【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、熱可塑性材料用組成物であって、
−0重量%から70重量%、優先的には20重量%から60重量の%強化用短繊維、
−30重量%から100重量%、優先的には40重量%から80重量%の、少なくとも1種の半結晶性ポリアミドポリマーをベースとする熱可塑性マトリクス、
−0から50%の添加剤および/または他のポリマー
を含み、前記半結晶性ポリアミドポリマーは、
a)前記半結晶性ポリアミドポリマーの前駆体である少なくとも1種の反応性ポリアミドプレポリマーを含むか、もしくは該プレポリマーからなる反応性組成物、
または、a)の代替として、
b)少なくとも1種のポリアミドポリマーの非反応性組成物であって、上で定義した熱可塑性マトリクスの組成物である、非反応性組成物、
であり、前記組成物a)の反応性ポリアミドプレポリマーおよび前記組成物b)のポリアミドポリマーが、少なくとも1種のBACT/XTコポリアミドを含むか、または少なくとも1種のBACT/XTコポリアミドからなり、
−BACTが、20%から70%、好ましくは25%から60%、より優先的には35%から55%の範囲のモル含量で存在するアミド単位を含む単位であり、BACが、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキシル(1,3−BAC)、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキシル(1,4−BAC)およびこれらの混合物から選択され、Tがテレフタル酸であり、
−XTが、30%から80%、好ましくは40%から75%、より優先的には45%から65%の範囲のモル含量で存在するアミド単位を含む単位であり、Xが、C
9からC
18、好ましくはC
9、C
10、C
11およびC
12、優先的にはC
10、C
11およびC
12の直鎖脂肪族ジアミンであり、Tがテレフタル酸であり、
−BACT単位および/またはXT単位において、相互に独立して、ジカルボン酸の全量に対して、30mol%まで、好ましくは20mol%まで、特に10mol%までのテレフタル酸を、6から36個の炭素原子、特に6から14個の炭素原子を含む他の芳香族、脂肪族または脂環式ジカルボン酸によって置換可能であり、
−BACT単位および/またはXT単位において、相互に独立に、ジアミンの全量に対して、30mol%まで、好ましくは20mol%まで、特に10mol%までのBACおよび/または適切な場合にはXを、4から36個の炭素原子、特に6から12個の炭素原子を含む他のジアミンと置換可能であり、
−コポリアミドにおいて、モノマーの全量に対して、30mol%以下、好ましくは20mol%以下、好ましくは10mol%以下を、ラクタムまたはアミノカルボン酸によって形成することができ、
−テレフタル酸、BACおよびXを置換するモノマーの合計が、コポリアミドで使用されるモノマーの全量に対して30mol%、好ましくは20mol%、好ましくは10mol%の濃度を超えないことを条件とし、
−BACT単位およびXT単位が、前記ポリアミドポリマー中に常に存在することを条件とする、
熱可塑性材料用組成物に関する。
【0018】
前記半結晶性ポリアミドポリマーは結果的に、熱可塑性マトリクスの基礎を形成する半結晶性ポリアミドポリマーであり、前記熱可塑性マトリクスは
ジ−NH
2もしくはジ−CO
2H末端基を有する別のポリアミドプレポリマーとそれぞれ反応して、前記半結晶性ポリアミドポリマーを得ることができる、ジ−NH
2もしくはジ−CO
2H末端基を有するポリアミドプレポリマー、
またはこれ自体と反応して前記半結晶性ポリアミドポリマーを得ることができる、NH
2およびCO
2H末端基を有するプレポリマー、
または鎖延長剤と反応して前記半結晶性ポリアミドポリマーを得ることができる、プレポリマー
に相当する反応性組成物a)から得られることがあるか、
または半結晶性ポリアミドポリマーが既に非反応性組成物b)中に存在する。
【0019】
即ち、本発明は、熱可塑性材料用組成物であって、
−0重量%から70重量%、優先的には20重量%から60重量%の強化用短繊維、
−30重量%から100重量%、優先的には40重量%から80重量%の、少なくとも1種の半結晶性ポリアミドポリマーをベースとする熱可塑性マトリクス、
−0から50%の添加剤および/または他のポリマー
を含み、前記熱可塑性マトリクスは、
a)前記半結晶性ポリアミドポリマーの前駆体である少なくとも1種の反応性ポリアミドプレポリマーを含むか、もしくは該プレポリマーからなる反応性組成物、
または、a)の代替として、
b)少なくとも1種のポリアミドポリマーの非反応性組成物であって、上で定義した熱可塑性マトリクスの組成物である、非反応性組成物、
であり、
前記組成物a)の反応性ポリアミドプレポリマーおよび前記組成物b)のポリアミドポリマーが、少なくとも1種のBACT/XTコポリアミドを含むか、または少なくとも1種のBACT/XTコポリアミドからなり、
−BACTが、20%から70%、好ましくは25%から60%、より優先的には35%から55%の範囲のモル含量で存在するアミド単位を含む単位であり、BACが、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキシル(1,3−BAC)、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキシル(1,4−BAC)およびこれらの混合物から選択され、Tがテレフタル酸であり、
−XTが、30%から80%、好ましくは40%から75%、より優先的には45%から65%の範囲のモル含量で存在するアミド単位を含む単位であり、Xが、C
9からC
18、好ましくはC
9、C
10、C
11およびC
12、優先的にはC
10、C
11およびC
12の直鎖脂肪族ジアミンであり、Tがテレフタル酸であり、
−BACT単位および/またはXT単位において、相互に独立して、ジカルボン酸の全量に対して、30mol%まで、好ましくは20mol%まで、特に10mol%までのテレフタル酸を、6から36個の炭素原子、特に6から14個の炭素原子を含む他の芳香族、脂肪族または脂環式ジカルボン酸によって置換可能であり、
−BACT単位および/またはXT単位において、相互に独立に、ジアミンの全量に対して、30mol%まで、好ましくは20mol%まで、特に10mol%までのBACおよび/または適切な場合にはXを、4から36個の炭素原子、特に6から12個の炭素原子を含む他のジアミンと置換可能であり、
−コポリアミドにおいて、モノマーの全量に対して、30mol%以下、好ましくは10mol%以下を、ラクタムまたはアミノカルボン酸によって形成することができ、
−テレフタル酸、BACおよびXを置換するモノマーの合計が、コポリアミドで使用されるモノマーの全量に対して30mol%、好ましくは10mol%の濃度を超えないことを条件とし、
−BACT単位およびXT単位が前記ポリアミドポリマー中に常に存在することを条件とする、
熱可塑性材料用組成物に関する。
【0020】
「前記組成物a)の反応性ポリアミドプレポリマーおよび前記組成物b)のポリアミドポリマーは、少なくとも1種のBACT/XTコポリアミドを含むか、または少なくとも1種のBACT/XTコポリアミドからなり」という表現は、前記組成物a)の反応性ポリアミドプレポリマーもしくは前記組成物b)のポリアミドポリマーが上で定義したそれぞれの割合でBACTアミド単位およびXTアミド単位を含む単位から専らなる、または組成物a)の反応性ポリアミドプレポリマーもしくは組成物b)の前記ポリアミドポリマーが上で定義したそれぞれの割合でBACTアミド単位およびXTアミド単位を含むが、アミド単位を含む他の単位も含むことを意味する。
【0021】
