【実施例】
【0116】
参照例1:化合物5の製造
【化10】
【0117】
メチル2−(ベンジルオキシ)酢酸(2)の製造
【化11】
ジクロロメタン(960mL)を3.0Lの三ツ口丸底フラスコに加え、メタノール(197.6g、247mL)及びピリジン(304.78mL、311mol)を加え、そして混合物を氷浴で0℃まで冷却した。窒素ガスの保護下で、2−(ベンジルオキシ)アセチルクロリド(300g、1.54mol)を丸底フラスコに滴下して加え、添加の間、温度を0−10℃に制御した。添加後、氷浴を除去し、反応溶液を20℃で1.5時間撹拌した。サンプリング及び検出後、TLC(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)は反応が完了したことを示した。水(1.5L)を丸底フラスコに加え、10分間撹拌し、層を分離させて、有機層を回収した;その後有機層を1.0mol/Lの希釈塩酸(900mL×2)で洗浄し、層を分離させて、有機層を回収した;有機層をさらに20%炭酸ナトリウム溶液(600mL)で洗浄し、層を分離させ、有機層を回収し、無水硫酸ナトリウム(150g)で乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、無色の油状生成物を得た(284g、1.53mol、収率97%、純度99%)。
1H NMR(400MHz,クロロホルム−d)ppm 7.37−7.32(m,5H),4.63(s,2H),4.11(s,2H),3.76(s,3H);LCMS(ESI)m/z:202.8(M+23).
【0118】
メチル2−(ベンジルオキシ)−3−(ジメチルアミノ)アクリレート(3)の製造
【化12】
メチル2−(ベンジルオキシ)酢酸(506g、2.72mol)を3L丸底フラスコに加え、t−ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン(569g、3.26mol)を加え、反応温度を90℃−100℃に制御して、14時間反応させた。サンプリング及び検出後、TLC(PE/EA=5/1)は反応が完了したことを示した。反応溶液を60℃
に冷却し、オイルポンプを用いて濃縮し、黄色の油状生成物(699g、粗生成物)を得、これを次の工程に直接使用した。
1H NMR(400MHz,クロロホルム−d)ppm 7.44−7.2(m,2H),7.37−7.28(m,3H),6.87(s,1H),4.72(s,2H),3.73(s,3H),2.98(s,6H).
【0119】
3−(ベンジルオキシ)−7−ブロモ−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン(4)の製造
【化13】
メチル2−(ベンジルオキシ)−3−(ジメチルアミノ)アクリレート(318g、1.35mol)を5L丸底フラスコに加え、酢酸(3L)及び2−アミノ−5−ブロモピリジン(246g、1.35mol)をそれらに加えた。反応溶液を温度を120℃−130℃に制御し、撹拌しながら、14時間反応させた。サンプリング及び検出後、LCMSは反応がほぼ完了したことを示した。反応溶液を60℃に冷却し、濃縮し、蒸発させて溶媒を除去し、酢酸エチル(750mL)を加え、10分間撹拌し、ろ過した。得られたろ過ケーキに酢酸エチル(500mL)を加え、10分間撹拌し、ろ過した。さらに得られたろ過ケーキを酢酸エチル(150mL)でリンスし、スピンドライ(脱水)して、黄色の固体化合物を得た(319g、純度95%、収率67.79%)。
1H NMR(400MHz,クロロホルム−d)d=9.13(d,J=2.0Hz,1H),8.05(s,1H),7.56(dd,J=2.0,9.6Hz,1H),7.46−7.42(m,3H),7.37−7.33(m,3H),5.30(s,2H);LCMS(ESI)m/z:332.6(isotope M+1).
【0120】
7−ブロモ−3−ヒドロキシ−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン(5)の製造
【化14】
トリフルオロ酢酸(1.2L)を3L丸底フラスコに加え、3−(ベンジルオキシ)−7−ブロモ−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン(313g、897.9mmol)をそれらに加え、反応溶液を温度を80℃−90℃に制御し、撹拌しながら、2時間反応させた。サンプリング及び検出後、LCMSは反応がほぼ完了したことを示した。反応溶液を60℃に冷却し、濃縮し、蒸発させて溶媒を除去し、酢酸エチル(1.2L)を加え、60分間撹拌し、ろ過した。得られたろ過ケーキに酢酸エチル(400mL)を加え、60分間撹拌し、ろ過した。さらに得られたろ過ケーキを減圧下、40℃で70時間乾燥し、黄色の固体化合物を得た(191g、含量95.6%、純度100%、収率84.59%)。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)d=9.92(br,1H),8.90(s,1H),8.07(s,1H),7.73(dd,J=2.0,9.6Hz,1H),7.53(d,J=9.6Hz,1H);MS m/z:240.9(M+1),2
42.8(isotope M+1).
