(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-537868(P2018-537868A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(54)【発明の名称】充填ポートおよび表面実装用終端部をもつ、体積効率を改良した湿式電解コンデンサー
(51)【国際特許分類】
H01G 9/08 20060101AFI20181122BHJP
H01G 9/145 20060101ALI20181122BHJP
H01G 9/00 20060101ALI20181122BHJP
【FI】
H01G9/08 D
H01G9/145
H01G9/00 290Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-544764(P2018-544764)
(86)(22)【出願日】2016年11月8日
(85)【翻訳文提出日】2018年6月29日
(86)【国際出願番号】US2016060916
(87)【国際公開番号】WO2017087202
(87)【国際公開日】20170526
(31)【優先権主張番号】14/942,011
(32)【優先日】2015年11月16日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】518169255
【氏名又は名称】ヴィシャイ スプレイグ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VISHAY SPRAGUE,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100079980
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 伸行
(74)【代理人】
【識別番号】100167139
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】エイデルマン,アレックス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイスマン,パベル
(72)【発明者】
【氏名】シロ,ガビ
(72)【発明者】
【氏名】ペトゥホフ,エフゲニー
(72)【発明者】
【氏名】ミティアジン,アンドレイ
(57)【要約】
【構成】湿式電解表面実装コンデンサーであって、このコンデンサーは内部領域を構成する本体を有するとともに、この本体の壁部に貫通形成した充填ポートを有する。本体の内部に容量性素子を位置決めし、本体から分離する。容量性素子に電気連絡する表面実装陽極終端部を本体から分離する。表面実装陰極終端部は、本体と電気連絡する。本体の内部領域に電解質を収め、充填ポートから本体の内部領域に導入する。充填ポートに隣接して充填ポートプラグを位置決めする。充填ポートカバーが充填ポートプラグを充填ポートに押し付け、充填ポートをシールする。充填ポートカバーについては、所定位置に溶接することができる。本発明は、コンデンサーの形成方法にも関する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部領域を形成する本体であって、この本体の壁部に形成した充填ポートを有し、そして陰極端部およびこれに対向する陽極端部を有する本体、
前記充填ポートに隣接して位置決めした締め付け充填ポートプラグ、
前記充填ポートプラグに隣接して位置決めされ、前記充填ポートプラグを前記充填ポートに締め付け、前記充填ポートをシールする充填ポートカバー、
前記本体の内部に位置決めされ、かつ前記本体から分離した容量性素子、
前記容量性素子と電気連絡し、前記本体から分離した表面実装陽極終端部、
前記本体と電気連絡する表面実装陰極終端部、および
前記本体の前記内部領域に収めた液体電解質を有することを特徴とする湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項2】
さらに、前記本体の前記陰極端部に隣接した前記本体の前記内部領域内に位置決めした絶縁性挿入体を有し、この絶縁性挿入体を前記容量性素子に係合するように形成するとともに、前記本体から前記容量性素子を分離するように構成した請求項1に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項3】
さらに、前記容量性素子が前記容量性素子の表面から前記本体の前記陽極端部に向かって延在し、かつ前記本体から外部にアクセスできる陽極ワイヤを有する請求項1に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項4】
前記陽極端部が開放し、そしてさらにこの開放陽極端部を塞ぐように位置決めされた前記本体の前記陽極端部に隣接してカバーを有する請求項3に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項5】
前記カバーが、ガラス/金属シール(GTMS)カバーを有する請求項4に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項6】
前記GTMSカバーが外側導電性部分、非導電性中心挿入体部分、およびこの中心部分を軸方向に貫通延在する陽極管を有し、前記陽極ワイヤをこの陽極管内に位置決めした請求項5に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項7】
