(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-534181(P2018-534181A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(54)【発明の名称】集積回路を含む流体吐出デバイス
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20181026BHJP
B41J 2/16 20060101ALI20181026BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/14
B41J2/16 511
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-526092(P2018-526092)
(86)(22)【出願日】2016年2月24日
(85)【翻訳文提出日】2018年5月18日
(86)【国際出願番号】US2016019389
(87)【国際公開番号】WO2017146699
(87)【国際公開日】20170831
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】カンビー,マイケル,ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】チェン,チエン−フア
(72)【発明者】
【氏名】フラー,アンソニー,エム
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF93
2C057AG15
2C057AG84
2C057AP22
(57)【要約】
例は流体吐出デバイスを含み、流体吐出デバイスは、成形パネル、成形パネルに鋳込まれた吐出ダイ、及び成形パネルに鋳込まれた集積回路を含む。吐出ダイは、印刷材料を選択的に分与するための吐出ノズルを含む。集積回路は、ノズルデータを受け取り、ノズルデータに少なくとも部分的に基づいて吐出ノズルによる印刷材料の選択的な分与を制御する。成形パネルは、貫いて形成され且つ吐出ダイに流体連結された流体連絡チャネルを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体吐出デバイスであって、
貫いて形成された流体連絡チャネルを有する成形パネルと、
前記成形パネルに鋳込まれた少なくとも1つの吐出ダイであって、前記少なくとも1つの吐出ダイが、前記流体連絡チャネルに流体連結される複数の吐出ノズルを含み、各吐出ノズルが、前記流体連絡チャネルから受け取った印刷材料を選択的に分与する、少なくとも1つの吐出ダイと、
前記成形パネルに鋳込まれ、前記吐出ダイに電気接続された集積回路とを含み、
前記集積回路は、ノズルデータを受け取って、前記ノズルデータに少なくとも部分的に基づいて、前記複数の吐出ノズルを介した印刷材料の選択的分与を制御する、流体吐出デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの吐出ダイが、温度センサ及び少なくとも1つの加熱要素を含み、前記集積回路が更に、前記温度センサからのセンサデータを受け取って、前記センサデータに少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つの吐出ダイの前記少なくとも1つの加熱要素を制御する、請求項1に記載の流体吐出デバイス。
【請求項3】
前記集積回路および前記少なくとも1つの流体吐出ダイが、テープ自動ボンディングプロセスで電気接続される、請求項1に記載の流体吐出デバイス。
【請求項4】
前記集積回路が、前記受け取ったノズルデータを、前記少なくとも1つの吐出ダイの前記複数の吐出ノズルの構成に対応する最新のノズルデータに変換し、前記集積回路が、前記最新のノズルデータに少なくとも部分的に基づいて、前記複数の吐出ノズルを介した印刷材料の選択的な分与を制御する、請求項1に記載の流体吐出デバイス。
【請求項5】
前記吐出ダイが、前記吐出ノズルに電気接続された複数の電気接点を更に含み、前記吐出ダイは、前記複数の吐出ノズルが配列される細長い部分を有し、前記吐出ダイは、前記複数の電気接点が配列される接続部分を有する、請求項1に記載の流体吐出デバイス。
【請求項6】
前記吐出ダイの細長い部分が少なくとも50の長さ対幅の割合を有し、前記吐出ダイの前記接続部分の幅が、前記細長い部分の幅の約2倍である、請求項5に記載の流体吐出デバイス。
【請求項7】
前記流体吐出デバイスが前面を有し、前記複数の吐出ノズルが前記前面に沿って露出されており、
前記吐出ダイが第1の端部、及び前記第1の端部の反対側にある第2の端部を有し、前記吐出ダイが、前記吐出ダイの前記第1の端部に配置されて前記吐出ノズルに電気接続された第1の組の電気接点を含み、
前記集積回路ダイが前記吐出ダイの前記第2の端部に近接して前記成形パネルに配置され、前記集積回路ダイが第2の組の電気接点を含み、
前記吐出デバイスが、前記流体吐出デバイスの前記前面に配置され且つ前記第1の組の電気接点および前記第2の組の電気接点を電気接続する導電要素を更に含む、請求項1に記載の流体吐出デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの吐出ダイが複数の吐出ダイを含み、前記流体吐出デバイスが、前記複数の吐出ダイのそれぞれに対するそれぞれの集積回路を含み、前記成形パネルが、前記複数の吐出ダイのそれぞれに対して、内部に形成されたそれぞれの流体連絡チャネルを有し、
