特表2018-534251(P2018-534251A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-534251BACE阻害剤として有用なN−[2−(3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]アミド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-534251(P2018-534251A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(54)【発明の名称】BACE阻害剤として有用なN−[2−(3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]アミド
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/14 20060101AFI20181026BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20181026BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20181026BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20181026BHJP
   A61K 31/549 20060101ALI20181026BHJP
【FI】
   C07D417/14CSP
   A61P43/00 111
   A61P25/28
   A61P3/10
   A61K31/549
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】94
(21)【出願番号】特願2018-514816(P2018-514816)
(86)(22)【出願日】2016年9月16日
(85)【翻訳文提出日】2018年5月14日
(86)【国際出願番号】IB2016055536
(87)【国際公開番号】WO2017051294
(87)【国際公開日】20170330
(31)【優先権主張番号】62/222,986
(32)【優先日】2015年9月24日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【弁理士】
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100137040
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【弁理士】
【氏名又は名称】龍田 美幸
(72)【発明者】
【氏名】マイケル アーロン ブロドニー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ライアン バトラー
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン トーマス オニール
(72)【発明者】
【氏名】ロメリア デル カルメン サロモン フェレール
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ロバート ヴァーホスト
(72)【発明者】
【氏名】レイ ジャン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB01
4C063CC67
4C063DD62
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC87
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA10
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZC20
4C086ZC35
4C086ZC52
(57)【要約】
本発明は、式Iの構造を有し、可変基R、R、Rが明細書において定義されているとおりである化合物、その開示されている化合物の互変異性体、および薬学的に許容できる塩を対象とする。対応する医薬組成物、治療方法、合成方法、および中間体も開示する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】
[式中、
は、N、O、またはSから独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を有し、ヘテロ原子の少なくとも1個はNであり、前記Nは、Rで置換されていてもよい、5〜6員ヘテロアリールであり、前記5〜6員ヘテロアリールは、炭素上で、1〜3個のRで置換されていてもよく、
およびRは、それぞれ独立に、水素、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、または3〜7員ヘテロシクロアルキルであり、C1〜6アルキルは、C1〜3アルコキシまたは1〜3個のフルオロで置換されていてもよく、C3〜6シクロアルキルおよび3〜7員ヘテロシクロアルキルは、1〜3個のフルオロ、C1〜3アルキル、またはC1〜3アルコキシでそれぞれ独立に置換されていてもよく、
またはRおよびRは、これらが結合している炭素と一緒になって、C3〜6シクロアルキル環または3〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成しており、これらはそれぞれ、1〜3個のフルオロ、C1〜3アルキル、またはC1〜3アルコキシで独立に置換されていてもよく、
は、出現する毎に、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C3〜6アルケニル、C3〜6アルケニルオキシ、C3〜6アルキニル、C3〜6アルキニルオキシ、C1〜6アルコキシ−C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルコキシ、4〜6員ヘテロシクロアルキル、および4〜6員ヘテロシクロアルキル−C1〜6アルキルからなる群から独立に選択され、前記C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C3〜6アルケニル、C3〜6アルケニルオキシ、C3〜6アルキニル、C3〜6アルキニルオキシ、C1〜6アルコキシ−C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルコキシ、4〜6員ヘテロシクロアルキル、および4〜6員ヘテロシクロアルキル−C1〜6アルキルは、フルオロ、クロロ、ヒドロキシ、シアノ、メチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、およびトリフルオロメトキシから独立に選択される1〜3個の置換基でそれぞれ置換されていてもよく、
は、水素、または1〜3個のフルオロで置換されていてもよいC1〜6アルキルである]もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩。
【請求項2】
式Ia
【化2】
である、請求項1に記載の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩。
【請求項3】
式Ib
【化3】
である、請求項1に記載の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩。
【請求項4】
が、Rで置換されているピラゾリル、または1もしくは2個のRで置換されているオキサゾリル、ピリジニル、もしくはピラジニルである、請求項1、2、および3のいずれか一項に記載の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩。
【請求項5】
が、出現する毎に、ハロ、シアノ、1〜3個のフルオロで置換されていてもよいC1〜3アルキル、1〜3個のフルオロで置換されていてもよいC1〜3アルコキシ、およびC3〜4アルキニルオキシからなる群から独立に選択され、
が、1〜3個のフルオロで置換されていてもよいC1〜3アルキルである、請求項4に記載の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩。
【請求項6】
が、1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−イル、2−(フルオロメチル)−1,3−オキサゾール−4−イル、5−(ジフルオロメトキシ)−ピリジン−2−イル、5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−イル、3−クロロ−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−イル、5−シアノピリジン−2−イル、5−シアノ−3−メチルピリジン−2−イル、3−クロロ−5−シアノピリジン−2−イル、5−(ブタ−2−イン−1−イルオキシ)ピリジン−2−イル、5−(フルオロメチル)ピラジン−2−イル、5−(ジフルオロメチル)ピラジン−2−イル、5−(2,2−ジフルオロプロポキシ)ピラジン−2−イル、または5−(ブタ−2−イン−1−イルオキシ)ピラジン−2−イルである、請求項5に記載の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩。
【請求項7】
およびRが、それぞれ水素である、請求項6に記載の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩。
【請求項8】
およびRがそれぞれメチルである、請求項6に記載の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩。
【請求項9】
およびRの一方が水素であり、他方が、メチル、エチル、シクロプロピル、1−メチルシクロプロピル、または2,2−ジメチルシクロプロピルである、請求項6に記載の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩。
【請求項10】
およびRが、これらが結合している炭素と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、またはシクロペンチル環を形成している、請求項6に記載の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩。
【請求項11】
およびRが、それぞれ水素である、請求項1、2、および3のいずれか一項に記載の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩。
【請求項12】
およびRが、それぞれメチルである、請求項1、2、および3のいずれか一項に記載の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩。
【請求項13】
およびRの一方が水素であり、他方が、メチル、エチル、シクロプロピル、1−メチルシクロプロピル、または2,2−ジメチルシクロプロピルである、請求項1、2、および3のいずれか一項に記載の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩。
【請求項14】
およびRが、これらが結合している炭素と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、またはシクロペンチル環を形成している、請求項1、2、および3のいずれか一項に記載の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩。
【請求項15】
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド;
N−{2−[(5R,6S)−3−アミノ−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S,6R)−3−アミノ−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S,6S)−3−アミノ−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−[2−(3−アミノ−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5R)−3−アミノ−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5R,6S)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S,6R)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S,6S)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5R,6R)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5R,6S)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S,6R)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5R,6R)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S,6S)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメチル)ピラジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−クロロピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−2−(フルオロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(2,2−ジフルオロプロポキシ)ピラジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ブタ−2−イン−1−イルオキシ)ピラジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ブタ−2−イン−1−イルオキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−3−クロロ−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−シアノピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−シアノ−3−メチルピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−3−クロロ−5−シアノピリジン−2−カルボキサミド;
N−(2−{(5S,6R)−3−アミノ−6−[(1R)−2,2−ジメチルシクロプロピル]−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル}−1,3−チアゾール−4−イル)−5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S,6R)−3−アミノ−2,5−ジメチル−6−(1−メチルシクロプロピル)−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(8S)−6−アミノ−5,8−ジメチル−4,4−ジオキシド−4−チア−5,7−ジアザスピロ[2.5]オクタ−6−エン−8−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(9S)−7−アミノ−6,9−ジメチル−5,5−ジオキシド−5−チア−6,8−ジアザスピロ[3.5]ノナ−7−エン−9−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;および
N−{2−[(10S)−8−アミノ−7,10−ジメチル−6,6−ジオキシド−6−チア−7,9−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−エン−10−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩。
【請求項16】
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩。
【請求項17】
N−{2−[(5S,6S)−3−アミノ−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ)ピリジン−2−カルボキサミド化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩。
【請求項18】
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボキサミド化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩。
【請求項19】
治療有効量の請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物。
【請求項20】
その阻害を必要とする患者において、アミロイド−βタンパク質の産生を阻害するために有用な医薬品を調製するための、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩の使用。
【請求項21】
ベータ部位アミロイド前駆体タンパク質切断酵素1(BACE1)をその阻害を必要とする患者において阻害するための、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩の使用。
【請求項22】
神経変性疾患をその治療を必要とする患者において治療するための、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩の使用。
【請求項23】
神経変性疾患がアルツハイマー病である、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
糖尿病をその治療を必要とする患者において治療するための、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩の使用。
【請求項25】
糖尿病が2型糖尿病である、請求項24に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、β部位アミロイド前駆体タンパク質(APP)切断酵素1(BACE1)の阻害剤およびBACE2の阻害剤である低分子化合物および薬学的に許容できるその塩に関する。本発明は、アミロイドタンパク質の神経沈着物の形成の一因となり得るA−βペプチドの産生を阻害することに関する。本発明はまた、ヒトを含めた哺乳動物におけるアルツハイマー病(AD)ならびに他の神経変性障害および/または神経障害の治療、さらには、糖尿病の治療に関する。より詳細には、本発明は、A−βペプチドの産生に関連するADおよびダウン症候群などの神経変性障害および/または神経障害の治療に有用な環状スルホニルグアニジン化合物および薬学的に許容できるその塩に関する。
【背景技術】
【0002】
認知症は、多種多様な特有の病理学的経過の結果として生じる。認知症を引き起こす最も一般的な病理学的経過は、アルツハイマー病(「AD」)、脳アミロイド血管障害(「CM」)およびプリオン媒介疾患である(例えば、Haanら、Clin.Neurol.Neurosurg.、1990、92(4):305〜310;Glennerら、J.Neurol.Sci.、1989、94:1〜28を参照されたい)。ADは、記憶障害および認知機能障害によって特徴付けられる進行性の神経変性障害である。ADは、米国人口の最も急速に増加している部分である85歳を超える人全ての半数近くが罹患する。したがって、米国におけるAD患者の数は、2050年までに約400万人から約1400万人に増加することが予想される。
【0003】
アミロイド−β(Aβペプチド)の蓄積は、高齢者における認知低下の最も一般的な原因であるアルツハイマー病(AD)の根本的な原因の1つであると考えられている(Hardy & Allsop、Trends Pharmacol Sci.、1991;12(10):383〜8;Selkoe、Behav.Brain Res.、2008;192(1):106〜13)。アミロイド斑の主なタンパク質成分であるAβは、2種のプロテアーゼ、β−およびγ−セクレターゼによるアミロイド前駆体タンパク質(APP)であるI型内在性膜タンパク質の連続切断に由来する。β部位APP切断酵素(BACE1およびBACE2)によるAPPのタンパク質分解性切断により、APPの可溶性N末端エクトドメイン(sAPPβ)およびC末端断片C99が生成する。γ−セクレターゼによる膜結合C99断片のその後の切断により、Aβ40およびAβ42が最も優勢な形態である様々なAβペプチド種が遊離する(Vassarら、J.Neurosci.、2009;29(41):12787〜94;Marks & Berg、Neurochem.Res.、2010;35:181〜210)。したがって、BACE1阻害剤は、全ての優勢なAβペプチドの形成を有効に阻害することができるであろうために、BACE1の阻害により直接的にAβの生成を制限することは、ADを治療するための最も魅力的な手法の1つである。
【0004】
加えて、BACE1ノックアウトマウスは、変性線維からの軸索デブリおよびミエリンデブリのクリアランスと、軸索再生の促進と、同腹子対照と比較して早い神経筋接合部の神経再支配とを顕著に強化したことが決定されている。これらのデータは、末梢神経損傷後の再生および回復を促進する治療手法としてのBACE1阻害を示唆している(Farahら、J.Neurosci.、2011、31(15):5744〜5754を参照されたい)。
【0005】
インスリン抵抗性およびグルコース恒常性障害は、2型糖尿病の重要な指標であり、ADの初期危険因子である。特に、2型糖尿病の患者には、より高い散発性ADのリスクがあり、AD患者は、2型糖尿病をより発症しやすい(Butler, Diabetes 53:474−481, 2004)。最近、ADを3型糖尿病として再考すべきであるとも提案されている(de la Monte、J.Diabetes Sci.Technol.、2008;2(6):1101〜1113)。ADおよび2型糖尿病は、共通の発病機構を、また、ことによると共通の治療を共有するという事実は、特に重要である(Park.S.A.、J.Clin.Neurol.、2011;7:10〜18;Raffa, Br.J.Clin.Pharmacol 2011、71(3):365〜376)。BACE活性の生成物であるAβの血漿中レベルの上昇は最近では、ヒトにおける高血糖症および肥満に関連づけられた(Meakinら、Biochem J.、2012、441(1):285〜96.;Martins、Journal of Alzheimer’s Disease、8(2005)269〜282を参照されたい)。さらに、Aβ産生の増大は、マウスにおけるグルコース不耐性およびインスリン抵抗性の発症を刺激する(Cozar−Castellano、Am.J.Physiol.Endocrinol.Metab.、302:E1373〜E1380、2012;Delibegovic、Diabetologia(2011)54:2143〜2151)。最後に、Aβの循環は、ヒトおよびマウスの両方におけるアテローム硬化症の発生に関係し得るであろうことも示唆されている(De Meyer、Atherosclerosis 216(2011)54〜58;Catapano、Atherosclerosis 210(2010)78〜87;Roher、Biochimica et Biophysica Acta 1812(2011)1508〜1514)。
【0006】
したがって、慢性的な栄養分過剰の状態では、BACE1レベルがグルコースおよび脂質の恒常性において重要な役割を果たし得ると考えられている。具体的には、BACE1の低減がマウスにおいて体重を減少させ、食事性肥満を予防し、インスリン感受性を増強するという事実によって例示されるとおり、BACE1阻害剤は、骨格筋および肝臓におけるインスリン感受性を高めるために潜在的に有用であり得る(Meakinら、Biochem.J.2012、441(1):285〜96を参照されたい)。BACE1基質としてのLRP1の同定およびアテローム硬化症との潜在的な連係も同様に重要である(Strickland、Physiol.Rev.、88:887〜918、2008;Hyman、J.Biol.Chem.、Vol.280、No.18、17777〜17785、2005)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
同様に、BACE2の阻害は、β細胞量を保存および回復し、前糖尿病患者および糖尿病患者におけるインスリン分泌を刺激する可能性を有する2型糖尿病の治療として提案されている(WO2011/020806)。BACE2は、膵臓β細胞の機能および量を調節するβ細胞濃縮プロテアーゼ(β−cell enriched protease)であり、BACE1の類似同族体である。BACE2の薬理学的阻害は、β細胞の量および機能を増大させ、このことは、Tmem27の安定化につながる(Esterhazyら、Cell Metabolism 2011、14(3):365〜377を参照されたい)。BACE2の阻害に関連した疾患を治療および/または予防する際にBACE2阻害剤が有用であることが示唆されている(例えば、2型糖尿病では、前糖尿病性および糖尿病性患者におけるβ細胞量を維持および回復させ、インスリン分泌を刺激する可能性がある)(WO2011/020806)。
【0008】
アミノジヒドロチアジンまたはチオアミジン化合物は、β−セクレターゼ酵素の有用な阻害剤としてUS2009/0082560、WO2009/091016およびWO2010/038686に記載されている。β−セクレターゼ酵素の阻害剤として有用な縮合複素環式化合物もまた、WO2011071109および対応するUS2012245155に記載されている。2012年8月17日にPfizer Incにより出願された同時係属中のPCT出願、PCT/IB2012/054198も、β−セクレターゼ酵素の有用な阻害剤であるアミノジヒドロチアジン化合物を記載している。本発明は、新規な環状スルホニルグアニジン化合物、ならびに、ADを含む神経変性疾患の治療、および糖尿病や肥満などの代謝性の疾患および状態の治療におけるその使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様の第1の実施形態は、式Iの化合物:
【0010】
【化1】
[式中、Rは、N、O、またはSから独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を有し、ヘテロ原子の少なくとも1個はNであり、前記Nは、Rで置換されていてもよい5〜6員ヘテロアリールからなる群から選択され、前記5〜6員ヘテロアリールは、炭素上で、1〜3個のRで置換されていてもよく、
およびRは、それぞれ独立に、水素、C1〜6アルキル、または3〜7員ヘテロシクロアルキルであり、C1〜6アルキルは、C1〜3アルコキシまたは1〜3個のフルオロで置換されていてもよく、C3〜6シクロアルキルおよび3〜7員ヘテロシクロアルキルは、1〜3個のフルオロ、C1〜3アルキル、またはC1〜3アルコキシでそれぞれ独立に置換されていてもよく、
またはRおよびRは、これらが結合している炭素と一緒になって、C3〜6シクロアルキル環または3〜7員ヘテロシクロアルキル環を形成しており、これらはそれぞれ、1〜3個のフルオロ、C1〜3アルキル、またはC1〜3アルコキシで独立に置換されていてもよく、
は、出現する毎に、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C3〜6アルケニル、C3〜6アルケニルオキシ、C3〜6アルキニル、C3〜6アルキニルオキシ、C1〜6アルコキシ−C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルコキシ、4〜6員ヘテロシクロアルキル、および4〜6員ヘテロシクロアルキル−C1〜6アルキルからなる群から独立に選択され、前記C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C3〜6アルケニル、C3〜6アルケニルオキシ、C3〜6アルキニル、C3〜6アルキニルオキシ、C1〜6アルコキシ−C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜6アルコキシ、4〜6員ヘテロシクロアルキル、および4〜6員ヘテロシクロアルキル−C1〜6アルキルは、それぞれ、フルオロ、クロロ、ヒドロキシ、シアノ、メチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、およびトリフルオロメトキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
は、水素、または1〜3個のフルオロで置換されていてもよいC1〜6アルキルである]
もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩である。
【0011】
本発明の別の実施形態は、式Iの化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩、および薬学的に許容できるビヒクル、賦形剤、または担体を含む医薬組成物である。本明細書に記載の医薬組成物は、アミロイド−βタンパク質の産生の阻害、およびベータ部位アミロイド前駆体タンパク質切断酵素1(BACE1)の阻害;神経変性疾患、特に、アルツハイマー病の治療;糖尿病または2型糖尿病を含めた、β−アミロイドレベルの上昇により特徴付けられる疾患および障害を治療的および/または予防的に治療するためのBACE1および/またはBACE2活性の阻害;ヒトを含めた哺乳動物における骨格筋および肝臓でのインスリン感受性の増大;ならびに肥満の治療および/または予防のために使用することができる。
【0012】
本発明は、また、
(1)治療有効量の式Iの実施形態のいずれかの化合物またはその薬学的に許容できる塩、および薬学的に許容できる担体を、それを必要とする哺乳動物または患者に投与することにより、BACE酵素活性を阻害する方法。
(2)哺乳動物、好ましくはヒトにおける、β−セクレターゼ酵素が関与する中枢神経系および神経障害の状態または疾患(例えば、片頭痛;てんかん;アルツハイマー病;パーキンソン病;脳傷害;脳卒中;脳血管疾患(脳動脈硬化症、脳アミロイド血管障害、遺伝性脳出血、および脳低酸素虚血を含めた);認知障害(健忘症、老人性認知症、HIV関連認知症、アルツハイマー病、ハンチントン病、レビー小体型認知症、血管性認知症、薬物が関係する認知症、晩発性ジスキネジア、ミオクローヌス、ジストニア、せん妄、ピック病、クロイツフェルト・ヤコブ病、HIV疾患、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群、てんかん、筋痙縮、筋痙直または筋力低下と関連する障害(振戦を含めた)、および軽度認知障害(「MCI」)を含めた);精神遅滞(痙縮、ダウン症候群および脆弱X症候群を含めた);睡眠障害(過眠症、概日リズム睡眠障害、不眠、睡眠時異常行動、および睡眠遮断を含めた)、ならびに精神障害、例えば、不安(急性ストレス障害、全般性不安障害、社会不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、広場恐怖症、および強迫性障害を含めた);虚偽性障害(急性幻覚性躁病を含めた);衝動制御障害(強迫性賭博および間欠性爆発性障害を含めた);気分障害(双極性障害I型、双極性障害II型、躁病、混合感情状態、大うつ病、慢性うつ病、季節性うつ病、精神病性うつ病、季節性うつ病、月経前症候群(PMS)、月経前不機嫌性障害(PDD)、および産後うつ病を含めた);精神運動障害;精神病性障害(統合失調症、統合失調感情障害、統合失調症様、および妄想性障害を含めた);薬物依存(麻薬依存、アルコール依存、アンフェタミン依存、コカイン嗜癖、ニコチン依存、および薬物離脱症候群を含めた);摂食障害(食欲不振症、過食症、過食障害、食欲過剰、肥満症、強迫性摂食障害および氷食症を含めた);性的機能障害;尿失禁;ニューロン損傷障害(目の損傷、目の網膜症または黄斑変性症、耳鳴、聴覚障害および聴覚損失、ならびに脳浮腫を含めた)、神経傷害治療(末梢神経損傷後の再生および回復の促進を含む)ならびに小児精神障害(注意欠陥障害、注意欠陥/機能亢進障害、行為障害、および自閉症を含めた)を治療する方法であって、前記哺乳動物に治療有効量の式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩を投与することを含む方法。式Iの化合物はまた、記憶(短期および長期の両方)ならびに学習能力の改善のために有用であり得る。Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM−IV−TR) (2000、American Psychiatric Association、Washington D.C.)の第4版のテキスト改訂版は、本明細書に記載されている障害の多くを同定するための診断手段を提供する。DMS−IV−TRに記載されているものを含めて、本明細書に記載されている障害についての代わりの命名法、疾病分類、および分類体系が存在し、用語法および分類体系は医科学の進展と共に進化することを当業者は認識する;
