(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
反応性酸化防止剤及び酸化防止剤含有プレポリマー、反応性酸化防止剤及び酸化防止剤含有プレポリマーを含有する組成物、反応性酸化防止剤及び酸化防止剤含有プレポリマーの合成方法、並びに航空宇宙シーラント用途における反応性酸化防止剤及び酸化防止剤含有プレポリマーの使用が開示される。反応性酸化防止剤及び酸化防止剤含有プレポリマーを硬化性組成物に添加し、硬化剤と反応させて、硬化したポリマーネットワークに組み込むことができる。酸化防止剤含有プレポリマーは、プレポリマーの骨格に組み込まれた酸化防止剤を有する。反応性酸化防止剤及び酸化防止剤含有プレポリマーを含む硬化シーラント組成物は、向上した耐熱性を示す。
反応性酸化防止剤であって、反応性酸化防止剤は、式(1a)の構造を有する反応性酸化防止剤、式(1b)の構造を有する反応性酸化防止剤、式(1c)の構造を有する反応性酸化防止剤、又は前記いずれかの組合せを含み、
R6−S−[−R3−S−L’−S−]k−R3−S−R6 (1a)
{R6−S−[−R3−S−L’−S−]k−R3−S−V’−}zB (1b)
{R7−S−[−R3−S−L’−S−]k−R3−S−V’−}{R6−S−[−R3−S−L’−S−]k−R3−S−V’−}z−1B (1c)
[式中、
各kは、独立して、0〜10であり、少なくとも1つのkは0ではなく、
各R6は水素であるか、又は末端反応性基を有する部分を含み、
各R3は、独立して、式(2)の部分を含み、
−R1−[−S−(CH2)2−O−(R2−O)m−(CH2)2−S−R1−]n− (2)
{式中、
nは0〜60の整数であり、
各R1は、独立して、C2−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−10アルカンシクロアルカンジイル、C5−8ヘテロシクロアルカンジイル、−[(−CHR−)p−X−]q−(−CHR−)r−を含み、
pは2〜6の整数であり、
qは1〜5の整数であり、
rは2〜10の整数であり、
各Rは、独立して、水素又はメチルを含み、
各Xは、独立して、−O−、−S−又は−NR−を含み、Rは水素又はメチルを含み}、
各R2は、独立して、C1−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−14アルカンシクロアルカンジイル、又は−[(−CHR−)p−X−]q−(−CHR−)r−を含み、p、q、r、R及びXは、R1について定義したとおりであり、
mは0〜50の整数であり、
各−L’−は、酸化防止剤含有前駆体Lから誘導され、
酸化防止剤含有前駆体Lは、酸化防止剤部分及びチオール基と反応性の少なくとも1つの基を含み、
Bは、z価の多官能化剤B(−V)zのコアを表し、
zは3〜6の整数であり、
各−Vは、末端チオール基と反応性の末端基を含む部分であり、
各−V’−は、−Vとチオール基との反応から誘導され、
R7は、{−V’−}{R6−S−[−R3−S−L’−S−]k−R3−S−V’−}z−1Bである]
である、上記反応性酸化防止剤。
Lが、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載の反応性酸化防止剤。
酸化防止剤含有前駆体が、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、又はそれらの組合せを含む、請求項8に記載の反応性酸化防止剤。
チオール末端を有する含有プレポリマーが、式(7a)のチオール末端ポリチオエーテル、式(7b)のチオール末端ポリチオエーテル、又はそれらの組合せを含む、組成物であって、
HS−R1−[−S−(CH2)2−O−(R2−O)m−(CH2)2−S−R1−]n−SH (7a)
{HS−R1−[−S−(CH2)2−O−(R2−O)m−(CH2)2−S−R1−]n−S−V’−}zB (7b)
[式中、
各R1は、独立して、C2−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−10アルカンシクロアルカンジイル、C5−8ヘテロシクロアルカンジイル又は−[(−CHR−)p−X−]q−(−CHR−)r−を含み、
{式中、
pは2〜6の整数であり、
qは1〜5の整数であり、
rは2〜10の整数であり、
各Rは、独立して、水素又はメチルを含み、
各Xは、独立して、−O−、−S−又は−NR−を含み、Rは水素及びメチルから選択され}、
各R2は、独立して、C1−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−14アルカンシクロアルカンジイル又は−[(−CHR−)p−X−]q−(−CHR−)r−を含み、p、q、r、R及びXは、R1について定義したとおりであり、
mは0〜50の整数であり、
nは0〜60の整数であり、
Bはz価の多官能化剤B(−V)zのコアを表し、
zは3〜6の整数であり、
各Vは、末端チオール基と反応性の末端基を含む部分であり、
各−V’−は、−Vとチオールとの反応から誘導される]
である、請求項16に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明の趣旨上、本開示によって提供される実施形態は、明示的に反対に指定されている場合を除いて、様々な代替の変形及び工程順序を想定し得ることが理解されるべきである。さらに、実施例及び他の指示がある場合を除き、例えば明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量を表すすべての数字は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、反対のことが示されていない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、得られるべき所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして及び通常の丸め技術を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。
【0011】
本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータが近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に示される数値は可能な限り正確に報告される。しかし、いずれの数値も、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
【0012】
また、本明細書に列挙された任意の数値範囲は、そこに包含されるすべての下位範囲を含むことが意図されることが理解されるべきである。例えば、「1〜10」の範囲は、約1の記載された最小値と、約10の記載された最大値との間の(及びそれらを含む)すべての部分範囲を含むように意図されており、すなわち、約1以上の最小値及び約10以下の最大値を有する。また、本出願において、「又は」の使用は、「及び/又は」が特定の場合に明示的に使用され得るとしても、特に断らない限り「及び/又は」を意味する。
【0013】
さらに、例えば多数の炭素原子によって定義される化学基が参照される場合、化学基は、炭素原子のすべての部分範囲及び特定数の炭素原子を含むことが意図される。例えば、C
2−10アルカンジイルは、C
2−4アルカンジイル、C
5−7アルカンジイル及び他の部分範囲、並びにC
2アルカンジイル、C
6アルカンジイル及び他の特定数の炭素原子を含む。
【0014】
2つの文字又は記号の間にないダッシュ(「−」)は、置換基又は2つの原子間の共有結合点を示すために使用される。例えば、化学基−CONH
2は、炭素原子を介して別の化学部分に共有結合している。
【0015】
「アルカンアレーン」は、1つ以上のアリール及び/又はアレーンジイル基及び1つ以上のアルキル及び/又はアルカンジイル基を有する炭化水素基を指し、ここでアリール、アレーンジイル、アルキル及びアルカンジイルは本明細書において定義される。各アリール及び/又はアレーンジイル基は、C
6−12、C
6−10、フェニル又はベンゼンジイルであることができる。各アルキル及び/又はアルカンジイル基は、C
1−6、C
1−4、C
1−3、メチル、メタンジイル、エチル又はエタン−1,2−ジイルであることができる。アルカンアレーン基は、C
4−18アルカンアレーン、C
4−16アルカンアレーン、C
4−12アルカンアレーン、C
4−8アルカンアレーン、C
6−12アルカンアレーン、C
6−10アルカンアレーン、又はC
6−9アルカンアレーンであることができる。アルカンアレーン基の例としては、ジフェニルメタンが挙げられる。
【0016】
「アルカンアレーンジイル」はアルカンアレーン基のジラジカルを指す。アルカンアレーンジイル基は、C
4−18アルカンアレーンジイル、C
4−16アルカンアレーンジイル、C
4−12アルカンアレーンジイル、C
4−8アルカンアレーンジイル、C
6−12アルカンアレーンジイル、C
6−10アルカンアレーンジイル又はC
6−9アルカンアレーンジイルであることができる。アルカンアレーンジイル基の例としては、ジフェニルメタン−4,4’−ジイルが挙げられる。
【0017】
「アルカンジイル」は、例えば1〜18個の炭素原子(C
1−18)、1〜14個の炭素原子(C
1−14)、1〜6個の炭素原子(C
1−6)、1〜4個の炭素原子(C
1−4)又は1〜3個の炭化水素原子(C
1−3)を有する飽和、分枝状又は直鎖の非環式炭化水素基のジラジカルを指す。分枝状アルカンジイルは、最小で3個の炭素原子を有することが理解される。アルカンジイルは、C
2−14アルカンジイル、C
2−10アルカンジイル、C
2−8アルカンジイル、C
2−6アルカンジイル、C
2−4アルカンジイル又はC
2−3アルカンジイルであることができる。アルカンジイル基の例としては、メタン−ジイル(−CH
2−)、エタン−1,2−ジイル(−CH
2CH
2−)、プロパン−1,3−ジイル及びイソ−プロパン−1,2−ジイル(例えば、−CH
2CH
2CH
2−及び−CH(CH
3)CH
2−)、ブタン−1,4−ジイル(−CH
2CH
2CH
2CH
2−)、ペンタン−1,5−ジイル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−)、ヘキサン−1,6−ジイル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−)、ヘプタン1,7−ジイル、オクタン−1,8−ジイル、ノナン−1,9−ジイル、デカン−1,10−ジイル、ドデカン−1,12−ジイルなどが挙げられる。
【0018】
「アルカンシクロアルカン」とは、1つ以上のシクロアルキル及び/又はシクロアルカンジイル基及び1つ以上のアルキル及び/又はアルカンジイル基を有する飽和炭化水素基を指し、ここでシクロアルキル、シクロアルカンジイル、アルキル及びアルカンジイルが本明細書に定義される。各シクロアルキル及び/又はシクロアルカンジイル基は、C
3−6、C
5−6、シクロヘキシル又はシクロヘキサンジイルであることができる。各アルキル及び/又はアルカンジイル基は、C
1−6、C
1−4、C
1−3、メチル、メタンジイル、エチル又はエタン−1,2−ジイルであることができる。アルカンシクロアルカン基は、C
4−18アルカンシクロアルカン、C
4−16アルカンシクロアルカン、C
4−12アルカンシクロアルカン、C
4−8アルカンシクロアルカン、C
6−12アルカンシクロアルカン、C
6−10アルカンシクロアルカン又はC
6−9アルカンシクロアルカンであることができる。アルカンシクロアルカン基の例としては、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン及びシクロヘキシルメタンが挙げられる。
【0019】
「アルカンシクロアルカンジイル」は、アルカンシクロアルカン基のジラジカルを指す。アルカンシクロアルカンジイル基は、C
4−18アルカンシクロアルカンジイル、C
4−16アルカンシクロアルカンジイル、C
4−12アルカンシクロアルカンジイル、C
4−8アルカンシクロアルカンジイル、C
6−12アルカンシクロアルカンジイル、C
6−10アルカンシクロアルカンジイル、又はC
6−9アルカンシクロアルカンジイルであることができる。アルカンシクロアルカンジイル基の例としては、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン−1,5−ジイル及びシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイルが挙げられる。
【0020】
「アルケニル」基は、構造−CR=CR
2を有する基を指し、ここでアルケニル基は末端基であり、より大きな分子に結合する。そのような実施形態では、各Rは、例えば、水素及びC
1−3アルキルから選択され得る。各Rは水素であることができ、アルケニル基は構造−CH=CH
2を有する。
【0021】
「アルコキシ」は−OR基を指し、式中のRは本明細書で定義されるアルキルである。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ及びn−ブトキシが挙げられる。アルコキシ基は、C
1−8アルコキシ、C
1−6アルコキシ、C
1−4アルコキシ又はC
1−3アルコキシであることができる。
【0022】
「アルキル」は、例えば、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子又は1〜3個の炭素原子を有する飽和、分枝状又は直鎖の非環式炭化水素基のモノラジカルを指す。分枝状アルキルは、最小で3個の炭素原子を有することが理解される。アルキル基は、C
1−6アルキル、C
1−4アルキル又はC
1−3アルキルであることができる。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−デシル及びテトラデシルが挙げられる。アルキル基は、C
1−6アルキル、C
1−4アルキル又はC
1−3アルキルであることができる。分枝状アルキルは、少なくとも3個の炭素原子を有することが理解される。
【0023】
「酸化防止剤含有前駆体」は、酸化防止剤部分(antioxidant moiety)及び別の化合物と反応性の部分を含む化合物を指す。例えば、酸化防止剤含有前駆体は、以下の構造を有していてもよく:
【化1】
これは酸化防止剤部分:
【化2】
及びチオール基と反応性であるアルデヒド部分−CH=Oを含む。
【0024】
「酸化防止剤含有前駆体から誘導される部分」は、酸化防止剤含有前駆体と他の化合物との反応から生じる部分を指す。
【0025】
「反応性酸化防止剤」は、少なくとも1つの酸化防止剤部分を含有し、例えば硬化したポリマーネットワークを形成するために他の官能基と反応することができる反応性末端基などの反応性官能基を有する化合物を指す。反応性酸化防止剤は、例えば、2〜6個の官能基を有することができる。官能基は、例えば、チオール基、エポキシ基、アルケニル基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、又はマイケルアクセプタ基であることができる。反応性酸化防止剤はまた、チオール末端を有する酸化防止剤含有プレポリマー及びチオール末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルを含む酸化防止剤含有硫黄含有プレポリマーを包含し得る。一般に、反応性酸化防止剤は低分子量化合物を示し、酸化防止剤含有プレポリマーは高分子量化合物を示す。反応性酸化防止剤を使用して、酸化防止剤含有プレポリマーを調製してもよい。組成物において、反応性酸化防止剤及び酸化防止剤含有プレポリマーは、独立して又は組み合わせて使用されてもよい。反応性酸化防止剤及び酸化防止剤含有プレポリマーという用語は互換的に使用される。
【0026】
「シクロアルカンジイル」は、ジラジカル飽和単環式又は多環式炭化水素基を指す。シクロアルカンジイル基は、C
3−12シクロアルカンジイル、C
3−8シクロアルカンジイル、C
3−6シクロアルカンジイル又はC
5−6シクロアルカンジイルであることができる。シクロアルカンジイル基の例としては、シクロヘキサン−1,4−ジイル、シクロヘキサン−1,3−ジイル、及びシクロヘキサン−1,2−ジイルが挙げられる。
【0027】
「シクロアルキル」は、飽和単環式又は多環式炭化水素モノラジカル基を指す。シクロアルキル基は、C
3−12シクロアルキル、C
3−8シクロアルキル、C
3−6シクロアルキル又はC
5−6シクロアルキルである。
【0028】
「ヘテロアルカンジイル」は、炭素原子の1つ以上がヘテロ原子、例えばN、O、S又はPで置き換えられたアルカンジイル基を指す。ヘテロアルカンジイルにおいて、ヘテロ原子はN及びOから選択できる。
【0029】
「ヘテロアルカンアレーンジイル」は、炭素原子の1つ以上がN、O、S又はPなどのヘテロ原子で置き換えられているアルカンアレーンジイル基を指す。ヘテロアルカンアレーンジイルにおいて、ヘテロ原子はN及びOから選択することができる。
【0030】
「ヘテロシクロアルカンジイル」は、炭素原子の1つ以上がヘテロ原子、例えばN、O、S又はPで置き換えられているシクロアルカンジイル基を指す。ヘテロシクロアルカンジイルにおいて、ヘテロ原子はN及びOから選択することができる。
【0031】
「マイケルアクセプタ基」とは、少なくとも1つのアルケン/アルキン基が、1つ以上の電子求引基、例えばカルボニル(−CO)、ニトロ(−NO
2)、ニトリル(−CN)、アルコキシカルボニル(−COOR)、ホスホネート(−PO(OR)
2)、トリフルオロメチル(−CF
3)、スルホニル(−SO
2−)、トリフルオロメタンスルホニル(−SO
2CF
3)、p−トルエンスルホニル(−SO
2−C
6H
4−CH
3)などに直接結合している置換アルケン/アルキン化合物を指す。マイケルアクセプタとして機能する化合物のタイプは、ビニルケトン、キノン、ニトロアルケン、アクリロニトリル、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、アクリルアミド、マレイミド、ジアルキルビニルホスホネート及びビニルスルホンである。マイケルアクセプタの他の例は、Mather et al.,Prog.Polym.Sci.2006,31,487−531に開示される。2つ以上のマイケルアクセプタ基を有するマイケルアクセプタ化合物もまた周知である。例としては、ジアクリレート、例えばエチレングリコールジアクリレート及びジエチレングリコールジアクリレート、ジメタクリレート、例えばエチレングリコールメタクリレート及びジエチレングリコールメタクリレート、ビスマレイミド、例えばN,N’−(1,3−フェニレン)ジマレイミド及び1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミド、ビニルスルホン、例えばジビニルスルホン及び1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノールなどが挙げられる。マイケルアクセプタ基は、式(11a)又は式(11b)の構造を有することができる:
−CH
2−CH
2−S(O)
2−R
10−CH(−OH)−R
10−S(O)
2−CH=CH
2 (11a)
−CH
2−CH
2−S(O)
2−CH
2−CH(−OH)−CH
2−S(O)
2−CH=CH
2 (11b)
式中、各R
10は、独立して、C
1−3アルカンジイル及び置換C
1−3アルカンジイルから選択され、ここで1つ以上の置換基は−OHである。
【0032】
「オキシアルカンジイル基」は、1つ以上の−CH
