(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の処置および検出に使用することが可能な新規の抗HIV抗体に関する。これらの抗体は高度な感受性を示し、広範囲の特異性を提供することが可能である。一態様では、単離された抗HIV抗体などの抗HIV抗体が提供され、抗HIV抗体は1nMまたはそれ未満の親和性でHIVのN−グリカンエピトープに結合するまたは結合することができる。一部の実施形態では、抗体はHIVを中和するまたは中和することができる。
HIVがHIV−1クレードA、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、またはその任意の組合せ、サブタイプ、もしくは循環組換え形態(CRF)である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗体。
糖鎖操作されてFc領域でのオリゴ糖が改変されており、糖鎖操作されていない抗体と比べた場合、増加したADCCエフェクター機能を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗体。
HIVがHIV−1クレードA、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、またはその任意の組合せ、サブタイプ、もしくはCRFである、請求項56〜61のいずれかに記載の使用。
HIV感染またはAIDSを有する個体を処置する方法であって、前記個体に請求項1〜47のいずれかに記載の抗体または請求項52に記載の免疫コンジュゲートの有効量を投与するステップを含む方法。
(a)抗体と試料中に存在するHIVの間での抗体−HIV複合体の形成に許容的である条件下で、前記試料を請求項1〜47のいずれか一項に記載の抗体と接触させるステップと、
(b)免疫検出法により前記複合体の有無を検出するステップと
を含むHIV免疫組織化学的アッセイ。
前記抗HIV薬剤が、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、進入または融合阻害剤、およびインテグラーゼ阻害剤からなる群から選択される薬剤である、請求項69に記載のキット。
対象においてHIV感染またはAIDSの診断、予後、または処置をモニターするためのキットであって、請求項1〜47のいずれかに記載の少なくとも1つの単離された抗HIV抗体、および前記抗HIV抗体に特異的に結合する1つまたは複数の検出試薬を含むキット。
前記CARが、CD28、CD137、ICOS、およびOX40からなる群から選択される共刺激分子由来の細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含む、請求項77〜79のいずれか一項に記載のキメラ抗原受容体。
【発明を実施するための形態】
【0058】
一部の態様では、本発明は少なくとも部分的には、一部の態様では、例えば、gp120上の複合体型N−グリカンなどの炭水化物依存性エピトープを認識することが可能な、HIVに対する新たな範疇の広域中和抗体(bNAb)の思いがけない発見に基づいている。
【0059】
提供される抗体には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体および多反応性抗体)、および抗体断片がある。抗体は抗体コンジュゲートおよびキメラ分子などの抗体を含む分子;1つまたは複数の刺激性、シグナル伝達、および/または共刺激性ドメインを含むキメラ受容体;ならびにキメラ抗原受容体(CAR)を含む。したがって、抗体は、完全長および天然抗体、ならびに、任意の数の免疫グロブリンクラスおよび/またはアイソタイプ(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA、IgD、IgEおよびIgM)を有する部分を含む、その任意の特異的結合部分などの、その結合特異性を保持しているその断片および部分;ならびに、Fab、F(ab’)2、Fv、およびscFv(一本鎖または関連する実体)を含むがこれらに限定されないその生物学的に関連する(抗原結合)断片または特異的結合部分を含むがこれらに限定されない。モノクローナル抗体は一般に、実質的に均一な抗体の組成物内の抗体であり、したがって、モノクローナル抗体組成物内に含まれるいかなる個々の抗体も、少量存在することがある考えられる天然に存在する突然変異を除いて同一である。ポリクローナル抗体は、2つまたはそれよりも多い異なる決定基(エピトープ)に一般に向けられている、様々な配列の異なる抗体を含む調製物である。
【0060】
組換え受容体などの受容体を含むキメラおよび/または融合分子などの分子であって、実施形態のいずれかの抗体(例えば、細胞外ドメインにまたはその一部に含有される)ならびに細胞内シグナル伝達ドメイン、スペーサー、リンカー、および/または膜貫通ドメインなどの追加のドメインを含む分子も提供される。一部の実施形態では、受容体は、実施形態のいずれかの抗体または断片を含む細胞外部分および細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体である。
【0061】
したがって本明細書の用語「抗体」は最も広い意味で使用され、無傷の抗体ならびに、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab’)
2断片、Fab’断片、Fv断片、組換えIgG(rIgG)断片、一本鎖可変断片(sFvまたはscFv)を含む一本鎖抗体断片、および単一ドメイン抗体(例えば、sdAb、sdFv、ナノボディ)断片を含むその機能的(抗原結合)抗体断片を含む、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を含む。上記用語は、細胞内抗体、ペプチボディ、キメラ抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体、多重特異性、例えば、二重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディ、およびテトラボディ、タンデムジ−scFv、タンデムトリ−scFvなどの遺伝子操作されたおよび/または他の方法で改変された形態の免疫グロブリンを包含する。他に述べられていなければ、用語「抗体」はその機能的抗体断片を包含すると理解されるべきである。上記用語は、IgGおよびそのサブクラス、IgM、IgE、IgA、ならびにIgDを含む任意のクラスまたはサブクラスの抗体を含む、無傷のまたは完全長抗体も包含する。
【0062】
用語「相補性決定領域」および「CDR」は、「超可変領域」または「HVR」と同義であり、当技術分野では、抗原特異性および/または結合親和性を与える抗体可変領域内のアミノ酸の非連続配列を指すことが公知である。一般に、それぞれの重鎖可変領域には3つのCDR(CDR−H1、CDR−H2、CDR−H3)およびそれぞれの軽鎖可変領域には3つのCDR(CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3)が存在する。「フレームワーク領域」および「FR」は、当技術分野では、重鎖および軽鎖の可変領域のCDRではない部分を指すことが公知である。一般に、それぞれの完全長重鎖可変領域には4つのFR(FR−H1、FR−H2、FR−H3、およびFR−H4)およびそれぞれの完全長軽鎖可変領域には4つのFR(FR−L1、FR−L2、FR−L3、およびFR−L4)が存在する。
【0063】
所与のCDRまたはFRの正確なアミノ酸配列境界は、Kabatら、(1991年)、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD(「Kabat」番号付け方式)、Al-Lazikaniら、(1997年)JMB 273巻、927〜948頁(「Chothia」番号付け方式)、MacCallumら、J. Mol. Biol. 262巻:732〜745頁(1996年)、「Antibody-antigen interactions: Contact analysis and binding site topography」、J. Mol. Biol. 262巻、732〜745頁(「接触」番号付け方式)、Lefranc MPら、「IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains」Dev Comp Immunol、2003年1月;27巻(1号):55〜77頁(「IMGT」番号付け方式)、ならびにHonegger AおよびPluckthun A、「Yet another numbering scheme for immunoglobulin variable domains: an automatic modeling and analysis tool」、J Mol Biol、2001年6月8日;309巻(3号):657〜70頁、(「Aho」番号付け方式)により記載される方式を含む、いくつかの周知の方式のいずれかを使用して容易に決定することが可能である。
【0064】
所与のCDRまたはFRの境界は、同定のために使用される方式に応じて変動することがある。例えば、Kabat方式は構造的整列に基づいており、Chothia方式は構造情報に基づいている。KabatとChothia両方式の番号付けは最も一般的な抗体領域配列長に基づいており、挿入は挿入文字、例えば、「30a」により提供され、欠失はいくつかの抗体に現われる。2つの方式は異なる位置にある特定の挿入と欠失(「インデル」)を置き、差次的番号付けが得られる。接触方式は複合体結晶構造の分析に基づいており、多くの点でChothia番号付け方式に類似している。
【0065】
下の表Aは、それぞれKabat、Chothia、および接触方式により同定されたCDR−L1、CDR−L2、CDR−L3およびCDR−H1、CDR−H2、CDR−H3の例示的な位置境界を収載している。CDR−H1では、残基番号付けは、KabatとChothia両番号付け方式を使用して収載されている。FRはCDR間に位置しており、例えば、FR−L1はCDR−L1とCDR−L2の間に位置している、などである。示されているKabat番号付け方式はH35AとH35Bに挿入を置くので、Chothia CDR−H1ループの末端は、示されたKabat番号付け慣例を使用して番号付けした場合、ループの長さに応じて、H32とH34の間で変動することが認められている。
【表A】
【0066】
したがって、他に指定されていなければ、所与の抗体またはその可変領域などのその領域の「CDR」または「相補性決定領域」または個々の指定されたCDR(例えば、CDR−H1、CDR−H2)は、上述の方式のいずれかにより定義される相補性決定領域(または特定の相補性決定領域)を包含すると理解されるべきである。例えば、特定のCDR(例えば、CDR−H3)が所与のV
HまたはV
Lアミノ酸配列において対応するCDRのアミノ酸配列を含有すると述べられている場合、そのようなCDRは、上述の方式のいずれかにより定義される可変領域内の対応するCDR(例えば、CDR−H3)の配列を有すると理解される。一部の実施形態では、指定されたCDR配列は特定化されている。
【0067】
同様に、他に指定されていなければ、所与の抗体またはその可変領域などのその領域のFRまたは個々の指定されたFR(複数可)(例えば、FR−H1、FR−H2)は、公知の方式のいずれかにより定義されるフレームワーク領域(または特定のフレームワーク領域)を包含すると理解されるべきである。一部の例では、Kabat、Chothia、または接触法により定義されるCDRなどの、特定のCDR、FR、またはFR(複数)、またはCDR(複数)を同定するための方式が指定されている。他の場合、CDRまたはFRの特定のアミノ酸配列が与えられている。
【0068】
用語「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体が抗原に結合することに関与している、抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれV
HおよびV
L)は一般に類似する構造を有し、それぞれのドメインが4つの保存されたフレームワーク領域(FR)および3つのCDRを含む(例えば、Kindtら、Kuby Immunology、第6版、W.H. Freeman and Co.、91頁(2007年)参照)。単一のV
HまたはV
Lドメインで抗原結合特異性を与えるのに十分であることがある。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、抗原に結合する抗体由来のV
HまたはV
Lドメインを使用して単離し、それぞれ相補的V
LまたはV
Hドメインのライブラリーをスクリーニングすることができる。例えば、Portolanoら、J. Immunol.150巻:880〜887頁(1993年);Clarksonら、Nature 352巻:624〜628頁(1991年)を参照されたい。
【0069】
提供される抗体には抗体断片がある。「抗体断片」は、無傷の抗体が結合する抗原に結合する、無傷の抗体の部分を含む無傷の抗体以外の分子を指す。抗体断片の例は、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)
2;ダイアボディ;直鎖抗体;一本鎖抗体分子(例えば、scFvまたはsFv);および抗体断片から形成される多重特異性抗体を含むがこれらに限定されない。特定の実施形態では、抗体は、scFvなどの可変重鎖領域および/または可変軽鎖領域を含む一本鎖抗体断片である。
【0070】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインのすべてもしくは部分、または軽鎖可変ドメインのすべてもしくは部分を含む抗体断片である。ある特定の実施形態では、単一ドメイン抗体はヒト単一ドメイン抗体である。
【0071】
抗体断片は、無傷の抗体のタンパク質消化ならびに組換え宿主細胞による産生を含むがこれらに限定されない種々の技法により作製することが可能である。一部の実施形態では、抗体は、合成リンカー、例えば、ペプチドリンカーにより結合された2つもしくはそれよりも多い抗体領域もしくは鎖のある断片、および/または天然に存在する無傷の抗体の酵素消化により産生されない断片などの、天然には存在しない配置を含む断片などの組換え産生断片である。一部の態様では、抗体断片はscFvである。
【0072】
「ヒト化」抗体は、すべてのまたは実質的にすべてのCDRアミノ酸残基が非ヒトCDRに由来しており、すべてのまたは実質的にすべてのFRアミノ酸残基がヒトFRに由来している抗体である。ヒト化抗体は任意選択で、ヒト抗体由来の抗体定常領域の少なくとも一部を含んでいてもよい。非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、典型的には、親非ヒト抗体の特異性および親和性を維持しつつヒトに対する免疫原性を減少させるためにヒト化を受けている非ヒト抗体の変異体を指す。一部の実施形態では、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性または親和性を回復させるまたは改善するために、非ヒト抗体(例えば、CDR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換されている。
【0073】
提供される抗体にはヒト抗体がある。「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞またはヒト抗体ライブラリーを含む、ヒト抗体レパートリーもしくは他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト供給源により産生される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。上記用語は、すべてのまたは実質的にすべてのCDRが非ヒトである領域などの、非ヒト抗原結合領域を含む非ヒト抗体のヒト化形態を除外する。
【0074】
ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答して無傷のヒト抗体またはヒト可変領域を有する無傷の抗体を産生するように改変されているトランスジェニック動物に免疫原を投与することにより調製することができる。そのような動物は典型的には、ヒト免疫グロブリン遺伝子座のすべてまたは一部を含有しており、この遺伝子座は内在性免疫グロブリン遺伝子座に取って代わる、または染色体外に存在しているもしくは動物の染色体に無作為に組み込まれている。そのようなトランスジェニック動物では、内在性免疫グロブリン遺伝子座は一般に不活化されている。ヒト抗体は、ヒトレパートリーに由来する抗体コード配列を含有する、ファージディスプレイおよび無細胞ライブラリーを含む、ヒト抗体ライブラリーに由来していてもよい。
【0075】
提供される抗体には、モノクローナル抗体断片を含む、モノクローナル抗体がある。本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団からまたは集団内で得られる抗体を指し、すなわち、天然に存在する突然変異を含有するまたはモノクローナル抗体調製物の生産中に生じる考え得る変異体であって、一般に少量存在しているそのような変異体を除いて、その集団を構成する個々の抗体が同一である。異なるエピトープに向けられている異なる抗体を典型的には含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物のそれぞれのモノクローナル抗体は抗原上の単一のエピトープに向けられている。上記用語は任意の特定の方法によって抗体を産生することを必要とすると解釈するべきではない。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマからの作成、組換えDNA法、ファージディスプレイ、および他の抗体ディスプレイ法を含むがこれらに限定されない種々の技法によって作製することができる。
【0076】
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は互換的に使用されてアミノ酸残基のポリマーを指し、最小長に限定されない。提供される抗体および抗体鎖ならびに他のペプチド、例えば、リンカーおよび結合ペプチドを含むポリペプチドは、天然のおよび/または非天然のアミノ酸残基を含むアミノ酸残基を含んでいてもよい。上記用語は、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、シアリル化、アセチル化、リン酸化、および同類の物も含んでいる。一部の態様では、ポリペプチドは、タンパク質が所望の活性を維持する限り、天然のまたは自然の配列に関して修飾を含んでいてもよい。これらの修飾は、部位特異的変異誘発を通じてのように意図的なものでもよく、またはタンパク質を産生する宿主の突然変異もしくはPCR増幅に起因するエラーを通じてなどの偶発的なものでもよい。
【0077】
基準ポリペプチド配列に関するパーセント(%)配列同一性は、配列を整列させ最大パーセント配列同一性を達成するために必要であればギャップを導入した後の、および配列同一性の一部としてのいかなる保存的置換も考慮しない、基準ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の百分率である。パーセントアミノ酸配列同一性を決定するための整列は、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公表されているコンピュータソフトウェアを使用して、公知の種々の方法で達成することが可能である。比較されている完全長の配列にわたり最大整列を達成するのに必要な任意のアルゴリズムを含め、配列を整列させるのに適したパラメータを決定することができる。しかし、本明細書の目的では、%アミノ酸配列同一性値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を使用して作成される。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムはGenentech,Inc.により作製され、そのソースコードはワシントンD.C.20559の米国著作権局にユーザー文書と一緒に保管されており、そこでは米国著作権登録番号TXU510087で登録されている。ALIGN−2プログラムはGenentech,Inc.、South San Francisco、Calif.から公表されている、またはソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN−2プログラムは、デジタルUNIX(登録商標) V4.0Dを含むUNIX(登録商標)基本システムでの使用のためにコンパイルするべきである。すべての配列比較パラメータはALIGN−2プログラムにより設定され、変動させない。
【0078】
アミノ酸配列比較にALIGN−2が用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Bにとっての、それとの、またはそれに対する所与のアミノ酸配列Aの%アミノ酸配列同一性(これは、その代わりに、所与のアミノ酸配列Bにとっての、それとの、またはそれに対するある特定の%アミノ酸配列同一性を有するまたは含む所与のアミノ酸配列Aと表すことが可能である)は、以下の通りに計算され:100掛ける分数X/Yであって、Xは配列整列プログラムALIGN−2によりAとBのそのプログラム整列において同一マッチとしてスコア化されるアミノ酸残基の数であり、YはB中のアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、Bに対するAの%アミノ酸配列同一性はAに対するBの%アミノ酸配列同一性とは等しくならないことは認識されるであろう。他に具体的に述べられていなければ、本明細書で使用されるすべての%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN−2コンピュータプログラムを使用して直前の段落に記載される通りに得られる。
組成物および方法
【0079】
本発明は一部の実施形態では抗HIV抗体を提供する(抗体の抗原結合断片およびコンジュゲートならびに/または抗体の融合タンパク質、例えば、キメラタンパク質、もしくはキメラ受容体、例えば、抗体のうちの1つもしくは複数を含有するキメラ抗原受容体(CAR)などの断片を含むがこれらに限定されない)。一部の実施形態でのそのような抗体、融合タンパク質および/またはコンジュゲートは、HIVの処置、診断、および/または予後に用途がある。提供される抗体(ならびにその融合タンパク質およびコンジュゲート)にはHIVを中和することが可能な抗体がある。抗体は広域中和抗体であり得る。一部の実施形態では、本発明の抗体はHIV−1またはHIV−2を中和することが可能である。例えば、一部の実施形態では、本発明の抗体はHIV−1グループM、HIV−1グループN、HIV−1グループO、および/またはHIV−1グループPを中和することが可能である。一部の実施形態では、本発明の抗体はHIV−1クレードA、B、C、D、E、F、G、H、I、J、Kまたはその任意の組合せ、サブタイプ、もしくは組換え誘導体(循環組換え形態(CRF)を含む)を中和することが可能である。一部の実施形態では、HIVの糖タンパク質に結合する抗体が提供される。一部の実施形態では、HIVに結合する増強されたエフェクター機能を有する抗体が提供される。キメラ抗原受容体(CAR)などのキメラ受容体を含む提供される融合タンパク質およびコンジュゲートには、提供される抗体のうちの任意の1つまたは複数を単独でまたは組み合わせて含むタンパク質およびコンジュゲートがある。
例示的な抗HIV抗体
【0080】
一態様では、本発明はHIVに結合する、単離された抗体などの抗体を提供する。HIVはHIV−1であり得る。HIVはHIV−2であり得る。HIVはHIV−1グループMであり得る。HIVはHIV−1グループN、HIV−1グループO、および/またはHIV−1グループPであり得る。HIVはHIV−1クレードA(A1および/またはA2を含む)、B、C、D、E、F(F1および/またはF2を含む)、G、H、I、J、K、またはその任意の組合せ、サブタイプ、もしくは組換え誘導体(循環組換え形態(CRF)を含む)であり得る。一部の実施形態では、組換えHIV−1クレード(一部の実施形態では、循環組換え形態(CRF)と呼ばれる)はそれが由来する2つのクレードの組合せにより表される。一部の実施形態では、例示的なCRFはAB、AC、AG、DF、BC等を含む。特に、提供される抗HIV抗体はHIVのエンベロープ糖タンパク質に結合する。単離された抗体はその天然環境の成分から分離されている抗体である。一部の実施形態では、抗体は、例えば、電気泳動的(例えば、SDS−PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフィー的(例えば、イオン交換または逆相HPLC)により決定される場合、95%または99%よりも大きい純度まで精製される(例えば、Flatmanら、J. Chromatogr. B 848巻:79〜87頁(2007年)参照)。
【0081】
特に、提供される抗HIV抗体はヒトHIVの複合体型N−グリカンエピトープに結合する。特に、提供される抗HIV抗体はヒトHIVのgp120に結合する。本発明の抗HIV抗体はタイプN−グリカンを含むヒトHIVのgp120ドメイン上に存在するエピトープに結合する。
【0082】
一部の実施形態では、本発明はHIVを中和することが可能な単離された抗体を提供する。中和抗体はウイルスの感染力を阻害する抗体であり得る。他の実施形態では、本発明は、HIVを広域に中和することが可能な単離された抗体を提供する。広域中和抗体はウイルスの2つまたはそれよりも多い株またはサブタイプの感染力を阻害する抗体であり得る。HIVはHIV−1であり得る。HIVはHIV−2であり得る。HIVはHIV−1グループMであり得る。HIVはHIV−1グループN、HIV−1グループO、および/またはHIV−1グループPであり得る。HIVはHIV−1クレードA(A1および/またはA2を含む)、B、C、D、E、F(F1および/またはF2を含む)、G、H、I、J、K、またはその任意の組合せ、サブタイプ、もしくは組換え誘導体(循環組換え形態(CRF)を含む)であり得る。
【0083】
一部の実施形態では、抗HIV抗体は、HIVを発現している細胞の溶解を誘導する。溶解は、C1q結合および補体依存性細胞傷害(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞傷害(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方調節;B細胞活性化、または細胞アポトーシスの直接誘導などのエフェクター機能を媒介することによるなどの任意の機序により誘導することが可能である。
【0084】
一部の実施形態では、抗HIV抗体は、操作されていない親抗HIV抗体と比べてエフェクター機能が少なくとも1つ増加しているように操作される。エフェクター機能は抗体のFc領域に起因しうる生物活性であり、この活性は抗体アイソタイプによって変化する。抗体エフェクター機能の例は、C1q結合および補体依存性細胞傷害(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞傷害(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方調節;ならびにB細胞活性化を含む。例えば、抗HIV抗体は、糖鎖操作されていない親抗HIV抗体と比べてエフェクター機能が少なくとも1つ増加するように糖鎖操作することが可能である。抗体依存性細胞傷害(ADCC)は、エフェクター細胞上での、抗体のIgG Fab部分と細胞表面のウイルスタンパク質の間の複合体の形成およびFc部分のFc受容体(FcγR)への結合の結果である。エフェクター機能の増加は、Fc受容体への結合親和性の増加、増加したADCC;増加した食作用;増加した細胞媒介免疫;細胞傷害性CT8 T細胞への増加した結合;NK細胞への増加した結合;マクロファージへの増加した結合;多形核細胞への増加した結合;単球への増加した結合;マクロファージへの増加した結合;大型顆粒リンパ球への増加した結合;顆粒球への増加した結合;アポトーシスを誘導する直接シグナル伝達;増加した樹状細胞成熟;または増加したT細胞プライミングであり得る。糖鎖操作された抗HIV抗体は、HIVの同じエピトープに向けられている糖鎖操作されていない抗体と比べてHIVを発現するがんに罹っている対象に延命効果を提供する。
AbV1〜9
【0085】
一態様では、抗HIV抗体は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、および16のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するV
H配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
H配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。抗HIV抗体はHIV−1に結合する能力を保持することが可能である。抗HIV抗体はHIV−2に結合する能力を保持することが可能である。抗HIV抗体はHIV−1グループMに結合する能力を保持することが可能である。抗HIV抗体はHIV−1グループN、HIV−グループO、および/またはHIV−1グループPに結合する能力を保持することが可能である。抗HIV抗体はHIV−1クレードA(A1および/またはA2を含む)、B、C、D、E、F(F1および/またはF2を含む)、G、H、I、J、K、またはその任意の組合せ、サブタイプ、もしくは組換え誘導体(循環組換え形態(CRF)を含む)に結合する能力を保持することが可能である。一部の実施形態では、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、および16のアミノ酸配列において総計で1〜10アミノ酸が置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、および16のアミノ酸配列のV
H配列を含む。特定の実施形態では、V
Hは(a)配列番号17、23、29、35、41、47、53、59、および61のアミノ酸配列を含むCDR−H1、(b)配列番号18、24、30、36、42、48、54、60、および63のアミノ酸配列を含むCDR−H2、ならびに(c)配列番号19、25、31、37、43、49、55、61、および64のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0086】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は、配列番号2、4、6、8、10、12、および14のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(V
L)を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
L配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。一部の実施形態では、配列番号2、4、6、8、10、12、および14のアミノ酸配列のいずれか1つにおいて総計で10アミノ酸に1つが置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号2、4、6、8、10、12、および14のV
L配列を含む。特定の実施形態では、V
Lは(a)配列番号20、26、32、38、44、50、および56のアミノ酸配列を含むCDR−L1、(b)配列番号21、27、33、39、45、51、および57のアミノ酸配列を含むCDR−L2、ならびに(c)配列番号22、28、34、40、46、52、および58のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0087】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は上に提供される実施形態のいずれかでのV
H、および上に提供される実施形態のいずれかでのV
Lを含む。一部の実施形態では、抗体は、それらの配列の翻訳後修飾を含む、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、および16のアミノ酸配列を含むV
H、ならびに配列番号2、4、6、8、10、12、および14でのV
L配列を含む。
