特表2018-532448(P2018-532448A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-532448移植医療機器のためのテレメトリ・ポート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-532448(P2018-532448A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(54)【発明の名称】移植医療機器のためのテレメトリ・ポート
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/02 20060101AFI20181012BHJP
   A61B 5/07 20060101ALI20181012BHJP
【FI】
   A61F2/02
   A61B5/07 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-510799(P2018-510799)
(86)(22)【出願日】2016年8月22日
(85)【翻訳文提出日】2018年2月26日
(86)【国際出願番号】US2016047966
(87)【国際公開番号】WO2017035051
(87)【国際公開日】20170302
(31)【優先権主張番号】14/837,135
(32)【優先日】2015年8月27日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】503116291
【氏名又は名称】プリシジョン メディカル デバイスズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セイエット、ピーター
【テーマコード(参考)】
4C038
4C097
【Fターム(参考)】
4C038CC05
4C038CC09
4C038CC10
4C097BB01
4C097BB06
(57)【要約】
移植可能な医療機器の金属の外殻から、アンテナが干渉のない信号を送信および受信し得る開空間を提供するためのテレメトリ・ポートであって、テレメトリ・ポートは、アンテナを受容するための空所空間を画定するハウジングを含む。空所空間は、アンテナがハウジングに接触しないように、アンテナに十分な空間を提供するように構成されている。ハウジングは、移植可能な医療機器に一体化され、移植可能な医療機器と密封シールを形成することができる、底縁部に沿って位置付けられた外縁部をさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナが干渉のない信号を送信および受信し得る開空間を提供するためのテレメトリ・ポートにおいて、
アンテナを空所空間内に受容するための前記空所空間を中に画定するハウジングであって、前記アンテナが前記ハウジングに接触しないように、中に位置付けられた前記アンテナに十分な空間を提供するように前記空所空間がさらに構成された、ハウジングと、前記空所空間内に画定された間隙であって、前記間隙が、前記アンテナと前記ハウジングとの間に位置付けられ、前記間隙がさらに、前記ハウジング内での前記アンテナの移動の自由を可能にするために、前記ハウジングに接触することのない前記アンテナの移動の結果として前記アンテナが前記ハウジング内で自由に移動することができるように、前記アンテナに対して十分なサイズである、間隙と、を備え、
前記ハウジングが、前記ハウジングの底縁部に沿って位置付けられた外縁部をさらに画定し、それによって、前記外縁部が、移植可能な医療機器に一体化され、前記移植可能な医療機器と密封シールを形成することができ、
前記ハウジングが、テレメトリ信号に対して透過性である材料を含む、テレメトリ・ポート。
【請求項2】
前記外縁部が、第1のバンド、第2のバンド、およびリングをさらに備え、前記リングが、前記第1のバンドと第2のバンドとの中間に位置付けられ、前記リングが溝を形成し、前記第1のバンドおよび第2のバンドの各々に対して凹むように、前記リングが、前記第1のバンドおよび前記第2のバンドの各々の円周よりも概ね小さい円周をさらに有する、請求項1に記載のテレメトリ・ポート。
【請求項3】
前記外縁部が、移植可能な医療機器の縁と嵌合するように構成されている、請求項2に記載のテレメトリ・ポート。
【請求項4】
前記テレメトリ・ポートの前記外縁部が前記移植可能な医療機器と一体的に嵌合されたとき、前記リングが、前記移植可能な医療機器の前記縁と概ね同じ高さである、請求項3に記載のテレメトリ・ポート。
【請求項5】
