(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-531588(P2018-531588A)
(43)【公表日】2018年11月1日
(54)【発明の名称】植物の成長のための照明システム
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20181005BHJP
A01G 9/00 20180101ALI20181005BHJP
【FI】
A01G7/00 601A
A01G9/00 B
A01G9/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-511652(P2018-511652)
(86)(22)【出願日】2016年6月13日
(85)【翻訳文提出日】2018年5月2日
(86)【国際出願番号】FI2016050418
(87)【国際公開番号】WO2017037332
(87)【国際公開日】20170309
(31)【優先権主張番号】20155637
(32)【優先日】2015年9月4日
(33)【優先権主張国】FI
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】512039215
【氏名又は名称】ネットレッド オイ
【氏名又は名称原語表記】Netled Oy
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】キヴィオヤ,ニコ−マッティ
【テーマコード(参考)】
2B022
2B327
【Fターム(参考)】
2B022DA01
2B022DA17
2B327TA04
2B327TC04
2B327UB03
2B327UB10
(57)【要約】
本発明は、植物の成長のための照明システムであって、複数の電気ランプ(1a)から成る、植物に関連させて配設された照明装置と、発光している間にランプによって生成される熱のためにランプの光生成部品を少なくとも冷却するための冷却装置とを含む、照明システムに関する。照明システムは、冷却装置と関連して利用されるように構成され、該冷却装置は、照明装置のランプ(1a)とは分離しており、植物に関連して設置され、照明システムは、熱伝導プラスチック、金属および/磁性材料から成る冷却構造(2)を含み、照明装置に属するランプ(1a)は、1以上の、機械的取付け枠(1a2)を含み、該機械的取付け枠(1a2)は、LEDなどの電気部品(1a1)に関して内蔵して結合され、冷却構造(2)を通してランプを伝導的に冷却するために、冷却構造(2)の外表面に対して外方にランプを取付ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の成長のための照明システムであって、照明機能をもたらす1以上の電気部品(1a1)を有する、複数の、好ましくは外部電源で動作可能な電気ランプ(1a)から成る、植物に関連させて配設された照明装置と、発光している間にランプによって生成される熱のために、ランプの光生成部品を少なくとも冷却するための冷却装置とを含む照明システムにおいて、
前記照明システムは、冷却装置と関連して利用されるように構成され、該冷却装置は、前記照明装置の前記ランプ(1a)とは分離しており、前記照明システムは、熱伝導プラスチック、金属および/または磁性材料から成る冷却構造(2)を含み、
前記照明装置に属するランプ(1a)は、1以上の、機械的取付け枠(1a2)を含み、該機械的取付け枠(1a2)は、LEDなどの電気部品(1a1)に関して内蔵して結合され、冷却構造(2)を通して前記ランプを伝導的に冷却するために、前記冷却構造(2)の外表面に対して外方に、好ましくは熱伝導接触面(A)上に、前記ランプを取付けることを特徴とする照明システム。
【請求項2】
前記照明システムのランプ(1a)は、特別に構成されてなる、または標準寸法の、バー、パイプおよび/または他の形状物とランプとを結合するための結合装置(3)であって、前記冷却構造(2)として作用し、植物と関連して設置される結合装置(3)を含み、
前記結合装置(3)の断面は、植物の成長空間(K)において本質的に連続して一定のままであり、その成長空間(K)において、前記ランプは、その断面において視た場合、その長手方向(s)および半径方向において、自由に選択された位置に設置可能であることを特徴とする、請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
冷却構造(2)を含み、該冷却構造(2)は、植物の成長空間(K)において静止して支持され、互いに平行なおよび/または重なり合った既存の部品に関して、1以上において植物に関連しており、
