(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-532647(P2018-532647A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(54)【発明の名称】エジェクタ及びエアフォイル形状
(51)【国際特許分類】
B64D 27/18 20060101AFI20181012BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20181012BHJP
F02C 9/28 20060101ALI20181012BHJP
F02K 1/36 20060101ALI20181012BHJP
【FI】
B64D27/18
F02C7/00 F
F02C9/28 A
F02K1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-531293(P2018-531293)
(86)(22)【出願日】2016年7月27日
(85)【翻訳文提出日】2018年4月16日
(86)【国際出願番号】US2016044326
(87)【国際公開番号】WO2017065858
(87)【国際公開日】20170420
(31)【優先権主張番号】62/213,465
(32)【優先日】2015年9月2日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】518073310
【氏名又は名称】ジェトプテラ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】エブレット、アンドレイ
(57)【要約】
乗り物に結合される推進システム。このシステムは、外部に推進流体が所定の調節可能な速度で流れる出口構造を有しているエジェクタを含む。前縁を有する操縦表面が、エジェクタからの推進流体が操縦表面を越えて流れるよう出口構造の下流直後に配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部を所定の調節可能な速度で推進流体が流れる出口構造を備えるエジェクタと、そして、
前縁を有し、そして、上をエジェクタからの推進流体が流れるよう出口構造の下流直後に配置されている第1操縦表面と、
を備える乗り物に結合される推進システム。
【請求項2】
前記システムの動作の間、エジェクタからの推進流体のみが前記操縦表面上を流れる、請求項1に記載の推進システム。
【請求項3】
拡散構造と、
拡散構造に結合され、そして、乗り物により創出された一次流体を拡散構造へと導入するよう構成される少なくとも1つの導管と、
拡散構造に結合され、そして、乗り物に対し利用しやすく二次流体を拡散構造へと導入するよう構成される吸込み構造と、
をエジェクタがさらに備え、
ここにおいて、拡散構造が前記出口構造を備え、そして、前記推進流体が前記一次及び二次流体を含む、
請求項1に記載の推進システム。
【請求項4】
エジェクタが凸状表面をさらに備え、
前記拡散構造が凸状表面に結合され、そして、
少なくとも1つの導管が前記凸状表面に結合されるとともに、前記一次流体を前記凸状表面へと導入するよう構成される、
請求項3に記載の推進システム。
【請求項5】
前記操縦表面の全体が前記前縁に対し平行に向く軸の回りに回転可能である、請求項1に記載の推進システム。
【請求項6】
前記出口構造が非対称である、請求項1に記載の推進システム。
【請求項7】
前記出口構造が第1及び第2側方対向縁を備え、そして、
前記第1側方対向縁が前記第2側方対向縁よりも大きな曲率半径を有する、
請求項6に記載の推進システム。
【請求項8】
前縁を有しているとともに乗り物に直接結合される第2操縦表面をさらに備え、
ここにおいて、前記第1操縦表面の前記前縁が前記第2操縦表面の前記前縁に対し非零角度であるよう前記第1操縦表面が前記第2操縦表面に対し結合される、
請求項1に記載の推進システム。
【請求項9】
本体と、
前記本体に対し結合される一次エアフォイルと、
前記本体に対し結合され、そして、ガスストリームを創出しているガス発生機と、
前記発生機に対し流体的に結合される導管と、
前記導管に対し流体的に結合され、そして、前記一次エアフォイル中に埋設され、その外を所定の調節可能な速度でガスストリームが流れる出口構造を備える、エジェクタと、そして、
前縁を有するとともに、エジェクタからのガスストリームが前記前縁上を流れるよう前記出口構造の下流直後に配置される二次エアフォイルと、
を備える乗り物。
【請求項10】
前記ガス発生機が前記本体中に配置される、請求項9に記載の乗り物。
【請求項11】
