特表2018-532923(P2018-532923A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-532923(P2018-532923A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(54)【発明の名称】エンジン装置の駆動システム
(51)【国際特許分類】
   F02B 67/06 20060101AFI20181012BHJP
   B60K 25/06 20060101ALI20181012BHJP
   F16H 3/52 20060101ALI20181012BHJP
   F16D 11/10 20060101ALI20181012BHJP
   F16D 25/08 20060101ALI20181012BHJP
【FI】
   F02B67/06 E
   B60K25/06
   F16H3/52
   F16D11/10 C
   F16D25/08 Z
   F02B67/06 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-504177(P2018-504177)
(86)(22)【出願日】2015年7月29日
(85)【翻訳文提出日】2018年2月8日
(86)【国際出願番号】IB2015001819
(87)【国際公開番号】WO2017017492
(87)【国際公開日】20170202
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(72)【発明者】
【氏名】ブーテ,ヤン
【テーマコード(参考)】
3D037
3J056
3J057
3J528
【Fターム(参考)】
3D037CA09
3D037CB09
3D037CB12
3D037CB31
3J056AA03
3J056BE30
3J056CC03
3J057AA03
3J057BB01
3J057GA80
3J057HH10
3J528EA22
3J528FB04
3J528FC13
3J528FC23
3J528GA01
3J528HA23
3J528JA01
3J528JK02
3J528JL02
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、エンジンクランクシャフト(5)に接続された第1の連結要素(25)と、電気機械(6)及び少なくとも1つのアクセサリ(7)に対して駆動可能に接続されたアクセサリプーリ(9)に接続された第2の連結要素(21)と、第3の連結要素(22)とを含む遊星歯車装置等の歯車減速機構(20)を備えた、エンジン装置(2)の駆動システム(1)に関する。フリーホイール(30)は、エンジン装置の非回転部品(16)に接続される。駆動システムの第1の動作段階において、フリーホイールは、第3の連結要素に連結され、第3の連結要素がフリーホイールに対して一方向にトルクを付与するとき、フリーホイールが係合状態となって第3の連結要素の回転を停止し、第3の連結要素がフリーホイールに対して反対方向にトルクを付与するとき、フリーホイールがフリー状態となって第3の連結要素を回転させるように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つの別個の回転可能な連結要素を有し、搭載位置において、エンジンクランクシャフト(5)に接続された第1の連結要素(25)と、電気機械(6)及び少なくとも1つのアクセサリ(7)に対して駆動可能に接続されたアクセサリプーリ(9)に接続された第2の連結要素(21)と、第3の連結要素(22)と、を有する歯車減速機構(20)を備え、前記連結要素の回転速度は、相互依存するものの、互いに関連した固定の比率を有さない、エンジン装置(2)の駆動システム(1)であって、
前記搭載位置において、前記エンジン装置の非回転部品(16)に接続されたフリーホイール(30)をさらに備え、前記第3の連結要素は、第1の動作段階において、前記フリーホイール(30)に連結されるように構成され、
前記第1の動作段階において、前記フリーホイール(30)は、前記第3の連結要素(22)が前記フリーホイール(30)に対して一方向にトルクを付与するとき、前記フリーホイール(30)が係合状態となって前記第3の連結要素(22)の回転を停止し、前記第3の連結要素(22)が前記フリーホイール(30)に対して反対方向にトルクを付与するとき、前記フリーホイール(30)がフリー状態となって前記第3の連結要素(22)を回転させるように構成された、ことを特徴とする駆動システム。
【請求項2】
前記第3の連結要素(22)は、さらに、第2の動作段階において、前記アクセサリプーリ(9)に連結されるように構成された、ことを特徴とする請求項1に記載の駆動システム。
【請求項3】
