特表2018-532485(P2018-532485A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-532485モジュール式の蛍光ナビゲーション器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-532485(P2018-532485A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(54)【発明の名称】モジュール式の蛍光ナビゲーション器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/56 20060101AFI20181012BHJP
【FI】
   A61B17/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-518701(P2018-518701)
(86)(22)【出願日】2016年10月14日
(85)【翻訳文提出日】2018年4月11日
(86)【国際出願番号】EP2016074778
(87)【国際公開番号】WO2017064287
(87)【国際公開日】20170420
(31)【優先権主張番号】15306636.0
(32)【優先日】2015年10月14日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】516131980
【氏名又は名称】サージヴィジオ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ビーク,ロランス
(72)【発明者】
【氏名】アルマン,ダヴィド
(72)【発明者】
【氏名】ピエール,アルノー
(72)【発明者】
【氏名】コレット,エルベ
(72)【発明者】
【氏名】フルニエ,エリ
(72)【発明者】
【氏名】ラヴァリー,ステファヌ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL70
(57)【要約】
本発明は、患者の骨に剛的に固定されることが意図される、実質的に放射線不透過性の材料で作られたベースと、ベースに剛的に取付け可能なトラッカとを含み、モジュール式の蛍光ナビゲーション器具に関し、蛍光ナビゲーション器具は、複数の放射線不透過性基準を含む、トラッカとは別個の位置合わせファントムを更に含み、ベース及び位置合わせファントムは、位置合わせファントムをベースに再現可能に取り付ける固定手段をそれぞれ含むことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式の蛍光ナビゲーション器具であって、
患者の骨に剛的に固定されることが意図される、実質的に放射線不透過性の材料で作られたベースと、
該ベースに剛的に取付け可能なトラッカとを含み、
当該蛍光ナビゲーション器具は、複数の放射線不透過性基準を含む、前記トラッカとは別個の位置合わせファントムを更に含み、前記ベースは及び前記位置合わせファントムは、前記位置合わせファントムを前記ベースに再現可能に取り付ける固定手段をそれぞれ含むことを特徴とする、
蛍光ナビゲーション器具。
【請求項2】
前記トラッカは、前記トラッカを前記ベースに再現可能に取り付けるために前記ベースの前記固定手段と協働する固定手段を含む、請求項1に記載の蛍光ナビゲーション器具。
【請求項3】
前記固定手段は、前記ベースに対する前記トラッカについての1つ又はそれよりも多くの決定される位置と、前記ベースに対する前記位置合わせファントムについての特異な位置とを提供するように構成される、請求項2に記載の蛍光ナビゲーション器具。
【請求項4】
前記トラッカは、光学トラッカである、請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の蛍光ナビゲーション器具。
【請求項5】
前記トラッカは、電磁トラッカである、請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の蛍光ナビゲーション器具。
【請求項6】
患者の皮膚と患者の皮膚に面する前記ベースの支持面との間に配置されることが意図される変形可能な材料を更に含み、該変形可能な材料は、患者の皮膚の形状に適合することができ、外部要求の下で剛化することができる、請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の蛍光ナビゲーション器具。
【請求項7】
患者の皮膚に接着することが意図された、患者の皮膚に面する前記ベースの支持面に接着層を更に含む、請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の蛍光ナビゲーション器具。
【請求項8】
前記ベースは、複数の貫通穴を含む、請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載の蛍光ナビゲーション器具。
【請求項9】
前記貫通穴のうちの少なくとも2つは、非平行な向きを有する、請求項8に記載の蛍光ナビゲーション器具。
【請求項10】
前記ベースを患者の骨に経皮的に固定するために、前記ベースの前記貫通穴に挿入されるように構成される複数のピンを更に含む、請求項8又は9に記載の蛍光ナビゲーション器具。
【請求項11】
前記ピンの各々を前記ベースに剛的に取り付ける固定システムを更に含む、請求項10に記載の蛍光ナビゲーション器具。
【請求項12】
前記固定システムは、前記貫通穴のそれぞれのネジ山付き区画と協働する前記ピンのネジ山付き区画、前記ベースの対応するハウジングと強制的に係合することができる前記ピンに沿って滑動可能な要素、圧力ネジ、クランプ、及び楔要素のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の蛍光ナビゲーション器具。
【請求項13】
