特表2018-532321(P2018-532321A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-532321(P2018-532321A)
(43)【公表日】2018年11月1日
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 13/00 20060101AFI20181005BHJP
   H04B 5/00 20060101ALI20181005BHJP
【FI】
   H04B13/00
   H04B5/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-514818(P2018-514818)
(86)(22)【出願日】2016年9月19日
(85)【翻訳文提出日】2018年3月19日
(86)【国際出願番号】KR2016010406
(87)【国際公開番号】WO2017048090
(87)【国際公開日】20170323
(31)【優先権主張番号】10-2015-0131519
(32)【優先日】2015年9月17日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515351884
【氏名又は名称】ユニスト(ウルサン ナショナル インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー)
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100148356
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 英人
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(72)【発明者】
【氏名】フランクリン ドン ビェン
【テーマコード(参考)】
5K012
【Fターム(参考)】
5K012AB03
5K012AB08
5K012AB18
5K012AB19
5K012AE02
5K012BA05
(57)【要約】
隔壁の厚さに関わらず、船舶内で無線でデータ送受信を可能にする本発明の一実施形態に係る船舶用ネットワーク通信システムは、船体を複数の空間に区分する複数の隔壁のうち、第1隔壁に取り付けられて送信端末から送信される送信データを受信する第1通信装置と、前記隔壁のうち第2隔壁に取り付けられて近距離磁場通信により前記第1イーサネット通信モジュールから前記送信データを受信し、受信された送信データを受信端末に伝達する第2通信装置とを含み、前記第1通信装置及び前記第2通信装置は、前記第1隔壁及び前記第2隔壁を通信媒体として近距離磁場通信を行うことを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝導性オブジェクトに電磁場を誘導することによって、前記オブジェクトを媒質とする通信を行う信号送受信装置において、
有線通信及び無線通信のうち少なくとも1つの第1通信方式により外部通信端末とデータを交換する外部通信モジュールと、
前記オブジェクト内に前記電磁場を誘導し、前記データを前記誘導された電磁場に信号を乗せて送信する磁場通信モジュールと、
を含む信号送受信装置。
【請求項2】
前記磁場通信モジュールは、磁気共振方式に関わる複数のコイルを含む、請求項1に記載の信号送受信装置。
【請求項3】
前記複数のコイルは、3×3(3by3)マトリックス形態に配置される9個のコイルを含む、請求項2に記載の信号送受信装置。
【請求項4】
前記伝導性オブジェクトは金属隔壁を含み、
前記磁場通信モジュールは、電源が供給されて前記金属隔壁内部及び相手装置に前記電磁場を誘導し、前記外部通信モジュールが電気信号の形態で提供する前記データを前記電磁場に乗せて送信する、請求項1に記載の信号送受信装置。
【請求項5】
前記伝導性オブジェクトは、物理的に互いに離隔可能であり、互いに接触している複数の金属隔壁を含み、
前記磁場通信モジュールは、前記電源が供給されて前記複数の金属隔壁及び相手装置に前記電磁場を誘導し、前記データを前記電磁場に乗せて送信する、請求項4に記載の信号送受信装置。
【請求項6】
前記外部通信モジュールはイーサネット通信モジュールを含み、
前記イーサネット通信モジュールは、周波数偏移変調(Frequency Shift Keying:FSK)方式及び位相偏移変調(Phase Shift Keying:PSK)方式のうちいずれか1つの方式により前記データを電気信号の形態で前記磁場通信モジュールに提供する、請求項1に記載の信号送受信装置。