有利には、前記組成物a)の反応性ポリアミドプレポリマーまたは前記組成物b)のポリアミドポリマー中のアミド単位を含む単位の割合、BACT/XT、BACTおよびXTの割合は、50%より大きく、特に60%より大きく、特に70%より大きく、優先的に80%より大きく、特に90%より大きい。
【0022】
従って、本発明は、熱可塑性材料用組成物であって、
−0重量%から70重量%、優先的には20重量%から60重量%の強化用短繊維、
−30重量%から100重量%、優先的には40重量%から80重量%の、少なくとも1種の半結晶性ポリアミドポリマーをベースとする熱可塑性マトリクス、
−0%から50%の添加剤および/または他のポリマー、
を含み、前記半結晶性ポリアミドポリマーは、少なくとも1種のBACT/XTコポリアミドを含むか、または少なくとも1種のBACT/XTコポリアミドからなり、
−BACTが、20%から70%、好ましくは25%から60%、より優先的には35%から55%の範囲のモル含量で存在するアミド単位を含む単位であり、BACが、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキシル(1,3−BAC)、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキシル(1,4−BAC)およびこれらの混合物から選択され、Tがテレフタル酸であり、
−XTが、30%から80%、好ましくは40%から75%、より優先的には45%から65%の範囲のモル含量で存在するアミド単位を含む単位であり、Xが、C
9からC
18、好ましくはC
9、C
10、C
11およびC
12、優先的にはC
10、C
11およびC
12の直鎖脂肪族ジアミンであり、Tがテレフタル酸であり、
−BACT単位および/またはXT単位において、相互に独立して、ジカルボン酸の全量に対して、30mol%まで、好ましくは20mol%まで、特に10mol%までのテレフタル酸を、6から36個の炭素原子、特に6から14個の炭素原子を含む他の芳香族、脂肪族または脂環式ジカルボン酸によって置換可能であり、
−BACT単位および/またはXT単位において、相互に独立に、ジアミンの全量に対して、30mol%まで、好ましくは20mol%まで、特に10mol%までのBACおよび/または適切な場合にはXを、4から36個の炭素原子、特に6から12個の炭素原子を含む他のジアミンと置換可能であり、
−コポリアミドにおいて、モノマーの全量に対して、30mol%以下、好ましくは10mol%以下を、ラクタムまたはアミノカルボン酸によって形成することができ、
−テレフタル酸、BACおよびXを置換するモノマーの合計が、コポリアミドで使用されるモノマーの全量に対して30mol%、好ましくは10mol%の濃度を超えないことを条件とし、
−BACT単位およびXT単位が、前記ポリアミドポリマー中に常に存在することを条件とする、
熱可塑性材料用組成物に関する。
【0023】
本発明による組成物は、強化用短繊維(または短繊維強化材)を含むことができる。
【0024】
好ましくは、「短」繊維は、長さが200から400μmである。
【0025】
これらの強化用短繊維は、
−天然繊維;
−鉱物繊維であって、本発明の前記半結晶性ポリアミドの融点Mpを超えるならびに重合および/または加工温度を超える高い融点Mp’を有する鉱物繊維、
−重合温度を超えるもしくは熱可塑性材料の前記マトリクスを構成する前記半結晶性ポリアミドの融点Mpを超えるおよび加工温度を超える、融点Mp’を、またはMp’を有さない場合にはガラス転移温度Tg’を有する、ポリマー系繊維もしくはポリマー繊維
−または上記の繊維の混合物より選択され得る。
【0026】
本発明に好適な鉱物繊維としては、ナノチューブもしくはカーボンナノチューブ(CNT)の繊維、炭素ナノ繊維もしくはグラフェンを含む、炭素繊維;シリカ繊維、例えば特にE、RもしくはS2型のガラス繊維;ホウ素繊維;セラミック繊維、特に炭化ケイ素繊維、炭化ホウ素繊維、炭窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、窒化ホウ素繊維、玄武岩繊維;金属および/もしくはこれの合金をベースとする繊維もしくはフィラメント;金属酸化物の、特にアルミナ(Al
2O
3)の繊維;金属被覆繊維、例えば金属被覆ガラス繊維および金属被覆炭素繊維または上記の繊維の混合物が挙げられる。
【0027】
より詳細には、これらの繊維は、以下のように選択され得る:
−鉱物繊維は、炭素繊維、炭素ナノチューブ繊維、特にE、RまたはS2型のガラス繊維、ホウ素繊維、セラミック繊維、特に炭化ケイ素繊維、炭化ホウ素繊維、炭窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、窒化ホウ素繊維、玄武岩繊維、金属および/またはこれの合金をベースとする繊維またはフィラメント、Al
2O
3などの金属酸化物をベースとする繊維、金属化ガラス繊維および金属化炭素繊維などの金属繊維、または上記繊維の混合物から選択され得て、
−上記の条件下でのポリマー繊維またはポリマー系繊維は、
−熱硬化性ポリマー繊維および特に不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ビニルエステル、フェノール性樹脂、ポリウレタン、シアノアクリレートおよびポリイミド、例えばビスマレイミド樹脂、またはメラミンなどのアミンとグリオキサールまたはホルムアルデヒドなどのアルデヒドとの反応から生じるアミノプラストなどから選択される熱硬化性ポリマー繊維、
−熱可塑性ポリマー繊維であって、より詳細には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)から選択される熱可塑性ポリマー繊維、
−ポリアミド繊維、
−アラミド(例えばケブラー(R))ならびに芳香族ポリアミド、例えば式:PPD.T、MPD.I、PAAおよびPPAの1つに相当する芳香族ポリアミドの繊維であって、PPDおよびMPDはそれぞれp−フェニレンジアミンおよびm−フェニレンジアミンであり、PAAはポリアリールアミドであり、PPAはポリフタラミドである、繊維、
−ポリアミド/ポリエーテルなどのポリアミドブロックコポリマーの繊維、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)またはポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)の繊維
から選択される。
【0028】
好ましい強化用短繊維は:金属被覆されたものを含む炭素繊維、E、R、S2型の金属被覆されたものを含むガラス繊維、アラミド(例えばケブラー(R))または芳香族ポリアミドの繊維、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)繊維、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)繊維、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)繊維またはこれらの混合物より選ばれる(円形断面を有する)短繊維である。
【0029】
より詳細には、天然繊維は、アマニ、トウゴマ、木材、サイザル、ケナフ、ココナツ、ヘンプおよびジュートの繊維から選択される。
【0030】
好ましくは、本発明の組成物中に存在する強化用繊維は、ガラス繊維、炭素繊維から、アマニ繊維およびこれの混合物、より優先的にはアマニ繊維および炭素繊維、さらにより優先的には炭素繊維から選択される。
【0031】
添加剤に関しては、これに限定されるものではないが、本発明の1つの好ましい変形による組成物は、より詳細には熱安定剤などの特定の添加剤を含み、特にこれらの安定剤は、熱可塑性マトリクスのポリマーの熱酸化および/または光酸化に対する抗酸化剤であり、有機または無機安定剤である。
【0032】
