(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-537083(P2018-537083A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(54)【発明の名称】均質化したたばこ材料の生産ライン、および均質化したたばこ材料のインライン生産のための方法
(51)【国際特許分類】
A24B 3/14 20060101AFI20181122BHJP
【FI】
A24B3/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2018-522614(P2018-522614)
(86)(22)【出願日】2016年11月25日
(85)【翻訳文提出日】2018年5月1日
(86)【国際出願番号】EP2016078901
(87)【国際公開番号】WO2017089589
(87)【国際公開日】20170601
(31)【優先権主張番号】15196671.0
(32)【優先日】2015年11月27日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ロサド フランシスコ
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BA15
4B043BA40
4B043BB02
4B043BB11
4B043BB17
4B043BC02
4B043BC03
4B043BC04
4B043BC05
4B043BC23
(57)【要約】
本発明は、均質化したたばこシートの生産ラインに関連し、その生産ラインは、
o たばこ粉末ブレンド、結合剤および水溶性媒体中のエアロゾル形成体によって形成されたスラリーを含むように適合されるタンク(501)と、
o 均質化したたばこ材料を形成するためにタンクからスラリーを受けるように、またスラリーをキャスティングするように適合されるキャスト装置(600)と、
o その上で前記スラリーがキャスティングされ、搬送方向に沿って均質化したたばこ材料を搬送するように適合される移動可能な搬送支持体(606)と、
o 分けられた均質化したたばこシートを形成するために搬送方向に沿って均質化したたばこ材料をスリッティングするように適合されたキャスト装置の下流に位置するスリッタ(611)と、
o 分けられた均質化したたばこシートをスリッタから受けるように、また分けられた均質化したたばこシートのうちの少なくとも1つをボビンで巻き取るように適合されるスリッタの下流に位置する巻取ステーション(613)と、を含む。
本発明はまた、均質化したたばこシートのインライン生産のための方法に関連する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
o たばこ粉末ブレンド、結合剤および水溶性媒体中のエアロゾル形成体によって形成されたスラリーを含むように適合されるタンクと、
o 均質化したたばこ材料を形成するために、前記タンクからスラリーを受けるように、また前記スラリーをキャスティングするように適合されるキャスト装置と、
o その上で前記スラリーがキャスティングされ、搬送方向に沿って前記均質化したたばこ材料を搬送するように適合される移動可能な搬送支持体と、
o 分けられた均質化したたばこシートを形成するために、前記搬送方向に沿って前記均質化したたばこ材料をスリッティングするように適合された前記キャスト装置の下流に位置するスリッタと、
o 前記分けられた均質化したたばこシートを前記スリッタから受けるように、また前記分けられた均質化したたばこシートのうちの少なくとも1つをボビンで巻き取るように適合された前記スリッタの下流に位置する巻取ステーションと、を含む、均質化したたばこシートの生産ライン。
【請求項2】
o 前記キャスト装置の下流に、かつ前記スリッタの上流に位置し、前記均質化したたばこシートを乾燥するように適合される乾燥ステーションを含む、請求項1に記載の均質化したたばこシートの生産ライン。
【請求項3】
前記スリッタが、前記乾燥ステーションの直接下流に位置する、請求項2に記載の均質化したたばこシートの生産ライン。
【請求項4】
前記巻取ステーションが、前記スリッタの直接下流に位置する、請求項1〜3のいずれかに記載の均質化したたばこシートの生産ライン。
【請求項5】
前記移動可能な搬送支持体が、前記均質化したたばこシートを前記キャスト装置から前記スリッタに搬送する単一の連続的な移動支持体を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の均質化したたばこシートの生産ライン。
【請求項6】
前記巻取ステーションが、
o 前記ボビンの寸法または前記ボビンで巻き取られた分けられた均質化したたばこシートの量を検出し、また前記寸法または量が所与のしきい値を超えた場合に、信号を送信するように適合されるセンサーと、
o 前記ボビンが前記センサー信号に応じて交換されうるように前記ボビン内の前記分けられた均質化したたばこシートを自動的に横方向に切断するための巻取ボビン切り取り要素と、を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の均質化したたばこシートの生産ライン。
【請求項7】
前記スリッタが、少なくとも3つの分けられた均質化したたばこシートを形成するように少なくとも2つのブレードを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の均質化したたばこシートの生産ライン。
【請求項8】
前記巻取ステーションが、前記分けられた均質化したたばこシートと等しい数のいくつかのボビンホルダーを含み、ここにおいて、前記均質化したたばこシートが、前記スリッタによって切断される、請求項1〜7のいずれかに記載の均質化したたばこシートの生産ライン。
【請求項9】
o たばこ粉末ブレンド、結合剤および水溶性媒体中のエアロゾル形成体を含むスラリーを調製する工程と、
o 搬送方向に沿って移動可能な支持体において前記スラリーをキャスティングして、均質化したたばこシートを形成する工程と、
o 分けられた均質化したたばこシートを形成するように、前記均質化したたばこシートが前記搬送方向に沿って移動する間に前記均質化したたばこシートを前記搬送方向に沿ってスリッティングする工程と、
o 少なくとも1つの分けられた均質化したたばこシートをボビンで巻き取る工程と、を含む、均質化したたばこ材料のインライン生産のための方法。
【請求項10】
o 各分けられた均質化したたばこシートをボビンで巻き取る工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
o 前記分けられた均質化したたばこシートを乾燥させる工程を含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
o 前記ボビンに巻き取られ、分けられた均質化したたばこシートの量または前記ボビンの寸法を検査する工程と、
o 前記量または前記寸法が所与のしきい値を超える場合に前記ボビンを自動的に変える工程と、を含む、請求項9〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記均質化したたばこシートをスリッティングする工程が、前記均質化したたばこシートを少なくとも3つの分けられた均質化したたばこシートにスリッティングする工程を含む、請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
スラリーを調製する前記工程が、
o エアロゾル形成体中に結合剤を懸濁させて懸濁液を形成する工程と、
o セルロース繊維および水からセルロースパルプを作り出す工程と、
o たばこ粉末ブレンドを提供する工程と、
o エアロゾル形成体中の結合剤の前記懸濁液、前記セルロースパルプ、および前記たばこ粉末ブレンドを組み合わせて前記スラリーを形成する工程と、を含む、請求項9〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
スラリーを調製する前記工程が、
o セルロース繊維をパルプ化および精製して約0.2ミリメートル〜約4ミリメートルから成る平均サイズを有する繊維を得る工程と、
o 1つ以上のたばこタイプのたばこのブレンドを、約0.03ミリメートル〜約0.12ミリメートルから成る平均サイズを有するたばこ粉末に粉砕する工程と、
o スラリーを形成するために、前記パルプを、異なるたばこタイプの前記たばこ粉末ブレンドと組み合わせ、かつ前記均質化したたばこ材料の総重量の乾燥質量基準で約1パーセント〜約5パーセントから成る量で結合剤と組み合わせる工程と、
o 前記スラリーを均質化する工程と、を含む、請求項9〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
請求項9〜15の1項以上により実現される均質化したたばこ材料の一部分を含む、エアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、均質化したたばこ材料のインライン生産のための装置および方法に関連する。特に本発明は、例えば紙巻たばこ、または「加熱するが燃焼しない」タイプのたばこを含有する製品などのエアロゾル発生物品で使用するための均質化したたばこ材料を製造するための装置およびプロセスに関連する。
【背景技術】
【0002】
今日では、たばこ製品の製造では、たばこ葉の他に均質化したたばこ材料も使用される。この均質化したたばこ材料は、例えば、たばこ茎またはたばこダストなどの、一般にカットフィラーの製造にあまり適していないたばこ植物の部分から製造される。一般に、たばこダストは製造中にたばこ葉の取り扱いの間に副産物として作り出される。
【0003】
均質化したたばこ材料の最も一般的に使用される形態は、再構成たばこシートおよびキャストリーフである。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは一般的に、スラリーを形成するためにたばこダストと結合剤とを混合する工程を含む。次に、スラリーがたばこウェブを作り出すために使用される。例えば、いわゆるキャストリーフを製造するために粘性のあるスラリーを移動する金属ベルト上にキャスティングすることによってである。別の方法として、再構成たばこを作り出すために、粘性が低くかつ含水量が高いスラリーを製紙と似たプロセスで使用することができる。調製されると、紙巻たばこおよび他の喫煙物品のために適切なたばこカットフィラーを製造するための葉たばこと類似した様式で、均質化したたばこウェブを切断してもよい。従来の紙巻たばこで使用するための均質化したたばこの機能は、実質的に充填力、引き出し抵抗、たばこロッドの硬さ、および燃焼特性などのたばこの物理的特性に限定される。この均質化したたばこは、一般に味わいに対する影響を有するようには設計されていない。このような均質化したたばこを作成するプロセスは、例えば、欧州特許第EP0565360号に開示されている。