2−基がエーテル−O−基で置き換えられたアルカンジイル基を指す。
【0033】
「ポリアルコキシシリル基」は、式(12)を有する基を指す:
−Si(−R
4)
p(−OR
4)
3−p(12)
式中、pは、0、1及び2から選択され;各R
4は、独立して、C
1−4アルキルから選択される。ポリアルコキシシリル基において、pは0であることができ、pは1であることができ、又はpは2であることができる。ポリアルコキシシリル基において、各R
4は、独立して、エチル及びメチルから選択できる。ポリアルコキシシリル基において、各R
4はエチルであることができ、又は各R
4はメチルであることができる。ポリアルコキシシリル基において、ポリアルコキシシリル基は、−Si(−OCH
2CH
3)
3、−Si(−OCH
3)
3、−Si(−CH
3)(−OCH
3)
2、−Si(−CH
3)
2(−OCH
3)、−Si(−CH
3)(−OCH
2CH
3)
2、−Si(−CH
3)
2(−OCH
2CH
3)、−Si(−CH
2CH
3)(−OCH
3)、及び−Si(−CH
2CH
3)
2(−OCH
3)から選択できる。
【0034】
「置換された」とは、1つ以上の水素原子がそれぞれ独立して同一又は異なる置換基で置き換えられている基を指す。置換基は、ハロゲン、−S(O)
2OH、−S(O)
2、−SH、−SRから選択でき、式中RはC
1−6アルキル、−COOH、−NO
2、−NR
2であり、式中、各Rは、独立して、水素及びC
1−3アルキル、−CN、−C(H)=O、−C(=O)−、C
1−6アルキル、−CF
3、−OH、フェニル、C
2−6ヘテロアルキル、C
5−6ヘテロアリール、C
1−6アルコキシ、及び−CORから選択され、式中、RはC
1−6アルキルである。例えば、置換基は、−OH、−NH
2及びC
1−3アルキルから選択できる。
【0035】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」は、オリゴマー、ホモポリマー及びコポリマーを指す。特に断らない限り、分子量は、例えば当該技術分野で認識されている様式でポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィによって決定される場合に「M
n」として示されるポリマー材料の数平均分子量である。
【0036】
「硫黄含有プレポリマー」は、繰り返し単位中に少なくとも1つの硫黄原子を有する任意のポリマーであることができ、これらとしてはポリマーチオール、ポリチオール、チオエーテル、ポリチオエーテル、硫黄含有ポリホルマール、及びポリスルフィドが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合「チオール」は、チオール又はメルカプタン基、すなわち「SH」基を唯一の官能基として含む、又は他の官能基、例えばチオグリセロールの場合のようにヒドロキシル基と組み合わせて含む化合物を指す。ポリチオールは、ジチオール又はより高い官能価チオールのような1つより多いSH基を有するそのような化合物を指す。そのような基は、通常、それらが他の官能基と反応性である活性水素を有するように末端及び/又はペンダントである。ポリチオールは、末端及び/又はペンダント硫黄(−SH)及び非反応性硫黄原子(−S−又は−S−S−)の両方を含むことができる。したがって、ポリチオールという用語は、一般に、ポリチオエーテル及びポリスルフィドを包含する。
【0037】
ポリスルフィドという用語は、1つ以上のスルフィド連結、すなわちxが2〜4である−Sx−連結をポリマー骨格中及び/又はポリマー鎖上のペンダント位置に含有するポリマーを指す。ポリスルフィドポリマーは、2つ以上の硫黄−硫黄連結を有することができる。適切なポリスルフィドは、例えば、アクゾノーベル社及び東レ・ファインケミカル株式会社からチオコールLP及びThioplast(登録商標)の名称で市販されている。Thioplast(登録商標)製品は、例えば1,100未満〜8,000を超える広範囲の分子量で入手可能であり、分子量は1モルあたりのグラム単位である平均分子量である。ある場合には、ポリスルフィドは、1,000ダルトン〜4,000ダルトンの数平均分子量を有する。
【0038】
航空宇宙シーラント用途に有用な硫黄含有ポリホルマールプレポリマーは、例えば、米国特許出願公開第2012/0234205号明細書及び米国特許出願公開第2012/0238707号明細書に開示されている。
【0039】
ここで、特定の反応性酸化防止剤及び酸化防止剤プレポリマー、例えば金属配位子含有ポリチオエーテル、その組成物及び合成方法について述べる。開示された実施形態は、特許請求の範囲を限定するものではない。反対に、特許請求の範囲は、すべての代替、変更及び均等物を包含することが意図されている。
【0040】
硬化した航空宇宙シーラントの耐熱性を高めるために、酸化防止剤を硬化ポリマーネットワークに共有結合させることができ、高温で航空燃料に曝露されたときに酸化防止剤が抽出されるのを防止する。反応性酸化防止剤はプレポリマーバインダ又は硬化剤と反応性である場合には、シーラント配合物に反応性酸化防止剤を添加することによって、硬化ポリマーネットワークに酸化防止剤を組み込むことができる。あるいは、酸化防止剤含有前駆体を、シーラント組成物を形成するために使用されるプレポリマーの骨格に組み込むことができる。
<酸化防止剤含有前駆体>
【0041】
硬化コーティング及びシーラントの熱及び環境安定性を改善するのに有用な酸化防止剤は既知である。酸化防止剤の一般的なクラスには、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン及びベンゾフラノンが含まれる。
【0042】
本開示によって提供される反応性酸化防止剤及び酸化防止剤含有プレポリマーを調製する際に使用するのに適した酸化防止剤含有前駆体としては、少なくとも1つの酸化防止剤部分及びチオール基と反応する少なくとも1つの基を有するものが挙げられる。酸化防止剤含有前駆体は、2つのチオール基と反応性である1つの基又はチオール基と反応性の2つ以上の基を含み得る。
【0043】
例えば、酸化防止剤含有前駆体は、2つのチオール基と反応性であるアルデヒド基を含有してもよく、酸化防止剤部分は置換ベンズアルデヒドを含むことができる。置換ベンズアルデヒドは、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、又はそれらの組合せを含むことができる。
<反応性酸化防止剤(reactive antioxidant)>
【0044】
本開示によって提供される反応性酸化防止剤には、少なくとも1つの酸化防止剤部分(antioxidant moiety)及び少なくとも2つの反応性基を含む化合物が含まれる。少なくとも2つの反応性基は、プレポリマー又は硬化剤などのシーラント組成物の別の成分と反応性であってもよい。反応性酸化防止剤の反応性基は、酸化防止剤部分を硬化したポリマーネットワークに共有結合させることができ、それによりシーラントを航空燃料及び高温に曝露する間の酸化防止剤の抽出を防止する。反応性酸化防止剤は、シーラント配合物に添加してもよく、又は酸化防止剤含有プレポリマーを調製するためのモノマー前駆体として役立ててもよい。
【0045】
本開示によって提供される反応性酸化防止剤は、式(1a)の構造を有する反応性酸化防止剤、式(1b)の構造を有する反応性酸化防止剤、式(1c)の構造を有する反応性酸化防止剤、又は前述のいずれかの組合せを含むことができる:
R
6−S−[−R
3−S−L’−S−]
k−R
3−S−R
6 (1a)
{R
6−S−[−R
3−S−L’−S−]
k−R
3−S−V’−}
zB (1b)
{R
7−S−[−R
3−S−L’−S−]
k−R
3−S−V’−}{R
6−S−[−R
3−S−L’−S−]
k−R
3−S−V’−}
z−1B (1c)
式中、
各kは、独立して、0〜10であり、少なくとも1つのkは0ではなく;
各R
6は水素であるか、又は末端反応性基を有する部分を含み;
各R
3は、独立して、式(2)の部分を含む:
−R
1−[−S−(CH
2)
2−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n− (2)
式中、
nは0〜60の整数であり;
各R
1は、独立して、C
2−10アルカンジイル、C
6−8シクロアルカンジイル、C
6−10アルカンシクロアルカンジイル、C
5−8ヘテロシクロアルカンジイル、−[(−CHR−)
p−X−]
q−(−CHR−)
r−を含み;
pは2〜6の整数であり;
qは1〜5の整数であり;
rは2〜10の整数であり;
各Rは、独立して、水素又はメチルを含み;及び
各Xは、独立して、−O−、−S−又は−NR−を含み、式中Rは水素又はメチルを含み;
各R
2は、独立して、C
1−10アルカンジイル、C
6−8シクロアルカンジイル、C
6−14アルカンシクロアルカンジイル又は−[(−CHR−)
p−X−]
q−(−CHR−)
r−を含み、式中p、q、r、R及びXはR
1について定義したとおりであり;
mは0〜50の整数であり;
各−L’−は酸化防止剤含有前駆体Lから誘導され、ここで酸化防止剤含有前駆体Lは酸化防止剤部分及びチオール基と反応性の少なくとも1つの基を含み;
Bはz価の多官能化剤B(−V)
zのコアを表し、式中、
zは3〜6の整数であり;
各−Vは、末端チオール基と反応性の末端基を含む部分であり;
各−V’−は、−Vとチオール基との反応から誘導され;及び
R
7は{−V’−}{R
6−S−[−R
3−S−L’−S−]
k−R
3−S−V’−}
z−1Bである。
【0046】
式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、各R
1は、−[−(CHR)
p−X−]
q−(CHR)
r−であり得る。
【0047】
式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、Xは−O−及び−S−から選択することができ、したがって[−(CHR)
p−X−]
q−(CHR)
r−は、−[(−CHR−)
p−O−]
q−(CHR)
r−、−[(−CHR)
2−)
p−S−]
q−(CHR)
r−、−[(−CH
2−)
2−O−]
q−(CH
2)
2−、又は−[(−CH
2)
2−S−]
q−(CH
2)
2−であることができる。p及びrは等しくてもよく、例えばp及びrの両方が2、3又は4であってもよい。
【0048】
式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、各R
1は、C
2−6アルカンジイル及び−[−(CHR)
p−X−]
q−(CHR)
r−から選択できる。
【0049】
式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、各R
1は−[−(CHR)
p−X−]
q−(CHR)
r−であることができ、Xは−O−であることができ、又はXは−S−であることができる。
【0050】
式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、各R
1は−[−(CHR)
p−X−]
q−(CHR)
r−であることができ、pは2であることができ、rは2であることができ、qは1であることができ、Xは−S−であることができ;又はpは2であることができ、qは2であることができ、rは2であることができ、Xは−O−であることができる;又はpは2であることができ、rは2であることができ、qは1であることができ、Xは−O−であることができる。
【0051】
式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、各R
1は−[−(CHR)
p−X−]
q−(CHR)
r−であることができ、各Rは水素であることができ、又は少なくとも1つのRはメチルであることができる。
【0052】
式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、各R
1はジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)から誘導でき、又は各R
1はジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)から誘導される。
【0053】
式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、各R
1は、−[(CH
2)
2−O−]
2−(CH
2)
2−であることができる。
【0054】
式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、各pは、独立して、2、3、4、5及び6から選択できる;又は各pは同じであることができ、2、3、4、5又は6であることができる。
【0055】
式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、各rは、2、3、4、5、6、7及び8から選択できる。
【0056】
式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、各qは、1、2、3、4及び5から選択できる。
【0057】
式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、各mは、独立して、1〜3の整数であることができる。各mは、同じであることができ、例えば0、1、2又は3であることができる。
【0058】
式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、nは0〜30の整数、0〜20の整数、0〜10の整数、又は0〜5の整数であることができる。さらに、nは0から60までの任意の整数であることができる。式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、nは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10であることができる。
【0059】
式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、nが0である場合、R
3は−R
1−である。
【0060】
式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、各R
6は水素であることができ、式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤はチオール末端である。
【0061】
式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、各R
6は、末端チオール、アルケニル、ヒドロキシル、アミン、エポキシ、イソシアネート、ポリアルコキシシリル、又はマイケルアクセプタ基を含むことができる。
【0062】
式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、少なくとも1つのkは0ではない。換言すれば、kは、式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤が少なくとも1つの酸化防止剤部分を含むように選択される。式(1a)の二価の反応性酸化防止剤において、kは、少なくとも1、例えば1、2、3若しくは4、1〜6の整数、又は1〜3の整数である。式(1b)及び式(1c)の反応性酸化防止剤によって表されるような2より大きい官能価、例えば3〜6を有する反応性酸化防止剤において、多官能性反応性酸化防止剤の少なくとも1つの分枝は少なくとも1つの酸化防止剤部分を含む。他の分枝は、少なくとも1つの酸化防止剤部分を含んでいてもよく、又は含まなくてもよい。
【0063】
式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、nは0であることができ、各R
6は水素であることができ、各R
1は−((CH
2)
2−O−)
2−(CH
2)
2−であることができる。
【0064】
式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、nは0であることができ、この場合R
3はR
1である。例えば、本開示によって提供される反応性酸化防止剤には、式(1a’)、式(1b’)、式(1c’)、及び前述のいずれかの組合せの反応性酸化防止剤が含まれる:
R
6−S−[−R
1−S−L’−S−]
k−R
1−S−R
6 (1a’)
{R
6−S−[−R
1−S−L’−S−]
k−R
1−S−V’−}
zB (1b’)
{R
7−S−[−R
1−S−L’−S−]
k−R
1−S−V’−}{R
6−S−[−R
1−S−L’−S−]
k−R
1−S−V’−}
z−1B (1c’)
式中、k、z、R
1、R
6、L’、V’及びBは式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤について定義したものであり、R
7は{−V’−}{R
6−S−[R
1−S−L’−S−]
k−R
1−S−V’−}
z−1Bである。
【0065】
式(1a’)〜(1c’)の反応性酸化防止剤において、−S−R
1−S−は、式(3)の構造を有するジチオールから誘導されることができる:
HS−R
1−SH (3)
式中、R
1はC
2−6アルカンジイル、C
6−8シクロアルカンジイル、C
6−10アルカンシクロアルカンジイル、C
5−8ヘテロシクロアルカンジイル及び−[−(CHR)
p−X−]
q−(CHR)
r−を含む;式中、
各Rは、独立して、水素及びメチルから選択され;
各Xは、独立して、−O−、−S−及び−NR−から選択され、式中Rは、水素及びメチルから選択され;
pは2〜6の整数であり;
qは1〜5の整数であり;及び
rは2〜10の整数である。
【0066】
式(3)の適切なジチオールの例としては、例えば1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,3−ジメルカプト−3−メチルブタン、ジペンテンジメルカプタン、エチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)、ジメルカプトジエチルスルフィド、メチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメルカプトジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、及び前述のいずれかの組合せが挙げられる。ポリチオールは、低級(例えば、C
1−6)アルキル基、低級アルコキシ基及びヒドロキシ基から選択される1つ以上のペンダント基を有していてもよい。適切なアルキルペンダント基には、例えば、C
1−6直鎖アルキル、C
3−6分枝状アルキル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが含まれる。
【0067】
適切なジチオールの他の例としては、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)(式(3)のジチオールにおいて、R
1は−[(−CH
2)
p−X−]
q−(CH
2)
r−(式中、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−S−である));ジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)(式(3)のジチオールにおいて、R
