特表2018-537605(P2018-537605A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-537605海洋シルト質貯留層天然ガスハイドレートにおける多分岐孔の限定されたサンドコントロール採取方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-537605(P2018-537605A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(54)【発明の名称】海洋シルト質貯留層天然ガスハイドレートにおける多分岐孔の限定されたサンドコントロール採取方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 43/00 20060101AFI20181122BHJP
【FI】
   E21B43/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-528718(P2018-528718)
(86)(22)【出願日】2017年11月14日
(85)【翻訳文提出日】2018年6月1日
(86)【国際出願番号】CN2017110790
(87)【国際公開番号】WO2018090890
(87)【国際公開日】20180524
(31)【優先権主張番号】201611024784.7
(32)【優先日】2016年11月18日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】517455720
【氏名又は名称】青▲島▼海洋地▲質▼研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼能友
(72)【発明者】
【氏名】李彦▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】胡高▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼昌▲嶺▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼▲強▼
(57)【要約】
本発明は、海洋天然ガスハイドレート資源開発工学技術分野に属し、具体的には海洋シルト質貯留層天然ガスハイドレートにおける多分岐孔の限定されたサンドコントロール採取方法に関する。主坑井を掘削した後、多分岐孔を保留しておくケーシング仕上げ方式を採用するステップ(1)と、均一に主坑井の周囲に分布され、主坑井から一定の角度を保って整列される多分岐孔を掘削するステップ(2)と、限定されたサンドコントロールのため、主坑井ケーシングの外部周囲と多分岐孔の間に砂礫層を充填するステップ(3)と、坑井を逆循環で洗浄し、生産を始め、ステップバイステップの減圧段階に進むステップ(4)とを含む。当該方法は、浅層ハイドレート貯留層の水圧破砕に適していないという「先天性」欠点を克服し、我が国南シナ海海域天然ガスハイドレート貯留層の透過率が低く、地層の総合強度が低く、出砂の傾向が深刻であるという矛盾を効果的に解決し、ハイドレート商業化採取技術の発展を促進する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋シルト質貯留層天然ガスハイドレートにおける多分岐孔の限定されたサンドコントロール採取方法であって、
主坑井を掘削した後、多分岐孔を保留しておくケーシング仕上げ方式を採用するステップ(1)と、
均一に主坑井の周囲に分布され、主坑井から一定の角度を保って整列される多分岐孔を掘削するステップ(2)と、
限定されたサンドコントロールのため、主坑井ケーシングの外部周囲と多分岐孔の間に砂礫層を充填するステップ(3)と、
坑井を逆循環で洗浄し、生産を始め、ステップバイステップの減圧段階に進むステップとを含むことを特徴とする(4)
海洋シルト質貯留層天然ガスハイドレートにおける多分岐孔の限定されたサンドコントロール採取方法。
【請求項2】
