特表2018-534042(P2018-534042A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-534042発作活動の検出および分類のための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-534042(P2018-534042A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(54)【発明の名称】発作活動の検出および分類のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0488 20060101AFI20181026BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20181026BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20181026BHJP
   G06N 3/02 20060101ALI20181026BHJP
【FI】
   A61B5/04 330
   A61B5/00 102C
   A61B5/1455
   G06N3/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2018-518511(P2018-518511)
(86)(22)【出願日】2016年10月7日
(85)【翻訳文提出日】2018年5月22日
(86)【国際出願番号】US2016055925
(87)【国際公開番号】WO2017062728
(87)【国際公開日】20170413
(31)【優先権主張番号】62/239,161
(32)【優先日】2015年10月8日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】513092671
【氏名又は名称】ブレイン センティネル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Brain Sentinel,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ホイットマイア、ルーク イー.
(72)【発明者】
【氏名】ジルアード、マイケル アール.
(72)【発明者】
【氏名】カヴァゾス、ホセ イー.
【テーマコード(参考)】
4C038
4C117
4C127
【Fターム(参考)】
4C038KK01
4C117XB04
4C117XE13
4C117XE19
4C117XE37
4C117XE60
4C127AA04
4C127GG13
4C127GG16
4C127JJ03
(57)【要約】
発作活動について患者を監視する方法は、筋電信号を収集することと、ウェーブレット解析を用いて信号の特徴を特定することと、特定した特徴値を、発作活動を検出するように学習させたニューラルネットワークに入力すること、によって患者を監視することを含み得る。関連した装置についても記載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発作活動について患者を監視する方法であって、
筋電信号を得るために、1つ以上の筋電電極を用いて患者を監視することと、
前記筋電信号の1つ以上の特徴の値を特定するために、前記筋電信号をプロセッサで処理することであって、ウェーブレット変換を用いて前記筋電信号を分解することを含めて、処理することと、
発作活動を識別するように学習させたニューラルネットワークに、前記筋電信号の前記1つ以上の特徴の値を入力することと、
前記ニューラルネットワークの1つ以上の出力ノードの1つ以上の出力であって、前記発作活動の発現を示すように構成された1つ以上の出力を決定するために、前記ニューラルネットワークを用いて、前記筋電信号の前記1つ以上の特徴の値を処理することと、
前記発作活動の検出に対する応答を開始することと、を備える方法。
【請求項2】
前記1つ以上の出力のうちの少なくとも1つの出力を、間代期発作活動を識別するように学習させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の出力のうちの少なくとも1つの出力を、強直期発作活動を識別するように学習させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の出力のうちの少なくとも1つの出力を、強直間代期発作活動を識別するように学習させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の出力のうちの少なくとも1つの出力を、発作からの正常回復を識別するように学習させる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の出力のうちの少なくとも1つの出力を、中枢神経系抑制のリスク上昇を示す可能性のある、発作からの回復を識別するように学習させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の出力のうちの少なくとも1つの出力を、ある時間遅延後に前記患者に現れる可能性のある生理学的パラメータを予測するように学習させる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの出力は、酸素飽和度および脈拍数を含む出力群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
発作活動について患者を監視する方法であって、
筋電信号を得るために、1つ以上の筋電電極を用いて患者を監視することと、
前記筋電信号の1つ以上の特徴の値を特定するために、前記筋電信号をプロセッサで処理することであって、ウェーブレット変換を用いて前記筋電信号を分解することを含めて、処理することと、
発作活動を識別するように学習させたニューラルネットワークに、前記筋電信号の前記1つ以上の特徴の値を入力することと、
前記ニューラルネットワークの1つ以上の出力を決定するために、前記ニューラルネットワークを用いて、前記筋電信号の前記1つ以上の特徴の値を処理することと、
前記ニューラルネットワークの前記1つ以上の出力を、1つ以上のプロセッサメモリユニットに送信することと、を備え、
前記プロセッサは、保存データ値を決定するために、前記1つ以上の出力を周期的に受信し、調整データ値を決定するために、前記保存データ値を周期的に調整し、前記調整データ値に基づいて応答を開始する、ように構成されている、方法。
【請求項10】
前記応答を開始することは、前記調整データ値を閾値と比較することを含み、前記応答は、1人以上の介護者にアラームを送信することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の特徴は、前記ウェーブレット変換を用いた信号分解を受けた処理済みの前記筋電信号の詳細の1つ以上の振幅値を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ウェーブレット変換は、ハールウェーブレット変換またはドブシーウェーブレット変換のいずれかである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
発作活動について患者を監視するための装置であって、
患者の発作関連筋活動を表す筋電信号を提供するように構成された1つ以上の筋電電極と、
前記筋電信号を受信して、前記筋電信号の1つ以上の特徴の値を特定するために、ウェーブレット変換を用いて前記筋電信号を分解することを含めて、前記筋電信号を処理するように構成されたプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、発作活動を識別するように学習させたニューラルネットワークに、前記筋電信号の前記1つ以上の特徴の値を入力するように構成されており、
前記プロセッサは、前記ニューラルネットワークの1つ以上の出力ノードの1つ以上の出力であって、前記発作活動の発現を示すように構成された1つ以上の出力を決定するために、前記ニューラルネットワークを用いて、前記筋電信号の前記1つ以上の特徴の値を処理するように構成されており、
前記プロセッサは、前記発作活動の検出に対する応答を開始するように構成されている、装置。
【請求項14】
前記1つ以上の出力のうちの少なくとも1つの出力を、間代期発作活動を識別するように学習させる、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記1つ以上の出力のうちの少なくとも1つの出力を、強直間代期発作活動を識別するように学習させる、請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発作活動の検出および分類のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[著作権表示]
本出願は、著作権保護の対象となるマテリアルを含む。かかるマテリアルは、特許商標庁の特許ファイルまたは記録に記載されている通りに正確に複製してよい。それ以外の、かかるマテリアルに関するすべての権利は、著作権者が保有する。
【0003】
発作は、脳内の異常または過剰な同期活動として特徴付けられる場合がある。発作の開始時には、脳内のニューロンが、ある特定の場所で発火し始めることがある。発作が進むにつれて、このニューロンの発火が脳全体に広がることがあり、場合によっては、脳の多くの領域がこの活動に巻き込まれることがある。脳内の発作活動に起因して、脳は、末梢神経系を介して、体内の様々な筋肉を活性化させる電気信号を送ることがある。
【0004】
発作の調査および監視のために考案された技術は、一般的に、発作を起こす傾向のある個人または発作患者の頭皮もしくは頭部領域に装着される電極を用いて、電気信号の特徴を示す脳波記録法(EEG:Electroencephalography)に依拠するものであった。EEGでは、そのような活動すなわち神経組織由来の電気活動を測定するように、電極を配置することができる。あるいは、発作検出のために筋電図検査法(EMG:Electromyography)を用いてよい。EMGでは、筋線維活性化による電気活動を検出するために、筋肉上の皮膚上または皮膚近傍に電極を配置することができる。
【0005】
EEGを用いて信号を検出するには、一般的に、脳波活動を監視するために、多くの電極および関連したケーブルを頭部に装着すること、および増幅器を使用することが必要となる。多数のEEG電極は、極めて煩わしいものであり得るとともに、概して、装着およびモニタリングのために、いくらかの技術的専門知識を必要とし得る。さらに、発作を確認するには、ビデオモニタおよびビデオ記録装置を備えた環境での観察が必要である。スタッフが配置された臨床環境で使用しない限り、そのような装置は、発作が進行中であるかどうかを確認する目的のものではなく、インシデント後の発作の履歴記録を提供する目的のものであり得る。そのような装置は、通常は、病院のような環境向けのものであり、その場合、ビデオカメラ記録または介護者による観察は、発作の裏付けを与える得るものであって、一般的に、発作を度々起こす患者の入院のような、より集中的な治療レジメンの一環として用いられる。退院時に、患者は、その後の監視をほとんど受けることなく、帰宅させられることが多い。
【0006】
発作診断用の携帯型装置は、概して、EEGによるものであるが、それらの装置は、上記の欠点によって、自宅での長期使用または日常的な着用性のために設計または適合されたものとは言えない。他の発作アラートシステムは、身体の動きを、通常は四肢の動きを、検出することによって作動し得る。そのようなシステムは、概して、人が発作を起こしているときには不規則に激しく動くという想定で、作動し得る。例えば、四肢の激しい動きを検出するために、加速度計のようなモーションセンサを用いることがある。しかしながら、発作のタイプによって、この想定が当てはまる場合と当てはまらない場合がある。場合によっては、発作中に脳から送られる電気信号は、同時に多くの筋肉に伝達されることがあり、その結果、筋肉が互いに競合して、激しい動きを効果的に相殺することがある。すなわち、それらの筋肉は、実際に激しい動きを引き起こすのではなく、人を硬直させるように作用することがある。このため、発作によっては、加速度計ベースの検出器のようなモーションベースのセンサでは、一貫しては検出されないことがある。
【0007】
発作診断用の携帯型装置は、概して、発作を強度に基づいて評価するのに適しておらず、また、発作に関連した信号を事象タイプに基づいて区別するのにも適していない。むしろ、異なるタイプの発作が同型に分類されることがよくある。従って、発作検出用の携帯型装置は、検出された様々に異なるタイプの発作事象に対する応答をカスタマイズするのには適していない場合がある。一方、すべての発作または発作関連事象で、必ずしも同じ応答が求められるとは限らない。例えば、少なくとも、一部の患者または何らかの状況にある一部の患者については、発作事象が検出されて、その事象が記録されても、完全かつ高コストの緊急応答は自動開始されない場合がある。従って、他の携帯型装置は、一部の患者のコスト効果的な監視に、理想的に適しているわけではない。また、現状の携帯型装置を用いると、介護者は、症状に応じた治療が有効であり得る症状を含めて、いくつかの症状を誤診断する可能性がある。例えば、心因性または非てんかん性発作事象のようないくつかの事象は、全身性強直性間代性発作事象と同型に分類されることがある。よく誤診断されるいくつかの症状の有効な診断が、事象信号の統計解析によって助長される場合がある。しかしながら、他の携帯型検出システムは、概して、患者ケアの医学的または外科的管理に使用され得るような、組織化された統計情報を介護者に提供するように構成されてはいない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって、発作活動に関連し得るような異常な脳活動を識別するのに適した検出方法および装置であって、頭部または四肢に対して多くの煩わしい電極を用いることなく、非施設環境または施設環境で用いることが可能な検出方法および装置が求められている。さらに、発作をタイプおよび/または強度によって評価するのに適しているとともに、ロバストかつコスト効果的な患者ケアを提供するようにアラームをカスタマイズするのに適した検出方法が求められている。また、患者ケアの医学的および外科的管理のためにデータベース内の医療データを組織化する監視システムも求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
いくつかの実施形態では、発作活動について患者を監視する方法は、筋電信号を得るために、1つ以上の筋電電極を用いて患者を監視することと、その筋電信号の1つ以上の特徴の値を特定するために、ウェーブレット変換を用いて筋電信号を分解することを含めて、プロセッサで筋電信号を処理することと、発作活動を識別するために学習させたニューラルネットワークに、筋電信号の1つ以上の特徴の値を入力することと、ニューラルネットワークの1つ以上の出力であって、発作活動の発現を示す1つ以上の出力を決定するために、ニューラルネットワークを用いて筋電信号の1つ以上の特徴の値を処理することと、その発作活動の検出に対する応答を開始することと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、患者の運動活動を監視するためのシステムの一実施形態を示している。