前記第3の連結要素(22)は、前記第1の動作段階において、前記搭載位置にて前記フリーホイール(30)に連結された第1の位置と、前記第1の動作段階とは異なる動作段階において、前記搭載位置にて前記フリーホイール(30)から切り離される他の位置との間で移動可能である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動システム。
【請求項4】
前記第3の連結要素(22)は、前記第1の動作段階において、前記搭載位置にて前記フリーホイール(30)に連結された第1の位置と、前記第2の動作段階において、前記搭載位置にて前記アクセサリプーリ(9)と連結された第2の位置との間で移動可能である、ことを特徴とする請求項2又は請求項2及び3に記載の駆動システム。
【請求項5】
前記駆動システム(1)は、主軸(15)を有し、前記第3の連結要素(22)は、前記主軸(15)に沿って移動可能であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の駆動システム。
【請求項6】
前記第3の連結要素(22)は、前記フリーホイール(30)と連結するための第1の連結部材(26)と、前記アクセサリプーリ(9)と連結するための第2の連結部材(27)とを備え、
前記駆動システム(1)が請求項2に記載の駆動システムであるとき、前記第1及び/又は第2の連結部材(26、27)は、例えば、ドグ歯を備えた、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項7】
前記第3の連結要素(22)は、さらに、第3の動作段階において、前記フリーホイール(30)及び前記アクセサリプーリ(9)から切り離される第3の位置をとるように構成された、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項8】
前記歯車減速機構は、太陽歯車(21)、環状歯車(22)、前記太陽歯車(21)及び前記環状歯車(22)の双方に噛み合い、遊星キャリア(25)に支持された複数の遊星歯車(23)を含む遊星歯車装置(20)を備えた、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項9】
前記太陽歯車(21)、前記環状歯車(22)、及び前記遊星キャリア(25)は各々、前記連結要素(25、21、22)のうちの1つと接続された、ことを特徴とする請求項8に記載の駆動システム。
【請求項10】
前記第1の連結要素は、前記遊星キャリア(25)に接続され、前記遊星キャリア(25)の一部であることが好ましく、前記第2の連結要素は、前記太陽歯車(21)に接続され、前記太陽歯車(21)の一部であることが好ましく、前記第3の連結要素は、前記環状歯車(22)に接続され、前記環状歯車(22)の一部であることが好ましい、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の駆動システム。
【請求項11】
前記搭載位置において、前記フリーホイール(30)は、前記エンジン装置(2)のカータ(16)に固定取付された、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項12】
エンジン(4)と、
電気機械(6)と、
少なくとも1つのアクセサリ(7)と、
前記電気機械(6)及び前記アクセサリ(7)が駆動可能に接続されたアクセサリプーリ(9)と、を備えたエンジン装置であって、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の駆動システム(1)をさらに備えた、ことを特徴とするエンジン装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つのアクセサリ(7)は、ウォータポンプ、エアコンディショナのコンプレッサ、冷却ファンのうちの1つである、ことを特徴とする請求項12に記載のエンジン装置。
【請求項14】
前記エンジン(4)の動作状態を検出する少なくとも1つのセンサ(37)と、
前記センサ(37)に接続され、前記歯車減速機構(20)及び前記フリーホイール(30)の前記第3の連結要素(22)を連結又は切り離し可能に構成されたアクチュエータ(33)を制御することができるコントローラ(38)と、をさらに備えた、ことを特徴とする請求項12又は13に記載のエンジン装置。
【請求項15】
前記駆動システム(1)が請求項4及び7に記載の駆動システムであるとき、前記アクチュエータ(33)は、検出された前記エンジン動作状態に応じて、前記歯車減速機構(20)の前記第3の連結要素(22)を移動させて、前記第3の連結要素(22)を第1の位置、第2の位置、及び第3の位置のうちの1つに配置するように構成された、ことを特徴とする請求項14に記載のエンジン装置。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれか一項に記載のエンジン装置(2)を備えた、ことを特徴とする車両。
【請求項17】
