特表2018-531873(P2018-531873A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-531873ガラス炉における熱化学再生及び熱回収
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-531873(P2018-531873A)
(43)【公表日】2018年11月1日
(54)【発明の名称】ガラス炉における熱化学再生及び熱回収
(51)【国際特許分類】
   C03B 5/237 20060101AFI20181005BHJP
   C03B 5/235 20060101ALI20181005BHJP
【FI】
   C03B5/237
   C03B5/235
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-520400(P2018-520400)
(86)(22)【出願日】2016年10月20日
(85)【翻訳文提出日】2018年6月6日
(86)【国際出願番号】US2016057808
(87)【国際公開番号】WO2017074772
(87)【国際公開日】20170504
(31)【優先権主張番号】62/248,013
(32)【優先日】2015年10月29日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】392032409
【氏名又は名称】プラクスエア・テクノロジー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 尚
【テーマコード(参考)】
4G014
【Fターム(参考)】
4G014AF00
4G014AF01
(57)【要約】
蓄熱器を通された後、ガラス溶解炉からの気体状燃焼生成物が、ガラス製造供給材料を加熱し、供給材料の有機材料を熱分解するために使用される。気体状熱分解生成物及び燃焼生成物は、改質燃料と組み合わされ、前サイクルで加熱された蓄熱器を通されて、炉に供給され燃焼される合成ガスを形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス溶解炉中の燃焼を実行する方法であって、
(A)ガラス溶解炉中で燃料を燃焼させて、気体状燃焼生成物を生成することと、
(B)
(1)(a)前記炉からの気体状燃焼生成物を冷却された第1の蓄熱器に入れ通過させて、前記第1の蓄熱器を加熱し、前記気体状燃焼生成物を冷却し、
(b)前記第1の蓄熱器からの前記冷却された気体状燃焼生成物の第1の部分を、有機物を含む固体状ガラス製造材料との熱交換に入れて、前記冷却された気体状燃焼生成物を更に冷却し、前記ガラス製造材料を加熱し、前記ガラス製造材料に含まれる有機物を熱分解して、熱分解生成物を形成し、
(c)前記更に冷却された気体状燃焼生成物、熱分解生成物、及び燃料を、加熱された第2の蓄熱器に入れ、前記第2の蓄熱器中で、前記気体状燃焼生成物、前記熱分解生成物、及び前記燃料を吸熱反応で反応させて、水素及び一酸化炭素を含む合成ガスを形成し、前記第2の蓄熱器からの前記合成ガスを前記炉に入れ、前記炉中で燃焼させ、
(d)前記加熱されたガラス製造材料を前記炉に供給することと、
(2)(a)前記炉からの気体状燃焼生成物を冷却された第2の蓄熱器に入れ通過させて、前記第2の蓄熱器を加熱し、前記気体状燃焼生成物を冷却し、
(b)前記第2の蓄熱器からの前記冷却された気体状燃焼生成物の第1の部分を、有機物を含む固体状ガラス製造材料との熱交換に入れて、前記冷却された気体状燃焼生成物を更に冷却し、前記ガラス製造材料を加熱し、前記ガラス製造材料に含まれる有機物を熱分解して、熱分解生成物を形成し、
(c)前記更に冷却された前記気体状燃焼生成物、前記熱分解生成物、及び前記燃料を、加熱された第1の蓄熱器に入れ、前記第1の蓄熱器中で、前記気体状燃焼生成物、及び前記燃料を吸熱反応で反応させて、水素及び一酸化炭素を含む合成ガスを形成し、前記第1の蓄熱器からの前記合成ガスを前記炉に入れ、前記炉中で燃焼させ、
(d)前記加熱されたガラス製造材料を前記炉に供給することと、を交互に行うことと、を含む方法。
【請求項2】
工程(B)(1)(b)、工程(B)(2)(b)、又は両方において、前記熱交換は直接式である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(B)(1)(b)、工程(B)(2)(b)、又は両方において、前記熱交換は間接式である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の蓄熱器からの前記冷却された気体状燃焼生成物の一部を、固体状ガラス製造材料の第2の流れとの熱交換に入れて、前記冷却された気体状燃焼生成物の一部を更に冷却し、前記ガラス製造材料の第2の流れを加熱し、前記加熱されたガラス製造材料の第2の流れを前記炉に供給することと、前記第2の蓄熱器からの前記冷却された気体状燃焼生成物の一部を、固体状ガラス製造材料の第2の流れとの熱交換に入れて、前記冷却された気体状燃焼生成物の一部を更に冷却し、前記ガラス製造材料の第2の流れを加熱し、前記加熱されたガラス製造材料の第2の流れを前記炉に供給することと、を交互に行うことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の蓄熱器からの前記熱交換で形成された前記更に冷却された気体状燃焼生成物、及び前記第2の蓄熱器からの前記熱交換で形成された前記更に冷却された気体状燃焼生成物は、熱分解生成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の蓄熱器からの前記冷却された気体状燃焼生成物、及び前記第2の蓄熱器からの前記冷却された気体状燃焼生成物は、間接熱交換において更に冷却され、前記間接熱交換は、前記冷却された気体状燃焼生成物中に、熱分解生成物を形成しない、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ガラス溶解炉中の燃焼を実行する方法であって、
(A)ガラス溶解炉中で燃料を燃焼させて、気体状燃焼生成物を生成することと、
(B)(1)(i)前記炉からの気体状燃焼生成物の第1の量を、冷却された第1の蓄熱器に入れ通過させて、前記第1の蓄熱器を加熱し、前記気体状燃焼生成物の第1の量を冷却し、
(ii)前記炉からの気体状燃焼生成物の第2の量を、冷却された第2の蓄熱器に入れ通過させて、前記第2の蓄熱器を加熱し、前記気体状燃焼生成物の第2の量を冷却し、
(iii)前記第1の蓄熱器から、前記第2の蓄熱器から、又は前記第1の蓄熱器及び前記第2の蓄熱器両方からの冷却された気体状燃焼生成物を、有機材料を含む固体状ガラス製造材料との熱交換に入れて、前記冷却された気体状燃焼生成物を更に冷却し、前記ガラス製造材料を加熱し、前記ガラス製造材料中の有機材料を熱分解して、熱分解生成物を形成し、前記加熱されたガラス製造材料を前記炉に供給し、
(iv)改質燃料、更に冷却された気体状燃焼生成物、熱分解生成物、及び前記第1の蓄熱器からの冷却された気体状燃焼生成物、前記第2の蓄熱器からの冷却された気体状燃焼生成物、又は前記第1の蓄熱器及び前記第2の蓄熱器両方からの冷却された気体状燃焼生成物を、加熱された第3の蓄熱器に入れ、
(v)前記気体状燃焼生成物、前記改質燃料、及び前記熱分解生成物を、前記第3の蓄熱器中で、吸熱反応で、水素と一酸化炭素とを含む合成ガスを形成するのに効果的な条件下で反応させ、それにより前記第3の蓄熱器を冷却し、
(vi)気体状酸化剤を、加熱された第4の蓄熱器に入れ通過させて、前記気体状酸化剤を加熱し、前記第4の蓄熱器を冷却し、
(vii)前記合成ガス、及び前記第3の蓄熱器からの任意の未反応の熱分解生成物を前記炉に入れ、前記第4の蓄熱器からの前記加熱された気体状酸化剤を前記炉に入れ、前記合成ガス、任意の未反応の熱分解生成物、及び前記加熱された気体状酸化剤を前記炉中で燃焼させ、
一方で、前記第1の蓄熱器及び前記第2の蓄熱器から出た前記燃焼生成物の温度差を、300F以下に維持することと、
(2)(i)前記炉からの気体状燃焼生成物の第1の量を、冷却された第3の蓄熱器に入れ通過させて、前記第3の蓄熱器を加熱し、前記気体状燃焼生成物の第1の量を冷却し、
