特表2018-536078(P2018-536078A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-536078(P2018-536078A)
(43)【公表日】2018年12月6日
(54)【発明の名称】快適なエラストマー材料
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20181109BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20181109BHJP
   C08K 3/38 20060101ALI20181109BHJP
   C08K 5/56 20060101ALI20181109BHJP
   C08K 3/105 20180101ALI20181109BHJP
   C08K 3/11 20180101ALI20181109BHJP
   C08K 7/02 20060101ALI20181109BHJP
【FI】
   C08L101/00
   C08K3/22
   C08K3/38
   C08K5/56
   C08K3/105
   C08K3/11
   C08K7/02
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-529168(P2018-529168)
(86)(22)【出願日】2016年6月22日
(85)【翻訳文提出日】2018年6月5日
(86)【国際出願番号】EP2016064439
(87)【国際公開番号】WO2017097439
(87)【国際公開日】20170615
(31)【優先権主張番号】15199632.9
(32)【優先日】2015年12月11日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ,ニコラ
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AA011
4J002AA021
4J002CF002
4J002CL002
4J002DD027
4J002DE106
4J002DE167
4J002DK006
4J002EZ007
4J002FA042
4J002FD187
4J002FD202
4J002FD206
4J002GC00
(57)【要約】
本発明は、皮膚に接触するように意図されたリストバンド又は計時器用部品のためのエラストマー材料に関する。このエラストマー材料は、湿気を逃がす手段を有する。本発明によると、この逃がす手段は、当該材料を通して湿気を逃がし中性化することができる親水性マイクロファイバーを有する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚に接触するように意図されたリストバンド又は計時器用部品のためのエラストマー材料であって、
当該エラストマー材料は、湿気を逃がす手段を有しており、
前記逃がす手段は、毛管作用によって当該エラストマー材料を通り抜けるように湿気を輸送し湿気を中性化するように当該エラストマー材料内にチャネルを形成する親水性マイクロファイバーを有する
ことを特徴とするエラストマー材料。
【請求項2】
酸化亜鉛と窒化ホウ素から選択される熱伝導性フィラーを含有する
ことを特徴とする請求項1に記載のエラストマー材料。
【請求項3】
有機亜鉛化合物、銀塩、又はアルミニウム塩のタイプの抗菌性添加剤を含有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエラストマー材料。
【請求項4】
ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミン、コポリエステルエラストマー、アクリルエラストマー又はスチレンエラストマーのような熱可塑性エラストマーから選ばれる材料である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエラストマー材料。
【請求項5】
フッ化エラストマー、アクリロニトリルブタジエンコポリマー、シリコーン又はエチレンプロピレンジエンモノマーのような熱加硫可能なエラストマーから選ばれる材料である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエラストマー材料。
【請求項6】
シリコーンのような冷加硫可能なエラストマーから選ばれる材料である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエラストマー材料。
【請求項7】
