(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-531990(P2018-531990A)
(43)【公表日】2018年11月1日
(54)【発明の名称】変色性組成物に用いられる化合物
(51)【国際特許分類】
C07C 69/28 20060101AFI20181005BHJP
C09K 9/02 20060101ALI20181005BHJP
C09D 11/17 20140101ALI20181005BHJP
【FI】
C07C69/28
C09K9/02 C
C09D11/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2018-530960(P2018-530960)
(86)(22)【出願日】2016年9月5日
(85)【翻訳文提出日】2018年5月2日
(86)【国際出願番号】EP2016070834
(87)【国際公開番号】WO2017037282
(87)【国際公開日】20170309
(31)【優先権主張番号】1515610.2
(32)【優先日】2015年9月3日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】518072690
【氏名又は名称】サーモグラフィック メジャーメンツ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100212509
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 知子
(72)【発明者】
【氏名】シヴクマール バガヴァント
(72)【発明者】
【氏名】マレック フィリップ
【テーマコード(参考)】
4H006
4J039
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB92
4H006BJ50
4H006KC12
4J039BE01
4J039BE22
4J039BE28
4J039DA05
4J039EA32
4J039GA27
4J039GA28
(57)【要約】
変色性組成物中の電子供与性及び電子受容性成分のための新規な反応媒体が記載される。
該化合物は式(I)(式中、R
1及びR
2は、炭素原子を6から22個有する直鎖又は分岐アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基及びアルキレンアリール基から選択され;X
1及びX
2は−OC(O)−、−CO
2−及びOから選択され;R
3、R
4及びR
5は水素及び直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基及びアルキレンアリール基から選択され;R
6は、水素、R
3,−X
1R
1及びアリール及びハロゲンから選択され;Y
1、Y
2、Y
3及びY
4は、水素、R
3、−OR
3及びハロゲンから選択され;aは0から4;bは0又は1;x及びyは独立して0又は1、ただし、x及びyが0の場合、aは0、bは1、及びR
6は−CO
2R
1;及びaが0、bが1及びR
5又はR
6がフェニルの場合、R
6及びR
5はそれぞれ水素又はC
1-7アルキルではない。)該化合物はインキ組成物、該化合物を含む筆記用具及び温度に対して感度の高い変色が求められ得る医療及び産業用途として有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】
(式(I)中、
R
1及びR
2は独立して、置換されていてもよい、5から22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基及びアルキレンアリール基から選択され;
X
1及びX
2は独立して、−OC(O)−、−CO
2−及びOより選択されるが、R
1X
1及びR
2X
2は−O−アルケニルでなく;
R
3、R
4及びR
5は独立して、水素及び置換されていてもよい直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基及びアルコキシ基から選択され;
R
6は、水素、ハロゲン、R
3及び−X
1R
1から選択されるが、R
1はアリール、アルケニル又はアルキレンアリール基ではなく;
Y
1、Y
2、Y
3及びY
4は独立して、水素、ハロゲン、R
3、−OR
3から選択されるが、−OR
3は−O−アルケニルではなく;
aは1から4;bは0又は1;x及びyは独立して0又は1である。)
【請求項2】
R1及びR2が独立してC5-22アルキル及びフェニルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1及びR2が独立してC9からC17アルキル及びフェニルから選択される、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R3、R4及びR5が独立して水素及びC1-10アルキルより選択される、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
R6が水素、C1-10アルキル−O−C(O)R1及び−CO2R1から選択される、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
Y1、Y2、Y3及びY4が独立して水素及びC1-4アルキルより選択される、請求項1から5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
aが1である、請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
化合物(I)が式(II)で表され、
【化2】
式(II)中、R
3、R
4、R
5及びR
6は独立して、水素及び置換されていてもよい、5から22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基、アルケニル基及びアルコキシ基から選択され、Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、R
1、R
2、X
1及びX
2は請求項1から3及び6のいずれか1項に規定される、請求項1から7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
R3、R4、R5及びR6が独立して水素及びC1-4アルキル基から選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
R3、R4、R5及びR6が全てメチルである、請求項8又は9に記載の化合物。
【請求項11】
−CR3R4−及び−CR5R6−部分が互いにメタ又はパラの関係にある、請求項8から10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
−CR3R4−及びR1X1−部分並びに−CR5R6及びR2X2−部分がそれぞれ互いにパラの関係にある、請求項8から11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
Y1、Y2、Y3及びY4が全て水素であり、R1及びR2が独立してC9からC15アルキルより選択され、X1及びX2が−OCO−である、請求項8から12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の化合物の変色性組成物中での使用。
【請求項15】
変色性組成物が熱変色性組成物である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
A)電子供与性有機発色化合物、B)電子受容性化合物、及びC)請求項1から13のいずれか1項に規定される化合物、を含む変色性組成物。
【請求項17】
成分A)が、3−(4−ジエチルアミノ−2−ヘキシルオキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、6’−(ジエチルアミノ)−2’−(フェニルアミノ)−3H−スピロ[2−ベンゾフラン−1,9’−キサンテン]−3−オン、2’−クロロ−6’−ジエチルアミノフルオラン及び2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオランから成る群より選択される、請求項16に記載の変色性組成物。
【請求項18】
成分B)が、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4′−シクロヘキシリデンビスフェノール、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン及びその混合物から成る群より選択される、請求項16又は17に記載の変色性組成物。
【請求項19】
ヒステリシス範囲が10℃から80℃である、請求項16から18のいずれか1項に記載の変色性組成物。
【請求項20】
完全発色温度T4が周辺温度より高く、完全消色温度T1が20℃より低い、請求項16から19のいずれか1項に記載の変色性組成物。
【請求項21】
非イオン性界面活性剤を含む、請求項16から20のいずれ1項に記載の変色性組成物。
【請求項22】
非イオン性界面活性剤がアルコールアルコキシレート、アミンアルコキシレート及びそれらのエンドキャップ誘導体から選択される、請求項21に記載の変色性組成物。
【請求項23】
ミクロカプセル化された請求項16から22のいずれか1項に記載の組成物を含む、変色性ミクロカプセル化顔料。
【請求項24】
成分C)は、該組成物又は顔料が、0℃のT2温度、及び50℃超のT3温度を有するような成分である、請求項16から22のいずれか1項に記載の変色性組成物又は請求項23に記載の変色性ミクロカプセル化顔料。
【請求項25】
請求項23又は24に記載の変色性ミクロカプセル化顔料を含む、筆記用具用インキ組成物。
【請求項26】
請求項16から24のいずれか1項に記載の組成物又は変色性ミクロカプセル化顔料の、おもちゃ、印刷物、装飾、筆記用具、医療製品の包装又は産業用途の温度インジケーターにおける、使用。
【請求項27】
筆記用具及び請求項25に記載のインキ組成物を含む、筆記用具。
【請求項28】