図2図2は、検出ユニットの一実施形態を示している。
図3図3は、ベースステーションの一実施形態を示している。
図4図4は、ニューラルネットワークのノードの一実施形態を示している。
図5図5は、ニューラルネットワークの一実施形態を示している。
図6図6は、ニューラルネットワークを用いて、発作活動について患者を監視する方法の一実施形態を示している。
図7A図7Aは、ニューラルネットワークの出力ノードの実施形態を示している。
図7B図7Bは、ニューラルネットワークの出力ノードの実施形態を示している。
図7C図7Cは、ニューラルネットワークの出力ノードの実施形態を示している。
図7D図7Dは、ニューラルネットワークの出力ノードの実施形態を示している。
図7E図7Eは、ニューラルネットワークの出力ノードの実施形態を示している。
図7F図7Fは、ニューラルネットワークの出力ノードの実施形態を示している。
図8図8は、学習セッションでの学習データの収集を例示するタイムラインを示している。
図9A図9Aは、ニューラルネットワークのいくつかの部分の実施形態を示している。
図9B図9Bは、ニューラルネットワークのいくつかの部分の実施形態を示している。
図9C図9Cは、ニューラルネットワークのいくつかの部分の実施形態を示している。
図10図10は、特徴抽出モジュールによって実行され得るオペレーションの実施形態を示している。
図11A図11Aは、ニューラルネットワークを用いて、発作活動について患者を監視する方法のさらなる実施形態を示している。
図11B図11Bは、ニューラルネットワークを用いて、発作活動について患者を監視する方法のさらなる実施形態を示している。
図12図12は、ニューラルネットワークを学習させる方法の実施形態を示している。
図13図13は、患者について収集した筋電データを示している。
図14図14は、ウェーブレット解析を用いて処理した筋電データを示している。
図15図15は、ウェーブレット解析を用いて処理した、さらなる筋電データを示している。
図16図16は、自己組織化マップに含まれる発作前の期間から得られた処理済み筋電データを示している。
図17図17は、自己組織化マップに含まれる強直期から得られた処理済み筋電データを示している。
図18図18は、自己組織化マップに含まれる間代期から得られた処理済み筋電データを示している。
図19図19は、自己組織化マップに含まれる発作後の期間から得られた処理済み筋電データを示している。
図20図20は、ウェーブレット解析を用いて処理した筋電データを含む自己組織化マップデータを示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で使用する場合の以下の用語は、指定された意味を持つものと理解されるべきである。
アイテムが、「一」または「1つ」による導入となっている場合、そのアイテムの1つ以上を意味するものと理解されるべきである。
【0012】
ある範囲の値が記載されている場合、文脈上別段の明確な定めがない限り、その範囲の上限と下限の間にある値、および他の記載された値、または他の記載された範囲の間にある値を、本明細書における実施形態の範囲内で用いてよいと理解されるべきである。
【0013】
「通信」とは、ある1つのポイントから他のポイントへの1つ以上の信号の伝送を意味する。2つのオブジェクト間の通信は、直接的であってよく、または1つ以上の中間オブジェクトを介して間接的であってよい。コンピュータ、I/Oデバイス、ネットワーク装置における通信、およびコンピュータ、I/Oデバイス、ネットワーク装置の間での通信は、各種プロトコルを用いて実現してよい。プロトコルは、例えば、シグナリング、誤り検出および訂正、データフォーマッティング、およびアドレスマッピングを含み得る。例えば、プロトコルは、7階層の開放型システム間相互接続モデル(OSIモデル)、TCP/IPモデル、または他の適切なモデルに従って提供されてよい。
【0014】
「備える」は、「含むが、それに限定されない」を意味する。
「備えている」は、「含んでいるが、それに限定されない」を意味する。
「コンピュータ」は、マシン可読命令を実行することが可能な任意のプログラマブルマシンを意味する。コンピュータは、汎用コンピュータ、マイクロプロセッサ、コンピュータサーバ、デジタル信号プロセッサ、またはその組み合わせを含み得るが、ただし、これらに限定されない。コンピュータは、単一のマシンまたは複数のマシンの一部を構成し得る1つ以上のプロセッサを備え得る。
【0015】
「コンピュータプログラム」という用語は、所望の形態でコンピュータを動作させるためにコンピュータで実行され得る命令のリストを意味する。
「コンピュータ可読媒体」という用語は、1つ以上のコンピュータプログラム、1つ以上のデータ、またはその組み合わせを記憶する能力を有する製造品を意味する。コンピュータ可読媒体は、コンピュータメモリ、ハードディスク、メモリスティック(登録商標)、磁気テープ、フロッピーディスク、(CDもしくはDVDのような)光ディスク、Zipドライブ、またはその組み合わせを含み得るが、ただし、これらに限定されない。
【0016】
「有している」は、「含んでいるが、それに限定されない」を意味する。
「ルーチン」は、患者を監視するために使用され得る、またはニューラルネットワークを学習させるために使用され得る、方法もしくは方法の一部を指す。ルーチンは、患者を監視するため、もしくはニューラルネットワークを学習させるための戦略として、単独で実行される場合があり、または患者を監視するため、もしくはニューラルネットワークを学習させるための全体的戦略として、他のルーチンもしくは方法と組み合わせて実行される場合がある。
【0017】
「信号」とは、情報を伝達することができる検出可能な物理現象を意味する。信号は、電気信号、電磁信号、光信号、音響信号、またはその組み合わせを含み得るが、ただし、これらに限定されない。
【0018】
本明細書に記載の装置および方法は、発作を検出するため、および、発作事象を介護者に適時に警告するために、使用され得る。装置は、患者の皮膚上、皮膚近傍、もしくは皮膚下に配置されるセンサ、または患者の衣服に装着されるセンサを含み得るとともに、筋電図検査を用いた筋肉電気活動の測定用に構成され得る。いくつかの実施形態では、本明細書における装置は、筋電信号を受信するとともに、その情報を処理することで、発作に起因し得る筋肉活性化の結果としての電気信号を検出するのに適した、1つ以上のプロセッサを備え得る。筋電電極を用いた運動活動の検出については、例えば、本出願人の米国特許第8983591号明細書、米国特許第9186105号明細書、米国特許第9439595号明細書、米国特許第9439596号明細書に、さらに記載されている。患者の身体の左側と右側のいずれか一方または両方に配置される電極を用いた運動活動の検出については、本出願人の米国特許出願第14/686475号明細書に記載されている。EMG信号振幅に1つ以上の上昇を含むEMG信号のサンプルの検出および認定については、本出願人の米国特許出願第14/920665号明細書に記載されている。上記のすべての特許および出願の開示は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
いくつかの実施形態では、本明細書における装置および方法は、筋電信号の1つ以上の特徴の値を得るために、収集したEMG信号および/または他のセンサデータを処理することを含み得る。次に、特徴データを、分類モジュールに入力してよく、その分類モジュールは、いくつかの好ましい実施形態では、ニューラルネットワークを含み得る。ニューラルネットワークは、発作および発作関連活動を識別するために学習させたものであってよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、特徴データを生成するためにEMG信号を処理することは、1つ以上の信号変換を用いてEMG信号の1つ以上の部分を切り分けることを含み得る。いくつかの実施形態では、その変換は、ウェーブレット変換を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、ハール(Haar)ウェーブレット変換、ドブシー(Daubechies)ウェーブレット変換、または他の適切なウェーブレット変換を用いて、信号を処理してよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、特徴データを生成するためにEMG信号を処理することは、信号振幅に上昇を含むEMG信号の1つ以上のサンプルが存在するかどうかを特定するために、収集したEMG信号を処理することを含み得る。処理することは、その1つ以上のサンプルが発作活動を示し得ることを確認するのに適した1つ以上の認定閾値を、その1つ以上のサンプルが満たすかどうかを判定することをさらに含み得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、特徴データは、他のセンサデータをさらに含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、特徴データを生成するために使用され得る追加のセンサの中には、ECGセンサ、温度センサ、姿勢センサ、位置センサ、酸素飽和度センサ、力センサまたは圧力センサ、音響センサ、およびその組み合わせ、が含まれる。
【0023】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムおよび方法は、発作または発作関連活動の検出に関するものであり得る。発作または発作関連活動が検出されたら、アラームまたは他の適切なシステム応答を開始させてよい。例えば、応答は、各種アラームのいずれかを実行することを含み得る。いくつかの実施形態では、検出した発作または発作関連活動に基づいて実行され得る応答を、検出した活動の特性に基づいて調整してよい。例えば、いくつかの応答は、1つ以上の特定の警告または緊急アラームプロトコルを開始することを備え得る。応答を決定するために使用され得る、検出した活動の特性は、例えば、検出した活動のタイプを含む場合があり、それは、例えば、強直性間代性、強直性のみ、間代性のみ、または他のタイプの発作もしくは発作関連活動を含み得る。また、いくつかの実施形態では、検出した活動を、検出した活動の強度または段階的強度に基づいて特徴付けてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書における装置および方法を、さらに、患者の医学的または外科的管理を支援するための、発作事象の検索可能なログを作成するために用いてよい。検出した発作または発作関連事象の組織化を容易とするために、いくつかの事象を自動的に分類してよい。例えば、発作関連データを含む順序付きデータベースの作成において、発作事象の(例えば、タイプおよび/または段階的重症度に基づく)自動分類を用いてよく、これは、事象のビデオによる裏付けがない場合、または、医師のような訓練を受けた専門家による大量データの個別レビューが不都合もしくはコストがかかり過ぎる場合に、特に有用な機能である。
【0024】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムおよび方法は、介護者による患者ケアの医学的および/または外科的管理を支援するのに適した形態での、患者データの解析およびデータの分類に関するものであり得る。解析は、発作の物理的症状の発現中などにリアルタイムで実施するか、または患者データの収集後に実施するか、いずれかであってよい。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、例えば非てんかん性心因性事象など、てんかん発作と誤って一般的に特徴付けられる他の事象と、てんかん発作とを区別するために用いてよい。いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークまたは他の分類モジュールで、センサデータを解析してよく、さらに、全身性強直性間代性発作、複雑部分発作、非てんかん性心因性発作、非発作運動(もしくは、フォールスポジティブ検出)、または他の事象として、事象を特徴付けてよい。
【0025】
本明細書に記載のシステムは、いくつかの実施形態では、1つ以上の検出ユニットを含み得る。検出ユニットとは、少なくとも1つのEMGセンサを有するデバイスを指すことがある。検出ユニットは、さらに1つ以上の追加のセンサを有し得る。検出ユニットは、例えば、シャツの袖に織り込まれる場合、患者の身体に対して保持されるアームバンドまたはブレスレットまたはその他のものに取り付けられる場合、検出デバイス周囲の支持フレーム、弾性バンド、および/または貼付材を用いるなどして身体の筋肉上もしくは筋肉近傍に装着される場合、がある。いくつかの実施形態では、センサを埋め込んでよい。検出ユニットまたはEMGセンサは、例えば、患者の腕または脚の筋肉上もしくは筋肉近傍に、装着、結合、または配置してよい。非限定的な例として、検出ユニットまたはEMGセンサは、いくつかの実施形態では、患者の二頭筋、三頭筋、ハムストリング筋、四頭筋、または他の適切な筋肉上もしくは筋肉近傍に配置されることがある。いくつかの実施形態では、検出ユニットまたはEMGセンサの装着は、検出ユニットまたはEMGセンサおよび関連した筋肉の向きが、監視中に既知もしくは固定の向きに維持されるようになされてよい。これにより、検出ユニットまたはEMGセンサの向きが分かる場合もしくは測定される場合には、関連した筋肉の向きも特定され得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、検出ユニットまたはEMGセンサは、1つ以上のウェアラブルスーツまたは衣類の一部であってよく、患者の身体の左側と右側のいずれか一方または両方のセンサなどのセンサ群を含んでよい。検出ユニット群またはEMGセンサ群は、通常活性化または発作中に異常活性化される筋肉からの活動を測定し得るように、患者に配置してよい。検出ユニット群またはEMGセンサ群は、患者の身体の左側と患者の身体の右側の両方からの信号を測定し得るように、患者に配置してよい。さらに、いくつかの実施形態では、1つ以上の圧力センサまたは力センサを、EMGセンサと共に検出ユニットに含んでよい。いくつかの実施形態では、(例えば、患者が横向きで寝ているときに典型的であり得るように)患者が自身の身体の特定の側面を下にして横たわっている場合に、検出ユニットが患者の体重の一部を受け得るように、1つ以上の圧力センサまたは力センサを位置決めしてよい。これにより、関連した力センサまたは圧力センサは、筋肉が少なくとも部分的に拘束されているかもしれないことを示す力または圧力を検出し得る。例えば、圧力センサまたは力センサは、患者の腕の内側の面上、または患者が横向きで寝ている場合に患者の身体と患者のベッドとの間に挟まれ得る他の何らかの面上のような、検出ユニットの一部分に位置決めしてよい。測定された力または圧力の値は、場合によっては、ニューラルネットワークに入力され得る特徴値となることがある。いくつかの実施形態では、測定された力または圧力の値が、力または圧力の閾値を上回る場合には、閾値を超えたことを示す指標をニューラルネットワークに供給してよい。例えば、患者の体重のある特定の割合を超える重量が検出ユニットの上にかかっているかもしれないことを示し得る力または圧力が測定された場合には、そのような力または圧力が測定されたことを示す指標を表示してよい。これにより、いくつかの実施形態では、発作が疑われる間に自由に動くことができなかった筋肉からのデータであれば、そのEMGセンサデータを無視するように、ニューラルネットワークを有する監視システムに学習させるか、または指示してよい。あるいは、発作が疑われる間に自由に動くことができなかった筋肉からのデータは、筋肉が自由に動くことができた場合とは異なるように処理するか、または異なるように重み付けしてよい。そのようなデータによって、例えば、ニューラルネットワークまたは他の分類モジュールは、複雑部分発作、または患者の身体の左側と右側で対称もしくは非対称な筋活動が顕著もしくは臨床的に関連があり得る症状を特定し得る場合の、そのネットワークまたはモジュールの精度が向上し得る。