【0121】
例1:化合物1の製造
7−ブロモ−3−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン(6)の製造
【化15】
7−ブロモ−3−ヒドロキシ−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン(300g、1.2mol)及びN,N−ジメチルホルムアミド(3L)を丸底フラスコに加え、反応装置の温度を95℃−100℃に調節した。炭酸カリウム(497.4g、3.6mol)を反応フラスコに入れ、30分間撹拌した。2−ジメチルアミノエチルクロリド塩酸塩を3つに分けて、以下の通り供給した:2−ジメチルアミノエチルクロリド塩酸塩(70.6g、0.49mol)を反応フラスコに入れ、30分間撹拌した;2−ジメチルアミノエチルクロリド塩酸塩(70.6g、0.49mol)を反応フラスコに入れ、30分間撹拌した;そして2−ジメチルアミノエチルクロリド塩酸塩(70.6g、0.49mol)を反応フラスコに入れ、2−2.5時間撹拌した。
【0122】
反応完了後(HPLCを用いてモニターした)、反応装置の温度を15±5℃に調節した。反応溶液を水(15L)に加え、その後ジクロロメタン(4.5L×4)で抽出した。有機層を合わせて、減圧下、35±5℃にて、一定重量まで濃縮した。濃縮後の得られた生成物に、n−ヘプタン(1.8L)を加え、15±5℃で15−16時間撹拌した。ろ過後、得られたろ過ケーキを、減圧下、35±5℃で回転蒸発(ロータリーエバポレート)し、緑色の固体生成物を得た(280g、収率74.09%、純度98.22%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)d=2.35(s,6H),2.78(t,J=5.6Hz,2H),4.25(t,J=6.0Hz,2H),7.45(d,J=9.6Hz,1H),7.55(dd,J=9.6Hz,2Hz,1H),8.13(s,1H),9.09(d,J=2.0Hz,1H);LCMS(ESI)m/z:312(isotope M+1).
【0123】
7−(5−アミノ−6−メトキシピリミジン−3−イル)−3−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン(7)の製造
【化16】
7−ブロモ−3−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン(275g、0.87mol)、2−メトキシ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−3−アミン(249g、0.96mol)、1,4−ジオキサン(2.75L)、水(550mL)、及び炭酸カリウム(362g、2.62mol)を、次々に反応フラスコに加えた;30−60分間バブリングさせた後、Pd(dppf)Cl
2(19.2g、26mmol
)を反応フラスコに加えて、反応フラスコを窒素ガスで5回置換した;反応フラスコの温度を95±5℃に調節し、この温度で2−2.5時間、混合物を撹拌した。反応完了後(HPLCを用いてモニターした)、反応装置の温度を15±5℃に調節した。反応溶液をn−ヘプタン(6.6L)に加え、温度を15±5℃に調節した後、この温度で2−2.5時間、混合物を撹拌した。ろ過後、得られたろ過ケーキを、減圧下、45±5℃でスピンドライ(脱水)した。得られた残留物にジクロロメタン/メタノール(V/V=8/1、2.75L)を加え、15±5℃で30−60分間撹拌し、ろ過して、ろ過ケーキを得た;ろ過ケーキにジクロロメタン/メタノール(V/V=8/1、1.375L)を加え、15±5℃で30−60分間撹拌し、再びろ過して、別のろ過ケーキを得、これをジクロロメタン/メタノール(V/V=8/1、1.375L)でリンスした。得られた2つのろ液を合わせ、減圧下、45±5℃で濃縮した。濃縮残留物にジクロロメタン/メタノール(V/V=2/1、4.125L)を加え、撹拌して溶解した。得られた溶液にチオシアヌル酸(13.93g)及び活性炭素(27.5g)を加え、15±5℃にて15−16時間撹拌し、珪藻土(137.5g)でろ過し、得られたろ過ケーキをジクロロメタン/メタノール(V/V=2/1、1.375L×2)でリンスした。ろ液を減圧下、45±5℃で濃縮した。濃縮残留物にメタノール(1.1L)を加え、15±5℃で2−3時間撹拌し、ろ過し、得られたろ過ケーキをメタノール(137.5mL)でリンスし、減圧下、45±5℃で回転蒸発させて、黄色の固体生成物を得た(270g、純度97.98%、収率84.24%)。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)d=8.92(d,J=1.6Hz,1H),8.24(s,1H),8.04(dd,J=9.6Hz,2Hz,1H),7.80(d,J=2Hz,1H),7.67(d,J=9.6Hz,1H),7.27(d,J=2.0Hz,1H),5.24(s,2H),4.19(t,J=6.0Hz,2H),3.93(s,3H),2.66(t,J=6.0Hz,2H),2.25(s,6H);LCMS(ESI)m/z:356(M+1).