【請求項7】
前記磁場通信モジュールは、前記外部通信モジュールが提供する前記データを位相変調方式(Phase Modulation:PM)によって変調して前記誘導された電磁場に乗せて送信する、請求項1に記載の信号送受信装置。
【請求項8】
前記磁場通信モジュールは、前記伝導性オブジェクトから相手端末が送信した信号を受信する場合、前記データを位相変調方式により変調して前記外部通信モジュールに提供する、請求項1に記載の信号送受信装置。
【請求項9】
前記磁場通信モジュールは、前記オブジェクトの材料及び厚さに応じて異なるように調整される共振周波数を有する、請求項1に記載の信号送受信装置。
【請求項10】
前記信号送受信装置が相手方装置と通信する場合、前記磁場通信モジュールは、伝導性オブジェクトを挟んで前記相手方装置と互いに向かい合う対向位置に配置されない、請求項1に記載の信号送受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関し、より具体的に、船舶用ネットワーク通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
造船事業は国家基幹産業として、造船事業の競争力を維持するために船舶を少ないコストで短時間に建造するなど、船舶建造の効率性を向上させることが極めて重要である。
【0003】
建造中の船舶では、船舶の建造段階に応じて各部分の組立順序が決定され、一方の部分の進捗状況、事故状況は他の部分でもリアルタイムで共有されるべきである。したがって、建造中の船舶では通信が切実に必要とされる。
【0004】
例えば、建造中の船舶の一部に対する設計が変更された場合、設計が変更された部分を作業する現場でも変更された設計図を迅速に受信することはもちろん、他の部分においても変更された設計を反映して船舶建造の順序を変更しなければならない。又は、他の部分の設計、施工も変更しなければならない。
【0005】
しかし、船舶の内部は、厚い厚さを有する隔壁を介して複数の空間に区分され、電波の遮蔽が極めて激しい劣悪な無線通信環境であって、従来の電波を用いる無線通信技術を適用することが難しい。また、コスト、時間、そして船舶の建造作業による内部環境の持続的な変化などの問題により、船舶の建造作業のうち有線通信施設の設置も困難である。
【0006】
このような問題点を解決するために、韓国公開特許第10−2011−0031098号(以下、先行文献1)では、超音波を用いた通信システムが提案されている。
【0007】
しかし、超音波の場合、最大57mmの厚さを有する金属壁を透過することしかできないため、57mm以上の厚さを有する船舶隔壁を透過することができず、先行文献1を始めとする従来技術による通信システムの場合、隔壁の厚さが厚くなる場合は適用することができないという限界がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一側面によれば、本発明は、下記のような構成を含み得る。伝導性オブジェクトに電磁場を誘導することによって前記オブジェクトを媒質とする通信を行う信号送受信装置において、有線通信及び無線通信のうち少なくとも1つの第1通信方式により外部通信端末とデータを交換する外部通信モジュールと、前記オブジェクト内に前記電磁場を誘導し、前記データを前記誘導された電磁場に信号を乗せて送信する磁場通信モジュールとを含む信号送受信装置が提供される。
【0009】
一実施形態によれば、前記磁場通信モジュールは、磁気共振方式に関わる複数のコイルを含み得る。また、前記複数のコイルは、3×3(3by3)マトリックス形態に配置される9個のコイルを含み得る。
【0010】
他の一実施形態によれば、前記伝導性オブジェクトは金属隔壁を含み、前記磁場通信モジュールは、電源が供給されて前記金属隔壁内部及び相手装置に前記電磁場を誘導し、前記外部通信モジュールが電気信号の形態で提供する前記データを前記電磁場に乗せて送信し得る。また、前記伝導性オブジェクトは、物理的に互いに離隔可能であり、互いに接触している複数の金属隔壁を含み得る。前記磁場通信モジュールは、前記電源が供給されて前記複数の金属隔壁及び相手装置に前記電磁場を誘導し、前記データを前記電磁場に乗せて送信し得る。
【0011】
更なる一実施形態によれば、前記外部通信モジュールはイーサネット(登録商標)通信モジュールを含み得る。また、前記イーサネット通信モジュールは、周波数偏移変調方式及び位相偏移変調方式のうちいずれか1つの方式により前記データを電気信号の形態で前記磁場通信モジュールに提供し得る。