前記テレメトリ・ポートの前記外縁部が前記移植可能な医療機器とのシールされた嵌合係合状態にあるとき、前記第1のバンドが、前記縁より上で前記移植可能な医療機器と嵌合するように構成され、前記第2のバンドが、前記縁より下で前記移植可能な医療機器と嵌合するよう構成されている、請求項4に記載のテレメトリ・ポート。
【請求項6】
前記ハウジングが、第1の側壁および前記第1の側壁に概ね対向する第2の側壁と、第1の横側面ならびに前記第1の横側面に概ね対向し、前記第1の側壁および第2の側壁に隣接する第2の横側面と、前記第1の側壁、第2の側壁、第1の横側面、および第2の横側面の各々の最上縁部に沿って位置付けられた頂面であって、前記第1の側壁と第2の側壁との中間に位置付けられ、前記第1の側壁から前記第2の側壁まで、および前記第1の横側面から前記第2の横側面まで間にさらに延在する、頂面と、を備える、請求項1に記載のテレメトリ・ポート。
【請求項7】
前記ハウジングの材料が、可撓性の透明なプラスチックを含む、請求項1に記載のテレメトリ・ポート。
【請求項8】
前記空所空間が、アンテナの進入または退出を可能にするように構成されている、請求項1に記載のテレメトリ・ポート。
【請求項9】
前記空所空間が、一体型PCボードを有するアンテナの進入または退出を可能にするように構成されている、請求項1に記載のテレメトリ・ポート。
【請求項10】
テレメトリ信号を受信および送信するのに十分な前記アンテナの一部分だけが、前記空所空間内に突出する、請求項1に記載のテレメトリ・ポート。
【請求項11】
前記空所空間が、テレメトリ信号の自由な流れを可能にするように構成されている、請求項1に記載のテレメトリ・ポート。
【請求項12】
前記外縁部が、前記移植可能な医療機器の外殻の縁に沿って位置付けられた孔で前記移植可能な医療機器と嵌合するように構成され、それによって、前記外殻の前記孔が、前記アンテナに、前記移植可能な医療機器の前記外殻および前記テレメトリ・ポート内からの進入および退出地点を提供する、請求項1に記載のテレメトリ・ポート。
【請求項13】
移植可能な医療機器において、
外殻であって、当該外殻内に配置された1つ以上の内部構成要素を囲繞するための前記外殻と、
前記外殻に固着されたテレメトリ・ポートであって、前記テレメトリ・ポートは、アンテナが前記外殻から干渉のない信号を送信および受信し得る開空間を提供し、前記テレメトリ・ポートが、前記外殻の縁に沿って位置付けられた孔で前記外殻に固着され、それによって、前記外殻の前記孔が、前記アンテナに、前記ハウジングおよび前記テレメトリ・ポート内からの進入および退出地点を提供する、テレメトリ・ポートと、を備え、
前記テレメトリ・ポートが、前記外殻と密封シールを形成する、移植可能な医療機器。
【請求項14】
前記テレメトリ・ポートが、前記アンテナを空所空間内で受容するための前記空所空間を中に画定するハウジングであって、前記アンテナが前記テレメトリ・ポートの前記ハウジングに接触しないように、中に位置付けられた前記アンテナに十分な空間を提供するように前記空所空間がさらに構成された、ハウジングと、前記空所空間内に画定された間隙であって、前記間隙が、前記アンテナと前記ハウジングとの間に位置付けられ、前記間隙がさらに、前記ハウジング内での前記アンテナの移動の自由を可能にするために、前記アンテナが前記ハウジングに接触せずに前記ハウジング内で任意の方向に自由に移動することができるように、前記アンテナに対して十分なサイズである、間隙と、を含む、請求項13に記載の移植可能な医療機器。
【請求項15】
前記テレメトリ・ポートが、前記テレメトリ・ポートの底縁部に沿って位置付けられた外縁部を含み、それによって前記外縁部が前記外殻と一体化する、請求項13に記載の移植可能な医療機器。
【請求項16】
前記テレメトリ・ポートの前記ハウジングが、テレメトリ信号に対して透過性である材料を含む、請求項13に記載の移植可能な医療機器。
【請求項17】
前記外殻が、テレメトリ信号に対して概ね不透過性である材料を含む、請求項16に記載の移植可能な医療機器。
【請求項18】
移植可能な医療機器を製造する方法において、
