(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-532392(P2018-532392A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(54)【発明の名称】可撓性の壁を有する液体貯蔵部分を有するカートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24F 47/00 20060101AFI20181012BHJP
A61M 15/06 20060101ALN20181012BHJP
【FI】
A24F47/00
A61M15/06 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-513503(P2018-513503)
(86)(22)【出願日】2016年8月26日
(85)【翻訳文提出日】2018年3月13日
(86)【国際出願番号】EP2016070242
(87)【国際公開番号】WO2017045899
(87)【国際公開日】20170323
(31)【優先権主張番号】15185541.8
(32)【優先日】2015年9月16日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】リーヴェル トニー
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA06
4B162AA22
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC16
4B162AD20
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル発生システムのためのカートリッジ(20)であって、液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分(22)を備え、液体貯蔵部分(22)は、1つ以上の可撓性の壁を含み、液体貯蔵部分(22)に保持された液体エアロゾル形成基体の容積の変化に基づいて、液体貯蔵部分(22)の形状および寸法のうちの少なくとも1つを変えるように構成される、カートリッジ(20)に関連する。カートリッジ(20)はさらに、物理的性質のデータを測定するためのセンサ(34、36)を備え、測定されたデータは、液体貯蔵部分(22)の対応する形状および対応する寸法のうちの少なくとも1つに関連し、したがって、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積を測定されたデータから定めることができる。カートリッジ(20)はさらに気化器(30)を備える。本発明はさらに、カートリッジ(20)を備えるエアロゾル発生システムに関連する。本発明はさらに、それから液体貯蔵部分(22)に保持された液体エアロゾル形成基体の容積を定めることができるデータを測定するための方法に関連する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システム用のカートリッジであって、前記カートリッジが、
液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分であって、前記液体貯蔵部分が、1つ以上の可撓性の壁を含み、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の容積の変化に基づいて、前記液体貯蔵部分の形状および寸法のうちの少なくとも1つを変えるように構成される、液体貯蔵部分と、
物理的性質のデータを測定するためのセンサであって、前記測定されたデータが、前記液体貯蔵部分の対応する形状および対応する寸法のうちの少なくとも1つに関連し、したがって、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積を前記測定されたデータから定めることができる、センサと、
気化器とを備える、カートリッジ。
【請求項2】
前記1つ以上の可撓性の壁の長さが、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積の変化に基づいて変化する、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記センサが、前記1つ以上の可撓性の壁のうちの1つに配置された歪みゲージを含み、前記センサが、前記歪みゲージの電気抵抗を測定するように構成され、
前記測定された電気抵抗が、前記可撓性の壁の対応する長さに関連し、前記歪みゲージが、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積を前記測定した電気抵抗から定めることができるように配置される、請求項1または2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記センサが、第一のセンサ構成要素および第二のセンサ構成要素を含み、前記第一のセンサ構成要素および前記第二のセンサ構成要素のうちの少なくとも1つが、前記液体貯蔵部分の壁に配置され、
前記第一のセンサ構成要素と前記第二のセンサ構成要素との間の距離が、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積の変化に基づいて変化し、
前記センサが、前記第一のセンサ構成要素と前記第二のセンサ構成要素との間の対応する距離に関連する物理的性質のデータを測定するように構成される、請求項1または2に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記液体貯蔵部分が、第一の壁と、前記第一の壁に対向する第二の壁と、前記第一の壁と前記第二の壁とを接続する1つ以上の可撓性の側壁とを含み、
前記第一のセンサ構成要素が、前記第一の壁に配置され、前記第二のセンサ構成要素が、前記第二の壁に配置され、
前記第一の壁と前記第二の壁との間の前記距離が、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積の変化に基づいて変化し、
前記センサが、前記第一の壁と前記第二の壁との間の対応する距離に関連する物理的性質のデータを測定するように構成される、請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記センサが、前記第一のセンサ構成要素に相当する第一のコンデンサー極板と、前記第二のセンサ構成要素に相当する第二のコンデンサー極板とを有するコンデンサーを含み、前記センサが、前記コンデンサーの静電容量を測定するように構成され、
前記測定された静電容量が、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積が前記測定された静電容量から定めることができるように、前記第一の壁と前記第二の壁との間の対応する距離に関連する、請求項4または5に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記センサが、前記第一のセンサ構成要素に相当する永久磁石と、前記第二のセンサ構成要素に相当するホールプローブとを含み、前記センサが、前記永久磁石の磁場強度を測定するように構成され、
