(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-537096(P2018-537096A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(54)【発明の名称】完全ヨーグルト作製器具
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20181122BHJP
A23C 9/123 20060101ALN20181122BHJP
【FI】
A23L5/00 G
A23C9/123
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-528642(P2018-528642)
(86)(22)【出願日】2016年12月2日
(85)【翻訳文提出日】2018年6月21日
(86)【国際出願番号】US2016064755
(87)【国際公開番号】WO2017096251
(87)【国際公開日】20170608
(31)【優先権主張番号】62/262,370
(32)【優先日】2015年12月2日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】518189057
【氏名又は名称】ヨーグルト, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チョウダリー, パラシャント
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラセカラン, スレシュ
【テーマコード(参考)】
4B001
4B035
【Fターム(参考)】
4B001AC05
4B001AC15
4B001AC31
4B001BC01
4B001BC07
4B001BC08
4B001BC14
4B001CC01
4B001EC11
4B035LC11
4B035LE11
4B035LG44
4B035LK19
4B035LP01
4B035LP21
4B035LP42
4B035LP43
4B035LT20
(57)【要約】
ヨーグルトメーカーデバイスは、牛乳を受容する、ヨーグルト容器を格納するための外側シェルと、ヨーグルト培養菌を受容する、培養菌コンテナとを備える。外側シェル内のプロセッサは、フィードバックとして温度センサを使用して、所定の煮沸時間周期にわたって所定の煮沸温度を維持するために、ヨーグルト容器内の牛乳を煮沸するための加熱要素と、煮沸しながら、また、発酵温度に到達するまで、冷却所定温度まで冷却しながら、ヨーグルト容器内の沸騰している牛乳を持続的に撹拌するための撹拌デバイスとを制御する。プロセッサはまた、培養菌コンテナ基部を制御し、該培養菌コンテナ基部は、培養菌コンテナを保持し、モータを有し、発酵温度に到達するとヨーグルト培養菌を自動的に傾注する。最後に、冷却機構は、いったん発酵が完了すると、ヨーグルト容器の内容物に冷却を自動的に提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヨーグルトを原料から自律的に調製するためのヨーグルト作製デバイスであって、
牛乳を受容するヨーグルト容器を格納し、ヨーグルト培養菌を受容するヨーグルト培養菌コンテナを格納する外側シェルと、
前記外側シェルに取り付けられ、前記ヨーグルト容器を被覆する蓋アセンブリと、
前記外側シェルからアクセス可能である入力/出力デバイスであって、前記入力/出力デバイスは、レシピパラメータの選択を受信する、入力/出力要素と、
前記外側シェル内にあるかまたは前記外側シェル内に取り付けられるプロセッサと、
前記外側シェル内に取り付けられ、前記プロセッサに通信可能に結合された加熱要素であって、フィードバックとして温度センサを使用して、所定の煮沸時間周期にわたって所定の煮沸温度を維持するために、前記ヨーグルト容器内の牛乳を煮沸する加熱要素と、
前記外側シェル内に取り付けられ、前記プロセッサに通信可能に結合された撹拌要素であって、煮沸しながら、前記ヨーグルト容器内で沸騰している牛乳を持続的に撹拌し、また、所定の発酵温度まで冷却しながら、前記ヨーグルト容器内で沸騰している牛乳を持続的に撹拌する撹拌要素と、
