特表2018-531384(P2018-531384A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-531384(P2018-531384A)
(43)【公表日】2018年10月25日
(54)【発明の名称】索類製品の非破壊評価
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 2 A20110101AFI20180928 2 C07C 275/
【FI】
   G01M99/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-517169(P2018-517169)
(86)(22)【出願日】2016年9月30日
(85)【翻訳文提出日】2018年5月29日
(86)【国際出願番号】US2016055009
(87)【国際公開番号】WO2017059365
(87)【国際公開日】20170406
(31)【優先権主張番号】62/262,622
(32)【優先日】2015年12月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/235,263
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】509179696
【氏名又は名称】サムソン ロープ テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100125874
【弁理士】
【氏名又は名称】川端 純市
(74)【代理人】
【識別番号】100189544
【弁理士】
【氏名又は名称】柏原 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ・ゾルタン・モジュガイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・アール・プライア
(72)【発明者】
【氏名】チア−テー・チョウ
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AD14
2G024AD18
2G024BA12
2G024BA13
2G024BA27
2G024CA02
2G024CA04
2G024CA11
2G024DA01
2G024EA01
2G024FA06
(57)【要約】
稼働中の索類製品の最新の物理条件を非破壊的に評価する方法を記載する。方法は、荷重を操作する稼働に配されていた間に索類製品に係るセンサデータを取得するステップを含む。センサデータは、索類製品伸長データ、加えられる荷重データ、及び直径データの任意の組み合わせを含む。方法は更に、センサデータに基づいて索類製品に係る軸方向剛性値を判別するステップと、判別した軸方向剛性値に基づいて索類製品の健全状態を推定するステップとを含む。推定される健全状態は、索類製品の最新の物理条件を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
稼働中の索類製品の最新の物理条件を非破壊的に評価するシステムであって、
前記システムは、
前記索類製品の二つ若しくはそれ以上の周知の特徴の間の距離における変化を示す索類伸長データを提供するように構成された距離センサと、
稼働の間に軸方向に前記索類製品に及ぶ張力を示す、加えられる荷重データを提供するように構成された張力センサと、及び、
前記距離センサ及び前記張力センサと結合するモニタリングデバイスと
を備え、
前記モニタリングデバイスは、
荷重を操作する稼働に配されていた間に、索類製品に係る、ロープ伸長データと加えられる荷重データとの内の一つ若しくはそれ以上を含む、センサデータを取得するように、
前記センサデータに基づいて繊維ロープに係る軸方向剛性値を判別するように、及び、
判別した軸方向剛性値に部分的に基づいて、前記索類製品の最新の物理条件を示す健全状態を推定するように
構成されている、
システム。
【請求項2】
前記軸方向に直交する索類製品の直径を示す直径データを提供するように構成された張力センサを更に備え、
前記センサデータは、ロープ伸長データ、加えられる荷重データ、及び直径データのうちの、一つ若しくはそれ以上を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記モニタリングデバイスは更に、前記索類製品の物理条件に係る参照データを取得するように構成されており、
前記参照データは、
前記索類製品が荷重を操作する稼働に配されていた間に予め取得されていた、前記索類製品に係る履歴センサデータと、
前記索類製品の種々の引張特性を特徴付ける初期の荷重伸長曲線と、及び、
履歴センサデータを用いて判別される少なくとも一つの履歴の軸方向剛性値と
のうちの一つ若しくはそれ以上を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記推定される健全状態は更に、前記参照データに基づくものである、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
稼働中の索類製品の最新の物理条件を非破壊的に評価するコンピュータ実装方法であって、
前記コンピュータ実装方法は、
荷重を操作する稼働に配されていた間に索類製品に係る、ロープ伸長データ、加えられる荷重データ、及び直径データの内の一つ若しくはそれ以上を含む、センサデータを取得するステップと、
前記センサデータに基づいて前記索類製品に係る軸方向剛性値を判別するステップと、及び、
判別した軸方向剛性値に基づいて、前記索類製品の最新の物理条件を示す健全状態を推定するステップと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記ロープ伸長データは、前記索類製品の二つ若しくはそれ以上の周知の特徴の間の距離における変化を示す、
請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記二つ若しくはそれ以上の特徴は、ピック、埋め込み検出可能エレメント、外部マーク、若しくはそれらの組み合わせを含む、
請求項6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
