(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-533462(P2018-533462A)
(43)【公表日】2018年11月15日
(54)【発明の名称】飲料充填プラントにおいて清浄対象部分を清浄する装置
(51)【国際特許分類】
B08B 9/032 20060101AFI20181019BHJP
【FI】
B08B9/032 321
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-563010(P2017-563010)
(86)(22)【出願日】2016年11月10日
(85)【翻訳文提出日】2018年1月29日
(86)【国際出願番号】EP2016077270
(87)【国際公開番号】WO2017081155
(87)【国際公開日】20170518
(31)【優先権主張番号】102015119318.3
(32)【優先日】2015年11月10日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】508120916
【氏名又は名称】クロネス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゼルナー ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー ホルガー
【テーマコード(参考)】
3B116
【Fターム(参考)】
3B116AA13
3B116AB53
3B116BB21
3B116BB82
3B116CD01
3B116CD22
(57)【要約】
本発明は、飲料充填プラントにおける清浄対象のプラント部分を清浄する装置(1)に関連する。当該装置(1)は、媒体流入路(20)、媒体戻り路(22)、加熱ユニット(4)、および復熱装置(5)を備えている。媒体流入路(20)は、プラント部分へ清浄媒体を供給する。媒体戻り路(22)は、プラント部分から使用済みの清浄媒体を除去する。加熱ユニット(4)は、媒体流入路(20)内の清浄媒体を加熱する。復熱装置(5)は、媒体戻り路(22)を通じて除去された清浄媒体から加熱ユニット(4)へ供給される清浄媒体へ熱を移行させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料充填プラントにおける清浄対象のプラント部分を清浄する装置(1)であって、
前記プラント部分へ清浄媒体を供給する媒体流入路(20)と、
前記プラント部分から使用済みの前記清浄媒体を除去する媒体戻り路(22)と、
前記媒体流入路(20)内の前記清浄媒体を加熱する加熱ユニット(4)と、
前記媒体戻り路(22)を通じて除去された前記清浄媒体から前記加熱ユニット(4)へ供給される前記清浄媒体へ熱を移行させる復熱装置(5)と、
を備えている、
装置(1)。
【請求項2】
前記復熱装置(5)は、前記媒体流入路(20)における前記加熱ユニット(4)の上流に配置されている、
請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記加熱ユニット(4)は熱交換器であり、好ましくは、蒸気または温水で動作する熱交換器である、
請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記媒体戻り路(22)は、排出接続部(36)へ切り替え可能に接続されており、
前記排出接続部(36)は、前記媒体戻り路(22)における前記復熱装置(5)の下流に配置されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記媒体戻り路(22)は、バッファ循環路を介して前記媒体流入路(20)に接続されており、
前記バッファ循環路は、バッファタンク(26)を備えている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
淡水を前記媒体流入路(20)に供給する淡水接続部(34)が、前記復熱装置(5)の上流に配置されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
飲料充填プラントにおける清浄対象のプラント部分を清浄する方法であって、
前記プラント部分へ清浄媒体を供給し、
前記プラント部分から使用済みの前記清浄媒体を除去し、
前記プラント部分への前記清浄媒体の供給に先立ち、加熱ユニット(4)により前記清浄媒体を加熱し、