エンジン(4)、電気機械(6)、少なくとも1つのアクセサリ(7)、及び駆動システム(1)を備え、前記電気機械(6)及び前記アクセサリ(7)がアクセサリプーリ(9)に対して駆動可能に接続されたエンジン装置(2)を動作させる方法であって、
前記駆動システム(1)は、
少なくとも3つの別個の回転可能な連結要素(25、21、22)を有し、前記連結要素の回転速度は、相互依存するものの、互いに関連した固定の比率を有さず、2つの連結要素(25、21)を介して、前記アクセサリプーリ(9)及びエンジンクランクシャフト(5)を連結する歯車減速機構(20)と、
前記エンジン装置(2)の非回転部品(16)に接続され、前記歯車減速機構(20)の第3の連結要素(22)を介して、前記歯車減速機構に連結可能なフリーホイール(30)と、を備え、
a)前記エンジン(4)が始動段階であるか否かを示す少なくとも1つのパラメータを検出するステップと、
b)前記エンジン(4)が始動段階である場合、前記歯車減速機構(20)を前記フリーホイール(30)に連結するステップと、
c)前記始動段階において、前記電気機械(6)が前記エンジンを始動しているとき、前記フリーホイールを係合状態で動作させるステップと、
d)前記始動段階において、前記エンジン(4)が始動し、前記歯車減速機構(20)が依然として前記フリーホイール(30)に連結されているとき、前記フリーホイール(30)をフリー状態で動作させるステップと
を備えた方法。
【請求項18】
ステップa)は、前記エンジン(4)が、各々、始動段階、稼働段階、又は電気段階であるか否かを示す少なくとも1つのパラメータを検出することからなり、
ステップb)は、前記駆動システム(1)を制御して、前記エンジンが始動段階である場合に前記フリーホイール(30)に連結され、前記エンジンが稼働段階である場合に前記アクセサリプーリ(9)に連結され、前記エンジンが電気段階である場合に前記フリーホイール(30)及び前記アクセサリプーリ(9)の双方から自由となる前記歯車減速機構(20)の前記連結要素(22)を配置することからなる、ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記駆動システム(1)は、前記歯車減速機構としての遊星歯車装置(20)を備え、
前記遊星歯車装置は、太陽歯車(21)と、環状歯車(22)と、前記太陽歯車(21)及び前記環状歯車(22)の双方に噛み合い、遊星キャリア(25)に支持された複数の遊星歯車(23)とを含み、
前記遊星キャリア(25)は、前記エンジンクランクシャフト(5)に接続され、前記太陽歯車(21)は、前記アクセサリプーリ(9)に接続され、
前記方法のステップb)は、前記エンジンが始動段階である場合に前記フリーホイール(30)に連結され、前記エンジンが稼働段階である場合に前記アクセサリプーリ(9)に連結され、前記エンジンが電気段階である場合に前記フリーホイール(30)及び前記アクセサリプーリ(9)の双方から切り離されるように、前記フリーホイール(30)又は前記アクセサリプーリ(9)に対して、前記環状歯車(22)の位置を制御することからなる、ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記アクセサリプーリ(9)及び前記クランクシャフト(5)の回転速度間の減速比は、前記稼働段階においてR1bであり、R1bは、実質的に1であり、前記始動段階においてR1aであり、R1a≠R1bであり、R1aは、例えば、約4である、ことを特徴とする請求項18又は19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン装置の駆動システム、同駆動システムを含むエンジン装置、同エンジン装置を備えた車両、及び同エンジン装置を動作させる方法に関する。
【0002】
本発明は、トラック、バス、及び建設機械等の中型車両及び大型車両に適用可能である。
【背景技術】
【0003】
燃料消費量を低減するために、例えば、交通信号又は交通渋滞において運転者がブレーキペダルを踏み込んだとき等、エンジン動力が必要とされないときにエンジンを自動停止させ、信号に応じて、通常、運転者がアクセルペダルを作動させると、エンジンを再始動させるエンジン装置が開発されている。
【0004】
このようなエンジン装置は、エンジンと、電気機械と、1つ又はいくつかのアクセサリと、電気機械及びアクセサリが駆動可能に接続されたアクセサリプーリとを備える。歯車減速機構を備えた駆動システムを使用して、アクセサリプーリとエンジンクランクシャフトとを連結する。
【0005】
エンジン装置は、バッテリで駆動される電気機械がエンジンを始動する始動段階(phase)と、エンジンが稼働中であって、アクセサリを駆動し、電気機械がバッテリを充電できるように電気機械を駆動する稼働段階(すなわち、正常駆動状態)と、エンジンが停止され、電気機械がアクセサリを駆動する電気段階と、のうちの1つの段階にあることができる。
【0006】
駆動システムは、エンジン装置がこれら3つの段階のうちのいずれかで動作するように、且つ、これら3つの段階間で移行できるように設計される。
