(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-531437(P2018-531437A)
(43)【公表日】2018年10月25日
(54)【発明の名称】適応皮膚処置のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20180101AFI20180928BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20180928BHJP
A61K 8/00 20060101ALI20180928BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20180928BHJP
A45D 44/00 20060101ALI20180928BHJP
【FI】
G06Q50/22
A61B5/00 M
A61K8/00
A61Q19/00
A45D44/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2017-543393(P2017-543393)
(86)(22)【出願日】2016年5月19日
(85)【翻訳文提出日】2017年9月29日
(86)【国際出願番号】IL2016050528
(87)【国際公開番号】WO2016203461
(87)【国際公開日】20161222
(31)【優先権主張番号】62/175,461
(32)【優先日】2015年6月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/175,463
(32)【優先日】2015年6月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/175,466
(32)【優先日】2015年6月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/175,464
(32)【優先日】2015年6月15日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】517281749
【氏名又は名称】アミール,ハイム
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100156476
【弁理士】
【氏名又は名称】潮 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】アミール,ハイム
(72)【発明者】
【氏名】ウェインバーグ,アリー
(72)【発明者】
【氏名】カプハン,アナト
【テーマコード(参考)】
4C083
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C083CC03
4C083DD14
4C083EE12
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5L099AA03
(57)【要約】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、その時点における顔面皮膚プロフィールに基づいて顔面処置を動的に適応させる方法であって、少なくとも1つのセンサを使用して、患者の顔面皮膚の少なくとも1つの可変の皮膚特性のその時点における少なくとも1つの値を測定すること、患者の顔面皮膚の少なくとも1つの個人的皮膚特性を獲得すること、この少なくとも1つの個人的皮膚特性およびこのその時点における少なくとも1つの値に従って、患者のその時点における顔面皮膚ステータスを計算すること、このその時点における顔面皮膚ステータスに従って、処置アプリケータを動作させる命令を決定すること、ならびにこの命令に従って処置アプリケータに命令することを含む方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その時点における顔面皮膚プロフィールに基づいて顔面処置を動的に適応させる方法であって、
少なくとも1つのセンサを使用して、患者の顔面皮膚の少なくとも1つの可変の皮膚特性のその時点における少なくとも1つの値を測定すること、
前記患者の顔面皮膚の少なくとも1つの個人的皮膚特性を獲得すること、
前記少なくとも1つの個人的皮膚特性および前記その時点における少なくとも1つの値に従って、前記患者のその時点における顔面皮膚ステータスを計算すること、
前記その時点における顔面皮膚ステータスに従って、処置アプリケータを動作させる命令を決定すること、ならびに
前記命令に従って前記処置アプリケータに命令すること
を含む方法。
【請求項2】
前記患者の前記その時点における顔面皮膚ステータスを計算することが、異なる複数のそれぞれの患者の少なくとも1つの顔面皮膚特性を記憶した訓練セットを使用して訓練された機械学習アルゴリズムを実行するコードに基づいて実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記訓練セットが、前記異なる複数のそれぞれの患者の計算されたその時点における少なくとも1つの顔面皮膚ステータスを記憶しており、前記異なる複数のそれぞれの患者の前記計算されたその時点における少なくとも1つの顔面皮膚ステータスが、対応するそれぞれの患者の少なくとも1つの可変の皮膚特性の測定されたその時点における少なくとも1つの値および少なくとも1つの個人的皮膚特性に基づいて計算されたものである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの環境条件特性を獲得することをさらに含み、前記患者の前記その時点における顔面皮膚ステータスが、前記少なくとも1つの個人的皮膚特性および前記その時点における少なくとも1つの値ならびに前記少なくとも1つの環境条件特性に従って計算され、前記少なくとも1つの環境条件特性が、湿度予測、温度予測、雲量予測、汚染レベル、放射レベルおよび紫外線インデックス予測からなるグループから選択された、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記患者のその時点における位置を示す位置データを獲得すること、および前記その時点における位置を使用して前記少なくとも1つの環境条件特性を獲得することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記その時点における顔面皮膚ステータスの前記計算に先立つ予め決められた期間における前記患者の位置を示す履歴記録の解析を実行することをさらに含み、前記患者の前記その時点における顔面皮膚ステータスが、前記少なくとも1つの個人的皮膚特性および前記その時点における少なくとも1つの値ならびに前記解析の結果に従って計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記その時点における顔面皮膚ステータスの前記計算を進める予め決められた期間における前記患者の将来の位置を示す日程記録の解析を実行することをさらに含み、前記患者の前記その時点における顔面皮膚ステータスが、前記少なくとも1つの個人的皮膚特性および前記その時点における少なくとも1つの値ならびに前記解析の結果に従って計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記命令することが、選択された少なくとも1種の物質または選択された少なくとも1種の物質を含む取外し可能な少なくとも1つのカプセルを投入する命令を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのセンサがイメージセンサを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのセンサが皮膚水分検出器を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのセンサが皮膚弾性検出器を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの個人的皮膚特性が、皮膚色、皮膚明度、遺伝情報および皮膚タイプからなるグループから選択された、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記処置アプリケータを動作させる前記命令が、塗布する少なくとも1種の物質の量、タイプ、濃度および組合せのうちの少なくとも1つを制御する命令を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記処置アプリケータを動作させる前記命令が、照射する光伝送パターンまたはレーザ伝送パターンを適応させる命令を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記照射する光伝送パターンまたはレーザ伝送パターンの少なくとも1つのパラメータを適応させ、前記少なくとも1つのパラメータが、周波数、タイミング、位相および振幅からなるグループから選択された、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記処置アプリケータを動作させる前記命令が、周波数、タイミング、位相および振幅からなるグループから選択された少なくとも1つのパラメータを適応させることによって高周波(RF)伝送パターンを適応させる命令を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記処置アプリケータを動作させる前記命令が、周波数、タイミング、位相、振幅、清浄化強度および孔拡張強度からなるグループから選択された少なくとも1つのパラメータを適応させることによって超音波伝送パターンを適応させる命令を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
その時点における顔面皮膚プロフィールに基づいて顔面処置を動的に適応させるシステムであって、
患者の顔面皮膚の少なくとも1つの皮膚特性のその時点における少なくとも1つの値を測定する少なくとも1つのセンサと、
患者の顔面皮膚に処置を供与する少なくとも1つのアプリケータ要素を備える処置アプリケータと、
複数の患者に関連したデータを記憶したデータベースからデータを受け取る通信ユニットと、
コードを記憶したプログラム記憶装置と、
前記少なくとも1つのセンサ、前記通信ユニットおよび前記プログラム記憶装置に結合されたプロセッサであり、記憶された前記コードを実施するプロセッサと
を備え、前記コードが、
前記その時点における少なくとも1つの値から、前記患者の顔面皮膚の少なくとも1つの個人的皮膚特性を獲得するコード命令と、
前記少なくとも1つの個人的皮膚特性および前記複数の患者に関連した前記データに従って、前記患者のその時点における顔面皮膚ステータスを計算するコード命令と、
前記その時点における顔面皮膚ステータスに従って、処置アプリケータを動作させる処置命令を決定するコード命令と、
前記処置命令に従って前記処置アプリケータに命令するコード命令と
を含む、
システム。
【請求項19】
前記処置アプリケータが前記少なくとも1つのセンサを含み、前記処置アプリケータが、前記プログラム記憶装置と記憶されたコードとを含むモバイルデバイスと無線で通信するアプリケータ通信インタフェースをさらに備え、前記処置アプリケータが、前記その時点における少なくとも1つの値を前記モバイルデバイスに送り、前記モバイルデバイスから、決定された前記処置命令を受け取る、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記処置アプリケータが、取外し可能な少なくとも1つのカプセルを収容する物質容器をさらに備え、前記取外し可能な少なくとも1つのカプセルがそれぞれ、決定された前記処置命令に従って少なくとも1つのアプリケータ要素によって塗布する少なくとも1種の美容物質を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記処置アプリケータが、
前記取外し可能な少なくとも1つのカプセル上に位置するタグであり、対応するそれぞれの前記カプセルに収容された前記美容物質の情報を記憶したタグを読むタグ読取り装置と、メモリに記憶されたコード命令であり、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるコード命令とをさらに含み、前記コード命令がそれぞれ、取外し可能な少なくとも1つのカプセルが新しいカプセルであるのかまたは継続カプセルであるのかを識別する、
請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記処置アプリケータが、メモリに記憶されたコード命令であり、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるコード命令をさらに含み、前記コード命令が、対応するそれぞれの前記取外し可能な少なくとも1つのカプセル内の前記少なくとも1種の美容物質の残量を計算し、または、前記少なくとも1種の美容物質の計算された前記残量に従って残りの処置の数を計算する、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
決定された前記処置命令が、それぞれの美容物質について、量、濃度、投与タイプ、および別の少なくとも1種の美容物質との組合せのうちの少なくとも1つを制御する命令を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項24】
前記患者の前記その時点における顔面皮膚ステータスを計算することが、異なる複数のそれぞれの患者の少なくとも1つの顔面皮膚特性を記憶した訓練セットを使用して訓練された機械学習アルゴリズムを実行するコードに基づいて実行される、請求項18に記載のシステム。
【請求項25】
前記訓練セットが、前記異なる複数のそれぞれの患者の計算されたその時点における少なくとも1つの顔面皮膚ステータスを記憶しており、前記異なる複数のそれぞれの患者の前記計算されたその時点における少なくとも1つの顔面皮膚ステータスが、対応するそれぞれの患者の少なくとも1つの可変の皮膚特性の測定された少なくとも1つの値および少なくとも1つの個人的皮膚特性に基づいて計算されたものである、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