【0012】
更なる一実施形態によれば、前記磁場通信モジュールは、前記外部通信モジュールが提供する前記データを位相変調方式によって変調して前記誘導された電磁場に乗せて送信し得る。
【0013】
更なる一実施形態によれば、前記磁場通信モジュールは、前記伝導性オブジェクトから相手端末が送信した信号を受信する場合、前記データを位相変調方式により変調して前記外部通信モジュールに提供し得る。
【0014】
更なる一実施形態によれば、前記磁場通信モジュールは、前記オブジェクトの材料及び厚さに応じて異なるように調整される共振周波数を有し得る。
【0015】
更なる一実施形態によれば、前記信号送受信装置が相手方装置と通信する場合、前記磁場通信モジュールは、伝導性オブジェクトを挟んで前記相手方装置と互いに向かい合う対向位置に配置されなくてもよい。
【0016】
更なる一側面によれば、本発明は、下記の構成を含み得る。まず、本発明の一実施形態に係る船舶用ネットワーク通信システムは、船体を複数の空間に区分する複数の隔壁のうち、第1隔壁に取り付けられて送信端末から送信される送信データを受信する第1通信装置と、前記隔壁のうち第2隔壁に取り付けられて近距離磁場通信により前記第1イーサネット通信モジュールから前記送信データを受信し、受信された送信データを受信端末に伝達する第2通信装置とを含み、前記第1通信装置及び前記第2通信装置は、前記第1隔壁及び前記第2隔壁を通信媒体として近距離磁場通信を行うことを特徴とする。
【0017】
前記第1通信装置は、前記送信端末からTCP/IPによってイーサネット基盤の送信データを受信し、前記イーサネット基盤の送信データを周波数偏移変調方式又は位相偏移変調方式によりアナログ形態の送信データに変換する第1イーサネット通信モジュールと、前記第1イーサネット通信モジュールから前記アナログ形態の送信データを受信して位相変調方式により変調する第1磁場通信モジュールとを含み、前記第2通信装置は、前記第1及び第2隔壁を介して前記第1磁場通信モジュールから位相変調された送信データを受信してデジタル形態の送信データに変換し、デジタル形態の送信データをパルス符号変調方式により変調する第2磁場通信モジュールと、前記第2磁場通信モジュールから前記パルス符号変調した送信データを受信してイーサネット基盤の送信データに変換し、前記変換されたイーサネット基盤の送信データをTCP/IPによって受信端末に送信する第2イーサネット通信モジュールを含むことを特徴とする。
【0018】
前記船舶用ネットワーク通信システムは、前記送信端末を有線ネットワーク又は無線ネットワークを介して前記第1イーサネット通信モジュールに接続させる第1APと、前記受信端末を有線ネットワーク又は無線ネットワークを介して前記第2イーサネット通信モジュールに接続させる第2APとをさらに含み得る。
【0019】
前記船舶用ネットワーク通信システムにおいて、前記第1及び第2隔壁が同じ隔壁である場合、前記第1通信装置は前記第1隔壁の第1面に取り付けられ、前記第2通信装置は前記第1隔壁の第2面に取り付けられ得る。
【0020】
前記船舶用ネットワーク通信システムは、前記第1通信装置は、前記第1通信装置に電源を供給するための第1バッテリを含み、前記第2通信装置は、前記第2通信装置に電源を供給するための第2バッテリを含み、前記第1及び第2バッテリは、外部電源に接続されて外部電源から供給される電力を用いて充電されることを特徴とする。
【0021】
前記船舶用ネットワーク通信システムにおいて、前記第1隔壁及び前記第2隔壁が1つ以上の第3隔壁を介して接続されている場合、前記第1通信装置及び前記第2通信装置は、前記第1隔壁、前記第2隔壁、及び前記第3隔壁を通信媒体として近距離磁場通信を行う。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る船舶用ネットワーク通信システムが適用された船舶の構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る船舶用ネットワーク通信システムの構成を示す図である。
図3A図2に示された磁場通信モジュールの一例を示す図である。
図3B図2に示された磁場通信モジュールの一例を示す図である。
図4A】本発明の様々な実施形態に係る船舶用ネットワーク通信システムの構成を示す図である。
図4B】本発明の様々な実施形態に係る船舶用ネットワーク通信システムの構成を示す図である。
図4C】本発明の様々な実施形態に係る船舶用ネットワーク通信システムの構成を示す図である。