さらに、前記陽極終端部と前記カバーとの間に位置決めした分離性シムを有し、この陽極終端部および分離性シムに貫通形成したチャネル内に前記陽極管が延在する請求項1に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項8】
前記本体が全体として矩形形状を有する請求項1に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項9】
前記充填ポートプラグが、合成ゴムおよび/またはフルオロポリマーエラストマーを有する請求項1に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項10】
前記表面実装陽極終端部および前記表面実装陰極終端部それぞれが、前記コンデンサー本体の底部側にその一部を有する請求項1に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項11】
さらに、前記本体の少なくとも一部を覆う絶縁性ラップを有する請求項1に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項12】
前記陽極端部または前記陰極端部以外の前記本体の一部に前記充填ポートを位置決めした請求項1に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項13】
前記表面実装陽極終端部または前記表面実装陰極終端部の任意の部分とは異なる前記本体側に前記充填ポートを位置決めした請求項12に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項14】
前記本体をタンタルで構成した請求項1に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項15】
内部領域を構成し、開放陽極端部およびこれに対向する閉じた陰極端部を有する本体を形成する工程、
前記本体の壁部に充填ポートを貫通形成する工程、
前記本体の前記内部領域内に容量性素子を設けるとともに、この容量性素子を前記本体から分離する工程、
前記陽極端部にカバーを被せる工程、
前記充填ポートから前記本体の前記内部領域内に電解質を導入する工程、
前記充填ポートに隣接して充填ポートプラグを位置決めする工程、
前記充填ポートプラグ全体に渡り前記本体の外面に前記充填ポートカバーを被せ、前記充填ポートプラグを前記充填ポートに押し付けて、前記充填ポートをシールする工程、
前記容量性素子と電気連絡し、かつ前記本体から分離されたコンデンサーの外面に表面実装陽極終端部を形成する工程、および
前記本体と電気連絡する前記コンデンサーの外面に表面実装陰極終端部を形成する工程を有することを特徴とする湿式電解表面実装コンデンサーの製造方法。
【請求項16】
前記カバーが外側導電性部分、非導電性中心挿入体部分、およびこの中心部分を軸方向に貫通延在する陽極管を有するGTMSカバーを有し、そしてさらに前記本体の前記陽極端部に隣接して前記カバーを溶接して、前記本体を塞ぐ工程を有する請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記容量性素子がさらにこの表面から延在する陽極ワイヤを有し、そして前記陽極管を介して、かつ前記表面実装陽極終端部と電気連絡する前記陽極ワイヤを位置決めする工程を有する請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
さらに、前記陽極管の少なくとも一部に前記陽極ワイヤの少なくとも一部を溶接する工程を有する請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
さらに、前記陽極終端部の少なくとも一部に前記陽極管の少なくとも一部を溶接する工程を有する請求項18に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、2015年11月16日を出願日とする米国特許出願第14/942,011号の優先権を主張する出願であり、この米国特許出願明細書の全体を援用する出願である。
【技術分野】
【0002】
本発明は電子素子、より具体的にはコンデンサーおよびコンデンサーの製造に関する。
【背景技術】
【0003】
湿式コンデンサーは、体積効率があり、電気パラメーターが安定し、信頼性が高く、しかも有効寿命が長いため、回路設計に使用されている。このようなコンデンサーは、一般に、他の型式のコンデンサーよりも単位体積当たりのキャパシタンスが大きいため、高電流かつ高電力の低周波電気回路において有用なコンデンサーである。一つの型式の湿式コンデンサーは、陽極、陰極および液体電解質を有する湿式電解コンデンサーである。湿式電解コンデンサーは、高キャパシタンスと低漏れ電流を併せ持つすぐれたコンデンサーになる傾向がある。湿式電解コンデンサーは、衛星設備、航空宇宙設備、機上設備、軍事支援設備、石油探査、電源供給設備などの各種型式の電気設備にとって基本的な素子である。
【0004】
公知の湿式電解コンデンサーの一般的な特徴は、全体として円筒形であり、スルーホール実装(through−hole mounting(THM))に好適な軸方向リード線をもつ終端部を有する点にある。一般的に、タンタル電解コンデンサーは全体として円筒形で、THMに好適な、軸方向リード線をもつ終端部を有することが知られている。
図1Aおよび