(ii)前記炉からの気体状燃焼生成物の第2の量を、冷却された第4の蓄熱器に入れ通過させて、前記第4の蓄熱器を加熱し、前記気体状燃焼生成物の第2の量を冷却し、
(iii)前記第3の蓄熱器から、前記第4の蓄熱器から、又は前記第3の蓄熱器及び前記第4の蓄熱器両方からの冷却された気体状燃焼生成物を、有機材料を含む固体状ガラス製造材料との熱交換に入れて、前記冷却された気体状燃焼生成物を更に冷却し、前記ガラス製造材料を加熱し、前記ガラス製造材料中の有機材料を熱分解して、熱分解生成物を形成し、前記加熱されたガラス製造材料を前記炉に供給し、
(iv)改質燃料、更に冷却された気体状燃焼生成物、熱分解生成物、及び前記第3の蓄熱器からの冷却された気体状燃焼生成物、前記第4の蓄熱器からの冷却された気体状燃焼生成物、又は前記第3の蓄熱器及び前記第4の蓄熱器両方からの冷却された気体状燃焼生成物を、加熱された第1の蓄熱器に入れ、
(v)前記気体状燃焼生成物、前記改質燃料、及び前記熱分解生成物を、前記第1の蓄熱器中で、吸熱反応で、水素と一酸化炭素とを含む合成ガスを形成するのに効果的な条件下で反応させ、それにより前記第1の蓄熱器を冷却し、
(vi)気体状酸化剤を、加熱された第2の蓄熱器に入れ通過させて、前記気体状酸化剤を加熱し、前記第2の蓄熱器を冷却し、
(vii)前記合成ガス、及び前記第1の蓄熱器からの任意の未反応の熱分解生成物を前記炉に入れ、前記第2の蓄熱器からの前記加熱された気体状酸化剤を前記炉に入れ、前記合成ガス、任意の未反応の熱分解生成物、及び前記加熱された気体状酸化剤を前記炉中で燃焼させ、
一方で、前記第3の蓄熱器及び前記第4の蓄熱器から出た前記燃焼生成物の温度差を、300F以下に維持することと、を交互に行うことと、を含む方法。
【請求項8】
工程(B)(1)(iii)、工程(B)(2)(iii)、又は両方において、前記熱交換は直接式である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程(B)(1)(iii)、工程(B)(2)(iii)、又は両方において、前記熱交換は間接式である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の蓄熱器から、前記第2の蓄熱器から、又は前記第1の蓄熱器及び前記第2の蓄熱器の両方からの前記冷却された気体状燃焼生成物の一部を、固体状ガラス製造材料の第2の流れとの熱交換に入れて、前記冷却された気体状燃焼生成物の一部を更に冷却し、前記ガラス製造材料の第2の流れを加熱し、前記加熱されたガラス製造材料の第2の流れを前記炉に供給することと、前記第3の蓄熱器から、前記第4の蓄熱器から、又は前記第3の蓄熱器及び前記第4の蓄熱器の両方からの前記冷却された気体状燃焼生成物の一部を、固体状ガラス製造材料の第2の流れとの熱交換に入れて、前記冷却された気体状燃焼生成物の一部を更に冷却し、前記ガラス製造材料の第2の流れを加熱し、前記加熱されたガラス製造材料の第2の流れを前記炉に供給することと、を交互に行うことを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の蓄熱器から、前記第2の蓄熱器から、又は前記第1の蓄熱器及び前記第2の蓄熱器両方からの、熱交換で形成された前記更に冷却された気体状燃焼生成物は、熱分解生成物を含み、かつ、前記第3の蓄熱器、前記第4の蓄熱器、又は前記第3の蓄熱器及び前記第4の蓄熱器両方からの、前記熱交換で形成された前記更に冷却された気体状燃焼生成物は、熱分解生成物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の蓄熱器から、前記第2の蓄熱器から、又は前記第1の蓄熱器及び前記第2の蓄熱器の両方からの前記冷却された気体状燃焼生成物、並びに、前記第3の蓄熱器、前記第4の蓄熱器、又は前記第3の蓄熱器及び前記第4の蓄熱器の両方からの前記冷却された気体状燃焼生成物は、間接熱交換で更に冷却され、前記間接熱交換は、前記冷却された気体状燃焼生成物中に、熱分解生成物を形成しない、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス溶解炉などの炉であって、材料が、炉に供給され、炉内で生じる燃焼熱によって加熱及び/又は溶解される炉における燃焼に関する。
【背景技術】
【0002】
熱い煙道ガスからの多くの異なる排熱回収システムが、高温の炉のために開発されてきた。それらは、空気及び酸素などの燃焼のための酸化剤を予熱する蓄熱器及び熱交換器、蒸気を発生させる排熱ボイラ、炉への固体状供給材料のための予熱器、並びに燃料を加熱及び改質する熱化学的熱交換器及び蓄熱器を含む。燃料及び酸素により焚かれるガラス溶解炉では、米国特許第5,921,771号に記載されるような酸素加熱蓄熱器などの単一排熱回収システムは、熱い煙道ガス中の利用可能な排熱の一部しか回収することができない。2つ以上の異なる熱回収システムを、並列又は直列に組み合わせることによって、より多くの排熱が熱い煙道ガスから回収され得る。例えば、排熱ボイラを一次高温熱回収システムの下流に設置して、蒸気を発生させて、煙道ガスを冷却することができる。別の例は、酸素加熱蓄熱器と、熱化学的熱交換器又は熱化学的蓄熱器とを組み合わせることである。
【0003】
米国特許第6,113,874号は、蓄熱器を用いる炉に有用な熱化学的熱回収方法であって、炉中で形成された燃焼生成物の流れが第1の蓄熱器を通過して、第1の蓄熱器を加熱し、燃焼生成物を冷却し、その後、冷却された燃焼生成物の一部が燃料と組み合わされて、加熱された第2の蓄熱器を通過する混合物を形成する方法であって、この混合物が吸熱反応を受けて、その後に炉に入って燃焼される合成ガスを形成する方法を開示する。
【0004】
本発明は、バッチ又はカレット予熱システムを下流に組み合わせることによる、この熱回収方法の改良、特にガラス製造において有用なものを含む。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様は、ガラス溶解炉における燃焼を実行する方法であって、
(A)ガラス溶解炉中で燃料を燃焼させて、気体状燃焼生成物を生成することと、
(B)
(1)(a)炉からの気体状燃焼生成物を冷却された第1の蓄熱器に入れ通過させて、第1の蓄熱器を加熱し、気体状燃焼生成物を冷却し、
(b)第1の蓄熱器からの冷却された気体状燃焼生成物の少なくとも第1の部分(これにより100%までが意味される)を、有機物を含む固体状ガラス製造材料との熱交換に入れて、冷却された気体状燃焼生成物を更に冷却し、ガラス製造材料を加熱し、ガラス製造材料に含まれる有機物を熱分解して、熱分解生成物を形成し、
(c)更に冷却された気体状燃焼生成物、気体状熱分解生成物、及び燃料を、加熱された第2の蓄熱器に入れ、第2の蓄熱器中で、気体状燃焼生成物、気体状熱分解生成物、及び燃料を吸熱反応で反応させて、水素及び一酸化炭素を含む合成ガスを形成し、第2の蓄熱器からの合成ガスを炉に入れ、炉中で燃焼させ、
(d)加熱されたガラス製造材料を炉に供給することと、
(2)(a)炉からの気体状燃焼生成物を冷却された第2の蓄熱器に入れ通過させて、第2の蓄熱器を加熱し、気体状燃焼生成物を冷却し、
(b)第2の蓄熱器からの冷却された気体状燃焼生成物の第1の部分(これにより100%までが意味される)を、有機物を含む固体状ガラス製造材料との熱交換に入れて、冷却された気体状燃焼生成物を更に冷却し、ガラス製造材料を加熱し、ガラス製造材料に含まれる有機物を熱分解して、気体状熱分解生成物を形成し、
(c)更に冷却された気体状燃焼生成物、気体状熱分解生成物、及び燃料を、加熱された第1の蓄熱器に入れ、第1の蓄熱器中で、気体状燃焼生成物、及び燃料を吸熱反応で反応させて、水素及び一酸化炭素を含む合成ガスを形成し、第1の蓄熱器からの合成ガスを炉に入れ、炉中で燃焼させ、
(d)前記加熱されたガラス製造材料を炉に供給することと、を交互に行うことと、を含む。
【0006】