(3)哺乳動物、好ましくはヒトにおいて、神経障害(例えば、片頭痛;てんかん;アルツハイマー病;パーキンソン病;ニーマンピックC型;脳傷害;脳卒中;脳血管疾患;認知障害;睡眠障害)または精神障害(例えば、不安;虚偽性障害;衝動制御障害;気分障害;精神運動障害;精神病性障害;薬物依存;摂食障害;および小児精神障害)を治療する方法であって、前記哺乳動物に治療有効量の式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩を投与することを含む方法;
(4)1型および2型糖尿病、耐糖能障害、インスリン抵抗性、高血糖症、ならびにアテローム硬化症、冠状動脈性心疾患、卒中、末梢血管疾患、腎障害、高血圧、神経障害、および網膜障害などの糖尿病合併症を含めた、糖尿病または糖尿病関連障害を治療する(例えば、進行または発症を遅延させる)方法;
(5)代謝症候群などの肥満共存症を治療する方法。代謝症候群には、脂質異常症、高血圧、インスリン抵抗性、糖尿病(例えば、2型糖尿病)、冠状動脈疾患、および心不全などの疾患、状態、または障害が含まれる。代謝症候群に関するより詳細な情報については、例えば、Zimmet,P.Z.ら、「The Metabolic Syndrome: Perhaps an Etiologic Mystery but Far From a Myth − Where Does the International Diabetes Federation Stand?」、Medscape Diabetes & Endocrinology、7(2)、(2005);およびAlberti, K.G.ら、「The Metabolic Syndrome − A New Worldwide Definition」、Lancet、366、1059〜62(2005)を参照されたい;および
(6)非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)および肝インスリン抵抗性を治療する方法
などの式Iの化合物を使用する治療方法を対象とする。
【0013】
本発明はまた、本発明の化合物を、本明細書に記載の疾患、状態、および/または障害を治療するための他の医薬品と併せて使用することもできる併用療法を対象とする。したがって、本発明の化合物を他の医薬品と組み合わせて投与することを含む治療方法も提供する。
【0014】
本明細書において言及される全ての特許、特許出願、および参考文献は、その全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0015】
本発明の他の特徴および利点は、本発明を説明する本明細書および添付の特許請求の範囲から明らかであろう。上記および下記の詳細な説明は、例示に過ぎず、特許請求の範囲に記載の本発明を制限するものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、本発明の例示的な実施形態の以下の詳細な説明および本明細書に含まれる実施例を参照することで、より容易に理解され得る。本発明が、特定の合成方法に限定されず、合成方法はもちろん変化し得ることを理解されたい。また、本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態を記載するためのものであるに過ぎず、限定的であることを意図されたものではないことを理解されたい。
【0017】
本明細書および以下の特許請求の範囲では、次の意味を有すると定義されるいくつかの用語に言及する:
【0018】
本明細書で使用する場合、「摂食障害」は、患者が、患者の摂食行動ならびに関連する思考および情動に障害を負っている疾患を指す。肥満関連摂食障害の代表的な例には、過食、大食、むちゃ食い障害、強迫ダイエット(compulsive dieting)、夜間睡眠関連摂食障害、異食、プラダー−ウィリ症候群、および夜食症候群が包含される。
【0019】
「患者」は、例えば、モルモット、マウス、ラット、アレチネズミ、ネコ、ウサギ、イヌ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、サル、チンパンジー、およびヒトなどの温血動物を指す。
【0020】
「薬学的に許容できる」という用語は、その物質または組成物が、製剤を構成する他の成分および/またはそれで治療される哺乳動物と化学的および/または毒物学的に適合性でなければならないことを意味している。
【0021】
「治療有効量」という用語は、(i)特定の疾患、状態、もしくは障害を治療もしくは予防するか、(ii)特定の疾患、状態、もしくは障害の1種もしくは複数の症状を減弱、寛解、もしくは除去するか、または(iii)本明細書に記載の特定の疾患、状態、もしくは障害の1種もしくは複数の症状の発症を予防もしくは遅延させる本発明の化合物の量を意味する。
【0022】
「治療すること」という用語は、本明細書で使用する場合、他に示さない限り、このような用語を適用する障害もしくは状態、またはそのような障害もしくは状態の1種もしくは複数の症状の逆転、緩和、進行の阻害、進行の遅延、発症の遅延、または予防を意味する。「治療」という用語は、本明細書で使用する場合、他に示さない限り、治療する行為を指す(「治療する」は直前に定義する)。「治療すること」という用語にはまた、対象のアジュバントおよびネオアジュバント治療が包含される。誤解を避けるために記すと、「治療」に対する本明細書における言及は、治癒的、姑息的、および予防的治療に対する言及、ならびにそのような治療において使用するための医薬品の投与に対する言及を包含する。
【0023】
「アルキル」という用語は、一実施形態では、1〜6個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖飽和ヒドロカルビル置換基(すなわち、炭化水素から1個の水素を除去して得られる置換基)を指す。そのような置換基の非限定的例には、メチル、エチル、プロピル(n−プロピルおよびイソプロピルを含む)、ブチル(n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチルを含む)、ペンチル、イソアミル、ヘキシルなどが含まれる。
【0024】
「アルコキシ」という用語は、一実施形態では、1〜6個の炭素原子を含有する、酸素ラジカルに結合している直鎖または分枝鎖飽和ヒドロカルビル置換基(すなわち、炭化水素アルコールから、OHからの水素を除去することによって得られる置換基)を指す。そのような置換基の非限定的例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(n−プロポキシおよびイソプロポキシを含む)、ブトキシ(n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、およびtert−ブトキシを含む)、ペントキシ、ヘキソキシなどが含まれる。
【0025】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含んでおり、一実施形態では、3〜6個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖ヒドロカルビル置換基(すなわち、炭化水素から1個の水素を除去して得られる置換基)を指す。そのような置換基の非限定的例には、アリル、プロペニル、ブテニル、イソブテニル、ブタジエニル、ペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、ヘキサジエニルなどが含まれる。「アルケニルオキシ」という用語は、酸素ラジカルに結合しているアルケニル基を指す。
【0026】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含んでおり、一実施形態では、3〜6個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖ヒドロカルビル置換基(すなわち、炭化水素から1個の水素を除去して得られる置換基)を指す。そのような置換基の非限定的例には、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどが含まれる。「アルキニルオキシ」という用語は、酸素ラジカルに結合しているアルキニル基を指す。
【0027】
「アルキレン」という用語は、一実施形態では、3〜5個の炭素を含有するアルカンジイル基(すなわち、炭化水素から2個の水素を除去して得られる置換基)を指す。そのような基の非限定的例には、プロピレン、ブチレン、およびペンチレンが含まれる。
【0028】
場合によっては、ヒドロカルビル置換基(すなわち、アルキル、シクロアルキルなど)中の炭素原子の数は、接頭辞「C〜C−」または「Cx〜y」によって示され、ここで、xは、その置換基中の炭素原子の最小数であり、yは、最大数である。したがって、例えば、「C〜C−アルキル」または「C1〜6アルキル」は、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル置換基を指す。さらに説明すると、C〜CシクロアルキルまたはC3〜6−シクロアルキルは、3〜6個の炭素環原子を含有する飽和シクロアルキル基を指す。
【0029】
「シクロアルキル」という用語は、飽和炭素環式分子から1個の水素を除去することによって得られる炭素環式置換基、例えば、3〜6個の炭素原子を有するものまたは3〜9個の炭素原子を有するものを指す。「シクロアルキル」という用語は、単環式、二環式、および三環式の飽和炭素環、ならびに架橋および縮合環炭素環、またスピロ縮合炭素環系を包含する。「C3〜9シクロアルキル」という用語は、3〜9員環系のラジカルを意味し、これには、基シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、ビシクロペンチル、ビシクロヘキシル、ビシクロヘプチル、ビシクロオクチル、ビシクロノニル、スピロペンチル、スピロヘキシル、スピロヘプチル、スピロオクチル、およびスピロノニルが含まれる。「C3〜6シクロアルキル」という用語は、3〜6員環系のラジカルを意味し、これには、基シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロペンチル、ビシクロヘキシル、スピロペンチル、およびスピロヘキシルが含まれる。「C3〜6シクロアルコキシ」という用語は、酸素ラジカルに結合している3〜6員シクロアルキル基を指す。例には、シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ、およびシクロヘキソキシが含まれる。
【0030】
場合によっては、1個または複数のヘテロ原子を含有する環式置換基(すなわち、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル)中の原子の数は、接頭辞「x〜y員」によって示され、ここで、xは、置換基の環式部分を形成する原子の最小数であり、yは、最大数である。したがって、例えば、「4〜6員ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロシクロアルキルの環式部分に、1〜3個のヘテロ原子を含めて4から6個の原子を含有するヘテロシクロアルキルを指す。同様に、語句「5〜6員ヘテロアリール」は、5〜6個の原子を含有するヘテロアリールを指し、「5〜10員ヘテロアリール」は、5〜10個の原子を含有するヘテロアリールを指し、それぞれ、ヘテロアリールの環式部分に1個または複数のヘテロ原子を含有する。さらに、語句「5員ヘテロアリール」および「6員ヘテロアリール」は、それぞれ、5員ヘテロ芳香環系および6員ヘテロ芳香環系を指す。これらの環系中に存在するヘテロ原子は、N、O、およびSから選択される。
【0031】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」という用語は、−OHを指す。別の用語(複数可)と組み合わせて使用するとき、接頭語「ヒドロキシ」は、接頭語が付着している置換基が、1個または複数のヒドロキシ置換基で置換されていることを示す。1個または複数のヒドロキシ置換基が付着している炭素を担持する化合物には、例えば、アルコール、エノールおよびフェノールが含まれる。
【0032】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フッ素(−Fとして示し得る)、塩素(−Clとして示し得る)、臭素(−Brとして示し得る)、またはヨウ素(−Iとして示し得る)を指す。
【0033】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、環原子の少なくとも1個がヘテロ原子(すなわち、酸素、窒素、または硫黄)であり、残りの環原子が炭素、酸素、窒素、および硫黄からなる群から独立に選択される、4〜6個の環原子などの規定の数の原子の合計を含有する飽和または部分飽和環構造から1個の水素を除去することによって得られる置換基を指す。ヘテロシクロアルキル置換基を有する基では、その基に結合しているヘテロシクロアルキル置換基の環原子は、窒素ヘテロ原子であってよいか、または環炭素原子であってよい。同様に、ヘテロシクロアルキル置換基がさらに、基または置換基で置換されていたら、その基または置換基は、窒素ヘテロ原子に結合していてよいか、または環炭素原子に結合していてよい。
【0034】
「ヘテロアリール」という用語は、環原子の少なくとも1個がヘテロ原子(すなわち、酸素、窒素、または硫黄)であり、残りの環原子が炭素、酸素、窒素、および硫黄からなる群から独立に選択される、規定の数の環原子を含有する芳香環構造を指す。ヘテロアリール置換基の例には、ピリジル、ピラジル、ピリミジニル、およびピリダジニルなどの6員ヘテロアリール置換基;ならびにトリアゾリル、イミダゾリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、1,2,3−、1,2,4−、1,2,5−、または1,3,4−オキサジアゾリル、およびイソチアゾリルなどの5員ヘテロアリール置換基が含まれる。ヘテロアリール基はまた、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、オキサゾロピリジニル、イミダゾピリジニル、イミダゾピリミジニルなどの二環式ヘテロ芳香族基であってよい。ヘテロアリール置換基を有する基では、その基に結合しているヘテロアリール置換基の環原子は、環窒素原子か、または環炭素原子であってよい。同様に、ヘテロアリール置換基がさらに、基または置換基で置換されていたら、その基または置換基は、環窒素原子に結合していてよいか、または環炭素原子に結合していてよい。「ヘテロアリール」という用語にはまた、ピリジルN−オキシド、およびピリジンN−オキシド環を含有する基が含まれる。加えて、ヘテロアリール基は、ピリドン基中に存在するものなど、オキソ基を含有してよい。さらなる例には、フリル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリジン−2(1H)−オニル、ピリダジン−2(1H)−オニル、ピリミジン−2(1H)−オニル、ピラジン−2(1H)−オニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、およびピラゾロ[1,5−a]ピリジニルが含まれる。ヘテロアリールは、本明細書において定義するとおりにさらに置換されていてよい。
【0035】
単環式ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルの例には、フラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、チオフェニル、ジヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリル、イソピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリル、イソイミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ジチオリル、オキサチオリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリニル、イソチアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、チアオキサジアゾリル、オキサチアゾリル、オキサジアゾリル(オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、または1,3,4−オキサジアゾリルを含む)、ピラニル(1,2−ピラニルまたは1,4−ピラニルを含む)、ジヒドロピラニル、ピリジニル、ピペリジニル、ジアジニル(ピリダジニル、ピリミジニル、ピペラジニル、トリアジニル(s−トリアジニル、as−トリアジニル、およびv−トリアジニルを含む)、オキサジニル(2H−1,2−オキサジニル、6H−1,3−オキサジニル、または2H−1,4−オキサジニルを含む)、イソオキサジニル(o−イソオキサジニルまたはp−イソオキサジニルを含む)、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサチアジニル(1,2,5−オキサチアジニルまたは1,2,6−オキサチアジニルを含む)、オキサジアジニル(2H−1,2,4−オキサジアジニルまたは2H−1,2,5−オキサジアジニルを含む)、モルホリニルが含まれる。
【0036】
「ヘテロアリール」という用語にはまた、そのように規定されている場合、縮合していてよく、一方の環が芳香族であり、他方の環が完全には、コンジュゲートした芳香族系の部分ではない2個の環を有する環系(すなわち、ヘテロ芳香環がシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環に縮合していてよい)が含まれ得る。そのような環系の非限定的例には、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリニル、5,6,7,8−テトラヒドロ−キノリニル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジニル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジニル、1,4,5,6−テトラヒドロシクロペンタ[c]ピラゾリル、2,4,5,6−テトラヒドロシクロペンタ[c]ピラゾリル、5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[1,2−b]ピラゾリル、6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[1,2−b][1,2,4]トリアゾリル、5,6,7,8−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジニル、4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリジニル、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−インダゾリル、および4,5,6,7−テトラヒドロ−2H−インダゾリルが含まれる。炭素環式または複素環式部分が、特定の結合点を示すことなく、種々の環原子を介して指定の基質に結合していてよいか、または他の方法で付着している場合、炭素原子か、または例えば、三価窒素原子を介してかに関わらず、可能な結合点の全てが意図されていることを理解されたい。例えば、「ピリジル」という用語は、2−、3−、または4−ピリジルを意味し、「チエニル」という用語は、2−または3−チエニルなどを意味する。
【0037】
置換基が1個より多い可変基を「独立に」有すると記載されている場合、置換基の各例は、利用可能な可変基のリストから、互いに独立して選択される。したがって、各置換基は、他の置換基と同一でも、異なってもよい。
【0038】
置換基について、群から「それぞれ独立に選択される」と記載する場合、置換基の各例は、他の置換基(複数可)とは無関係に選択される。したがって、各置換基は、他の置換基(複数可)と同一または異なり得る。
【0039】
本明細書において使用する場合、「式I」という用語は、本明細書において下記では、「本発明の化合物(複数可)」、「本発明」、および「式Iの化合物」と称し得る。このような用語にはまた、水和物、溶媒和物、異性体、結晶および非結晶形態、同形体、多形、ならびにその代謝物を含めて、式Iの化合物の全ての形態が含まれると定義される。例えば、本発明の化合物、または薬学的に許容できるその塩は、非溶媒和および溶媒和形態で存在し得る。溶媒または水が強固に結合しているとき、錯体は、湿度と無関係に明確な化学量論を有する。しかし、溶媒または水が、チャネル溶媒和物および吸湿性化合物中のように弱く結合しているとき、水/溶媒含量は、湿度および乾燥条件によって決まる。このような場合、非化学量論が標準である。
【0040】
本発明の化合物は、クラスレートまたは他の錯体として存在し得る。本発明の範囲内に含まれるのは、錯体(クラスレート、薬物−ホスト包接錯体など)であり、薬物およびホストは、化学量論量または非化学量論量で存在する。また含まれるのは、2種以上の有機および/または無機成分を含有する本発明の化合物の錯体であり、これは化学量論量または非化学量論量でよい。このように得られた錯体は、イオン化、部分的にイオン化、または非イオン化し得る。このような錯体の概説については、J.Pharm.Sci.、64(8)、1269〜1288、Haleblian(1975年8月)を参照されたい。
【0041】
本発明の化合物は、不斉炭素原子を有する。本発明の化合物の炭素−炭素結合は、実線(
【0042】
【化2】
)、実線のくさび(
【0043】
【化3】
)、または点線のくさび(
【0044】
【化4】
)を使用して本明細書において示し得る。不斉炭素原子への結合を示す実線の使用は、この炭素原子における全ての可能性のある立体異性体(例えば、特定のエナンチオマー、ラセミ混合物など)が含まれることを示すことを意味する。不斉炭素原子への結合を示す実線または点線のくさびの使用は、示される立体異性体のみが包含されることを意味することを示すこととする。式Iの化合物は、1個を超える不斉炭素原子を含有することも可能である。これらの化合物では、不斉炭素原子への結合を示す実線の使用は、可能な立体異性体の全てが包含されることを意味することを示すこととする。例えば、他に述べられていない限り、式Iの化合物は、エナンチオマーおよびジアステレオマーとして、またはラセミ化合物およびそれらの混合物として存在し得ることが意図されている。式Iの化合物中の1個または複数の不斉炭素原子への結合を示す実線の使用および同じ化合物中の他の不斉炭素原子への結合を示す実線または点線のくさびの使用は、ジアステレオマーの混合物が存在することを示すこととする。
【0045】
式Iの立体異性体には、1種を超える異性を示す化合物を含めた、本発明の化合物のシスおよびトランス異性体、光学異性体(RおよびSエナンチオマー、ジアステレオマーなど)、幾何異性体、回転異性体、配座異性体、ならびに互変異性体;およびその混合物(ラセミ化合物およびジアステレオマー対など)が含まれる。また含まれるのは、対イオンが光学活性である酸付加塩または塩基付加塩(例えば、D−乳酸塩もしくはL−リシン、またはラセミ、例えば、DL−酒石酸塩もしくはDL−アルギニン)である。
【0046】
任意のラセミ化合物が結晶化するとき、2つの異なるタイプの結晶が可能である。第1のタイプは、上記のラセミ化合物(真のラセミ化合物)であり、等モル量の両方のエナンチオマーを含有する1つの均一な形態の結晶が生成される。第2のタイプは、ラセミ混合物または集合体であり、各々が単一のエナンチオマーを含む2つの形態の結晶が等モル量で生成される。
【0047】
式Iの化合物は、互変異性の現象を示すことがあり、このような互変異性体はまた、本発明の化合物としてみなされる。例えば、式Iの化合物は、2−アミノ−2−メチル−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン1,1−ジオキシド型Iおよび2−イミノ−2−メチル−1,2,4−チアジアジン1,1−ジオキシド型I’を含めた複数の互変異性型で存在し得る。そのような互変異性型およびそれらの混合物は全て、式Iの化合物の範囲内に含まれる。互変異性体は、溶液中では互変異性体セットの混合物として存在する。固体の形態では通常、1種の互変異性体が優勢である。1種の互変異性体が記載されていることもあるが、本発明は、式Iの化合物およびその塩の全ての互変異性体を含む。互変異性体の例を式IおよびI’の化合物によって記載し、総称的に、かつ一般に、式Iの化合物と称する。
【0048】
【化5】
【0049】
本発明の化合物は、無機酸または有機酸から得られる塩の形で使用することもできる。特定の化合物によりけりであるが、化合物の塩は、塩の1つまたは複数の物理的性質、例えば、異なる温度および湿度における薬学的安定性が向上していることや、水または油への望ましい溶解性のために有利な場合がある。ある例では、化合物の塩を、化合物の単離、精製、および/または分割の補助手段として使用する場合もある。
【0050】
塩を(例えば、in vitroの状況で使用するのとは対照的に)患者に投与しようとする場合、その塩は、薬学的に許容できることが好ましい。用語「薬学的に許容できる塩」とは、式Iの化合物を、ヒトが摂取するのに適すると一般にみなされるアニオンまたはカチオンを有する酸または塩基と化合させることにより調製された塩を指す。薬学的に許容できる塩は、水への溶解度が親化合物より高いので、本発明の方法の生成物として特に有用である。医薬品において使用するためには、本発明の化合物の塩は、非毒性の「薬学的に許容できる塩」である。「薬学的に許容できる塩」という用語に含まれる塩は、遊離塩基を適切な有機酸または無機酸と反応させることによって一般に調製される本発明の化合物の非毒性塩を指す。
【0051】
本発明の化合物の薬学的に許容できる適切な酸付加塩としては、可能である場合、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ホウ酸、フルオロホウ酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、炭酸、スルホン酸、および硫酸、ならびに有機酸、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イソチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、コハク酸、トルエンスルホン酸、酒石酸、およびトリフルオロ酢酸から得られる塩が挙げられる。適切な有機酸としては、例えば、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)、複素環、炭素環、およびスルホン酸クラスの有機酸が一般に挙げられる。
【0052】
適切な有機酸の詳細な例として、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、ジグルコン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、グルクロン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、ピルビン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、アントラニル酸塩、ステアリン酸塩、サリチル酸塩、p−ヒドロキシ安息香酸塩、フェニル酢酸塩、マンデル酸塩、エンボン酸塩(パモ酸塩)、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パントテン酸塩、トルエンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、スルファニル酸塩、シクロヘキシルアミノスルホン酸塩、アルゲン酸(algenic acid)、β−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸塩、ガラクツロン酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、グリコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、チオシアン酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられる。
【0053】
さらに、本発明の化合物が酸性部分を有する場合では、適切な薬学的に許容できるその塩として、より軽いアルカリ金属塩、すなわち、ナトリウム塩またはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム塩またはマグネシウム塩;および適切な有機配位子と共に形成される塩、例えば、第四級アンモニウム塩を挙げることができる。別の実施形態では、塩基の塩は、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リシン、メグルミン、オールアミン、トロメタミン、および亜鉛の塩を含めて、非毒性の塩を形成する塩基から生成されるものである。
【0054】
有機塩は、トロメタミン、ジエチルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、プロカインなどの、第二級、第三級、または第四級アミンから生成されるものでもよい。塩基性窒素を含んでいる基は、低級アルキル(C〜C)ハロゲン化物(例えば、メチル、エチル、プロピル、およびブチル塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、ジアルキルスルフェート(例えば、ジメチル、ジエチル、ジブチル、およびジアミルスルフェート)、長鎖ハロゲン化物(例えば、デシル、ラウリル、ミリスチル、およびステアリル塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、アリールアルキルハロゲン化物(例えば、ベンジルおよびフェネチル臭化物)他などの物質で四級化することができる。
【0055】
一実施形態において、酸および塩基のヘミ塩(例えば、ヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩)をまた形成し得る。
【0056】
本発明の化合物のいわゆる「プロドラッグ」もまた本発明の範囲内である。よって、これら自体が薬理活性を殆ど有さなくてもよく、または有さなくてもよい本発明の化合物の特定の誘導体は、体内または体表に投与されるとき、例えば、加水分解によって、所望の活性を有する本発明の化合物に変換されることができる。このような誘導体は、「プロドラッグ」と称される。プロドラッグの使用についてのさらなる情報は、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems、Vol.14、ACSシンポジウムシリーズ(T.HiguchiおよびW.Stella)ならびに「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Pergamon Press、1987(編E.B.Roche、American Pharmaceutical Association)に見出し得る。本発明によるプロドラッグは、例えば、式Iのいずれかの化合物において存在する適当な官能基を、例えば、H.Bundgaardの「Design of Prodrugs」(Elsevier、1985)に記載されているような「プロ部分」として当業者には公知の特定の部分で置き換えることによって生成することができる。