【0088】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は表1中の任意のV
Hから選択されるV
Hを含む。一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は表2中の任意のV
Lから選択されるV
Lを含む。一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は表1中の任意のV
Hから選択されるV
Hおよび表2中の任意のV
Lから選択されるV
Lを含む。一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は表1中の任意のV
Hから選択されるV
Hおよび表2中の任意のV
Lから選択されるV
Lを含み、選択されたV
HとV
Lは表3に従って対にされる。
AbV−1
【0089】
一態様では、本発明は、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むV
Hおよび(b)配列番号2のアミノ酸配列を含むV
Lから選択される少なくとも1つまたは両方の可変領域を含む抗HIV抗体を提供する。
【0090】
一態様では、本発明は、(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR−H2;(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR−H3;(d)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(e)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(f)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを含む抗HIV抗体を提供する。
【0091】
一態様では、本発明は、(a)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR−H2;および(c)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
HCDR配列を含む抗HIV抗体を提供する。一態様では、本発明は、(a)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR−H2;および(c)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
HCDR配列;ならびに(d)配列番号2のアミノ酸配列を含むV
Lを含む抗HIV抗体を提供する。
【0092】
一態様では、本発明は、(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
LCDR配列を含む抗HIV抗体を提供する。一態様では、本発明は、(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
LCDR配列;ならびに(d)配列番号1のアミノ酸配列を含むV
Hを含む抗HIV抗体を提供する。
【0093】
一態様では、本発明は、(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR−H2;(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR−H3;(d)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(e)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(f)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR−L3であるCDRを含む抗HIV抗体を提供する。
【0094】
一態様では、抗HIV抗体は、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するV
H配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
H配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。一部の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列において総計で10アミノ酸に1つが置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号1のアミノ酸配列のV
H配列を含む。特定の実施形態では、V
Hは(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR−H1、(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR−H2、および(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0095】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(V
L)を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
L配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。一部の実施形態では、配列番号2のアミノ酸配列のいずれか1つにおいて総計で10アミノ酸に1つが置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号2のV
L配列を含む。特定の実施形態では、V
Lは(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR−L1、(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR−L2、および(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0096】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は上に提供される実施形態のいずれかでのV
H、および上に提供される実施形態のいずれかでのV
Lを含む。一部の実施形態では、抗体は、それらの配列の翻訳後修飾を含む、配列番号1のアミノ酸配列を含むV
H、および配列番号2でのV
L配列を含む。
AbV−2
【0097】
一態様では、本発明は、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むV
Hおよび(b)配列番号4のアミノ酸配列を含むV
Lから選択される少なくとも1つまたは両方の可変領域を含む抗HIV抗体を提供する。
【0098】
一態様では、本発明は、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR−H3;(d)配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(e)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(f)配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを含む抗HIV抗体を提供する。
【0099】
一態様では、本発明は、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR−H2;および(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
HCDR配列を含む抗HIV抗体を提供する。一態様では、本発明は、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR−H2;および(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
HCDR配列;ならびに(d)配列番号4のアミノ酸配列を含むV
Lを含む抗HIV抗体を提供する。
【0100】
一態様では、本発明は、(a)配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(b)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(c)配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
LCDR配列を含む抗HIV抗体を提供する。一態様では、本発明は、(a)配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(b)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(c)配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
LCDR配列;ならびに(d)配列番号3のアミノ酸配列を含むV
Hを含む抗HIV抗体を提供する。一態様では、本発明は、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR−H2;(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR−H3;(d)配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(e)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(f)配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR−L3であるCDRを含む抗HIV抗体を提供する。
【0101】
一態様では、抗HIV抗体は、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するV
H配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
H配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。一部の実施形態では、配列番号3のアミノ酸配列において総計で10アミノ酸に1つが置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号3のアミノ酸配列のV
H配列を含む。特定の実施形態では、V
Hは(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR−H1、(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR−H2、および(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0102】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は、配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(V
L)を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
L配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。一部の実施形態では、配列番号4のアミノ酸配列のいずれか1つにおいて総計で10アミノ酸に1つが置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号4のV
L配列を含む。特定の実施形態では、V
Lは(a)配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR−L1、(b)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR−L2、および(c)配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0103】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は上に提供される実施形態のいずれかでのV
H、および上に提供される実施形態のいずれかでのV
Lを含む。一部の実施形態では、抗体は、それらの配列の翻訳後修飾を含む、配列番号3のアミノ酸配列を含むV
H、および配列番号4でのV
L配列を含む。
AbV−3
【0104】
一態様では、本発明は、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むV
Hおよび(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むV
Lから選択される少なくとも1つまたは両方の可変領域を含む抗HIV抗体を提供する。
【0105】
一態様では、本発明は、(a)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR−H2;(c)配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR−H3;(d)配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(e)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(f)配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを含む抗HIV抗体を提供する。
【0106】
一態様では、本発明は、(a)配列番号2914のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR−H2;および(c)配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
HCDR配列を含む抗HIV抗体を提供する。一態様では、本発明は、(a)配列番号2914のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR−H2;および(c)配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
HCDR配列;ならびに(d)配列番号6のアミノ酸配列を含むV
Lを含む抗HIV抗体を提供する。
【0107】
一態様では、本発明は、(a)配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(b)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(c)配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
LCDR配列を含む抗HIV抗体を提供する。一態様では、本発明は、(a)配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(b)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(c)配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
LCDR配列;ならびに(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むV
Hを含む抗HIV抗体を提供する。
【0108】
一態様では、本発明は、(a)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR−H2;(c)配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR−H3;(d)配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(e)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(f)配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR−L3であるCDRを含む抗HIV抗体を提供する。
【0109】
一態様では、抗HIV抗体は、配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するV
H配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
H配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。一部の実施形態では、配列番号5のアミノ酸配列において総計で10アミノ酸に1つが置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号5のアミノ酸配列のV
H配列を含む。特定の実施形態では、V
Hは(a)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR−H1、(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR−H2、および(c)配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0110】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(V
L)を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
L配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。一部の実施形態では、配列番号6のアミノ酸配列のいずれか1つにおいて総計で10アミノ酸に1つが置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号6のV
L配列を含む。特定の実施形態では、V
Lは(a)配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR−L1、(b)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR−L2、および(c)配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0111】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は上に提供される実施形態のいずれかでのV
H、および上に提供される実施形態のいずれかでのV
Lを含む。一部の実施形態では、抗体は、それらの配列の翻訳後修飾を含む、配列番号5のアミノ酸配列を含むV
H、および配列番号6のV
L配列を含む。
AbV−4
【0112】
一態様では、本発明は、(a)配列番号7のアミノ酸配列を含むV
Hおよび(b)配列番号8のアミノ酸配列を含むV
Lから選択される少なくとも1つまたは両方の可変領域を含む抗HIV抗体を提供する。
【0113】
一態様では、本発明は、(a)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR−H2;(c)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR−H3;(d)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(e)配列番号39のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(f)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを含む抗HIV抗体を提供する。
【0114】
一態様では、本発明は、(a)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR−H2;および(c)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
HCDR配列を含む抗HIV抗体を提供する。一態様では、本発明は、(a)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR−H2;および(c)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
HCDR配列;ならびに(d)配列番号8のアミノ酸配列を含むV
Lを含む抗HIV抗体を提供する。
【0115】
一態様では、本発明は、(a)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(b)配列番号39のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(c)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
LCDR配列を含む抗HIV抗体を提供する。一態様では、本発明は、(a)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(b)配列番号39のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(c)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
LCDR配列;ならびに(d)配列番号7のアミノ酸配列を含むV
Hを含む抗HIV抗体を提供する。
【0116】
一態様では、本発明は、(a)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR−H2;(c)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR−H3;(d)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(e)配列番号39のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(f)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR−L3であるCDRを含む抗HIV抗体を提供する。
【0117】
一態様では、抗HIV抗体は、配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するV
H配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
H配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。一部の実施形態では、配列番号7のアミノ酸配列において総計で10アミノ酸に1つが置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号7のアミノ酸配列のV
H配列を含む。特定の実施形態では、V
Hは(a)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR−H1、(b)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR−H2、および(c)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0118】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は、配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(V
L)を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
L配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。一部の実施形態では、配列番号8のアミノ酸配列のいずれか1つにおいて総計で10アミノ酸に1つが置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号8のV
L配列を含む。特定の実施形態では、V
Lは(a)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR−L1、(b)配列番号39のアミノ酸配列を含むCDR−L2、および(c)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0119】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は上に提供される実施形態のいずれかでのV
H、および上に提供される実施形態のいずれかでのV
Lを含む。一部の実施形態では、抗体は、それらの配列の翻訳後修飾を含む、配列番号7のアミノ酸配列を含むV
H、および配列番号8のV
L配列を含む。
AbV−5
【0120】
一態様では、本発明は、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むV
Hおよび(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むV
Lから選択される両方の可変領域を含む抗HIV抗体を提供する。
【0121】
一態様では、本発明は、(a)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR−H2;および(c)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
HCDR配列;ならびに(d)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(e)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(f)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
LCDR配列を含む抗HIV抗体を提供する。
【0122】
一態様では、本発明は、(a)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR−H2;(c)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR−H3;(d)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(e)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(f)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR−L3であるCDRを含む抗HIV抗体を提供する。
【0123】
一態様では、抗HIV抗体は、配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するV
H配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
H配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。一部の実施形態では、配列番号9のアミノ酸配列において総計で10アミノ酸に1つが置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号9のアミノ酸配列のV
H配列を含む。特定の実施形態では、V
Hは(a)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR−H1、(b)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR−H2、および(c)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0124】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は、配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(V
L)を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
L配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。一部の実施形態では、配列番号10のアミノ酸配列のいずれか1つにおいて総計で10アミノ酸に1つが置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号10のV
L配列を含む。特定の実施形態では、V
Lは(a)配列番号44:10のアミノ酸配列を含むCDR−L1、(b)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR−L2、および(c)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0125】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は上に提供される実施形態のいずれかでのV
H、および上に提供される実施形態のいずれかでのV
Lを含む。一部の実施形態では、抗体は、それらの配列の翻訳後修飾を含む、配列番号9のアミノ酸配列を含むV
H、および配列番号10でのV
L配列を含む。
AbV−6
【0126】
一態様では、本発明は、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むV
Hおよび(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むV
Lから選択される両方の可変領域を含む抗HIV抗体を提供する。
【0127】
一態様では、本発明は、(a)配列番号47のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号48のアミノ酸配列を含むCDR−H2;および(c)配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
HCDR配列;ならびに(d)配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(e)配列番号51のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(f)配列番号52のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
LCDR配列を含む抗HIV抗体を提供する。
【0128】
一態様では、本発明は、(a)配列番号47のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号48のアミノ酸配列を含むCDR−H2;および(c)配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR−H3;(d)配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(e)配列番号51のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(f)配列番号52のアミノ酸配列を含むCDR−L3であるCDRを含む抗HIV抗体を提供する。
【0129】
一態様では、抗HIV抗体は、配列番号11のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するV
H配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
H配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。一部の実施形態では、配列番号11のアミノ酸配列において総計で10アミノ酸に1つが置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号11のアミノ酸配列のV
H配列を含む。特定の実施形態では、V
