーディオ・デバイスは、ヘッドホンやイヤホンでもよい。オーディオ・デバイスは、それぞれの耳ごとの1対のスピーカを備えてもよい。それぞれのスピーカは、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサを備えてもよい。
【0543】
別の態様では、本発明は概して、
コイルとコイル補剛パネルとを備え、動作中、おおよその回転軸を中心に回転してオーディオを変換するように構成された振動板を備え、それによって
コイルが、第1の長辺、第1の短辺、第2の長辺及び第2の短辺で構成される、ほぼ4つの辺をもつ形状部に巻かれ、
実質的に回転軸に対して垂直な方向に延びるコイル補剛パネルに連結され、コイルの第1の長辺をコイルの第2の長辺に連結する、
オーディオ・トランスデューサであるものである。
【0544】
好ましくは、コイル補剛パネルは、コイルの第1の短辺の近くに、又はそれに接触して配置される。
【0545】
好ましくは、コイル補剛パネルは、コイルの第1の長辺と第1の短辺の間のおおよその結合部から、コイルの第1の第2の長辺と第1の短辺の間のおおよその結合部まで延び、回転軸に対して垂直な方向にも延びる。
【0546】
好ましくは、コイル補剛パネルは、ヤング率が8GPaより大きい、またより好ましくは15GPaより大きい、またさらに好ましくは25GPaより大きい、またいっそう好ましくは40GPaより大きい、また最も好ましくは60GPaより大きい材料から作られる。
【0547】
好ましくは、コイルの第2の短辺の近く、又はそれに接触して配置される、第2のコイル補剛パネルが存在する。
【0548】
一構成では、振動板本体の矢状面の近くに配置される、第3のコイル補剛パネルが存在する。
【0549】
好ましくは、このパネルは、回転軸から離れる方向ではなく、回転軸に向かう方向に延びる。
【0550】
好ましくは、これらの長辺は、少なくとも部分的には磁界の中に位置する。
【0551】
好ましくは、これらの長辺は、回転軸に平行な方向に延びる。
【0552】
好ましくは、この磁界は、第1の長辺を通って、回転軸に対しておおよそ垂直な方向に延びる。
【0553】
好ましくは、これらの長辺は、巻型に連結されない。
【0554】
好ましくは、振動板は、コイル補剛パネルを含む振動板基部フレームをさらに備え、振動板基部フレームは、コイル及び振動板を強固に支持し、且つヒンジ・システムに強固に連結される。
【0555】
別の態様では、本発明は、
回転可能にマウントされた振動板と、電子オーディオ信号及び/又は音圧に対応する振動板の回転運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有する
オーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサの振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間に配置されて、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、デカップリング・マウンティング・システム
を備える、オーディオ・デバイスから構成されるといえる。
【0556】
好ましくは、オーディオ・デバイスのこの少なくとも1つの他の部分は、このデバイスのオーディオ・トランスデューサの振動板の別の部分ではない。
【0557】
一構成では、オーディオ・デバイスは、少なくとも第1のオーディオ・トランスデューサ及び第2のオーディオ・トランスデューサを備える。好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、第1のトランスデューサの振動板と第2のトランスデューサの間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する。
【0558】
好ましくは、振動板は、少なくとも1つの並進方向において剛性であるヒンジ組立体によって支持される。
【0559】
いくつかの実施例では、ヒンジ・システムは、1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備え、それぞれのヒンジ接続部は、ヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材は、接触面を有し、動作中に、それぞれのヒンジ接続部は、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体は、ヒンジ要素を接触面に向かって付勢する。
【0560】
好ましくは、ヒンジ組立体は、付勢機構をさらに備え、ヒンジ要素は、付勢機構によって接触面に向かって付勢される。
【0561】
好ましくは、付勢機構は、実質的に追従的である。
【0562】
好ましくは、付勢機構は、動作中、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して実質的に垂直な方向に実質的に追従的である。
【0563】
好ましくは、ヒンジ・システムは、ヒンジ軸から振動板の周辺部までの距離の60%未満の半径で、振動板に振動板復元力を加えるように構成された復元機構をさらに備える。
【0564】
いくつかの他の実施例では、ヒンジ・システムは、少なくとも1つのヒンジ接続部を備え、それぞれのヒンジ接続部は、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部は、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素が、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備える。
【0565】
好ましくは、オーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分は、直接的、又は間接的に振動板を支持する。
【0566】
好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、少なくとも1つの並進軸に沿った、またより好ましくは少なくとも2つの実質的に直交する並進軸に沿った、またいっそう好ましくは3つの実質的に直交する並進軸に沿った、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する。
【0567】
好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、少なくとも1つの回転軸を中心にした、またより好ましくは少なくとも2つの実質的に直交する回転軸を中心にした、またいっそう好ましくは3つの実質的に直交する回転軸を中心にした、振動板とオーディオの少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する。
【0568】
好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を実質的に軽減する。
【0569】
好ましくは、オーディオ・デバイスは、中にオーディオ・トランスデューサを収容するように構成されたトランスデューサ・ハウジングをさらに備える。
【0570】
好ましくは、トランスデューサ・ハウジングは、バッフル又はエンクロージャを備える。
【0571】
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、トランスデューサ基部構造をさらに備える。
【0572】
好ましくは、振動板は、トランスデューサ基部構造に対して相対的に回転可能である。
【0573】
好ましくは、デカップリング・システムは、第1の構成要素と関連付けられたノード軸位置、又はその近位に位置するように構成された、少なくとも1つのノード軸マウントを備える。
【0574】
好ましくは、デカップリング・システムは、第1の構成要素と関連付けられたノード軸位置から遠位に位置するように構成された、少なくとも1つの遠位マウントを備える。
【0575】
好ましくは、少なくとも1つのノード軸マウントは、少なくとも1つの遠位マウントより比較的追従的でなく、且つ/又は比較的フレキシブルでない。
【0576】
第1の実施例では、デカップリング・システムは、第1の構成要素の両側に配置される、1対のノード軸マウントを備える。好ましくは、それぞれのノード軸マウントは、第1の構成要素に強固に接続され、実質的に基部構造のノード軸に合わせられた軸に沿って、その一方の側から横に延びるピンを備える。好ましくは、それぞれのノード軸マウントは、ピンの周りに強固に接続され、第2の構成要素の対応する凹部内に配置されるように構成されたブッシュをさらに備える。好ましくは、第2の構成要素の対応する凹部は、ブッシュを強固に中に受け、保持するためのスラグを備える。好ましくは、それぞれのノード軸マウントは、第1の構成要素の外面と第2の構成要素の内面の間に位置するワッシャをさらに備える。好ましくは、ワッシャは、第1の構成要素の相当な部分又はその周辺部全体の周りで、第1の構成要素の外面と第2の構成要素の内面の間に均一な間隙を生み出す。
【0577】
好ましくは、それぞれの遠位マウントは、実質的にフレキシブルなマウンティング・パッドを備える。好ましくは、デカップリング・システムは、第1の構成要素の外面と第2の構成要素の内面の間に連結される1対のマウンティング・パッドを備える。好ましくは、マウンティング・パッドは、第1の構成要素の両側に接続される。好ましくは、それぞれのマウンティング・パッドは、頂点側端部及び基部側端部を備え、パッドの奥行きに沿って実質的に先細りにされた幅を有する。好ましくは、基部側端部は、第1の構成要素又は第2の構成要素のうちの一方に強固に連結され、頂点側端部は、第1の構成要素又は第2の構成要素の他方に連結される。
【0578】
この実施例のいくつかの構成では、第1の構成要素はトランスデューサ基部構造でもよい。別法として、第1の構成要素は、オーディオ・トランスデューサの周りに延びるサブ・ハウジングでもよい。第2の構成要素は、オーディオ・トランスデューサ又はオーディオ・トランスデューサのサブ・ハウジングを収容するためのハウジングやサラウンドでもよい。
【0579】
第2の実施例では、デカップリング・システムは、複数のフレキシブルなマウンティング・ブロックを備える。好ましくは、マウンティング・ブロックは、第1の構成要素の外周面の周りに分布し、一方の側で第1の構成要素の外周面に、反対側で第2の構成要素の内周面に強固に連結する。好ましくは、1つ又は複数のマウンティング・ブロックの第1のセットは、第1の構成要素のノード軸位置又はその近くで、第1の構成要素を接続する。好ましくは、マウンティング・ブロックの第2のセットは、ノード軸位置から遠位な1つ又は複数の位置で、第1の構成要素を接続する。好ましくは、遠位マウンティング・ブロックの第2のセットは、オーディオ・トランスデューサの振動板又はその近くに位置する。好ましくは、マウンティング・ブロックの第1のセットは、オーディオ・トランスデューサの振動板から遠位に位置する。好ましくは、これらの複数のマウンティング・ブロックは、第2の構成要素の対応する凹部内で強固に連結するように構成される。好ましくは、これらの複数のマウンティング・ブロックは、対応する凹部の奥行きより大きい厚さを有し、それによって第1の構成要素と第2の構成要素の間その場に、実質的に均一な間隙を形成する。
【0580】
一構成では(任意の実施例において)、トランスデューサ基部構造は、マグネット組立体を備える。
【0581】
好ましくは、トランスデューサ基部構造は、振動板サスペンション・システムへの連結部を備える。
【0582】
好ましくは、オーディオ・デバイスは、2つ以上のオーディオ・トランスデューサ(すなわちステレオ又はマルチ・チャネル)の構成を通して2つ以上の異なるオーディオ・チャネルを使用するオーディオ・システム内に構成される。
【0583】
好ましくは、オーディオ・デバイスは、2つ以上のオーディオ・トランスデューサ(すなわちステレオ又はマルチ・チャネル)の構成を通して2つ以上の異なるオーディオ・チャネルを使用するオーディオ・システム内に構成されるものである。
【0584】
好ましくは、オーディオ・デバイスは、少なくとも2つの異なるオーディオ・チャネル(すなわちステレオ又はマルチ・チャネル)を同時に再生するように構成された、少なくとも2つ以上のオーディオ・トランスデューサを備える。
【0585】
好ましくは、前記異なるオーディオ・チャネルは、互いに独立している。
【0586】
好ましくは、オーディオ・デバイスは、オーディオ・トランスデューサを使用者の片方又は両方の耳又はその近くに配置するように構成された構成要素をさらに備える。
【0587】
別の態様では、本発明は概して、
振動板と、電子オーディオ信号及び/又は音圧に対応する振動板の運動を作動可能に変換するように構成された変換機構と、基部構造組立体とを有する、
オーディオ・トランスデューサ、及び
振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間に配置されて、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、デカップリング・マウンティング・システムを備え、
基部構造組立体が効果的に非拘束であるとき、基部構造組立体が、大きい回転成分を有する動作と共に動くような質量分布を有する、オーディオ・デバイスで構成されるといえる。たとえば、トランスデューサが、十分に高い周波数で作動され、その結果、デカップリング・マウンティング・システムのスティフネスを、無視しても構わない、又は無視してもよくなるとき、基部構造組立体は、効果的に非拘束である。
【0588】
好ましくは、振動板は、動作中、大きい回転成分を有して、トランスデューサ基部構造に対して相対的に動く。
【0589】