前記測定された磁場強度が、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積が前記測定された磁場強度から定めることができるように、前記永久磁石と前記ホールプローブとの間の対応する距離に関連する、請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記センサが、前記第一のセンサ構成要素に相当する誘導コイルと、前記第二のセンサ構成要素に相当するリーダーとを含み、前記リーダーが、交流電磁場を生成し、また前記生成された電磁場上の前記誘導コイルの影響を測定するように構成され、
前記測定された影響が、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積が前記測定された磁場強度から定めることができるように、前記誘導コイルと前記リーダーとの間の対応する距離に関連する、請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記第一のセンサ構成要素が、RFIDタグを含み、前記第二のセンサ構成要素が、前記RFIDタグを読み取り、それにより前記RFIDタグに基づいて前記カートリッジを識別することができるRFIDリーダーを含む、請求項8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記液体貯蔵部分が、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積の変化に基づいて、その形状および寸法を可逆的にかつ一貫的に変化するように構成される、請求項1〜9のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のカートリッジを有するエアロゾル発生システムであって、前記エアロゾル発生システムが、主要ユニットおよび前記カートリッジを備え、前記カートリッジが、前記主要ユニットと取り外し可能なように結合され、前記主要ユニットが、電源を備え、前記液体貯蔵部分が、前記カートリッジに提供され、前記カートリッジの前記センサの前記構成要素のそれぞれが、前記主要ユニットおよび前記カートリッジのうちの一方に提供される、エアロゾル発生システム。
【請求項12】
それから液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積を定めることができるデータを測定するための方法であって、前記方法が、
液体貯蔵部分に前記液体エアロゾル形成基体を保持する1つ以上の可撓性の壁を提供することであって、前記液体貯蔵部分が、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積の変化に基づいて、前記液体貯蔵部分の形状および寸法のうちの少なくとも1つを変えるように構成される、1つ以上の可撓性の壁を提供することと、
センサを提供することと、
気化器を提供することと、
物理的性質のデータを前記センサを用いて測定することとを含み、前記測定されたデータが、前記液体貯蔵部分の対応する形状および対応する寸法のうちの少なくとも1つに関連し、したがって、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積を前記測定されたデータから定めることができる、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、さらに、
前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の対応する容積に前記物理的性質のデータを関連付ける参照テーブルにアクセスすることによって、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積を定めることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手持ち式の電気的に作動する喫煙システムなどの、エアロゾル発生システムに関する。特に、本発明は、エアロゾル発生システムで用いられる液体貯蔵部分に関連し、ここにおいて、エアロゾル形成基体は、液体であり、液体貯蔵部分に含まれる。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生システムの1つのタイプは、電気的に作動する喫煙システムである。電池および制御電子回路を備える装置部分と、液体貯蔵部分に保持されるエアロゾル形成基体の供給を備えるカートリッジ部分と、電気的に動作する気化器とから成る、手持ち式の電気的に作動する喫煙システムが周知である。液体貯蔵部分に保持されたエアロゾル形成基体の供給および気化器の両方を備えるカートリッジは、時々「カトマイザー」と呼ばれる。気化器は、一般に、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体に浸された細長い芯の周りに巻かれたヒーターワイヤーコイルを含む。カートリッジ部分は、一般にエアロゾル形成基体の供給および電気的に動作する気化器だけでなく、ユーザーが使用時にエアロゾルを自分の口の中へと引き出すために吸うマウスピースも含む。
【0003】
エアロゾル形成基体の消費を検知し、液体貯蔵部分に残留するエアロゾル形成基体の量を決定するエアロゾル発生システムを提供することが望ましい。
【0004】
WO 2012/085207 A1号は、エアロゾル形成基体を受けるための電気的に動作するエアロゾル発生システムであって、液体エアロゾル形成基体を保存するための液体貯蔵部分と、液体エアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも1つの発熱体を備える電気ヒーターと、電気ヒーターの作動を監視して、監視した作動に基づいて液体貯蔵部分に残留する液体エアロゾル形成基体の量を推定するように構成された電気回路とを備えるシステムを開示している。
【0005】
例えば、電力および温度の考慮中であっても作動回数、作動時間を計数することによる電気ヒーターの作動の監視は、残留する液体の量の概略的な推定に過ぎない。
【0006】
残留する液体の定められた量の正確性を改善するエアロゾル発生システムを提供することが望ましい。その時点までに消費された液体の量の蓄積を要求せずに残留する液体の量を定めることを可能にするエアロゾル発生システムを提供することがさらに望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本発明によると、エアロゾル発生システムのためのカートリッジであって、液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分を備え、液体貯蔵部分は、1つ以上の可撓性の壁を含み、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積の変化に基づいて、液体貯蔵部分の形状および寸法のうちの少なくとも1つを変えるように構成される、カートリッジが提供される。カートリッジはさらに、物理的性質のデータを測定するためのセンサを備え、測定されたデータは、液体貯蔵部分の対応する形状および対応する寸法のうちの少なくとも1つに関連し、したがって、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積を測定されたデータから定めることができる。カートリッジはさらに気化器を備える。