1は−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−(式中、pは2であり、qは2であり、rは2であり、Xは−O−である));及び1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン(式(3)のジチオールにおいて、R
1は−[(−CH
2)
p−X−]
q−(CH
2)
r−(式中pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−O−である))が挙げられる。また、炭素骨格にヘテロ原子とペンダントメチル基などのペンダントアルキル基との両方を含むジチオールを使用することも可能である。このような化合物には、例えばメチル置換DMDS、例えばHS−CH
2CH(CH
3)−S−CH
2CH
2−SH、HS−CH(CH
3)CH
2−S−CH
2CH
2−SH及びジメチル置換DMDS、例えばHS−CH
2CH(CH
3)−S−CHCH
3CH
2−SH及びHS−CH(CH
3)CH
2−S−CH
2CH(CH
3)−SHが含まれる。
【0068】
式(1a)〜(1c)の反応性酸化防止剤において、R
6は水素であることができ、この場合、本開示により提供される反応性酸化防止剤は、式(1d)、式(1e)、式(f)の構造あるいは前述のいずれかの組合せを有することができる:
HS−[−R
3−S−L’−S−]
k−R
3−SH (1d)
{HS−[−R
3−S−L’−S−]
k−R
3−S−V’−}
zB (1e)
{R
7−S−[−R
3−S−L’−S−]
k−R
3−S−V’−}{HS−[−R
3−S−L’−S−]
k−R
3−S−V’−}
z−1B (1f)
式中、R
3、L’、V’、B、k及びzは、式(1a)〜(1c)について定義されており;R
7は{−V’−}{HS−[−R
3−S−L’−S−]
k−R
3−S−V’−}
z−1Bである。
【0069】
式(1d)〜(1f)の反応性酸化防止剤において、R
6は水素であることができ、この場合、本開示により提供される反応性酸化防止剤はチオール末端を有する反応性酸化防止剤であり、式(1d’)、式(1e’)、式(1f’)の構造、又は前述のいずれかの組合せを有することができる:
HS−[−R
1−S−L’−S−]
k−R
1−SH (1d’)
{HS−[−R
1−S−L’−S−]
k−R
1−S−V’−}
zB (1e’)
{R
7−S−[−R
1−S−L’−S−]
k−R
1−S−V’−}{HS−[−R
1−S−L’−S−]
k−R
1−S−V’−}
z−1B (1f’)
式中、R
1、L’、V’、B、k及びzは、式(1a)〜(1c)について定義したとおりであり;R
7は{−V’−}{HS−[−R
1−S−L’−S−]
k−R
1−S−V’−}
z−1Bである。
【0070】
式(1a)〜(1c)及び(1a’)〜(1c’)の反応性酸化防止剤において、R
6は、特定の硬化化学(curing chemistry)に適切な反応性末端基を含むことができる。例えば、R
6は、末端チオール基(−SH)、アルケニル基(−CH=CH
2)、イソシアネート基(−N=C=O)、エポキシ基、アミン基(−NH
2)、ヒドロキシル基(−OH)、ポリアルコキシシリル基、又はマイケルアクセプタ基を含むことができる。チオール基以外の末端基を有する反応性酸化防止剤はまた、末端修飾反応性酸化防止剤又はキャップされた反応性酸化防止剤と称されることができる。末端修飾反応性酸化防止剤は、例えば、式(1d)〜(1f)及び(1d’)〜(1cf’)のチオール末端を有する反応性酸化防止剤を、チオール基と反応性である基及び適切な末端基、例えばアルケニル基、イソシアネート基、エポキシ基、アミン基、ヒドロキシル基、ポリアルコキシシリル基、又はマイケルアクセプタ基を含む化合物と反応させることによって調製できる。チオール末端を有する前駆体から末端修飾された化合物を調製する方法は、例えば米国特許出願公開第2011/0319559号明細書及び米国特許第6,172,179号明細書に開示されており、その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。末端修飾硫黄含有ポリチオエーテルの調製は当該技術分野において既知である。例えば、イソシアネート末端ポリチオエーテルは、2014年3月7日に出願された米国特許出願第14/200,687号明細書に開示され、ポリアルコキシシリル末端ポリチオエーテルは、2014年3月7日に出願された米国特許出願公開第14/200,687号明細書に開示されており、アルケニル末端ポリチオエーテルは、米国特許出願公開第2006/0270796号明細書に開示されている;及びエポキシ末端ポリチオエーテルは、米国特許出願公開第2005/0010003号明細書に開示されており、その各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0071】
式(1b)、1(c)、(1b’)、(1c’)、(1e)、(1f)、(1e’)及び(1f’)の反応性酸化防止剤中の構造{V’−}
zBは、ジチオールなどのポリチオールとの多官能化剤{V−}
zBの反応から誘導されることができる。V−は、チオール基と反応性である末端基を含むことができる。例えば、V−は、末端アルケニル基、エポキシ基、又はマイケルアクセプタ基を含み得る。
【0072】
適切な多官能化剤{V−}
zBには、zが3である三官能性化合物が含まれる。例えば適切な三官能化剤には、例えば米国特許出願公開第2010/0010133号明細書に開示されているようなトリアリルシアヌレート(TAC)、及び例えば米国特許出願公開第2011/0319559号明細書に開示されているようなトリアリルイソシアヌレートのようなイソシアヌレートが含まれ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。他の有用な多官能化剤には、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、及び米国特許第4,366,307号明細書、米国特許第4,609,762号明細書及び米国特許第5,225,472号明細書に記載されているポリチオールが含まれる。多官能化剤の混合物も使用されてもよい。結果として、本開示によって提供される反応性酸化防止剤は、ある範囲の平均官能価を有していてもよい。例えば、ジチオールと組み合わせた三官能性チオールは、2.05〜3.0、例えば2.1〜2.6の平均官能価を与えてもよい。より広範囲の平均官能価は、より高い官能価を有する四官能性剤及び/又は多官能化剤を使用することによって達成され得る。官能価はまた、当業者によって理解されるように、化学量論などの因子によって決定され得る。
【0073】
式(1d’)−(1f’)の反応性酸化防止剤において、各R
1は、−((CH
2)
2−O−)
2−(CH
2)
2−であることができる。例えば式(1d’)〜(1f’)の反応性酸化防止剤において、各R
1は、−((CH
2)
2−O)
2−(CH
2)
2−であることができ、こうして反応性酸化防止剤が、それぞれ式(1h)、式(1i)及び式(1j)の構造を有するようになる:
HS−[−((CH
2)
2−O)
2−(CH
2)
2−S−L’−S−]
k−((CH
2)
2−O)
2−(CH
2)
2−SH (1h)
{HS((CH
2)
2−O)
2−(CH
2)
2−S−L’−S−]
k−((CH
2)
2−O)
2−(CH
2)
2−S−V’−}
zB (1i)
{R
7−S−[−((CH
2)
2−O)
2−(CH
2)
2−S−L’−S−]
k−((CH
2)
2−O)
2−(CH
2)
2−S−V’−}
{HS−[−((CH
2)
2−O)
2−(CH
2)
2−S−L’−S−]
k−((CH
2)
2−O)
2−(CH
2)
2−S−V’−}
z−1B (1j)
式中、L’、V’、B、k及びzは、式(1a)〜(1c)について定義したとおりであり;各R
7は、独立して、{−V’−}{HS−[−[(CH
2)
2−O]
2−(CH
2)
2−S−L’−S−]
k−[(CH
2)
2−O]
2−(CH
2)
2−S−V’−}
z−1Bである。
【0074】
本開示によって提供される反応性酸化防止剤において、−L’−は、少なくとも1つの酸化防止剤部分及びチオール基と反応性の少なくとも1つの基を含む酸化防止剤含有前駆体Lの反応から誘導されることができる。例えば、Lは2つのチオール基と反応性である単一の部分を含むことができ、又はLは2つ以上の反応基を含むことができ、各基は1つのチオール基と反応性である。本開示によって提供される酸化防止剤において、−L’−は構造−CH(−R
4)−を含むことができ、式中R
4は酸化防止剤部分を含む。酸化防止剤部分は、例えばヒンダードフェノール、ヒンダード芳香族アミン、又はベンゾフラノンなどのポリマー材料を熱的に安定化することができる部分であることができる。酸化防止剤含有前駆体は、置換ベンズアルデヒド、例えば3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、又はそれらの組合せであることができる。本開示によって提供される反応性酸化防止剤は、市販の酸化防止剤含有前駆体を用いて、又は2つのチオール基と反応性であるように修飾されている市販の酸化防止剤含有前駆体を用いて調製できる。
【0075】
本開示によって提供される反応性酸化防止剤において、各R
6は水素であることができる;各R
3は、−(CH
2)
2−O−(CH
2)
2−O−(CH
2)
2−であることができる;各L’は、置換ベンズアルデヒドから誘導されることができ;各kは0、1又は2であることができ、式中少なくとも1つのkは0ではなく;B(−V)
zはトリアリルシアヌレートであることができ、式中zは3であり、各−Vは−O−CH
2−CH=CH
2であり;R
7は、{−V’−}{HS−[−(CH
2)
2−O−(CH
2)
2−O−(CH
2)
2−S−L’−S−]
k−(CH
2)
2−O−(CH
2)
2−O−(CH
2)
2−S−V’−}
z−1Bであることができる。
【0076】
本開示によって提供される反応性酸化防止剤において、式(2)の部分においてnは、1〜50の整数、例えば1、2、3若しくは4、1〜20の整数、1〜10の整数、又は1〜3の整数であることができる。
【0077】
式(2)の部分において、各mは、独立して、1〜3の整数であることができる。式(1)の部分において、各mは同一であってよく、1、2又は3であることができる。
【0078】
式(2)の部分において、各R
2は、独立して、C
2−6アルカンジイル、例えばエタンジイル、n−プロパンジイル、n−ブタンジイル、n−ペンタンジイル又はn−ヘキサンジイルを含むことができる。
【0079】
式(2)の部分において、mは1であることができる;各R
2は、独立して、C
2−6アルカンジイル、例えばエタンジイル、n−プロパンジイル、n−ブタンジイル、n−ペンタンジイル又はn−ヘキサンジイルを含むことができる。
【0080】
式(2)の部分において、mは2であることができる;各R
2は、独立して、C
2−6アルカンジイル、例えばエタンジイル、n−プロパンジイル、n−ブタンジイル、n−ペンタンジイル又はn−ヘキサンジイルを含むことができる。
【0081】
本開示によって提供される反応性酸化防止剤において、式(2)のnは少なくとも1であることができ、R
3は式(2)の構造を有することができる:
−R
1−[−S−(CH
2)
2−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n− (2)
式中、
各R
1は、独立して、C
2−10アルカンジイル、C
6−8シクロアルカンジイル、C
6−10アルカンシクロアルカンジイル、複素環式−[(−CHR−)
p−X−]
q−(CHR)
r−から選択でき、式中、各Rは、水素及びメチルから選択され;
各R
2は、独立して、C
2−10n−アルカンジイル、C
3−6分枝状アルカンジイル、C
6−8シクロアルカンジイル、C
6−14アルカンシクロアルカンジイル、複素環式、
及び−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−から選択され;
各Xは、独立して、O、S及び−NR−から選択され、式中Rは水素及びメチルから選択され;
mは0〜50の整数であり;
nは1〜60の範囲の整数であり;
pは2〜6の範囲の整数であり;
qは1〜5の範囲の整数であり;及び
rは2〜10の整数である。
【0082】
式(2)の部分において、R
1は、−[−(CHR)
p−X−]
q−(CHR)
r−であることができ、式中、各Xは、−O−及び−S−から独立して選択できる。式(4)の部分において、R
1は、−[−(CHR)
p−X−]
q−(CHR)
r−であることができ、各Xは−O−であり、又は各Xは−S−である。
【0083】
式(2)の部分において、R
1は、−[−(CH
2)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であることができ、各Xは、−O−及び−S−から独立して選択できる。式(4)の部分において、R
1は−[−(CH
2)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であることができ、各Xは−O−であることができ、又は各Xは−S−であることができる。
【0084】
式(2)の部分において、R
1は、−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であることができ、式中、pは2であり、XはOであることができ、qは2であることができ、rは2であることができ、R
2はエタンジイルであることができ、mは2であることができ、nは9であることができる。
【0085】
式(2)の部分において、各R
1はジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)から誘導でき、又は各R
1はジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)から誘導できる。
【0086】
式(2)の部分において、各pは、2、3、4、5及び6から独立して選択できる。式(2)の部分において、各pは同じであることができ、2、3、4、5又は6であることができる。
【0087】
式(2)の部分において、各rは、2、3、4、5、6、7及び8から選択することができる。
【0088】
式(2)の部分において、各qは、1、2、3、4及び5から選択することができる。
【0089】
式(2)の部分はポリチオエーテルであり、ジチオールとジビニルエーテルとを反応させることによって形成することができる。適切なジチオールには、式(3)のものが含まれ、適切なジビニルエーテルには、式(5)のジビニルエーテルが含まれる:
CH
2=CH−O−(−R
2−O−)
m−CH=CH
2 (5)
式中、mは0〜50であり、式(4)のR
2は、C
2−6n−アルカンジイル、C
3−6分枝状アルカンジイル、C
6−8シクロアルカンジイル、C
6−10アルカンシクロアルカンジイル及び−[(−CH
2−)
p−O−]
q−(−CH
2−)
r−から選択でき、式中、pは2〜6の範囲の整数であり、qは1〜5の整数であり、rは2〜10の整数である。式(5)のジビニルエーテルにおいて、R
2は、C
2−6n−アルカンジイル、C
3−6分枝状アルカンジイル、C
6−8シクロアルカンジイル、C
6−10アルカンシクロアルカンジイル、又は−[(−CH
2−)
p−O−]
q−(−CH
2−)
r−であることができる。
【0090】
適切なジビニルエーテルには、例えば、1〜4個のオキシアルカンジイル基などの少なくとも1つのオキシアルカンジイル基を有する化合物、すなわち式(5)のmが1〜4の範囲の整数である化合物が含まれる。式(5)中のmは2〜4の整数であることができる。1分子あたりのオキシアルカンジイル単位数の非整数平均値を特徴とする市販のジビニルエーテル混合物を使用することも可能である。したがって、式(5)中のmはまた、平均官能価を表す0〜10.0、例えば1.0〜10.0、1.0〜4.0、又は2.0〜4.0、例えば2.5の範囲の有理数値であることができる。
【0091】
適切なビニルエーテルの例としては、ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル(EG−DVE)(式(5)中のR
2がエタンジイルであり、mが1である)、ブタンジオールジビニルエーテル(BD−DVE)(式(5)中のR
2はブタンジイルであり、mは1である)、ヘキサンジオールジビニルエーテル(HD−DVE)(式(5)中のR
2はヘキサンジイルであり、mは1である)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEG−DVE)(式(5)中のR
2はエタンジイルであり、mは2である)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(式(5)のR
2はエタンジイルであり、mは3である)、テトラエチレングリコールジビニルエーテル(式(5)中のR
2はエタンジイルであり、mは4である)、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ポリテトラヒドロフリルジビニルエーテル;トリビニルエーテルモノマー、例えばトリメチロールプロパントリビニルエーテル;四官能性エーテルモノマー、例えばペンタエリスリトールテトラビニルエーテル;及びこのようなポリビニルエーテルモノマーの2つ以上の組合せが挙げられる。ポリビニルエーテルは、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びアミン基から選択される1つ以上のペンダント基を有していてもよい。
【0092】
式(5)のR
2がC
3−6分枝状アルカンジイルであるジビニルエーテルは、ポリヒドロキシ化合物をアセチレンと反応させることによって調製されてもよい。分枝状ジビニルエーテルの例としては、式(5)中のR
2がアルキル置換メタンジイル基、例えば−CH(−CH
3)−(ここで式(5)中のR
2はエタンジイルであり、mは3である)又はアルキル置換エタンジイルである化合物が挙げられる。
【0093】
他の有用なジビニルエーテルには、式(5)中のR
2がポリテトラヒドロフリル(ポリ−THF)又はポリオキシアルカンジイルである化合物、例えば平均約3個のモノマー単位を有するものが含まれる。
【0094】
本開示によって提供される反応性酸化防止剤及び/又は酸化防止剤含有プレポリマーは、5,000ダルトン未満、4,000ダルトン未満、3,000ダルトン未満、2,000ダルトン未満、又は1,000ダルトン未満の分子量を有し得る。本開示によって提供される反応性酸化防止剤は、300ダルトン〜5,000ダルトン、300ダルトン〜4,000ダルトン、300ダルトン〜3,000ダルトン、300ダルトン〜2,000ダルトン、又は300ダルトン〜1,000ダルトンの分子量を有していてもよい。本開示によって提供される反応性酸化防止剤は、200〜800、200〜700、200〜600、200〜500、又は200〜400のメルカプタン当量を有していてもよい。
【0095】
本開示によって提供される反応性酸化防止剤は、二官能性、三官能性であってもよく、又は4、5、6の官能価又は6を超える官能価を有していてもよい。反応性酸化防止剤はまた、異なる官能性を有する反応性酸化防止剤の混合物を含む。反応性酸化防止剤の混合物は、平均非整数官能価によって特徴づけることができる。例えば、反応性酸化防止剤は、平均非整数官能価が2.1〜3.9、例えば2〜8であることを特徴とする二官能性、三官能性及び四官能性の反応性酸化防止剤の混合物を含むことができる。