前記照明装置の前記ランプ(1a)は、1以上のランプを、前記冷却構造(2)と、その長手方向(s)において1つの同一の位置で、平行に、および/または互いに次々に結合することによって、機械的および/または磁気的結合装置(3)によって脱着可能に取付けられることを特徴とする、請求項1または2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記機械的結合装置(3)は、たとえば連結されたばね負荷および/または対応する方法で、前記ランプ(1a)の前記取付け枠(1a2)に一体的に設けられる取付け手段(3a)によって配設されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項5】
前記機械的結合装置(3)は、結合ばねなどの別個の取付け手段(3b)によって配設されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項6】
前記照明装置は、中空断面を有し、かつ媒体の、好ましくは水の循環装置を備える冷却構造(2)と関連して前記照明装置を利用することによって、少なくとも部分的に配設される媒体で冷却(V)されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項7】
前記冷却装置の循環媒体(V)の温度または流速を制御することによって、および/または対応する方法で、前記照明装置の前記ランプ(1a)の動作温度および/または前記植物成長空間(K)の温度を調整するための制御自動化装置(4)を含むことを特徴とする、請求項6に記載の照明システム。
【請求項8】
前記冷却装置の循環媒体(V)に伝達された熱の回収のための回収装置(5)を含むことを特徴とする、請求項6または7に記載の照明システム。
【請求項9】
前記照明装置の冷却は、中空断面を有し、かつフィンなどの放熱接触表面(B)を備える冷却構造と関連して前記照明装置を利用することによって、少なくともそのハイブリッド機能を可能にするように構成されてなることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項10】
植物は、前記成長空間の長手方向(Ks)に互いに層状に重なり合って前記成長空間内で一方向または反対方向に植物を移動させることによって、多層原理に基づいて成長されるように配設され、
前記冷却構造(2)は、循環水などの冷却媒体の配達配管を含み、該配達配管は、前記成長空間(K)の長手方向(Ks)に対して交差方向に配設されることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項11】
植物は、前記成長空間の長手方向(Ks)に互いに層状に重なり合って前記成長空間内で一方向または反対方向に植物を移動させることによって、多層原理に基づいて成長されるように配設され、
前記冷却構造(2)は、循環水などの冷却媒体の配達配管を含み、該配達配管は、前記成長空間(K)の長手方向(Ks)に配設されることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項12】
前記冷却装置は、冷却媒体の供給配管(I)および戻り配管(II)と、それに接合された前記成長空間(K)内の配達配管とを含み、
前記冷却装置は、互いに平行なおよび/または互いに重なり合う1以上の冷却構造(2)から成り、
前記冷却構造(2)は、同一の断面に、少なくとも2つの流路(2a”)を含み、
前記供給配管(I)からの冷却媒体の供給流は、前記少なくとも2つの流路の内の一つの流路に生じ、前記戻り配管(II)への冷却媒体の戻り流は、前記少なくとも2つの流路の内の別の流路に生じることを特徴とする、請求項6〜11のいずれか1項に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前提部分に従った、植物の成長のための照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
植物の成長のために、従来のLED照明製造は、たとえば照明用に使用されるLED部品が、たとえばアルミニウムフレームに接着またはねじ継手で固定されるかなり通常の手動製造方法を特に考慮する困難な実用上の課題に関係する。ねじ継手が使用されるとき、熱伝導ペーストまたはバンドがLED部品とアルミニウムフレームとの間に設置される。この種の中間層は、アルミニウムの表面が完全に均一でないために必要とされ、したがってねじ継手にかかわらず、熱伝達を減少させる部品間に空隙が残る。熱伝導層は、アルミニウムの表面の凹凸を平らにし、上述の部品間の固体熱伝導接続を確立する。
【0003】
