(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-534904(P2018-534904A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(54)【発明の名称】電気エネルギー生成に圧電発電機を使用する装置
(51)【国際特許分類】
H02N 2/18 20060101AFI20181026BHJP
【FI】
H02N2/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-535255(P2018-535255)
(86)(22)【出願日】2016年9月23日
(85)【翻訳文提出日】2018年3月23日
(86)【国際出願番号】FR2016052416
(87)【国際公開番号】WO2017051133
(87)【国際公開日】20170330
(31)【優先権主張番号】1559054
(32)【優先日】2015年9月25日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】518099723
【氏名又は名称】フィテア テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】PYTHEAS TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】グロッソ,ジル
(72)【発明者】
【氏名】モスカ,フレデリック
【テーマコード(参考)】
5H681
【Fターム(参考)】
5H681AA06
5H681BB08
5H681BB20
5H681DD23
5H681EE10
5H681EE11
5H681EE20
(57)【要約】
本発明は、複数の発電機アセンブリ(Ega、Egb)を含む電気エネルギーを生成する装置に関するものであり、それぞれ以下を含む:−前記第1発電機に加えられる機械力に応じて電気エネルギーを生成するよう適合させた少なくとも1基の第1圧電発電機(Ga、Gb)、−前記アクチュエータ(Aa、Ab)が作動しているときに発電機(Ga、Gb)に機械的な力を加えるよう適合させたアクチュエータ(Aa、Ab)、−カム面(SCa、SCb)を備えた回転カム(Ca、Cb)、−カム面(SCa、SCb)の従動手段(MSa、MSb)、−第1従動手段(MSa、Msb)に連結されたレバー(La、Lb)で、そのレバーはレバーアームに取り付けられ、アクチュエータ(Aa、Ab)と協働してカム(Ca、Cb)が回転駆動しカム面(SCa、Scb)により従動手段(MSa、Msb)に機械的な力を及ぼしたときに作動させるようアクチュエータ(Aa、Ab)と協働するもの、−回転ホイール(R)は動力源により回転し、その回転ホイールはカム(Ca、Cb)に連結しており、ある回転速度(W
R)での前記回転ホイールの回転により、その前記回転ホイールの速度よりも大きな別の回転速度(Wc
a、Wc
b)で前記カムを回転させるようになる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む少なくとも第1発電機アセンブリ(EGa)を備えた電気エネルギーを生成するための装置:
−前記第1発電機に加えられる機械力に応じて電気エネルギーを生成するよう適合させた少なくとも1基の第1圧電発電機(Ga)、
−前記第1アクチュエータ(Aa)が作動しているときに前記第1発電機(Ga)に機械力を加えるよう適合させた第1アクチュエータ(Aa)、
−カム面(Sca)を備えた第1回転カム(Ca)、
−カム面(SCa)の第1従動手段(MSa)、
−第1レバーがレバーアームに取り付けられ、第1カム(Ca)が回転しカム面(SCa)により第1従動手段に機械力が加わっているときに作動するよう第1アクチュエータ(Aa)と協働している、第1従動手段(MSa)に接続された第1レバー(La)。
本装置は、少なくとも以下を含む第2発電機アセンブリ(EGb)を備えているという事実により特徴付けられる。
−前記第2発電機に加えられる機械力に応じて電気エネルギーを生成するよう適合させた少なくとも1基の第2圧電発電機(Gb)、
−前記第2アクチュエータが作動しているときに前記第2発電機に機械的な力を加えるよう適合させた第2アクチュエータ、
−カム面(SCb)を備えた第2回転カム(Cb)、
−カム面(SCb)の第2従動手段(MSb)、
−第2レバーがレバーアームに取り付けられ、第2カム(Cb)が回転しカム面(SCb)により第2従動手段(MSb)に機械的な力が加わったときに作動するよう第2アクチュエータと協働する、第2従動手段(MSb)に接続された第2レバー(Lb)、
および回転ホイール(R)は第1カム(Ca)と第2カム(Cb)に連結された動力源により回転し、それによりある回転速度(WR)での前記回転ホイールの回転によい、前記回転ホイールの回転速度よりも大きな別の回転速度(WCa、WCb)で前記カムの回転を生じさせるという事実による。
【請求項1】
請求項1に記載の装置で、N≧2という整数値の数の発電機アセンブリ(EGi)を搭載し、それぞれ以下を含む。
−前記発電機に加えられる機械力に応じて電気エネルギーを生成するよう適合させた少なくとも1基の圧電発電機、
−前記アクチュエータが作動しているときに発電機に機械的な力を加えるよう適合させたアクチュエータ、
−カム面を備えた回転カム、
−カム面の従動手段、
−レバーがレバーアームに取り付けられ、カムが回転しカム面により前記従動手段に機械的な力が加わったときに作動するようアクチュエータと協働する、従動手段に接続されたレバー、
そしてその場合ホイール(R)はN個のカムに連結され、それによりある回転速度での前記回転ホイールの回転が、前記回転ホイールの回転速度よりも大きな別の回転速度でN個のカムの回転を引き起こす。
【請求項2】
N個のカムは、回転ホイール(R)の回転軸(AR)に対して角度的にずれており、この角度偏差が2p/Nである、請求項2に記載の装置。
【請求項3】
以下のようなものである、前記請求項のうちのいずれかに記載の装置、
−各発電機アセンブリ(EG)は、カム面(SC)を有する回転カム(C)につながっており、各前記発電機アセンブリは、以下を含む。
・以下を含む第1サブアセンブリ(SEG1):圧電発電機(G1)、アクチュエータ(A1)、カム面(SC)の従動手段(MS1)およびレバーL1、
・以下を含む第1サブアセンブリ(SEG2):圧電発電機(G2)、アクチュエータ(A2)、カム面(SC)の従動手段(MS2)およびレバー(L2)、
−第1サブアセンブリ(SEG1)と第2サブアセンブリ(SEG2)は、カム(C)の回転軸(AC)に対して対称的に配置される。
