(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-532377(P2018-532377A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(54)【発明の名称】電子ベイパー装置用液剤
(51)【国際特許分類】
A24F 47/00 20060101AFI20181012BHJP
A61K 31/465 20060101ALN20181012BHJP
A61P 25/34 20060101ALN20181012BHJP
A61K 9/08 20060101ALN20181012BHJP
A61K 9/72 20060101ALN20181012BHJP
A61K 47/04 20060101ALN20181012BHJP
A61K 47/10 20060101ALN20181012BHJP
A61K 47/12 20060101ALN20181012BHJP
【FI】
A24F47/00
A61K31/465
A61P25/34
A61K9/08
A61K9/72
A61K47/04
A61K47/10
A61K47/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-510806(P2018-510806)
(86)(22)【出願日】2016年9月16日
(85)【翻訳文提出日】2018年2月26日
(86)【国際出願番号】EP2016072075
(87)【国際公開番号】WO2017046400
(87)【国際公開日】20170323
(31)【優先権主張番号】14/858,638
(32)【優先日】2015年9月18日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】コバル ゲルト
(72)【発明者】
【氏名】リ サン
(72)【発明者】
【氏名】スミス バリー エス
【テーマコード(参考)】
4B162
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4B162AA06
4B162AA22
4B162AB14
4B162AB23
4C076AA12
4C076AA13
4C076AA25
4C076AA93
4C076BB21
4C076CC01
4C076DD22
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD42
4C076DD43
4C076FF12
4C086BC20
4C086GA07
4C086GA08
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4C086MA03
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4C086MA12
4C086MA17
4C086MA56
4C086NA10
4C086ZC39
(57)【要約】
eベイピング装置(60)用の液剤が提供され、この液剤は、蒸気形成剤、任意で水、ニコチン、および任意で酸を含む。蒸気形成剤は、プロピレングリコールを含み、実質的にグリセリンまたはグリセロールを含まない。液剤は、eベイピング装置(60)内で加熱されたときに粒子相とガス相を有する蒸気を形成するように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
eベイピング装置用の液剤であって、前記液剤は、
プロピレングリコールを含み、実質的にグリセロールを含まない蒸気形成剤と、
ニコチンと、を含み、
前記液剤は、前記eベイピング装置内で加熱されたときに粒子相とガス相を有する蒸気を形成するように構成される、液剤。
【請求項2】
水をさらに含む、請求項1に記載の液剤。
【請求項3】
プロピレングリコールの濃度は80%であり、水の濃度は20%である、請求項2に記載の液剤。
【請求項4】
ニコチンの濃度は、1.5重量%以下である、請求項1、2、または3に記載の液剤。
【請求項5】
ニコチンの濃度は、1.5重量%である、請求項4に記載の液剤。
【請求項6】
ニコチンの濃度は、1重量%、または0.5重量%である、請求項4に記載の液剤。
【請求項7】
ニコチンの濃度は、2重量%、2.5重量%、または3重量%である、請求項1、2、または3に記載の液剤。
【請求項8】
前記蒸気形成剤から形成される蒸気粒子は、グリセロールを含む異なる蒸気形成剤から形成される蒸気粒子よりも大きい平均直径を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の液剤。
【請求項9】
前記蒸気形成剤から形成される前記蒸気粒子の蒸発率は、グリセロールを含む前記異なる蒸気形成剤から形成される蒸気粒子の蒸発率よりも大きい、請求項8に記載の液剤。
【請求項10】
前記液剤は、溶液の形態である、請求項1〜9のいずれかに記載の液剤。
【請求項11】
ピルビン酸、ギ酸、シュウ酸、グルコール酸、酢酸、イソバレリアン酸、吉草酸、プロピオン酸、オクタン酸、乳酸、ソルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、オレイン酸、アコニット酸、酪酸、ケイ皮酸、デカン酸、3、7−ジメチル−6−オクテン酸、1−グルタミン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、3−ヘキサン酸、トランス−2−ヘキサン酸、イソブチル酸、ラウリン酸、2−メチル酪酸、2−メチル吉草酸、ミイスチン酸、ノナン酸、パルミチン酸、4−ペンテン酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸、塩酸、リン酸、および硫酸のうちの少なくとも1つを含む酸性化合物をさらに含む、請求項1〜10のいずれかに記載の液剤。
【請求項12】
酒石酸水素ニコチンをさらに含む、請求項1〜11のいずれかに記載の液剤。
【請求項13】
eベイピング装置の改良方法であって、前記eベイピング装置は、液剤を含むカートマイザーを含み、前記方法は、
プロピレングリコールを含み、実質的にグリセロールを含まない蒸気形成剤を前記液剤に添加することと、
ニコチンを前記液剤に添加することと、を含む、方法。
【請求項14】
水を前記液剤に添加することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記蒸気形成剤を添加することは、80%のプロピレングリコールを添加することを含み、
前記水を添加することは、20%の水を添加することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ニコチンを添加することは、1.5重量%以下の濃度でニコチンを添加することを含む、請求項13、14、または15に記載の方法。
【請求項17】
前記ニコチンを添加することは、1.5重量%のニコチンを前記液剤に添加することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ニコチンを添加することは、1重量%または0.5重量%を前記液剤に添加することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ニコチンを添加することは、2重量%のニコチンまたは2.5重量%のニコチン、または3重量%のニコチンを前記液剤に添加することを含む、請求項13、14または15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、eベイピング装置用の液剤に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ベイピング装置(またはeベイピング装置)は、ユーザー(成人電子ベイパーまたは成人ベイパー)が蒸気を吸い込むために液体材料を蒸気に気化させるために使用される。eベイピング装置は通常、液体材料を気化させて蒸気を生成するヒーターを含む。eベイピング装置は、電源、ヒーターを含むカートリッジまたはeベイピングタンク、および液体材料を保持可能なリザーバを含むいくつかのeベイピング要素を含み得る。