好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、トランスデューサ基部構造とエンクロージャ又はバッフルとの間に配置される。
【0590】
一実施例では、少なくとも1つのデカップリング・マウンティング・システムは、振動板とトランスデューサ・ハウジングとの間に配置されて、振動板とトランスデューサ・ハウジングとの間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する。
【0591】
好ましくは、オーディオ・デバイスは、振動板をトランスデューサ基部構造にフレキシブルにマウントする第1のデカップリング・マウンティング・システム及び/又はトランスデューサ基部構造をトランスデューサ・ハウジングにフレキシブルにマウントする第2のデカップリング・マウンティング・システムを備える。
【0592】
一実施例では、オーディオ・デバイスは、オーディオ・デバイスを使用者の片方又は両方の耳又はその近くに配置するように構成されたヘッドバンド構成要素及びヘッドバンドをトランスデューサ・ハウジングにフレキシブルにマウントするデカップリング・マウンティング・システムをさらに備える。
【0593】
好ましくは、振動板は、振動板本体を備える。
【0594】
一実施例では、振動板は、本体の最大長さ寸法の少なくとも11%、また好ましくは14%より大きい最大厚さを有する振動板本体を備える。
【0595】
好ましくは、振動板は、比較的軽量の材料から作られるコアとコアの1つ又は複数の外面或いはその近くの補強材から構成される複合構成部とを有する振動板本体を備え、前記補強材は、実質的に剛性の材料から形成されて、動作中に本体が受ける変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する。好ましくは、補強材は、好ましくは少なくとも8MPa/(kg/m
3)、またより好ましくは少なくとも20MPa/(kg/m
3)、また最も好ましくは少なくとも100MPa/(kg/m
3)である比弾性率を有する1つ又は複数の材料から構成される。たとえば、補強材は、アルミニウムや炭素繊維強化プラスチックからでもよい。
【0596】
好ましくは、前記補強材は、
振動板本体に接続され、前記外面の少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体の面又はその近傍で受ける圧縮−引張変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、垂直応力補強材に対してある角度で向けられ、本体が動作中に受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材とを備える。
【0597】
好ましい一実施例では、オーディオ・トランスデューサは、スピーカ・ドライバである。
【0598】
好ましくは、前記振動板は、実質的に剛性の振動板本体を備え、前記振動板本体は、動作中、トランスデューサのFROにわたって、実質的に剛性の形態を保つ。
【0599】
好ましくは、変換機構は、動作中、振動板に作用する励起作用力を加える。
【0600】
好ましくは、変換機構は、動作中に振動板に加えられる励起作用力と関連付けられた励起反力もトランスデューサ基部構造に加える。
【0601】
好ましくは、変換機構は、振動板に強固に連結される力伝達構成要素を備える。
【0602】
一形態では、変換機構の力伝達構成要素は、振動板に直接的に強固に連結される。
【0603】
別法として、力伝達構成要素は、1つ又は複数の中間の構成要素によって振動板に強固に連結され、力伝達構成要素と振動板本体の間の距離は、振動板本体の最大寸法の50%未満である。より好ましくは、この距離は、振動板本体の最大寸法の35%未満、又は25%未満である。
【0604】
好ましくは、変換機構の力伝達構成要素は、振動板に接続されたモータ・コイルを備える。
【0605】
一形態では、変換機構の力伝達構成要素は、振動板に接続されたマグネットを備える。
【0606】
好ましくは、変換機構は、トランスデューサ基部構造の一部であり、動作中にモータ・コイルが影響を受ける磁界をもたらすマグネットを備える。
【0607】
好ましくは、オーディオ・デバイスは、オーディオ・トランスデューサのトランスデューサ基部構造を備えるこのオーディオ・トランスデューサと関連付けられた基部構造組立体を備え、この基部構造組立体は、トランスデューサ基部構造に強固に連結される、ハウジング、フレーム、バッフル又はエンクロージャなどの他の構成要素も備えてもよい。
【0608】
好ましくは、基部構造組立体は、振動板の回転軸に対して実質的に平行なトランスデューサ・ノード軸を中心に、オーディオ・トランスデューサ・ハウジングに対して相対的に回転可能である。
【0609】
好ましくは、オーディオ・トランスデューサの基部構造組立体は、デカップリング・マウンティング・システムによってオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分に連結される。
【0610】
好ましくは、(デカップリング・システムの相対運動への追従性の程度全体、及び/又はデカップリング・システムの様々なデカップリング・マウントの様々な位置での相対的な追従性を含み得る)デカップリング・マウンティング・システムの追従性及び/又は追従性・プロファイル、並びに関連付けられたオーディオ・トランスデューサに対するデカップリング・マウンティング・システムの位置は、ドライバが、トランスデューサのFROの範囲内の周波数を有する定常状態の正弦波で作動されているとき、第2の作動状態の第1の点とトランスデューサ・ノード軸(node axis)の間の最短の距離は、関連付けられたトランスデューサ基部構造の最大長さ寸法の約25%未満、またより好ましくは20%未満、またさらに好ましくは15%未満、またいっそう好ましくは10%未満、また最も好ましくは5%未満であり、この第1の点は、第1の作動状態ではトランスデューサ・ノード軸の一部に位置し、そこでトランスデューサ基部構造内を通過し、第2の作動状態ではトランスデューサ・ノード軸からの最大直交距離にも位置するものである。
【0611】
好ましくは、トランスデューサが第2の作動状態であるとき、トランスデューサ・ノード軸は、基部構造組立体の基部構造組立体の最大長さ寸法の25%、又はそれ以内を通過する。
【0612】
好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、第2の作動状態において、トランスデューサ・ノード軸から、基部構造組立体の最大寸法の25%、又は20%、又は15%、又は最も好ましくは10%未満の距離で配置される1つ又は複数のノード軸マウントを備える。
【0613】
好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、第2の作動状態において、トランスデューサ・ノード軸から、基部構造組立体の最大寸法の25%、より好ましくは40%の距離を越えて配置される1つ又は複数の遠位マウントを備える。
【0614】
好ましくは、遠位マウントは、1つ又は複数のノード軸マウントよりも、動きに対して比較的フレキシブルである、又は追従的である。
【0615】
一実施例では、それぞれのノード軸マウントは、トランスデューサ基部構造の片方の側から横に延びるピンを備え、このピンは、ノード軸に対しておおよそ平行に延び、基部構造に強固に接続され、ノード軸マウントは、ピンがその周りでこのデバイスのハウジングに連結されるブッシュをさらに備える。
【0616】
好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、摂氏約24度で0.2より大きい、又は0.4より大きい、又は0.8より大きい、また最も好ましくは1より大きい機械損失係数を有するフレキシブル材料から構成される。
【0617】
好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、基部構造組立体に対して相対的に配置され、第1の作動状態のトランスデューサ・ノード軸位置を第2の作動状態のノード軸位置と実質的に一致させるレベルの追従性を有する。
【0618】
好ましくは、振動板本体は、この本体の最大長さ寸法の少なくとも11%である最大厚さを有する。より好ましくは、この最大厚さは、この本体の最大長さ寸法の少なくとも14%である。
【0619】
いくつかの実施例では、振動板本体の厚さは、先細りにされ、遠位領域に向かって厚さが減少する。他の実施例では、振動板本体の厚さは、段をつけられて、振動板の質量中心に遠位な領域に向かって厚さが減少する。
【0620】
好ましくは、回転可能な接続は十分に追従的であり、その結果、基本モード以外の振動板共振モードは、この追従性によって促進され、周波数応答に2dBを超える影響を及ぼすが、これはFRO未満で発生する。
【0621】
別法として、ヒンジ機構の、運動を容易にし、振動板とトランスデューサ基部構造の間の並進負荷を伝える部分は、ヤング率が約8GPaより大きい、またより好ましくは約20GPaより大きい材料から作られる。
【0622】
好ましくは、ヒンジ機構は、実質的に安定して実質的に剛性の第2の構成要素と接合するが連結しない、実質的に剛性の第1の構成要素を備える。別法として、ヒンジ機構は、ヤング率が約8GPaより大きい、より好ましくは約20GPaより大きい材料から形成される薄肉のばね構成要素を組み込む。
【0623】
好ましくは、振動板本体は、3次元で一様でない、相互連結された構造を備えるコア材料から形成される。このコア材料は、発泡体や規則正しく並んだ3次元ラティス構造の材料でもよい。このコア材料は、複合材料から構成されてもよい。好ましくは、このコア材料は、発泡ポリスチレンフォームである。代替の材料には、ポリメチルメタクリルアミドフォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、エアロゲルフォーム、段ボール、バルサ材、シンタクチックフォーム、金属マイクロラティス及びハニカムが含まれる。
【0624】
好ましくは、振動板は、振動板が曲げに抵抗するのを助ける、ヤング率が約8GPaより大きい、より好ましくは約20GPaより大きい、そして最も好ましくは約100GPaより大きい、1つ又は複数の材料を組み込む。
【0625】
別の態様では、本発明は、
回転可能にマウントされた振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の回転運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、
中にオーディオ・トランスデューサを収容するように構成されたバッフル及び/又はエンクロージャを備えるトランスデューサ・ハウジング、並びに
オーディオ・トランスデューサの振動板と関連付けられたトランスデューサ・ハウジングの間に配置されて、振動板とエンクロージャトランスデューサ・ハウジングの間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、デカップリング・マウンティング・システム
を備える、オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0626】
別の態様では、本発明は、
回転可能にマウントされた振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の回転運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを組み込む第1の部分又は組立体とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分又は組立体との間に配置されて、第1の部分又は組立体と少なくとも1つの他の部分又は組立体との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の部分又は組立体を第2の部分又は組立体にフレキシブルにマウントする、デカップリング・マウンティング・システム
を備える、オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0627】
好ましくは、この第1の部分は、中にオーディオ・トランスデューサを収容するためのバッフル又はエンクロージャを備えるトランスデューサ・ハウジングである。
【0628】
別の態様では、本発明は、
回転可能にマウントされた振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の回転運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、
中にオーディオ・トランスデューサを収容するように構成されたバッフル又はエンクロージャを備える、トランスデューサ・ハウジング、並びに
オーディオ・トランスデューサをバッフル又はエンクロージャにフレキシブルにマウントし、振動板とトランスデューサ・ハウジングとの間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する、デカップリング・マウンティング・システム
を備えるオーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0629】
別の態様では、本発明は、
回転可能にマウントされた振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の回転運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、
使用者によって装着されて、オーディオ・トランスデューサを、使用時に使用者の片方又は両方の耳のすぐ近くに配置するように構成されたヘッドバンド、並びに