前記一次エアフォイルが後縁を備え、そして、少なくとも1つの前記エジェクタが前記一次エアフォイルの後縁から直接的にガスストリームを噴出する、請求項9に記載の乗り物。
【請求項12】
前記発生機により創出されたガスストリームが前記乗り物の推進の唯一の手段である、請求項9に記載の乗り物。
【請求項13】
前記二次エアフォイルの全体が前記前縁に対し平行に向く軸の回りに回転可能である、請求項9に記載の乗り物。
【請求項14】
前記エジェクタが180°角に亘って回転可能である、請求項9に記載の乗り物。
【請求項15】
前記出口構造が非円形である、請求項9に記載の乗り物。
【請求項16】
乗り物のための推進システムであって、
前記乗り物に対し結合される一次エアフォイルと、
前記乗り物に対し結合されるとともに前記一次エアフォイル上を流れる流体の下流に位置する第1増強エアフォイルと、そして、
第1増強エアフォイルの下流直後に配置される二次エアフォイルと、
を備え、
前記第1増強エアフォイルが、第1出力構造及び第1出力構造に結合される少なくとも1つの第1導管を備え、前記少なくとも1つの第1導管は前記乗り物により創出された一次流体を第1出力構造へと導くよう構成され、前記第1出力構造は、前記一次エアフォイルに向かい、そして前記第1増強エアフォイルの外部へ導入された一次流体のための出口を提供するよう構成される第1終端を備え、
前記二次エアフォイルは前記一次エアフォイル上を流れる流体及び前記第1増強エアフォイルからの前記一次流体が前記二次エアフォイル上を流れる、
推進システム。
【請求項17】
前記乗り物に対し結合され、前記一次エアフォイル上を流れる流体の下流に位置する第2増強エアフォイルをさらに備え、
前記第1及び第2増強エアフォイルの夫々は前記一次エアフォイルに向かって配置される前縁を有し、前記第1増強エアフォイルは前記第2増強エアフォイルに対向し、これにより、
前記第1及び第2増強エアフォイルは拡散領域を規定し、そして、
前記前縁は前記一次流体及び前記一次エアフォイル上を流れる流体を受け、そして前記拡散領域へと導くよう構成される入口領域を規定し、
前記拡散領域は、導入された一次流体及び前記一次エアフォイル上を流れる流体を混合し前記二次エアフォイルへと提供するよう構成される一次終端を備える、
請求項16に記載の推進システム。
【請求項18】
前記第2増強エアフォイルが、第2出力構造及び第2出力構造に結合される少なくとも1つの第2導管を備え、前記少なくとも1つの第2導管は前記乗り物により創出された一次流体を第2出力構造へと導くよう構成され、前記第2出力構造は、前記一次エアフォイルに向かい、そして前記第2増強エアフォイルの外への前記導入された一次流体のための出口を提供するよう構成される第2終端を備える、
請求項17に記載の推進システム。
【請求項19】
前記乗り物に対し前記第1増強エアフォイルを回転するよう構成される第1アクチュエータをさらに備える、請求項16に記載の推進システム。
【請求項20】
前記乗り物に対し前記第2増強エアフォイルを回転するよう構成される第2アクチュエータをさらに備える、請求項17に記載の推進システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
著作権表示
[0001]本開示は、米国著作権法および国際著作権法の下で保護されている。(C)2016 Jetoptera。著作権所有。本特許文献の開示の一部分は、著作権保護を受ける資料を含む。著作権者は、特許文献または特許開示が特許商標庁特許ファイルまたは記録に記載されるので、何者かによる特許文献または特許開示の複写に対する異議を持たないが、他の場合は、いかなる著作権もすべて保有する。
【0002】
優先権主張
[0002]本出願は、2015年9月2日に出願された米国仮特許出願第62/213,465号の優先権を主張するものであり、その開示全体は、本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
[0003]ホバリングし、垂直に離陸および着陸可能な航空機は、一般に、垂直離着陸(VTOL)航空機と呼ばれる。この分類としては、固定翼航空機、ならびに傾動可能な動力付きロータを有するヘリコプターおよび航空機がある。いくつかのVTOL航空機は、短距離離着陸(STOL)などの他のモードでも動作することができる。VTOLは、V/STOL(垂直および/または短距離離着陸)のサブセットである。
【0004】
