(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
仮想温度の低い光ファイバー、並びにその光ファイバーを製造するシステム及び方法の開示である。本システムは、ガラス構造を緩和し、及び/又はガラスをより平衡状態に近づけることによって、ファイバーの仮想温度を低下させるのに十分な温度に、ファイバーを処理経路に沿って加熱する再加熱ステージを含んでいる。ファイバーが、母材から線引きされ、処理経路に沿って搬送され、冷却及びその後の再加熱により、ファイバーの仮想温度を低下させるのに役立つ温度に、ファイバーが曝露される時間が増加される。処理経路は、複数の再加熱ステージ、及び1つ以上のファイバー折り返し装置を含むことができる。
前記第1の再加熱ステージに動作可能に結合された、第1のファイバー折り返し装置であって、前記光ファイバーを、第1の処理経路セグメントから第2の処理経路セグメントに方向転換させる、ファイバー折り返し装置を更に備えたことを特徴とする、請求項1〜4いずれか1項記載のシステム。
前記冷却するステップが、前記光ファイバーを、1000℃〜1300℃のプロセス温度に、少なくとも1.0秒間曝露するステップを含むことを特徴とする、請求項7記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面に記載の実施の形態は本質的に例示的なものであり、詳細な説明又は特許請求の範囲の範囲を限定するものではない。図面全体を通し、可能な限り、同一又は同様の機構には同じ参照番号が使用されている。
【0018】
以下、本明細書の例示的な実施の形態について詳細に説明する。本明細書において、例示的な実施形態は、シリカベースの光ファイバーに関連している。シリカベースの光ファイバーは、純シリカ、ドープシリカ、又は純シリカとドープシリカとの組み合わせから構成されるファイバーを含んでいる。処理条件(例えば、温度、冷却範囲、冷却速度、線引き速度等)及び特性(例えば、仮想温度、粘度、減衰、屈折率等)は、シリカベースの光ファイバーに関する記述である。しかし、当業者には理解されるように、本開示の原理は、他の物質系の構成要素の特性(例えば、溶融温度、粘度、仮想温度、構造緩和のための時間スケール等)を十分考慮しつつ、他の材料系に基づく光ファイバーにも及ぶものである。
【0019】
本明細書は仮想温度の低い光ファイバーの記述である。光ファイバーは、ガラスファイバーであって、ファイバーの構造緩和の促進及び光ファイバーの減衰を減少させる条件下で処理される。ファイバーの構造緩和の増大及び/又は平衡状態への接近によって、ファイバーの仮想温度が低下し、ファイバーの減衰が減少する。
【0020】
従来のファイバー処理では、ガラス母材が軟化点より高い温度に加熱され、所望の径を有する光ファイバーを形成するために、大きいダウンドロー比で線引きされることによって、ファイバーが形成される。シリカガラスファイバーの場合、母材の径は、約100〜120mm又はそれ以上とすることができ、母材から線引きされるガラスファイバーは、通常125μmの径を有している。シリカガラスファイバーを製造するために、シリカガラス母材が、2000℃より高い温度に加熱され、ファイバーが10m/s以上の速度で線引きされる。線引き温度が高く、ドローダウン比が大きく、線引き速度が速いため、シリカベースのファイバーのガラス構造は平衡状態にはほど遠く、1500℃より高い仮想温度を有している。理論に拘束されることを望むものではないが、シリカガラスファイバーの非平衡構造が、シリカガラスファイバーの信号減衰の重要な根本原因であると考えられている。従って、ガラス構造を安定化させるための処理条件を改善し、ガラス光ファイバーの仮想温度を低下させることによって、光ファイバーの減衰を減少させることができると考えられている。
【0021】
本明細書において、ガラス構造の指標として仮想温度が使用される。仮想温度が高いガラスは、仮想温度が低いガラスより、平衡状態から大きく外れた構造を有している。ガラスの仮想温度を低下させる処理条件によって、減衰がより少ない光ファイバーを製造することができる。
【0022】
本明細書によれば、ファイバーが、冷却中にガラス転移領域又はガラス転移領域に近い温度に曝露される時間を長くする処理条件によって、ファイバーの構造緩和が促進され、ファイバーの仮想温度が低下することが示される。本明細書において、ガラス転移領域は、ガラス転移温度(T
g)を含む温度範囲である。1つの実施の形態において、ガラス転移領域は、ガラス転移温度より低い温度からガラス転移温度より高い領域までの範囲である。シリカガラス光ファイバーの場合、ガラス転移領域は、概して1200℃〜1700℃である。ガラス転移領域より低い領域(近T
g領域)において、ガラスの更なる緩和又はより平衡状態に近い状態への誘導が生じる可能性があり、シリカベースのファイバーの場合、この領域は1000℃〜1200℃の温度に対応している。
【0023】
1つの実施の形態において、形成後のファイバーが、再加熱ステップ、及びガラス構造の緩和及び/又はファイバーを平衡状態に近づけるプロセス温度ウィンドウを経て、仮想温度が1000℃〜1475℃に低下した光ファイバーが得られる。プロセス温度ウィンドウは、1000℃〜1600℃、1000℃〜1450℃、1000℃〜1300℃、又は1000℃〜1200℃であってよい。
【0024】
近T
g領域未満のプロセス温度(例えば、1000℃未満)でファイバーを冷却すると、利用可能な熱エネルギーが、構造緩和、又はガラスを改質して構造緩和若しくは平衡状態に近づけるのに必要なエネルギーより小さいため、ガラスの構造及び/又はファイバーの状態が動力学的に急冷され、(実用的な時間スケールにおいて)本質的に不変になる。本明細書において、プロセス温度は、ファイバーが処理中に曝露される温度を意味する。プロセス温度又はプロセス温度ウィンドウは、例えば、本明細書に記載の徐冷装置が維持する温度又は温度ウィンドウに対応することができる。
【0025】
ファイバーの温度は、プロセス温度と異なることがあり得ることを理解されたい。本明細書に記載のプロセス温度又はプロセス温度ウィンドウは、ファイバーの温度を確実に1000℃〜1700℃、1050℃〜1700℃、1100℃〜1700℃、1000℃〜1500℃、1100℃〜1500℃、1000℃〜1400℃、又は1100℃〜1400℃とすることができる。
【0026】
光ファイバーは、通常、周囲圧力で空気中において線引きされる。先行技術の方法に基づけば、線引き処理中における空気中の冷却速度は、一般に12000℃/秒であり、これは、ファイバーの仮想温度の低下を促進するプロセス温度ウィンドウ内における、ファイバーの滞留時間が短い(0.05秒)こと、及びファイバーの構造又は状態が、動力学的に急冷される温度に、急速にファイバーが冷却されることを意味する。従って、仮想温度は高い。例えば、シリカガラスファイバーの場合、ファイバーの仮想温度は、通常1550℃以上であって、かかるファイバーの減衰は高い。
【0027】
先行技術とは対照的に、本発明は、光ファイバーを0.1秒、0.2秒、0.3秒、0.4秒、0.5秒、1.0秒、2.0秒、3.0秒、又は4.0秒より長い時間、1000℃〜1700℃のプロセス温度に維持する、光ファイバーを線引きするための方法及びシステムの記載である。別の実施の形態において、光ファイバーが、1000℃〜1300℃のプロセス温度に維持される。
【0028】
プロセス温度は、光ファイバーの温度を確実に0.1秒、0.2秒、0.3秒、0.4秒、0.5秒、1.0秒、2.0秒、3.0秒、又は4.0秒より長い時間、1000℃〜1700℃に維持することができる。別の実施の形態において、プロセス温度は、光ファイバーの温度を確実に0.1秒、0.2秒、0.3秒、0.4秒、0.5秒、1.0秒、2.0秒、3.0秒、又は4.0秒より長い時間、1100℃〜1500℃に維持することができる。別の実施の形態において、プロセス温度は、光ファイバーの温度を確実に0.1秒、0.2秒、0.3秒、0.4秒、0.5秒、1.0秒、2.0秒、3.0秒、又は4.0秒より長い時間、1100℃〜1700℃に維持することができる。
【0029】
図1は、光ファイバーを製造するための先行技術の代表的なシステムを示す図である。システム108は、炉112内に配置されたファイバー母材110を含んでいる。ファイバー母材110は、シリカガラス等のガラスから構成され、組成が異なる領域を含むことができる。例えば、母材110は、母材から線引きされるファイバーに所望される、コア及びクラッド組成に対応する組成を有する、改質及び未改質シリカガラス領域を含むことができる。ファイバー母材110が、炉112内で加熱され、母材からファイバー114が線引きされる。ファイバー114は、処理区域130に進入し、冷却し始める。ファイバー114は、処理区域130を退出し、一連の流体ベアリング装置116を含む、冷却領域118を通して誘導される。流体ベアリング装置116は、ファイバーを更に冷却し、ファイバーを被覆ユニットに120に誘導し、そこで被覆が施されて被覆ファイバー121が得られる。被覆ユニット120を退出した後、被覆光ファイバー121は、当技術分野で周知のシステム内の様々な処理ステージ(図示せず)を経ることができる。光ファイバーが、システム108を通して線引きされるとき、線引き機構128を用いて、光ファイバーに張力が与えられる。
【0030】
流体ベアリング装置は、参照によりその開示内容が本明細書に援用される、米国特許第7,937,971号明細書に記載されている。例示的な流体ベアリング装置の構造及び作用の概要説明は以下の通りである。しかし、別の流体ベアリング装置の設計が可能であり、本明細書に開示の方法及び装置によって得られる利益は、流体ベアリング装置の特定の設計に限定されるものではないことを理解されたい。
【0031】
流体ベアリング装置の代表的な構造を
図2及び3に示す。
図2の流体ベアリング装置216は、第1のプレート230、第2のプレート232、内部部材236、及び第1及び第2の少なくとも一方における少なくとも1つの開口部234を有している。第1のプレート230及び第2のプレート232は、金属で構成することができ、それぞれ弓形の外面238、239を有している。ベアリングアセンブリ216を流体が通過することができるように、第1のプレート230及び第2のプレート232が締結具(例えば、ボルト240)で接続され、プレート230、232が互いに連結されている。各々のプレート230、232の弓形外面238、239は、概して、それぞれのプレート230、232の外周に沿って位置している。第1のプレート230及び第2のプレート232の各々は、それぞれの内面242、244及び外面243、245を有し、プレート230及び232の内面242、244は互いに位置合わせされている。第1のプレート230及び第2のプレート232のいずれか一方の内面242、244の周囲に、流体を流すためのプレナムを与えるための、凹部247が少なくとも部分的に延びている。別の実施の形態において、本明細書で後述するように、ファイバー支持チャネル250に均一な流れを供給するために、凹部は様々な構成を有することができる。
【0032】
図2に示す実施の形態において、第1のプレート230及び第2のプレート232の弓形の外面238、239は、実質的に位置合わせされ、第1のプレート230及び第2のプレート232の両方の外面238、239の間に領域を形成することが好ましい。この領域は、ベアリングアセンブリを回転させずに、光ファイバーがこの領域に沿って移動できるように、光ファイバーを受け取るように構成されている。このファイバー支持チャネル250は、
図3に示す実施の形態において、より明確に示されている(本明細書で後述する)。少なくとも1つの開口部234が、第1のプレート230及び第2のプレート232の少なくとも一方を貫通している。
図2に示すように、第1のプレート230及び第2のプレート232の開口部234は、流体ベアリング装置216を通して、流体(例えば、空気、ヘリウム、又は別の所望の気体又は液体)を、開口部234から第1のプレート230と第2のプレート232との間に形成された、ファイバー支持チャネル250に供給することができる。以下に更に詳細に説明するように、チャネル250に供給される流体によって、ファイバーとチャネル250表面との間に高圧領域が生成される。流体は、線引きを促進する張力と相まって、チャネル250内のファイバーを安定させると共に、ファイバーをチャネル250の表面の上方に配置して、ファイバーが流体ベアリング装置と機械的に接触しないように作用する。流体ベアリング装置を通過する流体は、本明細書において浮揚流体と呼ぶことができる。浮揚流体は気体又は液体であってよい。代表的な浮揚流体には空気、N
