特表2018-531393(P2018-531393A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特表2018531393-物体の変位を計測する方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-531393(P2018-531393A)
(43)【公表日】2018年10月25日
(54)【発明の名称】物体の変位を計測する方法
(51)【国際特許分類】
   G01P 13/00 2 A20060101AFI20180928 2 C07C 275/
【FI】
   G01P13/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-521172(P2018-521172)
(86)(22)【出願日】2016年4月21日
(85)【翻訳文提出日】2018年1月30日
(86)【国際出願番号】RU2016000227
(87)【国際公開番号】WO2017007368
(87)【国際公開日】20170112
(31)【優先権主張番号】2015127430
(32)【優先日】2015年7月8日
(33)【優先権主張国】RU
(31)【優先権主張番号】2015152019
(32)【優先日】2015年12月4日
(33)【優先権主張国】RU
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】518004244
【氏名又は名称】メドヴェージェワ,マリナ ウラジーミロヴナ
(71)【出願人】
【識別番号】518004255
【氏名又は名称】ウートキン,コンスタンチン ボリソヴィチ
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】メドヴェージェワ,マリナ ウラジーミロヴナ
(72)【発明者】
【氏名】ウートキン,コンスタンチン ボリソヴィチ
【テーマコード(参考)】
2F034
【Fターム(参考)】
2F034AA13
2F034DC04
(57)【要約】
本発明は測定技術に関し、例えば、冶金学、自動車産業、クレーン技術、および倉庫および生産ロジスティクス、および全体的な生産の自動化において物体の絶対的な変位を判定するために使用することができる。本発明の目的は、物体が移動することができる距離を増加させ、かつ、物体変位測定方法を開発することであり、この方法では、磁石および/または電磁石を含む様々なタイプの信号源を使用することができ、同様に、磁歪トランスデューサーを含む様々なタイプのトランスデューサーを使用することができる。技術的な結果は、移動物体の測定精度の向上と、トランスデューサーから受信した情報処理および物体および/またはトランスデューサーの位置のデータの出力の速度の向上と、に存在する。技術的な結果は変位測定方法の使用により達成され、該方法は以下からなる。トランスデューサーは物体に取り付けられ、物体の経路に沿って信号源があり、各経路区間に信号源の特別な配列が設けられ、信号源の数の変化、および/または、任意の2つの信号源の間の距離の変化を判定し;信号はトランスデューサーを取り付けられた移動物体に送信され、その後、トランスデューサーからの出力信号は、その測定範囲中にある信号源の位置に関するレポートとともに受信され;その後、物体および/またはトランスデューサーの位置が判定され、かつ、トランスデューサーのアクティブゾーン長より長い距離の変位が測定される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変位測定方法であって、トランスデューサーが物体に取り付けられ、物体の経路に沿って信号源があり、各経路区間に信号源の特別な配置が設けられ、信号源の数の変化、および/または、任意の2つの信号源の間の距離の変化を判定すること;信号がトランスデューサーを取り付けられた移動物体に送信され、その後、トランスデューサーからの出力信号が、その測定範囲中にある信号源の位置に関するレポートとともに受信されること;その後、物体の位置が決定されること、を特徴とする、変位測定方法。
【請求項2】
変位測定方法であって、磁歪トランスデューサーが物体に取り付けられ、物体の経路に沿って磁石および/または電磁石があり、各経路区間に磁石および/または電磁石の特別な配置が設けられ、磁石および/または電磁石の数の変化、および/または、任意の2つの磁石および/または電磁石の間の距離の変化を判定すること;信号は磁歪トランスデューサーを取り付けられた移動物体に送信され、その後、磁歪トランスデューサーからの出力信号は、その測定範囲中にある磁石および/または電磁石の位置に関するレポートとともに受信されること;その後、物体の位置が判定され、かつ、磁歪トランスデューサーのアクティブゾーン長より長い距離の変位が測定される、ことを特徴とする、変位測定方法。
