(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-537223(P2018-537223A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(54)【発明の名称】血液漏出を低減するための血管導入器ハブ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/158 20060101AFI20181122BHJP
【FI】
A61M5/158 500H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-530819(P2018-530819)
(86)(22)【出願日】2016年12月16日
(85)【翻訳文提出日】2018年6月27日
(86)【国際出願番号】US2016067228
(87)【国際公開番号】WO2017106681
(87)【国際公開日】20170622
(31)【優先権主張番号】62/269,700
(32)【優先日】2015年12月18日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(71)【出願人】
【識別番号】501083115
【氏名又は名称】メイヨ・ファウンデーション・フォー・メディカル・エデュケーション・アンド・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ロール、ジェームズ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】コースラ、ジェームズ ケイ.ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ホリスバーガー、ベン
(72)【発明者】
【氏名】クロス、ジェームズ エイ.
(72)【発明者】
【氏名】レーゼ、デイビッド ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066FF03
4C066GG06
4C066KK06
(57)【要約】
血管導入器ハブは、近位端、遠位端、及び該本体を貫通するルーメンを含む本体を有する。ハブは、本体内部に配置された第1のシールと第2のシールとを含む。第1のシールは、第1のポリマー材料を含み、第2のシールは第2のポリマー材料を含む。ハブは、異なるデュロメータ硬さを有する前記第1のポリマー材料と前記第2のポリマー材料を特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と、遠位端と、全体を貫通して画定されたルーメンと、を含む本体と、
前記本体の内部に配置され、かつ、第1のポリマー材料を備える第1のシール及び第2のポリマー材料を備える第2のシールと、
を備え、
異なるデュロメータ硬さを有する前記第1のポリマー材料と前記第2のポリマー材料とを特徴とする、血管導入器ハブ。
【請求項2】
前記第1のポリマー材料は、前記第2のポリマー材料よりも低いデュロメータ硬さを有する、請求項1に記載の血管導入器ハブ。
【請求項3】
前記第1のシールは、約30ショアAから約40ショアAまでの範囲のデュロメータ硬さを有しているシリコーンを備え、前記第2のシールは、約40ショアAから約60ショアAまでの範囲のデュロメータ硬さを有しているシリコーン材料を備える、請求項2に記載の血管導入器ハブ。
【請求項4】
前記本体に回転可能に取り付けられ、かつ、前記第1のシールに隣接して配置された第1のシール・アクチュエータと、前記本体に回転可能に取り付けられ、かつ、前記第2のシールに隣接して配置された第2のシール・アクチュエータと、をさらに備え、前記第1のシール・アクチュエータは、作動時に前記第1のシールを圧縮するように構成されるとともに、前記第2のシール・アクチュエータは、作動時に前記第2のシールを圧縮するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の血管導入器ハブ。
【請求項5】
前記第1のシールは、シール本体を含み、前記シール本体は、当該シール本体全体を貫通する第1のルーメンを画定し、前記第1のルーメンは、前記シール本体が前記第1のシール・アクチュエータによって圧縮された場合に直径が縮小するように構成された縮小可能な内径を有する、請求項4に記載の血管導入器ハブ。
【請求項6】
前記第1のシールと前記第2のシールは、各々が非圧縮状態にある場合には、約2.7mm(0.105インチ;8フレンチ)から約8.7mm(0.341インチ;26フレンチ)までの範囲の直径を有しているカテーテル装置を受け入れる大きさのルーメンを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の血管導入器ハブ。
【請求項7】
前記第1のシールは、当該第1のシールが部分的に閉じられた状態及び完全に閉じられた状態にある場合には、前記本体によって画定された長手方向軸に沿って遠位側又は近位側へ装置が移動することを許容するように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の血管導入器ハブ。
【請求項8】
前記第2のシールは、当該第2のシールが部分的に圧縮されている場合には、装置周りを流体封止するように構成されるとともに、当該第2のシールが完全に閉じられた状態にある場合には、前記本体によって画定された長手方向軸に沿って遠位側又は近位側へ装置が移動することを防止する、請求項1から7のいずれか一項に記載の血管導入器ハブ。
【請求項9】
前記ハブの前記本体は、前記第1のシールと前記第2のシールとの間に、当該本体の前記ルーメンと流体連通するチャンバを画定する、請求項1から8のいずれか一項に記載の血管導入器ハブ。
