【実施例】
【0123】
実験手順
下記は、様々な本発明の化合物の合成を例示する。本発明の範囲内のさらなる化合物は、単独で、または、当技術分野で一般に知られている技術と組み合わせて、これらの実施例において例示した方法を使用して、調製し得る。
【0124】
特に、酸素または湿気に感受性の試薬または中間体が用いられた場合、実験は一般に不活性雰囲気(窒素またはアルゴン)下で行った。市販の溶媒および試薬を一般にそれ以上精製することなく使用した。適切な場合には、無水溶媒、一般に、Acros Organicsの製品であるAcroSeal(登録商標)またはEMD Chamicalsの製品であるDriSolv(登録商標)を使用した。他の場合では、水に関する次のQC基準:a)ジクロロメタン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、およびテトラヒドロフランについては100ppm未満、b)メタノール、エタノール、1,4−ジオキサン、およびジイソプロピルアミンについては180ppm未満に達するまで、市販の溶媒を、4Å分子ふるいを充填したカラムに通した。非常に扱いにくい反応については、溶媒を金属ナトリウム、水素化カルシウム、または分子ふるいでさらに処理し、使用直前に蒸留した。さらなる反応に進めるか、または動物実験に供する前に、生成物を一般に真空下で乾燥した。質量分析法データは、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、大気圧化学イオン化(APCI)、またはガスクロマトグラフィー質量分析(GCMS)計器類から報告する。核磁気共鳴(NMR)データについての化学シフトは、用いた重水素化溶媒からの残留ピークを参照して百万分率(ppm、δ)で表す。いくつかの実施例において、キラル分離を実施して、本発明のある特定の化合物のエナンチオマーを分離することができた(いくつかの実施例において、分離されたエナンチオマーを、その溶離の順序に応じてENT−1およびENT−2と称する)。一部の例では、旋光計を使用してエナンチオマーの旋光度が測定された。その観測された旋光度データ(またはその比旋光度データ)に従って、時計回りの回転を有するエナンチオマーを(+)−エナンチオマーと称し、反時計回りの回転を有するエナンチオマーを(−)−エナンチオマーと称した。ラセミ化合物は、構造に隣接した(+/−)の存在によって示され、こうした場合、表示された立体化学は、化合物の置換基の(絶対というより)相対立体配置を表す。
【0125】
検出可能な中間体を介して進行する反応を一般に、LCMSによって追跡し、次の試薬を添加する前に、完全な変換まで進行させた。他の実施例または方法における手順を参照した合成について、反応条件(反応時間および温度)は変化し得る。一般に、反応に続いて、薄層クロマトグラフィーまたは質量分析を行い、適切な場合後処理に供した。精製は、実験の間で変化し得る。一般に、溶離液/勾配のために使用される溶媒および溶媒比は、適当なR
fまたは保持時間を実現するために選択した。こうした調製例および実施例における全ての出発材料は、市販品として入手可能であるか、または当業界で知られているもしくは本明細書に記載のとおりの方法によって調製することができる。
【0126】
調製例P1
tert−ブチル[(5S)−5−(4−アミノ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]カルバメート(P1)
【0127】
【化11】
ステップ1.N−(4−メトキシベンジル)−N−メチルメタンスルホンアミド(C1)の合成
この実験は、全く同じ2回分で実施した。0℃のN−(4−メトキシベンジル)メタンスルホンアミド(205g、952mmol)のテトラヒドロフラン(2.5L)溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%、53.3g、1.33mol)を数回に分けて加え、反応混合物を0℃で30分間撹拌した。次いで、0℃でヨードメタン(245g、1.73mol)を30分かけて滴下で添加し、その後、反応混合物を室温(約18℃)で1時間撹拌し、次いで氷水(2L)中に注いだ。得られた混合物を酢酸エチル(3×1L)で抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(3×1L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。2回分の粗生成物を合わせ、石油エーテル(2L)で希釈し、室温(約20℃)で30分間撹拌し、得られた固体を濾過によって単離して、生成物を黄色の固体として得た。収量:392g、1.71mol、90%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.28 (br d, J=8.5 Hz, 2H), 6.90 (br d, J=8.5 Hz, 2H), 4.26 (s, 2H),
3.82 (s, 3H), 2.81 (s, 3H), 2.76 (s, 3H).
【0128】
ステップ2.N−[1−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)エチリデン]−(R)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(C2)の合成
この実験は、全く同じ2回分で実施した。室温(約15℃)の1−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)エタノン(145g、704mmol)および(R)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(128g、1.06mol)のテトラヒドロフラン(2.0L)中の溶液に、チタン(IV)エトキシド(321g、1.41mol)を加え、反応混合物を75℃で16時間加熱した。次いで、これを室温(約15℃)に冷却し、水(500mL)でクエンチし、濾過した。濾過ケークを酢酸エチル(4×500mL)で洗浄し、合わせた濾液を真空中で濃縮した。2回分からの残渣を合わせ、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:5%〜25%の石油エーテル中酢酸エチル)によって精製して、生成物を黄色の固体として得た。収量:340g、1.10mol、78%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.42 (s, 1H), 2.85 (s, 3H), 1.32 (s, 9H).
【0129】
ステップ3.(2S)−2−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−2−{[(R)−tert−ブチルスルフィニル]アミノ}−N−(4−メトキシベンジル)−N−メチルプロパン−1−スルホンアミド(C3)の合成
この実験は、全く同じ2回分で実施した。−70℃のC1(98.0g、427mmol)のテトラヒドロフラン(1.5L)溶液に、n−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、165mL、412mmol)を1時間かけて滴下して添加した。反応混合物を−70℃で1時間撹拌した後、C2(85g、275mmol)のテトラヒドロフラン(600mL)溶液を30分かけて滴下で添加し、次いで、−70℃で1時間撹拌し続けた。−70℃で飽和塩化アンモニウム水溶液(1.0L)を加え、水層を酢酸エチル(2×1L)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ
、濾過し、真空中で濃縮した。2つの反応生成物を合わせ、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:10%〜80%の石油エーテル中酢酸エチル)によって精製して、白色の固体(145g)を得た。この材料をtert−ブチルメチルエーテル(1.4L)で処理し、室温(約15℃)で2時間撹拌し、その後、濾過によって固体を集めて、生成物を白色の固体として得た。示した絶対立体化学は、この変換から予想されるものであり(J.A.Ellmanら、Chem.Rev.2010、110、3600〜3740を参照されたい)、P1から合成された9に関する単結晶X線構造解析(以下を参照されたい)によって、この絶対立体化学が確認された。収量:135g、251mmol、46%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.21 (br d, J=8.5 Hz, 2H), 7.20 (s, 1H), 6.86 (br d, J=8.5 Hz, 2H),
6.32 (s, 1H), 4.06 (AB四重線, J
AB=14.6 Hz, Δν
AB=66.7 Hz, 2H), 4.00 (d, J=13.6 Hz,
1H), 3.80 (s, 3H), 3.70 (d, J=14.0 Hz, 1H), 2.61 (s, 3H), 1.97 (s, 3H), 1.36
(s, 9H).
【0130】
ステップ4.(2S)−2−アミノ−2−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−N−(4−メトキシベンジル)−N−メチルプロパン−1−スルホンアミド、塩酸塩(C4)の合成
C3(175g、325mmol)のジクロロメタン(1.2L)およびメタノール(600mL)溶液に、室温(約13℃)で、塩化水素の1,4−ジオキサン溶液(4M、400mL、1.6mol)を滴下で添加し、反応混合物を室温(約13℃)で2時間撹拌した。真空中で溶媒を除去すると、生成物(180g)が無色のオイルとして得られ、これをそれ以上精製せずに次のステップで使用した。LCMS m/z 457.8 [M+Na
+](臭素同位体パターンが認められた)。
【0131】
ステップ5.(2S)−2−アミノ−2−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−N−メチルプロパン−1−スルホンアミド(C5)の合成
C4(先行ステップより、180g、≦325mmol)のクロロホルム(1.2L)溶液に、室温(約13℃)でトリフルオロ酢酸(900mL)および1,3−ジメトキシベンゼン(400g、2.89mol)を加えた。反応混合物を室温(約13℃)で16時間撹拌し、その後、これを真空中で濃縮し、塩酸水溶液(1M、1.0L)で希釈した。得られた混合物をtert−ブチルメチルエーテル(2×800mL)で洗浄し、水層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpH8に塩基性化し、次いで酢酸エチル(3×600mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル層を飽和塩化ナトリウム水溶液(500mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、黄色のオイルを得た。この材料を、C3で実施した同様の2ステップ連続反応から得られた対応する生成物(125g、232mmol)と合わせて、生成物を黄色のオイルとして得た。収量:174g、554mmol、2ステップで99%。LCMS m/z 313.6, 315.6 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz,
CDCl
3) δ 7.20 (s, 1H), 3.94 (d, J=14.6 Hz,
1H), 3.94-3.86 (m, 1H), 3.42 (d, J=14.6 Hz, 1H), 2.72 (d, J=5.0 Hz, 3H),
2.58-2.42 (br s, 2H), 1.66 (s, 3H).
【0132】
ステップ6.N−{[(2S)−2−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−1−(メチルスルファモイル)プロパン−2−イル]カルバモチオイル}ベンズアミド(C6)の合成
この実験は、全く同じ2回分で実施した。室温(約13℃)のC5(82g、261mmol)のジクロロメタン(1.8L)溶液に、イソチオシアン酸ベンゾイル(63.9g、392mmol)を一度に加えた。反応混合物を室温(約13℃)で16時間撹拌し、その後、これを真空中で濃縮し、2回分を合わせた。シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:10%〜80%の石油エーテル中酢酸エチル)によって、生成物をオフホワイト色の泡状物として得た。収量:226g、473mmol、91%。LCMS m/z 478.7 [M+H]
+, 臭素同位体パターンが認められた。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 11.64 (s, 1H), 9.00 (s, 1H), 7.87 (br d, J=8 Hz, 2H), 7.65 (br t,
J=7.4 Hz, 1H), 7.53 (br dd, J=8.0, 7.5 Hz, 2H), 7.26 (s, 1H), 5.18 (d, J=14.8
Hz, 1H), 4.59 (br q, J=5 Hz, 1H), 4.13 (d, J=14.6 Hz, 1H), 2.86 (d, J=5.3 Hz,
3H), 2.13 (s, 3H).
【0133】
ステップ7.N−[(5S)−5−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(C7)の合成
C6(110g、230mmol)および炭酸カリウム(63.7g、461mmol)のアセトニトリル(1.5L)中の室温(約13℃)の混合物に、ヨードメタン(61.5g、433mmol)を滴下で添加した。反応混合物を室温(約13℃)で16時間撹拌し、その後、これを飽和塩化アンモニウム水溶液(1.0L)で希釈し、酢酸エチル(3×800mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(800mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中でおよそ200mLの体積に濃縮した。石油エーテル(1.0L)を加えた後、混合物を室温(約13℃)で30分間撹拌し、その後、濾過によって沈殿を集めて、生成物を白色の固体として得た。収量:94g、210mmol、91%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 12.44 (s, 1H), 8.27-8.22 (m, 2H), 7.59-7.53 (m, 1H), 7.46 (br dd,
J=7.8, 7.3 Hz, 2H), 7.22 (s, 1H), 4.49 (d, J=13.8 Hz, 1H), 3.72 (d, J=13.8 Hz,
1H), 3.47 (s, 3H), 1.99 (s, 3H).