【0003】
たばこベースの喫煙物品は通常、咽喉における粗さの応答をやわらげる低さ、および胸部で知覚される暖かさを含む、成人喫煙者に馴染みのある感覚的経験を創出することが知られる蒸気を発生する。咽喉における粗さおよび胸部で知覚される暖かさの好ましいレベルは、成人の喫煙者によって異なる。eベイピング装置のユーザー(成人ベイパー)は一般的に、粗さはそれほど生成しないが楽しいまたは馴染みのある経験を生成するのに十分である装置の蒸気を吸う(vape)ことを好む。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第一の態様によれば、第一のセクションを含むeベイピング装置が提供されている。第一のセクションは、長軸方向に延伸する外側円筒形管、外側円筒形管内の内側円筒形管、および液体材料を含む液体供給源を含む。液体供給源は、外側円筒状管と内側円筒状管との間の外側環状部内に含有される。第一のセクションは、内側円筒形管内に位置するヒーターと、液体供給源と連通しかつヒーターと連通するウィックと、第一のセクションの近位端において内側円筒形管と流体連通するマウスピースと、をさらに含む。eベイピング装置は、第二のセクションをさらに含み、第二のセクションは電源を含む。第一のセクションは、第一のセクションの遠位端において雄ねじコネクタを含んでもよい。第二のセクションは、第二のセクションの近位端において雌ねじコネクタを含んでもよい。あるいは、第一のセクションが雌ねじコネクタを含み、第二のセクションが雄ねじコネクタを含んでもよい。いずれの場合でも、雌ねじコネクタは、雄ねじコネクタの第一のねじ山と嵌め合わされる第二のねじ山を有する。
【0005】
本発明の第二の態様によると、蒸気を発生するよう構成されたeベイピング装置が提供されており、このeベイピング装置は、蒸気前駆体または液剤を含有する液体リザーバとヒーターとを含み、リザーバとヒーターは流体連通している。ヒーターは、蒸気前駆体または液剤を気化するよう構成される。蒸気前駆体または液剤は、eベイピング装置の動作時にニコチンガス相構成要素を有する蒸気を形成するように構成される。蒸気前駆体または液剤は、蒸気形成剤と、ニコチンと、任意で水と、蒸気前駆体または液剤が酸を含まないeベイピング装置のニコチンガス相構成要素に比べて約70重量%以上ニコチンガス相成分を低減するのに十分な量で含まれる酸と、の混合物を含む。別の実施形態では、酸の添加によって、約40重量%〜約70重量%の範囲でガス相ニコチン含有量を低減することで十分とし得る。
【0006】
本発明のeベイピング装置は、たばこベースの製品を喫煙している間に楽しまれる感覚的経験に類似の感覚的経験をユーザーに提供するよう構成されてもよい。
【0007】
本発明によるeベイピング装置は、たばこベースの製品を喫煙するときに成人喫煙者によって経験される粗さおよび暖かさのレベルに類似する咽喉の粗さのレベルと胸部で知覚される暖かさのレベルを含む感覚的経験を提供するよう構成されてもよい。
【0008】
本発明の第三の態様によると、eベイピング装置用の蒸気前駆体または液剤が提供されており、蒸気前駆体または液剤は、蒸気形成剤と、ニコチンと、任意で水と、の混合物を含む。蒸気前駆体または液剤は、eベイピング装置の動作時にガス相を有する蒸気を形成するように構成される。
【0009】
蒸気前駆体または液剤は酸も含んでよい。酸は蒸気に作用して、蒸気のガス相中のニコチン含有量を低減する。
【0010】
一実施形態では、蒸気形成剤は、プロピレングリコールを含み、実質的にグリセロールまたはグリセリンは含まない。
【0011】
本発明の第四の態様によると、eベイピング装置用の蒸気前駆体または液剤が提供されており、蒸気前駆体または液剤は、蒸気形成剤と、ニコチンと、任意で酸性化合物と、を含み、蒸気前駆体または液剤は、eベイピング装置がユーザーによって使用されるときに蒸気を形成するよう構成される。
【0012】
蒸気前駆体または液剤は、eベイピング装置内で加熱されたときに粒子相とガス相を有する蒸気を形成するように構成されてもよい。
【0013】
蒸気形成剤は、プロピレングリコールを含み、実質的にグリセロールまたはグリセリンは含まない。プロピレングリコールを含み、実質的にグリセロールまたはグリセリンを含まない蒸気形成剤は、ニコチン送達を提供し、カートマイザーにおける高い吸込み率と毛細管効率を有し、容易に蒸発し、そして、プロピレングリコールとグリセロール/グリセリンの両方を含む蒸気形成剤によって形成される蒸気よりも目に見えにくい蒸気を発生する。上記利点は、他の理由の中でも特に、プロピレングリコールがグリセロールよりも実質的に粘着性が小さく、グリセロールよりも沸点が低いという事実のためであり得る。加えて、蒸気形成剤がプロピレングリコールを含みかつ実質的にグリセロール/グリセリンを含まない場合に蒸気を発生させるのに必要なバッテリ電源は小さい。結果として、eベイピング装置の性能が、蒸気形成効率およびバッテリ電源使用の観点から向上する。
【0014】
蒸気の気化が大きくなる結果として、eベイピング装置のベイピング中に発生した蒸気の蒸気相のニコチン濃度である蒸気相ニコチンは、蒸気の低い蒸発率と比較して実質的に増大する。蒸気相ニコチンが大きくなる結果として、ユーザーの胸部における知覚が通常増大する。蒸気相ニコチンが大きくなる別の結果として、eベイピング装置の蒸気前駆体または液剤において使用されるニコチンレベルが小さくなり得る。例えば、実質的に1.5%のニコチンレベル、および約1.5%未満のニコチンレベルが使用されてもよい。例えば、約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、および約3%のニコチンレベルが使用されてもよい。
【0015】
また、蒸気形成剤中のプロピレングリコール濃度が増大すると、ユーザーによって吐き出される蒸気の可視性が低減する。蒸気形成剤がプロピレングリコールを含み、実質的にグリセロールを含まない場合、ユーザーによって吐き出される蒸気は、実質的に目に見えない。したがって、プロピレングリコールを有し、実質的にグリセロール/グリセリンを有さない蒸気形成剤を含む蒸気前駆体または液剤は、目立った量の蒸気を発生することなくユーザーが蒸気を吸う能力を提供する。例えば、実質的に80%のプロピレングリコール、実質的に20%の水、および実質的にグリセロールを有さない蒸気前駆体または液剤は、上記利点を提供し得る。
【0016】
本発明の第五の態様によると、eベイピング装置用の蒸気前駆体または液剤が提供されており、蒸気前駆体または液剤は、蒸気形成剤と、製剤の約1.5%未満の量のニコチンと、水と、任意の酸と、の混合物を含む。
【0017】
一実施形態で、蒸気前駆体または液剤は、実質的に80%のプロピレングリコールと、実質的に15%の水とを有し、実質的にグリセロールを有せず、そして実質的に1.5%のニコチンを含む。
【0018】
蒸気前駆体または液剤は、1つ以上の酸を含んでもよい。酸が蒸気に作用して、ユーザーによって知覚される喉の粗さの量を低減することが好ましい。この場合、酸の濃度は実質的に3.5%とし得る。
【0019】
一実施形態では、蒸気前駆体または液剤は、少なくとも約100℃の沸点を有し、eベイピング装置内でヒーターによって加熱されたときに揮発するよう構成される酸を含んでもよい。蒸気前駆体または液剤は、eベイピング装置内でヒーターによって加熱されたときに粒子相とガス相を有する蒸気を形成するよう構成され、粒子相はプロトン化ニコチンを含有し、ガス相は非プロトン化ニコチンを含み、蒸気は多量のプロトン化ニコチンと少量の非プロトン化ニコチンを有する。一実施形態では、酸は蒸気に作用して、酸がないeベイピング装置の動作時に形成される蒸気と比べてユーザーによって知覚される喉の粗さの量を低減する。