2、及び不活性ガスが含まれる。
【0033】
加えて、流体ベアリング装置216は、第1のプレート230と第2のプレート232との間に配置された、内部部材236を含むことができる。内部部材236(例えば、シム237)は、浮揚流体が所定の流動方向を有する、ファイバー支持チャネル250を退出するように、第1のプレート230と第2のプレート232との表面238、239間の領域に浮揚流体を誘導するのを助長するように構成されている。内部部材236は、第1のプレート230と第2のプレート232との間に位置し、その間に隙間を形成する。所望であれば、内部部材236は、複数のフィンガー(図示せず)を含み、非半径方向の流れを抑制することによって、流体の流れを更に制御することができる。加えて、内部部材236は、第1のプレート230と第2のプレート232との間に実質的な接触をもたらすシール部として機能する。内部部材は、光ファイバーの進入及び退出を容易にするノッチを含むこともできる。
【0034】
図3に示すように、第1のプレート230と第2のプレート232との表面238、239間に形成された、ファイバー支持チャネル250は、第1のプレート230と第2のプレート232との間の浮遊流体が退出する位置にテーパーをかけることができる。しかし、別の実施の形態において、ファイバー支持チャネル250は、例えば、平行又は逆テーパー形状を有することができる。加えて、テーパー付きファイバー支持チャネル250内の開口部260は、光ファイバー214の位置に応じて可変である。開口部260及びファイバー支持チャネル250は、使用する特定の線引き張力及び線引き速度、並びに開口部260を通過する浮遊流体の流速に対し、代表的な外径125μmのファイバーが、500μm未満、より好ましくは400μm未満、更に好ましくは300μm未満、最も好ましくは200μm未満の幅のファイバー支持チャネル250の部分に保持されるように構成されることが好ましい。従って、ファイバーは、ファイバー径の1倍〜2倍、より好ましくはファイバー径の1倍〜1.75倍、最も好ましくはファイバー径の1倍〜1.5倍のチャネル250の領域内に保持されることが好ましい。ファイバーは、ファイバーの外面と各々の壁との間の距離が、ファイバー径の0.05〜0.5倍となるように、チャネルの領域内に位置することが好ましい。
【0035】
図3に示す実施の形態において、見易くするために、テーパー角度は、ファイバー支持チャネル250のテーパー付き開口部の好ましい角度から、図示誇張されている。実際は、ファイバー支持チャネル250の上部又は外側部分の幅260が、ファイバー支持チャネル250の下部又は内側部分237の幅260より広くなるように、支持チャネル250の対向する表面の少なくとも一方、好ましくは両方の各々が、好ましくは0°を超え10°未満、より好ましくは0.3°〜7°、最も好ましくは、0.4°〜3°で傾斜している。例えば、かかる実施の形態において、領域を形成する第1のプレート230及び第2のプレート232は、それぞれ−0.6°及び+0.6°傾斜させることができる。別法として、ファイバー支持チャネル250は、任意の深さ、幅、及びテーパー角度を有することができる。テーパー付きファイバー支持チャネル250を利用して、流体がファイバー支持チャネル250のより狭い内側部分に進入し、ファイバー支持チャネル250のより広い外側領域から退出するように、ファイバー支持チャネル250によって形成されたスロットに流体を注入することによって、チャネル250を通して放出される浮揚流体のクッションによって、ファイバーがチャネル250の深さ内に自己位置決めすることになる。例えば、浮揚流体の所与の流速に対し、ファイバーの線引き張力が増加した場合、ファイバー214とチャネル壁との間の間隙が十分小さくなり、領域237の圧力が新らたな高張力に正しく対応するのに十分大きくなるまで、ファイバーはチャネル250内を下方に移動することになる。ファイバーの線引き張力が減少した場合、ファイバー214とチャネル壁との間の間隙が十分大きくなり、領域237の圧力が新らたな低張力に対応するのに十分小さくなるまで、ファイバーはチャネル250内を上方に移動することになる。従って、チャネル250にテーパーをかけることによって、チャネル250は、より広い範囲の線引き張力に対応することができる。図示のチャネル250がテーパー付きでなく、線引き張力が減少した場合、ファイバーは上方に移動して、ファイバー支持チャネル250から逸脱する可能性がある。
【0036】
ファイバーは、ファイバー径の1〜2倍、より好ましくはファイバー径の1〜1.75倍、最も好ましくはファイバー径の1〜1.5倍のチャネル250の領域内に位置していることが好ましい。かかるチャネル250内の比較的狭い領域にファイバーを配置することによって、ファイバーは、動作中ベルヌーイ効果によって、自ら中心に位置することになる。例えば、ファイバーがチャネル250の対抗する壁のいずれかに近づくと、浮揚流体の速度は、一方の表面の最も近くで増加し、他方の表面の最も近くで減少する。ベルヌーイ効果によれば、浮揚流体の速度が増加すると同時に圧力が減少する。その結果、一方の表面近傍の浮揚流体速度の減少によって生じた、より大きい圧力によって、ファイバーがチャネル250の中心に戻されることになる。従って、好ましい実施の形態において、ファイバーが線引きされる間、ファイバーの周囲を通過してファイバー支持チャネル250から退出する浮揚流体に起因する、少なくとも実質的なベルヌーイ効果によって、ファイバーは、ファイバー支持チャネル250の中心に配置される。特に、ファイバーの側面に衝突する浮揚流体の流れを利用する必要がなく、例えば、チャネル250の側壁から生じる浮遊流体のジェットが無くても、かかるセンタリングが生じる。ファイバーがスロット250のテーパー付き領域内に完全に位置するように、スロットを通して移動する浮揚流体の流速を調整してファイバーを維持することが好ましい。
図3の実施の形態において、ファイバーが、ファイバー径の1〜2倍のチャネル250の領域に配置されているため、ファイバーは、(これも選択された場合には、ファイバーの支持に利用可能な空気力学的抗力とは対照的に)ファイバーの下方に存在する圧力差によって支持される。流体圧力差によってファイバーをチャネル250内に支持又は浮揚させることにより、空気力学的抗力を用いてファイバーを浮揚させる場合より、はるかに低い流速で済ませることができる。
【0037】
図3に示す実施の形態において、流体流は、ファイバー支持チャネル250のより狭い内側部分を介して、ファイバー支持チャネル250に進入し、ファイバー支持チャネル250のより広い外側領域260を通して退出する、単一の浮揚流体によって与えられることが好ましい。このようにして、ファイバー支持チャネル250によって形成されたスロット内に、ファイバーを完全に配置することができ、ファイバーをスロットの最も狭い部分と最も広い部分との間で浮揚させることができる。テーパー付きファイバー支持チャネル250を採用し、このように領域250を通して浮揚流体を注入することによって、ファイバー支持チャネル250によって形成されたスロットの領域に、ファイバーを保持することができ、スロットは、ファイバー支持チャネル250を通して誘導されるファイバーの径より10μm〜150μm、より好ましくは15μm〜100μm、最も好ましくは約24μm〜70μm広い幅を有している。ファイバーの線引き処理の間、ファイバーは、ファイバーの外面と各々の壁との間の距離が、ファイバー径の0.05〜0.5倍となるように、チャネル内に保持されることも好ましい。
【0038】
一部の好ましい実施の形態において、ファイバー支持チャネル250は、ファイバーが浮揚流体流の源から外側に移動するにつれ、ファイバーの下方の圧力を低減する手段を備えている。かかる圧力を解放するための手段は、前述のように、テーパー付きチャンネル構造の形態によって達成することができる。
【0039】
流体ベアリング装置によって、光ファイバーとベアリングアセンブリとが実際に機械的に接触しない、又は実質的に接触しないように、光ファイバーが、浮揚流体クッション領域に沿って移動することができ、例えば、ファイバーはプレート230又は232のいずれにも接触せずに、ファイバー支持チャネル250内を移動する。加えて、領域の大きさ及び構成により、流体ベアリング装置は、一定の範囲の線引き張力を通して、浮揚流体流を能動的に制御することなく、ファイバーを機械的に接触させずに領域内に維持することができる。
【0040】
光ファイバーが、ファイバー支持チャネル250の底部に向けて移動し、シム237又はファイバー支持チャネル250の側面に接触するのを防止するためには、浮揚流体流が重要であり得る。これは、光ファイバーがまだ被覆されておらず、ファイバーの品質が、流体ベアリング装置又はチャネル250との機械的接触によって損なわれないようにするために特に重要である。更に、光ファイバー214が、ファイバー支持チャネル250の底部のより近くに配置されるほど、光ファイバー214を所望に位置に維持するためには、ファイバー支持チャネル250の圧力をより高くする必要があると考えられている。明らかなように、チャネル側面のテーパーにより、チャネル側面とファイバーとの間隙が小さくなり、この高い圧力が必要になる。
【0041】
ファイバー支持チャネル250内のファイバー位置に影響を与える他の要因には、線引き張力が含まれる。例えば、同じ流体流が与えられた場合、200gの張力で牽引したファイバーは、100gの張力で牽引したファイバーと比較して、ファイバー支持チャネル250内において、より低く浮揚する。従って、使用する特定のファイバー線引き速度及び線引き張力に対し、流体ベアリングの領域を退出する浮揚流体流が、光ファイバーを所望の位置に維持するのに十分であることが重要である。
【0042】
例えば、プレート230と232との最も内側部分の幅が約127μm、及び最も外側の幅が約380μmの幅を有するファイバー支持チャネル250を用いる実施の形態において、浮揚流体の流量は、約0.5L/秒〜5L/秒を超えることができる。かかる構成及び浮揚流体流によって、光ファイバー周囲の局所的な流速が、800km/時以上になり得る。従って、一部の実施の形態において、ファイバー支持チャネル250に用いられるファイバー周囲の最大浮揚流体速度は、100km/時超、200km/時超、400km/時超、及び場合により600km/時超である。一部の実施の形態において、ファイバー支持チャネル250に用いられるファイバー周囲の最大浮揚流体速度は、900km/時超とすることができる。しかし、本明細書に開示の方法は、必ずしもこれ等の速度に限定されず、実際には、線引き条件(例えば、線引き速度、線引き張力等)及び流体ベアリングの構造に応じ、ファイバーが、ファイバー支持チャネル250内の所望の位置に配置されるように、速度が選択できることが好ましい。別の実施の形態において、浮揚流体の流量は、約3L/秒〜約4L/秒であってよい。勿論、所与の線引き張力において、光ファイバーを所望の位置に維持するのに十分な任意の浮揚流体流量を用いることができる。
【0043】
一部の実施の形態において、光ファイバーが線引きされる速度は、10m/s超であり、別の実施の形態において、速度は20m/s超、別の実施の形態において、速度は30m/s超、別の実施の形態において、速度40m/s超、別の実施の形態において、速度は50m/s超、更に別の実施の形態において、速度は60m/s超である。
【0044】
図1に示すシステム108の欠点の1つは、製造に所望される高い線引き速度を使用する場合、ファイバーの冷却速度が高いことである。光ファイバーの製造に通常使用される条件下で、12000℃/秒以上の冷却速度に直面する。これは、仮想温度を十分に下げて、ファイバーの減衰を有意に減少させるためには、ファイバーの構造緩和の誘発及び/又はファイバーの状態を平衡状態により近づける、十分な温度にある時間が短すぎることを意味している。
【0045】