健全状態を推定するステップは、
前記センサデータをある時間間隔で補間するステップと、及び、
変換を用いて補間されたセンサデータから周波数特性を抽出するステップと
を含む、請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記索類製品が繊維ロープであり、推定される健全状態が繊維ロープの繊維の残留強度である、請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記センサデータは、一つ若しくはそれ以上のセンサを通過する前記索類製品の全長に亘って前記一つ若しくはそれ以上のセンサにより取得され、
軸方向剛性値を判別することは、前記全長に沿いの、個別の点における若しくは個別の下位長における、センサデータに限定される、請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
更に、ノイズエラーを減少し忠実度を増加するために前記センサデータにフィルタをかけるステップを含む、請求項6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記センサデータは、一つ若しくはそれ以上のセンサを通過する前記索類製品の一部に亘って前記一つ若しくはそれ以上のセンサにより取得され、
前記一部からのセンサデータは、所定の期間に亘って複数回取得され、
更に、
前記健全状態が健全悪化率のための閾値を超えるかどうか判別するステップを含む、
請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
更に、前記索類製品が一つ若しくはそれ以上の所定の条件下で故障する可能性を判別するために、前記推定される健全状態を利用するステップを含む、
請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記索類製品の残余の耐用年数を推定するために、前記推定される健全状態を利用するステップを含む、
請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
稼働中の索類製品の最新の物理条件を非破壊的に評価するコンピュータシステムであって、
前記コンピュータシステムは、
一つ若しくはそれ以上のプロセッサと、及び、
前記一つ若しくはそれ以上のプロセッサと通信可能に結合するメモリと
を備え、
前記メモリは、
前記一つ若しくはそれ以上のプロセッサ上で実行されると前記コンピュータシステムに少なくとも、
前記索類製品の物理条件に係る参照データを取得することと、
荷重を操作する稼働に配されていた間に前記索類製品に係るセンサデータを取得することと、
前記センサデータに基づいて前記索類製品に係る軸方向剛性値を判別することと、及び、
判別した軸方向剛性値及び取得された参照データに基づいて、前記索類製品の前記最新の物理条件を示す、前記索類製品の健全状態を推定することと
を行わせる、命令を担持する、
コンピュータシステム。
【請求項16】
前記参照データは、
前記索類製品が荷重を操作する稼働に配されていた間に予め取得されていた、前記繊維ロープに係る履歴センサデータと、
前記索類製品の種々の引張特性を特徴付ける初期の荷重伸長曲線と、及び、
履歴センサデータを用いて判別される少なくとも一つの履歴の軸方向剛性値と
のうちの一つ若しくはそれ以上を含む、
請求項15に記載のコンピュータシステム。
【請求項17】
前記命令は更に前記コンピュータシステムに、
前記索類製品の健全状態を推定する際に、判別した軸方向剛性値を前記参照データと対比することを、行わせる、請求項15に記載のコンピュータシステム。
【請求項18】
前記命令は更に前記コンピュータシステムに、
前記センサデータに基づいて、前記センサデータが取得されたときの前記索類製品の種々の引張特性を特徴付ける最新の荷重伸長曲線を生成することを、行わせる、請求項15に記載のコンピュータシステム。
【請求項19】
前記命令は更に前記コンピュータシステムに、
前記索類製品の健全状態を推定する際に、前記最新の荷重伸長曲線を前記参照データと対比することを、行わせる、請求項16に記載のコンピュータシステム。
【請求項20】
前記センサデータは、索類製品伸長データ、加えられる荷重データ、及び直径データのうちの、一つ若しくはそれ以上を含む、請求項15に記載のコンピュータシステム。
【請求項21】
前記参照データは更に、前記索類製品を構成する一つ若しくはそれ以上のポリマについての情報を提供するポリマデータを含む、請求項15に記載のコンピュータシステム。
【請求項22】
前記ポリマデータは、架橋結合、結晶化度、分子量、重合体切断、弾性係数、若しくはそれらの組み合わせなどについての情報を含む、請求項21に記載のコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2015年9月30日出願の米国仮出願第62/235,263号、及び、2015年12月3日出願の米国仮出願第62/262,622号の利益を主張する。
【0002】
技術分野
本開示は概略、但し非排他的に、非破壊評価を介して、稼働の間にある索類製品の最新の物理条件を推定するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
合繊ロープ及び他の索類製品は、様々な利用例のために、数多くの産業で用いられる。例えば、海運業は、船舶を桟橋に固定する係留作業で索類製品を用いることがあり、建設業は、重量のある品物をリフトして運搬するクレーンにより索類製品を用いることがある。これらの様々な利用例の各々では、荷重が索類製品に加えられ、結果として該索類製品に力が掛かる。索類製品がこれらの力にどのように反応するかは、索類製品の引張特性に依存する。
【0004】
稼働に配する前には、索類製品は、該索類製品の様々な引張特性を特徴付ける初期の荷重伸長曲線に従うものである。それら引張特性の例は、弾性係数、弾性限界、伸長、比例限界、断面積収縮、引張強度、降伏点、降伏力などを、含む。初期の荷重伸長曲線は、索類製品が加えられる荷重にどのように反応するか、の基準値の兆候を提供し得る。
【0005】
