(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
本発明は、新規のペプチドに関し、遺伝子転写のPBX依存性制御を損ない、したがって、異常な細胞分裂が生じる障害の治療または予防において有用性がある。特に、本発明は、アミノ酸配列(I):
は、少なくとも7個のアミノ酸を含むアミノ酸配列であり(任意選択で、ここに規定される9個のアミノ酸位置の1つまたは複数の間で、1または2個のアミノ酸残基によって中断され得る);
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書全体を通して、および、その後の特許請求の範囲において、文脈がそれ以外を要求しない限り、単語「含む(comprise)」、または、「含む(comprises)」または「含む(comprising)」のような変形は、述べられた整数またはステップまたは整数またはステップの群の包含を暗示するが、任意の他の整数またはステップまたは整数またはステップの群の除外ではないことが理解されるべきである。
【0007】
当業者は、2以上のアミノ酸が結合してペプチドを形成する場合、水の要素は除去されて、および、それぞれのアミノ酸の残りは、アミノ酸残基と呼ばれることを理解する。アミノ酸残基は、他の全てからそれを固有のものにするアミノ酸の部分である。したがって、本明細書において、ペプチド内に含まれるアミノ酸配列の関連における「アミノ酸」に対する言及は、必要に応じて、それぞれのアミノ酸残基を指すと理解される。
【0008】
本明細書において言及される「ペプチド」は、100個未満のアミノ酸残基;具体的には50残基未満の長さ;より具体的には30残基未満の長さ;より具体的には10〜25残基の長さの分子である。
【0009】
ポリアルギニン配列のような塩基性アミノ酸のカチオン性ポリマーに対するそのようなPBXモジュレーターペプチドの付着は、改善された有効性をもたらし得る。特に、そのようなカチオン性ポリマーを細胞透過性部分として用いることにより、ペプチドの効果は、他の細胞透過性配列が用いられる場合よりもさらにいっそう迅速に見られ得る。
【0010】
一実施態様では、X
1は、W、T、PE、KQI、VV、PQT、HおよびRIから選択される。さらなる実施態様では、X
1は、Wである。
【0011】
一実施態様では、X
2は、C、Y、FおよびWから選択される。さらなる実施態様では、X
2は、Yである。
【0012】
一実施態様では、X
3は、M、I、VおよびLから選択される。さらなる実施態様では、X
2は、Mである。
【0013】
一実施態様では、X
4は、K、D、RおよびHから選択される。さらなる実施態様では、X
4は、K、DおよびRから選択される。さらなる実施態様では、X
4は、KまたはRである。さらに、さらなる実施態様では、X
4は、Kである。
【0014】
一実施態様では、X
5は、KまたはRである。さらなる実施態様では、X
5は、Kである。
【0015】
一実施態様では、X
6は、K、R、E、H、D、N、Q、S、TおよびAから選択される。さらなる実施態様では、X
6は、HまたはAである。さらに、さらなる実施態様では、X
6は、Aである。代替の実施態様では、X
6は、不存在である。
【0016】
一実施態様では、X
7は、K、R、E、H、D、N、Q、S、T、AおよびGから選択される。さらなる実施態様では、X
7は、H、HR、A、ARまたはGである。さらに、さらなる実施態様では、X
7は、HまたはAである。さらに、さらなる実施態様では、X
7は、Aである。代替の実施態様では、X
7は、不存在である。
【0017】
一実施態様では、Y
1およびY
2は、それぞれ、Y
1およびY
2の少なくとも一方が存在するように、不存在または塩基性アミノ酸のカチオン性ホモポリマーを含むペプチドのいずれかである。さらなる実施態様では、Y
1およびY
2の塩基性アミノ酸は、存在するならば、アルギニンから選択される。
【0018】
一実施態様では、Y
1および/またはY
2は、細胞透過性部分として作用し、または、細胞透過性部分として作用する配列を含む。
【0019】
好適には、Y
1および/またはY
2部分は、細胞透過性部分として作用して、細胞にペプチドが入るのを可能にする、または助ける。
【0020】
好適には、X
1〜X
7配列は、HOXとPBXとの間の相互作用をインビボで妨げることが可能な配列に対応する。
【0021】
本発明のペプチドは、本明細書に記載の任意のペプチドY
1および/またはY
2に付着された、本発明に記載の任意の配列X
1〜X
7を含む、またはからなる。すなわち、本明細書に記載の塩基性アミノ酸の任意のカチオン性ポリマーは、本明細書に記載の任意のX
1〜X
7配列と組み合わせて用いられ得て、ペプチドX
1〜X
7のC末、N末、または両末端に位置し得る。
【0022】
上記の配列(I)において、X
1〜X
4は、ヘキサペプチド配列を形成する。
【0023】
一実施態様では、式(I)のペプチドは、式:
Y
1WYKWMKKHHY
2(配列番号3)
またはその機能的に同等の誘導体、変異体またはフラグメントを有し、ここで、Y
1およびY
2は、本明細書に定義されるとおりである。
【0024】
配列X
1〜X
7は、WYKWMKKHH(配列番号10)またはWYKWMKKHHR(配列番号11)であってよく、または、X
1〜X
7は、配列WYKWMKKHH(配列番号10)の変異体であってよく、例えば、変異体は、1、2、3、4またはそれより多くのアミノ酸が、上記の式(I)の制約内で変化する。例えば、位置X
1のWは、不存在であってよく、または、T、PE、KQI、VV、PQT、HおよびRIから選択されるいずれか1つで置換されてよく;位置X
2のYは、システインまたは芳香族側鎖を有する別のアミノ酸(具体的にはC、FおよびWから選択される、より具体的にはC)によって置換されてよく;X
3は、別の疎水性アミノ酸(具体的にはL、IおよびVから選択される)によって置換されてよく;位置X
4のKは、荷電側鎖を有する別のアミノ酸(具体的にはD、RおよびHから選択される、より具体的にはR)によって置換されてよく;位置X
5のKは、塩基性側鎖を有する別のアミノ酸、具体的にはRによって置換されてよく;位置X
6のHは、別のアミノ酸(具体的にはK、R、E、D、N、Q、SおよびTから選択される、より具体的にはT)によって置換されてよく;位置X
7のHは、任意の他の1つまたは複数のアミノ酸によって置換されてよく、または不存在であってよく、例えば、X
7は、Tまたは不存在であってよい。任意の1、2、3、4、5、6、または7個のこれらの置換を行なって、上記の式(I)の範囲内に入る代替のペプチドを作製し得る。
【0025】
別の実施態様では、式(I)のペプチドは、式:
Y
1WYKWMKKAAY
2(配列番号4)
または、その機能的に同等の誘導体、変異体またはフラグメントを有し、ここで、Y
1およびY
2は、本明細書において定義されるとおりである。
【0026】
配列X
1〜X
7は、WYKWMKKAA(配列番号12)またはWYKWMKKAAR(配列番号13)であってよく、または、X
1〜X
7は、配列WYKWMKKAA(配列番号12)の変異体であってよく、例えば、変異体は、1、2、3、4またはそれより多くのアミノ酸が、上記の式(I)の制約内で変化する。例えば、位置X
1のWは、不存在であってよく、または、T、PE、KQI、VV、PQT、HおよびRIから選択されるいずれか1つで置換されてよく;位置X
2のYは、システインまたは芳香族側鎖を有する別のアミノ酸(具体的にはC、FおよびWから選択される、より具体的にはC)によって置換されてよく;X
3は、別の疎水性アミノ酸(具体的にはL、IおよびVから選択される)によって置換されてよく;X
4のKは、荷電側鎖を有する別のアミノ酸(具体的にはD、RおよびHから選択される、より具体的にはR)によって置換されてよく;位置X
5のKは、塩基性側鎖を有する別のアミノ酸、具体的にはRによって置換されてよく;位置X
6のAは、別のアミノ酸(具体的にはK、R、E、D、N、Q、SおよびTから選択される、より具体的にはT)によって置換されてよく;位置X
7のAは、任意の他の1つまたは複数のアミノ酸によって置換されてよく、または不存在でよく、例えば、X
7は、Tまたは不存在であってよい。任意の1、2、3、4、5、6、または7個のこれらの置換を行なって、上記の式(I)の範囲内に入る代替のペプチドを作製し得る。
【0027】
別の実施態様では、式(I)のペプチドは、式:
Y
1WYKWMKKY
2(配列番号5)
または、その機能的に同等の誘導体、変異体またはフラグメントを有し、ここで、Y
1およびY
2は、本明細書において定義されるとおりである。
【0028】
配列X
1〜X
7は、WYKWMKK(配列番号14)またはWYKWMKKR(配列番号15)であってよく、または、X
1〜X
5は、配列WYKWMKK(配列番号14)の変異体であってよく、例えば、変異体は、1、2、3、4またはそれより多くのアミノ酸が、上記の式(I)の制約内で変化する。例えば、位置X
1のWは、不存在であってよく、または、T、PE、KQI、VV、PQT、HおよびRIから選択されるいずれか1つで置換されてよく;位置X
2のYは、システインまたは芳香族側鎖を有する別のアミノ酸(具体的にはC、FおよびWから選択される、より具体的にはC)によって置換されてよく;X
3は、別の疎水性アミノ酸(具体的にはL、IおよびVから選択される)によって置換されてよく;X
4のKは、荷電側鎖を有する別のアミノ酸(具体的にはD、RおよびHから選択される、より具体的にはR)によって置換されてよく;位置X
5のKは、塩基性側鎖を有する別のアミノ酸、具体的にはRによって置換されてよい。任意の1、2、3、4、または5個のこれらの置換を行なって、上記の式(I)の範囲内に入る代替のペプチドを作製し得る。
【0029】
一実施態様では、アミノ酸置換は、位置X
2、およびX
3〜X
7において生じる。さらなる実施態様では、アミノ酸置換は、位置X
3〜X
7の1、2、3または4個において生じる。
【0030】
例えば、一実施態様では、上記の式(I)における残基X
1〜X
7は、以下であってよい:
X
1=W;X
2=YまたはC;X
3=M、I、VまたはL;X
4=K、RまたはD;X
5=KまたはR;X
6=H;A、Tまたは不存在;X
7=任意のアミノ酸または不存在;
X
1=W;X
2=YまたはC;X
3=M、I、VまたはL;X
4=K、RまたはD;X
5=KまたはR;X
6=H、A、Tまたは不存在;X
7=H、HR、A、AR、T、Gまたは不存在;
X
1=W;X
2=Y;X
3=M、I、VまたはL;X
4=KまたはR;X
5=KまたはR;X
6=H、A、Tまたは不存在;X
7=任意のアミノ酸または不存在;
X
1=W;X
2=Y;X
3=M、I、VまたはL;X
4=KまたはR;X
5=KまたはR;X
6=H、AまたはT;X
7=H、HR、A、AR、T、Gまたは不存在。
【0031】
X
1〜X
7に関する適切な配列は、以下を含む:
WYKWMKKHH(配列番号10)
W
CKW
LDRH
G(配列番号19)
WYKW
VKKHH(配列番号20)
WYKW
IKKHH(配列番号21)
WYKWM
RKHH(配列番号22)
WYKWMK
RHH(配列番号23)
WYKWM
RRHH(配列番号24)
WYKWMKK
TH(配列番号25)
WYKWMKKH
T(配列番号26)
WYKWMKK
TT(配列番号27)
W
CKWMKKHH(配列番号28)
W
CKWM
RKHH(配列番号29)
W
CKWMK
RHH(配列番号37)
WCKWM
RRHH(配列番号38)
WYKWMK
RTH(配列番号39)
WYKWM
RKTH(配列番号40)
WYKWM
RRTH(配列番号41)
WYKWM
RKHT(配列番号42)
WYKWMK
RH
T(配列番号43)
WYKWM
RRH
T(配列番号44)
WYKWM
RRTT(配列番号45)
WYKW
LRKHH(配列番号46)
WYKW
LK
RHH(配列番号47)
WYKWMKKH(配列番号48)
WYKWMKKAA(配列番号12)
W
CKW
LDRA
G(配列番号49)
WYKW
VKKAA(配列番号50)
WYKW
IKKAA(配列番号51)
WYKWM
RKAA(配列番号52)
WYKWMK
RAA(配列番号53)
WYKWM
RRAA(配列番号54)
WYKWMKK
TA(配列番号55)
WYKWMKKA
T(配列番号56)
W
CKWMKKAA(配列番号57)
W
CKWM
RKAA(配列番号58)
W
CKWMK
RAA(配列番号59)
WCKWM
RRAA(配列番号60)
WYKWMK
RTA(配列番号61)
WYKWM
RKTA(配列番号62)
WYKWM
RRTA(配列番号63)
WYKWM
RKAT(配列番号64)
WYKWMK
RA
T(配列番号65)
WYKWM
RRA
T(配列番号66)
WYKW
LRKAA(配列番号67)
WYKW
LK
RAA(配列番号68)
WYKWMKKA(配列番号69)
WYKWMKK(配列番号14)
【0032】
任意のこれらの変異X
1〜X
7配列は、本明細書に記載の任意のY
1および/またはY
2残基と組み合わせて用いられ得る。例えば、本明細書に記載の任意のX
1〜X
7配列は、C末、N末または両末端に付着された、(Arg)
6−12ペプチド、例えば、(Arg)
6[配列番号90]、(Arg)
7[配列番号91]、(Arg)
8[配列番号92]、(Arg)
9[配列番号9]、(Arg)
10[配列番号93]、(Arg)
11[配列番号94]または(Arg)
12[配列番号95]ペプチドとともに用いられ得る。
【0033】
上記に説明したように、Y
1および/またはY
2は、塩基性アミノ酸のカチオン性ポリマーであり、または含む。典型的に、Y
1および/またはY
2は、細胞透過性部分として作用することが可能な配列を含む。
【0034】
一実施態様では、Y
1は、X
1上のN末アミノ基を介して付着される。代替の実施態様では、Y
1は、X
1の側鎖を介して付着される。一実施態様では、Y
2は、X
7上のC末カルボキシル基を介して付着される。代替の実施態様では、Y
2は、X
7の側鎖を介して付着される。存在する場合、Y
1およびY
2は、それぞれ好適に、50アミノ酸またはそれ未満のペプチドであり、任意選択で置換される。
【0035】
本明細書において用いられる「細胞透過性部分」は、それが付着される分子が細胞に入るのを助けるまたは促進する分子、分子の構造または集合を指す。
【0036】
Y
1および/またはY
2の関連において、それが付着されるペプチドなどの分子が細胞に入るのを可能にするまたは助けることのできる、塩基性アミノ酸の任意のカチオン性ポリマーが用いられ得る。部分は、一般に様々な細胞型に入ることのできる作用物質であってよく、または、治療される特定の細胞型に特異的または標的化されてよい。
【0037】
細胞透過性部分は、ペプチドX
1〜X
7に直接結合されてよく、または、1つまたは複数のアミノ酸のリンカー配列を介して付着されてよい。リンカー配列は、位置X
7にアミノ酸(単数または複数)を含んでよい。典型的に、リンカーは、かさばる側基を持たないアミノ酸を含み、したがって、セリンおよびグリシンのようにタンパク質の折り畳みを妨害しない。リンカーは、細胞にペプチドが入るのを細胞透過性部分が助けるまたは促進するのを可能にして、および、ペプチドのHOX−PBX相互作用部分がHOX−PBX結合を妨げるのも可能にする。リンカーは、柔軟なアミノ酸リンカーであってよい。リンカーは、典型的に、20アミノ酸までの長さ、例えば、5〜18または10〜16、具体的には15アミノ酸を有する。
【0038】
細胞透過性部分は、あるいは、ペプチドX
1〜X
7と関連してよく、例えば、リポフェクションのためのリポソームまたはポリカチオンまたはカチオン性脂質を用いることにより、例えば、前記ペプチドを含む複合体をカプセル化または形成してよい。本明細書において用いられる「〜と関連する」は、ペプチドに付着または何らかの方法で結合される部分を指す。
【0039】
一実施態様では、Y
1および/またはY
2は、カチオン性ポリマーまたは薬学的に許容できるその塩であり、または含む。
【0040】
本明細書において用いられる用語「薬学的に許容できる塩」は、本発明の化合物の生物学的有効性および特性を保持する塩を指し、そして、典型的に、生物学的または他の方法で望ましくないものでない。本発明のペプチドは、アミノ基および/またはカルボキシル基またはそれらに類似する基の存在により、酸および/または塩基の塩を形成することが可能である。
【0041】
薬学的に許容できる酸付加塩は、無機酸および有機酸とともに形成することができ、例えば、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、臭化塩/臭化水素酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、カンファースルホン酸塩(camphorsulfornate)、塩化物塩/塩酸塩、クロロテオフィロン酸塩(chlortheophyllonate)、クエン酸塩、エタン二スルホン酸塩(ethandisulfonate)、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフトエ酸塩(naphthoate)、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ポリガラクツロ酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩およびトリフルオロメチルスルホン酸塩である。
【0042】
塩を生じることのできる無機酸は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを含む。
【0043】
塩を生じることのできる有機酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメチルスルホン酸塩、スルホサリチル酸などを含む。薬学的に許容できる塩基付加塩は、無機および有機の塩基と形成することができる。
【0044】
塩を生じることのできる無機塩基は、例えば、アンモニウム塩および周期表のカラムI〜XII由来の金属を含む。特定の実施態様では、塩は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛、および銅に由来し;特に適切な塩は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、およびマグネシウムの塩を含む。
【0045】
塩を生じることのできる有機塩基は、例えば、一級、二級、および三級アミン、天然起源の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基イオン交換樹脂などを含む。特定の有機アミンは、イソプロピルアミン、ベンザチン、コリネート(cholinate)、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リジン、メグルミン、ピペラジンおよびトロメタミンを含む。
【0046】
さらに、それらの塩を含む本発明のペプチドは、それらの水和物の形態で得ることもできて、または、それらの結晶化のために用いられる他の溶媒を含む。
【0047】
本発明のペプチド、すなわち、水素結合のためのドナーおよび/またはアクセプターとして作用することが可能な基を含む式(I)のペプチドは、適切な共結晶形成具を用いて共結晶を形成することが可能であってよい。これらの共結晶は、公知の共結晶形成手順によって、式(I)のペプチドから調製され得る。そのような手順は、研削、加熱、共昇華、共溶解、または、結晶化条件下で共結晶形成具と式(I)の化合物を溶液中で接触させるステップ、および、それによって形成される共結晶を単離するステップを含む。適切な共結晶形成具は、WO2004/078163に記載されるものを含む。それ故に、本発明は、式(I)のペプチドを含む共結晶をさらに提供する。
【0048】
当業者は、塩基性基および酸性基の両方が存在する場合、本発明のペプチドは、分子内塩、例えば、双性イオンも形成し得ることを理解する。
【0049】
Y
1および/またはY