【0004】
「燃やさない加熱式」エアロゾル発生物品では、エアロゾル形成基体はエアロゾルを形成するがたばこ材料の燃焼は防止するために、比較的低い温度に加熱される。さらに、均質化したたばこ材料中に存在するたばこは、一般にたばこのみであるか、または大部分がこのような「燃やさない加熱式」エアロゾル発生物品の均質化したたばこ材料中に存在するたばこを含む。これは、このような「燃やさない加熱式」エアロゾル発生物品によって発生されるエアロゾル組成が実質的に均質化したたばこ材料のみに基づくことを意味する。従って、例えば、エアロゾルの味わいの制御のためには、均質化したたばこ材料の組成にわたる良好な制御を有することが重要である。従って、エアロゾル発生物品用の均質化したたばこ材料の製造のためにたばこダストまたは他のたばこ製造からの残り物を使用することは、たばこダストの厳密な組成が未知のためあまり適切ではない。
【0005】
この均質化したたばこ材料は、むしろ「粘着性」であり、一般的に比較的低い引張強度をもつ。したがって、その製造の間、誤った取り扱いをした場合に、それは容易に引き裂かれ、もしくは壊れることがあり、またはそれは、エアロゾル発生物品で用いられた時に得られるエアロゾルの風味もしくは特性を結果として変えるその特性を変化させうるという事実により注意して取り扱う必要がある。
【0006】
従って、均質化したたばこ材料が適切に取り扱われ、かつ最適なエアロゾルが形成されうるように、このような加熱式エアロゾル発生物品の異なる加熱特性およびエアロゾル形成の必要性に適合された、「燃やさない加熱式」の加熱式エアロゾル発生物品での使用のための均質化したたばこ材料を製造するための新しい方法および装置に対する必要性がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、たばこ粉末ブレンド、結合剤および水溶性媒体中のエアロゾル形成体により形成されたスラリーを含むように適合されるタンクと、均質化したたばこ材料を形成するためにタンクからスラリーを受けるように、またスラリーをキャスティングするように適合されるキャスト装置と、その上で前記スラリーがキャスティングされ、搬送方向に沿って均質化したたばこ材料を搬送するように適合される移動可能な搬送支持体と、分けられた均質化したたばこシートを形成するために搬送方向に沿って均質化したたばこ材料をスリッティングするように適合されたキャスト装置の下流に位置するスリッタと、分けられた均質化したたばこシートをスリッタから受けるように、また分けられた均質化したたばこシートのうちの少なくとも1つをボビンで巻き取るように適合されたスリッタの下流に位置する巻取ステーションとを含む均質化したたばこシートの製造ラインについて言及する。
【0008】
キャスト後かつ巻き取り前に均質化したたばこシートをスリッティングすることは、キャストシートの幅と実質的に等しい幅をもつ「マスターボビン」の実現を回避することを可能にする。マスターボビンは、均質化したたばこシート特性を変えないように特定の湿度および温度条件下で保存される必要がある。さらに、マスターボビンをほどく工程がさらに要求され、その間に巻き取られた均質化したたばこシートを容易に砕くことができ、または破壊することができる。本発明に関して、このマスターボビンをほどく工程は回避される。本発明の装置を使用して得られた小さいボビンは、マスターボビンをほどくことよりも容易な様式でほどかれ、その全体的な処理の速度は増加する。それに基づいて小さいボビンが保存される必要がある条件はまた、マスターボビンを保存するための条件よりも厳密ではない。
【0009】
均質化したたばこ材料は、スラリーを取得するため様々な成分を水と混合することによって形成される。その後の工程では、均質化した材料の連続ウェブが、スラリーを支持体上にキャスティングすることによって連続して支持体上に生成される。結果として得られる均質化したたばこ材料は、引張強度が比較的高く、かつ均質性が良好であることが望ましい。
【0010】
「均質化したたばこ材料」という用語は本明細書を通して、たばこ材料の粒子の凝集によって形成される任意のたばこ材料を含むように使用される。本発明では、均質化したたばこのシートまたはウェブは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉茎の一方または両方を粉砕することによって、またはその他の方法で粉末化することによって得られた粒子状たばこを凝集することにより形成される。
【0011】
さらに、均質化したたばこ材料は、たばこの処理、取り扱い、および輸送の間に形成された少量のたばこダスト、たばこ微粉、およびその他の粒子状たばこ副産物のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0012】
均質化したたばこ材料は、たばこの粒子の凝集を助けるために、1つ以上の内因性の結合剤、1つ以上の外因性の結合剤、またはその組み合わせを備えてもよい。均質化したたばこ材料は、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、フィラー、水性および非水性の溶媒、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれに限定されないその他の添加剤を含んでもよい。
【0013】
本発明では、スラリーは、適切にブレンドされた異なるたばこタイプのたばこラミナおよびたばこ茎によって形成される。「たばこタイプ」という用語は、たばこの異なる品種のうちの1つを意味する。本発明に関しては、これらの異なるたばこタイプは、ブライトたばこ、ダークたばこおよびアロマティックたばこの三つの主な群に区別される。これらの3つの群間の区別は、たばこがたばこ製品において、さらに加工される前にたどる乾燥処理プロセスに基づく。
【0014】
ブライトたばこは、一般的に大きく、明るい色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「ブライトたばこ」という用語は熱風送管乾燥処理されたたばこに対して使用される。ブライトたばこの例としては、中国産の熱風送管乾燥処理されたたばこ、ブラジル産の熱風送管乾燥処理されたたばこ、米国産の熱風送管乾燥処理されたたばこ(バージニアたばこなど)、インド産の熱風送管乾燥処理されたたばこ、タンザニア産の熱風送管乾燥処理されたたばこ、または他のアフリカ産の熱風送管乾燥処理されたたばこが挙げられる。ブライトたばこは、糖対窒素の比が高いことによって特徴付けられる。感覚的な見方からは、ブライトたばこは、乾燥処理後、スパイスが効いていて活気のある感覚と関連付けられたたばこタイプである。本発明によると、ブライトたばこは、還元糖の含有量が葉の乾燥重量基準で約2.5パーセント〜約20パーセントであり、かつ総アンモニア含有量が葉の乾燥重量基準で約0.12パーセント未満であるたばこである。還元糖には、例えばグルコースまたはフルクトースが含まれる。総アンモニアには、例えばアンモニアおよびアンモニア塩が含まれる。
【0015】
ダークたばこは、一般的に大きく暗い色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「ダークたばこ」という用語は空気乾燥処理したたばこに対して使用される。さらに、ダークたばこは発酵していてもよい。主として噛みタバコ、嗅ぎたばこ、葉巻たばこ、およびパイプブレンド用に使用されるたばこもこの範疇に含まれる。感覚的な見方からは、ダークたばこは、乾燥処理後、スモーキーでダークシガータイプの感覚と関連付けられるたばこタイプである。ダークたばこは糖対窒素の比が低いことによって特徴付けられる。ダークたばこに対する例は、バーレーマラウイまたは他のアフリカンバーレー、乾燥処理したダークブラジルガルパオ、日光乾燥処理または空気乾燥処理したインドネシアカストリ(Kasturi)である。本発明によると、ダークたばこは、還元糖の含有量が葉の乾燥質量基準で約5パーセント未満、かつ合計アンモニア含有量が葉の乾燥質量基準で最高約0.5パーセントであるたばこである。
【0016】
アロマティックたばこは、しばしば小さい明るい色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「アロマティックたばこ」という用語は、芳香成分含有量、例えば、精油の含有量が高い他のたばこに対して使用される。感覚的な見方からは、アロマティックたばこは、乾燥処理後、スパイスが効いていて芳香を持つ感覚と関連付けられたたばこタイプである。アロマティックたばこの例には、グリークオリエント、オリエントターキー、セミオリエントたばこであるが火力乾燥処理されたたばこ、ペリクなどのUSバーレー、ルスティカ、USバーレーまたはメリーランドがある。
【0017】
さらに、ブレンドは、いわゆるフィラーたばこも含んでもよい。フィラーたばこは具体的なたばこタイプではないが、ブレンドで使用され、かつ最終製品に特定の特徴を有する芳香の方向性をもたらさないその他のたばこタイプを補完するために主に使用される。フィラーたばこの例は、他のたばこタイプの茎、中央脈、または葉柄である。具体的な例は、ブラジル産の熱風送管乾燥された葉柄下部の熱風送管乾燥処理された茎でありうる。
【0018】
たばこの各種類の中で、たばこ葉は、例えば原産、植物内での配置、色、表面性状、サイズ、および形状に関してさらに等級分けされる。たばこ葉のこれらの特徴および他の特徴は、たばこブレンドを形成するために使用される。たばこのブレンドは、同一のタイプまたは異なるタイプに属するたばこの混合物であり、その結果、たばこブレンドは凝集した特定の特徴を持つ。この特徴は例えば、加熱または燃焼された時の独特の味わいまたは特定のエアロゾルの組成とすることができる。ブレンドは、一方の他方に対する所与の比率の特定のたばこタイプおよび等級を含む。
【0019】
均質化したたばこ材料を実現するために使用され、引張強度およびキャストウェブの均質性に影響を与えるスラリーの重要なパラメータは、特にスラリーのキャスティング時に、均質化したたばこ材料の連続ウェブを形成するためのその粘度である。さらにまた、スラリーの密度は、特にキャスティング前に、キャストウェブの最終品質を決定するために重要である。適切なスラリー密度、粘性および均質性は、欠陥の数を最小化し、またキャストウェブの引張強度を最大化する。
【0020】