固体状ガラス製造材料との熱交換は、直接接触熱交換、間接熱交換、又は直接熱交換及び間接熱交換の組み合わせによって実行され得る。直接接触熱交換では、固体状ガラス製造材料は、気体状燃焼生成物との直接接触によって加熱され、固体状ガラス製造材料から形成された気体状熱分解生成物は、気体状燃焼生成物と混ざり合う。これは、ガラス製造材料のかけら及び粒子の流れと、気体状燃焼生成物とを、同時に、同一のチューブ又は他の通路に通流させることによって達成され得る。そこでは、気体が、かけら及び粒子間の空間を通流し、それらの表面に接触して、熱をガラス製造材料に伝える。間接接触熱交換では、固体状ガラス製造材料は、気体状燃焼生成物と直接には接触せず、固体状ガラス製造材料から形成された気体状熱分解生成物は、熱交換ユニット内の気体状燃焼生成物と混ざり合わない。気体の流れとガラス製造材料とは互いに接触せず、気体と固体状ガラス製造材料との間に熱が流れるのを許す障壁(隣接するチューブの間の金属壁など)によって物理的に隔てられている。
【0007】
本明細書で使用されるとき、「熱分解」とは、材料の分子構造若しくは分子量を変化させる、又は反応生成物を生成する化学反応(部分酸化など)を材料が受けるようにし又は受けるようにせずに、二酸化炭素及び水などの完全酸化された最終生成物まで、材料の100%が完全に酸化されることなく、熱的に材料を分解して、気体状、液体状、及び固体状の生成物を形成することを意味する。本明細書で使用されるとき、「気体状熱分解生成物」は、熱分解によって形成された生成物であって、気体状であり、気体相に運搬可能な液体状及び/又は固体状の微細粒子を含み得る。
【0008】
本発明の別の態様は、炉へ供給されるべき気体状酸化剤を予熱することを含む前述の方法を利用する。
【0009】
例えば、この態様は、ガラス溶解炉中の燃焼を実行する方法であって、
(A)ガラス溶解炉中で燃料を燃焼させて、気体状燃焼生成物を生成することと、
(B)(1)(i)炉からの気体状燃焼生成物の第1の量を、冷却された第1の蓄熱器に入れ通過させて、第1の蓄熱器を加熱し、気体状燃焼生成物の第1の量を冷却し、
(ii)炉からの気体状燃焼生成物の第2の量を、冷却された第2の蓄熱器に入れ通過させて、第2の蓄熱器を加熱し、気体状燃焼生成物の第2の量を冷却し、
(iii)第1の蓄熱器から、第2の蓄熱器から、又は第1の蓄熱器及び第2の蓄熱器両方からの冷却された気体状燃焼生成物を、有機材料を含む固体状ガラス製造材料との熱交換に入れて、冷却された気体状燃焼生成物を更に冷却し、ガラス製造材料を加熱し、ガラス製造材料中の有機材料を熱分解して、気体状熱分解生成物を形成し、加熱されたガラス製造材料を炉に供給し、
(iv)改質燃料、更に冷却された気体状燃焼生成物、気体状熱分解生成物、及び第1の蓄熱器からの冷却された気体状燃焼生成物、第2の蓄熱器からの冷却された気体状燃焼生成物、又は第1の蓄熱器及び第2の蓄熱器両方からの冷却された気体状燃焼生成物を、加熱された第3の蓄熱器に入れ、
(v)気体状燃焼生成物、改質燃料、及び気体状熱分解生成物を、第3の蓄熱器中で、吸熱反応で、水素と一酸化炭素とを含む合成ガスを形成するのに効果的な条件下で反応させ、それにより第3の蓄熱器を冷却し、
(vi)気体状酸化剤を、加熱された第4の蓄熱器に入れ通過させて、気体状酸化剤を加熱し、第4の蓄熱器を冷却し、
(vii)合成ガス、及び第3の蓄熱器からの任意の未反応の熱分解生成物を炉に入れ、第4の蓄熱器からの加熱された気体状酸化剤を炉に入れ、合成ガス、任意の未反応の熱分解生成物、及び加熱された気体状酸化剤を炉中で燃焼させ、
一方で、第1の蓄熱器及び第2の蓄熱器から出た燃焼生成物の温度差を、300F以下に維持することと、
(2)(i)炉からの気体状燃焼生成物の第1の量を、冷却された第3の蓄熱器に入れ通過させて、第3の蓄熱器を加熱し、気体状燃焼生成物の第1の量を冷却し、
(ii)炉からの気体状燃焼生成物の第2の量を、冷却された第4の蓄熱器に入れ通過させて、第4の蓄熱器を加熱し、気体状燃焼生成物の第2の量を冷却し、
(iii)第3の蓄熱器から、第4の蓄熱器から、又は第3の蓄熱器及び第4の蓄熱器両方からの冷却された気体状燃焼生成物を、有機材料を含む固体状ガラス製造材料との熱交換に入れて、冷却された気体状燃焼生成物を更に冷却し、ガラス製造材料を加熱し、ガラス製造材料中の有機材料を熱分解して、気体状熱分解生成物を形成し、加熱されたガラス製造材料を炉に供給し、
(iv)改質燃料、更に冷却された気体状燃焼生成物、気体状熱分解生成物、及び第3の蓄熱器からの冷却された気体状燃焼生成物、第4の蓄熱器からの冷却された気体状燃焼生成物、又は第3の蓄熱器及び第4の蓄熱器両方からの冷却された気体状燃焼生成物を、加熱された第1の蓄熱器に入れ、
(v)気体状燃焼生成物、改質燃料、及び熱分解生成物を、第1の蓄熱器中で、吸熱反応で、水素と一酸化炭素とを含む合成ガスを形成するのに効果的な条件下で反応させ、それにより第1の蓄熱器を冷却し、
(vi)気体状酸化剤を、加熱された第2の蓄熱器に入れ通過させて、気体状酸化剤を加熱し、第2の蓄熱器を冷却し、
(vii)合成ガス、及び第1の蓄熱器からの任意の未反応の熱分解生成物を炉に入れ、第2の蓄熱器からの加熱された気体状酸化剤を炉に入れ、合成ガス、任意の未反応の熱分解生成物、及び加熱された気体状酸化剤を炉中で燃焼させ、
一方で、第3の蓄熱器及び第4の蓄熱器から出た燃焼生成物の温度差を、300F以下に維持することと、を交互に行うことと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態のフロー図である。
図1a】本発明の実施形態のフロー図である。
図2図1及び図1aの実施形態の部分の断面図である。
図3図1及び図1aの実施形態の部分の断面図である。
図4】本発明の他の実施形態のフロー図である。
図4a】本発明の他の実施形態のフロー図である。
図5図4及び図4aの実施形態の部分の断面図である。
図6図4及び図4aの実施形態の部分の断面図である。
図7a】本発明の実施形態の概略図である。
図7b】本発明の実施形態の概略図である。
図7c】本発明の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、ガラス溶解炉、金属及び鉱石を加熱及び/又は溶解するための炉、焼却炉、セメントキルン、及びその他同様のものなどの炉であって、材料が、炉に供給され、炉内で生じる燃焼熱によって加熱及び/又は溶解される炉に有用である。燃焼が、任意の可燃性の気体状炭化水素、又は微粒化された液体状炭化水素(好ましくは、メタンなどのC1−C4化合物を含む)であり得る燃料、及び本明細書で記載されるように生成された合成ガスと、空気及び空気よりも酸素をより多く含む任意の気体状混合物を含む気体状酸化剤との間で生じる。
【0012】
本発明は、好ましい種類の炉、即ち、高温の煙道ガスの排気流から利用可能な熱を再捕獲する熱回収プロセスを用いるものについて特に詳細に本明細書で記載される。この熱回収プロセスは、2つのサイクルで進行し、これは、本明細書では、煙道サイクル及び改質サイクルと称される。これら2つのサイクルは、2つ以上のチェッカーで満たされた蓄熱器で交互に遂行される。この熱回収プロセスは、好ましくは、炉、及び「オキシ燃料」燃焼プロセスを用いる他の燃焼デバイスに関連して実行される。これにより、少なくとも50容積%酸素、好ましくは少なくとも80容積%酸素、より好ましくは少なくとも90容積%酸素、及び更には少なくとも99容積%酸素の酸素含有量を含む気体状酸化剤を伴う燃料の燃焼が意味される。オキシ燃料の燃焼によって生成される煙道ガスは、より高いHO及びCO濃度を有するので、これら両方が、本発明の方法に利用される吸熱性の改質反応を促進させる。煙道サイクルの間、第1の蓄熱器中のチェッカーは、炉からこの蓄熱器に供給され通過する高温の煙道ガスから熱を取り出し、蓄積する。その後、改質サイクルでは、第1の蓄熱器を出た冷却された煙道ガスから、一部(本明細書では再利用煙道ガス又はRFGと称される)が別の蓄熱器に供給され、燃料(本明細書では、改質燃料又はRFと称される)の流れと混ぜられる。以下の記載では、純粋メタン(CH)が、例示の目的のため、改質燃料として記載される。他の良好な改質燃料としては、有意な濃度の炭化水素、気体混合物、又は蒸発した液体状燃料を含む任意の可燃性気体が挙げられる。この液体状燃料は、天然ガス、プロパン、及びLPG(液化石油ガス)を含むがこれに限定されない。石炭を気化させることによって発生させた発生炉ガスなどのHとCOとを主に含む燃料は、改質燃料としては適さない。それゆえ、改質燃料は、少なくとも25容積%の、化学式CH及び/又はC(式中、Xは2−4、YはX〜(4X−2)である)1つ以上の気体状炭化水素を含むべきである。
【0013】