前記ベースは、患者の骨に以前に移植された少なくとも1つのピンの上に前記ベースを予め位置付けることが意図される少なくとも1つのスロットを含む、請求項1乃至12のうちのいずれか1項に記載の蛍光ナビゲーション器具。
【請求項14】
異なるサイズ及び/又は形状を有する複数のベースと、該ベースの各々に再現可能に取り付けることができる単一のトラッカ及び単一の位置合わせファントムとを含む、請求項1乃至13のうちのいずれか1項に記載の蛍光ナビゲーション器具。
【請求項15】
単一のベースと、該ベースに再現可能に取り付けることができる複数のトラッカ及び複数の位置合わせファントムとを含む、請求項1乃至13のうちのいずれか1項に記載の蛍光ナビゲーション器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュール式の蛍光ナビゲーション器具(フロオロナビゲーション器具)(fluoro-navigation instrument)に関する。
【背景技術】
【0002】
手術では、手術処置を案内するために、X線蛍光透視法がしばしば利用される。特に、整形外科、脊柱及び外傷手術では、骨折縮小をモニタリングし、精密な位場所で器具を挿入し、且つ1つ又は幾つかの多くの骨片にインプラントを位置付けるために、X線蛍光透視法がしばしば利用される。X線蛍光透視法は、2D画像であることができ、或いは、断層撮影再構成アルゴリズムを使用して多数の2D画像から得られる3D画像であることができる。
【0003】
蛍光ナビゲーションは、上述の目標を達成する、手術中に取得される蛍光透視画像に対するリアルタイムナビゲーションの適用である。
【0004】
蛍光ナビゲーションを実行する観点から、外科的介入の間に使用されるツールは、トラッカ(tracker)、例えば、光学、電磁、超音波、又は慣性トラッカを備え、少なくとも1つの位置特定システムが後続する。他のトラッカは、患者に取り付けられ、位置特定システムによっても見られる。
【0005】
文献FR2941364は、光学トラッカを患者に取り付けた装置を記載している。装置は、複数の貫通ボアを含む実質的に平坦な放射線不透過性の本体を含む。ピンをボアに通して、本体を患者の骨に経皮的に固定する。この装置は、本体と一体的に、光学トラッカを受けることを意図する突出部材を更に含む。
【0006】
しかしながら、突出部材を外科的介入の領域から遠ざけるために、突出部材は本体の長手方向の端に位置付けられるが、医療スタッフは外科的介入中に光学トラッカ及び/又は突出部材に当たらないように注意しなければならず、それは装置を移動させ、それにより、ナビゲーションデータを関連性のないものにすることがある。
【0007】
X線撮像デバイスによって取得される画像に対して手術ツールをナビゲートする観点から、患者に固定された光学トラッカに対するX線画像検出器の位置を知ることが必要である。この目的を達成するために、従来的なシステムにおいて、X線撮像装置は、位置特定システムの少なくとも1つのカメラによって見られる光学トラッカも備える。しかしながら、患者の光学トラッカとX線撮像システムの光学トラッカとの間には大きな距離が存在することがあるので、位置特定システムのカメラの視界が外科的介入中に医療スタッフによって妨げられるリスクがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、既知の器具の上述の欠点を克服する蛍光ナビゲーション器具を提供することである。特に、本発明の目的は、蛍光ナビゲーションのための最小侵襲性器具を設計することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、モジュール式の蛍光ナビゲーション器具であって、
− 患者の骨に剛的に固定されることが意図される、実質的に放射線不透過性材料で作られるベースと、
− ベース(基部)に剛的に取付け可能なトラッカとを含み、
− 当該蛍光ナビゲーション器具は、複数の放射線不透過性基準を含む、トラッカとは別個の位置合わせファントムを更に含み、ベースは及び位置合わせファントムは、位置合わせファントムをベースに再現可能に取り付ける固定手段をそれぞれ含むことを特徴とする、
蛍光ナビゲーション器具に関する。
【0010】
本明細書において、「トラッカとは別個の」(“separate from the tracker”)は、位置合わせファントムがトラッカとは別個の部分であることを意味する。これは(例えば、トラッカがベースに埋め込まれる場合に)位置合わせファントムがトラッカに取り付けられてよいことを排除しないが、位置合わせファントムはトラッカから取外し可能でなければならない。
【0011】
有利には、トラッカは、トラッカをベースに再現可能に取り付けるためにベースの固定手段と協働する固定手段を含む。
【0012】
ある実施形態によれば、固定手段は、ベースに対するトラッカについての1つ又はそれよりも多くの決定される位置と、ベースに対する位置合わせファントムについての特異な位置とを提供するように構成される。
【0013】
ある実施形態によれば、トラッカは、光学トラッカである。
【0014】
ある実施形態によれば、トラッカは、任意的に慣性センサを備える、電磁トラッカである。
【0015】
ある実施形態によれば、器具は、患者の皮膚と患者の皮膚に面するベースの支持面との間に配置されることが意図される変形可能な材料を更に含み、変形可能な材料は、患者の皮膚の形状に適合することができ、外部要求(external solicitation)の下で剛化することができる。
【0016】
ある実施形態によれば、器具は、患者の皮膚に接着することが意図された、患者の皮膚に面するベースの支持面に接着層を更に含む。
【0017】
ある実施形態によれば、ベースは、複数の貫通穴を含む。
【0018】
好ましくは、貫通穴のうちの少なくとも2つは、非平行な向きを有する。
【0019】
器具は、ベースを患者の骨に経皮的に固定するために、ベースの貫通穴に挿入されるように構成される複数のピンを更に含んでよい。