この種の実施において、アルミニウムフレームは、LED用の冷却要素として働き、これによって、この文脈では、LEDがより冷たいほど、より明るく点灯され、可能な限り長い寿命を提供することが特徴である。フレーム材料としてのアルミニウムの利点はその熱伝達能力であるが、欠点はその熱膨張であり、特定の用途では電気伝導性である。しかしながら、特に植物の成長における水冷却の最も重要な理由は、室内機構温度の上昇の防止である。熱がランプから効率よく十分に除去されなければ、熱は空気に伝わり、栽培温度の上昇、品質の問題および生産の低下をもたらす。
【0004】
上述の目的のために、たとえばLemnis Orion社によって、LED光源と1つの同一のランプフレームに一体化されたその水冷却とを有する植物の成長のために特に開発されたLEDランプが販売されている。この種の解決手段は、ランプの過加熱なしでLED光源の高出力も提供する。
【0005】
この種の解決手段の課題は、別個の固定フレームがランプを固定するために成長空間に設置されなければならず、各ランプは別個の水冷却網にも接続される必要があることである。したがって、この種の解決手段は、設置コスト、取得コストおよび運用コストがかなり高い。また、この種のランプの保守および維持は、ランプ固有の水のカップリングのために特に要求される。一方、この種の解決手段は、特に、成長空間の温度を調整することによって植物の成長環境を最適化するために、成長空間における状況を制御することを可能にしない。この文脈において、植物の成長空間における水のカップリングが多いと、壊滅的な漏出の危険性が高くなる。
【発明の概要】
【0006】
本発明に従う植物の成長のための照明システムの目的は、上述の課題に対する決定的な改善を提供し、したがって本分野における先行技術のレベルを本質的に引き上げることである。この目的のために、本発明に従う植物の成長のための照明システムは、それに向けられた独立請求項の特徴部分に示されたものによって特徴づけられる。
【0007】
本発明に従う植物の成長のための照明システムの最も重要な利点の中には、その使いやすさおよび簡易性、ならびにそれと互換性のある技術の効率性があり、その結果、様々な異なる成長状況および環境において、冷却媒体の循環プロセスを利用することによって、有利な実施形態として、組立および維持を単純化し、成長空間の状況を最適化することができる。
【0008】
したがって、本発明のおかげで、ランプのための別個のぶら下げ装置の必要がなく、これは、本発明の有利な実施形態として、植物に関連して、互いに平行および/または重なり合った1以上の既存の部品を互いに関連して有する成長空間内に固定的に支持される冷却構造を利用することによって可能になる。照明システムのランプは、断面において視た場合、1以上のランプを、冷却構造の長手方向における同じ点に平行に配設し、さらに必要な数のランプを、冷却構造の長手方向において、選択された点に自由に配設することによって、脱着可能に冷却構造に取り付けられてもよい。本発明はまた、たとえば安価な商業用水冷却システムをLED照明と統合することを可能にする。
【0009】
本発明のおかげで、照明装置のLEDランプの構造をさらに単純化することができる。なぜなら、そのおかげで、ヒートシンク原理に基づき、またはリブ付きクーラ原理に基づき、あるいはそれに応じて、LEDランプに、ランプ固有の液体冷却循環などの別個の冷却構造を備える必要がないからである。本発明のおかげで、照明装置のランプは、その最も単純な形態において、内蔵の機械的取付け枠を含んでもよく、これによって、ランプは、内蔵の機械的および/または磁気的取付け構造によって、またはたとえば別個の取付けばねなどによって、冷却構造に脱着可能に取り付けられてもよい。本発明に従う冷却において、冷却構造に存在する適切に広く一様な熱伝導構造によって、取付け枠および冷却構造間の相互の熱伝導を最適化することもでき、これによって、断面視したときに、半径方向において、冷却構造にランプを自由に配設することができる。
【0010】
したがって、本発明は、照明と同時に性行空間の物理的状況の制御に関して、たとえば任意の所与の時間で成長する植物のための最適な温度および湿度を提供することによって、取得、設置および運転コストに関する現在の技術と比較して、著しくより費用効果の高い植物を成長させるための解決手段を可能にする。
【0011】
本発明に従う植物の成長のための照明システムの他の有利な実施形態は、それに向けられた従属請求項に示されている。
【0012】
以下の説明において、本発明は、添付の図面を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1a〜
図1cは、本発明に従う照明システムのいくつかの例示の代替実施原理を示す。
【
図2】媒体循環流に基づく冷却を提供する照明システムの一般的な動作原理を示す。
【
図3】
図3a〜
図3dは、植物の成長における異なる成長目的における、本発明に従う照明システムのいくつかの例示の使用を示す。
【
図4】特に多層栽培において使用される冷却装置に関する本発明に従う照明システムの利用における2つの代替案を示す。