図4D】本発明の様々な実施形態に係る船舶用ネットワーク通信システムの構成を示す図である。
図4E】本発明の様々な実施形態に係る船舶用ネットワーク通信システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書で各図面の構成要素に参照番号を付加することにおいて、同じ構成要素に限って、たとえ、他の図面上に表示されていても可能な限り同じ番号を有することに留意しなければならない。
【0024】
一方、本明細書に記載される用語の意味は、次のように理解されるべきである。
【0025】
単数の表現は、文脈上、明白に異なるように定義しない限り複数の表現を含むものとして理解されるべきであり、「第1」、「第2」などの用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別するためのものであるため、これらの用語によって権利範囲が限定されてはならない。
【0026】
「含む」又は「有する」などの用語は、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0027】
「少なくとも1つ」の用語は、1つ以上の関連項目から提示可能なすべての組合せを含むものとして理解されるべきである。例えば、「第1項目、第2項目及び第3項目のうち少なくとも1つ」の意味は、第1項目、第2項目、又は第3項目のそれぞれだけではなく、第1項目、第2項目及び第3項目のうち2つ以上から提示され得るすべての項目の組合せを意味する。
【0028】
以下、本発明に係るレベル測定装置に対する実施形態を添付する図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明に係る船舶用ネットワーク通信システムが適用された船舶の構成を示す図である。
【0030】
図1に示すように、本発明に係る船舶用ネットワーク通信システム100は船舶110に用いられる。一般に、船舶110は、図1に示すように、複数の隔壁112を介して複数の隔室に区分され、船舶用ネットワーク通信システム100を構成する通信装置210a、210bは隔壁112を挟んで配置される。例えば、通信装置210a、210bは隔室内に配置されてもよい。一実施形態において、本発明に係る通信装置210a、210bは隔壁112に設けられる。
【0031】
図1では、2つの通信装置210a、210bのみが図示されているが、船舶110内における円滑な通信を行うために複数の隔壁112のそれぞれに通信装置210が設けられてもよい。
【0032】
本発明に係る通信装置210a、210bは、図1に示すように、隔壁112の第1面に設けられる第1通信装置210a、及び隔壁112の第2面に設けられる第2通信装置210bを含む。ここで、第2面は、隔壁112における第1面の反対になる面を意味する。
【0033】
以下では、説明の便宜のために船舶用ネットワーク通信システム100が第1通信装置210a及び第2通信装置210bを含むものと仮定し、第1通信装置210a及び第2通信装置210bの具体的な構成及びその機能を図2ないし図4を参照して具体的に説明する。
【0034】
図2は、本発明の一実施形態に係る船舶用ネットワーク通信システムの構成を示す図である。
【0035】
図2に示すように、本発明の一実施形態に係る船舶用ネットワーク通信システム100は、隔壁112に設けられる第1通信装置210a及び第2通信装置210bを含む。また、本発明の一実施形態に係る船舶用ネットワーク通信システム100は、第1AP(Access Point)220、第2AP230をさらに含む。以下の説明では、船舶用ネットワーク通信システム100が第1AP220及び第2AP230を含むものと仮定して説明する。
【0036】
第1通信装置210aは、隔壁112の第1面に取り付けられて送信端末240から送信データを受信し、受信された送信データを、隔壁112を通信媒体として近距離磁場通信を用いて第2通信装置210bに伝達する。
【0037】
第2通信装置210bは隔壁112の第1面に取り付けられ、隔壁112を通信媒体として第1通信装置210aから伝達される送信データを受信して受信端末250に送信する。
【0038】
第1通信装置210aは、図2に示すように、第1イーサネット通信モジュール212a、第1磁場通信モジュール214a、及び第1バッテリ216aを含み、第2通信装置210bは、第2イーサネット通信モジュール212b、第2磁場通信モジュール214b、及び第2バッテリ216bを含む。
【0039】