しかしながら、稼働に配されると、索類製品は、初期の荷重伸長曲線の一つ若しくはそれ以上の態様を変更する、様々な荷重及び運転条件にさらされる。これらの荷重及び運転条件は、索類製品に及ぶ応力の、変動するレベル及び/又はモードを表し、それら変動するレベル及び/又はモードは、経時的に索類製品の引張特性を低下させる。それら低下は、索類製品の物理条件の劣化を示し、該劣化は、索類製品をより故障しやすいものとしてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
合繊ロープの物理条件のこの劣化には、複数のファクタが寄与し得る。それらファクタの例は、摩耗、切断、疲労、衝撃荷重、ねじりの積み重ね、環境暴露などを含む。触覚若しくは視覚の検査を介して幾つかのファクタは観察され得るが、索類製品の物理条件への、ファクタの最終的な影響は、確定するのが困難である。稼働中の索類製品を経時的に非破壊的に評価するシステム及び方法が、必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
稼働中の索類製品の最新の物理条件を評価することに備える方法、システム、及びコンピュータ読み取り可能記憶媒体を、本明細書にて開示する。開示される技術は、荷重が加えられる際に索類製品に係るセンサデータをモニタすることにより、リアルタイムで軸方向剛性値を判別する。ある実施形態では、センサデータは、加えられる荷重により索類製品に及ぼされる張力の計測を含む。ある実施形態では、センサデータは、荷重が加えられる際の索類製品に係る伸長の計測を含む。ある実施形態では、開示される技術は、軸方向剛性値を判別するための、索類製品の物理条件に係る参照データを用いる。それら参照データの例は、初期の荷重伸長曲線、索類製品に係る履歴センサデータ、及び、履歴センサデータを用いて判別される履歴軸方向剛性値を含む。添付の図面及び特許請求の範囲と共に、以下の発明の詳細な説明から、これらの及び他の特徴がより明確に理解されるであろう。
【0008】
この概要は、以下の発明の詳細な説明にてより詳細に更に記載する、簡素化した形式での発明概念の選択を導入すべく、提供される。この概要は、本発明の本旨の肝要な特徴若しくは不可欠な特徴を特定することを意図するものでは無く、本発明の本旨の範囲を限定することを意図するものでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る、荷重伸長曲線を示すグラフである。
図2図2は、実施形態に係る、稼働に配される前の索類製品のための初期の荷重伸長曲線を、稼働に配された後の索類製品のための後続の荷重伸長曲線と比較する、グラフである。
図3図3は、本発明の態様を実装する繊維ロープの例を示す。
図4図4は、本発明の態様を実装する例示の操作環境を描写する。
図5図5は、本明細書に開示の方法及びシステムの態様、若しくはそれらの一部が組み込まれ得る、汎用コンピュータシステムを表す例示のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態は、索類製品の軸方向剛性値の非破壊評価を介して、稼働の間にある索類製品の最新の物理条件を推定するシステム、方法、及びコンピュータ読み取り可能記録媒体を、提供する。軸方向剛性値は、荷重が索類製品に加えられるときに索類製品に及ぶ張力をモニタすることにより、ある程度、判別され得る。一般に、張力が軸方向に索類製品に加わると、応力が索類製品内で生じ、応力に比例する引っ張り歪みも生じる。
【0011】
索類製品がこの引っ張り歪みにさらされると、伸長が生じる。伸長は、索類製品の長さが増加する、索類製品の挙動を指す。実施形態では、索類製品の断面積も、索類製品に係るポアソン比に基づいて、索類製品の長さが増加するにつれて、変化し得る。軸方向剛性値も、荷重が索類製品に加えられるときに索類製品の伸長をモニタすることにより、ある程度、判別され得る。図1は、索類製品の種々の引張特性を特徴付ける荷重伸長曲線100の例を描写する。図1では、索類製品に加えられる荷重に起因する張力が、加えられる荷重に応じる索類製品の伸長に対して、プロットされている。図1により示されるように、荷重伸長曲線100は、弾性域110を含む。
【0012】
弾性域110は、加えられる荷重により索類製品に及ぶ張力と、張力に起因する伸長との間に、線形関係が存在する荷重伸長曲線100の領域である。応力下である間に索類製品が弾性域110に在る限り、索類製品は弾性的に挙動する傾向にある。その場合、張力が増加するにつれて、索類製品は、伸長を介して変形し、加えられる荷重が除去されて非変形の状態に戻ることにより、回復する傾向にある。
【0013】
弾性域110の勾配120は、索類製品の弾性係数、若しくはヤングの係数と称される。実施形態では、勾配120は、索類製品の長さから独立している索類製品の軸方向剛性を表す。ブレイクポイント130にて、索類製品は、加えられる荷重により索類製品に及ぶ張力にもはや耐えることができない。従って、ブレイクポイント130は、索類製品が破裂し、折れ、若しくは故障し得る荷重伸長曲線100の点を表す。
【0014】
前で説明したように、稼働に配する前には、索類製品は、該索類製品の様々な引張特性を特徴付ける初期の荷重伸長曲線に従い得る。図2では、この初期の荷重伸長曲線は、曲線200により表される。稼働に配された後には、索類製品は、経時的に索類製品の一つ若しくはそれ以上の引張特性を低下させる種々の荷重及び運転条件にさらされる。結果として、索類製品は、或る期間に亘り稼働に配された後には、初期の荷重伸長曲線200に従い得なくなる。
【0015】
その代わりに、索類製品は、稼働に配された後に索類製品の種々の引張特性を特徴付ける後続の荷重伸長曲線に従い得る。図2では、この後続の荷重伸長曲線は曲線250により表される。図2により示すように、稼働中の索類製品の引張特性を低下させる種々の荷重及び運転条件は、索類製品の荷重伸長曲線の態様も変更する。例えば、索類製品の弾性剛性は、索類製品の断面積の減少、索類製品の弾性係数の減少、断面積及び弾性係数におけるこれらの減少の組み合わせなどにより、経時的に低下し得る。断面積の減少は、索類製品を構成する一つ若しくはそれ以上のファイバの、物理的損傷、破損、及び/又は除去から、生じ得る。弾性係数の減少は、鎖の切断、再結晶などの、一つ若しくはそれ以上のファイバを構成する材料の劣化により得る。更に、損傷にも拘わらず索類製品が初期の荷重伸長曲線200に従う様子をたとえ継続しても、将来のある時点において、非同調が生じ得る速度は加速し、このことにより、索類製品は突然に荷重伸長曲線250に従うことになる。従って、最新の物理条件を推定するように、稼働の間にある索類製品を常にモニタすることが望ましい。