前記親水性マイクロファイバーは、150mTex未満の繊度を有する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のエラストマー材料。
【請求項8】
前記親水性マイクロファイバーは、ポリアミド又はポリエステルのファミリーから選ばれる合成材料によって作られている
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のエラストマー材料。
【請求項9】
前記親水性マイクロファイバーは、綿又はリネンのようなセルロース系材料、又はそのビスコースのような合成誘導体で作られている
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のエラストマー材料。
【請求項10】
前記親水性マイクロファイバーは、n個のチャネルがある断面を有し、ここで、n>2である
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のエラストマー材料。
【請求項11】
前記親水性マイクロファイバーの断面は、溝があるオブロング状の形、又はらせん状の形を有する
ことを特徴とする請求項10に記載のエラストマー材料。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のエラストマー材料によって作られた少なくとも1つの部分を有するリストバンドを製造する方法であって、
当該エラストマー材料は、少なくとも、親水性マイクロファイバー、熱伝導性フィラー及び抗菌性添加剤を含有し、
当該方法は、
前記エラストマー材料から混合物を形成する第1のステップと、
前記第1のステップで得られた混合物に、少なくとも、親水性マイクロファイバー、熱伝導性フィラー及び抗菌性添加剤を加える第2のステップと、及び
成型プロセスによって前記第2のステップにて得られた混合物からリストバンドを形成するステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項13】
前記エラストマー材料は、熱可塑性エラストマー及び加硫可能なエラストマーからなる群から選ばれる材料である
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載のリストバンドを製造する方法によって得られたリストバンドを組み立てる方法であって、
皮膚に接触するように意図されたリストバンドの第1の層を形成するステップと、及び
前記第1の層の上に審美的な層を組み立てるステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項15】
前記審美的な層は、皮革、織物、ポリマー又は他の装飾性要素である
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラストマーベースの材料の技術分野に関する。本発明は、特に、計時器を製造するためのエラストマー材料、部品を製造する方法、及び得られる部品に関する。
【背景技術】
【0002】
市場において数多くのエラストマー材料が存在しており、例えば、それらの快適さの質、ソフトな感触及び強さのために、リストバンドとしての用途が知られている。
【0003】
したがって、日本国特許出願JP2000204265によって、抗菌性を備え、老化に対して良好な耐性を示すような熱可塑性エラストマー材料を作ることが知られている。
【0004】
しかし、リストバンドや皮膚に接触する計時器用部品に用いられるエラストマー材料は、抗菌特性によって単純に不愉快な臭いを中性化するが、汗を適切に排出することができない。また、リストバンドは、摩擦や摩耗の対象となることが多く、このことによって、特定の量の抗菌物質がなくなる傾向があり、これによって、抗菌物質の有効性が落ちてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特に、これらの既知の技術の様々な課題を克服することを目的とする。
【0006】
特に、本発明は、良好な色やエージングに対する良好な耐性(UV、汗、審美性)を維持しつつ、皮膚と長期間にわたって(直接又は間接的に)接触するように意図されたエラストマー材料の部品を作るように適合する材料を提供し、快適性を改善させる特性を備えたエラストマーを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的や以下によってより明確になる他の目的は、本発明によって、皮膚に接触するように意図され湿気を逃がす手段を有するリストバンド又は計時器用の部品用のエラストマー材料によって達成される。
【0008】
本発明によると、逃がす手段は、当該材料を通して毛管作用によって湿気を輸送し湿気を中性化するために、エラストマー材料内にチャネルを形成する親水性マイクロファイバーを有する。
