特表2018-532050(P2018-532050A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特表2018532050-付加製造のための装置及び方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-532050(P2018-532050A)
(43)【公表日】2018年11月1日
(54)【発明の名称】付加製造のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/105 20060101AFI20181005BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20181005BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20181005BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20181005BHJP
【FI】
   B22F3/105
   B22F3/16
   B33Y30/00
   B33Y10/00
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-517692(P2018-517692)
(86)(22)【出願日】2016年9月9日
(85)【翻訳文提出日】2018年5月10日
(86)【国際出願番号】EP2016071290
(87)【国際公開番号】WO2017060036
(87)【国際公開日】20170413
(31)【優先権主張番号】102015219355.1
(32)【優先日】2015年10月7日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG
(71)【出願人】
【識別番号】517298149
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ブルンフーバー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ゾラー
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA07
4K018BA04
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
4K018KA12
(57)【要約】
コーティングされるべき他の層に適用されるべき粉末を予熱する装置及び方法によって、当該方法を実施するための時間が著しく短縮される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造のための装置(1)であって、
前記装置(1)は少なくとも、可動式のプラットフォーム(4)と粉末貯蔵器(16)とを有しており、
前記プラットフォーム(4)の上には、粉体床(7)が、粉体層のために連続的に付加される粉末(28)によって、連続的に形成可能であり、
前記粉体床(7)内では、製造されるべき部材(10)が段階的に製造され、
前記粉体床(7)は、選択的に、エネルギービーム(13)によって、特にレーザービーム(13)によって、プロセスチャンバ(31)内で圧縮可能であり、
前記粉末貯蔵器(16)からは、層ごとに粉末(28)が、前記粉体床(7)の新しい粉体層のために適用可能である装置において、
新しい粉体層のために適用されるべき前記粉末(28)を予熱する手段(19)が存在していることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
前記粉末貯蔵器(16)からの粉末が、選択的に、予熱チャンバ(19)内で予熱され、任意で分配器(22)を通じて、前記プロセスチャンバ(31)に導入されるので、加熱された前記粉末(28)は、粉体層として、すでに存在する前記粉体床(7)の上に分配され得る、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
すでに存在する前記粉体床(7)のためのさらなる加熱装置が、前記装置(1)内に存在する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
付加製造のための装置において、特に請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(1)を用いて、部材(10)を付加製造するための方法であって、
供給されるべき粉体層のために必要な粉末(28)が予熱され、その後選択的に、エネルギービーム(13)を用いて圧縮される方法。
【請求項5】
すでに存在している前記粉体床(7)が加熱される、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加製造のための装置、及び、対応する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生成的な造形、又は、付加製造は、高い幾何学的複雑性を有する部材を製造するための、新しいアプローチである。その特徴は、造形が、粉末、液体等の不定形材料又は形が明瞭ではない材料から成る仮想のデータモデルに基づいて、化学プロセス及び/又は物理プロセスを用いて行われることにある。
【0003】