【0124】
化合物1の製造
【化17】
7−(5−アミノ−6−メトキシピリミジン−3−イル)−3−(2−ジメチルアミノ)エトキシ)−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン(265g、0.72mol)及びピリジン(2.65L)を反応フラスコに加えた;5±5℃に冷却した後、2−クロロ−4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド(252g、1.08mol)のピリジン(504mL)溶液を滴下して反応フラスコに加えた;添加が完了した際、反応溶液を温度30℃−35℃に調節し、この温度で2−3時間撹拌した。反応完了後(HPLCを用いてモニターした)、反応溶液を減圧下、45±5℃で、化合物7の2.5−3倍の重さまで濃縮した。濃縮生成物にジクロロメタン(3.7L)を加え、25±5℃で30分間撹拌し、減圧下、45±5℃で、化合物7の2.5−3倍の重さまで濃縮した。濃縮生成物にジクロロメタン(3.7L)を加え、25±5℃で2−3時間スラリーした。ろ過後、ろ過ケーキを回収し、45±5℃で、化合物7の1.3−1.7倍の重さまで回転蒸発させた。回転蒸発した生成物にジクロロメタン(1.85L)を加え、25±5℃で2
−3時間スラリーした。ろ過後、ろ過ケーキを回収し、45±5℃で、化合物7の1.2−1.4倍の重さまで回転蒸発し、その後45℃で3−4時間、化合物7の1.2−1.3倍の重さまで真空乾燥した。得られた粗生成物にアセトニトリル(2.12L)を加え、55±5℃で15−16時間スラリーした。スラリー後の溶液を25±5℃に冷却し、ろ過し、得られたろ過ケーキを回収し、45±5℃で、化合物7の1.1−1.2倍の重さまで回転蒸発させた。回転蒸発した生成物にアセトニトリル(1.9L)を加え、55±5℃で15−16時間スラリーした。スラリー後の溶液を25±5℃に冷却し、ろ過し、得られたろ過ケーキを45±5℃で、化合物7の1.0−1.1倍の重さまで回転蒸発させた。回転蒸発した生成物にメタノール(5.3L)及び活性炭素(53g)を加え、75±5℃で2−3時間撹拌した。ろ過を珪藻土(132g)で実施し、得られたろ過ケーキを回収し、ジクロロメタンとメタノールの混合溶媒(V/V=4/1、7.95L)を加え、25±5℃で30−60分間撹拌した。ろ過を再度実施し、2つの得られたろ液を合わせて、45±5℃で化合物7の1.01−1.03倍の重さまで濃縮した。濃縮生成物に水(4.24L)及びエタノール(1.06L)を加え、25±5℃で5−10分間撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1.3L)を滴下して加え、更に2−3時間撹拌した。ろ過後、ろ過ケーキを、45±5℃で、化合物7の1.1−1.3倍の重さまで回転蒸発させた。回転蒸発した生成物にエタノール(1.59L)を加え、75±5℃で15−16時間スラリーした。スラリー後の溶液を25±5℃に冷却し、ろ過し、ろ過ケーキを回収し、45±5℃で、化合物7の0.89−0.92倍の重さまで回転蒸発させた。回転蒸発した生成物にエタノール(1.59L)を加え、75±5℃で15−16時間スラリーした。スラリー後の溶液を25±5℃に冷却し、ろ過し、得られたろ過ケーキを回収し、45±5℃で、化合物7の0.87−0.9倍の重さまで回転蒸発させた。回転蒸発した生成物に水(2.35L)を加え、45±5℃で61±1時間撹拌した。混合溶液を25±5℃に冷却し、ろ過した。得られたろ過ケーキを回収し、水(2.35L)を加え、25±5℃で2−3時間撹拌し、ろ過した。得られたろ過ケーキを回収し、60℃で15−16時間真空乾燥し、60メッシュシーブで篩分けし、淡黄色の固体生成物を得た(190g、純度98.33%、収率47.36%)。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6−d)d=2.96(t,J=6.0Hz,2H),3.72(s,3H),4.27(t,J=5.2Hz,2H),7.32(td,J=8.8,2.8Hz,1H),7.60(dd,J=8.4,2.4Hz,1H),7.70(d,J=9.2Hz,1H),7.75(d,J=2.0Hz,1H),7.95−8.05(m,2H),8.15(d,J=1.6Hz,1H),8.27(s,1H),8.85(s,1H);LCMS(ESI)m/z:548(M+1).