(a)テレメトリ・ポートを提供するステップであって、前記テレメトリ・ポートは、中に位置付けられたアンテナが干渉のない信号を送信および受信し得る開空間を有し、前記テレメトリ・ポートが、アンテナを空所空間内に受容するための前記空所空間を中に画定するハウジングであって、前記アンテナが前記ハウジングに接触しないように、中に位置付けられた前記アンテナに十分な空間を提供するように前記空所空間がさらに構成された、ハウジングと、前記空所空間内に画定された間隙であって、前記間隙が、前記アンテナと前記ハウジングとの間に位置付けられ、前記間隙がさらに、前記ハウジング内での前記アンテナの移動の自由を可能にするために、前記アンテナが前記ハウジングに接触せずに前記ハウジング内で自由に移動することができるように、前記アンテナに対して十分なサイズである、間隙と、を含み、前記ハウジングが、前記ハウジングの底端部に沿って位置付けられた外縁部をさらに画定し、それによって、前記外縁部が、移植可能な医療機器に一体化され、前記移植可能な医療機器と密封シールを形成することができ、前記ハウジングが、テレメトリ信号に対して透過性である材料を含む、提供するステップと、
(b)前記テレメトリ・ポートを前記移植可能な医療機器の外殻の一部分に固着するステップと、
(c)前記アンテナを前記移植可能な医療機器の前記外殻内に挿入するステップと、
(d)前記アンテナの少なくとも一部分を前記移植可能な医療機器の前記テレメトリ・ポート内に挿入するステップであって、それによって、前記テレメトリ・ポート内の前記アンテナの前記一部分が、信号を送信および受信するのに十分である、挿入するステップと、
(e)前記テレメトリ・ポートを前記外殻に密封シールするステップと、を含む、方法。
【請求項19】
内部配置格子構造を備えたモジュールを提供することをさらに含み、それによって、前記アンテナが、前記外殻およびテレメトリ・ポート内の適所にスライドされる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記テレメトリ・ポートが、レーザまたは音波溶接を使用して前記移植可能な医療機器の前記外殻に密封シールされる、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、動物またはヒトの体内に移植された電子医療機器に関し、特に、本発明は、テレメトリ通信機構を含む完全移植電子医療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
移植可能な電子医療機器(IMD:Implantable electronic medical devices)は、しばしば、他の機器、例えば、別のIMDまたは例えば、モニタリングシステムもしくはプログラミングコンソールなどの外部機器と通信する必要がある。
【0003】
テレメトリ(TELEMETRY)通信システムは、情報を双方向モードで送信および受信する。システムは、別個の機器に対して、別個の機器がその電子的または電気機械的性能を変化させ、それによって機器を制御し得るコマンドを送信または受信する。システムは、ハードウェアおよびソフトウェア、センサ、伝送プロトコル、ならびに通常は何らかの形態のディスプレイ、また、場合によっては、かかる相互作用を記録することができるハードウェアおよびソフトウェアからなり得る。
【0004】
テレメトリシステムは、遠隔移植ソースからのデータを取得して送信し、移植機器および使用者の活動に関する情報を提供するように実装することができる。
【0005】
医師が、IMDの制御を訓練すること、または別様にIMDの動作状態に関する情報を得ることが望ましい。
【0006】
IMD(IMD’s)は、種々の医療状態についての処置を行うためのある特定のタスクを遂行する。遠隔制御テレメトリ機構を含むように設計されているIMD(IMD’s)は、機器が遠隔制御テレメトリコマンドを送信および/または受信することを必要とする。被験体の内部組織をIMD内の有毒構成要素の可能性のある漏出から、または該構成要素との接触から保護し、また、IMDの外殻の中への内部体液の侵入も防止するために、IMDの主要電子部品および電源をIMDの外殻内に密封シールすることが重要である。IMD(IMD’s)の主要電子部品および電源は、例えば、チタンなどの金属の材料の何らかの形態からたいてい作製される硬質外殻ケースの中に密封シールされる。IMDの外殻ケーシングは別の好適な材料から形成され得ることが理解される。
【0007】
金属化合物は、非多孔質で不活性であり、かつ耐久性が高いため、IMDの外殻を構成するのに有効な材料である。しかしながら、金属化合物は、金属が電子受信機との間で行き来する遠隔テレメトリ信号を妨害または遮断するため不都合である。
【0008】
医療機器産業は、全体として、内包されている種々の電子部品を被験体の体液から保護するだけでなく、インプラント被験体の組織が、IMD内の移植構成要素と関連し得る潜在的に有毒な、または別様に有害な要素に曝露されることからも保護するために、耐久性、不活性性、ならびに空気および流体密封性について、IMD(IMD’s)の外殻構造にチタンなどの材料を利用してきた。