【請求項4】
カム面(SC)が、カム(C)の回転軸線(AC)に対して対称であり、第1サブアセンブリ(SEG1)のカム従動手段と第2サブアセンブリ(SEG2)のカム従動手段(MS2)が類似の同期した運動を行うようになる、請求項4に記載の装置。
【請求項5】
各圧電発電機(G1、G2)は、それぞれ軸方向に積み重ねられた圧電セラミック(2)と電極(3)の交互配置により形成された2つの圧電支柱(P11−P12、P21−P22)の形態となり、その2つの圧電支柱(P11−P12、P21−P22)はは互いに同軸であり、対向して配置されている前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
アクチュエータ(A1、A2)が、レバー(L1、L2)により作動しているときの圧電支柱(P11−P12、P21−P22)のそれぞれに同時に作用するように構成されたジョーの形態である、請求項6に記載の装置。
【請求項7】
M≧2という整数値の個数の発電機アセンブリ(EGi1−EGiM)を備え、それぞれ以下を含む、前記請求項のいずれかに記載の装置。
−前記発電機に加えられる機械力に応じて電気エネルギーを生成するよう適合させた少なくとも1基の圧電発電機、
−前記アクチュエータが作動しているときに発電機に機械的な力を加えるよう適合させたアクチュエータ、
−カム面を備えた回転カム(Ci1−CiM)、
−カム面の従動手段、
−レバーがレバーアームに取り付けられ、カムが回転しカム面により前記従動手段に機械的な力が加わったときに作動するようアクチュエータと協働する、従動手段に接続されたレバー、
その中で、M個のカム(Ci1−CiM)が共通軸(ACI)上に平行に取り付けられ、この回転ホイールはこの共通の回転軸と係合し、前記共通回転軸の回転により前記M個のカムの同時回転を引き起こすようになる。
【請求項8】
以下のようなものである、請求項8に記載の装置:
−M個のカム(Ci1〜CiM)は同一のカム面を備え、そのカム面は、窪みと突起の規則的な交互配置で構成されている。
−M個のカム(Ci1−CiM)が共通回転軸上で角度がずれており、この角度偏差は2p/(M.B)である、ここでBは前記カムのぞれぞれのカム面上にある突起の数に相当する。
【請求項9】
以下のようなものである、請求項8に記載の装置:
−M個のカム(Ci1〜CiM)は同一のカム面を備え、そのカム面は、窪みと突起の規則的な交互配置で構成されている。
−各発電機アセンブリ(EGi1−EGiM)のカム面の従動手段は共通の回転軸(ACi)上で角度的にずれており、この角度偏差は2p/(MB)である。ここでBは存在する前記カムのそれぞれのカム面上に存在する突起の数に相当する。
【請求項10】
従動手段(MS1、MS2)に以下が含まれる、前記請求項のうちのいずれかに記載の装置。
−接続されているレバー(L1、L2)に機械力を加えるよう適合させたロッド(MT1、MT2)で、そのレバーがそれに応じて対応するアクチュエータ(A1、A2)を作動させるもの、
−ロッド(MT1、MT2)と連動するローラ(MG1、MG2)はカム面(SC)を転がりながら取り付けられ、カム(C)が回転し前記カム面により前記ローラに機械力を及ぼすとき前記ロッドにより前記レバー(L1、L2)に加えられた機械力が増大するよう前記ローラが配置される。
【請求項11】
電気エネルギーを生成するよう圧電発電機(Ga、Gb)に機械力を加える装置であって、その装置には以下を含む。
−前記アクチュエータが作動しているときに発電機(Ga、Gb)に機械的な力を加えるよう適合させたアクチュエータ(Aa、Ab)、
−カム面(SCa、SCb)を備えた回転カム(Ca、Cb)、
−カム面(SCa、SCb)の従動手段(MSa、MSb)、
−レバー(La、Lb)がレバーアーム(MSa、MSb)に取り付けられ、カム(Ca、Cb)が回転しカム面(SCa、SCb)により前記従動手段(MSa、MSb)に機械的な力が加わったときに作動するようアクチュエータと協働する、従動手段(MSa、MSb)に接続されたレバー(La、Lb)、
−回転ホイール(R)が動力源により回転し、その回転ホイールはカム(Ca、Cb)に連結され、ある回転速度での前記回転ホイールの回転により前記回転ホイールの回転速度よりも大きな別の回転速度での前記カムの回転を引き起こすようになるという事実により特徴付けられる。
【請求項12】
電気エネルギーを生成するため圧電発電機(Ga、Gb)に機械的な力を加える手順であって、その手順には、以下で構成される段階を含む。
−前記アクチュエータが作動しているときに発電機(Ga、Gb)に機械的な力を加えるよう適合させたアクチュエータ(Aa、Ab)を取り付ける、
−カム面(SCa、SCb)を備えた回転カム(Ca、Cb)を取り付ける、
−カム面(SCa、SCb)の従動手段(MSa、MSb)を取り付ける、
−レバーアーム上にレバー(La、Lb)を装着する。
−レバー(La、Lb)を従動手段(MSa、MSb)に接続し、前記レバーによりアクチュエータ(Aa、Ab)が作動できこの作動に応じて前記アクチュエータにより発電機に機械力が加わるよう前記レバーを前記アクチュエータと協働させる。
−カム面(SCa、SCb)が従動手段(MSa、MSb)に機械的な力を及ぼし、レバー(La、Lb)によりアクチュエータ(Aa、Ab)が作動するようカム(Ca、Cb)を回転駆動させる。
この手順には、カム(Ca、Cb)を回転ホイール(R)に連結する段階が含まれており、ある回転速度での前記回転ホイールの回転によりその回転ホイールの回転速度よりも大きな別の回転速度で前記カムを回転させるようになるという事実により特徴付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーを生成するため圧電発電機を使用する装置に関するものである。また本発明は、電気エネルギーを生成するため圧電発電機に機械的な力を加える装置および方法に関するものである。
【0002】
本発明は、機械的応力にさらされたときに電気エネルギーを生成できる圧電発電機の技術分野に関係している。
【背景技術】
【0003】
米国特許第7005779号明細書(エリクソン(ERICKSON))では、電気エネルギーを生成できるようにする圧電装置を開示している。(エリクソン文書の
図3に対応する)
図1に示す実施形態を参照しながら、このシステムは、以下を含む発電機アセンブリ(組立体)を備えている。
−前記発電機に加えられる機械的な力に応じて電気エネルギーを生成するよう適合させた圧電発電機47、
−前記ばねが付勢したときに発電機47に機械的な力を加えるアクチュエータ(作動装置)の役割を果たすばね46、
−カム面を備えた回転カム40、