冷却速度を低下させる可能な方策は、処理区域130の温度を上昇させ、処理区域に進入するときのファイバーの温度に、より近づけることが含まれる。処理区域130と炉112との温度差が小さいと、ファイバーの冷却速度が低下する。原理的には、本明細書に記載のように、仮想温度を低下させるのに必要な構造緩和を実現するために、ファイバーが1000℃〜1700℃の範囲に滞留する時間が十分長くなるように、処理区域130が、入口温度(1500℃以上)からより低い温度にファイバーを徐々に冷却することができる温度勾配を有することができる。別法として、ファイバー処理システムが、ファイバーを冷却するために、漸進的に低下する温度で動作する複数の処理区域を含み、好ましい1000℃〜1700℃のプロセス温度ウィンドウにおける、ファイバーの滞留時間を長くすることができる。
【0046】
概念的には実行可能であるが、処理区域130の状態の調整を含む、ファイバーの制御冷却方法を実際に実施することは困難である。ファイバーの冷却を制御して、低い仮想温度を達成するのに必要な構造緩和を最も促進するためには、ファイバーの温度が、本明細書によって特定される好ましい1000℃〜1700℃のプロセス温度ウィンドウにある時間を最大にする必要がある。
図1に示す先行技術のファイバー処理システムが、商用線引き速度で動作すると、ファイバーの温度が1200℃〜1700℃のプロセス温度ウィンドウにある時間が、約0.2秒に制限される。ガラスの大幅な構造緩和を可能にするためには、この時間は短すぎて、システムによって製造されるファイバーの仮想温度は高くなる(約1500℃以上)。1000℃〜1700℃における滞留時間を増大するためには、処理区域130の温度を制御して、冷却速度を低下させる必要がある。前述のように、適切な温度制御には、ファイバーの温度をより緩やかに低下させて、1000℃〜1700℃のプロセス温度ウィンドウにおける、適切なファイバーの滞留時間を確保する必要がある。しかし、温度低下がより緩やかになると、処理区域130の長さが増大する。商用線引き速度において、ファイバーの仮想温度を有意に約1500℃未満に低下させるのに必要な漸進的な制御冷却を確立するためには、必要な処理区域130の長さは、ほとんどの製造施設で利用可能な垂直ヘッドスペース(床から天井まで)を超えてしまうであろう。より大きな垂直ヘッドスペースを得るために、既存設備を改修することは、生産コストを不当に増加させてしまうであろう。既存の垂直ヘッドスペースの限界内において、線引き速度を減少させる方法も、製造スループットが低下して高コストにつながるため好ましくない。
【0047】
ファイバー処理システムに流体ベアリング装置を組み込むと、処理中に、ファイバーを水平又は他の非垂直方向に方向転換させることができるため有益である。システムに流体ベアリング装置を組み込むことによって、施設内の垂直スペースを増大させる必要がなく、ファイバー処理に利用可能な経路長を増大させることができる。
図1に示すシステム108において、流体ベアリング装置116は、無被覆ファイバー114が処理区域130を退出するに従って、無被覆ファイバー114を、垂直方向からより水平に近い方向に転換する。
図1に示す構成において、流体ベアリング装置116は、無被覆ファイバー114を被覆ユニット120に送る。仮想温度の低いファイバーを製造するのに十分な程度まで冷却速度を遅くする試みおける別の構成において、ファイバー処理システムを改修して、処理区域130と平行に、第2の処理区域を設け、ファイバーベアリング装置によって、ファイバーを垂直方向上方に方向転換させ、ファイバーを第2の処理区域に送って更に冷却経路を延長することができる。
【0048】
しかし、
図1のシステム構成において、流体ベアリング装置116は、仮想温度が低いファイバーを実現するという目的に対し逆の効果を招く。遅い速度で制御冷却を可能にする代わりに、
図1に展開された流体ベアリング装置116は、ファイバーの急速冷却を促進する。光ファイバー114が流体ベアリング装置116の上を移送されるとき、各々の流体ベアリング装置116の浮揚流体クッションの領域が、光ファイバー114を冷却するように機能する。ファイバーを支持固定するために流体ベアリング装置に用いた浮揚流体が流動しているため、光ファイバーは室温の静止空気中で冷却される場合よりも速い速度で冷却される。光ファイバーと流体ベアリングの浮揚流体との温度差が大きいほど、浮遊流体ベアリングが光ファイバー114を冷却する能力が大きくなる。
図1の展開において、流体ベアリング116に供給される浮揚流体は、室温の空気又は不活性ガスである。前述のように、ファイバーを支持浮揚して、流体ベアリング装置に対するファイバーの機械的接触を防止するために、チャネル250に供給される浮揚流体の速度は高い。かかる高い浮揚流体流速を使用すると、対流過程によってファイバーの冷却速度が大きく増加する。ファイバーの温度と流体ベアリング装置によって供給される浮揚流体の温度との差が大きいほど、及び浮揚流体の流速が高いほど、ファイバーの冷却速度は速くなる。
【0049】
先行技術のファイバー処理システムにおいて、流体ベアリング装置によって供給される浮揚流体は室温であり、処理区域を退出して流体ベアリング装置のアセンブリに進入するファイバーは、一般に、500℃以上の温度であり、より一般的には1000℃以上の温度である。一般的なファイバー線引き速度及び流体ベアリング装置を通過する一般的な浮揚流体の速度において、ファイバーが流体ベアリング装置上を通過するとき、ファイバーの温度が、1〜2mの長さにわたり、数百から1000℃を超えて低下する可能性がある。流体ベアリング装置を退出するファイバーの一般的な温度は、23℃〜600℃又は50℃〜800℃である。流体ベアリング装置を退出したファイバーを、再加熱ステージに誘導し、流体ベアリング装置からの退出温度より高い温度に加熱することができる。再加熱ステージに進入するファイバーの温度は、23℃〜600℃又は50℃〜800℃とすることができる。先行技術に展開される流体ベアリング装置によって与えられる高速のファイバー冷却速度は、ヘリウム冷却装置の必要性を排除することによって、ファイバー処理システムを単純化できるため、有益であると考えられている。
【0050】
流体ベアリング装置を用いたファイバーの急速冷却は、先行技術では有益であると評価されている一方、本明細書は、ファイバーが冷却される時間スケールが、ファイバーの低い仮想温度を実現して、減衰の少ないファイバーを製造するのに必要な構造緩和の促進に必要な時間より、はるかに短いことを認識している。本明細書は、仮想温度が低いファイバーを製造するように設計された新しい処理システムを提供する。
【0051】
本システムは、処理中に冷却されたファイバーを、1000℃以上の温度に戻すための再加熱ステージを備えている。1つの実施の形態において、ファイバーは母材から線引きされたシリカ又はドープシリカファイバーであって、プロセス温度が1000℃〜1700℃の処理区域を通過し、1000℃未満に冷却され、1000℃より高いプロセス温度のステージで再加熱されたファイバーである。ファイバーを再加熱することによって、ファイバーが1000℃〜1700℃のウィンドウのプロセス温度に曝露される時間が長くなり、その後の冷却によってファイバーの仮想温度を更に低下させることができる。本システム及び方法は、ファイバーを1000℃未満のファイバー温度に冷却し、1000℃より高いプロセス温度のステージにおいて、そのファイバーを再加熱する複数のサイクルを含み、ファーバーが1000℃〜1700℃の温度に曝露される時間を長くし、更なる冷却サイクルを通して仮想温度を更に低下させることができる。本システムは、処理システム内を通過するファイバーの経路の方向転換を行う、流体ベアリング又は他のファイバー折り返し装置を備えることもでき、実現が困難な垂直プロセスヘッドスペースの必要性を最小限に抑制しつつ、ファイバーを1000℃〜1700℃のプロセス温度に曝露する処理区域に、ファイバーを複数回通過させることができる。
【0052】
本開示の特定の実施の形態によれば、ファイバーは、シリカ又はドープシリカファイバーであり、ファイバーが1000℃〜1700℃のプロセス温度に滞留する時間は0.1秒超、0.2秒超、0.3秒超、0.4秒超、0.5秒超、0.6秒超、0.8秒超、1秒超、2秒超、3秒超、4秒超、5秒超、又は6秒超である。
【0053】
本開示の別の実施の形態によれば、ファイバーは、シリカ又はドープシリカファイバーであり、ファイバーが1000℃〜1450℃のプロセス温度に滞留する時間は0.1秒超、0.2秒超、0.3秒超、0.4秒超、0.5秒超、0.6秒超、0.8秒超、1秒超、2秒超、3秒超、4秒超、5秒超、又は6秒超である。
【0054】
本開示の更に別の実施の形態によれば、ファイバーは、シリカ又はドープシリカファイバーであり、ファイバーが1000℃〜1300℃のプロセス温度に滞留する時間は0.1秒超、0.2秒超、0.3秒超、0.4秒超、0.5秒超、0.6秒超、0.8秒超、1秒超、2秒超、3秒超、4秒超、5秒超、又は6秒超である。
【0055】
本開示の更に別の実施の形態によれば、ファイバーは、シリカ又はドープシリカファイバーであり、ファイバーが1000℃〜1700℃のファイバー温度を有する状態に滞留する時間は0.1秒超、0.2秒超、0.3秒超、0.4秒超、0.5秒超、0.6秒超、0.8秒超、1秒超、2秒超、3秒超、4秒超、5秒超、又は6秒超である。
【0056】
本開示の更に別の実施の形態によれば、ファイバーは、シリカ又はドープシリカファイバーであり、ファイバーが1050℃〜1600℃のファイバー温度を有する状態に滞留する時間は0.1秒超、0.2秒超、0.3秒超、0.4秒超、0.5秒超、0.6秒超、0.8秒超、1秒超、2秒超、3秒超、4秒超、5秒超、又は6秒超である。
【0057】
本開示の更に別の実施の形態によれば、ファイバーは、シリカ又はドープシリカファイバーであり、ファイバーが1100℃〜1500℃のファイバー温度を有する状態に滞留する時間は0.1秒超、0.2秒超、0.3秒超、0.4秒超、0.5秒超、0.6秒超、0.8秒超、1秒超、2秒超、3秒超、4秒超、5秒超、又は6秒超である。
【0058】
図4は、線引き炉及び再加熱ステージを備えた、ファイバー処理システムの実施の形態を示す図である。矢印は処理経路に沿ったファイバーの移送方向を示している。システム300は、ファイバー母材310を内包する線引き炉305を備えている。ファイバー母材310は、シリカ又はドープシリカ母材であってよく、単一組成領域及び複数組成領域を含むことができる。複数組成領域は同心であってよい。例えば、ファイバー母材310は、ファイバーのコア組成に対応する中央領域、及びファイバーの1つ以上のクラッド層の組成に対応する1つ以上の外側同心領域を含むことができる。コア及び/又はクラッド領域は純シリカ又はドープシリカを含むことができる。
【0059】
ファイバー315は、ファイバー母材310から線引きされ、再加熱ステージ320の入口323に誘導される。ファイバー315は、再加熱ステージ320を通過して出口327に現れる。1つの実施の形態において、ファイバー315は、約1700℃の温度で線引き炉305を退出する。ファイバー315は、線引き炉305を退出するに従って冷却し、再加熱ステージ320に進む。ファイバー315は、再加熱ステージ320の出口327に現れた後、処理経路を進むにつれて冷却する。
図4には明確には示してないが、ファイバーの処理経路は、出口327の下流に、更に別の処理ユニット(例えば、追加の再加熱ステージ、徐冷装置、ファイバー折り返し装置、被覆ユニット、試験ユニット、又はスプールユニット)を備えることができる。
【0060】
システム300は、線引き炉305から再加熱ステージ320の出口327を越えて延びる処理経路を画成する。矢印は処理経路に沿ったファイバーの搬送方向を規定する。ファイバーは、処理されるにつれ、線引き炉305から離れる。線引き炉305に近い処理経路の部分は、本明細書において、線引き炉305から更に離れた処理経路の部分の上流にあると言うことができ、線引き炉からの距離は、本明細書では、ファイバーに沿って測定した距離を意味すると判断される。例えば、線引き炉と再加熱ステージ320の入口323との間に配置されたファイバー315の部分は、再加熱ステージ320の出口327よりも線引き炉305から離れて配置されたファイバー315の部分の上流にある。ファイバー315が、処理経路に沿って、線引き炉305及び再加熱ステージ320の両方を通過することから、本明細書では、線引き炉305と再加熱ステージ320とは、処理経路に沿って、動作可能に結合されていると称することができる。
【0061】
