(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
積層ガラスリボン製作装置は、1対の上側堰部と横方向に境界を接する外側形成面を含む上側形成体と、上側形成体の下流側に配置されて、内側間隙によって、上側形成体の外側形成面から離間した外側形成面を含む、下側形成体とを含みうる。縁部ガイド部が、内側上側堰壁部に沿って配置されて、内側間隙で、下側形成体から離間していてもよい。上側および下側形成体の外側形成面の外側の表面が、当接して、連結してもよい。コアガラス層および1対のクラッドガラス層を含む形成したガラスリボンは、合算したガラスクラッディング層の厚さに対するガラスコア層の厚さに基づく略等しい厚さ比を各部分で有する内側部分および外側部分を、含んでもよい。
前記縁部ガイド部の前記底部が、該縁部ガイド部の前記上部に対して角度がついたものであるか、または、該縁部ガイド部の該上部に対して、外側に湾曲したものである、請求項1に記載の装置。
前記上側形成体の前記外側形成面の外側の該上側形成体の一部が、前記下側形成体の前記外側形成面の外側の該下側形成体の一部に連結されたものである、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
1対の共通堰部が、前記上側形成体から前記下側形成体に延伸するように、前記1対の上側堰部の内側上側堰壁部が、前記1対の下側堰部の内側下側堰壁部と位置合わせされたものである、請求項8または9に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、ガラス形成装置の実施形態を詳細に記載し、それらの例を添付の図面に示す。全図を通して、同じ、または、類似の部分を参照するには、可能な限り、同じ参照番号を用いている。実施形態において、ガラス形成装置は、ガラスクラッディング層の狭幅化を軽減し、ガラスコア層の幅に、ぴったりと整合したガラスクラッディング層の幅を提供し、および/または、ガラスコア層の、合算したガラスクラッディング層(つまり、ガラスクラッディング層の合計)に対する厚さ比を維持する、1つ以上の構成要素を含みうる。本明細書において、添付の図面を具体的に参照して、積層ガラスリボンを製作するためのガラス形成装置の様々な実施形態を、更に詳細に記載する。
【0014】
ここで、
図1を参照すると、積層ガラス物品100の一実施形態を、概略的に断面図で示している。積層ガラス物品100は、概して、ガラスコア層102、および、1対のガラスクラッディング層104a、104bを含む。ガラスコア層102は、概して、第1の面103a、および、第1の面103aの反対を向いた第2の面103bを含む。第1のガラスクラッディング層104aは、ガラスコア層102の第1の面103aに融着され、第2のガラスクラッディング層104bは、ガラスコア層102の第2の面103bに融着されている。ガラスクラッディング層104a、104bは、ガラスコア層102とガラスクラッディング層104a、104bの間に配置された接着剤、被膜層などの更なる非ガラス材料を使わずに、ガラスコア層102に融着される。
【0015】
積層ガラス物品100のいくつかの実施形態において、ガラスコア層102を、平均コア熱膨張係数CTE
coreを有する第1のガラス組成物から形成し、ガラスクラッディング層104a、104bを、平均クラッディング熱膨張係数CTE
cladを有する第2の異なるガラス組成物から形成しうる。CTE
coreは、CTE
cladより大きく、その結果、イオン交換も熱強化も行わずに、ガラスクラッディング層104a、104bに圧縮応力が加わる。本明細書で使用するように、「平均熱膨張係数」、または、「平均CTE」という用語は、所定の材料または層の、0℃と300℃の間での平均線熱膨張係数のことを称する。平均CTEは、例えば、ASTM E228“Standard Test Method for Linear Thermal Expansion of Solid Materials With a Push−Rod Dilatometer”、または、ISO 7991:1987“Glass‐Determination of coefficient of mean linear thermal expansion”に記載された手順を用いて、決定しうる。
【0016】
いくつかの他の実施形態において、ガラスコア層102、および、ガラスクラッディング層104a、104bを、同様の熱膨張係数を有するが、異なる物理特性を有する異なるガラス組成物から、形成してもよい。限定するものではないが、例えば、ガラスコア層102は、ガラスクラッディング層104a、104bより、特定の溶液に多少溶解し易い傾向を有してもよい。他の例としては、ガラスコア層102と、ガラスクラッディング層104a、104bは、屈折率などの異なる光学特性を有してもよい。
【0017】
更に、
図1は、3つの別個のガラス層を有する積層ガラス物品100の実施形態を、概略的に示しているが、他の実施形態においては、積層ガラス物品を、2つの別個のガラス層、または、3つ以上の別個のガラス層から形成してもよいと、理解すべきである。
【0018】
ここで、
図1および2を参照すると、
図1の積層ガラス物品100を、1979年4月5日に出願された“Forming Laminated Sheet Glass”という名称の米国特許第4,214,886号明細書、および、2013年8月2日に出願された“Apparatus and Method for Producing Laminated Glass Sheet”という名称の国際公開第2015/016935号に記載された処理などのフュージョン積層処理によって形成してもよく、それらの各々が、全体として、参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
例として
図2を参照すると、積層ガラス物品を形成するためのガラス形成装置200は、第2の下側形成体204の上方に位置する、第1の上側形成体202を含む。換言すれば、下側形成体204は、上側形成体202の下流側(つまり、
図2に示した座標軸の−z方向)に位置する。上側形成体202は、トラフ部210を含み、その中に、溶融部(不図示)から、溶融ガラスクラッディング組成物206が供給される。同様に、下側形成体204は、トラフ部212を含み、その中に、溶融部(不図示)から、溶融ガラスクラッディング組成物208が供給される。
【0020】
溶融ガラスコア組成物208は、トラフ部212を満たすと、トラフ部212から溢れて、下側形成体204の外側形成面216、218を流れる。下側形成体204の外側形成面216、218は、根元部70で収束する。したがって、外側形成面216、218を流れた溶融ガラスコア組成物208は、下側形成体204の根元部70で再合流し、それによって、積層ガラス物品100のガラスコア層102を形成する。
【0021】
同時に、溶融ガラスクラッディング組成物206は、上側形成体202に形成されたトラフ部210から溢れて、上側形成体202の外側形成面222、224を流れる。溶融ガラスクラッディング組成物206は、下側形成体204の周りを流れて、下側形成体204の外側形成面216、218を流れる溶融ガラスコア組成物208に接触し、溶融ガラスコア組成物208に融着して、ガラスコア層102の周りに、ガラスクラッディング層104a、104bを形成し、それによって、そこから積層ガラス物品100を分離しうる積層ガラスリボン12を、形成する。
【0022】
本明細書に記載したように、いくつかの実施形態において、溶融ガラスコア組成物208は、溶融ガラスクラッディング組成物206の平均クラッディング熱膨張係数CTE
cladより大きい平均熱膨張係数CTE
coreを有しうる。ガラスコア層102、および、ガラスクラッディング層104a、104bが冷却すると、熱膨張係数の差は、ガラスコア層とガラスクラッディング層の間のCTEの不整合により、ガラスクラッディング層104a、104bに圧縮応力を生じさせる。圧縮応力は、結果的に得られる積層ガラス物品の強度を、イオン交換処理も熱強化処理も行わずに高める。いくつかの実施形態において、結果的に得られる積層ガラス物品に、イオン交換処理、および/または、熱強化処理を行って、ガラスクラッディング層の応力を変更しうる。