Hは(a)配列番号47のアミノ酸配列を含むCDR−H1、(b)配列番号48のアミノ酸配列を含むCDR−H2、および(c)配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0130】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は、配列番号12のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(V
L)を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
L配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。一部の実施形態では、配列番号12のアミノ酸配列のいずれか1つにおいて総計で10アミノ酸に1つが置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号12のV
L配列を含む。特定の実施形態では、V
Lは(a)配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR−L1、(b)配列番号51のアミノ酸配列を含むCDR−L2、および(c)配列番号52のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0131】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は上に提供される実施形態のいずれかでのV
H、および上に提供される実施形態のいずれかでのV
Lを含む。一部の実施形態では、抗体は、それらの配列の翻訳後修飾を含む、配列番号11のアミノ酸配列を含むV
H、および配列番号12でのV
L配列を含む。
AbV−7
【0132】
一態様では、本発明は、(a)配列番号13のアミノ酸配列を含むV
Hおよび(b)配列番号14のアミノ酸配列を含むV
Lから選択される少なくとも1つまたは両方の可変領域を含む抗HIV抗体を提供する。
【0133】
一態様では、本発明は、(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR−H2;(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR−H3;(d)配列番号56のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(e)配列番号57のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(f)配列番号58のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを含む抗HIV抗体を提供する。
【0134】
一態様では、本発明は、(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR−H2;および(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
HCDR配列を含む抗HIV抗体を提供する。一態様では、本発明は、(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR−H2;および(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
HCDR配列;ならびに(d)配列番号14のアミノ酸配列を含むV
Lを含む抗HIV抗体を提供する。一態様では、本発明は、(a)配列番号56のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(b)配列番号57のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(c)配列番号58のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
LCDR配列を含む抗HIV抗体を提供する。一態様では、本発明は、(a)配列番号56のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(b)配列番号57のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(c)配列番号58のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
LCDR配列;ならびに(d)配列番号13のアミノ酸配列を含むV
Hを含む抗HIV抗体を提供する。
【0135】
一態様では、本発明は、(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR−H2;(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR−H3;(d)配列番号56のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(e)配列番号57のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(f)配列番号58のアミノ酸配列を含むCDR−L3であるCDRを含む抗HIV抗体を提供する。
【0136】
一態様では、抗HIV抗体は、配列番号13のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するV
H配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
H配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。一部の実施形態では、配列番号13のアミノ酸配列において総計で10アミノ酸に1つが置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号13のアミノ酸配列のV
H配列を含む。特定の実施形態では、V
Hは(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むCDR−H1、(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR−H2、および(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0137】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は、配列番号14のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(V
L)を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
L配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。一部の実施形態では、配列番号14のアミノ酸配列のいずれか1つにおいて総計で10アミノ酸に1つが置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号14のV
L配列を含む。特定の実施形態では、V
Lは(a)配列番号56:10のアミノ酸配列を含むCDR−L1、(b)配列番号57のアミノ酸配列を含むCDR−L2、および(c)配列番号58のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0138】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は上に提供される実施形態のいずれかでのV
H、および上に提供される実施形態のいずれかでのV
Lを含む。一部の実施形態では、抗体は、それらの配列の翻訳後修飾を含む、配列番号13のアミノ酸配列を含むV
H、および配列番号14でのV
L配列を含む。
AbV−8
【0139】
一態様では、本発明は配列番号15のアミノ酸配列を含む可変領域V
Hを含む抗HIV抗体を提供する。一態様では、本発明は配列番号15のアミノ酸配列を含む可変領域V
H;および対になったV
L領域を含む抗HIV抗体を提供する。
【0140】
一態様では、本発明は、(a)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR−H2;および(c)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
HCDR配列を含む抗HIV抗体を提供する。
【0141】
一態様では、本発明は、(a)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR−H2;および(c)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
HCDR配列;ならびに(b)対になったV
L領域を含む抗HIV抗体を提供する。
【0142】
一態様では、本発明は、(a)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR−H2;および(c)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
HCDR配列;ならびに対になったV
L領域から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
LCDR配列を含む抗HIV抗体を提供する。
【0143】
一態様では、本発明は、(a)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR−H2;および(c)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR−H3;ならびに対になったV
L領域から選択される3つすべてのV
LCDR配列であるCDRを含む抗HIV抗体を提供する。
【0144】
一態様では、抗HIV抗体は、配列番号15のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するV
H配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
H配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。一部の実施形態では、配列番号15のアミノ酸配列において総計で10アミノ酸に1つが置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号15のアミノ酸配列のV
H配列を含む。特定の実施形態では、V
Hは(a)配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR−H1、(b)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR−H2、および(c)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0145】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は上に提供される実施形態のいずれかでのV
H、および上に提供される実施形態のいずれかでのV
Lを含む。一部の実施形態では、抗体は、それらの配列の翻訳後修飾を含む、配列番号15のアミノ酸配列を含むV
H、および対になったV
L配列を含む。
AbV−9
【0146】
一態様では、本発明は配列番号16のアミノ酸配列を含む可変領域V
Hを含む抗HIV抗体を提供する。一態様では、本発明は、(a)配列番号16のアミノ酸配列を含むV
H;および(b)配列番号4のアミノ酸配列を含むV
Lから選択される可変領域を含む抗HIV抗体を提供する。一態様では、本発明は、(a)配列番号16のアミノ酸配列を含むV
H;および(b)配列番号65のアミノ酸配列を含むV
Lから選択される可変領域を含む抗HIV抗体を提供する。
【0147】
一態様では、本発明は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR−H2;および(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
HCDR配列を含む抗HIV抗体を提供する。
【0148】
一態様では、本発明は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR−H2;および(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
HCDR配列;ならびに(d)配列番号16のアミノ酸配列を含むV
Lを含む抗HIV抗体を提供する。
【0149】
一態様では、本発明は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR−H2;および(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのV
HCDR配列;ならびに(d)配列番号65のアミノ酸配列を含むV
Lを含む抗HIV抗体を提供する。
【0150】
一態様では、本発明は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR−H2;(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR−H3;(d)配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(e)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(f)配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを含む抗HIV抗体を提供する。
【0151】
一態様では、本発明は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR−H2;(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR−H3;(d)配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(e)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(f)配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR−L3であるCDRを含む抗HIV抗体を提供する。
【0152】
一態様では、本発明は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR−H2;(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR−H3;(d)配列番号66のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(e)配列番号67のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(f)配列番号68のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを含む抗HIV抗体を提供する。
【0153】
一態様では、本発明は、(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR−H1;(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR−H2;(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR−H3;(d)配列番号66のアミノ酸配列を含むCDR−L1;(e)配列番号67のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および(f)配列番号68のアミノ酸配列を含むCDR−L3であるCDRを含む抗HIV抗体を提供する。
AbV−9a
【0154】
一態様では、抗HIV抗体は、配列番号16のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するV
H配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
H配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。一部の実施形態では、配列番号16のアミノ酸配列において総計で10アミノ酸に1つが置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号16のアミノ酸配列のV
H配列を含む。特定の実施形態では、V
Hは(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR−H1、(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR−H2、および(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0155】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(V
L)配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
L配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。一部の実施形態では、配列番号4のアミノ酸配列のいずれか1つにおいて総計で10アミノ酸に1つが置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号4のV
L配列を含む。特定の実施形態では、V
Lは(a)配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR−L1、(b)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR−L2、および(c)配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0156】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は上に提供される実施形態のいずれかでのV
H、および上に提供される実施形態のいずれかでのV
Lを含む。一部の実施形態では、抗体は、それらの配列の翻訳後修飾を含む、配列番号16のアミノ酸配列を含むV
H、および配列番号4のV
L配列を含む。
AbV−9b
【0157】
一態様では、抗HIV抗体は、配列番号16のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するV
H配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
H配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。一部の実施形態では、配列番号16のアミノ酸配列において総計で10アミノ酸に1つが置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号16のアミノ酸配列のV
H配列を含む。特定の実施形態では、V
Hは(a)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR−H1、(b)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR−H2、および(c)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR−H3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0158】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は配列番号65のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(V
L)を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV
L配列は基準配列と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗HIV抗体はHIVに結合する能力を保持している。一部の実施形態では、配列番号65のアミノ酸配列のいずれか1つにおいて総計で10アミノ酸に1つが置換されている、挿入されているおよび/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失がCDRの外側の領域で(例えば、FRで)起こる。任意選択で、抗HIV抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号65のV
L配列を含む。特定の実施形態では、V
Lは(a)配列番号66のアミノ酸配列を含むCDR−L1、(b)配列番号67のアミノ酸配列を含むCDR−L2、および(c)配列番号68のアミノ酸配列を含むCDR−L3から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む。
【0159】
一態様では、抗HIV抗体が提供され、抗体は上に提供される実施形態のいずれかでのV
H、および上に提供される実施形態のいずれかでのV
Lを含む。一部の実施形態では、抗体は、それらの配列の翻訳後修飾を含む、配列番号16のアミノ酸配列を含むV
H、および配列番号68でのV
L配列を含む。
【0160】
一部の実施形態では、抗HIV抗体はヒトモノクローナル抗体AbV−1である。この抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号1および2に提示されている。一部の実施形態では、抗HIV抗体はヒトモノクローナル抗体AbV−2である。この抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号3および4に提示されている。一部の実施形態では、抗HIV抗体はヒトモノクローナル抗体AbV−3である。この抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号5および6に提示されている。一部の実施形態では、抗HIV抗体はヒトモノクローナル抗体AbV−4である。この抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7および8に提示されている。一部の実施形態では、抗HIV抗体はヒトモノクローナル抗体AbV−5である。この抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号9および10に提示されている。一部の実施形態では、抗HIV抗体はヒトモノクローナル抗体AbV−6である。この抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号11および12に提示されている。一部の実施形態では、抗HIV抗体はヒトモノクローナル抗体AbV−7である。この抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号13および14に提示されている。一部の実施形態では、抗HIV抗体はヒトモノクローナル抗体AbV−8である。この抗体の重鎖の核酸配列は配列番号15に提示されている。一部の実施形態では、抗HIV抗体はヒトモノクローナル抗体AbV−9aである。この抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号16および4に提示されている。一部の実施形態では、抗HIV抗体はヒトモノクローナル抗体AbV−9bである。この抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号16および65に提示されている。
【0161】
一部の実施形態では、抗HIV抗体は上述のヒト抗体のいずれか由来のキメラ抗体である。一部の実施形態では、抗HIV抗体はヒト化抗体である。一部の実施形態では、抗HIV抗体はヒト抗体である。
【0162】
さらなる態様では、上の実施形態のいずれかに従った抗HIV抗体は、下に記載される特色のいずれかを単独でまたは組み合わせて組み込んでもよい。
抗体特性
突然変異頻度
【0163】
本発明の抗体は、生殖系列配列由来の、少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、もしくは20%またはそれよりも高い突然変異頻度を有する重鎖配列を含むことが可能である。本発明の抗体は、生殖系列配列由来の、少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、もしくは20%またはそれよりも高い突然変異頻度を有する軽鎖配列であるCDR3領域を含むことが可能である。本発明の抗体は、生殖系列配列由来の、少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、もしくは20%またはそれよりも高い突然変異頻度を有する重鎖および軽鎖配列を含むことが可能である。本発明の抗体は、V
Hファミリー4〜59のうちのいずれか1つからなる群から選択されるV
Hファミリー由来のV
H領域を含むことが可能である。
重鎖および軽鎖長
【0164】
本発明の抗体は、少なくとも約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30アミノ酸長の長さであるCDR3領域を含むことが可能である。本発明の抗体は少なくとも約18アミノ酸長であるCDR3領域を含むことが可能である。
【0165】
本発明の抗体は軽鎖の末端に欠失を含むことが可能である。本発明の抗体は軽鎖の末端に3つまたはそれよりも多いアミノ酸の欠失を含むことが可能である。本発明の抗体は軽鎖の末端に7つまたはそれ未満のアミノ酸の欠失を含むことが可能である。本発明の抗体は軽鎖の末端に3、4、5、6、または7つのアミノ酸の欠失を含むことが可能である。
【0166】
本発明の抗体は軽鎖に挿入を含むことが可能である。本発明の抗体は軽鎖に1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10またはそれよりも多いアミノ酸の挿入を含むことが可能である。本発明の抗体は軽鎖に3つのアミノ酸の挿入を含むことが可能である。
親和性
【0167】
親和性は、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)の間の非共有結合相互作用の総計の強さである。他に指示されていなければ、本明細書で使用されるように、「結合親和性」は、結合対(例えば、抗体と抗原)のメンバー間の1対1の相互作用を反映する内因的結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は一般に解離定数(k
d)により表すことが可能である。親和性は、一般に使用されている方法および/または本明細書に記載される方法を含む、いくつかの公知の方法のいずれによっても測定することが可能である。結合親和性を測定するための具体的、説明的、および例示的な実施形態は以下に記載されている。
【0168】
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、抗体標的に対して約1μM、100nM、10nM、5nM、2nM、1nM、0.5nM、0.1nM、0.05nM、0.01nM、もしくは0.001nMまたはそれ未満(例えば、10
−8Mまたはそれ未満、例えば、10
−8M〜10
−13M、例えば、10
−9M〜10
−13M)の解離定数(K
D)を有する。抗体標的はHIV標的であり得る。抗体標的はHIV−1標的であり得る。抗体標的はHIV−2標的であり得る。抗体標的はHIV−1グループM標的であり得る。抗体標的はHIV−1グループN標的、HIV−1グループO標的、および/またはHIV−1 P標的であり得る。抗体標的はHIVクレードA(A1および/またはA2を含む)、B、C、D、E、F(F1および/またはF2を含む)、G、H、I、J、K、またはその任意の組合せ、サブタイプ、もしくは組換え誘導体(循環組換え形態(CRF)を含む)であり得る。本発明の別の態様は、そのHIV標的に対する親和性が増加した抗HIV抗体、例えば、親和性成熟抗HIV抗体を提供する。親和性成熟抗体は1つまたは複数の超可変領域(HVR)に1つまたは複数の変更のある抗体であり、そのような変更のない親抗体と比べて、そのような変更は抗原に対する抗体の親和性を改善する。これらの抗体は、約5×10
−9M、2×10
−9M、1×10
−9M、5×10
−10M、2×10
−9M、1×10
−10M、5×10
−11M、1×10
−11M、5×10
−12M、1×10
−12M、またはそれ未満のK
DでHIVに結合することが可能である。一部の実施形態では、本発明は、配列番号69の重鎖配列、配列番号70の軽鎖配列、または両方を含有する生殖系列抗HIV抗体と比べた場合、少なくとも1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍またはそれよりも大きな増加した親和性を有する抗HIV抗体を提供する。他の実施形態では、本明細書に記載される抗HIV抗体と同じエピトープへの結合を巡って競合する抗体が提供される。一部の実施形態では、同じエピトープに結合する、および/または、抗HIV抗体と同じエピトープへの結合を巡って競合する抗体は、ADCC活性を含む、例えば、Fc媒介細胞傷害性などの、エフェクター機能活性を示す。
【0169】
K
Dは任意の適切なアッセイによって測定することが可能である。例えば、K
Dは放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定することが可能である(例えば、Chenら、J. Mol. Biol.293巻:865〜881頁(1999年);Prestaら、Cancer Res.57巻:4593〜4599頁(1997年)参照)。例えば、K
Dは表面プラズモン共鳴アッセイを使用して(例えば、BIACORE(登録商標)−2000またはBIACORE(登録商標)−3000を使用して)測定することが可能である。
抗体断片
【0170】
抗体断片は、無傷の抗体の抗原結合または可変領域などの、無傷の抗体の部分を含む。本発明のさらなる態様では、上の実施形態のいずれかに従った抗HIV抗体は、キメラ、ヒト化またはヒト抗体を含む、モノクローナル抗体である。抗体断片は、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)
2、Fv、ダイアボディ、直鎖抗体、抗体断片から形成される多重特異性抗体およびscFv断片、ならびに下記の他の断片を含むがこれらに限定されない。別の実施形態では、抗体は完全長抗体、例えば、無傷のIgG1抗体または本明細書に記載される他の抗体クラスもしくはアイソタイプである(例えば、Hudsonら、Nat. Med.9巻:129〜134頁(2003年);Pluckthiin、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、113巻、269〜315頁(1994年);Hollingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90巻:6444〜6448頁(1993年);WO93/01161;ならびに米国特許第5,571,894号、第5,869,046号、第6,248,516号、および第5,587,458号参照)。完全長抗体、無傷の抗体、または全抗体は天然の抗体構造に実質的に類似する構造を有するまたは本明細書で定義されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体である。抗体断片は、本明細書に記載されるように、無傷の抗体のタンパク質消化ならびに組換え宿主細胞(例えば、E.coliまたはファージ)による産生を含むがこれらに限定されない種々の技法により作製することが可能である。
【0171】
Fvは完全な抗原認識および抗原結合部位を含有する最小抗体断片である。この断片は堅固に非共有結合会合した1つの重鎖可変領域ドメインと1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体を含有する。これら2つのドメインのフォールディングから、抗原結合のためのアミノ酸残基を与え、抗体に抗原結合特異性を授ける6つの超可変ループ(HおよびL鎖からそれぞれ3つのループ)が発出する。しかし、単一の可変領域(または抗原に特異的な3つのCDRだけを含むFvの半分)でも抗原を認識して結合する能力を有するが、全結合部位よりも親和性は低くなる。