改質サイクルでは、RFG/改質燃料の混合物は、チェッカーが既に加熱されている第2の蓄熱器に入り、本明細書で記載されるように、それを通過し炉に向かい流れる。第2の蓄熱器を通過するRFG/RF混合物の温度は、既に予熱されたチェッカーから熱を取り出すことによって増加し続ける。RGF/RF混合物は、第2の蓄熱器を通過するとき、熱解離反応及び改質反応が生じ、生じ続ける温度に達して、HとCOとを含む生成物を生成する。これらの反応は吸熱性であり、これらの反応を促進させるのに必要な熱は、加熱されたチェッカーから吸収される。燃料の熱解離反応はクラッキング反応として知られ、H、C、C、及びすすなどの多くの燃料種を生成する。改質反応は、気体状の組成物を生成し、これは、典型的には、H、CO、並びにHO、CO、及びCHを含む未反応の気体などの1つ以上の成分を含む。このように生成された気体状組成物は、本明細書では、「合成ガス」とも呼ばれ得る。気体状生成物の混合物は、第2の蓄熱器から炉に現れ、可燃性の気体状成分が酸化剤と共に燃焼されて、炉中の材料を加熱及び/又は溶解するための熱エネルギを提供する。この燃焼は、気体状生成物と共に同様に存在する任意のすすの一部を燃焼させ得る。
【0014】
より完全に後述されるように、炉中の燃焼のための気体状酸化剤は、炉に供給される前に加熱される。酸化剤は、前もって加熱された蓄熱器にこれを入れ通過させることによって加熱される。同時に、炉中で形成された気体状燃焼生成物の一部は、炉から出て別の蓄熱器を通過して、その蓄熱器を加熱する。
【0015】
しばらく後、2つの蓄熱器の運転が逆転される。即ち、煙道サイクルで使用された蓄熱器が改質サイクルへと切り替えられ、改質サイクルで使用された蓄熱器が煙道サイクルへと切り替えられる。その逆転に先立って、改質燃料の流れが止められ、蓄熱器中に残る改質燃料及び合成ガスのいくらか又は全てが蓄熱器からパージされ、炉中で燃焼されるまで、RFGの流れが続けられる。このパージ工程は、すすがRFGと反応し、気化されるので、同じく、蓄熱器中のチェッカー表面に堆積したすすを除去するように作用する。この逆転時、出ていく煙道ガスによって加熱された蓄熱器は、入ってくる酸化剤を加熱し始めるように切り替えられ、入ってくる酸化剤を加熱するように使用されていた蓄熱器は、酸化剤の加熱に使用するためにそれを再加熱するため、炉を出ていく煙道ガスがそれを通過するように切り替えられる。更にしばらく後に、2つのペアの蓄熱器の運転は、再び逆転される。逆転のタイミングは、経過時間によって、又は煙道サイクル中の第1の蓄熱器から出ていく煙道ガスの温度などの他の基準によって決定され得る。逆転プロセスは、所定の機構及び計画によって実行され、そこでは特定のタイミングに基づき、バルブが連続して開放及び閉鎖される。
【0016】
本発明の一態様の運転及び制御は、図1図3と共に下で記載される。2つの蓄熱器をエンドウォール(3)に付けられたエンドポート燃焼ガラス炉(10)が、例として使用される。
【0017】
図1に示されるように、エンドポートガラス炉(10)は、供給ステーション(20)を有し、そこでは、固体状のガラス製造材料(バッチ及び/又はカレットとして知られる)を含む供給材料(30)は、炉に充填されて、加熱及び溶解される。加熱ステーション(20)及び任意選択的な加熱ステーション(20A)が、更に下で記載される。炉(10)からの溶融ガラスの流れは、(90)として表される。炉(10)は、炉の左側に第1の蓄熱器(100)を、炉の右側に第2の蓄熱器(200)を備える。2つの蓄熱器の縦断面図が、より詳細に図2及び図3に表示される。
【0018】
図2に見られるように、蓄熱器(200)は、煙道サイクル中にあり、そこでは、炉(10)の内側からの煙道ガスの流れ(50)が、ポートネック(240)に入り、その後、酸素分析器(250)を過ぎ、蓄熱器(200)の上部空間(530)へ流れる。煙道ガスの流れは、蓄熱器(200)内のチェッカー((520)として表される)間の通路を通流するとき、チェッカーを加熱し、アーチ(510)に支持される気体通路(515)を通り底部空間室(500)に入る。このアーチは、同じく、チェッカーの全体底の重さを支持する。図1に見られるように、炉(10)中で生成された煙道ガスの一部(52)は、部分的に開放されたバルブ(350)を通り導管(70)に迂回されることができ、その後、排出のため排気筒(340)に入る。これにより、これが炉に再び入ることがなく、しかし代わりに、大気に放出されること、並びに/又は1つ以上の他のステーションに、蓄積及び/若しくは更なる処置のため、若しくはかかる目的の任意の組み合わせのため、運搬されることが意味される。最大の熱回収のため、基本的に全ての炉の煙道ガスが、煙道ガスの流れ(50)として、蓄熱器(200)に行くように、バルブ(350)は閉鎖されていることが好ましい。
【0019】
図1及び図2に見られるように、冷却された煙道ガスの流れ(201)は、蓄熱器(200)を出て導管(260)に入り、開放バルブ(210)を通り、2つの流れ(204)及び(204A)に分かれる。
【0020】
ガラス製造材料(209)は、供給ステーション(20)に供給され、そこでガラス製造材料は加熱され、その後、炉(10)に供給され得る。ガラス製造材料(209)は、溶解されたとき溶融ガラスを形成する固体状の材料を含み、これはその後にガラス物品に形成され得る。ガラス製造材料は、カレットとして知られる材料を含み得る。これは、リサイクルされたガラス容器及び瓶などのガラス片を含む。流れ(209)中のガラス製造材料、特にカレットは、その中に又はその上に有機物質を含む。これにより、少なくとも炭素及び水素を、そして同じく任意選択的に酸素を、その分子構造中に有する任意の固体状、半固体状、又は液体状の物質が意味される。有機物質の例には、炭水化物、炭化水素、ポリマー、脂肪酸、ろう、脂肪、及び他のグリセリドが含まれ、紙、及び粘着性物質などの物質が含まれる。ガラス製造材料(209)は、同じく、溶解したときにガラスを形成し、又はガラスを形成する反応に加わる材料を含み得る。かかる材料は「バッチ」として知られ、例としては、ケイ砂、ソーダ灰、石灰石、ドロマイト、他のナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びカリウムの炭酸塩、硫酸塩、酸化物、及び水酸化物が挙げられる。バッチ材料は、もし存在すれば、同じく、有機物質をその中に含み得る。
【0021】
冷却された気体状燃焼生成物(煙道ガス)の流れ(201)は、2つの流れ(204)及び(204A)に分かれる。流れ(204)は、改質反応のための蓄熱器(100)中で反応物として使用される再利用煙道ガス(RFG)である。流れ(204)は、ステーション(20)に入り通過し、そこでステーション(20)中のガラス製造材料(209)を加熱し、それにより更に冷却される。更に冷却された煙道ガス(206)は、ガラス製造材料(209)からの気体状熱分解生成物を含んでおり、ステーション(20)を出てID(誘引通風(induced draft))ファン(300)及びバルブ(360)を通過し、位置(127)で流れ(130)からの改質燃料と混合し、流れ(128)として蓄熱器(100)の底部に供給する。蓄熱器(100)に供給されるべき改質燃料は、導管(130)によってバルブ(120)を通して供給される。適する改質燃料は、メタン(これが好ましい)及び他の任意の可燃性気体、気体混合物、又は蒸発した液体状燃料を含む。この液体状燃料は、天然ガス、プロパン、及び液化石油ガス(LPG、liquefied petroleum gas)を含むがこれらに限定されない。
【0022】
ステーション(20)から生成された加熱されたガラス製造材料(219)は、供給装置(21)を通り炉(10)に供給される。
【0023】
冷却された気体状燃焼生成物の流れ(204A)は、任意選択的なバッチ/カレット加熱ユニット(20A)に入れられ、ここで流れ(204A)は、ユニット(20A)へ別個に供給されるガラス製造材料(209A)を加熱する。この実施形態では、ガラス製造材料(209A)は、バッチ又はカレットであり得るが、実質的に有機物質を含まないものであるべきである。ステーション(20A)で加熱されたガラス製造材料(209A)は、炉(10)に供給される。更に冷却された煙道ガス(206A)は、ステーション(20A)を出てIDファン(300A)を通り、排気(340)に通され得る。加熱されたガラス製造材料(219A)は、供給装置(21)を通り炉(10)に供給される。