【0134】
ステップ8.(5S)−5−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5−ジメチル−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−アミン1,1−ジオキシド(C8)の合成
室温(13℃)のC7(75.0g、169mmol)のメタノール(1.5L)懸濁液に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(25.8g、169mmol)を一度に加えた。反応混合物を16時間還流させ、その後、これを冷却し、真空中で濃縮した。残渣を酢酸エチル(2.0L)に溶解した後、これを飽和塩化ナトリウム水溶液(600mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物(76g)を黄色のオイルとして得、これをそのまま次のステップで使用した。
【0135】
ステップ9.tert−ブチル[(5S)−5−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]カルバメート(C9)の合成
室温(約13℃)のC8(先行ステップより、76g、≦169mmol)のジクロロメタン(1.5L)溶液に、二炭酸ジ−tert−ブチル(92.2g、422mmol)およびトリエチルアミン(59.9g、592mmol)を加え、反応混合物を35℃で36時間撹拌し、その後、これを冷却し、真空中で濃縮して、黄色のオイルを得た。これを、C7で実施した2ステップ連続反応からの同様の粗生成物(94.0g、212mmol、および33.8g、76.2mmol)と合わせ、得られた材料をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:3%〜20%の石油エーテル中酢酸エチル)によって精製した。生成物を含有する画分を、およそ50mLの溶媒が残るまで濃縮し、次いで石油エーテル(1L)で希釈し、この混合物を室温(約13℃)で30分間撹拌した。得られた固体を濾過によって集めて、生成物(90g)を白色の固体として得た。母液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:3%〜20%の石油エーテル中酢酸エチル)に掛けて、追加の生成物を白色の固体(4.1g)として得た。合わせた収量:94.1g、214mmol、2ステップで47%。LCMS m/z 440.6 [M+H]
+(臭素同位体パターンが認められた)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 10.93 (br s, 1H), 7.22 (s, 1H), 4.42 (d, J=14.0 Hz, 1H), 3.66 (d,
J=13.8 Hz, 1H), 3.28 (s, 3H), 1.94 (s, 3H), 1.54 (s, 9H).
【0136】
ステップ10.tert−ブチル[(5S)−5−{4−[(ジフェニルメチリデン)アミノ]−1,3−チアゾール−2−イル}−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]カルバメート(C10)の合成
C9(44.25g、100.7mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(8.38g、9.15mmol)、ビフェニル−2−イル(ジ−tert−ブチル)ホスファン(John Phos、6.37g、21.3mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(32.2g、335mmol)、および1,1−ジフェニルメタンイミン(20.4mL、122mmol)のトルエン(640mL)中の混合物を排気し、窒素を装入した。この排気サイクルを2回繰り返し、その後、反応混合物を60℃で1時間撹拌した。次いでこれを珪藻土で濾過し、濾液を真空中で濃縮して、生成物を琥珀色のオイルとして得た。この材料をそのまま次のステップにまわした。
【0137】
ステップ11.tert−ブチル[(5S)−5−(4−アミノ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]カルバメート(P1)の合成
C10(先行ステップより、≦100.7mmol)のメタノール(1.34L)溶液を、ヒドロキシルアミン塩酸塩(14.0g、201mmol)および酢酸ナトリウム(16.5g、201mmol)で処理した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、その後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。得られた混合物を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を琥珀色の固体として得た。収量:31.3g、83.4mmol、2ステップで83%。LCMS m/z 374.1 [M-H
+].
1H NMR (400 MHz, CD
3OD)
δ 6.02 (s, 1H), 4.44 (d, J=13.9 Hz, 1H), 4.09 (d, J=14
Hz, 1H), 3.17 (s, 3H), 1.85 (br s, 3H), 1.50 (s, 9H).
【0138】
調製例P2
N−[(5S)−5−(4−アミノ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(P2)
【0139】
【化12】
ステップ1.N−[(5S)−5−{4−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−1,3−チアゾール−2−イル}−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(C11)の合成
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(87.9mg、95.9μmol)、ジ−tert−ブチル[2’,4’,6’−トリ(プロパン−2−イル)ビフェニル−2−イル]ホスファン(95%、125mg、0.279mmol)、およびナトリウムtert−ブトキシド(406mg、4.22mmol)の1,4−ジオキサン(5mL、アルゴンでスパージングしておいたもの)中の混合物を、70℃で10分間撹拌し、その後、C7(826mg、1.86mmol)および1−(2,4−ジメトキシフェニル)メタンアミン(561mg、3.36mmol)の1,4−ジオキサン(5mL、アルゴンでスパージングしておいたもの)溶液を加えた。撹拌を70℃で15分間継続し、この時点で、反応混合物を室温に冷却した。次いでこれを炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)中に注ぎ、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を橙色〜白色の固体として得た。収量:925mg、1.75mmol、94%。LCMS m/z 530.2 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 8.26-8.21 (m, 2H), 7.57-7.51 (m, 1H), 7.48-7.42 (m,
2H), 7.18 (d, J=8.2 Hz, 1H), 6.47 (d, AB四重線の半分, J=2.3
Hz, 1H), 6.43 (dd, ABXパターンの半分, J=8.2, 2.4 Hz, 1H), 6.06
(br s, 1H), 4.40 (d, J=13.8 Hz, 1H), 4.28 (s, 2H), 3.85 (s, 3H), 3.80 (s, 3H),
3.70 (d, J=13.8 Hz, 1H), 3.46 (s, 3H), 1.97 (s, 3H).
【0140】
ステップ2.N−[(5S)−5−(4−アミノ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(P2)の合成
0℃のC11(922mg、1.74mmol)のジクロロメタン(15mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(2.0mL)を滴下で添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、これを真空中で濃縮し、残渣を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)と酢酸エチル(30mL)とに分配し、水層を酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を黄色〜橙色〜白色の固体として得た。収量:475mg、1.25mmol、72%。LCMS m/z 380.1 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 8.27-8.21 (m, 2H), 7.57-7.51 (m, 1H), 7.45 (br dd,
J=8, 7.3 Hz, 2H), 6.19 (s, 1H), 4.44 (d, J=13.8 Hz, 1H), 3.71 (d, J=13.8 Hz,
1H), 3.46 (s, 3H), 1.98 (s, 3H).
【0141】
調製例P3
N−(6−シクロプロピル−5−{4−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−1,3−チアゾール−2−イル}−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル)ベンズアミド(P3)
【0142】
【化13】
ステップ1.1−シクロプロピル−N−(4−メトキシベンジル)−N−メチルメタンスルホンアミド(C12)の合成
−20℃の1−(4−メトキシフェニル)−N−メチルメタンアミン(5.38g、35.6mmol)のジクロロメタン(132mL)溶液に、トリエチルアミン(4.51mL、32.3mmol)を加えた。シクロプロピルメタンスルホニルクロリド(5.00g、32.3mmol)を滴下で添加した後、反応混合物を6時間かけて室温に加温し、次いで、さらに16時間撹拌した。次いでこれを水(200mL)とジクロロメタン(250mL)とに分配し、水層をジクロロメタン(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタン溶液としてシリカゲルに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜70%のヘプタン中酢酸エチルに続き、カラムに沈殿している材料を溶離させる酢酸エチル)によって、褐色の固体を得た。この材料をヘプタン(50mL)で摩砕し、得られた固体を濾過によって単離し、ヘプタン(3×15mL)で洗浄して、生成物を白色の固体として得た。収量:7.4g、27mmol、84%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.29 (br d, J=8.5 Hz, 2H), 6.90 (br d, J=8.7 Hz, 2H), 4.32 (s, 2H),
3.82 (s, 3H), 2.94 (d, J=7.1 Hz, 2H), 2.79 (s, 3H), 1.21-1.10 (m, 1H),
0.77-0.68 (m, 2H), 0.41-0.32 (m, 2H).
【0143】
ステップ2.2−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−2−{[(R)−tert−ブチルスルフィニル]アミノ}−1−シクロプロピル−N−(4−メトキシベンジル)−N−メチルプロパン−1−スルホンアミド(C13)の合成
−78℃のC12(0.871g、3.23mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、n−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、1.29mL、3.23mmol)を、反応温度が−70℃未満に保たれる速度で滴下して添加した。反応混合物を−78℃で1時間撹拌した。別のフラスコにおいて、−78℃のC2(0.500g、1.62mmol)のトルエン(8mL)溶液に、トリメチルアルミニウム(2.0Mトルエン溶液、0.808mL、1.62mmol)を滴下で添加し、この反応混合物を−78℃で20分間撹拌した。次いで、C2反応混合物にC12反応混合物をカニューレで加え、撹拌を−78℃で3.5時間継続し、その後、水(50mL)で反応物をクエンチし、室温に加温した。水層を酢酸エチル(3×25mL)で抽出した後、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタン溶液としてシリカゲルに吸着させ、シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって精製して、生成物を白色の固体として得た。
1H NMR分析によると、この材料は、およそ3:2のジアステレオマー混合物からなっていた。収量:0.614g、1.06mmol、65%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3), 特徴的ピーク: δ 7.25-7.20 (m, 2H), [7.20 (s)および7.14 (s), 計1H], 6.88-6.82 (m, 2H), [3.79 (s)および3.79 (s), 計3H], [3.38 (d, J=11.2 Hz)および3.25 (d, J=11.0 Hz), 計1H], [2.67 (s)および2.65 (s), 計3H], [2.10 (s)および2.06 (s), 計3H], [1.39 (s)および1.34 (s), 計9H], 1.08-0.39 (m, 5H).
【0144】
ステップ3.2−アミノ−2−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−1−シクロプロピル−N−メチルプロパン−1−スルホンアミド(C14)の合成
C13(0.614g、1.06mmol)のジクロロメタン(10mL)およびメタノール(2mL)溶液に、塩化水素の1,4−ジオキサン溶液(4.0M、1.60mL、6.40mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、その後、これを真空中で濃縮し、残渣をトルエン(2×50mL)と共沸させた。得られた固体をクロロホルム(10mL)に溶解し、1,3−ジメトキシベンゼン(0.833mL、6.36mmol)およびトリフルオロ酢酸(1.5mL、19mmol)で処理した。室温で16時間撹拌した後、反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を塩酸水溶液(0.25M、60mL)で処理し、ジエチルエーテル(3×100mL)で洗浄した。これらの有機洗液を捨て、水層は、固体炭酸水素ナトリウムを加えてpH9に塩基性化した。次いで、これを酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた酢酸エチル層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を白色の固体として得た。
1H NMR分析によると、この材料は、およそ3:2のジアステレオマー混合物からなっていた。収量:0.40g、1.1mmol、定量的。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3), 特徴的ピーク: δ [7.37 (s)および7.36
(s), 計1H], [3.55 (d, J=10.9 Hz)および3.52 (d, J=11.0 Hz), 計1H], [2.91 (s)および2.83 (s), 計3H], [2.17 (s)および2.10 (s), 計3H], 1.0-0.48 (m, 4H).