【0023】
本明細書で様々な実施形態について記載したような補正を行わないと、ガラス形成装置200を流れる溶融ガラス、特に、上側形成体202の外側形成面222、224を流れる溶融ガラスクラッディング組成物206は、狭幅化し易い。
図2に示すように、上側形成体202は、下側形成体204から離間していてもよい。溶融ガラスが、上側形成体202から下側形成体へ、形成体の間に位置する内側間隙を越えて移行する時に、上側形成体202から流れる溶融ガラスが、内側に先細になるか、または、幅方向に収縮(つまり、狭幅化)して(換言すれば、溶融ガラス流の幅が、
図2に示した座標軸の+/−x方向に縮小して)、狭幅化が発生する。狭幅化は、少なくとも部分的には、形成体の間の間隔、形成体に対する溶融ガラスのドラッグ(または、それがないこと)、および、溶融ガラスの粘度に起因する。狭幅化の結果、上側形成体202からの溶融ガラスクラッディング組成物206が、積層ガラスリボンの縁部近傍で、より厚いガラス層を形成する傾向がある。この厚くなった部分は、ビード、または、縁部ビードと称されることが多い。縁部近傍でのビードの厚さの増加により、下側形成体を流れる溶融ガラスコア組成物208から形成した隣接するガラス層に、部分的には、CTEの不整合、および、部分的には、縁部ビードの厚さの増加により、より大きい張力が加わりうる。縁部ビードの厚さの増加による張力の増加は、ガラス製造装置を用いて形成した積層ガラスリボン内の応力を増加させて、積層ガラスリボンに切れ目を入れて、そこから別々の積層ガラス物品を分離する処理の不安定さ、および、困難さを引き起こしうる。更に、または、その代わりに、そのような張力は、許容可能なCTEの不整合、および/または、根元部における粘度の不整合を限定することによって、使用しうるコアおよびクラッドガラス組成物の範囲を制限しうる。
【0024】
詳しくは、
図3を参照すると、本明細書に図示および記載した1つ以上の実施形態によるガラス形成装置201を、概略的に示している。本明細書に記載したように、ガラス形成装置は、概して、上側形成体202、および、上側形成体202の下流側に配置された下側形成体204を含む。上側形成体202の底部内側部分は、内側間隙303によって、下側形成体204の上部内側部分から離間している。
図3に示したガラス形成装置201の実施形態において、形成体202、204が互いに移動自在なように(つまり、上側形成体202が、下側形成体204に対して移動自在なように)、上側形成体202の底部外側部分は、外側間隙300によって、下側形成体204の上部外側部分から離間している。例えば、いくつかの実施形態において、上側形成体202は、下側形成体204に対して傾いて、上側形成体202から下側形成体204への溶融ガラスクラッディング組成物206の流れを制御するのを、補助してもよい。
【0025】
上側形成体202は、外側形成面222、および、外側形成面222と境界を接する1対の上側堰部302を含む。上側堰部302は、幅方向に(つまり、
図3に示した座標軸の+/−x方向に)延伸する上側堰部空間302sを形成する。上側堰部空間302sは、上側堰部302の内側上側堰壁部302a、302bの間に延伸する。上側堰部302、より詳しくは、内側上側堰壁部302a、302bは、ガラス形成装置201の動作中に、溶融ガラスが、上側形成体202の側縁部を越えて流れるのを防ぐ。図示していないが、上側形成体202は、(本明細書で、
図2について記載したように)外側形成面222の反対側の第2の外側ガラス形成面を、含んでもよく、それは、同様に、堰部空間を形成する1対の上側堰部を含む。
【0026】
下側形成体204は、外側形成面218、および、外側形成面218と境界を接する1対の下側堰部304を含む。下側堰部304は、幅方向に(つまり、
図3に示した座標軸の+/−x方向に)延伸する下側堰部空間304sを形成する。下側堰部空間304sは、下側堰部304の内側下側堰壁部304a、304bの間に延伸する。下側堰部304、より詳しくは、内側下側堰壁部304a、304bは、ガラス形成装置201の動作中に、溶融ガラスが、下側形成体の側縁部を越えて流れるのを防ぐ。図示していないが、下側形成体204は、(本明細書で、
図2について記載したように)外側形成面218の反対側の第2の外側ガラス形成面を、含んでもよく、それは、同様に、下側堰部空間を形成する1対の下側堰部を含む。
【0027】
上側形成体202の外側形成面222は、内側間隙303によって、下側形成体204の外側形成面218から、離間している。上に重ねた円310a、310bは、各々、溶融ガラスクラッディング組成物206が、内側間隙303を通って、上側形成体202から下側形成体204に向かって下方に流れて、下側形成体204から流れる溶融ガラスコア組成物208上に流れる縁部領域を、示している。
【0028】
ここで、
図4を参照すると、上に重ねた円310a内の縁部領域を概略的に拡大して示している。詳しくは、
図4は、補正していない流路、および、その結果として、溶融ガラスクラッディング組成物206が、上側形成体202の外側形成面222を流れて、内側間隙303を通って、下側形成体204に向かって流れる時に生じる溶融ガラスクラッディング組成物206の狭幅化を、示している。
図4に示すように、溶融ガラスクラッディング組成物206は、溶融ガラスクラッディング組成物206を下方に(つまり、
図4に示した座標軸の−z方向に)導いて溶融ガラスクラッディング組成物206が上側形成体202の側縁部を越えて流れるのを防ぐものである内側上側堰壁部302aに沿って、流れる。溶融ガラスクラッディング組成物206が、外側形成面222を離れて、内側間隙303を通って、上側形成体202から下側形成体204へ流れると、流れ抵抗の減少が、内側間隙の距離、および、溶融ガラスクラッディング組成物206の粘度と合わさって、溶融ガラスクラッディング組成物206を狭幅化させて、内側上側堰壁部302aから内側に離れて(つまり、
図4に示した座標軸の+z方向に)先細にし、結果的に、狭幅化パターンATT
1を生じる。より詳しくは、更なる補正を行わずに、溶融ガラスクラッディング組成物206が、内側間隙303内へと下方に落下し、流れ抵抗の変化、落下距離、および、比較的低い溶融ガラスの粘度により、溶融ガラスクラッディング組成物206は、内側上側堰壁部302aから内側に離れて、斜めの軌道に沿って、下側形成体204を流れる溶融コアガラス組成物の上面に達するまで、先細になる。本明細書に記載したように、この狭幅化は、結果的に、厚くなった縁部ビードを、溶融ガラスコア組成物上に形成する。
【0029】
ガラス形成装置201を用いて、内側間隙303を通って流れる溶融ガラスクラッディング組成物206の狭幅化を補正せずに形成した積層ガラスリボンの例として、
図5を参照すると、積層ガラスリボン12は、内側部分14、外側部分15、露出したコアガラスネック部分16、および、外側の露出したコアビード部分18を含む。内側部分14、および、外側部分15は、上記のようなガラスコア層102、並びに、第1および第2のガラスクラッディング層104a、104bを含む。内側部分14において、第1および第2のガラスクラッディング層104a、104bは、略同じでありうるガラスクラッディング層の厚さ22a、22bの合計である第1の合算したガラスクラッディング層の厚さを、形成する。厚さ比TR
1は、内側部分14のガラスコア層の厚さ20の、第1の合算したガラスクラッディング層の厚さ(つまり、ガラスクラッディング層の厚さ22a、22bの合計)に対する比である。外側部分15において、第1および第2のガラスクラッディング層104a、104bは、ガラスクラッディング層の厚さ26a、26bの合計である第2の合算したガラスクラッディング層の厚さを形成し、それは、第1の合算したガラスクラッディング層の厚さより厚い。厚さ比TR
2は、外側部分15のガラスコア層の厚さ24の、第2の合算したガラスクラッディング層の厚さ(つまり、ガラスクラッディング層の厚さ26a、26bの合計)に対する比である。
図5の実施形態において、ガラスコア層102の厚さは、内側部分14と外側部分15の間で減少した(または、薄くなった)、一方、第1および第2のガラスクラッディング層104a、104bの厚さは、ガラスリボン12の内側部分14と外側部分15の間で増加したので、厚さ比TR