【
図5】
図5a〜
図5cは、本発明に従う照明システムのさらにいくつかの有利な冷却解決手段を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、植物の成長のための照明システムに関し、該システムは、照明機能をもたらす1以上の電気部品を有する、複数の、好ましくは外部電源で動作可能な電気ランプ1aから成る、植物と関連させて配設された照明装置と、発光している間にランプによって生成される熱のために、ランプの光生成部品を少なくとも冷却するための冷却装置とを含む。照明システムは、冷却装置と関連して利用されるように構成され、該冷却装置は、照明装置のランプ1aとは分離しており、たとえば
図2に示される一般的な動作原理を参照して、たとえば
図3a〜
図3dに示される原理に基づき、植物に関連して設置され、照明システムは、熱伝導プラスチック、金属および/磁性材料から成る冷却構造2を含み、照明装置に属するランプ1aは、1以上の、機械的取付け枠1a2を含み、該機械的取付け枠1a2は、LEDなどの電気部品1a1に関連して内蔵して特に
図1a〜
図1dに示される原理に基づいて結合され、冷却構造2を通してランプを伝導的に冷却するために、冷却構造2の外表面に対して外方に、好ましくは熱伝導接触面A上に、ランプを取付ける。
【0015】
本発明は、成長空間の温度の制御を可能にし、それに加えて、たとえば水循環の温度が空気温度よりも低く保持されるように、本発明を利用することも可能であり、これによってランプの直接冷却に加えて、空気の熱エネルギが回収される。
【0016】
本発明に従う有利な実施形態として、特に
図1a〜
図1c、
図3a〜
図3cおよび
図5a〜
図5cに示される例示の代替案を参照して、ランプ1aは、特別に構成されてなる、または標準寸法の、バー、パイプ/または他の形状物とランプとを結合するための取付け装置3であって、冷却構造2として作用し、植物と関連して設置される取付け装置3を含み、取付け装置3の断面は、植物の成長空間Kにおいて本質的に連続して一定のままであり、その成長空間Kにおいて、ランプは、その断面において視た場合、その長手方向sおよび半径方向において、自由に選択された位置に設置可能である。この文脈において、必要に応じて、
図1aに従う冷却構造2および取付け枠1a2間の熱伝導を、上述の部品間にグリース、熱グリース/銀ペーストなどの適切な媒体Wを用いることによって向上させることができる。この文脈において、本質的に一定の断面を有する冷却構造2の中断のない連続は、その断面が連続する植物の中で一定のままであることを意味し、換言すれば、冷却構造が各植物に1つずつ導かれないことを意味する。
【0017】
したがって、特に
図1cおよび
図3cに示される有利な実施形態を参照して、本発明のおかげで、たとえば複数のランプを、断面視して半径方向に自由に選択された位置における冷却構造2の外表面上に配設して、必要に応じてランプを下方に、側方におよび/または上方に向けることができる。ランプを放熱面B上に、すなわち
図1b、
図1cおよび
図3bに従う冷却構造の冷却フィン上に配設することは不利である。なぜならその場合、取付け枠には冷却フィンに対応する形状が備えられなければならないからである。その場合、冷却構造および取付け枠間の相互の熱伝導は、容易に不十分なままである。
【0018】
本発明のさらに有利な実施形態として、照明システムは、冷却構造2を含み、該冷却構造2は、植物の成長空間Kにおいて静止して支持され、たとえば、多層栽培を示す
図3dにそれ自体を明示する原理に基づいて、互いに平行なおよび/または重なり合った1以上の既存の部品に関して、1以上において植物に関連しており、照明装置のランプ1aは、1以上のランプを、冷却構造2と、その長手方向sにおいて1つの同一の位置で、平行に結合する、および/または、必要に応じて、さらに適切な数のランプを相互に互いに連続的に結合することによって、機械的および/磁気的結合装置3によって脱着可能に取り付けられる。
【0019】
図3aには、植物間に配設された両面照明を使用する場合の本発明の利用が示され、
図3bおよび
図3cには、それぞれ、レタスおよび花または苗の照明に従来の天井照明を使用した場合が示されている。
【0020】
この文脈において、本発明に従う照明システムのさらに有利な実施形態として、機械的結合装置3は、たとえば
図1aにそれ自体を明示する原理に基づいて、たとえば連結されたばね負荷および/または対応する方法で、ランプ1aの取付け枠1a2に一体的に設けられる取付け手段3aによって配設される。一方、特に