【0020】
ある実施形態によれば、器具は、ピンの各々をベースに剛的に取り付ける固定システムを更に含む。ある実施形態によれば、固定システムは、貫通穴のそれぞれのネジ山付き区画と協働するピンのネジ山付き区画、ベースの対応するハウジングと強制的に係合することができるピンに沿って滑動可能(滑動可能)な要素、圧力ネジ、クランプ、及び楔要素のうちの少なくとも1つを含む。
【0021】
ある実施形態によれば、ベースは、患者の骨に以前移植された少なくとも1つのピンの上にベースを予め位置付けることを意図する少なくとも1つのスロットを含む。
【0022】
ある実施形態によれば、器具は、異なるサイズ及び/又は形状を有する複数のベースと、ベースの各々に再現可能に取り付けることができる単一のトラッカ及び単一の位置合わせファントムとを含む。
【0023】
ある実施形態によれば、器具は、単一のベースと、ベースに再現可能に取り付けることができる複数のトラッカ及び複数の位置合わせファントムとを含む。
【0024】
本発明の更なる構成及び利点は、添付の図面に基づく以下の記載から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ベースが患者の骨に直接的に固定された、本発明の実施形態に従ったモジュール式の器具を概略的に例示している。
図2】ベースが患者の骨に間接的に固定された、本発明の他の実施形態に従ったモジュール式の器具を概略的に例示している。
図3】ベースが骨に直接的及び間接的に固定された、本発明の他の実施形態に従ったモジュール式の器具を概略的に例示している。
図4A】トラッカが電磁トラッカである、本発明の実施形態に従ったモジュール式の器具を概略的に例示している。
図4B】トラッカが電磁トラッカである、本発明の実施形態に従ったモジュール式の器具を概略的に例示している。
図5】ベースはトラッカ及び位置合わせファントムに共通の再現可能な固定を含む、本発明の実施形態に従ったモジュール式の器具を概略的に例示している。
図6A】トラッカはベースに対する対称的な再現可能な固定を有するのに対し、位置合わせファントムはベースに対する特異な再現可能な固定を有する、本発明の実施形態に従ったモジュール式の器具を概略的に例示している。
図6B】トラッカはベースに対する対称的な再現可能な固定を有するのに対し、位置合わせファントムはベースに対する特異な再現可能な固定を有する、本発明の実施形態に従ったモジュール式の器具を概略的に例示している。
図7】ピンによって骨に固定されることが意図された本発明に従ったベースの様々な実施形態を例示している。
図8】複数のピンを使用して多拘束固定を創り出す皮膚の特定の距離で維持されるベースを概略的に例示している。
図9】ピンをベースに固定する様々な方法を例示している。
図10】位置合わせファントムの様々な実施形態を例示している。
図11】ベースに取り付けられるトラッカ及び位置合わせファントムの実施形態を概略的に例示している。
図12】器具を用いた外科的介入中に実行されてよいプロトコルを表すフローチャートである。
図13】ベースに対するトラッカの対称的な固定の場合に実行されてよい代替的なプロトコルを表すフローチャートである。
図14】ベースの基準特徴を含むバーコードを含む、識別カードを例示している。
図15】ベース、位置合わせファントム、トラッカ及びツールの識別特徴を含む、データ行列を含む識別カードを例示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、蛍光ナビゲーション(フルオロナビゲーション)(fluoro-navigation)の脈絡において、即ち、位置特定システム(localization system)の関係において医療撮像システムによって取得されるX線画像内で位置特定システムによってトラッキング(追跡)されるツールをナビゲートするために、実行される。
【0027】
有柄ネジのような整形外科インプラントの移植、椎体形成術処置で使用される脊柱トロカールのような外科器具の挿入、股関節(hip)、膝関節(knee)又は肩関節(shoulder)インプラントのような様々な整形外科インプラントの移植、外傷処置中の骨折の縮小(reduction)及び固定(fixation)を非限定的に含む、患者の骨に対して実行される様々な種類の外科的介入において、そのようなナビゲーションを実行することができる。
【0028】
医療撮像システムは、少なくとも1つのX線源と、少なくとも1つのX線検出器とを含む。例えば、医療撮像システムは、Cアーム、Oアーム又はスキャナであり得る。
【0029】
医療撮像システムは、3D取得軌跡を生成するのに寄与する少なくとも1つの動きで電動化される。即ち、自由度に従ったシステムの各動きは、それぞれのモータによって生成される。各モータは、エンコーダに関連付けられて、基準位置(reference position)に対する医療撮像システムの相対的位置を常に知ることを可能にする。2D画像が取得されるとき、撮像システムの対応する位置が記録される。よって、各2D画像は、撮像システムの関係において記録される。
【0030】
一般的に、幾つかの画像が外科的介入の開始に取得され、前記画像は3Dボリューム又は3D画像の再構築のために使用される。その上、外科的介入中、1つ又はそれよりも多くの余分な2D又は3D画像を取得して、介入の進行を確認してよい。
【0031】
蛍光ナビゲーションは、3Dボリュームを所与の参照(referential)と位置合わせするのを可能にするアルゴリズムを実行する少なくとも1つのプロセッサを含むコンピュータを更に必要とする。
【0032】
図1は、モジュール式の器具1の実施形態を示している。
【0033】
器具1は、放射線不透過性材料、例えば、プラスチックで作られたベース10(基部)を含む。
【0034】
ベース10は、患者の骨Bに剛的に固定されることが意図されている。
【0035】