スラリーはさらに、たばこ粉末ブレンドを含み、たばこ材料ウェブの引張強度を増加するために、強化剤として作用する、セルロース繊維を含有するセルロースパルプが添加されるのが好ましい。均質化したシートの引張特性を強化するため、およびエアロゾルの形成を促進するために、結合剤およびエアロゾル形成体も添加されるのが好ましい。さらに、均質化したたばこ材料のウェブをキャスティングするために最適なある一定の粘性および水分に達するために、スラリーに水が添加される場合がある。スラリーは、可能な限り均質にするために混合される。
【0021】
このスラリーは、例えば、キャスティングボックスを含むキャスト装置に収集され、そのなかで所定の量のスラリーが保持されるのが好ましく、例えば、キャスティングボックスに所定のレベルのスラリーが予め設定されている。このスラリーが移動可能な支持体上にキャストされ、均質化したたばこ材料の連続ウェブを形成する間、スラリーが連続してキャスティングボックスに供給されるのが好ましい。
【0022】
本発明によると、このスラリーは、移動搬送支持体の幅にわたってキャスト装置によってキャストされる。例えば、キャスティングは、キャスティングブレードを用いて起こりうる。この搬送支持体は、キャスト装置からスラリーを除去するために、長軸方向または搬送方向に沿って移動する。この支持体は、例えば、ステンレス鋼製の移動可能なベルトを含んでもよい。このキャスト装置はしたがって、実質的に、均一の厚さを移動可能な支持体上に有するスラリーのキャストウェブを形成するために設計され、また構成されることが好ましい。
【0023】
キャスト均質化したたばこシートは、移動可能な支持体の搬送方向に対して実質的に垂直なその寸法として定義され、好ましくは2つの拮抗体要求物の間の中間物によって定められた幅をもつ。シートの湿度は、制限された数の欠損をもつ最終生成物を得るために実質的に均一に保たれ、かつ制御される必要があり、さらに、可能な限り高い生成レートを得る必要があることが好ましい。相対的に「小さい幅」は、特に、乾燥工程の間に生成レートの増加がシートの幅の増大を要求する一方で、湿度度合いにおける適切な一貫性を許容するので、適切な湿度制御は、シートの幅に関して選択された値を減少させることになる。したがって、シートの幅は、その湿度の適切な制御を許容するほど広いことが好ましい。
【0024】
キャスト均質化したたばこシートの幅は、キャスティングにおいて約1.930メートルであることが好ましい。
【0025】
キャスティングの後、そのように形成された均質化したたばこシートまたはウェブは、キャスト装置の下流に位置するスリッタに直接的に送られる。スリッタは、キャストたばこウェブを搬送方向に沿って複数の部分に分けるように適合される。したがって、たばこウェブは、スリッタの下流で、長軸方向に平行にたばこウェブの部分を分けられる。結果として、キャストたばこシートの初期段階の幅より小さい各幅をもつ複数の分けられたたばこシートは、スリッタの下流にある。
【0026】
本議論において、「下流」および「上流」は、移動する支持体上のたばこウェブの搬送方向を意味する。したがって、支持体上のその移動の間にたばこウェブが最初に第一の対象物に到達し、次に第二の対象物に到達する場合、第一の対象物は第二の対象物の「下流」にある。
【0027】
分けられたたばこシートの複数の幅の合計は、キャストたばこシートの初期段階の幅と等しい。スリッタによって細長く切られた分けられたたばこシートの幅は、実質的に同一であることができ、すなわち、キャストたばこシートは、実質的に同一の分けられたシートに分けられ、または別様に分けられたたばこシートの幅は、それぞれ異なっていてもよい。幅値は、分けられたたばこシートの最終的な使用に応じて選択され、すなわち、それらは、分けられたたばこシートの部分が使用される場合にエアロゾル発生物品の特性に依存することが好ましい。
【0028】
分けられたたばこシートの幅は、約0.05メートル〜約0.5メートルからなることが好ましい。
【0029】
巻取ステーションはスリッタの下流に位置する。巻取ステーションは、ボビン内で同様に巻き取るために分けられたたばこシートのうちの少なくとも1つを受ける。分けられたたばこシートの幅がまた、相対的に小さいという事実によって、ボビンの寸法は相対的に「小さい」。
【0030】
本発明によると、キャスト均質化したたばこシートの幅と等しい幅をもつ「マスターボビン」は形成されない。キャストたばこシートは、キャスティングにおいてシートの幅よりも小さい幅をもつ小さいシートに切り分けられ、したがって、それがさらに切り分けられる前に特定の保存条件を必要とするマスターボビンを形成する工程を回避する。キャスト装置の下流に存在するスリッタおよび巻取ステーションによって、「小さい」ボビンが形成され、すなわち、容易な方法で処理されかつ取り扱われうる小さい幅をもつボビンが形成される。
【0031】
さらに、キャスト均質化したたばこシートは、やや粘着性であり、その組成によって比較的低い引張強度をもつ。例えば、「マスターボビン」で巻き取られたキャストシートより細い分けられたたばこシートなどのシートが巻き取られる比較的小さい幅をもつボビンを形成することは、細いシートを頻繁にほどかない場合に細いシートが壊れにくく、また切断しにくく、または引裂かれにくいので連続的なほどく処理を容易にする。細いキャストシートの実現は、全体的な処理の速度を遅くするので難しい場合がある。
【0032】
本発明による均質化したたばこシートの生産ラインは、キャスト装置の下流に、かつ前記スリッタの上流に位置し、均質化したシートを乾燥させるように適合される乾燥ステーションを含むことが好ましい。均質化したたばこ材料のウェブは、上述のたばこ粉末のブレンドを含んで調製されたスラリーを移動支持体の支持表面上でキャスティングするように適合されたキャスト装置によって形成される。次に、均質化したたばこ材料のシートを形成するためにキャストたばこウェブを乾燥ステーションで乾燥することが好ましい。キャスティング工程における前記キャストたばこウェブの水分は均質化したたばこシートの総重量の約60重量パーセント〜約80重量パーセントであることが好ましい。巻取ステーションにおける前記キャストたばこウェブの水分はたばこ材料ウェブの総重量の約7重量パーセント〜約15重量パーセントであることが好ましい。巻き取り工程における前記均質化したたばこウェブの水分は、均質化したたばこウェブの総重量の約8パーセント〜約12パーセントであることが好ましい。キャスティングにおける湿度と巻き取りにおける湿度との間の差は、乾燥ステーションで大部分が除去されることが好ましい。
【0033】
乾燥の後、かつスリッティングの前のキャストシートの幅は、約1.8メートルであることが好ましい。
【0034】
前記スリッタは、前記乾燥ステーションの直接下流に位置することが好ましい。乾燥ステーションの後、キャスト均質化したたばこシートは、残りの水分の量によって、適切に平行なシートに切り取るために適切な密度または一貫性をもつ。生産ラインの異なる位置に存在しうる異なる含水量は、シートの切り取りにおける困難性を引き起こす場合があり、切り取りが実施される端において破壊されうる。
【0035】
巻取ステーションは、スリッタの直接下流に位置することが好ましい。分けられたたばこシートはしたがって、切り取られるとすぐにボビンで巻き取られる。ついで、ボビンはさらに処理され、または保存されうる。
【0036】
移動可能な搬送支持体は、均質化したたばこシートをキャスト装置からスリッタに搬送する単一の連続的な移動支持体を含むことが好ましい。キャスト装置の下流にある均質化したたばこシートは、スリッタに到達するまで、好ましくは乾燥ステーションを通じて、キャスト装置の支持体上にとどまる。単一の移動支持体が使用される場合、支持体からのシートを手直しする必要はない。言及されるように、均質化したたばこシートは、比較的壊れやすく、また容易に破壊され、シートの手直しは、シートの引裂きまたは切り取りを引き起こしうる。シートの支持体からの除去を回避することは、シートの切り取りの可能性を制限しうる。
【0037】
巻取ステーションは、ボビンの寸法またはボビンで巻き取られた分けられた均質化したたばこシートの量を検出し、またその寸法または量が所与のしきい値を超えた場合に、信号を送信するように適合されるセンサーと、前記ボビンが前記センサー信号に応じて交換されうるように前記ボビン内の分けられた均質化したたばこシートを自動的に横方向に切断するための巻取ボビン切り取り要素とを含むことが好ましい。その上に分けられた均質化したたばこシートが巻き取られるボビンは、既定の直径をもち、または好ましくは超えられるべきではない最大直径をもつことが好ましい。別の方法として、ボビンは、分けられた均質化したたばこシートの重量に関連する最大重量をもつ。最大直径または最大重量は、ボビンの適切な取扱いのために選択され、重量または直径における制限の選択は、ボビンをほどく実行可能である追加的な工程の複雑さに影響を与えうる。したがって、最大直径または最大重量に到達した時、新しいボビンは、巻取ステーションのボビンホルダーに位置付けられ、最大重量または直径をもつボビンは、取り外され、支持体の搬送方向に対して実質的に垂直な方向に分けられた均質化したたばこシートを切断する。切り取りは、巻取ステーションに組み込まれた切り取り要素によって実行されることが好ましい。切り取りは、操縦者の介入なしに自動的に行われることが好ましい。
【0038】
スリッタは、均質化したたばこシートを少なくとも3つの分けられた均質化したたばこシートにスリッティングするように適合されることが好ましい。
【0039】
スリッタは、少なくとも3つの分けられた均質化したたばこシートを形成するように少なくとも2つのブレードを含むことが好ましい。キャストシートは、比較的高い製造速度を達成するために2メートル〜約1.5メートルからなる幅をもつことが好ましい。適切な取扱いのために約0.05メートル〜約0.5メートルからなる巻き取りシートの幅をもつボビンを形成することが好ましく、したがって、少なくとも3つの分けられた均質化したたばこシートは、スリッタによって形成されることが好ましい。
【0040】
スリッタは、2〜10からなるいくつかのブレードを含むことが好ましく、その結果、3〜11からなるいくつかの分けられた均質化したたばこシートが形成される。各分けられたたばこシートは、約0.05メートル〜約0.5メートルからなる幅をもつことが好ましい。
【0041】
生産ラインは、スリッタの下流に位置する少なくとも3つのさらなる移動可能な支持体を含み、それは少なくとも3つの分けられた均質化したたばこシートを巻取ステーションに向かって搬送することが好ましい。
【0042】