【0007】
従来の駆動システムは、通常、満足のいくものであったが、改善の余地が残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、改良されたエンジン装置の駆動システムを提供することである。
【0009】
より具体的には、本発明の目的は、エンジンの少なくとも2つの動作段階間でよりスムーズな移行を可能にする駆動システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために、第1の態様によると、本発明は、エンジン装置の駆動システムに関する。この駆動システムは、少なくとも3つの別個の回転可能な連結要素(junction elements)、すなわち、搭載位置において、エンジンクランクシャフトに接続された第1の連結要素と、電気機械及び少なくとも1つのアクセサリに対して駆動可能に接続されたアクセサリプーリに接続された第2の連結要素と、第3の連結要素と、を有する歯車減速機構を備え、各連結要素の回転速度は、相互依存するものの、互いに関連する固定の比率を有さない。
【0011】
本発明に係る駆動システムは、搭載位置において、エンジン装置の非回転部品に接続されたフリーホイールをさらに備え、第3の連結要素は、駆動システムの第1の動作段階において、フリーホイールに連結されるように構成される。第1の動作段階において、フリーホイールは、第3の連結要素がフリーホイールに対して一方向にトルクを付与する(exter)とき、フリーホイールが係合状態となって第3の連結要素の回転を停止し、第3の連結要素がフリーホイールに対して反対方向にトルクを付与するとき、フリーホイールがフリー状態となって第3の連結要素を回転させるように構成される。
【0012】
換言すると、歯車減速機構は、第1の連結要素が第1の動作段階において第2の連結要素からトルクを受けているとき、第3の連結要素がフリーホイールに対して一方向にトルクを付与した後、フリーホイールが係合状態となるようにし、第1の連結要素が正のトルクを生成しているとき、第3の連結要素がフリーホイールに対して反対方向にトルクを付与した後、フリーホイールがフリー状態となるように設計される。
【0013】
搭載位置とは、駆動システムがエンジン装置内に設置されて動作可能となる位置を意味する。
【0014】
フリーホイールの「フリー状態」は、フリーホイールが、フリーホイールに接続された駆動部材又はフリーホイールの一部である駆動部材を、フリーホイールに接続された駆動部材又はフリーホイールの一部である駆動部材から切り離す構成に対応し、フリーホイールの「係合状態」では、駆動部材は、伝達装置として作用するフリーホイールによって被駆動部材と係合される。駆動部材は、フリーホイールに接続された駆動シャフト又はフリーホイールの駆動シャフトとすることができ、被駆動部材は、フリーホイールに接続された被駆動シャフト又はフリーホイールの被駆動シャフトとすることができる。
【0015】
実際には、第1の動作段階は、電気機械が始動速度までエンジンを回転させるエンジンの始動段階に対応する。この始動段階では、フリーホイールは、電気機械からエンジンに単一方向の接続を提供する。始動段階の開始時、エンジンの回転速度はかなり低い。燃焼が行われず、エンジンは、回転するためのトルクを必要とする。フリーホイールは、第3の連結要素を介して一方向に方向付けられた第1のトルクを受けて係合状態となる。この構成により、電気機械からエンジンへトルクを伝達させる。燃焼が行われるとき、エンジンは、急速に加速し、クランクシャフトがトルクを提供する。フリーホイールは、第3の連結要素を介して反対方向に方向付けられた第2のトルクを受けてフリー状態となり、クランクシャフトを自由加速させる。エンジンから電気機械又はアクセサリへは全くトルクが伝達されないか、わずかなトルクのみが伝達される。電気機械の速度は、クランクシャフトの速度と相互関連しないものと考えられる。
【0016】
始動段階の開始時、エンジン及び電気機械の回転速度間の減速比は、Ra=R0×R1aである。ここで、R0は、電気機械及びアクセサリプーリの間の減速比である。R0は、例えば、約4とすることができる。R1aは、アクセサリプーリ及びクランクシャフトの間の減速比である。R1aは、例えば、約4とすることができる。
【0017】
その結果として、Raは、約16(すなわち、電気機械の1920rpmに対応するクランクシャフトの120rpm)とすることができる。
【0018】
しかしながら、本発明は、フリーホイールによって始動段階の最後にエンジンから電気機械へのトルク伝達を防ぐことにより、エンジンがアクセサリプーリ、及び/又は、ベルト又は電気機械等に接続された部品が損傷することを防ぐ。
【0019】
本発明の著しい利点として、フリーホイールを使用することにより、内燃機関のトルクが正となるやいなや、エンジン及び電気機械を自動的且つ即座に切り離す。その結果として、応答時間の問題が回避される。
【0020】