【0057】
本発明はまた、1個または複数の原子が、天然に通常見出される原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子で置き換えられていること以外は、式Iにおいて記載されているものと同一である同位体標識化合物を含む。本発明の化合物中に組み込むことができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、フッ素および塩素の同位体、例えば、それぞれ、H、H、13C、11C、14C、15N、18O、17O、32P、35S、18F、および36Clが含まれる。上記の同位体および/または他の原子の他の同位体を含有する、本発明の化合物、そのプロドラッグ、および前記化合物または前記プロドラッグの薬学的に許容できる塩は本発明の範囲内である。本発明の特定の同位体的に標識された化合物、例えば、放射性同位体、例えば、Hおよび14Cが組み込まれている化合物は、薬物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化、すなわち、H、および炭素−14、すなわち、14C、同位体は、それらの調製および検出性の容易さのために特に好ましい。さらに、より重い同位体、例えば、重水素、すなわち、Hによる置換は、より大きな代謝安定性、例えば、インビボの半減期の増加または投与必要量の減少に由来する特定の治療上の利点をもたらすことができ、したがって、ある状況においては好ましくてもよい。本発明の式Iの同位体標識化合物およびそのプロドラッグは一般に、スキームにおいて、ならびに/または下記の実施例および調製において開示されている手順を行うことによって、同位体的に標識されていない試薬を、容易に利用可能な同位体的に標識されている試薬で置換することによって調製することができる。
【0058】
本発明の第1の態様の第2の実施形態は、式Ia
【0059】
【化6】
である、第1の態様の第1の実施形態のの化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩である。
【0060】
本発明の第1の態様の第3の実施形態は、式Ib
【0061】
【化7】
である、第1の態様の第1の実施形態の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩である。
【0062】
本発明の第1の態様の第4の実施形態は、Rが、Rで置換されているピラゾリル、または1もしくは2個のRで置換されているオキサゾリル、ピリジニル、もしくはピラジニルである、第1の態様の第1から第3の実施形態のいずれか1つの化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩である。
【0063】
本発明の第1の態様の第5の実施形態は、Rが、出現する毎に、ハロ、シアノ、1〜3個のフルオロで置換されていてもよいC1〜3アルキル、1〜3個のフルオロで置換されていてもよいC1〜3アルコキシ、およびC3〜4アルキニルオキシからなる群から独立に選択され、Rが、1〜3個のフルオロで置換されていてもよいC1〜3アルキルである、第1の態様の第4の実施形態の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩である。
【0064】
本発明の第1の態様の第6の実施形態は、Rが、1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−イル、2−(フルオロメチル)−1,3−オキサゾール−4−イル、5−(ジフルオロメトキシ)−ピリジン−2−イル、5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−イル、3−クロロ−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−イル、5−シアノピリジン−2−イル、5−シアノ−3−メチルピリジン−2−イル、3−クロロ−5−シアノピリジン−2−イル、5−(ブタ−2−イン−1−イルオキシ)ピリジン−2−イル、5−(フルオロメチル)ピラジン−2−イル、5−(ジフルオロメチル)ピラジン−2−イル、5−(2,2−ジフルオロプロポキシ)ピラジン−2−イルもしくは5−(ブタ−2−イン−1−イルオキシ)ピラジン−2−イルである、第1の態様の第5の実施形態の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩である。
【0065】
本発明の第1の態様の第7の実施形態は、RおよびRがそれぞれ水素である第1の態様の第6の実施形態の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩である。
【0066】
本発明の第1の態様の第8の実施形態は、RおよびRがそれぞれメチルである第6の実施形態の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩である。
【0067】
本発明の第1の態様の第9の実施形態は、RおよびRの一方が水素であり、他方が、メチル、エチル、シクロプロピル、1−メチルシクロプロピル、または2,2−ジメチルシクロプロピルである第1の態様の第6の実施形態の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩である。
【0068】
本発明の第1の態様の第10の実施形態は、RおよびRが、これらが結合している炭素と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、またはシクロペンチル環を形成している第1の態様の第6の実施形態の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩である。
【0069】
本発明の第1の態様の第11の実施形態は、RおよびRがそれぞれ水素である、第1の実施形態の第1から第3の実施形態のいずれか1つの化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩である。
【0070】
本発明の第1の態様の第12の実施形態は、RおよびRがそれぞれメチルである、第1の態様の第1から第3の実施形態のいずれか1つの化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩である。
【0071】
本発明の第1の態様の第13の実施形態は、RおよびRの一方が水素であり、他方が、メチル、エチル、シクロプロピル、1−メチルシクロプロピル、または2,2−ジメチルシクロプロピルである、第1の態様の第1から第3の実施形態のいずれか1つの化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩である。
【0072】
本発明の第1の態様の第14の実施形態は、RおよびRが、これらが結合している炭素と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、またはシクロペンチル環を形成している、第1の態様の第1から第3の実施形態のいずれか1つの化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩である。
【0073】
本発明の第1の態様の第15の実施形態は、
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド;
N−{2−[(5R,6S)−3−アミノ−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S,6R)−3−アミノ−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S,6S)−3−アミノ−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−[2−(3−アミノ−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5R)−3−アミノ−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5R,6S)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S,6R)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S,6S)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5R,6R)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5R,6S)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S,6R)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5R,6R)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S,6S)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメチル)ピラジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−クロロピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−2−(フルオロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(2,2−ジフルオロプロポキシ)ピラジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ブタ−2−イン−1−イルオキシ)ピラジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ブタ−2−イン−1−イルオキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−3−クロロ−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−シアノピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−シアノ−3−メチルピリジン−2−カルボキサミド;
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−3−クロロ−5−シアノピリジン−2−カルボキサミド
からなる群から選択される、第1の態様の第1の実施形態の化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩である。
【0074】
本発明の第1の態様の第16の実施形態は、N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩である。
【0075】
本発明の第1の態様の第17の実施形態は、N−{2−[(5S,6S)−3−アミノ−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ)ピリジン−2−カルボキサミド化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩である。
【0076】
本発明の第1の態様の第18の実施形態は、N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボキサミド化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩である。
【0077】
本発明の第2の態様の第1の実施形態は、治療有効量の、第1の態様の第1から第18の実施形態のいずれか1つに従う化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物である。
【0078】
本発明のさらなる実施形態は、本発明の化合物を用いる治療方法を含む。
【0079】
本発明の第3の態様の第1の実施形態は、患者におけるアミロイド−βタンパク質の産生を阻害する方法であって、治療有効量の第1の態様の第1から第18の実施形態のいずれか1つに従う化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩を、アミロイド−βタンパク質の産生の阻害を必要とする患者に投与することを含む方法である。
【0080】
本発明の第3の態様の第2の実施形態は、患者においてβ部位アミロイド前駆体タンパク質切断酵素1(BACE1)を阻害する方法であって、治療有効量の第1の態様の第1から第18の実施形態のいずれか1つに従う化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩を、β部位アミロイド前駆体タンパク質切断酵素1(BACE1)の阻害を必要とする患者に投与することを含む方法である。
【0081】
本発明の第3の態様の第3の実施形態は、患者における神経変性疾患を治療するための方法であって、治療有効量の本発明の第1の態様の第1から第18の実施形態のいずれか1つに従う化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩を、その治療を必要とする患者に投与することを含む方法である。
【0082】
本発明の第3の態様の第4の実施形態は、神経変性疾患がアルツハイマー病である第3の態様の第3の実施形態の方法である。
【0083】
本発明の第3の態様の第5の実施形態は、患者における糖尿病を治療または予防する方法であって、治療有効量の第1の態様の第1から第18の実施形態のいずれか1つに従う化合物もしくはその互変異性体または前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩を、その治療または予防を必要とする患者に投与することを含む方法である。
【0084】
本発明の第3の態様の第6の実施形態は、糖尿病が2型糖尿病である第3の態様の第5の実施形態の方法である。
【0085】
本発明のさらなる実施形態は、本明細書に記載のとおりの状態、疾患、および障害を治療するために有用な医薬品の調製における、本発明の第1の態様の第1から第18の実施形態のいずれか一実施形態に従う化合物の使用を含む。
【0086】
通常、本発明の化合物は、本明細書に記載の状態の治療に有効な量で投与する。本発明の化合物は、適切な経路によって、その経路に適合させた医薬組成物の形で、目的の治療に有効な用量を投与する。医学的状態の進行に対する処置に必要となる、化合物の治療上有効な用量は、医学分野でよく知られている前臨床および臨床の手法を使用して、当業者の手で容易に突き止められる。
【0087】
本発明の化合物は、経口投与することができる。経口投与は、化合物が消化管に入るように飲み込むものでもよいし、または化合物が口から血流に直接入る頬側もしくは舌下投与を用いてもよい。
【0088】
別の実施形態では、本発明の化合物は、血流中、筋肉、または内臓に直接投与することもできる。非経口投与に適する手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、および皮下が含まれる。非経口投与に適するデバイスとして、(微細針を含めた)針注射器、無針注射器、および注入技術が挙げられる。
【0089】
別の実施形態では、本発明の化合物は、皮膚または粘膜に局所的に、すなわち、皮膚上にまたは経皮的に投与することもできる。別の実施形態では、本発明の化合物は、鼻腔内にまたは吸入によって投与することもできる。別の実施形態では、本発明の化合物は、直腸投与または経膣投与することができる。別の実施形態では、本発明の化合物は、眼または耳に直接投与することもできる。
【0090】
化合物および/または化合物を含有する組成物の投与計画は、患者のタイプ、年齢、体重、性別、および医学的状態;医学的状態の重症度;投与経路;ならびに用いる特定の化合物の活性を含めた様々な要素に基づくものである。したがって、投与計画は多種多様となり得る。体重1キログラムあたり1日約0.01mg〜約100mg程度の投与量レベルが、上で示した状態の治療では有用である。一実施形態では、(1回量または分割した用量で投与される)本発明の化合物の合計1日量は通常、約0.01〜約100mg/kgである。別の実施形態では、本発明の化合物の合計1日量は、約0.1〜約50mg/kgであり、別の実施形態では、約0.5〜約30mg/kg(すなわち、体重1kgあたりの本発明の化合物mg)である。一実施形態では、投薬量は、0.01〜10mg/kg/日である。別の実施形態では、投薬量は、0.1〜1.0mg/kg/日である。投与量単位組成物は、そのような量または1日量を構成するその約数を含有するものでよい。多くの事例では、化合物の投与は、1日に複数回(通常は4回以下)繰り返される。所望なら、通常は、1日あたり複数回の用量を使用して、合計1日量を増やすこともできる。
【0091】
経口投与では、組成物は、約0.01mg〜約500mgの活性成分、または別の実施形態では、約1mg〜約100mgの活性成分を含有する錠剤の形で提供することができる。静脈内について、定速注入の際の用量は、約0.1〜約10mg/kg/分の範囲をとり得る。
【0092】
本発明による適切な対象として、哺乳動物対象が挙げられる。本発明による哺乳動物には、限定はしないが、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ブタ、げっ歯動物、ウサギ、霊長類などが含まれ、子宮内の哺乳動物も包含される。一実施形態では、ヒトが適切な対象である。ヒト対象は、どちらの性の者でも、どの発育段階にある者でもよい。
【0093】
別の実施形態では、本発明は、本明細書で列挙した状態を治療する医薬を調製するための、1種または複数の本発明の化合物の使用を含む。
【0094】
上で言及した状態を治療するために、本発明の化合物は、化合物それ自体として投与することができる。一方、薬学的に許容できる塩は、親化合物よりも水への溶解性が高いので、医学的な適用に適する。
【0095】
別の実施形態では、本発明は、医薬組成物を含む。そのような医薬組成物は、薬学的に許容できる担体と共に提供される本発明の化合物を含む。担体は、固体でも、液体でも、または両方でもよく、0.05重量%〜95重量%の活性化合物を含有し得る単位用量組成物、例えば錠剤としての化合物に配合することができる。本発明の化合物は、ターゲット指向性薬物担体としての適切なポリマーと結合させることもできる。他の薬理活性物質が存在してもよい。
【0096】
本発明の化合物は、適切な任意の経路によって、好ましくはそのような経路に適合させた医薬組成物の形で、目的の治療に有効な用量を投与することができる。活性化合物および組成物は、例えば、経口、直腸、非経口、または局所投与することができる。
【0097】
固体投与形態の経口投与は、例えば、少なくとも1種の予め決められた量の本発明の化合物をそれぞれが含有する別個の単位、例えば、硬カプセル剤もしくは軟カプセル剤、丸剤、カシェ剤、ロゼンジ、または錠剤の体裁にすることができる。別の実施形態では、経口投与は、粉末または顆粒形態にしてもよい。別の実施形態では、経口投与形態は、例えばロゼンジなどの舌下である。このような固体剤形では、式Iの化合物に、1種または複数の佐剤が配合されているのが普通である。そうしたカプセル剤または錠剤は、徐放製剤を含有してもよい。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合では、剤形は、緩衝剤も含んでよく、または腸溶コーティングを施して調製することもできる。
【0098】
別の実施形態では、経口投与は、液体投与形態にすることができる。経口投与用の液体剤形としては、例えば、当業界で一般に使用される不活性希釈剤(例えば、水)を含有する薬学的に許容できる乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルが挙げられる。このような組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、香味剤(例えば、甘味剤)、および/または着香剤などの佐剤も含んでよい。
【0099】
別の実施形態では、本発明は、非経口投与形態を含む。「非経口投与」は、例えば、皮下注射、静脈内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、胸骨内注射、および注入を包含する。注射用製剤(例えば、無菌の注射可能な水性または油性懸濁液)は、適切な分散剤、湿潤剤、および/または懸濁化剤を使用し、知られている技術に従って製剤することができる。
【0100】
別の実施形態では、本発明は、局所投与形態を含む。「局所投与」は、例えば、経皮パッチやイオン導入デバイスを介してなどの経皮投与、眼内投与、または鼻腔内もしくは吸入投与を包含する。局所投与用の組成物として、例えば、局所用のゲル、スプレー、軟膏、およびクリームも挙げられる。局所用製剤は、皮膚または他の患部を通しての活性成分の吸収または通過を強化する化合物を含有してもよい。本発明の化合物が経皮デバイスによって投与されるとき、投与は、貯蔵部および多孔膜型または固体基材型のいずれかのパッチを使用して実現される。この目的のための典型的な製剤としては、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散粉剤、包帯剤、フォーム、フィルム、皮パッチ、ウェーハ、植込錠、スポンジ、繊維、絆創膏、およびマイクロエマルジョンが挙げられる。リポソームも使用することができる。典型的な担体として、アルコール、水、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールが挙げられる。浸透性改善剤を混ぜてもよい。例えば、FinninおよびMorgan、J.Pharm.Sci.、88(10)、955〜958(1999年10月)を参照されたい。
【0101】
眼への局所投与に適する製剤としては、例えば、本発明の化合物を適切な担体に溶解または懸濁させてある点眼剤が挙げられる。眼または耳への投与に適する典型的な製剤は、pH調整された等張性無菌食塩水中の超微粒子化懸濁液または溶液からなる滴剤の形でよい。眼および耳への投与に適する他の製剤として、軟膏、生分解性(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えば、シリコーン)植込錠、ウェーハ、レンズ、ならびにニオソームやリポソームなどの微粒子系または小胞系が挙げられる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、例えばジェランガムなどのポリマーを、塩化ベンザルコニウムなどの保存剤と共に混ぜてもよい。このような製剤は、イオン導入法によって送達することもできる。
【0102】
鼻腔内投与または吸入による投与では、本発明の活性化合物は、患者によって圧搾もしくはポンプによる汲み出しがなされるポンプスプレー容器から溶液もしくは懸濁液の形で、または加圧容器もしくはネブライザーから適切な噴射剤を使用しながらエアロゾルスプレー体裁として送達することが好都合である。鼻腔内投与に適する製剤は通常、(単独、または例えばラクトースとの乾燥ブレンドにした混合物として、または例えばホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合した混合型成分粒子としての)乾燥粉末の形で乾燥粉末吸入器から、または加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは、電気水力学を使用して微細な霧を生成するアトマイザー)、もしくはネブライザーから、1,1,1,2−テトラフルオロエタンや1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を使用しもしくは使用せずにエアロゾルスプレーとして投与する。鼻腔内の使用では、粉末は、生体接着剤、例えば、キトサンまたはシクロデキストリンを含んでよい。
【0103】
別の実施形態では、本発明は、直腸投与形態を含む。そのような直腸投与形態は、例えば、坐剤の形でよい。カカオ脂が伝統的な坐剤基剤であるが、様々な代替品を適宜使用してよい。
【0104】
製薬の分野で知られている他の担体材料および投与方式も使用することができる。本発明の医薬組成物は、有効な製剤手順や投与手順などの、よく知られた薬学の技術のいずれかによって準備することができる。有効な製剤手順および投与手順に関する上記の考慮事項は、当業界でよく知られており、標準の教本に記載されている。薬物の製剤は、例えば、Hoover,John E.、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、ペンシルヴェニア州イーストン、1975;Libermanら編、「Pharmaceutical Dosage Forms」、Marcel Decker、ニューヨーク州ニューヨーク、1980;およびKibbeら編、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」(第3版)、American Pharmaceutical Association、ワシントン、1999で論述されている。
【0105】
本発明の化合物は、様々な状態または疾患状態の治療において、単独で、または他の治療薬と組み合わせて使用することができる。本発明の(1種または複数の)化合物および他の(1種または複数の)治療薬は、(同じ剤形または別々の剤形のいずれかで)同時に、または順次投与することができる。
【0106】
2種以上の化合物は、同時に、並行して、または順次投与することができる。さらに、同時投与は、投与前に化合物を混合して実施することもでき、または同時点であるが、異なる解剖学的部位で、もしくは異なる投与経路を使用して化合物を投与することにより実施することもできる。
【0107】
語句「並行投与」、「共投与」、「同時投与」、および「同時に投与」とは、化合物を組み合わせて投与することを意味する。
【0108】
本発明は、式Iにおいて提供されているようなBACE阻害剤化合物、および1種または複数のさらなる医薬活性剤の組合せの使用を含む。活性剤の組合せが投与される場合、これらは別々の剤形で、または単一の剤形において合わせて、逐次的または同時に投与し得る。したがって、本発明はまた、ある量の(a)式Iの化合物または化合物の薬学的に許容できる塩を含む第1の薬剤;(b)第2の医薬活性剤;および(c)薬学的に許容できる担体、ビヒクルまたは賦形剤を含む医薬組成物を含む。
【0109】
本発明の化合物は、本明細書に記載の疾患、状態、および/または障害を治療するための他の医薬品と併せて使用することもできる。したがって、本発明の化合物を他の医薬品と組み合わせて投与することを含む治療方法も提供する。本発明の化合物と組み合わせて使用し得る適切な医薬品には、これらに限定されないが、下記が含まれる:
(i)抗肥満剤(食欲抑制剤を含む)には、腸選択的MTP阻害剤(例えば、ジルロタピド(dirlotapide)、ミトラタピドおよびインプリタピド、CCKaアゴニスト(例えば、PCT公報WO2005/116034または米国特許出願公開第2005−0267100 A1号に記載のN−ベンジル−2−[4−(1H−インドール−3−イルメチル)−5−オキソ−1−フェニル−4,5−ジヒドロ−2,3,6,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−6−イル]−N−イソプロピル−アセトアミド)、5HT2cアゴニスト(例えば、ロルカセリン)、MCR4アゴニスト(例えば、米国特許第6,818,658号に記載の化合物)、リパーゼ阻害剤(例えば、セチリスタット)、PYY3−36(本明細書で使用する場合、「PYY3−36」はペグ化PYY3−36などの類似体、例えば、米国特許出願公開第2006/0178501号に記載のものを含む)、オピオイドアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソン)、オレオイル−エストロン(CAS番号180003−17−2)、オビネピチド(obinepitide)(TM30338)、プラムリンチド(Symlin(登録商標))、テソフェンシン(NS2330)、レプチン、ブロモクリプチン、オルリスタット、AOD−9604(CAS番号221231−10−3)、およびシブトラミンが包含される。