図1cに示される実施形態を参照して、機械的結合装置3は、代替的に、1つまたは2つ(あるいは必要に応じてより多くの数の同時結合のために)のランプの取付けを可能にする結合ばねなどの別個の取付け手段3bを用いて実施されてもよい。この文脈において、さらに有利な実施形態として、磁性材料から成る冷却構造に関連して、磁気的取付け手段も利用することができる。上述のこのような実施形態において、ばね負荷および/磁気的取付け手段は、その押圧力によて冷却構造およびランプ間の熱接触を増加させる。
【0021】
この文脈において、本発明に従う照明システムのさらに有利な実施形態として、特に
図1a、
図1c、
図2、
図3a、
図3c、
図3d、
図4および
図5a〜
図5cを参照して、冷却装置は、中空断面を有する冷却構造2を用いることによって、少なくとも部分的に配設される媒体で冷却Vされ、最も有利には水で循環される。この場合、照明システムは、さらに有利な実施形態として、
図2に示される原理に基づき、冷却装置の循環する媒体Vの温度またはその流速を調整することによって、および/または対応する方法で、ランプ1aの動作温度および/または植物成長空間の温度を調整するための制御自動化装置4を含む。
【0022】
この文脈において、ポンプ駆動Pされた媒体循環プロセスにおいて冷却装置の媒体Vに伝達された熱を回収するために、照明システムに回収装置5を備えることがさらにできる。回収において、ランプの冷却媒体は、熱交換器を介して循環され、ここで媒体が典型的にある程度冷却される。熱ポンプは、収集された熱エネルギを高温に上昇させ、ここで加熱のために使用されるいくつかの他の循環している媒体を加熱することができ、またはたとえば熱を緩衝材に蓄えることができる。
【0023】
特に
図1cおよび
図3a〜
図3dには、照明システムのさらなる実施形態が示され、冷却装置は、中空断面を有し、かつ冷却フィンBを備える冷却構造2を利用することによって、少なくともハイブリッド機能を可能にするように構成されてなる。これは、冷却構造2によって、必要に応じて、いわば消極的に、すなわち自然対流を利用することによって、またはいわば積極的に、すなわち冷却構造の内部において、適切な冷却媒体循環を利用する場合に強制対流を利用することによって、ランプの冷却の実施を可能にする。また、ハイブリッド構造は、冷却構造のフィンBによって周辺空気を冷却することによって、成長空間からプロセス熱を収集することを可能にする。
【0024】
本発明に従う照明システムは、多層栽培に特に十分に適しており、ここで成長生産ラインは、たとえば
図3dに示されるように互いに重なり合っている。次いで、植物は、たとえば、生産ラインの第1端部におけるシュートに植えられ、植物は、生産ラインの第1端部から、たとえば圧力媒体または電動機器によって生産ラインの第2端部まで移動し、植物は、生産ラインの第1端部から第2端部まで移動しながら収穫期まで成長する。第2端部において、植物は収集され、販売のために切断/包装される。このシステムの変形も存在し、その場合、植物は第2端部まで移動し、高層または低層に自動的に移動し、それを「操作端」に戻す。特に、多層生産ラインは、プロセスのような完全に自動化された野菜の生産を可能にする。
【0025】
特に上述の多層栽培を参照して、
図4には、上から見た2つの代替の多層成長生産ラインが示され、左側のものは、冷却媒体、すなわち実際には最も有利な冷却水、の配達配管とともに利用され、該配達配管が成長空間Kの長手方向Ksに対して横方向にある、本発明に従う照明システムを示しており、
図4の右側のものは成長空間Kの長手方向Ksに配達配管を有している。
【0026】
上述のタイプの実施形態のさらに有利な実施形態として、冷却装置は、
図2にそれ自体を明示する原理に基づいて、たとえば冷却媒体の供給配管Iおよび戻り配管IIと、それらと接合される成長空間K内の配達配管とを含み、該配達配管は、その部分に対して、たとえば
図3dにそれ自体を明示する原理に基づいて、互いに平行なおよび/または重なっている1以上の中空冷却構造2から成る。
図5aおよび
図5cに示される有利な実施形態を参照して、冷却構造2は、さらに有利な実施形態として、同一断面に、少なくとも2つの流路2a”を含み、一方の流路は、供給配管Iからの供給流を生じ、他方の流路は、戻り配管IIへの戻り流を生じる。
【0027】
この文脈において、さらに有利な実施形態として、管状形状物を冷却構造2として利用することができ、該管状形状物は、上述の流路に加えて、または上述の流路に代えて、その内側で管状形状物の表面に凝縮された水を吸引するために1以上の部分の負圧空間、および/または1以上の部分の内部空間、たとえばランプの配線用または対応する目的のための表面溝などを含む。さらに有利な実施形態として、管状形状物の表面に、成長空間への取付けを可能にするために、および/またはミストノズルなどの植物への散水に意図された装置を取付けるために結合装置を設けることができる。連続的に一様な断面を有する上述のタイプの管状形状物は、たとえば押出しによって製造されてもよい。