生産ラインは、分けられた均質化したたばこシートと等しい数のいくつかの巻取ユニットをもつ巻取ステーションを含むことが好ましい。好ましくは、巻取ステーションは少なくとも3つの巻取ユニットを含み、より好ましくは、それは3〜11の巻取ユニットを含む。
【0043】
有利には、巻取ステーションは、分けられた均質化したたばこシートと等しい数のいくつかのボビンホルダーを含み、ここにおいて、均質化したたばこシートは、スリッタによって切断される。スリッタの下流で、すべての分けられたたばこシートは異なるボビンで巻き取られることが好ましい。製造の速度は増加する。
【0044】
本発明はまた、均質化したたばこ材料のインライン生産のための方法に関連し、前記方法は、たばこ粉末ブレンド、結合剤および水溶性媒体中のエアロゾル形成体を含むスラリーを調製することと、搬送方向に沿って移動可能な支持体においてスラリーをキャスティングして、均質化したたばこシートを形成する工程と、分けられた均質化したたばこシートを形成するように均質化したたばこシートが搬送方向に沿って移動する間に均質化したたばこシートを前記搬送方向に沿ってスリッティングする工程と、少なくとも1つの分けられた均質化したたばこシートをボビンで巻き取る工程と含む。
【0045】
方法は、均質化したたばこシートを少なくとも3つの分けられた均質化したたばこシートにスリッティングする工程を含むことが好ましい。方法は、均質化したたばこシートを3〜11の分けられた均質化したたばこシートにスリッティングする工程を含むことがより好ましい。
【0046】
方法は、少なくとも3つの分けられたたばこシートのすべてを巻き取る工程を含むことが好ましい。方法は、少なくとも3つの分けられたたばこシートのすべてを平行に巻き取る工程を含むことがより好ましい。
【0047】
方法は、少なくとも3つの分けられたたばこシートを平行に搬送する工程を含むことがより好ましい。方法は、少なくとも3つの分けられたたばこシートを平行に巻取ステーションのそれぞれの巻取ユニットに向かって搬送する工程を含むことがより好ましい。巻き取りは、巻取ステーションで起こることが好ましい。
【0048】
「インライン」という用語は、製造処理の連鎖による手順を意味する。本発明の方法の工程は、連続的に、交互にまたは同時に実施される。1つの工程とその他の工程との間に処理の中断は存在しない。
【0049】
方法の利点は、すでに上記に略述されており、すなわち、均質化した材料のキャストシートの幅と等しい幅をもつ「マスターボビン」の代わりに分けられた均質化したたばこシートの「小さい」ボビンのインライン生産は、均質化したたばこシートの引裂きおよび切断のリスクを最小にする小さいボビンの優れた取扱いを有することを可能にする。
【0050】
方法はさらに、各分けられた均質化したたばこシートをボビンで巻き取る工程を含むことが好ましい。
【0051】
有利には、方法はさらに、分けられた均質化したたばこシートを乾燥する工程を含む。
【0052】
方法は、ボビンに巻き取られた分けられた均質化したたばこシートの量またはボビンの寸法を検査する工程と、前記量または前記寸法が所与のしきい値より高い場合にボビンを自動的に変える工程とを含むことが好ましい。
【0053】
有利には、スラリーを調製する工程は、セルロース繊維および水からセルロースパルプを作り出す工程と、たばこ粉末ブレンドを提供する工程と、セルロースパルプ、たばこ粉末ブレンド、結合剤、およびエアロゾル形成体を組み合わせて前記スラリーを形成する工程と、を含む。本発明によると、結合剤とエアロゾル形成体とは懸濁液を形成するために予混合され、次にセルロースパルプおよびたばこ粉末ブレンドと組み合わされる。均質化したたばこ材料は、スラリーを得るためにいくつかの成分を水と混合し、次に、例えばこのスラリーをキャスティングして、支持体上に均質化した材料の連続ウェブを作り出す工程によって形成される。結果として得られる均質化したたばこ材料は、引張強度が比較的高く、かつ均質性が良好であることが望ましい。
【0054】
均質化したたばこシートの引張強度が低減すると、エアロゾル発生物品の製造におけるその後の均質化したたばこウェブの取り扱いの困難につながる場合があり、例えば、機械の停止を生じる可能性がある。さらに、不均質なたばこウェブは、同一の均質化したたばこウェブから製造されたエアロゾル発生物品間で意図しないエアロゾル送達において差異を作り出す場合がある。
【0055】
さらに、均質化したたばこ材料を実現するために使用されるスラリーの別の重要なパラメータは、特にキャスティングまたはその他の方法でたばこの連続ウェブを形成する時点でのその粘性である。粘性は、均質化したたばこウェブの引張強度およびその均質性に影響を与える。特に均質化したたばこウェブを形成するためにスラリーをキャスティングする工程の前のスラリーの密度は、ウェブ自体の最終品質を決定する上で重要である。適切なスラリー密度および均質性は、欠陥の数を最小化し、またウェブの引張強度を最大化する。
【0056】
スラリーは均質化したたばこウェブを製造するためのいくつかの構成成分を含む。これらの構成成分は均質化したたばこ材料の性質に影響を与える。第一の成分はたばこ粉末ブレンドであり、これはスラリー中に存在するたばこの大半を含有することが好ましい。たばこ粉末ブレンドは均質化したたばこ材料中のたばこの大半の供給源であり、それゆえエアロゾルに風味を与える。たばこ材料ウェブの引張強度を増加するために、強化剤として作用する、セルロース繊維を含有するセルロースパルプが添加される。均質化したシートの引張特性を強化するため、およびエアロゾルの形成を促進するために、結合剤およびエアロゾル形成体も添加される。さらに、均質化したたばこ材料のウェブをキャスティングするために最適なある一定の粘性および水分に達するために、スラリーに水が添加される。
【0057】
ところが、結合剤が水と接触するとゲル化する場合があり、そしてゲルの架橋は結合剤のスラリー内でのさらに均一な分散を妨げ、必要とされるスラリーの均質性および粘性の達成を妨げる。
【0058】
本発明によると、結合剤とエアロゾル形成体との間で予混合が実施され、これによって水と結合剤との間での接触、従ってゲル形成は、可能な限り長く遅延される。結合剤とエアロゾル形成体との間で形成される懸濁液は、結合剤およびエアロゾル形成体が水と組み合わせて懸濁液が形成される時に、ゲルの形成を遅延する。理論に束縛されるものではないが、エアロゾル形成体の分子は水素結合の形成を遅延する。言い換えれば、エアロゾル形成体は、水と結合剤分子との間に配置することによって、結合剤と水との架橋を少なくとも部分的に阻害する。
【0059】
セルロースパルプは、水およびセルロース繊維を含む。たばこ自体はセルロース繊維を自然に含む。たばこブレンド中に含有されるセルロース繊維に加えてパルプのセルロース繊維がスラリーに添加され、これは「添加された」セルロース繊維と呼ばれる。均質化したたばこ材料のスラリーに含むためのセルロース繊維は当業界において周知であり、セルロース繊維、柔らかい木材繊維、堅い木材繊維、ジュート繊維、亜麻繊維、たばこ繊維、およびこれらの組み合わせを含むが、これに限定されない。パルプ化に加えて、添加されたセルロース繊維は、精製、機械的パルプ化、化学的パルプ化、漂白、硫酸塩パルプ化およびこれらの組み合わせなどの適切なプロセスを受ける場合がある。
【0060】
繊維粒子は、たばこ茎材料、葉柄または他のたばこ植物材料を含む場合がある。木材繊維などのセルロースベースの繊維はリグニン含有量が低いことが好ましい。繊維粒子は、十分な引張強度を生成するという所望に基づいて選択される。別の方法として、植物繊維などの繊維を上記の繊維とともに、またはその代替として使用してもよく、これには大麻および竹が含まれる。
【0061】
本明細書に記載されるゴムまたはペクチンのいずれかなどの結合剤の添加は、均質化したたばこウェブ全体にわたりたばこ粉末を実質的に分散したままにすることを容易にする。ガムの記述的な検討のためには、Gums And Stabilizers For The Food Industry,IRL Press(G.O.Phillip et al.eds.1988)、Whistler,Industrial Gums:Polysaccharides And Their Derivatives,Academic Press(2d ed.1973)、およびLawrence,Natural Gums For Edible Purposes,Noyes Data Corp.(1976)を参照されたい。
【0062】
任意の結合剤を採用してもよいが、好ましい結合剤は、天然ペクチン(果実ペクチン、柑橘類ペクチン、またはたばこペクチンなど)、グアーガム(ヒドロキシエチルグアーおよびヒドロキシプロピルグアーなど)、ローカストビーンガム(ヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルローカストビーンガムなど)、アルギネート、デンプン(変性デンプンまたは誘導体化デンプンなど)、セルロース(メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースなど)、タマリンドガム、デキストラン、プラロン、コンニャク粉、キサンタンガム、およびこれに類するものである。本発明で使用するために特に好ましい結合剤はグアーである。
【0063】
均質化したたばこ材料の製造のためのスラリーは、上述のリストに加えて他の成分または添加剤を含んでもよい。例えば、スラリーは、たばこ繊維、可塑剤、風味剤、フィルター、水性および非水性溶媒、ならびにこれらの組み合わせを含んでもよいが、これに限定されない。
【0064】
本発明によると、均質化したたばこ材料の製造のためのスラリーを製造する方法は、エアロゾル形成体と、例えば、グアーおよびグリセロールなどの結合剤とを予混合する工程を含み、これによってこれら2つは少なくとも部分的に懸濁液を形成する。懸濁液は、溶質様粒子が導入された後でもその溶質様粒子が溶媒様相の外側に沈降する不均一な混合物である。
【0065】
エアロゾル形成体と結合剤との間の懸濁は、水の不在下で実施される。この状況では、「水の不在」は、エアロゾル形成体中の結合剤の懸濁液の水含有量が懸濁液の総重量の約1パーセント未満であることと理解される。
【0066】
エアロゾル形成体内の結合剤の相と懸濁液とを予混合した後、本発明の方法によるスラリーが形成される。
【0067】
上述の要素、すなわちエアロゾル形成体中の結合剤の懸濁液、パルプ、およびたばこ粉末ブレンドをすべて一緒に組み合わせてスラリーが形成される。スラリー形成では、パルプが水を含んでいるという事実に起因して、結合剤は水と接触する。水と接触する時に熟成プロセスが開始し、ここで一部のゲルが形成される場合があり、スラリーの粘性が連続的に変化する。ところが、懸濁液中の結合剤は、懸濁液中でエアロゾル形成体と予混合されていない場合よりもゲルを形成するのに長い時間がかかる。従って、例えば、キャスティングする工程によって均質化したたばこウェブを形成する前に、スラリーを混合しかつ可能な限り均一および均質にするためにより長い時間がかかる。