ヘッドバンドとオーディオ・トランスデューサの間に配置されて、オーディオ・トランスデューサとヘッドバンドの間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する、少なくとも1つのデカップリング・マウンティング・システムであって、それぞれのマウンティング・システムが、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、少なくとも1つのデカップリング・マウンティング・システム
を備えるオーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0630】
好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、ゴム、シリコン、粘弾性ウレタンポリマーなどの弾性材料から構成される。
【0631】
一構成では、デカップリング・マウンティング・システムは、強磁性流体を備えて、第1の構成要素と第2の構成要素の間に支持を与える。
【0632】
一構成では、デカップリング・マウンティング・システムは、磁気反発を使用して、第1の構成要素と第2の構成要素の間に支持を与える。
【0633】
一構成では、デカップリング・マウンティング・システムは、流体又はゲルを備えて、第1の構成要素と第2の構成要素との間に支持を与える。
【0634】
一構成では、この流体又はゲルは、フレキシブル材料から構成されるカプセルの中に容れられる。
【0635】
別法として、又は追加的に、これらのマウンティング・システムのうちの少なくとも1つは、金属ばね又は他の金属製の弾性部材を備える。
【0636】
別法として、又は追加的に、これらのマウンティング・システムのうちの少なくとも1つは、柔らかいプラスチック材料から形成された部材を備える。
【0637】
別の態様では、本発明は、
回転可能にマウントされた振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の回転運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサの振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間に配置されて、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、デカップリング・マウンティング・システムを備え、振動板が、本体の最大長さ寸法の少なくとも11%である最大厚さを有する振動板本体を備える、
オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0638】
別の態様では、本発明は、
可動性の振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを組み込む第1の部分とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間で、第1の部分と少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、デカップリング・マウンティング・システムを備え、オーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的には第1の部分の内部と物理的に連結しない外周縁部を有する振動板本体を備える、
オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0639】
好ましくは、この第1の部分は、中に関連付けられたオーディオ・トランスデューサを収容するためのバッフル又はエンクロージャを備えるハウジングを備える。
【0640】
別の態様では、本発明は、
可動性の振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、
中にオーディオ・トランスデューサを収容するためのバッフル又はエンクロージャを備えるトランスデューサ・ハウジング、並びに
オーディオ・トランスデューサを関連付けられたトランスデューサ・ハウジングにフレキシブルにマウントして、オーディオ・トランスデューサとトランスデューサ・ハウジングとの間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する、デカップリング・マウンティング・システムを備え、オーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的にはトランスデューサ・ハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を有する振動板本体を備える、
オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0641】
別の態様では、本発明は、
可動性の振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを組み込む第1の部分とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間で、第1の部分と少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、デカップリング・マウンティング・システムを備え、
オーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的には第1の部分の内部と連結しない外周部を有する振動板本体を備え、
振動板本体が、本体の最大長さ寸法の少なくとも11%である最大厚さを有する、
オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0642】
好ましくは、オーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分は、少なくとも第1の部分と同じ質量よりも大きい、より好ましくは第1の部分の質量の少なくとも60%、又は40%、又は最も好ましくは少なくとも20%より大きい質量を有する。
【0643】
別の態様では、本発明は、
可動性の振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを組み込む第1の部分とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間で、第1の部分と少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、デカップリング・マウンティング・システムを備え、振動板が、本体の最大長さ寸法の少なくとも11%である最大厚さを有する振動板本体を備える、
オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0644】
別の態様では、本発明は、
可動性の振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、
中にオーディオ・トランスデューサを収容するためのバッフル又はエンクロージャを備えるトランスデューサ・ハウジング、並びに
オーディオ・トランスデューサをトランスデューサ・ハウジングにフレキシブルにマウントして、オーディオ・トランスデューサとトランスデューサ・ハウジングとの間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する、デカップリング・マウンティング・システムを備え、振動板が、本体の最大長さ寸法の少なくとも11%である最大厚さを有する振動板本体を備える、
オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0645】
上記の態様17〜28のうちの任意の1つのいくつかの実施例では、オーディオ・デバイスは、その態様のもとで定められる2つ以上のオーディオ・トランスデューサ及び/又は2つ以上のデカップリング・マウンティング・システムを備えてもよい。
【0646】
いくつかの実施例では、デカップリング・マウンティング・システムを有するオーディオ・デバイスを備える上の態様のうちの任意の1つにおいて、好ましくは、振動板は、第1の部分の内部と物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を備える。好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは、少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
【0647】
一構成では、エンクロージャ内部と連結しない、振動板本体周辺部の1つ又は複数の周辺領域とエンクロージャ内部との間に、小さい空気間隙が存在する。
【0648】
好ましくは、空気間隙のサイズは、振動板本体の長さの1/20未満である。
【0649】
好ましくは、空気間隙のサイズは、1mm未満である。
【0650】
別の構成では、振動板は、強磁性流体によって支持される。
【0651】
好ましくは、振動板本体の冠状面に対して実質的に平行な方向の並進運動に逆らう、振動板に与えられる支持の相当な割合は、強磁性流体によって提供される。
【0652】
好ましくは、振動板は、本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体のこの面又はその近傍で受ける圧縮−引張応力に抵抗する、垂直応力補強材を備える。
【0653】
別の態様では、本発明は概して、デカップリング・マウンティング・システムを含む上の態様のうちの任意の1つに従うオーディオ・デバイスであって、振動板が、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体のこの面又はその近傍で受ける圧縮−引張応力に抵抗する、垂直応力補強材、並びに
本体に埋め込まれ、前記主面のうちの少なくとも1つに対してある角度で向けられ、動作中に本体が受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材を備える、
オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0654】
好ましくは、上の2つの態様のうちのいずれか1つにおいて、振動板本体と関連付けられた質量分布又は垂直応力補強材と関連付けられた質量分布又はその両方は、振動板が、振動板の1つ又は複数の比較的質量の大きい領域の質量と比べて、振動板の1つ又は複数の質量の小さい領域では比較的小さい質量を有するものである。
【0655】
好ましくは、振動板本体は、振動板の質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域で比較的小さい質量を有する。好ましくは、振動板の厚さは、質量中心から遠位な周辺部に向かって減少する。
【0656】
別法として、又は追加的に、垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、組み立てられた振動板の質量中心位置から遠位な、関連付けられた主面の1つ又は複数の周辺縁部領域にあるものである。
【0657】
上のオーディオ・デバイスの態様のうちの任意の1つのいくつかの実施例では、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサは、直線動作トランスデューサである。好ましくは、振動板は、実質的に湾曲した振動板本体を備える。好ましくは、振動板本体は、実質的にドーム状の本体である。好ましくは、この本体は、十分な厚さ及び/又は奥行きを有し、その結果、この本体は、動作中、実質的に剛性である。たとえば、この本体は比較的薄くてもよいが、このドーム状の本体の全体の奥行きは、本体の最大長さ寸法より少なくとも15%大きくてもよい。好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、振動板本体の外周部に強固に接続され、そこから長手方向に延びる振動板基部フレームをさらに備える。好ましくは、励起機構は、基部フレームに接続される1つ又は複数の力伝達構成要素を備える。好ましくは、1つ又は複数の力伝達構成要素は、振動板基部フレームの周りで巻かれる1つ又は複数のコイル巻線を備える。好ましくは、強磁性流体のリングは、それぞれの間隙の内周部の周りに延びて、振動板を吊り下げる。好ましくは、振動板基部フレーム及び振動板は、関連付けられた周辺部のおおよそ全体の周りで、物理的に連結しない。
【0658】
別の態様では、本発明は、上の態様のオーディオ・トランスデューサのうちの任意の1つ又は複数を組み込み、独立したオーディオ信号を再生できる2つ以上の異なるオーディオ・チャネルを提供する、2つ以上の電気音響スピーカを備えるオーディオ・デバイスで構成され得る。好ましくは、オーディオ・デバイスは、使用者の耳の約10cm以内でのオーディオ用になされた個人用オーディオ・デバイスである。
【0659】
別の態様では、本発明は、前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちのいずれか1つの、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサとその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを組み込む、個人用オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0660】