続いて、駆動システムは、他の動作段階、通常は、エンジン及び電気機械の回転速度間の減速比がRaとは異なる稼働段階になることができる。この動作段階において、この比率は、Rb=R0×R1bであり、R1b=1である。
【0021】
さらに、本発明は、シンプルかつロバストな構造を有し、さらにかなりコンパクトであり、かなり軽量である駆動システムを提供する。
【0022】
第3の連結要素は、さらに、第2の動作段階において、アクセサリプーリに連結されるように構成可能である。第2の動作段階は、エンジンが稼働しており、電気機械及びアクセサリを駆動する稼働段階に対応することができる。
【0023】
第2の動作段階において、駆動システムは、エンジンが電気機械から動力を受けてもよいように構成されることが好ましい。この場合、電気機械は、エンジンの性能及び燃料消費量を向上するために、バッテリに貯められた電気エネルギを使用してもよい。
【0024】
第3の連結要素は、第1の動作段階において、搭載位置にてフリーホイールに連結された第1の位置と、第1の動作段階とは異なる動作段階において、搭載位置にてフリーホイールから切り離される他の位置との間で移動可能であってもよい。
【0025】
より具体的には、第3の連結要素は、第1の動作段階において、搭載位置にてフリーホイールに連結された第1の位置と、第2の動作段階において、搭載位置にてアクセサリプーリに連結された第2の位置との間で移動可能であってもよい。一実施形態において、駆動システムは、主軸を有し、第3の連結要素は、この主軸に沿って移動可能である。
【0026】
一実施形態によると、第3の連結要素は、フリーホイールと連結するための第1の連結部材と、アクセサリプーリと連結するための第2の連結部材とを備える。例えば、第1の連結部材及び/又は第2の連結部材は、ドグ歯(dog teeth)を備えることができる。
【0027】
第3の連結要素は、さらに、第3の動作段階において、フリーホイール及びアクセサリプーリから切り離される第3の位置をとるように構成可能である。この第3の動作段階は、エンジンが停止され、電気機械がアクセサリを駆動する電気段階に対応可能である。第3の連結要素は、フリーホイール及びアクセサリプーリから切り離されるとき、第1の位置及び第2の位置の間の軸方向の中間である第3の位置にある。
【0028】
一実施形態において、歯車減速機構は、太陽歯車と、環状歯車と、太陽歯車及び環状歯車の双方に噛み合い、遊星キャリアに支持された複数の遊星歯車とを含む、遊星歯車装置を備えることができる。
【0029】
太陽歯車、環状歯車、及び遊星キャリアは、各々、連結要素のうちの1つに接続されてもよい。
【0030】
第1の連結要素は、遊星キャリアに接続可能であり、遊星キャリアの一部であり得ることが好ましく、第2の連結要素は、太陽歯車に接続可能であり、太陽歯車の一部であり得ることが好ましく、第3の連結要素は、環状歯車に接続可能であり、環状歯車の一部であり得ることが好ましい。
【0031】
加えて、搭載位置において、フリーホイールは、エンジン装置のカータ(carter)に固定取付されてもよい。
【0032】
第2の態様によると、本発明は、エンジンと、電気機械と、少なくとも1つのアクセサリと、電気機械及びアクセサリが駆動可能に接続されたアクセサリプーリとを備えたエンジン装置であって、上述の駆動システムをさらに備えたエンジン装置に関する。
【0033】
実際には、少なくとも1つのアクセサリは、ウォータポンプ、エアコンディショナのコンプレッサ、冷却ファンのうちの1つとすることができる。
【0034】
エンジン装置は、さらに、エンジンの動作状態を検出する少なくとも1つのセンサと、センサに接続され、歯車減速機構及びフリーホイールの第3の連結要素を連結又は切り離し可能に構成されたアクチュエータを制御することができるコントローラとをさらに備えてもよい。
【0035】
アクチュエータは、検出されたエンジン動作状態に応じて、歯車減速機構の第3の連結要素を移動させて、第3の連結要素を第1の位置、第2の位置、及び第3の位置のうちの1つに配置させるように構成可能である。エンジンの動作状態は、エンジンの現在の動作段階又はエンジンの所望の動作段階、すなわち、運転者がエンジンの始動、停止、又は再始動を要求するときに対応可能である。
【0036】
第3の態様によると、本発明は、上述のエンジン装置を備えた車両に関する。
【0037】
第4の態様によると、本発明は、エンジン、電気機械、少なくとも1つのアクセサリ、及び駆動システムを備え、電気機械及びアクセサリがアクセサリプーリに対して駆動可能に接続されたエンジン装置を動作させる方法に関する。駆動システムは、少なくとも3つの別個の回転可能な連結要素を有し、連結要素の回転速度は、相互依存するものの、互いに関連した固定の比率を有さず、2つの連結要素を介して、アクセサリプーリ及びエンジンクランクシャフトを連結する歯車減速機構と、エンジン装置の非回転部品に接続され、歯車減速機構の第3の連結要素を介して、歯車減速機構に連結可能なフリーホイールと、を備える。
【0038】