2は、厚さ比TR
1より、かなり小さい。したがって、ガラスコア層の厚さ24は、ガラスコア層の厚さ20より薄く、第2の合算したガラスクラッディング層の厚さは、第1の合算したガラスクラッディング層の厚さより厚く、厚さ比TR
1と厚さ比TR
2の間で、非均一性を生じる。
【0030】
更なる例として、クラッディング層を形成する溶融ガラスクラッディング組成物206の狭幅化は、結果的に、クラッドガラスに覆われていないガラスリボンのコア部分に、張力を生じうる。
図5に示すように、露出したコアガラスネック部分16は、ネック部分の厚さ28を含み、外側の露出したコアビード部分18は、コアビードの厚さ30を含む。概して、(例えば、クラッドガラスが、コアガラスより高い粘度を有する場合)粘度の不整合により、ガラスリボンを引き出すにつれて、クラッドガラスが厚くなって、クラッドビード部分15を形成し、コアガラスは薄くなって、コアガラスネック部分16を形成する。露出したコアガラスネック部分16、および、外側の露出したコアビード部分18の組合せは、露出したコアの幅32を形成し、その薄くなって、更に延伸する部分は、結果的に、ガラスが冷却するにつれて、高引張応力の領域を生じ、ガラスリボン12の破損につながりうる。露出したコアの幅32は、引張応力を生じるのに十分大きい、例えば、25mmから100mmでありうる。そのようなコア幅は、外側部分15の厚さと同じ程度の大きさでないことがありうる(つまり、露出したコアの幅32は、例えば、約5mmより薄くてもよい外側部分15の厚さより、かなり大きい)。したがって、高い張力が加わった露出したコア層は、結果的に、自然破損、並びに、寸法および安定性の問題を生じ、更に、溶融ガラスクラッディング組成物206の狭幅化によって、縁部ビードの厚さが増加したことで、分離を難しくしうる。本明細書に記載したガラス形成装置の実施形態は、積層ガラスリボンの少なくとも1つの層を形成する溶融ガラスの狭幅化を軽減するか、および/または、ガラスリボンの内側部分と外側部分の厚さ比について均一性を生じるので、それによって、ガラス形成装置の処理安定性、および、スループットを改良しうる。
【0031】
図5、11、13および15に示したガラスリボンは、3つの層を含むが、他の実施形態も、この開示に含まれる。他の実施形態において、ガラスリボンは、2つ、4つ、または、もっと多くの層など、所定の数の層を有しうる。例えば、2つの層を含むガラスリボンは、2つの層が形成体の各根元部から進行する間に合流するように配置された2つ形成体を用いて、形成しうる。4つ以上の層を含むガラス物品は、更なる形成体を用いて形成しうる。更なる形成体は、概して、本明細書に記載したように配列しうる。
【0032】
但し、
図5、11、13、および、15は、本明細書に記載した例示的なガラスリボンの一部だけを示している。様々な実施形態において、ガラスリボンは、第2の外側部分、または、ビード部分を、ガラスリボンの反対側の縁部に含む。内側部分は、対向する外側またはビード部分の間に延伸する。
【0033】
実施形態において、ガラス形成装置201は、上側形成体202から内側間隙303内に延伸して、溶融ガラスクラッディング組成物206の狭幅化を軽減する縁部ガイド部を、更に含みうる。
【0034】
例えば、
図6は、上に重ねた円310a内の縁部領域の拡大図を示し、湾曲した縁部ガイド部81aを含む。具体的には、上側形成体202は、内側上側堰壁部302aに沿って配置された湾曲した縁部ガイド部81aを含む。湾曲した縁部ガイド部81aを、例えば、白金、若しくは、白金ロジウム、白金イリジウム、および、それらの組合せなどの白金含有金属から、形成してもよい。その代わりに、湾曲した縁部ガイド部81aを、モリブデン、パラジウム、レニウム、タンタル、チタン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、ジルコニウム、および、それらの合金などの耐火性金属、並びに/若しくは、ジルコニアから形成してもよい。
図6に示した実施形態において、湾曲した縁部ガイド部81aは、上部83、および、上部83に対して角度をつけて向いた湾曲した底部85を含む。湾曲した縁部ガイド部81aの上部83が、内側上側堰壁部302aと位置合わせされて、それに接触するように、湾曲した縁部ガイド部81aは、上側形成体202上に配置される。したがって、湾曲した縁部ガイド部81aの上部83は、上側形成体202の上側堰部空間に位置するか、または、それに直に隣接して、接触して位置すると理解すべきである。湾曲した縁部ガイド部81aの底部85は、上側形成体202から、少なくとも部分的には、内側間隙303内に延伸する。湾曲した縁部ガイド部81aの底部85は、内側上側堰壁部302aから横方向に離れて、上側堰部空間から横方向に(つまり、
図6に示した座標軸の−x方向に)広がる。本明細書に記載した実施形態において、湾曲した縁部ガイド部81aの底部85は、一定の曲率半径、または、減少する曲率半径で、上部83から湾曲していてもよい。
図6は、上に重ねた円310a内の上側形成体202の部分だけを示しているが、上に重ねた円310bの領域において、同様の縁部ガイド部を、上側形成体202の内側上側堰壁部302bに取り付けてもよいと理解すべきである。
【0035】
更に
図6を参照すると、溶融ガラスクラッディング組成物206が、内側上側堰壁部302aに沿って下方に流れるにつれて、内側上側堰壁部302aは、溶融ガラスクラッディング組成物206を、湾曲した縁部ガイド部81aの上部83上へと導く。溶融ガラスクラッディング組成物206は、湾曲した縁部ガイド部81aの上部83に沿って、更に、湾曲した縁部ガイド部81aの底部85上へと流れる。溶融ガラスクラッディング組成物206が上側堰部空間から流出して、重力が、溶融ガラスクラッディング組成物206の湾曲した縁部ガイド部81aとの付着を失わせるまで、溶融ガラスクラッディング組成物206は、湾曲した縁部ガイド部81aの底部85の輪郭を、
図6に示した座標軸の−x方向に辿る。溶融ガラスクラッディング組成物206が、湾曲した縁部ガイド部81aとの付着を失うにつれて、溶融ガラスクラッディング組成物206は、内側間隙303を通って、上側形成体202から下側形成体204へと落下して、溶融ガラスクラッディング組成物206が、下側形成体204を流れる溶融コアガラス組成物の上面に達する。湾曲した縁部ガイド部81aの形状は、結果的に、溶融ガラスクラッディング組成物206の狭幅化パターンATT
2を生じる。狭幅化パターンATT
2は、縁部ガイド部81aの湾曲形状により、狭幅化パターンATT
1と比べて、狭幅化が軽減されている。
【0036】
図6は、湾曲した縁部ガイド部81aを示しているが、他の縁部ガイド部構成も企図され、可能であると理解すべきである。例えば、
図7は、上に重ねた円310a内の縁部領域の拡大図を示し、角度がついた縁部ガイド部81aを含む。具体的には、上側形成体202は、内側上側堰壁部302aに沿って配置された角度がついた縁部ガイド部84aを含む。角度がついた縁部ガイド部84aを、例えば、白金、若しくは、白金ロジウム、白金イリジウム、および、それらの組合せなどの白金含有金属から、形成してもよい。その代わりに、角度がついた縁部ガイド部84aを、モリブデン、パラジウム、レニウム、タンタル、チタン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、ジルコニウム、および、それらの合金などの耐火性金属、並びに/若しくは、ジルコニアから形成してもよい。
図7の実施形態において、角度がついた縁部ガイド部84aは、上部87、および、上部87に対して角度αで向いた角度がついた底部89を含む。縁部ガイド部84aの角度がついた底部89は、上部87から角度αで、外側に広がって、または、角度がついていてもよい。実施形態において、上部87と底部89の間の角度αは、例えば、約90度から約180度であってもよい。いくつかの実施形態において、角度αは、約135度以下、約120度以下、または、約110度以下でありうる。例えば、特定の一実施形態において、角度αは、約100から約110度でありうる。
【0037】