[0004]説明の目的で、VTOL能力を有する現在の航空機の一例がF−35 Lightningである。垂直揚力気流を特定方向に向ける従来の方法としては、互いに対して90度に配列され、外部ノズルに設置された平坦なフラッパーベーンの2つのセットの使用に加えて、単一の方向に旋回可能なノズルの使用がある。F−35 Lightningの推進系は、同様に、タービンエンジンからの特定方向に向けられた推力と垂直に配向された揚力ファンの組み合わせを使用して、垂直に持ち上げる力を提供する。揚力ファンは、上側クラムシェルドアと下側クラムシェルドアを有するベイ内でコックピットの後ろに設置される。エンジンは、水平から垂直のすぐ前方に推力をそらすことができる3軸受旋回ノズルを通して排気する。ロール制御ダクトは、各翼内に延び、エンジンファンから空気とともに推力が供給される。ピッチ制御は、揚力ファン/エンジン推力分割を介して影響される。ヨー制御は、エンジン旋回ノズルのヨー運動による。ロール制御は、2つのロール制御ダクトの端にある開口を異なって開閉することによって提供される。揚力ファンは、前後方向に推力偏向を提供するために入れ子型「D」字形ノズルを有する。Dノズルは、出口開口に固定ベーンを有する。
【0005】
[0005]航空機またはドローンの設計は、より一般に、その推進要素と、それらの要素が内蔵される機体からなる。従来、航空機内の推進デバイスは、ターボジェット、ターボファン、ターボプロップ、またはターボシャフト、ピストンエンジン、またはプロペラを装備した電気モータであり得る。小型無人航空機(UAV)内の推進系(プロパルサー(propulsor))は、従来、シャフトを介して1つまたはいくつかのプロペラに動力を提供するピストンエンジンまたは電気モータである。大型航空機用のプロパルサーは、有人であろうと無人であろうと、伝統的に、ジェットエンジンまたはターボプロップである。プロパルサーは、一般に、航空機に力を送り荷重を支持することが可能なパイロンすなわち支柱を介して、航空機の胴体または本体または翼に取り付けられる。出現する空気およびガスの混合噴出物(噴出流出物(jet efflux))は、噴出流出物の流れとは反対方向に航空機を推進するものである。
【0006】
[0006]従来、大型プロペラの空気流流出物は、水平飛行では揚力目的で使用されず、したがって、航空機が、現在存在する適用例のうちのいくつか(すなわち、Bell Boeing V−22 Osprey)と同様に旋回されない限り、かなりの量の運動エネルギーは、航空機の利点に利用されない。むしろ、大部分の存在する航空機上の揚力は、翼および尾部によって発生される。さらに、Ospreyにおいて見られるそれらの特定のVTOL適用例(たとえば、水平飛行への移行による離陸)においてすら、プロペラ自体によって引き起こされる揚力は、水平飛行中、最小であり、それにもかかわらず、揚力の大部分は翼からのものである。
【0007】
[0007]航空機上で揚力を発生させるための現在の先端技術は、翼および翼要素の上で高速気流を生成することであり、これらは、全体的にエアフォイルである。エアフォイルは、主に軸方向に、エアフォイルの前縁から後縁に延びる翼弦線によって特徴付けられる。入ってくる気流と翼弦線との間に形成される迎角に基づいて、およびエアフォイル揚力生成の原理に従って、圧力のより低い空気が、吸引(上)側の上を流れており、逆に、ベルヌーイの法則によって、圧力の低い側(圧力側)よりも速いスピードで移動する。航空機の対気速度が低いほど、揚力も低くなり、翼の表面積が大きくなる、または、離陸の場合も含めて、より大きい入射角が必要とされる。
【0008】
[0008]大型UAVも、この規則の例外ではない。揚力は、適切な迎角と翼弦と翼幅とキャンバーラインとを有する翼エアフォイルを設計することによって、生成される。フラップ、スロット、および多くの他のデバイスは、翼の揚力係数および表面積の増加を介して揚力を最大にするために使用される他の従来のツールであるが、それは、航空機の対気速度に対応する揚力を生成する(面積(S)および揚力係数(CL)を増加させることによって、式L=1/2ρV2SCLに従って、より低い航空機対気速度(V0)における類似の量の揚力が生成可能になるが、より高い抗力および重量が犠牲になる)。これらの現在の技法も、強い横風の条件下における効率の著しい低下を伴って、不十分に実行する。
【0009】