本明細書において、「剛的に固定される」(“rigidly fixed”)は、外科的介入中にベースが骨に対して動かないことを意味する。固定は、(例えば、図1に示すように、最小侵襲的な方法で骨に移植される少なくとも1つの経皮的ピン2、針、ブローチ又はネジを使用して)直接的であってよく、或いは間接的であってよい(即ち、骨に近い皮膚上の接着テープ、ストラップ等のような、骨に対して外部的な取付手段を使用して、患者の皮膚を通過せずに、骨に対してベースを固定してよい)。例えば、図2に示すように、変形可能な材料3がベース10と皮膚Sとの間に介装される。変形可能な材料は、シリコン、熱硬化性樹脂フォーム(thermodurcissable form)、真空下で堅くさせることができるマイクロビーズを含むバッグ、又は接着テープであり得る。身体部分形状に適合する材料3は、特に平坦でない領域において、骨に対するベースに対して幾らかの安定性をもたらす。材料の接着特性によって、或いはベースを取り囲む接着テープ、ストラップのような、外部手段によって、材料3と皮膚及びベースとの間の接着を得ることができる。間接的な固定は、骨とベースとの間に小さい厚さの軟組織があるに過ぎないときに特に適応性がある。何故ならば、この状況は、骨に対するベースの如何なる動きをも妨げる十分な剛性をもたらすと考えられるからである。例えば、骨が患者の指、手首、足などに関係するときに、間接的な固定を使用することができる。そのような間接的な固定は、非侵襲的であるという利点を有する。必要とされるならば、直接的及び間接的な固定を組み合わせることができる。例えば、図3の実施形態において、ベース10は、身体部分形状に適合する変形可能な材料3を介して皮膚Sに連結(リンク)され、少なくとも1つの経皮的ピン2、ブローチ、針又はネジが、骨Bをベース10に更に固定する。幾つかの骨又は幾つかの骨片に対して介入が行われるならば、多数のベース、即ち、骨又は骨片毎に1つのベースを使用することが可能である。幾つかの骨の複雑な関節のような好ましい実施形態では、剛的になることができる変形可能な材料を先ず使用して個々の骨又は骨片を互いに固定する。即ち、従来的なプラスタ、熱変形可能な材料、真空を有する微小球のポーチ(poach)など。次に、この変形可能な材料がひとたび剛的になると、ベースをこの変形可能な材料に固定する。
【0036】
ベース10は、骨に面することが意図された支持面11を有する(患者の皮膚又は骨を取り囲む組織は、ベースと骨との間に配置されてよい)。支持面11は、特に、ベースが固定されなければならない身体部分の形状及びサイズ(大きさ)に依存して、意図された用途に適した任意の形状(例えば、円形、長方形など)及びサイズを有してよい。例えば、脊柱手術の場合、ベースは、好ましくは、少なくとも2つ又は3つの隣接する椎骨に固定されるよう細長い形状を有するが、肩関節手術の場合、ベースは、むしろ、肩峰に固定されるよう長円形の拡張部を備える円形である。支持面11は、平面内で延びてよく、或いは、凹状又は凸状であってよく、剛性又は変形可能であってよい。
【0037】
以下により詳細に示すように、固定は、好ましくは、患者を傷つるのを避けるために、特に、数時間続くことがある外科的介入の間に褥瘡を引き起こすのを避けるために、支持面11と皮膚Sとの間のあらゆる接触を避けるように設計される。よって、好ましい実施形態において、支持面11は、患者の皮膚から一定の距離に維持されることが有利である。
【0038】
ベースは、概ね20mm未満の高さを有することが有利である。このようにして、ベースは極めてコンパクトであり、患者の皮膚から限定的な程度までしか突出しない。よって、医療スタッフが意図せずにベースに当たること、よって、外科的介入中に骨に対してベースを変位させる可能性は極めて低い。
【0039】
ベース10は、ベースに剛的に結合されたトラッカ20を有する。結合(coupling)は、恒久的であり得る(トラッカはベースと一体であるか或いはベースに不可逆的に固定され得る)し、或いは一時的であり得る(トラッカはベースから取り外し可能であり得る)。
【0040】
好ましい実施形態によれば、トラッキングが必要とされないときには、トラッカをベースから取り外すことによって一時的な結合を提供することができる。これは医療スタッフをトラッカに当たらせることによって骨に対するベースの変位を引き起こすリスクを減少させる。それはトラッカが必要とされないときに手術空間(operating space)も節約する。
【0041】
一時的な結合の場合、ベース及びトラッカは、再現可能な方法で(即ち、ベースに対して常に同じ既知の位置及び向きで)トラッカを取り外し且つ取り付けることを可能にする、協働する固定手段を有する。
【0042】
ある実施形態によれば、トラッカは、(能動的又は受動的な)光学トラッカである。例えば、図1に示す実施形態において、トラッカは、既知の相対的な位置を有する複数の反射ボールを含む。
【0043】
他の実施形態によれば、トラッカは電磁トラッカである。電磁トラッカは、光学トラッカよりもコンパクトであるという利点を有する。例えば、図4Aに示す実施形態において、トラッカ20は、再現可能な固定手段12,250でベース10に取り付けることができる支持体25に埋め込まれている。図4Bに示す代替的な実施形態において、トラッカ20は、ベース10の凹部内に収容され、よって、ベースから突出しない。トラッカ20は、ベース10から取り外し可能であっても取り外し可能でなくてもよい。好ましい実施形態において、電磁トラッカは、アーチファクトの存在を検出するために使用することができる慣性センサを含む。
【0044】
本発明は、特定のトラッキングに限定されず、当業者は、記載された実施形態を選択された技術に適合させることができる。
【0045】
器具1は、ベース10に剛的に取り付けられるように意図された位置合わせファントム30(registration phantom)を更に含む。位置合わせファントム30は、放射線不透過性材料で作られ、既知の位置に配置される既知の形状及びサイズを有する複数の放射線不透過性基準31(radiopaque fiducials)(例えば、ボール又はピン)を含む。