【0008】
本発明はまた、カートリッジを備えるエアロゾル発生システムに関連する。
【0009】
本発明はさらに、それから液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積を定めることができるデータを測定するための方法に関し、方法は、液体貯蔵部分に液体エアロゾル形成基体を保持する1つ以上の可撓性の壁を提供することであって、液体貯蔵部分が、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積の変化に基づいて、液体貯蔵部分の形状および寸法のうちの少なくとも1つを変えるように構成された提供することと、センサおよび気化器を提供することとを含む。方法はさらに、物理的性質のデータを測定することを含み、測定されたデータは、液体貯蔵部分の対応する形状および対応する寸法のうちの少なくとも1つに関し、したがって、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積を測定されたデータから定めることができる。
【0010】
センサは、それから液体貯蔵部分の対応する形状および対応する寸法のうちの少なくとも1つが定められうる物理的性質のデータを測定できることが好ましい。液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の目下の利用できる量を定めるために、液体貯蔵部分はシールされる。
【0011】
液体貯蔵部分は、出口を含み、それは液体エアロゾル形成基体が液体貯蔵部分から気化器に流れることを可能にする。カートリッジは、その中に液体貯蔵部分および毛細管媒体が位置されるハウジングを備えてもよい。毛細管媒体は、液体を材料の一方の端から他方へ能動的に運ぶ材料である。毛細管媒体は、ハウジング内で液体を気化器に運ぶのに有利に方向付けられる。
【0012】
カートリッジは、液体エアロゾル形成基体を気化器に引き出す芯のような毛細管媒体を含むことが好ましい。本発明のカートリッジを備えるエアロゾル発生システムの通常の動作において、液体の引き出しは、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積を減少させる唯一の方法である。液体エアロゾル形成基体の液体貯蔵部分の外への各引き出しは、液体貯蔵部分内の圧力を減少させる。周囲空気は、圧力と平衡を保ち、本質的に液体エアロゾル形成基体の引き出された量だけ液体貯蔵部分の容積の減少を引き起こす。
【0013】
液体貯蔵部分は、その下に液体エアロゾル形成基体が保存されうる液体貯蔵部分の表面に相当する1つ以上の壁を備える。液体貯蔵部分は、少なくとも1つの可撓性の壁を含む。液体貯蔵部分は、全体的に可撓性の液体容器であってもよい。液体貯蔵部分は、第一の壁と、第一の壁に対向する第二の壁と、第一の壁と第二の壁との間に延びる側壁とを含みうる。液体貯蔵部分の可撓性の壁のうち1つ以上は、一体的に形成されることが好ましい。液体貯蔵部分は、相互に取り付けられ、またその下に液体エアロゾル形成基体が保存されうる液体貯蔵部分の表面の部分である1つ以上の分離した壁を含んでもよい。液体貯蔵部分は、1つ以上の剛壁および1つ以上の可撓性の壁を含んでもよい。
【0014】
液体貯蔵部分は、剛直な第一の壁と、剛直な第一の壁に対向する剛直な第二の壁とを含み、一方で第一の壁と第二の壁との間に延びる側壁は、可撓性であることが好ましい。この構成は、液体貯蔵部分の容積の変化に基づく液体貯蔵部分の高さの変化をもたらす。第一の壁および第二の壁は、本質的に相互に平行であることが好ましい。
【0015】
代替の実施形態では、液体貯蔵部分は、剛直な第一の壁と、剛直な第一の壁に対向する可撓性の第二の壁とを含み、第一の壁と第二の壁との間に延びる側壁を有する。側壁は、剛直な側壁であってもよい。
【0016】
液体貯蔵部分は、その下方に本質的に液体貯蔵部分の形状または寸法が変化しない最小の容積を提供するように構成されてもよい。このことは、剛壁を含む液体貯蔵部分の実施形態に特に関連する。それらの実施形態では、最小の容積の下方の容積の検出は、支持されない。
【0017】
液体貯蔵部分は、液体エアロゾル形成基体が液体貯蔵部分に加えられ、または液体貯蔵部分から取り出された時に、どの程度少なくとも1つの可撓性の壁が液体貯蔵部分の形状の変化および寸法の変化のうちの少なくとも1つをもたらすかを決める空間的な寸法における1以上の自由度を持っていてもよい。カートリッジは、物理的性質のデータを測定するセンサを含む。物理的性質は、液体貯蔵部分の少なくとも1つの空間的な寸法の範囲との関係を維持し、ここにおいて、液体貯蔵部分は、その寸法を変える自由度を有する。本明細書を通じて、液体貯蔵部分の少なくとも1つの空間的な寸法に沿ったいくつかの寸法の変化は、液体貯蔵部分の形状の変化として考慮される。別の言い方をすると、液体貯蔵部分の表面の空間的な構成のいくつかの変化は、全体的な液体貯蔵が元のままの比率をもつ寸法に再設計された場合に過ぎなかったとしても、液体貯蔵部分の形状の変化として考慮される。
【0018】
液体貯蔵部分は、2つの対向する端に固定されて、2つの端間の一定のかつ予測可能な屈曲方法を提供することが好ましい。
【0019】
液体貯蔵部分は、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積の変化に基づいて、その形状および寸法を可逆的にかつ一貫的に変化するように構成されることが好ましい。このことは、液体貯蔵部分が、液体エアロゾル形成基体から同一の量を取り出し、同一の量を加えた後に、同一の形状および同一の寸法に戻ることを意味する。このことは、再充填可能な液体貯蔵部分に関して有利である。
【0020】
少なくとも1つのセンサ構成要素は、液体貯蔵部分の容積の変化に基づく可撓性の壁の形状または範囲のうちの少なくとも1つの変化を検出するように構成される。
【0021】
センサは、液体貯蔵部分の1つの空間的な寸法の既定の範囲に関連する物理的性質のデータを測定することが好ましい。このことは、液体貯蔵部分の選択された空間的な寸法と液体貯蔵部分の容積との間の明瞭な関係があれば、過去の測定データが液体貯蔵部分の目下の容積を定めるために検索される必要がないので、有利である。このことは、選択された空間的な寸法に従ってのみ液体貯蔵部分がその形状を変えることを可能にすることにより達成されうることが好ましい。別の方法として、液体貯蔵部分はその形状をさらなる空間的な寸法に変化することができる。後者の場合、容積の決定は、液体貯蔵部分の選択された空間的な寸法の範囲とその容積との間の既定のマッピングを引き起こす液体貯蔵部分の既定の配向に基づいてのみ実行可能である。