【0096】
本開示によって提供される反応性酸化防止剤は、1個の酸化防止剤部分、2個の酸化防止剤部分、3個の酸化防止剤部分、又は3個を超える酸化防止剤部分を含んでいてもよい。本開示によって提供される反応性酸化防止剤は、1〜10個の酸化防止剤部分、1〜8個の酸化防止剤部分、1〜6個の酸化防止剤部分、又は1〜3個の酸化防止剤部分を含んでいてもよい。
【0097】
nが2〜60であるような本開示によって提供される反応性酸化防止剤は、5,000ダルトンを超える分子量を有していてもよい。5000ダルトンを超える分子量を有する反応性酸化防止剤は、酸化防止剤含有プレポリマーと称されることができる。前者が一般的に低分子量であり、後者が一般に高分子量であること以外は、反応性酸化防止剤と酸化防止剤含有プレポリマーとの間に明確な区別があることは意図されていない。本開示によって提供される組成物は、低分子量及び高分子量反応性酸化防止剤及び/又は酸化防止剤含有プレポリマーの混合物を含んでいてもよい。
<反応性酸化防止剤を調製する方法>
【0098】
本開示によって提供される反応性酸化防止剤は、(a)ジチオール、並びに(b)少なくとも1つの酸化防止剤部分及びチオール基と反応性の少なくとも1つの部分を含む酸化防止剤含有前駆体を含む反応物の反応生成物を含み得る。本開示によって提供される多官能性反応性酸化防止剤は、(a)ジチオール、(b)少なくとも1つの酸化防止剤部分及びチオール基と反応性の少なくとも1つの部分を含む酸化防止剤含有前駆体;並びに(c)末端チオール基を含む多官能化剤を含む反応物の反応生成物を含んでいてもよい。本開示によって提供される多官能性反応性酸化防止剤はまた、(a)本開示によって提供される反応性酸化防止剤、及び(b)反応性酸化防止剤と反応性の末端基を含む多官能化剤の反応生成物を含んでいてもよい。
【0099】
ジチオールは、式(3)の構造を有することができる:
HS−R
1−SH (3)
式中、
各R
1は、独立して、C
2−10アルカンジイル、C
6−8シクロアルカンジイル、C
6−10アルカンシクロアルカンジイル、C
5−8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR−)
p−X−]
q−(−CHR−)
r−から選択され、
式中:
pは2〜6の整数であり;
qは1〜5の整数であり;
rは2〜10の整数であり;
各Rは、独立して、水素及びメチルから選択され;及び
各Xは、独立して、−O−、−S−及び−NR
5−から選択され、式中R
5は、水素及びメチルから選択される。
【0100】
式(3)のジチオールにおいて、R
1は、−[−(CHR)
p−X−]
q−(CHR)
r−であることができる。
【0101】
式(3)のジチオールにおいて、Xは−O−及び−S−から選択することができ、故に式(3)における−[−(CHR)
p−X−]
q−(CHR)
r−は、−[(−CHR−)
p−O−]
q−(CHR)
r−又は−[(−CHR−)
p−S−]
q−(CHR)
r−であることができる。p及びrは等しくてもよく、例えばp及びrは両方とも2、両方とも3又は両方とも4であってもよい。
【0102】
式(3)のジチオールにおいて、R
1は、C
2−6アルカンジイル及び−[−(CHR)
p−X−]
q−(CHR)
r−から選択することができる。
【0103】
式(3)のジチオールにおいて、R
1は−[−(CHR)
p−X−]
q−(CHR)
r−であることができ、Xは−O−であることができ、又はXは−S−であることができる。
【0104】
式(3)のジチオールにおいて、各R
1は−[−(CHR)
p−X−]
q−(CHR)
r−であり、pは2であることができ、rは2であることができ、qは1であることができ、Xは−S−であることができ;又はpは2であることができ、qは2であることができ、rは2であることができ、Xは−O−であることができる;又はpは2であることができ、rは2であることができ、qは1であることができ、Xは−O−であることができる。
【0105】
式(3)のジチオールにおいて、R
1は、−[−(CHR)
p−X−]
q−(CHR)
r−であることができ、少なくとも1つのRはメチルであることができ、他のRのそれぞれは水素であることができる。
【0106】
式(3)のジチオールにおいて、各R
1はジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)から誘導されることができ、又は各R
1はジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)から誘導できる。
【0107】
式(3)のジチオールにおいて、各々は、独立して、1〜3の整数であることができ、又は各mは同じであることができ、1、2又は3であることができる。
【0108】
式(3)のジチオールにおいて、nは、1〜30の整数、1〜20の整数、1〜10の整数、又は1〜5の整数であることができる。さらに、nは1〜60の任意の整数であってもよい。
【0109】
式(3)のジチオールにおいて、各pは、2、3、4、5及び6から独立して選択することができる;又は各pは同じであることができ、2、3、4、5又は6であることができる。
【0110】
式(3)のジチオールにおいて、各rは、2、3、4、5、6、7及び8から選択することができる。
【0111】
式(3)のジチオールにおいて、各qは、1、2、3、4及び5から選択することができる
【0112】
式(3)の適切なジチオールの例としては、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,3−ジメルカプト−3−メチルブタン、ジペンテンジメルカプタン、エチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)、ジメルカプトジエチルスルフィド、メチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメルカプトジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、及び前述のいずれかの組合せが挙げられる。ジチオールは、低級(例えば、C
1−6)アルキル基、低級アルコキシ基及びヒドロキシ基から選択される1つ以上のペンダント基を有していてもよい。適切なアルキルペンダント基には、例えば、C
1−6直鎖アルキル、C
3−6分枝状アルキル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが含まれる。
【0113】
適切なジチオールの他の例としては、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)(式(3)中、R
1は−[(−CH
2)
p−X−]
q−(CH
2)
r−(式中、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−S−である));ジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)(式(3)中、R
1は−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−(式中、pは2であり、qは2であり、rは2であり、Xは−O−である));及び1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン(式(3)中、R
1は−[(−CH
2)
p−X−]
q−(CH
2)
r−(式中pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−O−である))が挙げられる。また、炭素骨格にヘテロ原子とメチル基などのペンダントアルキル基との両方を含むジチオールを使用することも可能である。このようなジチオールには、例えばメチル置換DMDS、例えばHS−CH
2CH(CH
3)−S−CH
2CH
2−SH、HS−CH(CH
3)CH
2−S−CH
2CH
2−SH及びジメチル置換DMDS、HS−CH
2CH(CH
3)−S−CHCH
3CH
2−SH及びHS−CH(CH
3)CH
2−S−CH
2CH(CH
3)−SHが含まれる。
【0114】
多官能性反応性酸化防止剤及び酸化防止剤含有プレポリマーの調製に使用するのに適した多官能化剤には、三官能化剤、すなわちzが3である化合物が含まれる。例えば適切な三官能化剤には、例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2010/0010133号明細書に開示されているような、トリアリルシアヌレート(TAC)、1,2,3−プロパントリチオール、イソシアヌレート含有トリチオール及びそれらの組合せ、並びに、例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2011/0319559号明細書に開示されているようなイソシアヌレートが含まれる。他の有用な多官能化剤には、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、及び米国特許第4,366,307号明細書、米国特許第4,609,762号明細書及び米国特許第5,225,472号明細書に記載されているポリチオールが含まれ、これらそれぞれは参照によりその全体が組み込まれる。多官能化剤の混合物も使用されてもよい。結果として、本開示によって提供されるポリチオエーテルは、広範囲の平均官能価を有していてもよい。例えば三官能化剤は、2.05〜3.0、例えば2.1〜2.6の平均官能価を与えてもよい。より広範囲の平均官能価は、四官能性剤又はより高い官能価の多官能化剤を使用することによって達成されてもよい。官能価はまた、当業者によって理解されるように、化学量論などの因子によって決定され得る。チオール末端を有する前駆体は、TACなどのアルケニル末端を有する多官能化剤を、式(3)のジチオールなどのジチオール、例えばDMDOと反応させて、チオール末端を有する多官能化剤を提供することによって調製できる。次いで、チオール末端を有する多官能化剤を、チオール基と反応性の基を有する酸化防止剤、並びにジチオール及び/又はポリチオールと反応させてもよい。
【0115】
本開示によって提供される反応性酸化防止剤は、1つ以上のポリチオールを、チオール基と反応性の少なくとも1つの基及び少なくとも1つの酸化防止剤部分を含む1つ以上の酸化防止剤含有前駆体と反応させることによって調製されてもよい。例えば、反応性酸化防止剤は、式(3)の1つ以上のポリチオールを、1つ以上の酸化防止剤含有前駆体、例えば置換ベンズアルデヒドと、触媒、例えば固体酸触媒の存在下で反応させることによって調製されてもよい。反応物は、適切な比で反応させて、例えば2〜6、例えば2.1〜2.9、又は2.1〜2.3のような官能価、及び1つ以上の酸化防止剤部分を有する反応性酸化防止剤を提供してもよい。
【0116】
本開示により提供される反応性酸化防止剤は、シーラント組成物に添加することができる。シーラント組成物の硬化中、反応性酸化防止剤の末端反応性基はプレポリマー又は硬化剤と反応でき、こうして反応性酸化防止剤が硬化したポリマーネットワークに共有結合するようになる。反応性酸化防止剤はまた、場合により低分子量反応性酸化防止剤を含むことができるシーラント組成物のベース又はプレポリマー成分としても機能することができる。
【0117】
反応性酸化防止剤及び/又は酸化防止剤含有プレポリマーは、硬化剤と反応性の末端基を含むことができる。反応性酸化防止剤の末端基は、組成物中の酸化防止剤含有プレポリマー又は他のプレポリマーの末端基と同じであってもよい。例えば、反応性酸化防止剤及びプレポリマーは、ポリエポキシド硬化剤などの硬化剤と反応性である末端チオール基を含んでいてもよい。
【0118】
反応性酸化防止剤は、プレポリマーと反応性の末端基を含んでいてもよい。反応性酸化防止剤の末端反応性基は、硬化剤と同じ末端基を含んでいてもよく、又は組成物中の硬化剤として機能してもよい。例えば、反応性酸化防止剤及び硬化剤は、特定の硬化化学に適した、末端エポキシ基、アルケニル基、マイケルアクセプタ基、チオール基、アミン基、ヒドロキシル基、ポリアルコキシシリル基又はイソシアネート基を含んでいてもよい。
<酸化防止剤含有硫黄含有プレポリマー>
【0119】
本開示によって提供される反応性酸化防止剤はまた、酸化防止剤がプレポリマーの骨格に組み込まれている酸化防止剤含有プレポリマーの前駆体として作用してもよい。例えば、本開示によって提供される酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーは、式(3)のジチオール及び場合により多官能化剤、チオール末端を有する反応性酸化防止剤及びジビニルエーテルを反応させることによって調製されてもよく;又はチオール末端を有する酸化防止剤とジビニルエーテルとを反応させることによって調製されてもよい。例えば、本開示によって提供される酸化防止剤含有ポリチオエーテルは、式(1a’)〜(1c’)のチオール末端を有する反応性酸化防止剤、式(3)のジチオール、及び式(5)のジビニルエーテルを反応させることによって調製されてもよい。
【0120】
2タイプ以上の反応性酸化防止剤、式(3)のジチオール及び/又は式(5)のポリビニルエーテルモノマーは、本開示によって提供されるチオール末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルを調製するために使用され得る。反応物は、多官能化剤をさらに含んでいてもよく、これらは、多官能性反応性酸化防止剤、ポリチオール及び/又はポリアルケニル化合物を含んでいてもよい。
【0121】
ポリビニルエーテルモノマーは、チオール末端(thiol−terminated)ポリチオエーテルプレポリマーを調製するために使用される反応物の20モル%〜50モル%未満、又は30モル%〜50モル%未満を構成してもよい。
【0122】
ジチオール及びジビニルエーテルの相対量は、末端チオール基を有する酸化剤含有ポリチオエーテルを生じるように選択できる。例えば、チオール末端を有する反応性酸化防止剤及び/又は式(3)のジチオールあるいは少なくとも2つの異なるチオール末端を有する反応性酸化防止剤及び/又は式(3)のジチオールの混合物を、式(5)のジビニルエーテル又は式(5)の少なくとも2つの異なるジビニルエーテルの混合物と、チオール基とアルケニル基とのモル比が1:1より大きく、例えば1.1:1.0〜2.0:1.0になるような相対量で反応させることができる。
【0123】
チオール末端を有する反応性酸化防止剤、ジチオール及びジビニルエーテル及び/又はポリチオール及びポリビニルエーテルの間の反応は、フリーラジカル触媒によって触媒され得る。適切なフリーラジカル触媒には、例えば、アゾ化合物、アゾビスニトリル、例えばアゾ(ビス)イソブチロニトリル(AIBN);有機過酸化物、例えば過酸化ベンゾイル及び過酸化t−ブチル;無機過酸化物、例えば過酸化水素が含まれる。触媒は、フリーラジカル触媒、イオン触媒、又は紫外線であってもよい。触媒は、酸性又は塩基性化合物を含まなくてもよく、分解時に酸性又は塩基性化合物を生成しない。適切なフリーラジカル触媒の例としては、アゾタイプの触媒、例えばVazo(登録商標)−57(デュポン社)、Vazo(登録商標)−64(デュポン社)、Vazo(登録商標)−67(デュポン社)、V−70(登録商標)(和光純薬工業株式会社)、及びV−65B(登録商標)(和光純薬工業株式会社)が挙げられる。他の適切なフリーラジカル触媒の例としては、アルキルペルオキシド、例えばtert−ブチルペルオキシドが挙げられる。この反応はまた、カチオン性光開始部分の有無にかかわらず、紫外線の照射によって行われてもよい。
【0124】
別の例として、本開示によって提供される酸化防止剤含有ポリチオエーテルは、式(1a’)、式(1b’)、式(1c’)又はそれらの組合せの反応性酸化防止剤を、ジビニルエーテル、例えば式(5)のジビニルエーテルと反応させることによって調製されてもよい。酸化防止剤は、チオール末端ポリチオエーテルを、少なくとも1つの酸化防止剤部分及びチオール基と反応性の少なくとも1つの部分を含む酸化防止剤含有前駆体と反応させることによって酸化防止剤含有ポリチオエーテルの骨格に組み込まれてもよい。
【0125】
類似の方法は、他のチオール末端を有する硫黄含有プレポリマーにも適用可能である。硫黄含有プレポリマーは、チオール末端であってもよく、したがって、硫黄含有プレポリマーは、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、チオール末端ポリスルフィドプレポリマー、チオール末端を有する硫黄含有ポリホルマールプレポリマー、又は前述のいずれかの組合せを含んでいてもよい。
【0126】
本開示によって提供される硫黄含有プレポリマーは、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、硫黄含有ポリホルマール、及び前述のいずれかの組合せから選択されてもよい。硫黄含有プレポリマーはポリチオエーテルを含んでいてもよく、又は硫黄含有プレポリマーはポリスルフィドを含んでいてもよい。硫黄含有プレポリマーは、異なるポリチオエーテル及び/又はポリスルフィドの混合物を含んでいてもよく、ポリチオエーテル及び/又はポリスルフィドは、同じ又は異なる官能価を有していてもよい。硫黄含有プレポリマーは、2〜6、2〜4、2〜3、2.3〜2.8又は2.05〜2.5の平均官能価を有してもよい。例えば、硫黄含有プレポリマーは、二官能性硫黄含有プレポリマー、三官能性硫黄含有プレポリマー、及びそれらの組合せを含むことができる。硫黄含有プレポリマーは、硫黄含有ポリホルマールを含むことができる。
【0127】
硫黄含有プレポリマーの骨格に酸化防止剤を組み込むために、チオール基と反応性の少なくとも1つの基を含む酸化防止剤含有前駆体をチオール末端を有する硫黄含有プレポリマーと反応させることができる。
<チオール末端を有する(thiol−terminated)酸化防止剤含有プレポリマーの合成方法>
【0128】
チオール末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマー、例えばチオール末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーは、二官能性チオール末端ポリチオエーテルプレポリマー又は二官能性チオール末端ポリチオエーテルプレポリマー混合物を、少なくとも1つの酸化防止剤部分及びチオール基と反応性の少なくとも1つの基を有する酸化防止剤含有前駆体と反応させることによって調製されてもよい。
【0129】
例えば、式(6a)のチオール末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーを調製する方法は、(N+1)モルの式(7a)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを(N)モルの酸化防止剤含有前駆体Lと反応させる工程を含んでいてもよい:
H−A−[−L’−A−]
N−H (6a)
HS−R
1−[−S−(CH
2)
2−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n−SH (7a)
式中:
Nは1〜10の整数であり;
各L’は酸化防止剤Lとチオール基との反応から誘導され;
各Aは、独立して、式(8)の部分であり:
−S−R
1−[−S−(CH
2)
2−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n−S− (8)
式中、
各R
1は、独立して、C
2−10アルカンジイル、C
6−8シクロアルカンジイル、C