前記主坑井の掘削方式として、ハイドレート貯留層上部の地層を掘削した後にセメンチングを行い、ハイドレート貯留層を掘削する時に大型ドリルで掘進し、前記主坑井を貯留層に貫通し、人工坑底を貯留層底部限界以下に設置し、一定の沈砂池を保留することを特徴とする請求項1に記載の海洋シルト質貯留層天然ガスハイドレートにおける多分岐孔の限定されたサンドコントロール採取方法。
【請求項3】
前記主坑井の仕上げ方式としてケーシング仕上げ方式であり、前記ケーシングに一定の保留孔を設け、それぞれの保留孔を多分岐孔の開口とし、貯留層底部限界以下のケーシングと地層の間にセメントでセメンチングを行い、貯留層セクションにセメントを注がないことを特徴とする請求項1又は2に記載の海洋シルト質貯留層天然ガスハイドレートにおける多分岐孔の限定されたサンドコントロール採取方法。
【請求項4】
前記主坑井のケーシングの底部にブラインドビアを設置することを特徴とする請求項3に記載の海洋シルト質貯留層天然ガスハイドレートにおける多分岐孔の限定されたサンドコントロール採取方法。
【請求項5】
フレキシブルパイプ技術又はその他のマイクロラジアル水平坑井技術を用いて前記多分岐孔を掘削することを特徴とする請求項1に記載の海洋シルト質貯留層天然ガスハイドレートにおける多分岐孔の限定されたサンドコントロール採取方法。
【請求項6】
ケイ砂、セラミックグレイン、クルミ殻から前記砂礫層を構成することを特徴とする請求項1に記載の海洋シルト質貯留層天然ガスハイドレートにおける多分岐孔の限定されたサンドコントロール採取方法。
【請求項7】
多分岐孔の限定されたサンドコントロールに充填されている砂礫層の寸法は通常の砂礫寸法設計方法に基づく設計結果より1〜2大きいことを特徴とする請求項6に記載の海洋シルト質貯留層天然ガスハイドレートにおける多分岐孔の限定されたサンドコントロール採取方法。
【請求項8】
数値シミュレーション方法によって特定ハイドレート貯留層に最適な分岐孔幾何学パラメーターの組み合わせを決定し、そのうち、分岐孔幾何学パラメーターは、分岐孔位相角、分岐孔傾き角、分岐孔密度、分岐孔孔径及び分岐孔水平変位を含むことを特徴とする請求項1に記載の海洋シルト質貯留層天然ガスハイドレートにおける多分岐孔の限定されたサンドコントロール採取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋天然ガスハイドレート資源開発工学技術分野に属し、具体的には海洋シルト質貯留層天然ガスハイドレートにおける多分岐孔の限定されたサンドコントロール採取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスハイドレート資源は、潜在的な資源であり、広い分布と高いエネルギー密度などの利点を有するため、ハイドレート資源の採掘研究は世界でもホットな課題となっている。しかしながら、現在世界のハイドレート資源の開発は、なお少数地域のトライアル採掘段階にあり、産業化採掘になるまでの道のりはまだまだ長い。
【0003】
現在、中国は研究のペースを加速し、海洋ガスハイドレート資源の探査と開発を促進している。早期の国際トライアル採掘経験によって、通常のシルト質貯留層にとって、圧力降下法は、最も有効な採掘方法であると考えられる。ただし、圧力降下法は、必ず坑底の圧力をハイドレート貯留層に拡散させることにつながり、坑底からの低圧がハイドレート分解の先端位置に伝達しないと、当該領域のハイドレートの更なる分解が促進されない。そのため、工学的観点から分析すると、坑底圧力の低下が大きくなるほど、天然ガスハイドレートの分解・産出に有利になる。地質条件の観点から分析すると、地層砂粒が大きいほど、堆積物の堆積による孔隙量が大きく、圧力波の伝播とハイドレートの分解・産出に有利になる。ただし、過剰な生産圧力の低下は、坑井崩壊、地層から大量の出砂などの施工問題となる。特に、カナダのMallik2007〜2008プロジェクトと日本のNankai Trough 2013プロジェクトの事例によると、出砂現象が天然ガスハイドレート資源を長期で効果的に採掘する主な要因であることが分かった。したがって、ハイドレート資源の高効率採掘を実現するには、地層圧力波の高効率伝播及びサンド・トラブルを克服しなければならない。