別の態様では、本発明は、それぞれの耳又はその近位で使用者によって装着されるように構成された1対のインタフェース・デバイスを備える個人用オーディオ・デバイスであって、それぞれのインタフェース・デバイスが、前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちいずれか1つの、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサとその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを備える、個人用オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0661】
別の態様では本発明は、それぞれの耳又はその周りで装着されるように構成された1対のヘッドホン・インタフェース・デバイスを備えるヘッドホン装置であって、それぞれのインタフェース・デバイスが、前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちいずれか1つの、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサとその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを備える、ヘッドホン装置で構成されるといえる。
【0662】
別の態様では、本発明は、使用者の耳の外耳道又は甲介内に装着されるように構成された1対のイヤホン・インタフェースを備えるイヤホン装置であって、それぞれのイヤホン・インタフェースが、前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちのいずれか1つの、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサとその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを備える、イヤホン装置で構成されるといえる。
【0663】
別の態様では、本発明は、オーディオ・トランスデューサが、音響電気トランスデューサである、上の態様のうちの任意の1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに関連する機能、構成及び実施例で構成されるといえる。
【0664】
別の態様では、本発明は、
可動性の振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有する少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、
中に少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ、並びに
エンクロージャを周囲の支持構造にフレキシブルにマウントして、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサと支持構造の間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する、デカップリング・マウンティング・システムを備え、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的にはトランスデューサ・ハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を有する振動板本体を備える、オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0665】
好ましくは、このデバイスは、コンピュータ・スピーカなどである。これは、たとえば、高さ約0.8m未満、幅約0.4m未満、及び/又は奥行き約0.3m未満である寸法サイズを有してもよい。
【0666】
別の構成では、振動板は、強磁性流体によって支持される。
【0667】
好ましくは、振動板本体の冠状面に対して実質的に平行な方向の並進運動に逆らう、振動板に与えられる支持の相当な割合は、強磁性流体によって提供される。
【0668】
別の態様では、本発明は、
可動性の振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有する少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
中に少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャを備え、エンクロージャが、このエンクロージャを周囲の支持構造にフレキシブルにマウントして、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサと支持構造との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減するデカップリング・マウンティング・システムと共に使用されるように構成され、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的にはトランスデューサ・ハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を有する振動板本体を備える、
オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0669】
別の態様では、本発明は、通常、使用時に使用者の頭部から約10センチメートル以内に配置される個人用オーディオ用途で使用する個人用オーディオ・デバイスであって、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備え、
1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的には関連付けられたハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える、
個人用オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0670】
好ましくは、振動板は、ハウジングの内部と物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を備える。好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
【0671】
好ましくは、通常動作中にかなりの距離を動く振動板の外周部のすべての領域は、ハウジングの内部とおおよそ完全に物理的連結がない。
【0672】
いくつかの実施例では、ハウジングの内部と物理的に連結しない振動板の1つ又は複数の周辺領域は、流体によって支持される。好ましくは、この流体は、強磁性流体である。好ましくは、この強磁性流体は、強磁性流体によって支持されるこの1つ又は複数の周辺領域を封止し、又はそれと直接的に接触し、その結果、この強磁性流体が、実質的にそれらの間の空気の流れを防止する。
【0673】
好ましくは、オーディオ・デバイスは、これらのオーディオ・トランスデューサのうちの少なくとも1つの振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間に配置されて、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する少なくとも1つのデカップリング・マウンティング・システムであって、それぞれのデカップリング・マウンティング・システムが、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、少なくとも1つのデカップリング・マウンティング・システムを備える。
【0674】
いくつかの実施例では、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板は、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体の面又はその近傍で受ける圧縮−引張応力に抵抗する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、前記主面のうちの少なくとも1つに対してある角度で向けられ、動作中に本体が受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材とを備える。
【0675】
好ましくは、振動板は、励起機構の力伝達構成要素に強固に取り付けられる。好ましくは、力伝達構成要素は、使用時に実質的に剛性のままである。
【0676】
好ましくは、力伝達構成要素は、オーディオ信号を表す電流を受ける導電性の構成要素を備える。好ましくは、導電性の構成要素は、レンツの法則によって機能する。好ましくは、導電性の構成要素は、コイルである。好ましくは、励起機構は、磁界を発生させる磁気要素又は磁気構造をさらに備え、導電性の構成要素は、その場の磁界内に配置される。好ましくは、磁気構造又は要素は、永久磁石を備える。
【0677】
好ましくは、ハウジングは、使用時に振動板の運動によって発生する音を使用者の外耳道に伝えるための1つ又は複数の開口を備える。
【0678】
いくつかの実施例では、これらのオーディオ・トランスデューサのうちの少なくとも1つは、直線動作トランスデューサである。好ましくは、振動板は、実質的に湾曲した振動板本体を備える。好ましくは、振動板本体は、実質的にドーム状の本体である。好ましくは、この本体は、十分な厚さ及び/又は奥行きを有し、その結果、この本体は、動作中、実質的に剛性である。たとえば、この本体は比較的薄くてもよいが、このドーム状の本体の全体の奥行きは、本体の最大長さ寸法より少なくとも15%大きくてもよい。好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、振動板本体の外周部に強固に接続され、そこから長手方向に延びる振動板基部フレームをさらに備える。好ましくは、励起機構は、基部フレームに接続される1つ又は複数の力伝達構成要素を備える。好ましくは、1つ又は複数の力伝達構成要素は、振動板基部フレームの周りで巻かれる1つ又は複数のコイル巻線を備える。好ましくは、複数の構成要素が、振動板基部フレームの長さに沿って分布する。好ましくは、励起機構は、動作中、これらの1つ又は複数のコイル巻線が位置する領域内に磁界を発生させる磁気構造又は磁気組立体をさらに備える。好ましくは、磁気構造は、対向するポールピースを備え、ポールピース同士の間に形成される1つ又は複数の間隙に磁界を発生させる。好ましくは、振動板基部フレームは、これらの1つ又は複数の間隙内で延びる。好ましくは、振動板のニュートラル位置では、1つ又は複数のコイルは、これらの1つ又は複数の間隙と合わせられる。好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、1対のコイル及び関連付けられた1対の磁界間隙を備える。好ましくは、振動板組立体は、動作中、磁気構造に対して往復直線運動をする。好ましくは、強磁性流体のリングは、それぞれの間隙の内周部の周りに延びて、振動板を吊り下げる。好ましくは、振動板基部フレーム及び振動板は、関連付けられた周辺部のおおよそ全体の周りで、物理的に連結しない。
【0679】
いくつかの形態では、オーディオ・デバイスは、オーディオ・トランスデューサを関連付けられたハウジングの中にマウントするための、少なくとも1つのデカップリング・マウンティング・システムをさらに備える。好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、オーディオ・トランスデューサの振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間に配置されて、振動板組立体とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素に、直接的又は間接的にフレキシブルにマウントする。いくつかの形態では、デカップリング・システムは、複数のフレキシブル・マウンティング・ブロックを備える。好ましくは、マウンティング・ブロックは、第1の構成要素の外周面の周りに分布し、一方の側では第1の構成要素の外周面に、反対側では第2の構成要素の内周面に強固に連結する。
【0680】
いくつかの実施例では、振動板の外周部の、ハウジングの内部と物理的に連結しない1つ又は複数の領域は、空気間隙によってハウジングの内部から隔てられる。好ましくは、比較的小さい空気間隙が、ハウジングの内部と振動板の1つ又は複数の周辺領域とを隔てる。好ましくは、それぞれの周辺領域とハウジングとの間の距離によって定められる空気間隙の幅は、振動板の長さの1/10未満、より好ましくは1/20未満である。好ましくは、振動板の1つ又は複数の周辺領域とハウジングとの間の距離によって定められる空気間隙の幅は、1.5mm未満、またより好ましくは1mm未満、またさらに好ましくは0.5mm未満である。
【0681】
いくつかの実施例では、振動板本体と関連付けられた質量分布又は垂直応力補強材と関連付けられた質量分布又はその両方は、振動板が、振動板の1つ又は複数の比較的質量の大きい領域の質量と比べて、振動板の1つ又は複数の質量の小さい領域では比較的小さい質量を有するものである。
【0682】
好ましくは、1つ又は複数の質量の小さい領域は、振動板の質量中心位置から遠位である周辺領域にあり、1つ又は複数の質量の大きい領域は、質量中心位置又はその近位にある。
【0683】
好ましくは、質量の小さい領域は、振動板の一方の端部にあり、質量の大きい領域は、対向する端部にある。好ましくは、質量の小さい領域は、振動板の外周部全体に実質的に分布し、質量の大きい領域は、振動板の中央領域にある。
【0684】
好ましくは、垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、1つ又は複数の質量の小さい領域に配置されるものである。