【0016】
種々の荷重及び運転条件により変更され得る一つの態様は、索類製品の弾性係数を含み得る。例えば、初期の荷重伸長曲線200における、初期の弾性係数210は、後続の荷重伸長曲線250における、後続の弾性係数260とは、顕著に異なる。よって、弾性域での索類製品の伸長挙動は、稼働に配された後に変化する。
【0017】
種々の荷重及び運転条件により変更され得る別の態様は、索類製品のブレイクポイントを含み得る。例えば、初期の荷重伸長曲線200における、初期のブレイクポイント220は、後続の荷重伸長曲線250における、後続の弾性係数270と同じでないことがある。従って、稼働に配する前よりも、稼働配された後にて、より低い引張荷重下で索類製品は破裂し、折れ、若しくは故障し得る。従って、荷重が加えられるとき、索類製品に及ぶ張力、及び/又は、索類製品に結果として生じる伸長を、モニタすることは、索類製品の最新の物理条件の非破壊評価を提供し得る。
【0018】
図3は、上述の荷重伸長曲線により特徴付けられ得る種々の引張特性を伴う索類製品の例を提供する。図3により示される例示の索類製品は、繊維ロープ300である。本開示の実施形態を繊維ロープの観点にて説明するが、繊維ロープ300は本発明の態様を実装する適切な索類製品の一例に過ぎない。繊維ロープ300は、複数のファイバ若しくはフィラメントから成り、それら複数のファイバ若しくはフィラメントは組み合わされて糸(例えば、基本糸、中間糸、若しくはロープ糸)を形成し、それら糸は続いて組み合わされてより糸を形成する。より糸は続いて捻られ、組まれ、若しくは編まれて繊維ロープ300を形成する。
【0019】
個々の糸は、天然繊維、合成繊維、若しくは、天然繊維と合成繊維の混合を、含み得る。天然繊維は、綿、サイザル麻、ウール、竹、亜麻、麻などを含む。合成繊維は、テレフタル酸ポリエチレン(PET)、ポリプロピレン、ポリエチレン、アラミド、高弾性ポリエチレン(HMPE)若しくは超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ナイロン、ポリエステル、液晶高分子(LCP)、カーボン、ガラス、玄武岩、他の有機及び無機の合成繊維を、含み得る。
【0020】
様々なタイプのファイバは、個々のタイプのファイバに影響を与える様々な材料特性を有し、個々のタイプのファイバは、広範囲の等級を含み、それら広範囲の等級は非常に様々な材料特性を有し得る。これらの様々な材料特性は、今度は、繊維ロープ300の一つ若しくはそれ以上の引張特性(例えば、弾性係数、強度、重量、及びクリープ特性)に影響し得る。従って、本開示の幾つかの実施形態は、繊維ロープ300の最新の物理条件を推定する際に、繊維ロープ300を構成するファイバの材料特性に関する周知の情報を含む、参照データを利用することがある。
【0021】
幾つかの実施形態では、繊維ロープ300は、繊維ロープ300の最新の物理条件を推定することを促す周知の特徴を含む。ある実施形態では、周知の距離(例えば、ゲージ長)は、繊維ロープ300の二つ若しくはそれ以上の特徴を分離し得る。ある実施形態では、周知の特徴は、繊維ロープ300を構成する個別のより糸が相互に交差する、単独の点(即ち、ピック310の一つの端)若しくは揃いのセットの点(即ち、ピック310の両方の端)のいずれかを表す、ピック310を含み得る。
【0022】
ある実施形態では、繊維ロープ300の周知の特徴は、マーク320、330を含み得る。マーク320、330は、所定の位置で繊維ロープ300に付加される外部マークを表す。それら外部マークの例は、特定のファイバ、糸、より糸編みパターン、外部付加塗料添加物、着色変化などを含む。着色変化は、標準的照明条件下で可視的に区別され得る材料を用いて、若しくは、特定の波長(例えば、紫外線や赤外線)の電磁放射により活性化されると知覚可能になる材料を用いて、実装され得る。反射及び蛍光材料も、人間の若しくは機械の視覚変化を実装するのに用いられ得る。ある実施形態では、周知の特徴は、超音波検出、x線若しくはテラヘルツイメージング、コンピュータ断層撮影などを介して、外部から検出され得る埋め込みエレメント(図示せず)を含み得る。埋め込みエレメントは、金属線、金属エレメント、若しくは、外部から検出され得る他の繊維エレメントを用いて、実装し得る。繊維ロープ300上の若しくは内の、他の複数の反復可能な点(即ち、一度モニタ可能であり、同じモニタリングが続いて反復され得る)は、本開示に係る繊維ロープ300をモニタするのに、同様に用いられ得る。
【0023】
図4を参照すると、本発明の一つの実施形態に係る、非破壊評価(NDE)デバイス400を示すブロック図が示されている。稼働に配された後の(図示しないが、索類製品450のいずれかの端における、)引張荷重下にある索類製品450の非破壊評価を実行する、NDEデバイス400を、描写している。ある実施形態では、索類製品450がNDEデバイス400に対して移動するが、NDEデバイス400は静止したままである。ある実施形態では、NDEデバイス400が索類製品450に対して移動するが、索類製品450は静止したままである。図4に示すコンポーネントは、本発明の実施形態が稼働中に相互作用し得るコンポーネントの一部に過ぎない。従って、単純化のために、特定の構造では無く、機能を強調して、本明細書に示すコンポーネントを説明する。
【0024】
図4に描写されるように、NDEデバイス400は、ガイドホイール405、張力センサ415、伸長若しくは距離センサ425、直径センサ435、ヘルスモニタ445、及びデータ格納部455を含む。稼働時には、NDEデバイス400は、加えられる荷重を操作する稼働中の索類製品460に関連する、センサ415、425、435などから、センサデータを取得する。センサデータは、加えられる荷重データ、ロープ伸長データ、及び直径データの、任意の組み合わせを含み得る。ある実施形態では、NDEデバイス400は、ヘルスモニタ445による分析の、及び/又は、データ格納部455への格納の、前に若しくは後に、取得したデータにフィルタをかけるように構成され得る。取得したデータにフィルタをかけることは、センサデータにおける、計測ノイズエラーを減少し、及び/又は、忠実度を増加し得る。