2は、塩基性アミノ酸のカチオン性ポリマーであり、または含む。好適には、塩基性アミノ酸は、リジン、アルギニンおよびヒスチジンから選択される。そのようなポリアミノ酸は、Sigma−Aldrichから容易に利用可能である。
【0050】
Y
1および/またはY
2は、塩基性アミノ酸のホモポリマーであってよく、または含んでよい。例えば、Y
1および/またはY
2は、ポリアルギニン、ポリリジンまたはポリヒスチジンであってよい。あるいは、ポリアミノ酸は、1つまたは複数の塩基性アミノ酸のポリマーであってよく、任意選択で1つまたは複数の非塩基性アミノ酸を含んでもよい。したがって、ポリアミノ酸は、1つまたは複数の塩基性アミノ酸および任意選択で1つまたは複数の他のアミノ酸を含んでよい。そのようなコポリマーは、典型的に、塩基性アミノ酸の大部分を含む。例えば、コポリマー内のアミノ酸の50〜100%は、塩基性であってよい。好適には、60〜90%または70〜80%は、塩基性である。一実施態様では、コポリマー内のアミノ酸の少なくとも75%、例えば少なくとも85%、95%、98%、または99%は、塩基性である。一実施態様では、これらの塩基性アミノ酸、またはそのような塩基性アミノ酸の群は、コポリマー内で塩基性アミノ酸のみの鎖として共に位置してよい。一般に、塩基性アミノ酸は、1つまたは複数のリジン、ヒスチジンおよびアルギニンを含む。コポリマーが、1つまたは複数の非塩基性アミノ酸を含む場合は、これらは、好ましくは、アスパラギン酸またはグルタミン酸のような酸性アミノ酸ではない。1つまたは複数の非塩基性アミノ酸は、脂肪族または芳香族側鎖を有するアミノ酸、例えば、トレオニン、プロリン、トリプトファン、セリンまたはフェニルアラニンを含んでよい。
【0051】
任意の上記のポリアミノ酸におけるアミノ酸は、LまたはDアミノ酸であってよい。
【0052】
一実施態様では、ポリアミンは、アルギニン(Arg)
xまたはリジン(Lys)
xのホモポリマーである。ポリ−L−アルギニンまたはポリ−L−リジン、特にポリ−L−アルギニンが適切である。典型的に、ホモポリマーは、約500〜15000、例えば500〜10000、500〜5000、または500〜1000の分子量を有する。一実施態様では、上記式におけるxは、3〜100、例えば3〜50、3〜30または3〜20の範囲であってよい。
【0053】
小ペプチドホモポリマー、例えば、500〜1500、例えば500〜1250、または700〜1000の範囲の分子量を有するものが、特に適切である。典型的に、小ペプチドでは、xは、3〜15、例えば6〜12の値を有する。例えば、Y
1および/またはY
2は、ポリアルギニンからなる6〜12個のアルギニン残基からなるポリアルギニンであってよく、または含んでよい。本明細書において例示されるものは、ペプチドであって、ここで、Y
1および/またはY
2は、(Arg)
9であり、例えばここで、Y
1は不存在であり、Y
2は、Arg−Arg−Arg−Arg−Arg−Arg−Arg−Arg−Arg(配列番号9)である。
【0054】
特に適切なペプチドは、したがって、Y
1および/またはY
2=(Arg)
9のものを含む。
【0055】
特に適切なペプチドは、配列
WYKWMKKHHRRRRRRRRR(配列番号6);
WYKWMKKAARRRRRRRRR(配列番号7);
WYKWMKKRRRRRRRRR(配列番号8);
または、それらの機能的に同等の誘導体、変異体またはフラグメントを有する。
【0056】
式(I)のペプチドにおけるアミノ酸は、LまたはDアミノ酸であってよい。
【0057】
ペプチド内の全てのアミノ酸は、同一の立体化学を有してよく、例えば、ペプチドは、L−アミノ酸のみまたはD−アミノ酸のみからなってよい。あるいは、ペプチドは、L−およびD−アミノ酸の両方の組み合わせを含んでよい。以下に説明するように、ペプチド内のL−およびD−アミノ酸の数および位置を変更することによって、生じるペプチドの安定性、例えば、体への投与後のペプチドの安定性に影響を与えることが可能であり得る。一実施態様では、ペプチドの少なくともN末−およびC末−mostのアミノ酸はD構造であり、一方で、残りのアミノ酸はL構造である。
【0058】
任意選択で、1、2、3、4またはそれより多くのさらなるアミノ酸も、D構造である。任意選択で、位置X
7またはそれに隣接する1つまたは複数のアミノ酸は、D構造である。任意選択で、位置X
2〜X
3のアミノ酸は、L構造である。
【0059】
PBXモジュレーターペプチドの安定性は、ペプチド内に1つまたは複数のD−アミノ酸を組み込むことによって改善され得ることが知られている。特に、血漿におけるペプチドの半減期は、ペプチドの少なくともN末およびC末の位置にDアミノ酸を用いることによって改善され得る。この改善された半減期は、様々な細胞透過性配列を含むペプチドに見られる。
【0060】
したがって、第二の実施態様では、本発明のペプチドは、式(II)のアミノ酸配列(配列番号2):
Y
3X
1X
2KWX
3X
4X
5X
6X
7Y
4(II)
ここで
配列X
1〜X
7は、少なくとも7個のアミノ酸を含むアミノ酸配列であり(任意選択で、ここに規定される9個のアミノ酸位置の1つまたは複数の間で、1または2個のアミノ酸残基によって中断され得る);
X
1は、W、T、PE、KQI、VV、PQT、H、RIおよび不存在から選択されて;
X
2は、芳香族側鎖を有するアミノ酸またはシステインであり;
X
3は、疎水性アミノ酸であり
X
4は、荷電側鎖を有するアミノ酸であり;
X
5は、塩基性側鎖を有するアミノ酸であり;
X
6は、アミノ酸または不存在であり;
X
7は、1つまたは複数のアミノ酸または不存在であり;および
Y
3およびY
4は、Y
3およびY
4の少なくとも一方は存在するという条件で、それぞれ、不存在または細胞透過性部分を含む配列を含むペプチドのいずれかであり;
ここで、前記ペプチドの少なくともN末およびC末アミノ酸は、D構造である;
または、その機能的に同等の誘導体、変異体またはフラグメント
を含み、またはからなる。
【0061】
一実施態様では、X
1は、W、T、PE、KQI、VV、PQT、HおよびRIから選択される。さらなる実施態様では、X
1は、Wである。
【0062】
一実施態様では、X
2は、C、Y、FおよびWから選択される。さらなる実施態様では、X
2は、Yである。
【0063】
一実施態様では、X
3は、M、I、VおよびLから選択される。さらなる実施態様では、X
2は、Mである。
【0064】
一実施態様では、X
4は、K、D、RおよびHから選択される。さらなる実施態様では、X
4は、K、DおよびRから選択される。さらなる実施態様では、X
4は、KまたはRである。さらに、さらなる実施態様では、X
4は、Kである。
【0065】
一実施態様では、X
5は、KまたはRである。さらなる実施態様では、X
5は、Kである。
【0066】
一実施態様では、X
6は、K、R、E、H、D、N、Q、S、TおよびAから選択される。さらなる実施態様では、X
6は、HまたはAである。さらに、さらなる実施態様では、X
6は、Aである。代替の実施態様では、X
6は、不存在である。
【0067】
一実施態様では、X
7は、K、R、E、H、D、N、Q、S、T、AおよびGから選択される。さらなる実施態様では、X
7は、H、AまたはGである。さらに、さらなる実施態様では、X
7は、HまたはAである。さらに、さらなる実施態様では、X
7は、Aである。代替の実施態様では、X
7は、不存在である。
【0068】
上記の配列において、X
1〜X
4は、ヘキサペプチド配列を形成する。
【0069】
一実施態様では、式(II)のペプチドは、式:
Y
3WYKWMKKHHY
4(配列番号16)
または、その機能的に同等の誘導体、変異体またはフラグメントを有し、ここで、Y
3およびY
4は、本明細書において定義されるとおりである。
【0070】
配列X
1〜X
7は、WYKWMKKHH(配列番号10)またはWYKWMKKHHR(配列番号11)であってよく、または、X
1〜X
7は、配列WYKWMKKHH(配列番号10)の変異体であってよく、例えば、変異体は、1、2、3、4またはそれより多くのアミノ酸が、上記の式(I)の制約内で変化する。例えば、位置X
1のWは、不存在であってよく、または、T、PE、KQI、VV、PQT、HおよびRIから選択されるいずれか1つで置換されてよく;位置X
2のYは、システインまたは芳香族側鎖を有する別のアミノ酸(具体的にはC、FおよびWから選択される、より具体的にはC)によって置換されてよく;X
3は、別の疎水性アミノ酸(具体的にはL、IおよびVから選択される)によって置換されてよく;X
4のKは、荷電側鎖を有する別のアミノ酸(具体的にはD、RおよびHから選択される、より具体的にはR)によって置換されてよく;位置X
5のKは、塩基性側鎖を有する別のアミノ酸、具体的にはRによって置換されてよく;位置X
6のHは、別のアミノ酸(具体的にはK、R、E、D、N、Q、SおよびTから選択される、より具体的にはT)によって置換されてよく;位置X
7のHは、任意の他の1つまたは複数のアミノ酸によって置換されてよく、または不存在であってよく、例えば、X
7は、Tまたは不存在であってよい。任意の1、2、3、4、5、6、または7個のこれらの置換を行なって、上記の式(II)の範囲内に入る代替のペプチドを作製し得る。
【0071】
別の実施態様では、式(II)のペプチドは、式:
Y
3WYKWMKKAAY
4(配列番号17)
または、その機能的に同等の誘導体、変異体またはフラグメントを有し、ここで、Y
3およびY
4は、本明細書において定義されるとおりである。
【0072】
配列X
1〜X
7は、WYKWMKKAA(配列番号12)またはWYKWMKKAAR(配列番号13)であってよく、または、X
1〜X
7は、配列WYKWMKKAA(配列番号12)の変異体であってよく、例えば、変異体は、1、2、3、4またはそれより多くのアミノ酸が、上記の式(II)の制約内で変化する。例えば、位置X
1のWは、不存在であってよく、または、T、PE、KQI、VV、PQT、HおよびRIから選択されるいずれか1つで置換されてよく;位置X
2のYは、システインまたは芳香族側鎖を有する別のアミノ酸(具体的にはC、FおよびWから選択される、より具体的にはC)によって置換されてよく;X
3は、別の疎水性アミノ酸(具体的にはL、IおよびVから選択される)によって置換されてよく;X
4のKは、荷電側鎖を有する別のアミノ酸(具体的にはD、RおよびHから選択される、より具体的にはR)によって置換されてよく;位置X
5のKは、塩基性側鎖を有する別のアミノ酸、具体的にはRによって置換されてよく;位置X
6のAは、別のアミノ酸(具体的にはK、R、E、D、N、Q、SおよびTから選択される、より具体的にはT)によって置換されてよく;位置X
7のAは、任意の他の1つまたは複数のアミノ酸によって置換されてよく、または不存在でよく、例えば、X
7は、Tまたは不存在であってよい。任意の1、2、3、4、5、6、または7個のこれらの置換を行なって、上記の式(II)の範囲内に入る代替のペプチドを作製し得る。
【0073】
別の実施態様では、式(II)のペプチドは、式:
Y
3WYKWMKKY
4(配列番号18)
または、その機能的に同等の誘導体、変異体またはフラグメントを有し、ここで、Y
3およびY
4は、本明細書において定義されるとおりである。
【0074】
配列X
1〜X
7は、WYKWMKK(配列番号14)またはWYKWMKKR(配列番号15)であってよく、または、X
1〜X
5は、配列WYKWMKK(配列番号14)の変異体であってよく、例えば、変異体は、1、2、3、4またはそれより多くのアミノ酸が、上記の式(II)の制約内で変化する。例えば、位置X
1のWは、不存在であってよく、または、T、PE、KQI、VV、PQT、HおよびRIから選択されるいずれか1つで置換されてよく;位置X
2のYは、システインまたは芳香族側鎖を有する別のアミノ酸(具体的にはC、FおよびWから選択される、より具体的にはC)によって置換されてよく;X
3は、別の疎水性アミノ酸(具体的にはL、IおよびVから選択される)によって置換されてよく;X
4のKは、荷電側鎖を有する別のアミノ酸(具体的にはD、RおよびHから選択される、より具体的にはR)によって置換されてよく;位置X
5のKは、塩基性側鎖を有する別のアミノ酸、具体的にはRによって置換されてよい。任意の1、2、3、4、または5個のこれらの置換を行なって、上記の式(II)の範囲内に入る代替のペプチドを作製し得る。
【0075】
一実施態様では、アミノ酸置換は、位置X
2、およびX
3〜X
7で生じる。さらなる実施態様では、アミノ酸置換は、位置X
3〜X
7の1、2、3、または4個で生じる。
【0076】
例えば、一実施態様では、上記の式(II)における残基X
1〜X
7は、以下であってよい:
X
1=W;X
2=YまたはC;X
3=M、I、VまたはL;X
4=K、RまたはD;X
5=KまたはR;X
6=H、A、Tまたは不存在;X
7=任意のアミノ酸または不存在;
X
1=W;X
2=YまたはC;X
3=M、I、VまたはL;X
4=K、RまたはD;X
5=KまたはR;X
6=H、A、Tまたは不存在;X
7=H、HR、A、AR、T、Gまたは不存在;
X
1=W;X
2=Y;X
3=M、I、VまたはL;X
4=KまたはR;X
5=KまたはR;X
6=H、A、Tまたは不存在;X
7=任意のアミノ酸または不存在;
X
1=W;X
2=Y;X
3=M、I、VまたはL;X
4=KまたはR;X
5=KまたはR;X
6=H、A、T;X
7=H、HR、A、AR、T、Gまたは不存在。
【0077】
任意のこれらの変異体X
1〜X
7配列は、本明細書に記載の任意のY
3および/またはY
4残基と組み合わせて用いられ得る。例えば、本明細書に記載の任意のX
1〜X
7配列は、C末、N末、または両末端に付着された、(Arg)
6−12ペプチド、例えば、(Arg)
7、(Arg)
8または(Arg)
9ペプチドとともに用いられ得る。あるいは、本明細書に記載の任意のX
1〜X
7配列は、C末、N末、または両末端に付着された、以下に記載されるもののようなペネトラチンペプチドとともに用いられ得る。
【0078】
上記に記載される「細胞透過性部分」は、それが付着される分子が細胞に入るのを助けるまたは促進する、分子、分子の構造または集合を指す。
【0079】
様々なそのような部分が当技術分野でよく知られていて、ペプチド、例えば、ペネトラチン、tat由来タンパク質、細胞が入るのを可能にするペプチドシグナル配列、そのようなペプチドシグナルを含むペプチド、ならびに、トランスポータンまたはモデル両親媒性ペプチドのような合成および/またはキメラ細胞透過性ペプチドを含む(Lindgren et al.,2000,TiPS,21,p99−103、および、Derossi et al.,1998,Trends C.Biol.,8,p84−87)。細胞に入ることが可能な非ペプチド分子または物質もまた用いられ得る。好適には、細胞透過性部分は、受容体非依存性のメカニズムによって作用する。本発明のペプチドのような分子が、細胞に入るのを可能にするまたは助けることのできる任意の物質が用いられ得る。部分は、一般に、様々な細胞型に入ることのできる作用物質であってよく、または、治療される特定の細胞型に特異的または標的化されてよい。
【0080】
細胞透過性部分は、ペプチドX
1〜X
7に直接結合されてよく、または、1つまたは複数のアミノ酸のリンカー配列を介して付着されてよい。リンカー配列は、位置X
7にアミノ酸(単数または複数)を含んでよい。細胞透過性部分は、あるいは、ペプチドX
1〜X
7と関連してよく、例えば、リポフェクションのためのリポソームまたはポリカチオンまたはカチオン性脂質を用いることにより、例えば、前記ペプチドを含む複合体をカプセル化または形成してよい。
【0081】
本明細書において用いられる「〜と関連する」は、ペプチドに付着または何らかの方法で結合される部分を指す。
【0082】
一実施態様では、Y
3および/またはY
4は、上述の塩基性アミノ酸のカチオン性ポリマーを含んでよく、またはからなってよい。上記に記載の任意のそのようなカチオン性ポリマーは、本発明のこの実施態様において用いられ得る。例えば、Y
3および/またはY
4は、(Arg)
9のようなポリアルギニン配列を含んでよく、またはからなってよい。
【0083】
代替の実施態様では、前記細胞透過性部分は、以下の一般式(配列番号30)
X
9QX
10X
11X
12WFQNX
13X
14MX
15WX
16X
17
を有するペネトラチン配列に基づくペプチドを含み、またはからなり、
ここで
X
9は、RまたはQまたは不存在であり;
X
10、X
12は、それぞれ独立に、IまたはLであり;および
X
11、X
13、X
14、X
15、X
16およびX
17は、それぞれ独立に、KまたはRである。
【0084】
好適には、ペネトラチン配列は、以下の形態を有する:
QIKIWFQNRRMKWKK(配列番号70);
QIRIWFQNRRMKWKK(配列番号71);
QIKIWFQNKRMKWKK(配列番号72);
QIKIWFQNKKMKWKK(配列番号73);
QIRIWFQNRKMKWKK(配列番号74);
QIRIWFQNRRMRWKK(配列番号75);
QIRIWFQNRRMKWRK(配列番号76);
QIRIWFQNRRMKWKR(配列番号77);
QIRIWFQNRRMKWRR(配列番号78);
QIRIWFQNRRMKWKK(配列番号79);
QIKIWFQNRRMKWRK(配列番号80);
QIRIWFQNKRMKWRK(配列番号81);
QIKLWFQNRRMKWKK(配列番号82);
QLKLWFQNRRMKWKK(配列番号83);または
QLRIWFQNRRMKWKK(配列番号84)。
【0085】
特に適切なペプチドは、配列
WYKWMKKHHRQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号31)
または、その機能的に同等の誘導体、変異体またはフラグメント
を有する。
【0086】
代替のペプチドは、配列WYKWMKKHHRQIKIWFQNRRMKWK(配列番号34)を有する。
【0087】
特に適切なペプチドは、配列
WYKWMKKAARQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号32)を有する。
【0088】
代替のペプチドは、配列WYKWMKKAARQIKIWFQNRRMKWK(配列番号35)を有する。
【0089】
特に適切なペプチドは、配列
WYKWMKKRQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号33)を有する。
【0090】
代替のペプチドは、配列WYKWMKKRQIKIWFQNRRMKWK(配列番号36)を有する。
【0091】
式(II)のペプチドにおいて、2以上のアミノ酸は、D構造で存在する。少なくともN末およびC末アミノ酸は、D構造で存在する。1、2、3、4、5、またはそれより多くのさらなるアミノ酸がDアミノ酸であってもよい。例えば、位置X
7またはそれに隣接するアミノ酸(単数または複数)は、Dアミノ酸(単数または複数)であってよく、または含んでよい。ペプチド内の全てのアミノ酸が、D構造であってよい。一実施態様では、N末およびC末アミノ酸は、Dアミノ酸であり、残りのアミノ酸はLアミノ酸である。任意選択で、位置X
2〜X
3のアミノ酸は、L構造である。一実施態様では、少なくともN末およびC末アミノ酸は、Dアミノ酸であり、位置X
2〜X
3のアミノ酸は、Lアミノ酸である。
【0092】
その「機能的に同等の」誘導体、変異体またはフラグメントは、本発明のペプチドに関連する、またはそれから得られるペプチドを指し、ここで、アミノ酸配列は、例えば、改変アミノ酸の使用によって、または、単一または多数のアミノ酸(例えば、1〜10、例えば1〜5、特に1または2残基での)置換、付加および/または欠失によって、改変されているが、それにもかかわらず、機能性活性を保持する。例えば、配列番号6、7、8、31、32および33の特定のペプチドの機能的に同等の誘導体は、HOXミミックとして作用する能力を保持し得て、およびしたがって、HOXタンパク質およびPBXタンパク質(特にPBXlまたはPBX2)の間の相互作用と拮抗する。そのような相互作用は、一般的な実験的技術を用いて評価され得る。1つのそのような方法は、2007年1月4日、WO2007/00601として発行された国際特許出願PCT/GB2006/002390に示されて、その内容は、全ての目的に関してそれらの全体に援用される。(Arg)