【0020】
一実施形態では、酸は、液体が約50%以上の蒸発伝達効率、および酸を含まない蒸気前駆体または液剤を有するeベイピング装置のニコチンガス相構成要素に比べてニコチンガス相成分を低減するのに十分な量を有するよう選択される。例えば、低減は実質的に70%以上としてもよい。
【0021】
本発明の第六の態様によると、eベイピング装置の、知覚される咽喉の粗さを低減し、気化される製剤の感覚的経験を向上させるための方法が提供されており、気化される製剤はニコチンを含み、本方法は、ニコチン、任意で水、酸、プロピレングリコールを含み、実質的にグリセロールまたはグリセリンを含まない混合物を含むeベイピング装置用の蒸気前駆体または液剤を提供することを含む。
【0022】
一実施形態では、蒸気前駆体または液剤の一部である酸性化合物は、ピルビン酸、ギ酸、シュウ酸、グルコール酸、酢酸、イソバレリアン酸、吉草酸、プロピオン酸、オクタン酸、乳酸、ソルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、オレイン酸、アコニット酸、酪酸、ケイ皮酸、デカン酸、3、7−ジメチル−6−オクテン酸、1−グルタミン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、3−ヘキサン酸、トランス−2−ヘキサン酸、イソブチル酸、ラウリン酸、2−メチル酪酸、2−メチル吉草酸、ミイスチン酸、ノナン酸、パルミチン酸、4−ペンテン酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸、塩酸、リン酸、および硫酸のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0023】
一実施形態では、酸性化合物は、ピルビン酸、乳酸、安息香酸、および酢酸の混合物からなる。
【0024】
液剤は、任意で水を含む。水は、液剤の重量に基づいて約5重量%〜液剤の重量に基づいて約40重量%の範囲の量で含まれ得る。例えば、液剤の重量に基づいて、水は約20重量%含まれてもよい。
【0025】
本明細書に記載の本発明のいずれかの態様および実施形態の特徴は、1つ以上の本発明の別の態様および実施形態と組み合わせてもよい。
【0026】
例示的な実施形態の上記およびその他の特徴および利点は、例示的な実施形態を添付の図面を参照しながら詳細に説明することによってさらに明らかとなる。添付の図面は、例示的な実施形態を描写することを意図したものであり、意図された請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。添付の図面は、明示的に注記されていない限り、実寸に比例して描かれていると考えられるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態によるeベイピング装置の側面図である。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態によるeベイピング装置の断面図である。
【
図3】
図3は、例示的な実施形態によるeベイピング装置の別の断面図である。
【
図4】
図4は、例示的な実施形態によるeベイピング装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
いくつかの詳細な例示的な実施形態が本明細書で開示されている。ところが、本明細書に開示されている特定の構造面および機能面の詳細は、例示的な実施形態を説明することを目的とした単なる典型である。ところが、例示的な実施形態は、数多くの代替的な形態で具体化されることができ、本明細書に記載の実施形態のみに限定されるものと解釈されるべきではない。
【0029】
従って、例示的な実施形態は、様々な変更および代替的形態が可能である一方で、その実施形態は図面の例によって示されており、本明細書で詳細に説明する。ところが、当然のことながら、開示された特定の形態に対する例示的な実施形態に限定する意図はなく、反対に、例示的な実施形態は、例示的な実施形態の範囲に収まるあらゆる変更、同等物、代替物が網羅される。同様の数字は、図の説明の全体で同様の要素を意味する。
【0030】
要素または層が別の要素もしくは層「の上にある」、「に接続される」、「に連結される」、または「を覆う」と言及される時、これはもう一方の要素もしくは層の直接的に上にある、それに直接的に接続される、それに直接的に連結される、またはそれを直接的に覆う、あるいは介在する要素もしくは層が存在してもよいことが理解されるべきである。対照的に、要素が、別の要素もしくは層「の直接的に上にある」、「に直接的に接続される」、または「に直接的に連結される」と言及される時、介在する要素もしくは層は存在しない。同様の数字は、明細書の全体で同様の要素を指す。
【0031】
第一の、第二の、第三のなどという用語は、様々な要素、構成要素、領域、層、またはセクションを記述するために本明細書で使用されてもよいが、これらの要素、構成要素、領域、層、またはセクションはこれらの用語によって限定されないことを理解するべきである。これらの用語は、一つの要素、構成要素、領域、層、またはセクションを別の領域、層、またはセクションと区別するためにのみ使用される。それ故、下記で考察される第一の要素、構成要素、領域、層、またはセクションは、例示的な実施形態の教示内容から逸脱することなく、第二の要素、構成要素、領域、層、またはセクションと呼ぶこともできる。
【0032】
空間的関係の用語(例えば、「下に」、「下方に」、「下部」、「上方に」、「上部」、およびこれに類するもの)は、図中で図示する際に、1つの要素または特徴と他の要素または特徴との間の関係を説明しやすくするために本明細書で使用されてもよい。空間的関係の用語は、図に図示されている方向に加えて、使用時または動作時に装置の異なる方向を包含することが意図されていることを理解するべきである。例えば、図中の装置をひっくり返した場合、他の要素または特徴の「下方に」または「下に」と説明されている要素は、その後は他の要素または特徴の「上方に」方向付けられることになる。それ故、用語「下方に」は上方および下方の両方の方向を包含する場合がある。装置は、その他の方法で(90度回転して、または他の方向で)方向付けられる場合があり、本明細書で使用される空間的関係の記述語は適宜に解釈される。
【0033】
本明細書で使用される用語は、様々な実施形態を説明する目的のみのものであり、例示的な実施形態の制限を意図しない。単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は本明細書で使用される場合、複数形も含むことが意図されているが、文脈によって明らかにそうではないことが示される場合はその限りではない。本明細書で使用される時、「含む(includes)」、「含む(including)」「備える(comprises)」、および「備える(comprising)」という用語は述べられた特徴、整数、工程、動作、要素、または構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、またはこれらの群の存在または追加を除外しないことがさらに理解されるであろう。
【0034】