【0025】
加えられる荷重データは、加えられる荷重により軸方向にて索類製品460に及ぼされる張力を計測する。ある実施形態では、加えられる荷重データは、張力計などの、索類製品460に及ぶ張力を直接計測するセンサから、取得され得る。例えば、加えられる荷重データは、NDEデバイス400内部の張力センサ415から直接取得され得る。ある実施形態では、加えられる荷重データは、索類製品460に及ぶ張力を間接的に計測するセンサから、取得され得る。例えば、加えられる荷重データは、索類製品460と関連する滑車若しくはウインチ(図示せず)に加わる荷重を計測するセンサから、間接的に取得し得る。
【0026】
ロープ伸長データは、索類製品460の二つ若しくはそれ以上の特徴の間の距離における変化の任意の兆候から、取得され得る。ある実施形態では、二つ若しくはそれ以上の特徴は、ピック(例えば、図3のピック310)、埋め込み検出可能エレメント(例えば、導体素子)、外部マーク(例えば、図3のマーク320、330)、他の任意の複数のマーク、又は、それらの組み合わせを、含み得る。ある実施形態では、ロープ伸長データは伸長センサ425から取得され、該伸長センサ425は、ジョッキーホイール、ロータリエンコーダ、イメージセンサ、又は他の類似の構造を用いて、実装され得る。
【0027】
ある実施形態では、伸長センサ425は更に、ロープ伸長データを取得する間に、軸方向に索類製品460の移動する距離を計測するように構成され得る。ある実施形態では、伸長センサ425は更に、ロープ伸長データを取得する間に、索類製品460に対してNDEデバイス400の移動する距離を計測するように構成され得る。索類製品460若しくはNDEデバイス400の移動する距離についての、それら情報は、具体的なセンサデータを、索類製品460の特定の位置と関連付けるように用いられ得る。従って、そのような移動距離についての情報は、索類製品460の最新の物理条件の位置特定の推定を促進し得る。
【0028】
直径データは、張力が索類製品460に及ぶ際の、索類製品460の断面積の変化を表す。この断面積の変化は、索類製品460の損傷を表すものであり、該損傷により結果として、索類製品460の特定部分に存するファイバ数が減少する。これら損傷の例は、摩耗、索類製品460を構成するファイバ間の内部摩擦、切断、衝撃荷重、環境暴露、化学品暴露などを、含む。ある実施形態では、直径データは、半径方向における索類製品460の物理的寸法に関する情報を提供し得るが、ここで半径方向は、索類製品の軸方向に直交するものである。ある実施形態では、直径データは、直径センサ435から取得され、該直径センサ435は、表面形状測定装置、スポットレーザゲージ、イメージセンサなどを用いて実装され得る。
【0029】
ヘルスモニタ445は概略、加えられる荷重データ、ロープ伸長データ、及び直径データの任意の組み合わせを含み得る、センサデータに基づいて、索類製品460に係る軸方向剛性値を判別するように構成されている。ある実施形態では、軸方向剛性値は、引張荷重下の間に伸長に耐える索類製品460の能力の評価基準である。ある実施形態では、ヘルスモニタ445は、索類製品460の特定の部分若しくは点に関する複数の計測を表すセンサデータを用いて、軸方向剛性値を判別し得る。この実施形態では、続いて、センサデータの平均が用いられて、軸方向剛性値を判別し、これにより、関心の計測データを示すものでは無い、センサデータ内のランダム変動(例えば、ノイズ)を説明する助けとなり得る。
【0030】
NDEデバイス400は、索類製品460の物理条件に関する参照データも取得し得る。例として、参照データは、稼働に配する前の索類製品460の一つ若しくはそれ以上の引張特性を特徴付ける、索類製品460のための初期の荷重伸長曲線などのデータを、含み得る。参照データは、索類製品460が荷重を操作する稼働に配されていた間に予め取得されていた、索類製品460に係る履歴センサデータも含み得る。別の例では、参照データは、索類製品460を構成する一つ若しくはそれ以上のポリマについての情報を提供するポリマデータ等の、周知の情報を含み得る。ポリマデータの例は、架橋結合、結晶化度、分子量、重合体切断、弾性係数などについての情報を、含む。
【0031】
ある実施形態では、NDEデバイス400は、NDEデバイス400にデータ格納の性能を与えるデータ格納部455から、参照データを取得する。データ格納部455は、センサデータが収集され結果が計算されるような、データ格納の性能もNDEデバイス400に与え得る。ある実施形態では、データ格納部455は、張力センサ415から、加えられる荷重データを、伸長センサ425からロープ伸長データを、及び、直径センサ435から直径データを、受信する。ある実施形態では、データ格納部455は、センサデータに係るメタデータを格納する。例えば、メタデータは、センサデータに関するタイムスタンプ、センサデータを索類製品460の特定の位置と関連付ける位置データ、ソース特定情報、サンプリングインターバル、センサデータタイプなどを、含み得る。ある実施形態では、データ格納部455はセンサ415、425、435から遠隔して配置されるが、なおNDEデバイス400の一部を形成する。
【0032】
ヘルスモニタ445は更に、判別される軸方向剛性値を用いて、索類製品460の健全状態の推定となる結果を生成する。ある実施形態では、結果はリアルタイムで生成される。ある実施形態では、センサデータが収集される後(所定時間だけ、若しくは別途の)しばらくして結果が生成される。ある実施形態では、ヘルスモニタ445は、センサ415、425、435と配列される。ある実施形態では、ヘルスモニタ445は、センサ415、425、435から遠隔して配置されるが、なおNDEデバイス400の一部を形成する。
【0033】