【0068】
スラリーを調製する工程は、パルプを形成するようにセルロース繊維をパルプ化および精製する工程、および1つ以上のたばこタイプのたばこのブレンドを粉砕する工程を含むことが好ましい。さらなる工程では、異なるたばこタイプのたばこブレンド粉末をパルプおよび結合剤と組み合わせることによってスラリーが形成される。さらなる工程は、スラリーを均質化する工程と、スラリーから均質化したたばこ材料を形成する工程と、を含む。本発明によると、パルプ化および精製する工程は、約0.2ミリメートル〜約4ミリメートルの平均サイズを有するセルロース繊維を作り出す。粉砕する工程は、約0.03ミリメートル〜約0.12ミリメートルから成る平均サイズを有するたばこ粉末ブレンドを製造する。スラリーの中に結合剤が均質化したたばこシートの総重量の乾燥質量基準で約1パーセント〜約5パーセントの量で添加される。
【0069】
均質化したたばこ材料内に存在するたばこは、実質的にエアロゾル発生物品内に存在するたばこのみ(またはその大部分)を構成するので、エアロゾルの特徴(その風味など)への影響は、主に均質化したたばこ材料に由来する。たばこの使用を最適化するために、均質化したたばこ材料の中に存在するたばこからの物質の放出は単純化されることが好ましい。本発明によると、たばこ粉末(少なくとも合計たばこ粉末量の一部分)は、たばこの細胞構造と同一のサイズまたはたばこの細胞構造のサイズ未満である。たばこを約0.05ミリメートルまで細かく粉砕すると、有利なことに、たばこ細胞構造を開くことができ、またこのようにしてたばこ自体からのたばこ物質のエアロゾル化が改善されると考えられる。平均粉末サイズが約0.03ミリメートル〜約0.12ミリメートルであるたばこ粉末を提供することによってエアロゾル化が改善されうる物質の例は、ペクチン、ニコチン、精油、およびその他の風味である。以下では、「たばこ粉末」という用語は、本明細書を通して、平均サイズが約0.03ミリメートル〜約0.12ミリメートルであるたばこを示すために使用される。
【0070】
約0.03ミリメートル〜約0.12ミリメートルのたばこ粉末の同一の平均サイズも、スラリーの均質性を改善する場合がある。大きすぎるたばこ粒子(すなわち、約0.15ミリメートルより大きいたばこ粒子)は、スラリーから形成された均質化したたばこウェブの中の欠陥および弱い区域の原因となる場合がある。均質化したたばこウェブ内の欠陥は、均質化したたばこウェブの引張強度を減少する場合がある。引張強度が低減すると、エアロゾル発生物品の製造におけるその後の均質化したたばこウェブの取り扱いの困難につながる場合があり、例えば、機械の停止を生じる可能性がある。さらに、不均質なたばこウェブは、同一の均質化したたばこウェブから製造されたエアロゾル発生物品間で意図しないエアロゾル送達において差異を作り出す場合がある。従って、エアロゾル発生物品用の許容可能な均質化したたばこ材料を得るためのスラリーを形成するための出発たばこ材料としては、比較的小さい平均粒子サイズを有するたばこが望ましい。小さすぎるたばこ粒子は、このさらなる低減に対する利点を追加することなく、それらのサイズ低減のためのプロセスで必要とされるエネルギー消費量を増加する。
【0071】
たばこ粉末の平均サイズの低減は、そのたばこスラリーの粘性の低減の効果にも起因して有益であり、それによってより良好な均質性が可能になる。ところが、約0.03ミリメートル〜約0.12ミリメートルのサイズにおいて、たばこ粉末の中のたばこセルロース繊維は実質的に破壊される。従って、たばこ粉末の中のたばこセルロース繊維は、結果として得られる均質化したたばこウェブの引張強度にごくわずかな貢献しかしない場合がある。慣習的に、これは結合剤の添加によって補償される。それでもなお、スラリー、ひいては均質化したたばこ材料の中に存在しうる結合剤の量には事実上の限界がある。これは、水と接触した時に結合剤がゲルになる傾向に起因する。ゲル化はスラリーの粘性に強く影響し、これが、その後のウェブ製造プロセス(例えば、キャスティングのような)のためのスラリーの重要なパラメータとなる。従って、均質化したたばこ材料の中に比較的少量の結合剤を有することが好ましい。本発明によると、1つ以上のたばこタイプのブレンドに添加される結合剤の量は、スラリーの乾燥質量で約1パーセント〜約5パーセントから成る。スラリーで使用される結合剤は、本明細書に記述されるガムまたはペクチンのうちのいずれかとすることができる。結合剤は、たばこ粉末が均質化したたばこウェブを通して実質的に分散されたままになることを確保する場合がある。ガムの記述的な検討のためには、Gums And Stabilizers For The Food Industry,IRL Press(G.O.Phillip et al.eds.1988)、Whistler,Industrial Gums:Polysaccharides And Their Derivatives,Academic Press(2d ed.1973)、およびLawrence,Natural Gums For Edible Purposes,Noyes Data Corp.(1976)を参照されたい。
【0072】
任意の結合剤を採用してもよいが、好ましい結合剤は、天然ペクチン(果実ペクチン、柑橘類ペクチン、またはたばこペクチンなど)、グアーガム(ヒドロキシエチルグアーおよびヒドロキシプロピルグアーなど)、ローカストビーンガム(ヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルローカストビーンガムなど)、アルギネート、デンプン(変性デンプンまたは誘導体化デンプンなど)、セルロース(メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースなど)、タマリンドガム、デキストラン、プラロン、コンニャク粉、キサンタンガム、およびこれに類するものである。本発明で使用するために特に好ましい結合剤はグアーである。
【0073】
一方では、たばこ粉末の平均サイズが比較的小さく、かつ結合剤の量が低減されると、結果的に非常に均質なスラリー、そして次に非常に均質な均質化したたばこ材料をもたらす場合があるが、他方では、このスラリーから得られる均質化したたばこウェブの引張強度は比較的低く、処理中に均質化したたばこ材料上に作用する力に適切に耐えるために潜在的に不十分である場合がある。
【0074】
本発明によると、スラリーの中にセルロース繊維が導入される。それらのセルロース繊維はたばこ自体の中に存在するセルロース繊維へ添加され、すなわち本明細書で述べるセルロース繊維は、たばこブレンド粉末の中に天然に存在する繊維以外の繊維であり、また以下ではこれらを「添加されたセルロース繊維」と呼ぶ。スラリー内のへのセルロース繊維の導入は、強化剤として作用して、たばこ材料ウェブの引張強度を増加する。従って、たばこの中に既に存在するものに加えてセルロース繊維を添加することによって均質化したたばこ材料ウェブの弾力性が増加する場合がある。これは、エアロゾル発生物品の製造中、均質化したたばこ材料の滑らかな製造プロセスおよびその後の取り扱いを支持する。一方で、これはエアロゾル発生物品および他の喫煙物品を製造する上での製造効率、コスト効率、再現性、および生産速度の増加につながる可能性がある。
【0075】
均質化したたばこ材料のスラリーに含むためのセルロース繊維は当業界において周知であり、柔らかい木材繊維、堅い木材繊維、ジュート繊維、亜麻繊維、たばこ繊維、およびこれらの組み合わせを含むが、これに限定されない。パルプ化に加えて、セルロース繊維は、精製、機械的パルプ化、化学的パルプ化、漂白、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせなどの適切な処理を受ける場合がある。
【0076】
繊維粒子は、たばこ茎材料、葉柄または他のたばこ植物材料を含む場合がある。木材繊維などのセルロースベースの繊維はリグニン含有量が低いことが好ましい。別の方法として、植物繊維などの繊維を上記の繊維とともに、またはその代替として使用してもよく、これには大麻および竹が含まれる。
【0077】
添加されるセルロース繊維での1つの関連のある因子は、セルロース繊維の長さである。セルロース繊維が短すぎる場合、繊維は結果として得られる均質化したたばこ材料の引張強度に対して効率的に貢献しないことになる。セルロース繊維が長すぎる場合、セルロース繊維はスラリーの均質性に影響することになり、特に薄い均質化したたばこ材料、例えば、数百マイクロメートルの厚さの均質化したたばこ材料では、今度は均質化したたばこ材料内に不均質性および他の欠陥を作り出す場合がある。本発明によると、たばこ粉末を含むスラリー内の添加されるセルロース繊維のサイズは、平均サイズが約0.03ミリメートル〜約0.12ミリメートルであり、また結合剤の量はスラリーの乾燥質量で約1パーセント〜約5パーセントであり、平均サイズは約0.2ミリメートル〜約4ミリメートルであることが有利である。セルロース繊維の平均繊維サイズは、約1ミリメートル〜約3ミリメートルであることが好ましい。このさらなる低減が精製する工程によって得られることが好ましい。本明細書では、繊維の「サイズ」は繊維長さを意味する、すなわち、繊維長さは繊維の主要寸法である。それゆえ、平均繊維サイズは平均繊維サイズ長さを意味する。平均繊維長さは所与の繊維数あたりの平均繊維長さであり、長さが約200マイクロメートルより短い、または約10.000マイクロメートルより長い繊維を除外し、かつ幅が約5マイクロメートルより狭い、または約75マイクロメートルより広い繊維を除外する。さらに、本発明によると、たばこ粉末ブレンドの中に存在するセルロース繊維に添加されたセルロース繊維の量は、スラリーの総重量の乾燥質量基準で約1パーセント〜約3パーセントから成ることが好ましい。スラリーの成分のこれらの値は、均質なたばこウェブの引張強度に対処するために結合剤のみに依存する均質化したたばこ材料と比較してより高いレベルの均質化したたばこ材料の均質性を維持しつつも、引張強度の改善を示した。同時に、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体として均質化したたばこ材料が使用される時に、平均サイズ(例えば、平均長さ)が約0.2ミリメートル〜約4ミリメートルであるセルロース繊維は、細かく粉砕したたばこ粉末からの物質の放出を著しく阻害しない。本発明によると、比較的速くかつ信頼できる均質化したたばこウェブの製造プロセスだけでなく、高度に再現可能なエアロゾルの放出に適合した基体を得ることができる。