【0009】
本発明の他の好ましい変種にしたがうと、以下の特徴を有する。
− 当該材料は、酸化亜鉛と窒化ホウ素から選択される熱伝導性フィラーを含有する。
− 当該材料は、有機亜鉛化合物、銀塩、又はアルミニウム塩のタイプの抗菌性添加剤を含有する。
− 当該材料は、ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、コポリエステルエラストマー、アクリルエラストマー又はスチレンエラストマーからなる群から選ばれる材料である。
− 当該材料は、フッ素エラストマー、アクリロニトリルブタジエンコポリマー、シリコーン又はエチレンプロピレンジエンモノマーのような熱加硫可能なエラストマーから選ばれる材料である。
− 当該材料は、シリコーンのような冷加硫可能なエラストマーから選ばれる材料である。
− 前記親水性マイクロファイバーは、150mTex未満の繊度を有する。
− 前記親水性のマイクロファイバーは、ポリアミド又はポリエステルのファミリーから選ばれる合成材料によって作られている。
− 前記親水性マイクロファイバーは、綿又はリネンのようなセルロース系材料、又はそのビスコースのような合成誘導体で作られている。
− 前記親水性マイクロファイバーは、n個のチャネルがある断面を有し、ここで、n>2である。
− 前記親水性マイクロファイバーの断面は、溝があるオブロング状の形、又はらせん状の形を有する。
【0010】
また、本発明は、特に、本発明に係るエラストマー材料によって作られた計時器に関する。
【0011】
本発明は、さらに、少なくとも親水性マイクロファイバー、熱伝導性フィラー及び抗菌性添加剤を含有するエラストマー材料によって作られた少なくとも1つの部分を有するリストバンドを製造する方法に関する。
【0012】
当該製造方法は、
前記エラストマー材料から混合物を形成する第1のステップと、
前記第1のステップで得られた混合物に、少なくとも、親水性マイクロファイバー、熱伝導性フィラー及び抗菌性添加剤を加える第2のステップと、及び
成型プロセスによって前記第2のステップにて得られた混合物からリストバンドを形成するステップと
を有する。
【0013】
この方法によると、当該エラストマー材料は、熱可塑性エラストマー及び熱加硫又は冷加硫可能なエラストマーからなる群から選ばれる材料である。
【0014】
本発明は、さらに、本発明に係る製造方法によって得られたリストバンドを組み立てる方法に関し、
皮膚に接触するように意図されたリストバンドの第1の層を形成するステップと、及び
前記第1の層の上に審美的な層を組み立てるステップと
を有する。前記審美的な層は、皮革、織物、ポリマー又は他の装飾性要素であることができる。
【0015】
添付図面を参照しながら単なる例(これに限定されない)として与えられる本発明の特定の実施形態についての以下の説明を読むことで、本発明の他の特徴及び利点についてもより明確に理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るエラストマー材料内にある親水性ファイバーの断面図である。
図2】本発明に係るエラストマー材料内にある親水性ファイバーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、皮膚に接触するように意図され湿気を逃がす手段を有するリストバンド又は計時器用部品のためのエラストマー材料に関する。当該逃がす手段は、当該エラストマー材料を通して湿気を逃がし中性化することができる親水性マイクロファイバーを有する。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によると、当該エラストマー材料は、酸化亜鉛や六方晶系窒化ホウ素のように20W・m-1・K-1よりも大きい熱伝導度を有する熱伝導性フィラーを含有する。これらの熱伝導性フィラーの含有量は、40重量%以内であることができ、それらによって、当該エラストマー材料の導電率を増加させずに、当該エラストマー材料の熱伝導度を12W・m-1・K-1まで増加させることができる。このような熱伝導性フィラーには、体熱を良好に逃がすことができ、したがって、汗を抑えることができるという利点がある。
【0019】
本発明の好ましい態様によると、当該エラストマー材料は、有機亜鉛化合物、銀塩、アルミニウム塩のような抗菌性添加剤を含有することができ、これによって、例えば、リストバンドが皮膚に接しているときのユーザーの汗に実質的に起因する、表面及び当該エラストマー材料の内部で発展する不快な臭いを抑えたり防ぐ。
【0020】
必要に応じて、抗菌物質は、2〜6重量%の含有量でエラストマーと伝導性フィラーの混合物と組み合わさることができる。
【0021】