【請求項10】
前記本体に結合され、かつ、前記チャンバと流体連通する通気要素をさらに備え、前記通気要素は、前記チャンバから気体を放出する一方、液体を当該チャンバ内に留めるように構成される、請求項9に記載の血管導入器ハブ。
【請求項11】
前記通気要素は、前記本体によって画定された長手方向軸に対して径方向に延びる、請求項10に記載の血管導入器ハブ。
【請求項12】
前記通気要素は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、他のポリオレフィン、ポリエステル、又はこれらの組み合わせといった材料で作製されているが、これらに限定されない、多孔性又は微小孔性の膜で作製された気体浸透性のフィルタを備える、請求項9又は請求項10に記載の血管導入器ハブ。
【請求項13】
前記第1のシールは、前記第2のシールに対して遠位側に位置するとともに、前記ハブは、前記第2のシールに対して遠位側であって前記第1のシールに対して近位側に位置する第3のシールをさらに備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の血管導入器ハブ。
【請求項14】
近位端と、遠位端と、全体を貫通するルーメンとを含み、前記ルーメンは、カテーテル装置を受け入れる大きさであり、前記遠位端は、前記カテーテル装置が通り抜けることを許容するように構成された開口部を画定する、長尺状シャフトと、
前記長尺状シャフトの近位端に取り付けられたハブと、
を備え、前記ハブは、
近位端と、遠位端と、全体を貫通して画定されたルーメンと、を含む本体と、
前記本体内部に配置され、第1のポリマー材料を備える第1のシール及び第2のポリマー材料を備える第2のシールと、
を備え、
前記ハブは、前記第1のポリマー材料と前記第2のポリマー材料とが異なるデュロメータ硬さを有することを特徴とする、血管導入器装置。
【請求項15】
前記第1のシールは、第1のシール・ルーメンを画定するとともにシール本体を備え、前記シール本体は、遠位方向にテーパ状をなして当該第1のシールが圧縮された場合に内向きに縮まるように構成される円錐台状の遠位側部分を含み、前記第2のシールは、第2のシール・ルーメンを画定するとともにシール本体を備え、前記シール本体は、遠位方向にテーパ状をなして当該第2のシールが圧縮された場合に内向きに縮まるように構成される円錐台状の遠位側部分を含む、請求項14に記載の血管導入器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管導入器ハブを具備する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管導入器ハブは、患者の血管系内にカテーテルとガイドワイヤとを繰り返し導入し、除去することを必要とする低侵襲的処置において使用可能である。該導入器ハブは、さらに、処置の間にカテーテル又はガイドワイヤの再配置を許容するものではあるが、多くの場合、再配置のためにハブ内のバルブの開口を必要し、かかる開口は、血液などの体液がハブを通して漏出させてしまう。バルブが閉じられている場合、血液漏出は防止されるが、カテーテル又はガイドワイヤは、再配置が妨げられる。血管導入器ハブ内に受け入れられた装置が体液の著しい損失を伴うことなく再配置又は操作されることが可能となるように、血液漏出を最小限にすることが可能な血管導入器ハブが必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本明細書は、血管導入器ハブを含む装置及び方法に関する。本明細書中に開示されるのは、装置が該血管導入器ハブを通り抜けることを許容する一方、医療処置の際の血液漏出を最小限にするための血管導入器ハブについての様々な実施態様である。
【0004】
態様例1において、血管導入器ハブは、本体と、本体内部に配置された第1のシールと第2のシールとを含む。前記本体は、近位端と、遠位端と、当該本体を貫通するルーメンと、を含む。第1のシールは、第1のポリマー材料を含み、第2のシールは、第2のポリマー材料を含む。前記ハブは、異なるデュロメータ(硬さ)を有する前記第1のポリマー材料と前記第2のポリマー材料を含む。
【0005】
態様例2において、態様例1の血管導入器ハブは、第1のポリマー材料が第2の材料よりも低いデュロメータ硬さを有する。
態様例3において、態様例2の血管導入器ハブは、第1のシールが約30ショアAから約40ショアAの範囲のデュロメータ硬さを有しているシリコーンを備え、第2のシールは、約40ショアAから約60ショアAの範囲のデュロメータ硬さを有しているシリコーン材料を備える。
【0006】
態様例4において、態様例1から3のうちのいずれか1つの血管導入器ハブは、本体に回転可能に取り付けられ、第1のシールに隣接して配置された第1のシール・アクチュエータと、前記本体に回転可能に取り付けられ、第2のシールに隣接して配置された第2のシール・アクチュエータと、をさらに含み、前記第1のシール・アクチュエータは、作動時に前記第1のシールを圧縮するように構成され、前記第2のシール・アクチュエータは、作動時に前記第2のシールを圧縮するように構成される。
【0007】
態様例5において、態様例4の血管導入器ハブは、第1のシールがシール本体を含み、前記シール本体が全体を貫通する第1のルーメンを画定し、前記第1のルーメンは、前記シール本体が前記第1のシール・アクチュエータによって圧縮された場合に直径が縮小するように構成された縮小可能な内径を有する。
【0008】
態様例6において、態様例1から5のうちのいずれか1つの血管導入器ハブは、前記第1のシールと前記第2のシールが、各々、非圧縮状態にあるとき、約2.7mm(0.105インチ、又は8フレンチ)から約8.7mm(0.341インチ)(26フレンチ)までの範囲の直径を有しているカテーテル装置を受け入れる大きさのルーメンを含む。