【0078】
さらに、本発明は上述の均質化したたばこ材料の一部分を含むエアロゾル発生物品に関する。エアロゾル発生物品は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品である。エアロゾル発生物品は、不燃性のエアロゾル発生物品であってもよい。不燃性のエアロゾル発生物品は、例えばエアロゾル形成基体を加熱することにより、または化学反応により、またはエアロゾル形成基体の機械的な刺激により、エアロゾル形成基体を燃焼することなしに揮発性化合物を放出する。
【0079】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル揮発性化合物を形成することができ、またエアロゾル形成基体を加熱することによって放出されうる揮発性化合物を放出する能力を有する。エアロゾル形成発生物品で使用される均質化したたばこ材料のために、エアロゾル形成体はキャストリーフを形成するスラリーに含まれることが好ましい。所定の特性のうちの1つ以上に基づいてエアロゾル形成体を選んでもよい。機能的には、エアロゾル形成体は、エアロゾル形成体の特定の揮発温度を超えて加熱された時、エアロゾル形成体が揮発してエアロゾル内のニコチンおよび/または風味剤を運ぶことができるメカニズムを提供する。
具体的な実施形態を以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】−
図1は、本発明による均質化したたばこ材料のためのスラリーを製造する方法の流れ図を示す。
【
図3】−
図3は、本発明による均質化したたばこ材料の製造方法のブロック図を示す。
【
図7】−
図7は、
図3の方法を実施するための装置の概略図を示す。
【
図8】−
図8は、
図3の方法を実施するため装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
最初に
図1を参照すると、本発明によるスラリーの製造方法が示される。本発明の方法の第一の工程は、均質化したたばこ材料を製造するためのたばこブレンドに使用されるたばこタイプおよびたばこ等級の選択100である。本方法で使用されるたばこタイプおよびたばこ等級は、例えばブライトたばこ、ダークたばこ、アロマティックたばこ、およびフィラーたばこである。
【0082】
均質化したたばこ材料のために使用される製造が意図されている選択されたたばこタイプおよびたばこ等級のみが、本発明の方法の以下の工程による処理を受ける。
【0083】
方法は、選択したたばこを設置するさらなる工程101を含む。この工程は、例えば、製品追跡およびトレーサビリティのためにバーコードリーダーによって検証することができる等級および量などのたばこの完全性を点検する工程を含んでもよい。たばこの葉は、収穫および乾燥処理の後、例えば、葉柄位置、品質、および色を記述する等級が与えられる。
【0084】
さらに、均質化したたばこ材料の製造のためにたばこを製造施設に移送する場合には、設置する工程101は、たばこ箱を再度箱詰めする工程またはたばこ箱のケースを開ける工程も含んでもよい。次に、再度箱詰めされたたばこは、たばこを計量するために計量ステーションに供給されることが好ましい。
【0085】
さらに、たばこを設置する工程101は、通常たばこ葉は移送のために移送箱内でベール梱包へと圧縮されているので、必要に応じて、ベール梱包を開く工程を含んでもよい。
【0086】
以下に詳細に述べるように、各たばこタイプに対して以下の工程が実施される。その後これらの工程は等級毎に実施されてもよく、その結果1つの生産ラインのみを必要とする。あるいは、異なるたばこタイプは分離したラインで処理されてもよい。一部のたばこタイプに対する処理工程が異なる場合、これは有利でありうる。例えば、従来の主なたばこプロセスでは、ダークたばこは通常追加的なケーシングを受けるので、ブライトたばことダークたばことは少なくとも部分的に分離されたプロセスで処理される。ところが、本発明によると、均質化したたばこウェブの形成の前にブレンドされたたばこ粉末にケーシングを添加しないことが好ましい。
【0087】
さらに、本発明の方法はたばこ葉を粗く粉砕する工程102を含む。
【0088】
本発明の方法の変形によると、
図1に図示するように、たばこを設置する工程101の後で、かつたばこを粗く粉砕する工程102の前に、さらに細断する工程103が実施される。細断する工程103では、たばこは、平均サイズが約2ミリメートル〜約100ミリメートルから成る細片へと細断される。
【0089】
細断する工程103の後、細片から非たばこ材料を取り除く工程を実施することが好ましい(
図1に図示せず)。
【0090】
その後、細断されたたばこは、粗く粉砕する工程102に向かって搬送される。たばこ葉の細片を粗く粉砕するためのミルへのたばこの流量を制御および測定することが好ましい。
【0091】
粗く粉砕する工程102では、たばこ細片は約0.25ミリメートル〜約2ミリメートルの平均粒子サイズまで減少する。この段階では、たばこ粒子はその細胞がまだ実質的に損傷されておらず、また結果として得られる粒子はこれに関連する搬送問題をもたらさない。
【0092】
粗く粉砕する工程102の後、たばこ粒子は、ブレンドする工程104へ(例えば、空気輸送によって)搬送されることが好ましい。あるいは、粗く粉砕する工程102の前にブレンドする工程104を実施してもよく、または存在する場合には、細断する工程103の前にブレンドする工程を実施してもよく、あるいは細断する工程103と粗く粉砕する工程102との間にブレンドする工程を実施してもよい。
【0093】
ブレンドする工程104で、たばこブレンドのために選択された異なるたばこタイプの全ての粗く粉砕されたたばこ粒子はブレンドされる。従って、ブレンドする工程104は全ての選択されたたばこタイプに対して単一の工程である。これは、ブレンドする工程の後は、全ての異なるたばこタイプに対して単一のプロセスラインのみが必要であることを意味する。
【0094】
ブレンドする工程104では、粒子状の様々なたばこタイプの混合を実施することが好ましい。たばこブレンドの特徴のうちの1つ以上を測定および制御する工程を実施することが好ましい。本発明によると、予め設定した標的値(複数可)による望ましいブレンドが得られるようにたばこの流れを制御してもよい。例えば、ブレンドは乾燥質量基準でブレンド内の合計たばこの少なくとも約30パーセントのブライトたばこ1を含み、また乾燥質量基準でブレンド内の合計たばこの乾燥質量基準で少なくとも約0パーセント〜約40パーセント(例えば、約35パーセント)の割合でダークたばこ2およびアロマティックたばこ3を各々含むことが望ましい場合がある。乾燥質量基準でブレンド内の合計たばこの約0パーセント〜約20パーセントの割合でフィラーたばこ4も導入することがより好ましい。従って異なるたばこタイプの流量は、この様々なたばこタイプの比が得られるように制御される。あるいは、使用される異なるたばこ葉に対して粗く粉砕する工程102がその後行われる場合、工程102の初めの計量する工程が、流量を制御する代わりに、たばこタイプおよび等級当たりの使用されるたばこの量を決定する。
【0095】
図2では、ブレンドする工程104の間の様々なたばこタイプの導入を示す。
【0096】
当然のことながら、各たばこタイプはそれ自体が下位ブレンドである可能性があり、言い換えれば、「ブライトたばこタイプ」は、例えば、バージニアたばことブラジル熱風送管乾燥処理たばことの異なる等級のブレンドである可能性がある。
【0097】
ブレンドする工程104の後、約0.03ミリメートル〜約0.12ミリメートルのたばこ粉末平均サイズまで細かく粉砕する工程105が実施される。この細かく粉砕する工程105は、たばこのサイズをスラリーの調製のために適切な粉末サイズまで減少する。この細かく粉砕する工程105の後、たばこの細胞は少なくとも部分的に破壊され、たばこ粉末が粘着性になる場合がある。
【0098】
このようにして得られたたばこ粉末は、たばこスラリーを形成するためにすぐ使用することができる。あるいは、例えば、適切な容器内でのさらなるたばこ粉末の保存の工程を挿入してもよい(図示せず)。
【0099】
図1による均質化したたばこ材料の形成のための、たばこをブレンドする工程およびたばこを粉砕する工程は、
図3に概略的に図示されるたばこを粉砕およびブレンドするための装置200を使用して実施される。装置200は、異なるたばこタイプの蓄積、積層解除、計量、および検査が行われるたばこ受容ステーション201を含む。随意に、たばこがカートンの中に入れられて移送されている場合には、たばこを収容するカートンの取り出しが受容ステーション201で実施される。随意に、たばこ受容ステーション201は、たばこベール梱包分割ユニットも備える。
【0100】
図3では、1つの種類のたばこのための生産ラインのみを示すが、ブレンドする工程が実施される時期によっては、本発明による均質化したたばこ材料ウェブで使用される各たばこタイプのために同一の設備が存在してもよい。さらにたばこは、細断する工程103のためにシュレッダー202内に導入される。シュレッダー202は、例えば、ピンシュレッダーとすることができる。シュレッダー202は、たばこ細片を解いて細片をより小さい葉片へと細断するように、全てのサイズのベール梱包を取り扱うように適合されることが好ましい。各生産ライン内の細断されたたばこは、例えば、空気輸送203によって、粗く粉砕する工程102のためにミル204へ運ばれる。搬送中に細断されたたばこの中の異物が取り除かれるように制御がなされることが好ましい。例えば、細断されたたばこの空気輸送に沿って、ストリング除去コンベアシステム、重粒子分離装置、および金属検出器が存在してもよく、添付図ではこれら全てが205で示される。
【0101】
ミル204は、たばこ細片の約0.25ミリメートル〜約2ミリメートルのサイズまでの粗い粉砕に適合する。ミルのローターの速さを制御することができ、またたばこ細断片の流量に基づいて変化させることができる。
【0102】
均一なマスフロー制御のためのバッファサイロ206を粗い粉砕機ミル204の後に位置させることが好ましい。さらに、ミル204は、安全のためにスパーク検出器および安全停止システム207を装備していることが好ましい。
【0103】
例えば、空気輸送208によって、たばこ粒子がミル204からブレンダー210へ搬送される。ブレンダー210は、その中に適切な弁制御システムが存在するサイロを含むことが好ましい。ブレンダー内に、所定のブレンドのために選択されたたばこの全ての異なる種類の全てのたばこ粒子が導入される。ブレンダー210内でたばこ粒子は均一なブレンドへと混合される。たばこ粒子のブレンドは、ブレンダー210から細かく粉砕するステーション211へと搬送される。