図1Bは、このような軸方向THM設計の例示的なコンデンサー100を示す横断面図である。コンデンサー100はタンタル(Ta)製の、全体として円筒形のカン状の本体105を有する。コンデンサー100の電解質110は、陽極120および陰極130に電気的に接触する状態で設ける。図示のコンデンサー100は一端にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製のブシュ140を有し、ブシュ140の溝145に位置するゴム製Oリング150によってこのブシュを取り囲む。コンデンサー100の端部は、圧着(152)し、タンタル本体105を溝145に押し付ける。即ち、
図1Aおよび
図1Bの公知軸方向コンデンサーはダブルシール構成で、一次シールとしてのゴムガスケットで裏打ちされた圧着式PTFEプラグ、および二次シールとしてのレーザー溶接カバーからなる。図示から理解できるように、公知のコンデンサーはコンデンサー本体即ち“カン”の内部領域内にPTFEブシュを設けているため、制限された体積からさらにスペースが取られ、このスペースが容量性素子を設けるために使用できなくなる。
【0005】
このTHM組立技術が、結果的に表面実装装置(SMD)になる表面実装技術(SMT)が、コストおよび効率から見た各種の理由によりTHM大部分の代替技術になる1980年代後半までコンデンサーの標準的な技術であった。例えば、THMの場合、高コストに加えて時間のかかる印刷回路版(PCB)に穴をあける穴あけ加工が必要になる。SMTの場合、構成成分組立速度は一般にTHMよりも速い。一般にPCBの片側にのみ注意を向ければよい表面実装とは正反対に、THMでは基板の両側に半田付けする必要があるからである。THM組立技術の場合、一般にウェーブソルダリング、選択的半田付けまたは手作業により半田付けを使用するが、これは表面実装に使用するリフローオーブンよりも信頼性がかなり低く、再現性もかなり低い。さらに、SMT構成成分は一般にTHM構成成分よりも小さい。リード線が小さく、あるいはリード線が全く不要になるからである。
【0006】
体積効率を改善する一つの方法は、陽極材料にタンタル(Ta)、ニオブ(Nb)や酸化ニオブ(NbO)などの高性能材料を使用する方法である。この一般的な固形コアまたはペレット表面実装コンデンサーは公知である。実例は、本明細書に援用するUSP6,380,577、同6,238,444および同7,161,797に見ることができる。これら特許公報の実施例には、固形内部コア(陽極本体、スラグまたはペレットと呼ばれることもある)が主にTaであることが示されている。通常、タンタル製の陽極本体は焼結する。ワイヤについては、共通して2つの方法のうち一つを使用して陽極本体に形成する。一つは埋設法(a)で、(タンタル製でもある)ワイヤにプレス時にタンタル粉末を被覆する方法である。もう一つは溶接法(b)で、ペレットをプレスし、焼結した後に、ワイヤをTa製スラグに溶接する方法である。他方の端部をスラグの外に引き出す。コンデンサー誘電体材料を陽極材料の陽極酸化によって形成し、陽極本体の表面上に酸化物層を設層する(例えばTaのTa2O5への酸化)。陽極本体がNbの場合、酸化によってNbがNb2O5になり、そしてNbOの場合、酸化によりNbOがNb2O5になる。コンデンサー陰極については、共通して、誘電体層に固形電解質層(例えばMnO2)および導電性ポリマーを被覆することによって形成してから、グラファイトおよび銀を被覆して、導電性を改善し、かつ機械的強度を改善する。陽極終端部および陰極終端部については、それぞれTaワイヤの自由端部およびTaペレットの外側電解質表面被覆に接続できる。次に、これら構成成分のすべてをケース(例えばプラスチックを構成成分周囲に成形することによって)内に封入し、陽極終端部および陰極終端部の外面のみを、例えば表面実装できるようにケースの外部に暴露した状態に置く。
【0007】
以上から理解できるように、このような公知コンデンサーの場合、タンタルケースまたは“カン”、あるいは“湿式”(液体)電解質を利用しない。即ち、液体電解質を予め形成したタンタルケースまたはカンに導入するさいに体積効率の問題を考慮していない。また、液体電解質の導入時にこのようなケースを効果的にシールする方法も考慮していない。
【0008】
このように、タンタルケースを備えた改良湿式電解コンデンサー、特に表面実装に好適な上に、体積効率の高い改良湿式電解コンデンサーが依然として求められている。さらに、コンデンサー本体内部の、あるいはコンデンサー本体上の貴重なスペースを取らずにコンデンサー本体の内部に電解質を導入する改良構成を備えたコンデンサーも求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】USP6,380,577
【特許文献2】USP6,238,444
【特許文献3】USP7,161,797
【特許文献4】USP9,070,512
【発明の概要】
【0010】
本発明の一つの態様は、コンデンサー本体の壁部に貫通形成した充填ポートを有するケースを備えた湿式電解表面実装コンデンサーに関する。この充填ポートからコンデンサー本体の内部に液体電解質を導入する。また、この充填ポートは押し付け可能な充填ポートプラグおよび充填ポートカバーによってシールする。
【0011】