【0046】
2D画像が医療撮像システムで取得されるとき、放射線不透過性基準は2D画像内で見える。放射線不透過性基準の形状、サイズ及び配置(arrangement)は知られているので、較正ファントム(calibration phantom)を参照して画像を決定することができ、各2D画像内の放射線不透過性基準の位置に基づいて3D再構築を実行することができる。基準を使用せずに直接的に3D画像再構築を実行し、次に、再構築された3D画像内の基準を直接的に検出することも可能である。
【0047】
位置合わせファントム30は、外科的介入の全体の間に必要とされるのでなく、医療撮像システムによって取得される画像の位置合わせが実行されなければならない特定の時間にのみ必要とされるので、位置合わせファントム30はベース10から取り外し可能である。
【0048】
この目的を達成するために、ベース10及び位置合わせファントム30は、位置合わせファントムを再現可能な方法で(即ち、ベースに対して常に同じ既知の位置及び向きで)取り付けることを可能にする、協働する固定手段12,32を有する。これはファントムが必要とされないときに手術空間を節約するのを可能にする。
【0049】
位置合わせファントム30は、意図される用途に適した任意の形状及びサイズを有してよい。特に、位置合わせファントム30は、画像位置合わせのために必要とされるときにのみベースに取り付けられるので、位置合わせファントム30は、ベースよりも大きいサイズを有することができる。このようにして、放射線不透過性ボールを互いからより大きな距離に配置させることによって位置合わせの精度を向上させることが可能である。
【0050】
ある実施形態によれば、固定手段は、支持面11とは反対側のベースの表面に突出する少なくとも1つのフィンガ12と、位置決めファントム30にある少なくとも1つの相補的な開口32とを含む。しかしながら、この実施形態は限定的でなく、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の種類の再現可能な固定を設計することができる。
【0051】
好ましくは、図5に示すように、位置合わせファントム30のための再現可能な固定は、(トラッカがベースから取り外し可能であるときの)トラッカ20についてと同じである。このように、ベースの設計は可能な限り単純であり、ベース上に2つの別個の固定領域を設けることによって空間が失われることはない。
【0052】
有利には、位置合わせファントムは、そして、該当する場合、トラッカは、ベースに配置される磁石の故に、磁力を用いてベース上で維持される。よって、位置合わせファントムの、そして、当て嵌まる場合、トラッカの取付け及び取外しを、如何なるツールをも必要とせずに容易に行うことができる。この磁気固定は、ある程度のレベルの力がベースに取り付けられる部分に対して加えられるならば自動的に取り外され、それは骨に対するベースの相対的な位置及び固定を損傷し或いは変位させるのを回避するという利点を有する。
【0053】
図6Aに示す実施形態によれば、ベースに対するトラッカの1つ又はそれよりも多くの決定された可能な位置を可能にする再現可能な固定によって、トラッカをベースに取り外し可能に固定することができる。例えば、トラッカ20は、ベースの支持面11とは反対側の表面にあるそれぞれの円筒形の開口12’と係合する2つの円筒形の突起22’を含む支持体21を含む。ベースは、支持面11とは反対側の表面から延びるフィンガ13を更に含む。トラッカの支持体21は、トラッカが第1の可能な位置でベースに固定されるときに1つの通路23と係入するように構成され(図6Aの中央を参照)且つトラッカが第2の可能な位置でベースに固定されるときに他の通路に係入するように構成される(図6Aの右側を参照)2つの通路23を含む。以下により詳細に説明するように、フィンガ13の頂部は、トラッキングされたツール24を用いてベースに対するトラッカの実際の位置を決定する基準点(reference point)として働く。そのような対称的な固定は、特にナビゲーションのために使用される位置特定カメラの位置に依存して、手術空間にトラッカを位置付けるより多くの柔軟性を医療スタッフにもたらす点において、有利である。それは外科処置の開始時に骨の上でのベースの位置決めに関連する制約を解除することにも有利である。医療スタッフは、骨に対するベースの位置決めに焦点を置き、骨固定の骨質のみに依存して位置決め方向を選択し、然る後、適切な手術設定に依存してベースの上にトラッカを位置付けることができる。他方、図6Bに示すように、ベース10に対する位置合わせファントム30の再現可能な固定は特異である。この目的を達成するために、位置合わせファントム30は、ベースの支持面11とは反対側の表面にある円筒形の開口12’と協働するが、フィンガ13について1つの通路33とだけ協働する、2つの円筒形の突起32’を含む。上述の実施形態において、ベースに対するトラッカの2つの可能な位置は対称的である。しかしながら、トラッカのために2つよりも多くの可能な位置があってよい。例えば、実質的に円形の形状を有するベースの場合(図示せず)、再現可能な固定は、ベースの中心にある円錐の突起と、トラッカの可能な位置を定めるよう所与の角度位置に配置されるフィンガとを含むことができる。
【0054】
他の実施形態(図示せず)によれば、基準点はトラッカ上にあってよい。
【0055】
図7は、少なくとも1つの経皮的ピン2、ネジ、針、又はブローチによって骨に固定されることが意図されるベース10の3つの実施形態(A)乃至(C)を示している。以下の記述において、「ピン」(“pin”)という用語は、ネジ、ブローチ、針を含む、ベースを骨に固定するあらゆる細長い経皮デバイスを示すために使用される。一般的に、そのようなピンは、皮膚の穿孔及び骨への移植を可能にするよう尖った先端200を有し、0.5〜8mmの間の直径を有する。