【0009】
しかしながら、かかる実例では、遠隔制御コマンドを、IMDの金属の外殻またはケース内に内包された電子構成要素に対して、一定の基準で受信または送信することができないため、問題が生じる。
【0010】
IMD(IMD’s)についての有望な材料の短期および長期のインプラント試験では、特に移植機器が搭載型電源を含む場合、プラスチックを使用することに関連した問題が特定された。問題としては、限定はされないが、内部体液がケースの中に侵入することを可能にし得る多孔性、ならびにプラスチックの外殻の構造的一体性を変化させ得る、可能性のあるオフガス作用(off−gassing)の問題が挙げられる。
【0011】
先行技術としては、移植電子医療機器からテレメトリ信号を送信/受信する際の干渉を低減または克服するための種々の試みが挙げられる。例えば、(Thomsonに対する)米国特許第6,868,288B2号は、薄膜バルク音響共振器フィルタを備えた帯域外除去フィルタを含むテレメトリ回路に連結されたRFアンテナを有する移植可能な医療機器(IMD)のためのテレメトリ受信機である。
【0012】
(Stevensonらに対する)米国特許第8,160,705B2号は、中を通って延在する無線周波数(RF:radio frequency)テレメトリピンアンテナを含むAIMDのためのEMIフィルタ端子アセンブリを提供しており、テレメトリピンと非導電関係にあるRFテレメトリピンアンテナの一部分の上に延在し、AIMDに関連するアースに導電接続された導電性シールドを含む。
【0013】
(Amely−Velezらに対する)米国特許第8,527,060B2号は、高出力電磁干渉を有する環境にあるとき、患者内のAIMDとテレメトリワンドとの間のテレメトリ通信を維持するように構成されているシールドを教示している。シールドは、プラスチック組成物を含み得、外殻内に体積および開口を画定する壁を含む外殻を含む。体積は、テレメトリワンドの第2および横側面が壁のそれぞれの部分に面し、第1の側面が外殻内の開口に面するように、テレメトリワンドを中に受容するように構成することができる。
【0014】
(Hermanらに対する)米国特許公開第2012/0326886A1号は、テレメトリアンテナと、アンテナの少なくとも一部分を実質的に取り囲むシールドとを備える移植可能な医療機器との通信のためのテレメトリヘッドを開示しており、シールドは、シールドの少なくとも一部分に適用された強磁性材料を含むコーティングを有し、コーティングは、テレメトリアンテナの少なくとも一部分を電磁干渉場からシールドしつつ、テレメトリ信号がコーティングを通過することを許容するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このように、アンテナをIMDの金属の外殻からの干渉に供することなく、IMD内のアンテナを遠隔放送信号に曝露させることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、遠隔テレメトリアンテナが、アンテナを収容するテレメトリ・ポートを使用することによって、干渉なしで遠隔放送信号への拘束されないアクセスを得ることを可能にする。テレメトリ・ポートは、IMDの金属の外殻としっかりと結合することができる非金属、好ましくは、プラスチック化合物から形成される。テレメトリ・ポートのための材料は、耐久性があり、かつヒト組織および内部体液をIMD内の機械的、電子的、または電源構成要素のうちのいずれかと接触することから保護し、ならびに拘束されない双方向のテレメトリ信号を可能にすることができるべきである。
【0017】
本発明は、テレメトリボックスまたはモニタから突出した延長カバーまたはポートとして説明され、テレメトリボックスは、チタンまたは他の金属の外殻筐体を含み得る。本明細書において、テレメトリボックスは、IMDの一形態であることに留意されたい。テレメトリ・ポートの底部部分は、チタンまたは他の金属の外殻筐体に密封シールされている。好ましい一実施形態では、テレメトリ・ポートは、可撓性の透明なプラスチック材料を含む。テレメトリ・ポートは、テレメトリボックスから、テレメトリボックスまたはモニタの金属の外殻筐体を越えて突出したテレメトリ・ポート内の空所空間の中まで延在する内部テレメトリアンテナのための干渉のない送信域を提供する。これによって、内部テレメトリアンテナは、テレメトリボックスの金属またはチタンの外殻から、干渉のない信号を送信および受信することができる。任意の所与の時間においてテレメトリ・ポート内に1つまたは1つ以上のアンテナが存在し得ることが理解されるべきである。