インキ組成物を受け入れることに適応した筆記用具、及び筆記用具に充填するための請求項25に記載のインキ組成物を含む、請求項27に記載の筆記用具。
【請求項29】
発色状態にある請求項16から25のいずれか1項に記載の変色性組成物、顔料又はインキの第1部分、及び消色状態にある同じ変色性組成物の第2部分を含む、インジケーター。
【請求項30】
色変化温度T1、T2、T3及びT4を有する請求項16から25のいずれか1項に記載の変色性組成物、顔料又はインキの第1部分を支持体に提供するステップ、変色性組成物、顔料又はインキの第1部分をT4を超える温度に加熱するステップ、変色性組成物、顔料又はインキ組成物の第2部分をT1を下回る温度に冷却するステップ、該第2部分を支持体に適用するステップ、及び変色性組成物、顔料又はインキ組成物をT3を超えずT2を下回らない温度で乾燥させるステップを含む、請求項29に記載のインジケーターを製造する方法。
【請求項31】
該組成物又は顔料が透明状態で圧力下にある時、変色に対して安定性を増加させるため、発色状態と透明状態を有する変色性組成物又は変色性ミクロカプセル化顔料における、非イオン性界面活性剤の使用。
【請求項32】
非イオン性界面活性剤が、アルコールアルコキシレート、アミンアルコキシレート及びそのエンドキャップ誘導体から選択される、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
請求項16から25のいずれか1項に記載の組成物又は変色性ミクロカプセル化顔料における、請求項31又は32に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、変色性組成物、好ましくは、熱変色性組成物、例えば、変色性組成物を含む顔料のようなミクロカプセル化色彩材料、及び該組成物又はミクロカプセル化顔料を含む物品において使用するための化合物に関連する。
変色性組成物は広く知られており、消色状態と発色状態の色の間、又は第1及び第2の発色状態の間で変化する。変色性組成物は、エネルギーの適用、例えば温度の変化又は圧力変化を受けて変色し得る。温度変化により変色する変色性組成物は、熱変色性組成物として広く知られている。変色性組成物はまた、色彩記憶組成物として参照される場合がある。
本明細書においては、便宜上、消色の状態と発色状態の間の変化を参照するが、これはまた第1発色状態と第2発色状態の間の変化を包含するものである。変色性組成物は、典型的には、電子供与性呈色有機化合物又はロイコ染料、電子受容性化合物又は顕色剤、及び電子供与性化合物及び電子受容性化合物の間の可逆的な電子交換のため反応媒体として作用する化合物又は変色温度調整剤を含む。組成物の成分は、典型的には微粒子化又はミクロカプセルに閉じ込められており、インク組成物を生成するために製剤化される場合がある。該組成物は、温度依存変色が求められる又は望ましい、例えば、おもちゃ、印刷物、装飾、筆記用具、ワクチンのような医療製品の包装の温度インジケーター、及び硬化又は接着工程、パイプ、表面温度の測定、例えば機械やプラント等の過熱の表示のような広範な産業用途における任意の適用に用いることができる。
【0002】
熱変色性組成物は、十分な大きさの温度変化にさらされると、可逆的に変色、又は発色及び消色状態の間で変化する。典型的には、温度上昇は、インクが消色状態を保持するよう導く一方、冷却は再度色が現れるよう導くであろう。温度上昇により熱変色性組成物は、「最大色彩保持温度」又は添付
図1のT
3として知られる完全な発色状態を保持するための最大温度に温度が達するまで発色を保持するであろう。該組成物は、その後の温度上昇により「完全消色温度」又はT
4として知られる完全な消色状態を達成する最低温度において完全な消色状態に達するまで、徐々に消色するであろう。T
3とT
4の間の平均温度は、T
Gとして知られている。
熱変色性組成物は、消色状態から冷却されると、該組成物は「最小消色状態保持温度」又はT
2として知られる当該温度を下回ると再度発色する温度に達するまでは消色を保持するが、温度が下がるに従い、「完全発色温度」又はT
1として知られる温度で完全に再発色する。T
1とT
2の間の平均温度はT
Hとして参照される。熱変色性組成物は、T
HとT
Gの温度差であるΔHとして知られるヒステリシス幅を有する。
組成物の加温又は冷却に従い、熱変色性組成物の発色又は消色状態は、消色又は発色にそれぞれ必要な熱源又は冷却源の除去後も、保持される場合がある。組成物が特定の温度に低温又は高温から近づくか否かによって、組成物は特定の温度で発色又は消色する場合がある。
熱変色性組成物が消色状態において特定の温度以上に加熱されると、該組成物を冷却しても温度T
1に至るまで発色状態が再度現れない場合がある。これは「ロック温度」として参照され得る。これは、組成物がロック温度下にあったか否かを判断する手段を提供し、特に健康又は安全への配慮が重要である医療用途又はその他の適用において有益である。ヒステリシス幅、ロック温度及び再発色する最低温度は、組成物の成分に依存する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
US7494537 B2は、熱変色性を形成するための電子供与性呈色有機化合物(A)、電子受容性呈色有機化合物(B)を、及び下記式I、II又はIIIの反応媒体(C)を含む、熱変色性発色色彩記憶組成物を記載している。
【化1】
【0004】
該組成物の成分は、用途に依って、所望の色彩記憶効果、ヒステリシス幅及びT
4温度を達成するように選択してよい。
良好な熱及び化学安定性並びに大きなヒステリシス幅を提供する変色性組成物、及びとりわけ熱変色性組成物に対するニーズが引き続き存在する。我々は、特定の構造を有する新規化合物が、幅広い電子受容性及び電子供与性成分と適合性があり、組成物の発色及び消色特性の調整を可能とし、所望のヒステリシス特性を提供するよう適合させることができる安定性、及び変色性組成物を製剤化するにあたっての柔軟性を含む、変色性組成物中における使用に適した優れた特性の組合せを提供することをここに発見した。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
第一の態様において、本発明は、下記式(I)の化合物を提供する。
【化2】
式(I)中、R
1及びR
2は独立して、置換されていてもよい直鎖又は分岐アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基及びアルケニルアリール基から選択され、好ましく5から22個又は6から22個の炭素原子を有し、好ましくはC
5-22アルキル又はC
1-12アルキレン又はアリール、特にC
9からC
17アルキル、例えば、C
6アルキル、C
10アルキル、C
12アルキル、C
14アルキル、C
16アルキル、C
1-4アルキレン及びフェニルであり;
X
1及びX
2は独立して−OC(O)−、−CO
2−及びOから選択され、好ましくは、R
1X
1及びR
2X
2は−O−アルケニルではなく;
R
3、R
4及びR
5は独立して水素及び置換されていてもよい直鎖又は分岐ヒドロカルビル基から選択され、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基及びアルコキシ基;特に水素、C
1-10アルキル、更に好ましくは水素及びC
1-4アルキル、例えばメチルであり;
R
6は、水素、ハロゲン、R
3、−X
1R
1、フェニルから選択され、好ましくは、R
6が−X
1R
1の場合、R
1はアリール、アルケニル又はアルキレンアリール基ではなく;R
6は好ましくは水素、C
1-10アルキル及び−CO
2R
1、より好ましくは水素、C
1-4アルキル及び−CO
2R
1から選択され;
Y
1、Y
2、Y
3及びY
4は、−OR
3が−O−アルケニルでない限り、独立して、水素、R
3、−OR
3及びハロゲンから選択され:更に好ましくは、水素及びC
1-4アルキル、例えばメチルであり;
aは0から4、好ましくは1であり、bは0又は1、x及びyは独立して0又は1であるが、x及びyが0の場合、aは0、bは1及びR
6は−CO
2R
1である。
【0006】
本明細書で用いられる場合、「置換されていてもよい」という用語は、基又は部分が1以上の置換基によって置換されてよいが、好ましくは置換されていないことを意味する。置換基が存在する場合、それは、ヘテロ原子を含む基から選択される場合があるが、好ましくは水素と炭素原子のみを含むヒドロカルビル基である。置換基の例としては、ニトロ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ニトリル、ヒドロキシル、チオール、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、C
1-22−アルコキシ、C
1-22−アルキル、C
1-22−アルケニル、C
1-14アリール又はC
1-6アルカリル、アミノ、アミノC
1-22−アルキル及びアミノジ(C
1-22−アルキル)が挙げられる。
アルキル基の例としては、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、n-デシル、n-ドデシル、シクロヘキシル、オクチル、イソ-オクチル、ヘキサデシル、オクタデシル、イソ-オクタデシル及びドコシルが挙げられる。アルケニル基の例としては、エテニル、2-プロペニル、シクロヘキセニル、オクテニル、イソ-オクテニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル、イソ-オクタデセニル及びドコセニルが挙げられる。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert-ブトキシ及びn-ブトキシが挙げられる。
【0007】
アリールという用語は、芳香族的な特性を有する5又は6員環、8−10員二環又は10−14員三環基を指し、水素及び炭素原子のみを有する基、及びまた、水素、炭素及び、例えばN、O又はSのような1以上のヘテロ原子を有するヘテロ芳香族基を含む。適切なアリール基の例としては、フェニル、ピリジニル及びフラニルが挙げられる。本明細書において「アルキルアリール」という用語が用いられる場合、そのすぐ手前の炭素原子の範囲は、アルキル置換基のみを指し、アリール炭素原子を含まない。アルカリール基の例としては、ベンジル、フェニルエチル及びピリジルメチルが挙げられる。有利には、アリール基はフェニル基である。