【0056】
好ましい実施形態によれば、ピン2は、先端200から限定的な距離(数ミリメートル、例えば4mm)に配置された肩部201(shoulder)を含む。肩部201は、開業医がピンを前記限定的な距離から更に骨内に挿入することを防止する当接部(abutment)を形成する。これは、ピンが骨の所望の領域に正確に挿入されない場合に、骨又は周囲の組織(例えば、脊柱管(spine canal)、血管構造)を損傷するのを避ける安全手段である。加えて、開業医は、肩部が骨に接触することを検知することによって、ピンが骨内に十分に移植されていることを制御してもよい。
【0057】
ベースは、それぞれのピン2を通すための複数の貫通穴14を含む。各貫通穴14は、ピンの直径と相補的な直径を備える円筒形状を有する。各貫通穴14は、ピンを案内し且つベースに対するピンの如何なる枢動をも回避するよう、十分な高さを有する。貫通穴の数は、骨への最適な固定をもたらすために、開業医がピンを受け入れるのに最も適した穴を選択するための大きな選択肢を提供するよう、多いのが有利である。骨に対するベースの回転を防止するためには、少なくとも3つのピンが必要とされる。好ましくは、ベースのあらゆる動きも防止することを可能にする多数の拘束(constrains)を創り出すために、より多くの数のピンを使用する。
【0058】
有利には、貫通穴14は、ベースのより安定的な固定をもたらすよう、互いに平行でない(ピンの多数の角度は、多数の拘束状況を創り出す)。加えて、非平行ピンは、ベースと皮膚との間の距離を維持することを可能にし(図8を参照)、それは下に位置する組織に適用される機械的拘束を制限する。
【0059】
ピンは、ひとたび各ピンが骨に移植されてベースに固定されると、各ピンが破損されるのを可能にする、ノッチ(図示せず)を含んでよい。このようにして、ベースより上に延びるピンの部分を除去することができ、よって、手術空間を妨害しない。これはファントム及びトラッカの固定も容易にする。さもなければ、ピンは鋭いエッジを備える適切なプライヤによって切断されてよい。
【0060】
図7の実施形態(A)において、ベース10は、貫通穴14を含む幾つかの領域を備える実質的に長方形の形状を有する。有利には、貫通穴が配置される領域は、貫通穴の所要の高さを定める限定的な厚さを有し、前記領域は、ベースの剛性を増大させるために、周辺フランジによって取り囲まれる。ピンが骨に固定されてベースに固定された後に、ピンが破壊され或いは切断されるならば、切口は、ベースから突出しないように、周辺フランジ内に配置されるのが好ましい。
【0061】
図7の実施形態(B)において、ベースは、部分10aの長手方向の側部から延びる2つのウイング10b(翼)を備える実質的に長方形の中央部分10aを有する。各ウイング10bは、有利には、支持面11に対して傾斜させられ、同様に支持面11に対して傾斜させられた複数の貫通穴14を含む。ウイング10bは、貫通穴のアクセス性の増大の故に、使いやすさの向上をもたらす。中央部分10aは、複数の貫通穴を含むこともできる。
【0062】
図7の実施形態(A)、(B)及び(C)において、ベース10は、ベースのそれぞれの縁から内向きに延びる少なくとも1つの(好ましくは2つの)長手方向スロット15を更に含む。各スロットは、支持面11までベースの高さを通じて延在する。スロットは、ベースを骨に対して予め位置決めすることを可能にする。第1に、開業医は、互いに平行でない2つのピン2を骨に取り付けることができる。ピンの位置は、骨への良好な固定を保証するよう有利に選択される。具体的には、開業医は、ピンの先端を移植するのに最適な骨領域を選択する。次に、開業医は、各々の予め位置決めされたピン2がそれぞれのスロット15に入るよう、ベースを位置付けることができる。次に、開業医は、ベース10がピン2に楔止めされる、ベースの最終位置に達するまで、ベースをピン2に沿ってスライドさせる。例えば、開業医は、下に位置する骨の形状を手動で検知して、ベースがベースを最適に固定し得る骨の部分に対して正しく配置されているか否かを決定することができる。次に、ベースを骨に剛的に固定するために、追加的なピン2を貫通穴14に通すことができる。
【0063】
図7の実施形態(C)において、貫通穴14は、ベースの中央部分にある同心円に沿って更に配置される。中央の貫通穴を前記円の中心に配置することもできる。有利には、円の貫通穴は、全て、円によって異なる共通の点に向かって収束する。
【0064】
もちろん、実施形態(A)乃至(C)は限定的でなく、当業者は、貫通穴14のための、存在するならば、スロット15のための、他の構成を定めることができる。具体的には、本発明の範囲から逸脱することなくこれらの実施形態の構成を組み合わせることができる。
【0065】
モジュール式の器具は、異なるサイズ及び/又は形状の幾つかのベースを含むが、単一のトラッカ及び単一の位置合わせファントムを含む、キットとして提示されてよい。ベースのこの多様性は、開業医が、治療されるべき身体部分及び/又は患者の特殊性に依存して、最も適切なベースを選択するのを可能にする。例えば、肥満の患者の場合、貫通穴の角度は、やせた患者の場合よりも大きいことが必要とされることがある。逆に、モジュール式の器具は、異なるサイズ及び/又は形状の幾つかの位置合わせファントム及び/又はトラッカを含むが、単一のベースを含む、キットとして提示されてよい。他の実施形態によれば、キットは、異なるサイズ及び/又は形状を有する複数のベースと、ベースの各々に再現可能に取り付けられることができる異なるサイズ及び/又は形状の複数のトラッカ及び複数の位置合わせファントムとを含む。この多様性は、開業医が、実現することを欲する外科処置に依存して適切な器具を選択することを可能にする。例えば、その椎骨が大きく変形した脊柱側弯症の患者の場合、トラッカの再現可能な面に関する反射球の向き及びその全体的な外形寸法は、標準的な患者に対して変更させられることが必要とされることがある。