(ii)抗糖尿病剤、例えば、WO2009144554、WO2003072197、WO2009144555、およびWO2008065508に記載されているとおりのアセチル−CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤、WO09016462またはWO2010086820に記載されているものなどのジアシルグリセロールO−アシルトランスフェラーゼ1(DGAT−1)阻害剤、AZD7687またはLCQ908、ジアシルグリセロールO−アシルトランスフェラーゼ2(DGAT−2)阻害剤、モノアシルグリセロールO−アシルトランスフェラーゼ阻害剤、ホスホジエステラーゼ(PDE)−10阻害剤、AMPK活性化因子、スルホニル尿素(例えば、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、ダイアビネス、グリベンクラミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリド、グリクラジド、グリペンチド、グリキドン、グリソラミド、トラザミド、およびトルブタミド)、メグリチニド、α−アミラーゼ阻害剤(例えば、テンダミスタット、トレスタチン、およびAL−3688)、α−グルコシドヒドロラーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アジポシン、カミグリボース、エミグリテート、ミグリトール、ボグリボース、プラディマイシン−Q、およびサルボスタチン)、PPARγアゴニスト(例えば、バラグリタゾン、シグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、イサグリタゾン、ピオグリタゾン、およびロシグリタゾン)、PPARα/γアゴニスト(例えば、CLX−0940、GW−1536、GW−1929、GW−2433、KRP−297、L−796449、LR−90、MK−0767、およびSB−219994)、ビグアニド(例えば、メトホルミン)、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)モジュレーター、例えば、アゴニスト(例えば、エキセンジン−3およびエキセンジン−4)、リラグルチド、アルビグルチド、エクセナチド(Byetta(登録商標))、アルビグルチド、タスポグルチド、リキシセナチド、デュラグルチド、セマグルチド、NN−9924、TTP−054、タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤(例えば、トロズスクエミン、ヒルチオサール抽出物、およびZhang,S.ら、Drug Discovery Today、12(9/10)、373〜381(2007)によって開示された化合物)、SIRT−1阻害剤(例えば、レスベラトロール、GSK2245840、またはGSK184072)、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)阻害剤(例えば、WO2005116014に記載のもの、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、デュトグリプチン、リナグリプチン、およびサクサグリプチン)、インスリン分泌促進物質、脂肪酸酸化阻害剤、A2アンタゴニスト、c−junアミノ末端キナーゼ(JNK)阻害剤、WO2010103437、WO2010103438、WO2010013161、WO2007122482に記載されているもの、TTP−399、TTP−355、TTP−547、AZD1656、ARRY403、MK−0599、TAK−329、AZD5658、またはGKM−001などのグルコキナーゼ活性化因子(GKa)、インスリン、インスリン模倣物質、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤(例えば、GSK1362885)、VPAC2受容体アゴニスト、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、BI−10733、トホグリフロジン(CSG452)、ASP−1941、THR1474、TS−071、ISIS388626、およびLX4211、さらにはWO2010023594に記載されているものを含めたE.C.Chaoら、Nature Reviews Drug Discovery 9、551〜559(2010年7月)に記載されているものなどのSGLT2阻害剤、Demong,D.E.ら、Annual Reports in Medicinal Chemistry 2008、43、119〜137に記載されているものなどのグルカゴン受容体モジュレーター、WO2010140092、WO2010128425、WO2010128414、WO2010106457、Jones,R.M.ら、Medicinal Chemistry 2009、44、149〜170に記載されているものなどのGPR119モジュレーター、特にアゴニスト(例えば、MBX−2982、GSK1292263、APD597、およびPSN821)、Kharitonenkov,A.ら、Current Opinion in Investigational Drugs 2009、10(4)、359〜364に記載されているものなどのFGF21誘導体または類似体、Zhong, M.、Current Topics in Medicinal Chemistry、2010、10(4)、386〜396に記載されているものおよびINT777などのTGR5(GPBAR1とも称される)受容体モジュレーター、特にアゴニスト、これに限定されないが、TAK−875を含めたMedina,J.C.、Annual Reports in Medicinal Chemistry、2008、43、75〜85に記載されているものなどのGPR40アゴニスト、GPR120モジュレーター、特にアゴニスト、高親和性ニコチン酸受容体(HM74A)活性化因子、ならびにGSK1614235などのSGLT1阻害剤が包含される。本発明の化合物と組み合わせることができる抗糖尿病剤のさらに代表的なリストは、例えば、WO2011005611の28頁35行から30頁19行にて見出すことができる。好ましい抗糖尿病剤は、メトホルミンおよびDPP−IV阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、デュトグリプチン、リナグリプチン、およびサクサグリプチン)である。他の抗糖尿病剤には、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ酵素の阻害剤またはモジュレーター、フルクトース1,6−ジホスファターゼの阻害剤、アルドースレダクターゼの阻害剤、ミネラロコルチコイド受容体阻害剤、TORC2の阻害剤、CCR2および/またはCCR5の阻害剤、PKCアイソフォーム(例えば、PKCa、PKCb、PKCg)の阻害剤、脂肪酸シンテターゼの阻害剤、セリンパルミトイルトランスフェラーゼの阻害剤、GPR81、GPR39、GPR43、GPR41、GPR105、Kv1.3、レチノール結合タンパク質4、グルココルチコイド受容体、ソマトスタチン受容体(例えば、SSTR1、SSTR2、SSTR3、およびSSTR5)のモジュレーター、PDHK2またはPDHK4の阻害剤またはモジュレーター、MAP4K4の阻害剤、IL1ベータを含めたIL1ファミリーのモジュレーター、ならびにRXRアルファのモジュレーターが含まれ得るであろう。加えて、適切な抗糖尿病剤は、Carpino,P.A.、Goodwin,B.、Expert Opin.Ther.Pat、2010、20(12)、1627〜51によって列挙された機構を含む;
(iii)抗高血糖剤、例えば、WO2011005611の31頁31行から32頁18行に記載されているもの;
(iv)脂質低下剤(例えば、WO2011005611の30頁20行から31頁30行に記載されているもの)および抗高血圧剤(例えば、WO2011005611の31頁31行から32頁18行に記載されているもの);
(v)アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、例えば、ドネペジル塩酸塩(ARICEPT(登録商標)、MEMAC)、サリチル酸フィゾスチグミン(ANTILIRIUM(登録商標))、硫酸フィゾスチグミン(ESERINE)、ガンスチグミン、リバスチグミン(EXELON(登録商標))、ラドスチギル、NP−0361、ガランタミン臭化水素酸塩(RAZADYNE(登録商標)、REMINYL(登録商標)、NIVALIN(登録商標))、タクリン(COGNEX(登録商標))、トルセリン、メモキン、ヒューペルジンA(HUP−A;Neuro−Hitech)、フェンセリン、ビスノルシムセリン(BNCとしてもまた公知である)、およびINM−176;
(vi)アミロイド−β(またはその断片)、例えば、汎HLA DR−結合エピトープにコンジュゲートしているAβ1−15(PADRE(登録商標))、ACC−001(Elan/Wyeth)、およびAffitope;
(vii)アミロイド−βへの抗体(またはその断片)、例えば、ポネズマブ、ソラネズマブ、バピヌズマブ(AAB−001としてもまた公知である)、AAB−002(Wyeth/Elan)、ガンテネルマブ、静脈内Ig(GAMMAGARD(登録商標))、LY2062430(ヒト化m266;Lilly)、ならびに国際公開第WO04/032868号、同第WO05/025616号、同第WO06/036291号、同第WO06/069081号、同第WO06/118959号、米国特許出願公開第US2003/0073655号、同第US2004/0192898号、同第US2005/0048049号、同第US2005/0019328号、欧州特許出願公開第EP0994728号および同第1257584号、および米国特許第5,750,349号に開示されているもの;
(viii)アミロイド低下剤または阻害剤(アミロイドの産生、蓄積および線維化を低減させるものを含めた)、例えば、エプロジセート(KIACTA(登録商標))、セレコキシブ、ロバスタチン、アナプソス、コロストリニン、ピオグリタゾン、クリオキノール(PBT1としてもまた公知である)、PBT2(Prana Biotechnology)、フルルビプロフェン(ANSAID(登録商標)、FROBEN(登録商標))およびそのR−エナンチオマーであるタレンフルルビル(FLURIZAN(登録商標))、ニトロフルルビプロフェン、フェノプロフェン(FENOPRON、NALFON(登録商標))、イブプロフェン(ADVIL(登録商標)、MOTRIN(登録商標)、NUROFEN(登録商標))、イブプロフェンリシネート、メクロフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム(MECLOMEN(登録商標))、インドメタシン(INDOCIN(登録商標))、ジクロフェナクナトリウム(VOLTAREN(登録商標))、ジクロフェナクカリウム、スリンダク(CLINORIL(登録商標))、スリンダク硫化物、ジフルニサル(DOLOBID(登録商標))、ナプロキセン(NAPROSYN(登録商標))、ナプロキセンナトリウム(ANAPROX(登録商標)、ALEVE(登録商標))、インスリン分解酵素(インスリジンとしてもまた公知である)、イチョウ(gingko biloba)抽出物EGb−761(ROKAN(登録商標)、TEBONIN(登録商標))、トラミプロセート(CEREBRIL(登録商標)、ALZHEMED(登録商標))、ネプリライシン(中性エンドペプチダーゼ(NEP)としてもまた公知である)、シロ−イノシトール(シリトールとしてもまた公知である)、アトルバスタチン(LIPITOR(登録商標))、シンバスタチン(ZOCOR(登録商標))、メシル酸イブタモレン、BACE阻害剤、例えば、LY450139(Lilly)、BMS−782450、およびGSK−188909;γセクレターゼモジュレーターおよび阻害剤、例えば、ELND−007、BMS−708163(Avagacestat)、およびDSP8658(Dainippon);およびRAGE(糖化最終産物についての受容体)阻害剤、例えば、TTP488(Transtech)およびTTP4000(Transtech)、ならびに米国特許第7,285,293号に開示されているもの(PTI−777を含めた);
(ix)α−アドレナリン作動性受容体アゴニスト、およびβ−アドレナリン作動性受容体遮断剤(β遮断薬);抗コリン作用薬;抗痙攣薬;抗精神病剤;カルシウムチャネル遮断薬;カテコールO−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤;中枢神経系刺激物質;コルチコステロイド;ドパミン受容体アゴニストおよびアンタゴニスト;ドパミン再取込み阻害剤;γ−アミノ酪酸(GABA)受容体アゴニスト;免疫抑制剤;インターフェロン;ムスカリン様受容体アゴニスト;神経保護剤;ニコチン受容体アゴニスト;ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取込み阻害剤;キノリン;および栄養因子;
(x)ヒスタミン3(H3)アンタゴニスト、例えば、PF−3654746、ならびに米国特許出願公開第US2005−0043354号、同第US2005−0267095号、同第US2005−0256135号、同第US2008−0096955号、同第US2007−1079175号、および同第US2008−0176925号;国際公開第WO2006/136924号、同第WO2007/063385号、同第WO2007/069053号、同第WO2007/088450号、同第WO2007/099423号、同第WO2007/105053号、同第WO2007/138431号、および同第WO2007/088462号;および米国特許第7,115,600号)に開示されているもの;
(xi)N−メチル−D−アスパルテート(NMDA)受容体アンタゴニスト、例えば、メマンチン(NAMENDA、AXURA、EBIXA)、アマンタジン(SYMMETREL)、アカンプロサート(CAMPRAL)、ベソンプロジル、ケタミン(KETALAR)、デルセミン、デキサナビノール、デキセファロキサン、デキストロメトルファン、デキストロルファン、トラキソプロジル、CP−283097、ヒマンタン、イダンタドール、イペノキサゾン、L−701252(Merck)、ランシセミン、レボルファノール(DROMORAN)、メサドン、(DOLOPHINE)、ネラメキサン、ペルジンホテル、フェンシクリジン、チアネプチン(STABLON)、ジゾシルピン(MK−801としてもまた公知である)、イボガイン、ボアカンギン、チレタミン、リルゾール(RILUTEK)、アプチガネル(CERESTAT)、ガベスチネル、ならびにレマシミド(remacimide);
(xii)モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤、例えば、セレギリン(EMSAM)、セレギリン塩酸塩(l−デプレニル、ELDEPRYL、ZELAPAR)、ジメチルセレギリン、ブロファロミン、フェネルジン(NARDIL)、トラニルシプロミン(PARNATE)、モクロベミド(AURORIX、MANERIX)、ベフロキサトン、サフィナミド、イソカルボキサジド(MARPLAN)、ニアラミド(NIAMID)、ラサギリン(AZILECT)、イプロニアジド(MARSILID、IPROZID、IPRONID)、イプロクロジド、トロキサトン(HUMORYL、PERENUM)、ビフェメラン、デスオキシペガニン、ハルミン(テレパチンまたはバナステリンとしてもまた公知である)、ハルマリン、リネゾリド(ザイボックス、ZYVOXID)、ならびにパルギリン(EUDATIN、SUPIRDYL);
(xiii)下記を含めたホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤。(a)PDE1阻害剤、(b)PDE2阻害剤、(c)PDE3阻害剤、(d)PDE4阻害剤、(e)PDE5阻害剤、(f)PDE9阻害剤(例えば、PF−04447943、BAY73−6691(Bayer AG)、ならびに米国特許出願公開第US2003/0195205号、同第US2004/0220186号、同第US2006/0111372号、同第US2006/0106035号、およびUSSN12/118,062(2008年5月9日に出願)に開示されているもの)、ならびに(g)PDE10阻害剤、例えば、2−({4−[1−メチル−4−(ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェノキシ}メチル)キノリン(PF−2545920);
(xiv)セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)1A(5−HT1A)受容体アンタゴニスト、例えば、スピペロン、レボ−ピンドロール、レコゾタン;
(xv)セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)2C(5−HT2c)受容体アゴニスト、例えば、バビカセリン、およびジクロナピン;セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)4(5−HT)受容体アゴニスト/アンタゴニスト、例えば、PRX−03140(Epix)およびPF−04995274;
(xvi)セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)3C(5−HT3c)受容体アンタゴニスト、例えば、オンダンセトロン(ゾフラン);
(xvii)セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)6(5−HT)受容体アンタゴニスト、例えば、ミアンセリン(TOLVON、BOLVIDON、NORVAL)、メチオテピン(メチテピンとしてもまた公知である)、リタンセリン、SB−271046、SB−742457(GlaxoSmithKline)、Lu AE58054(Lundbeck A/S)、SAM−760、ならびにPRX−07034(Epix);
(xviii)セロトニン(5−HT)再取込み阻害剤、例えば、アラプロクラート、シタロプラム(CELEXA、CIPRAMIL)、エスシタロプラム(LEXAPRO、CIPRALEX)、クロミプラミン(ANAFRANIL)、デュロキセチン(CYMBALTA)、フェモキセチン(MALEXIL)、フェンフルラミン(PONDIMIN)、ノルフェンフルラミン、フルオキセチン(PROZAC)、フルボキサミン(LUVOX)、インダルピン、ミルナシプラン(IXEL)、パロキセチン(PAXIL、SEROXAT)、セルトラリン(ZOLOFT、LUSTRAL)、トラゾドン(DESYREL、MOLIPAXIN)、ベンラファクシン(EFFEXOR)、ジメリジン(NORMUD、ZELMID)、ビシファジン、デスベンラファキシン(PRISTIQ)、ブラソフェンシン、ビラゾドン、カリプラジンならびにテソフェンシン;
(xix)グリシントランスポーター−1阻害剤、例えば、パリフルチン(paliflutine)、ORG−25935、およびORG−26041;ならびにAFQ−059およびアマンチジンなどのmGluRモジュレーター;
(xx)AMPA型グルタミン酸受容体モジュレーター、例えば、ペランパネル、ミバンパトル、セルランパネル、GSK−729327、およびN−{(3S,4S)−4−[4−(5−シアノチオフェン−2−イル)フェノキシ]テトラヒドロフラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミド;
(xxi)P450阻害剤、例えば、リトナビル;
(xxii)ダブネチドなどのタウ療法標的;
など。
【0110】
本発明は、上述の治療方法を実施する際に使用するのに適するキットもさらに含む。一実施形態では、キットは、本発明の化合物の1種または複数を含む第一の剤形と、その剤形の容器とを、本発明の方法を実施するのに十分な量で含んでいる。
【0111】
別の実施形態では、本発明のキットは、1種または複数の本発明の化合物を含む。
【0112】
一般合成スキーム
式Iの化合物は、以下に記載の方法、ならびに有機化学の分野で知られている合成方法、または当業者によく知られている変更形態および変換形態によって調製することができる。本明細書で使用する出発材料は、市販されているか、または当業界で知られているごく普通の方法[例えば、「Compendium of Organic Synthetic Methods」、第I巻〜第VII巻(Wiley−Interscience刊)などの標準の参考書に記載の方法]によって調製することができる。好ましい方法として、限定はしないが、以下に記載の方法が挙げられる。
【0113】
以下の合成順序のいずれかの際、問題のいずれかの分子上の高感度または反応性の基を保護することが必要であり、かつ/または望ましい場合もある。これは、T.W.Greene、「Protective Groups in Organic Chemistry」、John Wiley&Sons、1981;T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、「Protective Groups in Organic Chemistry」、John Wiley&Sons、1991;ならびにT.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、「Protective Groups in Organic Chemistry」John Wiley&Sons、1999に記載のものなどの従来の保護基によって実現することができ、これらの文献を参照により本明細書に援用する。
【0114】
式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩は、以下本明細書で論述する反応スキームに従って調製することができる。別段表記しない限り、スキーム中の置換基は、上で定義したとおりである。生成物の単離および精製は、通常の化学者に知られている標準の手順によって実現される。
【0115】
当業者には、スキーム、方法、および実施例で使用する様々な記号、上付き文字、および下付き文字は、表示の都合上、かつ/またはこれらがスキームに導入される順序を反映させるために使用しており、付属の請求項における記号、上付き文字、または下付き文字に必ずしも対応するものではないことを理解されたい。さらに、これらの化合物が、多くの場合、混合物およびエナンチオマーとなり、これらを、限定はしないが、結晶化、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、キラルクロマトグラフィーなどの従来の技術を使用して、合成スキームの様々な段階で分離すると、単一のエナンチオマーを取得できることを当業者は認識する。スキームは、本発明の化合物の合成において有用な方法を代表するものである。スキームは、本発明の範囲に決して制約を課さない。
【0116】
スキーム1は、式I、IaおよびIbの化合物の調製を指す。スキーム1に関して、式III、III’、またはIII”の化合物は、式II、II’、またはII”の化合物から、カルボン酸、および適切なカップリング試薬、例えば、限定はしないが、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)または酢酸エチル中の2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスフィナン2,4,6−トリオキシド(T3P)を用いた標準的なペプチドカップリングによって調製することができる。次いで、保護基Pを除去して、式I、Ia、またはIbの化合物を調製することができる。Pは、この場合は、アミン保護のための当業者には周知の基を指す。例えば、Pは、限定はしないがメタノール中での1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)での処理を含む、塩基性条件によって切断することができるベンゾイル基(Bz)でよい。代わりに、Pは、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)またはtert−ブトキシカルボニル(BOC)を含めた、アミンに適した多くの他の保護基のうちのいずれかであってよく、当技術分野で知られている標準的な条件下で切断することができる。
【0117】
【化8】
【0118】
スキーム2は、PがBzまたはBocである化合物II’の調製を指す。式Vのスルフィンイミンは、適切にメタル化されたスルホンアミドIV(例えば、n−ブチルリチウムで処理して生成したもの)を付加することで、式VIの付加物に変換される。式VIIのスルホンアミドは、化合物VIを、限定はしないが1,3−ジメトキシベンゼン中のトリフルオロ酢酸などの適切な薬品で脱保護することにより調製される。次いで、適切なイソチオシアネート(イソチオシアン酸ベンゾイルなど)で処理し、続いて、ヨウ化メチルなどの適切なアルキル化剤を炭酸カリウムなどの塩基と共に使用してVIIIを閉環することにより、式IXの化合物を調製する。パラジウム触媒性アミノ化などの、遷移金属を触媒とするカップリング反応によって、式IXのブロモチアゾールを対応するアミンに変換することができる。一例には、限定はしないが1−(2,4−ジメトキシフェニル)メタンアミンなどの、保護されたアンモニア供給源、および適切な触媒と配位子の選択、例えばトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)とジ−tert−ブチル[2’,4’,6’−トリ(プロパン−2−イル)ビフェニル−2−イル]ホスファンまたはビフェニル−2−イル(ジ−tert−ブチル)ホスファン(John Phos)を使用するものが含まれる。代わりに、銅により媒介されるアジドカップリング法を利用することもできる。式II’の化合物を得るために、必要な保護されたアンモニア供給源を脱保護することが必要になることを当業者は認識する。前記脱保護は、1−(2,4−ジメトキシフェニル)メタンアミンを利用する例では、濃塩酸での処理などの酸性加水分解によって行うことができる。化合物II’は、スキーム1の方法に従って、式Iaの化合物に変換することができる。当業者には、式IおよびIbの化合物が類似した方法で調製できることが理解される。
【0119】
【化9】
【0120】
スキーム3は、化合物IXの調製を指す。式Xの化合物のアルキル化は、当業者に知られている様々な方法で実現することができる。一例として、式Xの化合物は、限定はしないが、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドを含む適切な強塩基で処理した後、限定はしないが、メチル、エチル、または他のアルキルヨウ化物などのアルキル化剤で処理することができる。さらに、別法として、さらに塩基で処理した後、水や塩化アンモニウム水溶液などの薬品でプロトン化することにより、最初の生成物の立体化学を調整することもできる。有用である追加の塩基として、リチウムジイソプロピルアミドまたはカリウムtert−ブトキシドが挙げられる。別法として、上述のとおりの適切な塩基、およびヨウ化ジメチルメチリデンアンモニウム(Eschenmoser塩)などの試薬を使用して、Xを適切にオレフィン化することにより、RおよびRの一方が水素であるRまたはRなどの基の導入を開始してもよい。結果として生じるジメチルアミン付加物は、直接塩基で除去してもよいし、またはヨウ化メチル、もしくは過安息香酸やtert−ブチルヒドロペルオキシドなどの酸化剤で処理し、メチレン基の生成を伴う、上述のものなどの塩基での処理に掛けてもよい。得られたエキソオレフィンは、担持または非担持パラジウム、ニッケル、または白金からなる触媒存在下での接触水素化によって還元することができる。別法として、エキソオレフィン基は、例えば、リチウムトリ−sec−ブチルボロヒドリドまたは水素化アルミニウムリチウムを用いた共役ヒドリド付加(conjugate hydride addition)により還元し、続いて、得られたアニオンを上述のとおりにプロトン化してもよい。次いで、式IXの化合物を、スキーム2について上述した方法に従って、式II’の化合物に変換することができる。式IIまたはII”の化合物が類似した方法で調製できることは、当業者に理解されるところとなる。
【0121】
【化10】
【0122】
以下は、実験の部の記述において使用する場合のある略語である。
AlMe=トリメチルアルミニウム、br=ブロード、BuNNO=硝酸テトラブチルアンモニウム、CaCl=塩化カルシウム、CDCl=ジュウテロクロロホルム、CDOD=ジュウテロメタノール、(CFCO)O=トリフルオロ酢酸無水物、d=二重線、dd=二重線の二重線、DBU=1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、DCM=ジクロロメタン、DMF=N,N−ジメチルホルムアミド、EDCまたはEDCI=1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、EtOAc=酢酸エチル、EtOH=エタノール、Fe=鉄、g=グラム、h=時間、HATU=O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、HCl=塩酸、HO=水、HPLC=高速液体クロマトグラフィー、Hz=ヘルツ、KCO=炭酸カリウム、L=リットル、LCMS=液体クロマトグラフィー質量分析、LiOH=水酸化リチウム、m=多重線、M=モル濃度、MeI=ヨウ化メチル、MeOH=メタノール、mg=ミリグラム、MHz=メガヘルツ、min=分、μL=マイクロリットル、mL=ミリリットル、μmol=マイクロモル、mmol=ミリモル、mol=モル、N=規定、NaH=水素化ナトリウム、n−BuLi=n−ブチルリチウム、NEt=トリエチルアミン、NHCl=塩化アンモニウム、NaHCO=炭酸水素ナトリウム、NaOAc=酢酸ナトリウム、NaOCl=次亜塩素酸ナトリウム、NaOH=水酸化ナトリウム、NaOMe=ナトリウムメトキシド、NaOtBu=ナトリウムtert−ブトキシド、NaSO=硫酸ナトリウム、NHOH・HCl=ヒドロキシルアミン塩酸塩、NMR=核磁気共鳴、NOE=核オーバーハウザー効果、Pd(dba)=トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、Pd(dppf)Cl=[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、PPh=トリフェニルホスフィン、q=四重線、rt=室温、s=一重線、t=三重線、TBAF=フッ化テトラブチルアンモニウム、t−ButylXPhos=ジ−tert−ブチル[2’,4’,6’−トリ(プロパン−2−イル)ビフェニル−2−イル]ホスファン、TFAまたはCFCOH=トリフルオロ酢酸、THF=テトラヒドロフラン、TLC=薄層クロマトグラフィー、Zn(CN)=シアン化亜鉛。
【実施例】
【0123】
実験手順
下記は、様々な本発明の化合物の合成を例示する。本発明の範囲内のさらなる化合物は、単独で、または、当技術分野で一般に知られている技術と組み合わせて、これらの実施例において例示した方法を使用して、調製し得る。
【0124】
特に、酸素または湿気に感受性の試薬または中間体が用いられた場合、実験は一般に不活性雰囲気(窒素またはアルゴン)下で行った。市販の溶媒および試薬を一般にそれ以上精製することなく使用した。適切な場合には、無水溶媒、一般に、Acros Organicsの製品であるAcroSeal(登録商標)またはEMD Chamicalsの製品であるDriSolv(登録商標)を使用した。他の場合では、水に関する次のQC基準:a)ジクロロメタン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、およびテトラヒドロフランについては100ppm未満、b)メタノール、エタノール、1,4−ジオキサン、およびジイソプロピルアミンについては180ppm未満に達するまで、市販の溶媒を、4Å分子ふるいを充填したカラムに通した。非常に扱いにくい反応については、溶媒を金属ナトリウム、水素化カルシウム、または分子ふるいでさらに処理し、使用直前に蒸留した。さらなる反応に進めるか、または動物実験に供する前に、生成物を一般に真空下で乾燥した。質量分析法データは、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、大気圧化学イオン化(APCI)、またはガスクロマトグラフィー質量分析(GCMS)計器類から報告する。核磁気共鳴(NMR)データについての化学シフトは、用いた重水素化溶媒からの残留ピークを参照して百万分率(ppm、δ)で表す。いくつかの実施例において、キラル分離を実施して、本発明のある特定の化合物のエナンチオマーを分離することができた(いくつかの実施例において、分離されたエナンチオマーを、その溶離の順序に応じてENT−1およびENT−2と称する)。一部の例では、旋光計を使用してエナンチオマーの旋光度が測定された。その観測された旋光度データ(またはその比旋光度データ)に従って、時計回りの回転を有するエナンチオマーを(+)−エナンチオマーと称し、反時計回りの回転を有するエナンチオマーを(−)−エナンチオマーと称した。ラセミ化合物は、構造に隣接した(+/−)の存在によって示され、こうした場合、表示された立体化学は、化合物の置換基の(絶対というより)相対立体配置を表す。
【0125】
検出可能な中間体を介して進行する反応を一般に、LCMSによって追跡し、次の試薬を添加する前に、完全な変換まで進行させた。他の実施例または方法における手順を参照した合成について、反応条件(反応時間および温度)は変化し得る。一般に、反応に続いて、薄層クロマトグラフィーまたは質量分析を行い、適切な場合後処理に供した。精製は、実験の間で変化し得る。一般に、溶離液/勾配のために使用される溶媒および溶媒比は、適当なRまたは保持時間を実現するために選択した。こうした調製例および実施例における全ての出発材料は、市販品として入手可能であるか、または当業界で知られているもしくは本明細書に記載のとおりの方法によって調製することができる。
【0126】
調製例P1
tert−ブチル[(5S)−5−(4−アミノ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]カルバメート(P1)
【0127】
【化11】
ステップ1.N−(4−メトキシベンジル)−N−メチルメタンスルホンアミド(C1)の合成
この実験は、全く同じ2回分で実施した。0℃のN−(4−メトキシベンジル)メタンスルホンアミド(205g、952mmol)のテトラヒドロフラン(2.5L)溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%、53.3g、1.33mol)を数回に分けて加え、反応混合物を0℃で30分間撹拌した。次いで、0℃でヨードメタン(245g、1.73mol)を30分かけて滴下で添加し、その後、反応混合物を室温(約18℃)で1時間撹拌し、次いで氷水(2L)中に注いだ。得られた混合物を酢酸エチル(3×1L)で抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(3×1L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。2回分の粗生成物を合わせ、石油エーテル(2L)で希釈し、室温(約20℃)で30分間撹拌し、得られた固体を濾過によって単離して、生成物を黄色の固体として得た。収量:392g、1.71mol、90%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.28 (br d, J=8.5 Hz, 2H), 6.90 (br d, J=8.5 Hz, 2H), 4.26 (s, 2H),
3.82 (s, 3H), 2.81 (s, 3H), 2.76 (s, 3H).