【0009】
態様例7において、態様例1から6のうちのいずれか1つの血管導入器ハブは、前記第1のシールが、当該第1のシールが部分的に閉じられた状態及び完全に閉じられた状態にある場合には、前記本体によって画定された長手方向軸に沿って遠位側又は近位側へ装置が移動することを許容するように構成される。
【0010】
態様例8において、態様例1から7のうちのいずれか1つの血管導入器ハブは、前記第2のシールが、当該第2のシールが部分的に圧縮されている場合には、装置周りを流体封止するように構成されるとともに、当該第2のシールが完全に閉じられた状態にある場合には、前記本体によって画定された長手方向軸に沿って遠位側又は近位側へ装置が移動することを防止する。
【0011】
態様例9において、態様例1から8のうちのいずれか1つの血管導入器ハブは、当該ハブの前記本体が、前記第1のシールと前記第2のシールの間に、当該本体の前記ルーメンと流体連通するチャンバを画定する。
【0012】
態様例10において、態様例9の血管導入器ハブは、前記本体に結合され、かつ、前記チャンバと流体連通する通気要素をさらに備え、前記通気要素は、前記チャンバから気体を放出する一方、液体を当該チャンバ内に留めるように構成される。
【0013】
態様例11において、態様例10の血管導入器ハブは、前記通気要素が、前記本体によって画定された長手方向軸に対して径方向に延びる。
態様例12において、態様例9又は態様例10の血管導入器ハブは、前記通気要素が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、他のポリオレフィン、ポリエステル、又はこれらの組み合わせといった材料で作製されているが、これらに限定されない、多孔性又は微小孔性の膜で作製された気体浸透性のフィルタを備えている。
【0014】
態様例13において、態様例1から12のうちのいずれか1つの血管導入器ハブは、第2のシールより遠位側に位置する第3のシールをさらに含む。
態様例14において、血管導入器装置は、長尺状シャフトと、ハブと、を含む。前記長尺状シャフトは、近位端と、遠位端と、全体を貫通するルーメンと、を含む。前記ルーメンは、カテーテル装置を受け入れる大きさである。前記遠位端は、前記カテーテル装置が通り抜けることを許容するように構成された開口部を画定する。前記ハブは、長尺状シャフトの近位端に取り付けられる。前記ハブは、本体と、本体内部に配置された第1のシール及び第2のシールと、を含む。前記本体は、近位端と、遠位端と、前記本体を貫通するように画定されたルーメンを含む。前記第1のシールと前記第2のシールは、前記本体内部に配置される。前記第1のシールは、第1のポリマー材料を含むとともに、前記第2のシールは、第2のポリマー材料を含む。前記ハブは、異なるデュロメータ硬さを有する前記第1のポリマー材料と前記第2のポリマー材料を特徴とし得る。
【0015】
態様例15において、態様例14の血管導入器装置は、第1のシールが第1のシール・ルーメンを画定するとともにシール本体を備え、前記シール本体は、遠位方向にテーパ状をなして第1のシールが圧縮された場合に内向きに縮まるように構成される円錐台状の遠位側部分を含み、前記第2のシールは、第2のシール・ルーメンを画定するとともにシール本体を備え、前記シール本体は、遠位方向にテーパ状をなして第2のシールが圧縮されたときに内向きに縮まるように構成される円錐台状の遠位側部分を含む。
【0016】
態様例16において、態様例15の血管導入器装置は、前記第1のシールと前記第2のシールのシール・ルーメンが、非圧縮状態にある場合には、円形の断面を形成し、圧縮された場合には、径方向内方に膨出し、非円形の断面を形成する。
【0017】
態様例17において、態様例15の血管導入器装置は、第1のシールと第2のシールのシール・ルーメンが、圧縮された場合には、径方向内方に膨出して、より小さなルーメン径を形成し、前記より小さなルーメン径は、非円形の断面を有する装置周りを流体封止するように構成される。
【0018】
態様例18において、態様例15の血管導入器装置は、前記第1のシール・ルーメンの内径が、当該シールが非圧縮状態にある場合には、前記第2のシールが非圧縮状態にある時の前記第2のシール・ルーメンの内径よりも大きい。
【0019】
態様例19において、患者にカテーテルを導入する方法は、導入器を取得するステップと、前記導入器を患者の血管系に挿入するステップと、前記導入器にカテーテルを挿入するステップとを含んでいる。前記挿入するステップは、導入器ハブの近位側アクチュエータを回すことにより前記導入器ハブの近位側シールを開くステップと、前記導入器ハブの近位端にカテーテルを挿入するステップと、前記導入器ハブのルーメン内にカテーテルを進入するステップと、前記カテーテルが近位側シールを挿通して摺動可能に移動可能であり、かつ、体液が前記近位側シールによって当該ハブのルーメン内に概ね包含されるように、前記カテーテル上の近位側シールを閉じるステップと、遠位側アクチュエータを回すことにより遠位側シールを開き、かつ、遠位側シールを通り抜けて前記カテーテルを進入するステップと、を含んでいる。
【0020】
態様例20において、態様例19の方法は、前記カテーテルが前記遠位側シールによって位置的にロックされ、よってそれ以上は近位側シールを通って摺動移動できなくなるように、遠位側シールを閉じるステップをさらに含む。
【0021】
様々な実施形態が開示されている一方、本発明のさらに他の実施形態が、本発明の図解的な実施形態を示し、説明する以下の詳細な説明から、当業者に明らかとなろう。このように、図面及び詳細な説明は、本質的に例示であって限定的ではないとみなされることになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本明細書中に開示される例示的な導入器の側面図。