前記成形パネルが、ページ幅印刷の幅に対応する幅を有し、前記複数の吐出ダイが前記成形パネルの前記幅に沿って概して端から端まで配列され、それぞれの吐出ダイに対するそれぞれの集積回路が、前記成形パネルの前記幅に沿って前記それぞれの吐出ダイに近接して配置される、請求項1に記載の流体吐出デバイス。
【請求項9】
それぞれが複数の吐出ノズルを含む複数の吐出ダイを配置し、
前記複数のそれぞれの吐出ダイに近接して、それぞれの集積回路を配置し、前記それぞれの集積回路が、前記それぞれの吐出ダイの前記吐出ノズルを介した印刷材料の選択的な分与を制御し、
前記複数の吐出ダイ及び前記それぞれの集積回路を含む成形パネルを形成し、
前記成形パネルの一部を取り除いて、前記複数のそれぞれの吐出ダイに対するそれぞれの流体連絡チャネルを形成し、前記それぞれの流体連絡チャネルが前記それぞれの吐出ダイの前記吐出ノズルに流体連結されることを含む、プロセス。
【請求項10】
前記成形パネルを形成後、前記成形パネルの前面上の導電要素を用いて、前記それぞれの吐出ダイを前記それぞれの集積回路に電気接続することを更に含む、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記それぞれの吐出ダイを前記それぞれの集積回路に電気接続することが、前記それぞれの吐出ダイを前記それぞれの集積回路にテープ自動ボンディングすることを含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記成形パネルの一部を取り除くことが、前記成形パネルの後面をスロット切削することを含む、請求項9に記載のプロセス。
【請求項13】
前記成形パネルを個々の流体吐出デバイスへ単一化することを更に含み、前記個々の流体吐出デバイスはそれぞれ、前記複数の吐出ダイの少なくとも1つ及び前記少なくとも1つの吐出ダイと関連しているそれぞれの集積回路を含む、請求項9に記載のプロセス。
【請求項14】
印刷流体カートリッジであって、
印刷材料を収容するためのコンテナと、
前記コンテナに結合された流体吐出デバイスとを含み、前記流体吐出デバイスが、
内部に形成され、前記コンテナに流体連結される流体連絡チャネルを有する成形パネルと、
前記成形パネルに鋳込まれた吐出ダイであって、前記吐出ダイが、前記流体連絡チャネルに流体連結された複数の吐出ノズルを含み、前記複数の吐出ノズルが、前記流体連絡チャネルを介して前記コンテナから受け取った印刷材料を選択的に分与する、吐出ダイと、
前記パネルに鋳込まれて、前記吐出ノズルに電気接続された集積回路とを含み、前記集積回路が、前記複数の吐出ノズルを介した印刷材料の選択的な分与を制御する、印刷流体カートリッジ。
【請求項15】
前記集積回路が更に、
ノズルデータを受け取り、
受け取ったノズルデータを、前記吐出ダイの前記吐出ノズルの構成に対応する最新のノズルデータに変換し、
前記集積回路が、前記最新のノズルデータに少なくとも部分的に基づいて、前記複数の吐出ノズルを介した印刷材料の選択的な分与を制御する、請求項14に記載の印刷流体カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
プリンタは、用紙のような印刷媒体に、インクのような流体を付着するデバイスである。プリンタは、印刷材料リザーバに接続されるプリントヘッドを含むことができる。印刷材料は、物理的媒体上へプリントヘッドから噴射される、分与(分配)される及び/又は吐出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【
図1】例示的な流体吐出デバイスの幾つかの構成要素を示すブロック図である。
【
図2】例示的な流体吐出デバイスの幾つかの構成要素を示すブロック図である。
【
図3】例示的な流体吐出デバイスの幾つかの構成要素のブロック図である。
【
図4】例示的な流体吐出デバイスの
図3の線4−4に沿った断面図である。
【
図5】例示的な流体吐出デバイスの幾つかの構成要素の等角図である。
【
図6A】例示的な流体吐出デバイスのブロック図である。
【
図6B】例示的な流体吐出デバイスの
図6Aの線6B−6Bに沿った断面図である。
【
図7】例示的な流体吐出デバイスを含む例示的な印刷流体カートリッジの等角図である。
【
図10】
図9及び
図10の例示的なプロセスの例示的な工程を示すブロック図である。
【
図15】例示的な流体吐出デバイスの集積回路により実行され得る一連の動作を示す流れ図である。
【
図16】例示的な流体吐出デバイスの集積回路により実行され得る一連の動作を示す流れ図である。
【0003】
図面の全体にわたって、同一の参照符号は、類似するが、必ずしも同一でない要素を示す。図面は、必ずしも一律の縮尺に従っておらず、幾つかの部品のサイズは、図示された例をより明確に示すために誇張され得る。
【0004】
説明
流体吐デバイスの例は、成形パネル、少なくとも1つの吐出ダイ、及び集積回路を含むことができる。吐出ダイ及び集積回路は、成形パネルへと成形される。本明細書で使用される限り、成形パネルへと成形されることは、吐出ダイ及び/又は集積回路が成形パネルの中に少なくとも部分的に埋め込まれていることを意味することができる。吐出ダイは、複数の吐出ノズルを含み、この場合、吐出ノズルは、印刷材料を選択的に分与するために使用され得る。集積回路は、吐出ダイに電気接続されることができ、集積回路は、吐出ノズルを用いて印刷材料の選択的な分与を制御することができる。成形パネルは、吐出ダイ及び集積回路を支持し且つ少なくとも部分的に取り囲み、その結果、吐出ダイ及び集積回路が成形パネルの成形材料により少なくとも部分的に覆われている。更に、成形パネルは、成形パネルを貫通して形成された流体連絡チャネルを有することができる。成形パネルの流体連絡チャネルは、吐出ダイに流体連結され、その結果、印刷材料が、流体連絡チャネルを介して吐出ダイ及びその吐出ノズルに送られ得る。