前記外側シェル内に取り付けられ、前記ヨーグルト培養菌コンテナを保持し、前記プロセッサに通信可能に結合されたモータを有する培養菌コンテナ基部であって、前記発酵温度に到達すると、前記ヨーグルト培養菌を自動的に傾注する培養菌コンテナ基部と、
前記外側シェル内に取り付けられ、前記プロセッサに結合された冷却要素であって、いったん発酵が完了すると、前記ヨーグルト容器の内容物に冷却を自動的に提供する冷却要素と、
を備える、ヨーグルト作製デバイス。
【請求項2】
前記蓋アセンブリは、前記ヨーグルト培養菌が前記ヨーグルト容器の中に傾注されることに先立って、牛乳が沸騰している間、ヨーグルト培養菌を隔離する様式で前記ヨーグルト培養菌コンテナを被覆する、請求項1に記載のヨーグルト作製デバイス。
【請求項3】
前記培養菌コンテナは、前記ヨーグルト培養菌を傾注するように自動的に傾けられ、前記培養菌コンテナが傾くことに応答して、前記蓋アセンブリは、発酵プロセスを密閉する様式で前記ヨーグルト容器を被覆する、請求項1に記載のヨーグルト作製デバイス。
【請求項4】
前記加熱要素、前記撹拌要素、および前記冷却要素からの重複要求の管理を含む、前記ヨーグルト作製デバイスの一次電力へのアクセスを管理するための電力管理集積回路(PMIC)モジュールをさらに備える、請求項1に記載のヨーグルト作製デバイス。
【請求項5】
牛乳を煮沸するための前記煮沸温度は、前記選択されたレシピパラメータのレシピパラメータとして受信される、請求項1に記載のヨーグルト作製デバイス。
【請求項6】
前記発酵のための温度は、前記選択されたレシピパラメータのレシピパラメータとして受信される、請求項1に記載のヨーグルト作製デバイス。
【請求項7】
完成したヨーグルトのための所定の冷蔵温度は、華氏約40度である、請求項1に記載のヨーグルト作製デバイス。
【請求項8】
前記冷却機構は、ペルチェモジュール、内側ヒートシンク、外側ヒートシンク、および排気ファンを備える、請求項1に記載のヨーグルト作製デバイス。
【請求項9】
原料から食べられる状態のヨーグルトを自動的に生産する、請求項1に記載のヨーグルト作製デバイス。
【請求項10】
蓋アセンブリの上部蓋フラップおよび上部蓋基部ならびに前記ヨーグルト培養菌コンテナは全て、牛乳蒸気への暴露後の清掃のために除去可能である、請求項1に記載のヨーグルト作製デバイス。
【請求項11】
モータ/ソレノイドは、ヨーグルト培養基部からのヨーグルト培養菌の散布をもたらす、請求項1に記載のヨーグルト作製デバイス。
【請求項12】
前記ヨーグルト培養菌容器は、牛乳を煮沸する、ヨーグルトを発酵させる、および冷蔵庫内に保存するために構成される、請求項1に記載のヨーグルト作製デバイス。
【請求項13】
前記ヨーグルト容器の基部は、前記ヨーグルト作製デバイスの平坦底部表面にて添着される撹拌機構を収容するように湾曲される、請求項1に記載のヨーグルト作製デバイス。
【請求項14】
前記レシピパラメータは、長期煮沸時間で加工される、濃厚な粘りのあるヨーグルトのための設定を含む、請求項1に記載のヨーグルト作製デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、Prashant Choudharyらによって2015年12月2日に出願され、FULLY AUTONOMOUS YOGURT MAKER APPLIANCEと題された米国出願第62/262,370号に対する35 USC 119(e)のもとでの優先権を主張するものであり、該米国出願の内容は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【0002】
本発明は、概して、自律的調理デバイスに関し、より具体的には、ユーザの観点から単一であるプロセスを用いてヨーグルトを完全に調製するための単一器具に関する。
【背景技術】
【0003】