前記プラント部分への前記清浄媒体の供給に先立ち、除去された前記清浄媒体から前記加熱ユニット(4)へ供給される前記清浄媒体へ熱を移行させる、
方法。
【請求項8】
前記熱の移行は、前記加熱ユニット(4)の上流に配置された復熱装置(5)によって遂行される、
請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料充填プラントにおいて清浄対象部分(例えば飲料充填プラントにおける充填領域やキャッピング領域)を清浄する装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
飲料充填プラントにおいては、清浄が必要とされる部分(例えば充填器、キャッパーやそれらの間に配置された搬送装置)が定期的に清浄される。清浄対象のプラント部分ごとに清浄装置や清浄方法は異なる。一般的に、プラント部分の外側を清浄するのか内側を清浄するのかで区別がなされる。
【0003】
外側を清浄する場合、清浄対象のプラント部分の外表面は、スプレーノズルや液体ノズルを介して清浄媒体を適用することにより清浄される。外側清浄は、適当な清浄媒体を用いて飲料充填プラントの筐体の内壁を洗浄することも含むことが一般的である。
【0004】
内側を清浄する場合、製品と接する全経路(具体的には、飲料充填プラントにおける充填物ラインなどの媒体ライン)が清浄される。そのため、清浄媒体が清浄対象のプラント部分(具体的には、各充填物経路)を通じて流されることにより、清浄がなされる。飲料充填プラントのクローズドシステム(バルブクラスタ、媒体インフロー、その他の媒体ラインなど)においては、クリーニングインプレース(CIP)清浄が遂行されるのが一般的である。これにより、プラントの構成要素を分解することなく製品プラントの内部が清浄されうる。
【0005】
内側清浄と外側清浄は、同時に行なわれてもよいし、順次行なわれてもよい。異なる清浄媒体は、所望の清浄効果が得られる順序で使用されることが一般的である。
【0006】
「清浄媒体」という語は、清浄プロセスの間に使用される全ての媒体を意味する。例えば清浄媒体は、清浄プロセスの間の以下の工程において使用される:清浄水による前洗浄;苛性アルカリ溶液による清浄;清浄水による中間洗浄;酸による清浄;温水による清洗浄;および加熱蒸気による殺菌。少なくとも以下のものは、清浄媒体とみなされる:清浄水;温水;酸;苛性アルカリ溶液;および過熱蒸気。
【0007】
各場合に使用される清浄媒体の調製と供給もまた高い重要性を有している。具体的には、プラントの構成要素を完全かつ衛生的に清浄するために、各清浄媒体は、特定の清浄剤濃度と特定の温度で提供されることが必要である。
【0008】
各清浄媒体の調製や供給を行なう複数の方法が知られている。具体的には、「使い捨て」清浄と再循環清浄との間に区別がある。使い捨て清浄においては、使用される清浄媒体は、プラントの清浄対象部分に導入され、当該部分の出口から直接的に、あるいは一度の清浄フェーズ中における再循環の後に廃棄あるいは排出される。よって、使い捨て清浄の場合、清浄フェーズ毎に清浄媒体が新たに調製および供給される。
【0009】
再循環清浄においては、使用される清浄媒体(淡水、酸、苛性アルカリ溶液など)は、各清浄サイクルの間に一時的に保持槽へ貯蔵され、該当する清浄フェーズにおいて使用され、プラント構成要素の出口から排出され、当該保持槽へ送り返される。新たな清浄フェーズの前に、あるいは同じ清浄フェーズ中において、使用される清浄媒体が処理(淡水および清浄濃縮液の投与や濾過など)される。
【0010】
複合的な方法も知られている。その場合、清浄媒体の一部が一時的に貯蔵され、他の清浄媒体が一度の使用後に、あるいは再循環に続く清浄サイクルの完了時に廃棄される。
【0011】
プラントの清浄対象部分の苛性アルカリ溶液や酸による清浄完了後には、処理されたプラントの各部分が淡水で後洗浄されて化学物質を皆無とすることが重要である。これにより、後続する充填動作中に清浄化学物質成分が充填物に混入することを防止する。プラント領域を迅速に乾燥させるとさらに有利である。これにより、例えば無菌プラントの場合、後続する殺菌工程や、少なくとも生産の迅速な再開が可能とされる。そのため、洗浄水(特に後洗浄用の水)が表面にかけられる際にはできるだけ高温であることが望ましい。これにより、加熱されたプラント部分の水の迅速な蒸発が可能とされる。例えば後続する蒸発した過酸化水素による乾燥殺菌の開始を早めることも可能である。