x配列またはペネトラチン配列の機能的に同等の誘導体は、例えば、付着されたペプチドが細胞に入るのを可能にすることによって、細胞透過性部分としての活性を保持し得る。そのような能力は、実施例1に示されるもののような一般に公知の技術によって評価されてもよい。
【0093】
配列番号6、7または8のペプチドの適切な機能的に同等の誘導体、変異体またはフラグメントは、配列番号1の配列の範囲内に入り、または含む。(Arg)
9の適切な機能的に同等の誘導体、変異体またはフラグメントは、上述のY
1および/またはY
2の範囲内に入る。
【0094】
配列番号31、32または33のペプチドの適切な機能的に同等の誘導体、変異体またはフラグメントは、配列番号2の配列の範囲内に入り、または含む。ペネトラチン配列の適切な機能的に同等の誘導体、変異体またはフラグメントは、配列番号30の配列の範囲内に入り、または含む。
【0095】
「付加」の意味の中では、アミノおよび/またはカルボキシル末端融合タンパク質またはポリペプチドである変異が含まれて、ペプチド配列に融合されたさらなるタンパク質またはポリペプチドを含む。
【0096】
上述したように、ペプチドは、好ましくはN末またはC末において、さらなる部分によって置換され得る。そのような部分は、ペプチドの機能、その標的化またはその合成、捕捉または識別、例えばラベル(例えばビオチン)または脂質分子を助けるために付加され得る。そのような部分は、あるいは、ペプチド自体の中に見られ得る。例えば、ラベルのような部分は、ペプチド内に内部に位置するアミノ酸に付着され得る。例えば、X
7は、そのような部分の全てまたは一部を含んでよく、または、前記部分は、Y
1、Y
2、Y
3および/またはY
4の一部を形成してよく、またはそれらの中に位置してよい。
【0097】
「置換」変異体は、好ましくは、1つまたは複数のアミノ酸の、同じ数のアミノ酸との置換を伴い、保存的アミノ酸置換をする。例えば、アミノ酸は、似た特性を有する代替のアミノ酸、例えば、別の塩基性アミノ酸、別の荷電アミノ酸、別の親水性アミノ酸または別の脂肪族アミノ酸によって置換され得る。主なアミノ酸の一部の特性は、表1のとおりである:
【0099】
好適には、「誘導体」または「変異体」は、天然起源のアミノ酸の代わりに、配列内に現れるアミノ酸がその構造的アナログであるものを含む。配列において用いられるアミノ酸は、ペプチドの機能が著しく悪影響を受けない限り、誘導体化または改変されてもよい(例えば標識)。
【0100】
上述の誘導体および変異体は、ペプチドの合成中に、または生産後の改変によって、または、ペプチドが組み換えの形態である場合、部位特異的突然変異誘発、ランダム突然変異誘発、または酵素的切断および/または核酸のライゲーションの公知の技術を用いて、調製されてよい。
【0101】
本発明に係る機能的に同等の「フラグメント」は、例えばNおよび/またはC末からの1つまたは複数のアミノ酸の除去によるトランケーションによって作られ得る。そのようなフラグメントは、配列番号1または2の配列に由来してよく、または、上述の機能的に同等のペプチドに由来してよい。好適には、そのようなフラグメントは、6〜30残基の長さ、例えば、6〜25または10〜15残基である。
【0102】
好適には、本発明に係る機能性変異体は、例えば、配列番号6、7、8、31、32または33に対して、70%を超える、例えば75または80%、好ましくは85%を超える、例えば90または95%を超えるホモロジーを有するアミノ酸配列を有する(この後に記載の試験による)。
【0103】
アミノ酸配列との関連において、「配列同一性」は、以下のパラメーターでClustalW(Thompson et al.,1994、上記)を用いて評価した場合に、示された値を有する配列を指す:
【0104】
ペアワイズアライメントパラメーター−方法:正確な、マトリックス:PAM、ギャップオープンペナルティー:10.00、ギャップエクステンションペナルティー:0.10;
マルチプルアライメントパラメーター−マトリックス:PAM、ギャップオープンペナルティー:10.00、遅れに関する同一性(%):30、ペナライズエンドギャップ:on、Gap分離距離:0、ネガティブマトリックス:no、ギャップエクステンションペナルティー:0.20、残基−特異的ギャップペナルティー:on、親水性ギャップペナルティー:on、親水性残基:GPSNDQEKR。特定の残基における配列同一性は、単純に誘導体化されている同一の残基を含むことが意図される。
【0105】
本明細書に定義される本発明のペプチドは、化学的に改変、例えば、翻訳後に改変され得る。例えば、それらはグリコシル化されてよく、または、改変されたアミノ酸残基を含んでよい。それらは、ポリペプチドとのコンジュゲートおよびアミドを含む様々な形態のポリペプチド誘導体であってよい。
【0106】
化学的に改変されたペプチドは、機能性側基の反応によって化学的に誘導体化された1つまたは複数の残基を有するものも含む。そのような誘導体化された側基は、アミン塩酸塩、p−トルエンスルホニル基、カルボベンゾキシ基、t−ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基、およびホルミル基を形成するために誘導体化されているものを含む。フリーのカルボキシル基を誘導体化して、塩、メチルおよびエチルエステルまたは他のタイプのエステルまたはヒドラジドが形成され得る。フリーのヒドロキシル基を誘導体化して、O−アシルまたはO−アルキル誘導体が形成され得る。ヒスチジンのイミダゾール窒素を誘導体化して、N−im−ベンジルヒスチジンが形成され得る。
【0107】
環化ペプチド、すなわち、共有結合で結合されて環を生じる本発明のペプチドもまた、化学的に改変されたペプチドとして含まれる。典型的に、アミノ末端とカルボキシ末端(いわゆるヘッド−トゥ−テールの環化)、アミノ末端と側鎖(いわゆるヘッド−トゥ−側鎖の環化)、カルボキシ末端と側鎖(いわゆる側鎖−トゥ−テールの環化)、または、側鎖と側鎖(いわゆる側鎖−トゥ−側鎖の環化)は、共有結合で結合されて環状ペプチドを形成し得る。ヘッド−トゥ−テールの環状ペプチドは、典型的に、アミド結合の形成によって形成され得る。側鎖−トゥ−側鎖のサイクルは、典型的に、環状ペプチド内のCys−Cysジスルフィド架橋形成またはアミド結合形成を介して形成され得る。あるいは、アミノ末端、カルボキシ末端または側鎖は、共有結合でペプチド主鎖に結合されて環状ペプチドを形成し得る。
【0108】
20個の標準的なアミノ酸の1つまたは複数の天然起源アミノ酸誘導体を含むものもまた、化学的に改変されたペプチドとして含まれる。
【0109】
例えば、4−ヒドロキシプロリンは、プロリンに関して置換され得て、または、ホモセリンは、セリンに関して置換され得る。
【0110】
本発明のペプチドは、露出ラベルを持っていてよい。適切なラベルは、放射性同位体、蛍光ラベル、酵素ラベル、または、ビオチンのような他のタンパク質ラベルを含む。
【0111】
本明細書に提供される任意の式は、ペプチドの非標識形態ならびに同位体的に標識された形態を表わすことも意図する。同位体的に標識されたペプチドは、1つまたは複数の原子が、選択された原子質量または質量数を有する原子によって置換されていることを除いて、本明細書において与えられる式によって表される構造を有する。本発明のペプチドに組み込まれ得る同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、亜リン酸、フッ素、および塩素の同位体、例えば、それぞれ、
2H、
3H、
11C、
13C、
14C、
15N、
18F
31P、
32P、
35S、
36Cl、
125Iを含む。本発明は、例えば、
3H、および
14Cのような放射性同位体が中に存在するもののような、本明細書に定義される様々な同位体的に標識されたペプチドを含む。そのような同位体的に標識されたペプチドは、代謝試験(
14Cを用いる)、反応速度論試験(例えば、
2Hまたは
3Hを用いる)、検出またはイメージング技術、例えば、薬物または基質組織分配アッセイを含む単一光子放出型コンピュータ断層撮影(SPECT)または陽電子放射断層撮影(PET)において、または、患者の放射性治療において、有用である。特に、
18Fまたは標識ペプチドは、PETまたはSPECT試験に特に望ましくあり得る。本発明の同位体的に標識されたペプチドおよびそのプロドラッグは、一般に、スキームまたは実施例に開示される手順、および、同位体的に標識されていない試薬に関して容易に利用可能な、同位体的に標識された試薬を置換することによる以下に記載の調製を行なうことによって、調製され得る。
【0112】
本発明の同位体的に標識されたペプチドは、当業者に公知の従来技術によって、または、以前に採用された標識されていない試薬の代わりに適切な同位体的に標識された試薬を用いた本明細書に記載のものと類似する方法によって、一般に調製され得る。
【0113】
本発明に係る薬学的に許容できる溶媒和物は、結晶化の溶媒が同位体的に置換され得るもの、例えばD
2O、d
6−アセトン、d
6−DMSOを含む。
【0114】
本発明に係る使用のための上述のペプチドは、遺伝子学または化学的手段を含む従来の合成モードによって調製され得る。
【0115】
固相メリフィールド型合成のような合成技術は、純度、抗原特異性、不要な副産物がないこと、および、生産の容易性の理由のために、好ましくあり得る。固相ペプチド合成のための適切な技術は、当業者によく知られている(例えば、Merrifield et al.,1969,Adv.Enzymol 32,221−96、および、Fields et al.,1990,Int.J.Peptide Protein Res,35,161−214を参照)。化学的合成は、末端アミノ酸の官能基の選択的脱保護および選択的に保護されたアミノ酸残基のカップリングの反応のサイクルセットを含む当技術分野でよく知られている方法によって、その後に、最後に全ての官能基の完全な脱保護によって、行なわれ得る。
【0116】
合成は、溶液中で、または当技術分野で知られている適切な固相を用いて固体支持体上で、行なわれ得る。
【0117】
本発明のペプチドは医薬組成物で用いることが意図されるので、それらはそれぞれ、好ましくは実質的に純粋な形態、例えば少なくとも60%純粋、より好適には少なくとも75%純粋、好ましくは少なくとも85%、特に、少なくとも98%純粋で提供されることが容易に理解される(%は、重量に関する重量ベースである)。化合物の不純な製剤は、医薬組成物において用いられるより純粋な形態を調製するために用いられ得て;これらのより純粋でない化合物の製剤は、本発明の化合物の少なくとも1%、より好適には少なくとも5%、好ましくは10〜59%を含むべきである。
【0118】
代替の実施態様では、本発明のペプチドは、それをコードしていて発現することが可能なポリヌクレオチドから生産され得て、またはその形態で送達され得る。そのようなポリヌクレオチドは、例として、Sambrook et al(1989,Molecular Cloning−a laboratory manual;Cold Spring Harbor Press)に記載の当技術分野でよく知られている方法に従って合成され得る。そのようなポリヌクレオチドは、本発明のペプチドの生産において、インビトロまたはインビボで用いられ得る。そのようなポリヌクレオチドは、したがって、癌または本明細書に記載の他の疾患または症状の治療において投与または使用され得る。
【0119】
また、本発明は、そのようなポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターも含む。そのような発現ベクターは、分子生物学の分野において日常的に構築されて、本発明のペプチドの発現を可能にするために、例えば、プラスミドDNAおよび適切なイニシエーター、プロモーター、エンハンサー、および、必要であり得て正しい方位で置かれたポリアデニル化シグナルのような他のエレメントの使用を伴ってよい。他の適切なベクターは、当業者に明らかである。この点についてさらなる例として、我々は、Sambrook et al(上記)を言及する。
【0120】
したがって、ペプチドは、そのようなベクターを細胞に送達して、ベクターからの転写を生じさせることによって提供され得る。好適には、本発明の、またはベクターにおける本発明での使用のための、ポリヌクレオチドは、宿主細胞によってコード配列の発現を提供することが可能な制御配列に動作可能に連結されて、すなわち、ベクターは、発現ベクターである。用語「動作可能に連結され」は、並置を指し、ここで、記載されるコンポーネントは、それらの意図された様式でそれらが機能するのを可能にする関係である。コード配列に「動作可能に連結され」たプロモーターのような調節配列は、コード配列の発現が、調節配列と適合する条件下で達成されるような方法で配置される。
【0121】
ベクターは、例えば、複製起点、任意選択で前記ポリヌクレオチドの発現のためのプロモーター、および、任意選択でプロモーターのレギュレーターとともに提供される、プラスミド、ウイルスまたはファージベクターであってよい。ベクターは、1つまたは複数の選択可能なマーカー遺伝子、細菌性プラスミドの場合には例えばアンピシリン耐性遺伝子、または、真菌ベクターについては耐性遺伝子を含んでよい。ベクターは、例えばDNAまたはRNAの生産のためにインビトロで用いられてよく、または、哺乳類の宿主細胞のような宿主細胞をトランスフェクトまたは形質転換するために用いられてよい。また、ベクターは、インビボで用いられるようにも適用され得て、例えば、ポリペプチドのインビボ発現を可能にする。
【0122】
プロモーターおよび他の発現制御シグナルは、発現がデザインされる宿主細胞と適合するように選択され得る。例えば、酵母プロモーターは、S.cerevisiae GAL4およびADHプロモーター、S.pombe nmt1およびadhプロモーターを含む。哺乳類のプロモーター、例えばb−アクチンプロモーターが用いられてよい。組織特異的プロモーターが特に好ましい。哺乳類のプロモーターは、カドミウムのような重金属に応答して誘導され得るメタロチオネインプロモーターを含む。また、SV40ラージT抗原プロモーター、アデノウイルスプロモーター、モロニーミューリン白血病ウイルスの長い末端反復(MMLV LTR)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター、SV40プロモーター、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)IEプロモーター、アデノウイルス、HSVプロモーター(HSY IEプロモーターなど)、またはHPVプロモーター、特に、HPV上流調節領域(URR)のようなウイルスプロモーターも用いられ得る。これらのプロモーターは全て、当該分野において容易に利用可能である。
【0123】
また、本発明は、本発明のペプチドを発現するように改変されている細胞も含む。そのような細胞は、一過的に、または好ましくは、哺乳類細胞または昆虫細胞のような安定したより高度の真核生物細胞株、酵母のようなより低度の真核生物細胞、または、細菌細胞のような原核生物細胞を含む。本発明のペプチドをコードするベクターの挿入によって改変され得る細胞の特定の例は、哺乳類のHEK293T、CHO、HeLaおよびCOS細胞を含む。好適には、選択される細胞株は、安定なだけでなく、ポリペプチドの細胞表面発現および成熟したグリコシル化も可能にするものである。発現は、形質転換された卵母細胞において達成され得る。適切なペプチドは、トランスジェニック非ヒト動物、特にマウスの細胞内に発現され得る。本発明のペプチドを発現しているトランスジェニック非ヒト動物は、本発明の範囲内に含まれる。また、本発明のペプチドは、アフリカツメガエルの卵母細胞またはメラニン保有細胞(rnelanophores)においても発現され得る。
【0124】
また、本発明は、以前に定義されたペプチドに向けられた、すなわち、ペプチド上に存在するエピトープに結合して、したがって、そのようなペプチドに対して選択的および特異的に結合する、抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)およびそれらの抗原結合フラグメント(例えばF(ab)2、FabおよびFvフラグメント、すなわち、抗原結合部位を含む、抗体の「可変」領域のフラグメント)にも拡張されて、それは、本発明の方法で使用され得る。
【0125】
上述の本発明のペプチドは、PBXとHOXとの間の相互作用を特異的にブロックすることが可能である。本発明のペプチドは、様々な癌細胞のタイプの増殖を切除または低減し得る。これらの変化に伴い、多くの公知のHOX標的の下方制御が観察され得る。以下により詳細に説明するように、本発明のペプチドは、したがって、Hox遺伝子が発現される癌の治療において、他の癌治療中の細胞保護剤として、または、幹細胞培養のエクスビボでの保護において、治療的用途を有し得る。
【0126】
上述のペプチドは、PBXと、その結合パートナー、例えばHOXとの相互作用をブロックするために用いられ得て、好ましくは、それにより、HOXの、その標的DNAへの結合を防止する。したがって、さらなる態様では、本発明は、PBXの、結合パートナー、特にHOXに対する結合を低減または阻害するための本明細書に記載のペプチドの使用、または、HOXの、その標的DNAに対する結合を低減または阻害するためのそのようなペプチドの使用を提供する。
【0127】
「PBX」は、プレB細胞形質転換関連遺伝子のファミリーのタンパク質産物を指し、脊椎動物における遺伝子のようなショウジョウバエのエクストラデンティクル遺伝子のエクストラデンティクルホメオプロテインタンパク質およびホモログをコードする遺伝子を含む。脊椎動物PBXタンパク質は、ホメオドメイン(homeodornain)を含む転写因子である(Mann et al.,1996)。
【0128】
「HOX」は、約60アミノ酸のホメオドメインをコードする配列およびホメオドメインのN末にヘキサペプチド配列をコードする配列を含む、ホメオボックス遺伝子のタンパク質産物を指す(Morgan et al.,2000,TIG,16(2),p66−67、および、Krumlauf,1994,Cell,78(2),p191−201)。HOXタンパク質は、初期発生における前期−後期の発生を規定する作用をする、転写因子である。本明細書に記載されるそのようなPBXまたはHOX遺伝子またはタンパク質は、任意の多細胞動物内に存在するホモログを含むが、好適には脊椎動物由来、例えば哺乳類由来、特にヒト由来である。
【0129】
本明細書において言及される「結合」は、可逆または不可逆の反応における少なくとも2つの部分の相互作用または関連性を指し、ここで、前記結合は、好適には、特異的および選択的である。
【0130】
本明細書において用いられる「結合パートナー」は、その結合パートナーを特異的に(すなわち、他の分子に対する結合に優先して)認識および結合する分子を指す。そのような結合ペアは、一緒に結合されると複合体を形成する。
【0131】
「結合の低減」は、例えば、結合を達成するために必要とされる結合ペアの一方の濃度の増加によって明らかにされる、結合の減少を指す。低減は、特異的な結合のわずかな減少ならびに絶対的な撤廃を含む。特異的な結合の低減全体は、結合の防止と同等であると考えられる。
【0132】
「阻害」は、パートナーの結合を低減する働きをするペプチドによる結合パートナーの結合の競合的妨害を指す。
【0133】
PBX依存性転写制御を防止または低減する薬剤は、異常な細胞分裂に対する有利な効果を有することが見いだされている(2004年7月1日、WO2004/055049として発行された国際特許出願PCT/GB2003/005425、および、2007年1月4日、WO2007/00601として発行された国際特許出願PCT/GB2006/002390、その内容は、全ての目的に関してそれらの全体で援用される)。