【0125】
例2:化合物1の結晶形IXの製造
7−(5−アミノ−6−メトキシピリミジン−3−イル)−3−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン(2.5g、6.75mmol、1.0当量)をピリジン(25mL)に溶解し、2−クロロ−4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド(2.01g、8.78mmol、1.3当量)を、0℃にて滴下して加え、10℃−20℃で16時間撹拌した。反応完了後、溶媒をスピンドライして除き、粗生成物を得た。粗生成物をカラム(DCM/MeOH:10/1−4/1)で精製した。黄色の固体生成物を得た(2.4g、純度98.31%、収率63.79%)。上記黄色固体(1.3g、2.37mmol)を分取HPLC(中性)で分離した。分取HPLC(中性)での分離からの液体をDCM(500mL×3)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウム(100g)で乾燥し、ろ過し、得られたろ液をスピンドライして、白色固体生成物である、化合物1の結晶形IXを得た(970mg、1.75mmol、純度99%、収率73.94%)。
【0126】
例3:化合物2の結晶形Iの製造
7−(5−アミノ−6−メトキシピリミジン−3−イル)−3−(2−(ジメチルアミ
ノ)エトキシ)−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン(29.0g、81.60mmol、1.0当量)及びピリジン(290mL)を、撹拌機が備えられた1.0Lの三ツ口丸底フラスコR1に加えた。R1を氷浴に入れ、0−5℃に冷却した。2−クロロ−4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド(24.30g、106.08mmol、1.3当量)のピリジン(60mL)溶液をR1に約30分かけて滴下して加え、反応溶液を自然に20℃まで温め、16時間撹拌しながら反応させた。反応完了後、反応溶液を減圧下で濃縮してピリジンを除去し、80gの赤色固体粗生成物を得た。上記の粗生成物64gを取り、1.0L丸底フラスコR2に入れ、ジクロロメタン(350mL)をR2に加えた。R2を15℃で2時間撹拌し、ろ過し、得られたろ過ケーキを回収して、乾燥し、淡赤色固体を得た(33.4g、収率77%、純度99.4%)。上記の固体30gを取り、1Lの丸底フラスコR3に入れ、メタノール(600mL)及び活性炭素(6g、20%)をR3に加えた。混合物を70℃のオイルバスに入れ、12時間撹拌した。混合物を珪藻土(15g)で温かいうちにろ過した。ろ液を回収し、スピンドライして黄色固体生成物を得た(22.6g、純度97.47%)。アセトニトリル(150mL)を上記固体に加えた;得られた混合物を85℃のオイルバスにて12時間撹拌し、20℃に冷却し、ろ過した;得られたろ過ケーキを回収し、乾燥して、白色固体にて、表題生成物である、化合物2の結晶形Iを得た(21g、収率44.3%、純度100%)。イオンクロマトグラフィーから決定した化合物2の塩素イオン対化合物1の塩素イオンのモル比は1:1であった。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6−d)d=2.91(s,6H),3.53(t,2H),3.71(s,3H),4.52(t,2H),7.38(m,1H),7.77(m,2H),7.97(m,2H),8.16(m,1H),8.45(m,2H),8.98(s,1H).
【0127】
例4:化合物2の結晶形IIの製造
約50mgの化合物2の結晶形Iを取り、0.4mLのアセトンを加え、懸濁液を形成した。懸濁液試料をミキサーに設置し、一定温度(40℃)で2日間振盪した(遮光した(光から保護した))。残留固体を遠心分離し、真空乾燥オーブンにて40℃で一晩乾燥し、化合物2の結晶形IIを得た。
【0128】
例5:化合物2の結晶形IIIの製造
結晶形IIIの製造手順は、溶媒であるアセトンをイソプロパノールに替えた以外は、結晶形IIのものと同一であった。化合物2の結晶形IIIを得た。
【0129】
例6:化合物2の結晶形IVの製造
結晶形IVの製造手順は、溶媒であるアセトンを酢酸エチルに替えた以外は、結晶形IIのものと同一であった。化合物2の結晶形IVを得た。
【0130】
例7:化合物2の結晶形Vの製造
化合物2の結晶形I(2.0g、3.42mmol)を500mLの一つ口フラスコR1に入れ、DCM/MeOH(2/1、200mL)を加えて撹拌しながら固体を完全に溶解させた。溶液を40℃で減圧下に晒して溶媒を除去し、2.0gの黄色固体を得た;該固体1gを取り、50mLの一つ口フラスコに入れ、続いてエタノール(6mL)を加えた;得られた混合物をオイルバスに入れ80℃で12時間撹拌し、その後加熱を停止した。混合物を撹拌しながら20℃に冷却し、ろ過し、ろ過ケーキを乾燥し、化合物2の結晶形Vを得た。
【0131】
例7:化合物2の結晶形VIの製造
7−(5−アミノ−6−メトキシピリミジン−3−イル)−3−(2−ジメチルアミノ)エトキシ)−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン(70.0g、222.90
mmol、1.0当量、純度99.4%)及びピリジン(700mL)を、メカニカルスターラーが備えられた2.0Lの三ツ口丸底フラスコR1に加え、R1を氷浴に入れ、0−5℃に冷却した。2−クロロ−4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド(70.81g、293.67mmol、1.5当量、純度95%)のピリジン(140mL)溶液をR1に約30分かけて滴下して加えた。R1を30℃のオイルバスに入れ、2時間撹拌しながら反応させた。反応完了後、反応溶液を減圧下で濃縮して溶媒であるピリジンを除去し、赤色固体の粗生成物(200g)を得た。残留物にジクロロメタン(1.0L)を加え、20℃で3時間撹拌した。ろ過後、ろ過ケーキを回収した。アセトニトリル(1.2L)をろ過ケーキに加えた;得られた反応溶液を85℃で12時間還流し、20℃に冷却し、ろ過した;別のろ過ケーキを回収し、乾燥して固体(92g)を得た。ろ過ケーキの固体にメタノール(2L)及び活性炭素(14g)を加え、撹拌しながら3時間還流し、温かいうちに珪藻土(40g)でろ過し、500mLでリンスした。ろ液を減圧下40℃でスピンドライし、固体(83g)を得た。得られた固体にアセトニトリル(800mL)を加え、混合物を85℃で一晩還流し、20℃に冷却してろ過し、得られたろ過ケーキを乾燥して白色固体77gを得た。72gの白色固体を取り、メタノールに完全に溶解し、スピンドライし、化合物2の結晶形VIを得た。
【0132】
例8:化合物3の結晶形VIIの製造
化合物1(997.34mg、1.82mmol、1.00当量)を5mLのガラス瓶に入れ、エタノール/水(7.5mL/2.5mL)を加え、室温(15℃)で0.1時間撹拌したが、大量の固体は溶解しなかった。マレイン酸(211.25mg、1.82mmol、1.00当量)を混合物に加え、室温(15℃)で18時間撹拌し、固体を完全に溶解し、黄色溶液を形成した。得られた溶液を減圧下40℃で2mL体積になるまでスピンドライし、EA(20mL)を加え、0.5時間撹拌し、ろ過した;形成されたろ過ケーキを減圧下40℃ででスピンドライし、化合物3の結晶形VIIを得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)d ppm 2.94(s,6H)3.51−3.56(m,2H)3.71(s,3H)4.36−4.59(m,2H)6.03(s,2H)7.18−7.48(m,1H)7.65−7.90(m,2H)7.92−8.09(m,2H)8.17(dd,J=9.29,1.76Hz,1H)8.35−8.55(m,2H)8.99(s,1H).