【0128】
ステップ2.N−[1−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)エチリデン]−(R)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(C2)の合成
この実験は、全く同じ2回分で実施した。室温(約15℃)の1−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)エタノン(145g、704mmol)および(R)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(128g、1.06mol)のテトラヒドロフラン(2.0L)中の溶液に、チタン(IV)エトキシド(321g、1.41mol)を加え、反応混合物を75℃で16時間加熱した。次いで、これを室温(約15℃)に冷却し、水(500mL)でクエンチし、濾過した。濾過ケークを酢酸エチル(4×500mL)で洗浄し、合わせた濾液を真空中で濃縮した。2回分からの残渣を合わせ、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:5%〜25%の石油エーテル中酢酸エチル)によって精製して、生成物を黄色の固体として得た。収量:340g、1.10mol、78%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.42 (s, 1H), 2.85 (s, 3H), 1.32 (s, 9H).
【0129】
ステップ3.(2S)−2−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−2−{[(R)−tert−ブチルスルフィニル]アミノ}−N−(4−メトキシベンジル)−N−メチルプロパン−1−スルホンアミド(C3)の合成
この実験は、全く同じ2回分で実施した。−70℃のC1(98.0g、427mmol)のテトラヒドロフラン(1.5L)溶液に、n−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、165mL、412mmol)を1時間かけて滴下して添加した。反応混合物を−70℃で1時間撹拌した後、C2(85g、275mmol)のテトラヒドロフラン(600mL)溶液を30分かけて滴下で添加し、次いで、−70℃で1時間撹拌し続けた。−70℃で飽和塩化アンモニウム水溶液(1.0L)を加え、水層を酢酸エチル(2×1L)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ濾過し、真空中で濃縮した。2つの反応生成物を合わせ、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:10%〜80%の石油エーテル中酢酸エチル)によって精製して、白色の固体(145g)を得た。この材料をtert−ブチルメチルエーテル(1.4L)で処理し、室温(約15℃)で2時間撹拌し、その後、濾過によって固体を集めて、生成物を白色の固体として得た。示した絶対立体化学は、この変換から予想されるものであり(J.A.Ellmanら、Chem.Rev.2010、110、3600〜3740を参照されたい)、P1から合成された9に関する単結晶X線構造解析(以下を参照されたい)によって、この絶対立体化学が確認された。収量:135g、251mmol、46%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.21 (br d, J=8.5 Hz, 2H), 7.20 (s, 1H), 6.86 (br d, J=8.5 Hz, 2H),
6.32 (s, 1H), 4.06 (AB四重線, JAB=14.6 Hz, ΔνAB=66.7 Hz, 2H), 4.00 (d, J=13.6 Hz,
1H), 3.80 (s, 3H), 3.70 (d, J=14.0 Hz, 1H), 2.61 (s, 3H), 1.97 (s, 3H), 1.36
(s, 9H).
【0130】
ステップ4.(2S)−2−アミノ−2−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−N−(4−メトキシベンジル)−N−メチルプロパン−1−スルホンアミド、塩酸塩(C4)の合成
C3(175g、325mmol)のジクロロメタン(1.2L)およびメタノール(600mL)溶液に、室温(約13℃)で、塩化水素の1,4−ジオキサン溶液(4M、400mL、1.6mol)を滴下で添加し、反応混合物を室温(約13℃)で2時間撹拌した。真空中で溶媒を除去すると、生成物(180g)が無色のオイルとして得られ、これをそれ以上精製せずに次のステップで使用した。LCMS m/z 457.8 [M+Na+](臭素同位体パターンが認められた)。
【0131】
ステップ5.(2S)−2−アミノ−2−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−N−メチルプロパン−1−スルホンアミド(C5)の合成
C4(先行ステップより、180g、≦325mmol)のクロロホルム(1.2L)溶液に、室温(約13℃)でトリフルオロ酢酸(900mL)および1,3−ジメトキシベンゼン(400g、2.89mol)を加えた。反応混合物を室温(約13℃)で16時間撹拌し、その後、これを真空中で濃縮し、塩酸水溶液(1M、1.0L)で希釈した。得られた混合物をtert−ブチルメチルエーテル(2×800mL)で洗浄し、水層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpH8に塩基性化し、次いで酢酸エチル(3×600mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル層を飽和塩化ナトリウム水溶液(500mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、黄色のオイルを得た。この材料を、C3で実施した同様の2ステップ連続反応から得られた対応する生成物(125g、232mmol)と合わせて、生成物を黄色のオイルとして得た。収量:174g、554mmol、2ステップで99%。LCMS m/z 313.6, 315.6 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz,
CDCl3) δ 7.20 (s, 1H), 3.94 (d, J=14.6 Hz,
1H), 3.94-3.86 (m, 1H), 3.42 (d, J=14.6 Hz, 1H), 2.72 (d, J=5.0 Hz, 3H),
2.58-2.42 (br s, 2H), 1.66 (s, 3H).
【0132】
ステップ6.N−{[(2S)−2−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−1−(メチルスルファモイル)プロパン−2−イル]カルバモチオイル}ベンズアミド(C6)の合成
この実験は、全く同じ2回分で実施した。室温(約13℃)のC5(82g、261mmol)のジクロロメタン(1.8L)溶液に、イソチオシアン酸ベンゾイル(63.9g、392mmol)を一度に加えた。反応混合物を室温(約13℃)で16時間撹拌し、その後、これを真空中で濃縮し、2回分を合わせた。シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:10%〜80%の石油エーテル中酢酸エチル)によって、生成物をオフホワイト色の泡状物として得た。収量:226g、473mmol、91%。LCMS m/z 478.7 [M+H]+, 臭素同位体パターンが認められた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.64 (s, 1H), 9.00 (s, 1H), 7.87 (br d, J=8 Hz, 2H), 7.65 (br t,
J=7.4 Hz, 1H), 7.53 (br dd, J=8.0, 7.5 Hz, 2H), 7.26 (s, 1H), 5.18 (d, J=14.8
Hz, 1H), 4.59 (br q, J=5 Hz, 1H), 4.13 (d, J=14.6 Hz, 1H), 2.86 (d, J=5.3 Hz,
3H), 2.13 (s, 3H).
【0133】
ステップ7.N−[(5S)−5−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(C7)の合成
C6(110g、230mmol)および炭酸カリウム(63.7g、461mmol)のアセトニトリル(1.5L)中の室温(約13℃)の混合物に、ヨードメタン(61.5g、433mmol)を滴下で添加した。反応混合物を室温(約13℃)で16時間撹拌し、その後、これを飽和塩化アンモニウム水溶液(1.0L)で希釈し、酢酸エチル(3×800mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(800mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中でおよそ200mLの体積に濃縮した。石油エーテル(1.0L)を加えた後、混合物を室温(約13℃)で30分間撹拌し、その後、濾過によって沈殿を集めて、生成物を白色の固体として得た。収量:94g、210mmol、91%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 12.44 (s, 1H), 8.27-8.22 (m, 2H), 7.59-7.53 (m, 1H), 7.46 (br dd,
J=7.8, 7.3 Hz, 2H), 7.22 (s, 1H), 4.49 (d, J=13.8 Hz, 1H), 3.72 (d, J=13.8 Hz,
1H), 3.47 (s, 3H), 1.99 (s, 3H).
【0134】
ステップ8.(5S)−5−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5−ジメチル−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−アミン1,1−ジオキシド(C8)の合成
室温(13℃)のC7(75.0g、169mmol)のメタノール(1.5L)懸濁液に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(25.8g、169mmol)を一度に加えた。反応混合物を16時間還流させ、その後、これを冷却し、真空中で濃縮した。残渣を酢酸エチル(2.0L)に溶解した後、これを飽和塩化ナトリウム水溶液(600mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物(76g)を黄色のオイルとして得、これをそのまま次のステップで使用した。
【0135】
ステップ9.tert−ブチル[(5S)−5−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]カルバメート(C9)の合成
室温(約13℃)のC8(先行ステップより、76g、≦169mmol)のジクロロメタン(1.5L)溶液に、二炭酸ジ−tert−ブチル(92.2g、422mmol)およびトリエチルアミン(59.9g、592mmol)を加え、反応混合物を35℃で36時間撹拌し、その後、これを冷却し、真空中で濃縮して、黄色のオイルを得た。これを、C7で実施した2ステップ連続反応からの同様の粗生成物(94.0g、212mmol、および33.8g、76.2mmol)と合わせ、得られた材料をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:3%〜20%の石油エーテル中酢酸エチル)によって精製した。生成物を含有する画分を、およそ50mLの溶媒が残るまで濃縮し、次いで石油エーテル(1L)で希釈し、この混合物を室温(約13℃)で30分間撹拌した。得られた固体を濾過によって集めて、生成物(90g)を白色の固体として得た。母液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:3%〜20%の石油エーテル中酢酸エチル)に掛けて、追加の生成物を白色の固体(4.1g)として得た。合わせた収量:94.1g、214mmol、2ステップで47%。LCMS m/z 440.6 [M+H]+(臭素同位体パターンが認められた)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.93 (br s, 1H), 7.22 (s, 1H), 4.42 (d, J=14.0 Hz, 1H), 3.66 (d,
J=13.8 Hz, 1H), 3.28 (s, 3H), 1.94 (s, 3H), 1.54 (s, 9H).
【0136】
ステップ10.tert−ブチル[(5S)−5−{4−[(ジフェニルメチリデン)アミノ]−1,3−チアゾール−2−イル}−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]カルバメート(C10)の合成
C9(44.25g、100.7mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(8.38g、9.15mmol)、ビフェニル−2−イル(ジ−tert−ブチル)ホスファン(John Phos、6.37g、21.3mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(32.2g、335mmol)、および1,1−ジフェニルメタンイミン(20.4mL、122mmol)のトルエン(640mL)中の混合物を排気し、窒素を装入した。この排気サイクルを2回繰り返し、その後、反応混合物を60℃で1時間撹拌した。次いでこれを珪藻土で濾過し、濾液を真空中で濃縮して、生成物を琥珀色のオイルとして得た。この材料をそのまま次のステップにまわした。
【0137】
ステップ11.tert−ブチル[(5S)−5−(4−アミノ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]カルバメート(P1)の合成
C10(先行ステップより、≦100.7mmol)のメタノール(1.34L)溶液を、ヒドロキシルアミン塩酸塩(14.0g、201mmol)および酢酸ナトリウム(16.5g、201mmol)で処理した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、その後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。得られた混合物を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を琥珀色の固体として得た。収量:31.3g、83.4mmol、2ステップで83%。LCMS m/z 374.1 [M-H+]. 1H NMR (400 MHz, CD3OD)
δ 6.02 (s, 1H), 4.44 (d, J=13.9 Hz, 1H), 4.09 (d, J=14
Hz, 1H), 3.17 (s, 3H), 1.85 (br s, 3H), 1.50 (s, 9H).
【0138】
調製例P2
N−[(5S)−5−(4−アミノ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(P2)
【0139】
【化12】
ステップ1.N−[(5S)−5−{4−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−1,3−チアゾール−2−イル}−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(C11)の合成
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(87.9mg、95.9μmol)、ジ−tert−ブチル[2’,4’,6’−トリ(プロパン−2−イル)ビフェニル−2−イル]ホスファン(95%、125mg、0.279mmol)、およびナトリウムtert−ブトキシド(406mg、4.22mmol)の1,4−ジオキサン(5mL、アルゴンでスパージングしておいたもの)中の混合物を、70℃で10分間撹拌し、その後、C7(826mg、1.86mmol)および1−(2,4−ジメトキシフェニル)メタンアミン(561mg、3.36mmol)の1,4−ジオキサン(5mL、アルゴンでスパージングしておいたもの)溶液を加えた。撹拌を70℃で15分間継続し、この時点で、反応混合物を室温に冷却した。次いでこれを炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)中に注ぎ、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を橙色〜白色の固体として得た。収量:925mg、1.75mmol、94%。LCMS m/z 530.2 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 8.26-8.21 (m, 2H), 7.57-7.51 (m, 1H), 7.48-7.42 (m,
2H), 7.18 (d, J=8.2 Hz, 1H), 6.47 (d, AB四重線の半分, J=2.3
Hz, 1H), 6.43 (dd, ABXパターンの半分, J=8.2, 2.4 Hz, 1H), 6.06
(br s, 1H), 4.40 (d, J=13.8 Hz, 1H), 4.28 (s, 2H), 3.85 (s, 3H), 3.80 (s, 3H),
3.70 (d, J=13.8 Hz, 1H), 3.46 (s, 3H), 1.97 (s, 3H).
【0140】
ステップ2.N−[(5S)−5−(4−アミノ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(P2)の合成
0℃のC11(922mg、1.74mmol)のジクロロメタン(15mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(2.0mL)を滴下で添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、これを真空中で濃縮し、残渣を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)と酢酸エチル(30mL)とに分配し、水層を酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を黄色〜橙色〜白色の固体として得た。収量:475mg、1.25mmol、72%。LCMS m/z 380.1 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 8.27-8.21 (m, 2H), 7.57-7.51 (m, 1H), 7.45 (br dd,
J=8, 7.3 Hz, 2H), 6.19 (s, 1H), 4.44 (d, J=13.8 Hz, 1H), 3.71 (d, J=13.8 Hz,
1H), 3.46 (s, 3H), 1.98 (s, 3H).
【0141】
調製例P3
N−(6−シクロプロピル−5−{4−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−1,3−チアゾール−2−イル}−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル)ベンズアミド(P3)
【0142】
【化13】
ステップ1.1−シクロプロピル−N−(4−メトキシベンジル)−N−メチルメタンスルホンアミド(C12)の合成
−20℃の1−(4−メトキシフェニル)−N−メチルメタンアミン(5.38g、35.6mmol)のジクロロメタン(132mL)溶液に、トリエチルアミン(4.51mL、32.3mmol)を加えた。シクロプロピルメタンスルホニルクロリド(5.00g、32.3mmol)を滴下で添加した後、反応混合物を6時間かけて室温に加温し、次いで、さらに16時間撹拌した。次いでこれを水(200mL)とジクロロメタン(250mL)とに分配し、水層をジクロロメタン(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタン溶液としてシリカゲルに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜70%のヘプタン中酢酸エチルに続き、カラムに沈殿している材料を溶離させる酢酸エチル)によって、褐色の固体を得た。この材料をヘプタン(50mL)で摩砕し、得られた固体を濾過によって単離し、ヘプタン(3×15mL)で洗浄して、生成物を白色の固体として得た。収量:7.4g、27mmol、84%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.29 (br d, J=8.5 Hz, 2H), 6.90 (br d, J=8.7 Hz, 2H), 4.32 (s, 2H),
3.82 (s, 3H), 2.94 (d, J=7.1 Hz, 2H), 2.79 (s, 3H), 1.21-1.10 (m, 1H),
0.77-0.68 (m, 2H), 0.41-0.32 (m, 2H).
【0143】
ステップ2.2−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−2−{[(R)−tert−ブチルスルフィニル]アミノ}−1−シクロプロピル−N−(4−メトキシベンジル)−N−メチルプロパン−1−スルホンアミド(C13)の合成
−78℃のC12(0.871g、3.23mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、n−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、1.29mL、3.23mmol)を、反応温度が−70℃未満に保たれる速度で滴下して添加した。反応混合物を−78℃で1時間撹拌した。別のフラスコにおいて、−78℃のC2(0.500g、1.62mmol)のトルエン(8mL)溶液に、トリメチルアルミニウム(2.0Mトルエン溶液、0.808mL、1.62mmol)を滴下で添加し、この反応混合物を−78℃で20分間撹拌した。次いで、C2反応混合物にC12反応混合物をカニューレで加え、撹拌を−78℃で3.5時間継続し、その後、水(50mL)で反応物をクエンチし、室温に加温した。水層を酢酸エチル(3×25mL)で抽出した後、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタン溶液としてシリカゲルに吸着させ、シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって精製して、生成物を白色の固体として得た。H NMR分析によると、この材料は、およそ3:2のジアステレオマー混合物からなっていた。収量:0.614g、1.06mmol、65%。1H NMR (400 MHz, CDCl3), 特徴的ピーク: δ 7.25-7.20 (m, 2H), [7.20 (s)および7.14 (s), 計1H], 6.88-6.82 (m, 2H), [3.79 (s)および3.79 (s), 計3H], [3.38 (d, J=11.2 Hz)および3.25 (d, J=11.0 Hz), 計1H], [2.67 (s)および2.65 (s), 計3H], [2.10 (s)および2.06 (s), 計3H], [1.39 (s)および1.34 (s), 計9H], 1.08-0.39 (m, 5H).
【0144】
ステップ3.2−アミノ−2−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−1−シクロプロピル−N−メチルプロパン−1−スルホンアミド(C14)の合成
C13(0.614g、1.06mmol)のジクロロメタン(10mL)およびメタノール(2mL)溶液に、塩化水素の1,4−ジオキサン溶液(4.0M、1.60mL、6.40mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、その後、これを真空中で濃縮し、残渣をトルエン(2×50mL)と共沸させた。得られた固体をクロロホルム(10mL)に溶解し、1,3−ジメトキシベンゼン(0.833mL、6.36mmol)およびトリフルオロ酢酸(1.5mL、19mmol)で処理した。室温で16時間撹拌した後、反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を塩酸水溶液(0.25M、60mL)で処理し、ジエチルエーテル(3×100mL)で洗浄した。これらの有機洗液を捨て、水層は、固体炭酸水素ナトリウムを加えてpH9に塩基性化した。次いで、これを酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた酢酸エチル層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を白色の固体として得た。H NMR分析によると、この材料は、およそ3:2のジアステレオマー混合物からなっていた。収量:0.40g、1.1mmol、定量的。1H NMR (400 MHz, CDCl3), 特徴的ピーク: δ [7.37 (s)および7.36
(s), 計1H], [3.55 (d, J=10.9 Hz)および3.52 (d, J=11.0 Hz), 計1H], [2.91 (s)および2.83 (s), 計3H], [2.17 (s)および2.10 (s), 計3H], 1.0-0.48 (m, 4H).