図4の実施の形態において、線引き炉305と再加熱ステージ320の入口との間に間隙が示されている。別の実施の形態では、間隙は存在せず、再加熱ステージ320は、線引き炉305に直接接続されている。
【0062】
再加熱ステージ320を備えることによって、その後の冷却時に、ファイバーの仮想温度を低下させるのに有効なプロセス温度に、ファイバー315を曝露する時間が増加する。1つの実施の形態において、出口327におけるファイバー315の温度は、入口323におけるファイバー315の温度より高い。別の実施の形態において、ファイバー315は、シリカ又はドープシリカファイバーであり、入口323におけるファイバー315の温度は1600℃未満であり、出口327におけるファイバー315の温度は900℃より高い。更に別の実施の形態において、ファイバー315は、シリカ又はドープシリカファイバーであり、入口323におけるファイバー315の温度は1500℃未満であり、出口327におけるファイバー315の温度は1000℃より高い。
【0063】
1つの実施の形態において、ファイバー315は、シリカ又はドープシリカファイバーであり、入口323におけるファイバー315の温度は1700℃未満であり、再加熱ステージ320によって、ファイバー315が1700℃より高い温度に加熱される。第2の実施の形態において、ファイバー315は、シリカ又はドープシリカファイバーであり、入口323におけるファイバー315の温度は1500℃未満であり、再加熱ステージ320によって、ファイバー315が1500℃より高い温度に加熱される。第3の実施の形態において、ファイバー315は、シリカ又はドープシリカファイバーであり、入口323におけるファイバー315の温度は1400℃未満であり、再加熱ステージ320によって、ファイバー315が1400℃より高い温度に加熱される。第4の実施の形態において、ファイバー315は、シリカ又はドープシリカファイバーであり、入口323におけるファイバー315の温度は1300℃未満であり、再加熱ステージ320によって、ファイバー315が1300℃より高い温度に加熱される。第5の実施の形態において、ファイバー315は、シリカ又はドープシリカファイバーであり、入口323におけるファイバー315の温度は1100℃未満であり、再加熱ステージ320によって、ファイバー315が1100℃より高い温度に加熱される。第6の実施の形態において、ファイバー315は、シリカ又はドープシリカファイバーであり、入口323におけるファイバー315の温度は1000℃未満であり、再加熱ステージ320によって、ファイバー315が1000℃より高い温度に加熱される。再加熱ステージ320によって生成されるピークファイバー温度は、再加熱ステージ320の内部の点若しくは内部、又は出口327で生じることができる。
【0064】
再加熱ステージ320によって与えられるファイバー温度の上昇は、少なくとも50℃、少なくとも100℃、少なくとも200℃、少なくとも300℃、少なくとも400℃、又は少なくとも500℃とすることができる。
【0065】
再加熱ステージ320は、対流、放射、又は電磁機構を介して、ファイバー315に熱を与える。再加熱ステージ320は、炉であってよく、加熱要素を介して動作するか、又は高温ガスをファイバー315上に流すものであってよい。あるいは、再加熱ステージ320は、ファイバー315を加熱するためのレーザー又は他の光源を含むことができる。レーザー又は他の光源は、ファイバー315が吸収する波長で動作することができ、吸収を通してファイバー315にエネルギーが伝達される。
【0066】
図4に示す処理経路に沿ったファイバー315の搬送速度は、少なくとも2m/秒、少なくとも5m/秒、少なくとも10m/秒、少なくとも20m/秒、少なくとも30m/秒、少なくとも35m/秒、少なくとも40m/秒、少なくとも45m/秒、又は少なくとも50m/秒であってよい。
【0067】
図5は、再加熱ステージ及び徐冷装置を備えた、ファイバー処理システムを示す図である。本明細書で定義するように、徐冷装置は、非加熱空気中におけるファイバーの冷却速度より遅い速度で光ファイバーを冷却する。再加熱ステージと徐冷装置は互いに動作可能に結合され、各々が線引き炉に動作可能に結合されている。1つの実施の形態において、
図5に示すファイバー処理システムは、
図4に示すシステムを改修して、徐冷装置を設けたものである。ファイバー処理システム340は、入口333及び出口337を有する徐冷装置330を備えている。
図5に示す実施の形態において、ファイバー315は、加熱ステージ320の出口327を離れ、徐冷装置330の入口333から進入し、徐冷装置330の出口337から退出する。出口337におけるファイバー315の温度は入口333におけるファイバー315の温度より低い。徐冷装置330は、ファイバー315の制御冷却を行って、非加熱空気中の自然冷却速度より遅い冷却速度を可能にする。
【0068】
1つの実施の形態において、徐冷装置330は制御された温度を有する1つ以上の区域を含んでいる。例えば、徐冷装置330は、1つ以上の温度制御区域を有する炉を備えることができる。制御された温度は、非加熱空気中での冷却と比較して、ファイバー315をより緩やかに冷却することができ、所望のプロセス温度又は所望のプロセス温度ウィンドウにおける、ファイバーの滞留時間が増加するように構成することができ、冷却中にファイバー315の仮想温度を低下させるという目標の達成を容易にすることができる。別の実施の形態において、徐冷装置330は、準大気圧条件下で動作する。ファイバーを囲むガス環境の圧力を低下させて、ファイバーからガス雰囲気への熱伝達率を低下させることによって、大気圧における冷却と比較して、ファイバー315をより緩やかに冷却することができ、冷却中にファイバー315の仮想温度を低下させるという目標の達成を容易にすることができる。
【0069】
図5に示す処理経路に沿った、ファイバー315の搬送速度は、少なくとも2m/秒、少なくとも5m/秒、少なくとも10m/秒、少なくとも20m/秒、少なくとも30m/秒、少なくとも35m/秒、少なくとも40m/秒、少なくとも45m/秒、又は少なくとも50m/秒であってよい。
【0070】
図5には明確には示してないが、ファイバーの処理経路は、出口337の下流に、更に別の処理ユニット(例えば、追加の再加熱ステージ、徐冷装置、ファイバー折り返し装置、被覆ユニット、試験ユニット、又はスプールユニット)を備えることができる。
【0071】
図5の実施の形態において、再加熱ステージ320の出口327と徐冷装置330の入口333との間に間隙が示されている。別の実施の形態では、間隙は存在せず、徐冷装置330は、再加熱ステージ320に直接接続されている。
【0072】
1つの実施の形態において、徐冷装置330は固定温度に維持される。固定温度は、例えば、徐冷装置330内のファイバー315を囲む環境内における、加熱要素及び/又は加熱ガス流によって確立することができる。固定温度は、室温と入口333におけるファイバー315の温度との間の温度である。固定温度は、ファイバー315の構造緩和及び/又は冷却中にファイバー315を平衡状態に近づけることができる温度であることが好ましい。固定温度は、少なくとも700℃、少なくとも800℃、少なくとも900℃、少なくとも1000℃、少なくとも1100℃、少なくとも1200℃、少なくとも1300℃、少なくとも1400℃、700℃〜1500℃、900℃〜1400℃、又は1000℃〜1300℃の温度であってよい。
【0073】
別の実施の形態において、徐冷装置330は、各々が異なる温度を維持する2つ以上の区域を含んでいる。1つの実施の形態において、ファイバー315が、入口333の付近で最も高く、徐冷装置330を出口337の方向に通過するに従って漸減する温度に曝露されるように、区域の温度が徐冷装置330の入口333から出口の方向に向けて低下し、徐冷装置330においてファイバー315が曝露される最高温度は、入口333におけるファイバー315の温度より低い温度である。徐冷装置330において、ファイバー315が曝露される最低温度は、室温より高くてよい。特定の実施の形態において、ファイバー315は、シリカ又はドープシリカファイバーであり、徐冷装置330においてファイバー315が曝露される温度範囲は、1000℃〜1700℃、1000℃〜1500℃、又は1000℃〜1300℃に及ぶことができる。徐冷装置330の入口333と出口337との間の温度勾配は連続的であっても階段状であってもよい。
図5に示す実施の形態では、再加熱ステージ320よりも線引き炉305から遠いファイバー処理経路に沿った位置に、徐冷装置330が配置されていることを示しているが、別法として、再加熱ステージ320より線引き炉305の近くに配置することができることを理解されたい。
【0074】
徐冷装置330におけるファイバー315の冷却は、徐冷装置330の内部圧力を制御することによっても実現することができる。徐冷装置330の内部は、静止又は流動ガスを含むことができ、ガスの圧力及び/又は流速を制御することによって、冷却速度を変えることができる。ガス圧力が高いほど、又は流速が速いほど、冷却速度は速くなる一方、ガス圧力が低いほど、又は流速が遅いほど、冷却速度は遅くなる。徐冷装置330に使用される代表的なガスには、He、Ar、N
2、空気、CO
2、Kr、及びXeが含まれる。ファイバー315の仮想温度の低下を促進するために、より遅い冷却速度が好ましい。1つの実施の形態において、徐冷装置330内部のファイバー315の環境におけるガス圧力は室内圧力より低い。ファイバー315を囲むガス圧力は、1.0気圧未満、0.9気圧未満、0.8気圧未満、0.7気圧未満、0.6気圧未満、0.5気圧未満、0.4気圧未満、又は0.3気圧未満であってよい。
【0075】
図6は、再加熱ステージ及び線引き炉に動作可能に結合された、2つの徐冷装置を備えた、ファイバー処理システムを示す図である。1つの実施の形態において、
図6に示すファイバー処理システムは、
図5に示すシステムを改修して、第2の徐冷装置を設けたものである。ファイバー処理システム370は、入口333及び出口337を有する徐冷装置330に加え、入口363及び出口367を有する徐冷装置360を備えている。ファイバー315は線引き炉305を離れ、徐冷装置360の入口363から進入し、徐冷装置360の出口367から退出する。ファイバー315は処理経路に沿って進み、加熱ステージ320の入口323から進入し、加熱ステージ320の出口327から退出する。次いで、ファイバー315は徐冷装置330の入口333から進入し、徐冷装置330の出口337から退出する。
【0076】
図6に示す処理経路に沿ったファイバー315の搬送速度は、少なくとも2m/秒、少なくとも5m/秒、少なくとも10m/秒、少なくとも20m/秒、少なくとも30m/秒、少なくとも35m/秒、少なくとも40m/秒、少なくとも45m/秒、又は少なくとも50m/秒であってよい。
【0077】
図6には明確には示してないが、ファイバーの処理経路は、出口337の下流に、更に別の処理ユニット(例えば、追加の再加熱ステージ、徐冷装置、ファイバー折り返し装置、被覆ユニット、試験ユニット、又はスプールユニット)を備えることができる。
【0078】
徐冷装置360は、単一の固定温度区域、又は連続的若しくは階段状の温度勾配を与える複数の制御温度区域を含むことができる。出口367におけるファイバー315の温度は、入口363におけるファイバー315の温度より低い。徐冷装置330につて前述したように、徐冷装置360は、ファイバー315の冷却速度を制御して、非加熱空気中におけるファイバー315の冷却速度より遅い冷却速度を可能にする。第2の徐冷装置を備えることによって、処理中に、ファイバー315が曝露される温度環境をより細かく制御することができる。ファイバー315のガラス構造の緩和、又はファイバーの状態を平衡状態に近づけるのに役立つ温度に、ファイバー315が曝露される時間が長くなるように、あるいは冷却中におけるファイバー315の仮想温度の低下が促進されるように、徐冷装置の温度条件を設計することができる。
【0079】
徐冷装置360においてファイバー315が曝露される最高温度は、入口363におけるファイバー315の温度より低い温度である。徐冷装置360においてファイバー315が曝露される最低温度は室温より高くてよい。徐冷装置360においてファイバー315が曝露される温度範囲は、800℃〜1600℃、900℃〜1500℃、1000℃〜1500℃、又は1000℃〜1300℃に及ぶことができる。