【0172】
一本鎖Fv(sFvまたはscFv)は、接続されて単一ポリペプチド鎖になるV
HおよびV
L抗体ドメインを含む抗体断片である。sFvポリペプチドは、そのsFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするポリペプチドリンカーをV
HおよびV
Lドメインの間にさらに含むことが可能である(例えば、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、113巻、RosenburgおよびMoore編、Springer-Verlag、New York、269〜315頁(1994年);Borrebaeck1995年、下記、参照)。一部の実施形態では、sFvはキメラ抗原受容体(CAR)において存在することが可能である。
【0173】
ダイアボディは、Vドメインの鎖間であって鎖内ではない対の形成が達成されて二価の断片を生じるように、V
HおよびV
Lドメインの間に短いリンカー(約5〜10残基)を有するsFv断片を構築することにより調製される小抗体断片である。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のV
HおよびV
Lドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する2つのクロスオーバーsFv断片のヘテロ二量体である(例えば、EP404,097;WO93/11161;およびHollingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻:6444〜6448頁(1993年)参照)。
【0174】
ドメイン抗体(dAb)は、完全ヒト形態で産生することが可能であり、抗体の最も小さい公知の抗原結合断片で、約11kDaから約15kDaの範囲である。dAbは、免疫グロブリンの重鎖および軽鎖(それぞれV
HおよびV
L)の頑強な可変領域である。dAbは微生物細胞培養において高度に発現され、例えば、可溶性および温度安定性を含むがこれらに限定されない好ましい生物物理的特性を示し、例えば、ファージディスプレイなどのin vitro選択システムによる選択および親和性成熟によく適している。dAbは単量体として生理活性があり、その小さなサイズおよび固有の安定性のおかげで、もっと大きな分子にフォーマットして、長期の血清半減期または他の薬理活性を有する薬物を作り出すことが可能である(例えば、WO9425591およびUS20030130496参照)。
【0175】
FvおよびsFvは、定常領域が欠けている無傷の結合部位を有する種である。したがって、FvおよびsFvは、in vivo使用中の非特異的結合の減少に適している。sFv融合タンパク質は、sFvのアミノまたはカルボキシ終端のどちらでもエフェクタータンパク質の融合を生じるように構築することが可能である。抗体断片は「直鎖抗体」でもあり得る(例えば、米国特許第5,641,870号参照)。そのような直鎖抗体断片は単一特異性または二重特異性であり得る。
キメラ抗原受容体(CAR)
【0176】
CARを含む例示的な抗原受容体、およびそのような受容体を操作し細胞内に導入するための方法は、例えば、国際特許出願公開番号WO200014257、WO2013126726、WO2012/129514、WO2014031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、米国特許出願公開番号US2002131960、US2013287748、US20130149337、米国特許第6,451,995号、第7,446,190号、第8,252,592号、第8,339,645号、第8,398,282号、第7,446,179号、第6,410,319号、第7,070,995号、第7,265,209号、第7,354,762号、第7,446,191号、第8,324,353号、および第8,479,118号、ならびに欧州特許出願番号EP2537416に記載されている受容体および方法、ならびに/またはSadelainら、Cancer Discov.2013年4月;3巻(4号):388〜398頁;Davilaら、(2013年)PLoS ONE 8巻(4号):e61338;Turtleら、Curr. Opin. Immunol.、2012年10月;24巻(5号):633〜39頁;Wuら、Cancer、2012年3月、18巻(2号):160〜75頁によって記載される受容体および方法を含む。一部の態様では、抗原受容体は米国特許第7,446,190号に記載されるCARおよび国際特許出願公開番号WO/2014055668A1に記載される受容体を含む。CARの例は、WO2014031687、US8,339,645、US7,446,179、US2013/0149337、米国特許第7,446,190号、米国特許第8,389,282号、Kochenderferら、2013年、Nature Reviews Clinical Oncology、10巻、267〜276頁、(2013年);Wangら、(2012年)J. Immunother. 35巻(9号):689〜701頁;およびBrentjensら、Sci Transl Med. 2013年 5巻(177号)などの前述の刊行物のいずれかに開示されているCARを含む。WO2014031687、US8,339,645、US7,446,179、US2013/0149337、米国特許第7,446,190号、および米国特許第8,389,282号も参照されたい。CARなどのキメラ受容体は一般に、抗体分子の一部などの細胞外抗原結合ドメイン、一般には抗体の可変重(V
H)鎖領域および/または可変軽(V
L)鎖領域、例えば、scFv抗体断片を含む。
【0177】
一部の実施形態では、キメラ抗原受容体(CAR)は、T細胞受容体の細胞内ドメインを含む細胞内ドメインおよび抗体の抗原結合部分、例えば、抗体のsFvを含む細胞外部分を含むことが可能である。一般に、キメラ受容体(例えば、CAR)は、抗原結合部分と膜貫通ドメインの間にリンカーまたはスペーサードメインを含む。一部の実施形態では、リンカーまたはスペーサーは免疫グロブリンヒンジ領域に由来する。一部の実施形態では、CAR構築物をコードする核酸、一部の実施形態ではCARベクターは、T細胞受容体の細胞内ドメインを含む細胞内ドメインおよび抗体の抗原結合部分、例えば、抗体のsFvを含む細胞外部分をコードすることに加えて、プロモーターを含むことが可能である。例えば、プロモーターは、骨髄増殖性肉腫ウイルスエンハンサーと共に改変MoMuLV LTRのU3領域を含有する合成プロモーターであり得る。他の実施形態では、プロモーターはEF1aプロモーターまたはEF1プロモーターであり得る。一部の実施形態では、CARは共刺激ドメインおよびT細胞受容体の細胞内ドメインを含む細胞内ドメイン、ならびに本明細書で提供される1つまたは複数の抗体などの抗体を含む細胞外部分を含むことが可能であり、抗体は一本鎖抗体またはその断片でもよい。一部の実施形態では、抗体はsFvまたはscFvであるまたはそれを含む。一部の実施形態では、CARは、スペーサーおよび/またはヒンジ領域などの追加の細胞外部分(複数可)をさらに含んでもよい。
【0178】
上の実施形態でのいずれかにおいて、sFvなどの、キメラ分子、例えば、キメラ受容体、例えば、CAR内の抗体は、抗体のV
HドメインおよびV
Lドメインを含むことが可能である。例えば、sFvは、AbV−1、AbV−2、AbV−3、AbV−4、AbV−5、AbV−6、AbV−7、AbV−8、AbV−9、AbV−9a、またはAbV−9bのいずれか1つ由来のV
Hドメインを、Ab−V1、AbV−2、AbV−3、AbV−4、AbV−5、AbV−6、AbV−7、AbV−8、AbV−9、AbV−9a、またはAbV−9bのいずれか1つ由来のV
Lドメインと組み合わせて含むことが可能である。例えば、sFvは、いくつかのリンカーのうちの1つにより分離されている重鎖および軽鎖についてのコドン最適化配列の合成により作り出すことが可能である。
【0179】
一部の態様では、グリシンおよびセリン(および/またはスレオニン)が豊富なリンカーは、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%そのようなアミノ酸(複数可)を含む。一部の実施形態では、リンカーは少なくとも50%、55%、60%、70%、もしくは75%のグリシン、セリン、および/もしくはスレオニンまたは少なくとも約50%、55%、60%、70%、もしくは75%のグリシン、セリン、および/もしくはスレオニンを含む。一部の実施形態では、リンカーは実質的にまたは全体がグリシン、セリン、および/またはスレオニンで構成されている。リンカーは一般的には、約5アミノ酸から約50アミノ酸長、典型的には、10アミノ酸または約10アミノ酸と30アミノ酸または約30アミノ酸の間、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30アミノ酸であり、一部の例では、10アミノ酸と25アミノ酸長の間である。例示的なリンカーは、配列GGGGS(4GS)またはGGGS(3GS)の種々の数の繰り返し、例えば、そのような配列の2、3、4から5回までの繰り返しを有するリンカーを含む。例示的なリンカーは、GGGGSGGGGSGGGGSを有するまたはそれからなるリンカーを含む。例示的なリンカーは、配列GSTSGSGKPGSGEGSTKGを有するまたはそれからなるリンカーをさらに含む。
【0180】
一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28、CD137(4−1BB)、OX40、および/またはICOSなどの共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、TCR複合体の一次活性化を調節する一次細胞質シグナル伝達配列を含む。刺激性の様式で作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容体活性化チロシンモチーフまたはITAMとして公知であるシグナル伝達モチーフを含有していてもよい。一次細胞質シグナル伝達配列を含有するITAMの例は、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD8、CD22、CD79a、CD79b、およびCD66dに由来する配列を含む。一部の実施形態では、CAR中の細胞質シグナル伝達分子(複数可)は細胞質シグナル伝達ドメイン、その部分、またはCD3ζ由来の配列を含有する。
【0181】
例示的なCARベクター(CARをコードする核酸を含む)はT細胞内にトランスフェクトすることが可能である。T細胞はCD8
+T細胞であり得る。一部の実施形態では、トランスフェクトされてCARを発現するCD8
+T細胞は感染細胞の増殖、死滅および/またはウイルス複製の抑制を認識することが可能である。他の実施形態では、CARをトランスフェクトされたT細胞はCD4
+T細胞であり得る。一部の実施形態では、CAR改変CD4
+T細胞は、T細胞がもはやCD4を発現しないようにさらに改変することが可能である。一部の実施形態では、CARをトランスフェクトされたT細胞は、CCR2b、CCR3、CXCR4、および/またはCCR5などの、HIV感染に関与する共受容体を欠くようにさらに改変することが可能である。例えば、T細胞はsiRNAなどの試薬をトランスフェクトして、CCR2b、CCR3、CXCR4、および/またはCCR5などの、HIV感染に関与する1つまたは複数の共受容体の発現を減少させるまたはノックダウンすることが可能である。一部の実施形態では、HIV感染に関与するこれらの共受容体のうちの1つまたは複数の発現は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、CRISPR/Cas系、RNAガイドエンドヌクレアーゼおよび/または操作されたメガヌクレアーゼ再設計ホーミングエンドヌクレアーゼなどの標的ゲノム編集ツールにより減少させるまたはノックダウンすることが可能である。
キメラおよびヒト化抗体
【0182】
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体はキメラ抗体である(例えば、米国特許第4,816,567号およびMorrisonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、81巻:6851〜6855頁(1984年)参照)。キメラ抗体は一般に、重鎖および/または軽鎖の一部が特定の供給源または種に由来しており、重鎖および/または軽鎖の残りが異なる供給源または種に由来している抗体を指す。一例では、キメラ抗体は非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、またはサルなどの非ヒト霊長類由来の可変領域)およびヒト定常領域を含む。さらなる例では、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のクラスまたはサブクラスから変更されている「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体はその抗原結合断片を含む。
【0183】
一部の実施形態では、抗体はヒト化抗体である(例えば、AlmagroおよびFransson、Front. Biosci.13巻:1619〜1633頁(2008年);Riechmannら、Nature 332巻:323〜329頁(1988年);Queenら、Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 86巻:10029〜10033頁(1989年);米国特許第5,821,337号、第7,527,791号、第6,982,321号、および第7,087,409号;Kashmiriら、Methods 36巻:25〜34頁(2005年);Padlan、Mol. Immunol.28巻:489〜498頁(1991年);Dall'Acqua ら、Methods 36巻:43〜60頁(2005年);Osbournら、Methods 36巻:61〜68頁(2005年);およびKlimkaら、Br. J. Cancer、83巻:252〜260頁(2000年)参照)。
【0184】
非ヒト抗体は、親非ヒト抗体の特異性および親和性を保持しつつ、ヒトに対する免疫原性を減少させるようにヒト化することが可能である。ヒト化抗体は、非ヒト抗体由来の、1つもしくは複数のCDR、またはその部分を含む1つまたは複数の可変ドメインを含むことが可能である。ヒト化抗体はヒト抗体配列由来の、1つもしくは複数のFR、またはその部分を含む1つまたは複数の可変ドメインを含むことが可能である。ヒト化抗体はヒト定常領域の少なくとも一部を任意選択で含むことが可能である。一部の実施形態では、ヒト化抗体中の1つまたは複数のFR残基は、例えば、抗体特異性または親和性を回復するまたは改善するために、非ヒト抗体(例えば、CDR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換されている。
【0185】
ヒト化のために使用することができるヒトフレームワーク領域は、「最良適合」法を使用して選択されるフレームワーク領域;軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域;ヒト成熟(体細胞突然変異している)フレームワーク領域またはヒト生殖系列フレームワーク領域;およびFRライブラリーをスクリーニングすることに由来するフレームワーク領域を含むがこれらに限定されない(例えば、Simsら、J. Immunol.151巻:2296頁(1993年);Carterら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89巻:4285頁(1992年);Prestaら、J. Immunol.、151巻:2623頁(1993年);Bacaら、J. Biol. Chem.272巻:10678〜10684頁(1997年);およびRosokら、J. Biol. Chem.271巻:22611〜22618頁(1996年)参照)。
ヒト抗体
【0186】
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体はヒト抗体である。ヒト抗体は種々の公知の技法を使用して産生することが可能である(例えば、van Dijkおよびvan de Winkel、Curr. Opin. Pharmacol.5巻:368〜74頁(2001年);ならびにLonberg、Curr. Opin. Immunol.20巻:450〜459頁(2008年)参照)。ヒト抗体は一部の態様では、抗原チャレンジに応答して無傷のヒト抗体またはヒト可変領域を有する無傷の抗体を産生するように改変されているトランスジェニック動物に免疫原(例えば、HIV免疫原)を投与することにより調製することができる(例えば、Lonberg、Nat. Biotech.23巻:1117〜1125頁(2005年);米国特許第6,075,181号、第6,150,584号、第5,770,429号、および第7,041,870号;ならびに米国特許出願公開番号US2007/0061900参照)。そのような動物から産生される無傷の抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによりさらに改変することができる。
【0187】
ヒト抗体は一部の態様では、ハイブリドーマベースの方法によって作製することも可能である。例えば、ヒト抗体は、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、および他の方法を使用してヒト骨髄腫およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株から産生することが可能である(例えば、Kozbor J.Immunol.、133巻:3001頁(1984年);Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、51〜63頁(1987年);Boernerら、J. Immunol.、147巻:86頁(1991年);Liら、Proc. Natl. Acad.、103巻:3557〜3562頁(2006年);米国特許第7,189,826号;Ni、Xiandai Mianyixue、26巻(4号):265〜268頁(2006年);VollmersおよびBrandlein、Histology and Histopathology、20巻(3号):927〜937頁(2005年);ならびにVollmersおよびBrandlein、Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology、27巻(3号):185〜91頁(2005年)参照)。ヒト抗体は、ヒト由来ファージディスプレイライブラリーから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することにより産生することもできる。次いで、そのような可変ドメイン配列は所望のヒト定常ドメインと組み合わせてもよい。
ライブラリー誘導
【0188】
抗体は、所望の活性(単数または複数)を有する抗体を求めてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることにより単離することができる(例えば、Hoogenboomら、Methods in Molecular Biology 178巻:1〜37頁(2001年);McCaffertyら、Nature 348巻:552〜554頁; Clacksonら、Nature 352巻:624〜628頁(1991年);Marksら、J. Mol. Biol.222巻:581〜597頁(1992年);MarksおよびBradbury、Methods in Molecular Biology 248巻:161〜175頁(2003年);Sidhuら、J. Mol. Biol.338巻(2号):299〜310頁(2004年);Leeら、J. Mol. Biol. 340巻(5号):1073〜1093頁(2004年);Fellouse、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101巻(34号):12467〜12472頁(2004年);およびLeeら、J. Immunol. Methods 284巻(1〜2号):119〜132頁(2004年)参照)。V
HおよびV
L遺伝子のレパートリーは別々にクローニングして(例えば、PCRにより)、ライブラリーで無作為に組換え(例えば、ファージライブラリー)て、スクリーニングすることが可能である(例えば、Winterら、Ann. Rev. Immunol.、12巻:433〜455頁(1994年)参照)。代わりに、天然のレパートリーをクローニングして(例えば、ヒトから)、いかなる免疫化もなしで抗体の単一供給源を広範囲の非自己および自己抗原にも提供することが可能である(例えば、Griffithsら、EMBO J、12巻:725〜734頁(1993年)参照)。代わりに、天然のライブラリーを、幹細胞由来の再編成されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダムプライマーを使用してCDR3領域をコードするまたはV遺伝子セグメントをin vitroで再編成することにより合成により作製することが可能である(例えば、HoogenboomおよびWinter、J. Mol. Biol.、227巻:381〜388頁(1992年);米国特許第5,750,373号ならびに米国特許公開番号US2005/0079574、US2005/0119455、US2005/0266000、US2007/0117126、US2007/0160598、US2007/0237764、US2007/0292936、およびUS2009/0002360参照)。ヒト抗体ライブラリーから単離される抗体または抗体断片は本明細書のヒト抗体またはヒト抗体断片と見なされる。
多重特異性
【0189】
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体は多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。多重特異性抗体は一般に、少なくとも2つの異なる部位に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体である(例えば、米国特許公開番号US2008/0069820参照)。一部の実施形態では、結合特異性のうちの一方はHIVに対して、他方は他の任意の抗原に対するものである。一部の実施形態では、二重特異性抗体はHIVの2つの異なるエピトープに結合できる。二重特異性抗体は、細胞毒性剤をHIVに感染した細胞に局在化させるのに使用することもできる。二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体断片として調製することが可能である。
【0190】
多重特異性抗体を作製するための例示的な技法は、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の組換え同時発現、抗体Fcヘテロ二量体分子を作製するための静電的ステアリング効果の操作、2つまたはそれよりも多い抗体または断片の交差架橋、ロイシンジッパーを使用した二重特異性抗体の産生、二重特異性抗体断片を作製するための「ダイアボディ」技術の使用、一本鎖Fv(sFv)二量体の使用、三重特異性抗体の調製、および「ノブインホール」工学を含む(例えば、MilsteinおよびCuello、Nature 305巻:537頁(1983年);WO09/089004A1;WO93/08829;Trauneckerら、EMBO J.10巻:3655頁(1991年);米国特許第4,676,980号および第5,731,168号;Brennanら、Science、229巻:81頁(1985年);Kostelnyら、J. Immunol.、148巻(5号):1547〜1553頁(1992年);Hollingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻:6444〜6448頁(1993年);Gruberら、J. Immunol.、152巻:5368頁(1994年);ならびにTuttら、J. Immunol.147巻:60頁(1991年)参照)。3つまたはそれよりも多い機能的抗原結合部位を有する操作された抗体も含まれる(例えば、US2006/0025576参照)。
変異体
【0191】
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体のアミノ酸配列変異体が企図される。変異体は、1つまたは複数の置換、欠失、付加および/または挿入において本明細書に具体的に開示されるポリペプチドと一般的に異なる。そのような変異体は天然に存在することができるか、または、例えば本発明の上記のポリペプチド配列の1つまたは複数を改変し、本明細書に記載される通りにおよび/もしくはいくつかの公知技術のいずれかを使用してポリペプチドの1つまたは複数の生物学的活性を評価することによって、合成により生成することができる。例えば、抗体の結合親和性および/または他の生物学的特性を改善することが望ましいことがある。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列に適当な改変を導入することによって、またはペプチド合成によって調製することができる。そのような改変には、例えば、抗体のアミノ酸配列中の残基からの欠失、および/またはそれへの挿入および/またはその置換が含まれる。その最終構築物が所望の特徴、例えば抗原結合性を有する限り、最終構築物に到達するために欠失、挿入および置換の任意の組合せを作成することができる。
置換、挿入および欠失変異体
【0192】
一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換を有する抗体変異体が提供される。置換による突然変異誘発のための目的の部位には、CDRおよびFRが含まれる。アミノ酸置換を目的の抗体に導入して、生成物を所望の活性、例えば、保持/改善された抗原結合性、低下した免疫原性または改善されたADCCもしくはCDCについてスクリーニングすることができる。
【表B】
【0193】
疎水性アミノ酸には、ノルロイシン、Met、Ala、Val、LeuおよびIleが含まれる。中性親水性アミノ酸には、Cys、Ser、Thr、AsnおよびGlnが含まれる。酸性アミノ酸には、AspおよびGluが含まれる。塩基性アミノ酸には、His、LysおよびArgが含まれる。鎖配向に影響する残基を有するアミノ酸には、GlyおよびProが含まれる。芳香族アミノ酸には、Trp、TyrおよびPheが含まれる。
【0194】
一部の実施形態では、置換、挿入または欠失は1つまたは複数のCDRの中で起こることができ、ここで、置換、挿入または欠失は抗原への抗体の結合性を実質的に低減しない。例えば、結合親和性を実質的に低減しない保存的置換を、CDRに加えることができる。そのような変更は、CDR「ホットスポット」またはSDRの外部であってもよい。変異体V
HおよびV
L配列の一部の実施形態では、各CDRは不変であるか、または1つ、2つもしくは3つ以下のアミノ酸置換を含有する。
【0195】
例えば、抗体の親和性を改善するために、CDRに変更(例えば、置換)を加えることができる。そのような変更は、体細胞成熟の間に高い突然変異率を有するCDRコードコドンに加えることができ(例えば、Chowdhury、Methods Mol. Biol.207巻:179〜196頁(2008年)を参照)、結果として生じる変異体は結合親和性について試験することができる。抗体の親和性を改善するために、親和性成熟(例えば、変異性PCR、鎖シャッフリング、CDRの無作為化、またはオリゴヌクレオチド誘導突然変異誘発を使用する)を使用することができる(例えば、Hoogenboomら、Methods in Molecular Biology 178巻:1〜37頁(2001年)を参照)。抗原結合に関与するCDR残基は、例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発またはモデル化を使用して、特異的に特定することができる(例えば、CunninghamおよびWells、Science、244巻:1081〜1085頁(1989年)を参照)。特に、CDR−H3およびCDR−L3がしばしば標的とされる。あるいは、またはさらに、抗体と抗原の間の接触点を特定するために、抗原抗体複合体の結晶構造が使用される。そのような接触残基および隣接残基は、置換のための候補として標的とするかまたは排除することができる。それらが所望の特性を有するかどうか判定するために、変異体をスクリーニングすることができる。
【0196】
アミノ酸配列の挿入および欠失には、1残基から100またはそれより多い残基を含有するポリペプチドの長さのアミノおよび/またはカルボキシル末端融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入および欠失が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入型変異体には、酵素(例えば、ADEPTの場合)または抗体の血清中半減期を増加させるポリペプチドに対する抗体のNまたはC末端への融合が含まれる。抗体分子の配列内挿入変異体の例には、軽鎖における3アミノ酸の挿入が含まれる。末端欠失の例には、軽鎖の末端において7またはそれ未満のアミノ酸の欠失を有する抗体が含まれる。
グリコシル化変異体
【0197】
一部の実施形態では、抗体は、それらのグリコシル化を増減するために変更される(例えば、1つまたは複数のグリコシル化部位が作製または除去されるようにアミノ酸配列を変更することによって)。抗体のFc領域に付着した炭水化物を、変更することができる。哺乳動物細胞からの天然抗体は、N結合によってFc領域のCH2ドメインのAsn297に付着した、分枝状の二分岐オリゴ糖を一般に含む(例えば、Wrightら、TIBTECH 15巻:26〜32頁(1997年)を参照)。オリゴ糖は様々な炭水化物、例えば、マンノース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、シアル酸、二分岐オリゴ糖構造のステムのGlcNAcに付着したフコースであってよい。例えばある特定の改善された特性を有する抗体変異体を作製するために、抗体のオリゴ糖に改変を加えることができる。抗体のグリコシル化変異体は、改善されたADCCおよび/またはCDC機能を有することができる。
【0198】
一部の実施形態では、Fc領域に付着した(直接的または間接的に)フコースを欠く炭水化物構造を有する抗体変異体が提供される。例えば、そのような抗体中のフコースの量は、1%から80%、1%から65%、5%から65%または20%から40%であってもよい。フコースの量は、Asn297に付着した全ての糖構造の合計と比較した、Asn297での糖鎖中のフコースの平均量を計算することによって判定される(例えば、WO08/077546を参照)。Asn297は、Fc領域の297位(Fc領域残基のEu番号付け)あたりに位置するアスパラギン残基を指す。しかし、抗体中の軽微な配列変動のために、Asn297は、297位から約±3アミノ酸上流または下流に、すなわち294位から300位の間に位置することもできる。そのようなフコシル化変異体は、改善されたADCC機能を有することができる(例えば、特許公開番号US2003/0157108;US2004/0093621;US2003/0157108;WO00/61739;WO01/29246;US2003/0115614;US2002/0164328;2004/0093621;US2004/0132140;US2004/0110704;US2004/0110282;US2004/0109865;WO03/085119;WO03/084570;WO05/035586;WO05/035778;WO05/053742;WO02/031140;Okazakiら、J. Mol. Biol.336巻:1239〜1249頁(2004年);およびYamane-Ohnukiら、Biotech. Bioeng.87巻:614頁(2004年)を参照)。細胞株、例えばノックアウト細胞株、およびそれらの使用方法は、脱フコシル化抗体、例えば、タンパク質フコシル化欠損Lec13 CHO細胞およびアルファ−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子(FUT8)ノックアウトCHO細胞を産生するために使用することができる(例えば、Ripkaら、Arch. Biochem. Biophys.249巻:533〜545頁(1986年);Yamane-Ohnukiら、Biotech. Bioeng.87巻:614頁(2004年);Kanda, Y.ら、Biotechnol. Bioeng.、94巻(4号):680〜688頁(2006年);WO03/085107;EP1176195A1、WO04/056312;WO04/057002;WO03/084570;WO03/085119;WO03/056914;WO04/024927;ならびに米国特許公開番号US2003/0157108;US2003/0115614、US2004/093621、US2004/110282、US2004/110704およびUS2004/132140を参照)。他の抗体グリコシル化変異体も含まれる(例えば、米国特許第6,602,684号;特許公開番号US2005/0123546;WO03/011878;WO97/30087;WO98/58964;およびWO99/22764を参照。)