【0012】
使用する清浄媒体(特に清浄対象であるプラント部分の表面を中間洗浄または後洗浄するための洗浄水)を加熱するために、熱交換器を設けることが知られている。蒸気または温水を処理することにより、必要な量の熱が熱交換器へ供給される。
【0013】
熱交換器内で蒸気または温水によって冷たい処理水を加熱するために、および清浄対象のプラント部分を迅速に洗浄する大量の水を供給するために、短時間に大量の蒸気または温水が必要とされる。したがって、既知のシステムにおいては、特に高熱後洗浄のために短時間の蒸気に高い需要がある。また、急速加熱は、熱交換器を高い材料ストレスに曝す。加えて、清浄済みのプラント領域への冷水侵入と新たな微生物汚染を防止するために、所望温度の調節は、非常に正確であることを要する。
【0014】
既知のシステムにおいては、後洗浄処理工程における蒸気の高い需要により蒸気ネットワークが動作限界を超えることを防止するために、大型の蒸気発生機が設けられることが一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記に鑑み、本発明は、飲料充填プラントを清浄する既存の装置の効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は、請求項1に記載された特徴を有する容器処理装置により達成される。さらなる有利な構成は、その従属請求項に記載された特徴により得られる。
【0017】
したがって、飲料充填プラントにおける清浄対象のプラント部分を清浄する装置が提供される。
当該装置は、
前記プラント部分へ清浄媒体を供給する媒体流入路と、
前記プラント部分から使用済みの前記清浄媒体を除去する媒体戻り路と、
前記媒体流入路内の前記清浄媒体を加熱する加熱ユニットと、
前記媒体戻り路を通じて除去された前記清浄媒体から前記加熱ユニットへ供給される前記清浄媒体へ熱を移行させる復熱装置と、
を備えている。
【0018】
媒体流入路内の清浄媒体を加熱する加熱ユニットに加え、清浄対象のプラント部分を通過後に媒体戻り路を通じて除去された使用済み清浄媒体内に残存する熱エネルギーの一部を媒体流入路内の清浄媒体へ移行させうる復熱装置が設けられることにより、加熱ユニットに求められる熱エネルギーが低減されうる。例えば化学物質の使用後に清浄対象のプラント部分の後洗浄やクリア洗浄を遂行するために、清浄対象のプラント部分を一度だけ通過させた使用済みの水が廃棄される使い捨て洗浄が行なわれる場合が特に該当する。この場合、使用済みで最終的に廃棄される清浄媒体へ過去に導入された熱エネルギーが、復熱装置によって、新たに供給された清浄媒体へ移行されうる。したがって、加熱ユニットに要求される加熱性能が低くされてもよい。これにより、加熱ユニットとエネルギー供給源の少なくとも一方が全体的に小型化されうる。
【0019】
その結果、第一に、熱エネルギーが全体的に削減される。加熱に使用される熱エネルギーの大部分が再利用されるからである。第二に、例えば後洗浄用の水を加熱するための最大エネルギー消費量の低減が可能である。エネルギーが蒸気により供給される場合、飲料充填プラントにおける蒸気発生器の小型化も可能である。
【0020】
また、より高いレベルの無菌安全性が得られる。飲料充填プラントの上記ネットワークが性能限界に達することなく、後洗浄に使用された水を、効率的な手法で少なくとも特定の目標温度に到達させることができるからである。
【0021】
復熱装置により、新たに供給された清浄媒体が予熱されることも可能とされる。これにより、加熱ユニットおよび復熱装置内の物質にかかる負荷がそれほど高くなくなる。まず復熱装置により加熱され、次いで加熱ユニットにより加熱される二段階加熱プロセスにより、取り扱われるべき温度差あるいは温度勾配が大きくなくなるからである。
【0022】
さらなる利点として、復熱装置を使用することにより、廃棄された清浄媒体の温度がかなり低下することが挙げられる。これにより、排水ネットワークにかかる負荷が低減される。
【0023】
加えて、清浄媒体を提供するための保持タンクの使用を不要にできる。これにより、プラントの構成を全体としてより小型にできる。適当な処理水を保持しておくタンクの使用を回避できることにより、清浄媒体の保存時に生じうる衛生上のリスクも回避できる。したがって、微生物学的および衛生学的な見地から清浄・殺菌プロセスが全体として安定に構成されうる。