【0022】
センサは、第一のセンサ構成要素および第二のセンサ構成要素を含んでもよく、第一のセンサ構成要素および第二のセンサ構成要素のうちの少なくとも1つは、液体貯蔵部分の壁に配置されてもよい。
【0023】
センサの構成要素は、それらが液体貯蔵部分の形状および寸法のうちの少なくとも1つの信号表示の変化を検出することができるように配置される。センサは、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積の変化が第一のセンサ構成要素と第二のセンサ構成要素との間の距離の変化を引き起こすように配置されてもよい。この場合、検出された物理的性質は、第一のセンサ構成要素と第二のセンサ構成要素の距離に依存する。第一のセンサ構成要素は、液体貯蔵部分の第一の壁に位置し、第二のセンサ構成要素は、第一の壁に対向する液体貯蔵部分の第二の壁に位置し、液体貯蔵部分は、第一の壁と第二の壁との間に延びる可撓性の側壁を含むことが好ましい。可撓性の側壁は、液体貯蔵部分の容積の変化に基づく第一の壁と第二の壁との間の距離の変化を引き起こす。
【0024】
センサは、信号生成機能により生成された信号を検出するように構成された信号生成機能および信号検出機能を有するアクティブセンサであってもよい。第一のセンサ構成要素は、信号生成機能を実行することができ、一方で第二のセンサ構成要素は、信号検出機能を実行することができる。信号生成機能および信号検出機能のうちの少なくとも1つは、液体貯蔵部分の容積の変化が信号生成機能と信号検出機能との間の距離の変化を引き起こすように配置される。
【0025】
センサは、信号生成機能と、信号生成機能によって生成された信号を変えるように構成された信号変化機能と、信号変化機能によって変化された後に信号生成機能によって生成された信号を検出するように構成された信号検出機能とを有するパッシブセンサであってもよい。第一のセンサ構成要素は、信号生成機能を実行することができ、第二のセンサ構成要素は、信号検出機能を実行することができ、また第三のセンサ構成要素は、信号変化機能を実行することができる。
【0026】
センサは、1つ以上の可撓性の壁のうちの1つに配置された信号変化機能に相当する歪みゲージを含んでもよい。センサは、歪みゲージの電気抵抗を測定するように構成される。測定された電気抵抗は、歪みゲージが配置された可撓性の壁の対応する長さに関連する。処理ユニットは、測定された電気抵抗を歪みゲージが配置された可撓性の壁の長さにマッピングする。可撓性の壁の長さは、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積を測定した電気抵抗から定めることができるように、液体貯蔵部分の対応する容積に関連する。
【0027】
センサは、信号変化機能に相当するコンデンサーを含むことが好ましい。コンデンサーは、コンデンサーが液体貯蔵部分のハウジングに対する液体貯蔵部分の壁の移動に基づいてその静電容量を変えるように配置される。センサは、コンデンサーの静電容量を測定するように構成される。処理ユニットは、測定された静電容量を液体貯蔵部分のハウジングに対する可撓性の壁の位置にマッピングする。可撓性の壁の目下の位置は、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積を測定した静電容量から定めることができるように、液体貯蔵部分の対応する容積に関連する。
【0028】
コンデンサーは、第一のセンサ構成要素に相当する第一のコンデンサー極板と、第二のセンサ構成要素に相当する第二のコンデンサー極板とを含むことが好ましい。両方のセンサ構成要素は、コンデンサー極板に加えられた電気信号を変える信号変化機能として互いに作用する。
【0029】
第一のコンデンサー極板は、液体貯蔵部分の第一の壁に配置されうる。第二のコンデンサー極板は、液体貯蔵部分の第二の壁に配置され、第二の壁は、第一の壁に対向していることが好ましい。別の方法として、第二のコンデンサー極板は、液体貯蔵部分のハウジングに取り付けられる。
【0030】
センサは、信号生成機能に相当する永久磁石と、信号検出機能に相当するホールプローブとを含み、センサは、永久磁石の磁場強度を測定するように構成されてもよい。永久磁石およびホールプローブは、液体貯蔵部分の容積の変化が永久磁石とホールプローブとの間の距離の対応する変化に関連するように配置される。測定された磁場強度は、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積が測定された磁場強度から定めることができるように、永久磁石とホールプローブとの間の対応する距離に関連する。
【0031】
センサは、信号変化機能に相当する誘導コイルと、信号生成機能と信号検出機能の両方に相当するリーダーとを含んでもよい。リーダーは、交流電磁場を生成し、また生成された電磁場上の誘導コイルの影響を測定するように構成される。誘導コイルおよびリーダーは、液体貯蔵部分の容積の変化が誘導コイルとリーダーとの間の距離の対応する変化に関連するように配置される。測定された影響は、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積が測定された磁場強度から定めることができるように、誘導コイルとリーダーとの間の対応する距離に関連する。
【0032】
誘導コイルは、RFIDタグとして具体化されてもよく、リーダーは、RFIDタグの距離の決定のほかにRFIDタグの読み取りを可能にするRFIDリーダーとして具体化されてもよい。このことは、カートリッジが検出されたRFIDタグに基づいて識別されうるので有利である。
【0033】
本発明の一実施形態によるカートリッジを有するエアロゾル発生システムは、気化器および電力源に接続された電気回路であって、気化器の電気抵抗を監視するように、かつ気化器の電気抵抗に依存する気化器への電力供給を制御するように構成された電気回路をさらに備えてもよい。
【0034】
電気回路はマイクロプロセッサを備えうるが、これはプログラム可能マイクロプロセッサでもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路は気化器への電力供給を調節するように構成されてもよい。電力はシステムの起動後に気化器に連続的に供給することも、毎回の吸煙ごとなど断続的に供給することもできる。電力は、電流パルスの形態で気化器に供給されてもよい。気化器は、フィラメントの構成を含むヒーター組立品であることが好ましい。
【0035】
エアロゾル発生システムはハウジングの本体内に、典型的には電池の電源を有利にも備える。代替として、電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は、再充電を必要とすることがあり、また1回以上の喫煙の体験のための十分なエネルギーの貯蔵が許容される容量を持ちうる。例えば、電源は約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な生成を許容するのに十分な容量を持ちうる。別の例で、電源は所定回数の吸煙、またはヒーター組立品の不連続的な起動を許容する十分な容量を持ちうる。