この方法は、a)エンジンが始動段階であるか否かを示す少なくとも1つのパラメータを検出するステップと、b)エンジンが始動段階である場合、歯車減速機構をフリーホイールに連結するステップと、c)始動段階において、電気機械がエンジンを始動しているとき、フリーホイールを係合状態で動作させるステップと、d)始動段階において、エンジンが始動し、歯車減速機構が依然としてフリーホイールに連結されているとき、フリーホイールをフリー状態で動作させるステップと、を備える。
【0039】
換言すると、ステップc)において、歯車減速機構は、フリーホイールを介して、非回転部品に連結され、システム構成は、電気機械からエンジンへトルクを伝達させるようにする。次いで、ステップd)において、歯車減速機構は、非回転部品から切り離される。
【0040】
フリーホイールを使用することにより、駆動システムを非常に反応性良く制御させることができ、エンジン装置のロバスト性及び信頼性を改善する。
【0041】
一実施形態において、ステップa)は、エンジンが、各々、始動段階、稼働段階、又は電気段階であるか否かを示す少なくとも1つのパラメータを検出することからなり、ステップb)は、駆動システムを制御して、エンジンが始動段階である場合にフリーホイールに連結され、エンジンが稼働段階である場合にアクセサリプーリに連結され、エンジンが電気段階である場合にフリーホイール及びアクセサリプーリの双方から自由となる、歯車減速機構の連結要素を配置することからなる。
【0042】
一実施形態において、駆動システムは、歯車減速機構としての遊星歯車装置を備え、遊星歯車装置は、太陽歯車と、環状歯車と、太陽歯車及び環状歯車の双方に噛み合い、遊星キャリアに支持された複数の遊星歯車とを含み、遊星キャリアは、エンジンクランクシャフトに接続され、太陽歯車は、アクセサリプーリに接続される。加えて、方法のステップb)は、エンジンが始動段階である場合にフリーホイールに連結され、エンジンが稼働段階である場合にアクセサリプーリに連結され、エンジンが電気段階である場合にフリーホイール及びアクセサリプーリの双方から切り離されるように、フリーホイール又はアクセサリプーリに対して、環状歯車の位置を制御することからなる。
【0043】
アクセサリプーリ及びクランクシャフトの回転速度間の減速比は、稼働段階においてR1bであり、R1bは、実質的に1であり、始動段階においてR1aであり、R1a≠R1bであり、R1aは、例えば、約4とすることができる。
【0044】
本発明のさらなる利点及び有益な特徴については、以下の説明及び従属請求項において開示される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
以下、添付の図面を参照して、例として示される本発明の実施形態のより詳細な説明を行う。
【0046】
図1】本発明の一実施形態に係るエンジン装置を備えた車両の斜視図である。
図2a】始動段階におけるエンジン装置の概略正面図である。
図2b】始動段階におけるエンジン装置の種々の構成要素間の運動学的接続を示す図である。
図2c】始動段階におけるエンジン装置の部分断面図である。
図3a】エンジン装置が稼働段階であるときの図2aと同様の図である。
図3b】エンジン装置が稼働段階であるときの図2bと同様の図である。
図3c】エンジン装置が稼働段階であるときの図2cと同様の図である。
図4a】エンジン装置が電気段階であるときの図2aと同様の図である。
図4b】エンジン装置が電気段階であるときの図2bと同様の図である。
図4c】エンジン装置が電気段階であるときの図2cと同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、車両3のエンジン装置2の駆動システム1に関し、その例を図1に示す。
【0048】
図示の実施形態において、車両3は、運転台を備え、荷台(図示せず)を備えることができる。エンジン装置2は、運転台の前方、座席の下方に配置されてもよい。図1に示される車両はトラックであるが、本発明は、この特定車両に制限されるものでなく、他の車両において使用されてもよい。
【0049】
エンジン装置2は、クランクシャフト5を有するエンジン4と、モータモード又は発電機モードのいずれかで動作可能である電気機械6と、少なくとも1つのアクセサリ7とを備える。このアクセサリ7は、例えば、ウォータポンプ、エアコンディショナのコンプレッサ、冷却ファン等とすることができる。図2a及び図2b、図3a及び図3b、並びに図4a及び図4bにおいて、エンジン装置2は、2つのアクセサリ7、7’を備える。エンジン装置2は、さらに、電気機械6に接続されたバッテリ8と、アクセサリプーリ9とを備える。
【0050】
電気機械6、アクセサリ7、7’、及びアクセサリプーリ9は、通常、アクセサリプーリ9に受容されたベルト10と、電気機械6及びアクセサリ7、7’に各々接続されたプーリ6a、7a、7’aを介して、駆動可能に接続される。
【0051】