−カム面のローラ42従動子、
−従動ローラに連結されたレバー43はレバーアームに取り付けられ、カム40が回転してカム面によりローラ42に機械的な力が加えられると、ばね45と協働してばね45を付勢する。
【0004】
カム40の軸41は、例えば、波力発電機、潮力発電機または風力発電機とすることができ、前記カムを直接回転させる電源12に直接つながっている。
【0005】
このエリクソン・システムは、生成可能な電気エネルギーの量が比較的少ないため、あまり高性能ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7005779号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような状態の改善を目的とする。特に、本発明の目的は、上記のような種類の装置により生成することができる電気エネルギーの量を大幅に増加させることである。
【0008】
本発明の他の目的とは、堅牢であり、設計が簡単かつ信頼性の高い発電機装置を提案することである。
【0009】
本発明のさらに別の目的とは、大量の電気エネルギーを発生させるため圧電発電機に機械的な力を加えるのに有効な技術を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明により提案する解決策とは、少なくとも第1発電機アセンブリを含めた電気エネルギーを生成する装置であり、
−前記発電機に加えられる機械的な力に応じて電気エネルギーを生成するよう適合させた第1圧電発電機、
−前記第1アクチュエータが作動しているときに前記第1発電機に機械的な力を加えるよう適合させた第1アクチュエータ、
−カム面を備えた第1回転カム、
−カム面の第1従動手段、
−第1レバーがレバーアームに取り付けられ、第1カムが回転しカム面により第1従動手段に機械的な力が加わったときに第1アクチュエータと協働して作動する、第1従動手段に接続された第1レバー。
【0011】
本装置は、以下のような注目すべき機能を備えている。
−少なくとも以下を含む第2発電機アセンブリを備えている。
・前記第2発電機に加えられる機械的な力に応じて電気エネルギーを生成するよう適合された第2圧電発電機、
・前記第2アクチュエータが作動しているときに第2発電機に機械的な力を加えるよう適合させた第2アクチュエータ、
・カム面を備えた第2回転カム、
・カム面の第2従動手段、
・第2レバーがレバーアームに取り付けられ、第2カムが回転しカム面により第2従動手段に機械的な力が加わったときに作動するよう第2アクチュエータと協働する、第2従動手段に接続された第2レバー、
−回転ホイール(ホイール)が動力源により回転し、その回転ホイールは、第1カムおよび第2カムに連結され、ある回転速度での前記回転ホイールの回転により前記回転ホイールの回転速度よりも大きな別の回転速度での前記カムの回転を引き起こすようになる。
【0012】
遊星歯車装置(エピサイクリックトレイン)の原理に基づくこの特定設計では、カムは衛星の役割を果たし、回転ホイールが惑星の役割を果たす。単一の回転ホイールにより複数のカムを回転させることができるため、複数の圧電発電機に同時に応力を加えることができ、それにより生成電気エネルギー量を増やすことができる。
【0013】
さらに、カムの回転速度は回転ホイールの回転速度よりも高いため、圧電発電機の励振周波数は電源による前記回転ホイールの励振周波数よりも大きい。この構成は、動力源が、回転ホイールの軸と直接接触する波浪エネルギー、潮力エネルギーまたは風力エネルギーの1次収集器の形態で存在する場合特に有利である。そのため、本発明により、波動周波数あるいは潮力または風力タービンブレードの回転周波数を増大させ、さらに圧電発生器を励起しさらに別の電力を生成することができる。
【0014】
一般に、所定の回転速度に対して生成されるエネルギーは、その幾何学的形状ならびに使用材料の圧電特性により決まる。本発明は、その一次励起周波数、つまり動力源による回転ホイールの励起を増大することで、非常に簡単な方法でその効率を著しく高めることができる。
【0015】
本発明におけるその他の有利な特徴を以下に列挙する。こうした特徴の各々を、単独でまたは上記で定める顕著な特徴と組み合わせて検討でき、必要に応じて、1つまたは複数の分野別特許出願書の対象とすることができる。
−本装置には、それぞれに以下が含まれる整数N≧2基の発電機アセンブリ(EGi)を搭載することができる。−前記発電機に加えられる機械力に応じて電気エネルギーを生成するよう適合させた少なくとも1基の圧電発電機、−前記アクチュエータが作動したときに前記発電機に機械力を加えるよう適合させたアクチュエータ、−カム面を備えた回転カム、−前記カム面の従動手段、−従動手段に連結したレバーで、そのレバーがレバーアームに取り付けられ、アクチュエータと協働しながら、カムが回転してカム面により前記従動手段に機械力が加わったときに作動する。回転ホイールがN個のカムに連結され、ある回転速度での前記回転ホイールにより、N個のカムが前記回転ホイールの回転速度よりも大きな別の回転速度で回転するようになる。
−N個のカムは、有利なことに回転ホイールの回転軸に対して角度的にずれており、この角度偏差は2p/Nである。
−各発電機アセンブリは、有利なことにカム面を有する回転カムにつながっており、各発電機アセンブリには、以下が搭載されている。− 以下を含む第1サブアセンブリ(部分組立体):圧電発電機、アクチュエータ、カム面付き従動手段、レバー。− 以下を含む第2サブアセンブリ:別の圧電発電機、別のアクチュエータ、別のカム面付き従動手段、別のレバー。第1サブアセンブリおよび第2サブアセンブリは、カム回転軸に対して対称的に配置される。
−カム面は、有利なことにカムの回転軸に対して対称的になっており、第1サブアセンブリのカム従動手段および第2サブアセンブリのカム従動手段が類似した同期運動を行うようになる。
−各圧電発電機は、有利なことに、軸方向に積み重ねられた圧電セラミックと電極とがそれぞれ交互に形成された2つの圧電橋という形態であり、2つの圧電橋脚は同軸で互いに対向して配置されている。
−アクチュエータは、有利なことに、圧電支柱の各々がレバーにより作動したときにその圧電支柱の各々に同時に作用するように構成されたジョー(顎部)の形態である。
−有利なことに、本装置には、それぞれに以下が含まれる整数N≧2基の発電機アセンブリ(EGi)を搭載している。−前記発電機に加えられる機械力に応じて電気エネルギーを生成するよう適合させた少なくとも1基の圧電発電機、−前記アクチュエータが作動したときに前記発電機に機械力を加えるよう適合させたアクチュエータ、−カム面を備えた回転カム、−カム面の従動手段、−従動手段に連結したレバーで、そのレバーがレバーアームに取り付けられ、アクチュエータと協働しながら、カムが回転してカム面により前記従動手段に機械力が加わったときに作動する。M個のカムは共通の回転軸上に平行に取り付けられ、回転ホイールはこの共通回転軸と係合しており、前記共通回転軸の回転により、前記M個のカムの同時回転を引き起こすようになる。