【0018】
アンテナは、テレメトリ・ポート内に位置付けられるが、テレメトリ・ポート内に頑丈に内包されるものではない。したがって、テレメトリ・ポート内のアンテナ(複数可)は、完全に制限されるものではない。テレメトリ・ポートは、テレメトリ・ポートに接触することなく、アンテナにポート内で動き回るのに十分な場所を提供し、それによって、アンテナがテレメトリ・ポートのハウジング/外殻に接触した場合に生じ得る、例えば、アンテナが頑丈に内包された場合に生じ得る、送信機または受信機との接続の可能性のある中断を回避する。
【0019】
したがって、本発明の一態様は、遠隔テレメトリコマンドを、テレメトリボックスのチタンまたは他の金属の外殻から、干渉なしに送信または受信することができる「自由域」を提供することである。
【0020】
本発明の別の態様は、テレメトリボックスの金属の外殻の材料との結合が、体液の侵入の可能性を作り出すことなく、IMDの外殻の構成要素全体が完全に密封シールされたままであるという性質のものであることを確保し続けることができるような手法で結合することができる材料を含むというものである。
【0021】
好ましい一実施形態では、本発明のテレメトリ・ポートは、遠隔テレメトリコマンドの障害のない送信および受信を可能にするのに好適な非常に耐久性のある可撓性のプラスチック材料から製造される。
【0022】
テレメトリ・ポートの材料の少なくとも一部分はまた、テレメトリボックスと密封シールを形成するように、テレメトリボックスの外殻の材料と密接に結合することもできなければならない。
【0023】
本発明のテレメトリ・ポートは、広範囲の寸法および/または形状で作製することができる。テレメトリ・ポートは、その材料がテレメトリ信号の自由な流れを可能にし、テレメトリボックスまたはIMDの主要本体の外殻と密封結合することができる限り、広範囲の材料から作製することができる。
【0024】
好ましい一実施形態では、クリアな可撓性のプラスチック材料を使用して、テレメトリ・ポートを形成することができる。プラスチックを使用して、信号がテレメトリボックスの主要本体のチタンの外殻から跳ね返ることを防止する。
【0025】
本発明のテレメトリ・ポートは、遠隔テレメトリ受信アンテナが信号の受信および送信への拘束されないアクセスを得ることを可能にする手段を提供する。テレメトリボックスまたはIMDの主要本体は、機械的、電子的、および電源構成要素を収容する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の1つの利点は、突出したテレメトリ・ポートがIMDの主要本体に密封シールされることである。
【0027】
本発明の1つの目的は、テレメトリ・ポートが信号干渉を防止し、信号の送信および受信を改善するために、テレメトリアンテナのリード線に「自由送信」域を提供することである。
【0028】
本発明のテレメトリ・ポートの別の利点は、ヒト組織および内部体液をIMDの主要本体内部の機械的、電子的、または電源構成要素のうちのいずれかと接触することから継続して保護し(逆もまた同様)、ならびに拘束されない双方向のテレメトリ信号の送信および受信を可能にすることの両方ができることである。
【0029】
本発明のさらに別の利点は、テレメトリ・ポート内のアンテナがテレメトリ・ポートのハウジングに接触することなく自由に移動することを可能にすることである。
【0030】
本発明の上記ならびに他の特徴および利点、ならびにそれらを達成する様式がより明らかになり、本発明自体は、添付の図面と共に説明される本発明の実施形態の以下の説明を参照することによって、よりよく理解されるであろう。
【0031】
本明細書において本発明または本発明の態様になされた言及は、本発明のある特定の実施形態を意味するものと理解されるべきであり、必ずしもすべての実施形態を特定の説明に限定するものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0032】
本発明は、発明の概要ならびに添付の図面および発明の詳細な説明において種々のレベルで詳細に記載されており、この発明の概要における要素、構成要素などの包含または非包含のいずれかによって意図される本発明の範囲を限定するものではない。本発明の追加の態様は、詳細な説明から、特に、図面と一緒に説明されるときに、より容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】移植可能な電子医療機器を伴った本発明のテレメトリ・ポートの分解図である。