【
図2A】
図1に示された閉じられた状態の導入器の導入器ハブの端面図。
【
図2B】
図1に示された開かれた状態の導入器の導入器ハブの端面図。
【
図3A】
図1の導入器ハブを通して、当該ハブの近位端に向かって前進せしめられるカテーテルを通す方法を例示する図。
【
図3B】
図1の導入器ハブを通して、当該ハブの近位端と遠位端との間のチャンバ内に挿入されているカテーテルを通す方法を例示する図。
【
図3C】
図1の導入器ハブを通して、当該ハブの遠位端を通り抜けて延出されたカテーテルを通す方法を例示する図。
【
図4A】導入器ハブの代替実施形態を示すハブの斜視図。
【
図4B】導入器ハブの代替実施形態を示すハブの側面図。
【
図4C】導入器ハブの代替実施形態を示すハブの正面図。
【
図4D】導入器ハブの代替実施形態を示すハブの背面図。
【
図4E】導入器ハブの代替実施形態を示すハブのA−A横断側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明には様々な改変及び代替形態が可能であるが、具体的な実施形態が図中に例として示されており、かつ、以下に詳細に説明される。しかしながら、その意図は、本発明を説明された特定の実施形態に限定することではない。そうではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲によって画定されるような本発明の範囲内にある全ての改変形態、等価物、及び代替形態に及ぶように意図されている。
【0024】
図1を参照して、本明細書中に開示されるいくつかの事例による血管導入器100は、近位側部分112から遠位側部分114まで延びる長尺状本体110を有する。該導入器は、患者の血管系の少なくとも一部分、例えば心臓に達する血管(例えば上大静脈又は下大静脈)を通る、手術用装置又は診断用装置のような第2の装置(図示せず)のための経路を提供可能である。本明細書中に開示される様々な事例において、導入器100は、可視化装置(例えば
図3Aから
図3Cの装置160)のために、患者の血管系を通して心臓に至る経路を提供するように構成され得る。例えば、いくつかの場合には、導入器100は、患者の血管系を通して、頚静脈から上頚静脈まで、又は大腿静脈から下大静脈まで、ひいては右心房に至る、バルーン系可視化装置のための経路を提供可能である。導入器100は、いくつかの場合には、心臓三尖弁の修復又は置換処置のために構成された直接可視化システムの一部とすることが可能である。本明細書中に開示される導入器のある実施形態は、身体の他のエリア(例えば末梢又は大脳の血管系)を治療する医療処置において使用され得る。
【0025】
図1に示されるように、本明細書中に開示される導入器100の近位側部分112は、第2の装置(例えば可視化装置)を受け入れるように構成されたハブアセンブリ120を含み、第2の装置が、ハブアセンブリ120からの血液漏出を微量だけ伴い、又は別の例として血液漏出を全く伴わずに、該ハブアセンブリの中を摺動可能に移動することができるように構成されている。図示されたハブアセンブリ120は、略円筒状の本体のような本体122を含み、近位端部126を備えた近位側部分124と、遠位端部130を備えた遠位側部分128とを有している。図示された本体122は、長手方向軸132とルーメン(
図2A及び3Bのルーメン139を参照)とを画定しており、前記ルーメンは、近位端部126から遠位端部130へと延びる。詳しくは後述するように、本明細書中に開示される導入器100は、近位側アクチュエータ144(近位側締付具としても説明され得る)と、近位側シール138(
図2A及び2Bを参照)と、遠位側アクチュエータ146(又は遠位側締付具)と、遠位側シール(図示せず)と、を具備するハブアセンブリ120を含む。本明細書中に開示される導入器ハブアセンブリ120は、いくつかの場合には、第2の装置に対し、解除可能、かつ、封止可能なように結合するように構成された少なくとも1以上のシール138を含む。
【0026】
本明細書中に開示される導入器100は、ハブアセンブリ120に取り付けられ、かつ、該アセンブリから遠位側に延びるシャフト部材150を備える。いくつかの場合には、シャフト部材150は、装置の挿入中又は医療処置中における血管の潜在的な損傷を最小限にし得るように、患者の血管系内に挿入するために構成され、さらに該血管系に部分的又は完全に順応する可撓性チューブであり得る。シャフト部材150は、第2の装置(例えば可視化装置)を受け入れる大きさで当該シャフト部材150を貫通するルーメンを含み得る。いくつかの場合には、シャフト部材150は、可撓性ポリマー材料で作製されており、該シャフト部材が屈曲して患者の血管系の曲がりくねった経路に完全に順応し、又は部分的に順応することを可能にしている。適切なシャフト材料には、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)及びポリ(ブチレンテレフタラート)コポリマー(PBT)、ポリアミド、並びにこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0027】
図2A及び2Bを参照して、使用時、図示されたハブアセンブリ120は、近位側部分124において本体122の内側に配置された近位側シール138と、遠位側部分128において配置された遠位側シールとを有する。シールは、それぞれ、2つの状態すなわち閉じられた状態(
図2A)及び開かれた状態(