【0036】
周囲空気がカートリッジに入るようにするために、カートリッジのハウジングの壁、好ましくは気化器の反対側の壁、好ましくは底部壁には、少なくとも1つの半開放入口が提供される。半開放入口により、空気がカートリッジ内に入るが、空気または液体が半開放入口を通してカートリッジから出ることはない。半開放入口は、例えば、空気については一方向にのみ透過可能であるが反対方向には空気および液体が漏れないような半透過性の薄膜としうる。半開放入口は、例えば一方行弁でもよい。半開放入口は、例えば、カートリッジの最小限のへこみや弁または薄膜を通過する空気の体積といった特定の条件が満たされる場合に、入口のみを通して空気を通過させることが好ましい。
【0037】
エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力を持つ基体である。揮発性化合物はエアロゾル形成基体の加熱により放出されてもよい。エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は少なくとも1つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0038】
エアロゾル発生システムは、主要ユニットと、主要ユニットに取り外し可能なように結合されたカートリッジとを含みうるが、ここで液体貯蔵部分および気化器がカートリッジ内に提供されており、また主要ユニットは電源を含む。少なくとも1つのセンサ構成要素が、カートリッジ内に位置され、一方で存在する場合には、残りのセンサ構成要素が、主要ユニット内に位置される。
【0039】
エアロゾル発生システムは、電気的に作動する喫煙システムであってもよい。エアロゾル発生システムは携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生システムは従来型の葉巻たばこや紙巻たばこと匹敵するサイズであってもよい。喫煙システムの全長は、およそ30ミリメートル〜およそ150ミリメートルであってもよい。喫煙システムの外径は、およそ5ミリメートル〜およそ30ミリメートルの外径であってもよい。
【0040】
一つの態様に関連して説明した特徴は、本発明の他の態様に適用されうる。
ここで本発明の実施形態を、以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるが説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1は、液体貯蔵部分、毛細管媒体、および気化器を備える従来のエアロゾル発生システムの上面図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の第一の実施形態に従う、可撓性の側壁を有する液体貯蔵部分、コンデンサーを含むセンサ、毛細管媒体、および気化器を備えるエアロゾル発生システムの上面図である。
【
図2B】
図2Bは、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積が減少している場合の
図2Aのエアロゾル発生システムの上面図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の第二の実施形態に従う、可撓性の側壁を有する液体貯蔵部分、コンデンサーを含むセンサ、毛細管媒体、および気化器を備えるエアロゾル発生システムの上面図である。
【
図3B】
図3Bは、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積が減少している場合の
図3Aのエアロゾル発生システムの上面図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の第三の実施形態に従う、可撓性の上部壁を有する液体貯蔵部分、歪みゲージを含むセンサ、毛細管媒体、および気化器を備えるエアロゾル発生システムの上面図である。
【
図4B】
図4Bは、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積が減少している場合の
図4Aのエアロゾル発生システムの上面図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の第四の実施形態に従う、可撓性の壁を有する液体貯蔵部分、永久磁石およびホールプローブを含むセンサ、毛細管媒体、および気化器を備えるエアロゾル発生システムの上面図である。
【
図5B】
図5Bは、本発明の第五の実施形態に従う、可撓性の壁を有する液体貯蔵部分、永久磁石およびホールプローブを含むセンサ、毛細管媒体、および気化器を備えるエアロゾル発生システムの上面図である。
【
図5C】
図5Cは、本発明の第六の実施形態に従う、可撓性の壁を有する液体貯蔵部分、永久磁石およびホールプローブを含むセンサ、毛細管媒体、および気化器を備えるエアロゾル発生システムの上面図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の第七の実施形態に従う、可撓性の壁を有する液体貯蔵部分、誘導コイルおよび検出器を含むセンサ、毛細管媒体、および気化器を備えるエアロゾル発生システムの上面図である。
【
図6B】
図6Bは、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積が減少している場合の
図6Aのエアロゾル発生システムの上面図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の第八の実施形態に従う、可撓性の壁を有する液体貯蔵部分、センサ、毛細管媒体、および気化器を備えるカトマイザーの上面図である。
【
図7B】
図7Bは、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積が減少している場合の
図7Aのカトマイザーの上面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第九の実施形態に従う、異なる充填レベルでの液体貯蔵部分の上面図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に従う、可撓性の壁を有する液体貯蔵部分、センサ、毛細管媒体、および気化器が組み込まれるエアロゾル発生システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、液体貯蔵部分22A、毛細管媒体32、および気化器30を備える従来のエアロゾル発生システムを示す。液体貯蔵部分22Aは、液体貯蔵部分22Aの容積を制限する剛壁を有する。液体貯蔵部分22Aは、液体貯蔵部分22A内に延びる毛細管媒体32を介して液体貯蔵部分22Aから引き出される液体エアロゾル形成基体で充填される。毛細管媒体32は、引き出された液体を気化する気化器30と接触する。気化器30は、例えば、フィラメントを含むヒーター組立品として具体化されうる。気化することは、液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分22Aから引き出すことを引き起こす。液体エアロゾル形成基体の容積が引き出された液体の量に従って減少している間、液体貯蔵部分22Aの容積は、液体貯蔵部分22Aの容積を制限するその剛壁によって一定なままである。