【0028】
管状形状物の断面は、有利には円周状であり、これは、特に、たとえば、各冷却構造の端部におけるリバースチャンバの結合のために、それに取付けられるべきねじおよび圧力マウント結合を強化し、これによって、供給流を戻り流に変換される。円周状断面は、有利には、可能であれば適切な迅速接続結合を利用することによって、本発明に従う照明システムの冷却構造の組立を他の方法でより容易にもする。
【0029】
上述のタイプの冷却構造2は、成長空間2には、
図4に示されるように、一方側にサービス領域Hが備えられ、ここで冷却装置の配管とともに、成長空間の維持に関連する他の操作、制御および電気技術を配設することができる、という点で特に有利である。この種の実施は、冷却水が冷却構造2として機能する各配達パイプの端部から第2流路2a”を介して供給端部に戻ることによって、外側/端部を自由にする。
図4の右側の例において、冷却水は、成長空間Kの中央部に導かれる供給ライン2aによってもたらされる。
【0030】
特に、
図5bおよび
図5cに従う実施において、上部流路2a”は、低温である。自由対流がパイプの上面で最も強いので、この構成によって、パイプから外気に直接生じる熱伝達を最小にすることができる。特に、
図5cに従う実施形態において、ランプ枠およびパイプの最下部の流路は、空気への対流熱伝達を最小にし、媒体への熱伝達を最大にするように最適化される。
図5aに従う実施において、他方では、出発点は、望ましくない高温の変化や過度の凝縮が成長空間に生成されないおかげで、配達パイプがその全長にわたって非常に安定した温度にあるということである。
【0031】
本発明は、上述の実施形態に限定されないが、これに代えて、たとえば任意の時点での植物の照明状況および要求に応じて、様々な方法で基本概念の範囲内で修正可能である。LEDランプに加えて、またはそれらに代えて、当然に、たとえばレーザ、OLEDランプ、LECランプ、量子点、プラズマランプ、ハロゲンランプおよびインダクションランプなどの様々な異なる光生成技術を用いることができる。
【0032】
たとえば、プラズマランプは、太陽のような光の輝きをもたらすマイクロ波によって輝くアルゴンまたは硫黄コアに基づく。
【0033】
さらに、特に、白熱ランプ、インダクションランプおよびハロゲンランプは、同じ現象に基づき、これらのすべてが現在既に植物の照明に用いられている。
【0034】
LEC(発光キャパシタ)技術において、蛍光絶縁材料が電界中で輝き始め、この技術は、たとえばディスプレイの背面照明において使用されている。OLED、LEC、LEDおよび量子点技術は、すべて電界発光現象に基づいている。問題になる他の光源のうち、キセノン、HPS、MHおよび蛍光灯などの放電ランプをさらに挙げることができる。
【手続補正書】
【提出日】2018年5月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の成長のための照明システムであって、照明機能をもたらす1以上の電気部品(1a1)を有する、複数の、好ましくは外部電源で動作可能な電気ランプ(1a)から成る、植物に関連させて配設された照明装置と、発光している間にランプによって生成される熱のために、ランプの光生成部品を少なくとも冷却するための冷却装置とを含み、
前記照明システムは、冷却装置と関連して利用されるように構成され、該冷却装置は、前記照明装置の前記ランプ(1a)とは分離しており、前記照明システムは、熱伝導プラスチック、金属および/または磁性材料から成る冷却構造(2)を含み、
前記ランプ(1a)は、機械的取付け枠(1a2)を含み、該機械的取付け枠(1a2)は、1以上の、LEDなどの電気部品(1a1)に内蔵して結合され、冷却構造(2)を通して前記ランプを伝導的に冷却するために、前記冷却構造(2)の外表面(A)に対して外方に、前記ランプを取付ける、照明システムにおいて、
前記冷却装置は、成長空間(K)内の配達配管に接合された、冷却媒体の供給配管(I)および戻り配管(II)とを含み、前記配達配管は、互いに平行なおよび/または互いに重なり合う、前記冷却構造(2)の1以上の部品から成り、前記冷却構造(2)の部品は、同一の断面に、少なくとも、一方の流路における前記供給配管(I)からの冷却媒体の供給流ための、および別の流路における前記戻り配管(II)への冷却媒体の戻り流のための少なくとも2つの流路(2a”)を有するパイプ、および/または冷却フィンを有する放熱面(B)を含むことを特徴とする照明システム。
【請求項2】
前記照明システムの前記ランプ(1a)は、特別に構成されてなる、または標準寸法の、バー、パイプおよび/または他の形状物とランプとを結合するための結合装置(3)であって、前記冷却構造(2)として作用し、植物と関連して設置される結合装置(3)を含み、