「有機安定剤」またはより一般的には「有機安定剤の組合せ」という表現は、フェノール型の一次抗酸化剤、ホスファイト型の二次抗酸化剤およびさらに場合によりヒンダードアミン光安定剤を意味するHALS(例えばCiba社のTinuvin(R)770)、抗UV剤(例えばCiba社のTinuvin(R)312)、フェノール系安定剤またはリン系安定剤を示す。Crompton社のNaugard(R)445などのアミン型の酸化防止剤、またはClariant社のNylostab(R)S−EEDなどの多官能性安定剤も使用してよい。
【0033】
存在する有機安定剤は、このリストに限定されることなく、
−フェノール系抗酸化剤、例えばCiba社のIrganox(R)245、Irganox(R)1010もしくはIrganox(R)1098、Ciba社のIrganox(R)MD1024、Great Lakes社のLowinox(R)44B25、またはAdeka Palmarole社のADK(R)Stab AO−80、
−リン系安定剤、例えばホスファイト、例えばCiba社のIrgafos(R)168、
−UV吸収剤、例えばCiba社のTinuvin(R)312、
−前述のHALS、
−アミン型安定剤、例えばCrompton社のNaugard(R)445、またはヒンダードアミン型安定剤、例えばCiba社のTinuvin(R)770、
−多官能性安定剤、例えばClariant社のNylostab(R)S−EED
から選択することができる。
【0034】
もちろん、これらの有機安定剤の2種以上の混合物も想定することができる。
【0035】
「無機安定剤」という表現は、銅系安定剤を意味する。このような無機安定剤の例として、ハロゲン化銅および酢酸銅を挙げることができる。第2に、銀などの他の金属も場合により検討することができるが、これらの金属はあまり効果的ではないことが知られている。これらの銅系化合物は、通例、アルカリ金属、特にカリウムのハロゲン化物と併用される。
【0036】
これらの無機安定剤は、特に、ポリマー鎖切断を防止する傾向があるため、より詳細には、構造体が特に100から120℃以上の温度の高温空気中で、長期耐熱性が改善されなければならない場合に使用される。
【0037】
より詳細には、「銅系の安定剤」という用語は、少なくとも1個の銅原子を、特にイオン性またはイオン化可能な形態、例えば錯体の形態で含む化合物を意味するものである。
【0038】
銅系安定剤は、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、酢酸第一銅および酢酸第二銅から選択することができる。銅系安定剤と組み合わせた、銀などの他の金属のハロゲン化物および酢酸塩を挙げることができる。これらの銅系化合物は、通例、アルカリ金属ハロゲン化物と併用される。周知の例は、CuIとKIの混合物であり、CuI:KI比は通例1:5から1:15である。このような安定剤の例は、Ciba社のPolyadd P201である。
【0039】
銅系安定剤に関するさらなる詳細事項は、特許US2705227に見出される。より最近では、錯化銅、例えばBrugemann社のBruggolen H3336、H3337またはH3373などの銅系安定剤が現れている。
【0040】
有利には、銅系安定剤は、ハロゲン化銅、酢酸銅、少なくとも1種のアルカリ金属ハロゲン化物との混合物としてのハロゲン化銅または酢酸銅およびこれの混合物、好ましくはヨウ化銅およびヨウ化カリウムの混合物(CuI/KI)から選択される。
【0041】
添加剤はまた、衝撃改質剤であって、有利には、規格ISO178に従って測定した100MPa未満の曲げ弾性率および(DSCサーモグラムの変曲点における、規格11357−2:2013に従って測定した)0℃未満のTgを有するポリマーからなる衝撃改質剤、特に場合によりPebaと結合した、200MPa未満の曲げ弾性率を有するポリオレフィンであることができる。
【0042】
衝撃改質剤のポリオレフィンは、官能化されることもしくは官能化されないことが可能であるか、または少なくとも1種の官能化ポリオレフィンおよび/または少なくとも1種の非官能化ポリオレフィンの混合物であることができる。
【0043】
添加剤は、特に、熱可塑性材料分野の当業者に既知である任意の充填剤であり得る、充填剤でもあり得る。充填剤は特に、金属粉末、微粉カーボンブラック、カーボンフィブリル、カーボンナノチューブ(CNT)、炭化ケイ素、炭窒化ホウ素、窒化ホウ素または窒化ケイ素などの熱伝導性および/または導電性充填剤であってよい。この点に関して、本出願人による出願WO 2010/130930が参照され得る。
【0044】
強化用繊維は、長繊維、短繊維または連続繊維であるかにかかわらず、添加剤からは除外され、特に「無機充填剤」という用語は、長繊維、短繊維または連続繊維を除外する。
【0045】
添加剤はまた、ホスフィン酸の金属塩、ジホスフィン酸の金属塩、ホスフィン酸の少なくとも1種の金属塩を含むポリマーおよびジホスフィン酸の少なくとも1種の金属塩を含有するポリマーから選択される金属塩などの難燃剤であってもよい。
【0046】
有利には、添加剤は、抗酸化剤、熱安定剤、UV吸収剤、光安定剤、衝撃改質剤、潤滑剤、無機充填剤、難燃剤、核形成剤および染料から選択される。
【0047】
「他のポリマー」という表現は、微結晶または非晶質であってよい、任意の熱可塑性ポリマー、特にポリアミドポリマー、特に脂肪族、脂環式または芳香族ポリアミドを示す。
【0048】
「非反応性組成物」という表現は、組成物がこれの加工中に分子量を変化させることができず、従って熱可塑性マトリクスの最終ポリアミドポリマーに相当するポリアミドポリマーをベースとすることを意味する。
【0049】
組成物b)によるこれらのポリアミドが非反応性であるのは、存在する反応性(残留)官能基の含量が低いため、特に前記官能基含量が120meq/kg未満であるため、または鎖の末端に同じ種類の末端官能基が存在して、従って相互に反応性でないため、または1官能性反応性構成成分によって、例えばアミン官能基では一酸またはモノイソシアネートとの修飾反応によって、およびカルボキシル官能基ではモノアミンとの反応によって前記反応性官能基が修飾およびブロックされるためのいずれかである。
【0050】
有利には、溶解状態での電位差滴定および前記プレポリマーの官能価によってまたはNMRによって求めた、末端官能基の含有量に基づく計算によって求められると、前記材料の熱可塑性マトリクスの前記最終ポリアミドポリマーの数平均分子量(Mn)は、好ましくは8000から40000g/mol、好ましくは10000から30000g/molである。これらのMn値は、規格ISO 307:2007に従って、しかし溶媒を変更して(硫酸の代わりにm−クレゾールを使用し、温度は20℃)求めると、0.8以上の固有粘度に一致し得る。
【0051】
逆に、「反応性組成物」という表現は、熱可塑性マトリクスの最終ポリアミドポリマーが得られるように、前記反応性組成物の分子量が加工中に、縮合による反応性プレポリマー相互の反応により、または重付加による反応性プレポリマーと鎖延長剤との反応により、揮発性副生成物の排出なしに、変化することを意味する。
【0052】
1,3−BAC(即ち1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、CAS No.2579−20−6)は、特にメタキシレンジアミン(MXDA)の水素添加によって得られる脂環式ジアミンモノマーである。1,3−BACは、異性体の混合物に相当する、2種の異性体、シスおよびトランスの形態、CAS No.2579−20−6で存在する。
【0053】
1,4−BAC(または1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、CAS No.2549−07−9)は、特にパラキシレンジアミン(PXDA)の水素添加によって得られる脂環式ジアミンモノマーである。1,4−BACは、異性体の混合物に相当する2種の異性体、シスおよびトランスの形態、CAS No.2549−07−9で存在する。