タービンの建設及び整備に関して特に重要なのは、選択的レーザー溶融(SLM)、レーザー金属蒸着(LMD)又は電子ビーム溶解(EBM)等のビーム溶解法である。なぜなら、これらは、金属材料の加工を可能にするからである。
【0004】
溶解ビームによるエネルギー投入は、非常に局所的に行われ、粉末状の出発材料を通じた熱放散は非常に不十分であるので、大きな温度勾配が生じ、熱亀裂の形成が促進される。特に、ロータブレード及びガイドベーンのために、並びに、燃焼器の構成要素のために用いられる高耐熱性の合金は、典型的には、溶接が難しく、レーザーに基づく方法を用いた加工の際に、熱亀裂を生じる傾向が強いので、このようにして得られた部材は、多数の欠陥を有する。
【0005】
種類の異なる材料、特に金属とセラミックとを加工する際にも、大きな温度勾配は問題であり、生成的方法を用いた、これらの材料区分同士のその場での結合を困難にする。
【0006】
問題となっている材料の溶接が困難なので、高負荷の部材は、今日では、専ら焼き流し鋳造によって形成される。
【0007】
目下試験中のコンセプトの大部分では、SLM/EBM等の粉体床プロセスにおける生成的プロセスが高温で実施され、それによって、急速冷却と、それに伴う高温割れとが回避され得る。γ’分率が高いニッケルベース合金の場合、例えば1273Kの予熱温度が有利であるが、それに対して、より低い1073Kの予熱温度では、明らかに亀裂の形成が増大する。プロセスチャンバを温めるために、抵抗加熱、誘導加熱、又は、赤外線ラジエータによる加熱が用いられる。
【0008】
ラジエータによる加熱の場合、加熱は、処理されるべき層が適用された後で初めて行われるので、実現するためには技術的な負担が大きい。可動式ではあるが、レーザービーム内を移動することはできないコイルを、建設空間内で用いることによって、急速加熱を行うことも同様に、技術的な要求が大きいと思われる。
【0009】
加熱された基板の場合、非常に容易に実現できるが、溶融材料及び粉末から成る様々な層にわたって、構造物の高さが増大すると共に、最上層である粉体層における現在温度の、望ましい予熱温度からの明らかな逸脱が生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、上述の問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本課題は、請求項1に記載の装置及び請求項4に記載の方法によって解決される。
【0012】
従属請求項には、さらなる有利な手段が挙げられており、さらなる利点を得るために、これらの手段を任意で組み合わせることが可能である。
【0013】
図面及び明細書は、本発明の実施例を示しているに過ぎない。
【0014】
本発明では、先行技術の場合とは異なり、粉末の一次加熱は、SLM又はEBM設備のプロセスチャンバにおいて初めて行われるのではなく、粉末のスクレーピングの前、すなわちプロセスチャンバにおいて、微細層として粉末を平面状に分配する前に、すでに行われることになっている。予熱された粉末は、好ましくはオールセラミックのワイパー、又は、セラミックでコーティングされたワイパーを用いて、高温の状態において、プロセスチャンバ内で分配された後、直接、ビーム溶解を通じて処理される。
【0015】
粉末の加熱は、粉末貯蔵容器から、新しい粉体層の適用に必要な量の粉末が、小さな加熱チャンバに装入されるように行われることになっている。一定分量の粉末は、必要なプロセス温度まで、好ましくは誘導加熱によって加熱される。加熱された粉末は、次に、適切な機構を通じて、好ましくは、この場合は衝撃分散装置を通じて、セラミック製スクレーパーナイフ又はセラミック製延伸フレームに沿って均等に配置される。高温粉末のワイピング及び生成的処理は、通常通りに行われる。
【0016】
γ’分率が高いニッケルベース合金のように、非常に高い予熱温度を適用する際、残りの粉体床に対する高い温度差ゆえに、第1の粉体層が急速冷却される危険が存在する。対応する、より強い予熱は、ここでは不可能である。なぜなら、金属粒子は、加熱チャンバ内で焼結する危険を冒しているからである。
【0017】
この場合、本発明の特に有利な実施形態では、予熱された粉末の適用を、底部又は粉体床の抵抗加熱と組み合わせることが可能である。底部の抵抗加熱は、粉体床全体における温度レベルを上昇させ、それによって、予熱された第1の粉体層の急速冷却が防止される。底部の加熱の目標温度を適切に選択することによって、特に、予熱された粉末のドクタリング及びレーザー溶融の間に、予熱温度が、プロセスにとって不利な温度範囲、特にγ’分率が高いニッケルベース合金に関しては973K〜1173Kの温度範囲に入らないことが実現する。
【0018】
例:建設空間の面積が0.5m×0.5mであり、層厚が20μmである場合、新しい粉体層を適用することを可能にするためには、5cmの大きさの体積の粉末が加熱される必要がある。粉末のかさ密度が5g/cmであると仮定される場合、これは、25gの粉末重量に相当する。
【0019】
進歩性は、粉末を建設空間に分配する前の金属粉末原料の予熱の統合と、粉体床の抵抗加熱を行う場合、又は、行わない場合のSLMプロセスにおける、粉末の処理及び適用システムの適切な適合とにある。
【0020】
ここから、特に以下の利点が生じる:
−建設空間全体を加熱するのに比べて、プロセス時間が短縮される(生成的造形の完了後の冷却時間が短縮されるので)、