図2】本発明のテレメトリ・ポートの側面図である。
図3】本発明のテレメトリ・ポートの正面図である。
図4】本発明のテレメトリ・ポートの底面図である。
図5】本発明のテレメトリ・ポートの側断面図である。
図6】本発明の遠隔測定ポートの底部の側面斜視図である。
図7】本発明の代替的な実施形態の側面図である。
図8図8に示された本発明の代替的な実施形態の正面図である。
図9図8に示された本発明のテレメトリ・ポートの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の詳細な実施形態を本明細書において開示する。しかしながら、開示の実施形態は、本発明の単なる例示であり、種々の形態で具現化することができることを理解されたい。したがって、本明細書に開示の詳細は、限定として解釈されるべきではなく、単に、特許請求の範囲の基礎として、ならびに本発明の作製および/または使用方法を当業者に教示するための基礎として解釈されるべきである。
【0035】
ここで図1〜9を参照すると、主題の発明は、アンテナ20が、IMD30の金属外殻32から、干渉のない信号を送信および受信し得る開空間を提供するためのテレメトリ・ポート10である。外殻32が1つ以上のセグメントを含み得ることが理解される。一実施形態では、外殻は、セグメント38および38’を含む。テレメトリ・ポート10は、テレメトリ信号を送信および受信することに対して透過性であり、テレメトリ信号の自由でクリアな進入および退出を可能にする材料を含む。好ましい一実施形態では、テレメトリ・ポート10の材料は、クリアな可撓性のプラスチックである。テレメトリ・ポート10の材料はまた、その材料がテレメトリ信号およびテレメトリ・ポート10の少なくとも一部分に対して透過性であり、金属外殻32と密封シールを形成することができる限り、硬質プラスチック、クリアではないプラスチック、または別の材料も含み得ることを理解されたい。
【0036】
テレメトリ・ポート10は、アンテナ20を空所空間16内に受容するための空所空間16を中に画定するハウジング12を含む。空所空間16は、その中でアンテナ20がテレメトリ・ポート10内のテレメトリ信号の自由な流れにおいて機能することを可能にするのに十分なサイズである。
【0037】
空所空間16は、アンテナ20がテレメトリ・ポート10のハウジング12に接触しないように、中に位置付けられたアンテナ20に十分な空間を提供するように構成されている。アンテナ20とハウジング12との間に画定された間隙22が存在する。間隙22は、ハウジング12内でのアンテナ20の移動の自由を可能にするために、ハウジング12に接触することのない振動移動の結果としてアンテナ20がハウジング12内で任意の方向に自由に移動することができるように、アンテナ20に対して十分なサイズである。テレメトリ・ポート10内でのアンテナ20の移動は、例えば、アンテナ20が収縮されているか、または別様に収縮可能である場合など、振動移動または他の機械的移動に起因し得る。
【0038】
テレメトリ・ポート10のハウジング12は、外縁部40を含む。外縁部40は、テレメトリ・ポート10のハウジング12の底縁部に沿って位置付けられる。外縁部40は、IMD30と一体的に嵌合するように構成されている。好ましい一実施形態では、外縁部40は、テレメトリ・ポート10がIMD30と一体連通状態にあるとき、IMD30の縁34と嵌合する。外縁部40は、IMD30の外殻32と密封シールを形成することができる耐久性のある材料をさらに含む。
【0039】
テレメトリ・ポート10とIMD30との間の密封シールは、IMD30もしくはテレメトリ・ポート10の中への体液の侵入、またはIMD30および被験体の内部組織内の構成要素からの潜在的な有毒材料の漏出もしくは該有毒材料との接触を防止するために必要である。縁34におけるテレメトリ・ポート10の外縁部40とIMD30の外殻32との間の密封シールは、レーザもしくは音波または別の溶接プロセスを使用して達成することができる。テレメトリ・ポート10は、当業者によって理解されるであろう他の方法を使用して、IMD30の外殻32に対して密封シールされ得ることに留意されたい。
【0040】
テレメトリ・ポート10の外縁部40は、第1のバンド42と、第2のバンド44と、第1のバンド42と第2のバンド44との中間に位置付けられたリング43とを含み、リング43は、リング43が溝を形成し、第1のバンド42および第2のバンド44の各々に対して凹むように、第1のバンド42および第2のバンド44の各々の円周よりも概ね小さい円周をさらに有する。