ネットワークを介してサーバにアクセスすることによって少なくとも1つの環境条件特性を獲得するコードをさらに含み、前記患者の前記その時点における顔面皮膚ステータスが、前記少なくとも1つの個人的皮膚特性および前記その時点における少なくとも1つの値ならびに前記少なくとも1つの環境条件特性に従って計算され、前記少なくとも1つの環境条件特性が、湿度予測、温度予測、雲量予測、汚染レベル、放射レベルおよび紫外線インデックス予測からなるグループから選択された、請求項18に記載のシステム。
【請求項27】
前記患者のその時点における位置を示す位置データを提供する地理的位置要素をさらに備え、前記その時点における位置を使用して前記少なくとも1つの環境条件特性を獲得するコードをさらに含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記その時点における顔面皮膚ステータスもしくは前記処置命令の前記計算に先立つ予め決められた期間における前記患者の位置を示す履歴記録の解析、または前記その時点における顔面皮膚ステータスもしくは前記処置命令の前記計算を進める予め決められた期間における前記患者の位置を示す日程記録の解析を実行するコードをさらに含み、前記患者の前記その時点における顔面皮膚ステータスまたは前記処置命令が、前記少なくとも1つの個人的皮膚特性および前記その時点における少なくとも1つの値ならびに前記解析の結果に従って計算される、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
選択された少なくとも1種の美容物質または選択された少なくとも1種の美容物質を含む取外し可能な少なくとも1つのカプセルを投入するように、ユーザに対するメッセージをディスプレイ上に提示するコードをさらに備える、請求項20に記載のシステム。
【請求項30】
前記少なくとも1つのセンサがイメージセンサを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項31】
前記少なくとも1つのセンサが、皮膚水分検出器および皮膚弾性検出器を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項32】
前記少なくとも1つの個人的皮膚特性が、皮膚色、皮膚明度、遺伝情報および皮膚タイプからなるグループから選択された、請求項18に記載のシステム。
【請求項33】
前記処置アプリケータを動作させる前記命令が、前記少なくとも1つのアプリケータ要素によって照射される光伝送パターンまたはレーザ伝送パターンを、周波数、タイミング、位相および振幅からなるグループから選択された少なくとも1つのパラメータに基づいて適応させる命令を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項34】
前記処置アプリケータを動作させる前記命令が、前記少なくとも1つのアプリケータ要素による、高周波(RF)伝送パターンまたは超音波伝送パターンの少なくとも1つのパラメータを適応させる命令を含み、前記少なくとも1つのパラメータが、周波数、タイミング、位相および振幅からなるグループから選択された、請求項18に記載のシステム。
【請求項35】
顔面処置を提供するシステムとともに使用するカプセルであって、
美容物質および電子工学的に可読の識別を含み、
前記顔面処置を提供する前記システムが、
患者の顔面皮膚の少なくとも1つの皮膚特性のその時点における少なくとも1つの値を測定する少なくとも1つのセンサと、
前記カプセルからの物質を患者の顔面皮膚に塗布する少なくとも1つのアプリケータ要素を備える処置アプリケータと
を備える、カプセル。
【請求項36】
皮膚損傷因子に対する推定される曝露に基づいて顔面処置を動的に適応させる方法であって、
予め決められた履歴期間における患者の位置を示す履歴記録、
前記患者の習慣、
予め決められた将来の期間における前記患者の将来の位置を示す日程記録
のうちの少なくとも1つの解析を実行すること、
前記解析の結果に従って前記患者に対する処置計画を計算すること、
前記処置計画に従って、処置アプリケータを動作させる命令を決定すること、および
前記命令に従って前記処置アプリケータに命令すること
を含み、
前記履歴記録と前記日程記録のうちの少なくとも一方が、前記患者に関連づけられたモバイルデバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行されるモニタリングモジュールを使用して集められる、
方法。
【請求項37】
前記処置計画を計算することが、前記命令を決定する対象患者と同じ患者に関連した履歴記録と日程記録のうちの少なくとも一方の記録の訓練セットを使用して訓練された機械学習アルゴリズムを実行するコードに基づいて実行される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記処置計画を計算することが、前記命令を決定する対象患者とは異なる複数の別の患者に関連した履歴記録と日程記録のうちの少なくとも一方の記録の訓練セットを使用して訓練された機械学習アルゴリズムを実行するコードに基づいて実行される、請求項36に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)項の下、2015年6月15日に出願された米国特許仮出願第62/175,461号、第62/175,463号、第62/175,464号および第62/175,466号明細書の優先権の恩典を主張するものである。これらの仮出願明細書の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明は、皮膚処置(skin treatment)を提供することに関し、より詳細には、限定はされないが、カスタマイズされた処置を患者(patient)の体の部分に提供するように皮膚処置アプリケータ(applicator)を動作させる命令(instruction)を決定するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
患者の皮膚を処置する目的、例えば皮膚を清浄にし、皮膚に水分を与え、皮膚を養生し、加熱し、冷却する目的にはさまざまな処置が使用可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、その時点における顔面皮膚プロフィール(current facial skin profile)に基づいて顔面処置を動的に適応させる方法であって、少なくとも1つのセンサを使用して、患者の顔面皮膚の少なくとも1つの可変の皮膚特性のその時点における少なくとも1つの値を測定すること、患者の顔面皮膚の少なくとも1つの個人的皮膚特性を獲得すること、前記少なくとも1つの個人的皮膚特性および前記その時点における少なくとも1つの値に従って、患者のその時点における顔面皮膚ステータスを計算すること、その時点における顔面皮膚ステータスに従って、処置アプリケータを動作させる命令を決定すること、ならびにこの命令に従って処置アプリケータに命令することを含む方法が提供される。
【0005】
任意選択で、患者のその時点における顔面皮膚ステータスを計算することは、異なる複数のそれぞれの患者の少なくとも1つの顔面皮膚特性を記憶した訓練セットを使用して訓練された機械学習アルゴリズムを実行するコードに基づいて実行される。任意選択で、訓練セットは、異なる複数のそれぞれの患者の計算されたその時点における少なくとも1つの顔面皮膚ステータスを記憶しており、この異なる複数のそれぞれの患者の計算されたその時点における少なくとも1つの顔面皮膚ステータスは、対応するそれぞれの患者の少なくとも1つの可変の皮膚特性の測定されたその時点における少なくとも1つの値および少なくとも1つの個人的皮膚特性に基づいて計算されたものである。
【0006】
任意選択で、この方法は、少なくとも1つの環境条件特性を獲得することをさらに含み、患者のその時点における顔面皮膚ステータスは、前記少なくとも1つの個人的皮膚特性および前記その時点における少なくとも1つの値ならびに前記少なくとも1つの環境条件特性に従って計算され、この少なくとも1つの環境条件特性は、湿度予測、温度予測、雲量(overcast)予測、汚染レベル、放射レベルおよび紫外線インデックス(ultraviolet index)予測からなるグループから選択される。任意選択で、この方法は、患者のその時点における位置を示す位置データを獲得すること、およびその時点における位置を使用して前記少なくとも1つの環境条件特性を獲得することをさらに含む。
【0007】
任意選択で、この方法は、その時点における顔面皮膚ステータスの計算に先立つ予め決められた期間における患者の位置を示す履歴記録の解析を実行することをさらに含み、患者のその時点における顔面皮膚ステータスは、前記少なくとも1つの個人的皮膚特性および前記その時点における少なくとも1つの値ならびにこの解析の結果に従って計算される。
【0008】
任意選択で、この方法は、その時点における顔面皮膚ステータスの計算を進める予め決められた期間における患者の将来の位置を示す日程記録(scheduling record)の解析を実行することをさらに含み、患者のその時点における顔面皮膚ステータスは、前記少なくとも1つの個人的皮膚特性および前記その時点における少なくとも1つの値ならびにこの解析の結果に従って計算される。
【0009】
任意選択で、命令することは、選択された少なくとも1種の物質または選択された少なくとも1種の物質を含む取外し可能な少なくとも1つのカプセルを投入する命令を含む。
【0010】
任意選択で、前記少なくとも1つのセンサはイメージセンサを含む。
【0011】
その代わりにまたはそれに加えて、前記少なくとも1つのセンサは皮膚水分検出器を含む。
【0012】
その代わりにまたはそれに加えて、前記少なくとも1つのセンサは皮膚弾性検出器を含む。
【0013】
任意選択で、前記少なくとも1つの個人的皮膚特性は、皮膚色、皮膚明度(skin shade)、遺伝情報および皮膚タイプからなるグループから選択される。
【0014】
任意選択で、処置アプリケータを動作させる命令は、塗布する少なくとも1種の物質の量、タイプ、濃度および組合せのうちの少なくとも1つを制御する命令を含む。
【0015】
任意選択で、処置アプリケータを動作させる命令は、照射する光伝送パターンまたはレーザ伝送パターンを適応させる命令を含む。任意選択で、照射する光伝送パターンまたはレーザ伝送パターンの少なくとも1つのパラメータを適応させ、前記少なくとも1つのパラメータが、周波数、タイミング、位相および振幅からなるグループから選択される。
【0016】
任意選択で、処置アプリケータを動作させる命令は、周波数、タイミング、位相および振幅からなるグループから選択された少なくとも1つのパラメータを適応させることによって高周波(RF)伝送パターンを適応させる命令を含む。
【0017】
任意選択で、処置アプリケータを動作させる命令は、周波数、タイミング、位相、振幅、清浄化強度(cleaning intensity)および孔拡張強度(pore widening intensity)からなるグループから選択された少なくとも1つのパラメータを適応させることによって超音波伝送パターンを適応させる命令を含む。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、その時点における顔面皮膚プロフィールに基づいて顔面処置を動的に適応させるシステムであって、患者の顔面皮膚の少なくとも1つの皮膚特性のその時点における少なくとも1つの値を測定する少なくとも1つのセンサと、患者の顔面皮膚に処置を供与する少なくとも1つのアプリケータ要素を備える処置アプリケータと、複数の患者に関連したデータを記憶したデータベースからデータを受け取る通信ユニットと、コードを記憶したプログラム記憶装置(program store)と、前記少なくとも1つのセンサ、通信ユニットおよびプログラム記憶装置に結合されたプロセッサであり、記憶されたコードを実施するプロセッサとを備え、このコードが、前記その時点における少なくとも1つの値から、患者の顔面皮膚の少なくとも1つの個人的皮膚特性を獲得するコード命令と、前記少なくとも1つの個人的皮膚特性および複数の患者に関連した前記データに従って、患者のその時点における顔面皮膚ステータスを計算するコード命令と、その時点における顔面皮膚ステータスに従って、処置アプリケータを動作させる処置命令を決定するコード命令と、この処置命令に従って処置アプリケータに命令するコード命令とを含む、システムが提供される。
【0019】
任意選択で、処置アプリケータが前記少なくとも1つのセンサを含み、処置アプリケータは、プログラム記憶装置と記憶されたコードとを含むモバイルデバイス(mobile device)と無線で通信するアプリケータ通信インタフェースをさらに備え、処置アプリケータは、前記その時点における少なくとも1つの値をモバイルデバイスに送り、モバイルデバイスから、決定された処置命令を受け取る。
【0020】
任意選択で、処置アプリケータは、取外し可能な少なくとも1つのカプセルを収容する物質容器をさらに備え、この取外し可能な少なくとも1つのカプセルはそれぞれ、決定された処置命令に従って少なくとも1つのアプリケータ要素によって塗布する少なくとも1種の美容物質(cosmetic substance)を含む。任意選択で、処置アプリケータは、この取外し可能な少なくとも1つのカプセル上に位置するタグであり、対応するそれぞれのカプセルに収容された美容物質の情報を記憶したタグを読むタグ読取り装置と、メモリに記憶されたコード命令であり、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるコード命令とをさらに含み、このコード命令はそれぞれ、取外し可能な少なくとも1つのカプセルが新しいカプセルであるのかまたは継続カプセル(continued capsule)であるのかを識別する。任意選択で、処置アプリケータは、メモリに記憶されたコード命令であり、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるコード命令をさらに含み、このコード命令は、対応するそれぞれの取外し可能な少なくとも1つのカプセル内の前記少なくとも1種の美容物質の残量を計算し、または、前記少なくとも1種の美容物質の計算された残量に従って残りの処置の数を計算する。任意選択で、決定された処置命令は、それぞれの美容物質について、量、濃度、投与タイプ、および別の少なくとも1種の美容物質との組合せのうちの少なくとも1つを制御する命令を含む。任意選択で、訓練セットは、異なる複数のそれぞれの患者の計算されたその時点における少なくとも1つの顔面皮膚ステータスを記憶しており、この異なる複数のそれぞれの患者の計算されたその時点における少なくとも1つの顔面皮膚ステータスは、対応するそれぞれの患者の少なくとも1つの可変の皮膚特性の測定されたその時点における少なくとも1つの値および少なくとも1つの個人的皮膚特性に基づいて計算されたものである。