【0004】
特に、我が国では、現在、海洋天然ガスハイドレートのトライアル採掘初期優良標的エリアの貯留層堆積物は、主に粘土質シルトとシルト質粘土から構成され、貯留層砂粒の粒径全体が20μm以下で、代表的な細孔充填型ハイドレート貯留層である。原位置試験透過率と水流圧力伝導係数が極めて低いため、坑底圧力の低下が大きくなる場合のみ、ハイドレート分解領域の拡大を促進し、ガス生産速度を高める。ただし、貯留層の総合的強度が低く、生産圧差をみだりに増やすことで生産性を増やすことができないだけでなく、坑井全体の崩壊や、地層破壊を引き起こす大量の出砂を招き、坑井が埋没する可能性がある。Nankai Trough 2013プロジェクトの中等粗砂ハイドレート貯留層がそうなる、まして我が国南シナ海で採掘する時に直面するシルト質貯留層ならなおさらであり、地層出砂と生産性向上間の矛盾がより明らかになる。
【0005】
したがって、我が国シルト質貯留層天然ガスハイドレート資源の開発を満足するため、地質と工学二つの面から従来の圧力降下法を改善、又は改良し、新しいシルト質貯留層ハイドレートの採掘モードを構築しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、海洋シルト質貯留層天然ガスハイドレートにおける多分岐孔の限定されたサンドコントロール採取方法を提供し、主坑井の周囲に多分岐孔、限定されたサンドコントロール 、出砂コントロール技術を組み合わせることによって、天然ガスハイドレート貯留層の効果的な圧力降下採掘を実現し、我が国南シナ海天然ガスハイドレートの採掘に新しいアイデアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が採用した技術的解決手段は以下の通りである。
【0008】
海洋シルト質貯留層天然ガスハイドレートにおける多分岐孔の限定されたサンドコントロール採取方法であって、
【0009】
主坑井を掘削した後、多分岐孔を保留しておくケーシング仕上げ方式を採用するステップ(1)と、
【0010】
均一に主坑井の周囲に分布され、主坑井から一定の角度を保って整列される多分岐孔を掘削するステップ(2)と、
【0011】
限定されたサンドコントロールのため、主坑井ケーシングの外部周囲と多分岐孔の間に砂礫層を充填するステップ(3)と、
【0012】
坑井を逆循環で洗浄し、生産を始め、ステップバイステップの減圧段階に進むステップ(4)とを含む。
【0013】
前記主坑井の掘削方式は、従来の掘削方式と一致している。具体的には、ハイドレート貯留層上部の地層を掘削した後にセメンチングを行い、ハイドレート貯留層を掘削する時に大型ドリルで掘進し、前記主坑井を貯留層に貫通し、人工坑底を貯留層底部限界以下に設置し、一定の沈砂池を保留する。
【0014】
前記主坑井の仕上げ方式としてケーシング仕上げ方式であり、前記ケーシングにて最適化結果に基づく一定の保留孔を設け、それぞれの保留孔を多分岐孔の開口とし、貯留層底部限界以下のケーシングと地層の間にセメントでセメンチングを行い、貯留層セクションにセメントを注がない。
【0015】
底水や下部地層の流体が坑井に入ったり、圧力降下採掘中に起こりうる下部の異常圧力が坑井に入ったりすることを防止するため、前記坑井ケーシングの底部にブラインドビアを設置する。
【0016】
前記多分岐孔は、フレキシブルパイプ技術又はその他のマイクロラジアル水平坑井技術を用いて多分岐孔を掘削した後、ケーシング外部に砂礫を大量的に充填する。
【0017】
前記砂礫層は、ケイ砂、セラミックグレイン、クルミ殻などから構成され、砂遮蔽精度の設計は、限定されたサンドコントロール、防止と除去を組み合わせるという基本的アイディアに基づいて設計される。
【0018】
多分岐孔の限定されたサンドコントロールに充填される砂礫層寸法は、通常の砂礫寸法設計方法(Saucier法、Smith法、Deprister法など)に基づく設計結果より1〜2大きい。充填圧力が地層破壊圧力より小さいことを確保する上で、充填密度をできる限り高める。前記主坑井のケーシング外部充填の評価指標としては、充填厚さ、充填密度、砂礫比率が挙げられる。多分岐孔の限定されたサンドコントロール充填層の評価指標としては、充填密度、砂礫比率、充填強度などが挙げられる。