【0005】
吐出ノズルは、集積回路の制御下で印刷材料を吐出/分与して、物理的媒体上に印刷材料で印刷されたコンテンツを形成する。ノズルは一般に、印刷材料をノズルオリフィスから吐出/分与させるための流体吐出器を含む。流体吐出デバイスにおいて実現される流体吐出器のタイプの幾つかの例は、サーマル吐出器、圧電吐出器、及び/又は印刷材料をノズルオリフィスから吐出/分与させることができる他の係る吐出器を含む。幾つかの例において、吐出ダイは、シリコン又はシリコンベースの材料でもって形成され得る。ノズルのような様々な特徴要素が、製造に基づいてシリコンデバイスに使用される様々な材料(例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、金属、エポキシ樹脂、ポリイミド、他の炭素系材料など)から形成され得る。
【0006】
幾つかの例において、吐出ダイは、薄片(sliver:細長い小片、スライバー)と呼ばれ得る。一般に、薄片は、約650μm以下の厚さ、約30mm以下の外形寸法、及び/又は約3対1以上の長さ対幅の比を有する吐出ダイに対応することができる。幾つかの例において、薄片の長さ対幅の比は、約10対1以上とすることができる。幾つかの例において、薄片の長さ対幅の比は、約50対1以上とすることができる。幾つかの例において、吐出ダイは、矩形でない形状とすることができる。これらの例において、吐出ダイの第1の部分は、上述した例を近似する寸法/特徴を有することができ、吐出ダイの第2の部分は、第1の部分に比べて幅において大きく且つ長さにおいて短くすることができる。幾つかの例において、第2の部分の幅は、第1の部分の幅のサイズの約2倍とすることができる。これらの例において、吐出ダイは、吐出ノズルが配列され得る細長い第1の部分を有することができ、吐出ダイは、吐出ダイの電気接続点が配列され得る第2の部分を有することができる。
【0007】
幾つかの例において、成形パネルは、日立化成株式会社からのCEL400ZHF40WG、及び/又は他の係る材料のようなエポキシ樹脂成形材料を含むことができる。従って、幾つかの例において、成形パネルは、実質的に等質とすることができる。幾つかの例において、成形パネルは、一体成形で形成されることができ、その結果、成形パネルは、接合箇所または継ぎ目なしの成形材料を含むことができる。幾つかの例において、成形パネルは、モノリシックとすることができる。
【0008】
本明細書で説明されるような、例示的な流体吐出デバイスは、二次元プリンタ及び/又は三次元(3D)プリンタのような印刷デバイスに実装され得る。理解されるように、幾つかの例示的な流体吐出デバイスはプリントヘッドとすることができる。幾つかの例において、流体吐出デバイスは、印刷デバイスへ組み入れられることができ、用紙、粉末ベースの構築材料の層、反応デバイス(例えば、ラボオンチップデバイス)などのような媒体上へコンテンツを印刷するために利用され得る。例示的な流体吐出デバイスは、インクベースの吐出デバイス、デジタル滴定デバイス、3D印刷デバイス、薬剤投与デバイス、ラボオンチップデバイス、流体診断回路、及び/又は或る量の流体が分与/吐出され得る他の係るデバイスを含む。
【0009】
幾つかの例において、流体吐出デバイスが実装され得る印刷デバイスは、層毎の積層造形プロセスにおいて消耗流体の付着によりコンテンツを印刷することができる。消耗流体および/または消耗材料は、使用される全ての材料および/または化合物を含むことができ、例えば、インク、トナー、流体または粉末、又は印刷用の他の原料を含む。更に、本明細書で説明されるように、印刷材料は、消耗流体、並びに他の消耗材料を含むことができる。印刷材料は、インク、トナー、流体、粉末、着色剤、ワニス、仕上げ材料、光沢促進剤、結合剤、及び/又は印刷プロセスにおいて利用され得る他の係る材料を含むことができる。
【0010】
さて、図面、特に
図1を参照すると、この図は、例示的な流体吐出デバイス10の幾つかの構成要素を示すブロック図を提供する。この例において、流体吐出デバイス10は、成形パネル12を含む。成形パネル12は、それを貫通して形成された流体連絡チャネル14を有する。更に、流体吐出デバイス10は、成形パネルに鋳込まれた流体吐出ダイ16及び集積回路18を含む。この例において、成形パネルは、第1の表面20(後面と呼ばれ得る)、及び第1の表面20の反対側にある第2の表面22(前面と呼ばれ得る)を有する。同様に、吐出ダイ16は、第1の表面24および第2の表面26を有し、集積回路18は、第1の表面28及び第2の表面30を有する。
【0011】
図示されたように、流体連絡チャネル14は、成形パネル12の第1の表面20に形成される。流体連絡チャネル14を画定する表面は、吐出ダイ16との流体連絡を容易にする。特に、吐出ダイ16の第1の表面24の部分は、流体連絡チャネル14に露出されている。この例に示されていないが、吐出ダイ16は、流体連絡チャネル14を吐出ダイ16の吐出ノズルと流体連結する、貫通して形成された流体供給穴を含むことができる。吐出ダイ16の吐出ノズルのオリフィスは、吐出ダイ16の第2の表面26上に形成され得る。この例において図示されるように、成形パネル12の第2の表面22、吐出ダイ26の第2の表面26、及び集積回路30の第2の表面は、ほぼ同一平面とすることができる。
【0012】
従って、