自宅でのヨーグルトの作製は、20分またそれを上回る時間にわたって持続的に撹拌し、牛乳タンパク質を破壊し、集塊を防止しながら、牛乳を華氏約180度までゆっくりと煮沸することから始まる複数の調製ステップを含む、長時間に及ぶプロセスである。その後、牛乳は、華氏約110度の発酵温度まで冷却させられ、その時点で、培養菌が、牛乳の中に撹拌される。牛乳および培養菌混合物は、次いで、6〜12時間またはそれを上回る時間に及び得る、固定時間量にわたって、隔離された一定温度環境に保存される。ヨーグルトは、そのように規定された時間にわたって発酵された後、冷蔵庫に移送される必要があり、そうでなければ、腐敗し得る。さらに、より濃厚なヨーグルトを作製するためには、液体乳清を濾し、分離する、別の手動ステップが、要求され得る。したがって、全てのこれらのステップは、良好な結果を達成するために、慎重な人的注意を要求する。
【0004】
市場の既存のヨーグルトメーカーは、大部分は、最適発酵のために一定の温度環境を提供することによって、ヨーグルト作製プロセスの最終段階において役立つ。しかしながら、ヨーグルト作製の全てのステップを取り扱うことができる、単一のデバイスは存在しない。
【0005】
自宅でヨーグルトを作製する現在の技法は、いくつかの異なるデバイスを要求する。1つの調理デバイス(例えば、ポットまたは他の調理器具)は、牛乳を煮沸するために必要とされる。別個の培養デバイスは、牛乳と組み合わせられるまでヨーグルト培養菌が適切な温度に保たれるために必要とされる。そうでなければ、同様に牛乳を煮沸するであろう器具内では、温度は、高レベルに到達し、ヨーグルト培養菌は、潜在的に、破壊され、結果として、発酵を妨害し得る。混合デバイスは、ヨーグルト培養菌と牛乳を組み合わせるために必要とされる。薄膜が牛乳表面上に形成される場合、沸騰し過ぎ、不快な味わいをヨーグルトに与え得る。さらに別の冷蔵デバイスが、発酵されたヨーグルトを冷蔵するために必要とされる。各デバイスは、機能的に、有意な負荷を電力供給源(例えば、調理デバイス、加熱デバイス、混合デバイス、および冷蔵デバイス)にかける。さらに、牛乳を取り扱うデバイスは、洗浄が困難であり得、牛乳に暴露される任意の部品に関して経時的に臭いの問題を発生させ得る。
【0006】
既存の多数のヨーグルトメーカーデバイスの短所を克服し、ヨーグルト作製の複数のステップを統合する全ての課題を克服することが非常に望ましい。さらに、ユーザの観点から単一であるプロセスでヨーグルトを自動的に調製するための堅牢な自律的調理デバイスが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの短所は、ヨーグルトを単一プロセスにおいて自動的に調製する自律的調理デバイスのためのデバイスならびに関連コンピュータ可読媒体および方法の本開示によって対処される。
【0008】
ある実施形態では、ヨーグルトメーカーデバイスは、牛乳を受容するヨーグルト容器を格納するための外側シェルと、ヨーグルト培養菌を受容する培養菌コンテナとを備える。入力/出力デバイスが、外側シェルからアクセス可能であって、入力/出力デバイスは、ヨーグルトレシピパラメータの選択を受信する。
【0009】
別の実施形態は、プロセッサを外側シェル内に含む。プロセッサによって制御される加熱要素は、フィードバックとして温度センサを使用して、所定の煮沸時間周期にわたって所定の煮沸温度を維持するために、ヨーグルト容器内の牛乳を煮沸する。プロセッサによって制御される撹拌デバイスは、煮沸しながら、また、発酵温度まで冷却しながら、さらに、ヨーグルト培養菌を牛乳の中に混合しながら、ヨーグルト容器内の沸騰している牛乳を持続的に撹拌する。
【0010】
他の実施形態では、培養菌コンテナを保持し、プロセッサに通信可能に結合されたモータを有する、培養菌コンテナ基部は、発酵温度に到達すると、ヨーグルト培養菌を自動的に傾注する。最後に、プロセッサによって制御される、冷却機構は、いったん発酵が完了すると、ヨーグルト容器内の内容物に冷却を自動的に提供する(例えば、ペルチェブロックを用いて)。
【0011】
有利には、小型形状因子の単一のデバイスは、ユーザの観点から単一である自律的プロセスを用いて、ヨーグルトを作製するユーザの複雑性を除去する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下の図面では、同様の参照番号が、同様の要素を参照するために使用される。以下の図面は、本発明の種々の実施例を描写するが、本発明は、図面に描写される実施例に限定されない。
【0013】
【
図1】
図1は、ある実施形態による、ヨーグルトメーカーデバイスの外部シェルの概略図である。