【0133】
例9:化合物4の結晶形VIIIの製造
化合物1(997.34mg、1.82mmol、1.00当量)を5mLのガラス瓶に入れ、エタノール/水(7.5mL/2.5mL)を加え、室温(15℃)で0.5時間撹拌したが、大量の固体が溶解しなかった。クエン酸(382.45mg、1.82mmol、1.00当量)を混合物に加え、室温(15℃)で18時間撹拌し、反応ビン中に乳白色スラリーを得た。得られた混合溶液を減圧下40℃で2mL体積になるまでスピンドライし、EA(20mL)を加え、0.5時間撹拌し、ろ過した;形成されたろ過ケーキを減圧下40℃でスピンドライし、化合物4の結晶形VIIIを得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)d ppm 2.56−2.68(m,4H)2.76(s,6H)3.31(m,2H)3.72(s,3H)4.37−4.40(m,2H)7.35−7.37(m,1H)7.71−7.78(m,2H)7.91−7.95(m,1H)7.95−8.09(m,1H)8.11−8.13(m,1H)8.36−8.37(m,2H)8.96(d,J=1.6,1H).
【0134】
試験例1:異なる溶媒における化合物1の結晶形IXの安定性試験
適切な量にて化合物1の結晶形IXのいくつかの試料を取り、夫々に0.3−0.4mLの下記表に示す単一溶媒又は混合溶媒を加え、40℃で撹拌した。2日間撹拌後、試料を遠心分離した。試料中の固体を回収し、その結晶状態をXRPDで検出した。結果を表10に示す。
【表10】
【0135】
試験例2:高温、多湿及び強光条件下の、化合物1の結晶形IXの固体状態の安定性試験
約10mgの化合物1の結晶形IXを量り取り、ガラスサンプル瓶の底に置き、薄層を形成させた。配置した試料に関して、60℃条件下、及び室温/92.5RH条件下で、瓶の上部をアルミホイルでカバーし、アルミホイルにいくつかの穴を開け、試料が環境中の空気に完全にさらされるように保証した;強光(5Klx)下に配置した試料に関して、スクリューキャップで瓶を密封した。結晶形IXの別の試料15mgを取り、上記の方法に従い、試料の結晶形を検出するために配置した。異なる条件下で配置した試料をサンプルし、5日目及び10日目に検出し、検出結果を0日目の当初の検出結果と比較した。試験結果を表11に示す。
【表11】
【0136】
試験結果:
本発明の結晶形は優れた安定性を有し、薬剤を容易に製造することが可能である。
【0137】
試験例3:酵素活性のインビトロ(体外)試験
ADP−Glo アッセイ I
化合物の希釈:
試験化合物を3倍濃度勾配で希釈し、全10の濃度(10000nM〜0.5nM)を
得た。
【0138】
試験方法:
本発明の試験化合物50nLを反応プレート(パーキンエルマー #6007299)に移し、3μLの酵素/基質混合物(0.33nM PI3Kα、ミリポア #14−602−K/166.5μM PIP2)を加えた;20分間のインキュベーション後、2μLのATP溶液(100μM)を加え、反応を開始した;室温で2時間反応の後、5μLのADP−Glo試薬を添加してキナーゼ反応を停止させ、続いて室温で60分間インキュベーションし、残存する未反応のATPを完全に消化させた;得られた溶液に10μLのキナーゼ検出試薬を加え、室温で40分間インキュベートし、蛍光をエンヴィジョン(Envision)にて読み取った。PIP2、ATP、ADP−Glo試薬、及びキナーゼアッセイ試薬は、全てADP−Gloキナーゼアッセイキット(プロメガ #V1792)からのものである。
【0139】
データ解析:
IC
50を、標準4−パラメータフィッティング法(モデル205、XL−fit、iDBS)を用いて計算した。
【0140】
mTORキナーゼにおける本発明の試験化合物の活性を、下記試験方法で試験した。
反応バッファー:20mM Hepes(pH7.5)、10mM MgCl
2、2mM
MnCl
2、1mM EGTA、0.02% Brij35、0.02mg/mL BSA、0.1mM Na
3VO
4、2mM DTT、2% DMSO。
反応酵素:昆虫細胞中で発現させた、N−末端GSTタグ(アミノ酸1360−2549、分子量=163.9kDa)を有するヒト化組み換えmTOR断片。
反応基質:バクテリア中で発現させた、N−末端Hisタグ(分子量=13.6kDa)を有するヒト化組み換え完全長4EBP1
反応条件:3μM 4EBP1 及び 10μM ATP
反応手順:
1.反応基質及び他の反応因子を新たに調製した反応バッファーに加えた。