【0685】
別法として、又は追加的に、振動板本体の質量分布は、振動板本体が、1つ又は複数の質量の小さい領域で比較的小さい質量を有するものである。好ましくは、振動板本体の厚さは、好ましくは質量中心位置から、1つ又は複数の質量の小さい領域に向かって先細りになることによって減少する。
【0686】
いくつかの実施例では、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサは、回転動作オーディオ・トランスデューサである。好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、トランスデューサ基部構造と、振動板をトランスデューサ基部構造に対して回転可能に接続するためのヒンジ・システムとを備える。好ましくは、振動板は、実質的に剛性の構造を有する。好ましくは、振動板は、1つ又は複数の主面に接続される、外部垂直応力補強材を有する振動板本体を備える。好ましくは、振動板は、振動板本体に埋め込まれる、内部応力補強材を備える。好ましくは、振動板は、実質的に厚い振動板本体を有する。好ましくは、振動板本体は、本体の長さに沿って実質的に先細りにされる厚さを有する。好ましくは、振動板本体の厚い基部端部は、オーディオ・トランスデューサの振動板基部フレームに強固に接続される。好ましくは、励起機構は、振動板基部フレームに強固に接続される力伝達構成要素を備える。好ましくは、力伝達構成要素は、1つ又は複数のコイルを備える。好ましくは、トランスデューサ基部構造は、動作中、力伝達構成要素がたどるチャネル内に磁界を発生させるように構成された磁気構造を備える。好ましくは、このチャネルは、磁気構造の外側ポールピースと内側ポールピースの間に形成される。好ましくは、このチャネルは、実質的に湾曲し、コイルが強固に取り付けられるトランスデューサ基部構造プレートも同様に湾曲する。
【0687】
一形態では、ヒンジ・システムは、1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備え、それぞれのヒンジ接続部は、ヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材は、接触面を有し、動作中に、それぞれのヒンジ接続部は、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体は、ヒンジ要素を接触面に向かって付勢する。好ましくは、ヒンジ・システムは、それぞれのヒンジ要素を関連付けられた接触面に向かって付勢するための付勢機構を備える。
【0688】
一構成では、付勢機構は、それぞれのヒンジ要素に対して効果的に圧縮されたばねなどの弾性部材を備える。別の代替の構成では、付勢機構は、磁界発生構造及び強磁性ヒンジ要素を備える磁気機構を備える。
【0689】
一構成では、それぞれの接触面は、少なくとも断面において実質的に凹形に湾曲し、関連付けられたそれぞれのヒンジ要素は、少なくとも断面において、実質的に凸形に湾曲した接触面を有する。好ましくは、凹形に湾曲した接触面は、凸形に湾曲した接触面より大きい曲率半径を有する。別の構成では、それぞれの接触面は、実質的に平面であり、関連付けられたヒンジ要素は、少なくとも断面において凸形に湾曲した接触面を有する。
【0690】
好ましくは、ヒンジ・システムは、振動板の左右に位置するように構成された1対のヒンジ接続部を備える。好ましくは、ヒンジ要素は、振動板に強固に接続され、接触部材は、トランスデューサ基部構造に強固に接続され、且つそこから延びる。
【0691】
さらに別の形態では、ヒンジ・システムは、少なくとも1つのヒンジ接続部を備え、それぞれのヒンジ接続部は、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部は、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素は、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備える。いくつかの構成では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、それぞれのヒンジ要素は、ねじれに対して実質的に剛性である。代替の構成では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、ねじれに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、それぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的に剛性である。
【0692】
好ましくは、オーディオ・デバイスは、オーディオ・トランスデューサを関連付けられたハウジングの中にマウントするための、少なくとも1つのデカップリング・マウンティング・システムをさらに備える。好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、オーディオ・トランスデューサの振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間に配置されて、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素に、直接的又は間接的にフレキシブルにマウントする。好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、少なくとも1つの並進軸に沿った、またより好ましくは少なくとも2つの実質的に直交する並進軸に沿った、またいっそう好ましくは3つの実質的に直交する並進軸に沿った、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する。好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、少なくとも1つの回転軸を中心にした、またより好ましくは少なくとも2つの実質的に直交する回転軸を中心にした、またいっそう好ましくは3つの実質的に直交する回転軸を中心にした、振動板とオーディオの少なくとも1つの他の部分の間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する。好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、トランスデューサ基部構造とハウジングの内部との間を接続する。好ましくは、デカップリング・システムは、トランスデューサ基部構造と関連付けられたノード軸位置又はその近位に位置するように構成された、少なくとも1つのノード軸マウントを備える。好ましくは、デカップリング・システムは、トランスデューサ基部構造と関連付けられたノード軸位置から遠位に位置するように構成された、少なくとも1つの遠位マウントを備える。好ましくは、少なくとも1つのノード軸マウントは、少なくとも1つの遠位マウントより比較的追従的でなく、且つ/又は比較的フレキシブルでない。
【0693】
いくつかの実施例では、オーディオ・デバイスは、少なくとも1つのインタフェース・デバイスを備え、それぞれのインタフェース・デバイスは、少なくとも1つのハウジングのうちの一ハウジングを備え、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサのうちの少なくとも1つを中に組み込む。好ましくは、それぞれのインタフェース・デバイスは、使用者の頭部に係合して、関連付けられたオーディオ・トランスデューサを、使用者の耳に対して配置するように構成される。好ましくは、インタフェースは、関連付けられたオーディオ・トランスデューサを、使用者の外耳道又はその近位に配置するように構成される。
【0694】
好ましくは、オーディオ・デバイスは、使用者のそれぞれの耳用の1対のインタフェース・デバイスを備える。
【0695】
一形態では、それぞれのインタフェース・デバイスは、ヘッドホン・カップである。好ましくは、それぞれのヘッドホン・カップは、使用者の耳又はその周囲に位置するように構成されたインタフェース・パッドを備える。好ましくは、このパッドは、使用時に使用者の耳の周囲に実質的なシールを生み出すための封止要素を備える。好ましくは、オーディオ・デバイスは、ヘッドホン・カップ同士の間に延び、使用時に使用者の頭部の頭頂部の周囲に位置するように構成されたヘッドバンドをさらに備える。
【0696】
別の形態では、それぞれのインタフェース・デバイスは、イヤホン・インタフェースである。好ましくは、それぞれのイヤホン・インタフェースは、使用時に使用者の外耳道、その近傍、又はその内部に位置するように構成されたインタフェース・プラグを備える。好ましくは、インタフェース・プラグは、使用者の外耳道、その近傍、又はその内部に実質的なシールを生み出すための封止要素を備える。
【0697】
一形態では、イヤホン・インタフェースは、可聴に振動板に接続され、使用者の外耳道その場のすぐ近傍に位置するように構成された、実質的に長手方向のインタフェース・チャネルを備える。好ましくは、このインタフェース・チャネルは、チャネルのスロートに、発泡体、又は他の多孔性若しくは通気性の要素などの消音用挿入物を備える。
【0698】
好ましくは、オーディオ・デバイスは、160Hzから6kHzまでの周波数帯、またより好ましくは120Hzから8kHzまでの周波数帯、またより好ましくは100Hzから10kHzまでの周波数帯、またさらに好ましくは80Hzから12kHzまでの周波数帯、また最も好ましくは60Hzから14kHzまでの周波数帯を含むFROを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサを備える。
【0699】
好ましくは、それぞれのインタフェース・デバイスは、160Hzから6kHzまでの周波数帯、またより好ましくは120Hzから8kHzまでの周波数帯、またより好ましくは100Hzから10kHzまでの周波数帯、またさらに好ましくは80Hzから12kHzまでの周波数帯、また最も好ましくは60Hzから14kHzまでの周波数帯を含むFROを集合的に有する、3つ以下のオーディオ・トランスデューサを備える。
【0700】
好ましくは、それぞれのインタフェース・デバイスは、160Hzから6kHzまでの周波数帯、またより好ましくは120Hzから8kHzまでの周波数帯、またより好ましくは100Hzから10kHzまでの周波数帯、またさらに好ましくは80Hzから12kHzまでの周波数帯、また最も好ましくは60Hzから14kHzまでの周波数帯を含むFROを集合的に有する、2つ以下のオーディオ・トランスデューサを備える。
【0701】
好ましくは、それぞれのインタフェース・デバイスは、160Hzから6kHzまでの周波数帯、またより好ましくは120Hzから8kHzまでの周波数帯、またより好ましくは100Hzから10kHzまでの周波数帯、またさらに好ましくは80Hzから12kHzまでの周波数帯、また最も好ましくは60Hzから14kHzまでの周波数帯を含むFROを有する、単一のオーディオ・トランスデューサを備える。
【0702】
好ましくは、それぞれのインタフェース・デバイスは、使用時に使用者の耳の近傍に位置するように構成されたこのインタフェースの一方の側にある内部空気空洞とこのデバイスその場の外部の空気との間に十分なシールを生み出すように構成される。
【0703】
好ましくは、それぞれのインタフェース・デバイスに関連付けられたハウジングは、第1の空洞からこのデバイスの第1の空洞の反対側に配置される第2の空洞まで、又は第1の空洞からこのデバイスの外部の空気まで、又はその両方の、少なくとも1つの流体通路を備える。
【0704】
好ましくは、それぞれの流体通路は、その場で且つ動作中、そこを流れる気体の流れを実質的に制限するための、実質的に制限的な流体通路を提供する。流体通路は、両側の空気との結合部で、小さくされた直径又は幅を有してもよく、且つ/又は流体流れ制限要素を備えてもよい。この流体流れ制限要素は、この通路又はこの通路内に配置された、多孔性若しくは通気性のカバー又は挿入物でもよい。
【0705】
いくつかの実施例では、インタフェース・デバイスは、使用時に使用者の耳の近傍に位置するように構成された、振動板の一方の側にある第1の前方空洞と、振動板の反対側にある第2の後方空洞との間に延びる第1の流体通路を備える。好ましくは、第1の流体通路は、第1の空洞及び第2の空洞の断面積に比べて実質的に小さくされた入口区域の流体通路を備える。いくつかの形態では、第1の流体通路は、ちょうど振動板の周辺部の周りに配置される。他の形態では、第1の空洞は、トランスデューサ基部構造又はハウジングの内壁部を通って配置される。
【0706】
いくつかの実施例では、インタフェース・デバイスは、第1の前方空洞から外部の空気までの第1の流体通路又は第2の流体通路を備える。いくつかの形態では、この流体通路は、近傍の空気の断面積に比べて実質的に小さくされた入口区域を備える。いくつかの他の形態では、これらの流体通路は、第1の前方空洞の断面積に対して実質的に大きい入口区域を備え、またそこを流れる気体の流れを実質的に制限する流れ制限要素を組み込む。
【0707】
いくつかの実施例では、オーディオ・デバイスは携帯電話である。
【0708】
いくつかの実施例では、オーディオ・デバイスは補聴器である。
【0709】
いくつかの実施例では、オーディオ・デバイスはマイクロホンである。
【0710】
別の態様では、本発明は、使用時に使用者の耳のそれぞれの周りに位置するように構成された1対のヘッドホン・インタフェース・デバイスを備えるヘッドホン装置であって、それぞれのインタフェース・デバイスが、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備え、