【0014】
【
図2】
図2は、ある実施形態による、ヨーグルトメーカーデバイスのための取外可能蓋基部を図示する、概略図である。
【0015】
【
図3】
図3は、ある実施形態による、ヨーグルトメーカーデバイスの分注器およびボウルを図示する、概略図である。
【0016】
【
図4】
図4A−4Bは、ある実施形態による、開放および閉鎖位置における取外可能蓋基部を図示する、ブロック図である。
【0017】
【
図5】
図5は、ある実施形態による、ヨーグルトメーカーデバイスの撹拌ブレードを図示する、概略図である。
【0018】
【
図6】
図6は、ある実施形態による、ヨーグルトメーカーデバイスの加熱プレートを図示する、概略図である。
【0019】
【
図7】
図7−8は、ある実施形態による、ヨーグルトメーカーデバイスの冷却機構を図示する、概略図である。
【
図8】
図7−8は、ある実施形態による、ヨーグルトメーカーデバイスの冷却機構を図示する、概略図である。
【0020】
【
図9】
図9は、ある実施形態による、ヨーグルトメーカーデバイスの電子構成要素を図示する、ブロック図である。
【0021】
【
図10】
図10は、ある実施形態による、ヨーグルトメーカー器具のネットワークコネクティビティを図示する、ブロック図である。
【0022】
【
図11】
図11は、ある実施形態による、ヨーグルトメーカー器具内でヨーグルトを自動的に調製する方法を図示する、フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
自律的ヨーグルトメーカーデバイスならびに関連コンピュータ可読媒体および方法が、説明される。大まかには、自律的デバイスは、ヨーグルトのための原材料のみ準備される。それらの原料は、ユーザの観点から単一であるプロセスの間、同一デバイス内で煮沸、発酵、および冷蔵の全てが自動的に行われる。続いて、完全に調製され、冷蔵されたヨーグルトが、デバイスによって原料から加工される。コンパクトな形状因子は、保管および配置の容易性に役立つ。
【0024】
本デバイスの多くの他の側面が、当業者に明白となるであろうように、本発明の精神内で可能性として考えられる。また、本技法は、当業者によって、本発明の精神内で修正され、例えば、本技法を異なるタイプのヨーグルト(例えば、ギリシャヨーグルト)または異なる料理(例えば、アイスクリームを作製する)に適用することができる。故に、以下の詳細は、非限定的であって、当業者によって本発明の精神内で変動され得る、好ましい実施形態の例証の目的のためだけに記載される。
【0025】
I.
ヨーグルトメーカーデバイスの種々の実施形態
【0026】
図1は、ある実施形態による、ヨーグルトメーカーデバイス50の外部シェルの概略図である。具体的には、
図1は、有機的形態と現代の審美的観点を混合する、ヨーグルトメーカー50の1つの設計を示す。完全に自動化された蓋アセンブリは、後続図に関して以下により完全に説明されるように、スライドして開放し、内部のヨーグルト容器、混合器、および培養菌コンテナを露見させる。ユーザインターフェースは、内部電子機器およびソフトウェアによって実行されるような設定を調節するために使用されるボタンとともに、デジタル画面(例えば、タッチスクリーン)を含む。底部および随意に背面における勾配テクスチャは、視覚的に魅力的な外観を提供しながら通気口を隠す。ヨーグルトメーカー50は、直立型であって、4つの脚部によって支持されるが、また、異なる配向を有することもできる。例えば、ブレンダまたは電気鍋と同等の小型形状因子は、使用の間のカウンタ空間の量および使用されていない間の保管空間の量を限定する。
【0027】
図2は、ある実施形態による、ヨーグルトメーカーデバイス50のための取外可能蓋基部100を図示する、概略図である。蓋基部100は、蓋基部100および内部の容易な清掃のために、ヨーグルトメーカーデバイス50から容易に取り付けられる、または取り外されることができる。
【0028】
上部蓋フラップ101は、
図3に示されるように、内側コンテナの内容物を被覆する。より具体的には、ヨーグルト容器104は、培養菌コンテナ基部102の下方に位置付けられる。上部蓋フラップ101の一実施例は、