第1イーサネット通信モジュール212aは、送信端末240から受信端末260に送信する送信データを受信する。具体的に、第1イーサネット通信モジュール212aは、内部に含まれたTCP/IPプロトコルソケットモジュール(図示せず)によって送信端末240からTCP/IPプロトコルによりイーサネット基盤の送信データを受信する。
【0040】
一実施形態において、送信端末240は、内部ネットワーク(例えば、社内ネットワーク)260に連動するデータベース、ウェブサーバー、メッセンジャーサーバ、又は、ファイルサーバなどのように有線でデータを送信できる装置であるか、スマートフォン、ノート型パソコン、又は、無線機などのように無線でデータを送信できる装置であり得る。
【0041】
送信端末240から送信されるデータは、文字列データ、音声データ、及び映像データを含み得る。
【0042】
このような実施形態の場合、第1イーサネット通信モジュール212aは、第1AP220を介して内部ネットワーク260に接続されることで、有線でデータを送信することができる送信端末240から送信データを受信し、第1AP230を介して無線網に接続されることで、無線でデータを送信することができる送信端末240から送信データを受信することになる。
【0043】
上述した実施形態では、第1イーサネット通信モジュール212aが第1AP220を介して内部ネットワーク260に接続されるものとして説明したが、変形された実施形態において、第1イーサネット通信モジュール212aは内部ネットワーク260に直接接続されてもよい。
【0044】
第1イーサネット通信モジュール212aは、送信端末240からTCP/IPプロトコルを介してイーサネット基盤の送信データが受信されれば、受信された送信データを周波数偏移変調(Frequency Shift Keying:FSK)方式、又は位相偏移変調(Phase Shift Keying:PSK)方式により変調する。
【0045】
周波数偏移変調方式は、搬送波の離散周波数の変化に応じてデジタルデータが送信される周波数の変調体系を意味する。最も簡単な周波数の偏移変調方式は、2進周波数偏移変調(Binary FSK:BFSL)方式である。2進周波数偏移変調方式は、2進数情報(0及び1)を送信するために一対の離散周波数を使用する。2進周波数偏移変調方式により、「1」はマーク周波数(Mark Frequency)と呼ばれ、「0」は空間周波数(Space Frequency)と呼ばれる。
【0046】
位相偏移変調方式は、基準信号(搬送波)の位相を変更又は変調することによりデータを送信するデジタル変調方式を意味する。すべてのデジタル変調方式は、デジタルデータを表現するために限定された数の区分される信号を使用する。位相偏移変調方式は、2進数字の固有なパターンが割り当てられた決定された数の位相を使用し、それぞれの位相は同じ数のビットを符号化する。それぞれのビットパターンは、特定の位相と表示される記号を形成する。これによって、変調されたデータを復調する側では受信された信号の位相を把握し、これを再び位相が示す記号にマッピングして本来のデータを復旧する。
【0047】
周波数偏移変調又は位相偏移変調が完了すると、第1イーサネット通信モジュール212aは、内部に含まれたデジタル・アナログコンバータを用いて周波数偏移変調又は位相偏移変調した送信データをアナログ形態の送信データに変換し、アナログ形態の送信データを第1磁場通信モジュール214aに伝達する。
【0048】
第1磁場通信モジュール214aは、第1イーサネット通信モジュール212aからアナログ形態の送信データを受信し、受信されたアナログ形態の送信データを位相変調方式(Phase Modulation:PM)によって変調する。位相変調方式は、入力信号の振幅に対して搬送波の位相を変化させる変調方式を意味する。このような位相変調方式は、サイン搬送波の角度が極性に変化して常に二種類しかないことから、出力が安定して高密度の記録に適する。
【0049】
第1磁場通信モジュール214aは位相変調が完了すると、位相変調した送信データを、隔壁112を通信媒体として近距離磁場通信により第2磁場通信モジュール214bに伝達する。
【0050】
一実施形態において、第1磁場通信モジュール214aは、図3Aに示すように、隔壁112を通過してデータを伝達するために、磁気共振型で共振される9−コイルに実現され得る。ここで、各コイルは、図3Aに示すように、3×3マトリックスの形態に配置されてもよい。
【0051】