[0009]小型UAVは、おそらく間違いなく、乗物を持ち上げるためにプロペラによって生成された推力を使用するが、現在の技術は、電気モータスピードの制御に厳密に依存し、小型UAVは、推力と揚力とを生成するためにモータを回転させる能力、またはプロペラを傾けることによって水平飛行に移行する能力を持ってもよいし、持たなくてもよい。そのうえ、これらの推進要素を使用する小型UAVは、バッテリ、電力密度、および大型プロペラに関連する非効率さに苦しみ、大型プロペラは、ホバリングでは効率的であるが、水平飛行では非効率であり、高速で動くブレードの先端により、動作時に困難と危険とをもたらし得る。最新のクアッドコプタおよび他の電動式航空機は、非常に短期間の飛行のみが可能であり、電気モータシステムおよびバッテリの重量がすでに飛行の間いつも乗物の重量の70%を優に超える場合があるので、大きなペイロードを効率的に持ち上げるまたは運ぶことはできない。一般的に運搬に使用されるジェット燃料または他の任意の炭化水素燃料を使用する類似の乗物は、少なくとも1桁大きい、より多くの使用可能な燃料を運ぶ。これは、バッテリシステムと比較して、炭化水素燃料のはるかに高いエネルギー密度(少なくとも1桁)、ならびに炭化水素燃料ベースシステムのより低い重量対乗物総重量比によって説明可能である。
【0010】
[0010]したがって、航空機における、特にUAVおよびいくつかの有人航空機に対する、向上した効率、改善した機能、および他の技術的進歩が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】[0011]
図1は、エジェクタの上半及び内部流れ内に速度及び温度のプロファイルを示す、本発明の一実施形態の断面図。
【
図2】[0012]
図2は、一実施形態の吸込み構造の部分的な斜視図。
【
図3】[0013]
図3は、一実施形態に従う操縦表面(control surface)の前に置かれているエジェクタの側平面図。
【
図4】[0014]
図4は、一実施形態に従うもう1つの操縦表面との組み合わせにおいて操縦表面の前に置かれているエジェクタの斜視図。
【
図5】[0015]
図5は、別の実施形態の上部分断面図。
【
図6】[0016]
図6は、別の実施形態の側斜視図。
【
図7】[0017]
図7は、
図6中に図示されている実施形態の要素の側面図。
【
図8】[0018]
図8は、本発明のさらに別の実施形態を示す図。
【
図9】
図9は、本発明のさらに別の実施形態を示す図。
【
図10】[0019]
図10は、本発明のさらに別の実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0020]本出願は、本発明の1つまたは複数の実施形態について説明することを意図したものである。「〜しなければならない」、「〜であろう」などの絶対的用語ならびに特定の量の使用は、そのような実施形態のうちの1つまたは複数に適用可能であると解釈されるべきであるが、必ずしもすべてのそのような実施形態に適用されるとは限らないことが理解されるべきである。したがって、本発明の実施形態は、そのような絶対的用語の文脈で説明される1つまたは複数の特徴または機能を省略してもよいし、その修正形態を含んでもよい。さらに、本出願における見出しは、参照のみを目的としており、本発明の意味または解釈に決して影響しないものとする。
【0013】
[0021]本発明の一実施形態は、周囲空気の引き込み(entrainment)および加速のために流体を利用し、高圧ガス(ガス発生装置からプロパルサーに供給された)と引き込まれた(entrained)周囲空気との混合物の高速噴出流出物を送達するプロパルサーを含む。本質的には、この目的は、凸状表面(convex surface)に隣接して上記ガスを排出することにより達成される。凸状表面は、1936年9月1日にヘンリ コアンダ(Henri Coanda)氏に対し発行された米国特許番号2,052,869中に記載されているコアンダ(Coanda)効果によりもたらされているいわゆるコアンダ(Coanda)表面である。原理的に、コアンダ効果は、例えもしも壁の湾曲の方向が噴流の軸から遠ざかったとしても、ジェット噴射されたガス又は液体が壁の輪郭に接近して移動する傾向である。1つ又はそれ以上の実施形態に関してここで議論された凸状のコアンダ表面は、特定の材料から構成しなければストリームならないことはない。
【0014】
[0022]
図1は、限定しない例のために、航空機のようなUAV又は有人の空中乗り物のような、乗り物(示されていない)に対し取り付けられ得るエジェクタ200の上半の断面を図示している。プレナム(plenum)211は、例えば、乗り物により採用されて良い燃焼を基にしている機関からの周囲より熱い空気(即ち、加圧されている原動力となるガスストリーム)が供給されている。矢印600により示されている、この加圧されている原動力となるガスストリームは、一次ノズル203のような少なくとも1つの導管を介し、エジェクタ200の内部へと導入されている。より詳細には、一次ノズル203は、壁ジェット(wall jet)として凸状のコアンダ表面204の上で原動力となるガスストリーム600を変動可能な所定の望まれる速度へと加速するよう構成されている。さらに、一次ノズル203は、流体ストリーム600の調節可能な量を提供する。この壁ジェットは次に、静止している又は矢印1により示されている方向から零でない速度でエジェクタ200に接近し得る、矢印1により指摘されている大気のような、二次流体を吸込み構造を介し引き込むよう機能する。種々の実施形態においては、ノズル203は、整列され、そして湾曲した向きに,渦巻の向きに,及び/又はジグザグの向きに配置され得る。