【0027】
大量のEMGデータおよび他の患者関連データを収集して、そのようなデータをシステムの最適化および処理のために組織化するため、および、疑われる異常な脳活動または筋活動に基づいてアラームまたは他の応答を開始するために、様々な好適なシステムを用いてよい。図1は、本明細書に記載の方法を用いて発作または発作関連活動について患者を監視するように構成され得るようなシステムの例示的な実施形態を示している。図1の実施形態では、検出システム10は、ビデオカメラ12と、検出ユニット14と、音響センサ16と、ベースステーション18と、アラートトランシーバ20と、を含み得る。検出ユニット14は、患者22の皮膚表面またはその近傍で筋肉からの電気信号を検出して、それらのEMG電気信号を処理するためのプロセッサに伝達することが可能な、1つ以上のEMG電極を有し得る。EMG電極は、患者22に装着される場合があり、また、いくつかの実施形態では、異常な脳活動または筋活動時に活性化され得る筋肉近傍の、患者22の組織内に埋め込まれる場合がある。埋め込まれるデバイスは、例えば、かなりの脂肪組織を有する患者のような、一般的にEMG信号が弱い可能性のある一部の患者に、特に適し得る。ベースステーション18は、検出ユニット14からのEMG信号および/または音響センサ16からの音響データを受信して処理し、処理したEMG信号および/または音響信号から、発作もしくは他の異常状態が発生した可能性があるかどうかを判定して、介護者にアラートを送信することが可能なコンピュータを有し得る。アラートトランシーバ20は、ベースステーション18によって送信されたアラートまたは検出ユニット14から直接送信されたアラートを受信して中継するために、介護者によって携帯されるか、または介護者の近くに配置され得る。例えば、無線通信装置24および26、保存データベース28、電極/皮膚界面完全性の変化を検出するための電子デバイス、および1つ以上の環境トランシーバなど、システム10に導入され得る他のコンポーネントは、本明細書に組み込まれる米国特許第8983591号明細書および他の参考文献に同じく記載されている。
【0028】
図1の装置を使用する際には、患者22は、例えば、ベッドで休息中の場合があり、または日常生活に関わり得る他の何らかの場所にいる場合があり、検出ユニット14を自身の身体に物理的に接触または近接させて有し得る。検出ユニット14は、無線装置であってよく、これにより、患者22は、動かせない電源またはさらにかさばるベースステーション18に拘束されることなく、起き上がって歩き回ることが可能であり得る。例えば、検出ユニット14は、シャツの袖に織り込まれる場合、アームバンドもしくはブレスレットに取り付けられる場合、または埋め込み型デバイスである場合がある。他の実施形態では、1つ以上の検出ユニット14を、発作を起こしやすい人が使用するベッド、椅子、車両用チャイルドシート、または他の適切な衣類、家具、装置、およびアクセサリ、に配置するか、または組み込んでよい。検出ユニット14は、信号を処理および解析のためにベースステーション18に送信し得る電極のような単純なセンサを備える場合があり、または何らかのデータ処理および記憶能力を有する「スマート」センサを備える場合がある。いくつかの実施形態では、単純なセンサは、患者22が着用するベルトまたは他の衣類またはアクセサリに取り付けられた電池式トランシーバに有線または無線で接続されてよい。いくつかの実施形態では、検出システムは、ベースステーション18を用いることなく機能し得る。
【0029】
システム10は、患者22を、例えば夕方および夜間または昼間などの安静時に監視し得る。患者22に装着した検出ユニット14が、発作または他の異常活動を検出した場合には、検出ユニット14は、例えば通信ネットワークまたは無線リンクを介して有線または無線でベースステーション18と、Bluetooth(登録商標)または他の信号によって遠隔の携帯電話機もしくは卓上装置と、または同時にベースステーション18および遠隔の携帯電話機もしくは他の装置と、通信し得る。いくつかの実施形態では、検出ユニット14は、いくつかの信号を、さらなる解析のためにベースステーション18に送信し得る。例えば、検出ユニット14は、発作の発生可能性に関する初期評価を行うために、EMG信号(さらにオプションもしくは追加で、またはいくつかの実施形態において、ECGセンサ、温度センサ、姿勢センサ、酸素飽和度センサ、力センサもしくは圧力センサ、および/または音響センサの信号)を処理および使用してよく、それらの信号およびその評価を個別処理および確認のためにベースステーション18に送信してよい。発作または他の異常活動が発生している可能性があることを、ベースステーション18が確認した場合には、ベースステーション18は、電子メール、テキスト、電話、または任意の適切な有線もしくは無線のメッセージインジケータによって介護者に警告するために、ネットワーク30を介して伝送するためのアラームを開始させてよい。なお、検出ユニット14は、いくつかの実施形態では、ベースステーション18よりも小型かつコンパクトであり得るとともに、限られた強度しか持たない電源を使用するのに都合がよい場合があることは、理解されるべきである。従って、いくつかの実施形態では、検出ユニット14とベースステーション18との間で転送されるデータ量を制御することが、これによって検出ユニット14内に組み込まれた電源素子または検出ユニット14に関連付けられた電源素子の寿命が延長され得るため、効果的であり得る。いくつかの実施形態では、検出ユニット14、ベースステーション18、または例えばベースステーション18から提供される信号を監視しつつ遠隔にいる介護者である介護者、のうちの1つ以上が、発作または他の症状が発生している可能性があると判定した場合には、患者22のビデオ情報を収集するために、ビデオカメラ12をトリガしてよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、EMG活動について患者を監視するために、単一のセンサを用いてよい。他の実施形態では、少なくとも2つのセンサを患者に装着してよい。いくつかの実施形態では、睡眠中の患者が、ベッドの表面と患者の身体との間に配置されていない少なくとも1つのセンサを有し得るように、センサを構成してよい。例えば患者が自身の身体の左側または右側のどちらかを下にして寝る場合に、典型的には少なくとも1つのセンサがベッドに当接して配置されないことがあり得るように、患者は、相対する両腕にセンサを有してよい。監視システムは、例えば、患者の左側または右側の筋肉のいずれか一方または両方が、発作活動を示すように相応に活性化された場合に、応答を開始するように構成されてよく、さらに、いくつかの実施形態では、検出した事象を、患者の身体の左側と右側の間の対称性または様々な筋肉群の間の対称性の有無に基づいて分類してよい。
【0031】
通常の家庭用電源で通電され得るとともにバックアップ用電池を格納し得るベースステーション18は、検出ユニット14よりも大きな、その動作に使用できる処理能力、伝送能力、および解析能力を有し得るとともに、より大量の信号履歴を保存して、その大量のデータに照らして受信信号を評価することが可能であり得る。ベースステーション18は、家族の1人の寝室など、ベースステーション18から遠隔に配置されたアラートトランシーバ20と、または介護者が携帯しているかワークオフィスもしくはクリニックにある無線装置もしくはリモート装置24、26と、通信し得る。ベースステーション18および/またはトランシーバ20は、介護者または医療関係者へのアラートまたはメッセージを、ネットワーク30を介するなど任意の適切な手段を介して、例えば、携帯電話機、PDA、または他のクライアント装置であり得る無線装置またはリモート装置24、26の1つ以上に送信し得る。このように、システム10は、発作または他の患者症状の正確なログを提供し得ることで、患者の医師は、治療レジメンの成功または失敗をより迅速に把握することが可能となり得る。当然のことながら、ベースステーション18は、本明細書に記載のように信号の受信、処理、および解析が可能であるインストール済みプログラムを有するとともに、アラートを送信することが可能なコンピュータを、単に備えるものであってよい。他の実施形態では、システム10は、例えば、EMG電極と、インストール済みプログラムアプリケーションを用いて本明細書に記載のようにEMG信号を処理するために電極からのEMG信号を受信するように構成されたiPhone(登録商標)などのスマートフォンと、を単に備えるものであってよい。さらなる実施形態では、EMG信号および関連データを保存および処理するために、ネットワーク30を介して、いわゆる「クラウド」コンピューティングおよびストレージを用いてよい。さらに他の実施形態では、1つ以上のEMG電極をまとめて、本明細書に開示のようなEMG信号の処理およびネットワークを介したアラートの送信が可能なプロセッサと共に、単一ユニットとしてパッケージ化することができる。すなわち、その装置は、ベースステーション18または別個のトランシーバ20を必要とすることなく、患者に装着され得る単一の製造品を構成し得る。あるいは、ベースステーション18は、例えば、スマートフォンまたはタブレットであってよい。
【0032】
図1の実施形態では、信号データは、保存のためにリモートデータベース28に送信されてよい。いくつかの実施形態では、複数のてんかん患者からの信号データを、リモートデータベース28または中央データベースに送信して、「匿名化」してよく、これにより、てんかん発作または他の患者症状についての一般化された「ベースライン」感度レベルならびに信号特性を規定および改善するための根拠を提供する。検出ユニット14および/またはベースステーション18のソフトウェアの更新を可能とするため、ならびに、データ伝送を可能とするために、データベース28およびベースステーション18には、リモートコンピュータ32または他のコンピュータがネットワーク30を介してリモートアクセスし得る。ベースステーション18は、リモートトランシーバ20が発し得るような可聴アラームを発生させてよい。すべての無線リンクは、ソフトウェアおよびデータの伝送ならびにメッセージ配信の確認のために、双方向であり得る。また、ベースステーション18は、通知用として上記で列挙したメッセージング方法のいずれかまたはすべてを採用してもよい。ベースステーション18および/または検出装置14は、インシデント警告を終了させるための「アラートキャンセル」ボタンを提供し得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、家具ユニット内に、または例えば環境ユニットもしくは環境物である他の何らかの構造体内に、トランシーバを追加的に取り付けてよい。そのトランシーバに検出ユニット14が十分に近接している場合に、そのようなトランシーバは、ベースステーション18にデータを送信することが可能であり得る。この場合、ベースステーション18は、ある信号を、またはある特定の強度もしくはタイプの信号を、そのトランシーバから受信していることを認識し得ることで、その関連した環境ユニットを、ベースステーション18は識別し得る。いくつかの実施形態では、ベースステーション18は、例えば、本明細書でさらに記載する閾値および他のデータを伴うような、特定のプロセス設定を選択してよく、それは、ある特定のトランシーバからの信号を受信中であるか否かに応じたものである。その場合、例えば、ベースステーション18が、検出器からの情報と、ベッドまたはベビーベッドに関連付けられたトランシーバからの情報とを受信する場合、そのデータは、例えば、個人がエクササイズし得るときに通常着用する衣類、または例えば患者が歯磨きし得る場所である使用者のシンクに近接したアイテムのような他の環境ユニットに関連付けられたトランシーバからデータを受信する場合とは、異なるように処理され得る。より一般的には、監視システムは、いくつかの実施形態では、グローバルポジショニング(GPS)機能を有する1つ以上の素子を備えて構成されてよく、そして位置情報を、検出アルゴリズムで使用され得る1つ以上のルーチンを調整するために用いてよい。さらに、患者の位置に関連したタイムスタンプ付きデータを、例えば保存データベース28などの他の装置に送信してよい。いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークを学習させるために使用されるデータを、入手できる位置データまたは環境センサからのデータに基づいて組織化してよい。この場合、いくつかの実施形態では、患者がベッドで就寝中に確認されたデータなど、特定の場所または活動に固有のデータに基づいて、ニューラルネットワークを学習させてよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、図1のコンポーネントは、睡眠中に使用するのに侵害が最小限であるように、または日常活動における支障が最小限であるように構成されてよく、1つまたは2つなどの最小限の電極を必要とするものであってよく、頭部への電極を必要としないものであってよく、運動症状もしくは他の症状によって発作を検出するものであってよく、発作または他の病状の発現を1つ以上のローカルサイトおよび/またはリモートサイトに警告するものであってよく、自宅で使用するのに十分安価なものであってよい。
【0035】
図2は、検出ユニット14または検出器の一実施形態を示している。検出ユニット14は、EMG電極34を含み得るとともに、ECG電極36を含み得る。検出ユニット14は、さらに、リードオフ検出器を有する増幅器38を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のリードオフ検出器は、電極が人体に物理的に接触しているか、それとも筋活動、温度、脳活動、または他の患者現象を検出するには人体から離間しすぎているか、を示す信号を提供し得る。いくつかの実施形態では、検出ユニット14は、さらに、検出ユニット14の位置および/または向きの検出用に構成されたソリッドステートMEMS構造体のような、1つ以上の素子40を含み得る。例えば、素子40は、1つ以上のジャイロスコープ、加速度計、磁力計、またはその組み合わせのような、1つ以上のマイクロマシン型慣性センサを含み得る。
【0036】