【0019】
数値シミュレーション方法によって特定ハイドレート貯留層に最適な分岐孔幾何学パラメーターの組み合わせを決定し、そのうち、分岐孔幾何学パラメーターは、分岐孔位相角、分岐孔傾き角、分岐孔密度、分岐孔孔径及び分岐孔水平変位などを含む。
【0020】
前記分岐孔相位角は、通常の石油・天然ガス井穿孔仕上げ方式の穿孔相位角と比較すると、具体的に隣接する二つの分岐孔軸線の平面にある投影線間の夾角を指す。
【0021】
前記分岐孔傾き角は、多分子孔軸線と主坑井軸線間の夾角を指す。貯留層が薄いほど、分岐孔傾き角への制限が大きく、より大きい分岐孔傾き角を要する。分岐孔傾き角は理論的に0〜90°に介在する。
【0022】
前記分岐孔密度は、主坑井の単位長さあたりの分岐孔数を指す。分岐孔数と分岐孔ピッチに基づいて測定でき、分岐孔密度が大きいほど、生産増加に有利になる。
【0023】
前記分岐孔孔径は、分岐孔孔径と主坑井直径の比値に基づいて測定でき、当該比値は1以下とする。
【0024】
前記分岐孔水平変位は、分岐孔軸線の平面にある投影線の長さを指す。分岐孔水平変位が大きいほど、ハイドレート界面の露出と生産の増加に有利になるが、充填の難易度がそれに応じて増加することがある。
【0025】
本発明の動作原理は以下の通りである。
【0026】
(1)主坑井及び多分岐孔はともに圧力波を迅速的に伝達する「デュアルチャネル」を形成させ、短時間内圧力波のカバレッジ範囲を拡大し、ハイドレートの分解効率を高める。
【0027】
(2)主坑井及び多分岐孔から構成されたデュアルチャネルモードは、地層ハイドレートと坑壁間の露出面積、坑底ハイドレートの分解マトリックス面を効果的に増やす。
【0028】
(3)多分岐孔は、従来の圧力降下法に基づくハイドレート採掘中において坑井近傍のラジアル流をバイリニア流に変換し、坑井の節流効果を減らし、坑井の表面効果低減と生産性の向上に有利になる。
【0029】
(4)限定されたサンドコントロール 条件下で、地層多分岐孔及び主坑井周囲にある地層の孔隙率と透過率を多少改善し、さらに圧力波の地層中の伝播を促進し、ハイドレートの有効な分解マトリックス面を拡大する。
【0030】
(5)主坑井、多分岐孔、分岐孔近傍地層の限定された出砂ゾーンはともに圧力を伝播する「スリーチャネル」の高速ゾーンを形成させ、圧力降下効果の向上に有利になる。
【0031】
(6)一定の生産性要求条件下で、主坑井、多分岐孔から構成されているマルチチャネルハイドレート分解モードは、単一坑井の従来の採掘方法と比べ、圧力降下量、地層出砂を緩和し、坑壁崩壊のリスクを低減することに有利になる。
【0032】
(7)多分岐孔は主坑井の周囲に分布され、主坑井は分岐孔を保留しておくケーシング仕上げ方式を採用し、ケーシングは、主坑井地層に一定の支持作用を果たすことで、分岐孔の完全性を維持し、ハイドレートの圧力降下採掘時間を効果的に延長することができる。
【0033】
(8)多分岐孔の内部には、パイプ外部の砂礫充填寸法設計原理に基づいて砂礫層を緊密に充填されることで、分岐孔壁に一定の支持作用を果たし、主坑井の内部ケーシングが受ける応力を効果的に分散し、さらに圧力降下採掘中の坑壁の完全性を確保し、圧力降下採掘時間を効果的に延長することができる。
【0034】
(9)上記の実験方法によって、本発明は、以下の機能を実現することができる。
【0035】
(1)本発明は、低い圧力降下条件下で、シルト質貯留層の圧力降下採掘中において十分な生産供給を確保する。
【0036】
(2)本発明は、坑井近傍の地層を効果的に浚渫し、孔透過率パラメーターを向上させ、ハイドレートの分解効率を高める。
【0037】
(3)本発明は、坑井の長期完全性を維持し、圧力降下採掘周期を効果的に延長する。
【0038】
本発明は、以下の地層特徴を含むハイドレート貯留層圧力降下法に基づく採掘作業に適合する。
【0039】
(1)シルト質貯留層の埋没深さが浅く、土壌固化が悪く、水圧破砕のシルト質貯留層に適していない。
【0040】
(2)微細質含有量が高いため、完全サンドコントロールプロセス設計の貯留層(すなわち、シルト質貯留層)に適していない。