エンジン装置2の駆動システム1は、アクセサリプーリ9及びエンジンクランクシャフト5を連結する。その結果として、回転は、駆動システム1、ベルト10、及びプーリ9、6a、7a、7’aにより、電気機械6からエンジン4及びアクセサリ7へ、エンジン4から電気機械6及びアクセサリ7へ伝達可能である。特に、アクセサリ7は、電気機械6及びエンジン4のうちの一方により、駆動されるように構成される。
【0052】
駆動システム1は、エンジンクランクシャフト5及びアクセサリプーリ9の軸でもあり得る主軸15を有する。
【0053】
駆動システム1は、図示の実施形態においては、遊星歯車装置20である歯車減速機構を備える。遊星歯車装置20は、主軸15を中心とする太陽歯車21と、同様に主軸15を中心とする環状歯車22と、太陽歯車21及び環状歯車22の双方に噛み合う複数の遊星歯車23とを含む。遊星歯車23は、各々、軸24を有し、それらはすべて、遊星キャリア25に支持される。太陽歯車21は、エンジン装置2のカータ16に対して枢動可能に取り付けられ、アクセサリプーリ9に接続される。遊星キャリア25は、エンジンクランクシャフト5に接続される。
【0054】
駆動システム1は、さらに、主軸15と同軸に、カータ16に対して固定取付されたフリーホイール30を備える。図示の実施形態において、フリーホイール30は、カータ16の内部に固定取付された外側シリンダ31と、内側部品32とを備える。内側部品32は、一方向において、外側シリンダ31に対して主軸15周りに自由に回転可能であり、これは、フリーホイール30の「フリー」状態に対応し、内側部品32は、反対方向において、外側シリンダ31に対して主軸15周りに回転することができず、これは、フリーホイール30の「係合」状態に対応する。フリーホイール30について、いくつかの実施形態が想定可能である。
【0055】
環状歯車22は、フリーホイール30と連結された第1の位置(図2a〜図2c)と、アクセサリプーリ9と連結された第2の位置(図3a〜図3c)との間で、主軸15に沿って移動可能である。
【0056】
そのために、ドグ歯等の連結部材が、連結対象の部品上に設けられてもよい。より具体的には、環状歯車22は、フリーホイール30上に配置された、対応する連結部材26’と連結するための第1の連結部材26と、アクセサリプーリ9上に配置された、対応する連結部材27’と連結するための第2の連結部材27とを備えることができる。
【0057】
加えて、環状歯車22は、環状歯車22がフリーホイール30及びアクセサリプーリ9から切り離される、主軸15に沿った第1の位置と第2の位置との間の第3の位置(図4a〜c)に移動可能である。
【0058】
これら3つの位置の各々において、環状歯車22は、複数の遊星歯車23と噛み合ったままであることが好ましい。
【0059】
環状歯車22を移動させるために、エンジン装置2は、アクチュエータ33を備える。図2c、図3c、及び図4cに示される一例としての実施形態において、アクチュエータ33は、カータ16上に枢動可能に取り付けられ、作動シリンダ35に接続されたロッド34を含む。ロッド34の端部は、環状歯車22と協働する。例えば、ロッド34のこの端部は、2つの径方向外側に延びる壁部36の間に配置可能である。したがって、作動シリンダ35は、ロッド34を枢動させることができ、その結果として、ロッド34は、アクセサリプーリ9又はフリーホイール30のいずれかに向かって、環状歯車22を軸方向に押圧する。
【0060】
エンジン装置2は、さらに、エンジン4の動作状態を検出する少なくとも1つのセンサ37と、このセンサ37に接続され、アクチュエータ33を制御可能なコントローラ38とを備える。検出されたエンジン動作状態に応じて、アクチュエータ33は、環状歯車22を移動させるように制御され、環状歯車22を第1の位置、第2の位置、及び第3の位置に配置する。
【0061】
以下、始動段階におけるエンジン装置2を示す図2a〜図2cを参照する。
【0062】
運転者は、車両3を始動させたいとき、通常、キーを回すか、点火スイッチをオンにする。その結果として、バッテリ8は、電気機械6を始動するように駆動する。
【0063】
一実施形態において、第1の位置、すなわち、環状歯車22がフリーホイール30と連結されるときは、デフォルト位置である。例えば、コントローラ38がアクチュエータ33を制御して環状歯車22を他の位置に配置しないとき、環状歯車22を第1の位置に保つために、ばねを使用することができる。変形例において、「車両を始動する」という情報は、センサ37によって検出され、環状歯車22を第1の位置に配置するようにアクチュエータ33を制御するコントローラ38に伝達される。
【0064】
この始動段階において、アクセサリ7は、電気機械6によって駆動される。さらに、電気機械6は、アクセサリプーリ9を駆動し、ひいては太陽歯車21を回転させる。環状歯車22は、始動段階の開始時に係合状態となるように構成されたフリーホイール30に連結されるため、環状歯車22は回転せず、複数の遊星歯車23は主軸15周りを回転することにより、回転運動をクランクシャフト5に伝達する。