−予熱装置が簡略化されることによって、費用が削減される(特にラジエータによる加熱に比べて)
−予熱温度をより正確に制御することによって、部材の品質が向上する、
−今日まで生成的に処理することができなかった(すなわち、特に溶接が困難である)化合物を加工する可能性、
−多数の異なる材料への適用可能性;再現可能な連続生産に適している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る装置1を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面及び明細書は、本発明の実施例を示しているに過ぎない。
【0023】
装置1は、先行技術のように、可動式のプラットフォーム4を有しており、当該プラットフォーム上には、粉体床7が形成される。プラットフォーム4は、一方向(z方向)において下方へ移動可能であり、それによって、新しい粉体層が適用可能である。製造されるべき部材10は、粉体床7に存在しているか、又は、粉体床7で形成される。
【0024】
プロセスチャンバ31内では、エネルギービーム13、特にレーザー29のレーザービーム13、及び、対応するスキャナ34を用いて、粉末が選択的に、部材10を形成するように層ごとに圧縮され、すなわち焼結又は融合される。
【0025】
先行技術のように、ワイパー25を用いて、プラットフォーム4が特定の値の分だけ沈下した後で、粉末28が新しい層として適用される。
【0026】
しかしながら、本発明によると、この新しく適用される粉末28は、予熱されている。
【0027】
これは、様々な方法で行われ得る。
【0028】
粉末貯蔵器16全体を先行技術に従って予熱するさらなる加熱装置が存在していても良い。
【0029】
図面に示されているように、粉末貯蔵器16からの粉末を、粉体層のために適用されるべき粉末の量で、予熱チャンバ19において選択的に予熱し、任意で、対応する分配器22を通じて、プロセスチャンバ31に導入することが可能であるので、粉末は、ワイパー25を用いて、粉体層として、プロセスチャンバ31に導入され得る。
【0030】
分配器22と予熱チャンバ19とは、共にアセンブリとして構成されていても良い。
【0031】
プロセスチャンバは、すでに存在する粉体床7を、任意で同様に、様々な方法で加熱することが可能であり、特に金属粉末の場合は、誘導加熱が適している。
【符号の説明】
【0032】
1 装置
4 プラットフォーム
7 粉体床
10 部材
13 エネルギービーム、レーザービーム
16 粉末貯蔵器
19 予熱チャンバ
22 分配器
25 ワイパー
28 粉末
29 レーザー
31 プロセスチャンバ
34 スキャナ
図1
【手続補正書】
【提出日】2017年11月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加製造のための装置、及び、対応する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生成的な造形、又は、付加製造は、高い幾何学的複雑性を有する部材を製造するための、新しいアプローチである。その特徴は、造形が、粉末、液体等の不定形材料又は形が明瞭ではない材料から成る仮想のデータモデルに基づいて、化学プロセス及び/又は物理プロセスを用いて行われることにある。
【0003】
タービンの建設及び整備に関して特に重要なのは、選択的レーザー溶融(SLM)、レーザー金属蒸着(LMD)又は電子ビーム溶解(EBM)等のビーム溶解法である。なぜなら、これらは、金属材料の加工を可能にするからである。
【0004】
溶解ビームによるエネルギー投入は、非常に局所的に行われ、粉末状の出発材料を通じた熱放散は非常に不十分であるので、大きな温度勾配が生じ、熱亀裂の形成が促進される。特に、ロータブレード及びガイドベーンのために、並びに、燃焼器の構成要素のために用いられる高耐熱性の合金は、典型的には、溶接が難しく、レーザーに基づく方法を用いた加工の際に、熱亀裂を生じる傾向が強いので、このようにして得られた部材は、多数の欠陥を有する。
【0005】
種類の異なる材料、特に金属とセラミックとを加工する際にも、大きな温度勾配は問題であり、生成的方法を用いた、これらの材料区分同士のその場での結合を困難にする。
【0006】
問題となっている材料の溶接が困難なので、高負荷の部材は、今日では、専ら焼き流し鋳造によって形成される。
【0007】
特許文献1には、粉末を処理するための設備と、3次元部材を製造するための装置における使用方法とが記載されている。
【0008】
特許文献2には、部材の層ごとの生成のための装置及び方法と、対応するプロセスチャンバとが記載されている。
【0009】
特許文献3にはさらに、粉末を分配又は塗布するための設備及び方法と、当該設備を用いる積層造形法とが記載されている。
【0010】
目下試験中のコンセプトの大部分では、SLM/EBM等の粉体床プロセスにおける生成的プロセスが高温で実施され、それによって、急速冷却と、それに伴う高温割れとが回避され得る。γ’分率が高いニッケルベース合金の場合、例えば1273Kの予熱温度が有利であるが、それに対して、より低い1073Kの予熱温度では、明らかに亀裂の形成が増大する。プロセスチャンバを温めるために、抵抗加熱、誘導加熱、又は、赤外線ラジエータによる加熱が用いられる。
【0011】