【0041】
一実施形態では、テレメトリ・ポート10のハウジング12は、第1の側壁50および第1の側壁50に概ね対向する第2の側壁52と、第1の横側面54ならびに第1の横側面54に概ね対向し、第1の側壁50および第2の側壁52に隣接する第2の横側面56と、第1の側壁50、第2の側壁52、第1の横側面54、および第2の横側面56の各々の最上縁部に沿って位置付けられた頂面58であって、第1の側壁50と第2の側壁52との中間に位置付けられ、第1の側壁50から第2の側壁52まで、および第1の横側面54から第2の横側面56まで間にさらに延在する、頂面58と、を備える。
【0042】
外縁部40およびIMD30の縁34がシール係合状態にあるように、テレメトリ・ポート10の外縁部40がIMD30と一体連通状態にあるとき、孔36において、外縁部40の第1のバンド42は、縁34より上でIMD30と嵌合するように構成され、第2のバンド44は、縁34より下でIMD30と嵌合するように構成されている。テレメトリ・ポート10の外縁部40およびIMD30の縁34がシール係合状態にあるとき、リング43は、IMD30の縁34と概ね同じ高さである。
【0043】
孔36は、アンテナ20に、IMD30の外殻32およびテレメトリ・ポート10内からの進入および退出地点を提供する。
【0044】
好ましい一実施形態では、テレメトリ・ポート10の空所空間16は、アンテナ20の進入または退出を可能にするのに十分なサイズである。アンテナ20は、収縮可能であってもよいことに留意されたい。別の実施形態では、テレメトリ・ポート10の空所空間16は、搭載型または一体型PCボード24を備えたアンテナ20の進入または退出を可能にするのに十分なサイズである。
【0045】
さらに別の実施形態では、信号を自由に受信および送信するのに十分なアンテナ20の一部分が、テレメトリ・ポート10の空所空間16内に突出している。
【0046】
本発明の別の実施形態では、テレメトリ・ポート10は、IMD30の外殻32に固着されている。
【0047】
テレメトリ・ポート10は、テレメトリ・ポート10内のアンテナ20の部分がテレメトリ・ポート10のハウジング12に接触することなく、テレメトリ・ポート10内で自由に移動することを可能にし、種々の状況下で起こり得るテレメトリ・ポート10内でのアンテナ20の移動のための空間を可能にする。例えば、アンテナ20の移動は、振動の結果として、またはアンテナ20がテレメトリ・ポート10に出入りするときに起こり得る。
【0048】
テレメトリアンテナ20は、信号の送信および受信を可能にし、搭載型PCボード24を含み得る。アンテナ20は、種々のサイズ、形状、および構成を含み得ることが理解される。好ましい一実施形態では、アンテナ20は、搭載型PCボード24に固着された固形の突起を備える。
【0049】
さらに別の好ましい実施形態では、内部格子配置構造を有するモジュールを使用して、アンテナおよび搭載型PCボード24をIMD30およびテレメトリ・ポート10の中へスライドさせる。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの異なるタイプおよびサイズのアンテナ20を使用することできることが理解される。テレメトリ・ポート10には、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの可能性のあるサイズおよび構成が存在することがさらに理解される。
【0050】
ここで特に図1を参照しながら、本発明のテレメトリ・ポート10の分解図をIMD30と共に示す。テレメトリ・ポートは、空所空間16をテレメトリ・ポート10内に画定するハウジング12を含む。この実施形態では、IMD30の外殻32は、セグメント38および38’を含む。アンテナ20は、セグメント38を通って外殻32に入り、IMD30の外殻32を越えて、テレメトリ・ポート10の空所空間16の中へ、IMD30の外殻32の縁34の孔36を通って上方に突出する。テレメトリ・ポート10の外縁部40を示す。外縁部40は、縁34の孔36でIMD30と嵌合し、IMD30とシール係合を形成する。
【0051】