図1の例に類似する例において、吐出ダイ16及び集積回路18は、成形パネル12へと成形され得る。図示されたように、吐出ダイ16及び集積回路18は、吐出ダイ16及び集積回路が成形パネル12に結合されるように、成形パネル中に少なくとも部分的に埋め込まれる。例えば、吐出ダイ16に関して、吐出ダイの第1の表面24および側面は、成形パネル12により少なくとも部分的に覆われている。吐出ノズルが印刷材料を分与することができる、吐出ダイ16の第2の表面26は、露出され且つ成形パネル12の第2の表面とほぼ同一平面とすることができる。同様に、集積回路18に関して、第1の表面28及び側面は、成形パネル12により覆われ得る。集積回路18の第2の表面30は、露出され且つ成形パネル12の第2の表面とほぼ同一平面とすることができる。理解されるように、吐出ダイ16及び集積回路18を成形パネル12へと成形することにより、吐出ダイ16及び集積回路18は、接着剤を用いずに成形パネルに結合され得る。係る例において、吐出ダイ16及び集積回路18が成形パネルの材料により少なくとも部分的に覆われる場合、吐出ダイ16及び集積回路は、成形パネル12の中に少なくとも部分的に埋め込まれるものとして説明され得る。
【0013】
さて、
図2を参照すると、この図は、例示的な流体吐出デバイス50の幾つかの構成要素を示すブロック図を提供する。この例において、流体吐出デバイス50は、吐出ダイ54及び集積回路56が鋳込まれ得る成形パネル52を含む。この例において、成形パネル52は、それを貫通して形成された流体連絡チャネル58を有することができる。理解されるように、流体連絡チャネル58は、流体連絡チャネル58が成形パネル52の後面に形成される一方で、成形パネルの前面が吐出ダイ54の前面および集積回路56の前面とほぼ同一平面であることを示すために、破線で示される。
【0014】
この例において、吐出ダイ54は、少なくとも1つの導電要素60を介して、集積回路56に電気接続される。幾つかの例において、少なくとも1つの導電要素60は、導電材料(例えば、銅ベースの材料、金ベースの材料、銀ベースの材料、アルミニウムベースの材料、導電性ポリマーなど)から形成されたトレースを含むことができる。幾つかの例において、少なくとも1つの導電要素60は、例示的な流体吐出デバイス50の前面に配置され得る。幾つかの例において、少なくとも1つの導電要素60は、絶縁材料中に含まれ得る。例えば、少なくとも1つの導電要素60は、ポリアミド薄膜またはポリイミド薄膜のような絶縁薄膜を含むことができる。係る例において、少なくとも1つの導電要素は、テープ自動ボンディング(TAB)プロセスを介して、吐出ダイ54及び集積回路56を電気接続するために成形パネルに結合され得る。他の例において、少なくとも1つの導電要素60の一部は、成形パネル52中に少なくとも部分的に埋め込まれ得る。幾つかの例において、少なくとも1つの導電要素60は、ワイヤボンディングプロセスにおいて、吐出ダイ54及び集積回路に結合され得る。
【0015】
図2の例に示されるように、吐出ダイ54は、矩形でないダイとすることができる。係る例において、吐出ダイ54は、細長い第1の部分62及び第2の部分64を含むことができる。吐出ダイ54の吐出ノズルは、細長い第1の部分62の長さに沿って配列されることができ、吐出ダイ54の電気接点が第2の部分64に配列され得る。従って、図示されたように、少なくとも1つの導電要素60は、第2の部分64において吐出ダイ54に接続され得る。更に、集積回路56は、吐出ダイ54の第1の端部において吐出ダイ54に近接して配置されることができ、第2の部分64は、第1の端部の反対側にある吐出ダイ54の第2の端部に配置される。
【0016】
更に、この例において、吐出ダイ54は、少なくとも1つの温度センサ66を含むことができる。係る例において、集積回路56は、少なくとも1つの温度センサ66からセンサデータを受け取ることができる。センサデータに少なくとも部分的に基づいて、集積回路56は、吐出ダイ54と関連している温度を求めることができる。例えば、少なくとも1つの温度センサ66は、抵抗素子を含むことができる。抵抗素子の抵抗値は、温度に基づいて変化することができる。係る例において、集積回路56は、温度センサを付勢して、抵抗素子の抵抗値に対応するセンサデータを受け取ることができ、集積回路56は、センサデータに基づいて、吐出ダイ54と関連している温度を求めることができる。
【0017】
更に、吐出ダイ54は、少なくとも1つの加熱要素68を含むことができる。係る例において、集積回路56は、少なくとも1つの加熱要素68を制御することができる。幾つかの例において、集積回路56は、少なくとも1つの温度センサ66から受け取ったセンサデータに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの加熱要素68を制御することができる。幾つかの例において、吐出ダイは、集積回路56のメモリに格納された規定の動作温度範囲を有することができる。係る例において、集積回路56は、吐出ダイ54の温度が規定の動作温度範囲未満であるという判定に応じて、吐出ダイ54を加熱するために少なくとも1つの加熱要素68を電気的に付勢することができる。更に、集積回路56は、吐出ダイ54の温度が規定の動作温度範囲内またはそれを上回るという判定に応じて、少なくとも1つの加熱要素68の電気的な付勢を停止することができる。幾つかの例において、少なくとも1つの加熱要素68は、抵抗加熱要素とすることができる。
【0018】
この例において、集積回路56は、コントローラ70及びメモリ72を含む。本明細書で使用される限り、コントローラは、データ処理用の論理構成要素の構成を含むことができる。コントローラの例には、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロコントローラ、及び/又は他の係るデバイスが含まれる。