検出ユニット14は、さらに、装着者の温度を感知するための温度センサ42を含み得る。同様に、加速度計およびマイクロフォンのような他のセンサ(図示せず)を検出ユニットに含めてもよい。電極34および36、温度センサ42、ならびに他のセンサからの信号は、マルチプレクサ44に供給され得る。マルチプレクサ44は、検出ユニット14の一部であってよく、または検出ユニット14がスマートセンサではない場合にはベースステーション18の一部であってよい。次に、信号は、マルチプレクサ44から1つ以上のアナログ・デジタル(A/D)変換器46に伝達され得る。アナログ・デジタル変換器は、検出ユニット14の一部であってよく、またはベースステーション18の一部であってよい。その後、信号は、本明細書に開示のような処理および解析のために、1つ以上のマイクロプロセッサ48に伝達され得る。マイクロプロセッサ48は、検出ユニット14の一部であってよく、またはベースステーション18の一部であってよい。検出ユニット14および/またはベースステーション18は、さらに、適切な容量のメモリを有し得る。マイクロプロセッサ48は、トランシーバ50を用いて、信号データおよび他の情報を通信し得る。検出ユニット14および/またはベースステーション18のコンポーネントによる通信、およびそれらのコンポーネント間の通信は、有線通信または無線通信によるものであってよい。
【0037】
当然のことながら、図2の例示的な検出ユニットは、異なる構成であってよい。図2の検出器のコンポーネントの多くは、検出ユニット14内ではなく、ベースステーション18内にあってよい。例えば、検出ユニットは、ベースステーション18と無線通信するEMG電極34を単に備えるものであってよい。そのような実施形態では、A/D変換および信号処理は、ベースステーション18で実施してよい。ECG電極36が導入される場合には、その多重化もベースステーション18で実施してよい。
【0038】
他の例では、検出ユニット14は、EMG電極34、ECG電極36、素子40、および温度センサ42のうちの1つ以上を有する電極部を備えてよく、これは小型のベルト装着型トランシーバ部と有線通信または無線通信する。トランシーバ部は、マルチプレクサ44、A/D変換器46、マイクロプロセッサ48、トランシーバ50、ならびにメモリおよびI/Oデバイス(例えば、アラームキャンセルボタン、視覚ディスプレイ)などの他のコンポーネント、を含み得る。
【0039】
図3は、ベースステーション18の一実施形態を示しており、これは、1つ以上のマイクロプロセッサ52と、電源54と、バックアップ電源56と、1つ以上のI/Oデバイス58と、イーサネット(登録商標)接続60および無線トランシーバ62のような各種通信手段と、を有し得る。ベースステーション18は、検出ユニット14よりも大きな処理能力および記憶能力を有し得るとともに、検出ユニット14から受信するEMG信号をリアルタイムで、またはメモリからの履歴EMG信号を、介護者がレビューするためのEMG信号グラフを表示するためのより大きな電子ディスプレイを有し得る。ベースステーション18は、検出ユニット14から受信したEMG信号および他のデータを処理し得る。ベースステーション18は、発作が発生している可能性があると判定した場合には、トランシーバ50を介して介護者にアラートを送信し得る。
【0040】
図1〜3の装置内の各種デバイスは、有線通信または無線通信によって、互いに通信し得る。システム10は、クライアント・サーバアーキテクチャまたは他のアーキテクチャを有してよく、ネットワーク30を介した通信を可能とするものであってよい。当然のことながら、システム10は、1つよりも多くのサーバおよび/またはクライアントを含み得る。他の実施形態では、システム10は、ピアツーピアアーキテクチャのような他のタイプのネットワークアーキテクチャ、またはその任意の組み合わせもしくはハイブリッドを有し得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、発作活動について患者を監視する方法は、収集した筋電信号を、1つ以上のニューラルネットワークを用いて処理することを含み得る。ニューラルネットワークは、図4を参照して例示的に説明され得るノードを含み得る。同図に示すように、ニューラルネットワークのノードは、いくつかのノード入力(x)からデータを受け取るように構成され得る。ノード入力(x)は、重み付けされて、合成され得る。例えば、図4に示すように、いくつかの実施形態では、ノード活性化値を決定するために、ノード入力(x)に重み係数(w)で乗算して合成してよい。例えば、ノード活性化値は、式1を用いて、ノード入力の加重線形結合として計算してよい。
【0042】
a(活性化値)=Σx [i=1〜i=n] 式1
一部のノードでは、または一部のニューラルネットワークに適用されるノードでは、活性化値は、バイアス値と呼ばれることがある閾値Tと比較され得る。いくつかの実施形態では、ノードの応答または出力を決定するために、活性化値と閾値またはバイアス値との比較を行うことがある。例えば、ノードの活性化値を閾値Tと比較してよく、そして活性化値が閾値Tを超える場合に、ノード出力を選択または決定してよい。いくつかのノードでは、活性化値が、その閾値またはバイアスを超える場合に、1ノード出力を生成してよく、活性化値が閾値またはバイアスを超えない場合に、0ノード出力を生成してよい。すなわち、いくつかのノード出力は、2つの可能値のいずれかを有し得る関数またはステップ関数を用いて記述され得る。一方、他のノードまたは他のニューラルネットワークでは、ノード出力は、活性化値についての他の関数であってよい。例えば、本明細書におけるいくつかの実施形態では、ノードの出力は、活性値に依存するシグモイド関数または他の適切な関数であり得る。従って、いくつかの実施形態では、出力は、ある特定の範囲内の様々な値のいずれかをとり得る連続関数であってよい。
【0043】
ニューラルネットワークを構築するために、個々のノードを、図5に概略的に示すように、いくつかの層に編成してよい。入力層は、本明細書では信号の特徴値として記載されることがある入力値を、ネットワーク外部の1つ以上のソースから受け取り得るとともに、入力値の処理した値を、ネットワークの次層に供給し得る。隠れ層であり得る次層も、ネットワークの他の層にデータを供給し得る。隠れ層は、一般的に、入力層から入力を受け取り得るものの、外部からの入力データを直接受け取らないものであってよく、またはネットワークから情報を直接出力しないものであってよい。例えば、図5に示すように、いくつかの実施形態では、ネットワーク外部からデータを受け取る入力層と、ネットワークの出力応答を伝達する出力層との間に、単一の隠れノード層を構成してよい。いくつかのニューラルネットワークは、一般的に情報がネットワークの層間を一方向に流れる構成を採用したフィードフォワードネットワークであり得る。一方、本明細書に記載のいくつかのネットワークでは、ある1つの層のノードの1つ以上の出力が、そのネットワークの同じ層または上流層の他のノードにループバックされることがある。
【0044】
本明細書に記載のいくつかのニューラルネットワークでは、単一の隠れノード層を用いてよい。一方、他の実施形態では、複数の隠れ層を有するものなど、他のネットワークを用いてよい。いくつかの実施形態では、隣接する層のノードは、すべて相互に結合され得るか、または監視中もしくは学習ルーチンの1つ以上の部分においては、すべて相互に結合され得る。例えば、すべての入力ノードは、下流層のすべてのメンバにデータをルーティングするように構成されてよい。他の実施形態では、様々に異なるレベルの結合性を、ネットワークで使用または学習してよい。例えば、いくつかの実施形態では、競合学習を用いてニューラルネットワークを学習させてよく、学習後のネットワークは、ネットワークの1つのノードのみから、または複数のノードから、入力または主要入力を受け取る1つ以上の出力ノードを含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークに入力される値は、収集した筋電信号から抽出されたデータの1つ以上の特徴値を含み得る。いくつかの実施形態では、追加のセンサから導出される1つ以上の特徴値を特定して、ニューラルネットワークに入力してよい。いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークは、入力特徴データを受け取って、患者を監視する方法において1つ以上の応答を開始するために用いられる出力データを供給するように構成され得る。例えば、それらの実施形態のいくつかでは、ニューラルネットワークは、1つ以上のアラーム応答を開始することを直接担当する場合がある。いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークまたはニューラルネットワークの一部は、その出力の1つ以上を、1つ以上のアラーム応答を開始することを担当し得る1つ以上のデータプロセッサに供給する場合がある。それらの実施形態のいくつかでは、1つ以上のデータプロセッサは、さらにネットワーク外部の他のソースからの他の入力も受け取ってよく、そして1つ以上の応答を開始することを担当し得る。例えば、他のそのプロセッサは、例えば、1つ以上のパルスオキシメータ、ECGセンサ、温度センサ、姿勢センサ、酸素飽和度センサ、力センサもしくは圧力センサ、音響センサ、および/または他のセンサなど、1つ以上の他のセンサからの入力を受け取ってよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、ニューラルネットワークの1つ以上の出力ノードからの1つ以上の値を受け取って保存し得る。いくつかの実施形態では、ネットワークの1つ以上の出力ノードから受け取って保存されるデータ値は、経時的に変化または調整されることがある。例えば、いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークの出力ノードによって出力される値は、データを保存および/または一時保存および操作するのに適した累積レジスタのようなコンピュータコンポーネントに転送されてよい。累積レジスタは、一定の減衰値、調整可能な減衰値、および/または変化する減衰値でプログラムされてよい。すなわち、データレジスタは、ニューラルネットワークからの出力を反映する値を受け取るとともに、記録されるデータ値を何らかの割合で調整してもよい。その割合は、一定であってよく、または、例えば、ニューラルネットワークの1つ以上の出力もしくはニューラルネットワークに供給される入力特徴の確信度など、他の様々な条件に応じて異なるものであってよい。従って、いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークは、何らかの期間にわたって収集した信号に依存する出力を供給し得る。しかしながら、応答は、上記の期間とは異なる時点で収集される信号に基づいて開始されることがある。例えば、ネットワークからの入力を受け取る1つ以上のデータレジスタの減衰率を調整して、その1つ以上のデータレジスタに保存された値に基づいて応答を開始することによって、患者の監視におけるもっと前の時点で収集された以前の信号に多少は依存する応答を実行してよい。
【0047】
ニューラルネットワークからの入力を受け取る、監視プロセッサまたはスーパバイザプロセッサと呼ばれることもあるプロセッサは、さらに、他の様々なタスクを実行するように構成されてよい。例えば、いくつかの実施形態では、監視プロセッサは、多段階発作パターンの一部として時に発生し得る発作の一部を検出するように構成され得るネットワークの1つ以上の出力ノードから、情報を受け取ることがある。このとき、プロセッサは、例えば、ネットワークの他の出力ノードまたはネットワーク外部の他のソースなど、発作の他の部分を検出し得るソースからのデータを、例えば組織化してよく、プロセッサは、発作活動に関連した適切な多段階パターンの検出を記録またはレポートしてよい。いくつかの実施形態では、ある特定の発作パターンの検出に適した応答プロトコルを、監視プロセッサによって構築してもよい。例えば、いくつかの実施形態において、監視プロセッサは、いくつかの選択可能な状態の1つに患者があるかどうかに関する情報を受け取る場合、患者の位置データを提供することが可能な1つ以上の環境センサもしくは他の装置から情報を受け取る場合、および/または、いくつかの選択可能な伝送プロトコルもしくは応答プロトコルのうちの1つを開始するようにプロセッサに指示するのに適した他の情報を受け取る場合、がある。
【0048】
いくつかの実施形態において、1つ以上の特徴抽出モジュールで処理される収集ウィンドウは、様々に異なる時間幅のウィンドウを含み得る。それらのウィンドウから抽出される特徴は、それぞれ、ニューラルネットワークまたはニューラルネットワークの一部に供給され得る。従って、いくつかの実施形態において、ニューラルネットワークの出力は、様々な持続時間の期間にわたって収集され得る信号データに依存するものである場合、および/または、そのような信号データに依存するように学習させたものである場合、がある。従って、いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークは、1つより多くの期間にわたる情報を保持する特徴からの入力を受け取ることがある。いくつかの実施形態では、その柔軟性を利用して、例えば、1つより多くの期間にわたって動作する特定の信号パターンを正確に予測し、それに対して、検出された事象の発現からアラームの開始までの潜在期間または遅延期間を最小限として応答し得るシステムを構成してよい。例えば、発作の間代期に関連した筋電信号は、発作中に一般的には約2回〜約6回/秒の割合で何回か一般的に繰り返す一連のピークを含み得る。約0.5秒〜約2秒などの何らかの適切な持続時間のウィンドウを用いた筋電信号の収集および特徴抽出に基づいて、それらのピークに関連した周波数成分を抽出することによって、間代期活動を検出するために、ネットワークを学習させてよい。いくつかの実施形態では、その持続時間または他の適切な持続時間範囲にわたるデータ収集のためのウィンドウを、間代期活動を検出するように学習させたネットワークと共に、または間代期活動の1つ以上の部分にわたって現れ得る活動を検出するように学習させたネットワークと共に用いてよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、発作の強直期から間代期への移行時の筋電信号における周波数シフトに関連した信号を検出するために、ニューラルネットワークを学習させてもよい。例えば、学習データセットの中の学習データのメンバまたはそのメンバの一部が発作の強直期部分から間代期部分への移行期に関連しているかどうかに対応した情報を用いて、その学習データセットを符号化してよい。いくつかの実施形態では、約0.2秒〜約5秒のウィンドウで収集した筋電信号から、1つ以上の特徴値を抽出してよい。それらの特徴を、発作の強直期から間代期への移行期を検出するように学習させたネットワークに入力してよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、発作からの正常回復、発作からの異常回復、てんかんに関連するものとは異なる発作関連パターン、またはその組み合わせを示し得る筋電信号パターンを検出するために、ネットワークを学習させてよい。例えば、発作の正常回復は、一般的に、1つ以上の生理学的パラメータにおける望ましいパターン変化を伴う発作からの回復を含み得る。いくつかの実施形態では、発作の異常回復の識別は、中枢神経系抑制を示し得る1つ以上の生理学的パラメータの変化パターンを検出することを含み得る。いくつかの実施形態では、中枢神経系抑制は、低い筋緊張度、呼吸数、低い酸素飽和度、心機能に関連したパラメータ、他の適切な事項、およびその組み合わせと相関している場合がある。