【0145】
ステップ4.N−{[2−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−1−シクロプロピル−1−(メチルスルファモイル)プロパン−2−イル]カルバモチオイル}ベンズアミド(C15)の合成
C14(0.40g、1.1mmol)のジクロロメタン(15mL)溶液に、イソチオシアン酸ベンゾイル(0.212mL、1.58mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。真空中で溶媒を除去することによって、粗生成物を黄色の固体(0.60g)として得、これをそのまま次のステップで使用した。
【0146】
ステップ5.N−[5−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(C16)の合成
C15(先行ステップより、0.60g、≦1.1mmol)のアセトニトリル(15mL)溶液に、炭酸カリウム(240mg、1.74mmol)に続いてヨードメタン(0.108mL、1.73mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。次いでこれを飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)および水(20mL)で希釈し、得られた混合物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を濾過し、真空中で濃縮し、残渣をジクロロメタン溶液としてシリカゲルに吸着させた。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜60%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を白色の固体として得た。H NMR分析によると、この材料は、およそ7:4のジアステレオマー混合物からなっていた。キラル超臨界流体クロマトグラフィー(カラム:Phenomenex Lux Cellulose−4、5μm;移動相A:二酸化炭素;移動相B:0.2%の水酸化アンモニウムを含有するメタノール;勾配:5%〜60%のB)によって、4種の異性体が32:5:11:53の比で認められた。収量:0.284g、0.59mmol、2ステップで54%。1H NMR (400 MHz, CDCl3), 特徴的ピーク: δ 8.26-8.21 (m, 2H), 7.58-7.52 (m, 1H),
7.49-7.43 (m, 2H), [7.25 (s)および7.23 (s), 計1H], [3.58 (d, J=11.0 Hz)および2.95 (d, J=10.8
Hz), 計1H], [3.50 (s)および3.47
(s), 計3H], [2.09 (s)および2.08 (s),
計3H], 1.13-0.80 (m, 3H), 0.53-0.34 (m, 1H).
【0147】
ステップ6.N−(6−シクロプロピル−5−{4−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−1,3−チアゾール−2−イル}−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル)ベンズアミド(P3)の合成
ナトリウムtert−ブトキシド(97%、0.117g、1.18mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(97%、25.4mg、26.9μmol)、およびジ−tert−ブチル[2’,4’,6’−トリ(プロパン−2−イル)ビフェニル−2−イル]ホスファン(95%、36.1mg、80.8μmol)の混合物を、窒素中で撹拌し、次いで、3サイクルの排気およびそれに続く窒素充填でパージした。1,4−ジオキサン(5mL)を加え、得られた混合物を70℃で10分間撹拌し、その後、70℃の混合物に、C16(0.26g、0.54mmol)および1−(2,4−ジメトキシフェニル)メタンアミン(0.145mL、0.965mmol)の1,4−ジオキサン(5mL)溶液を加えた。撹拌を70℃で20分間継続し、反応混合物を室温に冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)中に注いだ。混合物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をジクロロメタン溶液としてシリカゲルに吸着させ、シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜70%のヘプタン中酢酸エチル)に掛けて、生成物を白色の固体として得た。H NMR分析によると、この材料は、およそ1:1のジアステレオマー混合物からなっていた。収量:288mg、0.506mmol、94%。LCMS m/z 570.3 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3),
特徴的ピーク: δ [12.09 (br s)および11.96 (br s), 計1H], 8.27-8.19 (m, 2H),
7.56-7.49 (m, 1H), 7.48-7.40 (m, 2H), [7.19 (d, J=8.2 Hz)および7.18 (d, J=8.2 Hz), 計1H], 6.48-6.45 (m, 1H),
6.43 (dd, ABXパターンの半分, J=8.2, 2.4 Hz, 1H), [5.89 (br s)および5.83 (br s), 計1H], [4.24 (s)および4.23 (s), 計2H], 3.84 (s, 3H), [3.80 (s)および3.80 (s), 計3H], [3.49 (s)および3.45 (s), 計3H], [2.07 (s)および2.03 (s), 計3H].
【0148】
調製例P4
N−(5−{4−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−1,3−チアゾール−2−イル}−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル)ベンズアミド(P4)
【0149】
【化14】
ステップ1.N−(4−メトキシベンジル)−N−メチルプロパン−2−スルホンアミド(C17)の合成
−20℃の1−(4−メトキシフェニル)−N−メチルメタンアミン(5.38g、35.6mmol)のジクロロメタン(130mL)溶液に、トリエチルアミン(4.50mL、32.3mmol)を加えた。プロパン−2−スルホニルクロリド(4.61g、32.3mmol)を滴下して導入し、次いで、反応混合物を6時間かけて室温に加温し、さらに16時間撹拌した。反応混合物を水(200mL)とジクロロメタン(250mL)とに分配し、水層をジクロロメタン(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタン溶液としてシリカゲルに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜70%のヘプタン中酢酸エチル)に掛け、この過程の間、クロマトグラフィーカラムに生成物が一部沈殿したため、カラムも酢酸エチルで溶離した。カラムからの材料を褐色の固体として得、次いでこれをヘプタン(50mL)で摩砕して、白色の固体を得た。この材料をヘプタン(3×15mL)で洗浄して、生成物を白色の固体として得た。収量:5.47g、21.3mmol、66%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.28 (br d, J=8.8 Hz, 2H), 6.89 (br d, J=8.8 Hz, 2H), 4.33 (s, 2H),
3.82 (s, 3H), 3.28 (七重線, J=6.8 Hz, 1H), 2.78 (s, 3H),
1.40 (d, J=6.8 Hz, 6H).
【0150】
ステップ2.3−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−3−{[(R)−tert−ブチルスルフィニル]アミノ}−N−(4−メトキシベンジル)−N,2−ジメチルブタン−2−スルホンアミド(C18)の合成
C17のC18への変換を、調製例P3においてC12からのC13の合成について記載した方法を使用して実施した。生成物は、橙色の固体として得られ、H NMR分析によると、この材料は、およそ3:2のジアステレオマー混合物からなっていた。収量:528mg、0.932mmol、58%。1H NMR (400 MHz, CDCl3), 特徴的ピーク: δ 7.24-7.16 (m, 3H), 6.87-6.80 (m, 2H),
[6.63 (br s)および6.23 (br s), 計1H],
[3.79 (s)および3.78 (s), 計3H],
2.78-2.65 (m, 3H), 2.02 (s, 3H), [1.78 (s)および1.68 (s), 計3H], [1.63 (s)および1.55 (s), 計3H], [1.36 (s)および1.36 (s), 計9H].
【0151】
ステップ3.3−アミノ−3−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−N,2−ジメチルブタン−2−スルホンアミド(C19)の合成
C18のC19への変換を、トリフルオロ酢酸を介した脱保護を溶媒を加えずに実施したことを除き、調製例P3においてC13からのC14の合成について記載した方法を使用して実施した。生成物は、白色の固体として単離された。収量:291mg、0.850mmol、91%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.21 (s, 1H), 2.81 (s, 3H), 1.73 (s, 3H), 1.65 (s, 3H), 1.59 (s,
3H).
【0152】
ステップ4.N−{[2−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−3−メチル−3−(メチルスルファモイル)ブタン−2−イル]カルバモチオイル}ベンズアミド(C20)の合成
C19(290mg、0.847mmol)のC20への変換を、調製例P3においてC14からのC15の合成について記載した手順を使用して実施した。生成物は、黄色の固体として得られ、これをそのまま次のステップにまわした。LCMS m/z 505.1、507.1 [M+H]+.
【0153】
ステップ5.N−[5−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(C21)の合成
C20(先行反応より、≦0.847mmol)のC21への変換を、調製例P3においてC15からのC16の合成について記載した方法を使用して実施した。生成物は、白色の固体として単離された。収量:170mg、0.361mmol、2ステップで43%。LCMS m/z 471.1, 473.1 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz,
CDCl3) δ 12.45 (br s, 1H), 8.27-8.23 (m,
2H), 7.58-7.52 (m, 1H), 7.49-7.43 (m, 2H), 7.25 (s, 1H), 3.52 (s, 3H), 2.03 (s,
3H), 1.81 (s, 3H), 1.56 (s, 3H).
【0154】
ステップ6.N−(5−{4−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−1,3−チアゾール−2−イル}−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル)ベンズアミド(P4)の合成
ナトリウムtert−ブトキシド(97%、67.0mg、0.676mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(97%、14.5mg、15.4μmol)、およびジ−tert−ブチル[2’,4’,6’−トリ(プロパン−2−イル)ビフェニル−2−イル]ホスファン(95%、20.6mg、46.1μmol)の混合物を、窒素中で撹拌し、次いで、3サイクルの排気およびそれに続く窒素充填でパージした。1,4−ジオキサン(10mL)を加え、溶液を70℃で10分間撹拌し、この時点で、熱い(70℃)反応混合物に、C21(0.145g、0.308mmol)および1−(2,4−ジメトキシフェニル)メタンアミン(92.6mg、0.554mmol)の1,4−ジオキサン(10mL)溶液を加えた。70℃で80分間撹拌した後、反応混合物を室温に冷却し、その後、これを飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)中に注いだ。得られた混合物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して橙色のオイル(195mg)を得たが、これは、LCMS分析によると、C21とP4のおよそ1:1の混合物からなっていた。この材料を、次の試薬量:ナトリウムtert−ブトキシド(97%、41.3mg、0.417mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(97%、8.94mg、9.47μmol)、ジ−tert−ブチル[2’,4’,6’−トリ(プロパン−2−イル)ビフェニル−2−イル]ホスファン(95%、12.7mg、28.4μmol)、および1−(2,4−ジメトキシフェニル)メタンアミン(57.0mg、0.341mmol)を使用して同じ反応条件に掛け直した。この場合では、反応混合物を70℃で20分間撹拌した。この再履行からの粗生成物をジクロロメタン溶液としてシリカゲルに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜70%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を白色の固体として得た。収量:135mg、0.242mmol、79%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 12.31 (br s, 1H), 8.27-8.23 (m, 2H), 7.55-7.50 (m, 1H), 7.47-7.41
(m, 2H), 7.20 (d, J=8.2 Hz, 1H), 6.48 (d, AB四重線の半分,
J=2.4 Hz, 1H), 6.45 (dd, ABXパターンの半分, J=8.3, 2.4 Hz,
1H), 5.75 (s, 1H), 4.75-4.68 (m, 1H), 4.26-4.21 (m, 2H), 3.85 (s, 3H), 3.82 (s,
3H), 3.51 (s, 3H), 2.03 (s, 3H), 1.82 (s, 3H), 1.42 (s, 3H).
【0155】
調製例P5
N−(5−{4−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−1,3−チアゾール−2−イル}−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル)ベンズアミド(P5)
【0156】
【化15】
ステップ1.N−(4−メトキシベンジル)−N−メチルエタンスルホンアミド(C22)の合成
−72℃(内部反応温度)のN−(4−メトキシベンジル)−N−メチルメタンスルホンアミド(2.00g、8.72mmol)のテトラヒドロフラン(35mL)溶液に、n−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、3.66mL、9.15mmol)を、内部温度が−70℃またはそれ未満に保たれる速度で滴下で添加した。反応混合物を−70℃で1時間撹拌した後、ヨードメタン(0.983mL、15.8mmol)を滴下して添加し、−70℃で4時間撹拌し続けた。次いで、反応混合物を16時間かけて室温に加温し、その後、これを飽和塩化アンモニウム水溶液(150mL)および水(120mL)で希釈した。得られた混合物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を濾過し、真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタン溶液としてシリカゲルに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)に掛けて、生成物を白色の固体として得た。収量:1.92g、7.89mmol、90%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.30-7.25 (m, 2H, 推定; 溶媒ピークにより一部不明確), 6.90 (br d, J=8.5 Hz, 2H), 4.31 (s, 2H), 3.82 (s, 3H), 3.02 (q,
J=7.4 Hz, 2H), 2.77 (s, 3H), 1.39 (t, J=7.4 Hz, 3H).
【0157】
ステップ2.3−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−3−{[(R)−tert−ブチルスルフィニル]アミノ}−N−(4−メトキシベンジル)−N−メチルブタン−2−スルホンアミド(C23)の合成
C22のC23への変換を、調製例P3においてC12からのC13の合成について記載した方法を使用して実施した。生成物は、白色の固体として単離された。H NMR分析によると、この材料は、およそ5:4:3の比で、少なくとも3種のジアステレオマーからなっていた。収量:1.57g、2.84mmol、73%。1H NMR (400 MHz, CDCl3), 特徴的ピーク: δ [7.24-7.17 (m)および6.89-6.83 (m), 計5H], [3.80 (s), 3.80 (s),および3.80 (s), 計3H], [2.73 (s), 2.68 (s),および2.64 (s), 計3H], [2.07 (s), 2.00 (s),および1.94 (s), 計3H], [1.75 (d, J=7.1 Hz), 1.54
(d, J=7.1 Hz),および1.53 (d, J=7.1 Hz), 計3H], [1.37 (s), 1.34 (s),および1.28 (s), 計9H].
【0158】
ステップ3.3−アミノ−3−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−N−メチルブタン−2−スルホンアミド(C24)の合成
C23(1.52g、2.75mmol)のジクロロメタン(30mL)およびメタノール(6mL)溶液に、塩化水素の1,4−ジオキサン溶液(4.0M、4.13mL、16.5mmol)を加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。真空中で溶媒を除去した後、残渣をトルエン(2×50mL)と共沸させ、得られた黄色の固体を、次いで、1,3−ジメトキシベンゼン(5mL)とトリフルオロ酢酸(10mL)の混合物に溶解した。この反応混合物を室温で16時間撹拌し、その後、塩酸水溶液(0.25M、100mL)を加え、混合物をジエチルエーテル(3×100mL)で洗浄した。水層に1M水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9に塩基性化し、次いで酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を無色のオイルとして得た。H NMR分析によると、この材料は、およそ3:2のジアステレオマー混合物からなっていた。収量:886mg、2.70mmol、98%。主ジアステレオ異性体:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.17 (s, 1H), 4.18 (br q, J=5 Hz, 1H), 3.89 (q, J=7.1 Hz, 1H), 2.85
(d, J=5.2 Hz, 3H), 2.4-2.2 (br s, 2H), 1.82 (s, 3H), 1.33 (d, J=7.1 Hz, 3H). 副ジアステレオマー: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.18 (s, 1H), 4.00 (q, J=7.2 Hz, 1H), 3.70 (br q, J=5 Hz, 1H), 2.67
(d, J=5.3 Hz, 3H), 2.4-2.2 (br s, 2H), 1.57 (s, 3H), 1.53 (d, J=7.2 Hz, 3H).
【0159】
ステップ4.N−{[2−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−3−(メチルスルファモイル)ブタン−2−イル]カルバモチオイル}ベンズアミド(C25)の合成
C24のC25への変換を、調製例P3においてC14からのC15の合成について記載した方法を使用して実施した。生成物は、黄色の固体として得られ、これをそのまま次のステップにまわした。
【0160】
ステップ5.N−[5−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(C26)の合成
C25のC26への変換を、調製例P3においてC15からのC16の合成について記載した手順を使用して実施した。生成物は、白色の固体として単離され、H NMR分析によると、およそ3:2のジアステレオマー混合物からなっていた。収量:390mg、0.853mmol、2ステップで32%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ [12.38 (br s)および12.32 (br s), 計1H], 8.27-8.21 (m, 2H), 7.58-7.52 (m, 1H), 7.49-7.42 (m, 2H), [7.25
(s)および7.24 (s), 計1H], [4.33 (q,
J=7.1 Hz)および3.78 (q, J=7.1 Hz), 計1H], [3.51 (s)および3.49 (s), 計3H], [2.03 (s)および1.93 (s), 計3H], [1.76 (d, J=7.1 Hz)および1.65 (d, J=7.0
Hz), 計3H].
【0161】
ステップ6.N−(5−{4−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−1,3−チアゾール−2−イル}−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル)ベンズアミド(P5)の合成
C26の1−(2,4−ジメトキシフェニル)メタンアミンとの反応を、調製例P3においてC16からのP3の合成について記載した手順に従って実施した。生成物は、黄色の固体として単離され、H NMR分析によると、この材料は、およそ1:1のジアステレオマー混合物からなっていた。収量:457mg、0.840mmol、98%。1H NMR (400 MHz, CDCl3), 特徴的ピーク: δ [12.24 (br s)および12.05
(br s), 計1H], 8.28-8.18 (m, 2H), 7.56-7.49 (m, 1H), 7.47-7.40
(m, 2H), [7.21 (d, J=8.2 Hz)および7.20 (d, J=8.2 Hz), 計1H], 6.50-6.42 (m, 2H), [5.75 (s)および5.73
(s), 計1H], 4.26-4.19 (m, 2H), [3.85 (s), 3.84 (s), 3.81
(s),および3.81 (s), 計6H], [3.50
(s)および3.49 (s), 計3H], [2.02 (s)および1.93 (s), 計3H], [1.61 (d, J=7.0 Hz)および1.59 (d, J=7.0 Hz), 計3H].
【0162】
調製例P6
5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボン酸(P6)
【0163】
【化16】
ステップ1、メチル5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキシレート(C27)の合成。
メチル5−ヒドロキシピリジン−2−カルボキシレート(20g、130mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(500mL)溶液に、炭酸カリウム(45.1g、326mmol)を添加し、反応混合物を室温で0.5時間撹拌した。クロロ(ジフルオロ)酢酸ナトリウム(63.7g、418mmol)を導入し、その結果生じた混合物を100℃で5時間加熱し、その後飽和塩化ナトリウム水溶液(300mL)および酢酸エチル(300mL)に分配した。水層を酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(2×200mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:5:1の石油エーテル/酢酸エチル)によって、生成物を淡黄色のオイルとして得た。収量:17g、84mmol、65%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.56 (s, 1H), 8.17 (d, J=8.7 Hz, 1H), 7.59 (br d, J=8.7 Hz, 1H),
6.64 (t, JHF=71.9 Hz, 1H), 4.00 (s, 3H).
【0164】
ステップ2、5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボン酸(P6)の合成。
C27(17g、84mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)および水(50mL)中の溶液を、0℃に冷却し、水酸化リチウム(6.0g、250mmol)で処理した。反応混合物を室温で2時間撹拌した後、1M塩酸水溶液でpH3に酸性化した。水層を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を白色の固体として得た。収量:13g、69mmol、82%。LCMS m/z 189.8 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 8.52 (d, J=2.4 Hz, 1H), 8.29 (d, J=8.5 Hz, 1H), 7.73
(dd, J=8.6, 2.4 Hz, 1H), 6.68 (t, JHF=71.5 Hz, 1H).
【0165】
調製例P7
5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボン酸(P7)
【0166】
【化17】
ステップ1、3−メチル−5−ニトロピリジン−2−カルボニトリル(C28)の合成。
3−メチルピリジン−2−カルボニトリル(128g、1.08mol)および硝酸テトラブチルアンモニウム(363g、1.19mol)のtert−ブチルメチルエーテル(1.3L)中の混合物を、4℃に冷却した。トリフルオロ酢酸無水物(171mL、1.21mol)を加え、反応混合物を室温で60時間撹拌した。次いで、20%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、およそ7のpHに調整し、ジクロロメタン(3×1L)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜10%の石油エーテル中酢酸エチル)によって精製して、生成物を黄色の固体として得た。収量:70g、0.43mmol、40%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ9.36-9.31 (m, 1H), 8.52-8.47 (m, 1H), 2.74 (s, 3H).
【0167】
ステップ2、5−アミノ−3−メチルピリジン−2−カルボニトリル(C29)の合成。
C28(40.0g、245mmol)のエタノール(630mL)および水(70mL)溶液に、塩化カルシウム(13.6g、123mmol)に続いて鉄粉(123g、2.20mol)を加え、反応混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を濾過した後、濾液を真空中で濃縮し、残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:10%〜50%の石油エーテル中酢酸エチル)によって精製した。生成物を黄色の固体として得た。収量:20.0g、150mmol、61%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.94 (d, J=2.5 Hz, 1H), 6.81 (d, J=2.5 Hz, 1H), 4.19-4.07 (br s,
2H), 2.45 (s, 3H).
【0168】
ステップ3、5−ヒドロキシ−3−メチルピリジン−2−カルボニトリル(C30)の合成。
0℃の、C29(18.0g、135mmol)の水(243mL)および濃硫酸(67.5mL)中の溶液に、亜硝酸ナトリウム(10.3gの亜硝酸ナトリウムを含有する1.6M水溶液、149mmol)をゆっくりと加えた。反応混合物を室温に加温し、100℃で3時間撹拌し、その後、これを冷却し、酢酸エチル(3×75mL)で抽出した。合わせた有機層を、水(2×75mL)および飽和塩化ナトリウム水溶液(2×75mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を黄色の固体として得た。収量:16g、120mmol、89%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.07 (br s, 1H), 8.08 (d, J=2.6 Hz, 1H), 7.20 (d, J=2.3 Hz, 1H),
2.40 (s, 3H).
【0169】
ステップ4、5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボニトリル(C31)の合成。
C30(5.70g、42.5mmol)、クロロジフルオロ酢酸ナトリウム(13.0g、85.3mmol)、および炭酸カリウム(17.6g、127mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(175mL)中の混合物を、100℃で30分間撹拌した。次いで、反応混合物を酢酸エチル(400mL)で希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液(3×200mL)および飽和塩化ナトリウム水溶液(3×200mL)で順次洗浄した。合わせた水層を酢酸エチル(200mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:5%〜15%の石油エーテル中酢酸エチル)によって、生成物を無色のオイルとして得た。収量:3.9g、21mmol、49%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.39 (br d, J=2.1 Hz, 1H), 7.47-7.43 (m, 1H), 6.64 (t, JHF=71.5
Hz, 1H), 2.59 (s, 3H).