図1に示すような従来のエアロゾル発生システムの設置が、これから本発明の実施形態に従って向上される。
【0043】
図2Aは、本発明の第一の実施形態に従う、可撓性の側壁を有する液体貯蔵部分22、コンデンサーとして具体化された第一のセンサ構成要素34を含むセンサ、毛細管媒体32、および気化器30を備えるエアロゾル発生システムを示す。液体貯蔵部分22の上部壁および下部壁は剛直であり、一方で上部壁と下部壁との間に延びる側壁は可撓性である。液体貯蔵部分22は、液体エアロゾル形成基体で充填される。液体貯蔵部分22の内部の液体エアロゾル形成基体の周囲空気圧力および圧力は、可撓性の側壁を対応する距離dに移動させる。コンデンサーは、上部壁に位置される第一のコンデンサー極板と、下部壁に位置される第二のコンデンサー極板とを含む。コンデンサーの静電容量は、2つのコンデンサー極板間の距離に依存する。液体貯蔵部分22に保持された液体エアロゾル形成基体の容積の減少に基づいて、距離dが減少し、したがってコンデンサーの静電容量が増加する。
【0044】
図2Bは、低い充填レベルの液体エアロゾル発生基体を有する
図2Aによるエアロゾル発生システムを示す。したがって、上部壁と下部壁との間のその距離dは、
図2Aに示す距離dと比較して減少している。結果として、2つのコンデンサー極板間の距離がまた減少し、したがってコンデンサーの静電容量が増加する。距離dとコンデンサーの静電容量との間に明瞭な関係があるので、液体貯蔵部分22の上部壁と下部壁との間の距離dは、コンデンサーの測定された静電容量から定められうる。距離dは、液体貯蔵部分22の目下の容積に対する比率であり、その結果、液体エアロゾル発生基体の残留する量がコンデンサーの測定された静電容量から定められうる。
【0045】
図3Aは、
図2Aによるエアロゾル発生システムと比較されるコンデンサーの代替的構成を示す。第一のコンデンサー極板は、液体貯蔵部分22の剛直な上部壁に位置し、一方で第二のコンデンサー極板は、液体貯蔵部分22が取り付けられたハウジングの上部壁に位置する。液体貯蔵部分22の剛直な下部壁と上部のハウジング壁とは、液体貯蔵部分22に保持された液体エアロゾル形成基体の変化する容積に対して、相互に同一の距離に保たれる。液体貯蔵部分22に保持された液体エアロゾル形成基体の容積の変化に伴って、液体貯蔵部分22の上部壁と上部のハウジング壁との間の距離dは変化する。距離dは、液体貯蔵部分22が最大容積まで液体エアロゾル形成基体で充填された時、最小の距離であり、距離dは、液体貯蔵部分22に保持された液体エアロゾル形成基体の容積の減少に伴って増加する。
【0046】
図3Bは、低い充填レベルの液体エアロゾル発生基体を有する
図3Aによるエアロゾル発生システムを示す。したがって、
図3Aに示す距離dと比較して、液体貯蔵部分22の上部壁と上部のハウジング壁との間の距離dは増加している。結果として、2つのコンデンサー極板間の距離がまた増加し、したがってコンデンサーの静電容量が減少する。距離dとコンデンサーの静電容量との間に明瞭な関係があるので、液体貯蔵部分22の上部壁と上部のハウジング壁との間の距離dが、コンデンサーの測定された静電容量から定められうる。距離dは、液体貯蔵部分22の容積に対する比率であり、その結果、液体エアロゾル発生基体の残留する量がコンデンサーの測定された静電容量から定められうる。
【0047】
図4Aは、本発明の第三の実施形態に従う、可撓性の上部壁を有する液体貯蔵部分22と、歪みゲージとして具体化された第一のセンサ構成要素34を含むセンサと、毛細管媒体32と、気化器30とを備えるエアロゾル発生システムを示す。液体貯蔵部分22の下部壁は剛直であり、一方で上部壁は可撓性である。液体貯蔵部分22は、液体エアロゾル形成基体で充填される。液体貯蔵部分22の内部の液体エアロゾル形成基体の周囲空気圧力および圧力は、可撓性の上部壁の長さを変える。歪みゲージは、液体貯蔵部分22の可撓性の上部壁に取り付けられる。歪みゲージの電気抵抗は、長軸方向における上部壁の応力に依存する。液体貯蔵部分22に保持された液体エアロゾル形成基体の容積の減少に基づいて、可撓性の上部壁の長さが減少する。長さの減少は応力の減少を引き起こし、それによって、歪みゲージの電気抵抗の減少をもたらす。
【0048】
図4Bは、低い充填レベルの液体エアロゾル発生基体を有する
図4Aによるエアロゾル発生システムを示す。したがって、
図4Aに示す長さと比較して、上部壁の長さは減少している。結果として、上部壁の応力が減少し、したがって、歪みゲージの電気抵抗がまた減少する。長さと歪みゲージの電気抵抗との間に明瞭な関係があるので、液体貯蔵部分22の上部壁の実際の長さが、測定された電気抵抗から定められうる。上部壁の長さは、液体貯蔵部分22の容積に対する比率であり、その結果、液体エアロゾル発生基体の残留する量が測定された電気抵抗から定められうる。
【0049】
図5Aは、本発明の第四の実施形態に従う、可撓性の壁を有する液体貯蔵部分22、永久磁石として具体化された第一のセンサ構成要素34およびホールプローブとして具体化された第二のセンサ構成要素36を含むセンサ、毛細管媒体32、ならびに気化器30を備えるエアロゾル発生システムを示す。永久磁石は、液体貯蔵部分22の第一の壁に取り付けられ、ホールプローブは、液体貯蔵部分の第二の壁に取り付けられる。液体貯蔵部分22の一定の容積に基づいて、永久磁石とホールプローブとの間の距離の変化が実質的にないように、永久磁石およびホールプローブは位置される。液体貯蔵部分22の可撓性の壁によって、永久磁石とホールプローブとの間の距離は、液体貯蔵部分22の変化する容積に基づいて変化する。液体貯蔵部分22の内部の液体エアロゾル形成基体の周囲空気圧力および圧力は、永久磁石とホールプローブとの間の距離が容積の変化に基づいて変わるように可撓性の側壁を移動させる。ホールプローブによって検出された磁場強度は、永久磁石とホールプローブとの間の距離に依存する。液体貯蔵部分22に保持された液体エアロゾル形成基体の容積の減少に基づいて、永久磁石とホールプローブとの間の距離が減少する。距離の減少は、ホールプローブによって検出されうる磁場強度の増加を引き起こす。
【0050】
図5Bは、本発明の第五の実施形態に従うホールプローブの代替的構成を示す。
図5Aに示すエアロゾル発生システムと異なり、永久磁石は、液体貯蔵部分22の上部壁に位置され、一方でホールプローブは、液体貯蔵部分22が取り付けられるハウジングの壁に位置される。液体貯蔵部分22に保持された液体エアロゾル形成基体の容積の変化に基づいて、液体貯蔵部分22の上部壁と上部のハウジング壁との間の距離は変化する。距離は、液体貯蔵部分22が最大容積まで液体エアロゾル形成基体で充填された時、最小の距離であり、距離は、液体貯蔵部分22に保持された液体エアロゾル形成基体の容積の減少に伴って増加する。
【0051】