本発明のもう一つの態様は、内部領域を構成する本体を有し、この本体の壁部に充填ポートを貫通形成した湿式電解表面実装コンデンサーに関する。本体は陰極端部およびこれに対向する陽極端部を有し、好ましくはタンタル製である。本体の内部に容量性素子を位置決めし、本体から分離する。容量性素子と電気連絡する表面実装陽極終端部を設け、本体から分離する。本体と電気連絡する表面実装陰極終端部を設ける。本体の内部領域に電解質を収め、充填ポートから本体の内部領域に導入する。充填ポートに隣接して充填ポートプラグを設ける。充填ポートカバーを本体に位置決めし、充填ポートプラグを充填ポートに押し付け、充填ポートをシールする。充填ポートカバーは本体に溶接することができる。
【0012】
本発明は、陰極の形成方法にも関する。本発明の湿式電解表面実装コンデンサーの製造方法は、好ましくは、内部領域を構成し、開放陽極端部およびこれに対向する閉じた陰極端部を有する本体を形成する工程、
前記本体の壁部に充填ポートを貫通形成する工程、
前記本体の前記内部領域内に容量性素子を設けるとともに、この容量性素子を前記本体から分離する工程、
前記陽極端部にカバーを被せる工程、
前記充填ポートから前記本体の前記内部領域内に電解質を導入する工程、
前記充填ポートに隣接して充填ポートプラグを位置決めする工程、
前記充填ポートプラグ全体に渡り前記本体の外面に前記充填ポートカバーを被せ、前記充填ポートプラグを前記充填ポートに押し付けて、前記充填ポートをシールする工程、
前記容量性素子と電気連絡し、かつ前記本体から分離されたコンデンサーの外面に表面実装陽極終端部を形成する工程、および
前記本体と電気連絡する前記コンデンサーの外面に表面実装陰極終端部を形成する工程を有していればよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下例示を示す添付図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
【
図1A-1B】公知コンデンサーを示す横断面図であり、
図1Bには圧着端部(crimped end)を示す。
【
図2A】本発明の一実施態様に従って構成したコンデンサーの陽極端部から見た等測投影図である。
【
図2B】本発明の一実施態様に従って構成したコンデンサーの陰極端部から見た等測投影図である。
【
図3A】本発明の一実施態様に従って構成したコンデンサーを示す左側面図である。
【
図3B】本発明の一実施態様に従って構成したコンデンサーを示す右側面図である。
【
図4A】本発明の一実施態様に従って構成したコンデンサーを示す上面図である。
【
図4B】本発明の一実施態様に従って構成したコンデンサーを示す底面図である。
【
図5A】本発明の一実施態様に従って構成したコンデンサーの陽極端部から見た正面図である。
【
図5B】本発明の一実施態様に従って構成したコンデンサーの陰極端部から見た背面図である。
【
図6A】本発明の一実施態様に従って構成したコンデンサーの陽極端部から見た正面図であり、
図8の横断線を示す図である。
【
図6B】本発明の一実施態様に従って構成したコンデンサーの陽極端部から見た正面図であり、
図9の横断線を示す図である。
【
図7】コンデンサーの上部から見た、
図3Aの線7−7にそって取ったコンデンサーの横断面図である。
【
図8】コンデンサーの上部から見た、
図6Aの線8−8にそって取った本発明の一実施態様を示す横断面図である。
【
図9】コンデンサーの上部から見た、
図6Bの線9−9にそって取った本発明の一実施態様を示す横断面図である。
【
図10】本発明の一実施態様に従って構成したコンデンサーの展開図である。
【
図11】本発明の一実施態様のコンデンサーのケースを製造する方法を示す流れ図である。
【
図12】本発明の一実施態様のコンデンサーの製造時に陽極を形成する方法を示す流れ図である。
【
図13】本発明の一実施態様に従ってコンデンサーを組み立てる方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明においていくつかの用語を使用するが、いずれも制限を意図するものではない。“右”、“左”、“上部”および“底部/下部”は参照先の添付図面における方向を示す。また、特許請求の範囲および対応する明細書の記載部分で使用する参照部分の単数表現は、特に断らない限り、複数表現を含むものとする。さらに、参照部材だけでなく、これら部材の誘導部材や同等な部材を包摂するものである。“A、B、またはC”などの二つ以上の部材の前に付けた“少なくとも一つ”の表現は、個々の部材A、BまたはCだけでなく、これらの任意の組み合わせを意味する。
【0015】
図2〜
図10に、本発明の一実施態様に従って構成したコンデンサー200を示す。このコンデンサー200はコンデンサー本体202を有する。コンデンサー本体202は、実質的にタンタルケースまたは“カン”として形成され、このカンは少なくとも一つの開放端部を有し、内部領域203を形成する。この本体202は開放陽極端部206、およびこれに対向し、かつ閉じた陰極端部208を有する。添付図面に例示したコンデンサー200の向きまたは方向において、本体202はさらに左側210、右側212、上部214および底部216を有する。本体202の形状は変更可能であるが、本発明の一実施態様では図示のように、本体202の側壁、上壁および底壁は全体として矩形形状に形成してもよく、角部204の縁部は円形形状または面取り形状に構成してもよい。さらに、コンデンサー200は全体を矩形形状に構成してもよい。この形状で本体202を構成すると、同じ長さ、同じ幅および同じ高さの円筒形コンデンサーの体積効率を改善するのに役立つ。
【0016】
図7〜