リストバンド又は計時器用部品のためのエラストマー材料は、ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、コポリエステルエラストマー、アクリルエラストマー、スチレンエラストマーのような一又は複数の種類の熱可塑性エラストマーから選ぶことができる。
【0022】
本発明の別の実施形態によると、当該材料は、フッ化エラストマー、アクリロニトリルブタジエンコポリマー、シリコーン、エチレンプロピレンジエンモノマーのような熱加硫可能なエラストマーからなる群から選ばれる材料である。
【0023】
本発明のさらなる別の実施形態によると、当該材料は、シリコーンのような冷加硫可能なエラストマーから選ばれる材料である。
【0024】
当該エラストマー材料の硬さは、触覚的及び機能的な要件に応じて、20ショアー00〜90ショアーDの範囲にわたって選ぶことができる。
【0025】
例えば、硬さが90ショアーDである硬いケース用の要素を成型することができ、硬い要素上の被覆としてはショアー00及びショアーAの材料を用いることが好ましい。リストバンドのようなフレキシブルな部品は、ショアーAの硬さのものによって作ることができる。
【0026】
例えば、腕時計用ケースの場合には、当該エラストマーをケースの表面上にスプレーして、当該エラストマーが、被覆としてはたらいたりオーバーモールドされたりして、柔らかい感触を与えることができる。
【0027】
本発明によると、エラストマー、伝導性フィラー及び抗菌物質の混合物が用意されて、この混合物との親和性を改善させるために前処理された親水性マイクロファイバーと混合される。必要に応じて、当該親水性マイクロファイバーの含有量は、パーコレーションしきい値に達するように、8〜25重量%である。
【0028】
思い出すために書くと、構造体の孔内で動く物質がその構造体自体を通り抜けることができる場合に、パーコレーションが発生する。本場合において、当該構造体は、当該エラストマー材料によって代表され、当該孔は親水性マイクロファイバーによって代表され、当該材料を通り抜ける物質は汗である。
【0029】
混合物におけるパーコレーションしきい値において、マイクロファイバーは互いに接触し、1000倍まで当該エラストマー材料によって形成されるマトリックスの分散力を改善するチャネルを形成し、そして、湿気は、毛管作用によって当該材料を通り抜けるように輸送され、したがって、逃がされる。
【0030】
本発明によると、当該親水性マイクロファイバーは、150mTex未満の繊度を有する。これは、H2Oタイプの分子の輸送には十分な大きさである。
【0031】
好ましいことに、当該親水性マイクロファイバーは、ポリアミド又はポリエステルのファミリーから選ばれる合成材料によって作ることができる。なぜなら、それらの合成材料は、その親水性官能基のおかげで湿気を迅速に輸送し、また、非常に迅速に乾燥するからである。
【0032】
本発明の別の実施形態によると、当該親水性ファイバーは、綿やリネンのようなセルロース系材料、又はビスコースのような合成誘導体によって作ることができる。これらも湿気を逃がすことに適している。
【0033】
本発明によると、当該マイクロファイバーは、それらにより大きな比表面積を与えるように、らせん状の断面を有することが好ましく、したがって、分散力のはたらきが速くなる。
【0034】
具体的には、図1及び2に示しているように、親水性ファイバーの断面は、n個のブレードがあるようならせん状であり、ここで、nは厳密に2よりも大きい。これによって、比表面積が大きくなり、したがって、湿気を逃がすことが促進される。
【0035】
本発明は、さらに、本発明に係るエラストマー材料によって作られた少なくとも1つのリストバンドの部分に関する。
【0036】
上に記載された混合物は、エラストマーモノ材料によって作られたリストバンドの部分を形成するように直接成型されたり、快適な二材料系のリストバンドの部分を形成するようにオーバーモールドされるされることができ、その各リストバンドの部分は、皮膚に接触する快適な材料の第1の下側部分と、及びその機能に有利な材料で作られた上側部分とを有する。また、各リストバンドの部分が、純粋に審美的な目的のために、異なる色を有するようにすることも考え得る。
【0037】
本発明は、さらに、少なくとも、親水性マイクロファイバー、熱伝導性フィラー及び抗菌性添加剤を含有するエラストマー材料によって作られた少なくとも1つの部分を有するリストバンドを製造する方法に関する。
【0038】
本発明によると、当該製造方法は、下記ステップを有する。
− エラストマー材料から混合物を形成する第1のステップ
− 第1のステップで得られた混合物に、少なくとも、親水性マイクロファイバー、熱伝導性フィラー及び抗菌性添加剤を加える第2のステップ