【0021】
任意選択で、患者のその時点における顔面皮膚ステータスを計算することは、異なる複数のそれぞれの患者の少なくとも1つの顔面皮膚特性を記憶した訓練セットを使用して訓練された機械学習アルゴリズムを実行するコードに基づいて実行される。
【0022】
任意選択で、このシステムは、ネットワークを介してサーバにアクセスすることによって少なくとも1つの環境条件特性を獲得するコードをさらに含み、患者のその時点における顔面皮膚ステータスは、前記少なくとも1つの個人的皮膚特性および前記その時点における少なくとも1つの値ならびに前記少なくとも1つの環境条件特性に従って計算され、この少なくとも1つの環境条件特性は、湿度予測、温度予測、雲量予測、汚染レベル、放射レベルおよび紫外線インデックス予測からなるグループから選択される。任意選択で、このシステムは、患者のその時点における位置を示す位置データを提供する地理的位置要素をさらに備え、このその時点における位置を使用して前記少なくとも1つの環境条件特性を獲得するコードをさらに含む。任意選択で、このシステムは、その時点における顔面皮膚ステータスもしくは処置命令の計算に先立つ予め決められた期間における患者の位置を示す履歴記録の解析、またはその時点における顔面皮膚ステータスもしくは処置命令の計算を進める予め決められた期間における患者の位置を示す日程記録の解析を実行することをさらに含み、患者のその時点における顔面皮膚ステータスまたは処置命令は、前記少なくとも1つの個人的皮膚特性および前記その時点における少なくとも1つの値ならびにこの解析の結果に従って計算される。
【0023】
任意選択で、このシステムは、選択された少なくとも1種の美容物質または選択された少なくとも1種の美容物質を含む取外し可能な少なくとも1つのカプセルを投入するように、ユーザに対するメッセージをディスプレイ上に提示するコードをさらに備える。
【0024】
任意選択で、前記少なくとも1つのセンサはイメージセンサを含む。
【0025】
任意選択で、前記少なくとも1つのセンサは、皮膚水分検出器および皮膚弾性検出器を含む。
【0026】
任意選択で、前記少なくとも1つの個人的皮膚特性は、皮膚色、皮膚明度、遺伝情報および皮膚タイプからなるグループから選択される。
【0027】
任意選択で、処置アプリケータを動作させる命令は、前記少なくとも1つのアプリケータ要素によって照射される光伝送パターンまたはレーザ伝送パターンを、周波数、タイミング、位相および振幅からなるグループから選択された少なくとも1つのパラメータに基づいて適応させる命令を含む。
【0028】
任意選択で、処置アプリケータを動作させる命令は、前記少なくとも1つのアプリケータ要素による高周波(RF)伝送パターンまたは超音波伝送パターンの少なくとも1つのパラメータを適応させる命令を含み、前記少なくとも1つのパラメータは、周波数、タイミング、位相および振幅からなるグループから選択される。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、顔面処置を提供するシステムとともに使用するカプセルであって、美容物質および電子工学的に可読の識別を含み、顔面処置を提供するシステムが、患者の顔面皮膚の少なくとも1つの皮膚特性のその時点における少なくとも1つの値を測定する少なくとも1つのセンサと、カプセルからの物質を患者の顔面皮膚に塗布する少なくとも1つのアプリケータ要素を備える処置アプリケータとを備える、カプセルが提供される。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、皮膚損傷因子に対する推定される曝露に基づいて顔面処置を動的に適応させる方法であって、予め決められた履歴期間における患者の位置を示す履歴記録、患者の習慣(routine)、予め決められた将来の期間における患者の将来の位置を示す日程記録のうちの少なくとも1つの解析を実行すること、この解析の結果に従って患者に対する処置計画を計算すること、処置計画に従って、処置アプリケータを動作させる命令を決定すること、およびこの命令に従って処置アプリケータに命令することを含み、履歴記録と日程記録のうちの少なくとも一方が、患者に関連づけられたモバイルデバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行されるモニタリングモジュールを使用して集められる、方法が提供される。
【0031】
任意選択で、処置計画を計算することは、命令を決定する対象患者と同じ患者に関連した履歴記録と日程記録のうちの少なくとも一方の記録の訓練セットを使用して訓練された機械学習アルゴリズムを実行するコードに基づいて実行される。
【0032】
任意選択で、処置計画を計算することは、命令を決定する対象患者とは異なる複数の別の患者に関連した履歴記録と日程記録のうちの少なくとも一方の記録の訓練セットを使用して訓練された機械学習アルゴリズムを実行するコードに基づいて実行される。
【0033】
別の定義がなされていない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および/または科学用語は、本発明が属する技術分野の技術者が共通に理解する意味と同じ意味を有する。本発明の実施形態の実施または試験においては、本明細書に記載された方法および材料に似た方法および材料ならびに本明細書に記載された方法および材料と等価の方法および材料を使用することができるが、以下では、例示的な方法および/または材料を説明する。矛盾する点がある場合には、定義を含め、本特許明細書が優先する。また、材料、方法および例は例示だけが目的であり、それらに限定されることは必ずしも意図されていない。
【0034】
本明細書では、添付図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態を単なる例として説明する。次に添付図面を詳細に参照するが、示された詳細は例であり、それらの詳細は、本発明の実施形態を例示的に論じるためのものであることを強調しておく。この点に関して、添付図面に関して書かれた以下の説明を読めば、当業者には、どのようにすれば本発明の実施形態を実施することができるのかが明白である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】患者の顔面に顔面処置を提供する皮膚処置アプリケータに提供される命令を動的に適応させる、本発明のいくつかの実施形態に基づく方法を示す図である。
【
図2】皮膚処置アプリケータに提供される命令を動的に適応させる、本発明のいくつかの実施形態に基づくシステムの構成要素を示す図である。
【
図3】患者のその時点における顔面皮膚プロフィールを決定する、本発明のいくつかの実施形態に基づく方法の流れ図である。
【
図4】皮膚損傷因子に対する曝露を推定する、本発明のいくつかの実施形態に基づく方法の流れ図である。
【
図5】本発明のいくつかの実施形態に基づく例示的な顔面セグメント(facial segment)を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明は、皮膚処置を提供することに関し、より詳細には、限定はされないが、カスタマイズされた処置を患者の顔面に提供するように皮膚処置アプリケータを動作させる命令を決定するシステムおよび方法に関する。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、患者の顔面に顔面処置を提供する皮膚処置アプリケータを動作させる命令を動的に適応させるシステムおよび/または方法(例えば処理ユニットによって実行されるコード)に関する。顔面処置を提供するように皮膚処置アプリケータを動作させる命令は、処置を受ける患者に合わせてカスタマイズされる。(この命令を決定する目的に使用される)顔面処置を、患者に合わせてカスタマイズすることができる。任意選択で、患者の顔面の顔面セグメントの前の皮膚処置アプリケータのその時点における位置に従って、命令を選択しかつ/または動的に適応させる。異なる顔面セグメントに対して異なる処置を選択することができる。その代わりにまたはそれに加えて、患者のその時点における皮膚プロフィールに従って、命令を選択しかつ/または動的に適応させる。処置を受け取る患者および/または患者のその時点における皮膚ステータスに合わせて、命令をカスタマイズすることができる。例えば、異なる時点の同じ患者に対して異なる処置を決定することができる。その代わりにまたはそれに加えて、患者の顔面の皮膚損傷因子に対する推定される曝露に従って、命令を選択しかつ/または動的に適応させる。皮膚損傷因子に起因する蓄積された損傷または予測される損傷が大きいのかまたは小さいのかに従って、命令を選択することができる。
【0038】
任意選択で、多数の患者から収集したデータに基づいて(「ビッグデータ」情報集合体およびビッグデータ情報集合体を処理する方法を使用して)処置および/または命令を決定する。この多数の患者からのデータを使用して、本明細書に記載された入力パラメータ、例えばその時点における皮膚プロフィールおよび皮膚損傷に対する推定される曝露に基づいて処置計画および/または命令を決定するように、機械学習法(例えばクラシファイヤ(classifier))を訓練する。皮膚パラメータおよびセンサ測定値、(対応するそれぞれの患者もしくは医療提供者が手動で入力することができ、かつ/またはセンサによって自動的に測定することができる)処置出力を使用して、その患者に対して成功する可能性が最も高い処置を、例えば処置の効果の点でまたは他の類似度の点でその患者に似ていると判定された別の患者の経験に基づいて決定するように、クラシファイヤを訓練することができる。
【0039】
本明細書に記載されたシステムおよび/または方法は、患者の皮膚に顔面処置を供与する皮膚処置アプリケータを動作させる命令であって、少なくとも患者の皮膚に合わせてカスタマイズされた命令を決定するという技術的課題に対する技術的解決策を提供する。多くの異なる皮膚処置様式(modality)、例えば1種または数種の美容物質(クリーム、ローション)の塗布、およびエネルギー(例えば光、レーザ、超音波、高周波、加熱および冷却)の照射が使用可能である。患者が異なれば、例えば皮膚タイプ、皮膚色素沈着、環境条件に対する曝露および/または年齢が異なるため、同じ(または同様の)処置が機能しない(またはうまく機能しない)ことがある。同じ患者でも、外部条件が異なるときには、例えば休暇中に太陽にさらされた後に処置を供与したとき、および/または局所的な環境条件が大きく変化したときには、同じ(または同様の)処置が機能しない(またはうまく機能しない)ことがある。同じ患者でも、顔面条件が異なるときには、例えば日焼けの後、ざ瘡(acne)が存在するとき、および/または(例えば日焼け後の)新たな皮膚色素沈着が存在するときには、同じ(または同様の)処置が機能しない(またはうまく機能しない)ことがある。同じ患者でも、時刻および/または曜日が異なれば、同じ(または同様の)処置が機能しない(またはうまく機能しない)ことがある。例えば、(レクリエーション活動の実行中に屋外で太陽にさらされる)週末の事務系労働者は、(オフィスにいて太陽から隔離されている)平日よりも多くの量および/または高い紫外線防御指数(sun protection factor:SPF)値を供与する必要があることがある。同じ患者でも、年齢を重ねれば、同じ(または同様の)処置が機能しない(またはうまく機能しない)ことがある。同じ患者でも、顔面の部分が異なれば、同じ(または同様の)処置が機能しない(またはうまく機能しない)ことがある。例えば、額、鼻および下顎は、頬よりも油性(oily)であることがあり、したがって頬とは異なる処置を必要とすることがある。処置は、互いに肯定的に相互作用し(例えば相乗効果をもたらし)、または否定的に相互作用する(例えば一緒に使用されたときに効果的な処置を減らし、または危険な形で化学的に反応する)ことがある。処置はそれぞれ異なる方式で、例えば異なる量および異なる頻度で供与されることがある。そのため、異なる処置条件および処置様式の可能な組合せに基づく可能な顔面皮膚処置の数は極めて多く、このことは、それぞれの患者に対する特定の処置の選択を難しくする。本明細書に記載されたシステムおよび/または方法は、患者に関連したカスタマイズされたデータを収集、解析して、カスタマイズされた処置計画を選択する。処置計画は、自動化された機械学習プロセスに基づき、別の患者の経験および/または同じ患者の経験に基づいて選択することができる。
【0040】
本明細書に記載されたシステムおよび/または方法は、数値演算(例えば皮膚処置アプリケータの位置を計算する数値演算、センサ出力を解析して可変の皮膚特性のその時点における値を決定する数値演算、および機械学習法を使用して患者の位置の記録を解析する数値演算)を、コード命令を実行するプロセッサの能力に結合する。このことは例えば、計算された位置、センサ出力の解析および/または記録の解析に従って、処置計画および/または皮膚処置アプリケータを動作させる命令を選択することによって達成される。
【0041】
本明細書に記載されたシステムおよび/または方法は、その患者に合わせてカスタマイズされた顔面処置を供与するように動作命令の選択を改良することにより、皮膚処置アプリケータを動作させるコンピューティングユニットの性能を向上させる。
【0042】
したがって、本明細書に記載されたシステムおよび/または方法は、コンピュータ技術に必然的に根ざして、皮膚処置アプリケータを動作させる命令を動的に適応させる際に生じる実際の技術的課題を解決する。
【0043】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載された構成要素および/または方法の構造および配置の詳細、ならびに/または図面および/もしくは実施例に示されたそれらの詳細だけに必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態を受け入れることができ、またはさまざまな形で実施もしくは実行することができる。