【0145】
ステップ4.N−{[2−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−1−シクロプロピル−1−(メチルスルファモイル)プロパン−2−イル]カルバモチオイル}ベンズアミド(C15)の合成
C14(0.40g、1.1mmol)のジクロロメタン(15mL)溶液に、イソチオシアン酸ベンゾイル(0.212mL、1.58mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。真空中で溶媒を除去することによって、粗生成物を黄色の固体(0.60g)として得、これをそのまま次のステップで使用した。
【0146】
ステップ5.N−[5−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(C16)の合成
C15(先行ステップより、0.60g、≦1.1mmol)のアセトニトリル(15mL)溶液に、炭酸カリウム(240mg、1.74mmol)に続いてヨードメタン(0.108mL、1.73mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。次いでこれを飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)および水(20mL)で希釈し、得られた混合物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を濾過し、真空中で濃縮し、残渣をジクロロメタン溶液としてシリカゲルに吸着させた。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜60%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を白色の固体として得た。
1H NMR分析によると、この材料は、およそ7:4のジアステレオマー混合物からなっていた。キラル超臨界流体クロマトグラフィー(カラム:Phenomenex Lux Cellulose−4、5μm;移動相A:二酸化炭素;移動相B:0.2%の水酸化アンモニウムを含有するメタノール;勾配:5%〜60%のB)によって、4種の異性体が32:5:11:53の比で認められた。収量:0.284g、0.59mmol、2ステップで54%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3), 特徴的ピーク: δ 8.26-8.21 (m, 2H), 7.58-7.52 (m, 1H),
7.49-7.43 (m, 2H), [7.25 (s)および7.23 (s), 計1H], [3.58 (d, J=11.0 Hz)および2.95 (d, J=10.8
Hz), 計1H], [3.50 (s)および3.47
(s), 計3H], [2.09 (s)および2.08 (s),
計3H], 1.13-0.80 (m, 3H), 0.53-0.34 (m, 1H).
【0147】
ステップ6.N−(6−シクロプロピル−5−{4−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−1,3−チアゾール−2−イル}−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル)ベンズアミド(P3)の合成
ナトリウムtert−ブトキシド(97%、0.117g、1.18mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(97%、25.4mg、26.9μmol)、およびジ−tert−ブチル[2’,4’,6’−トリ(プロパン−2−イル)ビフェニル−2−イル]ホスファン(95%、36.1mg、80.8μmol)の混合物を、窒素中で撹拌し、次いで、3サイクルの排気およびそれに続く窒素充填でパージした。1,4−ジオキサン(5mL)を加え、得られた混合物を70℃で10分間撹拌し、その後、70℃の混合物に、C16(0.26g、0.54mmol)および1−(2,4−ジメトキシフェニル)メタンアミン(0.145mL、0.965mmol)の1,4−ジオキサン(5mL)溶液を加えた。撹拌を70℃で20分間継続し、反応混合物を室温に冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)中に注いだ。混合物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をジクロロメタン溶液としてシリカゲルに吸着させ、シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜70%のヘプタン中酢酸エチル)に掛けて、生成物を白色の固体として得た。
1H NMR分析によると、この材料は、およそ1:1のジアステレオマー混合物からなっていた。収量:288mg、0.506mmol、94%。LCMS m/z 570.3 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3),
特徴的ピーク: δ [12.09 (br s)および11.96 (br s), 計1H], 8.27-8.19 (m, 2H),
7.56-7.49 (m, 1H), 7.48-7.40 (m, 2H), [7.19 (d, J=8.2 Hz)および7.18 (d, J=8.2 Hz), 計1H], 6.48-6.45 (m, 1H),
6.43 (dd, ABXパターンの半分, J=8.2, 2.4 Hz, 1H), [5.89 (br s)および5.83 (br s), 計1H], [4.24 (s)および4.23 (s), 計2H], 3.84 (s, 3H), [3.80 (s)および3.80 (s), 計3H], [3.49 (s)および3.45 (s), 計3H], [2.07 (s)および2.03 (s), 計3H].
【0148】
調製例P4
N−(5−{4−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−1,3−チアゾール−2−イル}−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル)ベンズアミド(P4)
【0149】
【化14】
ステップ1.N−(4−メトキシベンジル)−N−メチルプロパン−2−スルホンアミド(C17)の合成
−20℃の1−(4−メトキシフェニル)−N−メチルメタンアミン(5.38g、35.6mmol)のジクロロメタン(130mL)溶液に、トリエチルアミン(4.50mL、32.3mmol)を加えた。プロパン−2−スルホニルクロリド(4.61g、32.3mmol)を滴下して導入し、次いで、反応混合物を6時間かけて室温に加温し、さらに16時間撹拌した。反応混合物を水(200mL)とジクロロメタン(250mL)とに分配し、水層をジクロロメタン(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタン溶液としてシリカゲルに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜70%のヘプタン中酢酸エチル)に掛け、この過程の間、クロマトグラフィーカラムに生成物が一部沈殿したため、カラムも酢酸エチルで溶離した。カラムからの材料を褐色の固体として得、次いでこれをヘプタン(50mL)で摩砕して、白色の固体を得た。この材料をヘプタン(3×15mL)で洗浄して、生成物を白色の固体として得た。収量:5.47g、21.3mmol、66%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.28 (br d, J=8.8 Hz, 2H), 6.89 (br d, J=8.8 Hz, 2H), 4.33 (s, 2H),
3.82 (s, 3H), 3.28 (七重線, J=6.8 Hz, 1H), 2.78 (s, 3H),
1.40 (d, J=6.8 Hz, 6H).
【0150】
ステップ2.3−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−3−{[(R)−tert−ブチルスルフィニル]アミノ}−N−(4−メトキシベンジル)−N,2−ジメチルブタン−2−スルホンアミド(C18)の合成
C17のC18への変換を、調製例P3においてC12からのC13の合成について記載した方法を使用して実施した。生成物は、橙色の固体として得られ、
1H NMR分析によると、この材料は、およそ3:2のジアステレオマー混合物からなっていた。収量:528mg、0.932mmol、58%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3), 特徴的ピーク: δ 7.24-7.16 (m, 3H), 6.87-6.80 (m, 2H),
[6.63 (br s)および6.23 (br s), 計1H],
[3.79 (s)および3.78 (s), 計3H],
2.78-2.65 (m, 3H), 2.02 (s, 3H), [1.78 (s)および1.68 (s), 計3H], [1.63 (s)および1.55 (s), 計3H], [1.36 (s)および1.36 (s), 計9H].
【0151】
ステップ3.3−アミノ−3−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−N,2−ジメチルブタン−2−スルホンアミド(C19)の合成
C18のC19への変換を、トリフルオロ酢酸を介した脱保護を溶媒を加えずに実施したことを除き、調製例P3においてC13からのC14の合成について記載した方法を使用して実施した。生成物は、白色の固体として単離された。収量:291mg、0.850mmol、91%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.21 (s, 1H), 2.81 (s, 3H), 1.73 (s, 3H), 1.65 (s, 3H), 1.59 (s,
3H).
【0152】
ステップ4.N−{[2−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−3−メチル−3−(メチルスルファモイル)ブタン−2−イル]カルバモチオイル}ベンズアミド(C20)の合成
C19(290mg、0.847mmol)のC20への変換を、調製例P3においてC14からのC15の合成について記載した手順を使用して実施した。生成物は、黄色の固体として得られ、これをそのまま次のステップにまわした。LCMS m/z 505.1、507.1 [M+H]
+.
【0153】
ステップ5.N−[5−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(C21)の合成
C20(先行反応より、≦0.847mmol)のC21への変換を、調製例P3においてC15からのC16の合成について記載した方法を使用して実施した。生成物は、白色の固体として単離された。収量:170mg、0.361mmol、2ステップで43%。LCMS m/z 471.1, 473.1 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz,
CDCl
3) δ 12.45 (br s, 1H), 8.27-8.23 (m,
2H), 7.58-7.52 (m, 1H), 7.49-7.43 (m, 2H), 7.25 (s, 1H), 3.52 (s, 3H), 2.03 (s,
3H), 1.81 (s, 3H), 1.56 (s, 3H).
【0154】
ステップ6.N−(5−{4−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−1,3−チアゾール−2−イル}−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル)ベンズアミド(P4)の合成
ナトリウムtert−ブトキシド(97%、67.0mg、0.676mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(97%、14.5mg、15.4μmol)、およびジ−tert−ブチル[2’,4’,6’−トリ(プロパン−2−イル)ビフェニル−2−イル]ホスファン(95%、20.6mg、46.1μmol)の混合物を、窒素中で撹拌し、次いで、3サイクルの排気およびそれに続く窒素充填でパージした。1,4−ジオキサン(10mL)を加え、溶液を70℃で10分間撹拌し、この時点で、熱い(70℃)反応混合物に、C21(0.145g、0.308mmol)および1−(2,4−ジメトキシフェニル)メタンアミン(92.6mg、0.554mmol)の1,4−ジオキサン(10mL)溶液を加えた。70℃で80分間撹拌した後、反応混合物を室温に冷却し、その後、これを飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)中に注いだ。得られた混合物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して橙色のオイル(195mg)を得たが、これは、LCMS分析によると、C21とP4のおよそ1:1の混合物からなっていた。この材料を、次の試薬量:ナトリウムtert−ブトキシド(97%、41.3mg、0.417mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(97%、8.94mg、9.47μmol)、ジ−tert−ブチル[2’,4’,6’−トリ(プロパン−2−イル)ビフェニル−2−イル]ホスファン(95%、12.7mg、28.4μmol)、および1−(2,4−ジメトキシフェニル)メタンアミン(57.0mg、0.341mmol)を使用して同じ反応条件に掛け直した。この場合では、反応混合物を70℃で20分間撹拌した。この再履行からの粗生成物をジクロロメタン溶液としてシリカゲルに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜70%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を白色の固体として得た。収量:135mg、0.242mmol、79%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 12.31 (br s, 1H), 8.27-8.23 (m, 2H), 7.55-7.50 (m, 1H), 7.47-7.41
(m, 2H), 7.20 (d, J=8.2 Hz, 1H), 6.48 (d, AB四重線の半分,
J=2.4 Hz, 1H), 6.45 (dd, ABXパターンの半分, J=8.3, 2.4 Hz,
1H), 5.75 (s, 1H), 4.75-4.68 (m, 1H), 4.26-4.21 (m, 2H), 3.85 (s, 3H), 3.82 (s,
3H), 3.51 (s, 3H), 2.03 (s, 3H), 1.82 (s, 3H), 1.42 (s, 3H).
【0155】
調製例P5
N−(5−{4−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−1,3−チアゾール−2−イル}−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル)ベンズアミド(P5)
【0156】
【化15】
ステップ1.N−(4−メトキシベンジル)−N−メチルエタンスルホンアミド(C22)の合成
−72℃(内部反応温度)のN−(4−メトキシベンジル)−N−メチルメタンスルホンアミド(2.00g、8.72mmol)のテトラヒドロフラン(35mL)溶液に、n−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、3.66mL、9.15mmol)を、内部温度が−70℃またはそれ未満に保たれる速度で滴下で添加した。反応混合物を−70℃で1時間撹拌した後、ヨードメタン(0.983mL、15.8mmol)を滴下して添加し、−70℃で4時間撹拌し続けた。次いで、反応混合物を16時間かけて室温に加温し、その後、これを飽和塩化アンモニウム水溶液(150mL)および水(120mL)で希釈した。得られた混合物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を濾過し、真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタン溶液としてシリカゲルに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)に掛けて、生成物を白色の固体として得た。収量:1.92g、7.89mmol、90%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.30-7.25 (m, 2H, 推定; 溶媒ピークにより一部不明確), 6.90 (br d, J=8.5 Hz, 2H), 4.31 (s, 2H), 3.82 (s, 3H), 3.02 (q,
J=7.4 Hz, 2H), 2.77 (s, 3H), 1.39 (t, J=7.4 Hz, 3H).