− 成型プロセスによって第2のステップで得られた混合物からリストバンドを形成するステップ
【0039】
当業者及び作られる部品の要件に応じて、当該エラストマー材料は、熱可塑性エラストマー、熱加硫可能又は冷加硫可能なエラストマー、又はこのような材料の混合物から選ぶことができる。
【0040】
本発明は、さらに、本発明の製造方法によって得られたリストバンドを組み立てる方法に関し、これは、下記のステップを有する。
− 本発明に係るエラストマー材料によって作られ皮膚に接触して汗を逃がすように意図されたリストバンドの第1の層を作るステップ
− 皮革、織物、ポリマー又は他の装飾性要素であることができる審美的な層を第1の層の上に組み立てるステップ
【0041】
このような快適性を改善させる有利な材料によって、計時器又は装飾品の製造が可能になる。例えば、腕輪、ストラップ又はリストバンド、バックル、ネックレス、ケース、ケース裏部、押しボタン、ループ又はベゼルである。また、眼鏡フレームの製造、特に、アーム、ブリッジ、パッドの製造のために、当該材料が非常に有利であり得ることには注目すべきである。
【0042】
もちろん、本発明は、図示した例に限定されず、当業者が思い描くことができる様々な変種や改変が可能である。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2018年6月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラストマーベースの材料の技術分野に関する。本発明は、特に、計時器を製造するためのエラストマー材料、部品を製造する方法、及び得られる部品に関する。
【背景技術】
【0002】
市場において数多くのエラストマー材料が存在しており、例えば、それらの快適さの質、ソフトな感触及び強さのために、リストバンドとしての用途が知られている。
【0003】
したがって、日本国特許出願JP2000204265によって、抗菌性を備え、老化に対して良好な耐性を示すような熱可塑性エラストマー材料を作ることが知られている。
【0004】
しかし、リストバンドや皮膚に接触する計時器用部品に用いられるエラストマー材料は、抗菌特性によって単純に不愉快な臭いを中性化するが、汗を適切に排出することができない。また、リストバンドは、摩擦や摩耗の対象となることが多く、このことによって、特定の量の抗菌物質がなくなる傾向があり、これによって、抗菌物質の有効性が落ちてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特に、これらの既知の技術の様々な課題を克服することを目的とする。
【0006】
特に、本発明は、良好な色やエージングに対する良好な耐性(UV、汗、審美性)を維持しつつ、皮膚と長期間にわたって(直接又は間接的に)接触するように意図されたエラストマー材料の部品を作るように適合する材料を提供し、快適性を改善させる特性を備えたエラストマーを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的や以下によってより明確になる他の目的は、本発明によって、皮膚に接触するように意図され湿気を逃がす手段を有するリストバンド又は計時器用の部品用のエラストマー材料によって達成される。
【0008】
本発明によると、逃がす手段は、当該材料を通して毛管作用によって湿気を輸送し湿気を中性化するために、エラストマー材料内にチャネルを形成する親水性マイクロファイバーを有する。
【0009】
本発明の他の好ましい変種にしたがうと、以下の特徴を有する。
− 当該材料は、酸化亜鉛と窒化ホウ素から選択される熱伝導性フィラーを含有する。
− 当該材料は、有機亜鉛化合物、銀塩、又はアルミニウム塩のタイプの抗菌性添加剤を含有する。
− 当該材料は、ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、コポリエステルエラストマー、アクリルエラストマー又はスチレンエラストマーからなる群から選ばれる材料である。
− 当該材料は、フッ素エラストマー、アクリロニトリルブタジエンコポリマー、シリコーン又はエチレンプロピレンジエンモノマーのような熱加硫可能なエラストマーから選ばれる材料である。
− 当該材料は、シリコーンのような冷加硫可能なエラストマーから選ばれる材料である。
− 前記親水性マイクロファイバーは、150mTex未満の繊度を有する。
− 前記親水性のマイクロファイバーは、ポリアミド又はポリエステルのファミリーから選ばれる合成材料によって作られている。
− 前記親水性マイクロファイバーは、綿又はリネンのようなセルロース系材料、又はそのビスコースのような合成誘導体で作られている。