図9に示すように、タンタル製本体202の少なくとも一部の内面209は陰極層211を有し、例えば焼結タンタルで構成することができる。陰極層211については、USP9,070,512に記載されているように、電気泳動蒸着タンタル(electrophoretically deposited tantalum)で構成することも可能である。なお、このUSPについては本明細書に全体を援用するものとする。
【0017】
図2A、
図2B、
図5Aおよび
図5Bに示すように、本体202の左側壁、右側壁、上壁および底壁の周囲に絶縁性の外側ラップ215を巻き付け、本体202を被覆することができる。絶縁性ラップ215については、ポリイミド系材料から形成することが好ましい。
【0018】
図7および
図8に示すように、本体202の一方の側、図示の実施例では本体202の右側212は壁219を有し、好ましくは漏斗形の充填ポート218、即ち液体電解質を本体202に導入できる開口を構成する。この充填ポート218については、本体202の構成時に本体202に漏斗形開口をパンチ加工することによって形成することができる。以下に詳しく説明するように、この充填ポート218は、本体202の内部領域203内に電解質を導入するために使用することになる。あるいは、充填ポート218は本体202に沿って別な位置に設けてもよく、これは本発明の範囲内にある。
【0019】
図7〜
図10に示すように、コンデンサー200の陰極端部208に隣接する絶縁性挿入体220を内部領域203内に挿入する。この絶縁性挿入体220は全体として矩形の壁部228を有し、この壁部は中心開口222を有し、そして好ましくは壁部228の各角部(隅部、corner)226に陽極端部206に向かって延在するフランジ224を有する。絶縁性挿入体220については、タンタルスラグまたはペレットなどの容量性素子230を受け取り、把持かつ保持するとともに、容量性素子230を電気的かつ物理的に本体から分離するように構成する。絶縁性挿入体220は、コンデンサーを形成するさいに使用できる任意の許容可能な絶縁性材料から形成することができ、好ましくはPTFE、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)や当業者には公知な同様な特性をもつ他の材料などの耐酸材料からなる。絶縁性挿入体220については、非導電性なものが好ましい。
【0020】
図7〜
図10に示すように、容量性素子230は内部領域203内に設けるとともに、絶縁性挿入体220のフランジ224によって構成される領域内に位置決めされ、かつ保持され、そして摩擦嵌めなどによってフランジ224によって把持されるように位置決めし、かつ保持されるようにその形状およびサイズを決定する。(当技術分野では“陽極体”、“スラグ”または“ペレット”と呼ばれることもある)容量性素子230については、タンタルスラグまたは固形ペレット陽極体として形成するのが好ましく、あるいは当業者ならば理解できるように、NbやNbOなどの他の材料から形成してもよい。
【0021】
図7〜
図10に示すように、陽極ワイヤ232を設け、これを容量性素子230の正面231から陽極端部206の方向に延在させる。この陽極ワイヤ232はコンデンサー200の陽極の一部を有し、容量性素子230と電気的に連絡する。陽極ワイヤ232については、以下にさらに詳しく説明するように、容量性素子230と陽極終端部254との間を電気連絡するワイヤとして形成すればよい。この陽極ワイヤ232については、容量性素子に埋設してもよく、溶接してもよく、あるいはその他の手段で接続、接合または接着してもよい。
【0022】
上述したように、容量性素子は固形ペレット陽極体230を有し、陽極体にワイヤを埋設または溶接する。陽極体の酸化によって誘電体層が形成し、この誘電体層上に電解質層が形成する。
【0023】
陽極端部206からコンデンサー200を考えて、コンデンサー200の本体202の壁部内において陽極端部206に隣接してガラス/金属シール(GTMS)カバー234を位置決めし、溶接を所定部位に行って、もともとは開放していた陽極端部206を効果的にシールする。このカバー234は、タンタルから形成した導電性の金属外側部分237を有し、そしてガラスから形成され、かつ陽極管242を有する非導電性の中心挿入体部分236を有する。
図7〜
図10に示すように、外側部分237は全体として環状の壁部238を有し、これは本体202の内部領域203内に延在し、開口244を形成する。環状壁部238は、全体として平坦かつ円形の内向き面240で終端する。中心挿入体部分236は、全体としてベル形で、開口244内に位置し、チャネル246を有する。このチャネル246については、挿入体部分の中心部分に貫通形成する。陽極管242は、チャネル246内に位置し、軸方向にチャネルを貫通して延在する。この陽極管242には中空チャネル243が貫通している。なお、陽極管242についてはタンタルから形成するのが好ましい。
【0024】
GTMSカバー234は、タンタルケース202の陽極端部開口に設け、一方陽極ワイヤ232は陽極管242内に挿入する。陽極管242については、ガラスビーズによってタンタル外側部分237から電気的に分離し、GTMS(ガラス/金属シール)構造体に挿入される挿入体部分236を形成する。製造時、GTMSカバー234をケース202に溶接し、GTMS中心挿入体部分236内の陽極管242に陽極ワイヤ232を溶接し、コンデンサーの陽極を形成する。このように、GTMSカバー234は実質的に溶着して単独のカバー234ユニット、即ちタンタル(金属)外側部分237、ガラス(非導電性)中心挿入体部分236およびタンタル陽極管242からなるユニットを形成するいくつかの構成部分を有する。
【0025】