【0024】
ステーション(20A)は、代わりに、流れ(204A)に含まれる熱を有用に用いる他の任意の熱回収構成要素であり得ることが留意されるべきである。他の熱回収構成要素の例としては、供給水を蒸気に変換するボイラが挙げられる。
【0025】
流れ(204)とガラス製造材料との間、及び流れ(204A)とガラス製造材料との間の熱交換は、好ましくは、直接熱交換によるものであり、これが好ましいが、しかし、間接熱交換、又は直接及び間接熱交換の組み合わせであってもよい。
【0026】
ステーション(20)中で、気体の流れ(204)は、ガラス製造材料が含む有機物質を熱分解する。気体状熱分解生成物は、ステーション(20)を出る気体の流れ(206)に合流する。直接熱交換は、熱分解時に気体状熱分解生成物が気体の流れに即座に加わるので、この合流を容易にする。間接熱交換が用いられたときには、加熱されたガラス製造材料は、間接蓄熱器を出るとき、同伴する気体から既知の手法で分離されてよく、適する導管系によって、気体状熱分解生成物を含む回収された気体の流れは、流れ(206)に供給され得る。
【0027】
図1aは、ステーション(20)が間接熱交換を用いる配置を描く。気体状熱分解生成物(229)は、この配置では流れ(206)には加わらないが、再利用煙道ガス(RFG)の流れ(303)に混ざり、改質蓄熱器(100)に供給される。煙道ガスの流れ(301)は、気体状熱分解生成物(229)を含まず、排気筒(340)に排出される。
【0028】
熱分解は、存在する全ての有機物質を完全酸化された形態、即ち、二酸化炭素と水とに完全には変換しない。それゆえ、熱分解生成物は、改質及び燃焼などの反応に参加し得る化合物を含む。蓄熱器(100)及び(200)中の改質反応で反応しない任意の熱分解生成物が、炉(10)に入り、そこで完全に燃焼される。
【0029】
気体の流れ(204)は、ステーション(20)中でガラス製造材料に接触するとき、典型的には、800〜1200Fの温度である。ガラス製造材料のうちのいくらかの軟化及び粘着化は、1000F以下の温度で起こり得、これはステーション(20)中のガラス製造材料の円滑な流れを妨げ得る。粘着化の問題を避けるため、流れ(204)の最高気体温度は制御されるべきである。ステーション(20)に入ってくるガラス製造材料は、環境温度以上であり得る。有機物質を含むガラス製造材料は、気体の流れ(204)によって少なくとも300Fの温度まで、好ましくは少なくとも500Fまで加熱されるべきである。これは、気体の流れ(204)の温度、及び気体とガラス製造材料とが互いに接触する時間の長さを好適に調節することによって達成される。望まれる気体−固体接触を提供するための適する機器は、この技術分野において既知である。
【0030】
図3に見られるように、流れ(130)からの改質燃料(RF)は、蓄熱器(100)の底部空間(400)に同じく連通する導管(128)中の位置(127)で、RFG(303)と交差し、混ざり合う。このRFG/RF混合物は、アーチ(410)の気体通路(415)を通過し、蓄熱器(100)の既に予熱されたチェッカーパック(420)に入る。蓄熱器(100)は、前のサイクルにおいて、炉から蓄熱器(100)に入り通過する煙道ガスの通過によって、既に加熱されている。RFG/RF混合物の温度は、蓄熱器(100)のチェッカーパックを通流するとき上昇する。RFG/RFの温度が十分に高くなり、改質温度に達したとき、改質燃料(例えば、CH)がRFG中のCO及びHOと反応し、CO、H、及び、場合によっては、すすを形成する熱解離反応及び吸熱性の改質反応が生じる。吸熱性の改質反応に要求される熱は、加熱されたチェッカーから得られる。RFG/RF混合物は、上部空間(430)に向かって移動し続けるので、この改質反応は続く。気体の流れ(425)(本明細書では「改質された」又は「合成ガス」の気体の流れと称される)が、チェッカーパック(420)の上部から出る。流れ(425)は高い温度を有し、CO、H、すす、未反応のCH、及び未反応のCO、及びHOなどの種を含み得る。流れ(425)は、ポートネック(140)及び酸素センサ(150)を通り、炉(10)に入る。この流れは、チェッカーパック(420)を、例えば、1800〜2500Fの幅の温度で出る。
【0031】
合成ガスの燃焼のための酸化剤は、開放されたバルブ(115)を備える導管(135)によって供給される。この酸化剤は空気であり得、又は空気のものよりも高い酸素含有量、即ち、少なくとも21容積%、及び好ましくは80容積%以上、より好ましくは90容積%以上、又は更には少なくとも99容積%を有し得る。
【0032】
典型的には、この熱回収プロセスは、図1に見られるように、約20〜40分間、又は改質蓄熱器中のチェッカーが冷たくなり過ぎて、望まれる吸熱性化学反応を促進するのに十分な熱を提供できなくなるまで、煙道サイクル中の1つの蓄熱器、及び改質サイクル中の1つの蓄熱器を用いて進行する。その時点で、これから本明細書では記載が続いて、そこでは蓄熱器(200)は煙道サイクル中に、蓄熱器(100)は改質サイクル中にあったが、炉(10)は逆転を受け、蓄熱器(200)が熱回収のための改質サイクルに移行され、蓄熱器(100)が蓄熱のための煙道サイクルに移行される。逆転の前に、蓄熱器(100)中に残存する合成ガスは、炉(10)にパージされるべきである。この例では、蓄熱器に供給される改質燃料は、まずバルブ(120)を閉鎖することにより打ち切られるが、一方で、送風機(300)からのRFGの流れは続く。蓄熱器(100)中に残存する合成ガスは、蓄熱器中のほとんど全ての合成ガスが炉に放出され、完全に燃焼されるように、特定量の時間、(例えば、下で記載される手法で)RFGによってパージされる。
【0033】
逆転時、炉からの煙道ガスは蓄熱器(100)を通過し、そこで蓄熱器(100)は加熱され、煙道ガスは冷却され、その一部は(本明細書で定義されるように)排気に通される。煙道ガスの一部(又は残り)は、ステーション(20)又は同じくステーション(20A)に通され、そして煙道ガスの一部又は残りはステーション(20)及び(20A)を通過しない。排気に通されず、ステーション(20)を通過、又はこれらステーションを迂回する煙道ガスは、燃料と混合される。その混合物は、蓄熱器(200)を通過し、炉に入る。閉鎖されていたバルブ(110)が開放され、バルブ(210)が閉鎖され、バルブ(360)が閉鎖され、バルブ(380)が開放されて、加熱された煙道ガスが、蓄熱器(100)からステーション(20)及び送風機(300)に向かい通ることが可能になり、この煙道ガスの一部(204)である流れ(320)が、閉鎖されていたが今や開放されているバルブ(220)を通って入る改質燃料(230)と混合された後に蓄熱器(200)に入ることが可能になる。バルブ(115)を通過する酸化剤によって補助される燃焼がこの相で全く生じていないとき、開放されていたバルブ(115)が閉鎖され、バルブ(225)が開放される。改質燃料、再利用煙道ガス、及び気体状熱分解生成物を含む更に冷却された煙道ガスの結果混合物は、蓄熱器(200)中で、本明細書で記載されるように、前サイクルで、蓄熱器(100)中で生じた吸熱性の改質反応を受けて、合成ガスの流れ(425)を生成する。これは炉(10)に入り、そこでバルブ(225)を通り供給される酸化剤(235)と共に燃焼される。
【0034】
この熱回収プロセスの間、合成ガスの炎(40)と、バーナーの炎(62)及び(64)とが両方とも同時に存在するように、炉(10)は(60)及び(65)などの他のバーナーと共に同時に燃やされ得る。加えて、バーナー(60)及び(65)は、改質蓄熱器(即ち、(100)又は場合によっては(200))が上で記載されたパージシーケンスを受けている逆転プロセスの間に、燃やされていてもよく、燃やされていなくてもよい。最大の熱回収のためには、バーナー(60)及び(65)は、合成ガスの炎(40)と同時に燃やされないことが好ましい。バーナー(60)及び(65)は、パージシーケンスの間に、同じく、燃やされていないことが好ましい。
【0035】