ラジエータによる加熱の場合、加熱は、処理されるべき層が適用された後で初めて行われるので、実現するためには技術的な負担が大きい。可動式ではあるが、レーザービーム内を移動することはできないコイルを、建設空間内で用いることによって、急速加熱を行うことも同様に、技術的な要求が大きいと思われる。
【0012】
加熱された基板の場合、非常に容易に実現できるが、溶融材料及び粉末から成る様々な層にわたって、構造物の高さが増大すると共に、最上層である粉体層における現在温度の、望ましい予熱温度からの明らかな逸脱が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2859973号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102014204580号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2013/0186514号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、上述の問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本課題は、請求項1に記載の装置及び請求項4に記載の方法によって解決される。
【0016】
従属請求項には、さらなる有利な手段が挙げられており、さらなる利点を得るために、これらの手段を任意で組み合わせることが可能である。
【0017】
図面及び明細書は、本発明の実施例を示しているに過ぎない。
【0018】
本発明では、先行技術の場合とは異なり、粉末の一次加熱は、SLM又はEBM設備のプロセスチャンバにおいて初めて行われるのではなく、粉末のスクレーピングの前、すなわちプロセスチャンバにおいて、微細層として粉末を平面状に分配する前に、すでに行われることになっている。予熱された粉末は、好ましくはオールセラミックのワイパー、又は、セラミックでコーティングされたワイパーを用いて、高温の状態において、プロセスチャンバ内で分配された後、直接、ビーム溶解を通じて処理される。
【0019】
粉末の加熱は、粉末貯蔵容器から、新しい粉体層の適用に必要な量の粉末が、小さな加熱チャンバに装入されるように行われることになっている。一定分量の粉末は、必要なプロセス温度まで、好ましくは誘導加熱によって加熱される。加熱された粉末は、次に、適切な機構を通じて、好ましくは、この場合は衝撃分散装置を通じて、セラミック製スクレーパーナイフ又はセラミック製延伸フレームに沿って均等に配置される。高温粉末のワイピング及び生成的処理は、通常通りに行われる。
【0020】
γ’分率が高いニッケルベース合金のように、非常に高い予熱温度を適用する際、残りの粉体床に対する高い温度差ゆえに、第1の粉体層が急速冷却される危険が存在する。対応する、より強い予熱は、ここでは不可能である。なぜなら、金属粒子は、加熱チャンバ内で焼結する危険を冒しているからである。
【0021】
この場合、本発明の特に有利な実施形態では、予熱された粉末の適用を、底部又は粉体床の抵抗加熱と組み合わせることが可能である。底部の抵抗加熱は、粉体床全体における温度レベルを上昇させ、それによって、予熱された第1の粉体層の急速冷却が防止される。底部の加熱の目標温度を適切に選択することによって、特に、予熱された粉末のドクタリング及びレーザー溶融の間に、予熱温度が、プロセスにとって不利な温度範囲、特にγ’分率が高いニッケルベース合金に関しては973K〜1173Kの温度範囲に入らないことが実現する。
【0022】
例:建設空間の面積が0.5m×0.5mであり、層厚が20μmである場合、新しい粉体層を適用することを可能にするためには、5cmの大きさの体積の粉末が加熱される必要がある。粉末のかさ密度が5g/cmであると仮定される場合、これは、25gの粉末重量に相当する。
【0023】
進歩性は、粉末を建設空間に分配する前の金属粉末原料の予熱の統合と、粉体床の抵抗加熱を行う場合、又は、行わない場合のSLMプロセスにおける、粉末の処理及び適用システムの適切な適合とにある。
【0024】
ここから、特に以下の利点が生じる:
−建設空間全体を加熱するのに比べて、プロセス時間が短縮される(生成的造形の完了後の冷却時間が短縮されるので)、
−予熱装置が簡略化されることによって、費用が削減される(特にラジエータによる加熱に比べて)
−予熱温度をより正確に制御することによって、部材の品質が向上する、
−今日まで生成的に処理することができなかった(すなわち、特に溶接が困難である)化合物を加工する可能性、
−多数の異なる材料への適用可能性;再現可能な連続生産に適している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る装置1を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面及び明細書は、本発明の実施例を示しているに過ぎない。
【0027】
装置1は、先行技術のように、可動式のプラットフォーム4を有しており、当該プラットフォーム上には、粉体床7が形成される。プラットフォーム4は、一方向(z方向)において下方へ移動可能であり、それによって、新しい粉体層が適用可能である。製造されるべき部材10は、粉体床7に存在しているか、又は、粉体床7で形成される。
【0028】
プロセスチャンバ31内では、エネルギービーム13、特にレーザー29のレーザービーム13、及び、対応するスキャナ34を用いて、粉末が選択的に、部材10を形成するように層ごとに圧縮され、すなわち焼結又は融合される。