前記結合装置(3)の断面は、植物の成長空間(K)において本質的に連続して一定のままであり、その成長空間(K)において、前記ランプは、その断面において視た場合、その長手方向(s)および半径方向において、自由に選択された位置に設置可能であることを特徴とする、請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
冷却構造(2)を含み、該冷却構造(2)は、植物の成長空間(K)において静止して支持され、互いに平行なおよび/または重なり合った既存の部品に関して、1以上において植物に関連しており、
前記照明装置の前記ランプ(1a)は、1以上のランプを、前記冷却構造(2)と、その長手方向(s)において1つの同一の位置で、平行に、および/または互いに次々に結合することによって、機械的および/または磁気的結合装置(3)によって脱着可能に取付けられることを特徴とする、請求項1または2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記機械的結合装置(3)は、たとえば連結されたばね負荷および/または対応する方法で、前記ランプ(1a)の前記取付け枠(1a2)に一体的に設けられる取付け手段(3a)によって配設されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項5】
前記機械的結合装置(3)は、結合ばねなどの別個の取付け手段(3b)によって配設されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項6】
前記照明装置は、少なくとも部分的に配設される媒体で循環によって冷却(V)されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項7】
前記冷却装置の循環媒体(V)の温度または流速を制御することによって、および/または対応する方法で、前記照明装置の前記ランプ(1a)の動作温度および/または前記植物成長空間(K)の温度を調整するための制御自動化装置(4)を含むことを特徴とする、請求項6に記載の照明システム。
【請求項8】
前記冷却装置の循環媒体(V)に伝達された熱の回収のための回収装置(5)を含むことを特徴とする、請求項6または7に記載の照明システム。
【請求項9】
前記照明装置の冷却は、中空断面を有し、かつ冷却フィンを有する前記放熱面(B)を備える冷却構造と関連して前記照明装置を利用することによって、少なくともそのハイブリッド機能を可能にするように構成されてなることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項10】
植物は、前記成長空間の長手方向(Ks)に互いに層状に重なり合って前記成長空間内で一方向または反対方向に植物を移動させることによって、多層原理に基づいて成長されるように配設され、
前記冷却媒体の前記配達配管は、前記成長空間(K)の長手方向(Ks)に対して交差方向に配設されることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項11】
植物は、前記成長空間の長手方向(Ks)に互いに層状に重なり合って前記成長空間内で一方向または反対方向に植物を移動させることによって、多層原理に基づいて成長されるように配設され、
前記冷却媒体の前記配達配管は、前記成長空間(K)の長手方向(Ks)に配設されることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか1項に記載の照明システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明は、植物の成長のための照明システムに関し、該システムは、照明機能をもたらす1以上の電気部品を有する、複数の、好ましくは外部電源で動作可能な電気ランプ1aから成る、植物と関連させて配設された照明装置と、発光している間にランプによって生成される熱のために、ランプの光生成部品を少なくとも冷却するための冷却装置とを含む。照明システムは、冷却装置と関連して利用されるように構成され、該冷却装置は、照明装置のランプ1aとは分離しており、たとえば
図2に示される一般的な動作原理を参照して、たとえば
図3a〜
図3dに示される原理に基づき、植物に関連して設置され、照明システムは、熱伝導プラスチック、金属および/磁性材料から成る冷却構造2を含み、照明装置に属するランプ1aは
、機械的取付け枠1a2を含み、該機械的取付け枠1a2は、
1以上の、LEDなどの電気部品1a1
に内蔵して特に
図1a〜
図1dに示される原理に基づいて結合され、冷却構造2を通してランプを伝導的に冷却するために、冷却構造2の外表面に対して外方に、好ましくは熱伝導接触面A上に、ランプを取付ける。
【国際調査報告】