いくつかの実施形態では、上記のパターンを検出するため、および/または、上記のパターンを検出するようにネットワークを学習させるために、間代期のバースト繰り返し率、振幅規則性、またはバースト活動における他の傾向、における変化を識別するのに適した持続時間のウィンドウで収集した筋電信号から、特徴の1つ以上を抽出してよい。例えば、いくつかの実施形態では、約5秒まで持続するウィンドウから、または場合によってはさらに長い時間持続するウィンドウから、上記のパターンに関連した特徴を切り分けてよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、監視期間内で、または学習セッション間で、ニューラルネットワークの入力重みおよび/またはバイアスを固定してよい。一方、いくつかの実施形態では、監視期間内で、1つ以上の入力重みおよび/またはバイアスを動的に調整してよい。例えば、いくつかの実施形態では、ネットワークの1つ以上のノードの出力を、他のネットワークノードの重みおよび/またはバイアスを調整するために用いてよい。従って、任意の時点でのネットワークの応答は、ネットワークのその時点での重みおよび/またはバイアスに依存し得る。この場合、ネットワークの応答は、1つ以上の特徴抽出モジュールにおいて適用される所与の収集ウィンドウよりも前の時点で収集された可能性のある信号を含む、以前の信号に依存し得る。いくつかの実施形態では、出力ノードの出力は、情報を1つ以上のノード入力に供給し得る。この場合、いくつかの実施形態では、ネットワークの出力ノードは、ネットワークに供給されるデータの入力レートよりも早い時点のような以前に収集された可能性のある信号に依存するように構成されてよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、本明細書における方法は、非定型的な運動症状を開始させ得る非定型的な脳挙動または脳活動における変化を識別するように構成されたニューラルネットワークを用いて、患者を監視することを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書における方法は、非定型的な脳活動に関連した運動症状を識別するように、および/または、そのような識別を特定の患者について行うように、ニューラルネットワークが学習する速度および/または精度を高めるために、収集した筋電信号を組織化および/または優先順位付けし得る。例えば、いくつかの実施形態では、患者を監視する方法は、患者について、誤検出の事例を識別することを可能とするものであってよい。例えば、米国特許第9186105号明細書に記載されているように、いくつかの検出システムでは、アラームがトリガされた場合に、そのアラームをキャンセルする選択肢を個人に与えるものであってよい。このとき、システムは、その事象をフォールスポジティブとして自動的に分類し得る。いくつかの実施形態では、フォールスポジティブ事例の際に収集された信号、および/または、例えば発作の見逃しなどの他の事例の際に収集された信号を、収集して、ネットワークの再学習に用いてよい。いくつかの実施形態では、誤検出および/または検出見逃しは、それらの事象において収集された信号のパターンを識別するために、ネットワークを学習させる際に過度に重み付けされてよい。いくつかの実施形態では、学習ルーチンは、患者が発作からいかに回復し得るかを予測するために、ネットワークを学習させるように構成されてよい。例えば、ニューラルネットワークを用いることを含む、本明細書における方法は、中枢神経系抑制のリスク上昇を伴うとともに、識別された発作活動からの深刻な健康への影響を患者が受ける危険性があり得るという関連リスクを伴う発作活動を、患者が起こしているかもしれないという早期警告を与え得るものと考えられる。
【0053】
図6は、発作または発作関連活動に起因する筋活動について患者を監視するための方法のいくつかの実施形態を示している。図6に、タイムライン64を示している。タイムライン64は、ある患者についての監視期間または監視セッションを表している。監視セッションでは、筋電信号および/または他の信号情報を収集し得る。いくつかの実施形態では、収集した信号を、複数の収集ウィンドウに分割してよい。例えば、図6に示すように、第1の収集ウィンドウ66において、筋電信号を収集し得る。同様に、第2の収集ウィンドウ68において、さらなる筋電信号を収集し得る。いくつかの実施形態では、収集ウィンドウは、スタガ状であってよい。例えば、いくつかのウィンドウは、重なる期間からのデータを含み得る。一方、他の実施形態では、収集ウィンドウは、それらの間に潜在期間または遅延期間を伴って、または伴うことなく、連続してつながるものであってよい。いくつかの実施形態では、図6に示すように、隣接または近接する収集ウィンドウは、同じ時間幅を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、収集ウィンドウは、それぞれ、約0.2秒〜約2秒の持続時間で持続し得るか、または筋電信号もしくは他のセンサ信号の所望の特徴もしくは有用な特徴を識別するのに適した情報を抽出するのに適した他の何らかのウィンドウであり得る。いくつかの実施形態において、未処理の筋電信号または処理された筋電信号を、ニューラルネットワークに直接入力してよい。入力は、例えば、1つ以上のEMG電極のサンプルレートで収集された信号を含んでよく、または電極データをダウンサンプリングしてニューラルネットワークに供給してよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、信号の1つ以上の特徴値を特定するために、ウェーブレット解析を用いて処理した筋電信号の詳細信号および/または近似信号のいずれか一方または両方を用いてよい。いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークに供給される特徴値は、処理済みの詳細信号、近似信号、またはその両方についての1つ以上の振幅値を含み得る。いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークに供給される特徴値は、処理済みの詳細信号、近似信号、またはその両方の1つ以上の部分についての1つ以上の振幅値を含み得る。いくつかの実施形態では、特徴値は、ウェーブレット解析を用いて処理した信号についての1つ以上の振幅から定義されてよく、その場合、1つ以上の信号振幅は、処理後のウェーブレットデータの所与のスケールまたは変換スケールで選択される。
【0055】
いくつかの実施形態では、図6に示すように、監視セッションにおいて1つ以上の収集ウィンドウで収集した筋電信号を、信号解析用に構成された1つ以上のプロセッサに送ってよい。例えば、1つ以上のプロセッサは、監視ルーチン70について示したステップ72、74、76、78、80を含み得るステップのうちの1つ以上を実行するように構成されてよい。
【0056】
ステップ72で、収集した筋電信号を処理することは、収集した信号の1つ以上の特徴の1つ以上の値を特定することを含み得る。いくつかの実施形態では、特徴は、周波数変換法またはウェーブレット解析法のいずれかの手法を用いて処理した信号から取得してよい。ウェーブレット解析は、連続ウェーブレット解析法および/または離散ウェーブレット解析法を含み得る。ウェーブレット解析のいくつかの実施形態では、一連のフィルタに信号を通すことによって、信号を段階的に分解してよい。例えば、分解の第1段階では、信号をハイパスフィルタとローパスフィルタの各々に通してよく、その結果、原信号の2つの部分が得られる。2つのフィルタは、一般的に、相互に関係したものであり得ることで、所与の段階で生成された処理済み信号部分から、原信号は概ね再構築され得る。ここでフィルタリングまたは処理された信号部分は、信号部分のサンプリング版を次のハイパスフィルタとローパスフィルタのセットに通すことにより、さらに処理されてよい。分解の様々に異なるレベルまたは段階において信号部分を生成するために、分解を数回繰り返してよい。1つ以上の分解レベルで処理された信号を解析してよく、その処理済み信号の振幅情報を特定してよい。例えば、一般に信号の近似と呼ばれる処理済み信号データを生成するために、ローパスフィルタリングの出力を用いてよい。一般に信号の詳細と呼ばれる処理済み信号データを生成するために、ハイパスフィルタリングの出力を用いてよい。いくつかの実施形態では、信号の近似または詳細のいずれかを、エンベロープフィルタで処理してよく、その結果として得られる信号は、ニューラルネットワークへの入力となり得る。
【0057】
ステップ74で、ニューラルネットワークの1つ以上のノードに特徴データを入力し得る。ステップ76で、ニューラルネットワークを用いて、入力特徴データを処理し得る。いくつかの実施形態では、ネットワークは、本明細書でさらに記載する学習方法を用いて決定され得る重み係数および/またはバイアス係数を含む学習済みネットワークであってよい。ステップ78で、ニューラルネットワークの1つ以上の出力ノードからの出力データを収集し得る。ステップ80に示すように、1つ以上の応答が適切であるとみなされ得るかどうかを判断するために、出力データを、単独で使用するか、または他の収集したデータと共に使用し得る。例えば、ニューラルネットワークの出力データおよび/または他の収集したデータに基づいて、例えば発作などの非定型的な脳活動の症状を患者が発現しているかもしれないと判断してよく、そしてアラームを開始させてよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、学習データセットを用いて、本明細書で記載するニューラルネットワークを学習させてよい。学習データは、例えば、筋電信号から抽出され得る特徴など、収集した信号の1つ以上の特徴値を特定するのに適したデータを含み得る。学習データは、患者に関連した1つ以上の条件を規定するのに適した情報を含み得る。例えば、学習データの条件は、筋電学習データが収集された特定の時点における患者の既知の身体状態であり得る。収集された筋電学習データの特定の部分に、ある条件を関連付けてよい。例えば、ある条件の発現に対して、収集した筋電信号の特定の部分と共にタイムスタンプ付けしてよい。いくつかの実施形態では、本明細書でさらに記載するように、学習データの条件を、筋電学習データの一部を収集した後の時点で患者に発現した身体状態に関連付けてよい。一般的に、ある条件が学習データに結び付けられる場合には、その条件を検出または識別するように、ニューラルネットワークの出力ノードを学習させてよい。本開示において、患者を監視することに関して記載される場合、または学習の段階で適用され得る重み係数および/またはバイアスの現在のセットを用いたネットワーク応答に関して記載される場合の、条件とは、時には、予測される条件として記述されるものであり得る。これに対し、外部検証を受けた学習データによって記述される患者条件であって、ネットワークの所望の出力に割り当てられる患者条件の場合、その条件は、既知の条件として記述されるものであり得る。いくつかの実施形態において、学習データに関連付けられることがある、患者に関連した1つ以上の既知の条件は、本明細書でさらに記載されるような1つ以上の検証方法を用いて決定されてよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、学習データは、特定の患者から、またはすべての得られる患者から、または特定の患者層の患者から収集された、処理済みもしくは未処理の筋電信号または他の信号情報を含み得る。ある患者層は、例えば、1つ以上の共通または類似の特性によって識別される患者を含み得る。例えば、患者は、例えば、年齢、性別、民族性、体重、体脂肪値、腕の脂肪量、上腕周囲径、脚の脂肪量、体力レベルの任意の組み合わせなど、様々な特性によって識別されることがあり、あるいは患者は、他の特性によって定義されてよい。例えば、発作を起こした経歴、現在の投薬、または他の因子など、患者の病歴も、患者層を定義する際に考慮されることがある。いくつかの実施形態では、患者層を定義する際に、ある特定の治療レジメンを受けている患者群を一緒にまとめてよい。いくつかの実施形態では、ネットワークを段階的に学習させてよい。例えば、患者ケアの初期段階において、監視されるべき特定の患者を含むかもしれない患者群または含まないかもしれない患者群など、ある患者群から導出された学習データを用いて、ネットワークを学習させてよい。いくつかの実施形態では、患者ケアの初期段階で用いられる学習データは、ある特定の患者層の患者から収集されてよい。いくつかの実施形態において、患者が治療レジメン全体を通して監視されるときには、その患者について収集されたデータを用いてネットワークを学習またはさらに学習させる1つ以上の段階で、ネットワークを学習させてよい。いくつかの実施形態では、学習データは、本明細書でさらに記載するように、収集された患者データのより大きなサブセットから選別または選択されてよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、学習データは、専用の学習セッションにおいて収集されたデータを含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の専用学習セッションの中で、様々な活動または行為に関わるときの個人を監視してよく、それらの活動または行為は、患者が関わる日常活動を典型とするものの、患者のベースライン筋活動レベルを特定するため、または筋活動が何らかの統制もしくは規定されたように開始されるときの活動レベル限界もしくは他のパラメータを特定するために特に適合した、他の活動も含み得る。専用学習セッションは、患者の安静時、一般的な日常活動の実行中、(非限定的な例として、最大随意収縮中のような)典型的に活発な動きおよび/もしくは反復動作を伴い得る活動の実行中、患者が典型的に発作症状を示す1つ以上の行為の実行中、患者が1つ以上の外部因子に応答することを求められる場合の1つ以上の行為の実行中、またはその任意の組み合わせの最中において、筋電データおよび/または他のセンサデータを収集することを含み得る。学習の一環として実行される活動は、規則的間隔または周期的間隔で、経時的に繰り返されてよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、専用学習セッションは、統制された環境において筋電信号を収集することを含み得る。例えば、病院内のような統制された環境において、患者を監視してよい。学習セッションは、筋電図検査に関連した信号に対して追加的であり得る信号および/または他の情報の収集を含み得る。例えば、学習データを裏付け、検証、評価するため、または学習データに1つ以上の条件を割り当てるために、追加の信号および情報を収集してよい。いくつかの実施形態では、学習セッションは、筋電信号を収集することと、その信号の特徴を取得するために、患者の監視中に実行される処理とは異なり得る方法で信号を処理することと、を含み得る。例えば、リモート検出ユニットまたはモバイル検出ユニットのようなセンサによってリアルタイムで適用するのは計算的に厳しく、かつ/またはその他困難であるような方法で、信号を解析してよい。なお、そのような手法は、学習において患者の条件を規定または把握するために有用であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の埋め込みセンサで筋電信号を収集してよく、そして、筋弛緩に関連した極めて詳細かつ高感度のパターンを記録してよい。いくつかの実施形態では、患者に装着したセンサで、呼吸数に関連し得るような横隔膜または胸郭の筋活動を監視してよい。より一般的には、いくつかの実施形態において、監視の際に収集または処理されると予想されるような情報とは異なる情報の収集および/または処理に基づき得る1つ以上の外部検証法を用いて、患者の条件を規定してよい。例えば、いくつかの実施形態では、外部検証法は、患者条件情報を評価するために、EEGおよびビデオ監視の使用を伴ってよく、その場合、それらの信号は、発作活動の特徴を識別するために特に訓練を受けた個人によって、収集後にレビューされる。いくつかの実施形態において、学習セッション中には、患者をビデオ記録する場合、1つ以上のEEGセンサで監視する場合、パルスオキシメータのような酸素レベルを特定するように構成された1つ以上のセンサで監視する場合、1つ以上のECGセンサで監視する場合、1つ以上の他のセンサを用いて監視する場合、または他の方法およびその組み合わせで監視する場合、がある。