本発明は、同じく、炉中の燃焼のための酸化剤が、蓄熱器中で予熱されるものであって、この蓄熱器が炉からの気体状燃焼生成物によって循環的に予熱される実施形態においても使用され得る。即ち、図4図4a、図5、及び図6を参照して、合成ガスの燃焼のための加熱された酸化剤は、導管(135)を通り炉(10)に供給される。酸化剤は空気であり得、又は空気のものよりも高い酸素含有量、即ち、少なくとも21容積%、及び好ましくは80容積%以上、より好ましくは90容積%以上、又は更には少なくとも99容積%を有し得る。酸化剤は、蓄積タンク又は空気分離ユニット(その例は既知で、市販されている)などの適する源から、導管(605)を通り供給され、加熱された蓄熱器(600)に入り通過する。蓄熱器(600)は、常用的な構造及び運転モードを有することができ、チェッカーパック(691)がアーチ(692)に支持され、これを通って気体通路(693)が存在するものであって、これにより、気体がチェッカーパック(691)と底部空間(694)との間に流れることが可能になる。この運転サイクルでは、気体状酸化剤は、ライン(606)から底部空間(694)へ流れ、チェッカーパック(691)に入り通過し、上部空間(695)へ、そしてライン(135)に入る。酸化剤は、蓄熱器(600)中で加熱され、蓄熱器(600)から導管(135)に入り、炉に入る。バルブ(115)が開放されて、ライン(606)への酸化剤の流れを可能にし、これを通って酸化剤は蓄熱器(600)に入る。蓄熱器(600)を通過しこれを出て導管(610)に入る煙道ガスの流れを制御するバルブ(620)は、このサイクルでは閉鎖される。導管(610)は、送風機(300)の入口(吸引側)に接続されている。本明細書で記載される他のサイクルでは、バルブの位置は逆転され、煙道ガスはライン(135)から蓄熱器(600)に入り通過し、逆の経路でライン(606)へ流れる。
【0036】
この運転サイクルでは、図4図4a、及び図5を参照して、気体状燃焼生成物(煙道ガス)のうちのいくらかは、炉(10)から出て導管(235)に入り、そこから蓄熱器(700)に入り通過する。蓄熱器(700)は、常用的な構造及び運転モードを有することができ、チェッカーパック(791)がアーチ(792)に支持され、これを通って気体通路(793)が存在するものであって、これにより、気体が上部空間(795)を通り、チェッカーパック(791)を通過し、底部空間(794)まで流れることが可能になる。ライン(235)からの燃焼生成物の流れは、蓄熱器(700)を加熱する。燃焼生成物が冷却され、導管(701)及び(710)を経由して蓄熱器(700)を出る。蓄熱器(700)を通過しこれを出て導管(701)及び(710)に入る煙道ガスの流れを制御するバルブ(720)は、このサイクルでは開放されている。蓄積タンク又は空気分離ユニットなどの適する源から、導管(705)から次のサイクルで加熱された蓄熱器(700)に入り通過する酸化剤の流れを制御するバルブ(225)が閉鎖されている。本明細書で記載される他のサイクルでは、バルブの位置は逆転され、煙道ガスは、ライン(710)から蓄熱器(700)に入り通過し、逆の経路でライン(235)を通過し炉(10)に入る。
【0037】
加えて、再び、図4図4a、及び図5を参照して、冷却された煙道ガスの流れ(710)は、蓄熱器(700)からの煙道ガスが、同じく、ガラス製造材料を予熱し、ステーション(20)に供給されるガラス製造材料(209)に存在する有機物質を熱分解するために使用され得るように、バルブ(720)を通過し、ライン(204)に加わり、ステーション(20)に入る。任意選択的な第2のステーション(20A)が同じく使用される場合には、ライン(204A)が、ライン(710)からステーション(20A)へ煙道ガスを運搬してもよい。
【0038】
この実施形態では、流れ(206)は、蓄熱器(200)から、蓄熱器(700)から、又は蓄熱器(200)及び(700)の両方から得られた更に冷却された煙道ガスを含む。流れ(206)は、同じく、上で記載されたようにガラス製造材料中の有機物質から形成された気体状熱分解生成物を含む。
【0039】
図4aは、ステーション(20)が間接熱交換を用いる配置を描く。気体状熱分解生成物(229)は、この配置では流れ(206)には加わらないが、再利用煙道ガス(RFG)の流れ(303)に混ざり、改質蓄熱器(100)に供給される。煙道ガスの流れ(301)は、気体状熱分解生成物(229)を含まず、排気筒(340)に排出される。
【0040】
酸化剤の蓄熱器(600)及び(700)からの煙道ガスと、有機物質を含むガラス製造材料との間の熱交換は、同じく、上で記載したように、気体状熱分解生成物を生成する。これは、交互に蓄熱器(100)及び(200)に入る気体の流れに含まれ(同じくRF及びRFGを含む)、そこで吸熱性の改質反応が生じて、炉(10)に入り、燃焼される合成ガスを生成する。改質反応で反応しなかった任意の未反応の熱分解生成物が、炉に入り、炉中で完全に燃焼される。
【0041】
酸化剤を加熱するための蓄熱器が十分に冷却され、酸化剤を加熱し得る他の蓄熱器が十分に加熱されたとき、このサイクルは逆転される。その時点で、煙道ガスは、炉(10)から蓄熱器(600)を通り、その後、バルブ(620)を通り、ステーション(20)及び任意選択的なステーション(20A)へ通される。
【0042】
典型的には、熱回収プロセスは、約20〜40分間、又は改質蓄熱器中のチェッカーが冷たくなり過ぎて、望まれる吸熱性化学反応を促進するのに十分な熱を提供できなくなるまで、図4に見られるように、煙道サイクル中の蓄熱器(100)及び(200)のうちの1つ、並びに改質サイクル中のこれら蓄熱器のうちの1つを用いて進行し、酸化剤加熱モード中の酸化剤の蓄熱器(600)及び(700)のうちの1つ、並びにそれを通る煙道ガスによって予熱されている蓄熱器を用いて進行する。その時点で、これから本明細書では記載が続いて、そこでは蓄熱器(200)は煙道サイクル中に、蓄熱器(100)は改質サイクル中にあり、気体状燃焼生成物が炉(10)を離れ、蓄熱器(700)を加熱している間に、酸化剤は蓄熱器(600)中で加熱され、炉に供給されていたが、炉(10)の運転は逆転を受け、その際、蓄熱器(200)が熱回収のための改質サイクルに移行され、蓄熱器(100)が蓄熱のための煙道サイクルに移行され、蓄熱器(600)は、蓄熱器(600)を再加熱するため煙道ガスを受容するように移行され、蓄熱器(700)は、それを通り炉に入る酸化剤を受容し加熱するように移行される。逆転の前に、蓄熱器(100)中に残存する合成ガス、及び蓄熱器(600)中に残存する酸化剤は、炉(10)にパージされるべきである。この例では、蓄熱器(100)に供給される改質燃料、及び蓄熱器(600)に供給される酸化剤は、まず、バルブ(120)及びバルブ(115)をそれぞれ閉鎖し、酸化剤のパージラインバルブ(365)を開放して、RFGを送風機(300)からライン(320)及び(305)を通り、バルブ(365)を通り、ライン(606)へ流すことによって打ち切られる。蓄熱器(100)中に残存する合成ガス、及び蓄熱器(600)中に残存する酸化剤は、蓄熱器(100)中のほとんど全ての合成ガス、及び蓄熱器(600)中の全ての酸化剤が、炉に放出され、完全に燃焼されるように、特定量の時間、RFGによってパージされる。
【0043】
逆転時、炉からの煙道ガスは、蓄熱器(100)を通過し、(本明細書で定義されるように)その一部が排気に通され、一部又はその残りが燃料と混合され、その混合物が蓄熱器(200)を通過し、炉に入る。閉鎖されていたバルブ(110)が開放され、バルブ(210)が閉鎖され、バルブ(360)が閉鎖され、閉鎖されていたバルブ(380)が開放されて、加熱された煙道ガスが、蓄熱器(100)から送風機(300)に向かい通ることが可能になる。そして、この煙道ガスの一部(303)が、閉鎖されていたが今や開放されているバルブ(220)を通って入る改質燃料(230)と混合された後に蓄熱器(200)に入ることが可能になる。バルブ(115)を通過する酸化剤によって補助される燃焼がこの相で全く生じていないとき、開放されていたバルブ(115)が閉鎖され、バルブ(225)が開放される。改質燃料、及び再利用煙道ガスの結果混合物は、蓄熱器(200)中で、本明細書で記載されるように、前サイクルで、蓄熱器(100)中で生じた吸熱性の改質反応を受けて、合成ガスを生成する。これはポートネック(240)に入り通過し、その後、炉(10)に入り、そこでバルブ(225)を通り供給された後に加熱された、導管(237)からの酸化剤と共に燃焼される。加えて、逆転時、煙道ガスは蓄熱器(600)を通り、蓄熱器(600)を通る酸化剤の流れは遮断される。一方で、炉から蓄熱器(700)を通過する煙道ガスの流れは遮断され、蓄熱器(700)を通り炉に入る酸化剤の流れが開始する。バルブ(115)及び(720)が閉鎖され、バルブ(620)及び(225)が開放される。