【0157】
ステップ2.3−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−3−{[(R)−tert−ブチルスルフィニル]アミノ}−N−(4−メトキシベンジル)−N−メチルブタン−2−スルホンアミド(C23)の合成
C22のC23への変換を、調製例P3においてC12からのC13の合成について記載した方法を使用して実施した。生成物は、白色の固体として単離された。
1H NMR分析によると、この材料は、およそ5:4:3の比で、少なくとも3種のジアステレオマーからなっていた。収量:1.57g、2.84mmol、73%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3), 特徴的ピーク: δ [7.24-7.17 (m)および6.89-6.83 (m), 計5H], [3.80 (s), 3.80 (s),および3.80 (s), 計3H], [2.73 (s), 2.68 (s),および2.64 (s), 計3H], [2.07 (s), 2.00 (s),および1.94 (s), 計3H], [1.75 (d, J=7.1 Hz), 1.54
(d, J=7.1 Hz),および1.53 (d, J=7.1 Hz), 計3H], [1.37 (s), 1.34 (s),および1.28 (s), 計9H].
【0158】
ステップ3.3−アミノ−3−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−N−メチルブタン−2−スルホンアミド(C24)の合成
C23(1.52g、2.75mmol)のジクロロメタン(30mL)およびメタノール(6mL)溶液に、塩化水素の1,4−ジオキサン溶液(4.0M、4.13mL、16.5mmol)を加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。真空中で溶媒を除去した後、残渣をトルエン(2×50mL)と共沸させ、得られた黄色の固体を、次いで、1,3−ジメトキシベンゼン(5mL)とトリフルオロ酢酸(10mL)の混合物に溶解した。この反応混合物を室温で16時間撹拌し、その後、塩酸水溶液(0.25M、100mL)を加え、混合物をジエチルエーテル(3×100mL)で洗浄した。水層に1M水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9に塩基性化し、次いで酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を無色のオイルとして得た。
1H NMR分析によると、この材料は、およそ3:2のジアステレオマー混合物からなっていた。収量:886mg、2.70mmol、98%。主ジアステレオ異性体:
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.17 (s, 1H), 4.18 (br q, J=5 Hz, 1H), 3.89 (q, J=7.1 Hz, 1H), 2.85
(d, J=5.2 Hz, 3H), 2.4-2.2 (br s, 2H), 1.82 (s, 3H), 1.33 (d, J=7.1 Hz, 3H). 副ジアステレオマー:
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.18 (s, 1H), 4.00 (q, J=7.2 Hz, 1H), 3.70 (br q, J=5 Hz, 1H), 2.67
(d, J=5.3 Hz, 3H), 2.4-2.2 (br s, 2H), 1.57 (s, 3H), 1.53 (d, J=7.2 Hz, 3H).
【0159】
ステップ4.N−{[2−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−3−(メチルスルファモイル)ブタン−2−イル]カルバモチオイル}ベンズアミド(C25)の合成
C24のC25への変換を、調製例P3においてC14からのC15の合成について記載した方法を使用して実施した。生成物は、黄色の固体として得られ、これをそのまま次のステップにまわした。
【0160】
ステップ5.N−[5−(4−ブロモ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(C26)の合成
C25のC26への変換を、調製例P3においてC15からのC16の合成について記載した手順を使用して実施した。生成物は、白色の固体として単離され、
1H NMR分析によると、およそ3:2のジアステレオマー混合物からなっていた。収量:390mg、0.853mmol、2ステップで32%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ [12.38 (br s)および12.32 (br s), 計1H], 8.27-8.21 (m, 2H), 7.58-7.52 (m, 1H), 7.49-7.42 (m, 2H), [7.25
(s)および7.24 (s), 計1H], [4.33 (q,
J=7.1 Hz)および3.78 (q, J=7.1 Hz), 計1H], [3.51 (s)および3.49 (s), 計3H], [2.03 (s)および1.93 (s), 計3H], [1.76 (d, J=7.1 Hz)および1.65 (d, J=7.0
Hz), 計3H].
【0161】
ステップ6.N−(5−{4−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−1,3−チアゾール−2−イル}−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル)ベンズアミド(P5)の合成
C26の1−(2,4−ジメトキシフェニル)メタンアミンとの反応を、調製例P3においてC16からのP3の合成について記載した手順に従って実施した。生成物は、黄色の固体として単離され、
1H NMR分析によると、この材料は、およそ1:1のジアステレオマー混合物からなっていた。収量:457mg、0.840mmol、98%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3), 特徴的ピーク: δ [12.24 (br s)および12.05
(br s), 計1H], 8.28-8.18 (m, 2H), 7.56-7.49 (m, 1H), 7.47-7.40
(m, 2H), [7.21 (d, J=8.2 Hz)および7.20 (d, J=8.2 Hz), 計1H], 6.50-6.42 (m, 2H), [5.75 (s)および5.73
(s), 計1H], 4.26-4.19 (m, 2H), [3.85 (s), 3.84 (s), 3.81
(s),および3.81 (s), 計6H], [3.50
(s)および3.49 (s), 計3H], [2.02 (s)および1.93 (s), 計3H], [1.61 (d, J=7.0 Hz)および1.59 (d, J=7.0 Hz), 計3H].
【0162】
調製例P6
5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボン酸(P6)
【0163】
【化16】
ステップ1、メチル5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキシレート(C27)の合成。
メチル5−ヒドロキシピリジン−2−カルボキシレート(20g、130mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(500mL)溶液に、炭酸カリウム(45.1g、326mmol)を添加し、反応混合物を室温で0.5時間撹拌した。クロロ(ジフルオロ)酢酸ナトリウム(63.7g、418mmol)を導入し、その結果生じた混合物を100℃で5時間加熱し、その後飽和塩化ナトリウム水溶液(300mL)および酢酸エチル(300mL)に分配した。水層を酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(2×200mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:5:1の石油エーテル/酢酸エチル)によって、生成物を淡黄色のオイルとして得た。収量:17g、84mmol、65%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.56 (s, 1H), 8.17 (d, J=8.7 Hz, 1H), 7.59 (br d, J=8.7 Hz, 1H),
6.64 (t, J
HF=71.9 Hz, 1H), 4.00 (s, 3H).
【0164】
ステップ2、5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボン酸(P6)の合成。
C27(17g、84mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)および水(50mL)中の溶液を、0℃に冷却し、水酸化リチウム(6.0g、250mmol)で処理した。反応混合物を室温で2時間撹拌した後、1M塩酸水溶液でpH3に酸性化した。水層を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を白色の固体として得た。収量:13g、69mmol、82%。LCMS m/z 189.8 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 8.52 (d, J=2.4 Hz, 1H), 8.29 (d, J=8.5 Hz, 1H), 7.73
(dd, J=8.6, 2.4 Hz, 1H), 6.68 (t, J
HF=71.5 Hz, 1H).
【0165】
調製例P7
5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボン酸(P7)
【0166】
【化17】
ステップ1、3−メチル−5−ニトロピリジン−2−カルボニトリル(C28)の合成。
3−メチルピリジン−2−カルボニトリル(128g、1.08mol)および硝酸テトラブチルアンモニウム(363g、1.19mol)のtert−ブチルメチルエーテル(1.3L)中の混合物を、4℃に冷却した。トリフルオロ酢酸無水物(171mL、1.21mol)を加え、反応混合物を室温で60時間撹拌した。次いで、20%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、およそ7のpHに調整し、ジクロロメタン(3×1L)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜10%の石油エーテル中酢酸エチル)によって精製して、生成物を黄色の固体として得た。収量:70g、0.43mmol、40%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ9.36-9.31 (m, 1H), 8.52-8.47 (m, 1H), 2.74 (s, 3H).
【0167】
ステップ2、5−アミノ−3−メチルピリジン−2−カルボニトリル(C29)の合成。
C28(40.0g、245mmol)のエタノール(630mL)および水(70mL)溶液に、塩化カルシウム(13.6g、123mmol)に続いて鉄粉(123g、2.20mol)を加え、反応混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を濾過した後、濾液を真空中で濃縮し、残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:10%〜50%の石油エーテル中酢酸エチル)によって精製した。生成物を黄色の固体として得た。収量:20.0g、150mmol、61%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.94 (d, J=2.5 Hz, 1H), 6.81 (d, J=2.5 Hz, 1H), 4.19-4.07 (br s,
2H), 2.45 (s, 3H).
【0168】
ステップ3、5−ヒドロキシ−3−メチルピリジン−2−カルボニトリル(C30)の合成。
0℃の、C29(18.0g、135mmol)の水(243mL)および濃硫酸(67.5mL)中の溶液に、亜硝酸ナトリウム(10.3gの亜硝酸ナトリウムを含有する1.6M水溶液、149mmol)をゆっくりと加えた。反応混合物を室温に加温し、100℃で3時間撹拌し、その後、これを冷却し、酢酸エチル(3×75mL)で抽出した。合わせた有機層を、水(2×75mL)および飽和塩化ナトリウム水溶液(2×75mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を黄色の固体として得た。収量:16g、120mmol、89%。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 11.07 (br s, 1H), 8.08 (d, J=2.6 Hz, 1H), 7.20 (d, J=2.3 Hz, 1H),
2.40 (s, 3H).
【0169】
ステップ4、5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボニトリル(C31)の合成。
C30(5.70g、42.5mmol)、クロロジフルオロ酢酸ナトリウム(13.0g、85.3mmol)、および炭酸カリウム(17.6g、127mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(175mL)中の混合物を、100℃で30分間撹拌した。次いで、反応混合物を酢酸エチル(400mL)で希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液(3×200mL)および飽和塩化ナトリウム水溶液(3×200mL)で順次洗浄した。合わせた水層を酢酸エチル(200mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:5%〜15%の石油エーテル中酢酸エチル)によって、生成物を無色のオイルとして得た。収量:3.9g、21mmol、49%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.39 (br d, J=2.1 Hz, 1H), 7.47-7.43 (m, 1H), 6.64 (t, J
HF=71.5
Hz, 1H), 2.59 (s, 3H).
【0170】
ステップ5、5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボン酸(P7)の合成。
C31(7.60g、41.3mmol)のエタノール(200mL)溶液に、水酸化ナトリウム水溶液(1M、124mL、124mmol)を加え、反応混合物を16時間70℃で撹拌した。次いで、これをtert−ブチルメチルエーテル(200mL)で希釈し、水(2×100mL)で抽出した。合わせた水層をtert−ブチルメチルエーテル(100mL)で洗浄し、1M塩酸水溶液でpH2に酸性化し、tert−ブチルメチルエーテル(2×200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した、生成物を白色の固体として得た。収量:6.6g、32mmol、77%。LCMS m/z 203.7 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CD
3OD)
δ 8.32 (br d, J=2.1 Hz, 1H), 7.62-7.58 (m, 1H), 7.06
(t, J
HF=72.7 Hz, 1H), 2.64 (s, 3H).