【0080】
本明細書によるファイバー処理システムは、処理経路に沿ったファイバーの折り返しを含むことができる。ファイバーの折り返しは、前述の流体ベアリング装置等のファイバー折り返し装置によって達成することができる。ファイバーの折り返しによって、非線形の処理経路が得られ、垂直方向又は折り畳み垂直方向ではない方向に処理経路を延長することができ、製造施設内における追加の垂直ヘッドスペースの必要性が緩和される。本開示の範囲におけるファイバーの折り返しは、水平、非水平、垂直、非垂直、及び/又は製造施設の床に対する任意の角度の方向を含む、任意の搬送方向を包含している。ファイバー折り返し装置は、ファイバーを第1の搬送方向から第2の搬送方向に方向転換させることができ、第1の搬送方向と第2の搬送方向との角度は任意である。
【0081】
処理システムに1つ以上のファイバー折り返し装置を含め、複数のセグメントを有する処理経路を形成することができる。処理経路セグメントは同一線上にない。1つの実施の形態において、処理経路は、平行であるが同一線上にない2つ以上の処理経路セグメントを有している。処理経路セグメントの1つ以上に、再加熱ステージ及び/又は徐冷装置を備えることができる。1つ以上のファイバーの折り返しを含むファイバー処理経路は、本明細書において、折り畳み処理経路と称することができる。再加熱ステージを折り畳み処理経路に含めると、ファイバー折り返し装置によって、ファイバーが方向転換されるとき、急速に冷却するので有益である。シリカファイバーが、ファイバー折り返し装置から退出する際の温度は、一般に、50℃〜800℃である。再加熱は、冷却を反転して、本明細書に記載の仮想温度の制御に十分な程度にファイバーの温度を上昇させる。
【0082】
図7は、ファイバー折り返し装置を有する、ファイバー処理システムを示す図である。システム400は、ファイバー415を線引きするための母材410を備えた、線引き炉405を有している。ファイバー415は、ファイバー折り返し装置435まで、処理経路に沿って矢印の方向に進む。ファイバー折り返し装置435は、ファイバー415を1つの処理方向から別の処理方向に方向転換させる。ファイバー折り返し装置435によって方向転換されるとき、ファイバー415が冷却される。方向転換に続き、ファイバー415は、再加熱ステージ430に進入し、徐冷装置445を経て、ファイバー折り返し装置425に進み、そこで再度方向転換される。
図7の実施の形態において、徐冷装置445が再加熱ステージ430に直接接続されている。しかし、前述のように、別の実施の形態では、徐冷装置445と再加熱ステージ430との間に間隙が存在することができる。
【0083】
線引き炉405、ファイバー折り返し装置435、再加熱ステージ430、徐冷装置445、及びファイバー折り返し装置425は、
図7に示す処理経路に沿って、動作可能に結合されている。線引き炉405は、処理経路に沿って、ファイバー折り返し装置435、再加熱ステージ430、徐冷装置445、及びファイバー折り返し装置425の上流に位置している。ファイバー折り返し装置435は、処理経路に沿って、線引き炉405の下流、かつ再加熱ステージ430、徐冷装置445、及びファイバー折り返し装置425の上流に位置している。徐冷装置445は、処理経路に沿って、ファイバー折り返し装置425の上流、かつ再加熱ステージ430、ファイバー折り返し装置435、及び線引き炉405の下流に位置している。ファイバー折り返し装置425は、処理経路に沿って、徐冷装置445、再加熱ステージ430、ファイバー折り返し装置435、及び線引き炉405の下流に位置している。
【0084】
図7に示す処理経路に沿ったファイバー415の搬送速度は、少なくとも2m/秒、少なくとも5m/秒、少なくとも10m/秒、少なくとも20m/秒、少なくとも30m/秒、少なくとも35m/秒、少なくとも40m/秒、少なくとも45m/秒、又は少なくとも50m/秒であってよい。
【0085】
図7には明確には示してないが、ファイバーの処理経路は、ファイバー折り返し装置425の下流に、更に別の処理ユニット(例えば、追加の再加熱ステージ、徐冷装置、ファイバー折り返し装置、被覆ユニット、試験ユニット、又はスプールユニット)を備えることができる。
【0086】
線引き炉405とファイバー折り返し装置435との間の処理経路部分を、処理経路セグメントと称することができる。ファイバー折り返し装置435とファイバー折り返し装置425との間の処理経路部分は、別の処理経路セグメントである。ファイバー折り返し装置425の後に示されている、先端が切り取られた処理経路部分は、第3の処理経路セグメントの最初の部分である。線引き炉405とファイバー折り返し装置435との間の処理経路セグメントは、ファイバー折り返し装置435とファイバー折り返し装置425との間の処理経路セグメントの上流に位置している。線引き炉405とファイバー折り返し装置435との間の処理経路セグメントは、ファイバー折り返し装置435とファイバー折り返し装置425との間の処理経路セグメントと平行であるが、同一線上にはない。
図7に示す処理経路は折り畳み処理経路の例である。
【0087】
図8は、複数の処理経路セグメントを有する、ファイバー処理システムを示す図である。システム460は、光ファイバー466を処理経路に供給するファイバー母材464を備えた線引き炉462を有している。処理経路は、線引き炉462とファイバー折り返し装置472との間に、第1の処理経路セグメント、ファイバー折り返し装置472とファイバー折り返し装置474との間に、第2の処理経路セグメント、ファイバー折り返し装置474とファイバー折り返し装置476との間に、第3の処理経路セグメント、ファイバー折り返し装置476とファイバー折り返し装置478との間に、第4の処理経路セグメント、及びファイバー折り返し装置478の先に更に処理経路セグメントを有している。処理経路において、ファイバー466は、母材464から形成され、線引き炉462を退出し、ファイバー折り返し装置472によって方向転換され、再加熱ステージ482及び徐冷装置492を通過し、ファイバー折り返し装置474によって方向転換され、再加熱ステージ484及び徐冷装置494を通過し、ファイバー折り返し装置476によって方向転換され、再加熱ステージ486及び徐冷装置496を通過し、ファイバー折り返し装置478によって方向転換され、更に処理経路セグメントに送られ、及び/又はスプールに巻き取られる。ファイバー466の搬送経路によって画成される処理経路に沿って、線引き炉、ファイバー折り返し装置、及び徐冷装置が動作可能に結合されている。
【0088】
線引き炉462は、処理経路に沿って、ファイバー折り返し装置472、再加熱ステージ482、徐冷装置492、ファイバー折り返し装置474、再加熱ステージ484、徐冷装置494、ファイバー折り返し装置476、再加熱ステージ486、徐冷装置496、及びファイバー折り返し装置478の上流に位置している。
図8に示す処理経路セグメントは、互いに平行であるが、同一線上にはない。
【0089】
図8に示す処理経路に沿ったファイバー466の搬送速度は、少なくとも2m/秒、少なくとも5m/秒、少なくとも10m/秒、少なくとも20m/秒、少なくとも30m/秒、少なくとも35m/秒、少なくとも40m/秒、少なくとも45m/秒、又は少なくとも50m/秒であってよい。
【0090】
図8には明確には示してないが、ファイバーの処理経路は、ファイバー折り返し装置478の下流に、更に別の処理ユニット(例えば、追加の再加熱ステージ、徐冷装置、ファイバー折り返し装置、被覆ユニット、試験ユニット、又はスプールユニット)を備えることができる。
【0091】
図8に示す実施の形態では、各々の処理経路セグメントにおいて、再加熱ステージが、徐冷装置に直接接続され、再加熱ステージが、徐冷装置より線引き炉の近くに配置されている。しかし、前述のように、再加熱ステージと徐冷装置とを分離(離間)することができ、1つ以上の処理経路セグメントに沿って、再加熱ステージと徐冷装置との相対位置を逆にすることができる。必要に応じ、1つ以上の処理経路セグメントに、再加熱ステージ及び/又は徐冷装置を追加することもできる。
【0092】
別の実施の形態において、折り畳み処理経路の処理経路セグメントのいずれにも、再加熱ステージ及び/又は徐冷装置を配置することができる。処理経路セグメントは、1つ以上の再加熱ステージ、1つ以上の徐冷装置、及び/又は1つ以上の再加熱ステージと1つ以上の徐冷装置との組み合わせを含むことができる。処理経路は、再加熱ステージ及び徐冷装置を備えていない処理経路セグメントを含むことができるが、少なくとも1つの処理経路セグメントが、再加熱ステージを備えている必要がある。加熱ステージと徐冷装置との組み合わせを含む処理経路セグメントに関し、線引き炉に対する加熱ステージ及び徐冷装置のあらゆる配置が本開示の範囲に含まれる。例えば、加熱ステージが、徐冷装置より線引き炉の近くにあっても、その逆であってもよい。処理経路セグメント内の複数の加熱ステージが連続的に配置されていても、1つ以上の徐冷装置が介在していてもよい。処理経路セグメント内の複数の徐冷装置が連続的に配置されていても、1つ以上の再加熱ステージが介在していてもよい。処理経路セグメントに沿った、徐冷装置及び/又は再加熱ステージのあらゆる順序は本開示の範囲に包含される。
【0093】
別の実施の形態において、再加熱ステージは、1つ以上のファイバー折り返し装置を含むことができる。例えば、流体を用いてファイバーを浮揚するファイバー折り返し装置において、ファイバーが、方向転換中に、ファイバー折り返し装置に係合するとき、浮揚流体の温度を制御して、ファイバーを加熱することができる。流体ベアリングファイバー折り返し装置は、
図2及び3に示す構造を有することができ、装置に係合するファイバーの温度より高い温度に加熱された浮揚流体を供給することができる。
【0094】
図9は、追加の徐冷装置465を含む、
図8に示すシステム460の変形例461を示す図である。システム461は、システム460と同様に機能するが、徐冷装置465を通過する追加のファイバー経路が得られるという利点を有している。徐冷装置465は、ガラス転移領域のプロセス温度における、ファイバーの滞留時間を更に延長する。
図9の実施形態において、徐冷装置465は、線引き炉462に直接接続されている。別の実施の形態において、徐冷装置は線引き炉462とファイバー折り返し装置472との間に留まり、かつ線引き炉462から離間することができる。
【0095】
図10は、動作可能に結合された複数の流体ベアリングファイバー折り返し装置を含む、再加熱ステージを示す図である。再加熱ステージ450は、チャンバー452を有し、ファイバー455を受け取り、ファイバーは流体ベアリングファイバー折り返し装置454、456、及び458を通して誘導される。1つ以上の流体ベアリングファイバー折り返し装置454、456、及び458に、ファイバー455の係合点における、ファイバー455の温度より高い温度を有する加熱浮揚流体が供給される。流体ベアリングファイバー折り返し装置454、456、及び458に供給される浮揚流体は、同じであっても異なっていてもよい。1つの実施の形態において、浮揚流体の温度は、流体ベアリングファイバー折り返し装置間で、ファイバー455の移送方向に向けて増加する。
【0096】
1つの実施の形態において、チャンバー452は、流体ベアリングファイバー折り返し装置454、456、及び458と関わりなく加熱され、ファイバー455の温度を更に制御するための加熱補助機構が提供される。例えば、加熱要素をチャンバー452に備え、及び/又は加熱ガスをチャンバー452に通すことができる。この実施の形態において、加熱浮揚ガスは、チャンバー452に組み込まれた流体ベアリングファイバー折り返し装置に、全く供給しないか又は1つ以上に供給することができる。加熱チャンバーに組み込まれる場合、ファイバー折り返し装置は、当技術分野において、高温環境で機能することが知られている鋼、他の金属、又はセラミックから構成することができる。
【0097】