第1バッテリ216aは、第1通信装置210a及び第1AP220のうち少なくとも1つに電源を供給するためのものとして、図2に示すように、外部電源270に接続して外部電源270から電力が供給されて充電される。
【0052】
第2磁場通信モジュール214bは、第1磁場通信モジュール214aによって変調された送信データを、隔壁112を通信媒体として近距離磁場通信により受信する。第2磁場通信モジュール214bは、内部に含まれたアナログ−デジタルコンバータによってアナログ形態の送信データをデジタル形態に変換する。送信データのデジタル変換が完了すると、第2磁場通信モジュール214bは、デジタルタイプの送信データをパルス符号変調方式(Pulse Code Modulation:PCM)により変調して第1イーサネット通信モジュール212bに伝達する。
【0053】
一実施形態において、第2磁場通信モジュール214bは、第1磁場通信モジュール214aとの近距離磁場通信のために、図3Bに示すように、磁気共振型で共振される9−コイルに実現され得る。ここで、各コイルは、図3Bに示すように、3×3マトリックスの形態に配置され、第1磁場通信モジュール214aと第2磁場通信モジュール214bの共振周波数は隔壁112の材料及び厚さに応じて調整される。
【0054】
上述したように、本発明の場合、第1磁場通信モジュール214a及び第2磁場通信モジュール214bは、隔壁112を通信媒体として近距離磁場通信により送信データを送受信するため、隔壁112上で設置位置を自由に設定することができる。すなわち、第1磁場通信モジュール214aと第2磁場通信モジュール214bが磁場通信のために互いに対称する位置に設けられる必要がない。
【0055】
第2イーサネット通信モジュール212bは、第2磁場通信モジュール214bによってパルス符号変調した送信データを受信し、受信された送信データをTCP/IPプロトコルによるイーサネット基盤の送信データに変換して第2AP230を介して受信端末250に送信する。
【0056】
一方、第2イーサネット通信モジュール212bに送信データを受信する受信端末250は、スマートフォン、ノート型パソコン、又は、無線機などのように無線でデータを受信できる機能を有する装置であるか、IP(Internet Protocol)カメラ、IoT(Internet of Things)センサ、LAN(Local Area Network)基盤装置などのように有線でデータを受信できる機能を有する装置であってもよい。
【0057】
このような実施形態によれば、受信端末250が無線でデータを受信できる機能を有する装置である場合、受信端末250は、無線網を介して第2AP230に接続して送信データを受信することになり、受信端末250が有線でデータを受信できる機能を有する装置である場合、受信端末250は第2AP230に直接接続されて送信データを受信することになる。
【0058】
第2バッテリ216bは、第2通信装置210b及び第2AP230のうち少なくとも1つに電源を供給するためのもので、別途の外部電源280から電力が供給されて充電され得る。
【0059】
図2において、第1AP220は、第1バッテリ216aから電源が供給され、第2AP230は、第2バッテリ216bから電源が供給されるものとして説明したが、変形された実施形態において、第1AP220は外部電源270から直接電源が供給され、第2AP230は外部電源280から直接電源が供給されてもよい。
【0060】
上述した実施形態において、第1通信装置210aは送信端末240から送信データを受信し、第2通信装置210bは第1通信装置210aから伝達される送信データを受信端末250に送信するものとして記載したが、変形された実施形態において、第2通信装置210bは受信端末250から送信データを受信し、第1通信装置210aは第2通信装置210bから伝達される送信データを送信端末240に送信することも可能である。このような実施形態によれば、上述した第1イーサネット通信モジュール212aの機能と第2イーサネット通信モジュール212bの機能は互いに代替され、第1磁場通信モジュール214aの機能と第2磁場通信モジュール214bの機能は互いに代替される。
【0061】
このような実施形態によれば、隔壁の厚さに関わらず、船舶内で有線又は無線でデータ送受信を可能にする船舶用ネットワーク通信システムが提供され得る。また、隔壁を通信媒体として近距離磁場通信方式を用いてデータを送信できる船舶用ネットワーク通信システムが提供され得る。また、隔壁上における取り付け位置を自由に決定できる船舶用ネットワーク通信システムが提供され得る。
【0062】
変形された実施形態