例えば
図2A、
図3A、
図3B、
図5A、
図6A、
図6Bおよび
図10に示すように、分離性シム(isolative shim)249は第1壁部分248、およびこの第1壁部分248に対して全体的に垂直に湾曲した第2壁部分250を有する。第1壁部分248は、カバー234の開口244に位置を合わせた開口252を有する。第1壁部分248は添付図面の向きにおいて直立し、かつカバー232に隣接して位置する。第2壁部分250は、添付図面の向きにおいて水平に、かつ本体202の底部216にそって位置し、陽極端部206から底部216の長さにそって陰極端部に向かって延在する。分離性シム249は実質的にL字形である。第2壁部分250の端部と本体202の陰極端部208との間に空隙217を設けることができる。分離性シム249については、PTFEからなる材料から形成することが好ましい。なお、分離性シム249については、約260℃以下のリフロー温度に耐えることができる任意の非導電性の可撓性材から構成してもよい。分離性シム249の第1の目的は、それ自体コンデンサーの陰極の一部であるタンタル本体202から陽極終端部を分離することにある。
【0026】
陽極終端部254は第1壁部分256、およびこの第1壁部分256に対して全体的に垂直に湾曲した第2壁部分258を有する。第1壁部分256は添付図面の向きにおいて直立し、開口244および開口252に位置を合わせた開口260を有する。第1壁部分256については、
図2A、
図5A、
図6Aおよび
図6Bに示すように、その上部角部に隣接して内向き角度を付けることができる。陽極終端部254は実質的にL字形である。開口260の周囲に凸状円形リップ262を設ける。第1壁部分256は分離性シム249に隣接して位置する。第2壁部分258は添付図面の向きにおいて水平に位置し、かつ第2壁部分250の底部にそって位置する。
【0027】
図6および
図7に示すように、開口244、開口252および開口260がチャネル264を形成し、このチャネルにGTMS陽極管242が貫通延在する。陽極管242はチャネル264を介して本体202の内部領域203内に延在する。陽極管242の長さについては、陽極端部206に臨む容量性素子230の正面231に届かず、陽極管242の内端270と容量性素子230の表面231との間に空隙または間隙268を残す長さが好ましい。陽極ワイヤ232は陽極管242に貫通延在する。陽極ワイヤ232の外端272は、陽極管242の外端274に溶接する。溶接プロセス時に発生する溶湯が、陽極管242の端部に丸い端部276またはビーズを形成することがある。
【0028】
陰極終端部280は、第1壁部分282、およびこの第1壁部分282に対して全体的に垂直に湾曲した第2壁部分284を有する。第1壁部分282は添付図面の向きにおいて直立し、本体202の陰極端部208に隣接する。この陰極終端部280は実質的にL字形である。第2壁部分284は、添付図面の向きにおいて水平に位置し、そして本体202の底部216にそって位置し、かつ陰極端部208に隣接する。
【0029】
液体電解質300については、充填ポート218からコンデンサー200の内部領域203に導入する。充填ポートプラグ302を使用して、充填ポート218を閉じるが、このプラグは本体202の外面にそって充填ポート218に隣接する。充填ポートプラグ302については、合成ゴムなどのゴム、および/またはフルオロポリマーエラストマー(fluoropolymer elastomer)やプラスチックなどの圧縮性材料(compressible material)から構成するのが好ましい。充填ポートプラグ302は押し付け可能であり、漏斗形充填ポート218内にぴったり嵌る長円形、球形または漏斗形プラグであればよい。タンタルで構成するのが好ましい充填ポートカバー304が充填ポートプラグ302に被さり、充填ポートプラグ302を充填ポート218に押し込み、充填ポート218、従ってコンデンサーの本体を効果的にシールする。充填ポートカバー304については、本体202に溶接するのが好ましい。電解質300が、容量性素子230と陰極層211および本体202との間の内部領域203の空隙を充填し、これらの間を電気連絡する。
【0030】
図11〜
図13に流れ図として概略を示すように、本発明はコンデンサーの製造方法を提供するものでもある。
【0031】
図11に示すように、本体202即ち“カン”をまず形成し、陰極を形成する。一端に開口を有するタンタルコンデンサー本体202を形成する[500]。このタンタルコンデンサー本体202の内面209に高容量陰極層211を設層する[502]。本体202の壁部に漏斗形充填ポート218を形成する[504]。
【0032】
図12に示すように、コンデンサーの陽極も形成する。最初に、タンタルペレットをプレスし、容量性素子230を形成する[506]。次に、タンタルペレットを焼結する[508]。容量性素子230にタンタル製陽極ワイヤ232を接続する[510]。GTMS陽極管232に陽極ワイヤを溶接する[512]。陽極酸化法によって容量性素子230に誘電体層を形成し[514]、陽極材料の陽極酸化によって陽極の表面に酸化物層を形成する。次に、分離性挿入体220に容量性素子230を挿入する[516]。
【0033】
組み立てたコンデンサーを