別の実施の形態において、再加熱ステージのチャンバーが、ある温度に加熱され、1つ以上のファイバー折り返し装置が、再加熱ステージを通して処理経路が延長される構成でチャンバー内に配置される。この実施の形態において、再加熱ステージのチャンバーは、ファイバーの温度より高い温度に加熱され、ファイバーがチャンバーを通過する際に加熱される。再加熱ステージの内部温度は、空間的に均一であっても空間的に変化してもよい。1つの実施の形態において、再加熱ステージの内部温度は、ファイバーの搬送方向に単調に増加し、内部のピーク温度は、ファイバーが再加熱ステージに進入する際の温度より高い。別の実施の形態において、再加熱ステージの内部温度は、ファイバーの搬送方向に単調に減少し、内部のピーク温度は、ファイバーが再加熱ステージに進入する際の温度より高い。ファイバー折り返し装置を備えることによって、ファイバーが再加熱装置のチャンバーの加熱された内部に曝露される時間が長くなる。加熱された内部にファイバーが曝露される時間を制御することによって、ファイバーの温度を更に制御することができる。この実施の形態において、1つ以上のファイバー折り返し装置は、ファイバーが再加熱ステージの加熱された内部を通過する際に生じる加熱とは無関係に、ファイバーを加熱するように構成されていてもいなくてもよい。
【0098】
図11は、動作可能に結合された複数のファイバー折り返し装置を有する、再加熱ステージを示す図である。1つの実施の形態において、ファイバー折り返し装置は、
図2及び3に示すような種類の流体ベアリングファイバー折り返し装置である。再加熱ステージ508は、境界553及び557によって画成されるチャンバーを有し、ファイバー538を受け取り、ファイバーは一連の流体ベアリング装置540〜550を通して搬送される。必要に応じ、1つ以上の流体ベアリング装置に供給される浮揚流体を加熱して、ファイバーの温度を更に制御することができる。任意の流体ベアリング装置に供給される浮揚流体の温度は、再加熱ステージ508の内部温度と同じであっても異なっていてもよい。特定の実施の形態において、少なくとも1つの流体ベアリング装置に供給される浮揚流体の温度は、再加熱ステージ508の内部温度より高い。別の実施の形態において、少なくとも1つの流体ベアリングファイバー折り返し装置に供給される浮揚流体の温度は、再加熱ステージ508の内部温度より低い。
【0099】
更に別の実施の形態において、再加熱ステージはチャンバーを有さず、1つ以上のファイバー折り返し装置を有し、1つ以上のファイバー折り返し装置の少なくとも1つが、ファイバーを加熱するように構成されている。例えば、再加熱ステージは、1つ以上の流体ベアリングファイバー折り返し装置を有することができ、ファイバーの温度より高い温度を有する浮揚流体が、流体ベアリングファイバー折り返し装置の少なくとも1つに供給される。
【0100】
別の実施の形態において、光ファイバーを処理する方法が開示される。本方法は、第1の経路に沿ってファイバーを用意するステップと、第1の経路に沿った第1の処理領域においてファイバーを冷却するステップであって、ファイバーが、第1の平均温度で第1の処理領域に進入し、第2の平均温度であって、900℃〜1400℃の温度で第1の処理領域から退出し、第1の平均温度から第2の平均温度への冷却が、第1の冷却速度で生じる、ステップと、第1の経路に沿った第2の処理領域において、ファイバーを冷却するステップであって、ファイバーが、第3の平均温度で第2の処理領域に進入し、第4の平均温度であって、800℃〜1200℃の温度で第2の処理領域から退出し、第3の平均温度から第4の平均温度への冷却が、第2の冷却速度で生じる、ステップと、ファイバーを第1の経路から、第2の経路であって、第1の経路と同一線上にない経路に方向転換させるステップと、第2の経路に沿った第3の処理領域において、ファイバーを加熱するステップであって、ファイバーが第5の平均温度であって、23℃〜500℃の温度で第3の処理領域に進入し、第6の平均温度であって、600℃〜1500℃の温度で第3の処理領域から退出する、ステップと、第2の経路に沿った第4の処理領域において、ファイバーを冷却するステップであって、ファイバーが第7の平均温度であって、600℃〜1500℃の温度で第4の処理領域に進入し、第8の平均温度であって、1000℃〜1500℃の温度で第4の処理領域から退出する、ステップと、を備えている。
【実施例】
【0101】
図112は、線引き炉、及び介在する再加熱ステージを設けずに、線引き炉に動作可能に結合された徐冷装置を備えたシステム構成において、徐冷装置が、シリカファイバーに与える効果を示す図である。線引き炉内の母材からファイバーが線引きされ、徐冷装置に直接送られる。
図12は、ファイバーに沿った軸方向位置を関数とする、ファイバーの温度を示し、軸方向位置は、処理経路に沿って、線引き炉から離れる方向に増大する。曲線603は、徐冷装置がない場合のファイバーの温度プロファイルを示す基準トレースである。606として示されている一連の曲線は、線引き炉の下流に位置する徐冷装置によって制御された、ファイバーの温度を示すトレースである。徐冷装置は1200℃の固定温度に維持される。それぞれ異なるトレースは、徐冷装置の入口と線引き炉との異なる距離に対応している。距離は0mm〜1030mmである。トレース606は、処理システムに徐冷装置を備えることによって、ファイバーが1000℃より高いプロセス温度に曝露される、ファイバーに沿った長さが長くなることを示している。徐冷装置を設けない場合、トレース603は、ファイバーの長さに沿った短い距離で、ファイバーの温度が1000℃未満に低下することを示している。徐冷装置を設けることにより、ファイバーが1000℃より高い温度に留まる長さが大幅に長くなる。ファイバーは、処理中、所定の速度で搬送されるため、ファイバーに沿った長さは、ファイバーが1000℃より高い温度に留まるのに十分なプロセス温度にファイバーが曝露される時間と相関する。徐冷装置を備えることによって、冷却中に、ファイバーが1000℃より高い温度に留まる時間が大幅に延びる。
【0102】
図13は、42m/s及び50m/sの線引き速度において、徐冷装置がシリカファイバーの仮想温度に与える効果を示す図である。
図13に用いたシステム構成は、介在する装置を設けずに、線引き炉に動作可能に結合された徐冷装置を備えている。42m/s又は50m/sの線引き速度で、線引き炉内の母材からファイバーが線引きされ、徐冷装置に直接搬送され装置内に通される。徐冷装置は1100℃の均一な温度に保持される。徐冷装置(「SCD」)の入口は、線引き炉の出口(底板)から、処理経路に沿って121cm下流に配置される。線引き炉の底板に対する、徐冷装置の入口及び出口の位置が
図13に示してある。トレース612及び614は、線引き速度がそれぞれ42m/s及び50m/sにおける、線引き炉の底板からの距離に対する、ファイバーの温度変化を示している。ファイバーが徐冷装置を通過するにつれ、ファイバーの温度は低下するが、冷却速度は空気中の冷却速度よりはるかに遅い。ファイバーの冷却速度は、ファイバーが徐冷装置から退出すると大幅に増大し、ファイバーの温度は、処理経路に沿って対応する短い距離にわたって低下する。トレース616及び618は、線引き速度が、それぞれ42m/s及び50m/sにおける、線引き炉の底板からの距離に対する、ファイバーの仮想温度の変化を示している。空気中で直接冷却されたシリカファイバーの仮想温度は約1550℃である。
図13に示す結果は、徐冷装置を通してファイバーを搬送すると、ファイバーの仮想温度が約1500℃に低下することを示している。
【0103】
図14はモデル化した仮想温度(T
f)が、シリカファイバーのレイリー散乱損失に与える影響を示す図である。レイリー散乱は、示された波長範囲にわたる減衰の主要な要因である。プロットは、900℃〜1550℃の仮想温度を有する、シリカファイバーの波長を関数とする、レイリー散乱損失を示している。一番上のトレースは、徐冷装置を設けずに、標準の空冷線引き処理によって形成されたファイバーのレイリー散乱損失を示している。標準の空冷線引き処理によって形成されたファイバーの仮想温度は約1550℃である。残りのトレースは、仮想温度の降順に並べられ、仮想温度は凡例に示すように低下する。一番下のトレースは、仮想温度が900℃のファイバーに対応している。これ等のトレースは、ファイバーの仮想温度が低下するにつれて、レイリー散乱損失が低下することを立証している。900℃の仮想温度を有するファイバーの減衰が最も小さく、1550℃の仮想温度を有するファイバーの減衰が最も大きいことが確認された。仮想温度が900℃〜1550℃のファイバーについて、中程度の減衰が確認された。ファイバーの仮想温度が低下するにつれて、示された波長範囲を通して、減衰が連続的に減少することが確認された。
【0104】
前述のように、冷却中に、ファイバーの温度がガラス構造の緩和に役立つ温度を上回る時間を長くすることによって、ファイバーの仮想温度を低下させることができる。かかる温度は、ファイバーのガラス転移領域の温度(例えば、ガラス転移温度から略100℃低い温度から、ガラス転移温度を上回り、かつファイバーの溶融温度より低い範囲の温度)を含む。再加熱ステージを組み込んだファイバー処理システム構成によって、ファイバーを複数の徐冷装置に通すことができるため、冷却中に、仮想温度を低下させるのに十分な高いプロセス温度にファイバーが曝露される時間を長くすることができる。ファイバーを徐冷装置に通す度に、ファイバーの仮想温度を低下させることができ、仮想温度の全体的な低下は、処理経路に組み込まれる徐冷装置の数によって制御することができる。前述のように、ファイバーが徐冷装置を退出すると、ファイバーの温度は急速に低下する。処理経路の徐冷装置間に再加熱ステージを備えることによって、仮想温度を低下させるのに必要な温度より高い温度にファイバーの温度を上昇させて、徐冷装置に送ることができ、その温度を維持ことができる時間がそれに応じて長くなる。
【0105】
本明細書に従って形成されるシリカファイバーの仮想温度は、1450℃未満、1400℃未満、1350℃未満、1300℃未満、1250℃未満、1200℃未満、又は1100℃未満とすることができる。
【0106】
本明細書に従って形成されるシリカファイバーの1550nmにおける減衰は、0.18dB/km未満、0.17dB/km未満、0.16dB/km未満、0.15dB/km未満、0.14dB/km未満、0.13dB/km未満、又は0.12dB/km未満とすることができる。
【0107】
1つの実施の形態において、ファイバーの仮想温度が1450℃未満であり、1550nmにおける減衰が0.18dB/kmより少ない。1つの実施の形態において、ファイバーの仮想温度が1400℃未満であり、1550nmにおける減衰が0.17dB/kmより少ない。1つの実施の形態において、ファイバーの仮想温度が1350℃未満であり、1550nmにおける減衰が0.16dB/kmより少ない。1つの実施の形態において、ファイバーの仮想温度が1300℃未満であり、1550nmにおける減衰が0.15dB/kmより少ない。1つの実施の形態において、ファイバーの仮想温度が1250℃未満であり、1550nmにおける減衰が0.14dB/kmより少ない。1つの実施の形態において、ファイバーの仮想温度が1250℃未満であり、1550nmにおける減衰が0.13dB/kmより少ない。1つの実施の形態において、ファイバーの仮想温度が1250℃未満であり、1550nmにおける減衰が0.12dB/kmより少ない。1つの実施の形態において、ファイバーの仮想温度が1250℃未満であり、1550nmにおける減衰が0.12dB/kmより少ない。1つの実施の形態において、ファイバーの仮想温度が1250℃未満であり、1550nmにおける減衰が0.10dB/kmより少ない。
【0108】
図15に示す例示的なシステムは、単一の徐冷装置を有するシステムに対し、第2の徐冷装置を備えたファイバー処理システムの利点を示す。
図15はファイバー処理システム700を示す図であって、下流方向に向けて、線引き炉705、母材710、徐冷装置715、ファイバー折り返し装置735、再加熱ステージ730、及び徐冷装置745を備えた処理経路を示している。徐冷装置715及び745は、
図13に関連して前述した種類の装置である。徐冷装置715を、1100℃の均一な温度に維持した。徐冷装置715を退出すると、ファイバーは、ファイバー折り返し装置735搬送され、再加熱ステージ730に送られる。ファイバーは再加熱ステージ730の徐冷装置745に維持されている均一な温度に加熱され、次いで徐冷装置745に搬送される。徐冷装置745について様々な温度が検討され、選択した均一の温度がファイバーの仮想温度及び減衰に与える効果につて判定を行った。