推定される健全状態は、索類製品460の最新の物理条件を示す。索類製品460に対してヘルスモニタ445により推定される健全状態の例は、残留強度、最新のブレイクポイント、最新の弾性係数、降伏荷重などを含む。ある実施形態では、NDEデバイス400が、推定される健全状態を用いて、索類製品460の残余の耐用年数を推定し得る。ある実施形態では、NDEデバイス400は、推定される健全状態を用いて、一つ若しくはそれ以上の所定の条件下で索類製品460が故障する尤度を推定し得る。
【0034】
ある実施形態では、ヘルスモニタ445は、索類製品460の健全状態を推定する際に変換解析を実行し得る。変換解析は、センサデータをある時間間隔で補間し、補間されたセンサデータから周波数特性を抽出することを、含み得る。例えば、二つ若しくはそれ以上の周知の特徴内に十分なレベルの周期性があるならば、ヘルスモニタ445は、高速フーリエ解析を用いて、周波数特性を抽出できる。ある実施形態では、ヘルスモニタ445は、周波数変換若しくは他のタイプの変換を用い得る。変換解析を実行することにより、ヘルスモニタ445は、索類製品460の潜在的故障箇所を直接に特定することができる。変換解析は、稼働の間にある索類製品460が経験する物理的損傷の深刻度を定量化することも促進し得る。
【0035】
ある実施形態では、ヘルスモニタ445は、索類製品460の健全状態を推定する際に、センサデータに加えて参照データも考慮できる。例えば、ヘルスモニタ445は、参照データを用いて、予想される剛性値を生成し得る。参照データにより生成される、予想される剛性値は、センサデータを用いて生成される所定の剛性値と対比され得るものであり、その対比を用いて健全性推定を生成し得る。
【0036】
別の例として、ヘルスモニタ445は、センサデータを用いて、最新の荷重伸長曲線を生成し得る。最新の荷重伸長曲線は、センサデータが取得されたときの索類製品460の種々の引張特性を特徴付け得るものである。索類製品460の健全状態を推定するにあたり、ヘルスモニタは、最新の荷重伸長曲線を、参照データとして与えられる初期の荷重伸長曲線と比較でき、その比較を用いて健全性推定を生成し得る。
【0037】
最新の荷重伸長曲線を初期の荷重伸長曲線と比較するにあたり、NDEデバイス400は、索類製品460に係る一つ若しくはそれ以上の引張特性と対応する変化率をモニタし得る。この変化率をモニタすることにより、NDEデバイス400は、所定の期間の範囲内に変化率が所定の閾値を超えるのであれば索類製品460は故障しつつあると、判別することができる。
【0038】
図5は、ヘルスモニタ445及びデータ格納部455などの、本開示の実施形態が実装され得る例示の汎用コンピュータシステムのブロック図である。図5により描写されるコンピュータシステムは、開示のヘルスモニタ445を実装するのに用いられ得る、ハードウエアモジュール、ソフトウエアモジュール、若しくはそれらの組み合わせを含み得る。基本的構成では、コンピュータシステムは、少なくとも、プロセッサ、システムメモリ、記憶装置、入力/出力周辺機器、通信周辺機器、及びインタフェースバスを、含み得る。入力/出力周辺機器を用いて、例えば、センサ415、425、435と通信してそれらを制御し得る。例えば、ヘルスモニタ445及び/又はデータ格納部455が遠隔して配置されるならば、通信周辺機器を用いて、コンピュータサーバ、クレーンの運転室内のコンピュータ制御機器、船舶のコンピュータ制御機器などの、遠隔システムへ健全性分析の結果を報告し得る。
【0039】
インタフェースバスは、電子装置の種々のコンポーネントの間でデータ、制御、及びコマンドを通信し、送信し、及び伝達するように構成されている。システムメモリ及び記憶装置は、RAM、ROM、EEPROM、ハードドライブ、CD−ROM、光学記憶装置、磁気記憶装置、フラッシュメモリ、及び他の有形記憶媒体などの、コンピュータ読み取り可能記憶媒体を含む。それらコンピュータ読み取り可能記憶媒体のいずれも、本開示の態様を具体化する命令若しくはプログラムコードを格納するように構成され得る。更に、システムメモリは、運用システム及びアプリケーションを含む。プロセッサは、格納された命令を実行するように構成され、例えば、論理処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサなどを、含み得る。
【0040】
システムメモリ及び記憶装置は、コンピュータ読み取り可能信号媒体も含み得る。コンピュータ読み取り可能信号媒体は、コンピュータ読み取り可能プログラムコードが内に埋め込まれた伝播信号を含み得る。それら伝播信号は、電磁気の、光学の、若しくはそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない、種々の形式のいずれかを採り得る。コンピュータ読み取り可能信号媒体は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体ではなく、且つ、コンピュータシステムと接続して用いるためにプログラムを通信し、伝播し、若しくは移植するどのコンピュータ読み取り可能媒体でもよい。
【0041】
更に、入力/出力周辺機器は、キーボード、スクリーン、マイクロフォン、スピーカ、他の入力/出力装置などの、ユーザインタフェース、並びに、デジタルアナログ及びアナログデジタルコンバータ、図形処理ユニット、シリアルポート、パラレルポート、及びユニバーサルシリアルバスなどの、コンピュータコンポーネントを、含む。入力/出力周辺機器は、張力計、スポットレーザゲージ、ジョッキーホイール、ロータリエンコーダ、トポグラフィーイメージングデバイス、表面形状測定センサ、画像センサ、及び他のタイプのセンサなどの、種々のセンサも含み得る。入力/出力周辺機器は、インタフェースバスと結合するポートのいずれかを介して、プロセッサと接続し得る。
【0042】
ユーザインタフェースは、コンピュータシステムのユーザにコンピュータシステムと相互作用させ得るように構成されている。例えば、コンピュータシステムは、実行時に、コンピュータシステムにユーザインタフェースを生成させ、且つ、ユーザが使用してコンピュータシステムに入力を提供してコンピュータシステムから出力を受信し得る、他の方法及び操作を実行させる、命令を含み得る。
【0043】