【0062】
いくつかの実施形態では、患者について、例えば、非定型的もしくは定型的な脳活動に関連した活動など、筋活動を裏付け、検証、または評価するのに適したセンサデータまたは他のデータを、学習データとして用いるとともに、保存してよい。例えば、安静時または発作中の患者に関連した活動のベースラインパターンを定義するために、脳波記録データを記録および保存してよい。いくつかの実施形態では、患者の健康状態に関するベースライン情報は、患者が1つ以上の行為を実行しているときの筋電データを収集したものを含み得る。そのデータは、ある特定の時点における患者の状態の、および/または、基準活動に関わっている時点における患者の状態の、ベースライン基準となり得る。例えば、基準活動は、1つ以上の外部信号に対する1つ以上の時限応答または段階的応答に患者を関与させること、および1つ以上のセンサを用いて活動を記録すること、を含み得る。いくつかの実施形態では、監視レジメンの開始時に、またはてんかんなどの発作活動に関連した病状について患者が監視もしくはその他治療を受けている間に周期的間隔で、ベースラインセンサデータを記録してよい。
【0063】
上述のように、いくつかの実施形態では、病院のような統制された環境における患者の監視中に収集された筋電信号から、学習データを取得してよい。しかしながら、本明細書におけるいくつかの実施形態は、移動環境または自宅環境における患者の監視中に収集されたデータを組織化し得ることで、そのデータを例えば1つ以上の最適化プロトコルまたは学習プロトコルで使用し得るという点において、特に有用である。例えば、ニューラルネットワークを学習または継続的に学習させるのに適した入力データは、移動環境または自宅環境における患者の監視中に収集してよい。いくつかの実施形態では、学習データは、元来は監視セッションの一環であったデータから導出してよい。いくつかの実施形態では、本明細書における方法は、監視中に収集された筋電データに患者条件データを相関付けるように構成してよい。いくつかの実施形態では、介護者によるある程度の選別を伴って、ネットワークを学習またはさらに学習させるために、組織化された学習データをネットワークに供給してよい。他の実施形態では、介護者による限られたレビューを伴うか、または介護者による直接的なレビューを伴うことなく、ネットワークを学習またはさらに学習させるために、学習データを自動的にネットワークに供給してよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークを学習させる方法は、学習データセットをネットワークに入力することと、重み係数および/またはバイアスのようなネットワークの係数を調整することと、を含み得る。例えば、介護者が、学習データセットをニューラルネットワークに供給してよく、その場合、学習データセットの各メンバは、1つ以上の既知の患者条件または外部から規定された患者条件に関連し得る。学習データセットを処理する際には、その学習データセットの1つ以上のメンバを、ランダムな、初期の、または現在の重み群および/もしくはバイアス群で構成されたネットワークに入力してよい。初期または現在の重み群および/またはバイアス群を用いたときのネットワークによって予測される患者条件を示す出力データが生成され得る。そして、生成された出力データと、既知の出力条件データと、を比較してよい。いくつかの実施形態では、そのような比較は、1つ以上の生成された特定の出力データ点と、関連した既知の出力と、が一致しているかどうかをログ記録することを含み得る。例えば、予測された条件と既知の条件とが一致するかどうかのログを作成してよい。いくつかの実施形態では、比較は、予測結果と既知の結果との間の相対的一致度に関連した1つ以上のエラー値をログ記録することを含み得る。例えば、出力条件が患者の何らかのパラメータの連続関数である場合には、差分値または相対差分値を定量化してよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークの重みおよび/またはバイアスを、最良または最適な構成を探索するために、アルゴリズムによって自動的に調整してよい。例えば、アルゴリズムによって、生成または予測された出力条件と、学習データの既知の出力条件と、の間の差を最小にする構成を探索してよい。いくつかの実施形態では、ある評価値または評価率で学習セットメンバが予測結果条件と一致するときに、一致が達成され得る。一般的に、ネットワークの重み係数および/またはバイアスを調整するための適切な各種手法のいずれかを、本明細書における実施形態で用いてよい。いくつかの実施形態では、ネットワークを学習させるために、勾配降下法に基づく方法を用いてよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の出力ノードに関連付けられる1つ以上の入力または入力パターンを特定するために、競合学習を用いてよい。例えば、いくつかの実施形態では、ある特定の入力パターンに応答するように構成される単一の出力ノード(または場合によっては、出力ノードのクラスタ)を特定するために、競合学習を用いてよい。ある特定の入力パターンに関連付けられるノードのクラスタは、ある特定の患者症状の検出にポジティブに寄与するように重み付けされてよい。いくつかの実施形態では、ある特定の入力パターンに関連付けられるノードのクラスタは、ある特定の患者症状の検出にポジティブに寄与するように重み付けされてよく、クラスタ内の他のノードは、ある特定の患者症状の検出にネガティブに寄与してよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、ネットワークが、入力学習セットのメンバのすべてまたは何らかの適切な数のメンバについての既知の出力条件を正確に予測するように、ネットワークの重み係数および/またはバイアスを調整してよい。いくつかの実施形態では、学習の実行または学習の段階の実行で得られる結果を記述するサマリファイルを保存してよい。例えば、生成された出力データと1つ以上の既知の出力条件との一致が完全ではないこと、またはある程度の確信度で一致しているにすぎないかもしれないこと、が判明することがある。ニューラルネットワークを用いるときに確信度値を設定するために、様々な手法を用いてよい。例えば、生成された出力データと外部から規定された条件データとの適合一致についての様々な統計的指標を、学習セッションにおいて計算してよい。いくつかの実施形態では、ネットワークの学習または再学習の後に続いて、1つ以上のブラインドデータセットを入力して、ネットワークで処理してよい。そして、例えば、ブラインドデータセットと生成された結果との一致率を集計して、ネットワークについて、またはネットワークの1つ以上の特定の出力ノードについて、確信度推定値を設定するために用いてよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、学習データセットのメンバまたはメンバの一部に関連付けられる条件は、学習データが収集されたときに患者に発現していた発作のタイプもしくはフェーズ、または学習データが収集された時点での患者の既知の身体状態を反映した他の情報、を含み得る。いくつかの実施形態では、学習データセットのメンバまたはメンバの一部に関連付けられる条件は、発作の2つの部分間の移行を含み得る。いくつかの実施形態では、学習データセットのメンバまたはメンバデータの一部に関連付けられる条件は、発作の2つ以上の部分の発現を含み得る。いくつかの実施形態では、条件データは、発作の何らかの部分の初期部分、中間部分、または後期部分の一部であると知られるものとして符号化されてもよい。いくつかの実施形態では、ネットワークの1つ以上の出力ノードを、学習データセットの1つ以上の出力条件と関連付けてよい。一般的に、本開示において、学習データセットの1つ以上の出力条件と記載している場合、その条件を反映する出力ノードは、患者の監視において用いられるニューラルネットワークに含まれるものであり得る。同様に、本開示において、何らかの条件に関連付けられる出力ノードと記載している場合、適切な学習データを収集するための方法を想定している。
【0068】
ニューラルネットワークの使用に関連した、本明細書における種々の実施形態では、出力ノードおよび/または関連する学習データを様々に構成してよい。例えば、本明細書における実施形態のいくつかで使用されるいくつかの出力ノードを、図7A〜7Eに示している。いくつかの実施形態では、ネットワークは、図7Aに示すように強直期発作活動、図7Bに示すように間代期発作活動、図7Cに示すように強直性間代性発作活動、または図7Dに示すように非てんかん性心因性発作活動、の有無に関連付けられた出力ノードを含み得る。いくつかの実施形態では、学習データセットで記述された、ある患者に関連した1つ以上の条件を予測するために、1つ以上の出力ノードを学習させてよい。いくつかの実施形態では、出力ノードは、あるタイプの発作活動のような、ある特定の条件または患者症状が発現しているかどうかの情報を含み得る。いくつかの実施形態では、同じく図7A〜7Dに示すように、出力ノードは、ステップ関数の形でデータを出力し得る。そのような構成では、出力ノードは、例えば、ある特定の条件の有無に関する予測に対応し得る0または1の値を伝達し得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、学習データセットでネットワークを学習させてよく、そのデータセットの中の個々のメンバは、臨床的に関連があるパラメータの値または測定値に関連付けられた既知の条件を含む。例えば、患者条件を、1つ以上のセンサの1つ以上の測定値に関連付けてよい。いくつかの実施形態では、学習データセットは、患者の監視において使用するには不都合であり得るセンサの使用を伴うものであり得る。例えば、学習セッション中に使用されるセンサは、有線センサ、または長期の使用で装着するのは不快である他のセンサであり得る。あるいは、学習セッション中に使用されるセンサは、電池が切れることがあって、電池を頻繁に交換する必要があり、そのセンサを長期の治療レジメンにおいて使用することは望ましくないことがある。例えば、学習セッションでは、筋電図検査によって、有線接続を伴い得ることが多い酸素飽和度を測定するのに適した1つ以上のセンサを用いて、患者を監視する場合がある。いくつかの実施形態では、図7Eに示すように、酸素飽和度は、ニューラルネットワークノードの出力であり得る。また、図7Eからも明らかであるように、ノードの出力は、ステップ関数を用いて定義される必要はない。むしろ、いくつかの実施形態では、出力は、何らかの範囲にわたって連続的に変化する関数であり得る。ニューラルネットワークでの使用に適した任意の有用な関数を用いて、何らかの範囲にわたって連続的に変化し得る関数をモデル化してよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、何らかの強度レベルでの発作の発現、または何らかの強度レベルでの特定のフェーズの発作活動の発現を、ニューラルネットワークの出力ノードの出力値に符号化してもよい。例えば、発作または発作部分の強度の何らかの指標を、学習データに符号化してよい。いくつかの実施形態では、方法は、ニューラルネットワーク解析に基づいて、発作の発現または特定のフェーズの発作活動の発現を介護者に伝えてよく、その強度または激しさを、収集した筋電信号を処理することによって推定してよい。例えば、検出した発作に強度値を付与するために、収集した筋電信号の振幅に関連した全パワーまたは他の指標を特定してよい。いくつかの実施形態では、収集した筋電信号の振幅もしくは大きさに関連した全パワーまたは他の指標を、患者または患者層についての他の値に対して正規化してよく、正規化された振幅値は、介護者に伝達されるか、またはその他の方法で、検出した活動にいかに応答すべきかの判断に取り込まれる。
【0071】
いくつかの実施形態では、学習データセットの中のデータメンバは、筋電データを収集した特定の時点では未だ発現していなかった患者の症状を反映し得る1つ以上の条件に関連付けられてよい。例えば、いくつかの実施形態では、発作の発現後に、および/または、図8に関連してさらに記載するように学習セットの特定のメンバもしくは学習データの一部を収集した後に、様々な時点で患者の酸素飽和度を記録してよい。
【0072】
図8は、収集タイムライン82で示すように、学習データの収集を概略的に表している。同図に示すように、学習セッション中の何らかの時点で、または何らかの期間にわたって、筋電学習データ84を収集し得る。その筋電学習データ84は、その後のセンサデータに関連した情報と結び付けられてよい。例えば、1つ以上のパルスオキシメータ、心臓センサ、他のセンサ、またはその組み合わせからの1つ以上のその後のセンサ測定値に関連した条件データを用いて、筋電学習データ84を符号化してよい。図8にさらに示すように、オキシメータ条件データは、何らかの時間遅延(Δt)後である後のパーセンテージ酸素飽和度を含み得るか、またはその後の何らかの時間範囲内に患者が正常限界内の酸素飽和度を呈するか、もしくは異常限界内の酸素飽和度を呈するかを示す指標を含み得る。これにより、監視で用いるニューラルネットワークを、その後の酸素飽和状態を示し得る監視データの様相を識別するように学習させてよい。例えば、いくつかの実施形態では、ある特定の時間(Δt)後に、酸素飽和度が、治療または何らかの対応が必要であると医師または他の介護者が認める90%、85%、80%、または他の何らかのレベルを下回る場合には、異常な酸素飽和度が現れていると判断してよい。いくつかの実施形態では、異常な酸素飽和度は、ある患者に典型的またはある特定の患者層に含まれる患者に典型的なベースラインレベルに照らして定義してよい。また、他の情報が、学習セッション中に収集されて、発現が、または特定の筋電信号を収集した後の何らかの時点(Δt)での発現が、確認されることもある。例えば、筋電信号の収集後のいくつかの時点で、患者についてECGデータが収集されて、記録されることがある。
【0073】