【0044】
本発明は、システム、方法および/またはコンピュータプログラム製品とすることができる。コンピュータプログラム製品は、本発明の諸態様をプロセッサに実行させるコンピュータ可読プログラム命令をその上に有するコンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。
【0045】
このコンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスが使用する命令を保持および記憶することができる有形のデバイスでありうる。このコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、限定はされないが、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光学記憶デバイス、電磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイスまたは以上の適当な組合せとすることができる。このコンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラム可能リードオンリーメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD−ROM)、ディジタルバーサタイルディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスクおよび上記の適当な組合せを含む。本明細書で使用されているとき、コンピュータ可読記憶媒体を、それ自体が一時的な信号である、例えば電波または他の自由に伝搬する電磁波、ウェーブガイドもしくは他の伝送媒体を通って伝搬する電磁波(例えば光ファイバケーブルを通過する光パルス)またはワイヤを通して伝送される電気信号であると解釈すべきではない。
【0046】
本明細書に記載されたコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体から、対応するそれぞれのコンピューティング/処理デバイスにダウンロードすることができることができ、または、ネットワーク、例えばインターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワークおよび/もしくは無線ネットワークを介して、外部コンピュータもしくは外部記憶デバイスにダウンロードすることができることができる。このネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、および/またはエッジサーバを備えることができる。それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のネットワークアダプタカードまたはネットワークインタフェースが、このネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受け取り、そのコンピュータ可読プログラム命令を、記憶のために、対応するそれぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に転送する。
【0047】
本発明の操作を実行するコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(instruction-set-architecture:ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ(state-setting data)、または1つもしくは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれたソースコードもしくはオブジェクトコードとすることができる。この1つもしくは複数のプログラミング言語には、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同種のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語が含まれる。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、ユーザのコンピュータ上で完全に実行すること、ユーザのコンピュータ上で部分的に実行すること、独立型ソフトウェアパッケージとして実行すること、ユーザのコンピュータ上で部分的に実行しリモートコンピュータ上で部分的に実行すること、またはリモートコンピュータもしくはサーバ上で完全に実行することができる。最後のシナリオでは、このリモートコンピュータを、ローカルエリアネットワーク(LAN)もしくはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続することができ、または、この接続を、(例えばインターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータに実施することができる。いくつかの実施形態では、本発明の諸態様を実行するために、電子回路、例えばプログラマブル論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)またはプログラマブル論理アレイ(PLA)を含む電子回路が、これらのコンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用してこの電子回路をパーソナライズすることにより、これらのコンピュータ可読プログラム命令を実行する。
【0048】
本明細書では、本発明の諸態様が、本発明の実施形態に基づく方法、装置(システム)およびコンピュータプログラム製品の流れ図および/またはブロック図を参照して説明される。それらの流れ図および/またはブロック図のそれぞれのブロック、ならびにそれらの流れ図および/またはブロック図のブロックの組合せを、コンピュータ可読プログラム命令によって実施することができることが理解される。
【0049】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、マシンを形成する汎用コンピュータ、専用コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに、それらのコンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサによって実行されるこれらの命令が、これらの流れ図および/またはブロック図のブロック内に指定された機能/操作を実施する手段を生成するような態様で提供することができる。これらのコンピュータ可読プログラム命令はさらに、特定の方式で機能するようにコンピュータ、プログラマブルデータ処理装置および/または他のデバイスに指図することができるコンピュータ可読記憶媒体に、その中に命令が記憶されたこのコンピュータ可読記憶媒体が、これらの流れ図および/またはブロック図のブロック内に指定された機能/操作の諸態様を実施する命令を含む製造物品を構成するような態様で記憶することができる。
【0050】
コンピュータ可読プログラム命令はさらに、コンピュータ、他のプログラマブル装置または他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させてコンピュータ実現プロセスを生み出すために、このコンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置または他のデバイス上に、このコンピュータ、他のプログラマブル装置または他のデバイス上で実行されるこれらの命令が、これらの流れ図および/またはブロック図のブロック内に指定された機能/操作を実施するような態様でロードすることができる。
【0051】
添付図中の流れ図およびブロック図は、本発明のさまざまな実施形態に基づくシステム、方法およびコンピュータプログラム製品の可能な実施態様のアーキテクチャ、機能および動作を示す。この点に関して、それらの流れ図またはブロック図のそれぞれのブロックは、指定された論理機能を実施する1つまたは複数の実行可能命令を含む、命令のモジュール、セグメントまたは部分を表すことがある。いくつかの代替実施態様では、ブロック内に示された機能が、図に示された順序とは異なる順序で実施される。例えば、連続して示された2つのブロックが、実際は、実質的に同時に実行されることがあり、または、含まれる機能によってはそれらのブロックが逆の順序で実行されることもある。それらのブロック図および/または流れ図のそれぞれのブロック、ならびにそれらのブロック図および/または流れ図のブロックの組合せを、指定された機能もしくは操作を実行しまたは専用ハードウェアとコンピュータ命令の組合せを実行するハードウェアベースの専用システムによって実施することができることにも留意すべきである。
【0052】
次に
図1を参照する。
図1は、患者の顔面に顔面処置を提供する皮膚処置アプリケータに提供される命令を動的に適応させる、本発明のいくつかの実施形態に基づく方法である。この顔面処置を、患者の顔面の顔面皮膚セグメントの前の皮膚処置アプリケータの位置に基づいて、患者のその時点における顔面皮膚プロフィールに基づいて、ならびに/または皮膚損傷因子に対する推定される曝露に基づいて、ならびに/または他の患者に提供された処置およびおそらくはそれらの処置の結果に基づいて、動的に適応させることができる。さらに
図2を参照する。
図2は、皮膚処置アプリケータ202に提供される命令を動的に適応させる、本発明のいくつかの実施形態に基づくシステム200の構成要素を示す図である。
図1の方法の操作は、システム200の構成要素によって実施してもよい。これらの命令は、例えば、モバイルデバイス204が皮膚処置アプリケータ202と通信することによって、モバイルデバイス204の処理ユニット206が、プログラム記憶装置208に記憶されたコードを実行するによって、および/または、皮膚処置アプリケータ202の処理ユニット210が、プログラム記憶装置212に記憶されたコードを実行することによって決定される。このコードは、モバイルデバイス204によって実行されるモバイルアプリケーションを含むことができる。このアプリケーションは、クライアント−サーバアプリケーションとすることができる。任意選択で、この処置は、遠隔装置、例えばサーバ232によって決定され、ネットワーク230を介してモバイルデバイス204および/または皮膚処置アプリケータ202に送られる。サーバ232は、異なる皮膚処置アプリケータおよび/またはモバイルデバイスを使用している多数の患者からデータを収集および/または集約し、集約されたそれらのデータを使用して患者ごとの処置を中央処理的に決定することができる。この決定は例えば、本明細書に記載されているように、患者ごとに決定された値にクラシファイヤを当てはめることによって達成される。
【0053】
皮膚処置アプリケータ202は、(例えば握り要素によって)手に持ち、顔面に沿って移動させることができ、かつ/または(カウンタ、テーブルなどの支持位置に対して固定された)卓上ユニットとすることができる。卓上ユニットでは、ユーザが、皮膚処置アプリケータ202に顔面を近づける。皮膚処置アプリケータ202は、比較的に小さくすることができ、例えば1米国セントコインのサイズから25米国セントコインのサイズとすることができる。皮膚処置アプリケータ202は、ユーザが自宅で使用するように設計することができる。
【0054】
皮膚処置アプリケータ202は、1つまたは複数のセンサ214(センサ214は異なるセンサでもまたは類似のセンサでもよい)を含むことができ、センサ214は、固定されたユニットおよび/または取外し可能な(例えば別のセンサと交換可能な)モジュール式ユニットとすることができる。センサ214は、患者の顔面と接触するように設計することができ、かつ/または顔面のすぐ近くに顔面に接触することなく配置されるように設計することができる。センサ214は、顔面セグメント(および/または顔面)の静止画像および/または映像を(例えば可視光波長、赤外波長および/またはその他の非可視波長で)捕捉するイメージングセンサとすることができる。センサ214は、視覚的皮膚特性(例えば色、明度、色素沈着、しわ、あざなど)、物理的皮膚特性(例えば弾性、厚さ、局所解剖学的特徴(topography)、油性(oiliness)など)、および/または化学的皮膚特性(例えば水分量)を感知する(これらの皮膚特性を直接に測定する、またはこれらの皮膚特性を得るために解析するデータを生成する)ことができる。例示的なセンサ214にはこの他、皮膚セグメントの水分量を推定する皮膚水分センサ、および皮膚セグメントの皮膚弾性を推定する皮膚弾性検出器などがある。センサ214は、皮膚と接触することによって皮膚を感知する感知表面、および/または皮膚と接触することなく感知を実行する感知要素を含むことができる。
【0055】
皮膚処置アプリケータ202は、1つまたは複数のアプリケータ要素216(アプリケータ要素216は類似のアプリケータ要素でもまたは異なるアプリケータ要素でもよい)を含むことができる。アプリケータ要素216は、1つまたは複数の物質容器218内に収容された1種または数種の物質を、決定された命令に従って顔面セグメントに塗布する(この1種または数種の物質は、皮膚処置アプリケータ202内、例えばカプセル内および/または小容器内に収容することができ、このカプセルおよび/または小容器は、使い捨てとし、かつ/または洗浄および補充のために取外し可能とすることができる)。例えば、アプリケータ要素216は、クリーム、ローション、美容液(serum)、保湿ローション、栄養分、油、ゲル、洗浄ローション、水または他の物質もしくは他の薬剤を、例えばブラシ、スプレー、ドロッパ(dropper)、マッサージャなどを使用して顔面セグメントに塗布する。美容物質容器218内に収容されたカプセルは、カプセル内に収容された製品を示すタグ、例えばバーコードまたはラジオフレクエンシアイデンティフィケーション(radiofrequency identification:RFID)を含むことができ、このタグを、皮膚処置アプリケータ202に結合されたタグ読取り装置によって読み取ることができる。2ワイヤメモリ(2 wire memory)などの電子工学要素によってこのカプセルを識別してもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、このカプセルが、美容物質をその中に含む新しいカプセルであるのか、または美容物質をその中に含む継続カプセル(すなわち皮膚処置アプリケータ内に置かれ、設置されまたは入れられていたカプセルであって、取り外され、後に再び置かれたカプセル)であるのかが識別される。この皮膚処置アプリケータは、カプセル内に残っている物質を測定する際に有効なことがある。このシステムが、カプセル内の物質の量を報告し、またはカプセル内の物質の量が何回の処置に対してもしくはどれくらいの時間に対して十分であるのかを報告してもよい。カプセルのタイプ、使用期限などのカプセルパラメータがデータベース内に示されていてもよく、それらのカプセルパラメータは、ユーザ、皮膚処置アプリケータ、カプセル供給業者、助言機関などの実在物(entity)によってアクセス可能であってもよい。