【0019】
本明細書で使用される限り、メモリは、揮発性および/または不揮発性メモリの様々なタイプを含むことができる。例示的なデバイス50のメモリ72のようなメモリは、機械可読記憶媒体とすることができる。幾つかの例において、メモリは持続性である。メモリの例には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)(例えば、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなど)、フラッシュメモリ、半導体メモリ、磁気ディスクメモリ、SONOS(silicon-oxide-nitride-oxide-silicon)メモリ、並びに格納された情報を維持する他のメモリデバイス/モジュールが含まれる。幾つかの例において、コントローラ70及びメモリ72は、単一のパッケージの中に存在することができ、単一の集積回路からなることができる。例えば、集積回路は、単一のパッケージの中にコントローラ及びメモリを有するマイクロコントローラを含むことができる。
【0020】
図示されたように、例示的なデバイス50のメモリ72は、本明細書で説明される動作を集積回路56に実行させるために、集積回路56(及び/又はそのコントローラ70)により実行可能とすることができる命令74を含む。例えば、集積回路56による命令74の実行により、集積回路56は、吐出ダイ54の吐出ノズルを介した印刷材料の選択的な分与を制御することができる。別の例として、集積回路56による命令74の実行により、集積回路56は、温度センサからセンサデータを受け取るために温度センサ66を付勢することができる。更に、集積回路56による命令74の実行により、当該集積回路は、少なくとも1つの加熱要素68を制御することができる。
【0021】
図3は、流体吐出デバイス100の幾つかの構成要素の一例を示す上面図である。この例において、流体吐出デバイス100は、成形パネル102、成形パネル102に鋳込まれた吐出ダイ104、及び成形パネル102に鋳込まれた集積回路106を含む。この例において、吐出ダイ104及び集積回路106は、テープ自動ボンディング(TAB)要素108を形成する薄膜に配置された導電要素を介して電気接続される。この例に示されるように、TAB要素108は、流体吐出デバイス100の前面に配置される。本明細書で説明される例において、流体吐出デバイス100の前面は、成形パネル102の前面、吐出ダイ104の前面、及び集積回路106の前面からなる。例において、成形パネル102の前面、吐出ダイ104の前面、及び集積回路106の前面は、ほぼ同一平面である。
【0022】
この特定の例において、TAB要素108は、成形パネル102の両側にある吐出ダイ104及び集積回路106の前面に少なくとも部分的に配置される。更に、TAB要素108は、吐出ダイ104の電気接続点110に電気接続される。吐出ダイ104の電気接続点110は、電気接続点110がTAB要素108の一部により覆われることを反映するために想像線で示されている。同様に、TAB要素108は、集積回路106の電気接続点112に電気接続される。集積回路106の電気接続点112は、電気接続点112がTAB要素108の一部により覆われることを反映するために想像線で示されている。本明細書で使用される限り、電気接続点は、ボンディングパッド又は他の係る電気端子を含むことができる。理解されるように、電気接続点は、銅および/または他の導電材料を含むことができる。
【0023】
この例に示されていないが、TAB要素108は、流体吐出デバイス100が追加のデバイスに電気接続され得るように、成形パネル102を越えて延びることができる。例えば、TAB要素108は、成形パネル102を越えて延び、流体吐出デバイス100を一連の電気接点に接続し、次いで一連の電気接点が印刷デバイスのコントローラに電気接続され得る。
【0024】
更に、この例に示されるように、吐出ダイ104は、複数の吐出ノズル114を含む。吐出ノズル114は、印刷材料を選択的に分与するために制御され得る。この例において、吐出ダイ104及び集積回路106の電気接続は、集積回路106による吐出ノズル114の制御を容易にすることができる。例えば、集積回路106は、吐出ノズル114を介した印刷材料の選択的な分与を制御するためのコントローラを含むことができる。
【0025】
図4は、
図3の線4−4に沿った
図3の例示的な流体吐出デバイス100の断面図を提供する。図示されたように、成形パネル102は、それを貫いて形成された流体連絡チャネル120を含む。流体連絡チャネル120は、吐出ダイ104と流体連絡し、その結果、印刷材料が吐出ダイ104による選択的な分与のために、流体連絡チャネル120を介して吐出ダイ104に送られ得る。この例において、断面図は、吐出ダイ104及び吐出ノズル114の幾つかの構成要素を示す。吐出ダイ104は、吐出ダイ104の後面に形成された流体供給穴122を有し、この場合、流体供給穴122は、流体連絡チャネル120及び吐出ノズル114の吐出チャンバ124に流体連結される。吐出チャンバ124は、吐出ノズル114のノズルオリフィス126に流体連結される。この例に示されていないが、吐出ノズル114の流体吐出器は、吐出チャンバ124に配置され得る。流体吐出器の選択的な付勢により、吐出チャンバ124の流体が、オリフィス126から外へ分与/吐出され得る。図示されたように、流体吐出デバイス100のほぼ平面的な前面は、成形パネル102の前面および吐出ダイ104の露出された前面からなることができる。ノズルオリフィス126は、吐出ダイ104の前面上の開口に対応し、流体連絡チャネル120は、成形パネル102の後面に形成される。