【0199】
したがって、本発明の抗HIV抗体は、外因性のおよび/または高い内因性グリコシルトランスフェラーゼ活性の1つまたは複数を有する宿主細胞によって産生することができる。グリコシルトランスフェラーゼ活性を有する遺伝子には、β(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTII)、α−マンノシダーゼII(ManII)、β(1,4)−ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT)、β(1,2)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI(GnTI)およびβ(1,2)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼII(GnTII)が含まれる。糖転移酵素は、ゴルジ局在化ドメインを含む融合を含むことができる(例えば、Lifelyら、Glycobiology 318巻:813〜22頁(1995年);Schachter、Biochem. Cell Biol.64巻:163〜81頁(1986年);米国特許仮出願第60/495,142号および第60/441,307号;特許公開番号US2003/0175884およびUS2004/0241817;ならびにWO04/065540を参照)。一部の実施形態では、混乱したまたは不活性化されたグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子を含む宿主細胞において抗HIV抗体を発現させることができる。したがって、一部の実施形態では、本発明は、(a)グリコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする配列を含む単離された核酸;および(b)ヒトHIVに結合する本発明の抗HIV抗体をコードする単離されたポリヌクレオチドを含む宿主細胞に関する。特定の実施形態では、宿主細胞によって産生される改変された抗HIV抗体は、IgG定常領域またはFc領域を含むその断片を有する。別の特定の実施形態では、抗HIV抗体は、ヒト化抗体またはFc領域を含むその断片である。単離された核酸は、その天然の環境の構成要素から分離された核酸分子である。単離された核酸には、その核酸分子を通常含有する細胞に含有される核酸分子が含まれるが、その核酸分子は染色体外に存在するかまたはその天然の染色体位置と異なる染色体位置に存在する。
【0200】
本発明の宿主細胞によって産生される変更されたグリコシル化を有する抗HIV抗体は、増加したFc受容体結合親和性(例えば、FcγRIIIa受容体などのFcγ活性化受容体への増加した結合)および/または増加したエフェクター機能を示すことができる。増加したエフェクター機能は、以下の1つまたは複数の増加であってよい:増加した抗体依存性細胞傷害、増加した抗体依存性細胞食作用(ADCP)、増加したサイトカイン分泌、抗原提示細胞による増加した免疫性複合体媒介性抗原取り込み、増加したFc媒介性細胞傷害、NK細胞への増加した結合、マクロファージへの増加した結合、多形核細胞(PMN)への増加した結合、単球への増加した結合、標的結合抗体の増加した架橋、アポトーシスを誘導する増加した直接シグナル伝達、増加した樹状細胞成熟および増加したT細胞プライミング。したがって、一態様では、本発明は、糖鎖操作されていない抗HIV抗体と比較して増加したエフェクター機能を有する抗HIV抗体の糖型を提供する。(例えば、Tangら、J. Immunol.179巻:2815〜2823頁(2007年)を参照)。
【0201】
本発明は、改変されたオリゴ糖を有する、本発明の抗HIV抗体を産生するための方法であって、(a)本発明による抗HIV抗体の産生を可能にする条件下においてグリコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸を発現するように工学操作された宿主細胞を培養するステップであって、グリコシルトランスフェラーゼ活性を有する前記ポリペプチドは、前記宿主細胞によって産生される前記抗HIV抗体のFc領域のオリゴ糖を改変するのに十分な量で発現されるステップ;および(b)前記抗HIV抗体を単離するステップを含む方法にも関する。別の実施形態では、グリコシルトランスフェラーゼ活性を有する2つのポリペプチドがある。本発明の方法によって産生される抗HIV抗体は、増加したFc受容体結合親和性および/または増加したエフェクター機能を有することができる。
【0202】
一部の実施形態では、抗HIV抗体のFc領域の二分されたN連結オリゴ糖の百分率は、全オリゴ糖の少なくとも約10%から約100%、具体的には少なくとも約50%、より具体的には少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%または少なくとも約90〜95%である。さらに別の実施形態では、本発明の方法によって産生される抗体は、本発明の方法によるそのオリゴ糖の改変の結果として、Fc領域において非フコシル化オリゴ糖の割合が増加している。一部の実施形態では、非フコシル化オリゴ糖の百分率は、少なくとも約20%から約100%、具体的には少なくとも約50%、少なくとも約60%から約70%、より具体的には少なくとも約75%である。非フコシル化オリゴ糖は、ハイブリッドまたは複合型であってよい。さらに別の実施形態では、本発明の方法によって産生される抗体は、本発明の方法によるそのオリゴ糖の改変の結果として、Fc領域において二分されたオリゴ糖の割合が増加している。一部の実施形態では、二分されたオリゴ糖の百分率は、少なくとも約20%から約100%、具体的には少なくとも約50%、少なくとも約60%から約70%、より具体的には少なくとも約75%である。
【0203】
別の実施形態では、本発明は、本発明の方法によって産生される、増加したエフェクター機能および/または増加したFc受容体結合親和性を有するように工学操作された抗HIV抗体に関する。一部の実施形態では、抗体は無傷の抗体である。一部の実施形態では、抗体は、Fc領域を含有する抗体断片、または免疫グロブリンのFc領域と同等である領域を含む融合タンパク質である。
【0204】
一態様では、本発明は、改変されたグリコシル化パターンを有する本発明の抗体の生成のための宿主細胞発現系を提供する。特に、本発明は、改善された治療値を有する本発明の抗体の糖型の生成のための宿主細胞系を提供する。したがって、本発明は、グリコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドを発現するように選択または工学操作された宿主細胞発現系を提供する。
【0205】
一般的に、本発明の宿主細胞株を工学操作するためのバックグラウンドとして、上で議論される細胞株を含む任意のタイプの培養細胞株を使用することができる。一部の実施形態では、CHO細胞、BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、YO骨髄腫細胞、P3X63マウス骨髄腫細胞、PER細胞、PER.C6細胞またはハイブリドーマ細胞、他の哺乳動物細胞、酵母細胞、昆虫細胞または植物細胞が、本発明の工学操作宿主細胞を生成するためのバックグラウンド細胞株として使用される。
【0206】
本発明の抗体のコード配列を含有し、生物学的に活性な遺伝子産物を発現する宿主細胞は、少なくとも4つの一般的アプローチによって同定することができる;(a)DNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーション;(b)「マーカー」遺伝子機能の存在または不在;(c)宿主細胞においてそれぞれのmRNA転写物の発現によって測定される転写レベルを調査すること;および(d)イムノアッセイまたはその生物学的活性によって測定される遺伝子産物の検出。
Fc領域変異体
【0207】
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体のFc領域に1つまたは複数のアミノ酸改変を導入し、それによってFc領域変異体を生成することができる。本明細書においてFc領域は、定常領域の少なくとも一部を含有する、免疫グロブリン重鎖のC末端領域である。Fc領域は、天然配列のFc領域および変異体のFc領域を含む。Fc領域変異体は、1つまたは複数のアミノ酸位置にアミノ酸改変(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4のFc領域)を含むことができる。
【0208】
一部の実施形態では、本発明は、エフェクター機能の全てではなく一部を有する抗体変異体を企図し、したがってそれは、抗体のin vivo半減期は重要であるが、ある特定のエフェクター機能(例えば、補体およびADCC)が不要または有害である適用のための望ましい候補となる。CDCおよび/またはADCC活性の低減/消失を確認するために、in vitroおよび/またはin vivo細胞傷害性アッセイを実行することができる。例えば、抗体がFcγR結合を欠いている(したがって、ADCC活性を欠いている可能性がある)がFcRn結合能力を保持することを確実にするために、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実行することができる。目的の分子のADCC活性を調査するためのin vitroアッセイの非限定例は、米国特許第5,500,362号および第5,821,337号に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ方法を用いることができる(例えば、ACTI(商標)およびCytoTox96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ)。そのようなアッセイのための有益なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、またはさらに、目的の分子のADCC活性は、例えば動物モデルにおいてin vivoで調査することができる(例えば、Clynesら、Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 95巻:652〜656頁(1998年)を参照)。抗体がC1qに結合することが可能または不可能であり、したがってCDC活性を有するか欠くことを確認するために、C1q結合アッセイを実行することもできる(例えば、WO06/029879、WO99/51642およびWO05/100402;米国特許第6,194,551号;ならびにIdusogieら、J. Immunol.164巻:4178〜4184頁(2000年)を参照)。補体活性化を調査するために、CDCアッセイを実行することができる(例えば、Gazzano-Santoroら、J. Immunol. Methods 202巻:163頁(1996年);Cragg, M.S.ら、Blood 101巻:1045〜1052頁(2003年);およびCraggら、Blood 103巻:2738〜2743頁(2004年)を参照)。公知の方法を使用して、FcRn結合およびin vivoクリアランス/半減期の判定を実施することもできる(例えば、Petkova, S. B.ら、Int'l. Immunol.18巻(12号):1759〜1769頁(2006年)を参照)。エフェクター機能の低減された抗体には、Fc領域残基238、265、269、270、297、327および329の1つもしくは複数;またはアミノ酸位置265、269、270、297および327の2つもしくはそれより多くの置換を有するもの、例えば、残基265および297のアラニンへの置換を有するFc突然変異体が含まれる(例えば、米国特許第6,737,056号および第7,332,581号を参照)。FcRへの結合が改善または減少した抗体変異体も含まれる(例えば、米国特許第6,737,056号;WO04/056312およびShieldsら、J. Biol. Chem.9巻(2号):6591〜6604頁(2001年)を参照)。一部の実施形態では、抗体変異体は、ADCCを改善する1つまたは複数のアミノ酸置換、例えばFc領域の298位、333位および/または334位の置換を有するFc領域を含む。
【0209】
抗体は、増加した半減期および新生児Fc受容体(FcRn)への改善された結合を有することができる(例えば、US2005/0014934を参照)。そのような抗体は、FcRnへのFc領域の結合を改善する1つまたは複数の置換をその中に有するFc領域を含むことができ、Fc領域残基、238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424または434のうちの1つまたは複数での置換を有するものを含むことができる(例えば、米国特許第7,371,826号を参照)。Fc領域変異体の他の例も、企図される(例えば、DuncanおよびWinter、Nature 322巻:738〜40頁(1988年);米国特許第5,648,260号および第5,624,821号;ならびにWO94/29351を参照)。
システイン工学操作抗体変異体
【0210】
一部の実施形態では、抗体の1つまたは複数の残基がシステイン残基で置換されるシステイン工学操作抗体、例えば「thioMAb」を作製することが望ましいことがある。一部の実施形態では、置換される残基は、抗体のアクセス可能な部位に存在する。免疫コンジュゲートを作製するために、他の部分、例えば薬物部分またはリンカー−薬物部分へのコンジュゲーションのための部位に、反応性チオール基を配置することができる。一部の実施形態では、以下の残基の任意の1つまたは複数をシステインで置換することができる:軽鎖のV205(Kabat番号付け);重鎖のA118(EU番号付け);および重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)。システイン工学操作抗体を、記載される通り生成することができる(例えば、米国特許第7,521,541号を参照)。
抗体誘導体
【0211】
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、公知であり利用可能な追加の非タンパク部分を含有するように、さらに改変することができる。抗体の誘導体化のために適する部分には、限定されずに水溶性ポリマーが含まれる。水溶性ポリマーの非限定例には、限定されずに、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールの共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダム共重合体)、およびデキストランまたはポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシド共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコールならびにそれらの混合物が含まれる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のために製造上の利点を有することができる。
【0212】
ポリマーは任意の分子量であってよく、分枝状または非分枝状であってよい。抗体に付着するポリマーの数は異なってもよく、2またはそれより多いポリマーが付着する場合は、それらは同じかまたは異なる分子であってもよい。
【0213】
別の実施形態では、抗体と、照射への曝露によって選択的に加熱することができる非タンパク部分のコンジュゲートが提供される。一部の実施形態では、非タンパク部分は、カーボンナノチューブである(例えば、Kamら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102巻:11600〜11605頁(2005年)を参照)。照射は任意の波長であってもよく、限定されずに、通常の細胞を害しないが、抗体−非タンパク部分に隣接する細胞が死滅する温度まで非タンパク部分を加熱する波長を含む。
組換え方法および組成物
【0214】
抗体は、組換え方法および組成物を使用して産生することができる(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗HIV抗体またはその断片をコードする単離された核酸が提供される。そのような核酸は、抗体のV
Lを含むアミノ酸配列および/またはV
Hを含むアミノ酸配列をコードすることができる。さらなる実施形態では、そのような核酸を含む1つまたは複数のベクターが提供される。ベクターは、それが連結する別の核酸を増殖させることが可能な核酸分子である。本用語は、自己複製する核酸構造としてのベクター、ならびにそれが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれるベクターを含む。ある特定のベクターは、それらが作動可能に連結されている核酸の発現を導くことが可能である。一部の実施形態では、本明細書に開示される抗HIV抗体に由来する結合性ドメインを含むCARをコードする核酸および/またはベクターが提供される。
【0215】
さらなる実施形態では、そのような核酸を含む宿主細胞が提供される。宿主細胞は外因性核酸が導入された細胞であり、そのような細胞の後代を含む。宿主細胞には「形質転換体」および「形質転換細胞」が含まれ、それらには、一次形質転換細胞および継代数に関係なくそれに由来する後代が含まれる。後代は親細胞と核酸内容が完全に同一でなくてもよく、突然変異を含有することができる。当初形質転換された細胞でスクリーニングまたは選択されたのと同じ機能または生物学的活性を有する突然変異体後代が、本明細書に含まれる。そのような一実施形態では、宿主細胞は、抗体のV
Lを含むアミノ酸配列および抗体のV
Hを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または抗体のV
Lを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクターおよび抗体のV
Hを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、それで形質転換されている)。一部の実施形態では、宿主細胞は、CARをコードする核酸を含むベクターを含む。一部の実施形態では、宿主細胞は真核生物、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。一部の実施形態では、抗HIV抗体を作製する方法であって、上で提供されるような抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、抗体の発現に適する条件下で培養するステップ、および任意選択で宿主細胞または宿主細胞培地から抗体を回収するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、宿主細胞は、患者から得られた一次免疫細胞、例えばT細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、CD4
+T細胞、CD8
+T細胞、調節T細胞またはNK細胞である。
【0216】
抗HIV抗体の組換え産生のために、例えば前記のような抗体をコードする単離された核酸を、さらなるクローニングおよび/または宿主細胞での発現のために1つまたは複数のベクターに挿入する。そのような核酸は、従来の手法を使用して容易に単離し、配列決定することができる。
【0217】
抗体コードベクターのクローニングまたは発現のために適する宿主細胞には、本明細書に記載される原核生物または真核生物の細胞が含まれる。例えば、グリコシル化およびFcエフェクター機能が不要なときなどは、抗体を細菌で産生することができる(例えば、米国特許第5,648,237号、第5,789,199号および第5,840,523号;Charlton、Methods in Molecular Biology、第248巻、245〜254頁(2003年)を参照)。発現の後、抗体を可溶性分画中の細菌細胞ペーストから単離することができ、さらに精製することができる。
【0218】
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物が、抗体コードベクターのために適するクローニングまたは発現宿主である(例えば、Gerngross、Nat. Biotech.22巻:1409〜1414頁(2004年)およびLiら、Nat. Biotech.24巻:210〜215頁(2006年)を参照)。グリコシル化抗体の発現のために適する宿主細胞は、無脊椎動物および脊椎動物を含む多細胞生物にも由来する。無脊椎動物の例には、植物および昆虫細胞が含まれる(例えば、米国特許第5,959,177号、第6,040,498号、第6,420,548号、第7,125,978号および第6,417,429号を参照)。脊椎動物細胞の例には、哺乳動物細胞株、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1系(COS−7);ヒト胚性腎臓系(例えば、Grahamら、J. Gen Virol.36巻:59頁(1977年)に記載される、293または293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(TM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76);ヒト頸部癌細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);マウス乳房腫瘍(MMT060562);TR1細胞;MRC5細胞;FS4細胞;チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、DHFR
−CHO細胞を含む;ならびにY0、NS0およびSp2/0などの骨髄腫細胞株が含まれる。(例えば、YazakiおよびWu、Methods in Molecular Biology、第248巻、255〜268頁(2003年)を参照)。
アッセイ
【0219】
本明細書で提供される抗HIV抗体は、公知の様々なアッセイによって同定すること、それらの物理的/化学的特性および/または生物学的活性についてスクリーニングするかまたは特徴付けることができる。
【0220】
一態様では、本発明の抗体は、例えば、ELISA、ウェスタンブロット等によって、その抗原結合活性について試験される。一態様では、本明細書に記載される抗HIV抗体と、HIVとの結合に関して競合する抗体を同定するために、競合アッセイを使用することができる。一部の実施形態では、そのような競合抗体は、本明細書に記載される抗HIV抗体が結合するのと同じエピトープ(例えば、線状または立体配置的エピトープ)に結合する。例示的なエピトープマッピング方法が公知である(例えば、Morris「Epitope Mapping Protocols」、Methods in Molecular Biology、第66巻(1996年)を参照)。
【0221】
例示的な競合アッセイでは、固定化されたHIVを、HIVに結合する第1の標識抗体およびHIVへの結合に関して第1の抗体と競合するその能力について試験される第2の非標識抗体を含む溶液中でインキュベートする。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在してもよい。対照として、固定化されたHIVを、第1の標識抗体を含むが第2の非標識抗体を含まない溶液中でインキュベートする。HIVへの第1の抗体の結合を許容する条件下でのインキュベーションの後、過剰な未結合の抗体を除去し、固定化されたHIVに会合している標識の量を測定する。固定化されたHIVに会合している標識の量が対照試料に対して試験試料で実質的に低減されている場合は、そのことは、HIVへの結合に関して第2の抗体が第1の抗体と競合していることを示す(例えば、HarlowおよびLane、Antibodies: A Laboratory Manual、第14章(1996年)を参照)。
【0222】
一態様では、生物学的活性を有する、その抗HIV抗体を同定するためのアッセイが提供される。一部の実施形態では、HIVへの中和活性を有する、その抗HIV抗体を同定するためのアッセイが提供される。in vivoおよび/またはin vitroでそのような生物学的活性を有する抗体も、提供される。一部の実施形態では、本発明の抗体は、そのような生物学的活性について試験される。
免疫コンジュゲート
【0223】
本発明は、本明細書の抗HIV抗体を含む免疫コンジュゲートも提供する。免疫コンジュゲートは、1つまたは複数の異種分子にコンジュゲートされる抗体である。例えば、免疫コンジュゲートは、1つまたは複数の細胞傷害剤、例えば化学療法剤もしくは薬物、増殖阻害剤、タンパク質ドメイン、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物もしくは動物起源の酵素活性毒素、またはその断片)、または放射性同位体にコンジュゲートされる抗HIV抗体を含むこともできる。一部の実施形態では、免疫コンジュゲートは、抗HIV抗体またはその断片(例えば、scFv)を含むことができる。
【0224】
一部の実施形態では、免疫コンジュゲートは、抗体が1つまたは複数の薬物、例えば、限定されずに、マイタンシノイド;モノメチルオーリスタチン薬物部分DEおよびDF(MMAEおよびMMAF)などのオーリスタチン;ドラスタチン;カリケアマイシンまたはその誘導体;ダウノマイシンまたはドキソルビシンなどのアントラサイクリン;メトトレキセート;ビンデシン;ドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセルおよびオルタタキセルなどのタキサン;トリコテセン;ならびにCC1065にコンジュゲートされる抗体−薬物コンジュゲート(ADC)である(例えば、米国特許第5,208,020号、第5,416,064号、第5,635,483号、第5,780,588号、第7,498,298号、第5,712,374号、第5,714,586号、第5,739,116号、第5,767,285号、第5,770,701号、第5,770,710号、第5,773,001号、第6,630,579号および第5,877,296号;EP0425235B1;Hinmanら、Cancer Res.53巻:3336〜3342頁(1993年);Lodeら、Cancer Res.58巻:2925〜2928頁(1998年);Kratzら、Current Med. Chem.13巻:477〜523頁(2006年);Jeffreyら、Bioorganic & Med. Chem. Letters 16巻:358〜362頁(2006年);Torgovら、Bioconj. Chem.16巻:717〜721頁(2005年);Nagyら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97巻:829〜834頁(2000年);Dubowchikら、Bioorg. & Med. Chem. Letters 12巻:1529〜1532頁(2002年);ならびにKingら、J. Med. Chem.45巻:4336〜4343頁(2002年)を参照)。
【0225】
別の実施形態では、免疫コンジュゲートは、限定されずに、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosaから)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデッシンA鎖、アルファ−サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ダイアンシンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP−S)、momordica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、マイトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシンおよびトリコテセンを含む、酵素活性毒素またはその断片にコンジュゲートされた本明細書に記載の抗体を含む。
【0226】
別の実施形態では、免疫コンジュゲートは、放射性原子にコンジュゲートされて放射性コンジュゲートを形成する、本明細書に記載の抗体を含む。放射性コンジュゲートの生成に利用可能な例示的放射性同位体には、At
211、I
131、I
125、Y
90、Re
186、Re
188、Sm
153、Bi
212、P
32、Pb
212およびLuの放射性同位体が含まれる。放射性コンジュゲートは、シンチグラフィー検出のための放射性原子を含むことができる(例えば、tc99mもしくはI123、または核磁気共鳴(NMR)画像化のためのスピン標識、例えば、再びヨウ素123、ヨウ素131、インジウム111、フッ素19、炭素13、窒素15、酸素17、ガドリニウム、マンガンもしくは鉄)。
【0227】
抗体と細胞傷害剤のコンジュゲートは、二官能基タンパク質カップリング剤、例えば、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能基誘導体(ジメチルアジピミデートHClなど)、活性エステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス−アジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアネート(トルエン2,6−ジイソシアネートなど)およびビス活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。例えば、リシン免疫毒素を調製することができる(例えば、Vitettaら、Science238巻:1098頁(1987年)を参照)。炭素14標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX−DTPA)は、抗体への放射性ヌクレオチドのコンジュゲーションのための例示的なキレート剤である(例えば、WO94/11026を参照)。リンカーは開裂可能であってよく、細胞内で細胞傷害薬の放出を促進する。例示的な開裂可能なリンカーには、酸に対して不安定なリンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、感光性リンカー、ジメチルリンカーおよびジスルフィド含有リンカーが含まれる(例えば、Chariら、Cancer Res.52巻:127〜131頁(1992年);米国特許第5,208,020号を参照)。
【0228】
本明細書において、免疫コンジュゲートまたはADCは、架橋試薬で調製されるコンジュゲートを明示的に企図する。例示的な架橋試薬には、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC−SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−KMUS、スルホ−MBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMCCおよびスルホ−SMPB、ならびにSVSB(スクシンイミジル−(4−ビニルスルホン)ベンゾエート)が含まれる。
診断および検出のための方法および組成物
【0229】
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗HIV抗体のいずれも、生体試料中のHIVの存在を検出するのに有益である。検出することは、定量的または定性的検出を包含する。