図4A−Bに具体的に示されるように、煮沸牛乳の高温蒸気に対する保護のために培養菌コンテナ基部102内の培養菌コンテナ103を被覆する。煮沸牛乳からの蒸気はまた、開口部および/または通気口から逃散することができ、上部蓋フラップ101は、内容物を煮沸牛乳から生じる高温蒸気から隔離する。培養菌コンテナ基部102が、傾斜し、培養菌コンテナ103の内容物をヨーグルト容器104の中に傾注すると、上部蓋フラップ101は、閉鎖し、発酵プロセスを密閉する。
【0029】
一実施形態では、上部蓋フラップ101内の通気口はまた、煮沸牛乳からの水蒸気の逃散およびより高速な冷却を可能にする。別の実施形態では、上部蓋フラップ101は、撹拌動作のための機械類および電子機器とともに、撹拌器を保持する。上部蓋フラップ101は、培養菌分注器103が垂直位置にあるとき、必然的に、水平位置に保持される。水平位置では、蓋フラップ101は、培養菌を周囲熱から密閉し、熱を通気させる。培養菌分注器103が、モータによって、培養菌を分注するために垂直位置からヨーグルト容器104の中に自動的に傾斜されると(
図4A対
図4B参照)(
図3の同一傾斜位置まで)、上部蓋フラップ101は、自動的に閉鎖し、発酵プロセス成功のための嫌気性環境を提供する(
図2の同一閉鎖位置まで)。長時間にわたる蒸気の通気は、より濃厚な粘りのあるヨーグルトを可能にする。したがって、ユーザは、ヨーグルトを濾し、乳清を分離する、付加的ステップを経ずに、ギリシャヨーグルトを作製することができる。別の実施形態では、無通気または限定された通気は、より水分量の多いヨーグルトをもたらすことを可能にする。
【0030】
ヨーグルト容器104は、温度および撹拌条件に耐え得る、ステンレス鋼等の鉄系材料、非鉄系材料、ポリマー、または任意の他の材料から形成されることができる。ヨーグルト容器104の目的は、牛乳、ヨーグルト培養菌、水、および香料等の組み合わされた原料を保持することである。ヨーグルト容器104は、好ましくは、煮沸から冷蔵までの温度の範囲を取り扱うために好適である。ヨーグルト容器104は、必要に応じて、洗浄または交換のために除去可能であることができる。撹拌機構が、容器104の底部に統合され、原料のより良好な混合を可能にする。
【0031】
多くの変形例が、可能性として考えられる。例えば、ヨーグルト容器104の湾曲基部203は、ヨーグルト作製デバイス50が傾かずに平坦表面上に設置され得るように、撹拌機構が平坦基部上に設置されるための空間を提供することができる。一実施形態は、ヨーグルト容器104自体を回転させ、撹拌を支援し、混合機構は、容器内に統合されない。いくつかの実装は、培養菌コンテナ103の他に付加的コンテナ(例えば、人工香料または香味料のコンテナ)を有する。
【0032】
アルミニウム容器エンクロージャ200は、本実施形態では、外側シェルを形成し、代替として、良好な熱伝導性を伴う任意の他の金属材料から作製されることができる。本体は、自立式であることができる、または金属支持フレームに取り付けられることができる。断熱層が、内側コンテナと外側シェルとの間に配置され、調理環境を外側から分離し、容器の内容物は、外側環境から熱的に隔離される。中央処理ユニット、コンピュータメモリ、およびコンピュータディスプレイは、電子機器を保護するために、同様に調理環境から隔離される、外側シェル内に統合されることができる。ディスプレイは、タッチスクリーンである、またはプッシュボタンを有し、入力を直接ユーザから受信し、その中からの条件を表示することができる。
【0033】
図5は、ある実施形態による、ヨーグルトメーカーデバイス50の撹拌ブレード202を図示する、概略図である。
【0034】
撹拌ブレード202は、原料をヨーグルト容器104内で循環させ、また、温度を均一に保つ。撹拌ブレード202は、煮沸の間、渦を牛乳表面上に生成し、薄膜形成を防止する。卵形および菱形等の異なる形状が、撹拌を最適化するために利用されることができる。標準的Kitchen−Aid式混合ブレードもまた、使用されることができる。例えば、勾配付き撹拌器は、原料を上部から底部に移動させることに役立つ。いくつかの実施形態では、撹拌ブレード202は、清掃および取替のために除去可能である。ステッパモータまたはDCサーボモータが、電力を使用して、撹拌器シャフト205を介して、撹拌器ブレード202を駆動する。より具体的には、ポリウレタン駆動ベルト206が、有意な熱をモータに逆伝達せずに、モータ208を撹拌器シャフト205に結合する。これは、モータ過熱を防止する。