【0134】
そのような薬剤は、典型的に、PBXの、その結合パートナーに対する結合、特に、PBXとHOXとの間の結合を、防止、低減または阻害するもの(PBXとHOXとの間の相互作用の拮抗薬など、例えば、本明細書に記載のペプチド)である。しかしながら、適切な薬剤は、標的DNAに対する転写因子の結合に影響を及ぼすものも含み、例えば、PBXまたはその結合パートナー(HOXなど)の、標的DNAに対する相互作用をブロックする。好適には、そのような薬剤は、HOX依存性転写制御を防止する。
【0135】
理論によって拘束されることを望まないが、HOX:PBX結合の拮抗薬は、多数の重要なHOX:PBXタンパク質結合パートナーの間の相互作用を防止して、HOXタンパク質は、したがって、それらが結合する遺伝子に対して転写因子として作用することができないと考えられる。これらの遺伝子の発現を調節することができないことは、細胞に対して、過剰な細胞分裂の低減または防止および細胞死の誘導のような非常に多くの効果を有し得る。同様に、PBX依存性転写制御を防止または低減する、例えば、HOXのその標的DNAとの相互作用をブロックする任意の部分は、同様の効果を有することが期待され得る。
【0136】
この目的に適切な薬剤は、HOXおよび/またはPBXおよびそれらが結合するDNA標的の間の相互作用の拮抗薬、PBXおよびその結合パートナー、典型的にHOXタンパク質の間の相互作用の拮抗薬、または、HOX/PBXまたは標的DNAの結合能力を損なう、例えば、関連のある部位をブロックする、または、HOX/PBXまたは標的DNA上の関連のある部位に構造変化を生じさせる、または、結合に利用可能な分子の数を低減させる薬剤を含む(それは、例えば、PBX/HOXの発現/発現産物を改変することによって達成され得る)。しかしながら、好適には、拮抗薬が用いられる。適切な薬剤は、上述の本発明のペプチドである。
【0137】
さらなる態様では、したがって、本発明は、異常な細胞分裂を低減させる方法を提供し、ここで、前記細胞は、本発明のペプチド(以降、代わりに「本発明の薬剤」と呼ばれる)が投与されて、PBX依存性転写制御を防止または低減して、好適には、結合パートナー、好ましくはHOX(好適には、HOXB4、HOXB8またはHOXA9)に対するPBXの結合を低減または防止して、または、HOXのその標的DNAに対する結合を低減または防止して、好適には拮抗薬、好適にはHOXとPBXとの間の相互作用の拮抗薬であり、好適には、HOX依存性転写制御を阻害する。
【0138】
本明細書に記載の「異常な細胞分裂」は、存在する条件下で適切と考えられる正常レベルより高い細胞分裂(すなわち異常な細胞分裂)を指す。異常な細胞分裂のマーカーは、当業者によく知られていて、特定の細胞が影響を受けているかどうか決定するために用いられ得る。例えば、異常な細胞分裂を受けている細胞は、異型の細胞診、例えば、細胞多形性、核多形性、核過染色性または増大した核細胞質比を示し得る。異常な細胞分裂を受けている細胞は、細胞分化の失敗を示し得る。より具体的には、そのような異常な細胞分裂は、以降に記載の特定の症状または疾患/障害、例えば癌に存在し得る。
【0139】
細胞分裂の「低減」は、細胞増殖の速度の低減を指す。好適には、細胞増殖は、コントロール増殖(薬剤無し)と比較して、同一期間にわたって、0.5未満、特に0.25未満、例えば0.1未満に低減される(ここでコントロール増殖=1)。好適には、低減された細胞分裂は、細胞増殖の低減に加えてまたは代わりとして生じ得る細胞死/生存能力の欠損を含む。細胞死が生じると、好適には存在する細胞の50%よりも多く、具体的には細胞の75%よりも多くが破壊される。
【0140】
用いられる薬剤の投与量を調節することによって、一部の悪性腫瘍を完全に切除することも可能であり得る。本発明のペプチドは、したがって、癌性細胞の増殖を減速する、または完全に破壊するために用いられ得る。以下により詳細に説明するように、適切な投与量は多くの因子に依存し、技術のある熟練者によって決定され得る。
【0141】
本明細書に記載の「PBX依存性転写制御」は、PBXが極めて重要な役割を果たす、例えば転写調節複合体における補助因子として作用するプロセスによる、遺伝子の転写の活性化または抑制を指す。
【0142】
防止または低減は、転写の程度における測定可能な変化を指す。
【0143】
防止は、検出できないレベルの転写の低減と同等である。
【0144】
「標的DNA」は、PBX、HOX、または、そのようなタンパク質を含む転写制御複合体の他のメンバーが結合する調節領域を含む遺伝子を指す。
【0145】
本明細書において言及される「拮抗薬」は、結合ペアの一方の分子に対する構造的類似性のせいで、結合ペアの他方の分子への結合に関してその分子と競合する、分子または分子の複合体である。
【0146】
本明細書において具体的に言及されるように、本明細書の拮抗薬は、HOXとPBXとの間の相互作用の拮抗薬であり、これらの物質間の結合を防止または低減する。適切な拮抗薬は、HOXまたはPBX上の結合部位に結合し、またはそれと競合する。典型的に、拮抗薬は、HOX上のPBX結合部位を模倣する(すなわちPBXに結合する)ことによって競合する。
【0147】
そのような方法は、インビトロ、インビボまたはエクスビボで行なわれてよい。
【0148】
PBXとHOXとの間の相互作用を特異的にブロックおよび異常な細胞分裂を阻害するそれらの能力を考慮して、本発明のペプチド(以降、代わりに「本発明の薬剤」と呼ぶ)は、異常な細胞分裂が生じる症状または障害、具体的には癌の治療または予防において有用である。
【0149】
本発明に係る治療は、症候的または予防的であってよい。
【0150】
したがって、さらなる態様では、本発明は、製剤としての使用のための本発明の薬剤を含む。
【0151】
したがって、さらなる態様によれば、本発明は、異常な細胞分裂が生じる症状または障害を治療または予防するための、本発明の薬剤を提供する。
【0152】
したがって、さらなる態様によれば、本発明は、異常な細胞分裂が生じる症状または障害の予防または治療のための医薬品の製造での、本発明の薬剤の使用を提供する。
【0153】
したがって、さらなる態様によれば、本発明は、異常な細胞分裂(が生じる)症状または障害を予防または治療するための方法を提供し、それは、それを必要とする対象に、治療的に有効量の本発明の薬剤を投与するステップを含む。
【0154】
前述のように、本発明は、さらなる態様として、異常な細胞分裂が生じる様態または障害、具体的には癌を予防または治療するための方法も提供し、それは、それを必要とする対象に、具体的にはヒト対象に、治療的に有効量の本発明の薬剤を投与するステップを含む。
【0155】
別の態様では、本発明は、異常な細胞分裂が生じる症状または障害、具体的には癌を、予防または治療するための本発明の薬剤を提供する。
【0156】
別の態様では、本発明は、異常な細胞分裂が生じる症状または障害、具体的には癌の、予防または治療のための医薬品の製造における本発明の薬剤の使用を提供する。
【0157】
本明細書において言及される「障害」または「疾患」は、例えば、感染または獲得性または先天性遺伝子欠陥によって生じ得る、正常な生物と比較して症候的または無症状の生物に潜んでいる病理学的障害を指す。
【0158】
「症状」は、例えば、毒素、薬物または汚染物質のような体内の部分の存在などの疾患を通して生じたものではない、生物の心または体の状態を指す。
【0159】
本明細書において用いられる用語、任意の疾患または障害を「治療する(treat)」、「治療する(treating)」または「治療(treatment)」は、一実施態様では、疾患または障害の寛解(すなわち、疾患または少なくとも1つのその臨床症候の発生の減速または阻止または低減)を指す。別の実施態様では「治療する(treat)」、「治療する(treating)」または「治療(treatment)」は、患者によって認識され得ないものを含む少なくとも1つの物理的パラメーターの、緩和または寛解を指す。さらに別の実施態様では、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」または「治療(treatment)」は、身体的(例えば、認識できる症候の安定化)、生理的(例えば、物理的パラメーターの安定化)のいずれか、または両方の、疾患または障害の調節を指す。さらに別の実施態様では、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」または「治療(treatment)」は、疾患または障害の発症または発生または進行の予防または遅延を指す。例えば、影響を受け得る症候は、腫瘍サイズまたは所定のサンプル内の癌性細胞の数(または、以降に説明される低減した幹細胞数)を含む。
【0160】
症状または障害の「予防」は、前記の症状または障害の1つまたは複数の症候の出現または程度によって評価される、症状または障害の発症の遅延または予防またはその重症度の低減を指す。
【0161】
本明細書において用いられる用語「対象」は、動物を指す。典型的に、動物は、哺乳類である。また、対象は、例えば、霊長類(ヒトなど)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚、鳥なども指す。特定の実施態様では、対象は霊長類である。さらに別の実施態様では、対象はヒトである。
【0162】
本明細書において用いられる対象は、そのような対象が、そのような治療から、生物学的に、医学的に、または、クオリティ・オブ・ライフに、恩恵を受けるならば、治療「を必要とする」。
【0163】
用語「治療的に有効量」の本発明の薬剤は、対象の生物学的または医学的な応答、例えば、酵素またはタンパク質活性の低減または阻害を誘発する、または、症候を寛解させる、症状を緩和する、疾患の進行を減速または遅延する、または、疾患を予防するなどの、本発明の薬剤の量を指す。1つの非限定的な実施態様では、用語「治療的に有効量」は、対象に投与された場合に、異常な細胞分裂が生じる症状または障害を少なくとも部分的に緩和、阻害、予防および/または寛解するのに効果的な、本発明の薬剤の量を指す。別の非限定的な実施態様では、用語「治療的に有効量」は、細胞、または組織、または非細胞の生物学的材料、または培地に投与された場合に、異常な細胞分裂を少なくとも部分的に低減するのに効果的な、本発明の薬剤の量を指す。
【0164】
方法をインビボで行なう代わりとして、そのような方法は、例えば、サンプル内で、異常な細胞増殖を受けている細胞の細胞分裂を低減するため、またはそのような細胞を除去するために、インビトロで行なってよい。適切な培養条件は、以降に記載の本発明の他の方法について説明される。
【0165】
これは、異常な細胞が制御/除去され得る正常細胞および異常細胞の両方を含む細胞サンプル、および、その後の手順のために用いられる、例えばドナーの体に戻される正常細胞を含むサンプルにおいて、特に有用である。これは、例えば、患者の血液サンプル由来の異常な造血性の血液細胞、例えば白血病(leukaemic)細胞を除去するのに有用であり得て、残りの細胞は、それから、その患者の体に戻され得る。
【0166】
したがって、さらなる態様では、本発明は、サンプル中の細胞において、異常な細胞分裂を低減する(具体的には、癌細胞の、増殖を低減する、より具体的には、死を引き起こして、したがって、数を低減する)方法を提供し、ここで、以前に説明した本発明の薬剤は、前記サンプルに投与される。異常な細胞分裂によって象徴される障害または症状を患っている患者を治療する(またはそれを予防する)方法では、前記サンプルは、前記患者から採取され得て、それから、以降に説明されるようにその患者に戻される。この文脈において、「サンプル」は、ヒトまたは非ヒト動物から得られる任意の材料を指し、前記動物の胚、胎児、幼年および成体段階を含み、それは、異常な細胞分裂を受けている細胞を含み、組織および体液を含む。
【0167】
「体液」は、この場合において、特に、血液、脊椎流体およびリンパを含み、「組織」は、外科的処置または他の手段によって得られた組織を含む。
【0168】
好適には、異常な細胞分裂は、人間、他の哺乳類および動物、鳥、昆虫および魚のような、任意の真核生物であり得る真核生物由来の細胞において生じる。
【0169】
細胞が由来し得る、または、本発明の方法が実施され得る、非ヒト動物は、限定されないが、哺乳類、具体的には霊長類、飼育動物、家畜、および実験動物を含む。したがって、動物は、マウス、ラット、ニワトリ、カエル、モルモット、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマを含む。好適には、細胞は、ヒト由来であり、方法は、ヒトを治療するために用いられて、または、ヒトにおいて予防的である。
【0170】
特に、異常な細胞分裂を受けている細胞は癌細胞であり、治療または予防されるべき障害は癌である。この方法で治療され得る癌は、HOXおよびPBX遺伝子の発現を伴う癌であり、ここで、HOX/PBXダイマーの発現は、本発明のペプチドの活性により低減されて、したがって、癌性細胞の増殖をブロックし、その増殖を低減し、または、その死を直接もたらす。
【0171】
さらなる実施態様では、本発明のペプチドは、癌性細胞に対して、静止状態から細胞周期にそれらを動かして、およびしたがって、他の、例えば細胞傷害性の抗癌治療にそれらをより敏感にさせるように作用し得る。
【0172】
好適には、治療されるべき前記細胞は、1つまたは複数のHox遺伝子を発現する。例えば、前記細胞は、HOXA1、HOXA3、HOXA4、HOXA5、HOXA7、HOXA9、、HOXB1、HOXB2、HOXB3、HOXB4、HOXB8、HOXB9、、HOXC4、HOXC6、HOXC8、、HOXD3、HOXD4、HOXD8、およびHOXD9のうちの1つまたは複数を発現し得る。前記細胞は、HOXB4、HOXB8およびHOXA9のうちの1つまたは複数を発現し得る。細胞におけるHox遺伝子発現のレベルは、本発明のペプチドに対する細胞の感度に直接関与し得る可能性がある。本発明のペプチドは、したがって、高レベルのHOX遺伝子発現、例えば、周辺組織のものよりも高いレベルのHOX遺伝子発現、または、細胞が癌細胞である他の癌タイプのものよりも高いレベルのHOX遺伝子発現を示す細胞を治療するのにより効果的である。本発明の方法は、したがって、治療されるべき細胞が、そのような増大した、またはより高いレベルのHOX遺伝子発現を示す場合に特に適切であり得る。
【0173】
好適には、前記癌は、悪性または前悪性または良性腫瘍であり、癌腫、肉腫、グリオーマ、メラノーマおよびリンパ腫を含み、膀胱、腎臓、膵臓、脳、頭頚部、胸部、消化管、前立腺、肺および卵巣の癌、および白血病およびリンパ腫を含む。特に、結腸直腸、膵臓、膀胱、前立腺、頸部、卵巣、胃および非小細胞肺癌である。
【0174】
異常な細胞分裂によって特徴付けられる症状または障害は、制限されないが、中皮腫、肝胆道(肝および胆管)、一次または二次的CNS腫瘍、一次または二次的脳腫瘍、肺癌(NSCLCおよびSCLC)、骨癌、膵癌、メラノーマおよび非黒色腫性皮膚癌、頭頚部の癌、皮膚または眼球内メラノーマ、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、胃腸(胃、結腸直腸、および十二指腸)、消化管間質腫瘍、乳癌、子宮癌、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織、軟骨(cartilidge)、または骨の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、精巣癌、精巣リンパ腫、慢性または急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊椎軸の腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、多発性骨髄腫、胆管細胞癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、または、前述の癌の1つまたは複数の組み合わせを含む癌である。
【0175】
本発明の一実施態様では、癌は、肺癌(NSCLCおよびSCLC)、メラノーマ、頭頚部の癌、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、乳癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂の癌腫、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、膵癌、前立腺癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、または脊椎軸の腫瘍、または、前述の癌の1つまたは複数の組み合わせである。
【0176】
特定の実施態様では、癌は、肺癌(NSCLCおよびSCLC)、メラノーマ、頭頚部の癌、卵巣癌、乳癌、前立腺癌、結腸癌、または腎細胞癌である。
【0177】
別の実施態様では、異常な細胞分裂が生じる前記症状または障害は、良性増殖性疾患であり、制限されないが、乾癬、良性前立腺肥大または再狭窄を含む。
【0178】
一実施態様では、異常な細胞分裂が生じる前記症状または障害は、脊髄形成異常(MDS)である。
【0179】
一部の癌、例えばヒトプレB細胞白血病の一部の形態では、PBXは、癌遺伝子として作用し得る。そのような癌におけるPBXの効果は、PBXが癌遺伝子でない他の癌タイプにおけるものとは異なる。したがって、本発明のペプチドの効果も異なってよい。
【0180】
一実施態様では、したがって、本発明は、本発明のペプチドの効果は、上記に記載したPBX:HOX効果とは異なるメカニズムを介するので、そのような癌に適用しない。この実施態様では、したがって、本発明のペプチドは、異常な細胞分裂が生じる、および、PBXが癌遺伝子として作用しない、癌または他の障害の治療または予防において用いられ得る。
【0181】
好適には、癌性細胞は、1つまたは複数のHox遺伝子を発現する。例えば、本発明の方法による治療に適切な癌は、ヒトプレB細胞白血病以外の白血病であり得る。
【0182】
急性骨髄性白血病(AML)のような一部の癌では、本発明のペプチドは、癌性細胞の増殖をブロックし得るが、これらの細胞がGO/G1静止状態を離れて細胞周期に入るのも刺激し得る。これらの2つの効果は、同一条件下で同一の細胞において見られる。これは、ペプチドによって細胞がGO/G1を離れる(すなわち細胞周期に入る)のをトリガーされることに起因する可能性があるが、その結果、分裂することができず、その代わりに、分化し、またはアポトーシスを受ける。本発明のペプチドは、原発性AMLおよび成熟骨髄性白血病の両方の治療において用いられ得る。このことは急性骨髄性およびリンパ系白血病における本発明のペプチドに関する特定の有用性を示唆する。本発明のペプチドを用いたこれらの細胞におけるPBX/HOX相互作用のブロックは、したがって、インビボでの白血病細胞の増殖を予防するための効果的な治療を形成し得る。加えて、細胞周期に入る白血病(leukaemic)細胞の割合を増やすことによって、本発明のペプチドは、化学療法のような他の癌治療に対するそれらの感受性も増大させ得る。本発明のペプチドは、したがって、以下にさらに記載する別の癌治療と組み合わせて用いられ得る。
【0183】
PBX依存性転写制御を防止または低減させる薬剤もまた、幹細胞に対して有益な効果を有することが見いだされている。
【0184】
本明細書において言及される「幹細胞」は、様々な細胞、例えば様々な血液細胞のタイプに分化することが可能な未分化細胞であり、造血性細胞(例えば骨髄に見られる)および神経細胞および肝幹細胞、胚性幹細胞および胚性生殖細胞を含み、多能性および全能性細胞の両方を包含する。胚細胞は、胚盤胞の内部細胞塊から得られる細胞であると考えられ、胚性生殖細胞は、5〜10週齢の胎児の生殖巣堤の始原生殖細胞から単離された細胞である。好適には、細胞は、以前に説明されたように、真核生物から得られる。
【0185】