【0104】
細かく粉砕するステーション211は、細かいたばこ粉末を製造するための、例えば、正しい仕様、すなわち約0.03ミリメートル〜約0.12ミリメートルのたばこ粉末に対して適切に設計された補助設備を有する衝撃分類ミルである。スラリー調製プロセスが行われる下流のスラリーバッチ混合タンクへの連続供給のためのバッファ粉末サイロ213へ細かいたばこ粉末を運ぶために、細かく粉砕するステーション211の後に、空気輸送ライン212が適合される。
【0105】
図1の均質化したたばこ材料の製造のための方法は、懸濁液の調製工程106をさらに含む。懸濁液の調製工程106は、懸濁液を形成するためにエアロゾル形成体5と結合剤6とを混合する工程を含むことが好ましい。エアロゾル形成体5は、グリセロールとグアーを含む結合剤6とを含むことが好ましい。
【0106】
エアロゾル形成体中の結合剤の懸濁液を形成する工程106は、エアロゾル形成体5と結合剤6とを容器内に装填して両者を混合する工程を含む。次に、結果として得られた懸濁液はスラリー内に導入されるまで保存されることが好ましい。グリセロールは2つの工程でグアーに添加されることが好ましく、第一の量のグリセロールはグアーと混合され、次に第二の量のグリセロールが移送パイプ内に注入され、これによりライン内の掃除しにくい場所を残さないように加工ラインを掃除するようにグリセロールが使用される。
【0107】
本発明の工程106によるエアロゾル形成体中の結合剤の懸濁を実施するように適合されたスラリー調製ライン300を
図4に図示する。
【0108】
スラリー調製ライン300は、グリセロールなどのエアロゾル形成体、バルクタンク301と、エアロゾル形成体5をタンク301から移送しかつその流量を制御するように適合された質量流量制御システム303を有するパイプ移送システム302とを含む。さらに、スラリー調製ライン300は、結合剤処理ステーション304と、ステーション304において受けられた結合剤6を移送および計量するための空気輸送および供給システム305を含む。
【0109】
タンク301および処理ステーション304のそれぞれからのエアロゾル形成体5および結合剤6は、混合タンク306に、または混合タンクであるだけでなく結合剤6とエアロゾル形成体5を均一に混合するように設計されたスラリー調製ライン300の一部に移送される。
【0110】
均質化したたばこ材料を実現する方法は、セルロースパルプ107を調製する工程を含む。パルプを調製する工程107は、セルロース繊維7および水8を濃縮した形態で混合する工程を含むことが好ましく、随意に、そのように得られたパルプを保存して、次にスラリーを形成する前に濃縮したパルプを希釈する。セルロース繊維(例えば、ボードまたは袋の中にある)をパルパーに装填し、次に水を用いて液化する。結果として得られる水/セルロース溶液は異なる密度で保存してもよいが、工程107の結果であるパルプは「濃縮」であることが好ましい。「濃縮」は、希釈前に、パルプの中のセルロース繊維内の合計量が合計パルプ重量の約3パーセント〜5パーセントであることを意味することが好ましい。好ましいセルロース繊維は柔らかい木材繊維である。スラリー内のセルロース繊維の合計量は、スラリーの乾燥質量で約1パーセント〜約3パーセントであることが好ましく、スラリーの乾燥質量で約1.2パーセント〜約2.4パーセントであることが好ましい。
【0111】
水とセルロース繊維とを混合する工程は、有利なことに約15℃〜約40℃から成る温度において、約20〜約60分間持続することが好ましい。
【0112】
パルプの保存が実施される場合、保存時間は約0.1日〜約7日で変化することが好ましい場合がある。
【0113】
有利なことに、水希釈は濃縮したパルプを保存する工程後に行われる。水は、セルロース繊維がパルプの総重量の約1パーセント未満である量で濃縮したパルプに添加される。例えば、約3〜約20から成る倍数の希釈を行うことができる。さらに、濃縮したパルプと添加される水の混合を含む追加的な混合工程が行われてもよい。追加的な混合工程は、約15℃〜約40℃の温度にて約120分間〜約180分間持続することが好ましく、約18℃〜約25℃の温度であることがより好ましい。
【0114】
セルロース繊維、グアー、およびグリセロール用のすべてのタンクおよび移送パイプは、移送時間を低減し、廃棄物を最低限にし、二次汚染を回避し、かつ掃除を容易にするために、可能な限り最適に短く設計されていることが好ましい。さらに、セルロース繊維、グアー、およびグリセロール用の移送パイプは、素早くかつ途切れない流れを可能にするように可能な限り真っ直ぐであることが好ましい。特にエアロゾル形成体中の結合剤の懸濁液については、移送パイプ内の曲がりによって流量の低い区域または流れが停止する区域さえも生じる可能性があり、これが次に、ゲル化が生じ、これによって潜在的に移送パイプ内を閉塞させる区域となる可能性がある。前述したように、これらの閉塞は掃除の必要性、そして製造プロセス全体の停止につながる可能性がある。
【0115】
パルプ調製の工程107の後、随意の繊維の解繊の工程が実施されることが好ましい(
図1に図示せず)。
【0116】
パルプ形成の方法工程107を実施するための装置400を
図5に図示する。
図5は、セルロース繊維7をボード/シートまたはけば立てた繊維などのバルク形態で取り扱うよう適合されたことが好ましい供給システム401と、パルパー402とを含む、セルロース繊維供給調製ライン400を概略的に図示する。供給システム401はセルロース繊維をパルパー402に向けるように適合され、これが次に、受け取った繊維を均一に分散させるように適合される。
【0117】
パルパー402は、パルパー内の温度を所与の温度間隔内で保持する温度制御ユニット401a、および回転速度制御ユニット401bを含み、これによりパルパー402内に存在するインペラ(図示せず)を約5 rpm〜約35 rpmから成る速度に制御および保持することが好ましい。
【0118】
セルロース繊維供給調製ライン400は、水8をパルパー402内に導入するように適合された水ライン404をさらに含む。パルパー402内に導入される水の流量を制御する流量コントローラ405が水ライン404内に追加されることが好ましい。
【0119】
セルロース繊維供給調製ライン400は、繊維を処理および解繊するための繊維精製システム403もさらに含み、これにより長い繊維および絡まった繊維が取り除かれ均一な繊維分布が得られる。
【0120】
パルプ化および精製する工程の終わりにおけるセルロース繊維の平均サイズは約0.2ミリメートル〜約4ミリメートルから成ることが好ましく、約1ミリメートル〜約3ミリメートルから成ることがより好ましい。
【0121】
平均サイズは平均長さであると見なされる。繊維の各長さは繊維の構造に従って計算されるため、これは繊維の真の開発された長さである。平均繊維長さは繊維数あたりで計算され、例えば、5.000繊維について計算されてもよい。
【0122】
その長さおよび幅が以下の範囲内から成る場合、測定された対象物は繊維と見なされる。
【0123】
200μm<length<10.000μm
5μm<width<75μm
【0124】
平均繊維長さを計算するために、TechPap SASによって製造された繊維にMorFiコンパクト繊維分析器を使用することができる。
【0125】
分析は、例えば、繊維を溶液中に入れて水性繊維性懸濁液を形成することによって実施される。脱イオン水を使用し、かつサンプル調製中は機械的混合を適用しないことが好ましい。混合は繊維分析器によって実施される。測定は、約22℃および約50パーセントの相対湿度にて少なくとも24時間置かれた繊維に対して実施されることが好ましい。
【0126】
セルロース繊維供給調製ライン400は、繊維精製システム403の下流に、システム403から出てきた高度に一貫した繊維溶液を保存するための繊維精製システム403に接続されたセルロースバッファタンク407を備えてもよい。
【0127】
セルロース繊維供給調製ライン400の終わりには、その中でパルプが希釈されるセルロース希釈タンク408が存在し、かつセルロースバッファタンク407に接続していることが好ましい。セルロース希釈タンク408は、その後のスラリー混合のために適正な一貫性のあるセルロース繊維を一回分として処理するように適合される。希釈用の水は、第二の水ライン410を経由してタンク408内に導入される。
【0128】
本発明によるスラリーを形成する方法は、スラリー形成の工程108をさらに含み、この工程では、工程106で得られるエアロゾル形成体中の結合剤の懸濁液9と、工程107で得られるパルプ10と、工程104で得られるたばこ粉末ブレンド11とが一緒に組み合わせられる。
【0129】
スラリー形成の工程108は、エアロゾル形成体中の結合剤の懸濁液9およびセルロースパルプ10のタンク内への導入の工程をまず含むことが好ましい。その後、たばこ粉末ブレンド11も同様に導入される。懸濁液9、パルプ10、およびたばこ粉末ブレンド11は、これらの各々がタンク内に導入される量を制御するために適切に投与されることが好ましい。スラリーはその成分の具体的な比率に従って調製される。随意に、水8も同様に添加される。
【0130】
スラリー形成の工程108も、混合する工程を含むことが好ましく、この工程では全てのスラリー成分が一定の時間、一緒に混合される。本発明によるさらなる方法の工程では、次にスラリーは、後に続くキャスティング工程109および乾燥工程110に移動される。
【0131】
本発明の方法を実現するための工程108に適合されたスラリー形成のための装置500を、
図6に概略的に図示する。装置500は、混合タンク501を含み、このタンクにはセルロースパルプ10およびエアロゾル形成体中の結合剤の懸濁液9が導入される。さらに、ブレンドおよび粉砕ラインからのたばこ粉末ブレンド11は細かく粉砕され、スラリーを調製するために特定の量で混合タンク501の中へと投与される。
【0132】
例えば、たばこ粉末ブレンド11は、連続的な上流粉末操作の確保およびスラリー混合プロセスの要求に見合うことを確実にするために、たばこ微粉バッファ貯留サイロ内に収容されてもよい。たばこ粉末は、好ましくは空気輸送システム(図示せず)によって混合タンク501に移送される。
【0133】