【0171】
調製例P8
3−クロロ−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボン酸(P8)
【0172】
【化18】
ステップ1、5,6−ジクロロピリジン−3−ジアゾニウムテトラフルオロボレート(C32)の合成。
0℃の5,6−ジクロロピリジン−3−アミン(15g、92mmol)のテトラフルオロホウ酸(水中約45%、150mL)溶液に、亜硝酸ナトリウム(6.67g、96.6mmol)の水(90mL)溶液を滴下して添加し、その間に、ジアゾニウム塩が沈殿した。添加が完了した後、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。次いで、これを濾過し、濾過ケークを石油エーテル(3×200mL)で洗浄して、生成物(25.8g)を淡赤色の固体として得た。この材料をそのまま次のステップで使用した。
【0173】
ステップ2、5,6−ジクロロピリジン−3−イルアセテート(C33)の合成。
C32(先行ステップより、25.8g、≦92mmol)の溶液を無水酢酸(75mL)に溶解し、ゆっくりと70℃に加温した。窒素の発生が止んだとき、70℃で1時間撹拌し続け、その後、溶媒を蒸発させた。残渣をtert−ブチルメチルエーテル(100mL)に溶解し、水(4×40mL)で洗浄した。合わせた水層を追加のtert−ブチルメチルエーテル(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(5×20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜25%の石油エーテル中酢酸エチル)によって、生成物を黄色のオイルとして得た。収量:9.7g、47mmol、2ステップで51%。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 8.33 (d, J=2.5 Hz, 1H), 8.18 (d, J=2.5 Hz, 1H), 2.32 (s, 3H).
【0174】
ステップ3、3−クロロ−5−ヒドロキシピリジン−2−カルボニトリル(C34)の合成。
室温のC33(9.7g、47mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(60mL)溶液に、シアン化亜鉛(2.6g、22mmol)、亜鉛粉末(145mg、2.21mmol)、および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(1.72g、2.35mmol)を加えた。反応混合物を140℃で13時間撹拌し、その後、これをtert−ブチルメチルエーテル(200mL)および水(150mL)で希釈し、珪藻土パッドで濾過した。濾液の水層を追加のtert−ブチルメチルエーテル(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(8×50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、生成物を褐色の固体として得た。収量:6.8g、44mmol、94%。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ 8.16 (d, J=2.5 Hz, 1H), 7.38 (d, J=2.5 Hz, 1H).
【0175】
ステップ4、3−クロロ−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボニトリル(C35)の合成。
C34(6.8g、44mmol)、クロロ(ジフルオロ)酢酸ナトリウム(20g、180mmol)、および炭酸カリウム(36.5g、264mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(70mL)中の混合物を、100℃で40分間(気体発生を認めることができなくなるまで)撹拌した。反応混合物をtert−ブチルメチルエーテル(200mL)および水(150mL)で希釈し、水層を追加のtert−ブチルメチルエーテル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(8×50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜20%の石油エーテル中酢酸エチル)によって、生成物を黄色のオイルとして得た。収量:5.55g、27.1mmol、62%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.52-8.45 (m, 1H), 7.73-7.65 (m, 1H), 6.68 (t, J
HF=70.8
Hz, 1H).
【0176】
ステップ5、メチル3−クロロ−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキシレート(C36)の合成。
化合物C35(4.82g、23.6mmol)を塩化水素のメタノール溶液(4M、75mL)に溶解し、反応混合物を60℃で13時間撹拌した。次いで、これを水(50mL)で希釈し、室温で30分間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、残った水相は、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)を加えて中和し、次いで、酢酸エチル(3×60mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。その結果生じた材料を、C35(500mg、2.4mmol)を使用して実施した同様の反応からの粗生成物と合わせ、混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜20%の石油エーテル中酢酸エチル)に掛けて、生成物を黄色のオイルとして得たが、このオイルは、室温で静置すると固化した。収量:3.4g、14mmol、54%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.50-8.43 (m, 1H), 7.68-7.62 (m, 1H), 6.64 (t, J
HF=71.3
Hz, 1H), 4.02 (s, 3H).
【0177】
ステップ6、3−クロロ−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボン酸(P8)の合成。
C36(1.0g、4.2mmol)のテトラヒドロフラン(40mL)および水(20mL)溶液に、水酸化リチウム一水和物(279mg、6.31mmol)を加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌し、その後、これを真空中で濃縮し、残った水相は、2M塩酸水溶液を加えてpH2〜3に調整した。その結果生じた混合物を酢酸エチル(7×20mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を淡黄色の固体として得た。収量:720mg、3.22mmol、77%。LCMS m/z 222.0 [M-H
+] (塩素同位体パターンが認められた).
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 8.51 (d, J=2.0 Hz, 1H), 8.06 (d, J=2.0 Hz, 1H), 7.44 (t, J
HF=72.8
Hz, 1H).
【0178】
調製例P9
2−(フルオロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボン酸(P9)
【0179】
【化19】
【0180】
ステップ1、メチル2−(ジクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール−4−カルボキシレート(C37)の合成。
−5℃のナトリウムメトキシド(15.4g、0.285mol)のメタノール(500mL)溶液に、ジクロロアセトニトリル(215g、1.96mol)のメタノール(200mL)溶液を滴下で添加した。次いで、−5℃の反応混合物に、2−アミノ−3−ヒドロキシプロパン酸メチル塩酸塩(382g、2.45mol)のメタノール(300mL)溶液を添加し、引き続いてこれを室温で16時間撹拌した。ジクロロメタン(1L)および水(800mL)を添加し、水層をジクロロメタン(1L)で抽出し、合わせた有機層を真空中で濃縮して、生成物を黄色のオイルとして得、これをさらに精製することなく次のステップで使用した。収量:300g、1.4mol、71%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 6.29 (s, 1H), 4.90 (dd, J=10.8, 8.3 Hz, 1H), 4.74 (dd, J=8.8, 8.3
Hz, 1H), 4.66 (dd, J=10.8, 8.9 Hz, 1H), 3.82 (s, 3H).
【0181】
ステップ2、メチル2−(クロロメチル)−4−メトキシ−4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール−4−カルボキシレート(C38)の合成。
冷却したナトリウムメトキシド(52.2g、0.966mol)のメタノール(300mL)溶液に、C37(205g、0.967mol)のメタノール(700mL)溶液を、反応温度を10℃未満に保つのに十分な速度で滴下で添加した。次いで、反応混合物を室温で16時間撹拌し、その後ジクロロメタン(1L)および水(800mL)で希釈した。水層をジクロロメタン(2×500mL)で抽出し、合わせた有機層を真空中で濃縮して、生成物を黄色のオイルとして得た。この材料をさらに精製することなく次のステップで使用した。収量:200g、0.96mol、99%。
【0182】
ステップ3、メチル2−(クロロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボキシレート(C39)の合成。
C38(193g、0.930mol)のトルエン(700mL)溶液に、(7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イル)メタンスルホン酸(ショウノウスルホン酸、45.9g、0.198mol)を添加し、反応混合物を70℃で1時間加熱した。水(1L)を添加し、混合物を酢酸エチル(2×1L)で抽出し、合わせた有機層を炭酸カリウム水溶液(10%、500mL)、水(800mL)、および飽和塩化ナトリウム水溶液(0.8L)で順次洗浄し、乾燥させ、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:5%〜25%の石油エーテル中酢酸エチル)によって、生成物を白色の固体として得た。収量:55g、0.31mol、33%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.26 (s, 1H), 4.65 (s, 2H), 3.93 (s, 3H).
【0183】
ステップ4、メチル2−(フルオロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボキシレート(C40)の合成。
C39(40g、0.23mol)のアセトニトリル(1L)懸濁液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(357g、1.36mol)を添加し、反応混合物を25℃で16時間撹拌した。真空中で溶媒を除去した後、残渣を水(1L)で希釈し、酢酸エチル(4×1L)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:17%〜23%の石油エーテル中酢酸エチル)によって、生成物を黄色の固体として得た。収量:8.7g、55mmol、24%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.31 (d, J=1.2 Hz, 1H), 5.43 (d, J
HF=47.2 Hz, 2H), 3.94
(s, 3H).
【0184】
ステップ5、2−(フルオロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボン酸(P9)の合成。
C40(18g、110mmol)のテトラヒドロフラン(150mL)溶液に、水酸化リチウム(5.42g、226mmol)のメタノールおよび水の混合物(1:1、500mL)中の溶液を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、その後真空中で濃縮した。残渣を水(500mL)に溶解した後、2M塩酸水溶液を添加してpH2に達するまで酸性化した。次いで水層を酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を黄色の固体として得た。収量:13g、90mmol、82%。LCMS m/z 144.0 [M-H
+].
1H NMR (400 MHz, CD
3OD)
δ 8.61 (s, 1H), 5.47 (d, J
HF=47 Hz, 2H).
【0185】
調製例P10
5−(ブタ−2−イン−1−イルオキシ)ピリジン−2−カルボン酸(P10)
【0186】
【化20】
ステップ1、メチル5−(ブタ−2−イン−1−イルオキシ)ピリジン−2−カルボキシレート(C41)の合成。
0℃のブタ−2−イン−1−オール(0.645mL、8.62mmol)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液に、メチル5−ヒドロキシピリジン−2−カルボキシレート(1.30g、8.49mmol)、トリフェニルホスフィン(3.34g、12.7mmol)、およびアゾジカルボン酸ジイソプロピル(2.50mL、12.7mmol)を加えた。次いで、反応混合物を室温(18℃)に加温し、48時間撹拌し、その後、これを真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:15%〜50%の石油エーテル中酢酸エチル)によって、生成物を黄色の固体として得た。収量:1.1g、5.4mmol、64%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.46 (d, J=2.9 Hz, 1H), 8.13 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.37 (dd, J=8.8,
2.9 Hz, 1H), 4.77 (q, J=2.3 Hz, 2H), 3.99 (s, 3H), 1.86 (t, J=2.3 Hz, 3H).
【0187】
ステップ2、5−(ブタ−2−イン−1−イルオキシ)ピリジン−2−カルボン酸(P10)の合成。
室温(15℃)のC41(1.59g、7.75mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、水酸化リチウム一水和物(975mg、23.2mmol)の水(7mL)溶液を滴下で添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、2M塩酸水溶液を加えてpH2に酸性化し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(2×100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を黄色の固体として得た。収量:1.0g、5.2mmol、67%。LCMS m/z 192.1 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CD
3OD)
δ 8.35 (d, J=2.9 Hz, 1H), 8.14 (d, J=8.7 Hz, 1H), 7.57
(dd, J=8.7, 2.8 Hz, 1H), 4.87 (q, J=2.3 Hz, 2H), 1.84 (t, J=2.3 Hz, 3H).
【0188】
(実施例1)
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(1)
【0189】
【化21】
ステップ1.tert−ブチル{(5S)−5−[4−({[5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−イル]カルボニル}アミノ)−1,3−チアゾール−2−イル]−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル}カルバメート(C42)の合成
P1(100mg、0.266mmol)およびP6(36.3mg、0.192mmol)のジクロロメタン(3.5mL)溶液に、トリエチルアミン(36.4μL、0.261mmol)およびO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU、72.9mg、0.192mmol)を加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した。ジクロロメタンで希釈した後、これを水および飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜50%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を白色の固体として得た。収量:88.7mg、0.162mmol、84%。LCMS m/z 547.3 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CD
3OD)
δ 8.56 (dd, J=2.7, 0.4 Hz, 1H), 8.27 (dd, J=8.7, 0.5
Hz, 1H), 7.81 (br dd, J=8.7, 2.7 Hz, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.08 (t, J
HF=72.6
Hz, 1H), 4.58 (d, J=13.9 Hz, 1H), 4.17 (d, J=14.0 Hz, 1H), 3.19 (s, 3H), 1.92
(s, 3H), 1.52 (s, 9H).