【0035】
牛乳は、
図6に示されるように、加熱要素210または加熱プレートに結合される加熱コイル207によって加熱され、熱を分布させる。加熱コイル207は、抵抗加熱器、誘導加熱器、加熱プレート、加熱コイル、または同等物であることができる。空気ポケット204は、熱からの断熱を提供し、撹拌器シャフト205を過熱から防止する。いくつかの実施形態では、温度センサ209または熱電対が、原料温度に関するフィードバックのために加熱プレート210上または撹拌ブレード202の近傍に位置付けられる。その結果、ヨーグルトメーカーデバイス50は、煮沸、発酵、および冷蔵のためのある温度範囲に到達するとき、それを判定することができる。一実施形態では、加熱要素は、容器の両側に設置されることができる。さらに別の実施形態では、誘導またはソリッドステート加熱が、加熱要素の代わりに使用されることができる。
【0036】
図7−8は、ある実施形態による、ヨーグルトメーカーデバイスの冷却機構を図示する、概略図である。
【0037】
冷却機構は、排気ファン306を含み、空気ダクト305を通して空気流を生成し、したがって、排熱をヒートシンクから除去することができる。内側ヒートシンク301は、片側から湾曲され、内側容器からペルチェモジュール302の冷温側に熱を効率的に伝達する。ペルチェモジュールは、冷温側から、より大きいヒートシンク303と熱接触する、高温側に熱を伝達する。冷却空気が、底部から引き込まれ、外側ヒートシンク上に送出される。冷却空気が、ヒートシンクにわたって流動するにつれて、排熱の収集に伴って暖まり、最後に、上部通気口から退出する。別の実施形態では、ファンは、外側ヒートシンクの上部に設置され、高温空気を外側ヒートシンクから吸い込み、それを送出する一方、底部からの冷却空気は、吸い出された高温空気に取って代わる。
【0038】
冷蔵のため、またはファンよりも高速の冷却のため、華氏40度までさらに冷却するために、冷却パッドまたはペルチェチップ302が、使用されることができる。ペルチェチップは、熱流束を2つの異なるタイプの材料の合流点間に生成する、熱電冷却器である。ペルチェチップは、ソリッドステートであって、したがって、可動部品を有しておらず、これは、より小さい形状因子を可能にする。他のタイプの冷却(例えば、冷蔵)もまた、実装されることができる。
【0039】
図9は、限定ではないが、ヨーグルトメーカーデバイスに一般的であるいくつかの主要電気構成要素を伴う、電気概略
図900を示す。CPU901は、標準的PCプロセッサ、モバイルプロセッサ、または特殊プロセッサもしくはASICを備えることができる。CPU901は、デジタル制御のために、記憶装置902、ユーザインターフェース903、Bluetooth(登録商標)モジュール904(代替として、Ethernet(登録商標)、USB、Wi−Fiモジュール、または同等物であることができる)、温度センサ905、およびホール効果センサ906から入力を受信する。AC入力907は、加熱要素909を制御する、中継器908に電気的に結合され、また、AC/DCコンバータ910に、次いで、電力管理集積回路(PMIC)911に電気的に結合される。制御回路/中継器912は、CPUおよびPMIC911から入力を受信し、ファン912、ペルチェチップ913、撹拌デバイス914、および培養菌分注器モータ915を制御するために出力する。
【0040】
蓋開放コントローラが、含まれることができる。有限状態機械が、随意に、調理の異なる段階を追跡する。付加的コンピューティング構成要素は、メモリデバイス、入力/出力インターフェース、バス、および非一過性ソースコードを含むことができる。
【0041】
本デバイスは、例えば、壁コンセントに接続される、110V/220VAC入力を使用して、電力を受信することができる。AC/DCコンバータは、電気入力を3または4DC電力レベルまで逓減させる。PMIC911は、ホストシステムのための電力要件を管理し、電力供給源ユニットの最大電流定格を超えないことを確実にする。
【0042】
II.