6−10アルカンシクロアルカンジイル、C
5−8ヘテロシクロアルカンジイル又は−[(−CHR−)
p−X−]
q−(−CHR−)
r−、
式中:
pは2〜6の整数であり;
qは1〜5の整数であり;
rは2〜10の整数であり;
各Rは、独立して、水素又はメチルを含み;及び
各Xは、独立して、−O−、−S−又は−NR−を含み、式中Rは水素又はメチルを含み;及び
各R
2は、独立して、C
1−10アルカンジイル、C
6−8シクロアルカンジイル、C
6−14アルカンシクロアルカンジイル又は−[(−CHR−)
p−X−]
q−(−CHR−)
r−を含み、式中、p、q、r、R及びXはR
1について定義したとおりであり;
mは0〜50の整数であり;及び
nは1〜60の整数である。
【0130】
式(6a)のチオール末端を有する酸化防止剤含有硫黄含有プレポリマーにおいて、Nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10であることができる。式(6a)のチオール末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーにおいて、分子量は、例えば、200ダルトン〜20,000ダルトン又は1000ダルトン〜10,000ダルトンであることができる。チオール末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーは、Nについて異なる値を有する式(6a)の酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーの組合せを含むことができる。式(6a)のチオール末端を有する酸化防止剤含有プレポリマーにおいて、Nは1であることができる。したがって、実際には、式(6a)のチオール末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーを調製する場合、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーと酸化防止剤とのモル比は、式(6a)のチオール末端を有する酸化防止剤含有プレポリマーが、異なるN値を有するチオール末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーの混合物を表すように、整数である必要はない。
【0131】
式(6b)のチオール末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーを調製する方法は、(z)モルの式(6a)のチオール末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーを、1モルの多官能化剤B{V}
zと反応させる工程を含むことができる:
{H−A−[−L’−A−]N−V’−}
zB (6b)
H−A−[−L’−A−]N−H (6a)
式中、
Nは1〜10の整数であり;
各L’は、酸化防止剤含有前駆体Lとチオール基との反応から誘導される酸化防止剤部分を含み;
各Aは、独立して、式(8)の部分であり:
−S−R
1−[−S−(CH
2)
2−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n−S− (8)
式中:
各R
1は、独立して、C
2−10アルカンジイル、C
6−8シクロアルカンジイル、C
6−10アルカンシクロアルカンジイル、C
5−8ヘテロシクロアルカンジイル又は−[(−CHR−)
p−X−]
q−(−CHR−)
r−を含み、式中:
pは2〜6の整数であり;
qは1〜5の整数であり;
rは2〜10の整数であり;
各Rは、独立して、水素又はメチルを含み;及び
各Xは、独立して、−O−、−S−又は−NR−を含み、式中Rは水素又はメチルを含み;
各R
2は、独立して、C
1−10アルカンジイル、C
6−8シクロアルカンジイル、C
6−14アルカンシクロアルカンジイル又は−[(−CHR−)
p−X−]
q−(−CHR−)
r−を含み、式中、p、q、r、R及びXはR
1について定義したとおりであり;
mは0〜50の整数であり;及び
nは1〜60の整数であり;並びに
Bはz価の多官能化剤B(−V)zのコアを表し、式中:
zは3〜6の整数であり;
各Vは、末端チオール基と反応性の末端基を含む基であり;各−V’−は、−Vとチオールとの反応から誘導される。
反応性酸化防止剤は、式(7a)のチオール末端ポリチオエーテル、式(7b)のチオール末端ポリチオエーテル、又はそれらの組合せを含むポリチオールから調製することができる:
HS−R
1−[−S−(CH
2)
2−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n−SH (7a)
{HS−R
1−[−S−(CH
2)
2−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n−S−V’−}
zB (7b)
式中:
各R
1は、独立して、C
2−10アルカンジイル、C
6−8シクロアルカンジイル、C
6−10アルカンシクロアルカンジイル、C
5−8ヘテロシクロアルカンジイル又は−[(−CHR−)
p−X−]
q−(−CHR−)
r−、
式中:
pは2〜6の整数であり;
qは1〜5の整数であり;
rは2〜10の整数であり;
各Rは、独立して、水素又はメチルを含み;及び
各Xは、独立して、−O−、−S−又は−NR−を含み、式中Rは水素及びメチルから選択され;
各R
2は、独立して、C
1−10アルカンジイル、C
6−8シクロアルカンジイル、C
6−14アルカンシクロアルカンジイル又は−[(−CHR−)
p−X−]
q−(−CHR−)
r−を含み、式中、p、q、r、R及びXはR
1について定義したとおりであり;
mは0〜50の整数であり;
nは1〜60の整数であり;
Bはz価の多官能化剤B(−V)
zのコアを表し、式中:
zは3〜6の整数であり;
各Vは、末端チオール基と反応性の末端基を含む部分であり;及び
各−V’−は、−Vとチオールとの反応から誘導される。
【0132】
チオール末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーと酸化防止剤との反応は、例えば、本明細書に開示されているアミン触媒のいずれかを含むアミン触媒などの触媒の存在下で行うことができる。
<末端修飾(terminal−modified)酸化防止剤含有硫黄含有プレポリマー>
【0133】
反応性酸化防止剤及び酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーは、反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマー、例えばチオール末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーを適切な官能基によりキャップ又は末端化することによって、特定の硬化化学に関する使用に適合されてもよい。チオール末端ポリチオエーテルのキャップされた類似体は、例えば、米国特許第6,172,179号明細書及び米国特許出願公開第2011/0319559号明細書に開示されている。例えば、反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーは、未反応チオール基以外の末端基、例えばヒドロキシル、アルケニル、イソシアネート、アミン、加水分解性官能基、例えばポリアルコキシシリル基、マイケルアクセプタ基、又はエポキシ基を有することができる。
【0134】
本開示によって提供される酸化防止剤含有硫黄含有プレポリマーは、末端修飾酸化防止剤含有硫黄含有プレポリマーを含むことができる。末端修飾酸化防止剤含有プレポリマーは、キャップされたプレポリマーと称されることもできる。末端修飾酸化防止剤含有硫黄含有プレポリマーは、チオール末端を有する酸化防止剤含有硫黄含有プレポリマーを、反応性末端基及びチオール基と反応性の基を有する化合物と反応させることによって調製できる。
【0135】
末端修飾硫黄含有ポリチオエーテルの調製は当該技術分野において既知である。例えば、イソシアネート末端ポリチオエーテルは、2014年3月7日に出願された米国特許出願第14/200,687号明細書に開示され、ポリアルコキシシリル末端ポリチオエーテルは、2014年3月7日に出願された米国特許出願公開第14/200,687号明細書に開示されており、アルケニル末端ポリチオエーテルは、米国特許出願公開第2006/0270796号明細書に開示されている;及びエポキシ末端ポリチオエーテルは、米国特許出願公開第2005/0010003号明細書に開示されており、その各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0136】
キャップされた類似体は、当業者に既知の多くの方法によって調製されてもよい。例えば、キャップされた酸化防止剤含有ポリチオエーテル酸化防止剤プレポリマーを得るために、チオール末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーを、チオール基と反応性の末端基を有する化合物と反応させてもよい。
【0137】
アルケニル末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーを得るために、チオール末端を有する反応性酸化防止剤又はチオール末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーを、末端アルケニル基及びイソシアネート基、例えばTMI、2−イソシアナトエチルメタクリレート、又はアリルイソシアネートから誘導される基を含有する化合物と、ジブチルスズジラウレート触媒の存在下で、反応させてもよい。
【0138】
ポリアルコキシシリル末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーは、例えば、チオール末端を有する反応性酸化防止剤又はチオール末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーと、イソシアナトアルキルトリアルコキシシラン、例えば、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン又は3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランとを、ジブチルスズジラウレートの存在下で反応させて、対応するポリアルコキシシリル末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーを提供することによって調製されてもよい。ポリアルコキシシリル末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルはまた、ビニルアルコキシシランをチオール末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルと反応させることによっても調製されてもよい。
【0139】
エポキシ末端を有する反応性酸化防止剤及び酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーは、例えば、チオール末端を有する反応性酸化防止剤又はチオール末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーを、モノエポキシド、例えばアリルグリシジルエーテルの存在下で反応させて、対応するエポキシ末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーを提供することによって調製されてもよい。
【0140】
アミン末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有プレポリマーは、例えば、チオール末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーを、単官能性4−アミノブチルビニルエーテルとフリーラジカル開始剤を用いて反応させることによって調製されてもよい。あるいは、アミン末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーは、イソシアネート末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーをジアミン、例えば4−(アミノメチル)アニリンと反応させて、対応するアミン末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーを提供することによって得てもよい。アミノ末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーはまた、チオール末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテル又はアルカノール末端を有する又はヒドロキシ末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有プレポリマーとアミノ置換ベンゾエート、例えばエチル−4−アミノベンゾエートとを、Bu
2SnO又はNaOMeの存在下で、高温にて反応させて、対応するアミン末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルを提供することによって得てもよい。
【0141】
例えば、アミン末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルは、例えば、活性化アルケニル末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテル又はマイケルアクセプタ末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルと、ジアミン、アミノ置換アニリン、例えば4−(アミノメチル)アニリン又はアルキルアミン、例えばn−ブチルアミンと、場合により触媒、例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)の存在下、有機溶媒中で反応させて、対応するアミン末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルを提供することによって調製されてもよい。あるいは、アミン末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルは、イソシアネート末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルを、ジアミン、例えば4−(アミノメチル)アニリンと反応させて、対応するアミン末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルを提供することによって得られてもよい。アミン末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルはまた、ヒドロキシル末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルを、アミノ置換ベンゾエート、例えばエチル−4−アミノベンゾエートと、Bu
2SnO又はNaOMeの存在下、高温にて反応させて、対応するアミン末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルを提供することによって得られてもよい。
【0142】
イソシアネート末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーは、例えば、チオール末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーを、ジイソシアネート、例えばTDI、Isonate(商標)143L(ポリカルボジイミド修飾ジフェニルメタンジイソシアネート)、Desmodur(登録商標)N3400(1,3−ジアゼチジン−2,4−ジオン、1,3−ビス(6−イソシアナトヘキシル)−)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)又はDesmodur(登録商標)W(H
12MDI)と、場合により触媒、例えばジブチルスズジラウレートの存在下、反応させることによって調製されてもよい。イソシアネート末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーは、他の末端修飾反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマー、例えば特定のアミン末端を有する及びチオール末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーの合成における中間体として使用されてもよい。
【0143】
ヒドロキシル末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーは、例えばチオール末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーを、末端ヒドロキシル基及びチオール基と反応性の基を有する化合物と反応させることによって調製されてもよい。
【0144】
反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーは、マイケルアクセプタ基で末端化されてもよい。マイケルアクセプタ基は、ビニルスルホンから誘導されることができ、式(9)の構造を有する:
−CH
2−C(R
13)
2−S(O)
2−CR
13=CH
2 (9)
式中、各R
13は、水素及びC
1−3アルキルから独立して選択できる。式(9)の部分において、各R
13は水素であることができる。マイケルアクセプタ末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルは、例えば、チオール末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルを、末端マイケルアクセプタ基及びチオール基と反応する基、例えばジビニルスルホンを有する化合物とアミン触媒の存在下で反応させることによって調製されてもよい。マイケルアクセプタ/ポリチオエーテル化学及び化合物は、米国特許出願公開第2013/0345371号明細書に開示されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。イソシアネート及びエポキシでキャップされたポリチオエーテルの例及びイソシアネート及びエポキシでキャップされたポリチオエーテルの製造方法は、例えば、米国特許第7,879,955号明細書に開示されている。
<組成物>
【0145】
本開示によって提供されるコーティング又はシーラントのような硬化組成物(cured composition)は、硬化ポリマーネットワークに共有結合した酸化防止剤を含む。
【0146】
本開示によって提供される未硬化組成物は、反応性酸化防止剤、酸化防止剤含有硫黄含有プレポリマー、又はそれらの組合せを含むことができる。
【0147】
本開示によって提供される未硬化組成物はまた、1つ以上の追加の硫黄含有プレポリマー、硬化剤、又はそれらの組合せを含んでいてもよい。
【0148】
本開示によって提供される未硬化組成物において、反応性酸化防止剤、酸化防止剤含有硫黄含有プレポリマー、及び/又は追加の硫黄含有プレポリマーは、同じ反応性基で末端化されてもよく、硬化剤は反応性末端基と反応性であってもよい。
【0149】