最後に、コンピュータシステムの通信周辺機器は、通信ネットワークに亘って、コンピュータシステムと他のコンピュータシステムとの間での(例えば、コンピュータ装置とサーバとの間での)通信を促進するように構成されている。通信周辺機器は、例えば、ネットワークインタフェースコントローラ、モデム、種々のモジュレータ/ディモジュレータ及びエンコーダ/デコーダ、無線及び有線インタフェースカード、アンテナなどを、含む。
【0044】
通信ネットワークは、コンピュータ装置とサーバとの間に通信を提供するのに適した任意のタイプのネットワークを含み、様々な技術を利用し得る個別ネットワークの組み合わせを含み得る。例えば、通信ネットワークは、セルラーネットワーク、ワイファイ/ブロードバンドネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、電話網、光ファイバ網、若しくはそれらの組み合わせをふくむ。例示の実施形態では、通信ネットワークは、インターネット、及び、インターネットと通信するように適合された任意のネットワークを含む。通信ネットワークは、コンピュータシステムと他のコンピュータシステムとの間のデータを送信する手段としても構成され得る。
【0045】
上述の技術は、一つ若しくはそれ以上のコンピュータ若しくはコンピュータプロセッサにより実行されるコードモジュールに埋め込まれ得、該コードモジュールにより完全に若しくは部分的に自動化され得る。コードモジュールは、ハードディスク、ソリッドステートメモリ、光学ディスク、及び/又は同類のものなどの、任意のタイプの非一時的コンピュータ読み取り可能媒体若しくはコンピュータ記憶装置に、格納され得る。プロセス及びアルゴリズムは、特定用途向け回路で部分的に若しくは完全に実装され得る。開示のプロセス及びプロセスステップの結果は、例えば、揮発性若しくは不揮発性記憶装置などの、任意のタイプの非一時的コンピュータ記憶装置に、永続的に又は別途、格納され得る。本明細書で用いるように、揮発性及び不揮発性記憶装置は、本来的に伝播若しくは一時的信号を除外する。
【0046】
とりわけ、「can」、「could」、「might」、「may」、「e.g.,」などの、本明細書で用いる条件付き用語は、具体的に別途記載したり、用いられるような文脈内で別途理解されたり、しない限り、ある実施形態がある特徴、要素、及び/又はステップを含み、一方で他の実施形態がそれらを含まない、ということを伝えることを、概略意図するものである。よって、特徴、要素、及び/又はステップがいずれにせよ一つ若しくはそれ以上の実施形態で要求されるということを、又は、一つ若しくはそれ以上の実施形態が、これらの特徴、要素、及び/又はステップが任意の特定の実施形態に含まれるか若しくは任意の実施形態で実行されるか、を、著者の入力若しくは指示により若しくは著者の入力若しくは指示無しで、判別するロジックを必ず含むということを、それら条件付き用語は意味する、という意図は概ね無い。用語「comprising」、「including」、「having」などは、同義であり、制約無く包括的に用いられ、更なる要素、特徴、行為、操作などを除外するものでは無い。また、用語「or」は、包括的な意味で(且つ排他的な意味では無く)用いられており、例えば、一覧の要素を接続するのに用いるときには用語「or」は一覧の要素のうちの、一つ、一部、若しくは全てを意味する。
【0047】
例示の実施形態を記載したが、これらの実施形態は、例として提示されるに過ぎず、本明細書の開示の範囲を現ティすることを意図するものでは無い。よって、上述の記載は、どの特定の特徴、特性、ステップ、モジュール、若しくはブロックも必要である若しくは不可欠であるということを意味することを意図していない。実際、本明細書に記載の新規の方法及びシステムは、様々な他の形式で具現化され得る。更に、本明細書に記載の方法及びシステムにおける形式の、種々の省略、置換、及び変更は、本明細書における開示の精神から乖離すること無く為され得る。添付の請求項及びその均等物は、それらの形式若しくは修正をカバーすることが意図されており、本明細書における開示の範囲及び精神の範囲内にあるものである。
【符号の説明】
【0048】
400・・・NDEデバイス、415・・・張力センサ、425・・・伸長センサ、435・・・直径センサ、445・・・ヘルスモニタ、455・・・データ格納部。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2017年7月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
稼働中の索類製品の最新の物理条件を非破壊的に評価するシステムであって、
前記システムは、
前記索類製品の二つ若しくはそれ以上の周知の特徴の間の距離における変化を示す索類伸長データを提供するように構成された距離センサと、
稼働の間に軸方向に前記索類製品に及ぶ張力を示す、加えられる荷重データを提供するように構成された張力センサと、及び、
前記距離センサ及び前記張力センサと結合するモニタリングデバイスと
を備え、
前記モニタリングデバイスは、
荷重を操作する稼働に配されていた間に、索類製品に係る、索類伸長データと加えられる荷重データとの内の一つ若しくはそれ以上を含む、センサデータを取得するように、
前記センサデータに基づいて前記索類製品の荷重担持ファイバから直接計測される軸方向剛性値を判別するように、及び、
判別した軸方向剛性値に部分的に基づいて、前記索類製品の最新の物理条件を示す健全状態を推定するように
構成されている、
システム。
【請求項2】
前記軸方向に直交する索類製品の直径を示す直径データを提供するように構成された張力センサを更に備え、
前記センサデータは、索類伸長データ、加えられる荷重データ、及び直径データのうちの、一つ若しくはそれ以上を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記モニタリングデバイスは更に、前記索類製品の物理条件に係る参照データを取得するように構成されており、
前記参照データは、
前記索類製品が荷重を操作する稼働に配されていた間に予め取得されていた、前記索類製品に係る履歴センサデータと、
前記索類製品の種々の引張特性を特徴付ける初期の荷重伸長曲線と、及び、
履歴センサデータを用いて判別される少なくとも一つの履歴の軸方向剛性値と