【0057】
アプリケータ要素216は、決定された命令に従って顔面セグメントにエネルギー、例えば光、レーザ、高周波(RF)、超音波などを送達することができる。アプリケータ要素216は、例えば死んだ皮膚を除去しかつ/または血液循環を促す回転部材または微細表面によって皮膚をピーリング(peeling)するように設計することができる。アプリケータ要素216は、モジュール式のアプリケータ要素(例えば取外し可能でありかつ別のアプリケータ要素と交換可能なモジュール式要素)、および/または恒久的でありかつ/または補充可能なアプリケータ要素とすることができる。アプリケータ202は、(命令に従って同時にもしくは1度に1つずつ起動する)多数の同時アプリケータ要素216を可能にするように設計することができ、または1度に1つの要素216に対応するように設計することができる(このことは、取り外すこと、および例えば決定された命令に従って異なる要素216と交換することを可能にする)。アプリケータ要素216は、恒久的なアプリケータ要素、または分離可能なアプリケータ要素とすることができる。
【0058】
例示的ないくつかの実施形態では、以下の例示的な設定のうちの1つまたは複数の設定が使用される。
・852ナノメートルと658ナノメートルの組合せなど、1つまたは複数の波長を使用した例えば20〜100ミリワットのレーザ療法を供与する。
・強度5〜30ワット、周波数0.5〜5メガヘルツ(MHz)のRF療法および周波数30〜200キロヘルツ(kHz)、強度30〜200ボルトの電気泳動を供与することができる。
【0059】
これらの例示的な療法またはその他の療法のうちの1つまたは複数の療法を、数秒から数分の間などの時間、例えば処置タイプごとに最長約10分間、または全体で最長約10分間、供与することができる。
【0060】
例えば、皮膚を清浄にし、皮膚に栄養を送達し、皮膚を再生させ、タンパク質鎖を構築し、既存のタンパク質鎖を強化し、メラノサイトを低減させ、遊離の酸化剤もしくは他の毒素を低減させ、または赤み(redness)を低下させるように、アプリケータ要素216を設計することができる。清浄化、孔拡張、機械的または化学的ピーリング、加熱、冷却、マッサージ、皮膚伸展(skin stretching)、パッティング(patting)、エレクトロポレーション(electroporation)など、1つまたは複数の処置を供与するように、アプリケータ要素216を設計することができる。
【0061】
命令に従って処置を供与するために、アプリケータ要素216は、制御ユニット(例えば回路)および/またはモータ(例えば電動機)を含むことができる。その代わりにまたはそれに加えて、これらの制御ユニットおよび/またはモータは、皮膚処置アプリケータ202内に位置し、挿入されたアプリケータ要素216と係合する。
【0062】
アプリケータ要素とセンサは、おそらくは皮膚処置アプリケータ202上の異なる位置に位置する(例えば独立して取外し可能でありかつ交換可能な)独立した要素とすることができ、かつ/または、センサがアプリケータ要素内に位置するなど、(例えば一緒に取外し可能でありかつ/もしくは交換可能な)一体化された要素とすることができる。
【0063】
皮膚処置アプリケータ202は、患者(または他のユーザ)がデータを入力することを可能にし、かつ/もしくは出力されたデータを患者(または他のユーザ)に提供するユーザインタフェース220を含むことができ、またはユーザインタフェース220と通信することができる。例えば、このユーザインタフェースは、キーボード、タッチパッド、タッチスクリーン、ボタン、ダイヤルなどの接触表面、および/または(任意選択で音声認識ソフトウェアを有する)マイクロホン、および/またはスピーカのうちの1つまたは複数を使用して、データを提供しかつ/または受け取ることができる。
【0064】
皮膚処置アプリケータ202には、電池(任意選択で充電式電池)、壁面コンセント(ケーブルおよびプラグを介して)または他の方法によって電力を供給することができる。
【0065】
モバイルデバイス204と通信するため、皮膚処置アプリケータ202は、アプリケータ通信インタフェース222、例えば近距離無線インタフェース、ネットワークインタフェース、セルラインタフェース(cellular interface)、ケーブルインタフェースおよび/または仮想インタフェースを含むことができる。
【0066】
皮膚処置アプリケータ202は、データリポジトリ(data repository)224を含むことができ、またはデータリポジトリ224と通信することができる。データリポジトリ224は例えば、センサ214が出力したデータを、モバイルデバイス204および/もしくはサーバ232に送るため、ならびに/または皮膚処置アプリケータ202によって局所的に処理するために記憶しておく(例えばバッファの働きをする)ことができる。データリポジトリ224とプログラム記憶装置212は、別個の記憶ユニットとすることができ、かつ/または同じ記憶ユニット内で一体化されていてもよいことに留意されたい。
【0067】
モバイルデバイス204は、皮膚処置アプリケータ202のアプリケータ通信インタフェース222と通信するモバイルデバイスインタフェース226、例えば無線通信インタフェース(例えばWi−Fi)および/またはケーブルリンクを含むことができる。モバイルデバイスインタフェース226は少なくとも、モバイルデバイス204と皮膚処置アプリケータ202との間のデータ転送を可能にするインタフェース222、例えば近距離無線インタフェースと通信する。
【0068】
モバイルデバイス204は、ネットワークインタフェース228を含むことができ、またはネットワークインタフェース228と通信することができる。ネットワークインタフェース228は、モバイルデバイス204をネットワーク230、例えばセルラネットワーク、インターネットおよび/またはローカルエリアネットワークに接続する。モバイルデバイス204は、ネットワーク230を介して1つまたは複数の遠隔サーバ232と通信して、例えば天気予報および/または本明細書に記載された他のデータを取得することができる。
【0069】
モバイルデバイス204は、モバイルデバイスの物理的位置および/もしくは地理的位置を示すデータを出力する地理的位置要素234、例えば全地球測位システム(GPS)を含むことができ、または地理的位置要素234と通信することができ、または、無線ネットワークを介して送られる、ユーザの位置を示す電子信号に基づくことができる。
【0070】
モバイルデバイス204は、ユーザインタフェース236を含み、またはユーザインタフェース236と通信する。ユーザインタフェース236は、患者(または他のユーザ)がデータを入力することを可能にし、かつ/または、出力されたデータを患者(または他のユーザ)に提供する。ユーザインタフェース236は、例えば、キーボード、タッチパッド、タッチスクリーン、ボタン、ダイヤルなどの接触表面、および/またはマイクロホン(任意選択で音声認識ソフトウェアを含む)、および/またはスピーカのうちの1つまたは複数のユーザインタフェースである。
【0071】
モバイルデバイス204は、データリポジトリ238を含むことができ、またはデータリポジトリ238と通信することができる。データリポジトリ238は、例えば、本明細書に記載されたモニタリングコード(monitoring code)238A、過去の処置およびそれらの処理の結果などを記憶することができる。
【0072】
モバイルデバイス204は、例えばスマートホン、タブレットコンピュータ、ラップトップ、ウェアラブルデバイス(例えばコンピューティング眼鏡、腕時計形コンピュータ)として実施することができる。モバイルデバイス204のこのモバイル実施態様は例であり、限定を意図したものでは必ずしもないことに留意されたい。例えば、モバイルデバイス204の機能は、(例えばインタフェース222または別のインタフェースを介した皮膚処置アプリケータ202との間の適当な通信接続を介して)遠隔サーバ、デスクトップコンピュータ、専用デバイス、ウェブサーバまたは他のコンピューティングユニットによっても実施することができる。
【0073】
モバイルデバイス204の処理ユニット206および/または皮膚処置アプリケータ202の処理ユニット210は、例えば中央処理ユニット(CPU)、グラフィクス処理ユニット(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ディジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向けIC(ASIC)などとして実施することができる。処理ユニット206および/または210は、1つまたは複数のプロセッサ(同種または異種プロセッサ)を含むことができ、その1つまたは複数のプロセッサは、並列処理のため、クラスタとして配置し、かつ/または1つもしくは複数のマルチコア処理ユニットとして配置することができる。サーバ232に関連づけられた1つまたは複数のプロセッサによって一部または全部の処理を実行してもよいことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、モバイルデバイス204の処理ユニット206、および/または皮膚処置アプリケータ202の処理ユニット210、および/またはサーバ232に関連づけられたプロセッサの間で処理が分割される。
【0074】
皮膚処置アプリケータ202のプログラム記憶装置212、および/またはモバイルデバイス204のプログラム記憶装置208、および/またはサーバ232に関連づけられたプログラム記憶装置、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)ならびに/または記憶デバイス、例えば不揮発性メモリ、磁気媒体、半導体メモリデバイス、ハードドライブ、取外し可能な記憶装置および光学式媒体(例えばDVD、CD−ROM)は、対応するそれぞれの処理ユニット210または206によって実施可能なコードを記憶することができる。
【0075】
皮膚処置アプリケータ202のデータリポジトリ224、および/またはモバイルデバイス204のデータリポジトリ238、および/またはサーバ232に関連づけられたデータリポジトリは、例えばハードドライブ、取外し可能な記憶装置、内蔵記憶装置、遠隔サーバおよび/または他の記憶デバイスとして実施することができる。
【0076】
皮膚処置アプリケータ202を動作させる命令の動的適応は、皮膚の損傷効果、例えば老化に起因する皮膚欠陥、皮膚の緩み(laxity)、皮膚の弛み(flaccidity)、生理学的老化、下降(gravitation)、弾力線維症、鼻唇ひだ、しわ(wrinkle)、模擬しわ(mimic wrinkle)、光老化(すなわち太陽または他の環境因子に起因する皮膚欠陥)、酸化、しわ、しわ(rhytid)、角質増殖、色素沈着、脱水ならびに臨床病理学的症状、例えば皮膚炎、瘢痕およびざ瘡を低減させることができる。
【0077】
図1(および/または
図3、4、5)に関して説明した方法の操作は、皮膚処置アプリケータ202によって(すなわちプログラム記憶装置212に記憶されたコードを実行する処理ユニット210によって)完全に実行することができ、センサ214から出力されたデータおよび/または皮膚処置アプリケータ202から受け取ったデータ、ならびに、皮膚処置アプリケータ202が実行し、および/または皮膚処置アプリケータ202とモバイルデバイス204との間で共有される決定された命令の伝送に基づいて、モバイルデバイス204によって(すなわちプログラム記憶装置208に記憶されたコードを実行する処理ユニット206によって)完全に(またはほぼ完全に)実行することができる。例えば、皮膚処置アプリケータ202は、センサ214からの出力を収集し、そのデータの最初の処理および/または解析を実行することができる。モバイルデバイス204は、皮膚処置アプリケータ202が実行する命令を決定することができる。いくつかの実施形態では、サーバ232に関連づけられた処理ユニットも、これらの計算の一部または全部を実行する。
【0078】
102で、患者に関連した顔面関係データを受け取る。このデータは、顔面セグメントおよび/または患者の顔面全体に関連したデータ、年齢、性別などの患者の人口統計学的データに関連したデータ、患者が生活し、働きまたは休暇をとる場所などの地理的データ、患者の行動データに関連したデータなどとすることができる。この顔面関係データは、患者の顔面に対して実行された測定に基づく患者の顔面に直接に関連したデータとすることができ、例えば、イメージセンサを使用して獲得された画像、または水分センサを使用して測定された皮膚の推定される水分量とすることができる。この顔面関係データは、顔面に影響を及ぼす外部パラメータであって、患者の顔面がなくても獲得および/または測定することができる外部パラメータ、例えば太陽紫外線(UV)インデックス値、天気、環境条件およびユーザの地理的位置に関連したデータに基づく、患者の顔面に間接的に関連したデータとすることができる。
【0079】
直接的な顔面関係データは、皮膚処置アプリケータ202のセンサ214によって提供することができる。間接的な顔面関係データは、本明細書に記載されたとおりに(例えばモバイルデバイス204によって)サーバ232および/または地理的位置要素234から(例えばモニタリングコード238Aによって)収集することができ、例えば環境データおよびユーザの位置を示す位置データである。
【0080】
履歴顔面データ、人口統計学的データ、地理的データ、行動データなどのその他のデータは例えば、ユーザが提供することができ、または記憶デバイスから取り出すことができる。