本開示によって提供される未硬化組成物において、反応性酸化防止剤、酸化防止剤含有硫黄含有プレポリマー、及び/又は追加の硫黄含有プレポリマーはチオール末端化されてもよく、硬化剤はチオール基と反応性であってもよい。
【0150】
本開示によって提供される未硬化組成物は、チオール末端を有する反応性酸化防止剤及びチオール末端ポリチオエーテルを含有でき、ここでチオール末端ポリチオエーテルは、チオール末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルを含み得る。
【0151】
本開示によって提供される組成物は、1つ以上の反応性酸化防止剤及び1つ以上の硫黄含有プレポリマー及び酸化防止剤含有プレポリマーを含んでいてもよい。
【0152】
本開示によって提供される組成物は、0.05重量%〜10重量%、0.1重量%〜6重量%、又は0.5重量%〜4重量%、又は0.5重量%〜2重量%の酸化防止剤部分を含有していてもよく、ここで重量%は、組成物の総固形分重量に基づく。
【0153】
組成物中の反応性酸化防止剤の量は、硬化した組成物を航空燃料及び環境ストレスへの曝露時に硬化した組成物の安定性が向上するように選択できる。
【0154】
本開示によって提供される硬化性組成物は、硬化剤をさらに含んでいてもよい。組成物はさらに、添加剤、触媒、充填剤及び/又は他の硫黄含有プレポリマー(例えばポリチオエーテル、硫黄含有ポリフホルマール、及び/又はポリスルフィドを含む)を含んでいてもよい。
<硬化剤(curing agent)>
【0155】
本開示によって提供される組成物は、反応性酸化防止剤、酸化防止剤含有プレポリマー及び/又は追加の硫黄含有プレポリマーの末端反応性基と反応性である2つ以上の反応性基を含む硬化剤を含んでいてもよい。チオール末端を有する反応性酸化防止剤、チオール末端を有する酸化防止剤含有プレポリマー及び/又は追加のチオール末端プレポリマーを含む組成物において、硬化剤はポリエポキシ硬化剤であることができる。
【0156】
本開示によって提供される、キャップされていない及びキャップされた反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有硫黄含有プレポリマー(キャップされていない及びキャップされた反応性酸化防止剤及び酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーを含む)は、室温で液体であることができる。本開示により提供される、キャップされていない及びキャップされた反応性酸化防止剤及び酸化防止剤含有硫黄含有プレポリマー(キャップされた及びキャップされていない酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーを含む)は、ASTM D−2849§79−90に従って決定され、Brookfield CAP 2000粘度計を使用して測定される場合、約25℃の温度及び約760mmHgの圧力で、100%固形分で、500ポイズ未満、例えば100ポイズ〜300ポイズ、又は場合により100ポイズ〜200ポイズの粘度を有することができる。前述の範囲内の任意のエンドポイントも使用することができる。本開示により提供されるキャップされていない及びキャップされた反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有硫黄含有プレポリマー(キャップされていない及びキャップされた酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーを含む)は、400グラム/モル〜10,000グラム/モル、例えば1,000グラム/モル〜8,000グラム/モルの数平均分子量を有することができ、この分子量は、例えばポリスチレン標準を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィによって決定される。前述の範囲内の任意のエンドポイントも使用できる。本開示によって提供されるキャップされていない及びキャップされた反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有硫黄含有プレポリマー(キャップされていない及びキャップされた酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーを含む)のT
gは、−55℃以下、例えば−60℃以下である。
【0157】
本開示によって提供される組成物に有用な硬化剤には、反応性酸化防止剤及び/又は酸化防止剤含有プレポリマーの末端基と反応性の化合物、例えばヒドロキシル基、アルケニル基、エポキシ基、チオール基、アミン基、イソシアネート基、又はマイケルアクセプタ基と反応性である化合物が含まれる。
【0158】
チオール基を末端に有する反応性酸化防止剤及び/又は酸化防止剤含有プレポリマーを含有する組成物では、適切な硬化剤はポリエポキシドであることができる。適切なポリエポキシドの例としては、例えばポリエポキシド樹脂、例えばヒダントインジエポキシド、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル、ビスフェノール−Fのジグリシジルエーテル、Novolac(登録商標)タイプのエポキシド、例えばDEN(商標)438(ダウ・ケミカル社)、特定のエポキシド化不飽和樹脂、及び前述のいずれかの組合せが挙げられる。ポリエポキシドは、2以上の反応性エポキシ基を有する化合物を指す。エポキシド硬化剤は、EPON(商標)828(モメンティブ社)、DEN(商標)431(ダウ・ケミカル社)、及びそれらの組合せから選択される。チオール基と反応性の有用な硬化剤の例としては、ジエポキシドが挙げられる。
【0159】
ポリエポキシ硬化剤は、エポキシ官能性プレポリマーを含んでいてもよい。適切なエポキシ官能性プレポリマーの例としては、米国特許出願公開第2012/0238708号明細書に開示されているエポキシ官能性硫黄含有ポリホルマールプレポリマー及び米国特許第7,671,145号明細書に開示されているエポキシ官能性ポリチオエーテルプレポリマーが挙げられる。一般に、硬化剤として使用される場合、エポキシ官能性プレポリマーは、約2,000ダルトン未満、約1,500ダルトン未満、約1,000ダルトン未満、又は約500ダルトン未満の分子量を有する。
【0160】
ポリエポキシは、組成物の約0.5重量%〜約20重量%、約1重量%〜約10重量%、約2重量%〜約8重量%、約2重量%〜約6重量%、約3重量%で、若しくは約3重量%〜約5重量%で含まれていてもよく、ここで重量%は組成物の総固形分重量に基づく。
【0161】
チオール基を末端に有する反応性酸化防止剤を含有する組成物では、適切な硬化剤はまた、不飽和化合物、例えばポリオールのアクリル酸又はメタクリル酸エステル、不飽和合成又は天然樹脂化合物、トリアリルシアヌレート及びポリチオエーテルのような硫黄含有化合物のオレフィン末端誘導体である。
【0162】
アミン及び/又はヒドロキシル末端を有する反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有プレポリマーを含有する組成物において、組成物は、ジイソシアネート及び/又はトリイソシアネート硬化剤のようなイソシアネート硬化剤を含んでもよい。適切なイソシアネート硬化剤の例としては、トルエンジイソシアネート、及び前述のいずれかの組合せが挙げられる。イソシアネート硬化剤は市販されており、それらには、例えば商品名Baydur(登録商標)(バイエルマテリアルサイエンス)、Desmodur(登録商標)(バイエルマテリアルサイエンス)、Solubond(登録商標)(DSM社)、ECCO(社)、Vestanat(登録商標)(エボニック社)、Irodur(登録商標)(ハンツマン社)、Rhodocoat(商標)(パーストープ社)、及びVanchem(登録商標)(V.T.Vanderbilt社)の下での製品が含まれる。ポリイソシアネート硬化剤は、チオール基と反応性であり、マイケルアクセプタ基との反応性がより低いイソシアネート基を含むことができる。アミン基と反応性の有用な硬化剤の例としては、ポリマーポリイソシアネートが挙げられ、これらの非限定例としては、ウレタン連結(−NH−C(O)−O−)、チオウレタン連結(−NH−C(O)−S−)、チオカルバメート連結(−NH−C(S)−O−)、ジチオウレタン連結(−NH−C(S)−S−)、及びこれら前述のいずれかの組合せから選択される骨格連結を有するポリイソシアネートが挙げられる。
【0163】
イソシアネート硬化剤は、イソシアネート官能性ポリマーを含むことができる。適切なイソシアネート官能性ポリマーの例としては、米国特許出願公開第2012/0238708号明細書に開示されているイソシアネート官能性硫黄含有ポリホルマールポリマーが挙げられる。一般に、硬化剤として使用される場合、イソシアネート官能性ポリマーは、約2,000ダルトン未満、約1,500ダルトン未満、約1,000ダルトン未満、又は約500ダルトン未満の分子量を有することができる。
【0164】
そのような組成物において、イソシアネート硬化剤は、組成物の約0.5重量%〜約20重量%、約1重量%〜約10重量%、約2重量%〜約8重量%、約2重量%〜約6重量%、又は約3重量%〜約5重量%で含まれていてもよく、ここで重量%は組成物の総固形分重量に基づく。
【0165】
イソシアネート末端を有する酸化防止剤及び/又は酸化防止剤含有プレポリマーを有する組成物において、組成物は、アミン硬化剤を含んでいてもよい。イソシアネート基と反応性の有用な硬化剤の例としては、ジアミン、ポリアミン、ポリチオール、及びポリオール(本明細書に開示されるものを含む)が挙げられる。
【0166】
マイケルアクセプタ末端を有する反応性酸化防止剤及び/又は酸化防止剤含有プレポリマーを有する組成物において、組成物は、モノマーチオール、ポリチオール、ポリアミン、及びブロック化ポリアミンから選択される硬化剤を含んでいてもよい。
【0167】
ヒドロキシル基と反応性の有用な硬化剤の例としては、ジイソシアネート及びポリイソシアネートが挙げられ、その例は本明細書に開示される。
【0168】
アルケニル基と反応性の有用な硬化剤の例としては、ジチオール及びポリチオールが含まれ、その例は本明細書に開示される。
【0169】
本開示によって提供されるポリアルコキシシリル末端を有する反応性酸化防止剤及び酸化防止剤含有プレポリマーは、水の存在下で加水分解して、縮合による自己重合を誘発することができる。ポリアルコキシシリル末端を有するビス(スルホニル)アルカノール含有ポリチオエーテル又はポリアルコキシシリル末端を有する金属配位子含有プレポリマーと共に使用するための触媒には、オルガノチタン化合物、例えばテトライソプロポキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、チタンジ(イソプロポキシ)ビス(エチルアセトアセテート)、及びチタンジ(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトアセテート);有機スズ化合物、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズビスアセチルアセトアセテート及びオクチル酸スズ;金属ジカルボキシレート、例えばジオクチル酸鉛;有機ジルコニウム化合物、例えばジルコニウムテトラアセチルアセトネート;及び有機アルミニウム化合物、例えばアルミニウムトリアセチルアセトネートが含まれる。水分硬化のための適切な触媒の他の例としては、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセトネート)チタン、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)チタン及びジブトキシビス(メチルアセトアセトネート)チタンが挙げられる。ポリアルコキシシリル末端を有するビス(スルホニル)アルカノール含有ポリチオエーテル又はポリアルコキシシリル末端を有する金属配位子含有プレポリマーのための硬化剤は大気水分性であり得るので、ポリアルコキシシリル末端を有するビス(スルホニル)アルカノール含有ポリチオエーテル又はポリアルコキシシリル末端を有する金属配位子含有プレポリマーを含有する硬化性組成物に硬化剤を含ませる必要はないことが理解され得る。したがって、ポリアルコキシシリル末端を有する反応性酸化防止剤及び/又は酸化防止剤含有プレポリマー及びポリアルコキシシリル基のための硬化剤を含む組成物は、大気水分性という。
【0170】
エポキシ基を末端に有する反応性酸化防止剤及び/又は酸化防止剤含有プレポリマーを含む組成物において、適切な硬化剤は、ポリチオール、ポリアルキレン、又はポリアミンである。末端エポキシ基と反応性である有用な硬化剤の他の例としては、アミン、例えばジエチレントリアミン(DTA)、トリエチレンテトラミン(TTA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ジエチルアミノプロピルアミン(DEAPA)、N−アミノエチルピペラジン(N−AEP)、イソホロンジアミン(IPDA)、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS);芳香族アミン、ケチミン;ポリアミン;ポリアミド;フェノール樹脂;無水物、例えば無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、無水マレイン酸、無水テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、ポリメルカプタン;ポリスルフィド;及び当業者に既知の他の硬化剤が挙げられる。
【0171】
本開示によって提供される組成物は、化学量論の約90%〜約150%、約95%〜約125%、又は約95%〜約105%の選択された硬化剤の量を含有してもよい。
<追加の硫黄含有プレポリマー>
【0172】
本開示によって提供される組成物は、反応性酸化防止剤及び/又は酸化防止剤含有プレポリマーに加えて、1つ以上の追加の硫黄含有プレポリマーを含んでいてもよい。さらなる硫黄含有プレポリマーは、繰り返し単位中に少なくとも1つの硫黄原子を有する任意のプレポリマーであることができ、これらとしてはポリマーチオール、ポリチオール、チオエーテル、ポリチオエーテル、硫黄含有ポリホルマール、及びポリスルフィドが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合「チオール」は、チオール又はメルカプタン基、すなわち「SH」基を唯一の官能基として含む、又は他の官能基、例えばチオグリセロールの場合のようにヒドロキシル基と組み合わせて含む化合物を指す。ポリチオールは、ジチオール又はより高い官能価チオールのような1つより多いSH基を有するそのような化合物を指す。そのような基は、通常、それらが他の官能基と反応性である活性水素を有するように末端及び/又はペンダントである。ポリチオールは、末端及び/又はペンダント硫黄(−SH)及び非反応性硫黄原子(−S−又は−S−S−)の両方を含むことができる。したがって、ポリチオールという用語は、一般に、ポリチオエーテル及びポリスルフィドを包含する。
【0173】
本開示によって提供される組成物に有用な追加の硫黄含有プレポリマーの例としては、例えば、米国特許第6,172,179号明細書;米国特許第6,509,418号明細書;及び米国特許第7,009,032号明細書が挙げられる。本開示によって提供される組成物は、式(10)の構造を有する骨格を含むポリチオエーテルを含む:
−R
1−[−S−(CH
2)
2−O−[−R
2−O−]
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n− (10)
式中、R
1は、C
2−6アルカンジイル、C
6−8シクロアルカンジイル、C
6−10シクロアルカンアルカンジイル、−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(−CH
2−)
r−及び−[(−CH
2))
p−X−]
q−(−CH
2−)
r−から選択され、式中、少なくとも1つの−CH
2−単位はメチル基で置換されており;R
2は、C
2−6アルカンジイル、C
6−8シクロアルカンジイル、C
6−10シクロアルカンアルカンジイル、及び−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(−CH
2−)
r−から選択され;Xは、O、S、及び−NR
5−から選択され、式中、R
5は、水素及びメチルから選択され;mは0〜10の整数であり;nは1〜60の整数であり;pは2〜6の整数であり;qは1〜5の整数であり、rは2〜10の整数である。そのようなポリチオエーテルは、米国特許第6,172,179号明細書、第2欄29行〜第4欄34行に記載されている。
【0174】
1つ以上の追加の硫黄含有プレポリマーは、例えば3〜6個の末端基を有する二官能性又は多官能性、又は二官能性及び多官能性硫黄含有プレポリマーの混合物であってもよい。
【0175】
本開示によって提供される組成物は、本開示によって提供される反応性酸化防止剤及び/又は酸化防止剤含有プレポリマーを、約10重量%〜約90重量%、約20重量%〜約80重量%、約30重量%〜約70重量%、又は約40重量%〜約60重量%で含み、ここで重量%は、組成物のすべての不揮発性成分の総重量(すなわち、乾燥重量)に基づく。
【0176】
本開示によって提供される組成物は、反応性酸化防止剤、及び酸化防止剤を組み込まない硫黄含有プレポリマーを含有してもよい。組成物は、例えば、1重量%〜50重量%、1重量%〜30重量%、1重量%〜20重量%、又は1重量%〜10重量%の反応性酸化防止剤を含有してもよく、ここで重量%は、反応性酸化防止剤及び硫黄含有プレポリマーの総重量に基づく。
【0177】
反応性酸化防止剤及び/又は酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマーは、組成物の約50重量%〜約90重量%、約60重量%〜約90重量%、約70重量%〜約90重量%、又は約80重量%〜約90重量%で含まれていてもよく、ここで重量%は組成物の総乾燥固形分重量に基づく。
【0178】
硫黄含有プレポリマーは、ポリチオエーテル及びポリスルフィド、並びにそれらの組合せから選択できる。硫黄含有プレポリマーはポリチオエーテルを含むことができ、又は硫黄含有プレポリマーはポリスルフィドを含むことができる。硫黄含有プレポリマーは、異なるポリチオエーテル及び/又はポリスルフィドの混合物を含んでいてもよく、ポリチオエーテル及び/又はポリスルフィドは、同じ又は異なる官能価を有していてもよい。硫黄含有プレポリマーは、2〜6、2〜4、2〜3又は2.05〜2.5の平均官能価を有することができる。例えば、硫黄含有プレポリマーは、二官能性硫黄含有プレポリマー、三官能性硫黄含有プレポリマー、及びそれらの組合せから選択できる。
【0179】
本開示によって提供される組成物は、1つ以上の触媒を含み得る。触媒は、使用される硬化化学に適するように選択できる。例えば、チオール末端を有する酸化防止剤含有ポリチオエーテルプレポリマー及びポリエポキシドを硬化させる場合、触媒はアミン触媒であることができる。硬化触媒は、組成物の総重量に基づいて0.1〜5重量%の量で存在してもよい。適切な触媒の例としては、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO(登録商標)、Air Products,Chemical Additives Division,アレンタウン,ペンシルベニア州から市販)及びDMP−30(登録商標)(2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを含む促進剤組成物)が挙げられる。