いくつかの実施形態では、ネットワークの出力ノードは、予測されるその後の酸素飽和度、脈拍数もしくは患者の心臓に関連した他のパラメータ、他の予測されるその後の患者パラメータ、またはその組み合わせを出力するように構成されてよい。例えば、その後の患者症状を出力するように構成されたニューラルネットワークの出力ノードを、図9A〜9Cに示している。図9Aに示すように、出力ノード86は、ニューラルネットワークに入力され得る1つ以上の特徴値に依存する1つ以上のノード入力に基づいて予測され得る酸素飽和値を、出力し得る。図9Bに示すように、いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークは、予測されるパーセンテージ酸素飽和値を出力するように構成された出力ノード86を含んでよく、出力ノード88は、その後の酸素飽和度が正常範囲内にあると予測されるか、もしくは異常範囲内にあると予測されるかを提示するように構成されてよい。同様に、入力学習データは、予測される酸素飽和度、もしくは酸素飽和度において生じ得る低下の最大取得レベル、のその後の測定値のいずれか一方もしくは両方を用いて符号化されてよく、さらに/または、正常値を呈したか、もしくは異常値を呈したかを反映する条件値を用いて符号化されてよい。また、例えば、患者が正常な飽和度を呈すると予想され得るか、低下した飽和度を呈すると予想され得るか、または深刻に低下した飽和度を呈すると予想され得るかを示し得るような、飽和の中間段階を提示するように符号化されたものなど、他の出力ノードを、いくつかの実施形態で用いてもよい。一般的に、学習セットでの(Δt)が増加するにつれて、ニューラルネットワークが挙動を予測する能力は低下し得る。そこで、本明細書のおけるいくつかの実施形態では、ニューラルネットワークは、予測値と共に、予測の確信度推定値を出力し得る。このとき、予測されるその後の酸素飽和度、または患者の発作後ストレスレベルを示し得る他の因子が、予測されるか、またはある程度の確信度で予測される場合には、アラームまたは他の適切な応答を、例えば開始させてよい。
【0074】
図9Cは、出力ノード86と入力ノード90の両方を含むニューラルネットワークの部分のいくつかの実施形態を示している。ネットワークは、通常、1つ以上の隠れ層も含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、隠れノードの単一層を、入力ノード90の下流かつ出力ノード86の上流に構成してよい。入力ノード90に供給される入力は、特徴処理モジュールから導出された1つ以上の特徴値を含み得る。特徴は、1つ以上の筋電センサまたは他のセンサから収集した信号に依存するものであってよく、さらに、いくつかの実施形態では、1つ以上の特徴値をニューラルネットワークに入力するために、身体の両側にセンサを用いてよい。いくつかの実施形態では、例えば患者の身体の両側のセンサなどのセンサを用いて特定され得る出力条件の一例は、複雑部分発作の発現または段階的強度であり得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、収集した筋電信号を、1つ以上の特徴抽出モジュールで処理してよい。特徴抽出モジュールは、例えば、筋電信号を処理するように、さらに1つ以上の特徴値を特定するように、構成されてよい。ニューラルネットワークの入力ノードに付与される入力を決定するために、特徴値を、単独で、または組み合わせて用いてよい。いくつかの実施形態では、収集した信号を、信号から導出されるデータの形式がネットワークの1つ以上の入力ノードへの入力に適するように処理するために、特徴抽出モジュールを用いてよい。例えば、いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークの入力ノードは、整流された電極データ、または電極データを、何らかの予想レートで受け取るように構成されてよい。従って、特徴抽出モジュールは、例えば、ニューラルネットワークの入力ノードが整流データまたはデータを予想レートで受け取るように、ハードウェアおよび/またはソフトウェアでデータ変換を実行するのに適したコンポーネントを含み得る。いくつかの実施形態では、特徴抽出を実行するために用いられるコンポーネントの中には、1つ以上のアナログフィルタ、デジタルフィルタ、オペアンプ、プロセッサ、電極、マルチプレクサ、検出ユニット、ベースステーション、またはその組み合わせ、を含んでよい。いくつかの実施形態では、検出ユニットとベースステーションのうちの1つ以上における特徴抽出での、特徴および/または実行される処理ステップは、同じものであっても、または異なるものであってもよい。いくつかの実施形態では、信号整流、ダウンサンプリング、積分、主成分値および/またはT2成分値の1つ以上の計算、アナログ・デジタル変換、多重化、ウェーブレット解析、本明細書に記載の他のオペレーション、ならびにその組み合わせを含む各種オペレーションのいずれかを、特徴抽出モジュール内で実行してよい。
【0076】
特徴抽出モジュールで実行され得るオペレーションまたはステップ92のいくつかの実施形態を、図10に示している。ステップ94で、特徴抽出モジュールは、筋電信号を受信し得る。ステップ96で、特徴抽出モジュールは、収集した信号の1つ以上の特徴の1つ以上の値を特定するために、受信信号を処理し得る。収集した信号の特徴とは、収集した信号の全体的特性を指し得る。いくつかの実施形態では、ステップ98に示すように、1つ以上の確信度値を、特徴値に割り当ててよい。ステップ100で、特徴値、および/または特徴値とその特徴値に関連付けられた確信度値を、ニューラルネットワークで処理するために、送信し得る。一方、いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークでの処理を用いることなく発作活動を特定するために、ウェーブレット解析を用いて処理されたものを含む特徴値を処理してよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書における方法は、1つよりも多くの形態で非定型的な挙動が発現する可能性のあるいくつかの脳状態について、運動活動を解析し得る。患者が非定型的な脳活動を呈するときに、例えば、運動活動の相対的に高周波数の成分および/または低周波数の成分のいずれか一方または両方が変化することがある。本明細書で記載するようなウェーブレット法は、様々に異なる周波数および/または異なるタイミングで現れ得る信号の有用な特徴を識別するために信号を処理する手段として特に有用であり得る。例えば、様々なウェーブレットを基本ウェーブレットまたはマザーウェーブレットに基づいて圧縮または伸長することにより、様々に異なる周波数および/またはタイミングで現れ得る信号特徴を識別するように、ウェーブレット変換を構成してよい。いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークでの処理用に筋電信号を調整するために、1つ以上のウェーブレット変換を用いてよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のウェーブレット変換を用いて、信号を処理してよい。いくつかの実施形態では、ハールウェーブレット変換、ドブシーウェーブレット変換、または他の適切なウェーブレットを用いて、信号を処理してよい。例えば、いくつかのウェーブレット変換は、他の変換よりも正確な入力データの再構築を提供し得る。しかしながら、一般的に、それらのウェーブレットは、必要とする処理資源が若干多くなり得る。1つ以上のウェーブレット法の選択、および/またはそれらの手法と多かれ少なかれ複雑なニューラルネットワークとの対応付けは、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のような考察および/または他の考察に基づき得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、収集した筋電信号を処理することは、1つ以上のウェーブレット変換を用いることを含み得る。例えば、本明細書におけるいくつかの実施形態は、1つ以上のマザーウェーブレットに基づく関数群で信号を表現するウェーブレット変換を適用することに基づいて、未処理の筋電信号またはあまり処理されてない筋電信号を他の形式に変換することにより、筋電信号を処理することを含み得る。一般的に、マザーウェーブレットは、式2に示すように概略的に表現され得る。
【0079】
∫ψ(t)dt=0 [限界+∞/−∞] 式2
マザーウェーブレットを圧縮または伸長するために使用され得る様々に異なるスケーリング係数を適用することにより、マザーウェーブレットから、関数群を生成してよい。関数を時間に関して平行移動させるために、他の係数を用いてよい。例えば、式3に概略的に示すように、係数aおよびbを用いて、マザーウェーブレットから関数群または関数族を生成してよい。
【0080】
Ψa,b(t)=1/[a1/2]ψ[(t−b)/a] 式3
式3に示すように、係数aおよびbを変化させることによって、一連の関数を、筋電信号の様々に異なる周波数成分に注目するのに適したものとして生成してよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、マザーウェーブレットを平行移動および圧縮または伸長させるのに適した係数を離散的に変化させることによって、ウェーブレットを構築してよい。例えば、式4に基づいて、係数aおよびbを離散化してよい。
【0082】
a=a;b=nb [ただし、m,nは整数] 式4
いくつかの実施形態では、本明細書における方法は、ウェーブレット群またはウェーブレット族の使用を伴ってよく、それらのウェーブレットは、元々はイングリッド・ドブシー(Ingrid Daubechies)による研究に基づく原理に従って生成される直交ウェーブレットを含む。すなわち、本明細書におけるいくつかの実施形態では、ドブシーウェーブレットの構築に基づいて筋電信号を処理するために、離散ウェーブレット変換手順を用いてよい。
【0083】
図11Aおよび図11Bは、発作活動について患者を監視するための方法102のいくつかの実施形態を示している。方法102では、筋電信号を収集し得る。例えば、図11Aに示すように、タイムライン104で表される時間中に、筋電信号を収集してよい。そこに示すように、その収集期間は、例えば、第1の時間ウィンドウ106および第2の時間ウィンドウ108など、様々な収集ウィンドウに分割されてよい。この方法102のいくつかの実施形態では、第1の時間ウィンドウ106と第2の時間ウィンドウ104は、異なる時間幅であり得る。
【0084】
第1の時間ウィンドウで収集される信号は、ステップ112、114、116、118、120を含み得るルーチン110を用いて処理してよい。ステップ112において、第1の時間ウィンドウで収集された筋電信号を処理することは、収集された信号の1つ以上の特徴の1つ以上の値を特定することを含み得る。
【0085】
ステップ114で、ニューラルネットワークの1つ以上の入力ノードに、特徴データを入力し得る。ステップ116で、ニューラルネットワークを用いて、入力特徴データを処理し得る。いくつかの実施形態では、ネットワークは、本明細書でさらに記載する学習方法を用いて決定され得る重み係数および/またはバイアス係数を含む学習済みネットワークであってよい。ステップ118で、ニューラルネットワークの1つ以上の出力ノードからの出力データを収集し得る。ステップ120に示すように、1つ以上の応答が適切であるとみなされ得るとともに/または開始され得るかどうかを判断するために、出力データを、単独で使用するか、または他の収集したデータと共に使用し得る。
【0086】
図11Bに示すように、第2の時間ウィンドウで収集される信号は、ステップ124、126、128、130、132を含み得るルーチン122を用いて処理してよい。ステップ124において、第2の時間ウィンドウ108で収集された筋電信号を処理することは、収集された信号の1つ以上の特徴の1つ以上の値を特定することを含み得る。
【0087】
ステップ126で、ニューラルネットワークの1つ以上の入力ノードに、特徴データを入力し得る。ステップ128で、ニューラルネットワークを用いて、入力特徴データを処理し得る。いくつかの実施形態では、ネットワークは、本明細書でさらに記載する学習方法を用いて決定され得る重み係数および/またはバイアス係数を含む学習済みネットワークであってよい。ステップ130で、ニューラルネットワークの1つ以上の出力ノードからの出力データを収集し得る。ステップ132に示すように、1つ以上の応答が適切であるとみなされ得るとともに/または開始され得るかどうかを判断するために、出力データを、単独で使用するか、または他の収集したデータと共に使用し得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、ステップ112、124で実行されるような特徴抽出は、異なる収集期間にわたる信号を処理することを含み得る。例えば、第1のウィンドウ106は、第2の時間ウィンドウ108よりも短い持続時間であり得る。いくつかの実施形態では、ウィンドウ106、108のうちの1つ以上の時間幅を決定する際に、様々な基準を考慮してよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書で記載する時間ウィンドウは、発作の1つ以上の記述的特徴または様相を把握または限定するのに十分な長さであり得る。例えば、本明細書で記載される発作の記述的特徴の中には、間代期バーストが含まれる。間代期バーストについては、2015年3月17日に発行された米国特許第8983591号明細書を含む本出願人と同一の所有者によるいくつかの出願に記載されている。間代期バーストの上昇部分は、一般的に、約50ミリ秒〜約400ミリ秒の期間にわたって持続し得る。また、間代期バーストの上昇部分の各側には、強度が低減した隣接期間も現れ得る。間代期バーストは、一般的に、発作中に少なくとも数回繰り返す可能性があり、約2〜約6回/秒で現れ得る。発作の間代期の少なくともいくつかの期間にわたる間代期バーストの平均発現レートは、略同じであり得る。すなわち、ある期間内に、かなり均一ないくつかの間代期バーストが共に発現する傾向があり得る。いくつかの実施形態では、発作活動のバーストパターンの記述的特徴に関する情報を収集するために、約0.5秒〜約2秒の期間にわたって筋電信号を収集してよい。本明細書におけるいくつかの実施形態では、この記述的特徴は、ウェーブレット変換によって提供される詳細情報を用いて、良好に検出され得る。いくつかの実施形態では、特徴抽出は、信号分解の1つ以上の段階で、信号の詳細情報を収集することを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、方法102の第1の収集ウィンドウ106は、約2秒までの持続時間、または約0.5秒〜約2秒の持続時間にわたって持続し得るものであって、収集ウィンドウ106内の、例えば、第3段階、第4段階、または第5段階の信号分解など、1つ以上の段階での分解信号の詳細の1つ以上の部分の大きさを、発作または間代期発作活動を識別するように学習させたニューラルネットワークに供給してよい。
【0090】