PBXが介在する転写制御の防止は、低減されるが継続的な細胞分裂および分化の分子マーカー(例えばCD38)の出現をもたらす。しかしながら、その転写制御をブロックする薬剤の除去の際に、細胞は、分子マーカー(例えばHOXB4、HOXB8、HOXA9、AC133)の出現によって評価されるように幹細胞に戻り、したがって、細胞の多能性を反映する(2007年1月4日、WO2007/00601として発行された、国際特許出願PCT/GB2006/002390、その内容は、全ての目的に関してそれらの全体で援用される)。理論によって拘束されることを望まないが、分化/成熟のマーカーの出現にかかわらず、分化の症候を示す表現型変化は生じず、その代わり、薬剤が投与されている間、細胞は著しく低下した細胞周期速度を有すると考えられる。薬剤を除去すると、細胞は幹細胞に戻る。
【0186】
また、本発明のペプチドを用いた多能性造血幹細胞および前駆細胞(HSPC)の処置は、それらの増殖をブロックし得て、細胞周期のGO−G1期における細胞の割合を増大させ得ると考えられる。培養の長寿命は、推定の幹細胞ならびにより分化した前駆細胞集団の効果を確認する。これらの遺伝子標的に対するこれらの阻害効果の特異性は、その可逆性によって強調されて、遺伝子転写および細胞増殖は、ペプチドの除去で再開する。
【0187】
これらの結果は、例えば前記細胞の一時的な保存のための、(例えば培地中での)幹細胞の維持または拡大を含む多くの適用を有し、その保存期間中に拡大の可能性がある。そのような細胞は、それから、例えば、年齢、疾患(癌または自己免疫性疾患など)、先天性因子、環境的影響または汚染物質および/または投与された化学物資などに起因して、幹細胞の数および/または特定の分化細胞型を産生する能力が低減した患者への、幹細胞の添加が望ましい臨床適用において用いられ得る。特に、幹細胞は、化学療法または放射線療法の前に患者から採取され得て、そして、維持および/または拡大されて、そして、化学療法または放射線療法の後にその患者に戻される。
【0188】
代替の例として、幹細胞は、特定の分化細胞、例えば神経細胞が形成され得る細胞を、特に、そのような適切な幹細胞が不存在または低レベルでのみ存在する成体レシピエントにおいて、提供するために用いられ得る。幹細胞のレシピエントは、好適にはドナーでもあるが、異なる個体であってもよい。本発明のペプチドは、したがって、インビトロまたはエクスビボでの培養中に、幹細胞(例えば骨髄細胞)を含む外植組織を保護するために用いられ得る。
【0189】
また、細胞は、通常はそれらの生存能力に影響を及ぼすかもしれない処置の間、例えば、化学または放射線療法などの間、例えば生存能力を維持するために、エクスビボまたはインビボで維持されてもよい。
【0190】
本明細書に記載の薬剤、すなわち本発明のペプチドは、幹細胞の細胞周期を一時的に止めるまたは減速することによって、そのような処置による損傷に対する幹細胞の感受性を低減させるために用いられ得る。例えば、本発明のペプチドは、多くの化学療法レジームと関連する細胞傷害性ショックのような他の癌治療によって引き起こされる副作用を低減させるために用いられ得る。インビボでの幹細胞に対する本発明のペプチドの細胞保護効果は、副作用の発生の低下に起因して、より高いレベルまたは投与量のそのような癌治療が用いられるのも可能にし得る。例えば、より高い投与量の化学または放射線療法が可能であり得る。
【0191】
したがって、さらなる態様では、本発明は、幹細胞を維持または拡大する方法を提供し、ここで、前記方法は、前記細胞を、以前に記載の本発明の薬剤、好適には拮抗薬、好適にはHOXとPBXとの間の相互作用の拮抗薬と、接触させるステップを少なくとも含む。この方法は、幹細胞の多能性または分化全能性を維持するために用いられ得る。
【0192】
好適には、この方法は、インビトロまたはエクスビボで、培地中で行なわれて、その場合は、当該方法は、ドナーから幹細胞を採取する最初のステップを含んでよい。しかしながら、当該方法は、特に、薬剤への曝露または幹細胞損傷を引き起こすかもしれない処置の間、個体における幹細胞の数を維持または改善するために、インビボで用いてもよい。そのような状況では、本発明は、患者において幹細胞を維持または拡大する方法を提供し、ここで、前記患者は、本発明の薬剤、好適には拮抗薬、好適にはHOXとPBXとの間の相互作用の拮抗薬が投与される。
【0193】
細胞を「維持する」は、処置または培養期間の過程で、大きな割合の、開始の、例えば採取された細胞の生存能力を、最小限の細胞分裂で維持することを指す。
【0194】
細胞を「拡大する」は、少なくとも一部の細胞分裂、好適には有意な細胞分裂が、処置または培養の過程で、細胞の数を増大させることを指す。
【0195】
本明細書において言及される「培養」は、制御された人工的環境、すなわちエクスビボでの、細胞の増殖または維持を指す。細胞の培養のための標準的な技術はよく知られている。好適には、細胞は、37℃、5%CO
2加湿雰囲気中で、標準的な培養培地中で培養される。好適には、前記培養は、少なくとも2時間、好適には24時間よりも長く;例えば24時間〜8週間実施される。
【0196】
本明細書において用いられる「接触させる」は、薬剤がアクセスを有するのを可能にする任意の適切な技術、したがって、例えば培養培地に対する適用による、サンプル内の細胞への結合の可能性を指す。
【0197】
細胞が維持または拡大された後に、薬剤が除去されて多能性または分化全能性を回復させ得る。方法がインビボで行なわれる場合、これは、投与を止めて、体が薬剤を取り除くのを可能にすることによって達成され得る。インビトロまたはエクスビボで、例えば新鮮な培地を用いて洗浄および置換することによって、薬剤は培養培地から除去される。あるいは、薬剤は、自然に分解するのを可能にさせることによって除去され得る。
【0198】
したがって、本発明は、幹細胞を維持または拡大する、および/または、多能性または全能性幹細胞を培地中で好適には前記細胞の拡大された集団を得る方法を提供し、ここで、前記方法は、少なくとも以下のステップを含む:
a)前記細胞を、培地中で、上記に記載のPBX依存性転写制御を低減または防止する本発明の薬剤、好適には拮抗薬、好適にはHOXとPBXとの間の相互作用の拮抗薬と、接触させるステップ;
b)前記細胞を、前記薬剤の不存在下で培養するステップ。
【0199】
ペプチドは、培養中に数日以内に分解されて、したがって、活性のペプチドは枯渇することに注意すべきである。したがって、ステップb)は、分解が生じるのに十分な時間が経過している場合は、いかなる事前の洗浄もせずに行なってよい。以前に述べたように、培養時間は、少なくとも2時間、好適には24時間よりも長く、例えば24時間〜8週間である。
【0200】
当該方法は、ドナーから幹細胞を採取する最初のステップを含んでよい。
【0201】
本発明のこの方法および他の方法によって得られた細胞は、医薬品としてのそれらの使用と同様に本発明のさらなる態様を含む。
【0202】
上述のインビトロまたはエクスビボの方法によってこのように調製された細胞は、それから、そのような幹細胞を必要とする個体に投与され得る。任意選択で、細胞は、移植の前、例えば培養の過程中、または、移植の直前に、遺伝子改変などによって、例えば遺伝子導入のため、または前記細胞に以前は存在しない機能を取り込むために、例えば遺伝子損失を補うために、例えば、アデノシンデアミナーゼ(ADA)のような喪失因子を提供することによって、改変され得る。
【0203】
したがって、さらなる態様では、本発明は、幹細胞を必要とする個体を治療する方法を提供し、ここで、上述の方法によって調製された幹細胞は、前記個体に投与される。
【0204】
好適には、前記幹細胞を必要とする前記個体は、正常より低いまたは望ましいレベルのそのような細胞を有する(または有するであろう)個体であり、その症状は、通常に、例えば年齢を通して、または外部因子の結果として、例えば化学療法または放射線療法を通して、存在し得る。好適には、前記幹細胞は、レシピエント個体から得られる。
【0205】
したがって、本発明は、レシピエント個体における幹細胞の数を改善する方法を提供し、ここで、前記方法は、少なくとも以下のステップを含む:
a)ドナーから幹細胞を採取するステップ、
b)上記に記載の方法に従って、前記幹細胞を培養するステップ;
c)前記レシピエント個体に、前記の培養した幹細胞を投与するステップ。
【0206】
好適には、当該方法は、化学療法または放射線療法に曝される患者における幹細胞の数を改善する方法であり、ここで、前記方法は、少なくとも以下のステップを含む:
a)化学療法または放射線療法の前に、前記患者から幹細胞を採取するステップ、
b)以前に記載した方法に従って、前記幹細胞を培養するステップ;
c)化学療法または放射線療法の完了後に、前記患者に、前記の培養した幹細胞を投与するステップ。
【0207】
あるいは、上記の方法における採取するステップa)は、不存在であってよく、および、ステップb)は、以前に記載した方法に従ってドナーから採取された幹細胞を培養するステップを含んでよい。前記細胞は、前記ドナー由来の細胞、組織または体液のサンプルを得ることによって、および任意選択で、そこから細胞を抽出することによって、採取され得る。
【0208】
本明細書において用いられる「サンプル」は、ヒトまたは非ヒト動物のようなドナーから得られる任意の材料を指し、前記動物の胚、胎児、幼年および成体段階を含み、それは、幹細胞を含み、組織および体液を含む。
【0209】
「体液」は、血液および脊椎の流体を含む。
【0210】
「組織サンプル」は、外科的介入によって得られる組織(例えば骨髄または肝臓)、または、他の手段による、例えば胎盤および臍帯を含む。細胞が得られる動物または当該方法が適用される動物は、好ましくは、異常な細胞分裂を低減する方法との関連で上記に記載される。
【0211】
本明細書において用いられる「幹細胞の数を改善する」という言及は、投与が生じた時点での個体内に存在する数と比較した、追加される幹細胞(好適には、追加される特定のタイプ、例えば造血性幹細胞)の数の増大を指す。したがって、化学療法または放射線療法に曝される患者の場合では、観察される改善は、化学療法後または放射線療法後の患者における幹細胞の数である。改善は、以前は不存在または非常に少ない数で存在する特定の幹細胞、例えば神経幹細胞の追加からなってもよい。
【0212】
あるいは、本発明は、幹細胞に関する必要性によって象徴される症状または障害の治療または予防のための、好適には、例えば化学療法または放射線療法に起因して幹細胞の数が通常よりも少ない症状または障害の治療または予防における、または、目的の部位において不存在または異常に少ない数または所望よりも少ない数で存在する1つまたは複数の特定の分化細胞の生産を幹細胞の提供によって可能にし得る症状において、本発明の薬剤を提供する。
【0213】
幹細胞の数が通常よりも少ない症状または障害は、自己免疫疾患、放射線療法、化学療法および特定のウイルス感染を含む。
【0214】
移植による幹細胞の使用が、不存在または通常よりも低くまたは所望のレベルよりも低く存在する適切な分化細胞を提供し得る症状は、アルツハイマー病、パーキンソン病および他の加齢に関連した障害または症状(美容処置を含む)、多発性硬化症、脊髄損傷、糖尿病、慢性心疾患、末期の腎臓疾患、肝不全を含み、幹細胞は、破壊されたまたは機能障害性の細胞を置き換えるために用いられる。そのような症状または障害の予防は、本発明の薬剤の使用によって保護された状態に幹細胞を維持することによって達成され得る。
【0215】
本発明は、上述のように、幹細胞に関する必要性によって象徴される症状または障害の治療のための、上記に記載した方法によって調製される細胞をさらに提供する。
【0216】
異常な細胞分裂に対する前述の薬剤の効果に起因して、そのような異常な細胞を含む幹細胞のサンプルでさえ用いられ得て、幹細胞を拡大しながら異常な分裂を低減する二重の効果が達成され得ることに注意すべきである。したがって、前述の薬剤を、インビトロ、エクスビボまたはインビボで用いて、異常な細胞増殖を受けている細胞を除去しながら、正常幹細胞/前駆細胞を保護し得る。これは、例えば白血病/リンパ腫を治療する場合に、特に造血性細胞に適用可能である。
【0217】
したがって、特定の態様では、本発明は、異常な細胞分裂が生じる症状または障害、例えば、ヒトまたは非ヒト対象における癌を、治療または予防する方法を提供し、ここで、前記方法は、本発明の薬剤を投与するステップを含み、ここで、前記薬剤は、前記の異常な細胞分裂を低減すること、および、前記対象の幹細胞を維持または拡大することの両方が可能である。
【0218】
上述のように、PBX依存性転写制御を低減または防止する本発明の薬剤、特にHOX:PBX拮抗薬は、様々な臨床適用を有し、したがって、本発明のさらなる態様は、本発明の薬剤を含む医薬組成物を提供する。医薬品としてのこれらの薬剤の使用は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0219】
したがって、さらなる態様では、本発明は、上記に記載のPBX依存性転写制御を低減または防止する本発明の薬剤、好適には拮抗薬、好適にはHOXとPBXとの間の相互作用の拮抗薬、または、そのようなペプチドを発現することが可能なポリヌクレオチドまたはベクター、および薬学的に許容できる担体を含む、医薬組成物を提供する。
【0220】
医薬品としての使用のための、特に、異常な細胞分裂によって象徴される障害または症状、または幹細胞に関する必要性によって象徴される障害または症状、例えば、本明細書に記載の症状の治療または予防での使用のための、本明細書に記載の医薬組成物、および、そのような組成物を用いた治療または予防の方法、および、そのような障害または症状の治療または予防のための医薬品の調製のための前記薬剤の使用は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0221】
本明細書において言及される「薬学的に許容できる」は、組成物の他の成分と適合し、ならびに、レシピエントに生理的にも許容できる、成分を指す。
【0222】
本明細書において用いられる用語「薬学的に許容できる担体」は、当業者に公知であるように、任意および全ての溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、抗酸化、防腐剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩類、防腐剤、薬物、薬物安定剤、バインダー、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味料、香料、色素など、およびそれらの組み合わせを含む(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990,pp.1289−1329を参照)。任意の従来の担体は、活性成分と不適合である場合を除く限りにおいて、治療的または医薬組成物でのその使用が検討される。
【0223】
本発明に係る医薬組成物は、容易に利用可能な成分を用いて従来の様式で製剤化され得る。したがって、活性成分(すなわちペプチド)は、1つまたは複数の従来の担体、希釈剤および/または賦形剤を用いて、任意選択で他の活性物質と一緒に取り込まれてよく、従来のガレヌス製剤、例えば、錠剤、丸薬、粉末、トローチ、サシェ、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁液、エマルション、溶液、シロップ、エアロゾル(固形媒体として、または液体媒体で)、軟膏、軟および硬ゼラチンカプセル、坐薬、滅菌された注射可能な溶液、滅菌されたパッケージ粉末などが生産される。
【0224】
医薬組成物は、例えば、経口投与、非経口投与、および直腸投与などの特定の投与経路のために製剤化され得る。加えて、本発明の医薬組成物は、固形形態(制限されずに、カプセル、錠剤、丸薬、顆粒、粉末または坐薬を含む)、または、液体形態(制限されずに、溶液、懸濁液またはエマルションを含む)で作られ得る。医薬組成物は、滅菌のような従来の調剤操作に供され得て、および/または、従来の不活性希釈剤、平滑剤、または緩衝剤、ならびに、アジュバント、例えば、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤(emulsifer)およびバッファーなどを含んでよい。
【0225】
典型的に、医薬組成物は、以下のものと一緒に活性成分を含む錠剤またはゼラチンカプセルである。
a)希釈剤、例えば、ラクトース、ポリラクトン、ブドウ糖、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;
b)潤滑剤、例えば、シリカ、タルカン、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤に関しては、また、(for tablets also)
c)バインダー、例えば、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、でんぷん糊、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン;必要に応じて、
d)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または発泡性混合物;および/または
e)吸収剤、着色剤、香味料および甘味料。
【0226】
錠剤は、当技術分野で知られている方法に従って、フィルムコーティングまたは腸溶性コーティングされてよい。
【0227】
経口投与に適切な組成物は、錠剤、トローチ、水性または油性懸濁液、分散性の粉末または顆粒、エマルション、硬カプセルまたは軟カプセル、またはシロップまたはエリキシル剤の形態での、有効量の本発明の化合物を含む。経口使用が意図される組成物は、医薬組成物の製造に関して当技術分野で知られている任意の方法に従って調製されて、そのような組成物は、薬学的に上品で口当たりの良い製剤を提供するために、甘味料、香料、着色剤および保存剤からなる群より選択される1つまたは複数の薬剤を含んでよい。錠剤は、錠剤の製造に適切な非毒性で薬学的に許容できる賦形剤との混合で、活性成分を含んでよい。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムのような不活性希釈剤;造粒剤および崩壊剤、例えば、トウモロコシスターチ、またはアルギン酸;結合剤、例えば、スターチ、ゼラチンまたはアカシア;および平滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクである。錠剤は、コーティングされず、または、消化管内での崩壊および吸収を遅らせるために公知の技術によってコーティングされて、それにより、より長い期間にわたって持続した作用を提供する。例えば、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートのような時間遅延材料が用いられ得る。経口使用のための製剤は、硬ゼラチンカプセルとして提供されてよく、ここで、活性成分は、不活性の固形希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合されて、または、軟ゼラチンカプセルとして提供されてよく、ここで、活性成分は、水または油媒体、例えば、ピーナッツ油、液体パラフィンまたはオリーブ油と混合される。
【0228】
特定の注射可能な組成物は、水性等張溶液または懸濁液であり、坐薬は、脂肪質エマルションまたは懸濁液から有利に調製される。前記組成物は、滅菌されてよく、および/または、アジュバント、例えば、保存剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶液プロモーター、浸透圧を調節するための塩類および/またはバッファーを含む。加えて、それらは、他の治療的に価値のある物質を含んでもよい。前記組成物は、それぞれ、従来の混合、造粒またはコーティングの方法に従って調製されて、活性成分の約0.1〜75%、または約1〜50%を含む。
【0229】
経皮適用に適切な組成物は、適切な担体とともに有効量の本発明の薬剤を含む。経皮送達に適切な担体は、宿主の皮膚を通過するのを助けるための吸収性の薬理学的に許容できる溶媒を含む。例えば、経皮送達は、裏打部材、任意選択で担体とともに化合物を含むリザーバー、任意選択で延長された期間にわたって制御された所定の速度で宿主の皮膚に化合物を送達するための速度制御バリア、および、デバイスを皮膚に固定する手段を備える、包帯の形態である。