【0170】
ステップ5、5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボン酸(P7)の合成。
C31(7.60g、41.3mmol)のエタノール(200mL)溶液に、水酸化ナトリウム水溶液(1M、124mL、124mmol)を加え、反応混合物を16時間70℃で撹拌した。次いで、これをtert−ブチルメチルエーテル(200mL)で希釈し、水(2×100mL)で抽出した。合わせた水層をtert−ブチルメチルエーテル(100mL)で洗浄し、1M塩酸水溶液でpH2に酸性化し、tert−ブチルメチルエーテル(2×200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した、生成物を白色の固体として得た。収量:6.6g、32mmol、77%。LCMS m/z 203.7 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CD3OD)
δ 8.32 (br d, J=2.1 Hz, 1H), 7.62-7.58 (m, 1H), 7.06
(t, JHF=72.7 Hz, 1H), 2.64 (s, 3H).
【0171】
調製例P8
3−クロロ−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボン酸(P8)
【0172】
【化18】
ステップ1、5,6−ジクロロピリジン−3−ジアゾニウムテトラフルオロボレート(C32)の合成。
0℃の5,6−ジクロロピリジン−3−アミン(15g、92mmol)のテトラフルオロホウ酸(水中約45%、150mL)溶液に、亜硝酸ナトリウム(6.67g、96.6mmol)の水(90mL)溶液を滴下して添加し、その間に、ジアゾニウム塩が沈殿した。添加が完了した後、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。次いで、これを濾過し、濾過ケークを石油エーテル(3×200mL)で洗浄して、生成物(25.8g)を淡赤色の固体として得た。この材料をそのまま次のステップで使用した。
【0173】
ステップ2、5,6−ジクロロピリジン−3−イルアセテート(C33)の合成。
C32(先行ステップより、25.8g、≦92mmol)の溶液を無水酢酸(75mL)に溶解し、ゆっくりと70℃に加温した。窒素の発生が止んだとき、70℃で1時間撹拌し続け、その後、溶媒を蒸発させた。残渣をtert−ブチルメチルエーテル(100mL)に溶解し、水(4×40mL)で洗浄した。合わせた水層を追加のtert−ブチルメチルエーテル(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(5×20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜25%の石油エーテル中酢酸エチル)によって、生成物を黄色のオイルとして得た。収量:9.7g、47mmol、2ステップで51%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.33 (d, J=2.5 Hz, 1H), 8.18 (d, J=2.5 Hz, 1H), 2.32 (s, 3H).
【0174】
ステップ3、3−クロロ−5−ヒドロキシピリジン−2−カルボニトリル(C34)の合成。
室温のC33(9.7g、47mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(60mL)溶液に、シアン化亜鉛(2.6g、22mmol)、亜鉛粉末(145mg、2.21mmol)、および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(1.72g、2.35mmol)を加えた。反応混合物を140℃で13時間撹拌し、その後、これをtert−ブチルメチルエーテル(200mL)および水(150mL)で希釈し、珪藻土パッドで濾過した。濾液の水層を追加のtert−ブチルメチルエーテル(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(8×50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、生成物を褐色の固体として得た。収量:6.8g、44mmol、94%。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.16 (d, J=2.5 Hz, 1H), 7.38 (d, J=2.5 Hz, 1H).
【0175】
ステップ4、3−クロロ−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボニトリル(C35)の合成。
C34(6.8g、44mmol)、クロロ(ジフルオロ)酢酸ナトリウム(20g、180mmol)、および炭酸カリウム(36.5g、264mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(70mL)中の混合物を、100℃で40分間(気体発生を認めることができなくなるまで)撹拌した。反応混合物をtert−ブチルメチルエーテル(200mL)および水(150mL)で希釈し、水層を追加のtert−ブチルメチルエーテル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(8×50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜20%の石油エーテル中酢酸エチル)によって、生成物を黄色のオイルとして得た。収量:5.55g、27.1mmol、62%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.52-8.45 (m, 1H), 7.73-7.65 (m, 1H), 6.68 (t, JHF=70.8
Hz, 1H).
【0176】
ステップ5、メチル3−クロロ−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキシレート(C36)の合成。
化合物C35(4.82g、23.6mmol)を塩化水素のメタノール溶液(4M、75mL)に溶解し、反応混合物を60℃で13時間撹拌した。次いで、これを水(50mL)で希釈し、室温で30分間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、残った水相は、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)を加えて中和し、次いで、酢酸エチル(3×60mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。その結果生じた材料を、C35(500mg、2.4mmol)を使用して実施した同様の反応からの粗生成物と合わせ、混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜20%の石油エーテル中酢酸エチル)に掛けて、生成物を黄色のオイルとして得たが、このオイルは、室温で静置すると固化した。収量:3.4g、14mmol、54%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.50-8.43 (m, 1H), 7.68-7.62 (m, 1H), 6.64 (t, JHF=71.3
Hz, 1H), 4.02 (s, 3H).
【0177】
ステップ6、3−クロロ−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボン酸(P8)の合成。
C36(1.0g、4.2mmol)のテトラヒドロフラン(40mL)および水(20mL)溶液に、水酸化リチウム一水和物(279mg、6.31mmol)を加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌し、その後、これを真空中で濃縮し、残った水相は、2M塩酸水溶液を加えてpH2〜3に調整した。その結果生じた混合物を酢酸エチル(7×20mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を淡黄色の固体として得た。収量:720mg、3.22mmol、77%。LCMS m/z 222.0 [M-H+] (塩素同位体パターンが認められた).1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.51 (d, J=2.0 Hz, 1H), 8.06 (d, J=2.0 Hz, 1H), 7.44 (t, JHF=72.8
Hz, 1H).
【0178】
調製例P9
2−(フルオロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボン酸(P9)
【0179】
【化19】
【0180】
ステップ1、メチル2−(ジクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール−4−カルボキシレート(C37)の合成。
−5℃のナトリウムメトキシド(15.4g、0.285mol)のメタノール(500mL)溶液に、ジクロロアセトニトリル(215g、1.96mol)のメタノール(200mL)溶液を滴下で添加した。次いで、−5℃の反応混合物に、2−アミノ−3−ヒドロキシプロパン酸メチル塩酸塩(382g、2.45mol)のメタノール(300mL)溶液を添加し、引き続いてこれを室温で16時間撹拌した。ジクロロメタン(1L)および水(800mL)を添加し、水層をジクロロメタン(1L)で抽出し、合わせた有機層を真空中で濃縮して、生成物を黄色のオイルとして得、これをさらに精製することなく次のステップで使用した。収量:300g、1.4mol、71%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.29 (s, 1H), 4.90 (dd, J=10.8, 8.3 Hz, 1H), 4.74 (dd, J=8.8, 8.3
Hz, 1H), 4.66 (dd, J=10.8, 8.9 Hz, 1H), 3.82 (s, 3H).
【0181】
ステップ2、メチル2−(クロロメチル)−4−メトキシ−4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール−4−カルボキシレート(C38)の合成。
冷却したナトリウムメトキシド(52.2g、0.966mol)のメタノール(300mL)溶液に、C37(205g、0.967mol)のメタノール(700mL)溶液を、反応温度を10℃未満に保つのに十分な速度で滴下で添加した。次いで、反応混合物を室温で16時間撹拌し、その後ジクロロメタン(1L)および水(800mL)で希釈した。水層をジクロロメタン(2×500mL)で抽出し、合わせた有機層を真空中で濃縮して、生成物を黄色のオイルとして得た。この材料をさらに精製することなく次のステップで使用した。収量:200g、0.96mol、99%。
【0182】
ステップ3、メチル2−(クロロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボキシレート(C39)の合成。
C38(193g、0.930mol)のトルエン(700mL)溶液に、(7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イル)メタンスルホン酸(ショウノウスルホン酸、45.9g、0.198mol)を添加し、反応混合物を70℃で1時間加熱した。水(1L)を添加し、混合物を酢酸エチル(2×1L)で抽出し、合わせた有機層を炭酸カリウム水溶液(10%、500mL)、水(800mL)、および飽和塩化ナトリウム水溶液(0.8L)で順次洗浄し、乾燥させ、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:5%〜25%の石油エーテル中酢酸エチル)によって、生成物を白色の固体として得た。収量:55g、0.31mol、33%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.26 (s, 1H), 4.65 (s, 2H), 3.93 (s, 3H).
【0183】
ステップ4、メチル2−(フルオロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボキシレート(C40)の合成。
C39(40g、0.23mol)のアセトニトリル(1L)懸濁液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(357g、1.36mol)を添加し、反応混合物を25℃で16時間撹拌した。真空中で溶媒を除去した後、残渣を水(1L)で希釈し、酢酸エチル(4×1L)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:17%〜23%の石油エーテル中酢酸エチル)によって、生成物を黄色の固体として得た。収量:8.7g、55mmol、24%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.31 (d, J=1.2 Hz, 1H), 5.43 (d, JHF=47.2 Hz, 2H), 3.94
(s, 3H).
【0184】
ステップ5、2−(フルオロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボン酸(P9)の合成。
C40(18g、110mmol)のテトラヒドロフラン(150mL)溶液に、水酸化リチウム(5.42g、226mmol)のメタノールおよび水の混合物(1:1、500mL)中の溶液を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、その後真空中で濃縮した。残渣を水(500mL)に溶解した後、2M塩酸水溶液を添加してpH2に達するまで酸性化した。次いで水層を酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を黄色の固体として得た。収量:13g、90mmol、82%。LCMS m/z 144.0 [M-H+]. 1H NMR (400 MHz, CD3OD)
δ 8.61 (s, 1H), 5.47 (d, JHF=47 Hz, 2H).
【0185】
調製例P10
5−(ブタ−2−イン−1−イルオキシ)ピリジン−2−カルボン酸(P10)
【0186】
【化20】
ステップ1、メチル5−(ブタ−2−イン−1−イルオキシ)ピリジン−2−カルボキシレート(C41)の合成。
0℃のブタ−2−イン−1−オール(0.645mL、8.62mmol)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液に、メチル5−ヒドロキシピリジン−2−カルボキシレート(1.30g、8.49mmol)、トリフェニルホスフィン(3.34g、12.7mmol)、およびアゾジカルボン酸ジイソプロピル(2.50mL、12.7mmol)を加えた。次いで、反応混合物を室温(18℃)に加温し、48時間撹拌し、その後、これを真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:15%〜50%の石油エーテル中酢酸エチル)によって、生成物を黄色の固体として得た。収量:1.1g、5.4mmol、64%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.46 (d, J=2.9 Hz, 1H), 8.13 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.37 (dd, J=8.8,
2.9 Hz, 1H), 4.77 (q, J=2.3 Hz, 2H), 3.99 (s, 3H), 1.86 (t, J=2.3 Hz, 3H).
【0187】
ステップ2、5−(ブタ−2−イン−1−イルオキシ)ピリジン−2−カルボン酸(P10)の合成。
室温(15℃)のC41(1.59g、7.75mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、水酸化リチウム一水和物(975mg、23.2mmol)の水(7mL)溶液を滴下で添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、2M塩酸水溶液を加えてpH2に酸性化し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(2×100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を黄色の固体として得た。収量:1.0g、5.2mmol、67%。LCMS m/z 192.1 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CD3OD)
δ 8.35 (d, J=2.9 Hz, 1H), 8.14 (d, J=8.7 Hz, 1H), 7.57
(dd, J=8.7, 2.8 Hz, 1H), 4.87 (q, J=2.3 Hz, 2H), 1.84 (t, J=2.3 Hz, 3H).
【0188】
(実施例1)
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(1)
【0189】
【化21】
ステップ1.tert−ブチル{(5S)−5−[4−({[5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−イル]カルボニル}アミノ)−1,3−チアゾール−2−イル]−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル}カルバメート(C42)の合成
P1(100mg、0.266mmol)およびP6(36.3mg、0.192mmol)のジクロロメタン(3.5mL)溶液に、トリエチルアミン(36.4μL、0.261mmol)およびO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU、72.9mg、0.192mmol)を加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した。ジクロロメタンで希釈した後、これを水および飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜50%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を白色の固体として得た。収量:88.7mg、0.162mmol、84%。LCMS m/z 547.3 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CD3OD)
δ 8.56 (dd, J=2.7, 0.4 Hz, 1H), 8.27 (dd, J=8.7, 0.5
Hz, 1H), 7.81 (br dd, J=8.7, 2.7 Hz, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.08 (t, JHF=72.6
Hz, 1H), 4.58 (d, J=13.9 Hz, 1H), 4.17 (d, J=14.0 Hz, 1H), 3.19 (s, 3H), 1.92
(s, 3H), 1.52 (s, 9H).
【0190】
ステップ2.N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(1)の合成
C42(88.7mg、0.162mmol)のジクロロメタン(2.7mL)溶液をトリフルオロ酢酸(0.249mL、3.23mmol)で処理し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。次いでこれをジクロロメタンで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜10%のジクロロメタン中メタノール)によって精製することによって、生成物を白色の固体として得た。収量:67mg、0.15mmol、93%。LCMS m/z 447.2 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CD3OD)
δ 8.56 (br dd, J=2.7, 0.5 Hz, 1H), 8.27 (dd, J=8.7, 0.6
Hz, 1H), 7.81 (ddt, J=8.6, 2.7, 0.6 Hz, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.08 (t, JHF=72.6
Hz, 1H), 4.16 (d, J=13.8 Hz, 1H), 3.76 (d, J=13.8 Hz, 1H), 3.19 (s, 3H), 1.70
(s, 3H).
【0191】
(実施例2)
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(2)
【0192】
【化22】
ステップ1.N−{2−[(5S)−3−(ベンゾイルアミノ)−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(C43)の合成
P2(50mg、0.13mmol)および1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(25.6mg、0.158mmol)の酢酸エチル(1mL)中の混合物を、0℃に冷却した。トリエチルアミン(73μL、0.52mmol)および2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスフィナン2,4,6−トリオキシド(50%酢酸エチル溶液、157μL、0.264mmol)を加え、反応混合物を0℃で2.5時間撹拌した。次いでこれを、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(7mL)と酢酸エチル(7mL)とに分配し、水層を酢酸エチル(3×7mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物をオフホワイト色の固体として得た。収量:25.8mg、49.3μmol、38%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 12.52-12.26 (br s, 1H), 9.39 (br s, 1H), 8.25 (br d, J=8.2 Hz, 2H),
7.91 (d, J=2.6 Hz, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.56 (br dd, J=7, 7 Hz, 1H), 7.46 (br dd,
J=7.6, 7.5 Hz, 2H), 7.23 (t, JHF=60.4 Hz, 1H), 7.08 (d, J=2 Hz, 1H),
4.44 (d, J=13.8 Hz, 1H), 3.75 (d, J=13.8 Hz, 1H), 3.48 (s, 3H), 2.00 (s, 3H).
【0193】
ステップ2.N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(2)の合成
C43(25.8mg、49.3μmol)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(2滴)のメタノール(1mL)懸濁液を終夜60℃に加熱し、その後、これを室温に冷却し、真空中で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:40%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を白色の固体として得た。収量:10.6mg、25.3μmol、51%。LCMS m/z 420.1 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 9.34 (br s, 1H), 7.90 (d, J=2.7 Hz, 1H), 7.65 (s,
1H), 7.23 (t, JHF=60.5 Hz, 1H), 7.07 (d, J=2.7 Hz, 1H), 4.12 (d,
J=14.0 Hz, 1H), 3.71 (d, J=14.0 Hz, 1H), 3.31 (s, 3H), 1.81 (s, 3H).
【0194】
(実施例3、4、および5)
N−{2−[(5R,6S)−3−アミノ−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(3)、N−{2−[(5S,6R)−3−アミノ−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(4)、およびN−{2−[(5S,6S)−3−アミノ−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(5)
【0195】
【化23】
ステップ1.N−[5−(4−アミノ−1,3−チアゾール−2−イル)−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(C44)の合成
0℃のP3(0.288g、0.506mmol)のジクロロメタン(5mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(0.7mL)を滴下して添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、これをジクロロメタン(100mL)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)とに分配した。水層をジクロロメタン(2×50mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、生成物を橙色の固体(0.25g)として得た。この材料をそのまま次のステップにまわした。LCMSによって、近くに伸びる同様の大きさの2つのピークが示され、どちらもm/z 420.4 [M+H]+であった。
【0196】
ステップ2.N−{2−[3−(ベンゾイルアミノ)−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(C45)の合成
C44(先行ステップより、0.25g、≦0.506mmol)およびP6(0.135g、0.714mmol)の酢酸エチル(5mL)溶液を、0℃に冷却し、トリエチルアミン(0.332mL、2.38mmol)で処理した。2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスフィナン2,4,6−トリオキシド(50%酢酸エチル溶液、0.709mL、1.19mmol)を加え、撹拌を0℃で2時間継続した。この時点でのLCMS分析によって、近くに伸びる2つのピークがおよそ1:1の比で明らかになり、どちらもm/z 591.3 [M+H]+であった。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)を加え、得られた混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、残渣をジクロロメタン溶液としてシリカゲルに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)に掛けた。生成物は、白色の固体として単離され、H NMR分析よると、およそ1:1のジアステレオマー混合物からなっていた。収量:232mg、0.393mmol、2ステップで78%。1H NMR (400 MHz, CDCl3), 特徴的ピーク: δ [10.43 (br s)および10.40
(br s), 計1H], [8.50 (br d, J=2.6 Hz)および8.47 (br d, J=2.4 Hz), 計1H], 8.34-8.30 (m,
1H), 8.28-8.20 (m, 2H), [7.84 (s)および7.83 (s), 計1H], 7.70-7.66 (m, 1H), 7.58-7.51 (m, 1H), 7.49-7.42 (m, 2H), [6.66
(t, JHF=71.9 Hz)および6.65 (t, JHF=71.8
Hz), 計1H], [3.56 (d, J=10.9 Hz)および2.98 (d, J=10.9 Hz), 計1H], [3.52 (s)および3.48 (s), 計3H), [2.13 (s)および2.09 (s), 計3H].
【0197】
ステップ3.N−{2−[(5R,6S)−3−アミノ−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(3)、N−{2−[(5S,6R)−3−アミノ−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(4)、およびN−{2−[(5S,6S)−3−アミノ−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(5)の合成
C45(232mg、0.393mmol)のメタノール(10mL)溶液に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(59.3μL、0.396mmol)を加え、反応混合物を16時間60℃に加熱した。真空中で溶媒を除去し、残渣をジクロロメタン溶液としてシリカゲルに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:20%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物(138mg、0.284mmol、収率72%)を得た。カラムからの混合画分(115mg、0.236mmol)を超臨界流体クロマトグラフィー(カラム:Phenomenex Lux Cellulose−2、5μm;移動相A:二酸化炭素;移動相B:1:1のアセトニトリル/メタノール;勾配:5%〜60%のB)に掛けて、個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーを分離した。次いで、単離された3つの試料それぞれを、個々にシリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜10%のジクロロメタン中メタノール)に掛けて、以下のものを得たが、全て白色の固体として得た。
【0198】
超臨界流体クロマトグラフィーから最初に溶離する異性体は、3となった。収量:7.4mg、15μmol、4%。LCMS m/z 487.3 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 10.38 (br s, 1H), 8.47 (br s, 1H), 8.31 (d, J=8.6 Hz,
1H), 7.71 (s, 1H), 7.67 (br d, J=8.6 Hz, 1H), 6.65 (t, JHF=72.1 Hz,
1H), 3.37 (d, J=11.0 Hz, 1H), 3.29 (s, 3H), 1.85 (s, 3H), 1.10-0.99 (m, 1H),
0.95-0.69 (m, 3H), 0.27-0.18 (m, 1H).
【0199】
超臨界流体クロマトグラフィーから2番目に溶離する異性体は、4となった。収量:39.9mg、82.0μmol、21%。LCMS m/z 487.3 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 10.38 (br s, 1H), 8.47 (br d, J=2.4 Hz, 1H), 8.31 (br
d, J=8.6 Hz, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.67 (br dd, J=8.6, 2.7 Hz, 1H), 6.65 (t, JHF=72.0,
1H), 3.45 (d, J=10.8 Hz, 1H), 3.31 (s, 3H), 1.91 (s, 3H), 1.12-1.00 (m, 1H),
0.96-0.85 (m, 1H), 0.85-0.72 (m, 2H), 0.29-0.19 (m, 1H).
【0200】
超臨界流体クロマトグラフィーから3番目に溶離する異性体は、特徴付けできないほど少量で得られた。
【0201】
超臨界流体クロマトグラフィーから4番目に溶離する異性体は、5となった。収量:20.2mg、41.5μmol、11%。LCMS m/z 487.3 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 10.38 (br s, 1H), 8.49 (br d, J=2.3 Hz, 1H), 8.32 (br
d, J=8.6 Hz, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.68 (br dd, J=8.6, 2.7 Hz, 1H), 6.65 (t, JHF=72.0
Hz, 1H), 3.29 (s, 3H), 2.91 (d, J=10.9 Hz, 1H), 1.92 (s, 3H), 1.36-1.23 (m,
1H), 0.85-0.69 (m, 2H), 0.62-0.52 (m, 1H), 0.30-0.21 (m, 1H).
【0202】
こうした化合物について示す相対および絶対立体化学は、NMR研究および生物活性を根拠として割り当てた。H NMRスペクトルから、3と4は、互いにエナンチオマーである。NOE研究では、3と4両方の四級メチル基に照射すると、シクロプロピル基のメチンプロトンが増強される結果となり、5におけるスルホニル基に近接したメチンに照射すると、四級メチル基についてシグナルの実質的な増強が得られたことが明らかになり、こうした結果から、シクロプロピルおよびメチル基の相対立体化学が確立された。9の効力に対する3と4の効力の差(表7を参照されたい)から、4が、四級中心において9と同じ絶対立体化学を有することが示唆された(以下、9に関するX線構造決定を参照されたい)。
【0203】
(実施例6、7、および8)
N−[2−(3−アミノ−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(6)、N−{2−[(5R)−3−アミノ−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(7)、およびN−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(8)
【0204】
【化24】
ステップ1.N−[5−(4−アミノ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(C46)の合成
P4のC46への変換を、実施例3、4、および5においてP3からのC44の合成について記載した方法を使用して実施した。生成物は、橙色の固体として得られ、これをそのまま次のステップで使用した。LCMS m/z 408.2 [M+H]+.