【請求項3】
信号源の機能には、例えば、磁石および/または電磁石、光源、熱源、任意の種の放射線源、運動エネルギー源、圧力源、超音波、誘導性および/または容量性の物理的性質を有する任意の材料、エンコード化情報を有するソースが使用できることを特徴とする、請求項1に記載の変位測定方法。
【請求項4】
ホールセンサ、光電セル、磁歪トランスデューサー、誘導性および容量性トランスデューサー、放射線トランスデューサー、圧力トランスデューサーは、トランスデューサーの機能において使用することができることを特徴とする、請求項1に記載の変位測定方法。
【請求項5】
読み取り機(プロセッサー)および付属のリードライトヘッドはトランスデューサーとして使用され、一方で、チップおよびデータ記憶媒体は信号源として作用することを特徴とする、請求項1に記載の変位測定方法。
【請求項6】
信号源の配置は、1次元、2次元、3次元、n次元または他の任意の次元で実行されることを特徴とする、請求項1に記載の変位測定方法。
【請求項7】
信号源の数はトランスデューサーからの出力信号によって識別されることを特徴とする、請求項1に記載の変位測定方法。
【請求項8】
磁石および/または電磁石の配置は、1次元、2次元、3次元、n次元または他の任意の次元で実行されることを特徴とする、請求項2に記載の変位測定方法。
【請求項9】
磁石および/または電磁石の数は、トランスデューサーからの出力信号によって識別されることを特徴とする、請求項2に記載の変位測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測定装置に関し、例えば冶金学、自動車産業、クレーン、倉庫および生産ロジスティクス、全体的な生産自動化などの領域における、物体の絶対的な変位を判定するために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
生産に運営上の課題を費やす場合、生産プロセスの効率の向上が重要な役割を果たす。これは特に、生産設備内の様々な期間での速く正確な物体測位により達成することができる。物体の移動を効果的にモニタリングすることで、例えば夜間の生産プロセスの正確なマップを作成し、これにより、関係する従業員数を削減することができる。
【0003】
物体変位を測定するための既知の方法は、トランスデューサーと信号源の互いに関する変位に基づく。例えば、デジタルシステムでは、信号源からの信号は、トランスデューサーがそれを受信した場合にのみ、動いている物体の値を得るために処理される。したがって、物体位置検知の正確さは、トランスデューサーの計測範囲の値に依存し、これは同様に、トランスデューサー感度の領域に依存し、制限されている。
【0004】
物体の変位を測定するための既知の方法(JP0850004、20.02.1996)は、以下からなる。信号源、すなわち磁石が物体に取り付けられる。その移動経路に沿って、トランスデューサー、すなわちホールセンサが配置される。励磁電流がトランスデューサーに適用される。物体が動いている場合、電圧値がホールセンサから得られ、次に物体の移動の値が計算される。
【0005】
この方法の欠点は、測定の精度が低く、トランスデューサーの感度領域に起因する測定範囲が限定されていることである。加えて、ホールセンサのそれぞれに電源ケーブルを敷設し、その供給と信号の取り込みを確実にする必要がある。したがって、それは測定システムをかなり複雑にする。
【0006】
物体の変位を測定するための既知の方法(RU2125235,20.01.1999、RU2117914、20.08.1998)が存在し、それによれば、トランスデューサーが可動物体に取り付けられ、超音波が物体の経路に沿って位置する信号源から伝播する。信号源からトランスデューサーへの信号伝播時間を測定し、この値を使用して物体の線形移動の値を推定する。
【0007】
これらの方法の欠点は、物体の相当な距離の移動を測定することができないトランスデューサーの感度の領域外の物体の位置を測定することができず、それにより、生産において使用が制限されることである。
【0008】