装置500は、好ましくは必要な量のスラリーの成分を投与するための粉末投与/計量システム(これも図示せず)をさらに含む。例えば、たばこ粉末は、精密な投与のために秤(図示せず)または計量ベルト(図示せず)によって計量されてもよい。混合タンク501は、均質なスラリーを形成するために乾燥成分および液体成分を混合するように特に設計されている。スラリー混合タンクは、混合タンク501の外部壁上で水冷却できるように水冷壁などのクーラー(図示せず)を含むことが好ましい。スラリー混合タンク501は、制御およびモニターする目的で、レベルセンサー、温度プローブ、およびサンプリングポートなどの1つ以上のセンサー(図示せず)をさらに装備している。混合タンク501は、スラリーの均一な混合を確保するように適合されたインペラ502を有し、これは、タンクの外部壁からタンクの内部部分へ、またはその逆にスラリーを移送するように特に適合される。専用の制御ユニットによってインペラの速さを制御できることが好ましい。混合タンク501は、制御された流量での水8の導入のための水ラインも含む。
【0134】
混合タンク501は2つの分離したタンクであって、その一つがスラリーの流れの中でもう一方の下流にあり、スラリー調製用の一つのタンクと、キャスティングステーションに連続的なスラリー供給を提供するための移送用のスラリーを有する第二のタンクと、を含むことが好ましい。
【0135】
均質化したたばこウェブを製造するための本発明の方法は、キャスティングする工程109をさらに含み、この中で、工程108で調製されたスラリーは連続的なたばこウェブ中で支持体上にキャスティングされる。キャスティングする工程109は、スラリーを混合タンク501からキャスティングボックスへと移送することを含む。さらに、キャスティングボックスの中のスラリーのレベルおよびスラリーの水分をモニターする工程を含むことが好ましい。次に、キャスティングする工程109は、好ましくはキャスティングブレードによって鋼製コンベアなどの支持体上にスラリーをキャスティングすることを含む。さらに、エアロゾル形成物品内で使用するための最終的な均質化したたばこウェブを得るために、本発明の方法は、乾燥工程110を含み、この工程では、均質化したたばこ材料のキャストウェブは乾燥していることが好ましい。乾燥工程110は、キャストウェブを蒸気および加熱空気によって乾燥することを含む。キャストされたウェブが支持体と接触する側で、蒸気を用いた乾燥工程が実施され、一方でキャストされたウェブの開放側で、加熱空気を用いた乾燥が実施されることが好ましい。
【0136】
キャスティングする工程109および乾燥工程110を実施するための装置を、
図7に概略的に図示する。キャスティングおよび乾燥する装置600は、好ましくは流量制御を有するポンプなどのスラリー移送システム601と、スラリーがポンプによって移送されるキャスティングボックス602とを含む。キャスティングボックス602は、レベル制御603と、スラリーを均質化したたばこ材料の連続ウェブへとキャスティングするためのキャスティングブレード604とを装備することが好ましい。キャスティングボックス602は、キャストウェブの密度を制御するために密度制御装置605も含んでもよい。
【0137】
ステンレス鋼製のベルトコンベヤー606などの支持体は、キャスティングブレード604によってスラリーキャストを受け取る。キャストウェブを形成するキャスティングにおけるスラリーの幅は、約1.93メートルである。
【0138】
キャスティングおよび乾燥する装置600は、スラリーのキャストウェブを乾燥するための乾燥ステーション608も含む。乾燥ステーション608は、蒸気加熱609および上方空気乾燥610を含む。
【0139】
水分の標的または仕様に達するようにウェブの含水量をさらに取り除くために、キャストウェブは二次乾燥プロセスを通過することが好ましい。乾燥の後のキャストウェブの幅は、約1.8メートルであることが好ましい。
【0140】
乾燥工程110の後、
図7および
図8に示すように、例えば、3つの分けられた平行なウェブ612を形成するように、スリッティング工程111でキャストウェブを1つ以上の分けられた均質化したたばこシートに切断することが好ましい。切断する工程は、
図8の例では、2つのブレード801などの1つ以上のブレードを含むスリッタ611によって実施される。支持体606は、キャストウェブを乾燥ステーション608から直接的にスリッタ611へ移動する。
【0141】
スリッティングの後の分けられたキャストウェブ612の幅は、約0.05メートル〜約0.5メートルからなることが好ましく、その幅は、約0.125メートルであることがより好ましい。
【0142】
スリッティング工程111の後、分けられたウェブ612はそれぞれ、巻取ステーション613で起こる巻取工程112においてボビンで巻き取られる。各分けられたウェブ612は、
図8に示す3つのボビン614などの異なるボビンで巻き取られることが好ましい。巻取ステーション613は、分けられたウェブ612と等しい数のいくつかのボビンホルダー616を含むことが好ましい。巻取ステーション613は、各ボビンホルダー615の近くに、ボビン614の直径の寸法またはその重量を測定するのに適したセンサー616を含むことが好ましい。制限に到達した時、センサー616は、ボビン614を変えるために対応する信号を制御ユニット(図示せず)に送信する。さらに、巻取ステーション613は、変えられるボビンからの分けられたウェブ612を切断するためのボビンカッター(図示せず)を含みうる。
【0143】
次に、エアロゾル発生物品(図示せず)の製造のためにボビン614を使用してもよい。
【手続補正書】
【提出日】2018年5月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
o たばこ粉末ブレンド、結合剤および水溶性媒体中のエアロゾル形成体によって形成されたスラリーを含むように適合されるタンクと、
o 均質化したたばこ材料を形成するために、前記タンクからスラリーを受けるように、また前記スラリーをキャスティングするように適合されるキャスト装置と、
o その上で前記スラリーがキャスティングされ、搬送方向に沿って前記均質化したたばこ材料を搬送するように適合される移動可能な搬送支持体と、
o 分けられた均質化したたばこシートを形成するために、前記搬送方向に沿って前記均質化したたばこ材料をスリッティングするように適合された前記キャスト装置の下流に位置するスリッタであって、少なくとも3つの分けられた均質化したたばこシートを形成するように、少なくとも2つのブレードを含む、スリッタと、
o 前記分けられた均質化したたばこシートを前記スリッタから受けるように、また前記分けられた均質化したたばこシートのうちの少なくとも1つをボビンで巻き取るように適合された前記スリッタの下流に位置する巻取ステーションであって、前記分けられた均質化したたばこシートと等しい数のいくつかのボビンホルダーを含み、ここにおいて、前記均質化したたばこシートが、前記スリッタによって切断される、乾燥ステーションと、を含む、均質化したたばこシートの生産ライン。
【請求項2】
o 前記キャスト装置の下流に、かつ前記スリッタの上流に位置し、前記均質化したたばこシートを乾燥するように適合される乾燥ステーションを含む、請求項1に記載の均質化したたばこシートの生産ライン。
【請求項3】
前記スリッタが、前記乾燥ステーションの直接下流に位置する、請求項2に記載の均質化したたばこシートの生産ライン。
【請求項4】
前記巻取ステーションが、前記スリッタの直接下流に位置する、請求項1〜3のいずれかに記載の均質化したたばこシートの生産ライン。
【請求項5】
前記移動可能な搬送支持体が、前記均質化したたばこシートを前記キャスト装置から前記スリッタに搬送する単一の連続的な移動支持体を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の均質化したたばこシートの生産ライン。
【請求項6】
前記巻取ステーションが、
o 前記ボビンの寸法または前記ボビンで巻き取られた分けられた均質化したたばこシートの量を検出し、また前記寸法または量が所与のしきい値を超えた場合に、信号を送信するように適合されるセンサーと、
o 前記ボビンが前記センサー信号に応じて交換されうるように前記ボビン内の前記分けられた均質化したたばこシートを自動的に横方向に切断するための巻取ボビン切り取り要素と、を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の均質化したたばこシートの生産ライン。
【請求項7】
o たばこ粉末ブレンド、結合剤および水溶性媒体中のエアロゾル形成体を含むスラリーを調製する工程と、
o 搬送方向に沿って移動可能な支持体において前記スラリーをキャスティングして、均質化したたばこシートを形成する工程と、
o 分けられた均質化したたばこシートを形成するように、前記均質化したたばこシートが前記搬送方向に沿って移動する間に、前記均質化したたばこシートを前記搬送方向に沿って少なくとも3つの分けられた均質化したたばこシートにスリッティングする工程と、
o 各分けられた均質化したたばこシートをボビンで巻き取る工程と、を含む、均質化したたばこ材料のインライン生産のための方法。
【請求項8】
o 前記分けられた均質化したたばこシートを乾燥させる工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
o 前記ボビンに巻き取られ、分けられた均質化したたばこシートの量または前記ボビンの寸法を検査する工程と、
o 前記量または前記寸法が所与のしきい値を超える場合に前記ボビンを自動的に変える工程と、を含む、請求項7または8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
スラリーを調製する前記工程が、
o エアロゾル形成体中に結合剤を懸濁させて懸濁液を形成する工程と、
o セルロース繊維および水からセルロースパルプを作り出す工程と、
o たばこ粉末ブレンドを提供する工程と、
o エアロゾル形成体中の結合剤の前記懸濁液、前記セルロースパルプ、および前記たばこ粉末ブレンドを組み合わせて前記スラリーを形成する工程と、を含む、請求項7〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
スラリーを調製する前記工程が、
o セルロース繊維をパルプ化および精製して約0.2ミリメートル〜約4ミリメートルから成る平均サイズを有する繊維を得る工程と、
o 1つ以上のたばこタイプのたばこのブレンドを、約0.03ミリメートル〜約0.12ミリメートルから成る平均サイズを有するたばこ粉末に粉砕する工程と、
o スラリーを形成するために、前記パルプを、異なるたばこタイプの前記たばこ粉末ブレンドと組み合わせ、かつ前記均質化したたばこ材料の総重量の乾燥質量基準で約1パーセント〜約5パーセントから成る量で結合剤と組み合わせる工程と、
o 前記スラリーを均質化する工程と、を含む、請求項7〜10のいずれかに記載の方法。
【国際調査報告】