【0081】
任意選択で、収集されたデータは、中央リポジトリ(例えばサーバ232に関連づけられた中央リポジトリ)に送られる。この中央リポジトリは、多数のユーザから収集されかつ/または集約されたデータを記憶している。この中央リポジトリは、それぞれのユーザからのデータを、任意選択で決定された処置計画(例えば本明細書に記載された処置計画)および/または処置結果とともに記憶することができる(この処置計画および/または結果は、ユーザが手動で入力することができ、かつ/または次の繰返しサイクルで収集され、以前に収集されたデータと比較されたデータを解析することによって自動的に導き出すことができる)。この収集されたデータを使用して、患者に対する治療計画を、(例えば相関要件に基づいて選択された)そのユーザに似た特性または追加の使用法を有する別のユーザで成功した治療計画に基づいて決定するように、統計的クラシファイヤ(例えば本明細書に記載された統計的クラシファイヤ)を訓練することができる。
【0082】
104で、顔面関係データを解析する。このデータは、皮膚処置アプリケータ202および/もしくはモバイルデバイス204によって局所的に解析し、かつ/または遠隔位置(例えばサーバ232)で解析することができる。出力されたセンサデータに基づいてこの解析を実行して、本明細書に記載されたとおりに、パラメータの1つまたは複数の値を識別すること、例えば患者の顔面皮膚の可変の皮膚特性のその時点における値を測定することができる。
【0083】
このデータは、遠隔サーバ(例えばサーバ232)によって遠隔的に解析することができ、(例えばネットワーク接続および/またはセルラチャネルを介して)直接におよび/またはモバイルデバイス204を介して、遠隔位置にある皮膚処置アプリケータ202に送ることができる。このデータは、遠隔サーバによって自動的に解析することができ、かつ/または例えばユーザ(例えば職業的データ解析者、美容専門家、皮膚科医)によって手動で解析することができる。
【0084】
データ解析は、ユーザに提供された以前の処置後の結果の傾向に基づいて処置を決定することを含むことができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、この処置が、処置されているユーザの顔面の特定の位置に依存する。顔面皮膚セグメントの位置の推定は、ある顔面皮膚セグメントの前に皮膚処置アプリケータ202を配置するため、およびユーザが皮膚処置アプリケータ202を正しい位置に実際に配置したことを確認するために、ユーザに提供される指示(例えばディスプレイ上に視覚的に提示される指示および/またはマイクロホンを使用して言語として提供される指示)に応答して実行することができる。この位置の推定は、皮膚処置アプリケータ202をユーザが配置したことに応答して、必ずしも指示されることなしに実行することもできる。
【0086】
この位置の推定は、(例えばディスプレイ上に提示されたGUIおよび/もしくは他のボタンまたはマイクロホンによる記録された言語による指示を使用して)ユーザがボタンを押したことに応答して実行することができる。ボタンを押すことは、ユーザがその時点の位置に処置を提供したいこと、および/または指示された位置にユーザが到達したことを示す。その代わりにまたはそれに加えて、この位置の推定を、連続的にまたは定期的に実行して、その時点における位置を推定しかつ/または位置の変化を検出することもできる。
【0087】
次に
図5を参照する。
図5は、本発明のいくつかの実施形態に基づく例示的な顔面セグメントを示す略図である。処置対象の顔面600が示されている。顔面600は、ディスプレイ(例えばユーザインタフェース220および/または236)上に提示することができる。皮膚処置アプリケータ202を配置する場所をユーザに示すため、および/または皮膚処置アプリケータ202のその時点における位置を示すために、顔面セグメントを目立たせる(例えば顔面セグメントを強調表示し、または陰影をつけ、または着色する)ことができる。ユーザは、顔面表示600を使用して、皮膚処置アプリケータ202のその時点における位置(またはユーザが皮膚処置アプリケータ202を配置しようとしている位置)を手動で、例えばタッチスクリーン上の顔面セグメントに触れることによって、および/またはディスプレイ上に提示された顔面セグメントをクリックすることによって入力することができる。例示的な顔面セグメントは、額604、鼻608、下顎612、左頬616および右頬620を含む。
【0088】
あるいは、その時点における測定値を、ユーザが必要な位置にアプリケータを置いた以前の機会に測定された測定値と比較することによって、その時点における位置を自動的に推定することもできる。この測定は、化学的測定または生物学的測定、ならびに顔面エリアの形状または輪郭を推定するなどの顔面構造に関係した測定を含むことができる。したがって、その時点における位置は、比較に基づいて決定することができ、この決定の後に、顔面セグメントに対して適切な処置を供与することができる。
【0089】
次に、
図1のブロック102〜104を再び参照する。その代わりにまたはそれに加えて、皮膚処置アプリケータ202による顔面処置の供与を動的に適応させる命令を、患者のその時点における皮膚プロフィールに従って決定することができる。
【0090】
次に
図3を参照する。
図3は、患者のその時点における顔面皮膚プロフィールを決定する、本発明のいくつかの実施形態に基づく方法の流れ図である。その時点における顔面皮膚プロフィールは、患者の皮膚のその時点における状態を表す1つまたは複数の絶対値および/または相対値の集合体とすることができる。その時点における顔面皮膚プロフィールに従って、および/またはその時点における顔面皮膚状態と以前の顔面皮膚状態との間の変化に従って、処置を選択しかつ/または適応させることができる。例えば、その時点における顔面皮膚状態が、それよりも前の顔面皮膚状態に比べて、1つまたは複数の特性の悪化を示しているときには、選択された処置を調整して、ユーザの顔面皮膚状態の改善を試みることができる。
【0091】
402で、患者の顔面皮膚の可変の皮膚特性のその時点における値を測定しているセンサ214から出力されたデータを、皮膚処置アプリケータ202が受け取る。可変の皮膚特性は、同じ患者について時間の経過とともに変化する可能性がある患者の皮膚の特性を表し、例えば皮膚水分量、弾性、色および/または色素沈着(例えば日焼けによる色素沈着)などである。
【0092】
これらの可変の皮膚特性を測定する例示的なセンサ214には、イメージングセンサ(例えば色および/または色素沈着を感知する)、皮膚水分検出器(例えば皮膚水分を感知する)および皮膚弾性検出器(例えば弾性を感知する)などがある。
【0093】
任意選択で、404で、1つまたは複数の環境条件特性を獲得する。環境条件特性は、患者の顔面皮膚の可変の皮膚特性に影響を及ぼす特性を表す。例示的な環境条件特性には、湿度予測、温度予測、雲量予測および紫外線インデックス予測などがある。例えば、寒くかつ/または乾燥した天気条件は皮膚水分量および/または皮膚弾性を低減させる。例えば、よく晴れた日の高い紫外線インデックスが、例えば皮膚を焼くことによって、皮膚の色、色素沈着、水分量および/または弾性に影響を及ぼすことがある。
【0094】
この環境条件特性は例えば、モバイルデバイス204がネットワーク230を介してサーバ232にアクセスすることによって獲得することができる。サーバ232は、環境条件特性、例えば気象データから得られた環境条件特性を記憶しまたは取り出す公開されたプラットホームとすることができる。この環境条件特性は、例えば温度計および/または湿度センサなどの内蔵要素またはモジュール要素を使用して、アプリケータ202またはモバイルデバイス204が測定することもできる。
【0095】
その代わりにまたはそれに加えて、406で、患者のその時点における位置を示す位置データを獲得する。この位置データは例えば、地理的位置要素234(例えばGPSシステム)から獲得することができ、(例えばモバイルデバイス204と通信するディスプレイ上に提示された)位置を手動で入力するようにユーザに求めることによって獲得することができ、モバイルデバイス204がアクセスのために使用している基地局を識別するためにセルラネットワークに問い合わせることによって獲得することができ、および/またはユーザのソーシャルネットワークサイトからデータを取り出すことによって獲得することができる。
【0096】
このその時点における位置を解析して、ユーザが屋内(例えばモール、オフィスまたは地下鉄内)にいるのか、または屋外にいるのかを検出することができる。
【0097】
その時点における位置を使用して、環境条件特性、例えばその時点における天気、湿度、汚染レベル、放射レベル、電子放射レベル、および/または患者のその時点の位置において測定されたUVインデックスを獲得することができる。
【0098】
任意選択で、その時点における顔面皮膚ステータスの計算に先立つ予め決められた期間における患者の位置を示す履歴記録の解析を実行する。例えば、患者が、休暇中に米国フロリダを旅行している間に2週間、晴天下で過ごし、現在は、曇りがちで寒いニューヨークの冬に戻っていることを検出するため。この予め決められた期間は、例えば顔面皮膚の処置と処置の間の間隔に基づいて決定することができる。このようにすると、その時点におけるそれぞれの処置を、前回の処置の後の患者の位置に基づいて決定することができる。
【0099】
任意選択で、その時点における顔面皮膚ステータスの計算を進める予め決められた期間における患者の将来の位置を示す日程記録の解析を実行する。例えば、その時点では、患者が、曇りがちで寒いニューヨークの冬に応じた処置を受けているが、その後に、暖かくて快晴の多い気候の場所に2週間休暇に行くことになっているときには、このことに応じて、例えば太陽による損傷から保護するように顔面処置を適応させることができる。
【0100】
任意選択で、その時点における顔面皮膚ステータスの計算を進める予め決められた期間における患者の1日、1週間、1か月および/または1年の習慣の解析を実行する。例えば、夏の週末に処置を受けるとき、その処置は、日向にいる時間が他の月または曜日よりも長くなることを考慮することができ、それに応じて、提供される処置を変更することができる。同様に、1日の時刻に応じて処置を変更することもできる。
【0101】
履歴記録、日程記録、ならびに/または履歴記録および/もしくは日程記録を決定するためのデータ(例えば位置データ)は、モバイルデバイス204のデータリポジトリ238に記憶されたモニタリングコード238Aを使用して集めることができる。モニタリングコード238Aは、地理的位置要素234、サーバ232、データリポジトリ238に記憶されたデータ、および/または他のデータ記憶位置にアクセスすることができる。
【0102】
その代わりにまたはそれに加えて、408で、患者の顔面皮膚の1つまたは複数の個人的皮膚特性を獲得する。個人的皮膚特性は、例えば、ユーザによって(例えばユーザインタフェース236を使用して)手動で入力され、記憶デバイス上(例えばサーバ232上、データリポジトリ238内、データリポジトリ223上)に記憶された患者のデータ、例えば医療記録のデータベースにアクセスすることによって獲得することができ、センサ214によって出力されたデータの解析(例えば皮膚色を決定するための患者の顔面の画像の解析)に基づいて獲得することができ、および/または(例えば患者のソーシャルネットワークサイトからアクセスされる)患者の公開されたデータの解析に基づいて獲得することができる。個人的皮膚特性は、手動で入力されたユーザデータおよび/または獲得されたデータの解析に基づいて、例えば、予め決められた質問に対してユーザが(例えばディスプレイ上に提示されたグラフィカルユーザインタフェースを使用して)提供した回答に基づいて獲得することができる。この質問は例えば次のようなものである:そばかすがたくさんありますか?、皮膚は乾燥しやすいですか?、日焼けしやすいですか?、子供のころたくさん日焼けしましたか?。
【0103】
例示的な個人的皮膚特性には、皮膚色、皮膚明度、遺伝情報、皮膚厚さおよび皮膚タイプなどがある。
【0104】
410で、個人的皮膚特性、可変の皮膚特性のその時点における値、環境条件特性、ユーザの位置、ならびに履歴記録および/または日程記録の解析結果のうちの1つまたは複数の入力パラメータに従って、患者のその時点における顔面皮膚ステータスを計算する。
【0105】
その時点における顔面皮膚ステータスは、例えば、1つもしくは複数の入力パラメータを受け取る1つもしくは複数の関数(例えば重み付けされた関数)を使用した1つもしくは複数の絶対数として、その1つもしくは複数の入力パラメータの変化に基づいて計算された相対数として、(例えば0〜1もしくは0〜100の目盛上の)正規化された値として、一組の値として、記録として、配列として、テキストパラメータとしてまたは他の表現として計算および/または表示することができる。
【0106】
このその時点における顔面皮膚ステータスは、皮膚処置アプリケータ202を動作させる命令を決定する際に使用するために(例えばデータリポジトリ238および/または224に)記憶することができる。このその時点における皮膚ステータスは、時間を追って異なる期間に記録されたその患者の一組のその時点における顔面皮膚ステータス値の1つとして記憶することができる。
【0107】
次に、
図1のブロック102〜104を再び参照する。その代わりにまたはそれに加えて、皮膚処置アプリケータ202による顔面処置の供与を動的に適応させる命令を、皮膚損傷因子に対する推定される曝露に基づいて決定する。
【0108】
次に
図4を参照する。
図4は、皮膚損傷因子に対する曝露を推定する、本発明のいくつかの実施形態に基づく方法の流れ図である。
【0109】
502で、予め決められた履歴期間における患者の位置を示す履歴記録に、例えば
図3のブロック406に関して説明したとおりにアクセスする。この履歴記録は、患者の1日/1週間/1か月/1年の習慣を示す記録とすることができる。さらに、特定の習慣データを提供することもができる。
【0110】
504で、予め決められた将来の期間における患者の将来の位置を示す日程記録に、例えば
図3のブロック406に関して説明したとおりにアクセスする。
【0111】
この履歴記録および/または日程記録は、(モバイルデバイス204のデータリポジトリ238に記憶することができる)モニタリングコード238Aを使用して、例えば