− 前記親水性マイクロファイバーは、n個のチャネルがある断面を有し、ここで、n>2である。
− 前記親水性マイクロファイバーの断面は、溝があるオブロング状の形、又はらせん状の形を有する。
【0010】
また、本発明は、特に、本発明に係るエラストマー材料によって作られた計時器に関する。
【0011】
本発明は、さらに、少なくとも親水性マイクロファイバー、熱伝導性フィラー及び抗菌性添加剤を含有するエラストマー材料によって作られた少なくとも1つの部分を有するリストバンドを製造する方法に関する。
【0012】
当該製造方法は、
前記エラストマー材料から混合物を形成する第1のステップと、
前記第1のステップで得られた混合物に、少なくとも、親水性マイクロファイバー、熱伝導性フィラー及び抗菌性添加剤を加える第2のステップと、及び
成型プロセスによって前記第2のステップにて得られた混合物からリストバンドを形成するステップと
を有する。
【0013】
この方法によると、当該エラストマー材料は、熱可塑性エラストマー及び熱加硫又は冷加硫可能なエラストマーからなる群から選ばれる材料である。
【0014】
本発明は、さらに、本発明に係る製造方法によって得られたリストバンドを組み立てる方法に関し、
皮膚に接触するように意図されたリストバンドの第1の層を形成するステップと、及び
前記第1の層の上に審美的な層を組み立てるステップと
を有する。前記審美的な層は、皮革、織物、ポリマー又は他の装飾性要素であることができる。
【0015】
添付図面を参照しながら単なる例(これに限定されない)として与えられる本発明の特定の実施形態についての以下の説明を読むことで、本発明の他の特徴及び利点についてもより明確に理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るエラストマー材料内にある親水性ファイバーの断面図である。
図2】本発明に係るエラストマー材料内にある親水性ファイバーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、皮膚に接触するように意図され湿気を逃がす手段を有するリストバンド又は計時器用部品のためのエラストマー材料に関する。当該逃がす手段は、当該エラストマー材料を通して湿気を逃がし中性化することができる親水性マイクロファイバーを有する。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によると、当該エラストマー材料は、酸化亜鉛や六方晶系窒化ホウ素のように20W・m-1・K-1よりも大きい熱伝導度を有する熱伝導性フィラーを含有する。これらの熱伝導性フィラーの含有量は、40重量%以内であることができ、それらによって、当該エラストマー材料の導電率を増加させずに、当該エラストマー材料の熱伝導度を12W・m-1・K-1まで増加させることができる。このような熱伝導性フィラーには、体熱を良好に逃がすことができ、したがって、汗を抑えることができるという利点がある。
【0019】
本発明の好ましい態様によると、当該エラストマー材料は、有機亜鉛化合物、銀塩、アルミニウム塩のような抗菌性添加剤を含有することができ、これによって、例えば、リストバンドが皮膚に接しているときのユーザーの汗に実質的に起因する、表面及び当該エラストマー材料の内部で発展する不快な臭いを抑えたり防ぐ。
【0020】
必要に応じて、抗菌物質は、2〜6重量%の含有量でエラストマーと伝導性フィラーの混合物と組み合わさることができる。
【0021】
リストバンド又は計時器用部品のためのエラストマー材料は、ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、コポリエステルエラストマー、アクリルエラストマー、スチレンエラストマーのような一又は複数の種類の熱可塑性エラストマーから選ぶことができる。
【0022】
本発明の別の実施形態によると、当該材料は、フッ化エラストマー、アクリロニトリルブタジエンコポリマー、シリコーン、エチレンプロピレンジエンモノマーのような熱加硫可能なエラストマーからなる群から選ばれる材料である。
【0023】
本発明のさらなる別の実施形態によると、当該材料は、シリコーンのような冷加硫可能なエラストマーから選ばれる材料である。
【0024】
当該エラストマー材料の硬さは、触覚的及び機能的な要件に応じて、20ショアー00〜90ショアーDの範囲にわたって選ぶことができる。
【0025】
例えば、硬さが90ショアーDである硬いケース用の要素を成型することができ、硬い要素上の被覆としてはショアー00及びショアーAの材料を用いることが好ましい。リストバンドのようなフレキシブルな部品は、ショアーAの硬さのものによって作ることができる。