2.キナーゼを基質反応物に加え、穏やかに混合した。
3.100%DMSOに溶解した化合物を、Acousticテクノロジー(Echo550;nanoliter rang(ナノリッターレンジ))を用いてキナーゼ反応溶液に移し入れ、室温で20分間インキュベートした。
4.適切な濃度の
32P−ATPを反応系に添加した。
5.室温で2時間インキュベートした。
6.キナーゼ活性をP81フィルター結合法で検出した。
【0141】
試験結果を表12に示す。
【表12】
【0142】
結論:化合物1はPI3K(p110α)に対して有意な阻害効果を有するが、mTORにおけるその阻害効果は弱い。
【0143】
ADP−Glo アッセイ II
試験手順:
1)化合物をラブサイト(Labcyte)社のEchoを用いて希釈し、化合物50nLをアッセイプレートに移し、速度1000rpmで10秒間遠心分離した。
2)キナーゼ/脂質基質混合溶液及びキナーゼ反応バッファー/脂質基質混合溶液を調製した;キナーゼ/脂質基質混合溶液をアッセイプレートの3−24カラムに1ウェルあたり3μLずつ加えた;キナーゼ反応バッファー/脂質基質混合溶液をアッセイプレートのカラム1−2に1ウェルあたり3μLずつ加えた;プレートを速度1000rpmで10秒間遠心分離した。
3)ATP溶液を調製し、アッセイプレートに1ウェルあたり2μLずつ加えた;プレートを速度1000rpmで10秒間遠心分離し、プレートシェイカーの第2ギアモードで1分間振盪及び混合し、さらに、速度1000rpmで10秒間遠心分離し、そして23℃で120分間インキュベートした。
4)ADP−Glo(登録商標)試薬を調製し、アッセイプレートに1ウェルあたり5μLずつ加えた;プレートを速度1000rpmで10秒間遠心分離し、プレートシェイカーの第2ギアモードで1分間振盪及び混合し、さらに速度1000rpmで10秒間遠心分離し、そして23℃で60分間インキュベートした。
5)キナーゼ検出試薬を調製し、アッセイプレートに1ウェルあたり10μLずつ加えた;プレートを速度1000rpmで10秒間遠心分離し、プレートシェイカーの第2ギアモードで1分間振盪及び混合し、さらに速度1000rpmで10秒間遠心分離し、そして23℃で30分間インキュベートした;その後、マルチマーカー検出エンヴィジョン(Envision)で読み取った。
データ解析:
IDBS社のXlfit5(Formula205)によりIC
50結果を解析した。
【0144】
陽性コントロール薬として化合物BKM−120を用い、対応する試験及び分析を、上記に示す試験手順を適用して実施した。
【0145】
試験結果:
PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδ、及びPI3Kγ活性における化合物1のIC
50阻害値は、それぞれ、0.6±0.2nM、9.9±2.7nM、0.5±0.1nM、及び7.0±0.9nM(N=2)であった。対して、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδ、及びPI3Kγ活性における陽性コントロール薬物BKM120(PI3K阻害物質、ブパルリシブ)のIC
50阻害値は、それぞれ、24.7±4.7nM、241.6±50.6nM、68.8±25.0nM、及び111.9±15.2nMであった。
【0146】
結論:
化合物1は、PI3Kの4つ全てのサブタイプに対してとても高い阻害活性を示した。
【0147】
試験例4:細胞活性のインビトロ(体外)試験
試験工程及び方法:
1)MCF−7細胞を密度2.5×10
4細胞/ウェルで96−ウェルプレートに播種した(使用した培地は、10%FBSを含む完全培地でなければならない)。
2)次の日、各ウェルの培地を取り出した。特定濃度(予備スクリーニング)の又は濃度群(IC
50試験)の試験化合物を、血清を含まない培地に溶解し、96ウェルプレートに添加して、2時間細胞培養した。
3)血清を含まない培地にインスリンを溶解し、培養細胞に加え、30分間インキュベートし、最終インスリン濃度を10mg/mLとした。
4)反応の待ち時間中に、溶菌(lysis)溶液を下記手順にて調製した:
a)予めエンハンサー溶液を冷蔵庫から取り出して溶解させた。
b)エンハンサー溶液を5×溶菌バッファーで10倍に希釈し、濃縮溶菌溶液を得た。
c)濃縮溶菌溶液を、再蒸留水で5倍に希釈し、溶菌溶液を得た。
5)各ウェル中の培地を完全に除去し、各ウェルをPBSですばやく1回リンスした。