図13に示す。陰極端部208に隣接する本体202の内部領域203内に挿入性挿入体(insulative insert)220および容量性素子230を設ける[518]。本体202の開放陽極端部206上にGTMSカバー234を被せ、所定位置に溶接する[520]。漏斗形充填ポート218を介して内部領域203に導入される液体電解質300を本体202に充填する[522]。充填ポートプラグ302を充填ポート218に被せる[524]。充填ポートカバー304をプラグ302および充填ポート218に被せ、プラグ302を充填ポート218に圧入し、本体に対して所定位置に充填ポートカバー304を溶接する[526]。
【0034】
絶縁性ラップ215を設け、本体202を被覆する[528]。
【0035】
分離性シム249および陽極管242の開口の位置を合わせた状態で、カバー234上に分離性シム249を被せる[530]。分離性シム249上に陽極終端部254を被せ、陽極終端部の凸状リップ部分262を陽極管242に溶接する[532]。
【0036】
本体202の陰極端部208上に陰極終端部280を被せ[534]、陰極端部208に隣接するコンデンサー本体202に陰極終端部280の第1壁部分282を溶接する。
【0037】
なお、
図11〜
図13に示し、かつ説明してきた工程は例示のみを目的としている。当業者ならば理解できるように、以上の工程は所望の順序で、あるいは好適な順序で変更可能である。製造側の好みに応じて、さらに、これら工程の一つかそれ以上を単独製造工程としてもよく、あるいはこれら工程を省略または軽減することも可能である。
【0038】
以上説明してきたように、本発明は、特にコンデンサー本体の壁部に充填ポートを形成して、液体電解質をコンデンサー本体の内部領域に導入することによって体積効率を改善した湿式電解表面実装コンデンサーを実現したものである。本発明の単独充填ポート/プラグカバー構成は、コンデンサーの各構成部分のために必要不可欠なスペースを確保するもので、コンデンサーの各種構成部分を位置決めし、これらのサイズを決定し、これらを配置するさいの自由度がより高くなる。さらに、陽極端子および陰極終端部が表面実装終端部を形成するため、例えば印刷回路板にコンデンサーを実装できることになる。
【0039】
本発明の特徴および要素について、例示的な実施形態において特定の組み合わせで記載したが、各特徴は単独でも適用可能で、実施態様の他の特徴および要素を併用しなくてもよく、あるいは実施態様の他の特徴および要素を併用してもよい。
【符号の説明】
【0040】
100、200:コンデンサー
105:本体
110:電解質
120:陽極
130:陰極
140:ブシュ
145:溝
150:Oリング
202:本体、ケース
203:内部領域
204:角部
206:陽極端部
208:陰極端部
209:内面
210:左側
211:陰極層
212:右側
214:上部
215:ラップ
216:底部
217:空隙
218:充填ポート
219:壁
220:絶縁性挿入体
222、244、252、260:開口
224:フランジ
226:角部
228:壁部
230:容量性素子、固形ペレット陽極体、コンデンサー
231:正面
232:陽極ワイヤ、カバー、GTMS陽極管
234、304:カバー
236:挿入体部分
237:外側部分
238:壁部
240:内向き面
242:陽極管
243、246、264:チャネル
248、256、282:第1壁部分
249:分離性シム
250、258、284:第2壁部分
254:陽極終端部
262:リップ、リップ部分
268:間隙
270:内端
272、274:外端
276:端部
280:陰極終端部
300:液体電解質
302:プラグ
a:埋設法
b:溶接法
【手続補正書】
【提出日】2018年10月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部領域を形成する本体であって、この本体の壁部に貫通形成した充填ポートを有し、そして陰極端部およびこれに対向する陽極端部を有する本体、
前記充填ポートに隣接して位置決めし、圧入できる充填ポートプラグ、
前記充填ポートプラグに隣接して位置決めされ、前記充填ポートプラグを前記充填ポートに圧入して、前記充填ポートをシールする充填ポートカバー、
前記本体の内部に位置決めされ、かつ前記本体から分離した容量性素子、
前記容量性素子と電気的に接続し、前記本体から分離した表面実装陽極終端部、
前記本体と電気的に接続する表面実装陰極終端部、および
前記本体の前記内部領域に収めた液体電解質を有することを特徴とする湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項2】
さらに、前記本体の前記陰極端部に隣接した前記本体の前記内部領域内に位置決めした絶縁性挿入体を有し、この絶縁性挿入体は前記容量性素子に係合するように形成するとともに、前記本体から前記容量性素子を分離するように構成した請求項1に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項3】
さらに、前記容量性素子が前記容量性素子の表面から前記本体の前記陽極端部に向かって延在し、かつ前記本体から外部にアクセスできる陽極ワイヤを有する請求項1に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項4】
前記陽極端部が開放し、そしてさらにこの開放した陽極端部を塞ぐように位置決めされた前記本体の前記陽極端部に隣接してカバーを有する請求項3に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項5】
前記カバーが、ガラス/金属シール(GTMS)カバーを有する請求項4に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項6】