角度がついた縁部ガイド部84aの上部87が、内側上側堰壁部302aと位置合わせされて接触するように、角度がついた縁部ガイド部84aを、上側形成体202上に配置する。したがって、角度がついた縁部ガイド部84aの上部87は、上側形成体202の上側堰部空間に位置するか、または、それと直に隣接して、接触して位置すると理解すべきである。角度がついた縁部ガイド部84aの底部89は、上側形成体202から、少なくとも部分的には、内側間隙303内に延伸する。角度がついた縁部ガイド部84aの底部89は、内側上側堰壁部302aから横方向に離れて、上側堰部空間から横方向(つまり、
図7に示した座標軸の−x方向に)広がる。
図7は、上に重ねた円310a内の上側形成体202の部分だけを示しているが、上に重ねた円310bの領域において、同様の縁部ガイド部を、上側形成体202の内側上側堰壁部302bに取り付けてもよいと理解すべきである。
【0038】
更に
図7を参照すると、溶融ガラスクラッディング組成物206が、内側上側堰壁部302aに沿って下方に流れるにつれて、内側上側堰壁部302aは、溶融ガラスクラッディング組成物206を、角度がついた縁部ガイド部84aの上部87上へと導く。溶融ガラスクラッディング組成物206は、角度がついた縁部ガイド部84aの上部87に沿って、更に、角度がついた縁部ガイド部84aの底部89上へと流れる。溶融ガラスクラッディング組成物206が上側堰部空間から流出し、重力が、溶融ガラスクラッディング組成物206の角度がついた縁部ガイド部84aとの付着を失わせるまで、溶融ガラスクラッディング組成物206は、角度がついた縁部ガイド部84aの底部87の輪郭を、
図7に示した座標軸の−x方向に辿る。溶融ガラスクラッディング組成物206が、角度がついた縁部ガイド部84aとの付着を失うにつれて、溶融ガラスクラッディング組成物206は、内側間隙303を通って、上側形成体202から下側形成体204へと落下し、溶融ガラスクラッディング組成物206が、下側形成体204を流れる溶融コアガラス組成物の上面に達する。角度がついた縁部ガイド部84aの形状は、結果的に、溶融ガラスクラッディング組成物206の狭幅化パターンATT
3を生じる。狭幅化パターンATT
3は、角度がついた縁部ガイド部84aの形状により、狭幅化パターンATT
1と比べて、狭幅化が軽減されている。
【0039】
図6および7に基づいて、
図6に示した湾曲した縁部ガイド部81a、および、
図7に示した角度がついた縁部ガイド部84aなどの縁部ガイド部を用いて、上側形成体202から下側形成体204に流れる溶融ガラスの狭幅化を軽減しうると理解すべきである。具体的には、縁部ガイド部の外側に広がった形状は、溶融ガラスの流れを、横方向に外側に(つまり、ガラス形成装置201の中心線73(
図3)から離れるように)向けて、縁部ガイド部がない(つまり、
図4に示したような)場合には生じるであろう溶融ガラスの狭幅化を、軽減する。縁部ガイド部の使用は、結果的に得られる積層ガラスリボンのクラッディングでの厚くなった縁部ビードの形成を軽減して、過剰な引張応力の発生を減らして、概して、ガラス形成装置201を用いた、積層ガラスリボンの形成処理の安定性を改良する。
【0040】
いくつかの実施形態において、縁部ガイド部は、内側上側堰壁部302a、および、内側間隙303に対して再配置自在で、発生する狭幅量の制御を容易にしてもよい。例として、
図8Aおよび8Bを参照すると、縁部ガイド部84aを、内側上側堰壁部302a上に摺動自在に載置するように、構成してもよい。本実施形態において、縁部ガイド部84aが、内側上側堰壁部302aに沿って
図8Aに示した座標軸の+/−z方向に摺動自在なように、縁部ガイド部84aの上部87を、内側上側堰壁部302aの周りを包むスリーブ部90と嵌合させてもよい。縁部ガイド部84aの位置の制御を容易にするために、縁部ガイド部84aは、調節機構を、更に含んでもよい。実施形態において、調節機構は、例えば、縁部ガイド部84aのスリーブ部90に取り付けた、ねじ山付き溶接ナット91を含んでもよい。ねじ山付きロッド92を、ねじ山付き溶接ナット91に、ねじ込み自在に受け入れてもよい。ねじ山付きロッド92を、ねじ山付き溶接ナット91に対して回転して、縁部ガイド部84aを、回転方向に応じて、+/−z方向に移動させる。その代わりに、溶接ナット91およびロッド92は、ねじ山付きではなく、ロッド92を移動させることで、(溶接ナット91が取り付けられた)縁部ガイド部84aを、+/−z方向に移動させるように、互いに連結してもよい。他の代わりの例として、ロッド92を移動させることで、縁部ガイド部84aを、+/−z方向に移動させるように、ロッド92を、縁部ガイド部84aに直に連結してもよい。他の限定するものではない例として、より詳細に以下に記載するように、形成体202、204の1つを他方に対して移動させたら、調節機構が、縁部ガイド部84aを、+/−z方向に、または、+/−z方向から回転した軸に沿って移動させる。実施形態において、調節機構は、水圧または気圧シリンダーシステム、カムおよびペグシステム、、ラックおよびピニオンシステム、並びに/若しくは、本明細書に記載したように縁部ガイド部84aを移動させるのに適した任意の他の類似の調節機構を含んでもよい。
【0041】
実施形態において、縁部ガイド部84aの位置の調節を、ねじ山付きロッド92を手動で回転するなど、手動で行ってもよい。いくつかの他の実施形態において、縁部ガイド部84aの位置の調節を、ねじ山付きロッド92を、作動装置(つまり、モータなど(不図示))、および、マイクロコントローラ(不図示)に連結する場合など、自動で行ってもよい。マイクロコントローラが、作動装置の動作を、したがって、ねじ山付きロッドの回転を制御してもよい。実施形態において、マイクロコントローラは、プロセッサ、および、読取可能で実行可能な命令を含んだメモリなどの非一時的記憶媒体を、含んでもよい。プロセッサが、命令を実行すると、マイクロコントローラが、マイクロコントローラに通信自在に繋げられた作動装置を用いて、ねじ山付きロッド92を回転する。ねじ山付きロッド92を回転することで、縁部ガイド部84aが、回転方向に応じて、+または−z方向に移動する。
【0042】
更に
図8Aおよび8Bを参照すると、縁部ガイド部84aを、−z方向に下げることで、縁部ガイド部84aを、上側形成体と下側形成体の間の内側間隙内に更に挿入して、溶融ガラスクラッディング組成物が上側形成体202を離れると、溶融ガラスクラッディング組成物の流れを、−x方向に広げることによって、上側形成体202を流れる溶融ガラスクラッディング組成物の狭幅化を更に軽減する。しかしながら、縁部ガイド部84aを、+z方向に上げると、溶融クラッディングガラス組成物が、下側形成体に対して高い高さで、縁部ガイド部84aとの付着を失って、溶融ガラスクラッディング組成物を、内側間隙を通るにつれて内側に先細にさせるので、上側形成体202を流れる溶融ガラスクラッディング組成物の狭幅化を増加させうる。
【0043】
上記のように、溶融ガラスクラッディング組成物の狭幅化は、少なくとも部分的には、上側形成体202と下側形成体204の間の内側間隙303の大きさに因るものである。例としてであり、限定するものではないが、ここで、
図4、8Aおよび8Bを参照すると、下側形成体204の上面の溶融ガラスコア組成物208が、縁部ガイド部84aの底部89から、約2.54センチメートル未満で離間するように、縁部ガイド部84aの底部89は、下側形成体204の上面から離間していてもよい。いくつかの実施形態において、下側形成体204の上面の溶融ガラスコア組成物208が、縁部ガイド部84aの底部89から、0センチメートルより広く、約1.27センチメートル以下で離間するように、縁部ガイド部84aの底部89は、下側形成体204の上部から離間していてもよい。いくつかの他の実施形態において、下側形成体204の上面の溶融ガラスコア組成物208が、縁部ガイド部84aの底部89から、0センチメートルより広く、約0.64センチメートル以下で離間するように、縁部ガイド部84aの底部89は、下側形成体204の上面から離間していてもよい。上記のような間隔は、溶融ガラスクラッディング組成物206の形成体202と形成体204の間での落下距離を縮小し、それは、狭幅化を軽減して、より薄く、溶融ガラスクラッディング組成物206のより広い距離に延伸する縁部ビードを生成する。