【0026】
例えば、腕時計用ケースの場合には、当該エラストマーをケースの表面上にスプレーして、当該エラストマーが、被覆としてはたらいたりオーバーモールドされたりして、柔らかい感触を与えることができる。
【0027】
本発明によると、エラストマー、伝導性フィラー及び抗菌物質の混合物が用意されて、この混合物との親和性を改善させるために前処理された親水性マイクロファイバーと混合される。必要に応じて、当該親水性マイクロファイバーの含有量は、パーコレーションしきい値に達するように、8〜25重量%である。
【0028】
思い出すために書くと、構造体の孔内で動く物質がその構造体自体を通り抜けることができる場合に、パーコレーションが発生する。本場合において、当該構造体は、当該エラストマー材料によって代表され、当該孔は親水性マイクロファイバーによって代表され、当該材料を通り抜ける物質は汗である。
【0029】
混合物におけるパーコレーションしきい値において、マイクロファイバーは互いに接触し、1000倍まで当該エラストマー材料によって形成されるマトリックスの拡散力を改善するチャネルを形成し、そして、湿気は、毛管作用によって当該材料を通り抜けるように輸送され、したがって、逃がされる。
【0030】
本発明によると、当該親水性マイクロファイバーは、150mTex未満の繊度を有する。これは、H2Oタイプの分子の輸送には十分な大きさである。
【0031】
好ましいことに、当該親水性マイクロファイバーは、ポリアミド又はポリエステルのファミリーから選ばれる合成材料によって作ることができる。なぜなら、それらの合成材料は、その親水性官能基のおかげで湿気を迅速に輸送し、また、非常に迅速に乾燥するからである。
【0032】
本発明の別の実施形態によると、当該親水性ファイバーは、綿やリネンのようなセルロース系材料、又はビスコースのような合成誘導体によって作ることができる。これらも湿気を逃がすことに適している。
【0033】
本発明によると、当該マイクロファイバーは、それらにより大きな比表面積を与えるように、らせん状の断面を有することが好ましく、したがって、拡散力のはたらきが速くなる。
【0034】
具体的には、図1及び2に示しているように、親水性ファイバーの断面は、n個のブレードがあるようならせん状であり、ここで、nは厳密に2よりも大きい。これによって、比表面積が大きくなり、したがって、湿気を逃がすことが促進される。
【0035】
本発明は、さらに、本発明に係るエラストマー材料によって作られた少なくとも1つのリストバンドの部分に関する。
【0036】
上に記載された混合物は、エラストマーモノ材料によって作られたリストバンドの部分を形成するように直接成型されたり、快適な二材料系のリストバンドの部分を形成するようにオーバーモールドされるされることができ、その各リストバンドの部分は、皮膚に接触する快適な材料の第1の下側部分と、及びその機能に有利な材料で作られた上側部分とを有する。また、各リストバンドの部分が、純粋に審美的な目的のために、異なる色を有するようにすることも考え得る。
【0037】
本発明は、さらに、少なくとも、親水性マイクロファイバー、熱伝導性フィラー及び抗菌性添加剤を含有するエラストマー材料によって作られた少なくとも1つの部分を有するリストバンドを製造する方法に関する。
【0038】
本発明によると、当該製造方法は、下記ステップを有する。
− エラストマー材料から混合物を形成する第1のステップ
− 第1のステップで得られた混合物に、少なくとも、親水性マイクロファイバー、熱伝導性フィラー及び抗菌性添加剤を加える第2のステップ
− 成型プロセスによって第2のステップで得られた混合物からリストバンドを形成するステップ
【0039】
当業者及び作られる部品の要件に応じて、当該エラストマー材料は、熱可塑性エラストマー、熱加硫可能又は冷加硫可能なエラストマー、又はこのような材料の混合物から選ぶことができる。
【0040】
本発明は、さらに、本発明の製造方法によって得られたリストバンドを組み立てる方法に関し、これは、下記のステップを有する。
− 本発明に係るエラストマー材料によって作られ皮膚に接触して汗を逃がすように意図されたリストバンドの第1の層を作るステップ
− 皮革、織物、ポリマー又は他の装飾性要素であることができる審美的な層を第1の層の上に組み立てるステップ
【0041】
このような快適性を改善させる有利な材料によって、計時器又は装飾品の製造が可能になる。例えば、腕輪、ストラップ又はリストバンド、バックル、ネックレス、ケース、ケース裏部、押しボタン、ループ又はベゼルである。また、眼鏡フレームの製造、特に、アーム、ブリッジ、パッドの製造のために、当該材料が非常に有利であり得ることには注目すべきである。
【0042】