物体の変位を測定するための既知の方法(RU2196300,10.01.2003)があり、それによれば、トランスデューサー、すなわち光電受信機が移動物体に取り付けられる。光学システムを使用して、光信号が対象物の経路に沿って配置された信号源からトランスデューサーに供給され、光電受信機は出力信号を使用して物体の移動の値を推定する。
【0009】
この方法の欠点は、物体の移動の値が光電受信機上の光スポットの位置、サイズおよび強度に依存する限り、精度が低いことである。この方法を使用すると、相当な距離での物体の移動を測定することができない。その上、この方法を実装するには、使用するべき追加の装備(光学システム、エミッタの光の流れの不安定性の主要因となる追加の光電受信機)が必要であり、使用時の不便を引き起こし、かつ、物体の測位のための追加の出費につながる。
【0010】
物体の絶対的な変位を測定するための既知の方法(RU93003536,10.08.1995)があり、それによれば、マスクおよび測定スケールは数行の同一スロットを有し、その結果、スロット配置の周期は共通の除算器(dividers)を持たない。マスクは可動物体に置かれ、測定スケールは物体の経路に沿ってセットされる。マスクを有する物体を測定スケールに沿って通過させることにより、マスクおよび測定スケールのスロットを通過する光の強度が所定の周期で変化し、かつ、各行の周期分数の値には、共通の整数除算器(integer dividers)がなく、したがって、移動物体の絶対値が判定される。
【0011】
この方法は、理論上は、任意の時間におけるマスクおよび測定スケールの一意の周期に起因する物体の測位の測定範囲を増加させることを可能にする。しかし、マスクと測定スケールに除算器を適用することは時間がかかり、不便である。したがって、相当な距離での物体の変位を実質的に測定することは不可能である。さらに、移動判定の正確さは、マスクスロットの通過後に生み出された光スポットの強度に依存する。この接続では、正確さは低い。
【0012】
物体の変位を測定する既知の方法(RU1820209、07.06.1993)があり、本主題の方法に最も近いアナログをとる。これは下記からなる。トランスデューサー、すなわち感光性の電荷結合素子、が可動物体に取り付けられる。物体移動の経路に沿って、信号源、すなわち照明線が存在し、信号、すなわち光線が形成され、かつ、これらの間の距離はトランスデューサーの長さ未満である。トランスデューサーの周期的なポーリングが実行される。信号源は、トランスデューサーのポーリングサイクルごとに1つずつ、所定の順序でスイッチが入れられる。出力信号を受信する時、信号源のスイッチを入れるための全数検索が停止され、出力信号が変換され、信号源番号が決定され、それにより、物体の移動も同様に決定される。
【0013】
この方法は、対象物を移動させることができる、測定される距離を増大させることを可能にする。しかしながら、この場合、出力信号が出現するまで、物体の移動の値を判定する全体の時間が、信号源を切り替えるための全数検索をすることにより増加する。アナログの測定と同様に、この方法では、精度はトランスデューサー感度領域に依存する。
【発明の概要】
【0014】
本発明の目的は、物体が移動することができる距離を増加させ、かつ、物体変位測定方法を開発することであり、この方法では、磁石および/または電磁石を含む様々なタイプの信号源を使用することができ、同様に、磁歪トランスデューサーを含む様々なタイプのトランスデューサーを使用することができる。
【0015】
技術的な結果は、移動物体の測定精度の向上と、トランスデューサーから受信した情報処理および物体および/またはトランスデューサーの位置の出力のデータの速度の向上と、に存在する。
【0016】
技術的な結果は変位測定方法の使用により達成され、該方法は以下からなる:トランスデューサーは物体に取り付けられ、物体の経路に沿って信号源があり、各経路区間に信号源の特別な配置が設けられ、信号源の数の変化、および/または、任意の2つの信号源の間の距離の変化を判定し;信号はトランスデューサーを取り付けられた移動物体に送信され、その後、トランスデューサーからの出力信号は、その測定範囲中のある信号源の位置に関するレポートとともに受信され;その後、物体および/またはトランスデューサーの位置が判定され、かつ、トランスデューサーのアクティブゾーン長より長い距離の変位が測定される。
【0017】
信号源の配置は、信号源の数および/または任意の2つの信号源の間の距離の変更により決定され、物体経路の任意の部分でこれらの信号源の再現することのない一意の組み合わせを提供する。これは、任意の時点でのトランスデューサーの位置の明白な識別を提供し、かつ、さらには物体が移動するにつれて、物体の位置を最も正確に決定することを可能にし、物体の変位測定の精度を高め、同様に物体が移動しうる距離を増加させる。