好ましい実施形態において、任意の置換基は、例えば塩素のようなハロゲン、C
1-6ハロアルキルのようなハロアルキル、及びメトキシのようなC
1-4アルコキシから選択される。
化合物(I)のフェニル部分は置換されていなくてもよく(Y
1、Y
2、Y
3及びY
4が水素である)、又は水素以外のY
1、Y
2、Y
3及びY
4の1以上の基で置換されていてもよい。x又はyが0の場合、各フェニル部分は適切に非置換である。
化合物(I)の各アリール環は、好ましくはフェニル環であり、2以上のY
1、Y
2、Y
3及びY
4置換基をそれぞれ有する場合がある。1以上のアリール環が2以上の置換基を有する場合、置換基はヒドロキシル及びC
1-4アルキルから適切に選択され、好ましくはメチルである。
【0008】
ある好ましい実施形態では、化合物(I)は、a、b、x及びyが1である、式(II)を有する。
【化3】
式中、Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、X
1及びX
2は上記規定のとおりである。
【0009】
化合物(II)の好ましい実施形態において、R
3、R
4、R
5及びR
6は独立して水素及び置換されていてもよい、炭素原子を5から22個有する直鎖又は分岐アルキル基、アルケニル基及びアルコキシ基から選択され、より好ましくは、独立して水素、C
1-10アルキルから選択され、特にC
1-4アルキル及び水素である。特に好ましい実施形態において、R
3、R
4、R
5及びR
6は独立して水素及びメチルから選択され、望ましくは全てメチルである。−CR
3R
4−及び−CR
5R
6−部分は、互いにオルト、メタ、又はパラの関係にあってよく、好ましくはパラ又はメタである。適切には、−CR
3R
4−及び−R
1X
1−部分、並びに−CR
5R
6−及び−R
2X
2−部分は、それぞれ互いにオルト、メタ、又はパラの関係にあってよく、好ましくはパラである。
【0010】
好ましくは化合物(II)は以下の式で表される化合物(III)を有する。
化合物(III)は、
【化4】
式中、Y
1、Y
2、Y
3及びY
4は全て水素であり、R
1CO
2−及び−O
2CR
2は両方ともパラ位にあり、2つの−C(CH
3)
2−部分は、下記式(IV)及び(V)に示されるようにパラ又はメタの関係にある。好ましくはR
1及びR
2は独立してC
9からC
15アルキルより選択され、例えばC
10アルキルである。
化合物(IV):
【化5】
化合物(V):
【化6】
【0011】
好ましくは、式(IV)の化合物は、下記に示される式(IVa)、(IVb)及び(IVc)の化合物から選択される。
【化7】
上記のとおり規定される式(I)から(V)の化合物及び特に式(IVa)、(IVb)及び(IVc)の化合物はとりわけ変色性、好ましくは熱変色性、組成物の成分として有用である。本発明は、上記のとおり規定される式(I)から(V)のいずれか1の化合物及び特に式(IVa)、(IVb)及び(IVc)の化合物の変色性組成物、好ましくは熱変色性組成物における使用を提供する。
【0012】
本発明は、第二の態様において、A)電子供与性有機呈色化合物、B)電子受容性化合物、及びC)上記のとおり規定される式(I)の化合物を含む、変色性、好ましくは熱変色性の組成物を提供する。
第2の発明の好ましい実施形態において、化合物(I)は適切には、上記のとおり規定される式(II)から(V)の化合物から選択され、特に、上記のとおり規定される式(IVa)、(IVb)及び(IVc)の化合物である。
該発明による組成物及び顔料は、広いヒステリシス及び調整可能なヒステリシスを提供する。変色性組成物の組成を変えることにより、ヒステリシス幅は変化し得るし、完全消色温度T
4も変化し得て、変色性ミクロカプセル化顔料を設計するにあたり優れた柔軟性を与える。
任意の適切な既知又は将来の電子供与性呈色化合物、該組成物の成分A)及び従来より発色剤として知られているものを用いてよい。適切な化合物類の例としては、インドリル、フタリド、アザフタリド、フルオラン、スチリルキノリン及びジアザローダミンラクトンが挙げられる。
【0013】
特に成分A)の例として、2’-クロロ-6’-ジエチルアミノフルオラン、6'-(ジエチルアミノ)-2'-(フェニルアミノ)-3H-スピロ[2-ベンゾフラン-1,9'-キサンテン]-3-オン、3-(4-ジエチルアミノ-2-ヘキシルオキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-[2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル]-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3,6-ジフェニルアミノフルオラン、3,6-ジメトキシフルオラン、3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、2-(N-メチルアニリノ)-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、1-2-ベンゾ-6-ジエチルアミノフルオラン、1,2-ベンゾ-6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)フルオラン、1,2-ベンゾ-6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)フルオラン、2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、スピロ[5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン]-3′-オン、2-(ジエチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル-、スピロ[5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン]-3′-オン、2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジ-n-ブチルアミノ)-4-メチル-、スピロ[5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン]-3′-オン、2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル-、スピロ[5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン]-3′-オン、2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(N-エチル-N-i-アミルアミノ)-4-メチル-、スピロ[5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン]-3′-オン、2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジ-n-ブチルアミノ)-4-フェニル(2-(di-n-butylamino)-8-(din-butylamino)-4-phenyl)、3-(2-メトキシ-4-ジメチルアミノフェニル)-3-(1-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)-4,5,6,7-テトラクロロフタリド、3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4,5,6,7-テトラクロロフタリド及び3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-ペンチル-2-メチルインドール-3-イル)-4,5,6,7-テトラクロロフタリドが挙げられる。
【0014】
有利には、成分A)は、3-(4-ジエチルアミノ-2-ヘキシルオキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、2’-クロロ-6’-ジエチルアミノフルオラン、6'-(ジエチルアミノ)-2'-(フェニルアミノ)-3H-スピロ[2-ベンゾフラン-1,9'-キサンテン]-3-オン、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド及び2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオランから成る群より選択される。
任意の適切な既知の又は将来の電子受容性基を組成物の成分B)として用いてよい。適切な化合物類の例としては、可動性又は活性陽子、疑似酸性化合物又は電子欠損を有する化合物が挙げられる。活性陽子を有する化合物類の例としては、モノ−及びポリ−フェノールのようなフェニル基を有する化合物であって当該技術分野で既知の置換基を有するもの及びその金属塩が挙げられる。
【0015】