例示的な実施形態は、例示的な実施形態の理想的な実施形態の概略図(および中間構造)である断面図を参照して本明細書で説明される。このように、例えば、製造技法および許容差の結果として得られた図の形状からの変化が予想される。従って、例示的な実施形態は、本明細書に図示された領域の形状を限定するものとして解釈されるべきでなく、例えば、製造に起因する形状の逸脱を含む。従って、図に図示された領域は、事実上概略的なものであり、それらの形状は、装置の領域の実際の形状を図示する意図はなく、例示的な実施形態の範囲を限定する意図はない。
【0035】
その他の方法で定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術的用語および科学的用語を含む)は、例示的な実施形態が属する当該技術分野の当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。用語(一般的に使用されている辞書で定義された用語を含む)は、関連する技術分野の文脈でのそれらの用語の意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、理想的なまたは過度に正式な意味で解釈されないが、本明細書で明示的にそのように定義されている場合はその限りではないことがさらに理解されるであろう。
【0036】
この明細書において数値と組み合わせて用語「約」又は「実質的に」を用いる場合、別の文脈を示さない限り、それに伴う数値が、明示した数値の前後±10%の許容度を含むということを意図する。さらに、この明細書において、百分率に言及する場合、それら百分率は、重さに基づき、すなわち重量百分率に基づくことを意図している。「最大〜まで」という表現は、ゼロから、その表現した上限までの量及びその間にある全ての値を含む。範囲を明記する場合には、この範囲は、例えば0.1%単位でその間の全ての値を含む。
【0037】
一実施形態において、eベイピング装置は、液剤を含有する液体供給リザーバを含む。液剤は、eベイピング装置のヒーターに送達され、そこで液剤が加熱されて揮発し、eベイピング装置の動作時に蒸気を形成する。例示的実施形態では、液剤は、ニコチン分子(非プロトン化かつ非荷電)と酸との混合物を含み、これは、液剤中のニコチン分子のほぼ全てをプロント化し、それによってeベイピング装置のヒーターによって液剤を加熱するときに、多量のプロトン化ニコチンと少量の非プロトン化ニコチンを有する蒸気が生成され、これによって、蒸発した全ニコチンの小部分のみが通常蒸気のガス相に残る。ガス相におけるニコチンの留分は、咽喉の粗さの知覚や他の知覚される異味に寄与しかねない。ガス相におけるニコチンの割合レベルを低減することは、ガス相におけるニコチンに関連付けられる知覚される主観的欠陥を改善し得る。例えば、気化されるニコチンのガス相中のニコチンの割合は、送達されるニコチンの総量の実質的に1.5%、実質的に1%未満とし得る。
【0038】
本明細書で使用される場合「蒸気形成剤」という用語は、使用時に蒸気の形成を促進し、かつ蒸気発生装置の動作温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性である任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物を説明する。適切な蒸気形成剤は、プロピレングリコールなどの多価アルコール類の様々な組成物からなる。一実施形態では、蒸気はプロピレングリコールである。
【0039】
一実施形態で、液剤は、実質的に80重量%のプロピレングリコールと、実質的に25重量%の水とを有し、実質的にグリセロールを有さず、そして実質的に1.5重量%のニコチンを有する。液剤は、1つ以上の酸を含んでもよい。この場合、酸の濃度は実質的に3.5%とし得る。
【0040】
液剤は、任意で1つ以上の風味剤を、約0.01〜約15重量%(例えば、約1%〜約12%、約2%〜約10%、または約5%〜約8%)の範囲の量で含んでもよい。風味剤は、天然風味剤としても、人工風味剤としてもよい。一実施形態では、風味剤は、タバコフレーバ、メントール、ウインターグリーン、ペパーミント、ハーブフレーバ、フルーツフレーバ、ナッツフレーバ、リカーフレーバ、およびその組み合わせのうちの1つである。
【0041】
以下の実施例は、i)プロピレングリコールとグリセロールの混合物を含む製剤と、ii)プロピレングリコールは含むがグリセロールは含まない製剤との間の、風味と知覚の差異について説明する。様々な製剤におけるニコチン量は、約0.5%〜約1.5%とし得る。例えば、約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、および約3%のニコチンレベルが使用されてもよい。以下のeベイピング装置の実施例について説明する。
【0042】
比較例1 第一の比較液剤溶液は、約40%のプロピレングリコール(PG)、約60%のグリセロール(Gly)、約15%の水、および約1.5重量%のニコチン(NBW)を含み、実質的に酸を含まない。
【0043】
比較例2 第二の比較液剤溶液は、約40%のプロピレングリコール、約60%のグリセロール、約15%の水、約1.5重量%のニコチン(NBW)、および約2パーセントのメントールを風味剤として含み、実質的に酸を含まない。
【0044】
実施例1:液剤溶液の第一の実施形態の例は、約80%のプロピレングリコールを含み、実質的にグリセロールを含まず、約20%の水、および約1.5重量%のニコチン(NBW)を含み、実質的に酸を含まない。
【0045】
実施例2:液剤溶液の第二の実施形態の例は、約80%のプロピレングリコールを含み、実質的にグリセロールを含まず、約20%の水、および約1.5重量%のニコチン(NBW)を含み、実質的に酸を含まない。液剤は、実質的に2重量%のメントールも含む。
【0046】
比較例1および2〜実施例3および4は、以下の表1に記載するように、グリセロールの除去により実質的にeベイピング装置の全体的な楽しみ(全体的な「好み」)が増大したことを示す。
【0047】
表1は、上記の実施例について風味テストを実行した8人のユーザー(成人ベイパー)パネルの反応を説明する。eベイピング装置の全体的楽しみ、または好みについて、1〜7の尺度でスコアするようユーザーに求めた。「フレーバの好みまたはメントール知覚」をランク付けして、自身の風味剤に対する好み、そして風味剤がメントールである場合には、eベイピング装置における自身のメントールの知覚に対する評価を提供するようユーザーに求めた。また、比較例および例示的実施形態それぞれに対するeベイピング装置のインパクトについてランク付けするようユーザーに求めたが、強度はユーザーの胸部で知覚されるものである。例えば、eベイピング装置の強度は、ユーザーの胸部における強いニコチン風味の知覚とし得る。また、ユーザーは、様々な液体組成物に基づいてeベイピング装置の粗さについてもランク付けしたが、粗さとは、ユーザーの口と咽喉の一方または両方で知覚されるものである。例えば、粗さは、eベイピング装置の使用中の、ユーザーの口および咽喉の一方または両方における燃焼感覚の知覚であり得るが、燃焼感覚は、プロピレングリコールとグリセロールの組み合わせによるものである。
【0048】
表1 様々なeベイピング装置の全体的な楽しみのスコア
【表1】
【0049】
表1に記載の結果に基づき、実施例1および2は、1〜7の尺度において、それぞれ平均スコア3.5である比較例1および2に比べて、より高い平均スコア3.75および3.88である。したがって、専門家パネルのユーザーは、プロピレングリコール、水、およびニコチンの混合物を含み、グリセリン/グリセロールを含まない液剤を有するeベイピング装置は、より肯定的なフレーバの知覚、胸部でのより良好なインパクトの感覚、ユーザーの口および咽喉の一方または両方における粗さを有すると結論付けた。
【0050】