【0018】
各経路区画中の信号源の一意の組み合わせは、言及された信号源の数の変更によってのみ決定することができる。この場合、変位トランスデューサーの感度ゾーン内では、様々な数の信号源からの一意の組み合わせが置かれ、これは物体および/またはトランスデューサーの位置を一意に識別し、かつその変位を判定することを可能にする。物体が移動する距離は、トランスデューサー感度領域の範囲を超過する。
【0019】
各経路区画における信号源の一意の組み合わせは、上述の2つの信号源の間の距離を変更することによってのみ決定することができる。この場合、任意の1次元、2次元、3次元、n次元内で信号源を配置することが可能である。感度領域内の変位トランスデューサーの任意の位置では、物体の位置を一意的に識別し、かつ、その変位を決定することを可能にする反復なしで、空間内に配置される同じ数の信号源の一意の組み合わせが存在する。
【0020】
さらに、物体移動の各経路の信号源の一意の組み合わせは、信号源の数の変更および任意の2つの信号源の間の距離の変更により決定することができる。この場合、任意の2つの信号源の間の距離が異なる任意の1D、2D、3D、nD測定における様々な数の信号源の一意の組み合わせは、物体の位置を一意に識別し、かつ、その変位を判定するために、トランスデューサーの感度領域に置かれるであろう。
【0021】
必要ならば、信号源の再現することの無い組み合わせを受信することで、物体および/またはトランスデューサーの位置および移動を決定することだけでなく、信号源およびそれらの他のパラメーターの数を正確に識別することも可能になる。
【0022】
この方法は任意の信号源およびトランスデューサーによって実行することができる。
【0023】
磁石および/または電磁石、磁石および/または電磁石を含む要素、磁石および/または電磁石を含む構造を、信号源として使用することができる。
【0024】
信号源の機能において、例えば、光源、熱源、任意の種の放射源、運動エネルギー源、圧力源、超音波、誘導性および/または容量性の物理的性質を有する任意の材料、すなわち実質的には任意の材料、エンコード化情報(例えばバーコード、2Dコード、3Dコード、nは整数であるn次元コード)を有するソースを使用することができる。
【0025】
磁歪トランスデューサー、磁歪トランスデューサーを含む様々な設計を、トランスデューサーとして使用することができる。ホールセンサ、光電セル、磁歪トランスデューサー、誘導性および容量性トランスデューサー、放射線トランスデューサー、圧力トランスデューサーおよび他のエネルギー変換器も、トランスデューサーとして使用することができる。
【0026】
さらに、読み取り機(プロセッサー)および付属のアンテナ(リードライトヘッド)などの識別システムの構成要素は、トランスデューサーとして使用することができ、一方で、タグ(チップ、データ記憶媒体)は信号源として作用するであろう。
【0027】
変位トランスデューサーから受信された出力信号の処理は、使用される信号源および変位トランスデューサーのタイプに従い、適切な装置を使用して提供される。処理のための情報は、アナログインタフェース、TCP/IP、IO−Link、ASInterface、Profinet、Profibus、DeviceNet、CANopen、EtherCAT、イーサネット(登録商標)、Varanなどの、様々なインターフェースおよびプロトコルを通して送信されうる。
【0028】
この方法を使用する時、製造工程中の物体の時間および位置に関する正確な情報を得ることが可能であり、結果として、生産管理の効率を増加させる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、物体変位を測定するための本願方法を実行するためのデバイスを示し、これは、信号源(3)の数および/または任意の2つの信号源(3)の間の距離の変化によって決定される各経路点における信号源の一意の配置が存在するように、物体(2)上に位置するトランスデューサー(1)、物体(2)移動の経路にそって取り付けられた信号源(3)を含む。
【発明を実施するための形態】
【0030】