1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的には関連付けられたハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える、
ヘッドホン装置で構成されるといえる。
【0711】
別の態様では、本発明は、それぞれが使用時に使用者の外耳道の中又は近傍に位置するように構成された、1対のイヤホン・インタフェース・デバイスを備えるイヤホン装置であって、それぞれのインタフェース・デバイスが、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備え、
1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的には関連付けられたハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える、
イヤホン装置で構成されるといえる。
【0712】
別の態様では、本発明は、オーディオ・デバイスを含む携帯電話であって、このオーディオ・デバイスが、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備え、
1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的には関連付けられたハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える、
携帯電話で構成されるといえる。
【0713】
別の態様では、本発明は、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備える補聴器であって、
1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的には関連付けられたハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える、
補聴器で構成されるといえる。
【0714】
別の態様では、本発明は、
振動板と音によって生じる振動板の運動を電気オーディオ信号に変換するように構成された変換機構とを有する少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備えるマイクロホンであって、
1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的には関連付けられたハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える、
マイクロホンであるものである。
【0715】
別の態様では、本発明は、通常、使用時に使用者の頭部から約10センチメートル以内に配置される個人用オーディオ用途で使用する個人用オーディオ・デバイスであって、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備え、
1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板が、関連付けられたハウジングの内部と実質的に完全に物理的に連結していない、
個人用オーディオ・デバイスで構成される。
【0716】
別の態様では、本発明は、通常、使用時に使用者の頭部から約10センチメートル以内に配置される個人用オーディオ用途で使用する個人用オーディオ・デバイスであって、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備え、
少なくとも1つのハウジングと関連付けられた少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサが、振動板の外周部をハウジングに連結するサスペンションを備え、
サスペンションが、ごく部分的に、振動板を周辺部の周長の周りで連結する、
個人用オーディオ・デバイスで構成される。
【0717】
好ましくは、このサスペンションは、周辺部の周長の80%未満の長さに沿って振動板を連結する。より好ましくは、このサスペンションは、周辺部の周長の50%未満の長さに沿って振動板を連結する。最も好ましくは、このサスペンションは、周辺部の周長の20%未満の長さに沿って振動板を連結する。
【0718】
サスペンションは、たとえば固体のサラウンドや封止要素でもよい。
【0719】
別の態様では、本発明は、使用者の耳その場の甲介の中に配置されるように構成された少なくとも1つのイヤホン・インタフェース・デバイスを備えるイヤホン装置であって、それぞれのイヤホン・インタフェース・デバイスが、
振動板と、使用時に電子信号に応答して振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、使用時に使用者の耳の甲介内に保持されるように構成されたハウジングを備え、
オーディオ・トランスデューサの振動板が、ハウジングの内部と物理的に連結しない、振動板の外周部の1つ又は複数の周辺領域を備え、
比較的小さい空気間隙が、ハウジングの内部と振動板のこの1つ又は複数の周辺領域を隔てる、
イヤホン装置で構成されるともいえる。
【0720】
好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
【0721】
好ましくは、それぞれの周辺領域とハウジングの間の距離によって定められる空気間隙の幅は、振動板の長さの1/10未満、より好ましくは1/20未満である。
【0722】
好ましくは、振動板の1つ又は複数の周辺領域とハウジングの間の距離によって定められる空気間隙の幅は、1.5mm未満、またより好ましくは1mm未満、またさらに好ましくは0.5mm未満である。
【0723】
好ましくは、ハウジングは、使用時に振動板の運動によって発生する音を使用者の外耳道に伝えるための1つ又は複数の開口を備える。
【0724】
好ましくは、1つ又は複数の開口は、このデバイスがその場にあるとき、使用者の甲介の内側に配置されるように構成される。別法として、1つ又は複数の開口は、このデバイスがその場にあるとき、使用者の外耳道の内側に配置されるように構成される。
【0725】
いくつかの実施例では、ハウジングは、外耳道の中に入っている空気及び前記外耳道その場の外側の空気を実質的に封止しない。好ましくは、ハウジングは、使用者の外耳道その場の周辺部の周りに実質的に連続的なシールを提供しない。好ましくは、ハウジングは、使用者の外耳道その場の周辺部に対して実質的に連続的な圧力を付与しない。
【0726】
好ましくは、ハウジングは、70ヘルツの周囲の音の1デシベル(dB)未満、又は2dB未満、又は3dB未満、又は6dB未満のパッシブ減衰を生じさせる程度まで、使用者の外耳道その場への開口を塞ぐ。
【0727】
別法として、又は追加的に、ハウジングは、120ヘルツの周囲の音の1デシベル(dB)未満、又は2dB未満、又は3dB未満、又は6dB未満のパッシブ減衰を生じさせる程度まで、使用者の外耳道その場への開口を塞ぐ。
【0728】
別法として、又は追加的に、ハウジングは、400ヘルツの周囲の音の1デシベル(dB)未満、又は2dB未満、又は3dB未満、又は6dB未満のパッシブ減衰を生じさせる程度まで使用者の外耳道その場への開口を塞ぐ。
【0729】
一実施例では、それぞれのイヤホン・インタフェース・デバイスは、160Hzから6kHzまでの周波数帯、またより好ましくは120Hzから8kHzまでの周波数帯、またより好ましくは100Hzから10kHzまでの周波数帯、またさらに好ましくは80Hzから12kHzまでの周波数帯、また最も好ましくは60Hzから14kHzまでの周波数帯を含むFROを有する、1つのオーディオ・トランスデューサを備える。
【0730】
好ましくは、イヤホン装置は、使用者の耳の中に位置して音を再生するように構成される、1対のイヤホン・インタフェース・デバイスを備える。好ましくは、イヤホン・インタフェース・デバイスは、少なくとも2つの独立したオーディオ信号を再生するように構成される。
【0731】
好ましくは、FROは、Hammershoi及びMollerによって2008年に提案された「ディフューズ・フィールド」基準に対して20dBを上回る、またより好ましくは14dBを上回る、またさらに好ましくは10dBを上回る、また最も好ましくは6dBを上回る持続的な音圧の降下なしに再生される。
【0732】
好ましくは、FROは、帯域幅の限界で、2008年にHammershoi及びMollerによって提案された「ディフューズ・フィールド」基準に対して20dBを上回る、またより好ましくは14dBを上回る、またさらに好ましくは10dBを上回る、また最も好ましくは6dBを上回る音圧の降下なしに再生される。
【0733】
第2の実施例では、それぞれのイヤホン・インタフェース・デバイスは、2つ以下のオーディオ・トランスデューサを備えて、160Hzから6kHzまでの周波数帯、またより好ましくは120Hzから8kHzまでの周波数帯、またより好ましくは100Hzから10kHzまでの周波数帯、またさらに好ましくは80Hzから12kHzまでの周波数帯、また最も好ましくは60Hzから14kHzまでの周波数帯を含むFROを集合的に有する。
【0734】
第3の実施例では、それぞれのイヤホン・インタフェース・デバイスは、160Hzから6kHzまでの周波数帯、またより好ましくは120Hzから8kHzまでの周波数帯、またより好ましくは100Hzから10kHzまでの周波数帯、またさらに好ましくは80Hzから12kHzまでの周波数帯、また最も好ましくは60Hzから14kHzまでの周波数帯を含むFROを集合的に有する、3つ以下のオーディオ・トランスデューサを備える。
【0735】
別の態様では、本発明は、通常、使用時に使用者の頭部から約10センチメートル以内に配置される個人用オーディオ用途で使用する個人用オーディオ・デバイスであって、
振動板と、振動板に接続されたヒンジ組立体と、使用時に電子信号に応答して実質的な回転運動を振動板に付与する励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備えるハウジングを備え、
オーディオ・トランスデューサの振動板が、動作中に実質的な剛性を保つ、
個人用オーディオ・デバイスで構成されるともいえる。
【0736】
好ましくは、振動板は、動作中、トランスデューサのFROにわたり、実質的な剛性を保つ。
【0737】
好ましくは、振動板は、ハウジングの内部と物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を備える。好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
【0738】
好ましくは、振動板は、振動板本体の最大寸法に対して実質的に厚い振動板本体を備える。好ましくは、振動板本体の最大厚さは、振動板本体の最大長さの11%より大きく、またさらに好ましくは、この最大長さの14%より大きい。
【0739】
いくつかの実施例では、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板は、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体の面又はその近傍で受ける圧縮−引張応力に抵抗する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、前記主面のうちの少なくとも1つに対してある角度で向けられ、動作中に本体が受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材とを備える。
【0740】
一形態では、ヒンジ・システムは、1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備え、それぞれのヒンジ接続部は、ヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材は、接触面を有し、動作中に、それぞれのヒンジ接続部は、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体は、ヒンジ要素を接触面に向かって付勢する。好ましくは、ヒンジ・システムは、それぞれのヒンジ要素を関連付けられた接触面に向かって付勢するための付勢機構を備える。
【0741】
さらに別の形態では、ヒンジ・システムは、少なくとも1つのヒンジ接続部を備え、それぞれのヒンジ接続部は、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部は、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素は、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備える。いくつかの構成では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、それぞれのヒンジ要素は、ねじれに対して実質的に剛性である。代替の構成では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、ねじれに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、それぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的に剛性である。
【0742】
別の態様では、本発明は、通常、使用時に使用者の頭部から約10センチメートル以内に配置される個人用オーディオ用途で使用する個人用オーディオ・デバイスであって、