【0230】
皮膚および目のような局所適用に適切な組成物は、水溶液、懸濁液、軟膏、クリーム、ジェル、または、例えばエアロゾルなどによる送達のための、噴霧可能な製剤を含む。そのような局所送達システムは、特に、皮膚適用、例えば、皮膚癌の治療、例えば、日焼け止めクリーム、ローション、スプレーなどでの予防的使用に適切である。それらは、したがって、当技術分野でよく知られている、化粧品の製剤を含む、局所での使用に特に適合する。そのようなものは、可溶化剤、安定剤、浸透圧増強剤、バッファーおよび防腐剤を含んでよい。
【0231】
本明細書において用いられる局所適用は、吸入または鼻腔内適用にも関連し得る。それらは、ドライパウダー吸入器からの乾燥粉末(単独、混合物として、例えば、ラクトースとの乾燥ブレンド、または、例えばリン脂質との混合成分粒子)の形態で、または、適切な噴霧剤を使用してまたは使用せずに、加圧されたコンテナー、ポンプ、スプレー、噴霧器またはネブライザーからのエアロゾル噴霧の提供で、好都合に送達され得る。
【0232】
本発明の実施において用いられる本発明の薬剤の用量は、もちろん、例えば、治療されるべき特定の症状、所望の効果、および投与方法によって変化する。一般に、吸入による投与のための適切な毎日の用量は、患者あたり0.0001〜30mg/kg、典型的に0.01〜10mgのオーダーであり、一方で、経口投与のために適切な毎日の投与量は、0.01〜100mg/kgのオーダーである。
【0233】
水は、特定の化合物の分解を促進し得るので、本発明は、活性成分として本発明の薬剤を含む無水医薬組成物および剤形をさらに提供する。
【0234】
本発明の無水医薬組成物および剤形は、無水または低水分を含む成分および低水分または低湿度状態を用いて調製され得る。無水医薬組成物は、その無水特性が維持されるように調製および保管され得る。したがって、無水組成物は、それらが適切な処方集キット内に含まれ得るように、水への曝露を防ぐことが知られている材料を用いてパッケージされる。適切なパッケージの例は、限定されないが、密閉密封されたホイル、プラスチック、単位用量コンテナー(例えば、バイアル)、ブリスターパック、およびストリップパックを含む。
【0235】
本発明は、活性成分としての本発明の化合物が分解する速度を低減させる1つまたは複数の薬剤を含む医薬組成物および剤形をさらに提供する。そのような薬剤は、本明細書において「安定剤」と呼ばれ、限定されないが、抗酸化、例えば、アスコルビン酸、pHバッファー、または塩バッファーなどを含む。
【0236】
本発明の薬剤は、1つまたは複数の他の治療的薬剤と同時または前後のいずれかに投与され得る。本発明の薬剤は、別々に、同一または異なる投与経路によって、または、他の薬剤として同一の医薬組成物で一緒に投与され得る。
【0237】
一実施態様では、本発明は、治療における同時、別々または連続の使用のための組み合わせた製剤として、本発明の薬剤および少なくとも1つの他の治療的薬剤を含む製品を提供する。一実施態様では、治療は、異常な細胞分裂が生じる症状または障害の治療である。組み合わせた製剤として提供される製品は、本発明の薬剤および他の治療的薬剤(単数または複数)を同一の医薬組成物内に一緒に、または、本発明の薬剤および他の治療的薬剤(単数または複数)を別々の形態で、例えばキットの形態で含む組成物を含む。
【0238】
一実施態様では、本発明は、本発明の薬剤および別の治療的薬剤(単数または複数)を含む医薬組成物を提供する。任意選択で、医薬組成物は、上述の薬学的に許容できる賦形剤を含んでよい。
【0239】
当業者は、本発明の薬剤が、対象、特にヒト対象に投与され得ることを理解し、ここで、対象は、異常な細胞分裂が生じる症状または障害に関して外科的処置または放射線療法によって治療されている。また、本発明の化合物は、対象、特にヒト対象に投与されてもよく、ここで、対象は、異常な細胞分裂が生じる症状または障害に関して外科的処置または放射線療法によって以前に(例えば24時間以内に)治療されたことがある。また、対象、特にヒト対象は、異常な細胞分裂が生じる症状または障害に関して外科的処置または放射線療法によって治療されてもよく、ここで、本発明の化合物は、以前に(例えば24時間以内に)対象に投与されたことがある。
【0240】
一実施態様では、本発明は、2以上の別個の医薬組成物を含むキットを提供し、その少なくとも一方は、本発明の薬剤を含む。一実施態様では、キットは、前記組成物を別々に保持するための手段、例えば、コンテナー、分割されたボトル、または分割されたホイルパケットを備える。そのようなキットの例は、錠剤、カプセルなどのパッケージのために典型的に用いられるブリスターパックである。
【0241】
本発明のキットは、経口および非経口のような異なる剤形を投与するため、別個の組成物を異なる用量間隔で投与するため、または、別個の組成物を互いに対して滴定するために用いられ得る。コンプライアンスを支援するために、本発明のキットは、投与のための指示書を典型的に含む。
【0242】
本発明の併用療法では、本発明の薬剤および他の治療的薬剤は、同一または異なる製造業者によって製造および/または処方され得る。さらに、本発明の薬剤および他の治療的薬剤は:(i)医者に対する併用製品のリリース前に(例えば、本発明の薬剤および他の治療的薬剤を含むキットの場合);(ii)投与の直前に医師自身によって(または医師の指導の下で);(iii)例えば、本発明の薬剤および他の治療的薬剤の連続的な投与中に、患者自身において、併用療法にまとめられ得る。
【0243】
したがって、本発明は、異常な細胞分裂が生じる症状または障害を治療するための本発明の薬剤の使用を提供し、ここで、医薬品は、別の治療的薬剤との投与のために調製される。また、本発明は、異常な細胞分裂が生じる症状または障害を治療するための別の治療的薬剤の使用も提供し、ここで、医薬品は、本発明の薬剤とともに投与される。
【0244】
また、本発明は、異常な細胞分裂が生じる症状または障害を治療する方法での使用のための本発明の薬剤も提供し、ここで、本発明の薬剤は、別の治療的薬剤との投与のために調製される。また、本発明は、異常な細胞分裂が生じる症状または障害を治療する方法での使用のための別の治療的薬剤も提供し、ここで、他の治療的薬剤は、本発明の薬剤との投与のために調製される。また、本発明は、異常な細胞分裂が生じる症状または障害を治療する方法での使用のための本発明の薬剤も提供し、ここで、本発明の薬剤は、別の治療的薬剤とともに投与される。また、本発明は、異常な細胞分裂が生じる症状または障害を治療する方法での使用のための別の治療的薬剤も提供し、ここで、他の治療的薬剤は、本発明の薬剤とともに投与される。
【0245】
また、本発明は、異常な細胞分裂が生じる症状または障害を治療するための本発明の薬剤の使用も提供し、ここで、対象は、別の治療的薬剤によって以前に(例えば24時間以内に)治療されたことがある。また、本発明は、異常な細胞分裂が生じる症状または障害を治療するための別の治療的薬剤の使用も提供し、ここで、対象は、本発明の薬剤によって以前に(例えば24時間以内に)治療されたことがある。
【0246】
組成物は、本発明の薬剤の作用を補助または増大する分子、例えば、代謝拮抗剤、アルキル化剤、細胞傷害性抗生物質、トポイソメラーゼIおよび/またはII阻害剤のような細胞傷害剤、ビンカアルカロイドおよびモノクローナル抗体をさらに含んでよい。
【0247】
必要ならば、組成物は、活性成分に付着された標的化部分、例えば、内因性受容体に特異的および選択的に結合して、特定の細胞型または位置への標的化、例えば、リンパ球、単球、マクロファージ、内皮細胞、上皮細胞、血液細胞、赤血球、血小板、好酸球、好中球、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、脳細胞、心細胞、肺細胞、膵島細胞、腎臓細胞、癌細胞、ホルモン腺細胞、皮膚、骨、関節、骨髄、胃粘膜、リンパ節、パイエル板、大網および他の適切な組織への標的化を可能にする、リガンドを含んでもよい。
【0248】
本発明のペプチドは、従来の治療に用いられる薬剤、例えば細胞傷害剤の作用を補助または増大して、例えば幹細胞治療中に幹細胞を保護することによってそれらの副作用を低減するために用いられ得る。
【0249】
一実施態様では、本発明のペプチドは、1つまたは複数の他の治療的に活性の薬剤と一緒に投与される。例えば、本発明のペプチドは、組み合わせの化学療法剤として用いられ得る。本発明のペプチドは、一部の癌細胞、例えばAML細胞が、細胞周期に入るのを誘導し得る。この方法で刺激された細胞は、したがって、従来の抗癌薬物の影響をより受けやすくなり得る。本発明のペプチドは、したがって、白血病などの癌、例えばAMLを標的化するために、細胞傷害性薬物のような他の抗癌剤と組み合わせて用いられ得る。
【0250】
また、本発明のペプチドは、内因性の幹細胞集団を保護するために、他の抗癌治療と組み合わせて用いてもよい。本発明のペプチドは、正常な幹細胞/前駆細胞をG0/G1静止状態で維持し得る。この細胞保護能力は、したがって、そのような幹細胞を任意の抗癌治療の効果から保護し得る。これは、本発明のペプチドが分裂細胞を標的化する細胞傷害剤と組み合わせて用いられる場合の特定の使用であり得る。そのような治療の間、患者の正常な幹細胞を静止状態に維持することによって、内因性の幹細胞集団に対する抗癌治療の副作用は最小限化され得る。
【0251】
この潜在的副作用の低減は、他の方法で可能または安全であるよりも高い投与量またはレベルの従来の治療が患者に対して用いられるのも可能にし得る。
【0252】
一実施態様では、他の治療的薬剤は、抗増殖剤、キナーゼ阻害剤、血管新生阻害剤、増殖因子阻害剤、cox−I阻害剤、cox−II阻害剤、分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、インターカレート抗生物質、増殖因子阻害剤、放射線、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答調節剤、抗体、細胞傷害性、抗ホルモン、スタチン、抗アンドロゲンおよび光化学療法剤からなる群より選択される抗腫瘍剤である。
【0253】
したがって、本発明は、さらなる態様として、抗増殖剤、キナーゼ阻害剤、血管新生阻害剤、増殖因子阻害剤、cox−I阻害剤、cox−II阻害剤、分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、インターカレート抗生物質、増殖因子阻害剤、放射線、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答調節剤、抗体、細胞傷害性、抗ホルモン、スタチン、抗アンドロゲンおよび光化学療法剤からなる群より選択される抗腫瘍剤と本発明の薬剤の組み合わせを含む。
【0254】
本発明の一実施態様では、本発明の組成物とともに用いられる抗腫瘍剤は、抗血管新生剤、キナーゼ阻害剤、panキナーゼ阻害剤または増殖因子阻害剤である。
【0255】
適切なpanキナーゼ阻害剤は、米国特許第6,573,293号に記載のSU−11248(スニチニブリンゴ酸塩)を含む(Pfizer Inc)。
【0256】
抗血管新生剤は、限定されないが、以下の薬剤、例えば、EGF阻害剤、EGFR阻害剤、VEGF阻害剤、VEGFR阻害剤、TIE2阻害剤、IGF1 R阻害剤、COX−II(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤、MMP−2(マトリックス−メタロプロテイナーゼ2)阻害剤、およびMMP−9(マトリックス−メタロプロテイナーゼ9)阻害剤を含む。適切なVEGF阻害剤は、例えば、アバスチン(ベバシズマブ)、カリフォルニア州サウスサンフランシスコのGenentech,Inc.の抗VEGFモノクローナル抗体を含む。
【0257】
さらなるVEGF阻害剤は、CP−547,632(Pfizer Inc.)、AG13736(アキシチニブ、Pfizer Inc.)、ZD−6474(AstraZeneca)、AEE788(Novartis)、AZD−2171)、VEGF Trap(Regeneron/Aventis)、バタラニブ(PTK−787、ZK−222584としても知られる:Novartis&Schering AG)、マクジェン(ペガプタニブ・オクタナトリウム(pegaptanib octasodium)、NX−1838、EYE−001、PfizerInc./Gilead/Eyetech)、IM862(米国ワシトン州カークランドのCytran Inc.);およびAngiozyme、Ribozyme(コロラド州Boulder)由来の合成リボザイム、および、Chiron(カリフォルニア州Emeryville)およびそれらの組み合わせを含む。本発明の実施において有用なVEGF阻害剤は、米国特許第6,534,524号および第6,235,764号に開示されて、その両方ともが、全ての目的に関してそれらの全体で援用される。特に適切なVEGF阻害剤は、CP−547,632、アキシチニブ、バタラニブ、マクジェンおよびそれらの組み合わせを含む。
【0258】
本発明の組成物とともに用いられ得る他の抗増殖剤は、酵素ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼの阻害剤および受容体チロシンキナーゼPDGFrの阻害剤を含む。PDGRr阻害剤は、限定されないが、2001年7月7日に発行された国際特許出願公開番号WO01/40217、および、2004年3月11日に発行された国際特許出願公開番号WO2004/020431に開示されるものを含み、その内容は、全ての目的に関してそれらの全体で援用される。適切なPDGFr阻害剤は、PfizerのCP−673,451およびCP−868,596およびその薬学的に許容できる塩類を含む。
【0259】
適切なGARF阻害剤は、PfizerのAG−2037(ペリトレキソールおよびその薬学的に許容できる塩類)を含む。本発明の実施において有用なGARF阻害剤は、米国特許第5,608,082号に開示されて、全ての目的に関してその全体で援用される。
【0260】
本明細書に記載の本発明の化合物とともに用いられ得る有用なCOX−II阻害剤の例は、CELEBREX(セレコキシブ)、パレコキシブ、デラコキシブ、ABT−963、MK−663(エトリコキシブ)、COX−189(ルミラコキシブ)、BMS347070、RS 57067、NS−398、Bextra(バルデコキシブ)、パレコキシブ(paracoxib)、Vioxx(ロフェコキシブ)、SD−8381、4−メチル−2−(3,4−ジメチルフェニル)−1−(4−スルファモイル−フェニル)−1H−ピロール、2〜(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−1H−ピロール、T−614、JTE−522、S−2474、SVT−2016、CT−3、SC−58125およびArcoxia(エトリコキシブ)を含む。加えて、COX−II阻害剤は、米国特許出願番号10/801,446および10/801,429に開示されて、その内容は、全ての目的に関してそれらの全体で援用される。
【0261】
本発明の組成物とともに用いられる抗腫瘍剤としての他の有用な阻害剤は、アスピリン、および、プロスタグランジンを作る酵素(シクロオキシゲナーゼIおよびII)を阻害する非ステロイド系抗炎症性薬物(NSAID)を含み、より低いレベルのプロスタグランジンをもたらし、以下に限定されないが、サルサラート(Amigesic)、ジフルニサル(ドロビッド)、イブプロフェン(モトリン)、ケトプロフェン(オルヂス)、ナブメトン(レラフェン)、ピロキシカム(フェルデン)、ナプロキセン(アリーブ、ナプロシン)、ジクロフェナク(ボルタレン)、インドメタシン(インドシン)、スリンダク(クリノリル)、トルメチン(トレクチン)、エトドラク(ロヂン)、ケトロラック(トラドル)、オキサプロジン(Daypro)およびそれらの組み合わせを含む。
【0262】
適切なCOX−I阻害剤は、イブプロフェン(モトリン)、ニュプリン、ナプロキセン(アリーブ)、インドメタシン(インドシン)、ナブメトン(レラフェン)およびそれらの混合物を含む。
【0263】
本発明の組成物とともに用いられる標的化された薬剤は、EGFr阻害剤、例えば、イレッサ(ゲフィチニブ、AstraZeneca)、タルセバ(エルロチニブまたはOSI−774、OSI Pharmaceuticals Inc.)、アービタックス(セツキシマブ、Imclone Pharmaceuticals,Inc.)、EMD−7200(Merck AG)、ABX−EGF(Amgen Inc.およびAbgenix Inc.)、HR3(Cuban Government)、IgA抗体(Erlangen−Nuremberg大学)、TP−38(IVAX)、EGFR融合タンパク質、EGF−ワクチン、抗−EGFrイムノリポソーム(Hermes Biosciences Inc.)およびそれらの組み合わせを含む。好適には、EGFr阻害剤は、イレッサ、アービタックス、タルセバおよびそれらの組み合わせを含む。他の抗腫瘍剤は、pan erb受容体阻害剤またはErbB2受容体阻害剤、例えば、CP−724,714(Pfizer,Inc.)、CM 033(カネルチニブ、Pfizer,Inc.)、ハーセプチン(トラスツズマブ、Genentech Inc.)、Omitarg(2C4、ペルツズマブ、Genentech Inc.)、TAK−165(Takeda)、GW−572016(ロナファルニブ、GlaxoSmithKline)、GW−282974(GlaxoSmithKline)、EKB−569(Wyeth)、PKM 66(Novartis)、dHER2(HER2ワクチン、Corixa and GlaxoSmithKline)、APC8024(HER2ワクチン、Dendreon)、抗−HER2/neu二重特異性抗体(Decof Cancer Center)、B7.her2.lgG3(Agensys)、ASHER2(Research Institute for Rad Biology&Medicine)、三機能性二重特異性抗体(Munich大学)およびmAB AR−209(Aronex Pharmaceuticals Inc)およびmAB 2B−1(Chiron)およびそれらの組み合わせから選択されるものを含む。特定のerb選択的な抗腫瘍剤は、ハーセプチン、TAK−165、CP−724,714、ABX−EGF、HER3およびそれらの組み合わせを含む。好適には、pan erb受容体阻害剤は、GW572016、CM 033、EKB−569、およびOmitargおよびそれらの組み合わせを含む。
【0264】
加えて、他の抗腫瘍剤は、以下の薬剤、BAY−43−9006(Onyx Pharmaceuticals Inc.)、ゲナセンス(augmerosen,Genta)、パニツムマブ(Abgenix/Amgen)、ゼヴァリン(Schering)、ベキサール(Corixa/GlaxoSmithKline)、アバレリクス、アリムタ、EPO 906(Novartis)、ディスコデルモリド(XAA−296)、ABT−510(Abbott)、ネオバスタット(Aeterna)、エンザスタウリン(Eli Lilly)、コンブレスタチンA4P(Oxigene)、ZD−6126(AstraZeneca)、フラボピリドール(Aventis)、CYC−202(Cyclacel)、AVE−8062(Aventis)、DMXAA(Roche/Antlsoma)、チミタク(Eximias)、テモダール(テモゾロミド、Schering Plough)およびレビリムド(Celegene)およびそれらの組み合わせから選択され得る。
【0265】
他の抗腫瘍剤は、以下の薬剤、CyPat(シプロテロンアセテート)、ヒストレリン(ヒストレリンアセテート)、Plenaixis(アバレリクスデポー)、アトラセンタン(ABT−627)、サトラプラチン(JM−216)、サロミド(サリドマイド)、Theratope、テミリフェン(Temilifene)(DPPE)1 ABI−007(パクリタキセル)、エビスタ(ラロキシフェン)、アタメスタン(Biomed−777)、Xyotax(ポリグルタメートパクリタキセル)、Targetin(ベキサロテン(bexarotine))およびそれらの組み合わせから選択され得る。