例えば、トランスデューサーとして、移動物体上にセットされた磁歪線形変位トランスデューサー(1)がある。これは、変位測定範囲aを有する。物体経路に沿って、磁石および/または電磁石(3)が置かれる。各経路区画aでは、1つの、同数の磁石および/または電磁石が使用され、しかし、2つの磁石および/または電磁石の間の距離は変更されているケースを考慮する(図面参照)。そうすると、磁歪変位トランスデューサーの測定範囲aに等しい第1の経路区画にて、磁石および/または電磁石は、互いに近接して配置されて第1の一意のセットを形成する。長さaを有する第2の同様な経路区間では、磁石および/または電磁石の第2のセットが配置され、ここにおいて、例えば、最も右側の磁石および/または電磁石が距離Δで脇に移動する。長さaを有する第3の同様な経路区間では、磁石および/または電磁石の第3のセットが配置され、ここにおいて、例えば、最も右側の磁石および/または電磁石が距離2Δなどで脇に移動する。さらに、物体が移動する距離は、磁歪トランスデューサー感度領域の長さを超過する。トランスデューサーの感度領域の反対側の経路区画には、信号源の再現することの無い組み合わせが存在し、これにより、物体の位置を一意に識別し、その変位を決定することが可能になる。
【0031】
さらに、磁歪変位トランスデューサーの測定範囲aに等しい各経路区画の磁石および/または電磁石を、結果として磁石および/または電磁石の間の距離が同じままであるが、しかし、それらの数は変更されるように、配置してもよい。第1の経路区間では2つの磁石および/または電磁石が配置されることができるように、第2の経路では3つの磁石および/または電磁石などが存在する。
【0032】
この場合、磁歪トランスデューサー感度領域の反対側の任意の経路区画では、信号源の再現することのない組み合わせが存在し、これにより、物体の位置を一意に識別し、かつその変位を決定することを可能にする。
【0033】
配置の代替的なバージョンが可能である。磁石および/または電磁石は、磁歪トランスデューサーの計測範囲と等しい任意の経路区画で配置され、磁石およびまたは電磁石の数だけでなく、任意の2つの磁石および/または電磁石の間の距離も変更される時、すなわち、第1の経路区画では、例えば、2つの磁石および/または電磁石がそれらの間の距離Δで配置される時、第2の経路区画では、3つの磁石および/または電磁石が、第1および第2の磁石および/または電磁石の間の距離Δで、および、第2および第3の磁石および/または電磁石の間の距離2Δなどが存在する。物体が移動する距離は、同様に、磁歪トランスデューサー感度領域の長さを超過する。この場合、物体の位置および変位の明確な識別も提供される。
【0034】
一意的な信号源配置に関するデータは、出力信号処理に使用される装置に前もって記録される。物体が、磁石および/または電磁石のセットを有する経路にそって移動する時、磁歪トランスデューサーは、磁歪変位トランスデューサーを伴う物体の反対側に位置する磁石および/または電磁石のそれぞれの位置の値を、出力する。受信される値は処理装置に転送され、処理装置は、以前に受け取った磁石および/または電磁石の位置のデータと比較し、かつ、物体の位置およびその変位を判定する。
【0035】
必要ならば、磁歪トランスデューサーからの出力信号によって、この変位トランスデューサーにまたは信号源の他の任意のパラメーターに強い影響を与える、信号源の数を決定することもまた可能である。
【0036】
生じ得る物体変位の距離の増加は、以下のように計算することができる。例えば、Balluff GmbHによるトランスデューサーは磁歪線形変位トランスデューサーとして使用される。これは、30μmの非線形的値を有し、測定範囲は4500mmである。このトランスデューサーおよび2つの信号源を使用する時、各経路部におけるそれらの間の31μmの距離に変化があり、信号源間の最小必要距離が60mm以上であることを考慮に入れて、以下を得ることが可能である。
【0037】
【数1】
言及された信号源の一意の位置。
【0038】
したがって、2つの信号源を使用する測定範囲の合計は以下のとおりである。
【0039】
【数2】
精度は30μmである。
【0040】
結果として、物体変位を測定するための方法により、物体が移動しうる距離の著しい拡張と並んで、物体変位測定の精度の向上が可能になる。これにより、磁歪トランスデューサーから受信された情報分析の速度、および、物体位置の検知および生産領域での変位の速度を向上させることが可能になり、生産プロセス全体の効率を向上させる。動力供給だけでなく測定の方法も単純化する変位測定のために必要なのは、磁歪トランスデューサーただ1つである。さらに、方法の実行については、出力信号を処理するための様々な信号源、変位トランスデューサーおよび対応する装置を使用することができ、それは該方法を普遍的なものにする。
図1
【国際調査報告】