図2は、本発明のテレメトリ・ポート10の好ましい一実施形態の側面図である。説明のように、テレメトリ・ポート10は、頂面58を含み、頂面58は、第1の側壁50、第1の横側面54、および第2の横側面56の各々の最上縁部に沿って位置付けられ、頂面58は、第1の横側面54から第2の横側面56まで延在する。第2の横側面56は、示されるように、第1の横側面54に概ね対向し、第1の側壁50に隣接する。テレメトリ・ポート10の外縁部40は、第1のバンド42と、第2のバンド44と、第1のバンド42と第2のバンド44との間および中間に位置付けられたリング43とを含み、リング43は、リング43が溝を形成し、第1のバンド42および第2のバンド44の各々に対して凹むように、第1のバンド42および第2のバンド44の各々の円周よりも概ね小さい円周をさらに有することを、図2はさらに説明する。
【0052】
図3は、本発明のテレメトリ・ポートの正面図であり、図2に示す実施形態をさらに説明する。
【0053】
図4は、テレメトリ・ポート10の底部を説明する、本発明のテレメトリ・ポートの底面図である。示されるように、第2のバンド44は、アンテナ20(図示せず)を空所空間16の中に入れるための開口を包囲している。
【0054】
図5は、本発明のテレメトリ・ポート10の側断面図である。テレメトリ・ポート10内の空所空間16は、アンテナ20(図示せず)を受容し、アンテナ20が、IMD30(図示せず)から、干渉のないテレメトリ信号を送信および受信することを可能にする。
【0055】
図6は、本発明のテレメトリ・ポート10の底部の側面斜視図である。第2の側壁52および第1の横側面54が示されており、頂面58は、第2の側壁52および第1の横側面54の各々の最上縁部に沿って位置付けられ、頂面58は、第2の側壁52の中間にあり、第1の側壁50(図示せず)から第2の側壁52まで、および第1の横側面54から第2の横側面56(図示せず)まで間にさらに延在する。
【0056】
図7は、本発明の代替的な実施形態の側面図であり、2つのセグメント38および38’を有するIMD30の外殻32を説明する。
【0057】
図8は、図7に示される本発明の代替的な実施形態の正面図であり、テレメトリ・ポート10をIMD30と共に説明する。テレメトリ・ポート30の外縁部40は、IMD30とシールされた嵌合係合状態にあり、IMD30の縁34の孔36でIMD30に接続している。アンテナ20は、テレメトリ・ポート10の空所空間16内に突出した状態で示されている。
【0058】
図9は、図8に示された本発明のテレメトリ・ポート10の拡大図である。アンテナ20とハウジング12との間に画定された間隙22が示されている。間隙22は、ハウジング12内でのアンテナ20の移動の自由を可能にするために、アンテナ20に対して十分なサイズである。テレメトリアンテナ10のハウジング12は、第1の側壁50、第1の側壁50に概ね対向する第2の側壁52、および頂面58を含む。外縁部40は、IMD30の縁34とシールされた嵌合係合状態にある。示されるように、テレメトリ・ポート10の外縁部40およびIMD30の縁34がシール係合状態にあるとき、リング43は、IMD30の縁34と概ね同じ高さであり、第2のバンド44は、縁34より下でIMD30と嵌合し、第1のバンド42は、縁34より上でIMD30と嵌合する。
【0059】
好ましい一実施形態では、テレメトリ・ポート10の寸法は、第1の側壁50、第2の側壁52、第1の横側面54、および第2の横側面56が各々、概ね0.1016センチメートル(0.040インチ)の厚さを有するような寸法である。好ましい一実施形態では、頂面58から第2のバンド44の上部側面までの測定長さは、概ね1.0033センチメートル(0.395インチ)である。好ましい一実施形態では、第1の横面54および第2の横面56は各々、概ね0.7874センチメートル(0.310インチ)の幅を有する。好ましい一実施形態では、側壁50および第2の側壁52は各々、概ね1.3208センチメートル(0.520インチ)の幅を有する。好ましい一実施形態では、リング43は、概ね0.0508センチメートル(0.020インチ)の厚さを含む。好ましい一実施形態では、第2のバンド44は、概ね0.1016センチメートル(0.040インチ)の厚さを有する。第2のバンド44は、縁34より下におよび孔36より上に概ね0.1016センチメートル(0.040インチ)まで延在する。
【0060】
好ましい一設計を有するものとして本発明を説明してきたが、本発明は、本開示の精神および範囲内でさらに変更することができる。したがって、本出願は、その全体的な原理を使用して、本発明の任意の変形、使用、または適応を網羅することが意図される。さらに、本出願は、本発明が関連し、添付の特許請求の範囲の限定内に該当する当該技術分野において周知または通例の実施内に入る本開示からのかかる逸脱を網羅することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】