【0054】
有利には、BACT単位中で使用される1,3−BACまたは1,4−BACは、それぞれ0/100から100/0、特に75/25から25/75の割合のシス異性体およびトランス異性体の混合物である。
【0055】
有利には、1,3−BAC中のシス異性体の割合は、60%より大きく、優先的には70%より大きく、特に80%より大きく、特に90%より大きい。
【0056】
有利には、1,4−BAC中のトランス異性体の割合は、60%より大きく、優先的には70%より大きく、特に80%より大きく、特に90%より大きい。
【0057】
BACおよび/またはXは、相互に独立して、上で定義した他のジアミンによって、特に直鎖または分枝脂肪族ジアミン、脂環式ジアミンまたはメタキシレンジアミン(MXDA)などのアリール芳香族ジアミンによって、30mol%まで置換することができる。
【0058】
一例として、直鎖または分枝脂肪族ジアミンは、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン(MPMD)、1,6ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン(OMDA)、1,9−ノナンジアミン(NMDA)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン(MODA)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMHMD)、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMHMD)、5−メチル−1,9−ノナンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,13−トリデカンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミンおよび1,18−オクタデカンジアミンから選択される。
【0059】
脂環式ジアミンは、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(PACM)、2,2−(4,4’−ジアミノジシクロヘキシル)プロパン(PACP)および3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルエタン(MACM)から選択できる。
【0060】
Tは、上で定義した他のジカルボン酸、特に他の芳香族、脂肪族または脂環式ジカルボン酸によって30mol%まで置換することができる。
【0061】
芳香族ジカルボン酸は、ナフタレンジカルボン酸(NDA)およびイソフタル酸(IPS)から選択することができる。
【0062】
脂肪族ジカルボン酸は、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸および二量化脂肪酸から選択することができる。
【0063】
脂環式ジカルボン酸は、シス−および/もしくはトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ならびに/またはシス−および/もしくはトランス−シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸(CHDA)から選択することができる。
【0064】
BACおよび/またはXおよび/またはTは、互いに独立して、ラクタムまたはアミノカルボン酸によって30mol%まで置換することができる。
【0065】
ラクタムおよびアミノカルボン酸は、カプロラクタム(CL)、α、ω−アミノカプロン酸、α、ω−アミノノナン酸、α、ω−アミノウンデカン酸(AUA)、ラウリルラクタム(LL)およびα、ω−アミノドデカン酸(ADA)から選択することができる。
【0066】
他のジアミン、他の二酸、ラクタムまたはアミノカルボン酸、またはこれらの任意の混合物のいずれによるかにかかわらず、BAC、XおよびTモノマーの総和に対して最大30mol%を置換することができる。
【0067】
有利には、他のジアミン、他の二酸、ラクタムまたはアミノカルボン酸、またはこれらの任意の混合物のいずれによるかにかかわらず、BAC、XおよびTモノマーの総和に対して最大20mol%を置換することができる。
【0068】
有利には、他のジアミン、他の二酸、ラクタムまたはアミノカルボン酸、またはこれの任意の混合物のいずれによるかにかかわらず、BAC、XおよびTモノマーの総和に対して最大10mol%を置換することができる。
【0069】
有利な一実施形態において、本発明は、以下に定義される熱可塑性材料用組成物No.1から12の組成物の1種に関し、前記組成物は、半結晶性ポリアミドポリマーおよび場合により強化用短繊維を含み、前記半結晶性ポリアミドポリマーは、BACT/XTコポリアミドを以下の表Iに定義する割合で含む。
【0070】
【表1】
【0071】
有利には、組成物1から12は、0から50重量%の添加剤および/または他のポリマーを含む。
【0072】
有利には、前記組成物は、場合により強化用短繊維の半結晶性ポリアミドポリマーと、0から50重量%の添加剤および/または他のポリマーからなり、前記半結晶性ポリアミドポリマーは、表Iに定義した割合でBACT/XTコポリアミドを含む。
【0073】
有利には、前記組成物は、場合により強化用短繊維の半結晶性ポリアミドポリマーと、0から50重量%の添加剤および/または他のポリマーからなり、前記半結晶性ポリアミドポリマーは、表Iに定義した割合でBACT/XTコポリアミドからなる。
【0074】
有利には、上で定義した組成物中の添加剤および/または他のポリマーの割合は、さらに0から50重量%である。
【0075】
有利には、上で定義した組成物において、XはC
9、C
10、C
11およびC
12、特にC
10、C
11およびC
12ジアミンである。
【0076】
従って本発明者らは、予期せぬことに、本発明の組成物が、従来技術の組成物よりも良好な結晶化能、高Tg/低Mpのより良好な兼備、とりわけ従来の組成物よりも高いエンタルピー(従って高い熱弾性率)を示すことを見出した。
【0077】
有利な一実施形態において、本発明は、前記半結晶性ポリアミドポリマーが、規格ISO 11357−3(2013)に従って求めた290℃未満、好ましくは285℃未満、より優先的には280℃未満の融点Mpを有する、上で定義した組成物に関する。
【0078】
有利な一実施形態において、本発明は、前記半結晶性ポリアミドポリマーが、規格ISO 11357−2:2013に従って求めた120℃より高い、好ましくは130℃より高い、より優先的には140℃より高いガラス転移温度Tgを有する、上で定義した組成物に関する。
【0079】
有利には、Tgは125から165℃である。
【0080】
有利な一実施形態において、本発明は、前記半結晶性ポリアミドポリマーが、規格ISO 11357−3:2013に従って求めた、40℃未満の、好ましくは30℃未満の、融点と結晶化温度との差Mp−Tcを示す、上で定義した組成物に関する。
【0081】
有利な一実施形態において、本発明は、規格ISO 11357−3:2013に従って示差走査熱量測定(DSC)によって測定した、半結晶性ポリアミドポリマーの結晶化熱が、40J/gより高い、好ましくは45J/gより高い、さらにより優先的には50J/gであることを特徴とする、上で定義した組成物に関する。
【0082】
有利な一実施形態において、本発明は、前記半結晶性ポリアミドポリマーが290℃未満の融点Mpおよび120℃より高いTgを有することを特徴とする、上で定義した組成物に関する。
【0083】
有利な一実施形態において、本発明は、前記半結晶性ポリアミドポリマーが290℃未満の融点Mpおよび130℃より高いTgを有することを特徴とする、上で定義した組成物に関する。
【0084】