−有利なことに、M個のカムが同一のカム面を備え、そのカム面は、窪みと突起の規則的な交互配置により構成されている。そしてM個のカムは共通回転軸上で角度的にずれており、この角度偏差は2p/(M.B)である。ここでBは前記カムの各カム面上に存在する突起の数である。
−代替実施形態では、M個のカムが同じカム面を備え、そのカム面は、窪みと突起の規則的な交互配置により構成されている。そして各発電機アセンブリのカム面の従動手段は共通の回転軸上で角度的にずれており、この角度偏差は2p/(MB)である。ここでBは前記カムそれぞれのカム面上に存在する突起の数である。
−従動手段には、有利なことに以下が含まれている。−つながっているレバー上で機械力を加えるよう適合させたロッドで、それに応じてそのレバーにより対応するアクチュエータが作動する、−ロッドと連動しカム面上で転がるように取り付けられるローラで、そのローラは、カムが回転し前記カム面が前記ローラに機械力を及ぼすように配置され、前記レバー上で前記ロッドにより加えられた機械力が増大する。
【0016】
本発明の別の態様とは、電気エネルギーを生成するため圧電発電機に機械的な力を加える装置である。
−前記アクチュエータが作動しているときに発電機に機械的な力を加えるよう適合させたアクチュエータ、
−カム面を備えた回転カム、
−カム面の従動手段、
−レバーがレバーアームに取り付けられ、カムが回転しカム面により前記従動手段に機械的な力が加わったときに作動するようアクチュエータと協働する、従動手段に接続された第1レバー、
【0017】
回転ホイール(車輪)が動力源により回転し、その回転ホイールはカムに連結され、ある回転速度での前記回転ホイールの回転により前記回転ホイールの回転速度よりも大きな別の回転速度での前記カムの回転を引き起こすようになる。
【0018】
さらに本発明の別の態様とは、電気エネルギーを生成するため圧電発電機に機械的な力を加える手順に関するものであり、その手順には以下のような各段階が含まれる。
−前記アクチュエータが作動しているときに発電機に機械的な力を加えるよう適合させたアクチュエータを取り付ける。
−カム面を備えた回転カムを取り付ける。
−カム面の従動手段を取り付ける。
−レバーアーム上にレバーを装着する。
−レバーを従動手段に接続し、前記レバーによりアクチュエータが作動できこの作動に応じて前記アクチュエータにより発電機に機械力が加わるよう前記レバーを前記アクチュエータと協働させる。
−カム面が従動手段に機械的な力を及ぼし、レバーによりアクチュエータが作動するようカムを回転駆動させる。
【0019】
カムを回転ホイールに連結する段階が含まれており、ある回転速度での前記回転ホイールの回転によりその回転ホイールの回転速度よりも大きな別の回転速度で前記カムを回転させるようになるという点で、この手順は注目すべきものである。
【0020】
本発明におけるその他の利点および特徴は、以下について示唆的で非限定的な例として作成した添付の図面を参照しながら、以下に示す好ましい実施形態の説明を読むことでより明白なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】米国特許第7005779号明細書(エリクソン)に示す発電機装置の実施形態を再現している。
【
図2】本発明に沿った発電機アセンブリの等角図である。
【
図4】本発明に沿った圧電発電機で使用する圧電支柱の概略断面図である。
【
図5】負荷抽出回路と組み合わせた
図4の圧電支柱の概略図である。
【
図6】本発明に沿った発電機アセンブリのさまざまな構成部材の配置を示す動力学図である。
【
図7】本発明による2基の発電機組立体を概略的に示しており、これらのアセンブリを、共通の回転ホイールと組み合わせている。
【
図8】本発明の対象である装置の等角図であり、カムと共通回転ホイールとの協働の例を詳細に示している。
【
図9】本発明の対象となる発電機アセンブリの正面図である。
【
図12】代替実施形態における本発明に沿った発電機アセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図2および
図3に、本発明の実施に適合させた発電機アセンブリEGを示す。この発電機アセンブリEGには、カム面SGを備えた回転カムCがつながっている。
【0023】
カムCは、その対称軸Acを中心に回転できるよう取り付けられている。カムCは、例えば直径が0.5 cm〜300 cm、好ましくは40 cm、厚さが2 mm〜100 mmである金属円盤の形態である。
【0024】
図2および
図3では、カム面SCが波形になっている。このカム面は、カムCの全周にわたり均一に分布した窪みと突起の規則的な交互配置からなる。窪みおよび突起の振幅は、例えば1 mm〜50 mmの間、好ましくは2 mmである。有利なことに、カム面SCは正弦曲線を表す。窪みおよび突起の分布は完全に対称であるため、2つの突起または2つの窪みが、カムCの同じ直径の端部に位置している。
【0025】
図2および
図3に示す発電機アセンブリEGには、2つの発電機サブアセンブリSEG1、SEG2が備わっている。
【0026】
第1サブアセンブリSEG1には、圧電発電機G1、アクチュエータA1、カム面SCの従動手段MS1およびレバーL1が備わっている。第2サブアセンブリSEG2は、第1サブアセンブリと同様であり、やはり圧電発電機G2、アクチュエータA2、カム面SCの従動手段MS2およびレバーL2が備わっている。
【0027】
各圧電発電機G1、G2は、好ましくはそのそれぞれ2つの圧電支柱P11、P12およびP21、P22の形であり、その各々が軸方向に積み重ねられた圧電セラミックと電極で交互に配置され、それぞれP11−P12とP21−P22である2つの圧電支柱は同軸であり、互いに対向して配置されている。
【0028】
支柱P11、P12、P21、P22は、同一である。
図4に、これらの支柱うちの1つを示しており、その支柱により基準Pを支えている。これは、銅または青銅などの導電性材料で製造された電極3と交互に配置した圧電セラミック2の積層体からなる。これらの電極は、並列または直列に配線されている。セラミック2および電極3の数は、2〜50、さらには150までで変動する。これらのセラミック2および電極3は、同じ形状を有し、好ましくは円形断面とする。これらは、軸方向に穿孔されている。一例として、その外径は0.5 cm〜20 cmであり、その厚さは1 mm〜100 mmである。軸方向穿孔の直径は、例えば0.5 cmと10 cmとの間である。 軸方向穿孔により、セラミック2と電極3の軸方向整列が確保される。