【0109】
表1は、シリカファイバーに関し、
図15に示すシステムに対してモデル化した関連動作パラメータ及び性能パラメータをまとめたものである。「Ex.」という表記は、例示的な試みを意味する。「SCD」は徐冷装置を意味し、T
fは仮想温度を意味する。「第1のファイバー折り返し装置」はファイバー折り返し装置735を意味し、「第2のSCD」は徐冷装置745を意味する。表1には、線引き速度、ファイバー折り返し装置735の入口におけるファイバーの温度、ファイバー折り返し装置735の入口におけるファイバーの仮想温度、徐冷装置745の均一温度、徐冷装置745におけるファイバーの滞留時間、徐冷装置745から退出する点におけるファイバー仮想温度、徐冷装置745によって得られるファイバーの仮想温度の低下、及び徐冷装置745によって得られるファイバーの仮想温度の低下による1550nmにおける減衰の低下がリストされている。再加熱ステージ730はファイバーを徐冷装置745の均一温度まで加熱し、ファイバーは、徐冷装置745の均一温度で徐冷装置745に進入した。ファイバー処理経路に第2の徐冷装置を備えることによって、ファイバーの仮想温度が大幅に低下し、1550nmにおける減衰が大幅に減少した。
【0110】
【表1】
【0111】
表1に示す例示的な実施の形態において、ファイバー折り返し装置735の入口点におけるファイバーの温度は、800℃〜1000℃である。別の実施の形態において、ファイバー折り返し装置735の入口点におけるファイバーの温度は、1000℃〜1100℃、950℃〜1100℃、1000℃〜1150℃、又は950℃〜1150℃である。ファイバー折り返し装置735の入口点におけるファイバーの温度は、徐冷装置715の長さ及び/又は温度を変えるか、又は徐冷装置715の出口とファイバー折り返し装置735の入口との間隔を変えることによって制御することができる。
【0112】
表2は、
図15に示すシステムを拡張して、複数の徐冷装置を備えたシステムのモデル化の結果を示している。
図15に示すシステムに2つの処理経路セグメントを追加した。2つの処理経路セグメントの各々は、(
図15に示すように、徐冷装置が再加熱ステージの下流に配置された、
図15に示す再加熱ステージ730及び徐冷装置745に類似した)再加熱ステージ及び徐冷装置を含んでいた。それぞれの処理経路セグメントは(
図15に示すファイバー折り返し装置735に類した)ファイバー折り返し装置によって分離され、(
図8に示す処理経路に類似した)折り畳み処理経路を構成していた。表2に示す結果は、再加熱ステージ及び徐冷装置を処理経路に追加すれば、ファイバーの仮想温度及び減衰を更に低減することができることを示している。処理経路に含まれる徐冷装置及び再加熱ステージの数が増加するにつれて、仮想温度及び減衰の継続的な低下が予想される。ファイバー折り返し装置によって、処理経路セグメントを分離することにより、製造施設の垂直ヘッドスペースを実現が困難なレベルにまで増加させる必要なく、多数の再加熱ステージ及び徐冷装置を備えたファイバー処理経路を構築することができる。
【0113】
【表2】
【0114】
別に明記しない限り、本明細書に記載のすべての方法は、特定の順序で実行する必要があると解釈されることを意図するものでは全くない。従って、方法クレームに、そのステップが従うべき順序が記述されていない場合、あるいは特許請求の範囲又は明細書に、ステップが特定の順序に限定されると明記されていない場合、特定の順序を暗示することを意図するものでは全くない。
【0115】
例示した実施の形態の精神又は範囲から逸脱せずに様々な改良及び変形が可能であることは、同業者には明らかであろう。例示した実施の形態の精神及び実体を組み込んだ、本開示の実施の形態の改良、組み合わせ、部分組み合わせ、及び変形が当業者に想到され得るため、本明細書は添付の特許請求の範囲内のすべてのもの及びその均等物を包含すると解釈されるべきである。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0116】
実施形態1
光ファイバーを処理するためのシステムにおいて、
光ファイバー母材を内包する線引き炉と、
前記光ファイバー母材から線引きされた光ファイバーであって、前記線引き炉から処理経路に沿って延びるファイバーと、
前記処理経路に沿って、前記線引き炉に動作可能に結合された、第1の再加熱ステージであって、前記光ファイバーが、第1の温度で進入し、第2の温度であって、前記第1の温度より高い温度で退出する、再加熱ステージと、
前記第1の再加熱ステージに動作可能に結合された、第1の徐冷装置であって、前記光ファイバーが、第3の温度で進入し、第4の温度であって、前記第3の温度より低い温度で退出する徐冷装置において、前記光ファイバーが、1000℃〜1700℃のプロセス温度に、少なくとも0.2秒間曝露される、徐冷装置と、
を備えたシステム。
【0117】
実施形態2
前記第1の温度が1500℃より低く、前記第2の温度が1000℃より高い、実施形態1記載のシステム。
【0118】
実施形態3
前記第1の温度が1200℃より低い、実施形態2記載のシステム。
【0119】
実施形態4
前記第1の温度が1000℃より低く、前記第2の温度が1000℃より高い、実施形態1記載のシステム。
【0120】
実施形態5
前記第2の温度が1100℃より高い、実施形態4記載のシステム。
【0121】
実施形態6
前記第2の温度が、前記第1の温度より少なくとも50℃高い、実施形態1〜5いずれか1つに記載のシステム。
【0122】
実施形態7
前記第2の温度が、前記第1の温度より少なくとも100℃高い、実施形態1〜5いずれか1つに記載のシステム。
【0123】
実施形態8
前記第2の温度が、前記第1の温度より少なくとも300℃高い、実施形態1〜5いずれか1つに記載のシステム。
【0124】
実施形態9
前記第1の徐冷装置が、前記処理経路に沿って、前記第1の再加熱ステージの下流に位置する、実施形態1〜8いずれか1つに記載のシステム。
【0125】
実施形態10
前記第3の温度が、前記第2の温度より低い、実施形態9記載のシステム。
【0126】
実施形態11
前記第1の温度が1500℃より低く、前記第4の温度が1000℃より高い、実施形態10記載のシステム。
【0127】
実施形態12
前記第1の徐冷装置に動作可能に結合された第2の再加熱ステージであって、前記光ファイバーが第5の温度で進入し、第6の温度であって、前記第5の温度より高い温度で退出する、再加熱ステージを更に備えた、実施形態1〜11いずれか1つに記載のシステム。
【0128】
実施形態13
前記第2の再加熱ステージが、前記処理経路に沿って、前記第1の徐冷装置の下流に位置する、実施形態12記載のシステム。
【0129】
実施形態14
前記第1の徐冷装置が、前記処理経路に沿って、前記第1の再加熱ステージの下流に位置する、実施形態1〜13いずれか1つに記載のシステム。
【0130】
実施形態15
前記第1の温度が1000℃より低く、前記第2の温度が1000℃より高く、前記第6の温度が1000℃より高い、実施形態14記載のシステム。
【0131】
実施形態16
前記第5の温度が1000℃より低い、実施形態15記載のシステム。
【0132】
実施形態17
前記第1の再加熱ステージに動作可能に結合された、第1のファイバー折り返し装置であって、前記光ファイバーを、第1の処理経路セグメントから第2の処理経路セグメントに方向転換させる、ファイバー折り返し装置を更に備えた、実施形態1〜16いずれか1つに記載のシステム。
【0133】
実施形態18
前記第1のファイバー折り返し装置が、前記処理経路に沿って、前記第1の再加熱ステージの上流に位置する、実施形態17記載のシステム。
【0134】
実施形態19
前記第1の処理経路セグメントが、前記第2の処理経路セグメントと同一線上にない、実施形態17記載のシステム。
【0135】
実施形態20
前記第1の処理経路セグメントが、前記第2の処理経路セグメントと平行である、実施形態19記載のシステム。
【0136】
実施形態21
前記処理経路に沿って、前記第1のファイバー折り返し装置に動作可能に結合された、第2の徐冷装置を更に備えた、実施形態17記載のシステム。
【0137】
実施形態22
前記第2の徐冷装置が、前記処理経路に沿って、前記第1のファイバー折り返し装置の下流に位置する、実施形態21記載のシステム。
【0138】
実施形態23
前記第2の徐冷装置が、前記処理経路に沿って、前記第1の再加熱ステージの下流に位置する、実施形態22記載のシステム。
【0139】
実施形態24
前記第1の再加熱ステージが、前記処理経路に沿って、前記第1のファイバー折り返し装置の下流に位置する、実施形態23記載のシステム。
【0140】
実施形態25
前記第1のファイバー折り返し装置に動作可能に結合された、第2の再加熱ステージを更に備えた、実施形態21記載のシステム。
【0141】
実施形態26
前記第2の再加熱ステージが、前記処理経路に沿って、前記第1の徐冷装置の下流に位置し、前記第1の徐冷装置が、前記処理経路に沿って、前記第1の再加熱ステージ下流に位置し、前記第1の再加熱ステージが、前記処理経路に沿って、前記第1のファイバー折り返し装置の下流に位置する、実施形態25記載のシステム。
【0142】
実施形態27
前記第2の再加熱ステージに動作可能に結合された、第3の徐冷装置を更に備えた、実施形態26記載のシステム。
【0143】
実施形態28
前記第3の徐冷装置が、前記処理経路に沿って、前記第2の再加熱ステージの下流に位置する、実施形態27記載のシステム。
【0144】
実施形態29
前記第1のファイバー折り返し装置に動作可能に結合され、該折り返し装置の下流に位置する第2のファイバー折り返し装置を更に備えた、実施形態27記載のシステム。
【0145】
実施形態30
前記第2のファイバー折り返し装置が、前記光ファイバーを、前記第2の処理経路セグメントから第3の処理経路セグメントに方向転換させる、実施形態29記載のシステム。
【0146】
実施形態31
前記第2の再加熱ステージが、前記処理経路に沿って、前記第2のファイバー折り返し装置の下流に位置し、前記第3の徐冷装置が、前記処理経路に沿って、前記第2の再加熱ステージの下流に位置する、実施形態29記載のシステム。
【0147】
実施形態32
前記第1のファイバー折り返し装置が、流体ベアリング装置であって、前記光ファイバーに、浮揚流体を供給する装置を含む、実施形態17記載のシステム。
【0148】
実施形態33
前記浮揚流体が加熱される、実施形態32記載のシステム。
【0149】
実施形態34
前記第1のファイバー折り返し装置が、前記第1の再加熱ステージに内包された、実施形態17記載のシステム。
【0150】
実施形態35
前記第1のファイバー折り返し装置が、流体ベアリング装置を含む、実施形態34記載のシステム。
【0151】
実施形態36
前記光ファイバーが、シリカ又はドープシリカを含む、実施形態1〜35いずれか1つに記載のシステム。
【0152】
実施形態37
前記第1の徐冷装置が炉を含む、実施形態1〜36いずれか1つに記載のシステム。
【0153】
実施形態38
前記炉が、2つ以上の区域であって、温度が異なる区域を有する、実施形態37記載のシステム。
【0154】
実施形態39
前記第1の徐冷装置が、前記ファイバーが通過するガス環境であって、圧力が1気圧より低い環境を有する、実施形態1〜38いずれか1つに記載のシステム。
【0155】
実施形態40
前記ガス環境の圧力が、0.7気圧より低い、実施形態39記載のシステム。
【0156】
実施形態41
実施形態1〜40いずれか1つに記載のシステムによって製造された光ファイバー。
【0157】
実施形態42
光ファイバーを処理する方法において、
母材から光ファイバーを線引きするステップと、
前記光ファイバーを、処理経路に沿って、搬送するステップと、
前記光ファイバーを、前記処理経路に沿って、第1の温度から第2の温度に加熱するステップと、
前記光ファイバーを、前記処理経路に沿って、前記第2の温度から第3の温度に冷却するステップであって、前記光ファイバーを、1000℃〜1700℃のプロセス温度に、少なくとも0.2秒間曝露するステップを含む、ステップと、
を備えた方法。
【0158】
実施形態43
前記第1の温度が、1500℃より低い、実施形態42記載の方法。
【0159】
実施形態44
前記第1の温度が、1000℃より低い、実施形態43記載の方法.