図2B)の間で変位可能である。ハブアセンブリの近位側シール138又は遠位側シールは、該シールが軸方向に圧縮された場合には、閉じられた状態から開かれた状態へと調整可能である。ハブのシール(例えば近位側シール138)を軸方向に圧縮するための様々な方法が存在する。いくつかの場合には、回転可能な圧縮ナット144をシール(例えば近位側シール138)に隣接して配置することが可能である。圧縮ナット144の回転は、ナット144が本体122によって画定された長手方向軸に沿って遠位側又は近位側へと移動することを可能にする。ナット144の長手方向の移動は、シール138を軸方向に圧縮する結果となり、該シール材が縮まり、かつ、径方向内方に膨出するように可能である。この径方向の膨出は、圧縮されたシールのルーメンの大きさ(例えば直径)を、非圧縮状態にある場合のルーメンよりも小さくする。その結果、シール(例えば
図2A及び
図2Bに示されるような近位側シール138)のルーメン(例えばルーメン139)は、調整可能な開口部を有し、この開口部は、開かれた状態の場合には大きな直径を形成し、閉じられた状態の場合には小さな直径を形成することが可能であり、又は、ある場合において、開口部は、閉じられた状態のときは存在しない(図示せず)。シール(例えば近位側シール138)のルーメン(例えばルーメン139)は、開かれた状態又は部分的開かれた状態の場合には、該ルーメンを通る二次装置(例えば可視化装置)の通り抜けを許容可能である。
【0028】
完全に開いたシール(例えば
図2Bに示されるような近位側シール138)のルーメン(例えばルーメン139)は、最大の内径を備えた開口部を画定可能である。開口部の最大の内径は、所望通りの大きさにすることが可能である。例えば、いくつかの場合には、最大の内径は、約1ミリメートル(mm)から約10mm(0.04インチから約0.40インチ)まで、例えば、約1mm(0.04インチ)から約3mm(0.1インチ)まで、約3mm(0.1インチ)から約5mm(0.2インチ)まで、約5mm(0.2インチ)から約7mm(0.3インチ)まで、又は約7mm(0.3インチ)から約10mm(0.4インチ)までの範囲にあることが可能である。閉じたシールのルーメンは、最小の内径を有する開口部を画定する。開口部の最小の内径は、所望通りの大きさにすることが可能である。例えば、いくつかの場合には、最小の内径は、約0.1mm(0.004インチ)から約5mm(0.20インチ)まで、例えば、約0.1mmから約0.5mmまで、約0.5mmから約1mmまで、約1mmから約2mmまで、約2mmから約3mmまで、約3mmから約4mmまで、又は約4mmから約5mmまでの範囲にあることが可能である。いくつかの場合には、最小の内径は、0.1mm(0.004インチ)未満であってよい。様々な実施形態において、最小の内径は、最大の内径より小さな寸法であり、例えば、最小の内径は、最大の内径と比較して直径が約0.5mm(0.2インチ)から約9.5mm(0.4インチ)の範囲で小さいことが可能である。シール開口部の内径は、最小のシール直径から最大のシール直径までの範囲の内径寸法に調整可能である。
【0029】
図3Aから
図3Cを参照して、
図1の例示的なハブアセンブリ120は、患者の体内にバルーン系可視化装置160のような二次装置を導入する場合には、導入器(例えば
図1の導入器100)からの血液漏出を最小限にし、又は防止するために使用可能である。使用している間、本明細書中に開示される導入器100(例えば
図1の導入器)は、患者の血管系、例えば頚静脈の中に導入可能である。導入器100が患者に挿入されている間、ハブアセンブリ120の近位端部126からの血液漏出を防止するために、ハブアセンブリ120の全てのシール(例えば、近位側シールと遠位側シール)が閉じ得る。導入器100が患者の解剖学的構造内の所望の位置に配置されてしまえば、バルーン系可視化装置160をハブアセンブリ120の近位端部126においてルーメン内へと前進させる(
図3Aの矢印方向を参照)ことが可能である。ハブアセンブリ120の近位側締付具(例えば近位側圧縮ナット144)は、ハブアセンブリ120の近位側シールを開くために(例えば、反時計回りに回して)回すことが可能である。バルーン系可視化装置160は、該装置160の遠位端がハブアセンブリ120のチャンバ部分148に入るまで、近位側シールのボアの中へ挿入可能であり、かつ、前記ボアを貫通することが可能である。ハブアセンブリのチャンバ部分148は、近位側シールと遠位側シールとの間におけるハブアセンブリのルーメン領域である。近位側シール138は、近位側圧縮ナット144を(例えば時計回りの回転によって)回すことにより締め付けられ、バルーン系可視化装置のシャフト部分がなおも本体122によって画定された長手方向軸に沿って遠位側又は近位側に摺動可能に移動可能とする一方、近位側シール138が該装置160のシャフト周りを流体封止する。
【0030】
近位側シールが流体封止するように調整済みとなれば、遠位側シールを開き、患者の血液がハブのチャンバ部分148に流れ込むことを許容するために、ハブアセンブリ120の遠位側締付具(例えば遠位側圧縮ナット146)を作動する(例えば、反時計回りに回す)ことが可能である。
図3Cに示されるように、バルーン系可視化装置160は、該装置160のバルーン部分が遠位側シールを通り抜けるまで遠位側方向に進入される。遠位側シールは、遠位側シールが該シャフト周りを流体封止する一方、施術者が例えば患者の血管系を通してバルーン系可視化装置160を通らせ、かつ、右心房のような心腔への到達を許容するように、該装置160のシャフトがなおも本体122によって画定された長手方向軸に沿って、遠位側又は近位側へ摺動可能に移動することを許容するように、選択的に遠位側締付具を作動する(例えば、時計回りに回す)ことにより締められる。選択的に、施術者は、本体122によって画定された長手方向軸に沿って該装置160が遠位側又は近位側へ移動するのを防止するようにバルーン系可視化装置160が患者の解剖学的構造内で適切に配置済みとされた場合には、患者体内の可視化装置160の位置を安定させるために近位側締付具、遠位側締付具、又は両方を締め付け得る。