振動板と、トランスデューサ基部構造と、振動板をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続するヒンジ組立体と、使用時に電子信号に応答して、実質的な回転運動を振動板本体に付与する励起機構とを有するオーディオ・トランスデューサを備え、ヒンジ・システムが、少なくとも1つのヒンジ接続部を備え、それぞれのヒンジ接続部が、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部が、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素が、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備える、
個人用オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0743】
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、それぞれのヒンジ要素は、ねじれに対して実質的に剛性である。
【0744】
代替の実施例では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、ねじれに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、それぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的に剛性である。
【0745】
別の態様では、本発明は、通常、使用時に使用者の頭部から約10センチメートル以内に配置される個人用オーディオ用途で使用する個人用オーディオ・デバイスであって、
振動板と、トランスデューサ基部構造と、振動板組立体をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続するヒンジ・システムと、使用時に電子信号に応答して、実質的な回転運動を振動板に付与する励起機構とを有するオーディオ・トランスデューサを備え、ヒンジ・システムが、1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備え、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材が、接触面を有し、動作中に、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体が、ヒンジ要素を接触面に向かって付勢する、
個人用オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0746】
別の態様では、本発明は、実質的に使用者の耳その場の甲介の中又は近傍に配置されるように構成されたイヤホン・インタフェース・デバイスであって、
振動板本体を備える振動板と、振動板に接続されるヒンジ組立体と、使用時に電子信号に応答しておおよその回転軸を中心にした実質的な回転運動を振動板本体に付与する励起機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備えるハウジングを備え、
オーディオ・トランスデューサの振動板本体が、動作中、実質的に剛性であり、
オーディオ・トランスデューサの振動板本体が、少なくとも1つの領域において、回転軸から振動板本体の最遠位周辺部までの距離の約15%より大きい厚さを有する、イヤホン・インタフェース・デバイスで構成されるともいえる。より好ましくは、この厚さは、この総距離の約20%より大きい。
【0747】
別の態様では、本発明は、使用者の耳その場の甲介の中に配置されるように構成されたイヤホン・インタフェース・デバイスであって、
振動板と、振動板に接続されたヒンジ組立体と、使用時に電子信号に応答して実質的な回転運動を振動板に付与する励起機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備えるハウジングを備え、
オーディオ・トランスデューサの振動板が、オーディオ・トランスデューサの動作中、実質的に剛性であり、
オーディオ・トランスデューサの励起機構の、関連付けられた振動板に連結される部分が、強固に連結される、
イヤホン・インタフェース・デバイスで構成されるともいえる。
【0748】
別の態様では、本発明は、使用者の耳その場の甲介の中に配置されるように構成されたイヤホン・インタフェース・デバイスであって、
振動板と、振動板に接続されたヒンジ組立体と、使用時に電子信号に応答して実質的な回転運動を振動板に付与する励起機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを格納するためのエンクロージャ又はバッフルを備えるハウジングを備え、
オーディオ・トランスデューサの振動板が、オーディオ・トランスデューサの動作中、実質的に剛性であり、
オーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的にはハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える、
イヤホン・インタフェース・デバイスで構成されるともいえる。
【0749】
別の態様では、本発明は、通常、使用時に使用者の頭部から約10センチメートル以内に配置される個人用オーディオ用途で使用する個人用オーディオ・デバイスであって、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板本体を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備えるハウジングを備え、
オーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的にはハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備え、
オーディオ・デバイスが、使用時に使用者の耳の近傍に位置するように構成されたこのデバイスの一方の側の内部空気空洞とこのデバイスその場の外部の空気との間に十分なシールを生み出し、
オーディオ・トランスデューサと関連付けられたエンクロージャ又はバッフルが、第1の空洞からデバイスの第1の空洞の反対側に配置される第2の空洞まで、又は第1の空洞からデバイスの外部の空気まで、又はその両方の、少なくとも1つの流体通路を備える、
個人用オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0750】
好ましくは、振動板は、ハウジングの内部と物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を備える。好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
【0751】
好ましくは、それぞれの流体通路は、その場で且つ動作中、そこを流れる気体の流れを実質的に制限するための、実質的に制限的な流体通路を提供する。流体通路は、両側の空気との結合部で直径又は幅が小さくされたアパーチャを備えてもよく、且つ/又は流体流れ制限要素を備えてもよい。この流体流れ制限要素は、この通路又はこの通路内に配置された、多孔性若しくは通気性のカバー又は挿入物でもよい。
【0752】
いくつかの実施例では、インタフェース・デバイスは、使用時に使用者の耳の近傍に位置するように構成された、振動板の一方の側にある第1の前方空洞と、振動板の反対側にある第2の後方空洞との間に延びる第1の流体通路を備える。好ましくは、第1の流体通路は、第1の空洞及び第2の空洞の断面積に比べて実質的に小さくされた入口区域のアパーチャを備える。いくつかの形態では、第1の流体通路は、振動板の周辺部のすぐ周りに配置される。他の形態では、第1の空洞は、トランスデューサ基部構造又はハウジングの内壁部を通って配置される。
【0753】
いくつかの実施例では、インタフェース・デバイスは、第1の前方空洞から外部の空気までの第1の流体通路又は第2の流体通路を備える。いくつかの形態では、この流体通路は、近傍の空気の断面積に比べて実質的に小さくされた入口区域を備える。いくつかの他の形態では、これらの流体通路は、第1の前方空洞の断面積に対して実質的に大きい入口区域を備え、そこを流れる気体の流れを実質的に制限する流れ制限要素も組み込む。
【0754】
いくつかの実施例では、インタフェース・デバイスは、後方空洞から外部の空気までの第1の流体通路又は第2の流体通路を備える。いくつかの形態では、この流体通路は、近傍の空気の断面積に比べて実質的に小さくされた入口区域を備える。いくつかの他の形態では、これらの流体通路は、第1の前方空洞の断面積に対して実質的に大きい入口区域を備え、そこを流れる気体の流れを実質的に制限する流れ制限要素も組み込む。
【0755】
いくつかの実施例では、1つ又は複数の流体通路は、デバイスの外耳道側の第1の前方空洞を、中に振動板を組み込まない第2の空洞に流体的に連結できる。
【0756】
好ましくは、オーディオ・デバイスは、デバイスの外耳道側の空気とデバイスその場の外部の側の空気との間に十分なシールを生み出し、デバイスその場の外耳道側内に封入される空気は十分に少なく、その結果、外耳道の内側で発生する音圧は、デバイスの動作中\オーディオ・デバイスがその場に十分なシールを生み出していないときに発生する音圧に比べて、平均して少なくとも2dB、またより好ましくは4dB、また最も好ましくは少なくとも6dB増加する。
【0757】
好ましくは、オーディオ・デバイスは、デバイスの外耳道側の空気とデバイスその場の外部の側の空気との間に十分なシールを生み出し、デバイスその場の外耳道側内に封入される空気は十分に少なく、その結果、70Hzの正弦波の電気的入力が与えられた場合、外耳道の内側で発生する音圧は、オーディオ・デバイスがその場に十分なシールを生み出していないとき同じ電気的入力が与えられた場合に発生する音圧に比べて、少なくとも2dB、またより好ましくは4dB、また最も好ましくは少なくとも6dB増加する。
【0758】
好ましくは、前記空気漏れは、実質的に単一の構成要素内に形成される。より好ましくは、これらは完全に単一の構成要素内に形成される。[これはメッシュを含むか?(含みたい。)理由は、対合する面同士の間で、漏れが非常に容易に起こり得るからであるが、これらでは、製造中、公差を制御することが困難である。]
【0759】
#251好ましくは、少なくとも1つの空気漏れ通路は、小さい穴及び/又は細かいメッシュ及び/又は空気間隙を備える。
【0760】
いくつかの実施例では、前記流体通路のうちの1つは、直径が約0.5mm未満、またより好ましくは約0.1mm未満、また最も好ましくは約0.03mm未満である1つ又は複数のアパーチャを備える。
【0761】
好ましくは、前記流体通路は、十分な気体がそこを通って流れることを可能にし、その結果、これらの流体通路が、デバイスの動作中、20Hz〜80Hzの周波数範囲にわたり、オーディオ・デバイスが標準的な測定デバイスに据え付けられている時間の少なくとも50%で、漏れがわずかであるときに発生する音圧に対して、平均して、集合的に少なくとも10%、またより好ましくは少なくとも25%、またいっそう好ましくは少なくとも50%、また最も好ましくは少なくとも75%の、音圧レベル(SPL)減少の要因になる(SPL(すなわちdB)と周波数領域の両方において、平均値は対数スケール加重(log−scale weighting)を使用して計算される)。
【0762】
好ましくは、前記空気漏れ通路は、十分な空気を漏らし、その結果、これらの空気漏れ通路は、70Hzの正弦波でのデバイスの動作中、オーディオ・デバイスが標準的な測定デバイスに据え付けられている時間の少なくとも50%で、漏れがわずかであるときに発生する音圧に対して、集合的に少なくとも10%、またより好ましくは少なくとも25%、またいっそう好ましくは少なくとも50%、また最も好ましくは少なくとも75%の、SPL減少の要因になる。
【0763】
好ましくは、オーディオ・デバイスが、無作為に選択された聴取者に、同じ聴取者によって装着されるとき、平均して、(デバイス周辺部内の)前記空気漏れ通路は、十分な空気を漏らし、その結果、これらの空気漏れ通路は、デバイスの動作中、20Hz〜80Hzの周波数範囲にわたり、動作中に前記空気漏れ通路を通る漏れがわずかであるときに発生する音圧に対して、集合的に少なくとも0.5dB、より好ましくは1dB、いっそう好ましくは2dB、さらに好ましくは4dB、最も好ましくは6dBの、SPL減少の要因になる(SPL(すなわちdB)と周波数領域の両方において、平均値は対数スケール加重を使用して計算される)。
【0764】
好ましくは、オーディオ・デバイスが、無作為に選択された聴取者に、同じ聴取者によって装着されるとき、平均して、(デバイス周辺部内の)前記空気漏れ通路は、十分な空気を漏らし、その結果、これらの空気漏れ通路は、70Hzの正弦波でのデバイスの動作中、動作中に前記空気漏れ通路を通る漏れがわずかであるときに発生する音圧に対して、集合的に少なくとも0.5dB、より好ましくは少なくとも1dB、いっそう好ましくは少なくとも2dB、さらに好ましくは少なくとも4dB、最も好ましくは少なくとも6dBの、SPL減少の要因になる。
【0765】
好ましくは、流体通路は、振動板の主面の最短の距離より長い距離にわたって、より好ましくは振動板の主面の最短の距離より50%を超えて長い距離にわたって、最も好ましくは振動板の主面の最短の距離の2倍より長い距離にわたって分布する。
【0766】
好ましくは、オーディオ・デバイスは、その場の耳を越える、且つ/又はその耳の周りの、頭部の1つ又は複数の部分に圧力をかけるように構成されたインタフェースを備える。
【0767】