【0041】
(3)通常水平坑井採掘法で採掘するハイドレート貯留層に適していない。
【0042】
(4)ハイドレート貯留層の透過率が極めて低く、単一坑井の伝達効率が低い貯留層。
【0043】
(5)ハイドレート貯留層が厚い貯留層。
【0044】
(6)辺、底部帯水層から遠く離れ、又は辺、底部帯水層を備えていないハイドレート貯留層。
【発明の効果】
【0045】
本発明の好適な効果は以下の通りである。
【0046】
多分岐孔は、ハイドレート分解界面を効果的に増やし、多分岐孔と主坑井は圧力を伝達する高速デュアルチャネルを形成させ、一定の生産性要求条件下で、坑底の圧力降下量を減らし、地層の出砂量を緩和する。多分岐孔内に砂礫層を緊密に充填し、限定されたサンドコントロールの作用を果たすほか、貯留層に一定の支持作用を提供し、圧力を迅速的に伝達するチャネルを形成させ、坑井近傍地層を浚渫し、坑井近傍と坑井表面係数を減らし、地層での圧力波伝播を促進し、坑井の完全性を効果的に維持することで、海洋天然ガスハイドレートの長期で効率的な採掘を実現する。
【0047】
当該方法は、浅層ハイドレート貯留層の水圧破砕に適していないという「先天性」欠点を克服し、我が国南シナ海海域天然ガスハイドレート貯留層の透過率が低い、地層の総合強度が低い、出砂の傾向が深刻であるという矛盾を効果的に解決し、ハイドレート商業化採取技術の発展を促進する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1は、海洋シルト質貯留層天然ガスハイドレートにおける多分岐孔の限定されたサンドコントロール採取方法の原理図を示す。
【符号の説明】
【0049】
図において、
1 ハイドレート貯留層
2 ハイドレート貯留層上部地層
3 ハイドレート貯留層下部地層
4 沈砂池
5 多分岐孔
6 ケーシング外部充填層
7 分岐孔を保留しておくケーシング
8-1、8-2 セメンチング用セメントリング
9 多分岐孔水平変位
10 多分岐孔ピッチ
11 表層ケーシング。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、図面及び実施例に従って本発明を詳細に説明する。
【0051】
図1に示すように、海洋シルト質貯留層天然ガスハイドレートにおける多分岐孔の限定されたサンドコントロール採取方法は、以下のステップを含む。
【0052】
(1)12”パイプを用いてハイドレート貯留層上部地層2を噴射し、表層ケーシング11(隔水管)を用いて上部地層を封固する。
【0053】
(2)第2回掘進でハイドレート貯留層を貫通し、人工坑底は、ハイドレート貯留層1底界以下の約100mにある。
【0054】
(3)生産ケーシングに所定の需要に応じて多分岐孔5の坑井開口として孔をあけ、それに孔を保留しておくケーシング7を入れ、ハイドレート貯留層1底界と人工坑底の間に沈砂池4を形成させる。
【0055】
(4)ブリッジプラグ作業は、ハイドレート貯留層上部地層2、ハイドレート貯留層下部地層3の箇所にセメントでセメンチングを行い、セメンチング用セメントリング8-1、8-2を形成させる。
【0056】
(5)主坑井に連続オイルパイプやフレキシブルパイプ、支持抬肩などの坑内器具を入れ、ケーシングの開口部において多分岐孔水平変位9、分岐孔ピッチ10及びその他の幾何学パラメーターの要求に基づいて多分岐孔5を開設する。
【0057】
(6)限定されたサンドコントロールの基本要求に従って砂礫寸法を設計し、主坑井ハイドレート貯留層のケーシング外部充填層6及び多分岐孔5に砂礫層を充填し、限定されたサンドコントロールを行う。
【0058】
(7)坑井を逆循環で洗浄し、生産を始め、ステップバイステップの減圧段階に進むステップとを含む。
【0059】
もちろん、上記の内容は、本発明の好ましい実施形態であり、本発明の実施形態の範囲を限定するものとみなすことはできない。本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が想到しうる同等の変更や改良も本発明の技術的範囲に含まれる。
図1
【国際調査報告】