【0029】
セラミック2と電極3が積み重ねられると、軸方向穿孔により同軸中心穴が柱Pの中心線に限定される。この中心穴により心出し、整列を確実にし、セラミック2および電極3の維持に関与するロッド4が通過できるようになる。固定手段5a、5bは、ロッド4の端部4a、4bに配置されている。 これらの固定手段5a、5bは、例えば、ロッド4の端部4a、4bに取り付けた剛性部品の形態であり、セラミック2と電極3の積層体を把持するようになる。部品5aは、例えばロッド4のねじ込型端部4aにねじ込まれたナットの形態である。また部品5bはフレームに固定され、ロッド4の他方のねじ込型端部4bにねじ止めされたナットまたはねじ切り部品でもよい。
【0030】
安全上の理由から、セラミック2と電極3の積層体は電気的に絶縁されている方が有利である。これを行うため、ロッド4を、プラスチックなどの電気絶縁材料で作られたスリーブまたはシース6内に配置することができる。シース内またはやはり電気絶縁材料で作られた外側ケース7内に積層体を収納することもできる。
【0031】
図5に示すように、支柱Pは、負荷抽出用の電子回路8に接続されている。この回路8は、圧電支柱Pにより生成された電気エネルギーを回収する。これには、以下が含まれる。
−制御高電圧スイッチ9、好ましくはサイリスタ、
−電圧整流ブリッジ10、
−支柱自体により設置される容量素子であり、支柱Pとの接続によりLC型の共振回路を構成するインダクタ11、
−並列に接続されているコンデンサまたは平滑コンデンサ12。
−貯蔵装置13により、この電気エネルギーを、送電網上で使用するために調整する前に保存できるようになる。この貯蔵装置13は、例えば、バッテリまたは超コンデンサの一群からなる。回路8は、それぞれP11−P12およびP21−P22である各支柱対に共通とすることができ、その前記一対の支柱のそれぞれに同時に接続できる。そうして、連続バスは、貯蔵装置13のそれぞれからパルスを収集する役割を果たすことができる。
【0032】
回路8の構成は、支柱Pにより生成される電気エネルギーを最大にするように適合させている。この構成により、1回目には支柱Pの破砕中に、そして2回目にはその弛緩中に回収することでその支柱Pにより生成される電気エネルギーを倍増させることができる。
【0033】
支柱Pが交互励振されると(記載の原理および本記載中の前出事項に従って)、応力増加段階の間にスイッチ9は開いたままとなる。支柱Pは開回路状態にあり、前記支柱の端子には負荷が蓄積され、この支柱がコンデンサとして機能する。
【0034】
支柱Pに加えられる機械的応力が最大であるとき、スイッチ9は、LC回路共振の半周期に相当する期間の間、短時間閉止する。従って、支柱Pを通じて蓄積された負荷全体が前記支柱から抽出される。
【0035】
応力が減少する間、支柱Pは再充電される。機械的応力が最小である場合、LC回路の共振の半周期に相当する期間中、スイッチ9を再度短時間閉じて、負荷を取り出すようにする。その後、サイクルが再開される。
【0036】
電気エネルギーを生成するには、圧電支柱P11、P12、P21、P22に機械的な力を加える必要がある。この機械力は、アクチュエータA1およびA2により加えられる。
【0037】
図3および
図6に示す好ましい実施形態では、各アクチュエータA1およびA2は、それぞれ一対の支柱P11−P12およびP21−P22に作用する。それぞれA1およびA2である各アクチュエータは、それぞれL1およびL2であるレバーにより作動する場合にそれぞれP11−P12およびP21−P22である圧電支柱の各々に同時に作用するように配置されたジョーの形態となっている。
【0038】
より詳細には、各ジョーは、共通軸上に取り付けられた2つの押し棒それぞれA11−A12、A21−A22または接合部それぞれAa1、Aa2あるいは2つの隣接する軸からなる。これらの押し棒、それぞれA11、A12、A21、A22は、玉継手の形で設計できる支持柱、それぞれP11、P12、P21、P22の端部の一方にmoあれかかっている。各接合部Aa1、Aa2は、一方が他方の前記接合部に押し付けられるように設置され、接触している支柱の端部から離れその端部を押すように押し棒A11− A12、A21−A22に力を加える。支柱の他端は固定枠と連動しているため、支柱P11、P12、P21、P22は破砕され、その破砕により支柱の変形や電気エネルギーの発生が生じる。
【0039】
添付図面では、各発電機G1、G2は、それぞれ同軸で対向して配置された2つの支柱P11−P12およびP21−P22を備えている。この構成では、各押し棒A11、A12、A21、A22により、接合部Aa1、Aa2に加わる押力よりも大きな破砕力がそれらをつないでいる支柱にかかっている。この力の増大(2から100までの範囲の係数を有する)は、押し棒A11−A12およびA21−A22の開角に起因し、変形可能な平行四辺形における力の増大と同様である。支柱P11−P12およびP21−P22の各対の間でのこの種のジョー使用により、さらに支柱P11、P12、P21、P22の高さを半減させ、フレームにかかる応力を半減することができるようになる。
【0040】
各レバーL1、L2は、それぞれレバーアームに取り付けられ、それがつながっているアクチュエータA1、A2とそれぞれ協働し、そのアクチュエータが作動する。
図6において、レバーL1、L2により、軸Aa1、Aa2に押力が加わっている。本発明の趣旨上、「レバーアームへの装着」という用語は、各レバーL1、L2が固定点またはピボット連結部Lp1、Lp2の周囲で回転できるよう取り付けられていることを意味する。これらのレバーは、前記レバーがつながっているアクチュエータA1、A2と協働する第1端部L11、L21と、従動手段MS1、MS2に接続された第2端部L21、L22を備えている。軸Aa1、Aa2に加わる押力を増大するため、回転位置Lp1、Lp2は、第2端部L12、L22よりも第1端部L11、L21に近くなっている。各レバーL1、L2は、好ましくは、成形または機械加工により得られ、その長さが例えば10cmと100cmとの間にある剛性金属片の形状である。
【0041】
従動手段MS1、MS2は、レバーL1、L2が作動し、カムCが回転したときにはその回転位置Lp1、Lp2を中心に回転するよう適合させている。
【0042】
図2、
図3、