好ましくは、オーディオ・デバイスは、160Hzから6kHzまでの周波数帯、またより好ましくは120Hzから8kHzまでの周波数帯、またより好ましくは100Hzから10kHzまでの周波数帯、またさらに好ましくは80Hzから12kHzまでの周波数帯、また最も好ましくは60Hzから14kHzまでの周波数帯を含むFROを有する。
【0768】
いくつかの実施例では、オーディオ・デバイスは、追従的インタフェースを備え、オーディオ・デバイスはそこで耳又は頭部の耳の近くの部分と接触する。
【0769】
好ましくは、追従的インタフェースは、通気性があり、オーディオ周波数での空気の運動に著しく抵抗する効果を有する、複数の小さい開口を備える。
【0770】
好ましくは、追従的インタフェースは、連続気泡発泡体から構成される。
【0771】
好ましくは、小さい開口は、デバイスの外耳道側で、その場の空気が、追従的インタフェースの小さい開口に流体的に連結されるように構成される。
【0772】
好ましくは、追従的インタフェースは、デバイスの外耳道側でその場の空気に流体的に連結される、1つ又は複数の部分を覆う通気性のある布を備える。
【0773】
好ましくは、追従的インタフェースは、デバイスの外部の側の空気が接触可能な1つ又は複数の部分を覆う、実質的に通気性のない布を備える。
【0774】
いくつかの実施例では、オーディオ・デバイスは、複数のオーディオ・トランスデューサを備えてもよい。
【0775】
別の態様では、本発明は、通常、使用時に使用者の頭部から約10センチメートル以内に配置される個人用オーディオ用途で使用する個人用オーディオ・デバイスであって、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備え、
1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板が、関連付けられたハウジングの内部と物理的に連結しない外周部の1つ又は複数の周辺領域を備え、
ハウジングの内部と物理的に連結しない振動板の1つ又は複数の周辺領域が、強磁性流体によって支持される、
個人用オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
【0776】
好ましくは、強磁性流体は、その場の振動板を著しく支持する。
【0777】
別の態様では、本発明は、使用時に使用者の耳のそれぞれの周りに位置するように構成された1対のヘッドホン・インタフェース・デバイスを備えるヘッドホン装置であって、それぞれのインタフェース・デバイスが、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備え、
1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板が、関連付けられたハウジングの内部と物理的に連結しない外周部の1つ又は複数の周辺領域を備え、
ハウジングの内部と物理的に連結しない振動板の1つ又は複数の周辺領域が、強磁性流体によって支持される、
ヘッドホン装置で構成されるといえる。
【0778】
別の態様では、本発明は、それぞれが使用時に使用者の外耳道の中又は近傍に位置するように構成された、1対のイヤホン・インタフェース・デバイスを備えるイヤホン装置であって、それぞれのインタフェース・デバイスが、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備え、
1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板が、関連付けられたハウジングの内部と物理的に連結しない外周部の1つ又は複数の周辺領域を備え、
ハウジングの内部と物理的に連結しない振動板の1つ又は複数の周辺領域が、強磁性流体によって支持される、
イヤホン装置で構成されるといえる。
【0779】
好ましくは、この強磁性流体は、強磁性流体によって支持されるこの1つ又は複数の周辺領域を封止し、又はそれと直接的に接触し、その結果、この強磁性流体が、実質的にそれらの間の空気の流れを防止する。
【0780】
一形態では、イヤホン・インタフェースは、可聴に振動板に接続され、使用者の外耳道その場のすぐ近傍に位置するように構成された、実質的に長手方向のインタフェース・チャネルを備える。好ましくは、このインタフェース・チャネルは、チャネルのスロートに、発泡体、又は他の多孔性若しくは通気性の要素などの消音用挿入物を備える。
【0781】
上の実施例又は好ましい特徴のうちの任意の1つ又は複数は、上の態様の任意の1つ又は複数と組み合わせられてもよい。
【0782】
本発明の他の態様、実施例、特徴及び利点は、本発明の原理を一例として示す、詳細な説明及び添付図面から明らかになろう。
【0783】
定義
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「オーディオ・トランスデューサ」という語句は、スピーカなどの電気音響トランスデューサ、又はマイクロホンなどの音響電気トランスデューサを包含するものである。パッシブ・ラジエータは、厳密にいえばトランスデューサではないが、本明細書では、「オーディオ・トランスデューサ」という用語は、その定義の中にパッシブ・ラジエータも含むことを企図される。
【0784】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「力伝達構成要素」という語句は、関連付けられた変換機構の部材を意味し、ここでは
a)変換機構が電気エネルギーを音エネルギーに変換するように構成されるとき、変換機構の振動板を駆動する力が発生し、又は
b)変換機構が音エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成される場合、この部材の物理的運動が、力伝達構成要素によって振動板に与えられる力の変化をもたらす。
【0785】
トランスデューサ又はデバイスに関連して本明細書及び特許請求の範囲で使用される「個人用オーディオ」という語句は、オーディオ再生用に作動可能であり、オーディオ再生中、使用者の耳又は頭部から約10cm以内などの、使用者の耳又は頭部のすぐ近くで利用するためのものであり且つ/又はそれ専用である、スピーカ・トランスデューサ又はスピーカ・デバイスを意味する。個人用オーディオ・トランスデューサ又は個人用オーディオ・デバイスの実例には、ヘッドホン、イヤホン、補聴器、携帯電話などが含まれる。
【0786】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「備えている(comprising)」という用語は、「少なくとも部分的には〜から構成されている」を意味する。「備えている」という用語を含む本明細書及び特許請求の範囲のそれぞれの記述を解釈するとき、それ以外の特徴もこの用語で始まる特徴も存在し得る。「備える(“comprise”and“comprises”)」などの関連する用語は、同じように解釈されるべきである。
【0787】
本明細書において、「及び/又は」という用語は、「及び」、「又は」、又はその両方を意味する。
【0788】
本明細書において、名詞に続く「(s)」は、その名詞の複数形及び/又は単数形を意味する。
【0789】
数値範囲
本明細書に開示される数の範囲の参照(たとえば1〜10)は、その範囲内のすべての有理数又は無理数(たとえば1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9及び10)、並びにその範囲内の有理数又は無理数の任意の範囲(たとえば、2〜8、1.5〜5.5及び3.1〜4.7)の参照も組み込むことが企図されており、したがって、これにより、本明細書に明確に開示されているすべての範囲のすべてのサブ範囲が明確に開示される。これらは、特に企図されるもののほんの実例にすぎず、列挙される最低値と最高値の間の数値の考えられるすべての組合せが、本明細書に同様に明確に記載されていると考えられるべきである。
【0790】
作動周波数範囲
所与のオーディオ・トランスデューサに関連して本明細書及び特許請求の範囲で使用される「作動周波数範囲」という語句(本明細書ではFROとも呼ばれる)は、音響工学の、知識のある当業者によって決定されることになる、トランスデューサのオーディオ関連FROを意味することを企図され、任意選択で、外部のハードウェア又はソフトウェア・フィルタリングの任意のアプリケーションを含む。したがって、FROは、トランスデューサの構成によって決定される作動範囲である。
【0791】
関連技術の知識のある当業者には理解されるように、トランスデューサのFROは、以下の説明のうちの1つ又は複数に従って決定され得る。
1.完全なスピーカ・システム、又はオーディオ再生システム、又はヘッドホン、イヤホン若しくは補聴器などの個人用オーディオ・デバイスの文脈では、FROは、音圧レベル(SPL)が、このシステム全体が500Hz〜2000Hzの周波数帯にわたって生み出す平均のSPL(SPL(すなわちdB)と周波数領域の両方において、平均値は対数スケール加重を使用して計算される)を上回る、又は9dB以内の範囲でそれを下回る(応答が9dBを下回って降下する任意の狭帯域を除く)、20Hz〜20kHzである可聴帯域幅の範囲内の周波数範囲であり、このデバイスが、正確なオーディオ再生用に設計される場合、又はこのデバイスが、聴覚機能強化やノイズキャンセルなどの別の目的のために設計されるなどの他の場合では、FROは、この技術の知識のある1人又は複数の当業者によって決定されることになる。このスピーカ・システムなどが、通常の個人用オーディオ・デバイスである場合、SPLは、たとえば
図Fに示されるHammershoi及びMollerの「ディフューズ・フィールド」目標基準に対して相対的に測定されるべきである。
2.スピーカ・システム又はオーディオ再生システムの一部として作動可能に据え付けられるスピーカ・ドライバの文脈では、FROは、トランスデューサが発生させる音が、ポート又はパッシブ・ラジエータなどを介して直接的又は間接的に、スピーカ又はオーディオ再生システムの前記システムのFROの範囲内のオーディオ再生の全SPLに著しく寄与する、周波数範囲である。
3.スピーカ・システム又はオーディオ再生システムの一部として作動可能に据え付けられるパッシブ・ラジエータの文脈では、FROは、パッシブ・ラジエータが発生させる音が、スピーカ又はオーディオ再生システムの前記システムのFROの範囲内のオーディオ再生の全音圧レベル(SPL)に著しく寄与する、周波数範囲である。
4.マイクロホンの文脈では、FROは、トランスデューサが、このトランスデューサが一構成要素である(モノ・チャネル)録音デバイス全体によって録音されている帯域幅の範囲内のオーディオ録音の、リアルタイムで発生する、又は事後録音で発生するものである、システム内の1つ又は複数のトランスデューサによって発生する音の量を変える任意のアクティブ・クロスオーバー及び/又はパッシブ・クロスオーバー・フィルタリングで測定される全レベルに、直接的又は間接的に著しく寄与する、周波数範囲である。
5.関連付けられたトランスデューサが、スピーカ・システム又はオーディオ再生システム又はマイクロホンの一部として作動可能に据え付けられていない場合、FROは、関連技術の知識のある当業者が判断して、トランスデューサが、適切な作動をするために適当であると考えられる帯域幅である。
トランスデューサが使用者の耳から約5〜10cm以内に配置される、声の再生のための携帯電話トランスデューサの文脈では、FROは、この声の再生のケースにおいて通常適用されるオーディオ帯域幅であると考えられる。
【0792】
語句FROの解釈を含む上記一式に関して、それぞれの解釈において言及される周波数範囲は、関連するカテゴリのスピーカ又はマイクロホン・システムを測定する産業界で認められた通常の方法を使用して決定又は測定されるべきである。一実例として、通常のホーム・オーディオ用床置き型スピーカ・システムによって発生するSPLを測定する、産業界で認められた通常の方法に関して、測定はツイータ軸(tweeter−axis)で行われ、無響周波数応答(anechoic frequency response)は、システム内のすべてのドライバ及び任意の共振器を適切に合計することによって求められる距離で、2.83VRMSの励起信号を用いて測定される。この距離は、ソースの最大寸法の3倍で始まる、以下に述べられる窓を掛けられた(windowed)測定を連続的に行い、応答のずれが明らかになる一段階前まで、測定距離を次第に短くすることによって決定される。
【0793】
システム内の特定のドライバのFROの下限は、ハイパス・アクティブ及び/又はパッシブ・クロスオーバーによって、且つ/又はソース信号の任意の適用可能なプレフィルタリングによって、且つ/又はドライバの組合せの低周波数ロールオフ特性によって、且つ/又は任意の関連付けられた共振器(たとえば、ポート又はパッシブ・ラジエータなどであり、前記共振器は前記ドライバと関連付けられる)によって発生する−6dBハイパス・ロールオフ周波数、或いはシステムのFROの下限の、これら2つのいずれか高い方の周波数である。
【0794】
通常、システム内の特定のドライバのFROの上限は、ローパス・アクティブ及び/又はパッシブ・クロスオーバーによって、且つ/又は他のフィルタリングによって、且つ/又はソース信号の任意の適用可能なプレフィルタリングによって、且つ/又はドライバの組合せの高周波数ロールオフ特性によって発生する−6dBローパス・ロールオフ周波数、或いはシステムのFROの上限の、これら2つのいずれか低い方の周波数である。
【0795】
通常のヘッドホン測定機器は、標準的なヘッド・アコースティック・シミュレータの使用を含むことになる。
【0796】
本発明は、前述のもので成り立っており、以下で単に実例を示すものである構成も想定する。本発明の別の態様及び利点は、次の説明から明らかになろう。
【0797】
本発明の好ましい実施例は、単に実例によって且つ以下の図面を参照して説明される。