【0015】
[0023]ストリーム600及び空気1の混合は、エジェクタ200の喉セクション225において純粋に軸状に移動していて良い。ディフューザ210のような、拡散構造における拡散を通して、混合及び円滑排出工程が続き、エジェクタ200の軸方向における温度(800)及び速度(700)のプロファイルは喉セクション225において存在している高い及び低い値をもはや有さず、しかしディフューザ210の終端101においてより均等になっている。ストリーム600及び空気1の混合が終端101の出口平面に近づくにつれて、温度及び速度のプロファイルが殆ど均等である。特に、混合の温度は、翼又は操縦表面のようなエアフォイルの方に向けられるのに十分なほど低い。
【0016】
[0024]ある実施形態においては、吸込み構造206及び/又は終端101が形において円であって良い。しかしながら、種々の実施形態においては、そして
図2中に最も良く示されているように、吸込み構造206は、終端101と同様に、非円形、そして、実際に、非対称(即ち、少なくとも1つの、又は代わりに何れかに与えられた、吸込み構造の平面分割の両側が同じでない)である。例えば、
図2中に示されているように、吸込み構造206は第1及び第2側方対向縁401,402を含むことができ、ここにおいては、第1側方対向縁が第2側方対向縁よりも大きな曲率半径を有する。終端101は同様に形作られ得る。
【0017】
[0025]
図3は、前縁302を有していて揚力400を発生させているエアフォイル100のような、操縦表面の前に載置されている、推進機/エジェクタ200を図示している。図示されているように、エアフォイル100は、エジェクタ200からの推進流体がエアフォイル上を流れるよう、エジェクタの、ディフューザ210の終端101のような、出口構造の直後(即ち、下流)に位置されている。実際、1つの実施形態においては、エアフォイル100は、他の大気を除き、エジェクタ200からの推進流体のみがエアフォイル上を流れるよう、終端101に対し十分接近して位置され得る。ここで使用された時、用語「直後(directly behind)」は、前縁302少なくとも一部分が、(a)前縁と平行である終端101の表面により占められており、そして(b)エジェクタ200に対し軸方向に(即ち、以下に述べられる矢印300の方向に)延出している、複数の平面内、又はその1つと直線状にされている、ことを意味する様に解釈され得る。
【0018】
[0026]エアフォイル100上の局所的な流れは、矢印500により示されている航空機対気速度と比較して、矢印300に示されている、エジェクタ200出口ジェット流出のより高い速度により、航空機の速度よりもより高い速度である。エジェクタ200は、より熱い原動力となるストリーム600(
図1)を、高い引き込み(entrainment)率で流入している冷たい周囲の空気のストリームと力強く混合する。さらなる操縦表面が、エレベーター表面150のような、エアフォイル100上に実現され得る。ある実施形態においては、いかなるこのような操縦表面の全体が前縁302に対し平行に向けられている軸の回りを回転可能である。この様な表面100及び/又は150の角度を変化させることにより、航空機の姿勢がジェット流出300のより高い局所速度で与えられた小さな作用力により急速に変化させられることができる。この混合は、エジェクタ温度の熱い動力となるストリーム600を機械的に又は構造的にエアフォイル100又は150に否定的な影響を与えない混合温度プロファイル800へと減少させるのに十分に均質である。推進機を離れる流出ジェットの速度プロファイル700は、より高い局所速度により、エアフォイル100により揚力400が発生されることになることを許容する。
【0019】
[0027]
図4は、推進機/エジェクタ200が、もう1つのエアフォイル1000との組み合わせにおける、そして
図3中に図示されている操縦表面の外形状からは異なった外形状である操縦表面1500の前にもまた置かれてよいことを図示している。図示されている実施形態においては、操縦表面1500の前縁1501は、エアフォイル1000の前縁1001に関して略90°角で配置されている。エジェクタ200は非線対称であって良く、そして、操縦表面は前記エジェクタ200の通り跡(wake)中に正に置かれ得る。エジェクタ200は、より熱い動力となるストリーム600(