【0266】
加えて、他の抗腫瘍剤は、以下の薬剤、Trizaone(チラパザミン)、Aposyn(エクシスリンド)、Nevastat(AE−941)、Ceplene(ヒスタミンジヒドロクロリド)、Orathecin(ルビテカン)、Virulizin、Gastrimmune(G17DT)、DX−8951f(メシル酸エキサテカン)、オンコナーゼ(ランピマーゼ(ranpimase))、BEC2(ミツモアブ(mitumoab))、Xcytrin(モテキサフィンガドリニウム)およびそれらの組み合わせから選択されてもよい。さらなる抗腫瘍剤は、以下の薬剤、CeaVac(CEA)、NeuTrexin(グルクロン酸トリメトレキサート)およびそれらの組み合わせから選択され得る。さらなる抗腫瘍剤は、以下の薬剤、OvaRex(オレゴボマブ)、Osidem(IDM−1)、およびそれらの組み合わせから選択され得る。
【0267】
さらなる抗腫瘍剤は、以下の薬剤、Advexin(ING201)、Tirazone(チラパザミン)、およびそれらの組み合わせから選択され得る。さらなる抗腫瘍剤は、以下の薬剤、RSR13(エファプロキシラル)、Cotara(1311 chTNT 1/b)、NBI−3001(IL−4)およびそれらの組み合わせから選択され得る。さらなる抗腫瘍剤は、以下の薬剤、Canvaxin、GMKワクチン、PEG lnteron A、タキソプレキシン(DHA/パクリタキセル(paciltaxel))およびそれらの組み合わせから選択され得る。
【0268】
他の抗腫瘍剤は、PfizerのMEK1/2阻害剤PD325901、Array BiopharmのMEK阻害剤ARRY−142886、Bristol MyersのCDK2阻害剤BMS−387,032、PfizerのCDK阻害剤PD0332991およびAstraZenecaのAXD−5438およびそれらの組み合わせを含む。
【0269】
加えて、mTOR阻害剤は、CCI−779(Wyeth)およびラパマイシン誘導体RAD001(Novartis)およびAP−23573(Ariad)、HDAC阻害剤SAHA(Merck Inc/Aton Pharmaceuticals)およびそれらの組み合わせとしても使用され得る。さらなる抗腫瘍剤は、オーロラ2阻害剤VX−680(Vertex)、Chk1/2阻害剤XL844(Exilixis)を含む。
【0270】
以下の細胞傷害剤、例えば、エピルビシン(Ellence)、ドセタキセル(タキソテール)、パクリタキセル、Zinecard(デクスラゾキサン)、リツキシマブ(リツキサン)、イマチニブメシレート(グリベック)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数は、本明細書に記載のように本発明の組成物とともに用いられ得る。
【0271】
また、本発明は、制限されないが、エキセメスタン(アロマシン、Pfizer Inc.)、リュープロレリン(リュープロンまたはリュープリン、TAP/Abbott/Takeda)、アナストロゾール(アリミデックス、Astrazeneca)、ゴセレリン(gosrelin)(ゾラデックス、AstraZeneca)、ドキセルカルシフェロール、ファドロゾール、フォルメスタン、タモキシフェンシトレート(タモキシフェン、ノルバデックス、AstraZeneca)、カソデックス(AstraZeneca)、アバレリクス(Praecis)、トレルスター、およびそれらの組み合わせを含む、ホルモン療法とともに、本発明の組成物の使用を検討する。
【0272】
また、本発明は、抗エストロゲンのようなホルモン療法剤にも関し、制限されないが、フルベストラント、トレミフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、レトロゾール(フェマーラ、Novartis)、抗アンドロゲン、例えば、ビカルタミド、フルタミド、ミフェプリストン、ニルタミド、カソデックス(R)(4’−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3’−(トリフルオロメチル)プロピオンアニリド、ビカルタミド)およびそれらの組み合わせを含む。
【0273】
さらに、本発明は、本発明の組成物を単独で、または、1つまたは複数の補佐的なケア製品、例えば、フィルグラスチム(ニューポジェン)、オンダンセトロン(Zofran)、フラグミン、プロクリット、アロキシ、イメンド、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される製品と組み合わせて提供する。
【0274】
特に適切な細胞傷害剤は、カンプトサール、アービタックス、イレッサ、グリベック、タキソテールおよびそれらの組み合わせを含む。
【0275】
以下のトポイソメラーゼI阻害剤は、抗腫瘍剤として使用され得る:カンプトテシン;イリノテカンHCl(カンプトサール);エドテカリン;オラセシン(orathecin)(Supergen);エキサテカン(Daiichi);BN−80915(Roche);およびそれらの組み合わせ。特に好ましいトポイソメラーゼ(toposimerase)Il阻害剤は、エピルビシン(Ellence)を含む。
【0276】
アルキル化剤は、限定されないが、ナイトロジェンマスタードN−オキシド、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ブスルファン、ミトブロニトール、カルボコン、チオテパ、ラニムスチン、ニムスチン、テモゾロミド、AMD−473、アルトレタミン、AP−5280、アパジコン、ブロスタリシン、ベンダムスチン、カルムスチン、エストラムスチン、フォテムスチン、グルホスファミド、イホスファミド、KW−2170、マホスファミド、およびミトラクトールを含み;白金が配位された(platinum−coordinated)アルキル化化合物は、限定されないが、シスプラチン、パラプラチン(カルボプラチン)、エプタプラチン(eptaplatin)、ロバプラチン、ネダプラチン、エロキサチン(オキサリプラチン、Sanofi)またはサトラプラチン(satrplatin)およびそれらの組み合わせを含む。特に好ましいアルキル化剤は、エロキサチン(オキサリプラチン)を含む。
【0277】
代謝拮抗剤は、限定されないが、メトトレキサート、6−メルカプトプリンリボシド、メルカプトプリン、5−フルオロウラシル(5−FU)を、単独または以下と組み合わせて、ロイコボリン、タガフール、LIFT、ドキシフルリジン、カルモフール、シタラビン、シタラビンオクホスファート、エノシタビン、S−1、アリムタ(ペメトレキセド(premetrexed)二ナトリウム、LY231514、MTA)、ジェムザール(ゲムシタビン、EIi Lilly)、フルダラビン、5−アザシチジン、カペシタビン、クラドリビン、クロファラビン、デシタビン、エフロルニチン、エチニルシチジン、シトシンアラビノシド、ヒドロキシ尿素、TS−1、メルファラン、ネララビン、ノラトレキシド、オクホスファート、ペメトレキセド二ナトリウム、ペントスタチン、pelitrexoi、ラルチトレキセド、トリアピン、トリメトレキサート、ビダラビン、ビンクリスチン、ビノレルビン;または、例えば、欧州特許出願番号239362に開示される好ましい抗転写産物の1つ、例えば、N−(5−[N−(3、4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルメチル)−N−メチルアミノ]−2−テノイル)−L−グルタミン酸およびそれらの組み合わせを含む。
【0278】
抗生物質は、インターカレート抗生物質を含み、限定されないが:アクラルビシン、アクチノマイシンD、アムルビシン、アナマイシン、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エルサミトルシン、エピルビシン、ガラルビシン(galarubicin)、イダルビシン、マイトマイシンC、ネモルビシン、ネオカルチノスタチン、ペプロマイシン、ピラルビシン、レベッカマイシン、スチマラマー、ストレプトゾシン、バルルビシン、ジノスタチンおよびそれらの組み合わせを含む。
【0279】
植物由来の抗腫瘍物質は、分裂阻害剤、例えば、ビンブラスチン、ドセタキセル(タキソテール)、パクリタキセルおよびそれらの組み合わせから選択されるものなどを含む。
【0280】
細胞傷害性トポイソメラーゼ阻害剤は、アクラルビシン(aclarubicn)、アモナファイド、ベロテカン、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、9−アミノカンプトテシン、ジフロモテカン(diflomotecan)、イリノテカンHCl(カンプトサール)、エドテカリン、エピルビシン(Eilence)、エトポシド、エキサテカン、ジャイマテカン、ラルトテカン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピクサントロン、ルビテカン、シブゾキサン、SN−38、タフルポシド、トポテカン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の薬剤を含む。好ましい細胞傷害性トポイソメラーゼ阻害剤は、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、9−アミノカンプトテシン(camptothedn)、イリノテカンHCl(カンプトサール)、エドテカリン、エピルビシン(Eilence)、エトポシド、SN−38、トポテカン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の薬剤を含む。
【0281】
免疫学は、インターフェロンおよび非常に多くの他の免疫の増強剤を含む。インターフェロンは、インターフェロンα、インターフェロンα−2a、インターフェロン、α−2b、インターフェロンβ、インターフェロンγ−1a、インターフェロンγ−1b(アクティミューン)、またはインターフェロンγ−n1およびそれらの組み合わせを含む。他の薬剤は、フィルグラスチム、レンチナン(ientinan)、シゾフィラン(sizofilan)、TheraCys、ウベニメクス、WF−10、アルデスロイキン、アレムツズマブ、BAM−002、ダカルバジン、ダクリズマブ、デニロイキン、ゲムツズマブオゾガマイシン、イブリツモマブ、イミキモド、レノグラスチム、レンチナン(Ientinan)、メラノーマワクチン(Corixa)、モルグラモスチム、OncoV AX−CL、サルグラモスチム、タソネルミン、テセロイキン(tecleukin)、チマルファシン(thymalasin)、トシツモマブ、Virulizin、2−100、エプラツズマブ、ミツモマブ(mitumomab)、オレゴボマブ、ペムツモマブ(pemtumomab)(Y−muHMFGI)、プロベンジ(Dendreon)およびそれらの組み合わせを含む。
【0282】
生物学的応答調節剤は、生体の防御メカニズムまたは生物学的応答、例えば、組織細胞の生存、増殖、または分化を改変してそれらが抗腫瘍活性を有するようにさせる薬剤である。そのような薬剤は、クレスチン、レンチナン(Ientinan)、シゾフィラン、ピシバニール、ウベニメクスおよびそれらの組み合わせを含む。
【0283】
他の抗癌剤は、アリトレチノイン、アンプリゲン、アトラセンタンベキサロテン、ボルテゾミブ.ボセンタン、カルチトリオール、エクシスリンド(exisuiind)、フィナステリド.フォテムスチン、イバンドロン酸、ミルテホシン、ミトキサントロン、1−アスパラギナーゼ、プロカルバジン、ダカルバジン、ヒドロキシカルバミド、ペグアスパラガーゼ、ペントスタチン、タザロテン(tazarotne)、Telcyta(TLK−286,Telik Inc.)、ベルケイド(ボルテゾミブ(bortemazib),Millenium)、トレチノイン、およびそれらの組み合わせを含む。
【0284】
他の抗血管新生化合物は、アシトレチン、フェンレチニド、サリドマイド、ゾレドロン酸、アンギオスタシン、アプリジン、シレングチド(cilengtide)、コンブレタスタチンA−4、エンドスタチン、ハロフジノン、レビマスタット(rebimastat)、レモバブ、レブリミド、スクアラミン、ウクライン、ビタキシンおよびそれらの組み合わせを含む。白金が配位された化合物は、限定されないが、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、およびそれらの組み合わせを含む。
【0285】
カンプトテシン誘導体は、限定されないが、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、9−アミノカンプトテシン、イリノテカン、SN−38、エドテカリン、トポテカンおよびそれらの組み合わせを含む。他の抗腫瘍剤は、ミトキサントロン、l−アスパラギナーゼ、プロカルバジン、ダカルバジン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、トレチノインおよびそれらの組み合わせを含む。
【0286】
抗腫瘍免疫応答を高めることが可能な抗腫瘍剤、例えば、CTLA4(細胞傷害性リンパ球抗原4)抗体、および、米国特許第6,682,736号に開示されるMDX−010(Medarex)およびCTLA4化合物;および、他のファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤のような抗増殖剤、例えば、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤などの、CTLA4をブロックすることが可能な他の薬剤も使用され得る。加えて、本発明において用いられ得る特異的なCTLA4抗体は、米国仮出願60/113,647(1998年12月23日に出願)、米国特許第6,682,736号に記載のものを含み、その両方ともが、それらの全体で参照により本明細書中に援用される。
【0287】
本発明において用いられ得る特異的なIGF1R抗体は、国際特許出願番号WO2002/053596に記載のものを含み、その全体で参照により本明細書中に援用される。本発明において用いられ得る特異的なCD40抗体は、国際特許出願番号WO2003/040170に記載のものを含み、その全体で参照により本明細書中に援用される。
【0288】
遺伝子療法剤は、TNFerade(GeneVec)のような抗腫瘍剤としても用いられ得て、放射線療法に応答してTNFαを発現する。
【0289】
本発明の一実施態様では、スタチンは、本発明の組成物とともに用いられ得る。スタチン(HMG−CoA還元酵素(reducatase)阻害剤)は、アトルバスタチン(Lipitor,Pfizer Inc.)、プラバスタチン(Pravachol,Bristol−Myers Squibb)、ロバスタチン(Mevacor,Merck Inc.)、シンバスタチン(Zocor,Merck Inc.)、フルバスタチン(Lescol,Novartis)、セリバスタチン(Baycol,Bayer)、ロスバスタチン(Crestor,AstraZeneca)、ロバスタチン(Lovostatin)およびナイアシン(Advicor,Kos Pharmaceuticals)、それらの誘導体および組み合わせからなる群より選択され得る。好ましい実施態様では、スタチンは、アトルバスタチン(Atovorstatin)およびロバスタチン、それらの誘導体および組み合わせからなる群より選択される。抗腫瘍剤として有用な他の薬剤は、カデュエットを含む。
【0290】
本発明の一実施態様では、本発明の組成物は、活性酸素種を局所的に生産するために用いられる光化学療法剤とともに用いられ得る。光化学療法剤の例は、光線力学的な治療で用いられるパラジウムバクテリオフェオフォルビド(bacterio phephorbide)(TOOKAD);ソラーレン、8−メトキシソラーレン/メトキサレン(Oxsoralen−Ultra(登録商標)、8−MOP(登録商標)、Oxsoralen(登録商標)、Uvadex(登録商標))、4,5,8−トリメチルソラーレン/トリオキサレン(Trisoralen(登録商標))、PUVA(Psoralen Ultra Violet A light)において使用;UVARまたはUVAR(登録商標)XTS(商標)Photopheresis System(Therakos,Inc.,Exton,PA):Theraflex ECP(登録商標)(Macopharma);CobeSpectra+Photo Immune System UVA PIT(Med Tech Solution);光増感剤、例えば、カルシポトリエン、タザロテン、クリサロビンおよびその合成の誘導体アントラリン/1,8−ジヒドロキシ−9−アントロン/ジトラノール(Drithocreme(登録商標));(BioLuminescence Activated Destruction(BLADe))で使用されるホタル(Photinus pyralis)ルシフェラーゼ;エリスロシンB(EB);エリスロシンナトリウム;m−テトラ(ヒドロキシフェニル)クロリン(m−THPC)/テモポルフィン(Foscan(登録商標)、Biolitec AG);ポルフィリン、例えば、d−アミノレブリン酸(d−ALA)(Levulan Kerastick(登録商標);DUSA Pharmaceuticals,Inc.)、5−ALAメチルエステル(methylesther)(MLA/M−ALA)(Metvix(登録商標);PhotoCure ASA)、5−ALAベンジルエステル(benzylesther)(Benzvix(登録商標));5−ALAヘキシルエステル(hexylesther)(Hexvix(登録商標))、エチルエチオプルプリン錫(SnET2)/Snエチオプルプリン(etiopurpurin)/ロスタポルフィン(Photrex(登録商標)、Purlytin(登録商標);Miravant MedicalTechnologies、ホウ素化プロトポルフィリン(BOPP(登録商標))、2−(1−ヘキシルオキシエチル)−2−ジビニルピロフェオホルビド−a(HPPH)(Photochlor(登録商標);Rosewell Park Cancer Institute)、テキサフィリン、以下を含む、ユーロピウムテキサフィリン(Eu−Tex)、ジスプロシウムテキサフィリン(Dy−Tex)、マンガンテキサフィリン(Mn−Tex)、ルテチウムテキサフィリン/PCI−0123(Lu−Tex(登録商標)、Lutex(登録商標)、Lutrin(登録商標))、モテキサフィンルテチウム(MLu)/ルテチウム(III)テキサフィリン(Lu−Tex)(Antrin(登録商標)、Lutrin(登録商標)、Optrin(登録商標);Pharmacyclics Inc.)、モテキサフィンガドリニウム(MGd)/PCI−0120(Xcytrin(登録商標);由来:Pharmacyclics Inc.) タロシアニン−4(Pc4)、タラポルフィン(taporfin)ナトリウム/NPe6/モノ−L−アスパルチルクロリンe6/タラポルフィン(taporfin)ナトリウム/LS11(タラポルフィン(登録商標);Light ScienceCorporation)、ベンゾポルフィリン誘導体一塩基酸環A(BPD−MA)/ベルテポルフィン(Visudyne(登録商標)、Novartis Pharmaceuticals)、部分的に精製されたヘマトポルフィリン誘導体(HpD)、ポルフィマーナトリウム(フォトフリン(登録商標);Axcan Pharma,Inc.)、ジヘマトポルフィリンエーテル(DHE)、フォトサン(photosan)−3(PS−3)、フォトフリン−II、メソ−テトラキス−フェニルポルフィリン(TPP)およびテトラフェニルポルフィンスルフォネート(TPPS4)を含む。
【実施例】
【0292】
実施例1:インビトロでの細胞生存能力に対するペプチドの効果
この実施例では、本発明のペプチドをインビトロアッセイで用いて、様々な細胞株における細胞死および細胞増殖に対するそれらの効果を決定した。
【0293】
方法
1.