【0230】
本明細書に開示される抗体および組成物は、様々な目的のために、例えば対象においてHIV感染を検出するためにまたはAIDSを診断するために、使用することができる。これらの方法は、HIVまたはAIDSと診断された対象からの試料を本明細書に記載される抗体と接触させるステップ、および試料への抗体の結合を検出するステップを含むことができる。対照試料への抗体の結合と比較して試料への抗体の結合の増加は、対象がHIV−1感染および/またはAIDSを有することを確認する。一部の実施形態では、本方法は、HIVに結合する第2の抗体を試料と接触させるステップ、および第2の抗体の結合を検出するステップをさらに含む。一部の非限定例では、対照試料と比較して試料への抗体の結合の増加は、対象におけるHIVを検出する。一部の非限定例では、抗体は、試料中の可溶性gp120に特異的に結合する。一部の実施形態では、本方法は、HIV抗体を特異的に認識する第2の抗体を試料と接触させるステップ、および第2の抗体の結合を検出するステップをさらに含む。
【0231】
別の実施形態により、本発明は診断方法を提供する。診断方法は、患者から得られる生体試料、例えば、血液、血清、唾液、尿、喀痰、細胞スワブ試料または組織生検などをHIV抗体と接触させるステップ、および抗体が対照試料または所定のカットオフ値と比較して試料に優先的に結合するかどうか判定し、それによってHIVウイルスの存在を示すステップを一般的に含む。
【0232】
別の実施形態により、本発明は、患者からの生体試料における本発明のHIV抗体の存在を検出する方法を提供する。検出方法は、患者から生体試料を、例えば、血液、血清、唾液、尿、喀痰、細胞スワブ試料または組織生検などを得るステップ、およびHIV抗体もしくはその断片、またはHIV抗体をコードする核酸を単離するステップ、および生体試料におけるHIV抗体の存在について検査するステップを一般的に含む。さらに、本発明は、細胞においてHIV抗体のヌクレオチド配列を検出する方法を提供する。HIV抗体のヌクレオチド配列は、本明細書に開示されるプライマーを使用して検出することもできる。患者からの生体試料中のHIV抗体の存在は、公知の組換え技術を利用しておよび/または質量分析計の使用により判定することができる。
【0233】
一部の実施形態では、診断または検出の方法で使用するための抗HIV抗体が提供される。さらなる態様では、生体試料中のHIVの存在を検出する方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、HIVへの抗HIV抗体の結合を許容する条件下で生体試料を本明細書に記載される抗HIV抗体と接触させるステップ、および複合体が抗HIV抗体とHIVの間で形成されるかどうか検出するステップを含む。そのような方法は、in vitroまたはin vivoの方法であってもよい。一部の実施形態では、抗HIV抗体は、例えばHIVが患者の選択のためのバイオマーカーである場合に、抗HIV抗体による療法に適格な対象を選択するために使用される。
【0234】
本発明の抗体を使用して診断することができる例示的な障害には、AIDSを含む、HIVの感染によって特徴付けられる障害が含まれる。
【0235】
一部の実施形態では、標識された抗HIV抗体が提供される。標識には、限定されずに、直接的に検出される標識または部分(例えば、蛍光性、発色性、高電子密度、化学発光および放射性の標識)、ならびに、例えば酵素反応または分子相互作用を通して間接的に検出される部分(例えば、酵素またはリガンド)が含まれる。例示的な標識には、放射性同位体(例えば、
32P、
14C、
125I、
3Hおよび
131I)、蛍光体(例えば、希土類キレートまたはフルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ(luceriferases)(例えば、米国特許第4,737,456号を参照)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリ性ホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、色素前駆体を酸化するために過酸化水素を用いる酵素とカップリングされたサッカライドオキシダーゼ、ヘテロサイクリックオキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定したフリーラジカルなどが含まれる。
医薬製剤
【0236】
所望の純度を有するそのような抗体を、1つまたは複数の任意選択の薬学的に許容される担体(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences 16版、Osol, A.編(1980年)を参照)と、凍結乾燥製剤または水溶液の形で混合することによって調製される、本明細書に記載される抗HIV抗体の医薬製剤も提供される。薬学的に許容される担体は、用いられる投薬量および濃度でレシピエントに一般に無毒である。例示的な医薬用の許容される担体には、緩衝液(例えば、リン酸、クエン酸および他の有機酸);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸およびメチオニン);保存剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム);塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン(例えば、メチルまたはプロピルパラベン);カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリシン);単糖、二糖および他の炭水化物(例えば、グルコース、マンノースまたはデキストリン);キレート剤(例えば、EDTA);糖(例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール);塩形成性対イオン(例えば、ナトリウム);金属錯体(例えば、Zn−タンパク質複合体);ならびに/または非イオン性界面活性剤(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))が含まれる。本明細書の例示的な薬学的に許容される担体には、間質性薬物分散剤(例えば、可溶性中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP))がさらに含まれる(例えば、米国特許公開番号US2005/0260186およびUS2006/0104968を参照)。一態様では、sHASEGPは、1つまたは複数の追加のグリコサミノグリカナーゼ(例えば、コンドロイチン分解酵素)と組み合わされる。
【0237】
抗HIV抗体もしくはその断片、および/または融合タンパク質、および/またはキメラ受容体、および/またはその分子を発現する工学操作細胞を含む医薬製剤も提供される。医薬組成物および製剤は、1つまたは複数の任意選択の薬学的に許容される担体または賦形剤を一般的に含む。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも1つの追加の治療剤を含む。
【0238】
用語「医薬製剤」は、そこに含有される有効成分の生物学的活性を有効にするような形態であり、製剤が投与される対象に許容されないほど毒性である追加の構成成分を含有しない調製物を指す。
【0239】
「薬学的に許容される担体」は、医薬製剤中の、有効成分以外の対象に無毒である成分を指す。薬学的に許容される担体には、限定されずに、緩衝液、賦形剤、安定剤または保存剤が含まれる。
【0240】
一部の態様では、担体の選択は、特定の細胞、結合性分子、および/もしくは抗体、ならびに/または投与方法によって一部決定される。したがって、様々な適する製剤がある。例えば、医薬組成物は、保存剤を含有することができる。適する保存剤には、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウムを含めることができる。一部の態様では、2つまたはそれより多い保存剤の混合物が使用される。保存剤またはそれらの混合物は、全体の組成物の約0.0001重量%から約2重量%の量で一般的に存在する。
【0241】
一部の態様での緩衝剤は、組成物中に含まれる。適する緩衝剤には、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウムならびに様々な他の酸および塩が含まれる。一部の態様では、2つまたはそれより多い緩衝剤の混合物が使用される。緩衝剤またはそれらの混合物は、全体の組成物の約0.001重量%から約4重量%の量で一般的に存在する。投与可能な医薬組成物を調製するための方法が、公知である。例示的な方法は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、Lippincott Williams & Wilkins;第21版(2005年5月1日)でより詳細に記載される。
【0242】
抗体の製剤には、凍結乾燥製剤および水溶液を含めることができる。
【0243】
製剤または組成物は、抗体もしくはその断片、または細胞、好ましくは、それぞれの活性がお互いに悪影響を与えない場合に抗体もしくはその断片、または細胞に相補的な活性を有するもの、で処置される特定の適応症、疾患または状態に有益な1つより多い有効成分を含有することもできる。一部の実施形態では、製剤は、ウイルス負荷を処置、改善、管理、低減するための、または特定の適応症(例えば、HIV感染またはAIDS)の疾患重症度を軽くするための成分を、必要に応じて含むこともできる。そのような有効成分は、意図した目的のために有効な量で組み合わされて好適に存在する。したがって、一部の実施形態では、医薬組成物は、抗ウイルス剤などの他の薬学的に活性な薬剤または薬物をさらに含む。一部の実施形態では、細胞または抗体は、塩、例えば薬学的に許容される塩の形で投与される。適する薬学的に許容される酸付加塩には、鉱酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸、ならびに有機酸、例えば酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸およびアリールスルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸に由来するものが含まれる。
【0244】
抗体製剤は凍結乾燥することができる(例えば、米国特許第6,267,958号を参照)。抗体製剤は、水性抗体であってよい(例えば、米国特許第6,171,586号およびWO06/044908を参照)。
【0245】
有効成分は、マイクロカプセル(例えば、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート))に取り込むことができる。有効成分は、コロイド状薬物送達系のマイクロカプセル(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)に、またはマクロエマルジョンに取り込むことができる。徐放性調製物を調製することができる。徐放性調製物の適する例には、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、そのマトリックスは造形品(例えば、フィルムまたはマイクロカプセル)の形である。
【0246】
一部の態様での医薬組成物は、組成物の送達が処置部位の感作の前に、およびそれを引き起こすのに十分な時間で起こるように、持続的放出、遅延型放出および徐放性の送達系を用いることができる。多くのタイプの放出送達系が利用可能で、公知である。そのような系は、組成物の反復投与を避けることができ、それによって対象および医師への利便性を増加させる。
【0247】
一部の実施形態での医薬組成物は、抗体もしくはその断片、および/または細胞を、疾患または状態を処置または予防するのに有効な量、例えば治療的に有効なまたは予防的に有効な量で含有する。一部の実施形態での治療または予防的効能は、処置される対象の定期的な調査によってモニタリングされる。数日にわたるまたはそれより長い反復投与のために、状態により、処置は疾患症状の所望の抑制が起こるまで反復される。しかし、他の投薬レジメンが有益かもしれず、決定することができる。所望の投薬量は、組成物の単回のボーラス投与によって、組成物の複数回のボーラス投与によって、または組成物の連続的注入投与によって送達することができる。
【0248】
ある特定の実施形態では、抗体またはその断片を含有する遺伝子操作された細胞との関連で、対象は、約100万から約1,000億個の範囲の細胞、例えば、100万から約500億個の細胞(例えば、約500万個の細胞、約2,500万個の細胞、約5億個の細胞、約10億個の細胞、約50億個の細胞、約200億個の細胞、約300億個の細胞、約400億個の細胞、または上の値のうちの任意の2つによって規定される範囲)など、例えば、約1,000万から約1,000億個の細胞(例えば、約2,000万個の細胞、約3,000万個の細胞、約4,000万個の細胞、約6,000万個の細胞、約7,000万個の細胞、約8,000万個の細胞、約9,000万個の細胞、約100億個の細胞、約250億個の細胞、約500億個の細胞、約750億個の細胞、約900億個の細胞、または上の値のうちの任意の2つによって規定される範囲)、および、一部の場合には約1億個の細胞から約500億個の細胞(例えば、約1億2,000万個の細胞、約2億5,000万個の細胞、約3億5,000万個の細胞、約4億5,000万個の細胞、約6億5,000万個の細胞、約8億個の細胞、約9億個の細胞、約30億個の細胞、約300億個の細胞、約450億個の細胞)または、これらの範囲の間の任意の値および/または対象の体重1キログラムあたりのそのような細胞数を投与される。
【0249】
組成物は、標準の投与技術、製剤および/またはデバイスを使用して投与することができる。組成物の保存および投与のための製剤およびデバイス、例えばシリンジおよびバイアルが提供される。細胞の投与は、自家または異種であってよい。例えば、免疫応答細胞または前駆体は、1つの対象から得ることができ、同じ対象または異なる、適合する対象に投与することができる。末梢血から派生させた免疫応答細胞またはそれらの後代(例えば、in vivo、ex vivoまたはin vitroで派生させたもの)は、局所注射、例えばカテーテル投与、全身性注射、局所注射、静脈内注射または非経口投与を通して投与することができる。治療組成物(例えば、遺伝子改変免疫応答細胞を含有する医薬組成物)を投与するとき、それは、単位投薬量注射可能形態(溶液、懸濁液、乳剤)で一般的に製剤化される。
【0250】
製剤には、経口、静脈内、腹腔内、皮下、肺、経皮、筋肉内、鼻腔内、口内、舌下または坐薬投与のためのものが含まれる。一部の実施形態では、細胞集団は非経口的に投与される。本明細書で使用するように、用語「非経口」は、静脈内、筋肉内、皮下、直腸、膣および腹腔内投与を含む。一部の実施形態では、細胞集団は、静脈内、腹腔内または皮下注射による末梢全身送達を使用して対象に投与される。
【0251】
一部の実施形態での組成物は、無菌の液体調製物、例えば、等張性水溶液、懸濁液、乳剤、分散液または粘性組成物として提供され、それらは、一部の態様では選択されるpHに緩衝されてもよい。液体調製物は、ゲル剤、他の粘性組成物および固体組成物より調製するのが通常容易である。さらに、液体組成物は、特に注射によって投与するのに若干より便利である。他方、粘性組成物は、特異組織とのより長い接触期間を提供するために、適当な粘度範囲内で製剤化することができる。液体または粘性組成物は担体を含むことができ、それは、例えば水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(polyoi)(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)および適するそれらの混合物を含有する溶媒または分散媒であってよい。
【0252】
無菌の注射可能な溶液は、抗体またはその断片を溶媒に、例えば適する担体、希釈剤または賦形剤、例えば無菌水、生理的食塩水、グルコース、デキストロースなどと混合して組み込むことによって調製することができる。組成物は、凍結乾燥されてもよい。組成物は、所望の投与経路および調製物によって、湿潤、分散または乳化剤(例えば、メチルセルロース)、pH緩衝剤、ゲル化または増粘添加剤、保存剤、着香料、着色剤などの補助物質を含有することができる。一部の態様では、適する調製物を調製するために、標準テキストを参照することができる。
【0253】
抗微生物性保存剤、抗酸化剤、キレート剤および緩衝液を含む、組成物の安定性および無菌性を強化する様々な添加剤を加えることができる。微生物活動の防止は、様々な抗細菌性および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって確実にすることができる。注射用医薬形態の長期吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらすことができる。
【0254】
徐放性調製物を調製することができる。徐放性調製物の適する例には、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、そのマトリックスは造形品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形である。
【0255】
in vivo投与のために使用される製剤は、一般に無菌である(例えば、滅菌濾過メンブランによる濾過による)。
治療方法および組成物
【0256】
本明細書で提供される抗HIV抗体のいずれも、治療方法で使用することができる。本発明は、ウイルス感染(例えば、HIV)に感染した哺乳動物を処置するための方法であって、前記哺乳動物に本明細書に開示されるHIV抗体を含む医薬組成物を投与するステップを含む方法を提供する。対象において、HIVウイルス価の増加、ウイルス複製、ウイルス増殖またはHIVウイルスタンパク質の量を低減するための方法が、さらに提供される。
【0257】
一態様では、医薬として使用するための抗HIV抗体が提供される。さらなる態様では、HIV感染の処置で使用するための抗HIV抗体が提供される。一部の実施形態では、抗HIV抗体はHIVを中和する。一部の実施形態では、抗HIV抗体は、広域中和抗体である。他の実施形態では、HIVはHIV−1である。一部の実施形態では、HIVはHIV−2である。他の実施形態では、HIVはHIV−1グループMである。一部の実施形態では、HIVはHIV−1グループN、HIV−1グループOおよび/またはHIV−1グループPである。他の実施形態では、HIVは、クレードA(A1および/またはA2を含む)、B、C、D、E、F(F1および/またはF2を含む)、G、H、I、J、K、またはその任意の組合せ、サブタイプもしくはCRFである。さらなる態様では、AIDSの処置で使用するための抗HIV抗体が提供される。一部の実施形態では、処置の方法で使用するための抗HIV抗体が提供される。一部の実施形態では、本発明は、抗HIV抗体の有効量を個体に投与するステップを含む、HIVに感染したかAIDSを有する個体を処置する方法で使用するための抗HIV抗体を提供する。薬剤の有効量は、必要な投薬量および期間で、所望の治療的または予防的結果を達成するのに有効な量である。そのような一実施形態では、この方法は、少なくとも1つの追加の治療剤の有効量を個体に投与するステップをさらに含む。個体は、ヒトであってよい。
【0258】
さらなる態様では、本発明は、医薬の製造または調製における抗HIV抗体の使用を提供する。一部の実施形態では、医薬は、HIV感染の処置のためである。一部の実施形態では、医薬は、AIDSの処置のためである。さらなる実施形態では、医薬は、HIV感染またはAIDSを有する個体に医薬の有効量を投与するステップを含む、HIV感染またはAIDSを処置する方法で使用するためのものである。
【0259】
さらなる態様では、本発明は、HIV感染またはAIDSを処置するための方法を提供する。一部の実施形態では、この方法は、そのようなHIV感染またはAIDSを有する個体に抗HIV抗体の有効量を投与するステップ含む。
【0260】
一部の実施形態では、感染またはAIDSのHIVは、その構成要素ウイルスの表面にgp120を発現する。
【0261】
別の実施形態により、本発明は、HIV感染を有するかまたはHIV感染の危険があるヒトまたは非ヒト霊長類の患者への、ヒトにおいてHIVに対する防御免疫応答またはHIVウイルスの低減を誘導するのに十分な量のおよびスケジュールに従っている投与のために適する、HIV抗体組成物の調製および投与のための方法を提供する。
【0262】
別の実施形態により、本発明は、本発明の少なくとも1つの抗体および薬学的に許容される担体を含むワクチンを提供する。一実施形態により、本ワクチンは、本発明に記載される少なくとも1つの抗体および薬学的に許容される担体を含むワクチンである。本ワクチンは、本明細書に記載される特徴を任意の組合せで有する複数の抗体を含むことができ、追加の抗体、例えばHIVを中和する他の利用可能な抗体をさらに含むことができる。
【0263】
ワクチン接種の後にHIV感染の様々なサブタイプの進行を予防的にまたは治療的に処置するために、組成物は、同じであるかまたは異なってもよい、本明細書に開示される抗体の1つまたは組合せであってもよいことを理解すべきである。そのような組合せは、所望の免疫によって選択することができる。抗体が動物またはヒトに投与されるとき、それは、1つまたは複数の薬学的に許容される担体、賦形剤またはアジュバントと組み合わせることができる。
【0264】
さらに、特にHIVの処置のための患者における有効レベルの判定に関して、様々な遺伝子療法プロトコールのHIVに対するin vivo効能を評価するために、適する動物モデルが利用可能で、広く実行された(Sarverら(1993年b)、上記)。これらのモデルには、マウス、サルおよびネコが含まれる。これらの動物がHIV疾患に本来感受性でないとしても、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)、リンパ節、胎児の肝臓/胸腺または他の組織で再構成されるキメラマウスモデル(例えば、SCID、bg/nu/xid、NOD/SCID、SCID−hu、免疫適格SCID−hu、骨髄切除BALB/c)を、レンチウイルスベクターまたはHIVに感染させることができ、HIV病因のモデルとして用いることができる。同様に、サル免疫欠損ウイルス(SIV)/サルモデルをネコ免疫欠損ウイルス(FIV)/ネコモデルのように用いることができる。AIDSを治療的に処置するために使用されるとき、医薬組成物は、本発明によるベクターと共に他の医薬品を含有することができる。これらの他の医薬品は、それらの伝統的な様式で(すなわち、HIV感染を処置する薬剤として)使用することができる。別の実施形態により、本発明は、単離されたHIV抗体または親和性成熟バージョンの有効量を含む抗体ベースの医薬組成物を提供し、それは、HIVウイルスの感染を低減するための予防的または治療的処置の選択肢を提供する。本発明の抗体ベースの医薬組成物は、任意の数の一般的に公知である戦略によって製剤化することができる(例えば、McGoffおよびScher、2000年、Solution Formulation of Proteins/Peptides:McNally, E.J.編、Protein Formulation and Delivery、New York、NY:Marcel Dekker;139〜158頁;AkersおよびDefilippis、2000年、Peptides and Proteins as Parenteral Solutions:Pharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins、Philadelphia、PA:Talyor and Francis;145〜177頁;Akersら、2002年、Pharm. Biotechnol.14巻:47〜127頁を参照)。
【0265】
別の実施形態では、本発明は、生体試料において高度に保存されたコンセンサス配列を含む重鎖および高度に保存されたコンセンサス配列を含む軽鎖を含むHIV抗体を検出するための方法であって、哺乳動物対象から免疫グロブリン含有生体試料を得るステップ、前記試料からHIV抗体を単離するステップ、ならびに重鎖および軽鎖の高度に保存されたコンセンサス配列を同定するステップを含む方法を提供する。生体試料は、血液、血清、唾液、尿、喀痰、細胞スワブ試料または組織生検であってよい。アミノ酸配列は、例えば、PCRおよび質量分析を含む公知の方法によって判定することができる。
【0266】
さらなる態様では、本発明は、(例えば上記の治療方法のいずれかで使用するための)本明細書で提供される抗HIV抗体のいずれかを含む医薬製剤を提供する。一部の実施形態では、医薬製剤は、本明細書で提供される抗HIV抗体のいずれかおよび薬学的に許容される担体を含む。別の実施形態では、医薬製剤は、本明細書で提供される抗HIV抗体のいずれかおよび少なくとも1つの追加の治療剤を含む。
【0267】
本明細書に記載されるような抗体またはその断片は、療法において単独で、または他の薬剤と組み合わせて使用することができる。例えば、本発明の抗体は、少なくとも1つの追加の治療剤と同時投与することができる。例えば、抗体またはその断片は、単独で、または1つもしくは1つより多い抗体(例えば、複数のまたはプールされた抗体)と組み合わせて使用することができる。例えば、抗体は、単独で、または1つもしくは複数の他の抗体(例えば、HIV中和抗体)、例えば、限定されずに、VRCO1、VRC02、VRC03、VRC−PG−04、VRC−PG−05、bl2、(CD4b)、PGT、PG9およびPG16と組み合わせて使用することができる。(Science 333巻(6049号):1633〜1637頁;Nature 477巻(7365号):466〜470頁;Science 334巻(6060号):1289〜1293頁;Science 326巻(5950号):285〜289頁;Science 334巻(6059号):1097〜1103頁;およびNature 480巻(7377号):336〜343頁を参照)。
【0268】
別の実施形態により、本発明は、ウイルス感染、例えば、HIVなどに感染した哺乳動物を処置するための方法であって、前記哺乳動物に本明細書に開示されるHIV抗体を含む医薬組成物を投与するステップを含む方法を提供する。一実施形態により、HIVに感染した哺乳動物を処置するための方法は、前記哺乳動物に本発明の抗体またはその断片を含む医薬組成物を投与するステップを含む。
【0269】
上記のそのような併用療法は、併用投与(2つまたはそれより多くの治療剤が同じかまたは別々の製剤に含まれる)、および別個の投与を包含し、後者の場合には、本発明の抗体の投与は、追加の治療剤および/またはアジュバントの投与の前、同時および/または後に起こることができる。
【0270】
養子細胞療法の方法および使用も提供される。一部の実施形態では、本方法は、対象、組織または細胞、例えば疾患、状態または障害を有するか、その危険があるかまたは有することが疑われるものへの、細胞または細胞を含有する組成物の投与を含む。一部の実施形態では、細胞、集団および組成物は、例えば養子T細胞療法などの養子細胞療法を通して処置すべき特定の疾患または状態を有する対象に投与される。一部の実施形態では、細胞または組成物は、対象に、例えば疾患または状態を有するかまたはその危険がある対象に投与される。一部の態様では、本方法は、疾患または状態の1つまたは複数の症状をそれによって処置する、例えば改善する。
【0271】
養子細胞療法のための細胞の投与のための方法は公知であり、提供される方法および組成物と共に使用することができる。例えば、養子T細胞療法の方法は、例えば、Gruenbergらに対する米国特許出願公開第2003/0170238号;Rosenbergに対する米国特許第4,690,915号;Rosenberg(2011年)Nat Rev Clin Oncol.8巻(10号):577〜85頁)に記載される。例えば、Themeliら(2013年)Nat Biotechnol.31巻(10号):928〜933頁;Tsukaharaら(2013年)Biochem Biophys Res Commun 438巻(1号):84〜9頁;Davilaら(2013年)PLoS ONE 8巻(4号):e61338を参照。
【0272】
一部の実施形態では、細胞療法、例えば養子T細胞療法などの養子細胞療法は、自家移入によって実行され、そこでは、細胞は、細胞療法を受ける予定の対象から、またはそのような対象に由来する試料から単離され、および/またはさもなければ調製される。したがって、一部の態様では、細胞は処置を必要とする対象、例えば患者に由来し、細胞は、単離およびプロセシングの後に同じ対象に投与される。
【0273】
一部の実施形態では、細胞療法、例えば養子T細胞療法などの養子細胞療法は、同種異系移入によって実行され、そこでは、細胞は、細胞療法を受ける予定のまたは最終的に受ける対象以外の対象、例えば第1の対象から単離され、および/またはさもなければ調製される。そのような実施形態では、細胞は同じ種の異なる対象、例えば第2の対象に次に投与される。一部の実施形態では、第1および第2の対象は、遺伝的に同一である。一部の実施形態では、第1および第2の対象は、遺伝的に類似している。一部の実施形態では、第2の対象は、第1の対象と同じHLAクラスまたはスーパータイプを発現する。
【0274】
一部の実施形態では、細胞、細胞集団または組成物が投与される対象は、ヒトなどの霊長類である。一部の実施形態では、霊長類はサルまたは類人猿である。対象は雄または雌であってもよく、小児、若年、青年、成年および老年対象を含む任意の適する年齢であってよい。一部の実施形態では、対象は、齧歯動物などの非霊長類哺乳動物である。一部の例では、患者または対象は、疾患、養子細胞療法のための、および/またはサイトカイン放出症候群(CRS)などの毒性の転帰を調査するための検証された動物モデルである。
【0275】
本発明の抗体(および任意の追加の治療剤)は、非経口、肺内および鼻腔内、ならびに、局所処置のために所望の場合は病巣内投与を含む、任意の適する手段によって投与することができる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内または皮下の投与が含まれる。投薬は、任意の適する経路によることができる。例えば、投薬は、注射(例えば、静脈内または皮下注射)によることができる。様々な時点での単一または複数の投与、ボーラス投与およびパルス注入を限定されずに含む、様々な投薬スケジュールが本明細書で企図される。
【0276】
本発明の抗体は、医学行動規範と一致した様式で製剤化、投薬および投与されるだろう。この関係において考慮すべき因子には、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与計画および医療施術者に公知である他の因子が含まれる。抗体は、その必要はないが、問題の障害を予防または処置するために現在使用されている1つまたは複数の薬剤と一緒に任意選択で製剤化される。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害または処置のタイプおよび上で議論される他の因子に依存する。これらは本明細書に記載されるのと同じ投薬量および投与経路で、または本明細書に記載される投薬量の約1から99%で、または適当であると経験的/臨床的に判定される任意の投薬量および任意の経路によって一般に使用される。
【0277】
疾患の予防または処置のために、本発明の抗体の適当な投薬量(単独で、または1つもしくは複数の他の追加の治療剤と組み合わせて使用されるとき)は、処置する疾患のタイプ、抗体のタイプ、疾患の重症度および経過、抗体が予防または治療目的で投与されるか、以前の療法、患者の病歴および抗体への応答、ならびに主治医の裁量に依存する。抗体は、好適には、一度にまたは一連の処置にわたって患者に投与される。約1μg/kgから15mg/kg(例えば、0.1mg/kg〜10mg/kg)の抗体が、患者への投与のための初期候補投薬量であってもよい(例えば、1回もしくは複数回の別個の投与によるかまたは連続的注入による)。日投薬量は、約1μg/kgから100mg/kgの範囲内またはそれより多くてもよい。数日にわたるまたはそれより長い反復投与のためには、処置は感染または疾患症状の所望の抑制が起こるまで一般に維持される。抗体の1つの例示的な投薬量は、約0.05mg/kgから約10mg/kgの範囲内であろう。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kgまたは10mg/kg(またはその任意の組合せ)の1回または複数回の用量を患者に投与することができる。そのような用量は、断続的に投与することができる(例えば、週ごとまたは3週ごとに)。より高い初回負荷用量と、続く1回または複数回のより低い用量を投与することができる。