もちろん、本発明は、図示した例に限定されず、当業者が思い描くことができる様々な変種や改変が可能である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚に接触するように意図されたリストバンド又は計時器用部品のためのエラストマー材料であって、
当該エラストマー材料は、湿気を逃がす手段を有しており、
前記逃がす手段は、ポリアミド又はポリエステルのファミリーから選択された合成材料によって作られた親水性マイクロファイバーを有し、
前記マイクロファイバーは、毛管作用によって当該エラストマー材料を通り抜けるように湿気を輸送するように、当該エラストマー材料内にチャネルを形成する
ことを特徴とするエラストマー材料。
【請求項2】
酸化亜鉛と窒化ホウ素から選択される熱伝導性フィラーを含有する
ことを特徴とする請求項1に記載のエラストマー材料。
【請求項3】
有機亜鉛化合物、銀塩、又はアルミニウム塩のタイプの抗菌性添加剤を含有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエラストマー材料。
【請求項4】
ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミン、コポリエステルエラストマー、アクリルエラストマー又はスチレンエラストマーのような熱可塑性エラストマーから選ばれる材料である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエラストマー材料。
【請求項5】
フッ化エラストマー、アクリロニトリルブタジエンコポリマー、シリコーン又はエチレンプロピレンジエンモノマーのような熱加硫可能なエラストマーから選ばれる材料である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエラストマー材料。
【請求項6】
シリコーンのような冷加硫可能なエラストマーから選ばれる材料である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエラストマー材料。
【請求項7】
前記親水性マイクロファイバーは、150mTex未満の繊度を有する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のエラストマー材料。
【請求項8】
前記親水性マイクロファイバーは、綿又はリネンのようなセルロース系材料、又はそのビスコースのような合成誘導体で作られている
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のエラストマー材料。
【請求項9】
前記親水性マイクロファイバーは、n個のチャネルがある断面を有し、ここで、n>2である
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のエラストマー材料。
【請求項10】
前記親水性マイクロファイバーの断面は、溝があるオブロング状の形、又はらせん状の形を有する
ことを特徴とする請求項9に記載のエラストマー材料。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のエラストマー材料によって作られた少なくとも1つの部分を有するリストバンドを製造する方法であって、
当該エラストマー材料は、少なくとも、親水性マイクロファイバー、熱伝導性フィラー及び抗菌性添加剤を含有し、
当該方法は、
前記エラストマー材料から混合物を形成する第1のステップと、
前記第1のステップで得られた混合物に、少なくとも、親水性マイクロファイバー、熱伝導性フィラー及び抗菌性添加剤を加える第2のステップと、及び
成型プロセスによって前記第2のステップにて得られた混合物からリストバンドを形成するステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項12】
前記エラストマー材料は、熱可塑性エラストマー及び加硫可能なエラストマーからなる群から選ばれる材料である
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のリストバンドを製造する方法によって得られたリストバンドを組み立てる方法であって、
皮膚に接触するように意図されたリストバンドの第1の層を形成するステップと、及び
前記第1の層の上に審美的な層を組み立てるステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項14】
前記審美的な層は、皮革、織物、ポリマー又は他の装飾性要素である
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【国際調査報告】