【0024】
清浄媒体の予熱を可能にするために、前記復熱装置は、前記媒体流入路における前記加熱ユニットの上流に配置されることが好ましい。この場合、清浄媒体の温度は、段階的に上昇する。これにより、後洗浄に使用される水の効率的な加熱が可能になるとともに、加熱ユニットおよび復熱装置における物質にかかる負荷を低減できる。
【0025】
有利な実施形態においては、前記加熱ユニットは熱交換器であり、好ましくは、蒸気または温水で動作する熱交換器である。処理蒸気や処理温水の使用は、飲料充填プラントにおいては一般的であり、清浄媒体の効率的な加熱が可能とされる。
【0026】
前記媒体戻り路は、排出接続部へ切り替え可能に接続されており、前記排出接続部は、前記媒体戻り路における前記復熱装置の下流に配置されていることが好ましい。排出接続部は、例えば溝の形態とされうる。これにより、清浄対象のプラント部分から媒体戻り路を通じて除去された使用済み清浄媒体に保持されている熱量の全て(少なくとも大部分)が、その廃棄前に、媒体流入路内の新たな清浄媒体へ移行されうる。
【0027】
別構成においては、前記媒体戻り路は、バッファ循環路を介して前記媒体流入路に接続されており、前記バッファ循環路は、バッファタンクを備えている。これにより、清浄対象であるプラント部分の清浄中における、清浄媒体の循環、および次の清浄媒体により置き換えられるまでの一時的な蓄積がなされうる。したがって、効率的な清浄が可能とされる。
【0028】
淡水を前記媒体流入路に供給する淡水接続部が、前記復熱装置の上流に配置されていることが好ましい。この場合、淡水はまず復熱装置を通過してから清浄対象であるプラント部品の清浄に使用される。したがって、淡水はまず復熱装置を通過してから加熱ユニットを流れる。これにより、淡水の温度を効率的かつ段階的に上昇させることができる。
【0029】
上記の目的は、請求項7に記載された特徴を有する方法によっても達成される。さらなる有利な構成は、その従属請求項に記載された特徴により得られる。
【0030】
したがって、飲料充填プラントにおける清浄対象のプラント部分を清浄する方法が提供される。当該方法においては、
前記プラント部分へ清浄媒体を供給し、
前記プラント部分から使用済みの前記清浄媒体を除去し、
前記プラント部分への前記清浄媒体の供給に先立ち、加熱ユニットにより前記清浄媒体を加熱し、
前記プラント部分への前記清浄媒体の供給に先立ち、除去された前記清浄媒体から前記加熱ユニットへ供給される前記清浄媒体へ熱を移行させる。
本発明によれば、加熱ユニットによる清浄媒体の加熱に先立ち、除去された清浄媒体から加熱ユニットに供給される清浄媒体へ熱エネルギーが移行される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明のさらなる好適な実施形態と態様は、以下に列挙する図面と以降の記載を通じてより詳細に説明される。
【0032】
【
図1】提案された装置の実施形態例を模式的に示す回路図である。
【
図2】加熱ユニットの蒸気消費量の経時変化を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図面の補助を得つつ、好適な実施形態の例が以下に記載される。各図においては、同一または同様の要素、あるいは同一の効果を奏する要素は、同一の参照符号により指示される。これらの要素について繰り返しとなる説明の一部は、冗長性を避けるために省略される。
【0034】
図1は、飲料充填プラントにおいて清浄対象のプラント部分を清浄する装置1を模式的に示している。プラント部分の清浄は、清浄媒体によって行なわれる。清浄媒体は、媒体流入路20を通じて清浄対象のプラント部分へ運ばれ、当該プラント部分から媒体戻り路22を通じて離れて行く。よって、清浄媒体は、循環されうる。
【0035】
清浄対象のプラント部分の外部を清浄するために、媒体流入路20を通じて供給された清浄媒体は、外部清浄ノズルや流体ノズルなどによって射出され、当該プラント部分における清浄対象面にかけられる。しかしながら、媒体流入路20は、清浄対象のプラント部分の閉じた領域(製品ライン、他の媒体ラインなど)へ導かれてその内部を清浄してもよい。この場合、清浄媒体は、特にCIP清浄に用いられうる。飲料充填プラントにおけるプラント部分の外部清浄または内部清浄のための清浄媒体の供給の仕方は、基本的に周知である。
【0036】