以下の実験も、プロピレングリコールとグリセロールの混合物を含む製剤と、グリセロールを含まない製剤における、風味と知覚の差異について説明する。様々な製剤におけるニコチン量は、約1.5%、水の量は約15%である。この実験において、プロピレングリコールとグリセロールの相対的濃度に対する、ユーザーによるeベイピング装置のパフごとのニコチン測定を行った。
【0051】
eベイピング装置の実施例については、表2に関して以下に説明する。
【0052】
表2 液剤に対するパフごとのニコチン量
【表2】
【0053】
表2に記載の結果に基づき、そして同一のeベイピング条件、すなわち、同一のバッテリ電源出力、カートマイザー構成、および液剤中のニコチンと水の含有量について、パフごとに発生する蒸気中の蒸気の質量とニコチン(ミリグラムのニコチン/パフ)は、eベイピング装置の液剤中の異なるプロピレングリコールとグリセロールの比によって異なる。したがって、液剤中のプロピレングリコール留分が増大すると、パフあたりのニコチンの増大量で実証されるように、吸い込まれた蒸気がより大きな強度またはインパクトをユーザーの胸部に生む。パフごとのニコチン量の増大は、液剤中のプロピレングリコールの濃度の増大に比例する。
【0054】
この効果は、他の理由の中でもとりわけ、プロピレングリコールが実質的にグリセロールよりも粘着性が小さいという事実により得る。結果として、プロピレングリコールが増大された液剤は、通常、より高い吸込み率と毛細管効率を有する。プロピレングリコールは、グリセロールよりも低い沸点も有する。結果として、蒸気の発生は、プロピレングリコールが増大した液剤において容易である。加えて、蒸気形成剤がプロピレングリコールを含みかつ実質的にグリセロールを含まない場合に蒸気を発生させるのに必要なバッテリ電源は、蒸気の発生が容易であるために小さい。上記およびプロピレングリコールの増大した流体特性の結果、より多くのプロピレングリコールが液剤に提供された場合に、eベイピング装置の性能は、蒸気形成効率およびバッテリ電源使用の観点から向上される。
【0055】
例示的実施形態では、蒸気形成剤中のプロピレングリコール濃度が増大すると、吐き出される蒸気の可視性が低減する。蒸気形成剤がプロピレングリコールを含み、実質的にグリセロールを含まない場合、ユーザーによって吐き出された蒸気は、実質的に目に見えない。したがって、プロピレングリコールを有し、実質的にグリセロールを有さない蒸気形成剤を含む液剤は、蒸気を発生することなくユーザーが蒸気を吸う能力を提供する。例えば、実質的に80%のプロピレングリコール、実質的に20%の水を有し、実質的にグリセロールを有さない液剤は、上記利点を提供し得る。
【0056】
少なくとも1つの例示的実施形態によると、酸を蒸気前駆体に加えてもよく、酸は、通常eベイピング装置における最小の感覚および動作インパクトとともに、ガス相ニコチンの生成を低減する効果を有する。
【0057】
別の実施形態では、酸に関連付けられた感覚的インパクトに応じて許容可能な知覚量内で酸を加えてもよい。例えば、一部のユーザーに対しては、酢酸は、特定のレベルで加えられた場合に「酢」の感覚的応答を与え得る。したがって、一実施形態では、酢酸含有量は、こうした感覚的インパクトが生じるよりも低いレベルに制限されてもよい。他の酸を同様の様式で酢(または他の)酸と組み合わせて使用して、酸錯体を構築してもよく、この場合、所望のレベルの酸機能は達成される(複数の酸で)が、酸それぞれは、目立ったまたは好ましくない感覚的インパクトが生じ得るレベルよりも低いレベルで含まれる。
【0058】
少なくとも1つの実施形態の例によると、酸は、少なくとも約100℃の沸点を有し、液剤中のpHを約3〜約8の範囲で調整するのに十分な量で液剤中に含まれてもよい。
【0059】
一実施形態では、酸は、酸なしで生成されるニコチンガス相構成要素のレベルの、約30重量%以上、好ましくは約60〜約70重量%、より好ましくは約70重量%以上、そして最も好ましくは約85重量%以上のニコチンガス相成分の量を低減するのに十分な量で含まれる。
【0060】
一実施形態では、酸はeベイピング装置の動作時に液剤から生成される蒸気に作用して、酸なしで形成される蒸気と比べて知覚される喉の粗さの量を低減する。
【0061】
少なくとも1つの例示的実施形態によると、液剤に含まれる酸は、ピルビン酸、ギ酸、シュウ酸、グルコール酸、酢酸、イソバレリアン酸、吉草酸、プロピオン酸、オクタン酸、乳酸、レブリン酸、ソルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、オレイン酸、アコニット酸、酪酸、ケイ皮酸、デカン酸、3、7−ジメチル−6−オクテン酸、1−グルタミン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、3−ヘキサン酸、トランス−2−ヘキサン酸、イソブチル酸、ラウリン酸、2−メチル酪酸、2−メチル吉草酸、ミイスチン酸、ノナン酸、パルミチン酸、4−ペンテン酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸、塩酸、リン酸、硫酸、およびその組み合わせのうちの1つ以上を含む。酸は、塩の形態で組み込まれてもよい。
【0062】
図1は、例示的な実施形態によるeベイピング装置の側面図である。
図1で、液剤は、例えば、
図1に図示されるようなeベイピング装置などのeベイピング装置60で気化されるときに蒸気を形成する。eベイピング装置60は、交換可能なカートリッジ(あるいは第一のセクション)70と、再利用可能な取り付け具(または第二のセクション)72を備え、これは、ねじ接合部74において、または、1つ以上の滑り嵌め、スナップ嵌め、戻り止め、クランプ、留め金などの他の接続構造によって互いに連結される。
【0063】
図3は、eベイピング装置の別の例示的実施形態の断面図である。
図3に図示するように、第一のセクション70は、口側の端部インサート20、毛細管18を含む毛細蒸気発生装置、毛細管18の少なくとも一部を加熱するためのヒーター19、液体供給リザーバ14、および任意でバルブ40を収容し得る。あるいは、
図4に図示するように、第一のセクション70は、口側の端部インサート20、ヒーター319、可撓性のフィラメント状ウィック328、および液体供給リザーバ314を以下に詳細に記載するように収容してもよい。
【0064】
第二のセクション72は、電源12(
図2、3および4に図示する)、制御回路11、および任意でパフセンサ16(
図2および4に図示する)を収容してもよい。第二のセクション72のねじ部74は、第一のセクション70に接続されない場合には、バッテリ充電器に接続されて、バッテリまたは電源12を充電する。
【0065】
図2は、例示的な実施形態によるeベイピング装置の断面図である。
図2に図示するように、eベイピング装置60は、液体供給リザーバ14、ヒーター19およびバルブ40を収容し得る中間セクション(第三のセクション)73を含んでもよい。中間セクション73は、第一のセクション70の上流端においてねじ接合部74’に、第二のセクション72の下流端においてねじ接合部74に嵌合されるよう構成されてもよい。この例示的実施形態において、第一のセクション70は口側の端部インサート20を収容し、第二のセクション72は電源12と制御回路11を収容する。
【0066】
一実施形態では、第一のセクション70、第二のセクション72、および任意の第三のセクション73は、eベイピング装置60の長さに沿って長軸方向に延伸する外側円筒形ハウジング22を含む。さらに、一実施形態では、中間セクション73は使い捨てであり、第一のセクション70および第二のセクション72の一方または両方は再利用できる。セクション70、72、73はねじ接続またはコネクタによって取り付けられて、これによって、液体供給リザーバ14を使い切ったときに、中間セクション73を交換することができる。別の実施形態では、第一のセクション70も交換可能として、毛細管18とヒーター19の一方または両方をクリーニングする必要を回避するようにしてもよい。