【0190】
ステップ2.N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(1)の合成
C42(88.7mg、0.162mmol)のジクロロメタン(2.7mL)溶液をトリフルオロ酢酸(0.249mL、3.23mmol)で処理し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。次いでこれをジクロロメタンで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜10%のジクロロメタン中メタノール)によって精製することによって、生成物を白色の固体として得た。収量:67mg、0.15mmol、93%。LCMS m/z 447.2 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CD
3OD)
δ 8.56 (br dd, J=2.7, 0.5 Hz, 1H), 8.27 (dd, J=8.7, 0.6
Hz, 1H), 7.81 (ddt, J=8.6, 2.7, 0.6 Hz, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.08 (t, J
HF=72.6
Hz, 1H), 4.16 (d, J=13.8 Hz, 1H), 3.76 (d, J=13.8 Hz, 1H), 3.19 (s, 3H), 1.70
(s, 3H).
【0191】
(実施例2)
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(2)
【0192】
【化22】
ステップ1.N−{2−[(5S)−3−(ベンゾイルアミノ)−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(C43)の合成
P2(50mg、0.13mmol)および1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(25.6mg、0.158mmol)の酢酸エチル(1mL)中の混合物を、0℃に冷却した。トリエチルアミン(73μL、0.52mmol)および2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスフィナン2,4,6−トリオキシド(50%酢酸エチル溶液、157μL、0.264mmol)を加え、反応混合物を0℃で2.5時間撹拌した。次いでこれを、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(7mL)と酢酸エチル(7mL)とに分配し、水層を酢酸エチル(3×7mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物をオフホワイト色の固体として得た。収量:25.8mg、49.3μmol、38%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 12.52-12.26 (br s, 1H), 9.39 (br s, 1H), 8.25 (br d, J=8.2 Hz, 2H),
7.91 (d, J=2.6 Hz, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.56 (br dd, J=7, 7 Hz, 1H), 7.46 (br dd,
J=7.6, 7.5 Hz, 2H), 7.23 (t, J
HF=60.4 Hz, 1H), 7.08 (d, J=2 Hz, 1H),
4.44 (d, J=13.8 Hz, 1H), 3.75 (d, J=13.8 Hz, 1H), 3.48 (s, 3H), 2.00 (s, 3H).
【0193】
ステップ2.N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(2)の合成
C43(25.8mg、49.3μmol)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(2滴)のメタノール(1mL)懸濁液を終夜60℃に加熱し、その後、これを室温に冷却し、真空中で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:40%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を白色の固体として得た。収量:10.6mg、25.3μmol、51%。LCMS m/z 420.1 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 9.34 (br s, 1H), 7.90 (d, J=2.7 Hz, 1H), 7.65 (s,
1H), 7.23 (t, J
HF=60.5 Hz, 1H), 7.07 (d, J=2.7 Hz, 1H), 4.12 (d,
J=14.0 Hz, 1H), 3.71 (d, J=14.0 Hz, 1H), 3.31 (s, 3H), 1.81 (s, 3H).
【0194】
(実施例3、4、および5)
N−{2−[(5R,6S)−3−アミノ−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(3)、N−{2−[(5S,6R)−3−アミノ−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(4)、およびN−{2−[(5S,6S)−3−アミノ−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(5)
【0195】
【化23】
ステップ1.N−[5−(4−アミノ−1,3−チアゾール−2−イル)−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(C44)の合成
0℃のP3(0.288g、0.506mmol)のジクロロメタン(5mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(0.7mL)を滴下して添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、これをジクロロメタン(100mL)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)とに分配した。水層をジクロロメタン(2×50mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、生成物を橙色の固体(0.25g)として得た。この材料をそのまま次のステップにまわした。LCMSによって、近くに伸びる同様の大きさの2つのピークが示され、どちらもm/z 420.4 [M+H]
+であった。
【0196】
ステップ2.N−{2−[3−(ベンゾイルアミノ)−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(C45)の合成
C44(先行ステップより、0.25g、≦0.506mmol)およびP6(0.135g、0.714mmol)の酢酸エチル(5mL)溶液を、0℃に冷却し、トリエチルアミン(0.332mL、2.38mmol)で処理した。2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスフィナン2,4,6−トリオキシド(50%酢酸エチル溶液、0.709mL、1.19mmol)を加え、撹拌を0℃で2時間継続した。この時点でのLCMS分析によって、近くに伸びる2つのピークがおよそ1:1の比で明らかになり、どちらもm/z 591.3 [M+H]
+であった。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)を加え、得られた混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、残渣をジクロロメタン溶液としてシリカゲルに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)に掛けた。生成物は、白色の固体として単離され、
1H NMR分析よると、およそ1:1のジアステレオマー混合物からなっていた。収量:232mg、0.393mmol、2ステップで78%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3), 特徴的ピーク: δ [10.43 (br s)および10.40
(br s), 計1H], [8.50 (br d, J=2.6 Hz)および8.47 (br d, J=2.4 Hz), 計1H], 8.34-8.30 (m,
1H), 8.28-8.20 (m, 2H), [7.84 (s)および7.83 (s), 計1H], 7.70-7.66 (m, 1H), 7.58-7.51 (m, 1H), 7.49-7.42 (m, 2H), [6.66
(t, J
HF=71.9 Hz)および6.65 (t, J
HF=71.8
Hz), 計1H], [3.56 (d, J=10.9 Hz)および2.98 (d, J=10.9 Hz), 計1H], [3.52 (s)および3.48 (s), 計3H), [2.13 (s)および2.09 (s), 計3H].
【0197】
ステップ3.N−{2−[(5R,6S)−3−アミノ−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(3)、N−{2−[(5S,6R)−3−アミノ−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(4)、およびN−{2−[(5S,6S)−3−アミノ−6−シクロプロピル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(5)の合成
C45(232mg、0.393mmol)のメタノール(10mL)溶液に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(59.3μL、0.396mmol)を加え、反応混合物を16時間60℃に加熱した。真空中で溶媒を除去し、残渣をジクロロメタン溶液としてシリカゲルに吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:20%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物(138mg、0.284mmol、収率72%)を得た。カラムからの混合画分(115mg、0.236mmol)を超臨界流体クロマトグラフィー(カラム:Phenomenex Lux Cellulose−2、5μm;移動相A:二酸化炭素;移動相B:1:1のアセトニトリル/メタノール;勾配:5%〜60%のB)に掛けて、個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーを分離した。次いで、単離された3つの試料それぞれを、個々にシリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜10%のジクロロメタン中メタノール)に掛けて、以下のものを得たが、全て白色の固体として得た。
【0198】
超臨界流体クロマトグラフィーから最初に溶離する異性体は、3となった。収量:7.4mg、15μmol、4%。LCMS m/z 487.3 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 10.38 (br s, 1H), 8.47 (br s, 1H), 8.31 (d, J=8.6 Hz,
1H), 7.71 (s, 1H), 7.67 (br d, J=8.6 Hz, 1H), 6.65 (t, J
HF=72.1 Hz,
1H), 3.37 (d, J=11.0 Hz, 1H), 3.29 (s, 3H), 1.85 (s, 3H), 1.10-0.99 (m, 1H),
0.95-0.69 (m, 3H), 0.27-0.18 (m, 1H).
【0199】
超臨界流体クロマトグラフィーから2番目に溶離する異性体は、4となった。収量:39.9mg、82.0μmol、21%。LCMS m/z 487.3 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 10.38 (br s, 1H), 8.47 (br d, J=2.4 Hz, 1H), 8.31 (br
d, J=8.6 Hz, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.67 (br dd, J=8.6, 2.7 Hz, 1H), 6.65 (t, J
HF=72.0,
1H), 3.45 (d, J=10.8 Hz, 1H), 3.31 (s, 3H), 1.91 (s, 3H), 1.12-1.00 (m, 1H),
0.96-0.85 (m, 1H), 0.85-0.72 (m, 2H), 0.29-0.19 (m, 1H).
【0200】
超臨界流体クロマトグラフィーから3番目に溶離する異性体は、特徴付けできないほど少量で得られた。
【0201】
超臨界流体クロマトグラフィーから4番目に溶離する異性体は、5となった。収量:20.2mg、41.5μmol、11%。LCMS m/z 487.3 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 10.38 (br s, 1H), 8.49 (br d, J=2.3 Hz, 1H), 8.32 (br
d, J=8.6 Hz, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.68 (br dd, J=8.6, 2.7 Hz, 1H), 6.65 (t, J
HF=72.0
Hz, 1H), 3.29 (s, 3H), 2.91 (d, J=10.9 Hz, 1H), 1.92 (s, 3H), 1.36-1.23 (m,
1H), 0.85-0.69 (m, 2H), 0.62-0.52 (m, 1H), 0.30-0.21 (m, 1H).
【0202】
こうした化合物について示す相対および絶対立体化学は、NMR研究および生物活性を根拠として割り当てた。
1H NMRスペクトルから、3と4は、互いにエナンチオマーである。NOE研究では、3と4両方の四級メチル基に照射すると、シクロプロピル基のメチンプロトンが増強される結果となり、5におけるスルホニル基に近接したメチンに照射すると、四級メチル基についてシグナルの実質的な増強が得られたことが明らかになり、こうした結果から、シクロプロピルおよびメチル基の相対立体化学が確立された。9の効力に対する3と4の効力の差(表7を参照されたい)から、4が、四級中心において9と同じ絶対立体化学を有することが示唆された(以下、9に関するX線構造決定を参照されたい)。
【0203】
(実施例6、7、および8)
N−[2−(3−アミノ−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(6)、N−{2−[(5R)−3−アミノ−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(7)、およびN−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(8)
【0204】
【化24】
ステップ1.N−[5−(4−アミノ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(C46)の合成
P4のC46への変換を、実施例3、4、および5においてP3からのC44の合成について記載した方法を使用して実施した。生成物は、橙色の固体として得られ、これをそのまま次のステップで使用した。LCMS m/z 408.2 [M+H]
+.
【0205】
ステップ2.N−{2−[3−(ベンゾイルアミノ)−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(C47)の合成
C46のP6との反応を、実施例3、4、および5においてC44からのC45の合成について記載した手順を使用して実施した。生成物は、白色の固体として単離された。収量:80mg、0.14mmol、58%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 12.45 (br s, 1H), 10.44 (br s, 1H), 8.51 (br d, J=2.6 Hz, 1H), 8.33
(dd, J=8.6, 0.6 Hz, 1H), 8.29-8.25 (m, 2H), 7.83 (s, 1H), 7.69 (br dd, J=8.7,
2.7 Hz, 1H), 7.57-7.52 (m, 1H), 7.49-7.43 (m, 2H), 6.66 (t, J
HF=71.9
Hz, 1H), 3.54 (s, 3H), 2.07 (s, 3H), 1.85 (s, 3H), 1.52 (s, 3H).