図1)を高い引き込み(entrainment)率で流入している冷たい周囲の空気のストリームと力強く混合する。同様に、この混合はエジェクタ温度の熱い動力となるストリーム600を機械的に又は構造的に操縦表面1500に否定的な影響を与えない混合温度プロファイル800へと減少させるのに十分に均質である。この実施形態においては、ヨーが、操縦表面1500の向きを変更させることにより制御することができる。同様なやり方で、そして、航空機胴体のような、乗り物本体に関する操縦表面1500の向きを変化させることにより、ピッチ及びロールが同様に制御され得る。エジェクタ200の機能は推力を発生させることであり、しかし、それはまた揚力又は高度制御を提供することができる。この実施形態においては、ヨー制御は、方向151において航空機軸10の回りの回転を創出する。
【0020】
[0028]
図5は、推力を創出するために航空機の翼上にジェットエンジンを載置する従来の方法の代わりを提供する一実施形態を図示している。
図5においては、ガス発生機501が、一次エアフォイルの後縁からガスストリームを直接的に噴出することによる前方への推進のために、翼503のような、一次エアフォイル中に埋設されている、一連のエジェクタ502を動かすための原動力となる空気の流れを創出する。この実施形態においては、ガス発生機501は、航空機の本体胴体504中に埋設されていて、導管505を介しエジェクタ502へと流体的に結合されていて、そして航空機の推進の唯一の手段である。エジェクタ502は円形又は
図2中に図示されていた実施形態のように非円形であって良く、終端101と同様な対応している形状の出口構造を有し、そして、所定の調節可能な速度で、発生機501及び導管505からガスストリームを提供する。さらにエジェクタ502は、フラップ又はエルロンの方法と同様な方法で移動可能であって良く、180°角を通して回転可能であり、そして、所望の推進力を提供することに加え航空機の高度を制御するために動作されることができる。前縁507を有している第2エアフォイル506が、エジェクタ502からのガスストリームが第2エアフォイル506上を流れるよう、翼503と縦一列に並びそしてエジェクタ502の直後に置かれている。第2エアフォイル506が従って、航空機の対気速度よりも遥かに高い速度を受け、そして、対気速度の二乗に比例した高い揚力を創出する。第2エアフォイル506の全体は、前縁507に対し平行に向けられている軸の回りに回転可能であり得る。
【0021】
[0029]本発明のこの実施形態においては、第2エアフォイル506は、ガス発生機501により創出された原動力となる流体(また、一次流体として引用されている)及び個々の一次流体パーツ当たり第2流体が5〜25パーツの間の割合で原動力となる流体により引き込まれている第2流体の混合により、適度により高い温度と会う。このようであるので、第2エアフォイル506が会う温度は、周囲温度よりもわずかに高く、しかし、式:T
mix=(T
motive+ER
*T
amb)/(1+ER)に従って、揚力を支持し、そして維持する第2翼の材料を許容している、原動力となる流体よりは非常に低く、ここでT
mixはエジェクタ502から噴出されているジェット流出の最終流体混合温度であり、ERは原動力となる空気の1パーツ当たりに引き込まれた大気の複数パーツの引き込み率であり、T
motiveは原動力となる又は一次流体のより高い温度であり、そしてT
ambは接近している大気温度である。
【0022】
[0030]
図6は、代わりの実施形態に従う、乗り物700のための推進システムを図示している。第1増強(augmenting)エアフォイル702は、乗り物700に結合されていて、そして、乗り物の一次エアフォイル701上を流れている流体の下流に位置されている。エアフォイル702は、軸707の回りを回転するよう構成されていて、アクチュエータ708により制御されている。
図7中に最も良く図示されているように、第1増強エアフォイル702は、対向ノズル表面705,706のような第1出力構造、及び、ノズル表面により規定されている終端703と流体連通している、プレナム(plenum)704のような、少なくとも1つの導管を含む。ノズル表面705,706は、