【0044】
処理条件を変更するように内側間隙303の空間を傾けるか、または、調節することによって、各形成体202、204を、互いに移動させた場合には、縁部ガイド部84aの位置を調節して、縁部ガイド部の底部と下側形成体204の上部の間の望ましい間隔を維持してもよい。
【0045】
図6および7は、縁部ガイド部の具体的な実施形態を示しているが、縁部ガイド部の他の実施形態も企図され、可能であると理解すべきである。つまり、縁部ガイド部を、
図6および7に示したもの以外の異なる構成、および/または、(様々な形状および大きさを含む)幾何学形状で構成して、本明細書に記載したような狭幅化の軽減のためお縁部ガイド部の機能性を保持したまま、様々なガラス形成装置、および/または、形成容器の構成に適応させうる。更に、縁部ガイド部を、
図9から10Bに概略的に示し、以下に記載する、連結した形成体と共に、追加で用いてもよいと理解すべきである。連結した形成体も、縁部ガイド部を使用するかに関わらず、縁部ガイド部のように、溶融ガラスの狭幅化を軽減するのに用いてもよく、本明細書で、更に詳細に記載する。
【0046】
ここで、
図9を参照すると、ガラス形成装置201’の他の実施形態を、概略的に示している。ガラス形成装置201’は、上側形成体202’、および、下側形成体204’を含む。しかしながら、本実施形態において、上側形成体202’と下側形成体204’を連結しており、それによって、内側間隙303(つまり、
図3および9に示した端堰部の内側、または、それらの堰部同士の間の間隙)を維持しながら、外側間隙(つまり、
図3に示した端堰部の外側の間隙)の少なくとも一部をなくしている。したがって、上側形成体202’と下側形成体204’は、形成面および/または堰部空間の外側、または、横方向に外側の領域で、連結している。より詳しくは、本実施形態において、ガラス形成装置201’は、上側形成体202’と下側形成体204’間に延伸して連結した外側端部301a、301bを含む。ガラス形成装置201’を、上側形成体202’と下側形成体204’が、外側端部301a、301bで連結するように構成することで、上側形成体202’と下側形成体204’の堰部空間の位置合わせの制御が可能になり、次に、上側形成体202’と下側形成体204’の間を流れる溶融ガラスの狭幅化を規制するのに使用しうる。
【0047】
様々な実施形態において、各上側および下側形成体を、一体のものとして形成することによって、または、上側および下側形成体を、別々に形成して、それらを互いに連結することによって、上側形成体および下側形成体を、連結してもよい。いくつかの実施形態において、別々の上側および下側形成体を、(例えば、本明細書で
図10Aおよび10Bを参照して記載したような)構成要素、(例えば、形成体を接合するのに使用する耐火性材料などの)接着剤、(例えば、上側形成体を下側形成体上に置くことによる)摩擦力、または、他の適切な機構を用いて、連結してもよい。
【0048】
図9では、外側端部301a、301bが、上側および下側形成体202’、204’の対向する外側縁部に配置されて、示されているが、他の実施形態も本開示に含まれる。例えば、いくつかの実施形態において、上側および下側形成体は、形成体同士が連結される一方、または、両方の外側端部を越えて、横方向に延伸する。したがって、形成体の外側縁部は、形成面、および/または、堰部の外側端部と一致しても、しなくてもよい。更に、または、その代わりに、形成体の外側縁部は、互いに、位置合わせされても、されなくてもよい。
【0049】
更に
図9を参照すると、上側形成体202’は、外側形成面222’、および、外側形成面222’と境界を接する1対の上側堰部302’を含む。上側堰部302’は、幅方向に(つまり、
図9に示した座標軸の+/−x方向に)延伸する上側堰部空間302s’を形成する。上側堰部空間302s’は、上側堰部302’の内側上側堰壁部302a’、302b’の間に延伸する。上側堰部302’、より詳しくは、内側上側堰壁部302a’、302b’は、ガラス形成装置201’の動作中に、溶融ガラスが、上側形成体202’の側縁部を越えて流れるのを防ぐ。図示していないが、上側形成体202’は、(本明細書で、
図2を参照して記載したように)外側形成面222’の反対側の第2の外側ガラス形成面を含んでもよく、それは、同様に、堰部空間を形成する1対の上側堰部を含んでもよい。
【0050】
下側形成体204’は、外側形成面218’、および、外側形成面218’と境界を接する1対の下側堰部304’を含む。下側堰部304’は、幅方向に(つまり、
図9に示した座標軸の+/−x方向に)延伸する下側堰部空間304s’を形成する。下側堰部空間304s’は、下側堰部304’の内側下側堰壁部304a’、304b’の間に延伸する。下側堰部304’、より詳しくは、内側下側堰壁部304a’、304b’は、ガラス形成装置201’の動作中に、溶融ガラスが、下側形成体の側縁部を越えて流れるのを防ぐ。図示していないが、下側形成体204’は、(本明細書で、
図2を参照して記載したように)形成面218’の反対側の第2の外側ガラス形成面を含んでもよく、それは、同様に、下側堰部空間を形成する1対の下側堰部を含んでもよい。
【0051】
図9に示したガラス形成装置201’の実施形態において、上側堰部302’および下側堰部304’が、上側形成体202’から下側形成体204’へ延伸する共通堰部を形成するように、上側堰部空間302s’を画定する内側上側堰壁部302a’、302b’が、下側堰部空間304s’を画定する内側下側堰壁部304a’、304b’と、位置合わせされる。本実施形態において、上側堰部空間302s’の幅と、下側堰部空間304s’の幅は、等しい。上側形成体202’から下側形成体204’に延伸する共通堰部を使用することで、上側形成体202’の外側形成面222’を流れる溶融ガラスクラッディング組成物206の狭幅化の軽減または排除を、容易にしうる。
【0052】
具体的には、溶融ガラスクラッディング組成物206が、上側形成体202’から溢れて、外側形成面222’を流れると、溶融ガラスクラッディング組成物206は、内側上側堰壁部302a’、302b’に接触し、それは、溶融ガラスクラッディング組成物206が、上側形成体202’の側縁部を越えて流れるのを防ぐ。本実施形態において、内側上側堰壁部302a’、302b’も、溶融ガラスクラッディング組成物206の狭幅化を軽減しながら、溶融ガラスクラッディング組成物206を、内側間隙303を通って導く。溶融ガラスクラッディング組成物206が、内側間隙303を通る時に、溶融ガラスクラッディング組成物206は、内側上側堰壁部の近傍の内側間隙303の両端部で、内側上側堰壁部302a’、302b’を辿り、そこに付着し、更に、内側間隙303を通って、内側下側堰壁部304a’、304b’へと流れる。つまり、溶融ガラスクラッディング組成物206が、内側間隙303を通って移行する時に、溶融ガラスの流れは、内側上側堰壁部302a’、302b’と接触したままであり、溶融ガラスクラッディング組成物206が、内側下側堰壁部304a’、304b’に移行する時に、溶融ガラスクラッディング組成物206と内側上側堰壁部302a’、302b’との相互作用が、溶融ガラスが内側に狭幅化するのを防ぐ。内側間隙303の中心の近傍で、溶融ガラスクラッディング組成物206は、下側形成体204’を流れる溶融コアガラス組成物の上面に達するように、上側形成体202’から下側形成体204’へ、内側間隙303を通って流れ、溶融ガラスクラッディング組成物は、溶融ガラスコア組成物と、合体するか、または、融着して、積層ガラスリボンを形成する。
【0053】
内側上側堰壁部302a’、302b’が、内側下側堰壁部304a’、304b’と位置合わせされた、
図9に示したガラス形成装置201’の実施形態において、ガラス形成装置201’の構造によって、溶融ガラスの狭幅化を軽減することで、コアガラス層を、縁部から縁部まで、幅方向に(つまり、
図9に示した座標軸の+/−x方向に)完全に覆うクラッディング層を含む積層ガラスリボンを製造する。更に、狭幅化を軽減することによって、
図9に示したガラス形成装置201’の構成は、結果的に得られる積層ガラスリボン上の縁部ビードの形成も、縮小、または、更に軽減する。
【0054】