【0180】
本開示によって提供される組成物は、1つ以上の接着促進剤を含むことができる。1つ以上の追加の接着促進剤は、組成物の総乾燥重量に基づいて、組成物の0.1重量%〜15重量%、5重量%未満、2重量%未満、又は1重量%未満の量で存在してもよい。接着促進剤の例としては、フェノール類、例えばMethylon(登録商標)フェノール樹脂、及びオルガノシラン、例えばエポキシ、メルカプト又はアミノ官能性シラン、例えばSilquest(登録商標)A−187及びSilquest(登録商標)A−1100が挙げられる。他の有用な接着促進剤は当該技術分野において既知である。
【0181】
本開示によって提供される組成物は、1つ以上の異なるタイプの充填剤を含んでいてもよい。適切な充填剤は当該技術分野において一般に既知のものを含み、これらには無機充填剤、例えばカーボンブラック及び炭酸カルシウム(CaCO
3)、シリカ、ポリマー粉末、及び軽量充填剤が含まれる。適切な軽量充填剤には、例えば、米国特許第6,525,168号明細書に記載されているものが含まれる。組成物は、組成物の総乾燥重量に基づいて、5重量%〜60重量%、10重量%〜50重量%、又は20重量%〜40重量%の充填剤又は充填剤の組合せを含むことができる。本開示によって提供される組成物は、1つ以上の着色剤、チキソトロープ剤、促進剤、難燃剤、接着促進剤、溶媒、マスキング剤、又は前述のいずれかの組合せをさらに含んでいてもよい。理解され得るように、組成物に使用される充填剤及び添加剤は、互いに適合し、並びにポリマー成分、硬化剤及び/又は触媒と適合するように選択されてもよい。非導電性充填剤の例としては、炭酸カルシウム、マイカ、ポリアミド、ヒュームドシリカ、モレキュラーシーブ粉末、ミクロスフェア、二酸化チタン、チョーク、アルカリブラック、セルロース、硫化亜鉛、重晶石、アルカリ土類酸化物、アルカリ土類水酸化物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0182】
本開示によって提供される組成物は、低密度充填剤粒子を含むことができる。本明細書で使用される場合、低密度は、そのような粒子に関して使用される場合、粒子が0.7以下、0.25以下、又は0.1以下の比重を有することを意味する。適切な軽量充填剤粒子は、しばしばミクロスフェア及びアモルファス粒子の2つのカテゴリーに分類される。ミクロスフェアの比重は、0.1〜0.7の範囲であってよく、例えばポリスチレンフォーム、ポリアクリレート及びポリオレフィンのミクロスフェア、及び5〜100ミクロンの範囲の粒径及び0.25の比重(Eccospheres(登録商標))を有するシリカミクロスフェアを含む。他の例としては、5〜300ミクロンの範囲の粒径及び0.7の比重を有するアルミナ/シリカミクロスフェア(Fillite(登録商標))、約0.45〜約0.7の比重を有するケイ酸アルミニウムミクロスフェア(Z−Light(登録商標)、比重0.13を有する炭酸カルシウムコーティングされたポリビニリデンコポリマーミクロスフェア(Dualite(登録商標)6001AE)、及び平均粒径約40μm及び密度0.135g/ccを有する炭酸カルシウムコーティングされたアクリロニトリルコポリマーミクロスフェア、例えばDualite(登録商標)E135(ヘンケル社)が挙げられる。組成物の比重を減少させるのに適した充填剤には、中空ミクロスフェア、例えばExpancel(登録商標)ミクロスフェア(アクゾノーベル社から入手可能)又はDualite(登録商標)低密度ポリマーミクロスフェア(ヘンケル社から入手可能)が含まれる。本開示によって提供される組成物は、米国特許出願公開第2010/0041839号明細書のパラグラフ[0016]〜[0052]に記載されているような薄いコーティングでコーティングされた外面を含む軽量充填剤粒子を含み、これらの引用部分は参照により本明細書に組み込まれる。
【0183】
組成物は、2重量%未満、1.5重量%未満、1.0重量%未満、0.8重量%未満、0.75重量%未満、0.7重量%未満、又は0.5重量%未満の低密度充填剤を含むことができ、ここで重量%は組成物の総乾燥固形分重量に基づく。
【0184】
本開示によって提供される組成物は、組成物の比重を低下させるのに有効な少なくとも1つの充填剤を含むことができる。組成物の比重は、0.8〜1、0.7〜0.9、0.75〜0.85であり、又は0.8とすることができる。組成物の比重は、約0.9未満、約0.8未満、約0.75未満、約0.7未満、約0.65未満、約0.6未満、又は約0.55未満である。
【0185】
本開示によって提供される組成物は、導電性充填剤を含むことができる。伝導性材料をポリマー内に組み込むことによって、導電性及びEMI/RFI遮蔽効果を組成物に付与することができる。伝導性要素は、例えば、金属又は金属メッキされた粒子、布地、メッシュ、繊維、及びそれらの組合せを含むことができる。金属は、例えば、フィラメント、粒子、フレーク、又は球体の形態であることができる。金属の例としては、銅、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、及び鋼が挙げられる。ポリマー組成物に導電性及びEMI/RFI遮蔽効果を付与するために使用することができる他の伝導性材料には、カーボン又はグラファイトを含む伝導性粒子又は繊維が含まれる。また、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)ビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレン、及びポリアセチレンなどの伝導性ポリマーを使用できる。導電性充填剤にはまた、硫化亜鉛及び無機バリウム化合物などの高バンドギャップ材料が含まれる。
【0186】
導電性充填剤の他の例としては、導電性貴金属系充填剤、例えば純粋な銀;貴金属メッキされた貴金属、例えば銀メッキされた金;貴金属メッキされた非貴金属、例えば銀メッキされた銅、ニッケル又はアルミニウム、例えば銀メッキされたアルミニウムコア粒子又は白金メッキされた銅粒子;貴金属メッキされたガラス、プラスチック又はセラミック、例えば銀メッキされたガラスミクロスフェア、貴金属メッキされたアルミニウム又は貴金属メッキされたプラスチックミクロスフェア;貴金属メッキされた雲母;及び他のこうした貴金属伝導性充填剤が挙げられる。非貴金属系材料も使用することができ、それらには、例えば非貴金属メッキされた非貴金属、例えば銅コーティング鉄粒子又はニッケルメッキ銅;非貴金属、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト;非金属メッキされた非金属、例えばニッケルメッキされたグラファイト、及び非金属材料、例えばカーボンブラック及びグラファイトが含まれることができる。所望の伝導率、EMI/RFI遮蔽効果、硬度、及び特定の用途に適した他の特性を満たすために、導電性充填剤の組合せを使用することもできる。
【0187】
本開示の組成物に使用される導電性充填剤の形状及びサイズは、硬化した組成物に導電性及びEMI/RFI遮蔽効果を付与するための任意の適切な形状及びサイズであることができる。例えば、充填剤は、球状、フレーク、小板、粒子、粉末、不規則、繊維などの導電性充填剤の製造に一般的に使用される任意の形状のものであることができる。本開示の特定のシーラント組成物において、ベース組成物は、粒子、粉末又はフレークとしてのNiコーティングされたグラファイトを含むことができる。ベース組成物中のNiコーティングされたグラファイトの量は、ベース組成物の総重量に基づいて、40重量%〜80重量%の範囲であることができ、又は50重量%〜70重量%の範囲であることができる。導電性充填剤はNi繊維を含むことができる。Ni繊維は、10μm〜50μmの範囲の直径を有し、250μm〜750μmの範囲の長さを有することができる。ベース組成物は、例えば、ベース組成物の総重量に基づいて、2重量%〜10重量%、又は4重量%〜8重量%の範囲のNi繊維の量を含むことができる。
【0188】
本開示の組成物に導電性を付与するために、炭素繊維、特に黒鉛化炭素繊維も使用することができる。気相熱分解法により形成され、熱処理によって黒鉛化され、0.1ミクロンから数ミクロンの範囲の繊維直径を有する中空又は中実の炭素繊維は、高い導電性を有する。米国特許第6,184,280号明細書に開示されているように、0.1μm未満から数十ナノメートルの外径を有するカーボンマイクロファイバ、ナノチューブ又はカーボンフィブリルを導電性充填剤として使用することができる。本開示の伝導性組成物に適した黒鉛化炭素繊維の例としては、0.00055Ω−cmの電気抵抗率を有する直径0.921μmの円形繊維であるPanex(登録商標)3OMF(Zoltek Companies,Inc.,セントルイス,ミズーリ州)が挙げられる。
【0189】
導電性充填剤の平均粒径は、ポリマー系組成物に導電性を付与するのに有用な範囲内にあることができる。例えば、1つ以上の充填剤の粒径は、0.25μm〜250μmの範囲であることができ、0.25μm〜75μmの範囲であることができ、又は0.25μm〜60μmの範囲であることができる。本開示によって提供される組成物は、Ketjenblack(登録商標)EC−600JD(アクゾノーベル社,シカゴ,イリノイ州)、1000mg/g〜11,500mg/g(J0/84−5試験法)のヨウ素吸収、及び480cm
3/100g〜510cm
3/100g(DBP吸収、KTM81−3504)の細孔容積を特徴とする導電性カーボンブラックを含むことができる。導電性カーボンブラック充填剤は、Black Pearls(登録商標)2000(キャボットコーポレーション,ボストン,マサチューセッツ州)である。
【0190】
本開示の組成物の導電性を付与する、又は導電性を変更するために、導電性ポリマーを使用することができる。ポリフェニレンスルフィド及びポリチオフェンのような、芳香族基に又は二重結合に隣接して組み込まれた硫黄原子を有するポリマーは、導電性であることが知られている。他の導電性ポリマーには、例えば、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)ビニレン、及びポリアセチレンが含まれる。ベース組成物を形成する硫黄含有プレポリマーは、ポリスルフィド及び/又はポリチオエーテルであることができる。このように、硫黄含有プレポリマーは、本開示の組成物の導電性を高めるために、共役二重結合に隣接する芳香族硫黄基及び硫黄原子を含むことができる。
【0191】
本開示の組成物は、2つ以上の導電性充填剤を含むことができ、2つ以上の導電性充填剤は、同じ又は異なる材料及び/又は形状を有することができる。例えば、シーラント組成物は、導電性Ni繊維、及び粉末、粒子又はフレークの形態の導電性Niコーティングされたグラファイトを含むことができる。導電性充填剤の量及びタイプは、硬化したときに0.50Ω/cm
2未満のシート抵抗(4点抵抗)又は0.15Ω/cm
2未満のシート抵抗を示すシーラント組成物を製造するように選択することができる。充填剤の量及び種類は、本開示のシーラント組成物を用いてシールされたアパーチャに対して1MHz〜18GHzの周波数範囲にわたって効果的なEMI/RFI遮蔽を提供するように選択することもできる。
【0192】
導電性ベース組成物は、ベース組成物の総重量に基づいて2重量%〜10重量%の範囲の量の非導電性充填剤を含むことができ、又は3重量%〜7重量%の範囲であることができる。硬化剤組成物は、硬化剤組成物の総重量に基づいて、6重量%未満の範囲又は0.5重量%〜4重量%の範囲の量の非導電性充填剤を含むことができる。
【0193】
本開示の異種金属表面及び伝導性組成物の電解腐食は、腐食防止剤を組成物に添加することによって、及び/又は適切な伝導性充填剤を選択することによって、最小化又は防止することができる。腐食防止剤は、ストロンチウムクロメート、カルシウムクロメート、マグネシウムクロメート、及びそれらの組合せを含むことができる。米国特許第5,284,888号明細書及び米国特許第5,270,364号明細書は、アルミニウム及び鋼表面の腐食を抑制するための芳香族トリアゾールの使用を開示している。腐食防止剤としては、Znなどの犠牲酸素捕捉剤を使用できる。腐食防止剤は、導電性組成物の総重量の10重量%未満を構成することができる。腐食防止剤は、導電性組成物の総重量の2重量%〜8重量%の範囲の量を含むことができる。異種金属表面間の腐食はまた、組成物を含む導電性充填剤の種類、量及び特性の選択によって最小化又は防止することができる。
【0194】
組成物はまた、所望により任意の数の添加剤を含んでいてもよい。適切な添加剤の例としては、可塑剤、顔料、界面活性剤、接着促進剤、チキソトロピー剤、難燃剤、マスキング剤、及び促進剤(例えば1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、DABCO(登録商標)を含むアミン)及び前述のいずれかの組合せが挙げられる。使用される場合、添加剤は、組成物中に、例えば約0.5重量%〜60重量%の範囲の量で存在してもよく、ここで重量%は組成物の総固形分重量に基づく。添加剤は、約25重量%〜60重量%の範囲の量で組成物中に存在してもよい。
<使用>
【0195】
本開示によって提供される組成物は、例えば、シーラント、コーティング、封入剤、及びポッティング組成物において使用されてもよい。シーラントは、水分及び温度などの動作条件に抵抗する能力を有し、水、燃料及び他の液体及び気体などの材料の透過を少なくとも部分的に遮断するフィルムを製造することができる組成物を含む。コーティング組成物は、例えば外観、接着性、濡れ性、耐腐食性、耐摩耗性、耐燃料性及び/又は耐摩耗性などの基材の特性を改善するために基材の表面に適用される被覆を含む。ポッティング組成物は、衝撃及び振動に対する耐性を提供し、水分及び腐食剤を排除するために電子アセンブリに有用な材料を含む。本開示によって提供されるシーラント組成物は、例えば航空宇宙シーラント及び燃料タンクのためのライニングとして有用である。
【0196】
シーラントなどの組成物は、2液型組成物のようなマルチパック組成物として提供されてもよく、ここで1つのパッケージは本開示によって提供される1つ以上の反応性酸化防止剤及び/又は酸化防止剤含有プレポリマーを含み、第2のパッケージは、本開示によって提供される1つ以上の多官能性硫黄含有エポキシを含む。添加剤及び/又は他の材料は、所望により又は必要に応じていずれかのパッケージに添加されてもよい。2つのパッケージは、使用する前に組み合わせて混合されてもよい。1つ以上の混合反応性酸化防止剤及び/又は酸化防止剤含有プレポリマー及びエポキシドのポットライフは、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも2時間又は2時間超過であり、ここでポットライフとは、混合された組成物が混合後のシーラントとしての使用に適したままである期間を指す。
【0197】
本開示によって提供されるシーラントを含む組成物は、様々な基材のいずれかに適用されてもよい。組成物が適用され得る基材の例としては、金属、例えばチタン、ステンレス鋼、アルミニウム、及びそれらの合金(そのいずれもが陽極酸化され、下塗りされ、有機コーティング又はクロメートコーティングされてもよい);エポキシ;ウレタン;グラファイト;ガラス繊維複合材;Kevlar(登録商標);アクリル;ポリカーボネートが挙げられる。本開示によって提供される組成物は、ポリウレタンコーティングなどの基材上のコーティングに適用されてもよい。本開示によって提供される酸化防止剤含有ポリチオエーテル又は酸化防止剤含有プレポリマーを含む組成物は、酸化防止剤を含まない同様の組成物と比較して、アルミニウム、酸化アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、チタン、酸化チタン及び/又はAlodine(登録商標)表面に対して向上した接着性を示す。
【0198】
本開示によって提供される組成物は、当業者に既知のいずれかの適切なコーティングプロセスによって、基材の表面上又は下地層上に直接適用されてもよい。
【0199】
さらに、本開示によって提供される組成物を用いて部品をシールするための方法が提供される。これらの方法は、例えば、本開示によって提供される組成物を部品の表面に適用し、組成物を硬化させることを含む。例えば、部品をシールする方法は、本開示によって提供される反応性酸化防止剤又は酸化防止剤含有プレポリマーを含む硬化性組成物を調製する工程、硬化性組成物を部品に適用する工程、及び硬化性組成物を硬化させて部品をシールする工程を含む。
【0200】
本開示のシーラント組成物でシールされた部品が提供される。
【0201】
組成物は周囲条件下で硬化されてもよく、ここで周囲条件は20℃〜25℃の温度及び大気湿度を指す。組成物は、0℃〜100℃の温度及び0%の相対湿度から100%の相対湿度の湿度を包含する条件下で硬化させてもよい。組成物は、少なくとも30℃、少なくとも40℃、又は少なくとも50℃などのより高い温度で硬化させてもよい。組成物は室温、例えば25℃で硬化させてもよい。組成物は、紫外線のような化学線への曝露時に硬化されてもよい。また、理解されるように、本方法は、航空機及び航空宇宙機を含む航空宇宙機のアパーチャをシールするために使用されてもよい。
【0202】
組成物は、約200°F未満の温度で、約2時間未満、約4時間未満、約6時間未満、約8時間未満、又は約10時間未満で不粘着性硬化を達成することができる。
【0203】
本開示の硬化性組成物を使用して存続可能なシールを形成する時間は、当業者によって理解でき、適用可能な規格及び仕様書の要件によって定義されるように、いくつかの要因に依存し得る。一般に、本開示の硬化性組成物は、24時間〜30時間以内に接着強度を生じ、完全な接着強度の90%が、混合及び表面への適用後2日〜3日で生じる。一般に、本開示の硬化組成物の完全な接着強度並びに他の特性は、硬化性組成物の混合及び表面への適用後7日以内に完全に生じる。
【0204】
硬化シーラントのような本明細書に開示される硬化組成物は、航空宇宙用途における使用に許容される特性を示す。一般に、航空及び航空宇宙用途に使用されるシーラントは、以下の特性を示すことが望ましい:ジェット基準液(Jet Reference Fluid)(JRF)タイプIに7日間浸漬した後及びAMS3265B試験仕様書に従って3%NaClの溶液に浸漬した後、乾燥条件下で決定された航空宇宙材料仕様書(Aerospace Material Specification)(AMS)3265B基材上のリニアインチあたり(pli)20ポンドを超える剥離強度;平方インチあたり(psi)300ポンド〜400psiの引張強度;リニアインチあたり(pli)50ポンドを超える引裂強度;250%〜300%の伸び;及び40デュロメータAを超える硬度。航空及び航空宇宙用途に適したこれら及びその他の硬化シーラント特性は、AMS3265Bに開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。硬化された場合、航空及び航空宇宙用途に使用される本開示の組成物は、JRFタイプIにおいて60℃(140°F)及び周囲圧力で1週間浸漬した後に25%以下の体積膨潤%を示すことも望ましい。他の特性、範囲、及び/又は閾値は、他のシーラント用途に適切であり得る。
【0205】