前記GTMSカバーが外側導電性部分、非導電性中心挿入体部分、およびこの中心部分を軸方向に貫通延在する陽極管を有し、前記陽極ワイヤをこの陽極管内に位置決めした請求項5に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項7】
さらに、前記陽極終端部と前記カバーとの間に位置決めした分離性シムを有し、この陽極終端部および分離性シムに貫通形成したチャネル内に前記陽極管が延在する請求項1に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項8】
前記本体が全体として矩形形状を有する請求項1に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項9】
前記充填ポートプラグが、合成ゴムおよび/またはフルオロポリマーエラストマーを有する請求項1に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項10】
前記表面実装陽極終端部の一部および前記表面実装陰極終端部の一部は、このコンデンサーの本体の底部に設ける請求項1に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項11】
さらに、前記本体の少なくとも一部を覆う絶縁性ラップを有する請求項1に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項12】
前記陽極端部または前記陰極端部以外の前記本体の一部に前記充填ポートを位置決めした請求項1に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項13】
前記表面実装陽極終端部または前記表面実装陰極終端部の任意の部分とは異なる前記本体側に前記充填ポートを位置決めした請求項12に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項14】
前記本体をタンタルで構成した請求項1に記載の湿式電解表面実装コンデンサー。
【請求項15】
内部領域を構成し、開放した陽極端部およびこれに対向する閉塞した陰極端部を有する本体を形成する工程、
前記本体の壁部に充填ポートを貫通形成する工程、
前記本体の前記内部領域内に容量性素子を設けるとともに、この容量性素子を前記本体から分離する工程、
前記陽極端部にカバーを被せる工程、
前記充填ポートから前記本体の前記内部領域内に電解質を導入する工程、
前記充填ポートに隣接して充填ポートプラグを位置決めする工程、
前記充填ポートをシールするために前記充填ポートに対して前記充填ポートプラグを圧入して、前記充填ポートプラグ全体に亘り前記本体の外面に充填ポートカバーを被せる工程、
前記容量性素子と電気的に接続し、かつ前記本体から分離されたコンデンサーの外面に表面実装陽極終端部を形成する工程、および
前記本体と電気的に接続する前記コンデンサーの外面に表面実装陰極終端部を形成する工程を有することを特徴とする湿式電解表面実装コンデンサーの製造方法。
【請求項16】
前記開放した陽極端部に被せるカバーが、外側導電性部分、非導電性中心挿入体部分、およびこの中心部分を軸方向に貫通延在する陽極管を有するGTMSカバーを有し、そしてさらに前記本体の前記陽極端部に隣接したこのカバーを溶接して、前記本体を塞ぐ工程を有する請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記容量性素子がさらにこの表面から延在する陽極ワイヤを有し、そしてさらに前記陽極管を貫通して、かつ前記表面実装陽極終端部と電気的に接続する前記陽極ワイヤを位置決めする工程を有する請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
さらに、前記陽極管の少なくとも一部に前記陽極ワイヤの少なくとも一部を溶接する工程を有する請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
さらに、前記陽極終端部の少なくとも一部に前記陽極管の少なくとも一部を溶接する工程を有する請求項18に記載の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
陽極端部206からコンデンサー200を考えて、コンデンサー200の本体202の壁部内において陽極端部206に隣接してガラス/金属シール(GTMS
:glass‐to‐metal seal:ガラス金属封じ)カバー234を位置決めし、溶接を所定部位に行って、もともとは開放していた陽極端部206を効果的にシールする。このカバー234は、タンタルから形成した導電性の金属外側部分237を有し、そしてガラスから形成され、かつ陽極管242を有する非導電性の中心挿入体部分236を有する。
図7〜
図10に示すように、外側部分237は全体として環状の壁部238を有し、これは本体202の内部領域203内に延在し、開口244を形成する。環状壁部238は、全体として平坦かつ円形の内向き面240で終端する。中心挿入体部分236は、全体としてベル形で、開口244内に位置し、チャネル246を有する。このチャネル246については、挿入体部分の中心部分に貫通形成する。陽極管242は、チャネル246内に位置し、軸方向にチャネルを貫通して延在する。この陽極管242には中空チャネル243が貫通している。なお、陽極管242についてはタンタルから形成するのが好ましい。
【国際調査報告】