6)新たに調製した溶菌溶液150μLを各ウェルに加え、室温で10分間振盪した。
7)全ての細胞が分離したことを確認した後、細胞残屑を含む溶菌溶液を1.5mLチューブに移した。
8)チューブを数回ボルテックスし、溶菌溶液及び細胞を完全に混合し、その後混合物を4℃で12000gにて10分間、遠心分離した。
9)必要となるELISA−one マイクロ−ウェルプレートのストリップ数を計算した。必要のないストリップをフレームから取り出し、貯蔵バックに入れ密封した。マイクロ−ウェルプレートのストリップを使用する前に、200μLの再蒸留水で各ウェルをリンスし、防腐剤を除去した。
10)50μLの抗体混合物を各ウェルに加えた(抗体混合物溶液は、medium抗体試薬と酵素標識化抗体試薬を等量で混合したものである。抗体混合物の調製にはボルテックスを必要としない。)。
11)25μLの細胞溶解物を、ELISA−one マイクロ−ウェルプレートの各ウェルに加えた。マイクロ−ウェルプレートを接着性シーリングフィルムで覆い、室温にて1時間、マイクロ−ウェルプレート振動装置でインキュベートした。
12)各ウェルを150μLの1×リンスバッファーで3回リンスした。最後のリンスの後、ウェル中のリンスバッファーを完全に除去した。必要に応じて、1×リンスバッファーを最大30分間マイクロ−ウェルプレートに滞留させて、その間に基質混合物溶液を調製することができた。
13)基質混合物溶液を夫々の使用の直前に調製し、100μLの基質混合物溶液を各ウェルに加え、マイクロ−ウェルプレートをスズ箔でシールし、マイクロ−ウェルプレート振動装置にて室温で10分間インキュベートした。
14)10μLの停止溶液を各ウェルに加え、マイクロ−ウェルプレート振動装置でわずかに(5−10秒)混合した。
15)対応するELISA−Oneフィルター群を組み立て、蛍光シグナル強度を読み取るために使用した。
【0148】
試験結果を表13に示す。
【表13】
【0149】
試験例5:インビボ(体内)有効性試験
本研究は、試験薬物が、ヒト大腸癌CO−04−0032動物モデル及び胃癌ST−02−0013動物モデルにおいて、インビボ有効性を有するかどうかを調べるために行った。試験における動物飼料、飼料成分、実験的観察、実験的指標(指数)、実験終了、並びにデータ解析は下記の通りである:
【0150】
動物飼料:
動物は到着後、実験の開始前に、実験環境で3−7日間飼育せねばならない。動物を、SPFグレードの動物収容施設のIVC(独立換気システム)ケージ(1ケージあたり5匹)に収容した。全てのケージ、パッディング、及び飲料水は、使用前に滅菌する必要があり、滅菌記録は附属書に示される。動物収容施設の全ての研究室職員は、手術の際に、
保護服とラテックス手袋を着用せねばならない。各ケージの情報カードは、ケージ内の動物数、性別、種族、到着日、投与計画、実験番号、グループ、及び実験の開始日を示す必要がある。ケージ、飼料、及び飲料水を、1週間に2回交換した。採餌環境及び光条件は以下の通りである:
温度:20〜26℃
湿度:40〜70%
明暗サイクル:光あり12時間、光なし12時間
【0151】
試料成分:
飼料は、実験動物の食物識別基準に適合している。汚染物質の最大含量は、制御可能な範囲内であり、製造者は定期的な検査の責任を負う。オートクレーブした飲料水を飲料水として使用した。
【0152】
動物群:
動物の体重を測定し、投与の前に腫瘍体積を測定した。動物は腫瘍体積に従いランダムにグループ分けした(ランダムブロックデザイン)。
【0153】
観察:
実験プロトコル及びそれらの任意の変形を、上海、WuXi AppTecの動物ケア及び使用委員会(IACUC)の承認を得て実施した。実験動物の使用及び福祉は、実験動物ケア評価認証協会(AAALAC)の規則に従った。動物の健康及び死亡を毎日監視し、日常的な検査では、動物の日々の行動及びパフォーマンス、例えば、食料及び水分摂取量、体重変化(1週間に2回の体重測定)、外観、又はその他の異常な状況に対する、腫瘍の成長及び薬物の治療に対する影響を観察することが含まれる。動物の死亡及び副作用は、各グループの動物数に基づいて記録され、相関記録が付録に示される。
【0154】
実験的指標(指数):
実験的指標は、腫瘍の成長が抑制されるか、遅延されるか、又は治癒されるかどうかを調べるために用いた。腫瘍径を週に2回、ノギスで測定した。腫瘍体積を下記式により算出した:V=0.5a×b
2、式中、a及びbは、それぞれ、腫瘍の長径及び短径を表す。化合物の腫瘍成長抑制(TGI)を、T−C(日)及びT/C(%)で評価した。T−C(日)は、腫瘍成長遅延指数を反映し、ここでTは投与群における所定の腫瘍体積(例えば1,000mm