【0206】
ステップ3.N−[2−(3−アミノ−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(6)の合成
C47(80mg、0.14mmol)のメタノール(5mL)溶液に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(20.9μL、0.140mmol)を加えた。反応混合物を10時間60℃に加熱し、その後、これを真空中で濃縮し、ジクロロメタン溶液としてシリカゲルに吸着させた。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:20%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を白色の固体として得た。収量:57mg、0.12mmol、86%。LCMS m/z 475.3 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 10.36 (br s, 1H), 8.50 (br d, J=2.7 Hz, 1H), 8.32
(dd, J=8.6, 0.6 Hz, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.68 (br dd, J=8.6, 2.6 Hz, 1H), 6.66
(t, J
HF=72.0 Hz, 1H), 4.22-4.07 (br s, 2H), 3.29 (s, 3H), 1.95 (s,
3H), 1.85 (s, 3H), 1.17 (s, 3H).
【0207】
ステップ4.N−{2−[(5R)−3−アミノ−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(7)およびN−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5,6,6−テトラメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(8)の単離
6(57mg)のそれを構成するエナンチオマーへの分離を、超臨界流体クロマトグラフィー(カラム:Phenomenex Lux Cellulose−2、5μm;移動相A:二酸化炭素;移動相B:1:1のアセトニトリル/メタノール;勾配:5%〜60%のB)によって実施した。次いで、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜10%のジクロロメタン中メタノール)を使用して、各エナンチオマーを精製し直した。超臨界流体クロマトグラフィーから最初に溶離するエナンチオマーは、シリカゲルクロマトグラフィー後に白色の固体として得られ、7として割り当てた。収量:6.3mg、この分離について11%。LCMS m/z 475.3 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 10.37 (br s, 1H), 8.50 (d, J=2.6 Hz, 1H), 8.32 (d,
J=8.6 Hz, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.70-7.66 (m, 1H), 6.66 (t, J
HF=71.9
Hz, 1H), 3.35 (s, 3H), 1.92 (s, 3H), 1.90 (s, 3H), 1.27 (br s, 3H).
【0208】
超臨界流体クロマトグラフィーから2番目に溶離するエナンチオマーも、シリカゲルクロマトグラフィー後に白色の固体として得られ、8として割り当てた。収量:15mg、この分離について26%。LCMS m/z 475.3 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 10.36 (br s, 1H), 8.50 (s, 1H), 8.32 (d, J=8.6 Hz,
1H), 7.71 (s, 1H), 7.70-7.65 (m, 1H), 6.65 (t, J
HF=71.9 Hz, 1H),
3.32 (s, 3H), 1.93 (s, 3H), 1.87 (s, 3H), 1.21 (s, 3H).
【0209】
7および8について示す絶対立体化学は、これら2種の化合物の生物活性の違い(表7を参照されたい)に基づき、3および4の立体化学との類推によって割り当てた。
【0210】
(実施例9)
N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボキサミド、メタンスルホン酸塩(9)
【0211】
【化25】
ステップ1.tert−ブチル{(5S)−5−[4−({[5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]カルボニル}アミノ)−1,3−チアゾール−2−イル]−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル}カルバメート(C48)の合成
P1(31.30g、83.36mmol)、P7(30.5g、150mmol)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(76.1g、200mmol)、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(116mL、666mmol)のジクロロメタン(1.7L)中の混合物を、室温で30分間撹拌した。次いで、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、5%クエン酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を淡黄色の固体として得た。収量:36.57g、65.23mmol、78%。LCMS m/z 559.3 [M-H
+].
1H NMR (400 MHz, CD
3OD)
δ 8.39-8.37 (m, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.60-7.58 (m, 1H),
7.06 (t, J
HF=72.8 Hz, 1H), 4.56 (d, J=13.9 Hz, 1H), 4.16 (d, J=14.0
Hz, 1H), 3.19 (s, 3H), 2.75 (s, 3H), 1.91 (br s, 3H), 1.52 (s, 9H).
【0212】
ステップ2.N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボキサミド(C49)の合成
C48(36.57g、65.23mmol)のジクロロメタン(1.1L)溶液に、トリフルオロ酢酸(100mL)を加えた。反応混合物を室温で45分間撹拌し、その後、1M水酸化ナトリウム水溶液を加えて塩基性化した。水層をジクロロメタンで2回抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜5%のジクロロメタン中メタノール)によって、オフホワイト色の固体を得、これを、少量のジエチルエーテルを含有するヘプタン中でおよそ30分間摩砕して、生成物を白色の固体として得た。収量:26.08g、56.64mmol、87%。LCMS m/z 461.3 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CD
3OD)
δ 8.38 (br d, J=2.5 Hz, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.58 (br d,
J=2.5 Hz, 1H), 7.05 (t, J
HF=72.8 Hz, 1H), 4.15 (d, J=13.7 Hz, 1H),
3.75 (d, J=13.8 Hz, 1H), 3.19 (s, 3H), 2.75 (s, 3H), 1.70 (s, 3H).
【0213】
ステップ3.N−{2−[(5S)−3−アミノ−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボキサミド、メタンスルホン酸塩(9)の合成
C49(32.62g、70.84mmol)のメタノール(316mL)中の混合物を綿で濾過し、次いで、メタンスルホン酸(4.60mL、70.9mmol)のメタノール(38mL)溶液で処理した。得られた混合物を1時間撹拌し、その後、これを、非常に濃厚なスラリーになるまで、ロータリーエバポレーターで濃縮した。この時点で、ジエチルエーテル(400mL)を加え、混合物を10分間撹拌し、濾過した。濾過ケークをジエチルエーテルで十分に洗浄して、生成物を白色の固体として得たが、これは、粉末X線回折によって、結晶質であることがわかった。収量:36.95g、66.39mmol、94%。LCMS m/z 461.3 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6)
δ 10.87 (s, 1H), 10.40 (br s, 1H), 8.70-8.52 (br s,
2H), 8.44 (d, J=2.7 Hz, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.75-7.73 (m, 1H), 7.45 (t, J
HF=72.9
Hz, 1H), 4.66 (br AB四重線, J
AB=13.9 Hz, Δν
AB=81 Hz, 2H), 3.23 (s, 3H), 2.65 (s,
3H), 2.35 (s, 3H), 1.84 (br s, 3H).9の試料をメタノールから再結晶させると、結晶が得られ、これをX線結晶構造解析(以下を参照されたい)に使用し、これによって、絶対立体化学は、描かれているものであると確認された。
【0214】
9に関する単結晶X線構造決定
データ収集は、Bruker APEX回折計において室温で行った。データ収集は、オメガおよびフィー走査からなるものであった。分解能は1.0オングストロームに限定、データ収集は短く切断、したがって、データ対パラメーター比は、ほぼ3:1。
【0215】
構造は、SHELXソフトウェア一式を使用する直接法によって、空間群P2
12
12
1にあると解明された。引き続いて、完全行列最小二乗法によって構造を精密化した。異方性変位パラメーターを使用して、全ての非水素原子を見出し、精密化した。
【0216】
差フーリエマップから窒素上に位置する水素原子を見出し、距離に制約をかけた状態で精密化した。残りの水素原子を計算された位置に置き、その担体原子上に乗せた。最終精密化には、全ての水素原子についての等方性変位パラメーターを含めた。
【0217】
尤度法を使用する絶対構造の解析(Hooft、2008)を、PLATON(Spek、2010)を使用して行った。結果から、絶対構造が正確に割り当てられていたことが示された。この方法によって、構造が正確である確立が100.0であると算定された。Hooftパラメーターは、esd値0.07で0.023であると報告されている。
【0218】
最終R指数は、3.0%であった。最終差フーリエによって、見つかっていないまたは置き違えられた電子密度は存在しないことが明らかになった。
【0219】
該当する結晶、データ収集および精密化情報を表1に要約する。原子座標、結合距離、結合角度、および変位パラメーターを、表2〜5に示す。
【0220】
ソフトウェアおよび参考文献
SHELXTL、バージョン5.1、Bruker AXS、1997
PLATON、A.L.Spek、J.Appl.Cryst.2003、36、7〜13
MERCURY、C.F.Macrae、P.R.Edington、P.McCabe、E.Pidcock、G.P.Shields、R.Taylor、M.Towler、およびJ.van de Streek、J.Appl.Cryst.2006、39、453〜457
OLEX2、O.V.Dolomanov、L.J.Bourhis、R.J.Gildea、J.A.K.Howard、およびH.Puschmann、J.Appl.Cryst.2009、42、339〜341
R.W.W.Hooft、L.H.Straver、およびA.L.Spek、J.Appl.Cryst.2008、41、96〜103
H.D.Flack、Acta Cryst.1983、A39、867〜881
【0221】
【表1】
【0222】
【表2】
【0223】
【表3-1】
【0224】
【表3-2】
【0225】
【表3-3】
【0226】
【表3-4】
【0227】
【表4】
【0228】
【表5】
【0229】
(実施例10、11、12、および13)
N−{2−[(5R,6S)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(10)、N−{2−[(5S,6R)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(11)、N−{2−[(5S,6S)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(12)、およびN−{2−[(5R,6R)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(13)
【0230】
【化26】
ステップ1.N−[5−(4−アミノ−1,3−チアゾール−2−イル)−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(C50)の合成
P5のC50への変換を、実施例3、4、および5においてP3からのC44の合成について記載した手順を使用して実施した。生成物は、橙色の固体として単離され、これをそのまま次のステップにまわした。実験の終わりに、反応混合物をLCMSによって分析すると、C50の2種のジアステレオマーであると推定される、近くに伸びる2つの生成物が1:1の比で明らかになり、LCMS m/zは、394.1および394.2
[M+H]
+であった。
【0231】
ステップ2.N−{2−[3−(ベンゾイルアミノ)−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(C51)の合成
C50のP6との反応を、実施例3、4、および5においてC44からのC45の合成について記載した手順を使用して実施した。生成物は、白色の固体として得られ、
1H NMR分析よると、およそ1:1のジアステレオマー混合物からなっていた。収量:207mg、0.367mmol、44%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3), 特徴的ピーク: δ [12.34 (br s)および12.23
(br s), 計1H], [10.44 (br s)および10.43
(br s), 計1H], 8.52-8.47 (m, 1H), 8.34-8.30 (m, 1H),
8.29-8.21 (m, 2H), [7.83 (s)および7.83 (s), 計1H], 7.71-7.66 (m, 1H), 7.58-7.51 (m, 1H), 7.49-7.42 (m, 2H), [6.66
(t, J
HF=71.9 Hz)および6.66 (t, J
HF=71.9
Hz), 計1H], 3.52 (s, 3H), [2.05 (s)および1.98 (s), 計3H], [1.73 (d, J=7.1 Hz)および1.65 (d, J=7.0 Hz), 計3H].