本開示によって提供される組成物は、耐燃料性であることができる。本明細書で使用される場合、「耐燃料性」(“fuel resistant”)という用語は、組成物が基材に適用され、硬化される場合、ASTM D792(米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials))又はAMS3269(航空宇宙材料仕様書(Aerospace Material Specification))に記載されている方法と同様の方法に従って、140°F(60℃)及び周囲圧力で1週間、ジェット基準液(JRF)タイプIに浸漬した後に、40%以下、場合によっては25%以下、場合によっては20%以下、さらに他の場合では10%以下のパーセント体積膨潤を示すシーラントなどの硬化生成物を提供することができる。ジェット基準液JRFタイプIは、耐燃料性の測定に使用されるように、以下の組成を有する:トルエン:28体積%±1体積%;シクロヘキサン(テクニカル):34体積%±1体積%;イソオクタン:38体積%±1体積%;及び三級ジブチルジスルフィド:1体積%±0.005体積%(AMS2629、1989年7月1日発行、§3.1.1など、SAE(自動車技術協会(Society of Automotive Engineers))から入手可能)を参照のこと)。
【0206】
本明細書で提供される組成物は、AMS3279、§3.3.17.1、試験手順AS5127/1、§7.7に記載の手順に従って測定した場合、少なくとも100%の伸び及び少なくとも400psiの引張強度を示すシーラントなどの硬化生成物を提供することができる。
【0207】
組成物は、シーラントなどの硬化生成物を提供することができ、これは、SAEAS5127/1パラグラフ7.8に記載されている手順に従って測定される場合、200psiを超える、例えば少なくとも220psi、少なくとも250psi、及び場合によっては少なくとも400psiの重ね剪断強度を示す。
【0208】
本開示によって提供される組成物を含む硬化シーラントは、AMS3277に示されるような航空宇宙シーラントの要件を満たすか又は超えることができる。
【0209】
本開示によって提供される組成物でシールされた航空宇宙機のアパーチャを含むアパーチャも開示される。
【0210】
本開示によって提供される硬化したシーラントは、室温で2日間、140°Fで1日及び200°Fで1日硬化させた場合、以下の特性を示すことができる:乾燥硬度49、引張強度428psi、及び266%の伸び;及びJRFタイプIで7日後に、硬度36、引張強度312psi及び伸び247%。
【0211】
本開示によって提供される組成物は、10より大きい、20より大きい、30より大きい、又は40より大きいショアA硬度(7日間の硬化);10psiより大きい、100psiより大きい、200psiより大きい又は500psiより大きい引張強度;100%より大きい、200%より大きい、500%より大きい、又は1,000%より大きい伸び;20%未満のJRFタイプI(7日間)に曝された後の膨潤を示すことができる。
【実施例】
【0212】
特定の反応性酸化防止剤及び酸化防止剤含有硫黄含有プレポリマー、反応性酸化防止剤及び/又は酸化防止剤含有硫黄含有プレポリマーを含む組成物、並びに反応性酸化防止剤及び/又は酸化防止剤含有硫黄含有プレポリマーを含む組成物を用いて調製された硬化シーラントの合成、特性及び使用を記載する以下の実施例を参照して本発明の態様をさらに説明する。本開示の範囲から逸脱することなく、材料及び方法の両方に対する多くの変更が実施され得ることは、当業者には明らかである。
[実施例1]
<1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン(DMDO)及び3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド半水和物;ジチオールアルデヒド比:2:1から調製された硬化性反応性酸化防止剤の合成>
【化3】
【0213】
100mLの3つ口丸底フラスコに、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド半水和物(9.07g、0.037モル)、固体酸触媒Amberlyst(登録商標)15(1.02g)及びテトラヒドロフラン(THF;18g)を入れた。このフラスコに、機械的撹拌機、ガスアダプタ及び温度プローブを装備した。撹拌しながら、DMDO(13.58g;0.074モル)を不均質溶液(温度19.2℃)に添加した。穏やかな発熱がすぐに始まり、固体は消え始めた。30分後、温度は30℃に上昇し、反応混合物は暗赤色で均質になった。さらに4時間撹拌した後、上清溶液のIR分析により、アルデヒドシグナル(1666cm
−1)が存在しないことが確認された。
【0214】
反応混合物をさらに室温で17時間撹拌した。フラスコに還流冷却器を装備し、内容物を次に66℃で9時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を焼結漏斗で濾過した(多孔度:5ミクロン)。残留揮発性物質を除去して、表題化合物を赤色液体として得た(メルカプタン当量:240;粘度:4.75P;理論官能価:2.0)。
[実施例2]
<DMDO及び3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド半水和物;ジチオールアルデヒド比:3:2から調製された硬化性反応性酸化防止剤(MW:998)の合成>
【化4】
【0215】
100mLの3つ口丸底フラスコに、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド半水和物(9.73g、0.04モル)、固体酸触媒Amberlyst(登録商標)15(0.93g)及びテトラヒドロフラン(20g)を入れた。このフラスコに、磁性撹拌棒、ガスアダプタ及び温度プローブを装備した。撹拌しながら、DMDO(10.94g;0.06モル)を不均質溶液(温度:19℃)に添加した。穏やかな発熱がすぐに始まり、固体は消え始めた。5分以内に、温度は30℃に上昇し、反応混合物は暗赤色で均質になった。さらに17時間撹拌した後、上清溶液のIR分析により、アルデヒドシグナル(1666cm
−1)が存在しないことが確認された。
【0216】
このフラスコに還流冷却器を装備した。反応混合物を66℃で14時間加熱し、室温に冷却し、焼結漏斗(多孔度:5ミクロン)で濾過した。揮発性物質を除去すると、表題化合物が粘性のある赤色液体として得られた(メルカプタン当量:495;粘度:358P;理論官能価:2.0)。
[実施例3]
<トリアリルシアヌレート(TAC)及びDMDOからのトリチオールの合成>
【化5】
【0217】
トリアリールシアヌレート(TAC)(49.86g;0.02モル)を250mLの3つ口丸底フラスコに入れた。このフラスコに、機械的撹拌機及びガスアダプタを装備した。内容物を窒素でフラッシュした。撹拌しながら、DMDOを添加し、内容物を2.5時間撹拌した。
【0218】
反応混合物を70℃に加熱し、5部のラジカル開始剤Vazo(登録商標)−67(各0.029g;0.00015モル)を1時間間隔で添加した。反応混合物の排気(70℃/17mmで2時間)により、透明な液体トリチオール(メルカプタン当量277、粘度55P)として表題化合物を得た。
[実施例4]
<トリチオール及び3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド半水和物から調製した四官能性反応性酸化防止剤の合成>
【化6】
【0219】
実施例3のトリチオール(75.99g、0.091mol)及び酸触媒Amberlyst(登録商標)15(3.92g)を、250mLの3つ口丸底フラスコに入れた。このフラスコに、機械的撹拌機及びガスアダプタを装備した。内容物を窒素でフラッシュし、フラスコに温度プローブを装備した。撹拌しながら、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド半水和物(11.13g、0.0457モル)を分割して導入した(温度:19.2℃)。テトラヒドロフラン(47g)を使用して、固体アルデヒドを反応混合物に洗浄した。固体は1.5時間で溶解した。
【0220】
反応混合物を室温で15時間撹拌し、反応混合物の粘度を高めた。フラスコに還流冷却器を装備し、66℃に加熱した。55℃で、反応混合物はスターラーシャフトに沿って巻き上がり始めた。テトラヒドロフラン(40g)を導入して、反応混合物の粘度を低下させた。反応混合物中に固体材料の小さなボールが観察され、断片に分解された。混合物を66℃で10時間反応させた。室温に冷却した後、反応混合物を焼結漏斗で濾過した(多孔度:約4.5〜5ミクロン)。テトラヒドロフラン(4部;各25mL)を使用して、触媒ビーズ及び濾過アセンブリを洗浄した。上清を濾液と合わせた。揮発性物質を除去した後、表題化合物を淡褐色の濁った固体として得た(メルカプタン当量427;理論官能価4.0)。濁りは、非常に微細なオフホワイトの固体粒子の存在に関連していた。
[実施例5]
<3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド半水和物及びジチオール(DMDO)とトリチオールとの混合物から調製された三官能性反応性酸化防止剤の合成>
【化7】
【0221】
実施例3のトリチオール(38g、0.0457モル)、DMDO(8.34g、0.0457モル)及び酸触媒Amberlyst(登録商標)15(2.21g)を、250mLの3つ口丸底フラスコに入れた。このフラスコに、機械的撹拌機、ガスアダプタ及び温度プローブを装備した。撹拌しながら、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド半水和物(11.13g、0.0457モル)を少しずつ導入した(温度:24℃)。テトラヒドロフラン(26g)を用いて固体アルデヒドを反応混合物に洗浄した。
【0222】
撹拌の2時間後に固体アルデヒドが溶解した。混合物をさらに16時間反応させた。フラスコに還流冷却器を装備し、内容物を66℃で16時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を焼結漏斗で濾過した(多孔度:約4.5〜5ミクロン)。テトラヒドロフラン(3部;各25mL)を使用して、ビーズ及び濾過アセンブリを洗浄した。上清を濾液と合わせた。揮発性物質を除去して、表題化合物を、非常に微細なオフホワイト色の固体粒子を含有する淡褐色の濁った固体(メルカプタン当量429;理論的官能価3.0)として得た。
[実施例6]
<2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド及びDMDOから調製された二官能性反応性酸化防止剤の合成>
【化8】
【0223】
50mLの3つ口丸底フラスコに、Amberlyst(登録商標)15(0.77g)、2,3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(5.09g、0.033モル)及びTHF(9.0g)を入れた。このフラスコに、磁気撹拌棒及びガスアダプタ及び温度プローブを装備した。
【0224】
ほとんどのアルデヒドは、撹拌の1/2時間後に溶解した。DMDO(12.03g;0.066モル)を、テトラヒドロフラン(1.17g)を用いて不均質溶液に添加した(温度:18.4℃)。穏やかな発熱がすぐに始まり、温度は15分で34℃に達した。さらに20時間撹拌した後、上清溶液のIR分析により、アルデヒドシグナル(1646cm
−1)が存在しないことが確認された。
【0225】
フラスコに還流冷却器を装備し、内容物を66℃で9時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を焼結漏斗で濾過した(多孔度:5ミクロン)。揮発性物質の除去により、赤色の粘性液体(粘度:574P;理論的官能価:2.0)が得られた。当量は溶解性が低いため決定できなかった。しかし、エポキシ促進剤で生成物を硬化させると(250の理論当量に基づいて)、硬化した試験片が得られた;硬度(24時間):84ショアA
[比較例7]
<酸化防止剤を使用しない硬化シーラント>
【0226】
Base5312(165g)(PR−2001 B−2,Part B、PRC−DeSoto International,Inc.から入手可能な充填チオール末端ポリチオエーテル、30〜60重量%のチオール末端ポリチオエーテル、30〜60重量%の炭酸カルシウム、1〜10重量%の水酸化アルミニウム)及びEpoxy S−5304(30.53g)(PR−2001 B−2,Part A:PRC−DeSoto International,Incから入手可能なエポキシ樹脂混合物;30〜60重量%の石灰岩、10〜30重量%のエピクロロヒドリン、フェノール−ホルムアルデヒドのポリマー、10〜30重量%のビスフェノールA/エピクロロヒドリン系エポキシ樹脂、1〜10重量%の水素化ターフェニル)を200gの混合カップに入れた。内容物を混合し(手動で混合し、さらにHauschildミキサで30秒間混合する2サイクル)、引張/伸び流出物を製造した。6日/室温及び1日/140°Fで硬化させた後、引張/伸び試験片を流出物から切断した。硬度、引張及び伸びは、曝露(燃料/熱)及び曝露前試験片で測定した。曝露サイクル:燃料(JRFタイプIに3日間浸漬/140°Fで浸漬);熱(3日/120°F、7日/300°F及び24時間/室温)。
[比較例8]
<酸化防止剤Irganox(登録商標)1010を含有する硬化シーラント>
【0227】
Irganox(登録商標)1010(3.13gのアセトン中に3.13g)及びBase5312(165g)の溶液を200gの混合カップに入れた。内容物をHauschildミキサで最初に30秒間混合し、次いで4分間サイクルの間混合した。Epoxy S−5304(30.53g)を添加し、内容物を混合し(手動で混合し、さらにHauschildミキサで30秒間混合する2サイクル)、引張/伸びの流出物を製造した。6日/室温及び1日/140°Fの硬化サイクル後、引張/伸び試験片を流出物から切断した。硬度、引張及び伸びは、曝露(燃料/熱)及び未曝露の試験片で測定した。曝露サイクル:燃料(JRFタイプIに3日間浸漬/140°Fで浸漬);熱(3日/120°F、7日/300°F及び24時間/室温)。
[実施例9]
<実施例1の反応性酸化防止剤を含有する硬化シーラント>
【0228】
Base5312(100g)及び実施例1の反応性酸化防止剤(10.81g)を200gの混合カップに入れ、内容物をHauschildミキサで30秒間混合した。内容物を手動で混合し、さらにHauschildミキサで30秒間混合した。Epoxy S−5304(45.46g)を添加し、内容物を混合し(手動で混合し、Hauschildミキサでさらに30秒間混合する2サイクル)、引張/伸び流出物を製造した。2日/室温及び1日/140°Fで硬化させた後、引張/伸び試験片を流出物から切断した。硬度、引張及び伸びは、曝露(燃料/熱)及び未曝露の試験片で測定した。曝露サイクル:燃料(JRFタイプIに3日間浸漬/140°F);熱(3日/120°F、7日/300°F、24時間/室温、6時間/400°F)。
【0229】
実施例7、8及び9の硬化シーラントの特性を表1に示す。
【表1】
【0230】
実施例1の反応性酸化防止剤を含有する実施例9のシーラントは、熱応力に曝された後の硬度、引張強度及び伸びの改善された保持を示した。
【0231】
最後に、本明細書に開示された実施形態を実施する代替の方法があることに留意すべきである。したがって、本実施形態は例示的なものであり、限定的なものではないと考えられるべきである。さらに、特許請求の範囲は、本明細書に与えられた詳細に限定されるものではなく、その完全な範囲及びその均等物について認められる。
反応性酸化防止剤であって、反応性酸化防止剤は、式(1a)の構造を有する反応性酸化防止剤、式(1b)の構造を有する反応性酸化防止剤、式(1c)の構造を有する反応性酸化防止剤、又は前記いずれかの組合せを含み、
R6−S−[−R3−S−L’−S−]k−R3−S−R6 (1a)
{R6−S−[−R3−S−L’−S−]k−R3−S−V’−}zB (1b)
{R7−S−[−R3−S−L’−S−]k−R3−S−V’−}{R6−S−[−R3−S−L’−S−]k−R3−S−V’−}z−1B (1c)
[式中、
各kは、独立して、0〜10であり、少なくとも1つのkは0ではなく、
各R6は水素であるか、又は末端反応性基を有する部分を含み、
各R3は、独立して、式(2)の部分を含み、
−R1−[−S−(CH2)2−O−(R2−O)m−(CH2)2−S−R1−]n− (2)
{式中、
nは0〜60の整数であり、
各R1は、独立して、C2−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−10アルカンシクロアルカンジイル、C5−8ヘテロシクロアルカンジイル、−[(−CHR−)p−X−]q−(−CHR−)r−を含み、
pは2〜6の整数であり、
qは1〜5の整数であり、
rは2〜10の整数であり、
各Rは、独立して、水素又はメチルを含み、
各Xは、独立して、−O−、−S−又は−NR−を含み、Rは水素又はメチルを含み}、
各R2は、独立して、C1−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−14アルカンシクロアルカンジイル、又は−[(−CHR−)p−X−]q−(−CHR−)r−を含み、p、q、r、R及びXは、R1について定義したとおりであり、
mは0〜50の整数であり、
各−L’−は、酸化防止剤含有前駆体Lから誘導され、
酸化防止剤含有前駆体Lは、酸化防止剤部分及びチオール基と反応性の少なくとも1つの基を含み、
Bは、z価の多官能化剤B(−V)zのコアを表し、
zは3〜6の整数であり、
各−Vは、末端チオール基と反応性の末端基を含む部分であり、
各−V’−は、−Vとチオール基との反応から誘導され、
R7は、{−V’−}{R6−S−[−R3−S−L’−S−]k−R3−S−V’−}z−1Bである]
である、上記反応性酸化防止剤。
Lが、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載の反応性酸化防止剤。
酸化防止剤含有前駆体が、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、又はそれらの組合せを含む、請求項8に記載の反応性酸化防止剤。
チオール末端を有する含有プレポリマーが、式(7a)のチオール末端ポリチオエーテル、式(7b)のチオール末端ポリチオエーテル、又はそれらの組合せを含む、組成物であって、
HS−R1−[−S−(CH2)2−O−(R2−O)m−(CH2)2−S−R1−]n−SH (7a)
{HS−R1−[−S−(CH2)2−O−(R2−O)m−(CH2)2−S−R1−]n−S−V’−}zB (7b)
[式中、
各R1は、独立して、C2−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−10アルカンシクロアルカンジイル、C5−8ヘテロシクロアルカンジイル又は−[(−CHR−)p−X−]q−(−CHR−)r−を含み、
{式中、
pは2〜6の整数であり、
qは1〜5の整数であり、
rは2〜10の整数であり、
各Rは、独立して、水素又はメチルを含み、
各Xは、独立して、−O−、−S−又は−NR−を含み、Rは水素及びメチルから選択され}、
各R2は、独立して、C1−10アルカンジイル、C6−8シクロアルカンジイル、C6−14アルカンシクロアルカンジイル又は−[(−CHR−)p−X−]q−(−CHR−)r−を含み、p、q、r、R及びXは、R1について定義したとおりであり、
mは0〜50の整数であり、
nは0〜60の整数であり、
Bはz価の多官能化剤B(−V)zのコアを表し、
zは3〜6の整数であり、
各Vは、末端チオール基と反応性の末端基を含む部分であり、
各−V’−は、−Vとチオールとの反応から誘導される]
である、請求項16に記載の組成物。