【0067】
一実施形態では、第一のセクション70と第二のセクション72を、ねじ接続なしで一体として形成して、使い捨て可能なeベイピング装置を形成してもよい。
【0068】
図2に図示するように、外側円筒形ハウジング22は、切り欠きまたは凹部102を含んでよく、これは、ユーザーが液体供給リザーバ14に圧力を手動で印加することを可能にする。一実施形態では、外側円筒形ハウジング22は、その長さに沿って可撓性であるか圧縮可能である、またはその両方であり、液体供給リザーバ14の全体または一部を覆う。切り欠きまたは凹部102は、外側円筒形ハウジング22の周囲の周りに部分的に延伸してもよい。したがって、外側円筒形ハウジング22は、プラスチック、ゴムおよびその組み合わを含む様々な材料から形成されても、これを含んでもよい。一実施形態では、外側円筒形ハウジング22は、シリコンから形成されるか、これを含む。外側円筒形ハウジング22は、適切な任意の色とし得る。外側円筒形ハウジング22は、グラフィックまたはその上に印刷されたその他のしるしを含んでもよい。さらに、液体供給リザーバ14は、圧力が液体供給リザーバに印加されたときに、液体が液体供給リザーバ14から毛細管18にポンプされるように圧縮可能である。圧力作動スイッチ44は、液体供給リザーバ14の下に位置付けてもよい。液体をポンプするために液体供給リザーバ14に圧力が印加されると、スイッチも押下されてヒーター19が作動する。ヒーター19は、毛細管18の一部とし得る。手動の圧力を圧力スイッチにかけることで、電源12が作動して電流が毛細管18内の液体を電気接点を介して加熱し、液体を揮発させる。
【0069】
図2に例示する例示的実施形態では、液体供給リザーバ14は、エラストマー材料からなるまたはこれを含む、管状の細長い本体であって、圧迫すると可撓性であるか圧縮可能である、あるいはその両方である。一実施形態では、エラストマー材料は、シリコン、プラスチック、ゴム、ラテックス、およびその組み合わせのうちの1つとし得る。
【0070】
一実施形態では、圧縮可能な液体供給リザーバ14は、毛細管18と流体連通する出口17を有し、圧迫されると、液体供給リザーバ14がある量の液体材料を毛細管18に送達するこができる。液体を毛細管に送達するのと同時に、電源12が圧力スイッチ上の手動圧力のアプリケーションで作動し、毛細管18が加熱されて加熱セクションを形成し、ここで液体材料が揮発する。加熱された毛細管18から放出されると、揮発された材料が膨張して、空気と混合して蒸気を形成する。
【0071】
一実施形態では、液体供給リザーバ14は、第一のセクション70(
図3および4に図示)または中間セクション73(
図2に図示)の外側円筒形ハウジング22内を長軸方向に延伸する。さらに、液体供給リザーバ14は、加熱されると揮発し、毛細管18から放出されると蒸気を形成するよう構成される液剤を含有する。
【0072】
図2に例示する例示的実施形態では、毛細管18は液体供給リザーバ14の出口17と流体連通する入口端62と、毛細管18から揮発された液体材料を排出するよう構成された出口端63とを含む。一実施形態では、
図2および3に図示するように、液体供給リザーバ14は、バルブ40を含んでもよい。
【0073】
図2に図示するように、バルブ40は、液体材料を液体供給リザーバ内に維持し、液体供給リザーバ14を圧迫して圧力がリザーバ14に印加されたときに開くよう構成されたチェックバルブであってもよい。一実施形態では、チェックバルブ40は、臨界の最小圧力に達したときに開いて、液体材料が液体供給リザーバ14から意図せず分注したり、ヒーター19を起動させることを回避する。一実施形態では、チェックバルブ40を開くのに必要な臨界圧力は、圧力スイッチ44に印加してヒーター19を作動させるのに必要な圧力と本質的に等しいか、わずかにこれより小さい。一実施形態では、圧力スイッチ44を押下するのに必要な圧力は、意図しない加熱を回避するように十分に高い。こうした構成は、毛細にポンプされる液体がないときのヒーター19の作動を回避する。
【0074】
有利には、チェックバルブ40の使用は、手動でポンプされた場合に、空気が液体供給リザーバ14に取り込まれることを回避するために、圧力が液体リザーバ14、スイッチ44、または両方で解放されたときに毛細管から引き戻される液体量を制限するのを助ける。空気の存在により、液体供給リザーバ14のポンプ性能が劣化し、液剤を劣化させ得る。
【0075】
液体供給リザーバ14上の圧力が解放されると、バルブ40が閉まる。加熱された毛細管18は、バルブ40の下流に残る液体を放出する。
【0076】
任意で、臨界流量オリフィス41がチェックバルブ40の下流に配置されて、毛細管18への最大の流量が確立される。
【0077】
図3に図示するように、別の実施形態の例では、バルブ40は2方向バルブであり、液体供給リザーバ14は加圧され得る。例えば、液体供給リザーバ14は、一定の圧力を液体供給リザーバ14に印加するよう構成された加圧機構405を用いて加圧され得る。例えば、一定の圧力を液体供給リザーバ14に印加する、内部または外部ばねおよびプレート機構を用いて、圧力が液体供給リザーバ14に印加されてもよい。あるいは、液体供給リザーバ14は圧縮可能であって、ばねによって接続される2つのプレートの間に位置してもよく、または、液体供給リザーバ14は、圧縮可能であって、ばねによって接続される外側ハウジングとプレートとの間に位置して、プレートが液体供給リザーバ14に圧力をかけるようにしてもよい。
【0078】
一実施形態では、
図2および3の毛細管18の内径は、約0.01ミリメートル〜約10ミリメートルであり、約0.05ミリメートル〜約1ミリメートルが好ましく、約0.05ミリメートル〜約0.4ミリメートルがより好ましい。半径が小さい毛細管は、流体の中心までの距離が短くなると、液体を気化させるのに必要なエネルギーおよび時間が少なくてすむため、流体へのより効率的な熱伝達を提供する。
【0079】
一実施形態では、毛細管18の長さは、約5ミリメートル〜約72ミリメートルであり、約10ミリメートル〜約60ミリメートル、または約20ミリメートル〜約50ミリメートルがより好ましい。一実施形態では、毛細管18は実質的に直線状である。別の実施形態では、毛細管18はコイル管である、または、内部に1つ以上の湾曲を含んで空間を節約し、長い毛細管を収容する、あるいはその両方である。
【0080】
例示的実施形態では、毛細管18は、導電材料から形成される、またはこれを含み、管に電流を流すことで固有のヒーター19として機能する。毛細管18は、毛細管18が経験する動作温度において必要な構造的完全性を維持しながら抵抗加熱が可能であって、液体材料とは反応しない導電材料であってもよい。毛細管18を形成するための適切な材料は、ステンレス鋼、銅、銅合金、フィルム抵抗性材料でコーティングされた多孔セラミック材料、Special Metals Corporation製の、ニッケルクロム合金、同じくニッケルクロム合金であるニクローム、およびその組み合わせであるInconel(登録商標)のうちの1つ以上である。
【0081】
一実施形態では、毛細管18は、毛細管18はの長さに沿った直流または交流の通路のためにそこに取り付けられる電気リード26を介してヒーター19として機能する、ステンレス鋼毛細管18である。したがって、ステンレス鋼毛細管18は、抵抗加熱によって加熱される。ステンレス鋼毛細管18は、環状の断面であり、様々な計器の皮下針として使用されるのに適切な細管で形成される、またはこれを含み得る。例えば、毛細管18は、約0.11メートルの内径を有する32ゲージ針、および約0.26ミリメートルの内径を有する26ゲージ針を含み得る。
【0082】