のうちの一つ若しくはそれ以上を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記推定される健全状態は更に、前記参照データに基づくものである、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
稼働中の索類製品の最新の物理条件を非破壊的に評価するコンピュータ実装方法であって、
前記コンピュータ実装方法は、
荷重を操作する稼働に配されていた間に索類製品に係る、ロープ伸長データ、加えられる荷重データ、及び直径データの内の一つ若しくはそれ以上を含む、センサデータを取得するステップと、
前記センサデータに基づいて前記索類製品の荷重担持ファイバから直接計測される軸方向剛性値を判別するステップと、及び、
判別した軸方向剛性値に基づいて、前記索類製品の最新の物理条件を示す健全状態を推定するステップと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記ロープ伸長データは、前記索類製品の二つ若しくはそれ以上の周知の特徴の間の距離における変化を示す、
請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記二つ若しくはそれ以上の特徴は、ピック、埋め込み検出可能エレメント、外部マーク、若しくはそれらの組み合わせを含む、
請求項6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
健全状態を推定するステップは、
前記センサデータをある時間間隔で補間するステップと、及び、
変換を用いて補間されたセンサデータから周波数特性を抽出するステップと
を含む、請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記索類製品が繊維ロープであり、推定される健全状態が繊維ロープの繊維の残留強度である、請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記センサデータは、一つ若しくはそれ以上のセンサを通過する前記索類製品の全長に亘って前記一つ若しくはそれ以上のセンサにより取得され、
軸方向剛性値を判別することは、前記全長に沿いの、個別の点における若しくは個別の下位長における、センサデータに限定される、請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
更に、ノイズエラーを減少し忠実度を増加するために前記センサデータにフィルタをかけるステップを含む、請求項6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記センサデータは、一つ若しくはそれ以上のセンサを通過する前記索類製品の一部に亘って前記一つ若しくはそれ以上のセンサにより取得され、
前記一部からのセンサデータは、所定の期間に亘って複数回取得され、
更に、
前記健全状態が健全悪化率のための閾値を超えるかどうか判別するステップを含む、
請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
更に、前記索類製品が一つ若しくはそれ以上の所定の条件下で故障する可能性を判別するために、前記推定される健全状態を利用するステップを含む、
請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記索類製品の残余の耐用年数を推定するために、前記推定される健全状態を利用するステップを含む、
請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
稼働中の索類製品の最新の物理条件を非破壊的に評価するコンピュータシステムであって、
前記コンピュータシステムは、
一つ若しくはそれ以上のプロセッサと、及び、
前記一つ若しくはそれ以上のプロセッサと通信可能に結合するメモリと
を備え、
前記メモリは、
前記一つ若しくはそれ以上のプロセッサ上で実行されると前記コンピュータシステムに少なくとも、
前記索類製品の物理条件に係る参照データを取得することと、
荷重を操作する稼働に配されていた間に前記索類製品に係るセンサデータを取得することと、
前記センサデータに基づいて前記索類製品の荷重担持ファイバから直接計測される軸方向剛性値を判別することと、及び、
判別した軸方向剛性値及び取得された参照データに基づいて、前記索類製品の前記最新の物理条件を示す、前記索類製品の健全状態を推定することと
を行わせる、命令を担持する、
コンピュータシステム。
【請求項16】
前記参照データは、
前記索類製品が荷重を操作する稼働に配されていた間に予め取得されていた、前記索類製品に係る履歴センサデータと、
前記索類製品の種々の引張特性を特徴付ける初期の荷重伸長曲線と、及び、
履歴センサデータを用いて判別される少なくとも一つの履歴の軸方向剛性値と
のうちの一つ若しくはそれ以上を含む、
請求項15に記載のコンピュータシステム。
【請求項17】
前記命令は更に前記コンピュータシステムに、
前記索類製品の健全状態を推定する際に、判別した軸方向剛性値を前記参照データと対比することを、行わせる、請求項15に記載のコンピュータシステム。
【請求項18】
前記命令は更に前記コンピュータシステムに、
前記センサデータに基づいて、前記センサデータが取得されたときの前記索類製品の種々の引張特性を特徴付ける最新の荷重伸長曲線を生成することを、行わせる、請求項15に記載のコンピュータシステム。
【請求項19】
前記命令は更に前記コンピュータシステムに、
前記索類製品の健全状態を推定する際に、前記最新の荷重伸長曲線を前記参照データと対比することを、行わせる、請求項18に記載のコンピュータシステム。
【請求項20】
前記センサデータは、索類製品伸長データ、加えられる荷重データ、及び直径データのうちの、一つ若しくはそれ以上を含む、請求項15に記載のコンピュータシステム。
【請求項21】
前記参照データは更に、前記索類製品を構成する一つ若しくはそれ以上のポリマについての情報を提供するポリマデータを含む、請求項15に記載のコンピュータシステム。
【請求項22】
前記ポリマデータは、架橋結合、結晶化度、分子量、重合体切断、弾性係数、若しくはそれらの組み合わせなどについての情報を含む、請求項21に記載のコンピュータシステム。
【国際調査報告】