適切な成分B)化合物の例としては、以下が挙げられる:フェノール、o-クレゾール、第三級ブチルカテコール、ノニルフェノール、n-オクチルフェノール、n-ドデシルフェノール、n-ステアリルフェノール、p-クロロフェノール、p-ブロモフェノール、o-フェニルフェノール、4,4′-シクロヘキシリデンビスフェノール、n-ブチル p-ヒドロキシベンゾアート、n-オクチル p-ヒドロキシベンゾアート、レゾルシン、ドデシルガラート、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4-ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、1-フェニル-1,1,-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-n-ヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-n-ヘプタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-n-オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-n-ノナン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-n-デカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-n-ドデカン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオナート、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-n-ヘプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-n-ノナン、4,4′,4″-メチリデントリスフェノール、2,6-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェノール)メチル]-4-メチルフェノール、4,4′-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、4,4′,4″-メチリデントリス[2-メチルフェノール]、4,4′-[(2-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,3,6-トリフェニルフェノール]、2,2-メチレンビス[6-[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール]、2,4,6-トリス(4-ヒドロキシフェニルメチル)1,3-ベンゼンジオール、4,4′,4″-エチリデントリスフェノール、4,4′-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2-メチルフェノール]、4,4-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6-ジメチルフェノール]、4,4′-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2-メチルフェノール]、4,4′-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6-ジメチルフェノール]、4,4′-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン]ビス[2,6-ジメチルフェノール]、2,4-ビス[(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)メチル)-6-シクロヘキシルフェノール、4,4′-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェノール)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス[2-メチルフェノール]、4,4′-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール]、4,6-ビス[(4-ヒドロキシフェニル)メチル]1,3-ベンゼンジオール、4,4′-[(3,4-ジ-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6-ジメチルフェノール]、4,4′-(1-フェニルエチリデン)ビスフェノール、5,5′-(1-メチルエチリデン)ビス[1-フェニル-2-オール]、4,4′,4″-メチリデントリスフェノール、4,4′-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、4,4′-(フェニルメチレン)ビスフェノール、4,4′-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビス[2-メチルフェノール]、5,5′-(1,1-シクロヘキシリデン)ビス[1-ビフェニル-2-オール]、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)、ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5-ジエチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3-プロピル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5-ジプロピル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3-ペンチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3-ヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3-ヘプチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド及びビス(5-オクチル-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド。
【0016】
有利には、B)成分は、少なくとも2つの上記成分の混合物であることが可能である。有利には、B)成分は、2,2-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン及びその混合物から成る群より選択され、さらに有利には、2,2-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン及び1,1-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパンの混合物である。
適切には、B)成分のC)成分に対する比率は、質量で0.5から40の範囲にあり、好ましくは、1から20以内である。A)成分のC)成分に対する比率は、質量で適切には0.5から30の範囲であり、好ましくは1から20以内である。
各成分は、2以上の成分を含んでよい。例えば、乳化剤、酸化防止剤、UV吸収剤、金属キレートのような通常の添加剤をまた組成物に含んでもよい。
【0017】
我々は、組成物中に非イオン性界面活性剤を含有することによって、組成物が透明状態で圧力を受ける場合に変色に対して改善された安定性が確保され得ることを発見した。
本発明は、更なる態様において、変色性組成物又は変色性ミクロカプセル化顔料中での非イオン性界面活性剤の使用を提供する。好ましくは、本発明に依れば、該態様は、とりわけ組成物が透明又は無色状態で圧力を受けたときに増加した安定性又は変色に対する抵抗性を提供する発色状態と透明状態を有する。
「界面活性剤」という用語は、親水性基又は領域及び疎水性基又は領域を有する化合物を指す。非イオン性界面活性剤は、好ましくは、疎水性末端基を有するアルコキシラートである。
疎水性末端基は適切にはヒドロカルビル基及び好ましくはアルキル基である。アルキル基は好ましくはC
1からC
22の基であり、さらに好ましくはC
7からC
22、特にC
9からC
15の基、例えば、C
9/C
11の混合基及びC
13/C
15の混合基である。アルキル基は適切にはアルコール又はアミン、好ましくは1級アミンに由来する。
アルコキシラートは適切な複数のアルキレンオキシドユニットに基づき、好ましくはエトキシラート、プロポキシラート、ブトキシラート又は2以上のアルコキシラートの混合物である。好ましくはアルコキシラートはエトキシラートである。混合物は、異なるアルコキシラートのランダム又はブロック配列であってよい。アルコキシラートは好ましくは2から30、より好ましくは2から15、望ましくは3から12のアルキレンオキシドユニットを含む。
【0018】
適切な非イオン性界面活性剤は式Qを有する:
R’[Het][(CH
2)
qO]
rR” (Q)
式中R’はヒドロカルビル(hydrocarboyl)、例えばアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアルキルアリール基であって、1から22の炭素原子を有し、より好ましくはC
1からC
22の基、さらに好ましくはC
7からC
22、特にC
9からC
15アルキル、アルケニル又はアルキルアリール基;HetはO、S又はNH又はNR’;gは2から4、好ましくは2;rは2から30、好ましくは3から12;及びR”は独立してR’及びHから選択される。
非イオン性界面活性剤は「エンドキャップ」されていてよく、これは、R”がR’を規定する置換基から選択される場合を指す。R’及びR”末端基は同じでも異なっていてもよい。
適切には、非イオン性界面活性剤は分子量が300から1500、好ましくは500から1000である。好ましくは、非イオン性界面活性剤はアルコールアルコキシラートを含む。適切な非イオン性界面活性剤の例としては、BIOSOFTという商品名でStepanから、LUTENSOLという商品名でBASFから、EMULSOGEN及びGENAPOLという商品名でClariantから、及びEMPILAN、HYDRAPOL、SURFONIC、BIONIC及びTERICという商標名でHuntsmanから入手可能な製品が挙げられる。
【0019】
添付
図1は、可逆な変色性組成物の典型的なヒステリシスプロファイルを示す。色密度が温度に対してプロットされている。加熱及び冷却サイクルの温度変化による色密度の進展が図示されており、矢印の方向に進行する。T
4における点Aは完全に消色した状態(本明細書において、完全消色温度という);T
3における点Bは、加熱中に組成物が完全に発色した状態にある点である。点Cは、冷却中に温度T
2で組成物が完全に消色した最後の点を示す。点Dは、冷却中に温度T
1(本明細書において、完全発色温度という)で組成物が完全に発色した状態にある点である。該組成物が低温から加熱されているか又は高温から冷却されているかによって、熱変色性組成物がT
2及びT
3の間の前記温度で完全に発色状態又は消色状態にあるであろうことは明らかであろう。T
3とT
2の温度差(ΔH
T3-T2)はヒステリシスにとって実用的な値である(本明細書において、実用ヒステリシスと呼ばれるであろう)。
T
1とT
2の差(ΔH
T2-T1)は、変色機構の感度に関連する。ΔH