図6では、各従動手段MS1、MS2は、レバーL1、L2に機械的な力を加えるように適合させたロッドMT1、MT2を含み、このレバーにそのロッドがつながりそれによりアクチュエータA1、A2が作動する。ロッドMT1、MT2がそれぞれ第1端部MT11、MT21の脇に取り付けられたピボット接続Mp1の、Mp2の周囲で自在に回転できるよう取り付けられている。それらの第2端部MT12、MT22は、レバーL1、L2の第2端部L12、L22にもたれかかっている。摩擦を制限するため、第2端部L12、L22には、それぞれ回転ローラGL12、GL22を設けることができる。
【0043】
各ロッドMT1、MT2は、好ましくは、成形または機械加工により得られ、その長さが例えば5 cmと50 cmの間にある剛性金属片の形状である。
【0044】
各ロッドMT1、MT2は、カム面MC上で転がるように取り付けられたローラMG1、MG2と連動している。これらのローラMG1、MG2は、ロッドMT1、MT2の両端の間に配置されており、カムCが回転しカム面SCにより前記ローラに機械力を加えるときに、前記ロッドMT1、MT2によりレバーL1、L2に加えられる機械力が増えるようになる。
【0045】
実際には、ローラMG1、MG2が突起を通過すると、カムACの回転軸から離れる。ローラMG1、MG2のこの間隔により、ロッドMT1、MT2がその第1端部MT11、MT12の周囲で旋回する。そのため、レバーL1、L2はその第2端部L12、L22で作動し、回転位置Lp1、Lp2の周囲で旋回し、その旋回により軸Aa1、Aa2への押力が生成される。
【0046】
この種の従動手段には、多くの利点がある。実際、Hが突起の高さである場合、ロッドMT1、MT2の第2端部MT12、MT22がYから移動する。Y?1でのHおよびその値は、前記ロッド上にあるローラMG1、MG2の位置に左右される。レバーL1、L2の第2端部L12、L22の隙間は、同様にYxHである。レバーL1、L2の第2端部L12、L22の隙間を増加させると、従動手段MS1、MS2により軸Aa1、Aa2上に働く押力、したがって支柱P11、P12、P21 、P22に働く機械力および実際に生成された電気エネルギーも増大する。
【0047】
突起の高さは、支柱P11、P12、P21、P22への所望の破砕力に応じて決定される。レバーL1、L2の第2端部L12、L22の間隔が増大するため、(従動手段がレバー43の第2端部に直接固定されたローラ42である)
図1に示す構成に対してカム面SCの突起の高さを低減させることが予想される。こうした突起高さの減少により、より高速でカムCを回転させ、その結果、アクチュエータA1、A2の作動周波数、したがって支柱P11、P12、P21、P22の作動周波数を増大させることができる。この後者がさらに作動すると、それらが生成する電気エネルギーもまた同様に生成され、それにより本発明の目的である装置効率の向上に役立つ。
【0048】
同様に、レバーL1、L2の第2端部L12、L22の間隔をさらに大きくし、それに比例して支柱P11、P12、P21、P22に加わる機械力を増加させるため、カム面SCの突起高さを増加させることも考えられる。さらに多くの電気エネルギーを生成するため、この後者の大きさも増加させることができる。
【0049】
カム面SCに存在する突起の数Bは、圧電発電機の励振周波数変動に関与する。この数により、支柱P11、P12、P21、P22の励起周波数を増加できるようになる。実際、各カムタワーCの場合、支柱P11、P12、P21、P22のそれぞれがB回励起される。一例として、40 cmの直径を有するカムCに対し、間隔が50 mmである高さ2 mmの突起24個を有するカム面を想定することができる。前記カム上のローラMG1、MG2により生成される半径方向の力を相殺するため、偶数個の突起と圧電発電機G1、G2を有するカムCが相対的に優先される。
【0050】
添付図面に示す実施形態では、第1サブアセンブリSEG1および第2サブアセンブリSEG2が、カムCの回転軸ACに対して対称に配置されている。そして好ましくは、カム面SCがカムCの回転軸ACに対して対称的になり、第1サブアセンブリSEG1の従動手段MS1と第2サブアセンブリSEG2の従動手段MS2が類似の同期化されたまったく正反対の動きとなる。実際には、両方の従動手段MS1とMS2は、カムCの同一直径上で動く。従動手段MS1がカムSC表面の突起上(または窪み)を通過するとき、他方の従動手段MS2も突起上(または窪み)上を通過する。この構造により、カムCの作用が平衡に保たれ、カムが振動しにくくなる。
【0051】
図7に、2組の発電機アセンブリEGa、EGbを示す。これらの発電機アセンブリのそれぞれEGa、EGbは、
図2〜6を参照しながら記載したものである発電機アセンブリと同様であり、つまり各アセンブリEGa、EGbには少なくとも1個の圧電発電機Ga、Gbが備わっており、それにはアクチュエータAa、Ab、カム面SCa、SCbを備えた回転カムCa、Cb、従動手段MSa、MSb、レバーLa、Lbがつながっている。
【0052】
カムCaおよびCbの回転は、共通の回転ホイールRにより同時に行われる。後者は、その軸ARの周囲で回転するように取り付けられている。その直径は、例えば、10 cm〜800 cmである。
【0053】
ホイールRには、例えば、カムCa、Cbのそれぞれの回転軸と連動する補助歯車Ea、Ebと係合する、その周囲に配置された歯車を備えることができる。回転速度W
Rでの前記ホイールの回転により、前記ホイールの回転速度よりも高い別の回転速度W
Ca、W
CbでカムCa、Cbの回転が引き起こされるようになるよう、ホイールRとギア(歯車)Ea、Ebの寸法が決定される。
実際には、W
Ca = W
Cb = W
R x Z
R/Z
C、ここで:
Z
R = ホイールRの歯数
Z
C =歯車Ea、Ebの歯数
ただしZ
R > Z
C
【0054】
動力源により、ホイールRの回転駆動が確保される。この動力源は、軸が軸ARと一致する風力タービンまたは潮力タービンとなりうる。またこの動力源は、海洋の波浪により回転する波力発電機またはホイールRを回転させるのに適したその他の動力源(例:熱機関、電気モーター、圧縮空気モーターなど)ともなり得る。
【0055】
動力源が風力タービン、潮流タービンまたは波浪タービンである場合、ホイールRを駆動する可能性のある回転速度は比較的低く、例えば1分あたり数回転であるが比較的大きなトルクを有しており、数百または数千kN.mとなる可能性がある。本発明により、カムCa、Cbの回転速度ははるかに高くなり、圧電発電機Ga、GaをホイールRの励起周波数の10倍の励起周波数に制限するのに十分なトルクで毎分数百回転に到達できる。この状態が、例えば数百kW、さらには数メガワットのような大量の電気エネルギーを生成するのに寄与している。