【0031】
図4Aから
図4Eを参照して、本明細書中に開示される別の例示的な導入器は、近位側部分224、途中部分227、及び遠位側部分228を備えた本体222を有するハブアセンブリ220を具備している。
図4Aから
図4Eは、導入器のハブアセンブリ220だけを示している単純化された図であり、したがって
図1のシャフト150のような導入器のシャフト部分を示していないことに注意されたい。
図4A及び
図4Bは、それぞれ斜視図及び側面図であり、
図4C及び
図4Dは、それぞれハブアセンブリの正面及び背面図である。
図4Eは、断面A−Aにおけるハブアセンブリの横断面図を提供している。
【0032】
本明細書中に開示される導入器のハブ220は、第2の装置(例えば可視化装置)を受け入れるように、かつ、ハブからの血液漏出が少量の状態で、さらには血液漏出がない状態で、第2の装置が当該ハブ内で摺動可能に移動することを許容するように、構成され得る。図示されたハブ220は、長尺状本体222を備え、該長尺状本体222は、長手方向軸232と、該本体222の近位端226から遠位端230まで延びるルーメン234(
図4Dから
図4Eに最もよく示されている)と、を画定している。ハブ220はさらに、
図4Aから
図4Eに描かれるように、近位側部分の近位側締付具(例えば近位側圧縮ナット244)及び遠位側部分228の遠位側締付具(例えば遠位側圧縮ナット246)を含む。近位側締付具と遠位側締付具とは、ハブ220の内部にある近位側シール238と遠位側シール242(
図4E)をそれぞれ調整するように構成される。図の導入器ハブ220はさらに、ハブ220のチャンバ部分248のような内部領域から気体を放出するために、本体222の途中部分227に通気要素270を含む(
図4Eを参照)。
【0033】
なおも
図4Aから
図4Eを参照して、ハブ220は、シールの調整を容易にするために2以上の締付具(例えば近位側の圧縮ナット244と遠位側の圧縮ナット246)を含み得る。いくつかの場合には、ハブ220は、3以上の締付具及びシールを、例えば3個、4個、5個、又は6個以上の締付具とシールとを含み得る。近位側の締付具と遠位側の締付具とは、
図4Aから
図4Eに示されるように、各々がハブ220の本体222に、移動可能に取り付け可能である。各々の締付具は、回された際にシールを圧縮するように構成された、回転式の締付具、例えば圧縮ナットであってよい。各々の締付具は、回転数に応じて各々の対応するシールに作用する圧縮力を増減させることが可能である。いくつかの場合には、回された際、各々の締付具の一部分が、ハブ内部の長手方向軸に沿って第1の位置と第2の位置との間で往復運動することが可能である。第1の位置と第2の位置との間の距離は、軸方向の圧縮力を生み出し、該圧縮力は、締付具から隣接するシールに、例えば近位側締付具から近位側シール238に、直接加わる。様々な事例において、各々の締付具は、力の作用又は除去に応じて二次装置(例えば可視化装置)の周面の周りをシールが封止し、開放し、又は部分的に開放するように、シールに圧縮力を加え又は除去することができる。
【0034】
本明細書中に開示される導入器ハブは、少なくとも2つのシール、例えば、
図4Eに最も良く示されている近位側シール238と遠位側シール242とを含み得る。各々のシール(例えば近位側シール238)は、ハブ220の締付具のうちの一方と途中部分227との間に位置するハブの環状キャビティ254の内部に配置可能である。各々のシールは、本体を含み、該本体は、ハブ220内部に流体導路を提供するための該本体を貫通するルーメン239、243を画定している。シール本体は、様々な異なる形態に形成可能であり、該形態は、例えば、略円筒状の本体、扁平若しくは楕円形のリング、又はOリング形状の本体を含むが、それらに限定されない。いくつかの場合には、
図4Eに最も良く示されるように、近位側シール238と遠位側シール242とは、各々、円筒形状の近位側部分と円錐台形状の遠位側部分とを有する。円錐台形状の遠位側部分は、シールが圧縮力を受けたときに、円筒形状の近位側部分と比較して小さな圧縮力でシールが周辺に広がることを可能にする。いくつかの場合には、円錐台形状の遠位側部分は、シールが圧縮されたときに径方向内方に縮まる。
【0035】
様々な場合において、本明細書中に開示される導入器ハブのシール(例えば、近位側シール238と遠位側シール242の少なくともいずれか一方)は、該シールに加えられた圧縮力に応答して、二次装置(例えば可視化装置)に対して流体封止を提供する。圧縮力がシールに加わった場合、シールの一部分(例えば円錐台形状の遠位側部分)は、径方向内方に動いて、シールのルーメン内に配置された可視化装置といった二次装置の周りに次第に密に封止する。各々のシールに加わっている圧縮力の大きさは、流体封止が可視化装置のシャフト周りに形成又は維持される一方で、圧縮可能なシールに作用している圧縮力をすべて除去する必要を伴わずに、該装置を再配置したり、又は、除去したりすることすらも依然として許容するように、加算的に調整可能である。シールのこの調整可能な特性は、様々な異なる直径や断面形状を有している長尺状医療用装置を、該シールを通して受け入れるのに適している。
【0036】
いくつかの場合には、導入器ハブのシールは、様々な断面形状を具備するルーメンを画定する本体を含み得る。いくつかの断面形状には、限定するものではないが、円形、楕円形、及び様々な多角形の形状を含む。
【0037】