T2-T1が低い値であるほど、完全発色状態の最後の点と完全消色状態の間の移行は鋭く、完全消色状態の最後の点と完全発色状態の間の移行もまた鋭い。色密度の違い又は色コントラストは、
図1で示されるE及びFの間の色の違いによって測定される。
該組成物のA)、B)及びC)成分は選択されてよく、組成物の特性を所望の用途にあわせるよう相対量が用いられる。該成分は、温度T
1及びT
4と同様に所望の実用ヒステリシス及び変色感度を提供するため、適切に選択される。
適切には、実用ヒステリシス範囲は10から80℃であってよく、及び好ましくは少なくとも50℃である。完全発色温度T
4は周辺温度より適切に高く、好ましくは50℃より高い。完全消色温度T
1は適切には20℃より低く、好ましくは0℃より低い。
【0020】
本発明の組成物は適切には、組成物の成分A)、B)及びC)の均質な可溶化された混合物を含む。好ましくは、成分A)及びB)は成分C)中に溶解され、組成物を生成する。
成分C)は、1モルのビスフェノール(ビフェノール)及び2.5モルのトリエチルアミンの混合物をアセトン中で撹拌し、5℃に冷却することによって適切に合成される。2.2モルの酸塩化物を徐々に添加し、添加中に温度が35℃より上がらないようにする。添加完了後、反応を室温に戻して24から48時間撹拌する。得られた反応媒体を7%の氷冷水溶性HClに注ぐ。沈殿物を濾過し、水及び飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄する。固形沈殿物をイソプロパノールから結晶化させる。適切に、ビスフェノール(ビフェノール)/酸塩化物/トリエチルアミンの相対量比は、1/2.2/2.5モルである。ビスフェノールは三井化学より入手できる。ビフェノールはChemos(ドイツ)から入手できる。ビスフェノールP及びビスフェノールMは三井化学より入手可能である。
US2010/075253は、ビスフェノールP及びビスフェノールM及びその類似物の合成に用いられ得るフェノールベースの化合物を記載している。
ビスフェノールPは下記化合物、
【化8】
又はその類似体をフェノールとともに例えば、Stetson, Christopher M.; Nishikawa, Shiro; Purkiss, David W.; Dalley; Bartsch, Richard A. Journal of Physical Organic Chemistry, 2005 , vol. 18, # 11 p. 1107-1115 に提示されたように、又はHung; Werbel European Journal of Medicinal Chemistry, 1983 , vol. 18, # 1 p. 61-66に記載のとおり、反応させることにより生成し得る。類似体については、他の置換基とともに、対応する芳香族化合物を用いてよい。
【0021】
ビスフェノールMの合成は、US 6326522 B1に記載されている。WO2015/033750は下記式の化合物を記載している:
【化9】
式中R1及びR2は独立して7から21の炭素原子を有し、R3は水素又は1から7の炭素原子を有するアルキル基である。
【0022】
US 3979462及びUS 6992166は下記一般式で表される化合物の合成方法を記載している。
【化10】
式中、Arは炭素原子を6から20個有する芳香族基を表し、R
1からR
4は独立して水素、炭素原子を1から20個有するアルキル基、炭素原子を5から20個有するシクロアルキル基、又は炭素原子を7から20個有するアラルキル基を表し、R
1及びR
3は同時に水素を表さず、R
2及びR
4は同時に水素を表さない。
【0023】
適切には、変色性組成物は、変色性ミクロカプセル化顔料を提供するため、公知の方法によりミクロカプセル化される。
本発明は更に、ミクロカプセル化された本発明による組成物を含む変色性ミクロカプセル化顔料を提供する。適切には、該組成物は均質である。好ましくは、該組成物は、改善された安定性又は変色に対する抵抗性を上記のとおり透明状態において提供するため、成分A)、B)、C)及び非イオン性界面活性剤を含む。
ミクロカプセルは、高密度の色彩を提供する一方で適切な分散安定性及び処理特性を提供するため、適切には0.5から50μm、好ましくは1から20μmの粒子サイズを有する。
他に述べられていない限り、本明細書において参照される全ての粒子サイズはレーザー回折によるコールター粒子サイズ分析法を用いて体積によって測定される。粒子サイズとして与えられる全ての数値は、粒子の90%分画が特定のサイズよりも大きな直径を示さないことを表す。
該組成物は任意の公知の方法でミクロカプセル化されてよく、例えば、イソシアナート界面重合、メラミン又は尿素ホルムアルデヒド界面重合、フリーラジカル界面重合、エポキシ重縮合又は複合コアセルベーションが用いられる。
ミクロカプセル化は変色性組成物が化学物質又は熱に接した際に、その組成物を保持することを許容する。化学物質はミクロカプセルの壁によって遮断され、組成物の配合組成が保持される。ミクロカプセル化はまた変色性組成物が作用する過程でも実用的な利点を有し得る。
ミクロカプセル化顔料は、変色性色彩記憶組成物を、塗料、コーティング及びプラスチックビヒクル中で水性顔料分散剤又は顔料パウダーとして用いることを可能とする。該組成物又はミクロカプセル化顔料は、例えば、おもちゃ、印刷物、装飾、筆記用具、ワクチンのような医療製品の包装の温度インジケーター、及び硬化や結合過程、パイプ、表面温度の測定、例えば機械、プラントなどの過熱表示のような幅広い範囲の産業用途における、温度に依る変色が求められ又は望ましい任意の適用において用いられ得る。
更なる例としては、本発明の組成物及び顔料は、複数の印刷モード、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、3D印刷、パッド印刷、スプレーコーティング及びその他のコーティングモード、及びインクジェットのためのインキ中で用いてよい。該組成物及び顔料は、ボールペン、マーキングペン、万年筆、ジェルペン、ローラーボールペン及びその他のインク媒体のような筆記用具で用いるためのインキ組成物として提供してよい。
【0024】
本発明の更なる態様では、本発明による変色性ミクロカプセル化顔料を含む筆記用具のためのインキ組成物が提供される。
有利には、インキ組成物はまた、溶媒のような担体、例えば、水性又は有機溶媒、有利には水性溶媒を含んでよい。インキ組成物はまた、例えば分散剤、乳化剤、表面張力改良剤、界面活性剤、湿潤剤、樹脂、殺生物剤など、インキ組成物を調製するために有用であるとして当業者に既知のその他の添加剤を含んでもよい。
本発明は更に、本発明によるインキ組成物を含有する筆記用具を含む筆記用具を提供する。
特に、筆記用具は、ボールペン、マーキングペン、万年筆、ジェルペン又はローラーボールペンであってよい。
有利には、筆記用具は、インキ組成物を消す手段を含有する。
更なる態様では、本発明は、本発明によるインキ組成物を受け入れるように適応した筆記用具及び筆記用具に充填するためのインキ組成物を、組み合わせて提供する。
【0025】
変色性組成物又は顔料は、変色性色彩記憶顔料の溶融混合が、例えばおもちゃのようなモールド又は射出成型品のペレット、パウダーの製造を許容する、ワックス、ポリマー樹脂、熱硬化樹脂のような媒体中で用いてもよい。
現在の変色性記憶組成物顔料は、様々な異なる基質及び材料、ゲル、インキ、紙、合成紙、コート紙、繊維、プラスチック、ガラス金属セラミック、木、石、プラスチック、コンクリート、合成ガラスに対して、変色記憶特性を与えることができる。
本発明の変色性組成物は特に、温度インジケーターを提供するラベルの調製のための印刷インキの製造に有用である。従来の変色性組成物による公知技術は、典型的には、ある特定の温度に達するときを示し、それ以上表示をしない。
本発明による変色性組成物又は顔料は、温度がT
4を超えたときは、組成物の温度がT
1に至りこの温度で発色を取り戻すまで、無色のままであり続けるという表示を提供する。
本発明は、成分C)が、組成物又は顔料の温度が、最初の温度としてT
2が例えば0℃、第2温度を超える温度としてT
3が例えば50℃であるような変色性組成物又は顔料を提供する。
このような特性を有する組成物は、インジケーターが特定の温度下にあったか否かについての表示を提供するインジケーターの設計を可能とする。
本発明は更に、変色性組成物の第1の部分を発色状態で、同じ変色性組成物の第2部分を消色状態で含み、該組成物が本発明による組成物であるインジケーターを提供する。
【0026】
適切には、該インジケーターは、記憶組成物顔料とともに印刷され、好ましくは、印刷インキに転換され、印刷プロセスの前にT
4を超える温度に加熱される。該組成物の第2の例は、適切にT
1より低い温度に冷却され、適切には熱変色性組成物の第一印刷の次に、インジケーター上に印刷される。印刷ラベルは、温度T
3を超えず、温度T
2を下回らない温度で乾かすことが許容される。
更なる態様では、本発明は、支持体に、色変化温度T
1、T
2、T
3及びT
4を有する変色性組成物、顔料又はインキの第1部分を提供すること、変色性組成物、顔料又はインキの第1部分をT
4を超える温度に加熱すること、変色性組成物、顔料又はインキ組成物の第2部分をT
1を下回る温度に冷却すること、該第2部分を支持体に適用すること、及び変色性組成物、顔料又はインキ組成物を、T
3を超えず、T
2を下回らない温度で乾燥すること含む、インジケーターを製造するためのプロセスを提供する。
変色性組成物は好ましくは熱変色性組成物である。
ラベル上の組合せは、今や、T
2を下回る温度の表示に適切である。温度T
2を0℃にあわせることにより、インジケーターは、インジケーター及びそれが適用される任意の物品又は材料が0℃未満の温度下にあったときには、視覚的に又は読み取り可能な表示を提供するために用いられ得る。このようにしてインジケーターは「凍結インジケーター」として作用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、熱変色組成物の温度に対する色密度変化の典型的なプロットを示す;
【
図2】
図2aから2cは、本発明による記憶組成物に基づく、本発明にしたがった凍結温度インジケーターラベルを示す。
【
図3】
図3aから3cは、本発明によるKromagenインキを含む記憶組成物に基づく、本発明にしたがった温度インジケーターラベルの例を示す。