【0232】
ステップ3.N−{2−[(5R,6S)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(10)、N−{2−[(5S,6R)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(11)、N−{2−[(5S,6S)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(12)、およびN−{2−[(5R,6R)−3−アミノ−2,5,6−トリメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(13)の合成
C51の、生成物の混合物への変換を、実施例3、4、および5において、C45の、3、4および5の混合物への変換について記載した方法に従って実施した。生成物の混合物は、白色の固体(120mg、0.260mmol、73%)として単離され、この材料を、超臨界流体クロマトグラフィー[カラム:Phenomenex Lux Cellulose−2、5μm;移動相:3:1の二酸化炭素/(1:1のアセトニトリル/メタノール)]によって、それを構成する異性体に分離した。次いで、各異性体を、個々に、シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜10%のジクロロメタン中メタノール)に掛けて、4種の生成物をそれぞれ白色の固体として得た。
【0233】
超臨界流体クロマトグラフィーから最初に溶離する異性体は、10となった。収量:13.5mg、29.3μmol、8%。LCMS m/z 461.3 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 10.38 (br s, 1H), 8.48 (dd, J=2.6, 0.6 Hz, 1H), 8.31
(dd, J=8.6, 0.6 Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.67 (br dd, J=8.6, 2.7 Hz, 1H), 6.65
(t, J
HF=72.0 Hz, 1H), 3.93 (q, J=7.1 Hz, 1H), 3.29 (s, 3H), 1.72 (s,
3H), 1.68 (d, J=7.0 Hz, 3H).
【0234】
超臨界流体クロマトグラフィーから2番目に溶離する異性体は、11となった。収量:39.5mg、85.8μmol、24%。LCMS m/z 461.3 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 10.38 (br s, 1H), 8.48 (br d, J=2.6 Hz, 1H), 8.31
(dd, J=8.6, 0.6 Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.67 (br dd, J=8.6, 2.6 Hz, 1H), 6.65
(t, J
HF=72.0 Hz, 1H), 3.93 (q, J=7.0 Hz, 1H), 3.29 (s, 3H), 1.72 (s,
3H), 1.68 (d, J=7.0 Hz, 3H).
【0235】
超臨界流体クロマトグラフィーから3番目に溶離する異性体は、12となった。収量:12.5mg、27.1μmol、8%。LCMS m/z 461.3 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 10.39 (br s, 1H), 8.49 (dd, J=2.7, 0.5 Hz, 1H), 8.31
(dd, J=8.6, 0.6 Hz, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.68 (ddt, J=8.6, 2.6, 0.7 Hz, 1H), 6.65
(t, J
HF=71.9 Hz, 1H), 3.83 (q, J=7.0 Hz, 1H), 3.29 (s, 3H), 1.88 (s,
3H), 1.25 (d, J=7.0 Hz, 3H).
【0236】
超臨界流体クロマトグラフィーから4番目に溶離する異性体は、13となった。収量:7.7mg、16.7μmol、5%。LCMS m/z 461.3 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 10.39 (br s, 1H), 8.49 (dd, J=2.7, 0.5 Hz, 1H), 8.32
(dd, J=8.6, 0.6 Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.68 (br dd, J=8.6, 2.7 Hz, 1H), 6.66
(t, J
HF=72.0 Hz, 1H), 3.84 (q, J=7.0 Hz, 1H), 3.31 (s, 3H), 1.90 (s,
3H), 1.31 (d, J=7.0 Hz, 3H).
【0237】
示される相対および絶対立体化学は、NMR研究および生物活性を根拠として割り当てた。
1H NMRスペクトルから、10と11は、互いにエナンチオマーであり、12と13も、互いにエナンチオマーである。NOE研究において、12および13についてはどちらも、スルホニル基に近接するメチンに照射すると、四級メチル基シグナルが増強されたが、10および11では、同様の照射によって、四級メチル基共鳴は影響を受けなかった。これにより、ビシナルなメチル基の相対立体化学が確立された。これら4種の化合物の生物活性を調べることで(表7を参照されたい)、実施例3および4に従う絶対立体化学の割当てが可能になった。
【0238】
(実施例14、15、16、および17)
N−{2−[(5R,6S)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(14)、N−{2−[(5S,6R)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(15)、N−{2−[(5R,6R)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(16)、およびN−{2−[(5S,6S)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(17)
【0239】
【化27】
ステップ1.N−[5−(4−アミノ−1,3−チアゾール−2−イル)−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル]ベンズアミド(C53)の合成
C52[N−(5−{4−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−1,3−チアゾール−2−イル}−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−3−イル)ベンズアミド。この材料は、シクロプロピルメタンスルホニルクロリドの代わりにプロパン−1−スルホニルクロリドを利用することにより、P3と似たようにして調製した](140mg、0.251mmol)の0℃のジクロロメタン(4mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(0.38mL、4.9mmol)を滴下で添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。反応の終わりに、反応混合物をLCMSによって分析すると、生成物の分子量と一致する主ピークが示された。LCMS m/z 408.3 [M+H]
+. 反応混合物を、追加のジクロロメタンおよび飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈した。水層をジクロロメタンで2回抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を橙色の固体(100mg)として得た。この材料をそのまま次のステップで使用した。
【0240】
ステップ2.N−{2−[3−(ベンゾイルアミノ)−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(C54)の合成
実施例2においてP2からのC43の合成について記載した方法を使用して、C53(先行ステップより、100mg、≦0.245mmol)をP6と反応させて、生成物を得た。この場合では、クロマトグラフィー精製を行わず、生成物を黄色の固体(130mg)として単離し、これをそのまま次のステップで使用した。
【0241】
ステップ3.N−{2−[(5R,6S)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(14)、N−{2−[(5S,6R)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(15)、N−{2−[(5R,6R)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(16)、およびN−{2−[(5S,6S)−3−アミノ−6−エチル−2,5−ジメチル−1,1−ジオキシド−5,6−ジヒドロ−2H−1,2,4−チアジアジン−5−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(17)の合成
C54(130mg、≦0.225mmol)のメタノール(2.2mL)溶液に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(33.9μL、0.227mmol)を加えた。反応混合物を16時間60℃に加熱し、その後、これを減圧下で濃縮した。残渣をジクロロメタン(10mL)に溶解し、シリカゲルに吸着させ、シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:20%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物の混合物(45mg、95μmol、3ステップで38%)を得た。この材料を、超臨界流体クロマトグラフィー[カラム:Phenomenex Lux Cellulose−2、5μm;移動相:45:55の二酸化炭素/(0.2%の水酸化アンモニウムを含有するメタノール)]を使用して、それを構成する4種の異性体に分離した。溶離する順に:
14:収量:6.2mg、この分離について14%。LCMS m/z 475.3
[M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 10.41 (br s, 1H), 8.50 (dd, J=2.7, 0.5 Hz, 1H), 8.32 (dd, J=8.6,
0.5 Hz, 1H), 7.79 (s, 1H), 7.68 (br dd, J=8.6, 2.6 Hz, 1H), 6.66 (t, J
HF=71.9
Hz, 1H), 3.83-3.76 (m, 1H), 3.33 (s, 3H), 2.23-2.12 (m, 2H), 1.83 (s, 3H), 1.17
(t, J=7.5 Hz, 3H).
15:収量:17.5mg、この分離について39%。LCMS m/z 475.3
[M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 10.40 (br s, 1H), 8.50 (d, J=2.3 Hz, 1H), 8.32 (d, J=8.6 Hz, 1H),
7.78 (s, 1H), 7.68 (br dd, J=8.6, 2.6 Hz, 1H), 6.66 (t, J
HF=71.9 Hz,
1H), 3.78-3.71 (m, 1H), 3.32 (s, 3H), 2.28-2.11 (m, 2H), 1.81 (s, 3H), 1.17 (t,
J=7.4 Hz, 3H).
16:収量:1.2mg、この分離について3%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 10.39
(br s, 1H), 8.50 (dd, J=2.7, 0.5 Hz, 1H), 8.32 (dd, J=8.6, 0.6 Hz, 1H), 7.74
(s, 1H), 7.68 (br dd, J=8.6, 2.7 Hz, 1H), 6.66 (t, J
HF=71.9 Hz, 1H),
3.63 (dd, J=7.7, 3.2 Hz, 1H), 3.31 (s, 3H), 2.02-1.9 (m, 2H), 1.89 (s, 3H),
1.12 (t, J=7.5 Hz, 3H).
17:収量:9.4mg、この分離について21%。LCMS m/z 475.3
[M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 10.39 (br s, 1H), 8.50 (br d, J=2.5 Hz, 1H), 8.32 (dd, J=8.6, 0.5
Hz, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.68 (br dd, J=8.7, 2.7 Hz, 1H), 6.66 (t, J
HF=71.9
Hz, 1H), 3.62 (dd, J=7.8, 3.4 Hz, 1H), 3.30 (s, 3H), 2.09-1.9 (m, 2H), 1.89 (s,
3H), 1.14 (t, J=7.3 Hz, 3H).
【0242】
示される相対および絶対立体化学は、NMR研究および生物活性を根拠として割り当てた。
1H NMRスペクトルから、14と15は、互いに鏡像異性体であり、16と17も、互いに鏡像異性体である。NOE研究において、16および17についてはどちらも、スルホニル基に近接するメチンに照射すると、四級メチル基シグナルが増強されたが、15では、その共鳴に対する影響がなかった。これにより、ビシナルなメチルおよびエチル基の相対立体化学が確立された。これら4種の化合物の生物活性を調べることで(表7を参照されたい)、実施例3および4に従う絶対立体化学の割当てが可能になった。
【0243】
【表6-1】
【0244】
【表6-2】
【0245】
【表6-3】
【0246】
【表6-4】
【0247】
【表6-5】
【0248】
生物学的アッセイ
BACE1無細胞アッセイ:β−セクレターゼ(BACE)は、アルツハイマー病患者のアミロイド斑において見出されるアミロイドβペプチドの産生に関与する酵素の1つである。β−セクレターゼ酵素は非天然ペプチドを切断するため、このアッセイはβ−セクレターゼ酵素の阻害を測定する。
【0249】
β−セクレターゼによって切断することができ、N−末端ビオチンを有し、かつCys残基におけるオレゴングリーンの共有結合によって蛍光性とされた合成APP基質を使用して、阻害性化合物の存在下または非存在下でβ−セクレターゼ活性をアッセイする。基質は、ビオチン−GLTNIKTEEISEISY^EVEFR−C[オレゴングリーン]KK−OHである。BACE1酵素は、可溶性BACEコンストラクト(BACE1δTM96His)をトランスフェクトされたCHO−K1細胞の条件培地からアフィニティー精製された材料である。化合物を、384ウェルブラックプレートにおいてBACE1酵素およびビオチン化蛍光性ペプチドと共に、100μMの最も高い濃度から半対数用量反応曲線においてインキュベートする(Thermo Scientific #4318)。30μLのアッセイ緩衝液[100mMの酢酸ナトリウム、pH4.5(酢酸によってpHとする)、および0.001%Tween−20]の反応容量中で、BACE1は0.1nMの最終濃度であり、ペプチド基質の最終濃度は150nMである。プレートを覆い、37℃で3時間インキュベートする。30μLのストレプトアビジン(1.5μM)(Pierce、#21125)を添加することによって反応を停止させる。室温にて10分のインキュベーション後に、プレートを、蛍光偏光についてPerkinElmer EnVision上で読み取る(Ex485nm/Em530nm)。β−セクレターゼ酵素の活性を、基質が酵素によって切断されたときに起こる蛍光偏光の変化によって検出する。化合物阻害剤の存在下でのインキュベーションは、合成APP基質のβ−セクレターゼ酵素的切断の特異的阻害を示す。
【0250】
【表7-1】
【0251】
【表7-2】
【0252】
【表7-3】
【0253】
【表7-4】