シールは様々なポリマー材料で作製され得る。いくつかの場合には、シールは、圧縮力を受けて弾性的に変形するとともに、力が除去された場合には、元の形状に戻るために適した弾性材料で作製され得る。シールに適した材料には、限定するものではないが、シリコーンゴムのようなエラストマーを含み得る。
【0038】
いくつかの場合には、本明細書中に開示される導入器ハブは、少なくとも2つのシール、第1のシールと第2のシールとを含む。第1のシールは、第1の材料を含有することが可能であり、かつ、第2のシールは、第2の材料を含有することが可能である。第1の材料と第2の材料は、異なる機械的特性を有する。いくつかの場合には、第1の材料と第2の材料は、例えば異なるデュロメータ硬さといった異なる機械的性質を有する同種類のポリマー材料を含み得る。例えば、近位側シールは、低いデュロメータ硬さのシリコーンのような第1のポリマー材料で作製され、遠位側シールは、高いデュロメータ硬さのシリコーンのような第2のポリマー材料で作製され得る。低いデュロメータ硬さのシリコーンは、10ショアAデュロメータから約40ショアAデュロメータの範囲のデュロメータ硬さを有するシリコーンであり、高いデュロメータ硬さのシリコーンは、約40ショアAデュロメータから60ショアAデュロメータの範囲のデュロメータ硬さを有するシリコーンである。例えば、いくつかの場合には、第1のシールは、約30ショアAから約40ショアAの範囲のデュロメータ硬さを有するシリコーンを含み、第2のシールは約40ショアAから約60ショアAの範囲のデュロメータ硬さを有するシリコーン材料を含む。いくつかの例において、第1のシールは、約30ショアAのデュロメータ硬さを有する材料を含むとともに、第2のシールは、約60ショアAのデュロメータ硬さを有する材料を含む。いくつかの場合には、第1の材料と第2の材料は、異なる材料であり得る。例えば、いくつかの場合には、第1のシールは、シリコーンを含むことが可能であり、かつ、第2のシールはウレタン、又はポリウレタンブレンドを含み得る。いくつかの場合には、シールのうちの一方は、他方のシールの第2の材料と比較した場合には、より高いか又はより低い剛性又は弾性を有する第1の材料を含み得る。第1のシールと第2のシールのデュロメータ硬さの差は、より高いデュロメータ硬さの材料で作製された一方のシール(例えば第1のシール、又は別例として第2のシール)が、閉じている時にはシール内に配置された装置の再配置を防止することを許容するとともに、より低いデュロメータ硬さの材料で作製された他方のシールが閉じている時には装置の再配置を可能にする一方ハブから体液が漏出することを防止することを許容する、という利点を提供する。要するに、本明細書中に開示される導入器ハブは、多機能であるように構成され得る。すなわち、本導入器ハブは、当該ハブ内に配置された装置が、血液漏出を防止するためにより軟質で曲げ易い液密性で閉じることを許容する一方、所望の場合には、装置の再配置をなおも許容するように構成可能であるばかりでなく、所望の場合には、前記装置が、医療処置中の装置の変位を防止するためにより強靭でより堅いシールを用いて固定されることも許容するように構成され得る。
【0039】
いくつかの場合には、第1のシールは、当該第1のシールが圧縮されたときに、第1のルーメン内に配置された装置周りを流体封止するように構成され得る。いくつかの場合には、第1のシールは、第1のシールが部分的に閉じられた状態にあるとき、ハブ本体によって画定された長手方向軸に沿って装置が遠位側又は近位側へ移動することを可能にするように構成され得る。第1のシールは、所定の場合には、第1のシールが完全に閉じられた状態にあるとき、本体によって画定された長手方向軸に沿って装置が遠位側又は近位側へ移動することを可能にするように構成され得る。
【0040】
第2のシールは、いくつかの場合には、第2のシールが部分的に又は完全に圧縮されたときに装置の周りを流体封止するように構成され得る。いくつかの場合には、第2のシールは、第2のシールが部分的に又は完全に閉じられた状態にあるとき、ハブ本体によって画定された長手方向軸に沿って装置が遠位側又は近位側へ移動することを防止するように構成され得る。
【0041】
なおも
図4Eを参照して、いくつかの場合には、シールは、非圧縮状態にあるとき、約0.5mm(0.02インチ)から約5mm(0.20インチ)までの長手長さを有することが可能である。前記長手長さは、その間の全ての値や範囲、例えば、約0.5mmから約1mmまで、約1mmから約2mmまで、約2mmから約3mmまで、約3mmから約4mmまで、又は約4mmから約5mmまでを含む。非圧縮状態にあるシールの径方向の幅(例えば直径)は、約1mm(0.04インチ)から約5mm(0.20インチ)までの範囲に及ぶことが可能である。該幅は、その間の全ての値及び範囲、例えば、約1mmから約2mmまで、約2mmから約3mmまで、約3mmから約4mmまで、又は約4mmから約5mmまでを含む。非圧縮状態にあるシールの厚さ(例えば、シールのルーメン壁から最も近い外壁までの間の距離)は、約1mm(0.04インチ)から約3mm(0.12インチ)までの範囲に及ぶことが可能である。該厚さは、その間の全ての値及び範囲、例えば、約1mmから約1.5mmまで、約1.5mmから約2mmまで、約2mmから約2.5mmまで、又は約2.5mmから約3mmまでを含む。シールのルーメンは、非圧縮状態にあるとき、約2.7mm(0.105インチ;8フレンチ)から約8.7mm(0.341インチ;26フレンチ)までの直径を有する二次装置が該ルーメンを貫通可能な大きさであることが可能である。例えば、いくつかの場合には、シールのルーメンは、約2.7mmから約4mmまで、約4mmから約6mmまで、又は約6mmから約8.7mmまでに及ぶ直径を有する二次装置を見込んだ大きさであることが可能である。