実施形態45
前記第2の温度が1000℃より高い、実施形態42〜44いずれか1つに記載の方法。
【0160】
実施形態46
前記第2の温度が1100℃より高い、実施形態42〜44いずれか1つに記載の方法。
【0161】
実施形態47
前記第2の温度が1200℃より高い、実施形態42〜44いずれか1つに記載の方法。
【0162】
実施形態48
前記第2の温度が1300℃より高い、実施形態42〜44いずれか1つに記載の方法。
【0163】
実施形態49
前記第3の温度が1000℃より低い、実施形態42〜48いずれか1つに記載の方法。
【0164】
実施形態50
前記冷却するステップが、前記光ファイバーを1000℃〜1700℃のプロセス温度に、少なくとも0.3秒間曝露するステップを含む、実施形態42〜49いずれか1つに記載の方法。
【0165】
実施形態51
前記冷却するステップが、前記光ファイバーを1000℃〜1700℃のプロセス温度に、少なくとも1.0秒間曝露するステップを含む、実施形態42〜49いずれか1つに記載の方法。
【0166】
実施形態52
前記冷却するステップが、前記光ファイバーを1000℃〜1700℃のプロセス温度に、少なくとも5.0秒間曝露するステップを含む、実施形態42〜49いずれか1つに記載の方法。
【0167】
実施形態53
前記冷却するステップが、前記光ファイバーを1000℃〜1500℃のプロセス温度に、少なくとも0.2秒間曝露する、実施形態42〜49いずれか1つに記載の方法。
【0168】
実施形態54
前記冷却するステップが、前記光ファイバーを1000℃〜1500℃のプロセス温度に、少なくとも1.0秒間曝露する、実施形態42〜49いずれか1つに記載の方法。
【0169】
実施形態55
前記冷却するステップが、前記光ファイバーを1000℃〜1500℃のプロセス温度に、少なくとも5.0秒間曝露する、実施形態42〜49いずれか1つに記載の方法。
【0170】
実施形態56
前記冷却するステップが、前記光ファイバーを1000℃〜1300℃のプロセス温度に、少なくとも0.2秒間曝露する、実施形態42〜49いずれか1つに記載の方法。
【0171】
実施形態57
前記冷却するステップが、前記光ファイバーを1000℃〜1300℃のプロセス温度に、少なくとも1.0秒間曝露する、実施形態42〜49いずれか1つに記載の方法。
【0172】
実施形態58
前記冷却するステップが、前記光ファイバーを1000℃〜1300℃のプロセス温度に、少なくとも5.0秒間曝露する、実施形態42〜49いずれか1つに記載の方法。
【0173】
実施形態59
前記第2の温度が、1500℃より低い、実施形態42〜58いずれか1つに記載の方法。
【0174】
実施形態60
前記第2の温度が、前記第1の温度より少なくとも50℃高い、実施形態42〜58いずれか1つに記載の方法。
【0175】
実施形態61
前記第2の温度が、前記第1の温度より少なくとも100℃高い、実施形態42〜58いずれか1つに記載の方法。
【0176】
実施形態62
前記第2の温度が、前記第1の温度より少なくとも300℃高い、実施形態42〜58いずれか1つに記載の方法。
【0177】
実施形態63
前記冷却するステップが、前記光ファイバーを炉に通すステップを含む、実施形態42〜62いずれか1つに記載の方法。
【0178】
実施形態64
前記炉が、2つ以上の区域であって、温度が異なる区域を有する、実施形態63記載の方法。
【0179】
実施形態65
前記冷却するステップが、前記光ファイバーをガス環境であって、圧力が1気圧より低い環境に通すステップを含む、実施形態42〜64いずれか1つに記載の方法。
【0180】
実施形態66
前記ガス環境の圧力が、0.7気圧より低い、実施形態65記載の方法。
【0181】
実施形態67
実施形態42〜66いずれか1つに記載の方法によって製造された光ファイバー。
【0182】
実施形態68
前記光ファイバーを、第1の処理経路セグメントから第2の処理経路セグメントに、方向転換させるステップを更に含む、実施形態42〜66いずれか1つに記載の方法。
【0183】
実施形態69
前記第1の処理経路セグメントが、前記第2の処理経路セグメントと同一線上にない、実施形態68記載の方法。
【0184】
実施形態70
前記第1の処理経路セグメントが、前記第2の処理経路セグメントと平行である、実施形態69記載の方法。
【0185】
実施形態71
前記光ファイバーを、前記第3の温度から第4の温度に加熱するステップを更に備えた、実施形態42〜66及び68〜70いずれか1つに記載の方法。
【0186】
実施形態72
前記第3の温度が1000℃より低い、実施形態71記載の方法。
【0187】
実施形態73
前記第4の温度が1000℃より高い、実施形態71記載の方法。
【0188】
実施形態74
前記第4の温度が、前記第3の温度より少なくとも50℃高い、実施形態71〜73いずれか1つに記載の方法。
【0189】
実施形態75
前記第4の温度が、前記第3の温度より少なくとも200℃高い、実施形態71〜73いずれか1つに記載の方法。
【0190】
実施形態76
前記光ファイバーを、前記第4の温度から第5の温度に冷却するステップを更に備えた、実施形態71〜75いずれか1つに記載の方法。
【0191】
実施形態77
前記第4の温度から前記第5の温度に冷却するステップが、前記光ファイバーを1000℃〜1700℃のプロセス温度に、少なくとも0.2秒間曝露するステップを含む、実施形態76記載の方法。
【0192】
実施形態78
前記第4の温度から前記第5の温度に冷却するステップが、前記光ファイバーを1000℃〜1700℃のプロセス温度に、少なくとも1.0秒間曝露するステップを含む、実施形態76記載の方法。
【0193】
実施形態79
前記第4の温度から前記第5の温度に冷却するステップが、前記光ファイバーを1000℃〜1700℃のプロセス温度に少なくとも3.0秒間曝露するステップを含む、実施形態76記載の方法。
【0194】
実施形態80
前記第4の温度から前記第5の温度に冷却するステップが、前記光ファイバーを、1000℃〜1500℃のプロセス温度に、少なくとも0.2秒間曝露するステップを含む、実施形態76〜79いずれか1つに記載の方法。
【0195】
実施形態81
前記第4の温度から前記第5の温度に冷却するステップが、前記光ファイバーを、1000℃〜1500℃のプロセス温度に、少なくとも1.0秒間曝露するステップを含む、実施形態76〜79いずれか1つに記載の方法。
【0196】
実施形態82
前記第4の温度から前記第5の温度に冷却するステップが、前記光ファイバーを、1000℃〜1500℃のプロセス温度に、少なくとも3.0秒間曝露するステップを含む、実施形態76〜79いずれか1つに記載の方法。
【0197】
実施形態83
前記第4の温度から前記第5の温度に冷却するステップが、前記光ファイバーを、1000℃〜1300℃のプロセス温度に、少なくとも0.2秒間曝露するステップを含む、実施形態76〜82いずれか1つに記載の方法。
【0198】
実施形態84
前記第4の温度から前記第5の温度に冷却するステップが、前記光ファイバーを、1000℃〜1300℃のプロセス温度に、少なくとも1.0秒間曝露するステップを含む、実施形態76〜82いずれか1つに記載の方法。
【0199】
実施形態85
前記第4の温度から前記第5の温度に冷却するステップが、前記光ファイバーを、1000℃〜1300℃のプロセス温度に、少なくとも3.0秒間曝露するステップを含む、実施形態76〜82いずれか1つに記載の方法。
【0200】
実施形態86
前記第4の温度が、1500℃より低い、実施形態71〜85いずれか1つに記載の方法。
【0201】
実施形態87
前記光ファイバーがシリカ又はドープシリカを含む、実施形態42〜86いずれか1つに記載の方法。
【0202】
実施形態88
前記光ファイバーが、前記処理経路に沿って、少なくとも35m/秒の速度で搬送される、実施形態42〜87いずれか1つに記載の方法。
【0203】
実施形態89
前記光ファイバーが、前記処理経路に沿って、少なくとも40m/秒の速度で搬送される、実施形態42〜87いずれか1つに記載の方法。
【0204】
実施形態90
前記光ファイバーが、前記処理経路に沿って、少なくとも45m/秒の速度で搬送される、実施形態42〜87いずれか1つに記載の方法。
【0205】
実施形態91
前記光ファイバーが、前記処理経路に沿って、少なくとも50m/秒の速度で搬送される、実施形態42〜87いずれか1つに記載の方法。
【0206】
実施形態92
光ファイバーを処理するための方法において、
光ファイバーを形成するステップであって、前記光ファイバーが、シリカ又はドープシリカを含む、ステップと、
前記光ファイバーを冷却するステップと、
冷却された前記光ファイバーを加熱するステップと、
を備え、
前記ファイバーが1000℃〜1700℃の温度に曝露される時間が、少なくとも0.2秒である、方法。
【0207】
実施形態93
前記時間が、少なくとも0.3秒である、実施形態92記載の方法。
【0208】
実施形態94
前記時間が、少なくとも0.4秒である、実施形態92記載の方法。
【0209】
実施形態95
前記時間が、少なくとも0.5秒である、実施形態92記載の方法。
【0210】
実施形態96
前記時間が、少なくとも1.0秒である、実施形態92記載の方法。
【0211】
実施形態97
前記時間が、少なくとも2.0秒である、実施形態92記載の方法。
【0212】
実施形態98
前記時間が、少なくとも5.0秒である、実施形態92記載の方法。
【0213】
実施形態99
前記時間が、少なくとも7.0秒である、実施形態92記載の方法。
【0214】
実施形態100
光ファイバーを処理する方法において、
第1の経路に沿って、ファイバーを用意するステップと、
前記第1の経路に沿った第1の処理領域において、前記ファイバーを冷却するステップであって、前記ファイバーが、第1の平均温度で前記第1の処理領域に進入し、第2の平均温度であって、900℃〜1400℃の温度で前記第1の処理領域から退出し、前記第1の平均温度から前記第2の平均温度への冷却が、第1の冷却速度で生じる、ステップと、
前記第1の経路に沿った第2の処理領域において、前記ファイバーを冷却するステップであって、前記ファイバーが、第3の平均温度で前記第2の処理領域に進入し、第4の平均温度であって、800℃〜1200℃の温度で前記第2の処理領域から退出し、前記第3の平均温度から前記第4の平均温度への冷却が、第2の冷却速度であって、前記第1の冷却速度と異なる速度で生じる、ステップと、
前記ファイバーを前記第1の経路から、第2の経路であって、前記第1の経路と同一線上にない経路に方向転換させるステップと、
前記第2の経路に沿った第3の処理領域において、前記ファイバーを加熱するステップであって、前記ファイバーが、第5の平均温度であって、23℃〜500℃の温度で前記第3の処理領域に進入し、第6の平均温度であって、600℃〜1500℃の温度で前記第3の処理領域から退出する、ステップと、
前記第2の経路に沿った第4の処理領域において、前記ファイバーを冷却するステップであって、前記ファイバーが、第7の平均温度であって、600℃〜1500℃の温度で前記第4の処理領域に進入し、第8の平均温度であって、1000℃〜1500℃の温度で前記第4の処理領域から退出する、ステップと、
を備えた方法。