有利な一実施形態において、本発明は、前記半結晶性ポリアミドポリマーが290℃未満の融点Mpおよび140℃より高いTgを有することを特徴とする、上で定義した組成物に関する。
【0085】
有利な一実施形態において、本発明は、前記半結晶性ポリアミドポリマーが285℃未満の融点Mpおよび120℃より高いTgを有することを特徴とする、上で定義した組成物に関する。
【0086】
有利な一実施形態において、本発明は、前記半結晶性ポリアミドポリマーが285℃未満の融点Mpおよび130℃より高いTgを有することを特徴とする、上で定義した組成物に関する。
【0087】
有利な一実施形態において、本発明は、前記半結晶性ポリアミドポリマーが285℃未満の融点Mpおよび140℃より高いTgを有することを特徴とする、上で定義した組成物に関する。
【0088】
有利な一実施形態において、本発明は、前記半結晶性ポリアミドポリマーが280℃未満の融点Mpおよび120℃より高いTgを有することを特徴とする、上で定義した組成物に関する。
【0089】
有利な一実施形態において、本発明は、前記半結晶性ポリアミドポリマーが280℃未満の融点Mpおよび130℃より高いTgを有することを特徴とする、上で定義した組成物に関する。
【0090】
有利な一実施形態において、本発明は、前記半結晶性ポリアミドポリマーが280℃未満の融点Mpおよび140℃より高いTgを有することを特徴とする、上で定義した組成物に関する。
【0091】
有利な一実施形態において、本発明は、前記半結晶性ポリアミドポリマーが以下の特性(表II)を有することを特徴とする、上で定義した組成物に関する:
【0092】
【表2】
【0093】
有利な一実施形態において、本発明は、BACが1,3−BACであることを特徴とする、上記で定義した組成物に関する。
【0094】
有利には、1,3−BACは、それぞれ0/100から100/0、特に75/25から25/75の割合のシス異性体およびトランス異性体の混合物である。
【0095】
有利には、1,3−BAC中のシス異性体の割合は、60%より大きく、優先的には70%より大きく、特に80%より大きく、特に90%より大きい。
【0096】
有利な一実施形態において、本発明は、BACが1,3−BACであり、XTが9T、10T、11Tおよび12T、より優先的には10T、11Tおよび12Tから選択される、上で定義した組成物に関する。
【0097】
有利には、XTは10Tであり、10は1,10−デカンジアミンに相当する。
【0098】
有利な一実施形態において、本発明は、テレフタル酸、BACおよびXを置換するモノマーの和が0に等しい、上で定義した組成物に関する。後者の実施形態において、結果として、上で定義した組成物1から93のモノマーの置換はもはや不可能である。
【0099】
有利な一実施形態において、本発明は、前記半結晶性ポリアミドポリマーがb)による非反応性組成物であることを特徴とする、上で定義した組成物に関する。
【0100】
このことは、前記組成物が前記熱可塑性材料のマトリクス(ポリアミド)ポリマーの組成物と同じであることを意味し、これは、この組成物に反応が存在せず、本発明の熱可塑性材料の加工のために加熱される場合に安定なままであり、分子量に関して不変であるためである。本組成物中のポリアミドポリマーの特性は、最終ポリマーのものと同じであり、Mp、Tg、Mp−TcおよびデルタHcは既に上で定義した通りである。
【0101】
b)によるポリアミドは、特にモノマーの置換の状況において、ジアミン、二酸および場合によりアミノ酸またはラクタムであるモノマー成分から従来の重縮合反応によって得られる。
【0102】
有利な一実施形態において、本発明は、前記ポリアミド組成物がa)によるプレポリマーと前記熱可塑性材料の前記マトリクスの前記ポリアミドポリマーの前駆体との反応性組成物であることを特徴とする、上で定義した組成物に関する。
【0103】
反応性組成物a)により、以下に詳述する3つの可能性を識別することが可能である:
有利には、前記組成物a)は、同一鎖上に、縮合によってそれぞれ相互に共反応性である2個の末端官能基X’およびY’を持ち、X’およびY’がそれぞれアミンおよびカルボキシルまたはカルボキシルおよびアミンである、少なくとも1種の反応性プレポリマーを含むまたは該反応性プレポリマーからなる。
【0104】
プレポリマーは、同一鎖上(即ち、同じプレポリマー上)に、縮合によってそれぞれ相互に共反応する2個の末端官能基X’およびY’を有する反応性ポリアミドである。
【0105】
この縮合(または重縮合)反応は、副生成物の排出を引き起こすことができる。副生成物は、好ましくはオープンモールド技術を使用する方法に従った作業によって除去できる。クローズドモールド法では、最終熱可塑性材料中での副生成物の微小気泡の形成を防止するために、好ましくは真空下で、反応によって排出された副生成物を脱気するステップが存在し、これ(微小気泡)は、このように除去されないと、前記材料の力学性能レベルに影響を及ぼすことがある。
【0106】
縮合後、本組成物において、得られた最終ポリアミドポリマーの特性は同じであり、Mp、Tg、Mp−TcおよびデルタHcは既に上で定義した通りである。
【0107】
有利には、前記反応性組成物a)は、相互に反応性であり、およびそれぞれ2個の同一の末端官能基X’またはY’をそれぞれ持つ、少なくとも2種のポリアミドプレポリマーを含み、プレポリマーの前記官能基X’が他方のプレポリマーの前記官能基Y’のみと、特に縮合によって反応することが可能であり、より詳細にはX’およびY’はそれぞれアミンおよびカルボキシルまたはカルボキシルおよびアミンである。
【0108】
同様に、この縮合(または重縮合)反応は、上で定義したように排出され得る副生成物の排出を引き起こし得る。
【0109】
縮合後、本組成物において、得られた最終ポリアミドポリマーの特性は同じであり、Mp、Tg、Mp−TcおよびデルタHcは既に上で定義した通りである。
【0110】
有利には、前記組成物a)または前駆体組成物は、
a1)−NH
2、−CO
2Hおよび−OH、好ましくはNH
2および−CO
2Hから選択されるn個の末端反応性官能基X’(ただし、nは、1から3、好ましくは1から2、より好ましくは1または2、より詳細には2である)を持つ、前記熱可塑性ポリアミドポリマーの少なくとも1種のプレポリマー、
a2)少なくとも1種の鎖延長剤Y−A’−Y(ただし、A’は非ポリマー構造の炭化水素ビラジカルである)であって、前記プレポリマーa1)の少なくとも1個の官能基X’と重付加により反応性である、2個の同一の末端反応性官能基Yを持ち、好ましくは500未満、より好ましくは400未満の分子量を有する鎖延長剤を含む、またはこれらからなる。
【0111】
前記半結晶性ポリアミドプレポリマーa1)が持つ官能基X’の官能基として好適な延長剤a2)の例として、以下を挙げることができる:
−X’が、NH
2またはOH、好ましくはNH
2である場合:
・以下に相当する鎖延長剤Y−A’−Y:
・Yが、マレイミド、場合によりブロックされたイソシアネート、オキサジノン、オキサゾリノンおよびエポキシの群から選択され、
・A’が、場合により1個以上のヘテロ原子を含み、官能基Yを相互に結合する、炭化水素系スペーサーであり、特にA’が反応性官能基もしくは反応性基Yを持つ、炭化水素系スペーサーもしくは炭素系ラジカルであり、以下から選択される:
・Y=オキサジノンおよびオキサゾリノンである場合、2個の官能基(基)Y間の共有結合もしくは
・脂肪族炭化水素系鎖もしくは芳香族および/もしくは脂環式炭化水素系鎖であって、後者2つは、炭素原子5もしくは6個の少なくとも1個の場合により置換された環を含み、場合により前記脂肪族炭化水素系鎖は、場合により14から400g・mol
−1の分子量を有する、炭化水素系鎖、
・または、カプロラクタム基であるY、およびカルボニルラジカル、例えばカルボニルビスカプロラクタムになることができるA’、もしくはテレフタロイルもしくはイソフタロイルになることができるA’に相当する、鎖延長剤Y−A’−Y、