別の実施形態では、毛細管18は、例えば、ガラス管などの非金属管とし得る。こうした実施形態では、ヒーター19は、例えば、ガラス管に沿って配置されるステンレス鋼、ニクロームまたはプラチナワイヤなどの、抵抗加熱可能な導電材料で形成されるか、これを含む。ガラス管に沿って配置されるヒーターが加熱されると、毛細管18内の液体材料は、毛細管18内の液体材料を少なくとも部分的に揮発させるのに十分な温度まで加熱される。
【0083】
一実施形態では、少なくとも2本の電気リード26(
図2)が金属毛細管18に接合される。一つの実施形態の例では、少なくとも2つの電気リード26が毛細管18に連結される。一実施形態では、
図2および3に図示するように、1本の電気リード26が毛細管18の第一の上流部101に結合され、第二の電気リード26が毛細管18の下流の端部102に連結される。
【0084】
動作において、
図2および3の毛細管18が加熱されると、毛細管18の加熱部内に含有される液体材料が揮発されて出口63から排出され、そこで液体材料が膨張して空気と混合し、混合チャンバ240内で蒸気を形成する。
【0085】
以上に記載し、
図4に例示するように、液剤は、少なくとも1つのヒーター319とフィラメント状ウィック328を有するヒーター領域を含むeベイピング装置で使用され得る。第一のセクション70は、長軸方向に延伸する外管(またはケーシング)22と、外管22内で同軸に位置する内管(またはチムニー)362と、を含む。一実施形態では、上流ガスケット(またはシール)320のノーズ部361は、内管362の上流端部365に嵌合され、同時に、ガスケット320の外周367は外側ケーシング22の内表面397との液密シールを提供する。上流ガスケット320は、中央チャネル321を画定する内管362の内部に開口する、中央の長軸方向空気路315も含む。ガスケット320の上流部における横断チャネル333は、ガスケット320の中央の長手方向空気路315と交差し、これと連通する。このチャネル333は、中央の長手方向空気路315と、ガスケット320とねじ接続部74との間に画定される空間335との間の連通を確保する。
【0086】
一実施形態では、下流ガスケット310のノーズ部393は、内管362の下流端部381に嵌合される。ガスケット310の外周382は、外側ケーシング22の内部表面397との実質的な液密シールを提供する。下流ガスケット310は、内管362の中央通路321と口側の端部インサート20との間に配置された中央チャネル384を含む。
【0087】
この例示的な実施形態では、液体供給リザーバ314は、内管362と外側ケーシング22との間、および上流ガスケット320と下流ガスケット310との間の環状部の中に含有される。したがって、液体供給リザーバ314は、少なくとも部分的に中央空気通路321を囲む。液体供給リザーバ314は、液体材料と、任意で、液体材料を内部に貯蔵するよう構成された液体貯蔵媒体(図示せず)を含む。
【0088】
内管362は、その全体に延伸し、ヒーター319を収納する中央空気通路321を有する。ヒーター319は、フィラメント状ウィック328と接触しており、これは、液体供給リザーバ314の対向するセクションの間に延伸して液剤を液体供給リザーバからヒーター319に送達することが好ましい。
【0089】
一実施形態では、本明細書に記載の実施形態それぞれのeベイピング装置60は、少なくとも1つの空気吸込み口440も含む。
図4に図示するように、少なくとも1つの空気吸込み口440は、ヒーター319の上流に位置してもよい。
【0090】
図2および3に図示する例示的実施形態では、少なくとも1つの空気入口440は、毛細管18の下流に配置されて、毛細管に沿った空気の引き込みを最小にし、これによって加熱サイクル中の毛細管18の冷却を回避することが好ましい。
【0091】
例示的実施形態において、少なくとも1つの空気吸込み口440は、1つまた2つの空気吸込み口を含む。あるいは、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の空気吸込み口があってもよい。空気吸込み口440のサイズおよび数を変化させることは、eベイピング装置60の引き出し抵抗を確立することも助けることができる。
【0092】
例示的実施形態の電源12は、eベイピング装置60内に配置されたバッテリまたは電源12を含んでもよい。電源12は、
図2および3に図示するように、毛細管18に関連付けられたヒーター19に、または、
図4に図示するように、ウィック328に関連付けられたヒーター319に電圧を印加するように構成される。したがって、ヒーター19または319は2〜10秒等の所定の時間のいずれかの電力サイクルに従って液体材料を揮発させる。
【0093】
一実施形態では、ヒーター19、319が実質的に抵抗性があると同時に、ヒーター19、319と電気リード26との間の電気接点または接続が実質的に導電性であるため、熱発生は、接点においてではなく、主にヒーター19に沿って生じる。
【0094】
バッテリ12は、リチウム・イオン電池、またはその変形のうちの1つ、例えば、リチウム・イオンポリマー電池であってもよい。あるいは、バッテリは、ニッケル・水素電池、ニッケル・カドミウム電池、リチウムマンガン電池、リチウム・コバルト電池、又は燃料電池であり得る。この場合、eベイピング装置60は、電源のエネルギーが消耗するまで喫煙者によって利用可能であることが好ましい。あるいは、電源12は充電式であってもよく、またバッテリを外部充電装置によって充電できるようにする回路を含んでもよい。その場合、好ましくは、回路は、充電されるときに、電力を予め決められたパフ数に提供し、それの後、回路は外部充電装置に再接続されなければならない。
【0095】
一実施形態では、実施形態それぞれのeベイピング装置60は、プリント基板11上にあり得る制御回路も含み得る(
図2、3および4に図示)。また、制御回路11は、ヒーター19、319が作動している時に点灯するよう構成されるヒーター作動灯27を含んでもよい。一実施形態では、ヒーター作動灯27は、少なくとも1つのLEDを含み、eベイピング装置60の上流端28(
図1に示す)にあって、ヒーター作動灯27が使用中に燃焼する灰の外観をとるキャップを照明するようにする。さらに、ヒーター作動灯27は、成人ベイパーから見えるように構成することができる。加えて、ヒーター作動灯27は、喫煙物品システムの診断に利用することができる。該灯27はまた、所望に応じて、成人ベイパーが該灯27を有効化する、無効化する、又は有効化及び無効化を行うことができるように構成することができるため、該灯27は、所望であれば、ベイピング中でも有効化しないものとなる。
【0096】
ヒーター19への電流供給の時間は、気化させたい液体の量に応じて予め設定されてもよい。制御回路11は、プログラム可能であって、特定用途向け集積回路(ASIC)を含み得る。他の例示的な実施形態では、制御回路11は、毛細管を加熱する、バルブを動作させる、またはその両方などの機能を実行するようプログラムされたマイクロプロセッサを含み得る。
【0097】
図2、3および4図示するように、eベイピング装置60は、少なくとも2つの軸から離れた、好ましくは分岐出口21を有する口側の端部インサート20をさらに含む。一実施形態では、口側の端部インサート20は、少なくとも2つの分岐出口21(例えば、3、4、5、6から8つの出口またはそれ以上)を含む。一実施形態では、口側の端部インサート20の出口21は、軸から離れた通路23の端部に位置し、またeベイピング装置60の長軸方向に対して外向きの角度を有する(つまり、分岐状)。本明細書で使用される場合、「軸から離れた」という用語はeベイピング装置の長軸方向に対してある角度を有することを意味する。また、口側の端部インサート(または流れガイド)20は、使用中、蒸気をユーザーの口に実質的に均一に分配するように、口側の端部インサート20の周りに均一に分布した出口を含むことが好ましい。