3)に達するのに必要な平均日数を表し、Cはコントロール群で同じ腫瘍体積に達するのに必要な平均日数を表す。T/C(%)パーセンテージ値は、腫瘍成長抑制率を反映し、T及びCは、夫々投与群及びコントロール群の特定日における腫瘍重量(腫瘍体積)を表す。
【0155】
腫瘍成長抑制率は、下記式により算出される:TGI(%)=[1−(T
i−T
0)/(V
i−V
0)]×100、式中、T
iは特定日の投与群の平均腫瘍体積を表し、T
0は投与開始時の投与群の平均腫瘍体積を表す;V
iは特定日(T
iと同じ日)のビヒクルコントロール群の平均腫瘍体積を表し、V
0は投与開始時のビヒクルコントロール群の平均腫瘍体積を表す。実験の最後に、腫瘍体積を測定し、T/Cパーセンテージを算出し、ここでT及びCは、それぞれ、投与群とビヒクルコントロール群の腫瘍体積を表す。
【0156】
実験終結:
動物の健康状態が悪化し続けるか、あるいは、動物が2,000mm
3以上の腫瘍体積、あるいは、重篤な病気又は痛みを有した場合、動物は安楽死させねばならない。以下の症状が現れた場合、獣医師に通告され、動物を安楽死させる:
明らかにやせて、20%超の体重減少;
食べ物や水に自由にアクセスできない;
コントロール群の平均腫瘍体積が2,000mm
3に達した場合、この場合には試験は終結させるべきである。
動物が下記の臨床兆候を示し、悪化し続ける:
・立毛
・弓背(アーチバック)
・青白い耳、鼻、目あるいは足
・慌ただしい呼吸
・発作
・持続性の下痢
・脱水症
・緩慢な動作
・発声
【0157】
データ解析:
3以上の群の比較に、一元配置分散分析(One−way ANOVA)を用いた。F値に有意差がある場合、ANOVA解析後に複数の比較を行う必要がある。全てのデータをSPSS 17.0を用いて解析した。p<0.05は有意差を示す。
【0158】
ヒト結腸癌CO−04−0032細胞の皮下異種移植片腫瘍モデルにおける試験薬物のインビボ薬力学研究:
試験設計:
ヒト腫瘍移植モデルの確立:
ヒト結腸癌CO−04−0032モデルは、もともと手術で除去された腫瘍検体(サンプル)に由来する。サンプルの取得と利用は、患者からのインフォームドコンセントを含む、国家、病院及び企業の倫理法及び規則を厳守した。モデルの確立プロセスは社内のSOPを厳密に遵守した。継代世代の命名規則は以下の通りである:ヌードマウスへの腫瘍サンプルの接種後の腫瘍をP0世代に指定し、継続する継代をP1世代などと指定した;そして、再生サンプルをFPと指定した。この実験に使用された腫瘍組織はFP4世代であった。
動物:
BALB/cヌードマウス、メス、6−8週齢、体重18−20g、上海Sippr−BKラボラトリーアニマル社より供給。
腫瘍接種:
体積約30mm
3のCO−04−0032腫瘍塊を、各マウスの右背中に皮下接種した;平均腫瘍体積が約100乃至200mm
3に到達したとき、マウスを群に分け、各群に薬物を投与した。
試験結果:
本発明の化合物1(その結晶形XIを含む)の投与の15日から30日まで、腫瘍体積はほとんど増大しなかった;陽性コントロール薬剤BKM120と比べて、本発明の化合物1(その結晶形XIを含む)は、結腸癌に対してより優れた抗腫瘍活性を有する。
【0159】
ヒト胃癌ST−02−0013の皮下異種移植片腫瘍モデルにおける試験薬物のインビボ薬力学研究:
試験設計:
ヒト腫瘍移植モデルの確立:
ST−02−0013のPDX(患者腫瘍組織移植)モデルは、もともと手術で除去された臨床検体(サンプル)に由来し、これをヌードマウスに埋め込み、P0世代と指定した。マウスの世代から世代への連続的な移植による腫瘍に関して、P0腫瘍の移植からの次世代をP1世代などと指定した。FP2腫瘍は、FP3腫瘍を得るために復元された。FP3腫瘍を継代してFP4腫瘍を得、これをこの研究に使用した。
動物:
BALB/cヌードマウス、メス、6−8週齢、体重18−22g、上海Ling Chang Biotechnology社より供給。
腫瘍接種:
体積約30mm
3のST−02−0013 FP4腫瘍組織を、各マウスの右背中に皮下接種した;平均腫瘍体積が約150乃至200mm
3に到達したとき、マウスを群に分け、各群に薬物を投与した。
試験結果:
本発明の化合物1(その結晶形XIを含む)の投与の15日から30日まで、腫瘍体積はほとんど増大しなかった;陽性コントロール薬剤BKM120と比べて、本発明の化合物1(その結晶形XIを含む)は、胃癌に対してより優れた抗腫瘍活性を有する。