【0029】
先行技術のように、ワイパー25を用いて、プラットフォーム4が特定の値の分だけ沈下した後で、粉末28が新しい層として適用される。
【0030】
しかしながら、本発明によると、この新しく適用される粉末28は、予熱されている。
【0031】
これは、様々な方法で行われ得る。
【0032】
粉末貯蔵器16全体を先行技術に従って予熱するさらなる加熱装置が存在していても良い。
【0033】
図面に示されているように、粉末貯蔵器16からの粉末を、粉体層のために適用されるべき粉末の量で、予熱チャンバ19において選択的に予熱し、任意で、対応する分配器22を通じて、プロセスチャンバ31に導入することが可能であるので、粉末は、ワイパー25を用いて、粉体層として、プロセスチャンバ31に導入され得る。
【0034】
分配器22と予熱チャンバ19とは、共にアセンブリとして構成されていても良い。
【0035】
プロセスチャンバは、すでに存在する粉体床7を、任意で同様に、様々な方法で加熱することが可能であり、特に金属粉末の場合は、誘導加熱が適している。
【符号の説明】
【0036】
1 装置
4 プラットフォーム
7 粉体床
10 部材
13 エネルギービーム、レーザービーム
16 粉末貯蔵器
19 予熱チャンバ
22 分配器
25 ワイパー
28 粉末
29 レーザー
31 プロセスチャンバ
34 スキャナ
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造のための装置(1)であって、
前記装置(1)は少なくとも、可動式のプラットフォーム(4)と粉末貯蔵器(16)とを有しており、
前記プラットフォーム(4)の上には、粉体床(7)が、粉体層のために連続的に付加される粉末(28)によって、連続的に形成可能であり、
前記粉体床(7)内では、製造されるべき部材(10)が段階的に製造され、
前記粉体床(7)は、選択的に、エネルギービーム(13)によって、特にレーザービーム(13)によって、プロセスチャンバ(31)内で圧縮可能であり、
前記粉末貯蔵器(16)からは、層ごとに粉末(28)が、前記粉体床(7)の新しい粉体層のために適用可能である装置において、
新しい粉体層のために適用されるべき前記粉末(28)を予熱する手段(19)が存在しており、前記粉末貯蔵器(16)からの粉末は、選択的に、新しい粉体層の塗布のために必要な量の粉末が装入される予熱チャンバ(19)内で予熱され、任意で分配器(22)を通じて、前記プロセスチャンバ(31)に導入されるので、加熱された前記粉末(28)は、粉体層として、すでに存在する前記粉体床(7)の上に分配され得ることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
すでに存在する前記粉体床(7)のためのさらなる加熱装置が、前記装置(1)内に存在する、請求項に記載の装置。
【請求項3】
付加製造のための装置において、請求項1又は2に記載の装置(1)を用いて、部材(10)を付加製造するための方法であって、
供給されるべき粉体層のために必要な粉末(28)が予熱され、その後選択的に、エネルギービーム(13)を用いて圧縮される方法。
【請求項4】
すでに存在している前記粉体床(7)が加熱される、請求項に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2018年6月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造のための装置(1)であって、
前記装置(1)は少なくとも、可動式のプラットフォーム(4)と粉末貯蔵器(16)とを有しており、
前記プラットフォーム(4)の上には、粉体床(7)が、粉体層のために連続的に付加される粉末(28)によって、連続的に形成可能であり、
前記粉体床(7)内では、製造されるべき部材(10)が段階的に製造され、
前記粉体床(7)は、選択的に、エネルギービーム(13)によって、プロセスチャンバ(31)内で圧縮可能であり、
前記粉末貯蔵器(16)からは、層ごとに粉末(28)が、前記粉体床(7)の新しい粉体層のために適用可能である装置において、
新しい粉体層のために適用されるべき前記粉末(28)を予熱する手段(19)が存在しており、前記粉末貯蔵器(16)からの粉末は、選択的に、新しい粉体層の塗布のために必要な量の粉末が装入される予熱チャンバ(19)内で予熱され、分配器(22)を通じて、前記プロセスチャンバ(31)に導入されるので、加熱された前記粉末(28)は、粉体層として、すでに存在する前記粉体床(7)の上に分配され得ることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
すでに存在する前記粉体床(7)のためのさらなる加熱装置が、前記装置(1)内に存在する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
付加製造のための装置において、請求項1又は2に記載の装置(1)を用いて、部材(10)を付加製造するための方法であって、
供給されるべき粉体層のために必要な粉末(28)が予熱され、その後選択的に、エネルギービーム(13)を用いて圧縮される方法。
【請求項4】
すでに存在している前記粉体床(7)が加熱される、請求項3に記載の方法。
【国際調査報告】