ここで、
図10Aおよび10Bを参照すると、
図9の10a−10a線、および、10b−10b線に沿ったガラス形成装置201’の断面を、概略的に示している。本明細書に記載したガラス形成装置の上側および下側形成体は、概して、ジルコニアなどの耐火性セラミックスから形成される。上側および下側形成体の大きさ、および、幾何学的複雑さは、上側および下側形成体を、個別に形成して、その後で、上側および下側形成体を互いに連結して、ガラス形成装置201’を形成することを必要とさせる。
図10Aおよび10Bは、上側形成体202’を下側形成体204’に連結するのに使用しうる構成要素の一実施形態を、概略的に示している。本実施形態において、上側形成体202’を、下側形成体204’に、耐火性セラミックスの穴またはスロットに挿入するピン、ダウエルなどの構成要素307を用いて連結し、上側形成体202’を、下側形成体204’に位置合わせして、形成体の外側端部301a、301bの近傍で固定する。
図10Aおよび10Bに示したガラス形成装置201’の上側および下側形成体202’、204’は、(例えば、+/−z方向に)等しい厚さを有するが、本開示は、他の実施形態も含む。例えば、他の実施形態において、上側形成体は、下側形成体より厚いか、または、下側形成体より薄いことがありうる。
【0055】
様々な実施形態において、例えば、形成体、または、その一部を別々に形成し、別々の形成体、または、その一部を互いに連結することによって、または、形成体を一体構造として形成することによって(例えば、機械加工、鋳造、3Dプリント、または、他の適切な形成処理によって)、上側および下側形成体を、連結してもよい。
【0056】
図9のガラス形成装置で形成したガラスリボン12の例として
図11を参照すると、積層ガラスリボン12’は、内側部分14’、および、外側部分15’を含む。内側部分14’、および、外側部分15’は、上記のようにガラスコア層102、並びに、第1および第2のガラスクラッディング層104a、104bを含む。内側部分14’において、第1および第2のガラスクラッディング層104a、104bは、略等しいことがありうるガラスクラッディング層の厚さ42a、42bの合計である、第1の合算したガラスクラッディング層の厚さを形成する。厚さ比TR
3は、内側部分14’のガラスコア層の厚さ40の、第1の合算したガラスクラッディング層の厚さ(つまり、ガラスクラッディング層の厚さ42a、42bの合計)に対する比である。外側部分15’において、第1および第2のガラスクラッディング層104a、104bは、ガラスクラッディング層の厚さ46a、46bの合計である、第2の合算したガラスクラッディング層の厚さを形成し、それは、第1の合算したガラスクラッディング層の厚さより厚い。厚さ比TR
4は、外側部分15’のガラスコア層の厚さ44の、第2の合算したガラスクラッディング層の厚さ(つまり、ガラスクラッディング層の厚さ46a、46bの合計)に対する比である。厚さ比TR
4は、外側部分15’のガラスコア層の厚さ44の、第2の合算したガラスクラッディング層の厚さ(つまり、ガラスクラッディング層の厚さ46a、46bの合計)に対する比である。TR
4は、厚さ比TR
3に、略等しい。例えば、厚さ比TR
4は、厚さ比TR
3の約100%以内、約90%以内、約80%以内、約70%以内、約60%以内、約50%以内、約40%以内、約30%以内、約20%以内、約15%以内、約10%以内、約5%以内、または、約2%以内である。厚さ比TR
3と厚さ比TR
4の間で均一性が得られるように、ガラスコア層102の厚さが、内側部分14’と外側部分15’の間で増加し、第1および第2のガラスクラッディング層104a、104bの厚さも、ガラスリボン12の内側部分14’と外側部分15’の間で増加した。例えば、厚さ比TR
3およびTR
4の両方が、例えば、9など、約8から約10の範囲の比であってもよい。
【0057】
図11は、露出したコア幅部分を含まないので、クラッドガラスによって覆われていないガラスリボンのコア部分に起因しうる張力が、ガラスリボンの主表面に存在しない。しかしながら、ガラスリボンの外側縁部で、コア層が、露出するか、または、クラッディング層に覆われていないので、引張応力の成分がガラスリボンの縁部に存在しうる。外側部分15’の厚さは、例えば、2.5mmなど、約5mm未満でありうる。
【0058】
様々な実施形態において、ガラスリボンは、本明細書で記載したように、第1のクラッドガラス層、第2のクラッドガラス層、および、第1のクラッドガラス層と第2のクラッドガラス層の間に配置されたコアガラス層を含む。ガラスリボンは、内側部分、および、内側部分の縁部に沿って、長さ方向に(例えば、+/−z方向に)延伸する縁部ビードを含む。縁部ビードは、内側部分より厚い。ガラスリボンの厚さ比は、ガラスコア層の厚さの、第1のクラッドガラス層の厚さと第2のクラッドガラス層の厚さの合計に対する比を含む。いくつかの実施形態において、ガラスリボンの幅方向(例えば、+/−x方向)の全ての点における厚さ比は、ガラスリボンの幅方向に亘る厚さ比の平均値の約100%以内、約90%以内、約80%以内、約70%以内、約60%以内、約50%以内、約40%以内、約30%以内、約20%以内、約15%以内、約10%以内、約5%以内、または、約2%以内である。したがって、厚さ比は、ガラスリボンの幅に亘って、略一定である。例えば、厚さ比を、ガラスリボンの幅方向に沿った位置(例えば、x軸に沿った位置)の関数としてプロットし、平均厚さ比を、関数の平均値として計算しうる。いくつかの実施形態において、平均厚さ比は、約1から約10である。更に、または、その代わりに、幅方向は、長さ方向に垂直である。更に、または、その代わりに、縁部ビードは、内側部分の第1の縁部に沿って、長さ方向に延伸する第1の縁部ビード、および、内側部分の第2の縁部に沿って、長さ方向に延伸する第2の縁部ビードを含む。
【0059】
図12は、ガラス形成装置201”の他の実施形態を示す。本実施形態において、上側形成体202”と下側形成体204”は、
図9、10Aおよび10Bを参照して記載したように、互いに連結されている。しかしながら、本実施形態において、上側堰部空間302s”が下側堰部空間304s”より幅広いように、上側堰部302”の内側上側堰壁部302a”、302b”は、下側堰部304”の内側下側堰壁部304a”、304b”の外側に位置する。限定するものではない例として、内側上側堰壁部302a”、302b”は、内側下側堰壁部304a”、304b”の約1.27センチメートル、または、約2.54センチメートル外側であってもよい。上側堰部空間302s”の方が大きいことで、
図9について記載したように、溶融ガラスクラッディング組成物206が、上側形成体202”を流れて、内側間隙を通って、狭幅化せずに移行する。更に、内側下側堰壁部304a”、304b”は、角度がついているか、または、下側堰部空間304s”の幅が、
図12に示した座標軸の−z方向に減少するように、内側に先細であってもよい。角度がついた内側下側堰壁部302は、下側形成体204”を流れる溶融ガラスクラッディング組成物206の幅を更に縮小し、溶融ガラスの流れ密度を高めて、溶融ガラスコア組成物208の流れ密度と同様にする。ガラス形成装置201”の本実施形態を用いて、積層ガラスリボンのコア層(したがって、コア層の中心張力)が露出しないように、溶融ガラスクラッディング組成物は、溶融ガラスコア組成物を完全に包み込む。
【0060】
図12のガラス形成装置で形成したガラスリボン12の例として、
図13を参照すると、積層ガラスリボン12”は、内側部分14”、および、外側部分15”を含む。内側部分14”、および、外側部分15”は、上記のように、ガラスコア層102、並びに、第1および第2のガラスクラッディング層104a、104bを含む。内側部分14”において、第1および第2のガラスクラッディング層104a、104bは、略同じでありうるガラスクラッディング層の厚さ52a、52bの合計である第1の合算したガラスクラッディング層の厚さを形成する。厚さ比TR