【0056】
図8、
図9、
図10において、本発明の対象となる装置は、N個の発電機アセンブリEGiを含み、ここでNは2以上の整数である。この構造は、遊星歯車装置の原理に基づいており、N個のカムは衛星として作用し、ホイールRは惑星の役割を果たす。したがって、単一のホイールRを回転させてN個のカムを回転させ、同時にいくつかの圧電発電機に応力を加えることで十分であり、これには生成される電気エネルギーの量を増やす効果がある。各カムが2つの圧電発電機(
図2〜
図7の場合)と組み合わされる場合、ホイールRの回転により、2×N個の圧電発電機に同時に応力を印加できるようになる。
【0057】
遊星歯車型の構造を経るという事実により、カムの回転速度を増加させる可能性のあるギアボックスが排除される。ギアボックスの場合、動力源からのトルクは単一の経路を通ってカムに到達する。風力タービンの弱点であり、そこで多くの損害が記録されている。本発明の構造のおかげで、動力源から派生するトルクは衛星カムの数により除算され、これにより装置の信頼性が高くなる。
【0058】
これらの発電機アセンブリEGiの各々は、
図2〜
図6を参照して説明した発電機アセンブリEGと同様であり、つまり、圧電発電機、アクチュエータ、カム面を有する回転カム、カム面の従動手段、レバーを備えている。ホイールRはN個のカムに連結され、それによりある回転速度での前記回転ホイールの回転が、前記回転ホイールの回転速度よりも大きな別の回転速度でN個のカムの回転を引き起こす。ホイールRとN個のカムの間の結合は、
図7を参照して上述したのと同じ方法で行われる。
【0059】
ホイールRにおけるトルクの分布を均質化し、ホイールRにおけるトルクを均衡化させるため、N個のカムを、ホイールRの回転軸ARに対して2p/Nだけ角度をずらしている。
【0060】
図8の実施形態では、M個という数の発電機アセンブリEGi
1−EGi
Mが、軸方向に互いに重なり合って積み重ねられる。ここでMは2以上の整数である。これらの発電機アセンブリEGi
1〜EGi
Mの各々は、
図2〜
図7を参照して上述した発電機アセンブリEG、EGa、EGbと同様であり、つまり、それぞれが、アクチュエータ、カム面を有する回転カムCi
1−Ci
M、従動手段、レバーを備えている。
【0061】
カムCi
1〜Ci
Mは、それぞれの回転軸と一致する共通の回転軸ACi上に平行に取り付けられている。シャフトACi上のカムCi
1〜Ci
M位置の保持は、例えばキー溝により保証される。ホイールRに位置する軸ACiの端部には、前記ホイールの周囲に配置された補助歯車と係合する歯車Eiを設けている。したがって、ホイールRが回転すると、その周辺の歯車が歯車Eiにかみ合い、軸ACiおよびすべてのカムCi
1〜Ci
Mの回転を引き起こす。
【0062】
好ましくは、Ci
1〜Ci
Mカムは同じカム面を有するが、互いに対してある角度でずれており、この角度偏差は2p/(M.B)である。ここで:
M=シャフトACiと連動するCi
1〜Ci
Mカムの数に対応する2以上の整数(例えば、2から20の間の整数)。
B= 前記カムCi
1−Ci
Mのそれぞれのカム面上に存在する突起の数。
【0063】
カムCi
1−Ci
Mのこの角度偏差には、いくつかの利点がある。第1に、それにより、従動手段、特にその回転ローラに加わる接線力を補償できるようになる。この接線力は、カム面の突起を持ち上げるのにローラが克服しなければならない力に対応する。この接線力は、シャフトAC
iへの抵抗トルクを誘発する。カムCi
1−Ci
Mの角度偏差のため、第1カムのローラが突起を持ち上げて抵抗トルクを生成すると、別のカムのローラは同時に突起を下降させる。対応するローラの下降に起因するこの他方のカムに加えられる接線力は、シャフトAC
i上にモータトルクを誘発し、これにより上述の抵抗トルクが打ち消される。そのため、「上昇」ローラにより誘発されるすべての接線力は、「下降」ローラにより誘発される接線力により補償される。
【0064】
さらに、圧電支柱がアクチュエータにより作動するとき、その反力は主に以下の2つの構成要素からなる。− フックの法則により、圧電セラミックと電極の積層体の弾性率に比例するいわゆる「弾性」剛性応力、− 圧電セラミックの誘電挙動に起因するいわゆる「電気的」剛性力。第1に、それにより、従動手段、特にその回転ローラに加わる接線力を補償できるようになる。これらの反力は、従動手段、特にそのローラに加わる接線力に影響を及ぼす。
【0065】
したがって、圧電支柱の各対は、その弾性のため正弦接線トルクを生成する。カムCI
1−CI
M、したがって発電機の対を移動させると、正弦波接線トルクの和から生じる接線方向のトルクは、装置入口つまりホイールRの軸ARのレベルでは打ち消される。
【0066】
(カムの突起と窪みの頂部にあるスイッチ9の閉止のため)負荷抽出によりクーロン型、つまり、一定の振幅を持ち、カムCi
1−Ci
Mの回転速度とは反対の符号を持つ接線トルクが生成される。これらのクーロントルクは加算され、ホイールRの軸ARに一定のクーロントルク1つを発生させる。したがって、装置入口、つまりホイールRの軸ARは、1個のクーロントルクしか受けない。
【0067】
スイッチ9が作動しない場合、このクーロントルクは付近の摩擦に対してゼロであるが、装置から電気エネルギーを抽出することはできない。
【0068】
すべてのスイッチ9が同時に作動すると、このクーロントルクは、AR軸上で最大となり、反作用トルクに対抗し、装置により回収可能な電力を低減するのに寄与する。
【0069】
所与の瞬間にスイッチ9の一部のみを作動させることにより、AR軸上のクーロントルクを調整して、反作用トルクを最適な電力回収を可能にする値に調整することができる。
【0070】
スイッチ9が閉じているときに(
図5)、従動手段のローラが突起の頂上または窪みの底に到達した時点で、「電気的」剛性力はゼロになる。そのため、関連する支柱の反力は、関連するスイッチが開いたままである他の支柱の反力に対して不均衡になる。この不均衡は、Ci
1−Ci
Mカムに加わる接線力に影響を及ぼし、シャフトACiに抵抗トルクまたはクーロントルクを生成する可能性がある。本出願人は、驚くべきことに、Ci
1−Ci
Mカムの角度偏差が、このクーロントルクを低減するかまたは打ち消すことができるのを見出した。
【0071】
従動手段のローラがカムの窪みにあり、接続されているスイッチ9が負荷抽出のため閉じているとき、前記ローラはカム輪郭と接触しており、圧電支柱は緩んでいる。
【0072】