清浄対象のプラント部分の内部や表面を流れ終わると、使用済み清浄媒体は、媒体戻り路22を通じて戻される。
【0037】
外部清浄の場合、使用済み清浄媒体は、当該プラント部分における少なくとも一つの流出点から流れ落ちて収集されるなどして媒体戻り路22に至る。そのため、適当な流出路を提供する床板やテーブルが、当該プラント部分の床領域に設けられることが一般的である。当該床領域は、例えば漏斗形状を有するように構成されてもよい。これにより、流れ落ちた全ての媒体が単一の流出点へ集められ、媒体戻り路22へ排出される。
【0038】
清浄対象のプラント部分を内部清浄する場合も同様に、当該プラント部分の床領域を介して使用済み清浄媒体が除去されるように構成されうる。例えば、充填物経路を流れた後に充填バルブから流出した清浄媒体は、当該プラント部分の床領域に収集される。内部清浄においても、清浄媒体は循環されうる。この場合、使用済み清浄媒体は、適当な清浄流路(CIP流路とも称される)を通じて循環され、媒体戻り路22へ送られる。
【0039】
媒体流入路20を通じて供給され、媒体戻り路22を通じて戻される清浄媒体は、装置1内を循環されうる。この場合、循環路24が設けられ、清浄媒体を媒体戻り路22からバッファタンク26へ送る。当該清浄媒体は、バッファタンク26から供給ライン28を通じて再び媒体流入路20へ送られる。供給ライン28は、ポンプ29を備えている。
【0040】
これから供給される清浄媒体と再生のために循環される清浄媒体との区別を可能にするために、例えば酸濃縮液が酸供給ライン30を通じて供給され、苛性アルカリ濃縮溶液が苛性アルカリ溶液供給ライン32を通じて供給される。したがって、所望の濃度のアルカリ溶液や酸溶液を調製あるいは維持するために、苛性アルカリ溶液供給ライン32や酸供給ライン30を通じてそれぞれの濃縮液が、バッファタンク26内に収容された清浄媒体へ供給される。この場合、循環ライン24内に設けられたセンサ群によって所望の濃度が監視される。これにより、適当なフィードバック制御を通じて酸溶液や苛性アルカリ溶液の供給が制御される。
【0041】
淡水は、淡水接続部34を通じてシステムに供給されうる。淡水接続部34は、第一清浄媒体の第二清浄媒体への置き換えをなすために、または清浄行為自体および清浄媒体の蒸発による清浄媒体の損失を補うために、淡水の供給を可能にする。
【0042】
バッファタンク26に収容された清浄媒体、あるいはバッファタンク26において調製や処理がなされた清浄媒体は、排出接続部36を通じて装置1から除去されうる。
【0043】
清浄媒体は、バイパス27を経由し、バッファタンク26を通り越して送られうる。これは、生産直後の前洗浄、中間洗浄、後洗浄などに清浄媒体として清浄水が使用される場合において特に有利である。水は、バッファタンク26内に一時的に保存される必要がない。前洗浄の場合、前洗浄水と共に運ばれる充填物の大部分が、バイパス27を経由して排出接続部36へ直接に送られ、廃棄される。
【0044】
したがって、例えば予備清浄を遂行するために、淡水の形態である清浄媒体が、淡水接続部34を通じて媒体流入路20へ導入されうる。清浄対象のプラント部分は、淡水で清浄されうる。その後、当該清浄媒体は、媒体戻り路22とバイパス27を通じて排出接続部36へ直接に送られうる。再循環は行なわれない。
【0045】
清浄が必要とされるプラント部分の清浄を続いて行なうために、苛性アルカリ溶液供給ライン32を通じて供給された苛性アルカリ溶液と酸供給ライン30を通じて供給された酸のいずれかが、淡水接続部34を通じて供給された淡水に加えられる。これにより適当な酸または苛性アルカリ濃縮液を含む淡水が提供される。その後、当該清浄媒体は、適当な暴露時間を提供するためにバッファタンク26により一時的に保存され、ポンプ29によって再循環される。清掃フェーズの間、化学組成が常にチェックされ、必要に応じて再調節される。再調節は、さらに淡水を導入することにより、あるいは酸または苛性アルカリ濃縮液を加えることにより行なわれる。
【0046】
清浄対象のプラント部分の清浄においては、化学物質の組成と清浄インパルスの機械的適用だけでなく、温度も重要な因子である。そのために、清浄媒体は、加熱ユニット4によって加熱される。
【0047】