図3のブロック406に関して本明細書で説明したとおりに集めることができる。
【0112】
506で、この履歴記録および/または日程記録を解析して、皮膚損傷因子に対する患者の曝露を推定する。例えば、通常はより寒くかつ/またはより曇りがちの気候の場所で生活しているが、晴れの多い場所で頻繁に休暇をとる患者は、太陽に対する曝露に起因する皮膚損傷因子に対してハイリスクであるとして識別することができる。別の例として、非常に寒い気候を有する地域で生活している患者は、極端な寒冷に対する曝露に起因する皮膚損傷に対してハイリスクであるとして識別することができる。
【0113】
皮膚損傷因子に対する累積曝露を示す値またはメトリック(metric)を、例えば、患者位置における既知の皮膚損傷因子および/または推定される皮膚損傷因子に基づく重み付けされた関数として計算および/または推定することができる。例えば、赤道付近に長年生活していたが、今は寒く曇りがちの国で生活している患者は、蓄積された重大な太陽損傷を有する可能性がある。
【0114】
次に、
図1のブロック104を再び参照する。追加の外部データを収集し、患者関係データと相関させることができる。この追加の外部データを使用して、本明細書に記載されたとおり、統計的クラシファイヤを、処置計画を決定するように訓練することができる。この追加の外部データは、例えば、外部サーバ(例えば測定された放射レベル、天気データなどの公開されたデータを記憶した外部サーバ)、および/またはモバイルデバイス204にアクセス可能な外部センサ(例えばユーザが滞在しているときの自宅またはオフィスの汚染レベルを測定しているユーザの自宅および/またはオフィス内にある外部センサ)から収集することができる。
【0115】
例えばディスプレイ上に提示されたGUI(例えば220および/または236)を使用して、および/またはウェブサイトが管理するウェブページを使用して、追加のデータを手動で入力するようにユーザに促すことができる。この追加のデータは例えば、ユーザが実行する身体活動、フィットネス活動(例えばジム通い)、食物摂取量、アルコール摂取量、喫煙の詳細(例えば1日に何本のタバコを吸うか)、睡眠の詳細(例えば一晩に何時間の睡眠をとるか)、年齢、身長、体重、手動で入力される皮膚条件(例えば皮膚条件のリストから選択される皮膚条件)、患者のその時点における皮膚条件についての患者の感覚(例えば満足しているかまたはそうでないか)、研究室で収集されたデータ(例えば細菌学的分析)、身体測定値(例えば血圧、脈拍、血糖レベル)、アレルギー、他の医学的状態、および以前に試した処置(例えばそれぞれの処置の効果。肯定的かまたは否定的か)などである。手動で入力されたこれらの追加のデータを使用して、処置計画を選択する統計的クラシファイヤを、例えば(例えば相関メトリックに基づいて)そのユーザに似た他のユーザを識別することによって、および/または手動で入力されたデータと処置計画との間の他の相関に基づいて、訓練することができる(例えば、油っこい食品を食べているユーザはより油性の皮膚を有する傾向があることがあり、このことが、それに応じて処置計画を決定するのに役立つことがある)。
【0116】
任意選択で、処置の効果についての主観的なフィードバックを入力するように、(例えばディスプレイ上に提示されたGUI、例えば220および/または236を使用して)ユーザに促す。例えば、以下の質問に対してイエス/ノーで回答する(または満足度スケールを使用する):処置を使用した後、皮膚の改善を感じますか?、現在の処置の状態に満足していますか?、処置をさらに改良したいですか?、その処置は、その処置をしない場合よりも皮膚を悪くしていると感じますか?。入力されたこれらの主観的データを使用して、クラシファイヤを、有効な処置を決定するように訓練することができる。これらの主観的データを、(例えばセンサ214を使用した皮膚の測定によって得られた)客観的データと比較して、ユーザの感覚が、実際の皮膚の変化に基づいているのか否かを判定すること、例えば、その処置が実際に有効であるのかまたはプラシーボ効果の結果であるのかを識別することができる。
【0117】
106で、患者に対する処置計画を計算する。この処置計画は、患者の顔面皮膚セグメントの前の皮膚処置アプリケータの位置、
図3に関して説明したその時点における顔面皮膚プロフィール、
図4に関して説明した(例えば皮膚損傷因子に対する推定される曝露を示す)履歴記録および/もしくは日程記録の解析、ならびに/または本明細書に記載された他のデータ(例えば患者の体重、血圧、アルコール摂取量および運動)に従って計算される。
【0118】
この処置計画は、1つまたは複数の段階を含んでもよい。それらの段階は一緒に選択することができ、もしくは、それぞれの段階を、その段階の供与の前に集められた追加のデータに基づいて選択することができ、かつ/または集められた追加のデータに基づいてそれらの段階を適応させることができる。例示的な処置計画は、準備段階(例えば清浄化、孔拡張)および処置段階(例えば処置効果を達成するためのエネルギーまたは物質の送達)を含む。
【0119】
準備段階は、(例えばブラシなどの機械的効果、ローションを塗布することによる化学的効果、マッサージ要素によるマッサージ、および/またはエネルギー要素からのエネルギーの照射による加熱を使用した)皮膚に対するピーリング効果を生じさせる命令を含んでもよい。ピーリングは、例えば1〜20秒の間、または他の時間の間、任意選択で顔面セグメントごとに、供与することができる。
【0120】
処置計画は、処置後段階を含んでもよい。この処置後段階は、孔を狭くするように選択することができる。処置後段階は、例えば(例えば冷却供与要素による)寒冷の供与、(孔を弛緩させるための)マッサージ、美容物質の塗布などを含むことができる。
【0121】
この処置計画は、多数の段階を含んでもよい。それらの段階は、順序に従って定義することができ、かつ/または交互に実施する(例えば同時に供与する)ことができる。それぞれの段階は、1つまたは複数の処置要素による処置の供与を、処置プロフィール(例えば加える力、どのぐらいの時間、処置を供与するのか、どの顔面セグメントに処置を供与するのか)に従って定義することができる。異なる顔面セグメントは、異なる段階および/もしくは異なる処置計画を有することができ、かつ/または共通の段階および/または処置計画を共用することができる。それぞれの患者には、カスタマイズされた処置計画が提供される。本明細書に記載されたとおり、このカスタマイズされた計画は、患者の皮膚のその時点における状態など、その時点における患者条件に従って調整されていてもよい。
【0122】
この処置計画は、セッションごとに選択することができ、かつ/または多数のセッションで供与されるように選択することができ、例えば、単一事象計画、1日計画(例えば朝および夕方)、週間計画および月間計画とすることができる。多数のセッションに対する処置計画を前もって決定し、セッション中に計画を調整しないことができる。多数のセッションに対する処置計画を決定し、かつ/またはセッション間の時間間隔において調整する(例えば処置セッションごとに調整しまたはユーザの好みで調整する)ことができる。
【0123】
処置計画は、顔面セグメントに基づく副処置計画を含むことができる。それぞれの顔面セグメントまたは一群の顔面セグメントを副処置計画と関連づけることができる。例えば本明細書で論じた顔面セグメント間の皮膚特性の違いによって。
【0124】
許可のために処置計画をユーザに提示することができる。例えば、ディスプレイ(例えばモバイルデバイス204のユーザインタフェース236)上で処置計画をユーザに提示することができる。任意選択で、皮膚処置アプリケータ202に処置計画の命令をダウンロードすることを承認するようユーザに求めるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)内に処置計画を提示することができる。ユーザが処置計画に手動で介入することを可能にすることができる。ユーザはこのGUIを使用して、処置の部分(例えば段階)を調整し、処置計画の段階を拒絶し、かつ/または処置計画の追加の段階を追加することができる。ユーザは、それに基づいて処置計画を選択した収集されたデータをチェックすることができる。ユーザは、収集されたデータを正しいデータとして許可し、間違ったデータとして印をつけ(さらに正しいデータを入力し)、かつ/またはデータを取り消すことができる。あるいは、ユーザが手動で処置計画を変更することができないようにすることもできる。
【0125】
本明細書で使用されるとき、用語クラシファイヤ(または統計的クラシファイヤ)は、広く、予測モデルおよび/または分類機械学習モデル、例えば統計的クラシファイヤ、回帰関数、ルックアップテーブル、決定樹学習、人工ニューラルネットワーク、ビッグデータ解析法、ベイズネットワーク(Bayesian network)などを意味する。
【0126】
任意選択で、クラシファイヤ(例えば対応するそれぞれの処理ユニット210および/もしくは206ならびに/または他の処理ユニットによって、データリポジトリ224および/もしくは238内ならびに/または実行された外部サーバ232上に、コード命令として記憶されたクラシファイヤ)によって、異なる処置計画を使用している多数の異なる患者からの訓練データを使用する機械学習アルゴリズムに基づいて、処置計画を計算する。多数の異なる患者からのデータを集約および解析することができ、それらのデータを使用して、その患者に対する処置計画を、他の処置計画を使用した別の患者の経験に基づいて(例えばK平均クラスタ化などのクラスタ化法を使用して)計算することができる。次いで、どのクラスタの特性がユーザの特性と最もよく相関するのかを判定することができ、提案される処置または使用される処置は、特定のクラスタ、その処置が特定の技術に関係するのかどうか、使用される物質、持続時間、周波数、電力または他の任意のパラメータに基づくことができる。
【0127】
これらの別の患者は、(例えば相関要件に基づいて)ユーザと相関する1つまたは複数の特性、例えば年齢、性別、地理学的位置、皮膚プロフィール(例えばセンサデータによって測定された皮膚プロフィール)および/または遺伝的プロフィールを有することができる。
【0128】
その代わりにまたはそれに加えて、クラシファイヤ(同じクラシファイヤまたは異なるクラシファイヤ)によって、同じ患者(すなわち処置計画を計算している対象患者)の以前の経験に基づく同じ患者からの訓練データを使用する機械学習アルゴリズムに基づいて、処置計画を計算する。このように、例えば処置選択の以前の誤りの反復を防ぐこと、および/または役に立った過去の処置を反復することにより、別の患者の経験を学習してその患者の処置を調整し、かつ/またはその患者の過去の経験を学習して処置を調整する。
【0129】
異なる患者の顔面皮膚セグメントおよび/もしくはその患者の以前に獲得した顔面皮膚セグメント、異なる患者のその時点における顔面皮膚プロフィールおよび/もしくはその患者の以前に獲得したその時点における顔面皮膚プロフィール、ならびに異なる患者および/もしくはその患者の履歴記録および/もしくは日程記録のうちの1つまたは複数の訓練セットを使用して、クラシファイヤを訓練することができる。
【0130】
ある時間範囲、例えば1日、1週間、1か月および1年にわたって収集された(例えば本明細書に記載された)データ)に基づいて、クラシファイヤを訓練することができる。例えばその時間範囲の(例えばそれぞれの処置セッションにおける)多数の期間にそれぞれの患者から収集されたデータ。
【0131】
その時間範囲にわたって収集されたデータを(例えばクラスタ化法または他の機械学習法を使用して)解析して、短期的および/または長期的傾向を識別することができる。例えば、ある処置の2年間の供与の結果、ある特性を有する患者(例えば50〜60歳の女性事務系労働者)について、統計学的に有意の改善が見られた。識別された長期的傾向に従って処置を推奨するように、クラシファイヤを訓練することができる。
【0132】
108で、この処置計画に従って皮膚処置アプリケータ202を動作させる命令を決定する。
【0133】
それらの命令は、どのアプリケータ要素216がどの処置をどのくらいの長さ供与するのか、例えば処置のアプリケータの順序、処置の同時アプリケータ、および/または処置の頻度(例えば1分供与、5分停止、再び2分供与を定義することができる。異なるアプリケータ要素216を、個別に、同時に、および/または処置の異なる段階で使用することができる。
【0134】
皮膚処置アプリケータを動作させる異なる命令と、顔面皮膚セグメント、その時点における顔面皮膚プロフィール、推定される太陽曝露因子(ならびに/または履歴記録および/もしくは日程記録)、ならびに/または顔面皮膚セグメント、その時点における顔面皮膚プロフィールおよび/もしくは推定される太陽曝露因子の集約を表す計算され結合されたメトリックもしくは値のうちの1つまたは複数との間のデータセットマッピングから、処置アプリケータを動作させる命令を自動的に選択することができる。
【0135】
これらの命令および/またはマッピングデータセットは、モバイルデバイス204のデータリポジトリ238内および/もしくは皮膚処置アプリケータ202のデータリポジトリ224上に局所的に記憶し、かつ/またはサーバ上に遠隔的に記憶することができる。これらの命令は、皮膚処置アプリケータ202の処理ユニット210が実行するための自動命令(例えばコードまたは他の機械可読フォーマット)を含むことができる。これらの命令は、ユーザに提示される手動指示を含むことができ、この手動指示は例えば、モバイルデバイス204のディスプレイ上に提示され、かつ/またはモバイルデバイス204のスピーカを使用してユーザに対して再生される。これらの命令は、例えばスクリプトとして、コンパイル済みのコードとして、パラメータに対応する一組の値として、および/または人間が読むことができるフォーマットで記憶することができる。
【0136】
任意選択で、これらの命令は、任意選択で選択された濃度もしくは投与量を有する選択されたもう一種の物質(例えばクリーム、流体、ローション)を投入もしくは交換する指示、または選択されたローションを含む1つもしくは複数のカプセルを皮膚処置アプリケータ202の美容物質容器218に挿入する指示を、(例えばモバイルデバイス204および/または皮膚処置アプリケータ202のディスプレイ上に表示して)患者に提示することを含む。美容物質の存在は、(例えばタグもしくは他の方法を使用して)皮膚処置アプリケータ202が自動的に検出することができ、かつ/または(例えば美容物質容器218内に美容物質が存在することを確認するGUIまたは他のボタンを使用して)ユーザが手動で入力することができる。