【0028】
図により、当初状態における周辺温度がT
2を超えT
3を下回るものが
図2aにて示される。温度がT
2より下がり、全時間においてT
4を下回るよう維持されることで、インジケーターの状態は
図2bで示される状態に変わる。温度をT
3よりも高くまで上げることで、インジケーターは二つの無色組成物を
図2C)に示されるように提供する。
インジケーターはまた、リセットせずに一回使用のインジケーターを提供するように設定されてもよい。
本発明は、発色状態にある変色性組成物の第1部分、及び消色状態にある同じ変色性組成物の第2部分を含み、該組成物が本発明による、一回使用インジケーターを提供する。
適切には、インジケーターは、それに適用されるよう適切に印刷可能なインキの形態にあり、インジケーターに適用される前、例えば印刷プロセスにおいてT
4を超える温度に加熱される、本発明による熱変色性組成物又は顔料を有する。所望の温度、例えば50℃で恒久的な変色を示すインキが、例えば印刷インキに転換された記憶組成物顔料の次に印刷されるように、インジケーターに適用される。任意の既知の恒久変色インキを用いることができ、好ましい例は、TMC Hallcrestより、Kromagenというブランドネームの下で入手可能である。印刷されたラベルは、T
3又は50℃を超えず、好ましくはT
2を下回らない温度で乾燥させることが許容される。ラベル上の組み合わせは、今や、「凍結インジケーター」とされる零度を下回る温度の表示のために適切である。インジケーターは一回使用される。
図によって、
図3a、3b及び3cは、インジケーターがKromagenインキを含む本発明による組成物を含む様々な形態のインジケーターを図で示す。
図3aは、初期状態で周辺温度がT
2を上回りKromagenの変色温度を下回るものを示す。
図3bは、温度がT
2を下回り、Kromagenの変色温度を下回る温度に下がる場合のインジケーターを、
図3cは、T
4を上回る温度に加熱した後に発色したインジケーターを示す。
本発明は、ここに以下の非限定的な例によって説明される。該例において、部は別途述べられていない限り質量部である。
【実施例】
【0029】
実施例1
熱変色性色彩記憶組成物は、下記化合物を均質に相溶化することにより得られた:ヤマダ化学から入手可能な4部の3-(4-ジエチルアミノ-2-ヘキシルオキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド(成分A))、シグマアルドリッチから入手可能な6部の2,2-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン及び6部の1,1-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン(両方とも成分B))及び84部の4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビス(4-フェニルデカノアート)(成分C、とりわけ下記に示す成分IVa)):
【化11】
成分IVaは、1モルの4,4′-(1,4-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(三井化学より商業的に入手可能)及び2.5モルのトリエチルアミンの混合物をアセトン中で撹拌し、5℃に冷却することによって、適切に合成される。2.2モルのデカノイルクロリドを徐々に添加し、添加中に温度が35℃を超えないようにする。添加完了後、反応を室温に戻し、24−48時間撹拌する。結果として得られる反応媒体を7%の氷冷水溶性塩酸に注ぐ。沈殿物を濾過し、水及び飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄する。固形沈殿物をイソプロパノールから結晶化する。ビスフェノール/酸塩化物/トリエチルアミンの相対量比は、1/2.2/2.5モルである。
得られた記憶組成物は青から無色に変色した。
熱変色性色彩記憶組成物を、T
4を超えるまで加熱した。100部の熱い熱変色性記憶組成物を、高速ホモジナイザーによって水酸化ナトリウムでpH4に中和されたメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合樹脂の10%溶液100部に分散した。得られたエマルションをT
4を超える温度に維持し、ゆっくり25部のメラミンホルムアルデヒド樹脂溶液を添加した。得られたエマルションを撹拌し、80℃の温度まで、6時間加熱した。
得られた懸濁液のいくらかを続いてドラム乾燥し、カプセル化された形態の顔料を分離し、粒子サイズ2μmの熱変色性色彩記憶顔料が青から無色に変色した。
【0030】
実施例2
熱変色性色彩記憶組成物は、下記化合物を均質に相溶化することにより得られた:ヤマモト化学から入手可能な4部の3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド(成分A))、シグマアルドリッチから入手可能な6部の2,2-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン及び6部の1,1-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン(両方とも成分B))及び84部の4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビス(4-フェニルドデカノアート)(成分C)、とりわけ下記に示す成分IVb)):
【化12】
成分IVbは、成分IVaのため実施例1に記載されたのと、デカノイルクロリドの代わりにドデカノイルクロリドが用いられた点を除いて同じ手順を用いて調製された。
得られた記憶組成物は、マゼンタから無色に変色した。熱変色性色彩記憶組成物をT
4を超えるまで加熱した。100部の熱い熱変色性色彩記憶組成物を、次いで高速ホモジナイザーによって水酸化ナトリウムでpH4に中和されたメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合樹脂の10%溶液100部に分散した。得られたエマルションをT
4を超える温度に維持し、ゆっくり25部のメラミンホルムアルデヒド樹脂溶液を添加した。得られたエマルションを撹拌し、80℃の温度まで、6時間加熱した。
得られ懸濁液を続いてドラム乾燥し、顔料をカプセル化された形態で分離し、粒子サイズ2.5μmの熱変色性色彩記憶顔料がマゼンタから無色に変色した。
【0031】
実施例3
熱変色性色彩記憶組成物は、下記化合物を均質に相溶化することにより得られた:ホドガヤ化学株式会社から入手可能な4部の2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン(成分A))、シグマアルドリッチから入手可能な6部の2,2-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン及び6部の1,1-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン(両方とも成分B))及び84部の4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビス(4-フェニルヘキサデカノアート)(成分C)、とりわけ下記に示す成分IVc))。得られた記憶組成物は色彩が黒から無色に変化した。
【化13】
成分IVcは、成分IVaのため実施例1に記載されたのと、デカノイルクロリドの代わりにヘキサデカノイルクロリドが用いられた点を除いて同じ手順を用いて調製された。
熱変色性色彩記憶組成物をT
4を超えるまで加熱した。100部の熱い熱変色性色彩記憶組成物を、高速ホモジナイザーによって水酸化ナトリウムでpH4に中和されたメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合樹脂の10%溶液100部に分散した。得られたエマルションをT
4を超える温度に維持し、ゆっくり25部のメラミンホルムアルデヒド樹脂溶液を添加した。得られたエマルションを撹拌し、80℃の温度まで、6時間加熱した。
得られた懸濁液を空気乾燥し、顔料をカプセル化された形態で分離し、粒子サイズ4μmの熱変色性色彩記憶顔料が黒から無色に変色した。
【0032】
実施例4
熱変色性色彩記憶組成物は、下記化合物を均質に相溶化することにより得られた:ヤマモト化学から入手可能な4.1部の3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(2,4-キシリジノ)フルオラン(成分A))、シグマアルドリッチから入手可能な4.75部の4,4′-シクロヘキシリデンビスフェノール及び4.75部の4-ヒドロキシフェニル-4'-イソプロポキシフェニルスルホン(両方とも成分B))及び86.4部の4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビス(4-フェニルデカノアート)(成分C)、とりわけ下記に示す成分IVa))。
【化14】
成分IVaは実施例1のように合成する。
得られた記憶組成物は黒から無色に変色した。
熱変色性色彩記憶組成物を100度を超えるまで加熱した。100部の熱い熱変色性色彩記憶組成物を、高速ホモジナイザーによって水酸化ナトリウムでpH4に中和されたメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合樹脂の10%溶液100部に分散した。得られたエマルションを80℃を超える温度に維持し、ゆっくり25部のメラミンホルムアルデヒド樹脂溶液を添加した。得られたエマルションを撹拌し、80℃の温度まで、6時間加熱した。
【0033】
実施例5
熱変色性色彩記憶組成物は、下記化合物を均質に相溶化することにより得られた:ヤマモト化学から入手可能な4.1部の3,3-ビス(1-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド(成分A))、シグマアルドリッチから入手可能な5.3部の4,4′-シクロヘキシリデンビスフェノール及び4.1部の4,4′-(1-フェニルエチリデン)ビスフェノール(両方とも成分B))及び86.5部の4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビス(4-フェニルデカノアート)(成分C、とりわけ下記に示す成分IVa))。