図2では、第1イーサネット通信モジュール212aと第1磁場通信モジュール214aが第1通信装置210a内に一体に構成され、第2イーサネット通信モジュール212bと第2磁場通信モジュール214bが第2通信装置210b内に一体に構成されるものとして説明した。
【0063】
しかし、変形された実施形態において、図4Aに示すように、第1イーサネット通信モジュール212aと第1磁場通信モジュール214aは互いに物理的に分離して構成されて第1ケーブル410を介して接続され、第2イーサネット通信モジュール212bと第2磁場通信モジュール214bは互いに物理的に分離して構成されて第2ケーブル420を介して接続されてもよい。
【0064】
このような実施形態によれば、第1磁場通信モジュール214aは隔壁112の第1面に取り付けられ、第2磁場通信モジュール214bは隔壁112の第2面に取り付けられてもよい。
【0065】
また、図2では、第1通信装置210aと第2通信装置210bが1つの隔壁112を挟んで配置され、データを送受信するものとして説明したが、第1通信装置210aと第2通信装置210bは隔壁を通信媒体として近距離磁場通信を行うため、複数の隔壁を通信媒体としてデータを送受信し得る。
【0066】
例えば、図4Bに示すように、互いに接続された第1隔壁112a及び第2隔壁112bが存在し、第1通信装置210aは第1隔壁112aの第1面に取り付けられ、第2通信装置210bは第2隔壁112bの第2面に取り付けられている場合、第1通信装置210a及び第2通信装置210bは、第1隔壁112a及び第2隔壁112bを通信媒体としてデータを送受信してもよい。
【0067】
異なる例として、図4Cに示すように、第1隔壁112a、第2隔壁112b、及び第3隔壁112cが存在し、第1隔壁112a及び第2隔壁112bが第3隔壁112cを介して連結され、第1通信装置210aは第1隔壁112aの第1面に取り付けられ、第2通信装置210bは第3隔壁112cの第2面に取り付けられている場合、第1通信装置210a及び第2通信装置210bは、第1隔壁112aないし第3隔壁112cを通信媒体としてデータを送受信してもよい。
【0068】
更なる例として、図4Dに示すように、第1隔壁112aないし第5隔壁112eが存在し、第1隔壁112a及び第5隔壁112eが第2隔壁112bないし第4隔壁112dを介して連結され、第1通信装置210aは第1隔壁112aの第1面に取り付けられ、第2通信装置210bは第5隔壁112eの第2面に取り付けられている場合、第1通信装置210a及び第2通信装置210bは、第1隔壁112aないし第5隔壁112eを通信媒体としてデータを送受信してもよい。
【0069】
更なる例として、図4Eに示すように、第1通信装置210aないし第3通信装置210cが第1隔壁112a、第2隔壁112b、及び第3隔壁112cを介して分離されている隔室内に配置されても、第1通信装置210aないし第3通信装置210cは、第1隔壁112aを通信媒体としてデータを送受信してもよい。
【0070】
このような実施形態によれば、船舶用ネットワーク通信システムは、80mm以上の厚さを有する隔壁から構成された船舶内でも有線及び無線でデータを送受信することができる。また、船舶用ネットワーク通信システムは、隔壁を通信媒体として近距離磁場通信方式を用いてデータを送受信するため、船舶内で高速にデータを送受信できる。また、船舶用ネットワーク通信システムは、隔壁を通信媒体として利用できるため、隔壁上における第1通信装置及び第2通信装置の取り付け位置を自由に設定でき、システムの実現の自由度を向上させ得る。
【0071】
以上で説明した本発明は、前述した実施形態及び添付された図面に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を脱避しない範囲内で様々な置換、変形、及び変更が可能であることが本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば明白であろう。
【符号の説明】
【0072】
100:船舶用ネットワーク通信システム
110:船舶
112:隔壁
210a:第1通信装置
212a:第1イーサネット通信モジュール
214a:第1磁場通信モジュール
216a:第1バッテリ
210b:第2通信装置
212b:第2イーサネット通信モジュール
214b:第2磁場通信モジュール
216b:第2バッテリ
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
【国際調査報告】