ペプチドデザイン
以下のペプチドを構築した:
HXR9(配列番号86)は、PBXおよびHOXタンパク質の間の相互作用を防止して、インビトロおよびマウスモデルの両方において多くの異なる癌の増殖を阻害することが知られている(Morgan,R.,Pirard,P.M.,Shears,L.,Sohal,J.,Pettengell,R.& Pandha,H.S.(2007)Antagonism of HOX/PBX dimer formation blocks the in vivo proliferation of melanoma.Cancer Res,67,5806−5813;Shears,L.,Plowright,L.,Harrington,K.,Pandha,H.S.& Morgan,R.(2008)Disrupting the interaction between HOX and PBX causes necrotic and apoptotic cell death in the renal cancer lines CaKi−2 and 769−P.J Urol,180,2196−2201;Plowright,L.,Harrington,K.J.,Pandha,H.S.& Morgan,R.(2009)HOX transcription factors are potential therapeutic targets in non−small−cell lung cancer(targeting HOX genes in lung cancer).Br J Cancer,100,470−475;Daniels,T.R.,Neacato,II,Rodriguez,J.A.,Pandha,H.S.,Morgan,R.& Penichet,M.L.(2010)Disruption of HOX activity leads to cell death that can be enhanced by the interference of iron uptake in malignant B cells.Leukemia,24,1555−1565;Morgan,R.,Plowright,L.,Harrington,K.J.,Michael,A.& Pandha,H.S.(2010)Targeting HOX and PBX transcription factors in ovarian cancer.BMC Cancer,10,89;Morgan,R.,Boxall,A.,Harrington,K.J.,Simpson,G.R.,Gillett,C.,Michael,A.& Pandha,H.S.(2012)Targeting the HOX/PBX dimer in breast cancer. Breast Cancer Res Treat,136,389−398;Errico,M.C.,Felicetti,F.,Bottero,L.,Mattia,G.,Boe,A.,Felli,N.,Petrini,M.,Bellenghi,M.,Pandha,H.S.,Calvaruso,M.,Tripodo,C.,Colombo,M.P.,Morgan,R.& Care,A.(2013)The abrogation of the HOXB7/PBX2 complex induces apoptosis in melanoma through the miR−221&222−c−FOS pathway.Int J Cancer,133,879−892;Morgan,R.,Boxall,A.,Harrington,K.J.,Simpson,G.R.,Michael,A.& Pandha,H.S.(2014)Targeting HOX transcription factors in prostate cancer.BMC Urol,14,17)。
【0294】
HXR9(配列番号86)は、高度に保存されたHOXヘキサペプチド配列WYPWMKK(配列番号85)を含み、それは、このプロセスを仲介することが知られていて、細胞膜を横切るタンパク質の効率的な動きを仲介することが以前に示されたポリアルギニンペプチドに連結される。
【0295】
CXR9(配列番号87)は、HXArg9配列に基づいてコントロールペプチドとして生産されたが、HOX/PBX干渉ペプチド配列においてアミノ酸置換を有し、上述の癌モデルでは不活性である。
【0296】
HXR9AS7(配列番号88)は、HXArg9配列に基づき、ここで、HOXヘキサペプチド配列WYPWMKK(配列番号50)は保存される。
【0297】
HXR9noH(配列番号89)は、HXArg9配列に基づき、ここで、HOXヘキサペプチド配列WYPWMKK(配列番号50)は保存される。
【0298】
HXR9KS3(配列番号6)は、HXArg9配列に基づくが、HOX/PBX干渉ペプチド配列においてアミノ酸置換を有する。
【0299】
HXR9KS3/7(配列番号7)は、HXArg9AS7配列に基づくが、HOX/PBX干渉ペプチド配列においてアミノ酸置換を有する。
【0300】
HXR9KS3noH(配列番号8)は、HXArg9noH配列に基づくが、HOX/PBX干渉ペプチド配列においてアミノ酸置換を有する。
【0301】
これらのペプチドの配列は以下のとおりである。全てのペプチドは、日常的な化学合成によって調製した。これらのペプチドは、Sigma−Aldrichによって90%純度で合成されて、凍結乾燥された粉末として提供された。これは、水に溶解されて100mMの各ペプチドのストック濃度を与えた。
【0302】
HXR9(配列番号86):WYPWMKKHHRRRRRRRRR
CXR9(配列番号87):WYPAMKKHHRRRRRRRRR
HXR9AS7(配列番号88):WYPWMKKAARRRRRRRRR
HXR9noH(配列番号89):WYPWMKKRRRRRRRRR
HXR9KS3(配列番号6):WYKWMKKHHRRRRRRRRR
HXR9KS3/7(配列番号7):WYKWMKKAARRRRRRRRR(以降「HTL001」)
HXR9KS3noH(配列番号8):WYKWMKKRRRRRRRRR
【0303】
2.
アッセイ
前立腺癌由来の細胞株DU145およびPC3に対するペプチドの細胞毒性を、代謝活性に関して、MTTアッセイを用いて、以前に記載のとおりに試験した(Morgan et al.2014、同上)。細胞傷害性薬物ドセタキセル(標準的な化学療法薬物)を、ポジティブコントロールとして含めた。アッセイを3回繰り返して、結果は、細胞死に関する平均IC50±標準偏差として与えられる。
【0304】
結果
2時間後および96時間後に細胞の50%を死滅させるのに必要な投与量(IC50)を、以下の表1に示す。投与量は、μM(マイクロモル)であり、3回の実験による平均値は、標準偏差とともに与えられる。HXR9と比較したIC50の倍差もイタリック体で示す。
【0305】
【表2】
【0306】
実施例2:インビトロでの細胞生存能力に対するペプチドの効果
方法
ペプチド
HXR9(配列番号86):WYPWMKKHHRRRRRRRRR
CXR9(配列番号87):WYPAMKKHHRRRRRRRR
HXR9KS3/7(配列番号7):WYKWMKKAARRRRRRRRR(以降「HTL001」)
【0307】
これらのペプチドは、Sigma−Aldrichによって90%純度で合成されて、凍結乾燥された粉末として提供された。これは、水に溶解されて100mMの各ペプチドのストック濃度を与えた。
【0308】
アッセイ
細胞死に関するインビトロアッセイ
前立腺癌由来の細胞株DU145、LnCaP、およびPC3、および、乳癌由来の細胞株MDA−MB−231に対するペプチドの細胞毒性を、代謝活性に関して、MTTアッセイを用いて、以前に記載のとおりに試験した(Morgan et al.2014)。細胞株によって7000〜16000細胞を、96ウェル細胞プレート上に蒔いて、5、10、20、40および80μMのCXR9、HXR9およびHTL001を用いて2時間処理した。処理後、0.5mg/mlの最終濃度でMTTを添加した。4時間インキュベーションの際に、形成されたホルマザン結晶をDMSO中に溶解して、蛍光分光計を用いて光学濃度(OD)を540nmで測定した。細胞生存のパーセンテージを、未処理細胞に対する処理済みの平均OD値の比として計算した。実験を3回繰り返して、スチューデントのt検定を用いて統計分析を行なった。全ての細胞株は、10%FBS、1%ピルビン酸ナトリウムおよび1%L−グルタミンが添加されたRPMI培地中で培養した。それらは全て、37℃、5%CO
2のインキュベーター内で培養した。アッセイを3回繰り返した。結果は、細胞死に関する平均IC50±標準偏差として与えられる。
【0309】
結果
図1に示されるように、HTL001(HXR9KS3/7)は、試験された細胞型のそれぞれの死滅においてHXR9よりも有意に効果的である:
【0310】
実施例3:PC3細胞におけるHTL001の局在化
方法
細胞の全体にわたってHTL001がどれくらい良好にPBXタンパク質に結合したかを評価するために、FAM5−標識ペプチド(HTL001/7FAM5)でPC3細胞を処理して、Vectashield HardSet Antifade Mounting Medium with Dapi(Vector Laboratories)によって固定およびマウントした。それから、それらをLeica蛍光顕微鏡の下で観察した。
【0311】
1.5×10
5のPC3細胞を、6ウェルプレートの内側の22×22mmカバースリップ上に蒔いた。24〜48時間のインキュベーション後、HTL001/7FAM5で細胞を2時間処理した。インキュベーション期間後に、培地を除去して、PBSを用いて3回洗浄した。冷却メタノールを添加して、カバースリップを10分間インキュベートした。それから、メタノールを除去して、暗所で20分間、風乾させた。それから、カバースリップをPBSで2回洗浄して、Vectashield HardSet Antifade Mounting Medium with DAPIを用いてスライド上にマウントした。
【0312】
結果
図2に示されるように、HTL001は、PC3細胞によって取り込まれて、細胞質および核の両方に存在することが見いだされた。
【0313】
実施例4:HTL001処理後のPC3細胞におけるcFOS発現
方法
PC3細胞を25cm
2プレートに蒔いて、33μMのCXR9、HXR9およびHTL001を80%コンフルエンスで用いて2時間処理した。製造業者の説明書に従ってRNeasy Mini Kit−QIAGENを用いてRNAを単離して、NanoDrop ND−1000を用いて定量化した。製造業者のプロトコルに従ってHigh Capacity cDNA Reverse Transcription Kitを用いて、25μlの最終反応容量で、1μgの全RNAからcDNAを生産した。qRT−PCRによってcFOSの発現を定量化した。TaqMan Universal PCR Master Mixに添加した1:10希釈(5μl/ウェル)の各cDNAを用いてリアルタイムPCR反応を行ない、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プローブのTaqMan Gene Expression Assay Hs00170630_m1 FOS.Amplificationを内因性コントロールとして行なった。比較Ct方法(ΔΔCtアルゴリズム)を分析に用いた。非依存性実験をトリプリケートで行なって3回繰り返した。スチューデントのt検定を用いて統計分析を行なった。
【0314】
結果
HXR9およびHTL001の処理の両方とも、
図3に示されるように、未処理のPC3細胞と比較してcFos発現を有意に増大させた。また、cFos発現も、HXR9で処理されたものと比較して、HTL001処理細胞において有意により高かった。
【0315】
これらの結果は、cFosが本発明のペプチドに対する腫瘍応答のバイオマーカーとして作用することができることを示し、したがって、その高い発現は、潜在的な代理の臨床試験エンドポイントである。
【0316】
実施例5:アネキシンV−FITCアッセイ
アポトーシスに対するHTL001の効果を、アネキシンVアッセイを用いて評価した。アネキシンVは、アポトーシスの開始直後に内側の細胞膜から細胞表面へ移行するホスファチジルセリンに結合する。アポトーシスとネクローシスとの間の分化は、ヨウ化プロピジウム(PI)を添加することによって行なわれる。
【0317】
方法
PC3細胞を25cm
2プレートに蒔いて、80%密集度で、33μMのCXR9、HXR9およびHTL001を用いて2時間処理した。曝露の最後に、浮遊細胞および接着細胞をトリプシン処理によって回収して、PBS中で洗浄して、4〜5×10
5細胞を100μlの結合バッファー中に再懸濁した。5μlのアネキシンV−FITCおよび0.5μlのPIを添加して、混合して、暗所においてRTで15分間インキュベートした。インキュベーション後、400μlの結合バッファーを添加して、サンプルをフローサイトメトリーによって分析した。2μMのSTSで8時間処理したポジティブコントロールを、アネキシンVのみ(チャネルFL−1)、PIのみ(チャネルFL−2)、および両方で、2つのシグナルの補正設定のために、別々に染色した。各サンプルにおいて10
4の細胞を評価して、CellQuest Proソフトウェアで分析を行なった。ドットプロット(FL−1H/FL−2H)を生産して、生存、初期アポトーシス、後期アポトーシスおよびネクローシスに細胞を分けた。実験を3回繰り返して、スチューデントのt検定を用いて統計分析を行なった。
【0318】
結果
HXR9およびHTL001の処理の両方とも、
図4に示されるように、未処理のPC3細胞と比較して、アネキシン染色を有意に増大させた。アネキシン染色は、HXR9で処理されたものと比較して、HTL001処理細胞において有意により高かった。
【0319】
実施例6:PC3細胞腫瘍異種移植片に対するHTL001の効果
方法
PC3細胞を、6〜12週齢の雌または雄Balb−cヌードマウス(Harlan,UK)に皮下注入した。腫瘍サイズが100mm
3に到達したときに、
図3に示される間隔で、PBS、HXR9またはHTL001をマウスに腫瘍内注入した。腫瘍サイズが1000mm
3に到達したときまたは実験の最後(36日)にマウスを屠殺した。腫瘍をそれから切除して、10%ホルマリンに24時間浸漬して、パラフィン包埋のために処理した。ミクロトームを用いてパラフィンブロック中の異種移植片の5μmスライスを作製して、免疫組織化学によって異なるタンパク質を検出した。
【0320】
PC3細胞株異種移植片のパラフィン断面を脱パラフィンおよび再水和して、シトレートバッファーを用いて抗原を回収して、H
2O
2を用いて内因性ペルオキシダーゼを抑制した。それから、適切なブロッキング血清を用いてスライドをブロックして、ブロッキング血清中で1時間、RTにて一次抗体とともにインキュベートした。DUSP1に対する一次抗体をPBSで洗い落として、スライドを二次抗体中で30分間インキュベートした。ABCキットを製造業者の指示書に従って使用して、ペルオキシダーゼHを二次抗体に結合させた。DABペルオキシダーゼ基質を可視化のために用いて、ヘマトキシリンで核染色した。断面は、酸アルコール中で対比染色されて、スコットタップ水(Scott’s tap water)中で青くなり、DPXによって脱水されて透明になってマウントされた。
【0321】
結果
表2および
図5、6および7に示されるように、HTL001は、マウスにおいてPC3腫瘍の有意な増殖遅延を生じさせる。
【0322】
【表3】
【0323】
図5は、時間の関数として、PBS注入マウスと比較した、HTL001によって処理した平均相対腫瘍容積を示す。
【0324】
図6は、時間の関数として、PBS注入マウスと比較した、HTL001によって処理した腫瘍保有マウスの平均相対%体重を示す。
【0325】
図7は、PBS注入マウスと比較した、腫瘍が2倍および3倍になる時間を示す。
【0326】
実施例7:HOX/PBX結合に関する、細胞に基づくアッセイ
HOXとPBXとの間の相互作用に関する、本発明のペプチドの拮抗作用活性を決定するための適切なアッセイを、以下に説明する。
【0327】
方法
それぞれのペプチドがHOX/PBX結合を破壊する能力を直接評価するために、HOX/PBX/DNAダイマーの形成を可能にし得る、細胞に基づくアッセイ系を開発した。培養されたMDA−MB−231細胞を、10μMの各ペプチドで4時間処理して、それから、以下に説明される標準的な調製方法を用いて細胞溶解物を生産するために用いた。それから、以下の表に詳述されるようにELISAに基づくシステムを用いてHOXB4/PBX2ダイマーを測定した。このアッセイによる値は、ネガティブコントロール(DMSO)と比較したダイマー形成の%阻害として表される。
【0328】
溶解物調製
1.低速遠心分離によってRTで5分間、およそ5.0×107細胞を回収する。培養培地を注意深く除去する。
2.細胞デブリ(ペレット)をPBSでRTにて洗浄して、低速遠心分離によって回収する。注意深く、上清を除去する(全タンパク質)。
3.新たに添加された(プロテアーゼ阻害剤)および/または(ホスファターゼ阻害剤)とともに、1.0mlの事前に冷却されたRIPAバッファー(または他の適切なバッファー)を添加する。RIPAバッファー中でピペットによって細胞を穏やかに再懸濁して、氷上で30分間インキュベートする。
4.21ゲージの針を通すこと、Dounceホモジナイザー、または超音波処理によって、細胞をさらに破壊およびホモゲナイズして、溶解物の温度が上がらないように注意する。(任意選択:10μlの10mg/ml PMSFストックを添加)
30分間氷上でインキュベートする。
5.微量遠心チューブ(単数または複数)に移して、4℃にて10,000×gで10分間遠心分離する。上清流体は、全細胞溶解物である。上清を新しい微量遠心チューブに移して、ペレットを捨てる。
【0329】
アッセイ方法:
規定されない限り全容量0.1ml;室温。水没によってプレートを洗浄した。
【表4】
【0330】
HOXB4/PBX2ダイマーアッセイに関する概略図を
図8に示す。
【0331】
結果
HTL001は、HOXB4/PBX2ダイマー形成の28.2(SEM 4.4)%阻害を示した。
【0332】
実施例8:HTL001(HXR9KS3/7)によって処理されたPC3細胞株腫瘍異種移植片におけるDUSP1タンパク質の発現
HXR9の標的として以前に同定された(Morgan et al.2007、同上)DUSP1タンパク質の発現を、PBS単独、HXR9またはHTL001による腫瘍内処理後にマウスから除去されたPC3腫瘍において試験した。
図9に示されるように、DUSP1発現(茶染色)は、HTL001処理後にかなり増大する。
【0333】
これらの結果は、DUSP1タンパク質が、本発明のペプチドに対する腫瘍応答のバイオマーカーとして作用し得ることを示し、したがって、その高い発現は、潜在的な代理の臨床試験エンドポイントである。