ヨーグルトメーカーデバイスのための外部コネクティビティ(図10)
【0043】
図10は、ヨーグルトメーカーデバイスの外部コネクティビティ機能を図示する。ネットワークアーキテクチャ1000は、ヨーグルトメーカーデバイス1010と、レシピ/コミュニティサーバ1020と、モバイルアプリ1030とを含む。ヨーグルトメーカーデバイス1010は、有線または無線接続を用いて、ネットワーク1001に結合されることができる。
【0044】
レシピ/コミュニティサーバ1020は、レシピファイルのデータベースを種々のソースからホストする。ヨーグルトメーカーデバイス1010のユーザは、コミュニティの他のメンバとともに、共有のために、レシピファイルをアップロードすることができる。一部のユーザは、レシピファイルをユーザに一般公開可能にする一方、他のユーザは、レシピファイルに対して1回限りの料金または使用あたりの料金を要求する。
【0045】
モバイルアプリ1030は、ヨーグルトメーカーデバイス1010のユーザのための遠隔制御を提供することができる。一実施形態では、モバイルアプリ1030は、レシピ/コミュニティサーバ1020をヨーグルトメーカーデバイス1010に接続するための電線管として利用する。ヨーグルトメーカーデバイス1010はまた、モバイルアプリ1030においてメッセージをユーザに送信することができる。例えば、段階移行メッセージの変更、完了メッセージ、またはエラーアラートが、通信チャネルを通して送信されることができる。
【0046】
III.
ヨーグルトメーカーデバイス内の動作方法(図11)
【0047】
ヨーグルトメーカーデバイス内の1つの大まかな動作方法が、
図11に図示される。あるヨーグルト料理のための具体的設定が、ヨーグルトメーカーデバイスにおいて受信される(ステップ1110)。設定は、ユーザインターフェースにおいて、もしくはモバイルアプリを通して、ユーザによって入力されることができる、または設定は、レシピファイルから自動的にプログラムされることができる。設定は、煮沸温度、発酵温度、および段階の持続時間を含むことができる。ユーザは、上部蓋アセンブリを取り付けることができる。加えて、ユーザは、上部蓋フラップを持ち上げ、培養菌ホルダを培養菌分注器ソケット112の中に設置する。ヨーグルト培養菌は、沸騰している牛乳と別個に保持される。
【0048】
開始のためのコマンドの受信に応じて、牛乳は、持続的に撹拌されながら、ヨーグルトメーカーデバイス内で規定された温度において自動的に煮沸される(ステップ1120)。コマンドは、ローカルで、遠隔で入力される、またはタイマを用いて遅延されることができる。それに応答して、加熱要素が、オンにされ、撹拌が、開始する。
【0049】
煮沸が完了したことの判定に応じて、加熱要素は、オフにされ、撹拌は、発酵温度に到達するまで、冷却しながら継続される(ステップ1130)。ヨーグルト培養菌が追加される前に、混合物は、ある実施形態では、発酵のために、華氏約180度(またはユーザによって規定されるように)から華氏約111度(またはユーザ規定)まで冷却される(ステップ1140)。蓋は、ヨーグルト培養菌が追加されると、自動的に閉鎖される。少なくとも一実施形態では、発酵が完了したことの判定に応じて、混合物は、冷蔵のために、華氏約40度Fまで自動的に冷却されることができる(ステップ1140)。ユーザは、停止を押下し、ヨーグルトメーカーデバイスをオフにし、食べられる状態のヨーグルトを取り出すことができる。発酵が完了したことの判定に応じて、ヨーグルトメーカーデバイスは、冷蔵のために、自動的に冷却する(ステップ1150)。
【0050】
当業者によって理解されるであろうように、本発明は、その精神または不可欠な特性から逸脱することなく、他の具体的形態で具現化されてもよい。同様に、部分、モジュール、エージェント、マネージャ、構成要素、機能、手順、作用、層、特徴、属性、方法論、データ構造、および他の側面の特定の命名ならびに区分は、必須または重要ではなく、本発明もしくはその特徴を実装する機構は、異なる名称、区分、および/または形式を有してもよい。前述の説明は、説明の目的のために、具体的実施形態を参照して説明された。しかしながら、上記の例証的議論は、包括的であること、または開示される精密な形態に限定することを意図するものではない。多くの修正および変形例が、前述の教示に照らして可能性として考えられる。実施形態は、関連原理およびその実践的用途を最良に説明し、それによって、他の当業者が、検討される特定の使用に好適であり得るように、種々の修正の有無にかかわらず、種々の実施形態を最良に利用することを可能にするために選定され説明される。
【国際調査報告】