類似の形の隣接する間代期バーストが一般的に現れ得る状態は、場合によっては、患者が発作から回復するにつれて、弱まることがある。例えば、正常な発作回復中には、バーストレートが一般的に下がり得る。例えば、間代期バーストの上昇部分に隣接した、筋電信号の隣接期間は、発作の間代期の後期段階では一般的に長くなり得る。また、バースト振幅における他の変化も、診断値を保持している場合がある。いくつかの実施形態では、バーストパターンにおける変化に関する情報を収集するために、約1秒〜約10秒の期間にわたって筋電信号を収集してよい。いくつかの実施形態では、特徴抽出は、信号分解の1つ以上の段階での信号の詳細情報および/または近似情報を収集することを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、方法102の第2の収集ウィンドウ108は、約1秒〜約10秒の時間にわたって持続し得るものであって、収集ウィンドウ108内の、例えば、第3段階または第4段階の信号分解など、1つ以上の段階での分解信号の詳細の1つ以上の部分の大きさを、発作または間代期発作活動を識別するように学習させたニューラルネットワークに供給してよい。また、1つ以上の段階からの近似データを、ニューラルネットワークの入力ノードに供給してもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、ニューラルネットワークを学習させる方法について記載する。例えば、ニューラルネットワークを学習させる方法134のいくつかの実施形態を、図12に示している。この方法134のステップ136において、ニューラルネットワークを学習させることは、1人以上の患者から導出される筋電データおよび/または他のセンサデータを取得することを含み得る。筋電データは、1つ以上の特徴値を規定するように適切に構成された未処理または処理済みの信号からのものであり得る。いくつかの実施形態では、それらの特徴値は、後に、方法134のような本明細書における方法で学習させたニューラルネットワークを用いて、1つ以上の患者症状を検出するために適用されてよい。いくつかの実施形態では、患者からの未処理の筋電信号を収集してよい。一方、いくつかの実施形態では、ネットワークを学習させるのに適した他の情報または追加の情報を、筋電データを含む保存データベースから取得してよい。保存データは、原信号を含むものであってよく、または1つ以上の特徴値に関連した情報を依然として維持しつつも何らかの方法で圧縮されたものであってよい。
【0092】
ステップ138において、ステップ136で収集した学習データに1つ以上の患者条件を関連付けるのに適した情報を取得し得る。例えば、いくつかの実施形態では、学習データの様々に異なる部分について、例えば発作関連信号が現れているかどうかなど、1つ以上の検証済み患者条件を、学習データまたは学習データの一部に対応付けてよい。患者に関連した条件を規定するために、本明細書に記載の検証方法および手順のいずれかを用いてよい。例えば、いくつかの実施形態では、発作を識別および分類するために特に訓練を受けた1人以上の個人が、患者条件を検証するために、筋電データをEEGデータおよびビデオ情報と共にレビューしてよい。いくつかの実施形態では、例えば図8に関連して記載したように、学習データの一部の収集時には未だ発現していなかった生理学的パラメータを、学習データの1つ以上の部分に関連付けてよい。
【0093】
ステップ140で、1つ以上の特徴値を抽出するために、学習データを処理し得る。上述のように、いくつかの実施形態では、特徴データ自体を、保存データベースに保存してよい。従って、ステップ140では、未処理の信号もしくはあまり処理されていない信号から特徴データを抽出してよく、さらに/または、適宜、それを単に記録するか、もしくはさらなる使用のために組織化してよい。
【0094】
ステップ142で、本明細書に記載のように抽出または組織化された1つ以上の特徴を、ニューラルネットワークに入力し得る。ニューラルネットワークは、ノード重みおよび/またはバイアスのセットを含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、ステップ142の初回実行時には、ノード重みおよび/またはバイアスをランダムに生成してよい。他の実施形態では、ノード重みおよび/またはバイアスは、成功すると予想され得る予想値に基づいて選択されてよい。その場合、例えば、ノード重みおよび/またはバイアスは、既知の条件と予測条件との間の収束に効率的に到達する可能性が最も高い構成で、学習を開始してよい。さらに、ステップ142では、現在使用されているノード重みおよび/またはバイアスに基づいて、予測される患者条件セットを生成し得る。
【0095】
ステップ144で、生成された患者条件の予測セットと既知の患者条件との比較に基づいて、ネットワークの成功の評価を実行し得る。例えば、いくつかの実施形態では、既知の患者パラメータと予測された患者パラメータとの間の偏差値を確認してよい。
【0096】
ステップ148で、予測された患者条件と既知の患者条件がどの程度良好に相関しているのかに基づいて、1つ以上のノード重みおよび/またはバイアスを調整し得る。図12に示すように、調整されたノード重みおよび/またはバイアスのセットを決定して、患者条件の次の予測セットを生成するために使用してよい。あるいは、ステップ146に示すように、使用されたノード重み群および/またはバイアス群が、学習データに関連付けられた既知の患者条件を十分に予測するものであると、または予測するように収束したものであると、確定してよい。
【0097】
図1〜3の装置内の各種デバイスは、有線通信または無線通信によって、互いに通信し得る。システム10は、クライアント・サーバアーキテクチャまたは他のアーキテクチャを有してよく、ネットワーク30を介した通信を可能とするものであってよい。当然のことながら、システム10は、1つよりも多くのサーバおよび/またはクライアントを含み得る。他の実施形態では、システム10は、ピアツーピアアーキテクチャのような他のタイプのネットワークアーキテクチャ、またはその任意の組み合わせもしくはハイブリッドを有し得る。
【0098】
一般的に、発作検出システムにおけるデバイスは、本明細書で開示する方法および目的のうちの1つ以上を達成するための、任意の適切なタイプおよび構成のものであってよい。例えば、サーバは、1つ以上の他のコンピュータもしくはプログラムまたはクライアントからのコマンドまたは要求に応じる1つ以上のコンピュータもしくはプログラムを有し得る。クライアント装置は、1つ以上の他のコンピュータもしくはプログラムまたはサーバによって提供されるサービスを求めるコマンドまたは要求を発行する1つ以上のコンピュータもしくはプログラムを有し得る。図1における各種デバイスは、その機能および構成に応じて、サーバまたはクライアントであり得る。サーバおよび/またはクライアントは、多様に、例えば、メインフレームコンピュータ、デスクトップコンピュータ、PDA、(Apple(登録商標)のiPhone(登録商標)、Motorola(登録商標)のAtrix(登録商標)4G、Motorola(登録商標)のDroid(登録商標)、Samsung(登録商標)のGalaxy S(登録商標)、Samsung(登録商標)のGalaxy Note(登録商標)、Research In Motion(登録商標)のBlackberry(登録商標)デバイスのような)スマートフォン、(Sony(登録商標)のXperia(登録商標)、Samsung(登録商標)のGalaxy Tab(登録商標)、Amazon Kindle(登録商標)のような)タブレット、ネットブック、ポータブルコンピュータ、(Microsoft(登録商標)のZune HD(登録商標)、Apple(登録商標)のiPod Touch(登録商標)デバイスのような)ネットワーク通信機能を有するポータブルメディアプレーヤ、ネットワーク通信機能を有するカメラ、スマートウォッチ、ウェアラブルコンピュータなどであり得るか、またはそれらの上にあってよい。
【0099】
コンピュータは、入力を受け取ること、プログラムに従って入力を処理すること、および出力を生成することが可能な任意のデバイスであり得る。コンピュータは、例えば、プロセッサ、メモリ、およびネットワーク接続機能を備え得る。コンピュータは、コンピュータのサイズ、速度、コスト、および能力に応じて、スーパーコンピュータ、メインフレーム、ワークステーション、マイクロコンピュータ、PDA、およびスマートフォンなど、様々なクラスのものであってよい。コンピュータは、据置型または携帯型であってよく、携帯電話、メディアの記録および再生、データ転送、ウェブブラウジング、データ処理、データ照会、プロセス自動化、ビデオ会議、人工知能などのような、様々な機能のためにプログラムされたものであってよい。
【0100】
プログラムは、コンピュータ実行可能形式(オブジェクトコード)であるか、人間読み取り可能形式(ソースコード)であるか、または他の形式であるかに関わりなく、アルゴリズムのような、任意の命令シーケンスを含み得る。プログラムは、1つ以上のデータ構造および変数を含んでよく、または呼び出してよい。プログラムは、ハードウェアもしくはソフトウェア、またはその組み合わせで実現してよい。プログラムは、C、C++、Java(登録商標)、Perl、PHP、Ruby、SQLなどのような、任意の適切なプログラミング言語を用いて作成してよい。コンピュータソフトウェアは、1つ以上のプログラムおよび関連データを含み得る。コンピュータソフトウェアの例には、(オペレーティングシステムソフトウェア、デバイスドライバ、ユーティリティのような)システムソフトウェア、(ウェブサーバ、データアクセスソフトウェア、エンタプライズメッセージングソフトウェアのような)ミドルウェア、(データベース、ビデオプロセッサ、メディアプレーヤのような)アプリケーションソフトウェア、(電卓、キーボード、および携帯電話機にインストールされるデバイス専用ソフトウェアのような)ファームウェア、(デバッガ、コンパイラ、テキストエディタのような)プログラミングツールが含まれる。
【0101】
メモリは、情報を一時的または永続的に記憶して取り出すことが可能な、任意のコンピュータ可読媒体を含み得る。メモリの例には、SRAM、DRAM、Z−RAM、フラッシュメモリ、光ディスク、磁気テープ、パンチカード、EEPROMのような、各種タイプのRAMおよびROMが含まれる。メモリは、仮想化されてよく、RAID技術のように、1つ以上のデバイス内および/または地理的場所に設けるか、またはそれらに分散して設けてよい。I/Oデバイスは、コンピュータに情報を供給するため、および/またはコンピュータから情報を受け取るために用いることが可能な、任意のハードウェアを有し得る。例示的なI/Oデバイスには、ディスクドライブ、キーボード、ビデオディスプレイスクリーン、マウスポインタ、プリンタ、カードリーダ、(バーコード、指紋、虹彩、QRコード(登録商標)、および他のタイプのスキャナのような)スキャナ、RFIDデバイス、テープドライバ、タッチスクリーン、カメラ、動きセンサ、ネットワークカード、ストレージデバイス、マイクロフォン、オーディオスピーカ、スタイラスおよびトランスデューサ、ならびに関連したインタフェースおよびドライバが含まれる。
【0102】
ネットワークは、セルラネットワーク、インタネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、他のタイプのエリアネットワーク、ケーブルテレビネットワーク、衛星ネットワーク、電話網、公衆ネットワーク、プライベートネットワーク、有線または無線ネットワーク、仮想、スイッチド、ルーテッド、完全接続、ならびにその任意の組み合わせおよびサブネットワークを含み得る。ネットワークでは、ルータ、ブリッジ、スイッチ、ハブ、中継器、コンバータ、レシーバ、プロキシ、ファイアウォール、トランスレータなどのような、様々なネットワーク装置を用いてよい。ネットワーク接続は、有線または無線であってよく、マルチプレクサ、ネットワークインタフェースカード、モデム、IDSN端末アダプタ、ラインドライバなどを用いてよい。ネットワークは、ポイントツーポイント型、バス型、スター型、ツリー型、メッシュ型、リング型、およびその任意の組み合わせもしくはハイブリッドのような、任意の適切なトポロジを含み得る。
【0103】
無線技術は、ISMバンド装置、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、携帯電話SMS、セルラ(CDMA2000、WCDMA(登録商標)など)、WiMAX(登録商標)、WLANなどのような、利用できる無線技術の1つ以上を用いた、個人対個人無線、個人対据置型受信装置、個人対リモートアラート装置など、多くの形態をとり得る。
【0104】
コンピュータ、I/Oデバイス、ネットワーク装置における通信、およびコンピュータ、I/Oデバイス、ネットワーク装置の間での通信は、各種プロトコルを用いて実現してよい。プロトコルは、例えば、シグナリング、誤り検出および訂正、データフォーマッティング、およびアドレスマッピングを含み得る。例えば、プロトコルは、7階層の開放型システム間相互接続モデル(OSIモデル)、またはTCP/IPモデルに従って提供されてよい。
【0105】
本明細書に記載の方法および装置に関するさらなる情報は、以下で提示する実施例に関連付けて理解され得る。
実施例1:
この実施例1では、患者のEMGデータを収集した。例えば、この実施例1において、1人の患者について、全身性強直性間代性発作中に収集したEMGデータを、図13に示している。様々に異なるタイプの発作活動を識別するために訓練を受けた個人が、データをレビューした。その中に含まれるデータにおいて、発作活動の様々な部分を識別して、EMGデータの部分と対応付けた。ここで識別されるとともにEMGデータと関連付けまたは対応付けされた発作またはベースライン活動のタイプの中には、発作前、強直期、間代期、および発作後のデータ部分が含まれていた。
【0106】
ウェーブレット解析を用いて、EMGデータを処理した。この実施例1では、解析は、ドブシーウェーブレット解析による処理を含むものであった。例えば、図13に示すデータの間代期部分の分解結果を図14に示している。図14には、信号分解の様々な段階からのデータを示している。特に、間代期データのピークパターンが、良好な信号対ノイズ比で検出された。例えば、間代期バーストパターンの検出についての信号対ノイズ比は、信号分解の第3段階〜第5段階で提示される詳細において、高かった。図15は、信号分解の第5段階での収集されたデータの一部、および再構築されたバージョンのEMGデータを示している。
【0107】
その後、信号分解の第5段階からの近似および詳細をさらに処理して、図16〜20に表示されるように、自己組織化マップ(SOM:self−organizing−map)に入力した。図16は、発作前の信号期間について得られた結果を示している。図17は、発作の強直期に得られた結果を示している。図18は、発作の間代期に得られた結果を示している。図19は、発作後に得られた結果を示している。図20は、ドブシーウェーブレット解析を用いて導出された、自己組織化マップの形での、さらなる結果を示している。
【0108】
開示の主題およびその効果について詳細に記載したが、これにおいて、添付の請求項で規定される発明から逸脱することなく、様々な変更、置換、および改変を実施できることは、理解されるべきである。また、特許請求の範囲は、本明細書に記載のプロセス、マシン、製造物、組成物、または物質、手段、方法、およびステップの特定の実施形態に限定されるものではない。本開示から容易に理解できるように、本明細書に記載の対応する実施形態と略同じ機能を果たすか、または略同じ結果を得られるような、現存する、または後に開発されるプロセス、マシン、製造物、物質の組成物、手段、方法、またはステップを用いてよい。よって、添付の請求項は、その範囲内に、かかるプロセス、マシン、製造物、物質の組成物、手段、方法、またはステップを含むものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】