・または前記鎖延長剤Y−A’−Yが環状無水物基Yを持ち、好ましくはこの延長剤が脂環式および/もしくは芳香族カルボン酸二無水物から選択され、より好ましくはエチレンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ヘキサフルオロイソプロピリデンビスフタル酸二無水物、9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサンテンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物またはこれらの混合物から選択される、鎖延長剤Y−A’−Y
のいずれかであり
X’がCOOHである場合:
・以下に相当する前記鎖延長剤Y−A’−Y、
・Yは以下の群:エポキシ、オキサゾリン、オキサジン、イミダゾリンまたはアジリジン、例えば1,1’−イソ−またはテレフタロイルビス(2−メチルアジリジン)から選択され、
・A’は、上で定義した炭素系スペーサー(ラジカル)であるを挙げることができる。
【0112】
より詳細には、前記延長剤Y−A’−Yにおいて、前記官能基Yがオキサジノン、オキサゾリノン、オキサジン、オキサゾリンまたはイミダゾリンより選ばれるとき、この場合、Y−A’−Yによって表される鎖延長剤において、A’はアルキレン、例えば−(CH
2)
m−を表すことができ、mは1から14、好ましくは2から10の範囲に及び、またはA’はシクロアルキレンおよび/もしくは置換(アルキル)もしくは非置換であるアリーレン、例えばベンゼン系アリーレン、例えばo−、m−またはp−フェニレンもしくはナフタレンアリーレンを表すことができ、好ましくはA’はアリーレンおよび/もしくはシクロアルキレンである。
【0113】
鎖延長剤Y−A’−Yとしてのカルボニル−またはテレフタロイル−またはイソフタロイル−ビスカプロラクタムの場合、好ましい条件によって、前記重合および溶融状態での加工中のカプロラクタムなどの副生成物の排出が回避される。
【0114】
Yがブロックされたイソシアネート官能基を表す、上記の必須ではない場合において、このブロッキングは、イプシロン−カプロラクタム、メチルエチルケトオキシム、ジメチルピラゾールまたはジエチルマロネートなどのイソシアネート官能基のためのブロッキング剤によって得ることができる。
【0115】
同様に、延長剤がX’=NH
2であるプレポリマーP(X’)と反応する二無水物である場合、好ましい条件により、重合中および溶融状態での加工中のイミド環のいずれの形成も防止される。
【0116】
本発明を実施するのに好適な反応性官能基Y=エポキシを含む鎖延長剤の例として、場合により置換された脂肪族、脂環式または芳香族ジエポキシドを挙げることができる。脂肪族ジエポキシドの例として、脂肪族ジオールジグリシジルエーテルを挙げることができ、芳香族ジエポキシドとして、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)を挙げることができ、脂環式ジエポキシドとして、脂環式ジオールまたは水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテルを挙げることができる。より一般的には、本発明による使用に好適であるジエポキシドの例としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)およびこれの(脂環式)水素添加誘導体、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルまたはヒドロキノンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、Mn<500のポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、Mn<500のポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、Mn<500のポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、Mn<500のビスフェノールAポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、Mn<500のビスフェノールAポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジカルボン酸のジグリシジルエステル、例えばテレフタル酸グリシジルエステルまたはエポキシ化ジオレフィン(ジエン)もしくは二重エポキシ化エチレン性不飽和を有する脂肪酸、ジグリシジル1,2−シクロヘキサンジカルボキシレートおよび言及したジエポキシドの混合物を挙げることができる。
【0117】
本発明の実施に好適なオキサゾリンまたはオキサジン反応性官能基Yを持つ鎖延長剤の例として、出願EP0581642の7頁の参考「A」、「B」、「C」および「D」で記載されたものならびにこれに開示されているこれの調製方法およびこれの反応方式も挙げることができる。この文書の「A」はビスオキサゾリンであり、「B」はビスオキサジンであり、「C」は1,3−フェニレンビスオキサゾリンであり、「D」は1,4−フェニレンビスオキサゾリンである。
【0118】
本発明の実施に好適なイミダゾリン反応性官能基Yを有する鎖延長剤の例として、出願EP0739924の7−8頁および10頁の表1に記載されたもの(「A」から「F」)ならびにこれに開示されているこれの調製方法およびこれの反応方式も挙げることができる。
【0119】
本発明の実施に好適な反応性官能基Y=オキサジノンまたはオキサゾリノンを有する鎖延長剤の例として、出願EP0581641の頁7−8の参考「A」から「D」に記載されたものならびにこれに開示されているこれの調製方法およびこれの反応方式も挙げることができる。
【0120】
好適であるオキサジノン(6個の原子を有する環)基およびオキサゾリノン(5個の原子を有する環)基Yの例として、ベンゾオキサジノン、オキサジノンまたはオキサゾリノンから誘導される基Yを挙げることができ、スペーサーA’は、それぞれ対応する延長剤であるビス(ベンゾオキサジノン)、ビスオキサジノンおよびビスオキサゾリノンとの共有単結合であり得る。A’はC
1−C
14、好ましくはC
2−C
10アルキレンであることも可能であるが、A’は好ましくはアリーレンであり、より詳細にはA’はフェニレン(1,2もしくは1,3もしくは1,4位にてYによって置換)もしくはナフタレン基(Yによって二置換)もしくはフタロイル(イソ−もしくはテレフタロイル)であることができるか、またはA’はシクロアルキレンであることができる。
【0121】
オキサジン(6員環)、オキサゾリン(5員環)およびイミダゾリン(5員環)などのY官能基では、A’基は上記の通りであってよく、A’が単一の共有結合であることが可能であり、それぞれ対応する延長剤は:ビスオキサジン、ビスオキサゾリンおよびビスイミダゾリンである。A’はC
1−C
14、好ましくはC
2−C
10アルキレンでもよい。基A’は好ましくはアリーレンであり、より詳細には基A’はフェニレン(1,2もしくは1,3もしくは1,4位にてYによって置換)もしくはナフタレン基(Yによって二置換)もしくはフタロイル(イソ−もしくはテレフタロイル)であることができるか、またはA’はシクロアルキレンでああることができる。
【0122】
Y=アジリジン(エーテル−O−が−NH−で置換された、エチレンオキシドと同等の3員窒素含有複素環)である場合、ラジカルA’基はフタロイル(1,1’−イソ−またはテレフタロイル)であってよく、この種の延長剤の例としては、1,1’−イソフタロイルビス(2−メチルアジリジン)が挙げられる。
【0123】