【0137】
任意選択で、皮膚処置アプリケータ202を動作させるこれらの命令は、それぞれの物質の量、必要な濃度、物質投与のタイプ(例えば、皮膚への直接投与、スプレーとしての投与、対応するそれぞれの塗布要素216などによって皮膚にすり込むクリームとしての投与)、および/または塗布する1種もしくは数種の物質の組合せ(例えば、どのローションもしくは他の物質を組み合わせるのか、組合せ中のそれぞれの物質の百分率、どのように組み合わせるのか、例えば第1の物質を塗布し次いで第2の物質を塗布するのか、塗布の前に第1の物質と第2の物質を混合するのかなど)を制御する命令を含む。それぞれの美容物質を命令に基づく量だけ混合するため、例えば第1の物質40%と第2の物質60%とを混合するために、皮膚処置アプリケータ202は混合要素を含むことができる。
【0138】
その時点において、選択された美容物質が美容物質容器218内に存在しないときには、例えばディスプレイ上に視覚的メッセージを提示することによって、および/またはマイクロホン(例えば皮膚処置アプリケータ202のユーザインタフェース220および/またはモバイルデバイス204のユーザインタフェース236)によって音声指示を再生することによって、選択された美容物質を美容物質容器218に挿入するよう、ユーザに促すことができる。
【0139】
その代わりにまたはそれに加えて、処置アプリケータを動作させる命令は、レーザおよび/またはアプリケータ要素216の光源実施態様によって照射される照射光伝送パターンまたはレーザ伝送パターンを適応させる命令を含む。照射される光またはレーザ伝送パターンの1つまたは複数のパラメータを適応させる。このパラメータは、周波数、タイミング、位相および/または振幅のうちの1つまたは複数のパラメータを含む。
【0140】
その代わりにまたはそれに加えて、これらの命令は、アプリケータ要素216のRF源実施態様によって照射される無線周波(RF)伝送パターンを適応させる命令を含む。周波数、タイミング、位相および/または振幅を含む、RF伝送パターンの1つまたは複数のパラメータを適応させる。
【0141】
その代わりにまたはそれに加えて、これらの命令は、アプリケータ要素216の超音波源実施態様によって加えられる超音波伝送パターンを適応させる命令を含む。周波数、タイミング、位相、振幅、清浄化強度および/または孔拡張強度を含む、超音波伝送パターンの1つまたは複数のパラメータを適応させる。
【0142】
処置供与を動作させる命令は、例えばRF、光もしくはレーザの照射または他のエネルギー照射を制御することによって皮膚を加熱する命令を含むことができる。この加熱は、血液循環を増大させ、かつ/または孔を拡張するように選択することができる。この加熱は、皮膚処置アプリケータによって塗布される選択された美容剤の吸収度を向上させるように選択することができる。
【0143】
これらの命令は、マッサージアプリケータ要素216、例えばボール、ローリングボール、回転部材、ブラシ、滑らかでない表面または他の要素によって、顔面セグメントに局所的なマッサージを与える命令を含むことができる。マッサージアプリケータ要素216(例えば運動方向、表面特徴)は、例えば皮膚伸展、局所的な圧力、パッティングおよびエレクトロポレーションを提供するように設計される。このマッサージは、例えば美容剤の塗布の前、美容剤の塗布の後および/または美容剤の塗布と同時にマッサージを与えることによって、細胞の再生を促すように選択することができる。
【0144】
110で、決定された命令に従って皮膚処置アプリケータ202に命令する。決定された命令は、モバイルデバイス204によって皮膚処置アプリケータ202に、近距離無線通信チャネル(例えばモバイルインタフェース226とアプリケータ通信インタフェース222との間に確立された近距離無線通信チャネル)を介して送ることができる。それらの命令は、プログラム記憶装置212に記憶することができ、皮膚処置アプリケータ202の処理ユニット210によって実行することができ、例えば、1つまたは複数のアプリケーション要素216を処置計画に従って起動させてエネルギーを照射しかつ/または美容物質を塗布することができる。
【0145】
皮膚処置アプリケータ202とモバイルデバイス204との間の通信チャネルが使用可能でないときには、最後の処置および/または以前に使用した命令を使用して、処置を供与することができることに留意されたい。通信が回復したときに、更新された命令をモバイルデバイス204からダウンロードし、実施することができる。
【0146】
任意選択で、これらの命令は、例えば休息をとること、液体を飲むこと、日陰に留まることをユーザに推奨する、皮膚処置アプリケータ202が実施しない補足的指示を含む。この補足的指示は、例えば、データの解析(例えばブロック104)が、供与された処置を考慮して時間の経過に伴う劣化を示しているときに、皮膚科医などの皮膚専門家または美容専門家を訪ねることを薦める推奨を含むことができる。収集および/または解析されたデータは、専門家による検討および/または分析のために遠隔サーバに送ることができる。
【0147】
この補足的指示は、ディスプレイ上に提示されたGUIおよび/またはマイクロホン(例えばユーザインタフェース220および/または236)を使用して再生される音声指示を使用して、ユーザに提示することができる。この補足的指示は、例えば顔を洗うようユーザに指示する、決定された処置計画内の手動段階とすることができる。ユーザはこのGUIを使用して、手動段階が完了したことを示すことができる。皮膚処置アプリケータ202は、手動段階の前および/または手動段階の後および/または手動段階と同時に、皮膚処置を自動的に供与することができる。
【0148】
処置計画を調整しかつ/または新たな処置計画を選択するため、112で、ブロック102〜110のうちの1つまたは複数のブロックを繰り返す。新たな命令および/または調整された命令を皮膚処置アプリケータ202に提供する。
【0149】
ブロック102〜110の繰返しは、例えば、(例えば処置計画の異なる部分を異なる顔面セグメントに送達するために)ユーザが自分の顔面を横切って異なる顔面セグメントに皮膚処置アプリケータ202を移動させているときに、処置を送達するために皮膚処置アプリケータ202を起動させるたびに(例えば日に一度、週に一度、月に一度)、および/または他の期間に、および/または他の事象に従って、実行することができる。
【0150】
1つまたは複数のブロック102〜110の繰返しは、患者の皮膚条件をモニタリングし、処置計画を調整し、かつ/または処置計画を供与するために、時間の経過に伴って、例えば日に一度、週に一度、月に一度、ユーザ選択に基づいて、および/または事象(例えば皮膚条件および/または環境特性の重大な変化)に基づいて反復されるループと考えることができる。
【0151】
任意選択で、いくつかのブロックを繰り返して、患者の皮膚のステータスをモニタリングする。必ずしも処置を供与する必要はない。例えば、ブロック102〜104を繰り返して、患者のその時点における顔面ステータスをモニタリングする。処置計画は、必要に応じて、例えば、患者のその時点における顔面ステータスが、1つまたは複数の以前のステータス測定値に比べて(例えば相関関数による評価により)統計学的に有意に変化したときに、決定および/または調整することができる(例えばブロック106〜110)。
【0152】
本発明のさまざまな実施形態の説明は、例示のために提示されたものであり、この説明が、網羅的であること、または開示された実施形態に限定されることは意図されていない。当業者には、記載された実施形態の範囲および趣旨を逸脱しない多くの変更および変形が明白であろう。本明細書で使用した用語は、実施形態の原理、実際の適用、もしくは市場で見られる技術からの技術的改良を最もよく説明するように、または、本明細書に開示された実施形態を当業者が理解することができるように選択した。
【0153】
本出願から生じた特許権の存続期間の間に、関連した多くの皮膚処置アプリケータ、センサ、アプリケーション要素およびモバイルデバイスが開発されることが予想され、皮膚処置アプリケータ、センサ、アプリケーション要素およびモバイルデバイスという用語の範囲は、このような新たな技術の全てを演繹的に含むことが意図されている。
【0154】
本明細書で使用されるとき、用語「約」は±10%を指す。
【0155】
用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」およびそれらの同根語は、「限定はされないが、〜を含む(including but not limited to)」を意味する。この用語は、用語「〜からなる(consisting of)」および「〜から本質的になる(consisting essentially of)」を包含する。
【0156】
この句「〜から本質的になる」は、その組成物または方法が、追加の原料成分および/またはステップを含んでもよいことを意味する。ただし、これは、その追加の原料成分および/またはステップが、記載された組成物または方法の基本的特性および新規の特性を大幅には変更しない場合に限られる。
【0157】
本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」および「the」は、そうではないことが文脈から明らかでない限り、複数形を含む。例えば、用語「1種の化合物」または「少なくとも1種の化合物」は複数の化合物を含んでもよく、これにはそれらの混合物が含まれる。
【0158】
本明細書では語「例示的な(exemplary)」が、「例、事例または実例の役目を果たす(serving as an example, instance or illustration)」ことを意味する。「例示的」として記載された実施形態はどれも、他の実施形態よりも好ましい実施形態もしくは有利な実施形態とは解釈されず、かつ/または他の実施形態の特徴の組込みを排除するとは限らない。
【0159】
本明細書では語「任意選択で(optionally)」が、「ある実施形態では提供されるが、別の実施形態では提供されない」ことを意味するために使用される。本発明の特定の任意の実施形態は、そのような特徴によって矛盾が生じない限り、「任意選択の」複数の特徴を含むことができる。
【0160】
本出願の全体を通じて、本発明のさまざまな実施形態が、範囲形式で提示されることがある。範囲形式での説明は単に便宜上および簡潔にするためであり、これを、本発明の範囲の柔軟性のない限定と解釈すべきではないことを理解すべきである。したがって、範囲の記述を、可能な全ての副範囲およびその範囲内の個々の数値を具体的に開示したものと考えるべきではない。例えば、1から6などの範囲の記述は、1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6などの副範囲、ならびにその範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5および6を具体的に開示したものと考えるべきである。このことは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0161】
本明細書に数値範囲が示されているとき、これは、示された範囲内の引用された任意の数値(分数または整数)を含むことを意味する。本明細書では、第1の指示数と第2の指示数と「の間の範囲にある(ranging/ranges between)」という句と、第1の指示数「から(from)」第2の指示数「まで(to)の範囲にある(ranging/ranges)」という句が、相互に交換可能に使用されており、これらの句は、第1の指示数および第2の指示数、ならびに第1の指示数と第2の指示数の間の全ての分数および整数を含むことを意味する。
【0162】
明確にするために別個の実施形態の文脈で記載された本発明のある特徴は、単一の実施形態の中で組み合わせて提供することもできることが理解される。反対に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で記載された本発明のさまざまな特徴は、別々に、または適当な任意の副組合せで、または本発明の記載された他の実施形態において適宜に提供することもできる。さまざまな実施形態の文脈で記載されたある種の特徴は、それらの要素なしにはその実施形態が機能しない場合を除き、それらの実施形態の必須の特徴であるとはみなされない。
【0163】
本発明の特定の実施形態に関して本発明を説明したが、当業者には多くの代替、変更および変形が明白であることが明らかである。したがって、本発明は、添付の請求項の趣旨および幅広い範囲に含まれる全ての代替、変更および変形を包含することが意図されている。
【0164】
本明細書に記載された全ての刊行物、特許および特許出願は、あたかもそれぞれの個々の刊行物、特許または特許出願が参照によって本明細書に組み込まれていると明確にかつ個別に示されているのと同じ程度に、それらの全体が、参照により本明細書に組み込まれて
いる。加えて、本出願において参照文献が引用または識別されていることをもって、そのような参照文献が本発明の先行技術として使用可能であることを認めていると解釈すべきではない。セクション見出しが使用されている範囲で、セクション見出しが限定を意図していると解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0165】
200 システム
202 皮膚処置アプリケータ
204 モバイルデバイス
206 処理ユニット
208 プログラム記憶装置
210 処理ユニット
212 プログラム記憶装置
214 センサ
216 アプリケータ要素
218 物質容器
220 ユーザインタフェース
222 アプリケータ通信インタフェース
224 データリポジトリ
226 モバイルインタフェース
228 ネットワークインタフェース
230 ネットワーク
232 サーバ
234 地理的位置要素
236 ユーザインタフェース
238 データリポジトリ
238A モニタリングコード
600 顔面
604 額
608 鼻
612 下顎
616 左頬
620 右頬
【国際調査報告】