【0044】
逆転の前に、蓄熱器(200)中に残存する合成ガス、及び蓄熱器(700)中に残存する酸化剤は、炉(10)にパージされるべきである。この例では、蓄熱器(200)に供給される改質燃料、及び蓄熱器(700)に供給される酸化剤は、まず、バルブ(220)及びバルブ(225)をそれぞれ閉鎖し、酸化剤のパージラインバルブ(385)を開放して、RFGを送風機(300)から、ライン(301)から、ライン(307)を通り、ライン(710)及び(701)へ流すことによって打ち切られる。蓄熱器(200)中に残存する合成ガス、及び蓄熱器(700)中に残存する酸化剤は、蓄熱器(200)中のほとんど全ての合成ガス、及び蓄熱器(700)中の全ての酸化剤が、炉に放出され、完全に燃焼されるように、特定量の時間、RFGによってパージされる。
【0045】
こうして、1つのサイクルでは、改質燃料(130)及び気体状熱分解生成物を蓄熱器(100)に供給する再利用煙道ガス(721)は、蓄熱器(200)からの再利用煙道ガス、蓄熱器(700)からの再利用煙道ガス、又は蓄熱器(200)及び(700)両方からの再利用煙道ガスを含み得ることが分かり得る。他のサイクルでは、改質燃料(230)及び気体状熱分解生成物を蓄熱器(200)に供給する再利用煙道ガス(610)は、蓄熱器(100)からの再利用煙道ガス、蓄熱器(600)からの再利用煙道ガス、又は蓄熱器(100)及び(600)両方からの再利用煙道ガスを含み得る。
【0046】
気体の流れ(204)は、ステーション(20)中でガラス製造材料に接触するとき、典型的には、800〜1200Fの温度である。ガラス製造材料のうちのいくらかの軟化及び粘着化は、1000F以下の温度で起こり得、これはステーション(20)中のガラス製造材料の円滑な流れを妨げ得る。粘着化の問題を避けるため、流れ(204)の最高気体温度は制御されるべきである。ステーション(20)に入ってくるガラス製造材料は、環境温度以上であり得る。有機物質を含むガラス製造材料は、気体の流れ(204)によって少なくとも300Fの温度まで、好ましくは少なくとも500Fまで加熱されるべきである。これは、気体の流れ(204)の温度、及び気体とガラス製造材料とが互いに接触する時間の長さを好適に調節することによって達成される。望まれる気体−固体接触を提供するための適する機器は、この技術分野において既知である。
【0047】
本発明は、上で記載された装置及び過程を利用して、予期されない利点を獲得する。
【0048】
1つの利点は、有機物質の発熱量が炉中で利用され、これは方法全体の効率性を増加させることである。別の利点は、有機物質を含むカレット材料が単純に直接炉に供給された場合に存在し得る臭い及び排出信頼性のリスクを本方法が避けることである。更に別の利点は、TCRプロセス全体に要求される煙道ガス再利用機器の大きさ及びコストが、ステーション(20)を出る冷却された煙道ガスのより低い温度のために、実質的に減らされることである。通常のTCRプロセスでは、冷却された煙道ガスの温度は、約1200〜1400Fであり、この流れの一部は、再利用されて、改質気体混合物を生産する。再利用煙道ガスのループは、ファン、ダクト、及び多くのバルブを含み、それら全ては、高温の気体を扱うことができなければならず、高価なステンレススチールを要求する。比較すると、冷却された煙道ガスの温度は、予熱のための利用可能なカレットの量に応じて、200〜500Fの幅であることが予期される。こうして、再利用煙道ガスの実際の容積流量(及び、これゆえ、再利用煙道ガスループ中のファン、ダクト及びバルブの大きさ)は、実質的に減らされる。
【0049】
同じく、蓄熱器において酸素予熱を用いる実施形態(図4図6)では、かかるサイクルの各々で、気体状燃焼生成物が通る蓄熱器のペアが、2つのセットの条件のうちの片方又は両方を維持するように運転されるべきであることが予期されず発見された。条件のうちの1つのセットは、次のサイクルで吸熱反応に熱を提供するために使用され得る蓄熱器から流れる気体状燃焼生成物のモル流量と、次のサイクルで加熱され炉に入り得る酸化剤を予熱するために使用され得る蓄熱器から流れる気体状燃焼生成物のモル流量との間の比が、この比が、RFG/RFモル比が1:1であり、RFG/RF混合物のモル流量に対する煙道ガスのモル流量の比が2:1であるときに、70:30未満であるように維持されるべきであるというものである。好ましくは、この比は、65:45未満、そして少なくとも55:45である。この比のためのより好ましい幅は、(57〜65):(43〜35)である。
【0050】
米国特許第6,113,874号の先行する教示に反して、発明者は同じく、炉に供給されるべき酸化剤が、炉からの煙道ガスがそれを通り流れることによって加熱された別個の蓄熱器で加熱されるときには、改質蓄熱器を、RFG/RFモル比0.5未満、又は更にはRFG流なしで、即ちRFG/RFモル比が0で、運転することが有利であるということを発見した。RFGがRFと混合されないとき、改質反応は起こり得えない。しかし、燃料化合物のいくらかは、解離して、水素、C、C、すす、及び多くの他の種を形成し得る。これらクラッキング反応は、同じく吸熱性であり、蓄熱器から気体種への熱回収に貢献する。再利用煙道ガスが「改質燃料」と混合されないとき、蓄熱器を加熱し、こうして次のサイクルでの吸熱反応に熱を提供するために使用された蓄熱器から流れる気体状燃焼生成物のモル流量と、加熱され、次のサイクルで炉に入り得る酸化剤を予熱するために使用された蓄熱器から流れる気体状燃焼生成物のモル流量との間の比は、この比が65:35未満であるように維持されるべきである。好ましくは、この比は、60:40未満、そしてより好ましくは少なくとも50:50である。この比のためのより好ましい幅は、(55〜60):(45〜40)である。
【0051】
炉を出ていく燃焼生成物の全量が、燃焼生成物を蓄熱器に供給する2つのダクト中のものであることが特に有利である。それぞれのモル流量間の望まれる関係は、各蓄熱器の下流に位置する導管中の好適な測定デバイスによって、そして、各導管中の気体流量を調節するバルブの好適な設定によって、監視及び実施され得る。例えば、1つサイクルでは、これらモル流量は、導管(201)及び(710)中のものであり、他のサイクルでは、これらモル流量は、導管(128)及び(610)中のものである。
【0052】
酸化剤を予熱するため蓄熱器の循環的使用を含む本発明の実施形態では、維持するべき条件の別のセットは、交互サイクルの各々(即ち、図1を参照して、1つのサイクルでは蓄熱器(200)及び(700)、並びに他のサイクルでは蓄熱器(100)及び(600)で、燃焼生成物が流通する各ペアの蓄熱器を出ていく気体状燃焼生成物の流れの温度が、互いに300F以内又は未満、好ましくは200F以内、そしてより好ましくは互いに100F以内又は未満であるべきことを提供することである。言い換えれば、気体状燃焼生成物のこれら2つの流れの間の温度差は、300F以下、好ましくは200F以下、より好ましくは100以下であるべきである。図4を参照して、これは、1つのサイクルでは、流れ(201)と(710)との間の温度差、他のサイクルでは、流れ(128)と(610)との間の温度の差を言う。これら温度は、従来の市販されている機器を使用して、容易に測定及び比較され得る。それぞれの温度差を示された互いへの近似内に維持するための1つの有利な手法は、与えられたサイクルで、燃焼生成物によって加熱された炉から各蓄熱器に入り通る燃焼生成物の流れの各々のモル流量を調節することによる。
【0053】
典型的な温度は、ここでは、ガラス製造炉に関する本発明の運転について提供されている。
【0054】