加熱ユニット4は、媒体流入路20内に設けられる。これにより、媒体流入路20を通じて清浄対象のプラント部品へ供給される清浄媒体が所望の温度とされる。図示された実施形態例においては、加熱ユニット4は、熱交換器の形態で提供される。当該熱交換器には、蒸気ライン40を通じて処理蒸気が供給される。復水は、復水ライン42を通じて戻される。蒸気熱交換器として提供される加熱ユニット4においては、媒体流入路20へ供給された清浄媒体が目標温度とされうる。そのために、温度センサが加熱ユニット4の下流に設けられうる。当該温度センサにより、熱交換器の熱出力が調整されうる。
【0048】
加えて、媒体流入路20における加熱ユニット4の上流に復熱装置5が設けられている。加熱ユニット4に送られる清浄媒体は、復熱装置5を通過する。すなわち、復熱装置5は媒体流入路20内に配置され、清浄対象のプラント部品へ送られる清浄媒体は、加熱ユニット4に入る前に復熱装置5を通過する。媒体流入路20内の清浄媒体は、復熱装置5内の第一チャンバシステムへ送られる。
【0049】
媒体戻り路22を通じて戻された清浄媒体は、服熱装置5の第二チャンバシステムを通過する。これにより、媒体戻り炉22を通じて戻された清浄媒体内に存在する熱エネルギーの少なくともかなりの部分が、媒体流入路20を通過する清浄媒体へ加熱ユニット4の通過前に移行されうる。よって、加熱ユニット4に流入する前の清浄媒体が、復熱装置5により予熱されうる。
【0050】
これにより、媒体流入路20を通過する清浄媒体を目標温度に到達させるために加熱ユニット4に要求される熱出力を低減できる。復熱装置5の使用によって、加熱ユニット4により媒体流入路20内の清浄媒体へ移行が必要とされる最大エネルギーも低減できる。よって、例えば飲料充填プラントの蒸気ネットワークにかかる負荷を低減できる。
【0051】
清浄媒体が排出接続部36を通じて除去される使い捨て型の清浄法が使用される場合、廃棄される清浄媒体に残存する熱エネルギーのかなりの部分が新たな清浄媒体へ移行される点において特に有利である。予熱済みの新たな清浄媒体は、加熱ユニット4において目標温度まで加熱される。
【0052】
その効果は、化学的清浄に続いて行なわれる後洗浄の例により特に良く理解されうる。具体的には、後洗浄用の淡水が、淡水接続部34を通じて供給ライン28に導入され、ポンプ29により復熱装置5を通され、加熱ユニット4により目標温度まで加熱される。例えば先の清浄工程から清浄システムに残存している清浄媒体は高温である結果、媒体戻り路22を通じて戻された清浄媒体は、復熱装置5内の淡水の温度を第一所定値まで上昇させる。したがって、加熱ユニット4の加熱能力が低減されうる。
【0053】
淡水接続部34を通じてさらに淡水が流れ込むと、媒体戻り路22を通じて戻された洗浄水に含まれる熱エネルギーのかなりの部分が、当該淡水へ移行されうる。
【0054】
さらに、排出接続部36へ案内された廃棄清浄媒体の熱の一部は、復熱装置5の通過後に失われている。これにより、廃水ネットワークへの過剰な熱負荷が回避される。
【0055】
結果として、特に清浄対象のプラント部品が後洗浄される際に、加熱ユニット4の加熱能力全体が軽減されうる。その場合、洗浄済み部品の急速乾燥を達成するために、非常に高温の水で後洗浄することが有利である。これにより、蒸気ライン40を通じて供給される蒸気の必要量を低減することも可能である。
【0056】
図2において、一点鎖線は、復熱装置なしに動作する従来技術に係る加熱ユニットの蒸気消費の経時変化を模式的に示している。
【0057】
これに対し実線は、復熱装置5を使用する上記構成における加熱ユニット4の蒸気消費の経時変化を示している。蒸気ネットワークからの蒸気の最大消費量が大幅に低減されていることが明白である。結果として、蒸気ネットワークにかかるピーク負荷が軽減されうる。このようにして、プラントの蒸気ネットワークにおける蒸気発生器の小型化を達成でき、飲料充填プラントが全体としてより効率的に構成されうる。
【0058】
発明の範囲から逸脱することなく可能な限りにおいて、各実施形態例について記載された各特徴は、組合せと交換の少なくとも一方が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1:清浄対象のプラント部分を清浄する装置、20:媒体流入路、22:媒体戻り路、24:循環ライン、26:バッファタンク、27:バイパス、28:供給ライン、29:ポンプ、30:酸供給ライン、32:苛性アルカリ溶液供給ライン、34:淡水接続部、36:排出接続部、4:加熱ユニット、40:蒸気ライン、42:復水ライン、5:復熱装置
【国際調査報告】