【0098】
さらに、出口21および軸から離れた通路23は、気化していない液体材料の液滴が除去または分解されるように、口側の端部インサート20における内部表面および軸から離れた通路23の内部表面のうちの少なくとも1つへと持ち込まれるよう配置される。
【0099】
一実施形態では、1つ以上の出口21は、約0.015インチ〜約0.090インチ(例えば、約0.020インチ〜約0.040インチ、または約0.028インチ〜約0.038インチ)の直径を有してもよい。所望する場合は、eベイピング装置60の引き出し抵抗(RTD)を調節するために、出口21の数とともに、出口21および軸から離れた通路23のサイズを選択することができる。
【0100】
一実施形態では、eベイピング装置60は、たばこベースの喫煙物品とほぼ同一のサイズである。一部の実施形態では、eベイピング装置60の長さは、約80ミリメートル〜約110ミリメートルであってもよく、約80ミリメートル〜約100ミリメートルの長さ、約7ミリメートル〜約10ミリメートルの直径が好ましい。例えば、一実施形態では、eベイピング装置は、約84ミリメートルの長さであって、約7.8ミリメートルの直径を有する。
【0101】
電子ベイピング装置60の外側円筒形ハウジング22は、適切な任意の材料または材料の組み合わせから形成されるか、これを含んでもよい。一実施形態では、外側円筒形ハウジング22は、少なくとも部分的に金属から形成され、電子回路の一部である。
【0102】
一実施形態では、液剤は、ピルビン酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸、イソバレリアン酸、吉草酸、プロピオン酸、オクタン酸、乳酸、レブリン酸、ソルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、オレイン酸、アコニット酸、酪酸、ケイ皮酸、デカン酸、3、7−ジメチル−6−オクテン酸、1−グルタミン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、3−ヘキサン酸、トランス−2−ヘキサン酸、イソブチル酸、ラウリン酸、2−メチル酪酸、2−メチル吉草酸、ミイスチン酸、ノナン酸、パルミチン酸、4−ペンテン酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸、塩酸、リン酸、硫酸、およびその組み合わせからのさらなる酸の1つを含んでもよい。酸は、塩の形態で液剤に組み込まれてもよい。一実施形態では、酸からの塩は、酸の添加が蒸気転送効率および対応する遊離酸がニコチンで形成されることの一方または両方に大きな副作用を有しないように選択される。
【0103】
液剤に含まれる酸は、少なくとも約100℃の沸点を有してもよい。例えば、酸は、約100℃〜約300℃、または150℃〜約250℃(例えば、約160℃〜約240℃、約170℃〜約230℃、約180℃〜約220℃、または190℃〜約210℃)の沸点を有し得る。この範囲の沸点を有する酸を含めることで、上で記載したように、eベイピング装置のヒーター要素によって加熱されたときに酸が揮発し得る。ヒーターコイルおよびウィックを利用する一実施形態では、ヒーターコイルは、およそ300℃の動作温度に達し得る。
【0104】
1つの実施形態によると、酸は、液剤中のpHを約3〜約8の範囲に低減するのに十分な量で液剤中に含まれる。例示的実施によると、酸は、液剤中のpHを約3〜約5の範囲に調整するのに十分な量で液剤中に含まれる。一部の他の実施形態では、酸は、液剤中のpHを約7〜約8の範囲で調整するのに十分な量で液剤中に含まれる。さらに、酸は、周囲気温度において濃縮してもよい(周囲温度ではガスであるHClおよび他の酸を除く)。
【0105】
こうして例示的な実施形態を説明してきたが、これらは多くの方法で変形されうることが明らかになるであろう。こうした変形は、例示的な実施形態の意図する範囲から逸脱するものとして扱われるべきではなく、当業者であれば明らかであるようなこうした変形の全ては、続く請求項の範囲内に含めるべきであることを意図している。
【手続補正書】
【提出日】2018年3月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
eベイピング装置用の液剤であって、前記液剤は、
プロピレングリコールを含み、実質的にグリセロールを含まない蒸気形成剤と、
ニコチンと、を含み、ニコチンの濃度は1.5重量%以下であり、
前記液剤は、前記eベイピング装置内で加熱されたときに粒子相とガス相を有する蒸気を形成するように構成される、液剤。
【請求項2】
水をさらに含む、請求項1に記載の液剤。
【請求項3】
プロピレングリコールの濃度は80%であり、水の濃度は20%である、請求項2に記載の液剤。
【請求項4】
ニコチンの濃度は、1.5重量%である、請求項1、2、または3に記載の液剤。
【請求項5】
ニコチンの濃度は、1重量%、または0.5重量%である、請求項1、2、または3に記載の液剤。
【請求項6】
前記蒸気形成剤から形成される蒸気粒子は、グリセロールを含む異なる蒸気形成剤から形成される蒸気粒子よりも大きい平均直径を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の液剤。
【請求項7】
前記蒸気形成剤から形成される前記蒸気粒子の蒸発率は、グリセロールを含む前記異なる蒸気形成剤から形成される蒸気粒子の蒸発率よりも大きい、請求項6に記載の液剤。
【請求項8】
前記液剤は、溶液の形態である、請求項1〜7のいずれかに記載の液剤。
【請求項9】
ピルビン酸、ギ酸、シュウ酸、グルコール酸、酢酸、イソバレリアン酸、吉草酸、プロピオン酸、オクタン酸、乳酸、ソルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、オレイン酸、アコニット酸、酪酸、ケイ皮酸、デカン酸、3、7−ジメチル−6−オクテン酸、1−グルタミン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、3−ヘキサン酸、トランス−2−ヘキサン酸、イソブチル酸、ラウリン酸、2−メチル酪酸、2−メチル吉草酸、ミイスチン酸、ノナン酸、パルミチン酸、4−ペンテン酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸、塩酸、リン酸、および硫酸のうちの少なくとも1つを含む酸性化合物をさらに含む、請求項1〜8のいずれかに記載の液剤。
【請求項10】
酒石酸水素ニコチンをさらに含む、請求項1〜9のいずれかに記載の液剤。
【請求項11】
eベイピング装置の改良方法であって、前記eベイピング装置は、液剤を含むカートマイザーを含み、前記方法は、
プロピレングリコールを含み、実質的にグリセロールを含まない蒸気形成剤を前記液剤に添加することと、
ニコチンを、1.5重量%以下の濃度で前記液剤に添加することと、を含む、方法。
【請求項12】
水を前記液剤に添加することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記蒸気形成剤を添加することは、80%のプロピレングリコールを添加することを含み、
前記水を添加することは、20%の水を添加することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ニコチンを添加することは、1.5重量%のニコチンを前記液剤に添加することを含む、請求項11、12、または13に記載の方法。
【請求項15】
前記ニコチンを添加することは、1重量%または0.5重量%を前記液剤に添加することを含む、請求項11、12、または13に記載の方法。
【国際調査報告】