蓄熱器(200)に入ってくる煙道ガスの流れ(240)は典型的には2500〜3000Fであり、蓄熱器(200)を出ていく流れ(201)は典型的には500〜1000Fである。蓄熱器(700)に入ってくる流れ(235)は、同じく典型的に2500〜3000Fであり、蓄熱器(700)を出ていく流れ(701)は、典型的には500〜1000Fである。蓄熱器(100)に入ってくる再利用煙道ガス及び改質燃料が混ざった流れ(128)は、典型的には300〜1000Fであり、改質された生成物の流れ(140)は、典型的には1800〜2400Fである。蓄熱器(600)に入ってくる酸化剤の流れ(606)は、典型的には0F又は周辺温度、100Fまでである。蓄熱器(600)を出ていく加熱された酸化剤の流れ(135)は、典型的には1800〜2400Fである。
【0055】
各蓄熱器内の温度は、各サイクルの間に上昇及び下降することが予期され、その温度は、蓄熱器内の異なる位置で異なり得る。典型的なガラス溶解炉に関する本発明の運転では、サイクル開始時の蓄熱器(200)内の温度は、蓄熱器の底部で、500〜900F、上部で1800〜2300F程度であり得、このサイクルの終わりまでに、底部で600〜1000F、上部で1900〜2400F程度の温度まで上昇することが予期され得る。同一のサイクルでは、サイクル開始時の蓄熱器(700)内の温度は、蓄熱器の底部で、500〜900F、上部で1800〜2300F程度であり得、このサイクルの終わりまでに、底部で600〜1000F、上部で1900〜2300F程度の温度まで上昇することが予期され得る。同一のサイクルでは、サイクル開始時の蓄熱器(100)内の温度は、蓄熱器の底部で、600〜1000F、上部で1900〜2400F程度であり得、このサイクルの終わりまでに、底部で500〜900F、上部で1800〜2300F程度の温度まで冷却されることが予期され得る。同一のサイクルでは、サイクル開始時の蓄熱器(600)内の温度は、蓄熱器の底部で、600〜1000F、上部で1900〜2400F程度であり得、このサイクルの終わりまでに、底部で500〜900F、上部で1800〜2300F程度の温度まで冷却されることが予期され得る。
【0056】
これら数字は、サイクルがおおよそ20分毎に逆転される場合に予期され得る。サイクルがより少ない頻度で逆転されるとき、各サイクルの開始時と終了時の温度差(この例では、100F)は、より大きくなり、サイクルが半分の頻度、即ち40分毎に逆転される場合には、これらの数字の2倍、即ち約200Fになるものと予期され得る。
【実施例】
【0057】
(実施例1)
天然ガス燃焼によって燃やされ、酸素(「オキシ燃料」)を用いる、2.6MWの電気ブーストを使用する、1日あたり350トン(tpd)のガラス溶解炉において、炉に充填されるカレットの量は、炉によって生成されるガラスの50%に対応する。天然ガス投入量は、38.1MMBtu HHV/hrであり、電気ブーストは8.4MMBtu/hrの純エネルギを炉に供給する。炉壁熱損失は、6.4MMBtu/hrであり、炉中で生成される溶融ガラスは、23.4MMBtu/hrのエンシブル(ensible)な化学エネルギを含む。熱収支のバランスは、2700Fで16.3MMBtu HHV/hrの煙道ガス熱損失であり、0.3MMBtu/hrの煙道ポート放射損失である。
【0058】
TCR、及び更なる熱回収のために下流直接接触カレット予熱器(20A)を備え、図1に示され、図7aに例示されるもの全てのような同一の炉において、2700Fの温度の熱い煙道ガスは、炉を出て蓄熱器(200)に入る。組み合わされたTCR−カレット予熱器システムを用い、燃料投入量は、24.7%減らされて、28.7MMBtu HHV/hrである。炉からの煙道ガスの流量は、約154,000SCFHであり、蓄熱器(200)を出ていく煙道ガス温度は、約1000Fであると計算される。煙道ガス温度が高すぎて、下流のカレット予熱ステーション(20)に直接導入できない場合には、煙道ガス温度を調節するために、水注入又は煙道ガス再利用が任意選択的に使用され得る。
【0059】
蓄熱器(200)からの煙道ガスは、2つの流れ(204)及び(204A)に分かれる。流れ(204)は、カレット予熱器ステーション(20)に導入され、これは、同じく、食物残渣及び紙などの有機不純物を含む使用済みカレット(外部カレット)が充填される。この実施例では、カレットの約70%は使用済みカレットであり、カレットの約30%は、内部に発生されたクリーンカレットである。RFG/NG質量比が1のとき、約28,000SCFHの煙道ガスがステーション(20)に導入され、有機熱分解生成物を含むステーション(20)を出ていく冷却された煙道ガスが、再利用され、改質燃料と混合され、熱回収、合成ガス形成、及びチェッカーパック中での気体状熱分解生成物の破壊のため、蓄熱器(100)に導入される。流れ(204)(126,000SCFH)は、クリーンカレット予熱器又はバッチ予熱器、又は排熱ボイラなどの任意選択的な熱回収ステーションに導入されることができ、適切な煙道ガス浄化システムを通過した後、大気に排出される。
【0060】
(実施例2)
実施例1に記載されたものと同一の炉は、図4図6に記載され、図7bに例示されたようにTCR、酸素予熱蓄熱器、及びカレット予熱器セクション(20)を備える。2700Fの温度の熱い煙道ガスは、炉を出て蓄熱器(200)及び(700)に入る。組み合わされた熱回収システムを用い、燃料投入量は、28.9%減らされて、27.1MMBtu HHV/hrである。炉からの煙道ガスの流量は、約147,000SCFHであり、デュアルO−TCR後の煙道ガス温度は、約765Fであると計算される。蓄熱器(200)及び(700)からの煙道ガスは、流れ(204)及び(204A)に分かれる。流れ(204)は改質反応物として使用され、食物残渣及び紙などの有機不純物を含む使用済みカレットで充填される直接接触カレット予熱器(20)に導入される。この実施例では、カレットの約70%は使用済みカレットであり、カレットの約30%は、内部に発生されたクリーンカレットである。RFG/NG流量比が1のとき、約27,000SCFHの煙道ガスは、予熱器(20)に導入され、有機熱分解生成物を含む予熱器(20)後に冷却された煙道ガスが再利用され、改質燃料と混合され、熱回収、合成ガス形成、及びチェッカーパック中での気体状熱分解生成物の破壊のため、TCR蓄熱器(100)に導入される。流れ(204A)(120,000SCFH)は、クリーンカレット予熱器又はバッチ予熱器、又は排熱ボイラなどの任意選択的な熱回収ユニット(20A)に導入され、適切な煙道ガス浄化システムを通過した後、大気に排出される。
【0061】
流れ(204)のための流量の好ましい範囲は、部分的には、TCRの運転のため、NG流量に対するRFGの好ましい比から決定され、これは0.5〜3の間である。水を蒸発させ、カレット中の有機物質を熱分解するために、流れ(204)の好ましい最低流量が存在する。有機物質を含むカレットは、炉中で溶解する間にガラス酸化還元に影響を与えるので、有機物質の熱分解を最大化すること、そしてカレット中の有機含有物のバリエーションを最小化することが好ましい。カレット及びバッチ中の有機物質を熱分解することにより、ガラス生成物の酸化還元は、より安定し、これは炉の運転に都合がよい。
【0062】
(実施例3)
実施例1に記載されたものと同一の炉は、TCRと、図1aに記載され、図7cに例示されたような間接カレット予熱器セクション(20)とを備える。2700Fの温度の熱い煙道ガスは、炉を出て蓄熱器(200)に入る。組み合わされたTCR−間接カレット予熱器システムを用い、燃料投入量は、約27.5MMBtu HHV/hrまで減らされる。炉からの煙道ガスの流量は、約147,000SCFHであり、蓄熱器(200)を出ていく煙道ガス温度は、約1000Fであると計算される。煙道ガス温度が高すぎて、下流のカレット予熱ステーション(20)に直接導入できない場合には、煙道ガス温度を調節するために、水注入又は煙道ガス再利用が任意選択的に使用され得る。
【0063】
蓄熱器(200)からの煙道ガスは、内部並びに食物残渣及び紙などの有機不純物を含む使用済み(外部カレット)カレットの両方で充填される間接カレット予熱器ステーション(20)に導入される。煙道ガスの全ては、ステーション20に導入され、有機熱分解生成物は再利用煙道ガス(RFG)と混合され、熱回収、合成ガス形成、及びチェッカーパック中の気体状熱分解生成物の破壊のため、改質燃料を備える蓄熱器(100)に導入される。
図1
図1a
図2
図3
図4
図4a
図5
図6
図7a
図7b
図7c
【国際調査報告】