前記プレポリマーP(X’)nと前記延長剤Y−A’−Yとの間の反応に、記載した2種の共反応物質の総重量に対して0.001%から2%の、好ましくは0.01%から0.5%の範囲の含量の触媒が存在することによって、(重)付加反応を加速し、ゆえに生産サイクルを短縮することができる。
【0124】
前記延長剤を選ぶより詳細な場合により、A’はアルキレン、例えば−(CH
2)
m−を表してよく、mは1から14の、好ましくは2から10の範囲に及び、またはアルキル置換もしくは非置換アリーレン、例えばベンゼン系アリーレン(例えばo−、m−もしくはp−フェニレン)もしくはナフタレン系アリーレン(アリーレン:ナフチレンを有する。)を表すことができる。好ましくは、A’は、置換または非置換ベンゼン系またはナフタレン系アリーレンであってよい、アリーレンを表す。
【0125】
既に規定したように、前記鎖延長剤(a2)は、非ポリマー系構造および好ましくは500以下の、より優先的には400以下の分子量を有する。
【0126】
上記の3つの選択肢による前記反応性組成物a)の前記反応性プレポリマーは、500から10000の、好ましくは1000から6000の範囲の数平均分子量Mnを有する。ポテンシオメーターまたはNMRによって、すべての重量Mnが求められる(Postma et al.(Polymer,47,1899−1911(2006))。
【0127】
ポリアミドプレポリマーと鎖延長剤との反応によって、アミド単位以外の単位を形成することが可能であっても、きわめて主にアミド単位からなるポリマーが得られ、従ってこのポリマーがなおポリアミドポリマーに相当することは明らかである。
【0128】
定義a)による本発明の反応性組成物の場合、前記反応性プレポリマーは、ジアミンおよび対応する二酸構成成分ならびに場合により(置換による)アミノ酸またはラクタム構成成分の間の従来の重縮合反応によって調製される。アミンおよびカルボキシル官能基X’およびY’を同じ鎖上に持つプレポリマーは、例えば合計で等量のアミン単位およびカルボキシル単位を有するモノマー(アミノ酸、ジアミン、二酸)の組合せを添加することによって、しかし変換を完了する反応を行わないことによって、得ることができる。官能基X’およびY’を持つこれらのプレポリマーを得るための別の経路は、例えば2個の同一のX’=アミン官能基を持つプレポリマーをY’=カルボキシルを持つ二酸プレポリマーと組み合わせることによるものであり、酸官能基の全モル含量は出発アミン官能基X’のモル含量に等しい。
【0129】
同一鎖上で同一の(アミンまたはカルボキシル)官能基によって官能化されたプレポリマーを得るためには、アミン末端官能基を有するために過剰のジアミン(またはアミン官能基全体)を有すること、またはカルボキシル末端官能基を有するために過剰の二酸(またはカルボキシル官能基全体)を有することで十分である。
【0130】
n個の同一の官能基X’を有するプレポリマーP(X’)nの場合、官能価1は、ブロッキング1官能性構成成分(X=アミンまたはカルボキシルの性質に応じて、一酸またはモノアミン)の存在下で得ることができる。
【0131】
官能価n=2は、一方が過剰であり、この過剰に応じてXを結合するための、2官能性構成成分:ジアミンおよび二酸から出発して得ることができる。
【0132】
n=3では、例えばプレポリマーP(X’)nでは、3官能性構成成分の存在、例えば、二酸との反応におけるジアミンと共にトリアミン(プレポリマー鎖当たり1mol)の存在が必要である。P(X’)nの好ましい官能価は、n=2である。
【0133】
有利な一実施形態において、本発明は、上で定義した組成物に関し、前記組成物a)または前駆体組成物は、
a1)n個の末端反応性官能基X’を持つ、前記熱可塑性ポリアミドポリマーの少なくとも1種のプレポリマーおよび
a2)少なくとも1種の鎖延長剤Y−A’−Y、
を含むか、またはこれからなり、X’はNH
2またはOH、特にNH
2であり、Yは無水物、特に3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、オキサジノン、オキサゾリノンおよびエポキシから選択される。
【0134】
有利な一実施形態において、本発明は、上で定義した組成物に関し、前記組成物a)または前駆体組成物は、
a1)n個の末端反応性官能基X’を持つ、前記熱可塑性ポリアミドポリマーの少なくとも1種のプレポリマーおよび
a2)少なくとも1種の鎖延長剤Y−A’−Y、
を含むか、またはこれからなり、X’はCO
2Hであり、Yはエポキシおよびオキサゾリンから選択される。
【0135】
有利には、X’はCO
2Hであり、Y−A’−Yはフェニレンビスオキサゾリン、好ましくは1,3−フェニレンビス(2−オキサゾリン)または1,4−フェニレンビス(2−オキサゾリン)(PBO)から選択される。
【0136】
有利な一実施形態において、本発明は、上で定義した組成物であって、a1)マトリクスの前記熱可塑性ポリマーの少なくとも1種のアミノプレポリマー(−NH
2を持つ)であって、特に前記プレポリマーa1)の末端基の少なくとも50%、より詳細には100%が第一級アミン官能基−NH
2である、アミノプレポリマー、およびa2)置換基としてエチレン性またはアセチレン性不飽和、好ましくはアセチレン性不飽和を含む基を有する芳香環によって好ましくは保持されている、環式カルボン酸無水物基を持つ、少なくとも1種の非ポリマー系鎖延長剤であって、前記カルボン酸無水物基がおそらく酸、エステル、アミドまたはイミド形態である鎖延長剤を含み、前記延長剤a2)が、0.36未満の、好ましくは0.1から0.35の範囲、より優先的には0.15から0.35の範囲、またさらにより優先的には0.15から0.31の範囲のa2)/(−NH
2)モル比に相当する含量で存在し、マトリクスの前記熱可塑性ポリマーが、前記プレポリマーa1)の前記延長剤a2)による延長による重合反応の生成物であることを特徴とする組成物に関する。
【0137】
前記反応は、成分a1)およびa2)の選択ならびにこれの特定のモル比の選択により、架橋されていない最終的熱可塑性ポリマーを生じる。
【0138】
前記プレポリマーa1)は、−NH
2で表される第1級アミン基を有する。より詳細には、プレポリマーa1)1分子当たりの第1級アミン基の平均数、即ち第1級アミン基に対する平均官能価は、1から3、好ましくは1から2の範囲に及び得ることに留意されたい。特に、前記プレポリマーa1)の末端基の少なくとも50%の前記プレポリマーa1)の官能基が−NH
2第一級アミン官能基であり、このことはある部分がカルボキシル基または反応性基なしにブロックされた鎖末端になることが可能であることを意味し、この場合、平均−NH
2官能価は、1から3、好ましくは1から2の範囲であり得る。
【0139】
本発明の場合における「熱可塑性」という用語は、プレポリマーa1)および延長剤a2)の反応から生じるポリマーが本質的に熱可塑性であることを意味し、このことはポリマーがこれの重量の15%未満、好ましくはこれの重量の10%未満、より優先的にはこれの重量の5%未満、さらにより優先的にはこれの重量の0%(から0.5%以内または1%以内)の、不溶性または不融性である架橋ポリマーを含むことを意味する。
【0140】
前記延長剤a2)は、
−酸、エステル、アミドまたはイミド形態のエチニルo−フタル酸、メチルエチニルo−フタル酸、フェニルエチニルo−フタル酸、ナフチルエチニルo−フタル酸、4−(o−フタロイルエチニル)o−フタル酸、または4−(フェニルエチニル)トリメリト酸とも呼ばれる4−(フェニルエチニルケトン)o−フタル酸の無水物および無水物誘導体、
−エチニルイソフタル酸、メチルエチニルイソフタル酸、フェニルエチニルイソフタル酸、ナフチルエチニルイソフタル酸、4−(o−フタロイルエチニル)イソフタル酸、4−(フェニルエチニルケトン)イソフタル酸、エチニルテレフタル酸、メチルエチニルテレフタル酸、フェニルエチニルテレフタル酸、ナフチルエチニルテレフタル酸、4−(o−フタロイルエチニル)テレフタル酸、エチニル安息香酸、メチルエチニル安息香酸、フェニルエチニル安息香酸、ナフチルエチニル安息香酸もしくは4−(o−フタロイルエチニル)安息香酸または酸エステルまたはアミド