このローラが突起の頂部に戻ると、圧電支柱に負荷が生じ、応力がかかる。その負荷は、スイッチ9を閉じることで抽出される。この支柱では応力が減少しているのが分かるが、これが打ち消されることはない。
【0073】
ローラが窪みに下がると、圧電支柱は緩和されるが、負荷がかかっている。長さは、開始長さよりも小さく維持され、カム輪郭からのローラの分離が観察され得る。
【0074】
最後に、スイッチ9を閉じることにより負荷が抽出されると、圧電支柱は突然元の形状に戻り、前記ローラとカム輪郭の間に衝撃が生じる。応力伝達により、この衝撃は、剥離する圧電支柱の構成部材、特に本質的に壊れやすいセラミック2を損傷する可能性がある。これを改善するため、例えば150バールなど、いかなる分離も起こらないようにすべく圧電支柱に予荷重がかけられる。
【0075】
図12において、この予応力は、例えばベルビル弾性ワッシャ型またはコイル型などの2つのバネ付勢シリンダV1、V2により誘発される。これらのシリンダV1、V2は、従動手段MS1、MS2を配置する前に設置される。これらは、サブアセンブリSEG1およびSEG2と同じ対称性で配置される。シリンダV1、V2は、端部VE11、VE21を有し、他端VE12、VE22であるサブアセンブリSEG1、SEG2のフレームに固定され、レバーL1、L2を所望の強度に押すことで止め具(ストップ)を形成する。この力は、ばねを圧縮・緩和するナットVC1、VC2により調節することができる。一例として、圧電支柱に加わる予応力は、150バールである。予荷重が加わる場所では、レバーL1、L2への力は、1.4 mmというレバーの変位に対して約100 daNである。100 daNを加えると、ばねは14 mmという行程になる。従動手段MS1、MS2のローラが、カムCの突起上に上り始めたときき、この裕度により、止め具VE12、VE22の完全な離脱が防止され、また一貫性のある力が加えられる。
【0076】
M個のカムCi
1−Ci
Mではなく、各発電機アセンブリEGi
1−EGi
Mのカム面の従動手段を同様に移動させることで類似の結果が得られる。
【0077】
いくつかのカムと組み合わさった回転ホイールRからなるアセンブリは、駆動リングと定義できる。
図10では、2つの駆動リングCO1、CO2が互いに隣接している。
【0078】
各リングのホイールRを共通シャフトARと連動させることができ、その結果、そのシャフトの回転により前記ホイールの回転が発生する。したがって、生成される電気エネルギーの量は倍増する。この構造では、外部電源により回転が発生するのは共通シャフトARである。
【0079】
別の実施形態では、単一の回転ホイールRが設けられている。2つの駆動リングCO1、CO2は、互い違いの列に配置されている。各リングのカムを駆動するシャフトは、共通の回転ホイールRに係合するように互い違いに配置され、これにより前記ホイールにつながる衛星カムの数が2倍になる。
【0080】
図11では、4つの駆動リングCO1、CO2、CO3、CO4が並列配置されている。全体はシュラウド(鞘)により保護され隔離されている。駆動リングCO1−CO2およびCO3−CO4の各対は、それ自体の回転ホイールRにつながっている。これら2つの回転ホイールは、この後者の回転により前記両ホイールの回転を引き起こすようにすべく共通軸ARと連動している。
【0081】
上述した実施形態における本発明のさまざまな要素および/または手段および/またはステップの構成は、すべての実装においてそのような構成を必要とするものと理解すべきではない。いずれの場合においても、これらの要素および/または手段および/またはステップにさまざまな変更を加えることができることが理解されるであろう。特に:
−発電機アセンブリの数および/またはそれらの設計および/または寸法は、装置に望まれるエネルギー効率に応じて変化し得る。
−SCカム面は正弦波形状を有していてもよいが、突起の頂部と窪みの底部は平坦であり、この形状により、支柱Pの両端で蓄積された負荷の抽出を最適化できる。
−発電機アセンブリEGには、カムCと係合する単一のサブアセンブリSEG1またはSEG2を備えることができる。
−逆に、発電機アセンブリEGには、カムCの周囲に均等に分配された2つ以上のサブアセンブリを含めることができる(例えば、2p/Xだけ離したサブアセンブリの数X、ここでXは2より大きい整数、特に2から20の間)。すべての従動子手段に同時に加わらないよう力を分配できる構成を考えることもできる。一定の時間の間、従動子の一部は突起に移動し、その他は窪みに移動する。そうするためには、カムには、突起の数が従動手段の数よりも大きくなるように選択された好ましくは2に等しい整数のパラメータであるaX+1個の突起を含めるのが好ましい。このような数の突起では、従動手段によりカム上に及ぼされる接線力が、結果として生じる全体的な接線力の減少を補償する。しかしながら、異なる突起数を想定することもできる。例えば従動手段の数の倍数に等しい突起数を想定することができ、この特定の場合には、結果として従動手段の接線力の和に等しい力が得られる。
−発電機アセンブリEGには、カムCの周囲に奇数個の等間隔のサブアセンブリを含めることができる。
−発電機アセンブリEG、Ega、EGb、EG1を、回転ホイールR(
図7〜
図10)の外周の外側またはこの外周内に配置することができる。
−各圧電発電機G1、G2は、単一の圧電支柱、または逆に数が例えば3から40の間にある数個のその他の圧電支柱を含めることができる。
−セラミック2および電極3は、正方形断面、長方形、楕円形等であってもよい。これらの部材2、3は、整列を確実にするため軸方向に穿孔するのと類似したその他の配置とすることもできる。
−各支柱P11、P12、P21、P22には、それ自体のアクチュエータにより応力を加えることができる。
−アクチュエータA1、A2は必ずしもジョーで構成される必要はなく、他の形態、特に
図1に概略的に示すばね46と同様のばねの形態としてもよい。
−レバーL1、L2の第1端部L11、L21は圧電支柱に直接作用することができ、アクチュエータとしての役割を果たすことができる。
−ローラGL12、GL22が従動手段を構成してもよく、その場合、このローラはカム面SC上を転がしながら直接取り付けることができる。そのような構成は、
図1に概略的に示すものに相当する。
−カム面SCの突起ならびに従動手段MS1、MS2を、レバーL1、L2と接触することなく作動するよう磁石で置き換えてもよい。
−カムCの回転は、回転ホイールRの使用を省くことで、外部電源により直接実現することができ、そのような構成は、
図1に概略的に示すものに相当する。
−チェーンまたはベルトは、回転ホイールRとカムCa、Cbとの間で噛み合うことができる。
【国際調査報告】