【化15】
成分IVaは実施例1のように合成する。
得られた記憶組成物はマゼンタから無色に変色した。
熱変色性色彩記憶組成物を、100度を超えるまで加熱した。100部の熱い熱変色性色彩記憶組成物を、高速ホモジナイザーによって水酸化ナトリウムでpH4に中和されたメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合樹脂の10%溶液100部に分散した。得られたエマルションを80℃を超える温度に維持し、ゆっくり25部のメラミンホルムアルデヒド樹脂溶液を添加した。得られたエマルションを撹拌し、80℃の温度まで、6時間加熱した。
【0034】
実施例6
熱変色性色彩記憶組成物は、下記化合物を均質に相溶化することにより得られた:ヤマモト化学から入手可能な4.1部の3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド(成分A))、シグマアルドリッチから入手可能な3部の4,4′-シクロヘキシリデンビスフェノール及び6.5部の4,4′-(1-フェニルエチリデン)ビスフェノール、2部の4,4’-チオジフェノール及び2部の2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(全て成分B))及び82.4部の4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビス(4-フェニルデカノアート)(成分C、とりわけ下記に示す成分IVa))。
【化16】
成分IVaは実施例1のように合成する。
得られた記憶組成物は色彩がターコイズから無色に変色した。
熱変色性色彩記憶組成物を100度を超えるまで加熱した。100部の熱い熱変色性色彩記憶組成物を、高速ホモジナイザーによって水酸化ナトリウムでpH4に中和されたメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合樹脂の10%溶液100部に分散した。得られたエマルションを80℃を超える温度に維持し、ゆっくり25部のメラミンホルムアルデヒド樹脂溶液を添加した。得られたエマルションを撹拌し、80℃の温度まで、6時間加熱した。
【0035】
実施例7
熱変色性色彩記憶組成物は、下記化合物を均質に相溶化することにより得られた:ヤマモト化学から入手可能な7部の2’-クロロ-6’-ジエチルアミノフルオラン(成分A))、シグマアルドリッチから入手可能な6部の4,4′-シクロヘキシリデンビスフェノール、6部の4,4′-(1-フェニルエチリデン)ビスフェノール、4部の4,4’-チオジフェノール及び2部の2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(全て成分B))及び75部の4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビス(4-フェニルデカノアート)(成分C、とりわけ下記に示す成分IVa))。
【化17】
成分IVaは実施例1のように合成する。
得られた記憶組成物は赤から無色に変色した。
熱変色性色彩記憶組成物を100度を超えるまで加熱した。100部の熱い熱変色性記憶組成物を、高速ホモジナイザーによって水酸化ナトリウムでpH4に中和されたメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合樹脂の10%溶液100部に分散した。得られたエマルションを80℃を超える温度に維持し、ゆっくり25部のメラミンホルムアルデヒド樹脂溶液を添加した。得られたエマルションを撹拌し、80℃の温度まで、6時間加熱した。
【0036】
実施例8
熱変色性色彩記憶組成物は、下記化合物を均質に相溶化することにより得られた:3.1部の6'-(ジエチルアミノ)-2'-(フェニルアミノ)-3H-スピロ[2-ベンゾフラン-1,9'-キサンテン]-3-オン(成分A))、5.1部の4,4′-シクロヘキシリデンビスフェノール、5.1部の4,4′-(1-フェニルエチリデン)ビスフェノール及び1.9部の2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(全て成分B))(シグマアルドリッチから入手可能)、及び84.8部の4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビス(4-フェニルデカノアート)(成分C、とりわけ下記に示す成分IVa))。
【化18】
成分IVaは実施例1のように合成する。
得られた記憶組成物は緑から無色に変色した。
熱変色性色彩記憶組成物を100度を超えるまで加熱した。100部の熱い熱変色性記憶組成物を、高速ホモジナイザーによって水酸化ナトリウムでpH4に中和されたメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合樹脂の10%溶液100部に分散した。得られたエマルションを80℃を超える温度に維持し、ゆっくり25部のメラミンホルムアルデヒド樹脂溶液を添加した。得られたエマルションを撹拌し、80℃の温度まで、6時間加熱した。
【0037】
実施例9
熱変色性色彩記憶組成物は、下記化合物を均質に相溶化することにより得られた:ヤマダ化学から入手可能な3部の3-(4-ジエチルアミノ-2-ヘキシルオキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド(成分A))、シグマアルドリッチから入手可能な12.6部の4,4′-イソプロピリデンジ-o-クレゾール(成分B))及び84.4部の4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビス(4-フェニルウンデカノアート)(成分C、とりわけ下記に示す成分IVd))。
【化19】
成分IVdは、1モルの4,4′-(1,4-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(三井化学より商業的に入手可能)及び2.5モルのトリエチルアミンの混合物をアセトン中で撹拌し、5℃に冷却することによって、適切に合成される。2.2モルのウンデカノイルクロリドを徐々に添加し、添加中に温度が35℃を超えないようにする。添加完了後、反応を室温に戻し、24−48時間撹拌する。結果として得られる反応媒体を7%の氷冷水溶性塩酸に注ぐ。沈殿物を濾過し、水及び飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄する。固形沈殿物をイソプロパノールから結晶化する。ビスフェノール/酸塩化物/トリエチルアミンの相対量比は、1/2.2/2.5モルである。
得られた記憶組成物は青から無色に変色した。
熱変色性色彩記憶組成物を100度を超えるまで加熱した。100部の熱い熱変色性色彩記憶組成物を、高速ホモジナイザーによって水酸化ナトリウムでpH4に中和されたメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合樹脂の10%溶液100部に分散した。得られたエマルションを80℃を超える温度に維持し、ゆっくり25部のメラミンホルムアルデヒド樹脂溶液を添加した。得られたエマルションを撹拌し、80℃の温度まで、6時間加熱した。
得られ懸濁液のいくらかを続いてドラム乾燥し、カプセル化された形態の顔料を分離し、粒子サイズ2μmの熱変色性色彩記憶顔料が青から無色に変色した。
【0038】
実施例10
熱変色性色彩記憶組成物は、下記化合物を均質に相溶化することにより得られた:ヤマダ化学から入手可能な4部の3-(4-ジエチルアミノ-2-ヘキシルオキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド(成分A))、シグマアルドリッチから入手可能な6.4部の2,2-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン及び6.4部のブチル4-ヒドロキシベンゾアート(両方とも成分B))及び83.2部の4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビス(4-フェニルテトラデカノアート)(成分C、とりわけ下記に示す成分IVe))。
【化20】
成分IVeは、1モルの4,4′-(1,4-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(三井化学より商業的に入手可能)及び2.5モルのトリエチルアミンの混合物をアセトン中で撹拌し、5℃に冷却することによって、適切に合成される。2.2モルのテトラデカノイルクロリドを徐々に添加し、添加中に温度が35℃を超えないようにする。添加完了後、反応を室温に戻し、24−48時間撹拌する。結果として得られる反応媒体を7%の氷冷水溶性塩酸に注ぐ。沈殿物を濾過し、水及び飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄する。固形沈殿物をイソプロパノールから結晶化する。ビスフェノール/酸塩化物/トリエチルアミンの相対量比は、1/2.2/2.5モルである。
得られた記憶組成物は青から無色に変色した。
熱変色性色彩記憶組成物を100度を超えるまで加熱した。100部の熱い熱変色性色彩記憶組成物を、高速ホモジナイザーによって水酸化ナトリウムでpH4に中和されたメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合樹脂の10%溶液100部に分散した。得られたエマルションを80℃を超える温度に維持し、ゆっくり25部のメラミンホルムアルデヒド樹脂溶液を添加した。得られたエマルションを撹拌し、80℃の温度まで、6時間加熱した。
得られ懸濁液のいくらかを続いてドラム乾燥し、カプセル化された形態の顔料を分離し、粒子サイズ2μmの熱変色性色彩記憶顔料が青から無色に変色した。
【0039】
実施例11