【0042】
図4Aから
図4Eに戻って、本明細書中に開示される導入器ハブは、通気要素270(脱気ベントと称することもある)を含む。通気要素270は、ハブ本体222の途中部分227に、ハブ220のチャンバ部分248の内部から空気等の気体を除去する一方、血液等の体液を残すように適合される。図の通気要素270は、基部、途中部分、及び終端部分を備える。通気要素270は、施術者が通気要素をハブ220のルーメンに対して、高さを横向きに向けることが可能であるように、ハブの長手方向軸に対して直角であるか又は傾斜した方向に延び得る。高さが横向きであることにより、ハブのルーメン領域から通気要素へと気体(例えば空気)を方向付けるという利点を提供可能である。
【0043】
通気要素270の基部は、ハブ220の本体222との取り付け(例えば接着)を容易にする大きさにされ得る。例えば、基部は、
図4Eに示されるように、ハブ220の途中部分227に沿って画定された孔への圧入結合のためにテーパ状をなしていてもよい。いくつかの場合には、通気要素270の末端部分が、出口ライン(図示せず)、例えば真空源に接続された真空ラインと、作動可能に接続されるようになされたコネクタを含むことが可能である。
【0044】
通気要素270は、気体浸透性のフィルタを収容するように形作られることが可能である。例えば、
図4Aから
図4Eに示されるように、通気要素270の途中部分は、扁平なフィルタディスクを収容するためにディスク形状であってもよい。いくつかの場合には、気体浸透性のフィルタは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、他のポリオレフィン、ポリエステル、又はこれらの組み合わせのような材料で作製された多孔性又は微小孔性の膜で作製され得るが、これらのものに限定されない。いくつかの場合には、フィルタは、疎水性材料で作製されることも可能であるし、疎水性コーティングを含むことも可能である。膜は、膜の片側から反対側に延びる多孔構造を含み得る。ポアの大きさは、約0.002インチ(50ミクロン)から約0.040インチ(1000ミクロン)までの範囲で、約0.004インチ(100ミクロン)であることが可能である。ポアの密度及びポア径は、所与の体積の空気を除去する一方でハブ220からの血液又は他の液体の損失を防止するために、ポンプ若しくはその他の吸引(真空)装置又は圧力生成装置によって生成されるような、膜を横切る圧力損失と、両立可能であるように選択することが可能である。
【0045】
本明細書中に開示される導入器ハブアセンブリは、様々な製造工程を使用して作製可能である。例えば、いくつかの場合には、導入器ハブアセンブリの個別の構成要素が押出し成形及び射出成形を含む工程を使用して作製され得るが、これに限定されない。本明細書中に開示される導入器ハブアセンブリの構成要素は、接着結合、オーバーモールド、及び圧入又はスナップ嵌めのような製造工程を使用して、合わせて組み立てることが可能である。
【0046】
本明細書中に開示される導入器ハブアセンブリの1つ以上の設計上の特定事項を、本明細書中に開示される他の導入器ハブの他の特定事項と組み合わせ可能であることが理解されるはずである。実際、本明細書中に開示される導入器ハブ設計のうち2以上に由来する様々な特定事項を組み合わせるハイブリッド設計を作出することが可能であり、該設計は、本開示の範囲内にある。
【0047】
本明細書は、数多くの具体的な実施態様の詳細を包含しているが、これらはあらゆる発明の範囲、すなわち特許請求の範囲の対象とされ得るものに対する限定としてではなく、特定の発明の特定の実施形態に特有となり得る特定事項についての説明として、解釈されるべきである。別個の実施形態に即して本明細書中で説明されたある特定事項が、1つの実施形態において組み合わされて実装されることも可能である。反対に、1つの実施形態に即して説明された様々な特定事項が、多数の実施形態において別々に、又は任意の適切な部分的組み合わせで実装されることも可能である。さらに、特定事項は、ある一定の組み合わせで作用しているものとして上記に説明され、かつ、当初はそういうものとして特許請求の範囲に記載すらされ得るが、特許請求の範囲に記載された組み合わせに由来する1以上の特定事項はいくつかの場合にはその組み合わせから削除可能であり、またその特許請求の範囲に記載された組み合わせは部分的組み合わせ又は部分的組み合わせの変形形態を対象とし得る。
【0048】
上記に説明され、かつ、以下に特許請求の範囲に記載される教示内容を対象とすることに加えて、上記に説明され、かつ、以下に特許請求の範囲に記載される特定事項の様々な組み合わせを有する装置及び方法の少なくともいずれか一方が企図される。そのため、説明は、以下に特許請求の範囲に記載された従属的な特定事項のなんらかの他の可能な組み合わせを有する他の装置及び方法の少なくともいずれか一方をも対象とする。
【0049】
数々の特徴及び利点について、様々な代替形態を装置や方法の構造及び機能の詳細と共に含めて、先の説明において示してきた。本開示は、単に例示として意図されており、そのため網羅的であるようには意図されていない。当業者には明らかであろうが、特に構造、材料、要素、構成要素、形状、大きさ、及び部分の配置構成であって本発明の原理の範囲内にある組み合わせを含めたものに関して、添付の特許請求の範囲が表現されている用語の広く一般的な意味が示す範囲の及ぶかぎり、様々な改変がなされ得る。これらの様々な改変が添付の特許請求の範囲の思想及び範囲から逸脱しない程度までは、それらはその範囲に包含されるように意図される。本明細書中で参照された全ての参照文献、出版物、及び特許文献は、そこに含まれる図表及び図面を含めて、その全体が参照により組み込まれる。
【国際調査報告】