図5Cは、本発明の第六の実施形態に従うホールプローブの代替的構成を示す。
図5Aに示すエアロゾル発生システムから離される場合、永久磁石は、液体貯蔵部分22の壁に位置され、一方でホールプローブは、分離されたハウジング内に位置される。液体貯蔵部分22の一定の容積に基づいて、永久磁石とホールプローブとの間の距離の変化が実質的にないように、永久磁石およびホールプローブは位置される。永久磁石を有する液体貯蔵部分は、カートリッジの一部分であり、一方でホールプローブは、カートリッジから分離したエアロゾル発生システムの主要ユニットの一部分であることが好ましい。永久磁石およびホールプローブは、液体貯蔵部分22に保持された液体エアロゾル形成基体の容積の変化に基づいて、永久磁石とホールプローブとの間の距離の変化が起こるように配置されてもよい。任意に、少なくとも1つのさらなる永久磁石が液体貯蔵部分の壁に配置され、ここにおいて、さらなる永久磁石とホールプローブとの間の距離は、液体貯蔵部分22の容積の変化に基づいて変化する。
【0052】
図6Aは、本発明の第七の実施形態に従う、可撓性の壁を有する液体貯蔵部分22、誘導コイルとして具体化された第一のセンサ構成要素34および検出器として具体化された第二のセンサ構成要素36を含むセンサ、毛細管媒体32、ならびに気化器30を備えるエアロゾル発生システムを示す。誘導コイルは、液体貯蔵部分22の壁に取り付けられ、一方で検出器は、分離されたハウジング内に位置される。液体貯蔵部分22の一定の容積に基づいて、誘導コイルと検出器との間の距離の変化が実質的にないように、誘導コイルおよび検出器は位置される。誘導コイルを有する液体貯蔵部分は、カートリッジの一部分であり、一方で検出器は、カートリッジから分離したエアロゾル発生システムの主要ユニットの一部分であることが好ましい。誘導コイルおよび検出器は、液体貯蔵部分22に保持された液体エアロゾル形成基体の容積の変化に基づいて、誘導コイルと検出器との間の距離の変化が起こるように配置される。検出器は、交流電磁場を生成し、また生成された電磁場上の誘導コイルの影響を測定するように構成される。誘導コイルおよびリーダーは、液体貯蔵部分の容積の変化が誘導コイルと検出器との間の距離の対応する変化に関連するように配置される。測定された影響は、タイミング特性および信号強度のうちの少なくとも1つに基づき、誘導コイルと検出器との間の対応する距離に関連してもよい。任意に、誘導コイルは、RFIDタグとして具体化されてもよく、検出器は、RFIDタグの距離の決定のほかにRFIDタグの読み取りを可能にするRFIDリーダーとして具体化されてもよい。
【0053】
図6Bは、低い充填レベルの液体エアロゾル発生基体を有する
図6Aによるエアロゾル発生システムを示す。したがって、誘導コイルと検出器との間のその距離は、
図6Aに示す距離と比較して減少している。距離と交流電磁場上の誘導コイルの測定された影響との間に明瞭な関係があるので、誘導コイルと検出器との間の距離が定められうる。距離は、液体貯蔵部分22の目下の容積に対する比率であり、その結果、液体エアロゾル発生基体の残留する量が測定された影響から定められうる。
【0054】
図7Aは、本発明の第八の実施形態に従う、可撓性の壁を有する液体貯蔵部分22、センサ(図示せず)、毛細管媒体32、気化器30、および円筒形の空気ダクト38を備えるカトマイザーを示す。液体貯蔵部分22は、円筒形の空気ダクト38の周りに配置され、液体エアロゾル形成基体を有する液体貯蔵部分22の充填レベルに対応する厚さを示す。円筒形の空気ダクト38と接触する液体貯蔵部分22の壁は、剛直であってもよい。液体貯蔵部分が容積の変化に基づいてその形状を変えるように、液体貯蔵部分22の外側の壁は可撓性である。
【0055】
図7Bは、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積が減少し、その結果、液体貯蔵部分22の厚さが減少している場合の
図7Aのカトマイザーを示す。
【0057】
図9は、本発明の第九の実施形態に従う、異なる充填レベルでの液体貯蔵部分22を示す。液体貯蔵部分22は、2つの端間の一定のかつ予測可能な屈曲を提供するために2つの対向する端に固定される。したがって、液体貯蔵部分は、再充填可能な液体貯蔵部分22の要求に応じて、液体エアロゾル形成基体から同一の量を消費し42、また液体エアロゾル形成基体に同一の量を加えた40後に、同一の形状および同一の寸法に戻る。
【0058】
図10はエアロゾル発生システムの概略図である。エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置10と、別個のカートリッジ20とを備える。カートリッジ20は、液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分22を備える。カートリッジ20は、液体貯蔵部分22から毛細管媒体32を介して引き出された液体エアロゾル形成基体を受ける気化器30をさらに備える。さらに、カートリッジ20は、少なくとも1つのセンサ構成要素34を備え、一方で存在する場合には、残りのセンサ構成要素36が、エアロゾル発生装置10内に配置されうる。この例では、エアロゾル発生システムは電気的に作動する喫煙システムである。
【0059】
カートリッジ20は、装置内のくぼみ18内に受けられるように構成される。カートリッジ20は、カートリッジ20内に提供されたエアロゾル形成基体が消耗した時に、ユーザーによって交換可能であるべきである。
図10は、装置への挿入直前のカートリッジ20を示し、
図10の矢印1は、カートリッジ20の挿入方向を示す。気化器30および毛細管媒体32は、カートリッジ20内のカバー26の後に位置する。エアロゾル発生装置10は携帯型で、従来的な葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを持つ。装置10は、本体11およびマウスピース部分12を含む。本体11は、電源14(例えば、リン酸鉄リチウム電池などの電池)、制御電子回路16、およびくぼみ18を含む。マウスピース部分12は、ヒンジ付接続部21によって本体11に接続され、
図10に示す開位置と閉位置との間で移動可能である。マウスピース部分12は、カートリッジ20の挿入および除去が許容されるように開位置に置かれ、またシステムがエアロゾルの発生に使用される時に閉位置に置かれる。マウスピース部分は、複数の空気吸込み口13および空気出口15を備える。使用時に、ユーザーは出口を吸うかまたは吸入して、空気を空気吸込み口13からマウスピース部分を通して出口15に引き出し、その後、ユーザーの口または肺に入る。内部バッフル17は、マウスピース部分12を通してカートリッジを通過する空気の流れを強制するために提供される。
【0060】
くぼみ18は円形断面を持ち、カートリッジ20のハウジング24を受けるサイズである。電気コネクター19は、制御電子回路16および電池14とカートリッジ20の対応する電気接点との間に電気的接続を提供するために、くぼみ18の側部に提供される。
【0061】