熱変色性色彩記憶組成物は、下記化合物を均質に相溶化することにより得られた:ヤマダ化学から入手可能な4.1部の3-(4-ジエチルアミノ-2-ヘキシルオキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド(成分A))、シグマアルドリッチから入手可能な4.85部の2,2-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4.85部の4,4′-(1-フェニルエチリデン)ビスフェノール及び8.6部のラウリン酸(全て成分B))並びに77.6部の4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビス(4-フェニルヘキサノアート)(成分C、とりわけ下記に示す成分IVf))。
【化21】
成分IVfは、1モルの4,4′-(1,4-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(三井化学より商業的に入手可能)及び2.5モルのトリエチルアミンの混合物をアセトン中で撹拌し、5℃に冷却することによって、適切に合成される。2.2モルのヘキサノイルクロリドを徐々に添加し、添加中に温度が35℃を超えないようにする。添加完了後、反応を室温に戻し、24−48時間撹拌する。結果として得られる反応媒体を7%の氷冷水溶性塩酸に注ぐ。沈殿物を濾過し、水及び飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄する。固形沈殿物をイソプロパノールから結晶化する。ビスフェノール/酸塩化物/トリエチルアミンの相対量比は、1/2.2/2.5モルである。
得られた記憶組成物は青から無色に変色した。
熱変色性色彩記憶組成物を100度を超えるまで加熱した。100部の熱い熱変色性色彩記憶組成物を、高速ホモジナイザーによって水酸化ナトリウムでpH4に中和されたメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合樹脂の10%溶液100部に分散した。得られたエマルションを80℃を超える温度に維持し、ゆっくり25部のメラミンホルムアルデヒド樹脂溶液を添加した。得られたエマルションを撹拌し、80℃の温度まで、6時間加熱した。
得られ懸濁液のいくらかを続いてドラム乾燥し、カプセル化された形態の顔料を分離し、粒子サイズ2μmの熱変色性色彩記憶顔料が青から無色に変色した。
【0040】
実施例12
熱変色性色彩記憶組成物は、下記化合物を均質に相溶化することにより得られた:ヤマダ化学から入手可能な4.15部の3-(4-ジエチルアミノ-2-ヘキシルオキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド(成分A))、シグマアルドリッチから入手可能な4.85部の2,2-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン及び4.85部の1,1-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン(両方とも成分B))並びに86.15部の4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビス(4-フェニルヘキサデカノアート)(成分C、とりわけ下記に示す成分Va))。
【化22】
成分Vaは、1モルの4,4′-(1,3-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(三井化学より商業的に入手可能)及び2.5モルのトリエチルアミンの混合物をアセトン中で撹拌し、5℃に冷却することによって、適切に合成される。2.2モルのヘキサデカノイルクロリドを徐々に添加し、添加中に温度が35℃を超えないようにする。添加完了後、反応を室温に戻し、24−48時間撹拌する。結果として得られる反応媒体を7%の氷冷水溶性塩酸に注ぐ。沈殿物を濾過し、水及び飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄する。固形沈殿物をイソプロパノールから結晶化する。ビスフェノール/酸塩化物/トリエチルアミンの相対量比は、1/2.2/2.5モルである。
得られた記憶組成物は青から無色に変色した。
熱変色性色彩記憶組成物を100度を超えるまで加熱した。100部の熱い熱変色性色彩記憶組成物を、高速ホモジナイザーによって水酸化ナトリウムでpH4に中和されたメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合樹脂の10%溶液100部に分散した。得られたエマルションを80℃を超える温度に維持し、ゆっくり25部のメラミンホルムアルデヒド樹脂溶液を添加した。得られたエマルションを撹拌し、80℃の温度まで、6時間加熱した。
得られ懸濁液のいくらかを続いてドラム乾燥し、カプセル化された形態の顔料を分離し、粒子サイズ2μmの熱変色性色彩記憶顔料が青から無色に変色した。
【0041】
実施例13
熱変色性色彩記憶組成物は、下記化合物を均質に相溶化することにより得られた:ヤマダ化学から入手可能な4.1部の3-(4-ジエチルアミノ-2-ヘキシルオキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド(成分A))、シグマアルドリッチから入手可能な4.85部の4,4′-(1-フェニルエチリデン)ビスフェノール及び4.85部の4,4′-イソプロピリデンジ-o-クレゾール(両方とも成分B))並びに86.2部の4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビス(4-フェニルテトラデカノアート(4,4'-[1,3-Phenylenebis(1-methylethylydene)]bis(4-phenyltetradecanoateanoate)(成分C、とりわけ下記に示す成分Vb))。
【化23】
成分Vaは、1モルの4,4′-(1,3-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(三井化学より商業的に入手可能)及び2.5モルのトリエチルアミンの混合物をアセトン中で撹拌し、5℃に冷却することによって、適切に合成される。2.2モルのテトラデカノイルクロリドを徐々に添加し、添加中に温度が35℃を超えないようにする。添加完了後、反応を室温に戻し、24−48時間撹拌する。結果として得られる反応媒体を7%の氷冷水溶性塩酸に注ぐ。沈殿物を濾過し、水及び飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄する。固形沈殿物をイソプロパノールから結晶化する。ビスフェノール/酸塩化物/トリエチルアミンの相対量比は、1/2.2/2.5モルである。
得られた記憶組成物は青から無色に変色した。
熱変色性色彩記憶組成物を100度を超えるまで加熱した。100部の熱い熱変色性色彩記憶組成物を、高速ホモジナイザーによって水酸化ナトリウムでpH4に中和されたメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合樹脂の10%溶液100部に分散した。得られたエマルションを80℃を超える温度に維持し、ゆっくり25部のメラミンホルムアルデヒド樹脂溶液を添加した。得られたエマルションを撹拌し、80℃の温度まで、6時間加熱した。
得られ懸濁液のいくらかを続いてドラム乾燥し、カプセル化された形態の顔料を分離し、粒子サイズ2μmの熱変色性色彩記憶顔料が青から無色に変色した。
【0042】
実施例14
熱変色性色彩記憶組成物は、下記化合物を均質に相溶化することにより得られた:3.1部の6'-(ジエチルアミノ)-2'-(フェニルアミノ)-3H-スピロ[2-ベンゾフラン-1,9'-キサンテン]-3-オン(成分A)、5.1部の4,4′-シクロヘキシリデンビスフェノール、5.1部の4,4′-(1-フェニルエチリデン)ビスフェノール及び1.9部の2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(全て成分B))(シグマアルドリッチから入手可能)並びに70部の4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビス(4-フェニルデカノアート)及び14.8部の4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビス(4-フェニルオクタノアート)(成分C、下記に示すとおりそれぞれ成分IVa及びIVg))。
【化24】
成分 IVa
成分 IVg
得られた記憶組成物は緑から無色に変色した。
熱変色性色彩記憶組成物を100度を超えるまで加熱した。100部の熱い熱変色性色彩記憶組成物を、高速ホモジナイザーによって水酸化ナトリウムでpH4に中和されたメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合樹脂の10%溶液100部に分散した。得られたエマルションを80℃を超える温度に維持し、ゆっくり25部のメラミンホルムアルデヒド樹脂溶液を添加した。得られたエマルションを撹拌し、80℃の温度まで、6時間加熱した。
【0043】
測定サンプルの調製
10部の実施例1で得られた熱変色性色彩記憶組成物の水懸濁液のカプセル化された形態のものを10部のポリビニルアルコール溶液に分散し、コピー紙にスクリーン印刷して、テストサンプルを得た。
実施例2から13のカプセル化形態の熱変色性色彩記憶組成物のためのテストサンプルを得るために同じ方法が用いられた。
各テストサンプルを下記記載の方法により加熱し、冷却した。このように調整された測定サンプルは、Linkam(英国linkam製)の予め定められた位置にセットされ、5℃/分の速度、100℃の温度幅で加熱及び冷却することによって、各温度における色密度が測定された。
例えば、実施例1の場合、サンプルは、5℃/分の速度で、測定開始温度である0℃から100℃まで加熱され、次いで−20℃まで5℃/分の速度で冷却された。各温度において表示された色彩の明度をグラフにプロットし、
図1に図示されたような色密度−温度曲線を作成し、各T
1、T
2、T
3、T
4及びΔHを得た。
ミクロカプセルの℃での温度分析結果を、それぞれの完全消失温度(T
4)及び完全復色温度(T
1)として、実用ヒステリシスΔHとともに、以下に報告する。以下に報告された結果は、成分C)が下記式に示される異なるR
1基についてのものである。
【0044】
【表1】
【国際調査報告】