から選択することができる。
【0141】
有利には、前記延長剤a2)は、芳香環の4位にて基R−C≡C−(R’)x−で定義される置換基によって置換された芳香族無水物化合物、好ましくはo−無水フタル酸化合物から選択され、RはC
1−C
2アルキルもしくはHもしくはアリール、特にフェニルであり、またはRは、芳香環の4位の炭素を介してアセチレン三重結合に結合した芳香族カルボン酸無水物、好ましくは無水o−フタル酸の残基であり、xは0または1に等しく、xが1に等しい場合、R’はカルボニル基である。
【0142】
有利には、前記延長剤a2)は、4位にメチルエチニル、フェニルエチニル、4−(o−フタロイル)エチニル、または(フェニルエチニル)トリメリト酸無水物とも呼ばれるフェニルエチニルケトンから選択される置換基を持つ、好ましくは4位にメチルエチニルおよびフェニルエチニルケトンから選択される置換基を持つ、o−フタル酸芳香族無水物化合物から選択される。
【0143】
有利には、前記延長剤a2)は、上で定義したように、これの構造にかかわらず、500以下、好ましくは400以下の分子量を有する。
【0144】
有利には、前記の延長剤a2)の含量は、上で定義したように、これの構造にかかわらず、前記ポリアミドポリマー中にて1%から20%、特に5%から20%の範囲に及ぶ。
【0145】
有利な一実施形態において、本発明は、成形組成物であることを特徴とする、上で定義した組成物に関する。
【0146】
別の態様により、本発明は、上で定義した組成物を有する熱可塑性複合材料、特に該材料をベースとする機械部品または構造部品を製造する方法であって、本発明による上で定義した少なくとも1種の反応性組成物a)の重合の少なくとも1つのステップ、または、押出、射出成形もしくは成形により、上で定義した少なくとも1種の非反応性組成物b)を成形もしくは加工するステップを含むことを特徴とする方法に関する。
【0147】
有利な一実施形態において、本発明は、上で定義した熱可塑性材料を製造する方法であって、以下のステップ:
i)開放金型内もしくは密閉金型内または金型外での、繊維強化材を含まない、上で定義した組成物の射出、
ii)上で定義したポリアミドの反応性組成物a)の場合には、連鎖延長とともに段階i)の前記組成物を加熱することによる、場合により重縮合反応によるもしくはバルク溶融重付加反応による重合反応であって、重縮合の場合には、真空抜取システムを使用して、密閉型が関与する場合の縮合生成物の真空中での除去を伴い、さもなければ好ましくは、重縮合が開放金型内または金型外で行われる、重合反応、
iii)非反応性ポリアミド組成物b)の場合には、金型または別の加工システムにて最終部品を形成するための段階i)の前記組成物の加工または成形、および、反応性組成物a)の場合には、成形によるもしくは別の加工システムによる重合段階ii)と同時の加工段階
を含むことを特徴とする方法に関する。
【0148】
別の態様により、本発明は、半結晶性ポリアミドポリマーであって、上で定義した熱可塑性複合材料の熱可塑性マトリクスのポリマーに相当し(または前記ポリマーであり)、前記ポリマーが、前記組成物b)によって定義された非反応性ポリマーまたは前記組成物a)によって定義された反応性組成物から得ることができるポリマーであることを特徴とする半結晶性ポリアミドポリマーに関する。
【0149】
この熱可塑性ポリマーは、定義により、本発明の熱可塑性材料の組成物の必須構成成分の1種であり、従って解決されるべき同じ技術上の課題に直面した同じ共通の発明の概念によって本発明に関連付けられた生成物として、本発明の一部である。従って、本発明は、上記の繊維強化材をベースとする熱可塑性材料の熱可塑性マトリクスとしての、本発明による前記熱可塑性ポリマーの使用も含む。
【0150】
また別の態様により、本発明は、上で定義した組成物の使用または前記組成物b)により定義した非反応性ポリマーまたは前記組成物a)により定義した反応性組成物から得ることができるポリマーの使用であって、単層チューブもしくは多層チューブまたはフィルムの、前記熱可塑性材料をベースとする機械部品または構造部品を製造するための使用に関する。
【0151】
有利な一実施形態において、本発明は、上で定義した使用であって、前記熱可塑性材料の前記機械部品または構造部品が、自動車、鉄道、海上(沿岸)および風力発電分野、光起電力分野、ソーラーパネルおよび太陽光発電所の部品を含む太陽エネルギー分野、スポーツ分野、航空宇宙分野、ならびに(トラックに関する)道路輸送、建築、土木工学、パネルおよびレジャー分野における用途に関係することを特徴とする使用に関する。
【0152】
別の有利な実施形態において、本発明は、自動車分野における用途向けの前記機械部品が、流体輸送用のエンジンフードの下の部品、特に吸気装置、(例えば空気、冷却液などを使用する)冷却装置、燃料または流体、特に油、水などの輸送または移送のための装置における部品であることを特徴とする、上で定義した使用に関する。
【0153】
また別の有利な実施形態において、本発明は、電気または電子分野における用途向けの前記機械部品または構造部品が、電気および電子製品、例えばカプセル封入ソレノイド、ポンプ、電話機、コンピュータ、プリンタ、ファックス装置、モデム、モニタ、リモコン、カメラ、回路遮断器、電気ケーブルシース、光ファイバ、スイッチ、マルチメディアシステムであることを特徴とする、上で定義した使用に関する。
【0154】
別の態様により、本発明は、上で定義した少なくとも1種の熱可塑性材料用組成物の使用から生じる熱可塑性材料に関する。
【0155】
また別の態様により、本発明は、上で定義した少なくとも1種の組成物の使用からもしくは上で定義したポリアミドポリマーの使用から生じる、または上で定義した複合材料をベースとするもしくは上で定義した方法によって得られる熱可塑性材料から作られた、機械部品または構造部品に関する。
【0156】
有利な一実施形態において、上で定義した部品は、自動車分野、例えば流体輸送用のエンジンフードの下の部品、特に吸気装置、(例えば空気、冷却液などを使用する)冷却装置、燃料または流体(例えば油、水など)の輸送または移送のための装置に応用する機械部品である。
【0157】
有利な一実施形態において、上で定義した部品は、電気または電子分野、例えば電気および電子製品、例えばカプセル封入ソレノイド、ポンプ、電話機、コンピュータ、プリンタ、ファックス装置、モデム、モニタ、リモコン、カメラ、回路遮断器、電気ケーブルシース、光ファイバ、スイッチ、マルチメディアシステムに応用する機械部品または構造部品である。
【0158】
示された特性を判定する方法
−固有またはインヘレント粘度の測定は、m−クレゾール中で行う。方法は、当業者に周知である。ISO 307:2007規格に従うが、溶媒を変更する(硫酸の代わりにm−クレゾールを使用、温度は20℃である。)。
【0159】
−ガラス転移温度Tgは、第2の加熱サイクル後に、ISO11357−2:2013規格に従って示差走査熱量計(DSC)を使用して測定する。加熱および冷却速度は、20℃/分である。
【0160】
−融点Mpおよび結晶化温度Tcは、ISO 11357−3:2013規格に従ってDSCによって測定する。加熱および冷却速度は、20℃/分である。
【0161】
−前記マトリクスポリマーの結晶化熱は、示差走査熱量測定(DSC)によって、ISO11357−3:2013規格に従って測定する。
【0162】
−180℃における弾性率E’は、2℃/分の温度勾配、1Hzの周波数および10μmの振幅を使用して、張力モードでバーに対して実施した動的力学的解析(DMA)の曲線から得られる。
【0163】
プレポリマーのMnは、電位差法によるCOOH末端官能基またはNH
2末端官能基の滴定(アッセイ)によって、2の理論的官能価から決定する。