【0205】
ステップ2.N−{2−[3−(ベンゾイルアミノ)−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(C47)の合成
C46のP6との反応を、実施例3、4、および5においてC44からのC45の合成について記載した手順を使用して実施した。生成物は、白色の固体として単離された。収量:80mg、0.14mmol、58%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 12.45 (br s, 1H), 10.44 (br s, 1H), 8.51 (br d, J=2.6 Hz, 1H), 8.33
(dd, J=8.6, 0.6 Hz, 1H), 8.29-8.25 (m, 2H), 7.83 (s, 1H), 7.69 (br dd, J=8.7,
2.7 Hz, 1H), 7.57-7.52 (m, 1H), 7.49-7.43 (m, 2H), 6.66 (t, JHF=71.9
Hz, 1H), 3.54 (s, 3H), 2.07 (s, 3H), 1.85 (s, 3H), 1.52 (s, 3H).
【0206】
ステップ3.N−[2−(3−アミノ−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(6)の合成
C47(80mg、0.14mmol)のメタノール(5mL)溶液に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(20.9μL、0.140mmol)を加えた。反応混合物を10時間60℃に加熱し、その後、これを真空中で濃縮し、ジクロロメタン溶液としてシリカゲルに吸着させた。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:20%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を白色の固体として得た。収量:57mg、0.12mmol、86%。LCMS m/z 475.3 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 10.36 (br s, 1H), 8.50 (br d, J=2.7 Hz, 1H), 8.32
(dd, J=8.6, 0.6 Hz, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.68 (br dd, J=8.6, 2.6 Hz, 1H), 6.66
(t, JHF=72.0 Hz, 1H), 4.22-4.07 (br s, 2H), 3.29 (s, 3H), 1.95 (s,
3H), 1.85 (s, 3H), 1.17 (s, 3H).
【0207】
ステップ4.N−{2−[(5R)−3−アミノ−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(7)およびN−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(8)の単離
6(57mg)のそれを構成するエナンチオマーへの分離を、超臨界流体クロマトグラフィー(カラム:Phenomenex Lux Cellulose−2、5μm;移動相A:二酸化炭素;移動相B:1:1のアセトニトリル/メタノール;勾配:5%〜60%のB)によって実施した。次いで、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜10%のジクロロメタン中メタノール)を使用して、各エナンチオマーを精製し直した。超臨界流体クロマトグラフィーから最初に溶離するエナンチオマーは、シリカゲルクロマトグラフィー後に白色の固体として得られ、7として割り当てた。収量:6.3mg、この分離について11%。LCMS m/z 475.3 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 10.37 (br s, 1H), 8.50 (d, J=2.6 Hz, 1H), 8.32 (d,
J=8.6 Hz, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.70-7.66 (m, 1H), 6.66 (t, JHF=71.9
Hz, 1H), 3.35 (s, 3H), 1.92 (s, 3H), 1.90 (s, 3H), 1.27 (br s, 3H).
【0208】
超臨界流体クロマトグラフィーから2番目に溶離するエナンチオマーも、シリカゲルクロマトグラフィー後に白色の固体として得られ、8として割り当てた。収量:15mg、この分離について26%。LCMS m/z 475.3 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 10.36 (br s, 1H), 8.50 (s, 1H), 8.32 (d, J=8.6 Hz,
1H), 7.71 (s, 1H), 7.70-7.65 (m, 1H), 6.65 (t, JHF=71.9 Hz, 1H),
3.32 (s, 3H), 1.93 (s, 3H), 1.87 (s, 3H), 1.21 (s, 3H).
【0209】
7および8について示す絶対立体化学は、これら2種の化合物の生物活性の違い(表7を参照されたい)に基づき、3および4の立体化学との類推によって割り当てた。
【0210】
(実施例9)
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボキサミド、メタンスルホン酸塩(9)
【0211】
【化25】
ステップ1.tert−ブチル{(5S)−5−[4−({[5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]カルボニル}アミノ)−1,3−チアゾール−2−イル]−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル}カルバメート(C48)の合成
P1(31.30g、83.36mmol)、P7(30.5g、150mmol)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(76.1g、200mmol)、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(116mL、666mmol)のジクロロメタン(1.7L)中の混合物を、室温で30分間撹拌した。次いで、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、5%クエン酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を淡黄色の固体として得た。収量:36.57g、65.23mmol、78%。LCMS m/z 559.3 [M-H+]. 1H NMR (400 MHz, CD3OD)
δ 8.39-8.37 (m, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.60-7.58 (m, 1H),
7.06 (t, JHF=72.8 Hz, 1H), 4.56 (d, J=13.9 Hz, 1H), 4.16 (d, J=14.0
Hz, 1H), 3.19 (s, 3H), 2.75 (s, 3H), 1.91 (br s, 3H), 1.52 (s, 9H).
【0212】
ステップ2.N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボキサミド(C49)の合成
C48(36.57g、65.23mmol)のジクロロメタン(1.1L)溶液に、トリフルオロ酢酸(100mL)を加えた。反応混合物を室温で45分間撹拌し、その後、1M水酸化ナトリウム水溶液を加えて塩基性化した。水層をジクロロメタンで2回抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜5%のジクロロメタン中メタノール)によって、オフホワイト色の固体を得、これを、少量のジエチルエーテルを含有するヘプタン中でおよそ30分間摩砕して、生成物を白色の固体として得た。収量:26.08g、56.64mmol、87%。LCMS m/z 461.3 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CD3OD)
δ 8.38 (br d, J=2.5 Hz, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.58 (br d,
J=2.5 Hz, 1H), 7.05 (t, JHF=72.8 Hz, 1H), 4.15 (d, J=13.7 Hz, 1H),
3.75 (d, J=13.8 Hz, 1H), 3.19 (s, 3H), 2.75 (s, 3H), 1.70 (s, 3H).
【0213】
ステップ3.N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボキサミド、メタンスルホン酸塩(9)の合成
C49(32.62g、70.84mmol)のメタノール(316mL)中の混合物を綿で濾過し、次いで、メタンスルホン酸(4.60mL、70.9mmol)のメタノール(38mL)溶液で処理した。得られた混合物を1時間撹拌し、その後、これを、非常に濃厚なスラリーになるまで、ロータリーエバポレーターで濃縮した。この時点で、ジエチルエーテル(400mL)を加え、混合物を10分間撹拌し、濾過した。濾過ケークをジエチルエーテルで十分に洗浄して、生成物を白色の固体として得たが、これは、粉末X線回折によって、結晶質であることがわかった。収量:36.95g、66.39mmol、94%。LCMS m/z 461.3 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 10.87 (s, 1H), 10.40 (br s, 1H), 8.70-8.52 (br s,
2H), 8.44 (d, J=2.7 Hz, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.75-7.73 (m, 1H), 7.45 (t, JHF=72.9
Hz, 1H), 4.66 (br AB四重線, JAB=13.9 Hz, ΔνAB=81 Hz, 2H), 3.23 (s, 3H), 2.65 (s,
3H), 2.35 (s, 3H), 1.84 (br s, 3H).9の試料をメタノールから再結晶させると、結晶が得られ、これをX線結晶構造解析(以下を参照されたい)に使用し、これによって、絶対立体化学は、描かれているものであると確認された。
【0214】
9に関する単結晶X線構造決定
データ収集は、Bruker APEX回折計において室温で行った。データ収集は、オメガおよびフィー走査からなるものであった。分解能は1.0オングストロームに限定、データ収集は短く切断、したがって、データ対パラメーター比は、ほぼ3:1。
【0215】
構造は、SHELXソフトウェア一式を使用する直接法によって、空間群P2にあると解明された。引き続いて、完全行列最小二乗法によって構造を精密化した。異方性変位パラメーターを使用して、全ての非水素原子を見出し、精密化した。
【0216】
差フーリエマップから窒素上に位置する水素原子を見出し、距離に制約をかけた状態で精密化した。残りの水素原子を計算された位置に置き、その担体原子上に乗せた。最終精密化には、全ての水素原子についての等方性変位パラメーターを含めた。
【0217】
尤度法を使用する絶対構造の解析(Hooft、2008)を、PLATON(Spek、2010)を使用して行った。結果から、絶対構造が正確に割り当てられていたことが示された。この方法によって、構造が正確である確立が100.0であると算定された。Hooftパラメーターは、esd値0.07で0.023であると報告されている。
【0218】
最終R指数は、3.0%であった。最終差フーリエによって、見つかっていないまたは置き違えられた電子密度は存在しないことが明らかになった。
【0219】
該当する結晶、データ収集および精密化情報を表1に要約する。原子座標、結合距離、結合角度、および変位パラメーターを、表2〜5に示す。
【0220】
ソフトウェアおよび参考文献
SHELXTL、バージョン5.1、Bruker AXS、1997
PLATON、A.L.Spek、J.Appl.Cryst.2003、36、7〜13
MERCURY、C.F.Macrae、P.R.Edington、P.McCabe、E.Pidcock、G.P.Shields、R.Taylor、M.Towler、およびJ.van de Streek、J.Appl.Cryst.2006、39、453〜457
OLEX2、O.V.Dolomanov、L.J.Bourhis、R.J.Gildea、J.A.K.Howard、およびH.Puschmann、J.Appl.Cryst.2009、42、339〜341
R.W.W.Hooft、L.H.Straver、およびA.L.Spek、J.Appl.Cryst.2008、41、96〜103
H.D.Flack、Acta Cryst.1983、A39、867〜881
【0221】
【表1】
【0222】
【表2】
【0223】
【表3-1】
【0224】
【表3-2】
【0225】
【表3-3】
【0226】
【表3-4】
【0227】
【表4】
【0228】
【表5】
【0229】
(実施例10、11、12、および13)
N−{2−[(5R,6S)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(10)、N−{2−[(5S,6R)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(11)、N−{2−[(5S,6S)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(12)、およびN−{2−[(5R,6R)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(13)
【0230】
【化26】
ステップ1.N−[5−(4−アミノ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(C50)の合成
P5のC50への変換を、実施例3、4、および5においてP3からのC44の合成について記載した手順を使用して実施した。生成物は、橙色の固体として単離され、これをそのまま次のステップにまわした。実験の終わりに、反応混合物をLCMSによって分析すると、C50の2種のジアステレオマーであると推定される、近くに伸びる2つの生成物が1:1の比で明らかになり、LCMS m/zは、394.1および394.2
[M+H]+であった。
【0231】
ステップ2.N−{2−[3−(ベンゾイルアミノ)−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(C51)の合成
C50のP6との反応を、実施例3、4、および5においてC44からのC45の合成について記載した手順を使用して実施した。生成物は、白色の固体として得られ、H NMR分析よると、およそ1:1のジアステレオマー混合物からなっていた。収量:207mg、0.367mmol、44%。1H NMR (400 MHz, CDCl3), 特徴的ピーク: δ [12.34 (br s)および12.23
(br s), 計1H], [10.44 (br s)および10.43
(br s), 計1H], 8.52-8.47 (m, 1H), 8.34-8.30 (m, 1H),
8.29-8.21 (m, 2H), [7.83 (s)および7.83 (s), 計1H], 7.71-7.66 (m, 1H), 7.58-7.51 (m, 1H), 7.49-7.42 (m, 2H), [6.66
(t, JHF=71.9 Hz)および6.66 (t, JHF=71.9
Hz), 計1H], 3.52 (s, 3H), [2.05 (s)および1.98 (s), 計3H], [1.73 (d, J=7.1 Hz)および1.65 (d, J=7.0 Hz), 計3H].
【0232】
ステップ3.N−{2−[(5R,6S)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(10)、N−{2−[(5S,6R)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(11)、N−{2−[(5S,6S)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(12)、およびN−{2−[(5R,6R)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(13)の合成
C51の、生成物の混合物への変換を、実施例3、4、および5において、C45の、3、4および5の混合物への変換について記載した方法に従って実施した。生成物の混合物は、白色の固体(120mg、0.260mmol、73%)として単離され、この材料を、超臨界流体クロマトグラフィー[カラム:Phenomenex Lux Cellulose−2、5μm;移動相:3:1の二酸化炭素/(1:1のアセトニトリル/メタノール)]によって、それを構成する異性体に分離した。次いで、各異性体を、個々に、シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜10%のジクロロメタン中メタノール)に掛けて、4種の生成物をそれぞれ白色の固体として得た。
【0233】
超臨界流体クロマトグラフィーから最初に溶離する異性体は、10となった。収量:13.5mg、29.3μmol、8%。LCMS m/z 461.3 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 10.38 (br s, 1H), 8.48 (dd, J=2.6, 0.6 Hz, 1H), 8.31
(dd, J=8.6, 0.6 Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.67 (br dd, J=8.6, 2.7 Hz, 1H), 6.65
(t, JHF=72.0 Hz, 1H), 3.93 (q, J=7.1 Hz, 1H), 3.29 (s, 3H), 1.72 (s,
3H), 1.68 (d, J=7.0 Hz, 3H).
【0234】
超臨界流体クロマトグラフィーから2番目に溶離する異性体は、11となった。収量:39.5mg、85.8μmol、24%。LCMS m/z 461.3 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 10.38 (br s, 1H), 8.48 (br d, J=2.6 Hz, 1H), 8.31
(dd, J=8.6, 0.6 Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.67 (br dd, J=8.6, 2.6 Hz, 1H), 6.65
(t, JHF=72.0 Hz, 1H), 3.93 (q, J=7.0 Hz, 1H), 3.29 (s, 3H), 1.72 (s,
3H), 1.68 (d, J=7.0 Hz, 3H).
【0235】
超臨界流体クロマトグラフィーから3番目に溶離する異性体は、12となった。収量:12.5mg、27.1μmol、8%。LCMS m/z 461.3 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 10.39 (br s, 1H), 8.49 (dd, J=2.7, 0.5 Hz, 1H), 8.31
(dd, J=8.6, 0.6 Hz, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.68 (ddt, J=8.6, 2.6, 0.7 Hz, 1H), 6.65
(t, JHF=71.9 Hz, 1H), 3.83 (q, J=7.0 Hz, 1H), 3.29 (s, 3H), 1.88 (s,
3H), 1.25 (d, J=7.0 Hz, 3H).
【0236】
超臨界流体クロマトグラフィーから4番目に溶離する異性体は、13となった。収量:7.7mg、16.7μmol、5%。LCMS m/z 461.3 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 10.39 (br s, 1H), 8.49 (dd, J=2.7, 0.5 Hz, 1H), 8.32
(dd, J=8.6, 0.6 Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.68 (br dd, J=8.6, 2.7 Hz, 1H), 6.66
(t, JHF=72.0 Hz, 1H), 3.84 (q, J=7.0 Hz, 1H), 3.31 (s, 3H), 1.90 (s,
3H), 1.31 (d, J=7.0 Hz, 3H).
【0237】
示される相対および絶対立体化学は、NMR研究および生物活性を根拠として割り当てた。H NMRスペクトルから、10と11は、互いにエナンチオマーであり、12と13も、互いにエナンチオマーである。NOE研究において、12および13についてはどちらも、スルホニル基に近接するメチンに照射すると、四級メチル基シグナルが増強されたが、10および11では、同様の照射によって、四級メチル基共鳴は影響を受けなかった。これにより、ビシナルなメチル基の相対立体化学が確立された。これら4種の化合物の生物活性を調べることで(表7を参照されたい)、実施例3および4に従う絶対立体化学の割当てが可能になった。
【0238】
(実施例14、15、16、および17)
N−{2−[(5R,6S)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(14)、N−{2−[(5S,6R)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(15)、N−{2−[(5R,6R)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(16)、およびN−{2−[(5S,6S)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(17)
【0239】
【化27】
ステップ1.N−[5−(4−アミノ−1,3−チアゾール−2−イル)−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(C53)の合成
C52[N−(5−{4−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−1,3−チアゾール−2−イル}−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル)ベンズアミド。この材料は、シクロプロピルメタンスルホニルクロリドの代わりにプロパン−1−スルホニルクロリドを利用することにより、P3と似たようにして調製した](140mg、0.251mmol)の0℃のジクロロメタン(4mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(0.38mL、4.9mmol)を滴下で添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。反応の終わりに、反応混合物をLCMSによって分析すると、生成物の分子量と一致する主ピークが示された。LCMS m/z 408.3 [M+H]+. 反応混合物を、追加のジクロロメタンおよび飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈した。水層をジクロロメタンで2回抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を橙色の固体(100mg)として得た。この材料をそのまま次のステップで使用した。
【0240】
ステップ2.N−{2−[3−(ベンゾイルアミノ)−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(C54)の合成
実施例2においてP2からのC43の合成について記載した方法を使用して、C53(先行ステップより、100mg、≦0.245mmol)をP6と反応させて、生成物を得た。この場合では、クロマトグラフィー精製を行わず、生成物を黄色の固体(130mg)として単離し、これをそのまま次のステップで使用した。
【0241】
ステップ3.N−{2−[(5R,6S)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(14)、N−{2−[(5S,6R)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(15)、N−{2−[(5R,6R)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(16)、およびN−{2−[(5S,6S)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(17)の合成
C54(130mg、≦0.225mmol)のメタノール(2.2mL)溶液に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(33.9μL、0.227mmol)を加えた。反応混合物を16時間60℃に加熱し、その後、これを減圧下で濃縮した。残渣をジクロロメタン(10mL)に溶解し、シリカゲルに吸着させ、シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:20%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物の混合物(45mg、95μmol、3ステップで38%)を得た。この材料を、超臨界流体クロマトグラフィー[カラム:Phenomenex Lux Cellulose−2、5μm;移動相:45:55の二酸化炭素/(0.2%の水酸化アンモニウムを含有するメタノール)]を使用して、それを構成する4種の異性体に分離した。溶離する順に:
14:収量:6.2mg、この分離について14%。LCMS m/z 475.3
[M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.41 (br s, 1H), 8.50 (dd, J=2.7, 0.5 Hz, 1H), 8.32 (dd, J=8.6,
0.5 Hz, 1H), 7.79 (s, 1H), 7.68 (br dd, J=8.6, 2.6 Hz, 1H), 6.66 (t, JHF=71.9
Hz, 1H), 3.83-3.76 (m, 1H), 3.33 (s, 3H), 2.23-2.12 (m, 2H), 1.83 (s, 3H), 1.17
(t, J=7.5 Hz, 3H).
15:収量:17.5mg、この分離について39%。LCMS m/z 475.3
[M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.40 (br s, 1H), 8.50 (d, J=2.3 Hz, 1H), 8.32 (d, J=8.6 Hz, 1H),
7.78 (s, 1H), 7.68 (br dd, J=8.6, 2.6 Hz, 1H), 6.66 (t, JHF=71.9 Hz,
1H), 3.78-3.71 (m, 1H), 3.32 (s, 3H), 2.28-2.11 (m, 2H), 1.81 (s, 3H), 1.17 (t,
J=7.4 Hz, 3H).
16:収量:1.2mg、この分離について3%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.39
(br s, 1H), 8.50 (dd, J=2.7, 0.5 Hz, 1H), 8.32 (dd, J=8.6, 0.6 Hz, 1H), 7.74
(s, 1H), 7.68 (br dd, J=8.6, 2.7 Hz, 1H), 6.66 (t, JHF=71.9 Hz, 1H),
3.63 (dd, J=7.7, 3.2 Hz, 1H), 3.31 (s, 3H), 2.02-1.9 (m, 2H), 1.89 (s, 3H),
1.12 (t, J=7.5 Hz, 3H).
17:収量:9.4mg、この分離について21%。LCMS m/z 475.3
[M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.39 (br s, 1H), 8.50 (br d, J=2.5 Hz, 1H), 8.32 (dd, J=8.6, 0.5
Hz, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.68 (br dd, J=8.7, 2.7 Hz, 1H), 6.66 (t, JHF=71.9
Hz, 1H), 3.62 (dd, J=7.8, 3.4 Hz, 1H), 3.30 (s, 3H), 2.09-1.9 (m, 2H), 1.89 (s,
3H), 1.14 (t, J=7.3 Hz, 3H).
【0242】
示される相対および絶対立体化学は、NMR研究および生物活性を根拠として割り当てた。H NMRスペクトルから、14と15は、互いに鏡像異性体であり、16と17も、互いに鏡像異性体である。NOE研究において、16および17についてはどちらも、スルホニル基に近接するメチンに照射すると、四級メチル基シグナルが増強されたが、15では、その共鳴に対する影響がなかった。これにより、ビシナルなメチルおよびエチル基の相対立体化学が確立された。これら4種の化合物の生物活性を調べることで(表7を参照されたい)、実施例3および4に従う絶対立体化学の割当てが可能になった。
【0243】
【表6-1】
【0244】
【表6-2】
【0245】
【表6-3】
【0246】
【表6-4】
【0247】
【表6-5】
【0248】
生物学的アッセイ
BACE1無細胞アッセイ:β−セクレターゼ(BACE)は、アルツハイマー病患者のアミロイド斑において見出されるアミロイドβペプチドの産生に関与する酵素の1つである。β−セクレターゼ酵素は非天然ペプチドを切断するため、このアッセイはβ−セクレターゼ酵素の阻害を測定する。
【0249】
β−セクレターゼによって切断することができ、N−末端ビオチンを有し、かつCys残基におけるオレゴングリーンの共有結合によって蛍光性とされた合成APP基質を使用して、阻害性化合物の存在下または非存在下でβ−セクレターゼ活性をアッセイする。基質は、ビオチン−GLTNIKTEEISEISY^EVEFR−C[オレゴングリーン]KK−OHである。BACE1酵素は、可溶性BACEコンストラクト(BACE1δTM96His)をトランスフェクトされたCHO−K1細胞の条件培地からアフィニティー精製された材料である。化合物を、384ウェルブラックプレートにおいてBACE1酵素およびビオチン化蛍光性ペプチドと共に、100μMの最も高い濃度から半対数用量反応曲線においてインキュベートする(Thermo Scientific #4318)。30μLのアッセイ緩衝液[100mMの酢酸ナトリウム、pH4.5(酢酸によってpHとする)、および0.001%Tween−20]の反応容量中で、BACE1は0.1nMの最終濃度であり、ペプチド基質の最終濃度は150nMである。プレートを覆い、37℃で3時間インキュベートする。30μLのストレプトアビジン(1.5μM)(Pierce、#21125)を添加することによって反応を停止させる。室温にて10分のインキュベーション後に、プレートを、蛍光偏光についてPerkinElmer EnVision上で読み取る(Ex485nm/Em530nm)。β−セクレターゼ酵素の活性を、基質が酵素によって切断されたときに起こる蛍光偏光の変化によって検出する。化合物阻害剤の存在下でのインキュベーションは、合成APP基質のβ−セクレターゼ酵素的切断の特異的阻害を示す。
【0250】
【表7-1】
【0251】
【表7-2】
【0252】
【表7-3】
【0253】
【表7-4】
【国際調査報告】