【0026】
更に、この例において、断面図は、TAB要素108断面を示す。図示されたように、TAB要素108は、流体吐出デバイス100の前面に配置された導電要素130を含む。導電要素130は、絶縁薄膜132により少なくとも部分的に覆われ得る。更に、導電要素130は、テープ自動ボンディングプロセスにおいて、集積回路106及び吐出ダイ104に電気接続され得る。従って、TAB要素108は、接着剤を介して流体吐出デバイス100の前面に結合され得る。理解されるように、TAB要素108を流体吐出デバイス100の前面に結合する間に、集積回路106及び吐出ダイ104は、TAB要素108を介して電気接続される。
【0027】
図5は、
図3及び
図4の例示的な流体吐出デバイス100の組立分解等角図である。この図において、TAB要素108は、吐出ダイ104の、下にある電気接続点110及び集積回路106の、下にある電気接続点112を示すために、成形パネル102から離間されている。
図5に示されているように、吐出ダイ104は、矩形でない形状とすることができる。この例において、吐出ダイ104は、吐出ノズル114が配列され得る第1の細長い部分150を有する。幾つかの例において、細長い部分の長さは、吐出ダイ104の印刷幅に対応することができる。更に、吐出ダイ104は、吐出ダイ104の電気接点110が配列され得る第2の部分152を有する。図示されたように、吐出ダイ104の第2の部分152は、流体吐出デバイス100の第1の端部に配置されることができ、集積回路106は流体吐出デバイス100の第2の端部に配置され得る。吐出ダイ104の第1の細長い部分150は、集積回路106と第2の部分152との間に配置され得る。
【0028】
図6Aは、例示的な流体吐出デバイス200の幾つかの構成要素を示すブロック図である。流体吐出デバイス200は、成形パネル202、成形パネル202に鋳込まれた複数の吐出ダイ204、及び成形パネル202に鋳込まれた複数の集積回路206を含む。この例において示されたように、吐出ダイ204は、流体吐出デバイス200の幅(及び成形パネル202の幅)に沿って概して端から端まで配列され得る。更に、吐出ダイ204は、千鳥に配置された/部分的に重なる関係で配列され得る。
【0029】
図6Aの例に類似する例において、吐出ダイ204が配列され得る流体吐出デバイス200の幅は、流体吐出デバイスが実装され得る印刷システムの印刷幅に対応することができる。幾つかの例において、流体吐出デバイス200は、ページ幅印刷システムに実装され得る。これらの例において、流体吐出デバイス200は、印刷材料が選択的に分与されるべき媒体の幅に対応する印刷幅を容易にすることができる。他の例において、図示された例に類似する複数の流体吐出デバイスは、印刷システムの印刷幅に対応する千鳥に配置された/部分的に重なる端から端までの配列において配置され得る。各吐出ダイ204は、印刷材料を選択的に分与する複数の吐出ノズル210を含む。この例において、吐出ノズル210は、各吐出ダイ204の細長い部分の長さに沿って千鳥に配置された配列で構成され得る。
【0030】
複数の吐出ダイ204のそれぞれ毎に、流体吐出デバイス200は、吐出ダイ204に近接して成形パネル200の中へ鋳込まれたそれぞれの集積回路206を含む。他の例に関連して説明されるように、それぞれの個々の吐出ダイ204は、個々の集積回路206に電気接続されることができ、個々の集積回路は、個々の吐出ダイ204による印刷材料の選択的な分与を制御することができる。本明細書に示された例において、例示的な流体吐出デバイスが各吐出ダイ用の集積回路を含むが、理解されるように、他の例は、吐出ダイよりも少ない集積回路、又は吐出ダイよりも多い集積回路を有することができる。特定の例として、流体吐出デバイスは、少なくとも2つの吐出ダイに電気接続される1つの集積回路を含むことができ、集積回路は、少なくとも2つの吐出ダイによる印刷材料の選択的な分与を制御することができる。
【0031】
図6Bは、
図6Aの例示的な流体吐出デバイス200の線6B−6Bに沿った断面図である。この例に示されたように、成形パネル202は、それぞれの吐出ダイ204毎にそれぞれの流体連絡チャネル220を有する。それぞれの流体連絡チャネル220は、それぞれの吐出ダイ204により選択的に分与されるべき印刷材料がそれぞれの流体連絡チャネルを介して印刷材料リザーバから吐出ダイ204に送られ得るように、それぞれの吐出ダイ204に流体連結される。各流体連絡チャネル220は、成形パネル202の後面を貫いて形成される。各吐出ダイ204は、それぞれの流体連絡チャネル220を吐出ノズル210に流体連結する流体供給穴222を有することができる。断面図により示されるように、吐出ダイ204は、成形パネル202の中に少なくとも部分的に埋め込まれることができ、その結果、各吐出ダイ204の前面が露出され、吐出ダイ204の側面が成形パネルの材料に包み込まれ、吐出ダイ204の後面の少なくとも一部が成形パネルの材料に包み込まれる。
【0032】
図7は、印刷材料を収容することができるコンテナ262に結合された例示的な流体吐出デバイス260を含む例示的な印刷流体カートリッジ250の幾つかの構成要素の等角図を提供する。流体吐出デバイス260は、成形パネル264、成形パネル264の中に鋳込まれた吐出ダイ266、及び成形パネルの中へ鋳込まれた集積回路268を含む。理解されるように、流体吐出デバイス260は、本明細書で説明された他の流体吐出デバイス260に類似した特徴要素および構成要素を含み、流体連絡チャネル、吐出ノズル、電気接点、及び導電要素を含む。更に、集積回路268は、本明細書で説明されたように吐出ダイ204による印刷材料の選択的な分与を制御することができる。例示的な印刷流体カートリッジ250のような例において、流体連絡チャネルは、コンテナ262及び吐出ダイ266を流体連結することができ、その結果、コンテナ262に貯蔵された印刷材料が吐出ダイ266による選択的な分与のために吐出ダイ266に送られ得る。