5は、内側部分14”のガラスコア層の厚さ50の、第1の合算したガラスクラッディング層の厚さ(つまり、ガラスクラッディング層の厚さ52a、52bの合計)に対する比である。外側部分15”において、第1および第2のガラスクラッディング層104a、104bは、ガラスクラッディング層の厚さ56a、56bの合計である第2の合算したガラスクラッディング層の厚さを形成し、それは、第1の合算したガラスクラッディング層の厚さより厚い。厚さ比TR
6は、外側部分15”のガラスコア層の厚さ44の、第2の合算したガラスクラッディング層の厚さ(つまり、ガラスクラッディング層の厚さ56a、56bの合計)に対する比である。
図13の実施形態において、厚さ比TR
6は、厚さ比TR
5に略等しい(つまり、本明細書に記載したような妥当な許容誤差内のことを称して、等しいか、または、略等しい)。ガラスコア層102の厚さが、内側部分14”と外側部分15”の間で増加し、第1および第2のガラスクラッディング層104a、104bの厚さも、ガラスリボン12の内側部分14”と外側部分15”の間で増加し、結果的に、厚さ比TR
5と厚さ比TR
6の間で均一性が得られた。例えば、厚さ比TR
5およびTR
6の両方が、例えば、9など、約8から約10の範囲の比であってもよい。
【0061】
図11と同様に、
図13のガラスリボンは、露出したコア幅部分を含まず、クラッドガラスによって覆われていないガラスリボンのコア部分に起因しうる張力が、概して存在しない。確かに、上記のように、ガラス形成装置201”を用いて、
図13に示したように、積層ガラスリボンのコア層(したがって、コア層の中心張力)が露出しないように、溶融ガラスクラッディング組成物が、溶融ガラスコア組成物を、完全に包み込む。
図11の実施形態と同様に、外側部分15’”の厚さは、例えば、2.5mmなど、約5mm未満であってもよい。
【0062】
コア層が、クラッディング層内に、完全に包まれるので、
図13のガラスリボンは、
図11のガラスリボンと比べて、より広い範囲のCTE不整合、および/または、粘度の不整合を可能にする。しかしながら、
図13のガラスリボンの形成中に、クラッドガラスは、下側形成体204”の内側下側堰壁部304a”、304b”と接触しうる。したがって、クラッドガラスの液相粘度は、クラッドガラスが下側形成体の内側堰壁部に接触した時の失透を避けるのに十分に、高いべきである。したがって、
図11のガラスリボンは、
図13のガラスリボンと比べて、より広い範囲のクラッドガラスの液相粘度を可能にしうる。
【0063】
代わりの実施形態において、
図14に示すように、下側形成体204’”の内側下側堰壁部の内側に位置する内側上側堰壁部を有する上側堰部302’”を用いて、上側堰部空間が下側堰部空間より狭い幅を有するように、上側形成体202’”を構成しうる。限定するものではない例として、第1の堰部302’”は、約0.5センチメートル、約0.6センチメートル、約1.27センチメートル、または、約2.54センチメートル、第2の堰部304’”の内側であってもよく、これらの値以内の範囲を含む。第1および第2の堰部302’”、304’”は、一部で離間して、上側形成体202’”と下側形成体204’”の間の中間部分で、例えば、連結領域318で、連結されていてもよい。連結領域318は、白金シート、または、上側および下側形成体202’”、204’”が製作されたのと同じ材料で、製作されてもよい。第1および第2の堰部302’”、304’”を、例えば、1mmの厚さを有する白金シートで形成してもよい。本実施形態において、溶融ガラスクラッディング組成物206が、溶融ガラスコア組成物208上に流れる時に、溶融ガラスクラッディング組成物206は、(下側堰部304’”よって画定された)内側下側堰壁部に接触しない。これにより、組成物の液相温度が、下側堰部304’、または、下側形成体204’の他の構成要素の温度より低い場合に、溶融ガラスクラッディング組成物206の結晶化を防ぐ。
【0064】
例えば、
図15を参照すると、
図14のガラス形成装置で形成した積層ガラスリボン12’”は、内側部分14’”、外側部分15’”、および、露出したコア幅34を有する露出したコアビード部分を含む。内側部分14’”、および、外側部分15’”は、上記のように、ガラスコア層102、並びに、第1および第2のガラスクラッディング層104a、104bを含む。内側部分14’”において、第1および第2のガラスクラッディング層104a、104bは、略等しいことがありうるガラスクラッディング層の厚さ62a、62bの合計である第1の合算したガラスクラッディング層の厚さを形成する。厚さ比TR
7は、内側部分14’”のガラスコア層の厚さ60の、第1の合算したガラスクラッディング層の厚さ(つまり、ガラスクラッディング層の厚さ62a、62bの合計)に対する比である。外側部分15’”において、第1および第2のガラスクラッディング層104a、104bは、ガラスクラッディング層の厚さ66a、66bの合計である第2の合算したガラスクラッディング層の厚さを形成し、それは、第1の合算したガラスクラッディング層の厚さより厚い。厚さ比TR
8は、外側部分15’”ガラスコア層の厚さ64の、第2の合算したガラスクラッディング層の厚さ(つまり、ガラスクラッディング層の厚さ66a、66bの合計)に対する比である。
図15のガラスリボンにおいて、厚さ比TR
8は、厚さ比TR
7に略等しい。厚さ比TR
7と厚さ比TR
8の間で均一性を生じるように、ガラスコア層102の厚さが、内側部分14’”と外側部分15’”の間で増加し、第1および第2のガラスクラッディング層104a、104bの厚さも、ガラスリボン12’”の内側部分14’”と外側部分15’”の間で増加した。例えば、厚さ比TR
7およびTR
8の両方が、例えば、9など、約8から約10の範囲の比であってもよい。
【0065】
図15のガラスリボンは、露出したコア幅部分を含むが、露出したコア幅34は、外側部分15’”の厚さと同じ程度の大きさなので、クラッドガラスに覆われていないガラスリボンのコア部分に起因しうる張力は、概して、小さいか、または、存在しない。例えば、露出したコア幅34は、約2から約3mmの範囲で、外側部分15’”の厚さは、例えば、約2.5mmなど、約5mm未満であってもよい。限定するものではない例として、コア/クラッド積層ガラス物品内のコアガラスの張力が低下すると、ガラス形成処理の安定性を高めながら、ガラス表面における張力がガラス破損の可能性を高めるの十分なレベルに達することなく、コア/クラッドガラスのCTE、および/または、粘度のより高い不整合の組合せが得られる。更に、下側堰部304’”の近くのガラスコア層102の一部(つまり、第1および第2のガラスクラッディング層104a、104bに覆われていないガラスコア層102の露出した部分)の流れ密度を制限することによって、露出したコア幅34の量を、最小にしうる。例えば、
図14に示すように、第1および第2のガラスクラッディング層104a、104bを、ガラスコア層102を形成する下側堰部304”から離れたままにしつつ、連結領域318などのクラッド縁部ガイド部を、ガラスコア層102と係合させて、ガラスコア層102の露出した部分の流れ密度を、制限してもよい。
【0066】
ここで、本明細書に記載したガラス形成装置の実施形態を、フュージョン積層処理において、形成体同士の間を流れる溶融ガラスクラッディングの狭幅化を軽減するのに使用してもよいと、理解すべきである。溶融ガラスクラッディングの狭幅化を軽減することによって、より広い使用可能幅を有する積層ガラスリボンを取得しうる。更に、溶融ガラスクラッディング組成物の狭幅化を軽減することによって、積層ガラス物品の縁部またはビードにおけるコア部分の張力が低下し、ガラス形成処理の安定性を高めながら、ガラス表面における張力がガラス破損の可能性を高めるの十分なレベルに達することなく、CTE(および/または、粘度)のより大きい不整合を有するガラスの組合せを用いることが可能になる。更に、形成したガラスリボンの内側部分と外側部分の厚さ比の均一性が得られ、存在しうる露出したコア部分を、各ガラスリボンの外側部分の厚さと同じ程度の大きさにし、したがって、露出したコア部分における引張応力を低下させる。
【0067】
当業者には、請求した主題の精神および範囲を逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態に様々な変更および変形が可能であることが、明らかであろう。したがって、本明細書は、添付の請求項、および、その等価物の範囲である限りは、ここで記載した様々な実施形態の変更および変形も網羅することを意図する。