【0066】
骨に対するベースの正しい位置が決定され、ピンが貫通穴(そして、該当する場合には、(複数の)スロット)に通され、骨に移植されるとき、開業医は、ピンをベースに固定する。
【0067】
図9は、ピンをベースに固定する様々な方法を例示している。
【0068】
実施形態(A)において、ピン2は、貫通穴14のネジ山付き区画と協働するネジ山付き端を有する。
【0069】
実施例(B)において、ピン2は、ピンの周りに滑動的(摺動的)に配置された要素2bを備える。ひとたびピンが骨に移植されると(左側)、開業医は、対応するハウジング10cをベースに係入するまで、要素2bをスライド(摺動)させる。次に、開業医は、埋伏(impaction)(及び要素の外形の可能な変形)を介して、要素2bをハウジング10c内に固定する(中央)。要素は、楔形(左側及び中央)又は丸い状形(右側)を有することができる。
【0070】
実施形態(C)において、ベースは、貫通穴の方向に対して実質的に直交する方向に延びて貫通穴に至る、ネジ山付き穴10dを備える。よって、ピンを骨に移植するときには、ピン2に接触して加圧するまで、圧力ネジ2dを穴10dにネジ込むことができる。
【0071】
実施形態(D)において、貫通穴を取り囲むベースの領域は、ピン2のためのクランプを形成するよう変形可能であることができ、圧力ネジ2d、変形可能なクリップ又は任意の他の適切な手段によって、ピンがひとたび骨に移植されると、クランプに圧力を加えることができる。この実施形態は、図7(B)及び(C)に示すように、ピンをスロット15内に固定するのにも適している。
【0072】
実施形態(E)において、貫通穴14は、ベースの外側から延び、ピン2の直径よりも大きい幅を有する、スロットの形態である。ピンがひとたび骨に移植されると、楔要素2eが穴に挿入され、ピンを貫通穴の壁に対して強制的に維持する。この実施形態は、図7(B)及び(C)に示すように、ピンをスロット15内に固定するのにも適している。
【0073】
他の実施形態において、(図8に示すような)様々な角度で方向付けられた多数のピンは、如何なる外部手段をも必要とせずにベースを固定することを可能にする。
【0074】
図10は、位置合わせファントム30の様々な実施形態を例示している。有利には、位置合わせファントム30は、ベースに固定されることが意図される中央部分30aと、中央部分30aの両側で延びる2つの側方ウイング30bとを含む。好ましくは、側方ウイングは、中央部分と一体的である。用途に依存して、ベース及び側方ウイングは、実質的に平面内に延在してよい。さもなければ、側方ウイングは、中央部分に対して傾斜してよい。他の実施形態において、側方ウイングは、中央部分より上に延びてよい。
【0075】
図11は、トラッカ20及び位置合わせファントム30の概略的な実施形態を示している。ベース10は、骨に対する最適な安定性を有するためにコンパクトであるのが好ましいが(例示において、ベースは2つのピンによって骨に固定されるが、ベースは上述のいずれかの直接的又は間接的な方法で固定されることもできる)。対照的に、トラッカ20及び/又は位置合わせファントム30は、トラッカ及び/又は位置合わせファントムをベースに対してオフセットした位置に配置することを可能にするそれぞれの細長い部材26,34を含む。細長い部材26,34は、破線で表されており、それらの形状及び寸法は、意図される外科的適用に依存する。これらの細長い部材は、骨固定及びアクセス性に関してベースを最適な位置に維持しながら、トラッカ及び/又はベースの位置を最適化することを可能にする。例えば、細長い部材34は、3D画像の再構築のために放射線不透過性基準31を最適な位置にあるようにさせるために、位置合わせを撮像領域の中心付近に配置することを可能にすることがある。光学トラッカの場合、細長い部材26は、トラッカを位置特定カメラの視野内の最適な位置に配置することを可能にすることがある。細長い部材26は、開業医のための空間を解放するために、介入部位から離してトラッカを配置することを可能にすることがある。電磁トラッカの場合、細長い部材26は、より精密な位置特定をもたらすために、介入部位の近くにトラッカを配置することを可能にすることがある。
【0076】
以下のプロトコルに従ってモジュール式の器具を使用することができる。
【0077】
プロトコル1
【0078】
図12は、上述のような器具を使用して外科的介入の間に実施されてよいプロトコルを表すフローチャートである。
【0079】
ステップ101において、ベースを直接的又は間接的な方法で骨に剛的に取り付ける。
【0080】
ステップ102において、再現可能な固定手段を用いて位置合わせファントムをベースに取り付ける。
【0081】
ステップ103において、電動医療撮像システムは、骨の領域内の患者の画像を取得する。
【0082】
ステップ104では、撮像システムを参照して定められる3DボリュームVimageを生成するために、コンピュータによって3D再構築アルゴリズムを実行する。3D再構築自体は知られている。よって、ここでは3D再構築を詳細に記載しない。
【0083】
他方、コンピュータのメモリに格納されている或いは他のシステムからダウンロードされてよい(RFphantomと印す)既知のファントム寸法に基づいて位置合わせファントムを参照して3Dボリュームを生成するために、コンピュータによって位置合わせアルゴリズムを実行する。この3DボリュームをVphantomと呼ぶ。
【0084】
ステップ105において、位置合わせファントムをベースから取り除き、(トラッカがベースに恒久的に取り付けられていないならば)再現可能な固定を使用してトラッカをベースに取り付ける(その場合、トラッカは全プロトコル中に存在する)。
【0085】