【0033】
この例において、流体吐出デバイス260は、フレキシブル回路270に電気接続され、この場合、フレキシブル回路270は導電要素を含むことができる。幾つかの例において、フレキシブル回路270は、吐出ダイ266及び集積回路268を電気接続することができる。更に、図示されたように、フレキシブル回路270は、印刷デバイスのような外部デバイスに対する流体吐出デバイス260及び印刷流体カートリッジ250の電気接続を容易にすることができる電気接点272を含む。
【0034】
係る例において、外部接続されたデバイスは、流体吐出デバイス260に電気接続され、その結果、外部デバイスは、ノズルデータを集積回路268に伝えることができる。係る例において、集積回路はノズルデータを受け取ることができ、集積回路は、少なくとも部分的にノズルデータに基づいて吐出ノズルを用いた印刷材料の選択的な分与を制御することができる。
【0035】
しかしながら、幾つかの例において、受け取られたノズルデータは、流体吐出デバイス260の吐出ノズルの構成に対応していないかもしれない。例えば、集積回路は、レガシー印刷システムにおいて本明細書で提供された例に類似する流体吐出デバイスを有する印刷流体カートリッジを用いて印刷を容易にすることができ、この場合、係る機能は、下位互換性と呼ばれ得る。係る例において、集積回路において受け取られたノズルデータは、最新(更新)ノズルデータに変換されることができ、この場合、最新ノズルデータは、集積回路が電気接続される吐出ダイの吐出ノズルの構成に対応する。
【0036】
図8は、本明細書で説明されたような例示的なデバイスを形成するために実行され得る例示的なプロセス300を示す流れ図を提供する。吐出ダイは、流体吐出デバイスの製造のために配置される(ブロック302)。個々の集積回路が個々の吐出ダイに近接して配置される(ブロック304)。成形パネルが成形パネルの中へ鋳込まれた吐出ダイ及び集積回路を含むように、成形パネルが形成される(ブロック306)。成形パネルの一部が取り除かれて、各吐出ダイ用の個々の流体連絡チャネルが形成される(ブロック308)。
【0037】
図9は、本明細書で説明されたような例示的なデバイスを形成するために実行され得る例示的なプロセス350を示す流れ図を提供する。この例において、吐出ダイ及び集積回路は、支持体上に配置され得る(ブロック352)。幾つかの例において、各吐出ダイ及び各集積回路の前面は、接着剤を用いて支持体に着脱可能に結合され得る。例えば、接着剤は、熱剥離型テープとすることができる。成形パネルの中へ鋳込まれた吐出ダイ及び集積回路を含む成形パネルが形成され得る(ブロック354)。幾つかの例において、成形パネルを形成することは、支持体上の集積回路および吐出ダイの上に成形材料を堆積し、モールド材料を成形することを含む。例えば、成形材料は、成形パネルを形成するために圧縮成形され得る。トランスファー成形のような他のタイプの露出ダイ成形が実施されてもよい。
【0038】
成形パネルの形成後、成形パネルは、支持体から外される(ブロック356)。説明されたように、幾つかの例において、集積回路および吐出ダイは、熱剥離型テープのような取り外し可能な接着剤でもって配置されている支持体に取り外し可能に結合され得る。係る例において、集積回路および吐出ダイを支持体に結合する接着剤が解除される。個々の吐出ダイは、個々の集積回路と電気接続され得る(ブロック358)。幾つかの例において、吐出ダイ及び集積回路は、ワイヤボンディングのプロセスでもって電気接続され得る。他の例において、吐出ダイ及び集積回路は、テープ自動ボンディングのプロセスでもって電気接続され得る。
【0039】
支持体から成形パネルを外した後、個々の流体連絡チャネルが、個々の吐出ダイ毎に形成され得る(ブロック360)。本明細書で提供される例において、流体連絡チャネルを形成することは、成形パネルの一部を取り除くことを含むことができる。例は、成形パネルの後面をスロットプランジ切削することができる。他の例において、成形パネルの一部を取り除くことは、成形パネルをレーザ又は他の切削装置を用いて切削することを含むことができる。更に、成形パネルの一部を取り除くことは、他の微細加工プロセス(例えば、超音波切削、粉末ブラストなど)を実行することを含むことができる。流体連絡チャネルの形成後、成形パネルは、本明細書で説明された例示的な流体吐出デバイスのような流体吐出デバイスへと単一化されることができる。幾つかの例において、成形パネルを単一化することは、成形パネルをダイシングすること、成形パネルを切断すること、及び/又は他の係る既知の単一化プロセスを含むことができる。
【0040】
図10〜
図14Bは、
図8及び
図9のプロセスの工程に対応する例を示す例示的なブロック図を提供する。
図10は、支持体400、当該支持体上に配置された吐出ダイ402、及び当該支持体上に配置された集積回路404を示す。この例において、吐出ダイ404及び集積回路406の前面は、支持体400上に配置され、その結果、吐出ダイ404及び集積回路406の後面は、この図において直立状態である。
図11Aにおいて、成形材料が、支持体400上に堆積され、成形材料は、吐出ダイ402及び集積回路404を含む成形パネル420を形成するように成形された。