【0068】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0069】
実施形態1
積層ガラスリボン製作装置において、
外側形成面に亘って延伸する上側堰部空間を画定する1対の互いに離間した上側堰部と横方向に境界を接する前記外側形成面を有する上側形成体と、
前記上側形成体の下流側に配置されて、内側間隙によって、該上側形成体の前記外側形成面から離間した外側形成面を有する下側形成体と、
前記1対の上側堰部の内側上側堰壁部に沿って配置された縁部ガイド部と、
を含み、
前記縁部ガイド部の上部は、前記上側形成体の前記上側堰部空間内に位置し、該縁部ガイド部の底部は、前記内側間隙に、前記下側形成体の前記外側形成面から離間して配置された装置。
【0070】
実施形態2
前記縁部ガイド部の前記底部が、前記下側形成体の前記外側形成面から、2.54cm以下で離間したものである、実施形態1に記載の装置。
【0071】
実施形態3
前記縁部ガイド部の前記底部が、該縁部ガイド部の前記上部に対して角度がついたものである、実施形態1または2に記載の装置。
【0072】
実施形態4
前記縁部ガイド部の前記底部が、該縁部ガイド部の前記上部に対して、約90度から約180度の角度を有するものである、実施形態3に記載の装置。
【0073】
実施形態5
前記縁部ガイド部の前記底部が、該縁部ガイド部の前記上部に対して、外側に湾曲したものである、実施形態1または2に記載の装置。
【0074】
実施形態6
前記縁部ガイド部の前記底部が、連続した曲率半径を有するものである、実施形態5に記載の装置。
【0075】
実施形態7
前記縁部ガイド部の位置が、前記内側上側堰壁部に対して、垂直方向に調節可能である、実施形態1から6のいずれか1つに記載の装置。
【0076】
実施形態8
前記縁部ガイド部が、
前記内側上側堰壁部と係合したスリーブ部と、
前記スリーブ部に取り付けられたねじ山付き溶接ナットと、
前記ねじ山付き溶接ナットとねじ込み自在に係合した、ねじ山付きロッドと、
を含み、
前記ねじ山付きロッドを回転することで、前記内側上側堰壁部上の前記縁部ガイド部の位置を調節するものである、実施形態1から7のいずれか1つに記載の装置。
【0077】
実施形態9
前記上側形成体の前記外側形成面の外側の表面が、外側間隙によって、前記下側形成体の前記外側形成面の外側の表面から離間し、
前記上側形成体が、前記下側形成体に対して、移動自在である、実施形態1から8のいずれか1つに記載の装置。
【0078】
実施形態10
前記上側形成体の前記外側形成面の外側の該上側形成体の一部が、前記下側形成体の前記外側形成面の外側の該下側形成体の一部に連結されたものである、実施形態1から8のいずれか1つに記載の装置。
【0079】
実施形態11
前記下側形成体の前記外側形成面が、該下側形成体の該外側形成面に亘って延伸する下側堰部空間を画定する1対の互いに離間した下側堰部と、横方向に境界を接し、
前記1対の上側堰部、および、前記1対の下側堰部が、1対の共通堰部を形成するように、前記上側堰部空間が、前記下側堰部空間に等しいものである、実施形態10に記載の装置。
【0080】
実施形態12
前記下側形成体の前記外側形成面が、該下側形成体の該外側形成面に亘って延伸する下側堰部空間を画定する1対の互いに離間した下側堰部と、横方向に境界を接し、
前記上側堰部空間が、前記下側堰部空間より大きいか、または、小さいものである、実施形態10に記載の装置。
【0081】
実施形態13
ガラスリボン製作装置において、
外側形成面に亘って延伸する上側堰部空間を画定する1対の互いに離間した上側堰部と横方向に境界を接する前記外側形成面を有する上側形成体と、
前記上側形成体の下流側に配置されて、外側形成面に亘って延伸する下側堰部空間を画定する1対の互いに離間した下側堰部と横方向に境界を接する前記外側形成面を有する下側形成体と、
を含み、
前記上側形成体の前記外側形成面は、内側間隙によって、前記下側形成体の前記外側形成面から離間し、
前記上側形成体の前記外側形成面の外側の該上側形成体の一部が、前記下側形成体の前記外側形成面の外側の該下側形成体の一部と連結したものである装置。
【0082】
実施形態14
前記内側間隙が、前記上側堰部空間と前記下側堰部空間の間に、かつ、幅が広い方の空間内に配置されたものである、実施形態13に記載の装置。
【0083】
実施形態15
前記上側形成体の前記外側形成面の外側の表面が、前記下側形成体の前記外側形成面の外側の表面に連結されたものである、実施形態13または14に記載の装置。
【0084】
実施形態16
前記上側堰部空間の幅が、前記下側堰部空間の幅より大きいものである、実施形態13から15のいずれか1つに記載の装置。
【0085】
実施形態17
前記下側堰部空間の前記幅は、下方垂直方向に、減少するものである、実施形態16に記載の装置。
【0086】
実施形態18
前記上側堰部空間の幅は、前記下側堰部空間の幅より狭いものである、実施形態13から15のいずれか1つに記載の装置。
【0087】
実施形態19
1対の共通堰部が、前記上側形成体から前記下側形成体に延伸するように、前記1対の上側堰部の内側上側堰壁部が、前記1対の下側堰部の内側下側堰壁部と位置合わせされたものである、実施形態13から15のいずれか1つに記載の装置。
【0088】
実施形態20
前記1対の上側堰部の内側上側堰壁部が、前記1対の下側堰部の内側下側堰壁部の横方向に外側に配置されたものである、実施形態13から15のいずれか1つに記載の装置。
【0089】
実施形態21
内側下側堰壁部の間隔が、下方垂直方向に減少するものである、実施形態20に記載の装置。
【0090】
実施形態22
前記1対の上側堰部の内側上側堰壁部が、前記1対の下側堰部の内側下側堰壁部の内側に位置するものである、実施形態13から15のいずれか1つに記載の装置。
【0091】
実施形態23
ガラスリボンにおいて、
第1のクラッドガラス層、および、第2のクラッドガラス層と、
前記第1のクラッドガラス層と前記第2のクラッドガラス層の間に配置されたコアガラス層と、
内側部分、および、前記内側部分の縁部に沿って長さ方向に延伸し、該内側部分より厚い縁部ビードと、
前記ガラスコア層の厚さの、前記第1のクラッドガラス層の厚さと前記第2のクラッドガラス層の厚さの合計に対する比を含む厚さ比と、
を含み、
前記ガラスリボンの幅方向に亘る全ての点における前記厚さ比が、該ガラスリボンの前記幅方向に亘る平均厚さ比の約100%以内であるガラスリボン。
【0092】
実施形態24
前記平均厚さ比が、約1から約10である、実施形態23に記載のガラスリボン。
【0093】
実施形態25
前記幅方向は、前記長さ方向に垂直である、実施形態23または24に記載のガラスリボン。
【0094】
実施形態26
前記縁部ビードが、前記内側部分の第1の縁部に沿って、前記長さ方向に延伸する第1の縁部ビード、および、該内側部分の第2の縁部に沿って、該長さ方向に延伸する第2の縁部ビードを含むものである、実施形態23から25のいずれか1つに記載のガラスリボン。
【0095】
実施形態27
コアガラス層、および、1対のクラッドガラス層を含むガラスリボンにおいて、
第1の合算したガラスクラッディング層の厚さ、および、第1のガラスコア層の厚さを含み、前記第1のガラスコア層の厚さの、前記第1の合算したガラスクラッディング層の厚さに対する比に基づく第1の厚さ比を有する内側部分と、
第2の合算したガラスクラッディング層の厚さ、および、第2のガラスコア層の厚さを含み、前記第2のガラスコア層の厚さの、前記第2の合算したガラスクラッディング層の厚さに対する比に基づく第2の厚さ比を有する外側部分と、
を含み、
前記第1の厚さ比が、前記第2の厚さ比に略等しいものであるガラスリボン。
【0096】
実施形態28
前記第1の厚さ比、および、第2の厚さ比が、約8から約10の範囲に等しいものである、実施形態27に記載のガラスリボン。
【0097】
実施形態29
前記第2の合算したガラスクラッディング層の厚さは、前記第1の合算したガラスクラッディング層の厚さより厚く、前記第2のガラスコア層の厚さは、前記第1のガラスコア層の厚さより厚い、実施形態27または28に記載のガラスリボン。