トラッカはベースに対する(RFtrackerと印す)既知の位置及び固定を有するので、コンピュータは、トラッカを参照して上述の3Dボリュームを生成するアルゴリズムを実装する。この3DボリュームをVtrackerと呼ぶ。
【0086】
ステップ106では、トラッカがカメラの視野内にあるように、位置特定カメラを患者の近傍に設置する。
【0087】
コンピュータは、カメラを参照して3Dボリュームを生成するアルゴリズムを実装する。この3DボリュームをVcameraと呼ぶ。
【0088】
ステップ107において、外科的介入を実行するために、トラッキングされたツールを手術野に導入する。(RFtoolと印す)ツール先端の位置が毎回知られているように、このツールは位置特定カメラの視野にもある。ツール先端の位置はコンピュータのメモリに格納されてよく、或いは他のシステムからダウンロードされてよい。
【0089】
次に、コンピュータは、トラッキングされたツールを参照して3Dボリュームを生成するために、アルゴリズムを実行する。この3DボリュームをVtoolと呼ぶ。よって、ボリュームVtool内のツールのナビゲーションを行うことができる。
【0090】
プロトコル2
【0091】
図13は、ベースに対するトラッカの対称的固定の場合に実行されてよい代替的なプロトコルを表すフローチャートである。
【0092】
図12と同じ参照番号を有するステップは、第1のプロトコルにおけると同じステップに対応する。よって、それらのステップを再び記載しない。
【0093】
ステップ105において、トラッカを2つの可能な対称位置のいずれか1つにおいてベースに取り付ける。有利には、ナビゲーションのために使用される位置特定カメラの最適な視野に対応する或いは手術室内のカメラ構成の直接的な結果としての位置にトラッカを位置付ける。
【0094】
トラッカはベースに対して既知の位置及び固定を有するので、コンピュータは、トラッカが第1の位置(例えば、左側)にあると想定してトラッカを参照する第1の3Dボリューム、及びトラッカが第2の位置(例えば、右側)にあると想定してトラッカを参照する第2の3Dボリュームを生成する、アルゴリズムを実装する。これらの3DボリュームをそれぞれVtracker L及びVtracker Rと呼ぶ。
【0095】
ステップ106では、トラッカがカメラの視野内にあるように、位置特定カメラを患者の近くに設置する。
【0096】
コンピュータは、カメラを参照して上述の3Dボリュームの各々を生成するアルゴリズムを実装する。これらの3DボリュームをそれぞれVcamera L及びVcamera Rと呼ぶ。
【0097】
ステップ107では、外科的介入を実行するために、トラッキングされたツールを手術野に導入する。ツール先端の位置が毎回知られているように、このツールは位置特定カメラの視野にもある。ツール先端の位置はコンピュータのメモリ内に格納されてよく、或いは他のシステムからダウンロードされてよい。
【0098】
次に、コンピュータは、トラッキングされたツールを参照して上述の3Dボリュームの各々を生成するために、アルゴリズムを実行する。これらの3DボリュームをそれぞれVtool L及びVtool Rと呼ぶ。
【0099】
ベースに対するトラッカの現実の位置を決定するために、よって、Vtool L又はVtool Rの間を選択するために、ベース上の基準点をその先端と接触させるように、(上記のツールと同じツール又は他のツールであってよい)トラッキングされたツールを位置付ける(ステップ108)。
【0100】
(RFreference pointと呼ぶ)基準点の位置は知られているので、コンピュータは、基準点の位置とツール先端の位置とを比較し、相応して参照(referential)(L又はR)を選択する、アルゴリズムを実行する(ステップ109)。
【0101】
よって、適切な参照におけるツールのナビゲーションを実行することができる。
【0102】
上述のプロトコルは、各時点で知られているツール先端、基準点、ファントム寸法、トラッカ寸法のような基準特徴(reference features)を参照する。
【0103】
好ましい実施形態において、これらの基準特徴は、コンピュータのメモリ内に格納されてよい。
【0104】
他の実施形態において、基準特徴は、器具の較正器及び/又は位置特定システム自体の較正アルゴリズムのような、システムの一部によって生成されてよい。この実施形態は、特に再使用可能な器具の使用に適する。
【0105】
他の実施形態において、基準特徴は、記憶装置(即ち、外部USBデバイス)又はメモリデバイスに直接的にリンクされる或いはシステムに据え付けられるバーコードリーダ若しくはデータ行列リーダのような講義デバイスであってよい、他のシステムからダウンロードされてよい。有利には、データ行列(データマトリックス)(datamatrix)(即ち、QRコード(登録商標))は、システムに転送されるべき全ての基準寸法を含み、器具パッケージ内のカードフォーマットに印刷されてよい。この実施形態は、特に使捨て器具の使用に適する。それは参照特徴の修正の場合にソフトウェアのアップグレードを必要としないという利点を提示する。例えば、図14は、ベースのための識別カードC10を示している。この実施形態において、ベースの基準特徴は、カードに印刷されたバーコードBCに含められる。図15は、ベース、位置合わせファントム、トラッカ及びツールのための識別カードC10、C30、C20及びC24をそれぞれ示している。前記コンポーネントのそれぞれの基準特徴は、カードに印刷されたデータ行列(それぞれQR10、QR30、QR20及びQR24)に含められる。よって、ユーザが新しいコンポーネントを使用することを欲するとき、ユーザは、前記コンポーネントの基準特徴をダウンロードするために、適切なリーダを使用してバーコード又はデータ行列を読み取るだけでよい。次に、コンピュータは、プロトコルの実行中に前記基準特徴を使用する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】