【0041】
図11Bは、線11B−11Bに沿った
図11Aの例の断面図である。
図11Bに示されているように、支持体400は、取り外し可能な接着剤422を介して吐出ダイ402に結合される。更に、前述されたように、ノズルオリフィス430が形成される各吐出ダイ402の前面が、取り外し可能な接着剤422を介して支持体400に結合される。各吐出ダイ402の後面は、その中に形成された流体供給穴432を有する。しかしながら、製造プロセス中、流体供給穴432は、成形材料が流体供給穴432の中に堆積されることを防止するために、保護材料で充填され得る。
図11Cは、線11C−11Cに沿った
図11Aの例の断面図である。
図11B及び
図11Cに示されるように、成形パネル420は、吐出ダイ402及び集積回路404を部分的に取り囲む。特に、例示的なプロセスのこの段階において、吐出ダイ402及び集積回路404の後面および側面は、成形パネル420の成形材料により覆われている。
【0042】
図12Aにおいて、成形パネル420が支持体から外されて、その結果、吐出ダイ402及び集積回路404の前面が露出される。
図12Bは、
図12Aの例の詳細図である。
図12Bに示されるように、吐出ダイ402及び集積回路404の前面が露出され、その結果、吐出ダイ402の吐出ノズル440が露出される。更に、吐出ダイ402の電気接点450、及び集積回路の電気接点452が露出される。図示されたように、吐出ダイ402の前面、集積回路404の前面、及び成形パネル420の前面は、ほぼ同一平面である。
【0043】
図13Aにおいて、流体連絡チャネル460が成形パネル420の後面に形成された。理解されるように、
図12A〜
図12Bは成形パネル420の前面を示し、
図13は反対側の後面を示す。
図13Bは、線13B−13Bに沿った
図13Aの例の断面図を提供する。図示されたように、各流体連絡チャネル460は、個々の吐出ダイ402に流体連結される。特に、流体連絡チャネル460は、各吐出ダイ402の流体供給穴432に流体連結することができる。
図13Cは、線13C−13Cに沿った
図13Aの例の断面図を提供する。
【0044】
図14A〜
図14Bは、
図13Aの例の単一化により形成され得る例示的な単一化流体吐出デバイス480を示す。
図14Aは、例示的な流体吐出デバイス480の前面を示し、
図14Bは例示的な流体吐出デバイス480の後面を示す。
図14Aにおいて、例示的な流体吐出デバイス480の前面は、吐出ダイ402及び集積回路404の前面に対応し、その結果、吐出ノズル430及び電気接点450、452が露出される(即ち、成形パネル420の成形材料により覆われていない)。
図14Bにおいて、吐出ダイ402、集積回路404、及び電気接点450、452は、成形パネル420の後面に形成された流体連絡チャネル460に対して、それらの配置を示すために想像線で示されている。
【0045】
図15及び
図16は、例示的なプロセス及び方法を実行するために例示的な流体吐出デバイスの集積回路により実行され得る例示的な一連の手順を提供する流れ図である。幾つかの例において、流れ図に含まれる手順は、集積回路により実行可能とすることができる命令の形態でメモリ資源(例えば、
図2の例示的なメモリ72)に具現化されることができ、当該命令により、集積回路は当該命令に対応する動作(手順)を行う。
【0046】
図15の流れ
図500に示されるように、例示的な流体吐出デバイスの集積回路は、ノズルデータを受け取ることができる(ブロック502)。集積回路は、受け取ったノズルデータを、流体吐出デバイスの吐出ダイの吐出ノズルの構成に対応する最新のノズルデータに変換することができる(ブロック504)。集積回路は、最新のノズルデータに少なくとも部分的に基づいて、吐出ノズルを介した印刷材料の選択的な分与を制御することができる(ブロック506)。従って、
図15に提供された例に類似する例において、幾つかの例は、例示的な流体吐出デバイスの吐出ノズルの構成にフォーマットされていないノズルデータを送信する印刷システムにおいて、本明細書で説明された例示的な流体吐出デバイスの遅れている互換性を容易にすることができる。
【0047】
図16の流れ
図550に関して、例示的な流体吐出デバイスの集積回路は、吐出ダイの温度センサを付勢して、温度センサからのセンサデータを受け取ることができる(ブロック552)。集積回路は、センサデータに基づいて吐出ダイの温度を求めることができ(ブロック554)、集積回路は吐出ダイの温度に少なくとも部分的に基づいて吐出ダイの加熱要素を制御することができる(ブロック556)。
【0048】
従って、本明細書で提供された例は、内部に鋳込まれた集積回路および吐出ダイを有する成形パネルを含む流体吐出デバイスを提供することができる。更に、例は、電気接続の複雑性を低減することができる矩形でないダイを含むことができる。更に、例は、幾つかのレガシー印刷システムにおいて、例示的な流体吐出デバイスの遅れている互換性を容易にすることができる。更に、幾つかの例において、吐出ダイの制御動作を、近接する集積回路に局所化することは、吐出ダイに関連した製造の複雑性を低減することができる。
【0049】
前述の説明は、説明された原理の例を例示および説明するために提示された。この説明は、網羅的にする、又はこれらの原理を開示された何らかの全く同一の形態に制限することは意図されていない。多くの変更および変形が、本説明に鑑みて可能である。従って、図面に提供された及び本明細書に説明された上述の例は、特許請求の範囲に定義される本開示の範囲の制限として解釈されるべきではない。
【国際調査報告】