【0278】
抗HIV抗体の代わりにまたはそれに加えて本発明の免疫コンジュゲートを使用して、上記の製剤または治療方法のいずれかを実行することができることが理解される。
【0279】
対象において、HIVウイルス価の増加、ウイルス複製、ウイルス増殖またはHIVウイルスタンパク質の量を低減するための方法が、さらに提供される。別の態様により、方法は、対象において、HIV価の増加、ウイルス複製または1つもしくは複数のHIV株もしくは分離株のHIVタンパク質の量を低減するのに有効なHIV抗体の量を対象に投与するステップを含む。
【0280】
別の実施形態により、本発明は、ウイルス複製または追加の宿主細胞もしくは組織へのHIV感染の拡散を低減する方法であって、哺乳動物の細胞を、gp120の上の抗原性エピトープに結合する抗体またはその一部と接触させるステップを含む方法を提供する。
【0281】
ウイルス疾患を効果的におよび安全に予防し、処置するために、受動免疫を使用することができる。(例えば、Kellerら、Clin. Microbiol. Rev.13巻:602〜14頁(2000年);Casadevall、Nat. Biotechnol.20巻:114頁(2002年);Shibataら、Nat. Med.5巻:204〜10頁(1999年);およびIgarashiら、Nat. Med.5巻:211〜16頁(1999年)を参照)。ヒトモノクローナル抗体を使用する受動免疫は、HIVの緊急予防および処置のために即時処置戦略を提供する。
【0282】
HIV関連の疾患または障害の危険がある対象には、感染した人と接触したか、または何らかの形でHIVに曝露した患者が含まれる。予防的薬剤の投与は、疾患または障害が予防されるか、または代わりにその進行が遅延されるように、HIV関連の疾患または障害に特徴的な症状の発現の前に起こることができる。
製造品
【0283】
本発明の一態様では、上記の障害の処置、予防および/または診断のために有益な材料を含有する製造品が提供される。製造品は、容器、および容器の上にまたはそれに関連してラベルまたは添付文書を含む。適する容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグ等が含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料で形成することができる。容器は、単独であるか、または状態を処置、予防および/もしくは診断するために有効な別の組成物と組み合わされる組成物を保持し、無菌アクセスポートを有することができる(例えば、容器は、静脈内溶液バッグまたは皮下注射針で穿刺可能なストッパを有するバイアルであってもよい)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本発明の抗体である。ラベルまたは添付文書は、組成物が選択された状態を処置するために使用されることを示す。さらに、製造品は、(a)本発明の抗体を含む組成物を含有する第1の容器;および(b)さらなる細胞傷害性の、さもなければ治療用の薬剤を含む組成物を含有する第2の容器を含むことができる。本発明のこの実施形態での製造品は、特定の状態を処置するために組成物を使用することができることを示す添付文書をさらに含むことができる。あるいは、またはさらに、製造品は、薬学的に許容される緩衝液、例えば静菌性注射用水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンガー液およびブドウ糖溶液を含む第2の(または第3の)容器をさらに含むことができる。それは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針およびシリンジを含む、商業的およびユーザーの見地から望ましい他の材料をさらに含むことができる。
【0284】
本発明は、表1および2に掲載されるHIV抗体の重鎖および軽鎖のポリペプチドをコードする単離された核酸配列、配列番号1〜16および65の重鎖および軽鎖の配列も含む。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
配列表
【0285】
配列番号1〜16−重鎖および軽鎖可変領域配列:
配列番号1 -
QMQLQESGPGLVKPSETLSLTCVVSGGSVSGNIWSWIRQSPGKGPEWVGFVSGEYIEYNPSLKSRLTISRDTSKNQLSLTLRSVTAADTAMYYCAKTLRARRIYGVIAFGEVYDYHYFDVWGKGTMVTVSS
配列番号2 -
TDSVASDVAMSVAPGDTATISCGEKSNGARAVQWYQQKPGQAPVLIIYNNQDRPSGIPERFSASPDAGFGTTATLTISRVEAGDEADYYCHIWDSRFPLSWVFAGGTKLTVL
配列番号3 -
QVQLQESGPGLVKPSETLSVTCSVSGDSMNNYYWTWIRQSPGKGLEWIGYVSDRASATYNPSLKSRVVISRDTSKNQLSLKLNSVTLADTAVYYCATARRGQRIYGEVAFGEFFYYYSMDVWGKGTAVTVSS
配列番号4 -
GSVTSFVRPLSVALGETASISCGRQALGSRAVQWYQHRPGQAPVLLIYNNQDRPSGIPERFSGTPDINFGTRATLTISGVEAGDEADYYCHMWDSRSGFSWSFGGATRLTVL
配列番号5 -
QLQLQESGPGLVKPPETLSLTCSVSGASINDAYWSWIRQSPGKRPEWVGYVHHSGDTNYNPSLKRRVTFSLDTAKNEVSLKLVALTAADSAVYFCARALHGKRIYGTVALGELFVYFHMDVWGKGTAVTVSS
配列番号6 -
HCTGAVSSFVSVAPGQTARITCGEESLGSRSVIWYQQRPGQAPSLIIYNNNDRPSGIPERFSGSPGSTFGTTATLTITSVEAGDEADYYCHIWDSRRPTNWVFGEGTTLTVL
配列番号7 -
QLQLQESGPGLVKPPETLSLTCSVSGASINDAYWSWIRQSPGKRPEWVGYVHHSGDTNYNPSLKRRVTFSLDTAKNEVSLKLVALTAADSAVYFCARALHGKRIYGTVALGELFVYFYMDVWGKGTAVTVSS
配列番号8 -
HCTGAVSSFVSVAPGQTARITCGEESLGSRSVIWYQQRPGQAPSLIIYNNNDRPSGIPERFSGSPGSTFGTTATLTITSVEAGDEADYYCHIWDSRRPTNWVFGEGTTLTVL
配列番号9 -
QVHLQESGPGLVKPSETLSLTCNVSGTLVRDNYWSWIRQPLGKQPEWIGYVHDSGDTNYNPSLKSRVHLSLDKSKNLVSLRLTGVTAADSAIYYCATTKHGRRIYGVVAFKEWFTYFYMDVWGKGTSVTVSS
配列番号10 -
HCTASLASSMSVSPGETAKISCGKESIGSRAVQWYQQKPGQPPSLIIYNNQDRPAGVPERFSASPDFRPGTTATLTITNVDAEDEADYYCHIYDARGGTNWVFDRGTTLTVL
配列番号11 -
QVHLQESGPGLVKPSETLSLTCNVSGTLVRDNYWSWIRQPLGKQPEWIGYVHDSGDTNYNPSLKSRVHLSLDKSKNLVSLRLTGVTAADSAIYYCATTKHGRRIYGVVAFKEWFTYFYMDVWGKGTSVTVSS
配列番号12 -
HCTGSLASSMSVSPGETAKISCGKESIGSRAVQWYQQKPGQPPSLIIYNNQDRPAGVPERFSASPDFRPGTTATLTITNVDAEDEADYYCHIYDARGGTNWVFDRGTTLTVL
配列番号13 -
QMQLQESGPGLVKPSETLSLTCSVSGASISDSYWSWFRRSPGKGLEWIGYVHKSGDTNYSPSLKSRVNLSLDASKNQVSLSLVAATAADSGKYYCARTLHGRRIYGIVAFNEWFTYFYMDVWGNGTQVTVSS
配列番号14 -
HCTASVTSDISVAPGETARISCGEKSLGSRAVQWYQHRAGQAPSLIIYNNQDRPSGIPERFSGSPDSAFGTTATLTITSVEAGDEADYYCHIWDSRVPTKWVFGGGTTLTVL
配列番号15 -
QVHLQESGPGLVKPSETLSLTCVVSGASTSGQYWSWIRQSPGKGLEWIGYRSDSGDANYNPSLKSRVIISLDTSRNQLSLNVTSVTTADTAMYFCARAQRGKRIYGVVSLGEYYHYYIMDVWGTGTPVTVSS
配列番号16 -
QVQLQESGPGLVKPSETLSVTCSVSGDSMNNYYWTWIRQSPGKGLEWIGYISDRASATYNPSLNSRVVISRDTSKNQLSLKLNSVTPADTAVYYCATARRGQRIYGEVSFGEFFYYYSMDVWGKGTAVTVSS
【0286】
配列番号17〜64−重鎖および軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列:
配列番号17 - GNIWS
配列番号18 - FVSGEYIEYNPSLKS
配列番号19 - TLRARRIYGVIAFGEVYDYHYFDV
配列番号20 - GEKSNGARAVQ
配列番号21 - NNQDRPS
配列番号22 - HIWDSRFPLSWV
配列番号23 - NYYWT
配列番号24 - YVSDRASATYNPSLKS
配列番号25 - ARRGQRIYGEVAFGEFFYYYSMDV
配列番号26 - GRQALGSRAVQ
配列番号27 - NNQDRPS
配列番号28 - HMWDSRSGFSWS
配列番号29 - GRQALGSRAVQ
配列番号30 - NNQDRPS
配列番号31 - HMWDSRSGFSWS
配列番号32 - GEESLGSRSVI
配列番号33 - NNNDRPS
配列番号34 - HIWDSRRPTNWV
配列番号35 - DAYWS
配列番号36 - YVHHSGDTNYNPSLKR
配列番号37 - ALHGKRIYGTVALGELFVYFYMDV
配列番号38 - GEESLGSRSVI
配列番号39 - NNNDRPS
配列番号40 - HIWDSRRPTNWV
配列番号41 - DNYWS
配列番号42 - YVHDSGDTNYNPSLKSV
配列番号43 - TKHGRRIYGVVAFKEWFTYFYMDV
配列番号44 - GKESIGSRAVQ
配列番号45 - NNQDRPA
配列番号46 - HIYDARGGTNWV
配列番号47 - DNYW
配列番号48 - YVHDSGDTNYNPSLKS
配列番号49 - TKHGRRIYGVVAFKEWFTYFYMDV
配列番号50 - GKESIGSRA
配列番号51 - NNQDRPA
配列番号52 - HIYDARGGTNWV
配列番号53 - DSYWS
配列番号54 - YVHKSGDTNYSPSLKS
配列番号55 - TLHGRRIYGIVAFNEWFTYFYMDV
配列番号56 - GEKSLGSRAVQ
配列番号57 - NNQDRPS
配列番号58 - HIWDSRVPTKWV
配列番号59 - GQYWS
配列番号60 - YRSDSGDANYNPSLKS
配列番号61 - AQRGKRIYGVVSLGEYYHYYIMDV
配列番号62 - NYYWT
配列番号63 - YISDRASATYNPSLNS
配列番号64 - ARRGQRIYGEVSFGEFFYYYSMDV
【0287】
配列番号65−軽鎖可変領域配列:
配列番号65 - XXXXSYVRPLSVALGETASISCGRQALGSRAVQWYQHRPGQAPILLIYNNQDRPSGIPERFSGTPDINFGTRATLTISGVEAGDEADYYCHMWDSRSGFSWSFGGATRLTVL
【0288】
配列番号66〜68−軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列:
配列番号66 - GRQALGSRAVQ
配列番号67 - NNQDRPS
配列番号68 - HMWDSRSGFSWS
【0289】
配列番号69および70−生殖系列可変領域配列:
配列番号69 -
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSISSYYWSWIRQPPGKGLEWIGYIYYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARTQQGKRIYGVVSFGDYYYYYYMDVWGKGTTVTVSS
配列番号70 - SYVLTQPPSVSVAPGQTARITCGGNNIGSKSVHWYQQKPGQAPVLVVYDDSDRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISRVEAGDEADYYCQVWDSSSDHPWVFGGGTKLTVL
【実施例】
【0290】
(実施例1)
AbV−1〜9抗体の特徴付け
HIV−1への中和抗体応答およびAbV1〜9抗体の標的エピトープをより深く理解するために、クレードA感染患者からのgpl60特異的IgGメモリー応答を支配する大きなクローンファミリーのメンバーを単離した。炭水化物およびV3ループの配列、結合親和性、中和活性および認識を、AbV−1〜9抗体のために判定した。AbV−1〜9をコードするB細胞クローンを単離するために、アッセイを実行した。AbV−1〜9クローンは、配列、結合親和性、炭水化物認識および中和活性によって区別される2つの異なる群に分離された。第1の群は、無タンパク質グリカンに検出可能に結合しないにもかかわらず、著しい効力および広範さを示す。
(実施例2)
kd値の判定
【0291】
K
dは、以下のアッセイによって記載される目的の抗体のFabバージョンおよびその抗原で実施される放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。抗原へのFabの溶液結合親和性は、非標識抗原の滴定シリーズの存在下で最小限の濃度の(
125I)標識抗原でFabを平衡させ、結合した抗原を次に抗Fab抗体でコーティングしたプレートで捕捉することによって測定される(例えば、Chenら、J. Mol. Biol.293巻:865〜881頁(1999年)を参照)。アッセイの条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を50mM炭酸ナトリウム(pH9.6)中の5μg/mlの捕捉抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、その後室温(およそ23℃)で2から5時間、PBS中の2(w/v)%ウシ血清アルブミンでブロックする。非吸着プレート(Nunc#269620)において、100pMまたは26pMの[
125I]抗原を目的のFabの段階希釈と混合する(例えば、Prestaら、Cancer Res.57巻:4593〜4599頁(1997年)における抗VEGF抗体、Fab−12の調査と一致して)。目的のFabは、その後一晩インキュベートされる;しかし、平衡に確実に到達するように、インキュベーションはより長い期間(例えば、約65時間)続いてもよい。その後、室温でのインキュベーション(例えば、1時間)のために、混合液を捕捉プレートに移す。溶液を次に除去し、PBS中の0.1%ポリソルベート20(TWEEN−20(登録商標))でプレートを8回洗浄する。プレートが乾燥したとき、150μl/ウェルの閃光物質(MICROSCINT−20(商標);Packard)を加え、10分間、プレートをTOPCOUNT(商標)ガンマ計数器(Packard)で計数する。競合結合アッセイで使用するために、最大結合の20%またはそれ未満を与える各Fabの濃度が選択される。
(実施例3)
kd値の判定
【0292】
K
dは、BIACORE(登録商標)−2000またはBIACORE(登録商標)−3000(BIAcore,Inc.、Piscataway、N.J.)を、約10応答単位(RU)の固定化抗原CM5チップと25℃で使用する表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。簡潔には、供給業者の説明書に従って、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIACORE,Inc.)を、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化する。カップリングされたタンパク質のおよそ10応答単位(RU)を達成するために、5μl/分の流速で注射する前に、抗原を10mM酢酸ナトリウム、pH4.8で5μg/ml(約0.2μM)に希釈する。抗原の注射の後、1Mのエタノールアミンを注射して未反応基をブロックする。反応速度論的測定のために、Fabの二倍段階希釈(0.78nMから500nM)を、25℃の0.05%ポリソルベート20(TWEEN−20(商標))界面活性剤を有するPBS(PBST)におよそ25μl/分の流速で注射する。会合および解離センサーグラムを同時に取り付けて、簡単な1対1のLangmuir結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluationソフトウェアバージョン3.2)を使用することによって、会合速度(kon)および解離速度(koff)を計算する。平衡解離定数(kd)は、比koff/konとして計算される。例えば、Chenら、J. Mol. Biol.293巻:865〜881頁(1999年)を参照。上記の表面プラズモン共鳴アッセイによりオン速度が106 M−1 s−1を超える場合は、オン速度は、PBS、pH7.2中の20nM抗抗原抗体(Fab形)の蛍光放出強度(励起=295nm、放出=340nm、16nm帯域通過)の増加または低下を、流動停止を備えた分光光度計(Aviv Instruments)または撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM−AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光計で測定される漸増濃度の抗原の存在下で、25℃で測定する蛍光クエンチング技術を使用して判定することができる。
(実施例4)
HIVドナー配列決定
【0293】
各々約90,000個の細胞を含有する、患者からの生体試料からの7つのアリコートを分画に分離し、対形成忠実度を分析した。PCT/US2014/028925に開示されるAbPair技術方法を使用して、分析は、約100,000個の可能な重−軽鎖対および約37,000個の高信頼度の天然の重−軽鎖対をもたらした。アリコートは、WO2012048341およびWO2012048340に開示されるAbSeq技術方法で配列決定した。
(実施例5)
新規bNAbバイオインフォマティクス発見(ドナー内類似性)
【0294】
患者17(Pt17)に由来する公知のbNAbに対する、AbV1〜9のCDR3アミノ酸類似性を判定した。偽陽性の閾値を較正して、類似性カットオフまたは閾値を生成するために、健康な患者の配列を使用した。AbV1〜9抗体の系統学的関係は、完全なアミノ酸配列を使用して公知のbNAbに対して分析した。選択された抗体の他の特徴を、生殖系列ファミリー、突然変異レベル等を含む、他の公知のbNAb配列特徴の特徴と比較した。結果:7つの高信頼度重鎖および軽鎖対ならびに推測された軽鎖対との2つの重鎖が見出された(AbV1〜9)。
(実施例6)
実施例2〜5で使用された材料および方法。
【0295】
gpl40特異的単一B細胞捕捉に続いてHIV抗体をクローニングし、産生する。様々な重鎖位置で残基を置換することによって、糖鎖操作抗体を生成する。HIV Envタンパク質に対する抗gpl40抗体の結合特性は、ELISA、SPRおよびグリカンマイクロアレイアッセイによって検査される。中和は、(i)TZM.bl細胞におけるルシフェラーゼをベースとしたアッセイ、および(ii)一次HIV−1変異体による感染を使用したPBMCをベースとしたアッセイを使用して評価される。リガンドに結合したおよび結合していないAbV1〜9の構造ならびにGL Fab断片は、高分解能への分子置換によって解析される。
単一B細胞RT−PCRおよびIg遺伝子分析
【0296】
患者からのgpl40
+CD19
+IgG
+B細胞の単細胞選別を実行する。PBMC、cDNA合成およびIg遺伝子のネステッドPCR増幅を実行する。AbV1〜9クローン変異体によって発現されるIgk遺伝子を、PCR増幅する。全てのPCR生成物を配列決定し、Ig遺伝子使用、CDR3分析およびV
H/V
K体細胞性超変異の数について分析する。ClustalW分析機能を有するMacVectorプログラムを使用して複数の配列アラインメントを実行し、近隣結合方法によってデンドログラムを生成するために使用する。あるいは、UPGMA方法を使用してデンドログラムを生成する。
【0297】
AbV1〜9抗体の生殖系列(GL)前駆体遺伝子セグメントは、IgBLASTおよびIMGTdVV−QUESTを使用して同定される。代表的GL先祖配列を構築するために、IgBLASTを使用して、最少の体細胞性超変異を含有する抗体のIgHおよびIgL配列をGL配列に整列させる。GL IgH配列は、成熟したV
HおよびJ
H遺伝子セグメントをそれらのGL対応物で置き換え、N領域ヌクレオチドおよびD
H遺伝子セグメントを含むCDRH3領域の10〜996配列を使用することによって構築される。GL IgL配列は、V
L3−21
*02およびJ
L3
*02遺伝子セグメント配列から組み立てられる。
抗体のクローニングおよび産生
【0298】
精製され消化されたPCR生成物を、ヒトIgγ
1またはIgλ発現ベクターにクローニングした。IgHおよびIgλ遺伝子を含有するベクターを次に配列決定して、元のPCR生成物配列と比較する。部位特異的突然変異誘発(QuikChange部位特異的突然変異誘発キット;Stratagene)を使用して、変異抗体を産生する。Hisタグ付きのFabを生成するために、V
H遺伝子を6xHis−IgCyl発現ベクターにサブクローニングして、IgG1 C
H1ドメイン、続いて6x−Hisタグをコードする。突然変異抗体をコードするIgH DNA断片は、合成ミニ遺伝子(IDT)として得られ、Igγ
1発現ベクターにサブクローニングされる。
【0299】
抗体およびFab断片は、ポリエチレンイミン(PEI)沈殿方法を使用した、指数関数的に成長するHEK 293T細胞(ATCC、CRL−11268)へのIgHおよびIgL発現プラスミドの一過性のトランスフェクションによって産生される。IgG抗体は、製造業者の説明書に従ってプロテインGセファロースビーズ(GE Healthcare)を使用して親和性精製される。Fab断片は、下記のようにHisPur(商標)コバルト樹脂(Thermo scientific)を使用して親和性精製される。
HIV−1 Envタンパク質
【0300】
製造業者の説明書に従ってQuikChange部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene)を使用して、アラニン突然変異をpYU−2 gp120ベクターに導入する。単一のアラニン突然変異をpYU−2 gp120
mutantベクターに導入することによって二重グリカン突然変異体を生成するために、同じ手順が使用される。部位特異的突然変異は、DNA配列決定によって検証される。
【0301】
YU−2 gpl40、YU−2 gp120、HXB2c gp120
core、HXB2c 2CCコアタンパク質およびYU−2 gp120突然変異タンパク質をコードする発現ベクターが、HEK 293T細胞にトランスフェクトするために使用される。高マンノースのみのYU−2 gp120タンパク質を産生するために、25μMのキフネンシン(Enzo Life Sciences)がトランスフェクション時に加えられる。培養上清を収集し、10mMイミダゾール、50mMリン酸ナトリウム、300mM塩化ナトリウム;pH7.4への試料の緩衝液交換を可能にした遠心分離をベースとした濾過デバイスを使用して濃縮する。製造業者の説明書に従ってHisPur(商標)コバルト樹脂(Thermo scientific)を使用して、親和性クロマトグラフィーによってタンパク質を精製する。
【0302】
脱グリコシル反応のために、PBS中の50μgのHEK 293T細胞産生YU−2 gp120を、変性剤なしのそれらのそれぞれの反応緩衝液中の200UのPNGase F(New England Biolabs)または10,000UのEndo H
f(New England Biolabs)により、37℃で一晩消化する。遠心分離フィルター(Amicon(登録商標)ウルトラ、Millipore)を使用したPBSへの緩衝液交換の後、グリコシダーゼ処置g120(200ng)を、4〜12%NuPAGEゲル(Invitrogen)を使用したSDS−PAGEによって、続いて銀染色(Pierce銀染色キット、Thermo Scientific)によって検査する。
ELISA
【0303】
高結合性96ウェルELISAプレート(Costar)を、PBS中の精製されたgp120の100ng/ウェルで一晩コーティングする。洗浄の後、プレートを2%BSA、1μMのEDTA、0.05%Tween−PBS(ブロッキング緩衝液)で2時間ブロックし、PBS中の26.7nMおよび7連続1:4希釈の濃度でIgGと2時間、次にインキュベートする。洗浄の後、ヤギHRPコンジュゲート抗ヒトIgG抗体(Jackson ImmunoReseach)(ブロッキング緩衝液に0.8μg/ml)との1時間のインキュベーションによって、およびHRP発色性基質(ABTS溶液、Invitrogen)の添加によってプレートを発色させた。選択されたgp120重複ペプチドへの抗体結合は、以前に記載されたペプチド−ELISA方法を使用して試験される。
【0304】
競合ELISAのために、gp120コーティングプレートをブロッキング緩衝液で2時間ブロックし、次にPBS中の抗体競合者の1:2の連続希釈溶液中のビオチン化抗体と2時間インキュベートする(5.2から667nMのIgG濃度範囲)。HRPコンジュゲートストレプトアビジン(Jackson ImmunoReseach)(ブロッキング緩衝液に0.8μg/ml)を使用して、プレートを前記のように発色させる。全ての実験は、少なくとも2反復で実行される。
グリカンマイクロアレイ分析
【0305】
2反復で2つのレベル(2および5fmol/スポット)でニトロセルロースコーティングガラススライドの上に脂質に連結されたグリカンプローブ(ネオ糖脂質)をロボットにより印刷することによって、マイクロアレイを生成する。高マンノースおよび複合体型のN−グリカンに由来する15個のネオ糖脂質を含有するマイクロアレイで、結合アッセイを実行する。簡潔には、抗体を50μg/mlで試験し、ビオチン化抗ヒトIgG(Vector)で、続いてAlexaFluor647標識ストレプトアビジン(Molecular Probes)で結合を検出する。
表面プラズモン共鳴
【0306】
Biacore T100(Biacore,Inc.)を使用して、実験を実行する。簡潔には、YU−2 gp140およびgp120タンパク質は、300RUのカップリング密度でCM5チップ(Biacore,Inc.)の上にカップリングした一級アミンである。抗gp120 IgGおよび生殖系列前駆体(GL)は、35μl/分の流量でそれぞれ1μMおよび10μMでフローセルの上に注射され、会合相は3分で解離相は5分である。センサー表面は、50μl/分の流量で10mMグリシン−HCl、pH2.5の30秒間の注射によって再生される。解離(k
d(s
−1))、会合(k
&(M
−1s
−1)および結合定数(K
D、(M)またはK
A(M
−1)は、バルク反射指数(RI)補正(Biacore T100評価ソフトウェア)なしで1:1の結合モデルを使用したバックグラウンドの減算の後に、動態分析から計算される。
中和アッセイ
【0307】
TZM.blでのルシフェラーゼをベースとしたアッセイを使用して、ウイルス中和を評価する。試験するHIV−1偽ウイルスは、大部分は段2および段3ウイルスを含有する。25μMのキフネンシン(Enzo Life Sciences)で処置した野生型細胞で、またはHEK293 S GnTI
−/−細胞で、高マンノースのみの偽ウイルスが産生される。最大半減阻害が観察される濃度(IC
50値)を計算するために、非線形回帰分析が使用される。中和活性は、1985年から1989年(歴史的n=14)または2003年から2006年(同時代、n=21)の間の公知の血清転換日を有するクレードB感染ドナーから単離された一次HIV−1変異体(n=95)による感染を使用した、以前に特徴付けられたPBMCをベースとしたアッセイでも評価される。
【0308】
各抗体の中和活性は、GraphPadプリズムソフトウェアを使用してベストフィット曲線下面積として計算され、それは、0.001から50μg/mlの範囲内であるIC
50値の上に中和されるウイルスの割合をあてはめる。最高値によって全てのAUC値を正規化することによって、相対的な曲線下面積(RAUC)値が導かれる。
統計分析
【0309】
統計分析は、GraphPadプリズムソフトウェアで実行される。gp120およびgpl40への抗体の見かけの結合親和性に対する、ウイルス株の選択されたパネルに対するTZM−blアッセイでの中和効力を、スピアマンの相関検定を使用して分析する。以下を比較するために、マンホイットニー検定を使用する:(i)抗体のgp120/gpl40親和性、ならびに(ii)歴史的および同時代の血清転換体から単離されるウイルスに対する中和活性。
結晶化および構造決定
【0310】
結晶化のための6x−Hisタグ付きAbV1〜9 Fabを発現させる。Fabは、逐次的なNi−NTA親和性(Qiagen)およびSuperdex200 10/300(GE Healthcare)サイズ排除クロマトグラフィーによって、一時的にトランスフェクトされたHEK 293−6E細胞の上清から精製される。非リガンド結合PGT121 Fabの結晶のために、プロテインA親和性クロマトグラフィー(Pierce)によって、一時的にトランスフェクトされたHEK 293−6E細胞の上清からPGT121 IgGを単離し、IgGのパパイン切断およびSuperdex200 10/300(GE Healthcare)サイズ排除クロマトグラフィーを使用したさらなる精製によってFab断片を得る。
【0311】
精製されたFabは、PBS緩衝液中に8〜20mg/mLまで濃縮される。「リガンド結合」AbV1〜9 Fab結晶は、3倍モル過剰のNA2グリカンと混合されるタンパク質試料から調製され(最終濃度:15mg/mL)、20℃で2時間インキュベートされる。1:1のタンパク質対レザバー比を使用して、400nLのドロップにおいてMosquito(登録商標)結晶化ロボット(TTP labs)を使用して、20℃で結晶化状態をスクリーニングする。非リガンド結合AbV1〜9 Fabの結晶は、24%PEG4,000、0.1Mトリス−HCl pH8.5、10mMのCuCl
2において得られ、リガンド結合AbV1〜9 Fabの結晶は、17%PEG10,000、0.1Mビス−トリスpH5.5、0.1MのCH
3COOHNH
4中で成長する。AbV1〜9 Fabの結晶は25%PEG3,350、0.1Mビス−トリスpH5.5、0.2MのNaClにおいて得られ、GL Fabの結晶は20%PEG3,350、0.24Mマロン酸ナトリウムpH7.0、10mMのMnCl
2中で成長する。20%グリセロールまたは20%エチレングリコールを含有する母液に浸し、その後液体窒素でフラッシュ冷却することによって、結晶を凍結保護する。
【0312】
Pilatus 6Mピクセル検出器(Dectris)によりビームライン12−2で回折データを収集する。データを指数化し、統合し、XDSを使用してスケーリングする。非リガンド結合AbV1〜9 Fab結晶から得られるデータを使用して、CDRH3およびCDRL3ループの残基を削除した後に、2つの検索モデル、PGT128 FabのC
H−C
Lドメイン(PDBコード3PV3)および2F5のV
H−V