図1を参照して上で議論されていたノズル203と同様なノズルを含んで良いし含まなくとも良い。さらには、ノズル表面705,706の1つ又はそれ以上が、結果として、コアンダ(Coanda)効果を促進させることができ、そして、鋭い又は険しい隅を伴っていない連続して丸められている表面を有し得る凸状表面(convex surface)を含んで良い。プレナム704には、例えば、乗り物700により採用されて良い燃焼を基礎としているエンジンからの周囲より熱い空気(即ち、加圧されている原動力となるガスストリーム)が供給されている。プレナム704は、このガスストリームを終端703へと導くよう形作られており、終端703は一次エアフォイル701に向かう、そして第1増強エアフォイル702の外へのガスストリームのための出口を提供するよう構成されている。
【0023】
[0031]
図8〜9を参照すると、一実施形態がエアフォイル702と同様な第2増強(augmenting)エアフォイル902を含んで良く、夫々は他の後縁から分岐している個々の後縁714,914を伴っている。より詳細には、第2増強エアフォイル902は乗り物700に結合されていて、そして、乗り物の一次エアフォイル701上を流れている流体の下流に位置されている。エアフォイル902は、エアフォイル702を参照して上で議論されていたのと同様な方法で回転するよう構成されている。エアフォイル902は、対向ノズル表面905,906のような第1出力構造及びノズル表面により規定されている終端903と流体連結されているプレナム(plenum)904のような少なくとも1つの導管を含んでいる。ノズル表面905,906は、
図1を参照して上で議論されていたノズル203と同様なノズルを含んで良いし、含まなくても良い。さらには、ノズル表面905,906の1つ又はそれ以上が、結果として、コアンダ(Coanda)効果を促進させることが出来る凸状表面を含んで良い。プレナム904には、例えば、乗り物700により採用されて良い燃焼を基にしているエンジンからの周囲より熱い空気(即ち、加圧されている原動力となるガスストリーム)が供給される。プレナム904は、このガスストリームを終端903へと導くよう構成されていて、終端903は、一次エアフォイル701に向かう、そして第2増強エアフォイル902の外へのガスストリームのための出口を提供するよう構成されている。
【0024】
[0032]第1及び第2増強エアフォイル702,902は一次エアフォイルに向かい配置されている前縁716,916を有していて、第1増強エアフォイルは第2増強エアフォイルと対向している。動作においては、第1及び第2増強エアフォイル702,902が、それらの間にそしてそれらの長さに沿い、ここにおいて上で議論されていた拡散機210と機能において同様である、拡散領域802を規定している。前縁716,916は、プレナム704,904からのガスストリーム及び一次エアフォイル701上を流れている流体を受け、そして拡散領域802へと導くよう構成されている吸込み領域804を規定している。拡散領域802は、導入されたガスストリーム及び一次エアフォイル701上を流れている流体のための拡散領域からの出口を提供するよう構成されている一次終端806を含む。
【0025】
[0033]
図10は、縦一列に並んでいる翼を特徴としている、本発明の別の実施形態を描いている。図示されている実施形態においては、二次エアフォイル1010が、増強エアフォイル702,902の下流直後に置かれていて、一次エアフォイル701上を流れている流体及びこれらエアフォイルからのガスストリームが第2エアフォイル上を流れるようにしている。2つの比較的より短い翼701,702の組み合わせは、増強エアフォイル702,902を欠いている遥かにより大きなスパンの翼の揚力及び推力を創出するようにより大きな翼に対し取り付けられているジェットエンジンに依存する揚力よりもより大きな揚力を創出する。
【0026】
[0034]前述のテキストは、多数の異なる実施形態の詳細な説明について説明しているが、保護の範囲は後に続く特許請求の範囲の文言によって定義されることが理解されるべきである。詳細な説明は、例示的にすぎないと解釈されるべきであり、あらゆる可能な実施形態について説明することは、実行不可能な場合、非実用的であるので、あらゆる可能な実施形態について説明するものではない。多数の代替実施形態が、現在の技術または本特許の出願日以降に開発される技術のどちらかを使用して実施可能であり、依然として特許請求の範囲に含まれる。
【0027】
[0035]したがって、多数の修正および変形が、本特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書において説明および図示される技法および構造においてなされ得る。したがって、本明細書において説明される方法および装置は例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。
【国際調査報告】