当業者であれば、少なくとも1つのセンサ構成要素34、気化器30、および毛細管媒体32を組み込んだその他のカートリッジ設計を考案することができる。例えば、カートリッジ20はマウスピース部分12を含んでもよく、複数の気化器を含んでもよく、望ましい任意の形状を持ってもよい。
【0062】
上述の例示的な実施形態は例証するが限定はしない。上記で考察した例示的な実施形態に照らすことにより、上記の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態は今や当業者には明らかとなろう。
【手続補正書】
【提出日】2018年3月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システム用のカートリッジであって、前記カートリッジが、
液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分であって、前記液体貯蔵部分が、1つ以上の可撓性の壁を含み、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の容積の変化に基づいて、前記液体貯蔵部分の形状および寸法のうちの少なくとも1つを変えるように構成される、液体貯蔵部分と、
物理的性質のデータを測定するためのセンサであって、前記測定されたデータが、前記液体貯蔵部分の対応する形状および対応する寸法のうちの少なくとも1つに関連し、したがって、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積を前記測定されたデータから定めることができる、センサと、
気化器とを備える、カートリッジ。
【請求項2】
前記1つ以上の可撓性の壁の長さが、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積の変化に基づいて変化する、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記センサが、前記1つ以上の可撓性の壁のうちの1つに配置された歪みゲージを含み、前記センサが、前記歪みゲージの電気抵抗を測定するように構成され、
前記測定された電気抵抗が、前記可撓性の壁の対応する長さに関連し、前記歪みゲージが、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積を前記測定した電気抵抗から定めることができるように配置される、請求項1または2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記センサが、第一のセンサ構成要素および第二のセンサ構成要素を含み、前記第一のセンサ構成要素および前記第二のセンサ構成要素のうちの少なくとも1つが、前記液体貯蔵部分の壁に配置され、
前記第一のセンサ構成要素と前記第二のセンサ構成要素との間の距離が、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積の変化に基づいて変化し、
前記センサが、前記第一のセンサ構成要素と前記第二のセンサ構成要素との間の対応する距離に関連する物理的性質のデータを測定するように構成される、請求項1または2に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記液体貯蔵部分が、第一の壁と、前記第一の壁に対向する第二の壁と、前記第一の壁と前記第二の壁とを接続する1つ以上の可撓性の側壁とを含み、
前記第一のセンサ構成要素が、前記第一の壁に配置され、前記第二のセンサ構成要素が、前記第二の壁に配置され、
前記第一の壁と前記第二の壁との間の前記距離が、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積の変化に基づいて変化し、
前記センサが、前記第一の壁と前記第二の壁との間の対応する距離に関連する物理的性質のデータを測定するように構成される、請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記センサが、前記第一のセンサ構成要素に相当する第一のコンデンサー極板と、前記第二のセンサ構成要素に相当する第二のコンデンサー極板とを有するコンデンサーを含み、前記センサが、前記コンデンサーの静電容量を測定するように構成され、
前記測定された静電容量が、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積が前記測定された静電容量から定めることができるように、前記第一の壁と前記第二の壁との間の対応する距離に関連する、請求項4または5に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記センサが、前記第一のセンサ構成要素に相当する永久磁石と、前記第二のセンサ構成要素に相当するホールプローブとを含み、前記センサが、前記永久磁石の磁場強度を測定するように構成され、
前記測定された磁場強度が、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積が前記測定された磁場強度から定めることができるように、前記永久磁石と前記ホールプローブとの間の対応する距離に関連する、請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記センサが、前記第一のセンサ構成要素に相当する誘導コイルと、前記第二のセンサ構成要素に相当するリーダーとを含み、前記リーダーが、交流電磁場を生成し、また前記生成された電磁場上の前記誘導コイルの影響を測定するように構成され、
前記測定された影響が、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積が前記測定された磁場強度から定めることができるように、前記誘導コイルと前記リーダーとの間の対応する距離に関連する、請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記第一のセンサ構成要素が、RFIDタグを含み、前記第二のセンサ構成要素が、前記RFIDタグを読み取り、それにより前記RFIDタグに基づいて前記カートリッジを識別することができるRFIDリーダーを含む、請求項8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記液体貯蔵部分が、前記液体貯蔵部分に保持された前記液体エアロゾル形成基体の前記容積の変化に基づいて、その形状および寸法を可逆的にかつ一貫的に変化するように構成される、請求項1〜9のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のカートリッジを有するエアロゾル発生システムであって、前記エアロゾル発生システムが、主要ユニットおよび前記カートリッジを備え、前記カートリッジが、前記主要ユニットと取り外し可能なように結合され、前記主要ユニットが、電源を備え、前記液体貯蔵部分が、前記カートリッジに提供され、前記カートリッジの前記センサの前記構成要素のそれぞれが、前記主要ユニットおよび前記カートリッジのうちの一方に提供される、エアロゾル発生システム。
【国際調査報告】