Lドメイン(PDBコード3 ID J)を使用して非対称単位につき1つのFabのための分子置換解法を見出すために、Phenixが使用される。その後、非リガンド結合AbV1〜9構造は、リガンド結合AbV1〜9 Fab(非対称単位につき1つのFab)およびGL(非対称単位につき4つのFab)のための分子置換解法を見出す検索モデルとして使用される。
【0313】
Phenixを使用し、またCootを使用してモデルを電子密度地図に手動でフィッティングし反復的精密化(GLのための非結晶学的左右対称制限を含む)を実行する。分子可視化のために、およびFab構造の像を生成するために、PyMOLを使用する。1.4Aプローブを使用したAreaimol(CCP4 Suite)で、埋没表面積の計算を実行する。Fab構造は、PyMOLのスーパースクリプトを使用して整列させる。ペアワイズCaアラインメントは、PDBeFoldを使用して実行される。
(実施例7)
新しい特異変異体の同定
【0314】
餌としてYU−2 gp140トリマーを使用して、クレードA感染アフリカ人ドナーから、AbV1〜9クローン型gp140特異的IgG記憶B細胞の優勢および多様性を単離する。特異なクローンファミリーに相当する、対応する免疫グロブリン重鎖(IgH)および軽鎖(IgL)遺伝子を同定する。IgH遺伝子における高レベルの超変異と一致して、増幅されたIg遺伝子は高度に突然変異して、ヌクレオチド変更を有する。
【0315】
新しい特異変異体が発現され、ELISAおよび表面プラズモン共鳴(SPR)によってYU−2 gp120およびgpl40への結合を実証することができる。特に明記しない限り、これらのおよび他の実験のためのgp120およびgpl40タンパク質は、複合体型または高マンノースN−グリカンをPNGSに付着することができる哺乳動物の細胞において発現される。
(実施例8)
抗原認識におけるV3ループの役割
【0316】
AbV1〜9抗体による抗原認識におけるV3の役割を検査する。V1〜V3ループ(gp120
core)を欠いているまたはV3の一部(2CCコア)を保持するHXB2 gp120コアタンパク質を使用し、V3ステム(gp120
GD324_5AA)に二重アラニン置換を有するYU−2 gp120突然変異タンパク質を使用して、ELISAを実行する。抗体は、無傷のYU−2 gp120と比較してV3ループおよびgp120
GD324 5AAを欠く変異体に対して減少した反応性を示すことがあり、AbV1〜9による認識にはV3ループの近くのタンパク質決定因子が関与することを示唆しているかもしれない。抗体のいずれも、V3にわたる重複ペプチドと結合することができず、標的化エピトープが不連続であることおよび/または単離されたペプチドによって達成されない特定の立体配座を必要とすることを示唆している可能性がある。
【0317】
AbV1〜9抗体による全体的グリカン認識を比較するために、複合体型および高マンノースのN−グリカンの両方を切断するPNGase Fで処置したYU−2 gp120へのそれらの結合を検査する。それが変性されない限りgp120を酵素的に完全に脱グリコシル化することができないので、PNGase F処置は、天然の形で折り畳まれたgp120の部分的脱グリコシルをもたらす。それにもかかわらず、抗体の各群の反応性は、PNGase Fによるgp120の部分的脱グリコシルがAbV1〜9抗体の結合活性を減少させることができるという点で、異なることができる。高マンノースN−グリカンを切断するが複合体型N−グリカンを切断せず、AbV1〜9抗体よりも他の抗体の結合により影響する可能性があるEndo Hで処置したYU−2 gp120で類似の実験を実行する。
【0318】
いくつかのAbV1〜9抗体が様々な複合体型の一または二分岐N−グリカンへの検出可能な結合を示すことを、N−グリカンマイクロアレイは明らかにすることができる。競合ELISAによって各群の2つの代表的メンバーで、エピトープマッピング実験を実行する。抗体は、交差競合を示すことができる。標的化エピトープをさらにマッピングするために、V3ループの頂部、CD4b、共受容体結合部位、高マンノースN−グリカンの布置(2G12)、または301および332位のV3ループおよびN連結グリカンを認識する抗gp120抗体を使用する。抗V3頂部抗体は、これらの抗体の一部の結合を阻害することができるが、他はできない。
(実施例9)
広域の、強力なHIV中和
【0319】
AbV1〜9変異体の中和活性を評価するために、TZM−bl細胞のHIV感染を阻害するそれらの能力を、gp120の332位のPNGSを欠く、R1166.clを含むウイルス株を使用して試験する。AbV1〜9変異体は偽ウイルスを中和し、いずれも対照を中和しない。中和活性は、HIVスパイクへの親和性と相関する。PGT121/10−1074抗体クローン型の代表的生殖系列バージョン(GL)は、g120/g140に結合すること、またはパネルの中のいかなるウイルスも中和することができず、結合および中和のために体細胞性突然変異が必要とされることを暗示する。GL軽鎖を突然変異重鎖と対形成させることは、結合または中和を救済できず、両方の突然変異鎖が抗体パラトープの適切なアセンブリーに寄与することを示唆する。
【0320】
中和困難な偽ウイルスの、拡張されたパネルに対するAbV1〜9の中和活性を比較するために、次のアッセイを実行する。予想された通り、gp120の332および/または334位(Asn332−X−Ser334/Thr334 PNGSにわたる)にアミノ酸変化を有するほとんどのウイルスは、中和に抵抗性である。このPNGSでの突然変異は、中和に抵抗性である大多数のウイルスを説明する。同等の中和活性がAbV1〜9のIgGおよびFab形について観察されており、二価性がそれらの活性に重大でないことを示唆する。
【0321】
AbV1〜9による中和におけるHIVエンベロープ上の複合体型N−グリカンの潜在的役割を評価するために、高マンノースのみのビリオンを2つの異なる方法:Man
9GlcNAc
2 N連結グリカンをもたらす、キフネンシンで処置した細胞において偽ウイルスをアセンブルすることによって、または、Man5GlcNAc
2 N連結グリカンをもたらす、HEK293 S GnTI
−/−細胞におけるアセンブリーによって産生する。AbV1〜9は、3つのキフネンシン由来の株のうちの2つを、野生型細胞において産生されるそれらの対応物と同等に中和する。GnTI
−/−細胞において産生される2つのウイルス株は、AbV1〜9に対して野生型細胞において産生されるそれらの対応物と同じくらい感受性である。複合体型N−グリカンがCD4結合部位を抗体結合から部分的に保護するという以前の報告書と一致して、GnTI
−/−細胞において産生されるウイルスは、CD4結合部位抗体により感受性である。
(実施例10)
新たに伝染したHIV−1
【0322】
1985年から1989年の間(歴史的、n=14)、または2003年から2006年の間(同時代、n=25)に血清転換した個体のコホートから単離されたクレードBウイルスを使用した末梢血単核細胞(PBMC)をベースとしたアッセイにおいて中和を評価することによって、伝染した創始者ウイルスに対するAbV1〜9の活性を試験する。AbV1〜9を、抗CD4b bNAbならびにVRCO1、PG9/PG16、bl2、2G12、4E10および2F5を含む他のbNAbと比較する。中和活性のクラスタリング分析は、2つの群への分離を示した;1つの群は、抗CD4bおよびPG9抗体を含む最も活性であるHIV中和剤を含有する。AbV1〜9は、このクレードBウイルスパネルに特別な中和効力を示す。
(実施例11)
AbV1〜9およびGLの結晶構造
【0323】
AbV1〜9抗体の間の差の構造的な決定因子を調査するために、AbV1〜9および代表的生殖系列前駆体(GL)のFab断片の結晶構造を決定する。3つのFabの間の重鎖および軽鎖可変ドメイン(V
RおよびV
L)の重ね合せは、骨格構造の保存を示し、差は、GLと比較して親和性成熟FabのCDRH3およびCDRL3ループの小さい置換に限定される。
【0324】
Asn332
gp120およびAsn301
gp120連結グリカンならびにV3を認識し、複合体型N−グリカン改変タンパク質を産生することができない細胞において発現される外部ドメイン/ミニV3ループgp120との複合体として解かれる抗体の構造について比較を行う。
(実施例12)
AbV1〜9−グリカン複合体の結晶構造
【0325】
複合体型のシアル酸付加二分岐グリカンに会合したAbV1〜9の構造は、NA2を含む条件の下で得られる結晶を使用して解かれる。
(実施例13)
グリカン接触抗体残基の置換は中和に影響する
【0326】
リガンド結合AbV1〜9構造から同定される複合体型N−グリカン接触残基の寄与を評価するために、複合体型グリカン接触残基を交換するように設計された突然変異抗体を生成する。糖鎖操作抗体は、SPRによって測定したとき、YU−2 gp120/gpl40への野生型に近い見かけの親和性を示し、両AbV1〜9によって中和されるウイルス株に由来するエンベロープスパイクへの結合を置換は破壊しないことを実証する。野生型AbV1〜9と異なって、AbV1〜9
GMは、マイクロアレイ実験においてグリカン結合を示さない。次に、野生型および糖鎖操作抗体の中和を比較するために、TZM−blをベースとしたアッセイが使用される。ウイルス株が試験される。
(実施例14)
in vivoでの抗HIV−1中和mAbの受動移入
【0327】
AbV1〜9抗HIV中和モノクローナル抗体をアカゲザルに投与し、それらに対して24時間後に2つの異なるSHIVのいずれかで直腸内に抗原投与する。60頭の抗原投与した動物から得られた結果を合わせることによって、曝露させたサルの50%でウイルス獲得を阻止した血漿中の保護中和力価は、概ね1:100である。
動物実験
【0328】
この研究で有用なマカクは、MHCクラスI Mamu−A
*01対立遺伝子に関して陰性である。白金PFX DNAポリメラーゼ(Invitrogen)を使用してそれらのV3配列をpSHIVDH12_CL7分子クローンの遺伝的背景に導入するために、SHIVAD8EOの5’および3’半分に対応するプライマーによる、R5−トロピックSHIVDH12−V3AD8 PCR突然変異誘発の構築が用いられる。ゲル精製の後、PCR生成物をT4ポリヌクレオチドキナーゼ(GibcoBRL)で処置し、平滑末端ライゲーションし、それを使用してコンピテント細胞を形質転換する。
ウイルス
【0329】
Lipofectamine2000(Invitrogen、Carlsbad、CA)を使用して293T細胞にSHIVAD8EOまたはSHIVDH12−V3AD8分子クローンを最初にトランスフェクトすることによって、ウイルス保存株を調製する。培養上清を48時間後に収集し、使用時までアリコートを−80℃で保存する。コンカナバリンAで刺激したアカゲザルPBMC(500μl中に細胞数2×10
6)をスピノキュレーションによってトランスフェクション細胞上清に1時間感染させ、同じ数/容量の活性化PBMCと混合し、培地を毎日交換して培養を少なくとも12日間維持する。ピークRT生成時間のあたりで上清培地試料をプールし、個々のウイルス保存株を調製する。
抗体
【0330】
11個のモノクローナル抗体(VRCOl、NIH45−46、45−46G54W、45−46m2、3BNC117、12A12、1NC9および8ANC195、10−1074、PGT121およびPGT126)を単離し、産生する。DEN3、デング熱ウイルスNS1特異的ヒトIgG1モノクローナル抗体または対照ヒトIgGが、この研究で陰性対照抗体として使用される。曝露前受動移入のために選択するモノクローナル抗体は、ウイルス抗原投与の24時間前に静脈内投与される。
血漿中ウイルスRNAレベルの定量化
【0331】
血漿中のウイルスRNAレベルは、リアルタイム逆転写PCRによって判定される(ABI Prism 7900HT配列検出システム;Applied Biosystems)。
血漿中抗体濃度
【0332】
組換えHIV−1JRFL gp120(Progenies Pharmaceuticals)またはHIVIIIB(Advanced Biotechnology Inc.)を使用して、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によってサル血漿中の投与されたモノクローナル抗体の濃度を判定する。簡潔には、マイクロタイタープレートをHIV−1 gp120(2μg/ml)でコーティングし、4℃で一晩インキュベートする。プレートをPBS/0.05%Tween−20で洗浄し、1(容量/容量)%BSAでブロックする。ブロッキングの後、抗体または血漿試料の段階希釈をプレートに加え、室温で1時間インキュベートする。結合は、アルカリ性ホスファターゼ(Pierce)にカップリングされたヤギ抗ヒトIgG F(ab)
2断片で検出され、SIGMAFAST OPD(Sigma−Aldrich)で可視化される。中和モノクローナル抗体の減衰半減期は、抗体投与から5日目または7日目に始まる血漿中濃度に基づく単指数関数的減衰式によって計算される。
中和アッセイ
【0333】
各mAbのin vitro効力およびアカゲザルから収集される血漿試料中に存在する中和活性は、2種類の中和アッセイによって調査される;1)偽型化抗原投与ウイルスによるTZM−bl侵入アッセイまたは複製コンピテントウイルスによる14日PBMC複製アッセイ。TZM−blアッセイのために、連続希釈のmAbまたは血漿試料を、SHIVAD8EOまたはSHIVDH12_V3AD8に由来するenv遺伝子を発現する偽型化ウイルスとインキュベートし、293T細胞に、それぞれのエンベロープタンパク質を発現するpNLenvlおよびpCMVベクターをコトランスフェクトすることによって調製される。50%>中和抑制量(IC
50)力価は、細胞対照RLUの減算の後のウイルス対照ウェルにおけるレベルと比較した相対発光単位(RLU)における50%>の低減を引き起こす希釈として計算される。SHIVDH12_V3AD8分子クローンの中和表現型(段レベル)は、サブタイプB HIV−1に対して広範囲の中和活性を示す、コホート研究からの血漿試料を使用したTZM−bl細胞アッセイによって判定される。
動物保護力価の判定および統計分析。
【0334】
ウイルス抗原投与動物の50または80%のウイルス獲得の予防をもたらす、各R5 SHIVに対する血漿中の中和力価の計算を実行する。全ての受動免疫サルを使用して滅菌免疫をin vivoで付与するのに必要とされる血漿中の力価間の関係をモデル化するためにプロビット回帰が使用され、このモデルからのp値は、尤度比検定に基づく。in vivo保護の異なるレベル(33%、50%、80%、90%および95%>)のために必要とされる血漿中力価はプロビットモデル推定値から判定され、90%>信頼区間の構築のためにブートストラッピングの方法が使用される。
【0335】
受動移入実験のためのプロトコールは、漸減量の中和mAbを静脈内投与し、24時間後に直腸内経由で動物を抗原投与することである。目標は、個々のマカクへのヒト化抗HIV mAbの反復投与がそれらの効力を低減すること、および/またはおそらくアナフィラキシー性応答を誘導することができるかもしれないという知識と相まって、ウイルス獲得をブロックすることであり、単回接種の後にin vivo感染を確立するのに十分なサイズのSHIV抗原投与量が選択される。
【0336】
第1の受動移入実験のための対照として、抗デング熱ウイルスNS1 IgG1 mAbを動物に静脈内投与し、動物は24時間後にSHIVAD8EOで抗原投与される。VRCO1は、ウイルス獲得に対する保護について試験される第1の抗HIV−1中和mAbであり、50mg/kgの用量で2匹のマカクに投与される。2匹の接種されたマカクの1匹(DEGF)は、SHIVAD8EO抗原投与から完全に保護されている。50mg/kg VRCO1の他のレシピエント(DEH3)は感染するが、ピーク血漿ウイルス血症である。2匹の追加のマカクはVRCO1のより低い量(20mg/kg)が投与され、SHIVAD8EO抗原投与から保護されていない。SHIVDH12−V3AD8獲得をブロックするVRCO1およびAbV1〜9 mAbの能力を、同様に評価する。
【0337】
受動移入したマカクから様々な時間に収集される血漿試料をHIV−1 gp120 ELISAによって分析して、中和mAb濃度を判定する。一般的に、抗原投与時点(抗体投与の24時間後)の各mAbの血漿中濃度は、投与される抗体の用量と相関する。
【0338】
中和力価は、マカクがSHIVAD8EOまたはSHIVDH12−V3AD8で抗原投与される、mAb投与の24時間後に収集される血漿試料で測定される。抗原投与サルの50%においてウイルス獲得を阻止するために必要な血漿で測定される中和力価を、次に計算する。
(実施例15)
慢性感染したHIV in vivoモデルへの中和mAbの投与
【0339】
SHIVAD8EOに対する広域作用中和mAbの中和活性は、SHIVAD8EOに対するTZM−bl細胞系において最初に判定される。R5−トロピックSHIVAD8EOで抗原投与される慢性感染動物においてウイルス獲得をブロックする、または血漿ウイルス血症を制御するそれらの能力は、血漿ウイルス負荷および細胞関連ウイルス核酸をモニタリングすることによって調査される;CD4+T細胞サブセットのレベルは、フローサイトメトリーによって測定される。循環ウイルス変異体のSGA分析および血漿中の抗体レベルの判定。NAbの血漿中濃度は、10−1074または3BNC117のいずれかだけに感受性であるHIV−1偽ウイルス調製物に対する中和活性を測定することによって、判定される。
(実施例16)
454配列決定ライブラリー調製物
【0340】
10μLの全RNAおよび2μLのRTプライマーミックス(50μMオリゴdTおよび25μMランダムヘキサマー)で、逆転写を実行する。混合物を95℃で1分間、65℃で5分間加熱し、次に氷上で1分間冷却する。反応ごとに、4μLの5×FS緩衝液、1μLの10mM dNTPミックス、1μLの0.1M DTT、1μLのRNアーゼ阻害剤(Enzymatics)および1μLのスーパースクリプトIII RT(Invitrogen)でミックスが調製される。このミックスを反応に加え、25℃で10分間、35℃で5分間、55℃で45分間および85℃で5分間インキュベートする。4μLのE.coli RNアーゼH(Enzymatics)を加えることによって、RNA/DNAハイブリッドを除く。13.75μLの水、5μLのcDNA、5μLの5×HF緩衝液、0.5μLの10mM dNTP、各100μMプライマー保存液の0.25μL、および0.25μLのPhusion Hot Startを使用してPCR反応を組み立てる。98℃(60秒)、24サイクルの98℃(10秒)、62℃(20秒)および72℃(20秒)で反応を循環させ、最終伸長は72℃(5分)である。QIAquickカラムで試料を精製し、2%アガロースEゲルに流す。Qiagen MinEluteゲル抽出キットを使用して所望のバンドを精製し、10μLのEB緩衝液で2回溶出させ、2100バイオアナライザーで定量化する。454配列決定のために試料をSeqWrightに送り、それは製造業者の説明書通りに実行される。
(実施例17)
偽ウイルス産生および中和アッセイ
【0341】
偽ウイルスを産生するために、EnvをコードするプラスミドをEnv欠損ゲノム骨格プラスミド(pSG3ΔEnv)と共に、トランスフェクション試薬Fugene6(Promega)と1:2の比でコトランスフェクトする。中和アッセイで使用するために、偽ウイルスをトランスフェクションの72時間後に収集する。以前に記載されるように、中和活性は、単回複製偽ウイルスアッセイおよびTZM−bl標的細胞を使用して調査される。
(実施例18)
ヒト検体
【0342】
末梢血単核細胞(PBMC)は、ドナー17、コホートからのHIV−1感染ドナーから得る。全てのヒト試料は、適当な施設内審査委員会に承認された臨床プロトコールの下で、インフォームドコンセントにより収集される。
(実施例19)
細胞選別およびRNA抽出
【0343】
全てBD Biosciencesからのものである、パシフィックブルー標識抗CD3(UCHT1)、パシフィックブルー標識抗CD14(M5E2)、FITC標識抗CD19(HIB19)、PE−Cy5標識抗CD10(HI10a)、PE標識抗CD27(M−T271)およびAPC標識抗CD21(B−ly4)による染色の前に、10×10
6個のPBMCの冷凍バイアルを解凍し、洗浄する。選別は、高速BD FACSAriaにより、miRVana溶解緩衝液(Ambion)の中に実行される。未成熟B細胞、消耗した組織様記憶、活性化成熟B細胞、静止記憶B細胞および短寿命末梢プラズマ芽球を、以前に記載されたマーカー
31を使用して染色する。次に、miRVana RNA抽出キット(Ambion)を製造業者の説明書に従って使用して、細胞から全RNAを抽出し、2100バイオアナライザー(Agilent)で定量化する。
(実施例20)
抗体およびタンパク質の発現および精製
【0344】
抗体配列を合成して、以前に記載された重鎖および軽鎖ベクターにクローニングする。Fugene6(Promega)または293fectin(Invitrogen)をそれぞれ使用して、HEK293Tまたは293フリースタイル細胞においてプラスミドをコトランスフェクトする(1:1の比)。製造業者のプロトコールによってトランスフェクションを実行し、トランスフェクションの4日後に抗体上清を収集する。293T細胞において産生される抗体は、ELISAによって定量化され、中和アッセイにおいて直接的に使用される。293フリースタイル細胞において産生される抗体は、プロテインAカラムでさらに精製される。突然変異は、QuikChange部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene)を使用して部位特異的突然変異誘発によって導入される。組換えgp120タンパク質は293fection(Invitrogen)を使用して293フリースタイル細胞にトランスフェクトされ、Galanthus nivalisレクチンカラムで、続いてSuperdex300 26/60(GE Healthcare)を使用したサイズ排除によって精製される。
(実施例21)
細胞表面結合アッセイ
【0345】
mAbの滴定量をHIV−1 Envトランスフェクション293T細胞に加え、1×PBS中に4℃で1時間インキュベートする。洗浄後、室温で20分間、細胞を2%PFA(PolySciences)で固定する。次に細胞を洗浄し、室温で1時間、フィコエリトリンコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab’)
2(Jackson)の1:200希釈で染色する。結合は、フローサイトメトリーを使用して分析する。IC
70を与えるために必要な濃度でビオチン化抗体を加える前に競合モノクローナル抗体の量を滴定し、次にフィコエリトリン標識ストレプトアビジン(Invitrogen)との結合を測定することによって、結合競合を実行する。データ解釈のために、FlowJoソフトウェアを使用する。
(実施例22)
ELISAアッセイ
【0346】
ELISAによる結合を実行する。簡潔には、プレートをヤギ抗ヒトIgG Fc(Pierce)またはgp120でコーティングし、アルカリ性ホスファターゼ(Pierce)にコンジュゲートしたヤギ抗ヒトIgG F(ab’)
2を使用して結合を検出する。溶解したビリオンから抽出されるgp120への結合のために、プレートを5ng/μLのヒツジD7324抗gp120抗体(Aalto Bio reagents)でコーティングする。最終濃度1%のNP−40を使用してウイルス上清を溶解し、37℃で2時間、コーティングされたプレートの上でインキュベートする。アルカリ性ホスファターゼ(Pierce)にコンジュゲートしたヤギ抗ヒトIgG F(ab’)
2を使用して、検出を測定する。抗体濃度は、精製されたIgGタンパク質の標準濃度曲線を使用して線形回帰によって計算される。
(実施例23)
AbV1〜9生殖系列Fab発現、精製、結晶化およびX線回折解析
【0347】
AbV1〜9生殖系列Fabは、HEK 293T細胞で産生され、精製される。簡潔には、重鎖および軽鎖遺伝子によるトランスフェクションの3日後、発現培地を収集し、分泌されたFabは、抗ヒトλ軽鎖親和性マトリックス(CaptureSelect Fabλ;BAC)を通して、続いてカチオン交換クロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィーによって精製する。0.2M酢酸マグネシウム、20w/v%PEG8000、0.1Mカコジル酸ナトリウムpH6.5を含有する条件で、X線回折品質の結晶が得られる。結晶をマウントする前および液体窒素にフラッシュ凍結する前に、凍結保護のために母液に20%グリセロールを補う。完全なデータセットを収集する。データ処理は、XDSを使用して実行する。PGT121生殖系列構造は、PGT123 Fab構造を検索モデルとして空間群P212121でPHASERを使用して解かれる。PHENIXおよびCOOTの組合せを使用して、精密化を実行する。
(実施例24)
生データ処理:VDJアラインメントおよびクローン定義
【0348】
生の配列決定データは、パイソンに書かれた自家製のツールを使用して処理する。読み取りデータはバーコードに分け、サイズでフィルターにかけ、IMGTの生殖系列VDJ参照データベースに整列させる。非常に高度に突然変異している配列については、スコアを低く保つ。V領域を先ず整列させ、その後取り出し、Jが続き、その後取り出し、Dが続く。各読み取りデータのIMGTによって規定されるCDR3配列を、次に抽出する。CDR3配列を存在度によって選別し、USEARCH5.1でクラスター化する。最後に、これらの抗体から分岐値を判定するために、各CDR3配列をAbV1〜9の標的抗体配列と整列させる。
(実施例25)
抗体変異体の同定および分析
【0349】
公知の抗体と類似である読み取りデータを同定するツールとして、分岐−突然変異プロットを使用する。配列の高同一性クラスターおよびバックグラウンドを越えるクラスターを手動で同定し、Immunitreeによる系統学推測のためのインプットとして使用する。Immunitreeは、SHMおよび配列決定誤りの確率論モデルを含むクローンの体細胞性超変異のベイズモデルを実行し、ツリー構造、サブクローンの生/死時間、生/死、突然変異および、配列決定誤り率、サブクローンコンセンサス配列、およびノードへの読み取りデータの割当てにわたって、マルコフ連鎖モンテカルロを実行する。ツリー構造は、複数の計算のために、および異なる情報のオーバーレイのためにも使用される。所与のノードが経験する選択圧は、BASELINeアルゴリズムを使用して推定される。それは、ノードコンセンサス配列のCDR/FWRにおける交換/サイレント突然変異の観察された数を比較することによって、選択圧のベイズ推定を実行する。
(実施例26)
HIVエリートコントローラからの公知の低頻度VHVL対の回収
【0350】
対形成感度およびアッセイの精度のさらなる検証として、いくつかの稀な(10,000に1細胞未満)天然のV
HV
L対形成が既知および公知である場合に、試料を処理した。記憶B細胞がHIV中和活性を提示する抗体について近年深く探られた、HIVエリートコントローラ患者からの末梢B細胞を得た。350,000個のB細胞を処理して、合計38,620個のフィルター処理されたV
HV
L対を生成した。興味深いことに、この個体は、以前の健康な試料(
図3A)または一般的な健康な末梢B細胞レパートリーより大きな割合のIgGを示した。このデータセットからのV
H配列を、PGT121を含むこの個体からの全ての報告された広域中和抗体(bNAb)と比較し、8つの近いまたは同一のV
H配列を見出し、bNAbのこのファミリーが循環B細胞の0.03%未満に相当することを示した。決定的なことに、これらの重鎖と対になった全ての軽鎖は、予想されたような同様に稀なbNAb系統であり、以前に報告されたのと同じIgλ−V3−21/J3再配列および特質三重コドン挿入を提示したが、これは、本発明者らの方法の高い精度および感度を裏付ける。さらに、この個体からの全ての公知のおよび新たに生成されたPGT121様V
HV
L対の系統樹の上で(
図3B)、V
HおよびV
Lツリーは、著しく類似したトポロジーを示し、対のV
HおよびV
L配列は鏡のような位置を占有するが、これはおそらく共有された系統学的歴史を反映する。ここで発見された変異体対は、この規則によくあてはまる。興味深いことに、2つの公開された抗体PGT122およびPGT123は、例外として出現する;これらの2つの対形成のための裏付けは見出されなかったが、代わりにPGT122V
H:PGT123V
L様およびPGT123V
H:PGT122V
L様の対が見出され、元の報告書の未検証の対形成が解決された。8つの新規PGT様V
HV
L対の完全なV(D)J領域をコードするDNAを合成し、完全なIgGとして抗体を発現し、HIVの複数の偽株を中和するそれらの能力を試験した(
図6C)。抗体はよく発現し、ウイルスに対して強力な中和活性を全てが示し、関連する生体試料から天然の形で対になった機能的抗体変異体を迅速に生成することにおける本発明者らのアプローチの有用性を実証した。
(実施例27)
ヒト試料
【0351】
健康なレパートリー検証のための血液試料を、パーソナルゲノムプロジェクトの承認下で収集した。HIV bNAb実験のためのPBMCは、ドナー17、IAVIプロトコールGコホートからのHIV−1感染ドナーから得られた。全てのヒトHIV試料は、ルワンダ共和国全国倫理委員会、エモリー大学施設内倫理委員会、ザンビア大学研究倫理委員会、チャリングクロス研究倫理委員会、UVRI科学および倫理委員会、ニューサウスウェールズ大学研究倫理委員会、セントヴィンセント病院およびシドニー東部地域健康サービス、ケニヤッタ国立病院倫理および研究委員会、ケープタウン大学研究倫理委員会、国際施設内倫理委員会、マヒドール大学倫理委員会、ウォルター・リード軍研究施設(WRAIR)施設内倫理委員会ならびにIvory Coast Comite「National d’Ethique des Sciences de la Vie et de la Sante」(CNESVS)によって承認された臨床プロトコールの下で、書面によるインフォームドコンセントにより収集された。IRB承認プロトコールの下で書面によるインフォームドコンセントにより、単一のドナーからの、低温保存され、解離され、切除された卵巣腺癌をConversant Biologicsから得た。
(実施例28)
抗HIVキメラ抗原受容体(CART細胞)
【0352】
AbV−1〜9の抗HIV単鎖可変断片(sFvまたはscFv)バージョンのための遺伝子は、(GGGGS)3リンカーなどのリンカーによって分離される重鎖および軽鎖のコドン最適化配列の合成によって作製される。抗HIV抗体ごとに、レンチウイルスベクターなどの抗HIV CARコードベクターを作製するために、CARをコードするベクター、例えば、CD3ζシグナル伝達ドメインに融合した4−1BB由来のシグナル伝達ドメインを含むCARをコードするベクターに、scFv遺伝子が含まれる。一次CD4
+およびCD8
+T細胞に、抗HIV CARコードベクターで形質導入する。
抗HIV CARを発現するT細胞の特徴付け
【0353】
強化された抗HIV CARを形質導入したT細胞を、HIV−1感染細胞に応答して増殖するそれらの能力について試験する。抗HIV CARを形質導入したT細胞をCellTraceバイオレットで標識し、次にHIV−1
NL4−3感染細胞(例えば、Jurkat、SupT1、HEK293TまたはHeLa細胞)と共培養する。抗HIV CARを形質導入したT細胞の増殖はフローサイトメトリーによって測定され、非形質導入T細胞より増加することが示される。
【0354】
強化された抗HIV CARを形質導入したT細胞を、HIV−1感染細胞の特異的死滅を媒介するそれらの能力について試験する。抗HIV CARを形質導入したT細胞を、HIV−1感染標的細胞と共培養したときにクロム放出アッセイで検査する。HIV−1感染細胞の特異的溶解を測定し、特異的溶解は抗HIV CARを形質導入したT細胞のために起こることが示される。
CARを発現するT細胞による処置
【0355】
抗HIV CARを発現させるために、HIVに感染した対象からのT細胞に、抗HIV CARベクターで形質導入する。抗HIV CARを形質導入したT細胞を、対象に投与する。抗HIV CARの標的抗原を発現する細胞は、抗HIV CARを形質導入したT細胞によって死滅させられ、それは、対象においてHIV感染を低減もしくは消去し、および/またはその症状を低減する。