【0065】
始動段階において、歯車減速システム、すなわち、遊星歯車装置20は、電気機械6の回転をエンジンクランクシャフト5の回転と、エンジン4及び電気機械6の回転速度間の減速比Ra=R0×R1aとに紐づける。例えば、Raは約16とすることができ、R0は約4であり、R1aは約4である。
【0066】
燃焼が行われるとき、エンジン4は、トルクを提供することにより、クランクシャフト5が急速に加速する。環状歯車22において伝達されるトルクの方向が変化するため、これによって、自動的に、フリーホイール30をフリー状態へと移行するように導く。
【0067】
フリーホイール30がフリー状態にあるとき、環状歯車22がフリーホイール30と連結されたままであるとしても、エンジン4から電気機械6には全くトルクが伝達されないか、わずかなトルクのみが伝達される。これにより、ベルト10及びその他の部品への深刻な応力を防ぐ。
【0068】
エンジン4が始動したことをセンサ37が検出したとき、コントローラ38は、環状歯車22を第2の位置、すなわち、アクセサリプーリ9に連結された位置に配置するように、アクチュエータ33を制御する。その後、エンジン装置2は、図3a〜図3cに示される通り、稼働段階になる。いくつかの実施形態では、電気機械6及びエンジン4の間の速度同期を要求して噛み合いを容易にすることができる。
【0069】
この稼働段階(すなわち、正常駆動状態)において、エンジン4は、稼働している。その後、エンジン4は、アクセサリ7を駆動し、電気機械6がバッテリ8を充電することができるように、電気機械6も駆動することができる。同様に、電気機械6は、モータモードとなって、バッテリ8に貯められたエネルギを消費することにより、アクセサリ7及びクランクシャフト5に追加トルクを提供することができる。
【0070】
より正確に述べると、クランクシャフトの回転は、主軸15周りの複数の遊星歯車23の回転と、環状歯車22に連結されたアクセサリプーリ9の回転とをもたらす。
【0071】
稼働段階において、歯車減速システム、すなわち、遊星歯車装置20は、電気機械6からエンジンクランクシャフト5への回転を、電気機械6及びエンジン4の回転速度間の減速比Rb=R0×R1bに紐づける。R1b=1であり、したがって、RbはRaとは異なる。例えば、Rbは、2〜5の範囲内とすることができ、例えば、約4とすることができる。
【0072】
内燃機関4は、稼働段階から、例えば、車両が交通渋滞又は交通信号で停止した場合、一時的に無用となり得る。そして、エンジン装置2は、燃料を節約するために、信号に応じてエンジン4が再始動されるに先立って、エンジン4を自動停止させる。
【0073】
センサ37は、エンジン4が停止されたことを検出するように構成される。その後、コントローラ38は、環状歯車22を第3の位置、すなわち、フリーホイール30及びアクセサリプーリ9から切り離される位置に配置するように、アクチュエータ33を制御する。その後、エンジン装置2は、図4a〜図4cに示される通り、電気段階(又は、「電気的に駆動されるアクセサリ段階」)になる。
【0074】
さらに、コントローラ38は、エンジン4を停止させ、電気機械6を始動させる。
【0075】
したがって、電気機械6は、アクセサリ7を駆動してアクセサリプーリ9を回転させ、ひいては、太陽歯車21及び複数の遊星歯車23を回転させる。環状歯車22はフリーホイール30又はアクセサリプーリ9に連結されないため、複数の遊星歯車23の回転は、結果として、環状歯車22を自由回転させ、言わば、環状歯車22上に抵抗トルクを付与しない。クランクシャフトの速度及びプーリの速度は、相互関連しない。
【0076】
したがって、電気機械6は、エンジン4から回転可能に切り離し可能であり、アクセサリ7は、エンジン4が停止された場合であっても駆動可能である。
【0077】
同様に、より効率的な電気段階を有することによって燃料消費を低減するために、エンジン4が稼働している間に電気段階を選択することが可能である。
【0078】
コントローラ38は、電気段階から、他のモードとなる必要性を計算することができる。エンジン4を再始動させるために、コントローラ38は、環状歯車22を第1の位置に戻し、電気機械6がエンジン4を再始動できるようにする。この動きは、上述の通り、デフォルト位置を規定するためにばねが設けられた場合、受動的に行うことができる。電気段階から稼働段階へと切り替えるために、コントローラ38は、環状歯車22を第2の位置にする。いくつかの実施形態では、電気機械6及びエンジン4の間の速度同期を要求して噛み合いを容易にすることができる。
【0079】
本発明は、上述及び図示の実施形態に限定されるものでないことが理解されなければならない。むしろ、当業者であれば、添付の特許請求の範囲内で多数の変更及び修正がなされてもよいことを理解されたい。
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
【国際調査報告】