特表2018-537972(P2018-537972A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-537972(P2018-537972A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】廃棄物中の抗生物質の決定アッセイ
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/04 20060101AFI20181130BHJP
   C12P 21/06 20060101ALN20181130BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20181130BHJP
【FI】
   C12Q1/04
   C12P21/06
   C12N1/20 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-525648(P2018-525648)
(86)(22)【出願日】2016年11月17日
(85)【翻訳文提出日】2018年7月3日
(86)【国際出願番号】EP2016077918
(87)【国際公開番号】WO2017085153
(87)【国際公開日】20170526
(31)【優先権主張番号】15195669.5
(32)【優先日】2015年11月20日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】16152287.5
(32)【優先日】2016年1月21日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】512092553
【氏名又は名称】ディーエスエム シノケム ファーマシューティカルズ ネザーランズ ビー.ヴイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ハネマイヤー,レーンデルト マリヌス
(72)【発明者】
【氏名】ジャゲサル,ディレド チャンドレ
【テーマコード(参考)】
4B063
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ06
4B063QQ20
4B063QQ98
4B063QR10
4B063QR66
4B063QR68
4B063QR75
4B063QS22
4B063QS28
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4B064AG01
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4B064CA21
4B064CB05
4B064DA13
4B064DA16
4B065AA18X
4B065AC10
4B065BB24
4B065BB31
4B065BB37
4B065BC31
4B065BC46
4B065BD34
4B065BD44
4B065CA46
4B065CA54
(57)【要約】
本発明は、たとえばプラントからの液体や固体の廃棄物ストリームなどの廃棄物中の抗生物質の存在を迅速に決定するための簡単で使いやすい方法に関する。本発明はまた、廃棄物中の抗生物質の存在を迅速に決定するためのアッセイとマニュアルとを含むキットに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的にラクトースフリーであるか、そして/あるいは0.01%(w/w)未満のラクトースを含有するラクトースフリーサンプル中の抗生物質の存在または不在を決定する方法であって、
(a)前記ラクトースフリーサンプルを、微生物とゲル化剤と前記微生物の成長または阻害を検出可能な指示薬とを含むアッセイ培地と接触させて、前記ラクトースフリーサンプルと前記アッセイ培地とのアセンブリーを得る工程と、
(b)前記ラクトースフリーサンプル中に抗生物質が存在しない場合に、前記微生物を成長させるのに十分な時間にわたり、工程(a)で得られた前記アセンブリーをインキュベートする工程と、
(c)前記微生物の成長または成長阻害を前記指示薬で検出する工程と、
を含み、
工程(a)で乳および/または粉乳を添加することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記アッセイ培地が栄養素をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記指示薬がブロモクレゾールパープルまたはブロモチモールブルーである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記微生物が好熱性である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記微生物がバチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ゲル化剤が寒天である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(a)の前に、前記ラクトースフリーサンプルから固形分が除去される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ラクトースフリーサンプルと、前記添加される乳または粉乳とにおけるラクトースの量が2〜5%(w/w)である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(i)工程(a)で既知量の抗生物質を添加すること、または
(ii)工程(a)で既知量のβ−ラクタム分解化合物を添加すること、または
(iii)(i)と(ii)との組合せ、
から選択される対照試験をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
本質的にラクトースフリーであるか、そして/あるいは0.01%(w/w)未満のラクトースを含有するラクトースフリーサンプル中の抗生物質の濃度を決定する方法であって、
(a)乳を添加して前記ラクトースフリーサンプルの一連の希釈液を調製する工程と、
(b)工程(a)で得られた各希釈液を、微生物と栄養素と前記微生物の成長または阻害を検出可能な指示薬とを含むアッセイ培地と接触させて混合物を得る工程と、
(c)前記サンプル中に抗生物質が存在しない場合に、前記微生物を成長させるのに十分な時間にわたり、工程(b)で得られた各混合物をインキュベートする工程と、
(d)前記微生物の成長または成長阻害を前記指示薬で検出する工程と、
(e)前記微生物の成長を阻害可能な最も高い稀釈倍率の希釈液を決定する工程と、
(f)工程(e)で決定された希釈液の抗生物質の濃度を決定する工程と、
(g)工程(f)で決定された濃度と、前記希釈液の作製に使用した工程(e)で決定された稀釈倍率と、を乗算することにより前記ラクトースフリーサンプル中の抗生物質の濃度を決定する工程と、
を含む方法。
【請求項11】
(a)混合物を得るべく微生物とゲル化剤と前記微生物の成長または阻害を検出可能な指示薬とを含むアッセイ培地の入った容器と、
(b)本質的にラクトースフリーであるか、そして/あるいは0.01%(w/w)未満のラクトースを含有するラクトースフリーサンプル中の抗生物質の濃度を決定すべく説明書を含むマニュアルと、
を含むキット。
【請求項12】
工程(b)の前記マニュアルが、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法を実施するための説明書を含む、請求項11に記載のキット。
【請求項13】
粉乳を含む容器をさらに含む、請求項11または12に記載のキット。
【請求項14】
サンプリング装置をさらに含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載のキット。
【請求項15】
既知量の抗生物質の入った容器および/または既知量のβ−ラクタム分解化合物の入った容器をさらに含む、請求項11〜14のいずれか一項に記載のキット。
【請求項16】
サーモスタット装置をさらに含む、請求項11〜15のいずれか一項に記載のキット。
【請求項17】
0.01%w/w未満のラクトースを含有するラクトースフリーサンプルと、微生物と、ゲル化剤と、指示薬と、乳および粉乳の1つと、を含む組成物。
【請求項18】
本質的にラクトースフリーであるか、そして/あるいは0.01%(w/w)未満のラクトースを含有するラクトースフリーサンプル中の抗生物質の濃度を決定するための、ブロモクレゾールパープルまたはブロモチモールブルーの使用。
【請求項19】
本質的にラクトースフリーであるか、そして/あるいは0.01%(w/w)未満のラクトースを含有するラクトースフリーサンプル中の抗生物質の濃度を決定するためのβ−ラクタム分解化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、たとえばプラントからの液体や固体の廃棄物ストリームなどの廃棄物中の抗生物質の存在を迅速に決定するための簡単で使いやすい方法に関する。本発明はまた、廃棄物中の抗生物質の存在を迅速に決定するためのアッセイとマニュアルとを含むキットに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
抗微生物剤耐性は、もはや将来予測ではなく、世界のすべての地域で今現在起こっている、かつどの国でも年齢を問わず誰もが影響を受けるおそれのある、世界的な大問題の1つである。抗微生物剤耐性は、細菌がそのように変化すると感染症の治療を必要とする人々にもはや抗生物質が効かなくなるもので、現在、公衆衛生への大きな脅威となっている。抗微生物剤耐性に関する国際条約の提案を含めて、こうした脅威に対処する世界的な集団行動の必要性が社会全体に増加してきている。抗生物質耐性は、世界全体に適正にマッピングされていないが、最も影響を受ける国々は、より脆弱なヘルスケアシステムを有するより貧しい国々である。抗微生物剤耐性が起こりうる仕組みには、ある特定のタイプの細菌に対する自然耐性、遺伝子の突然変異、または他の細菌からの耐性の取得によるものの3つが存在する。
【0003】
抗微生物剤耐性は、微生物自体の突然変異により、経時的な耐性の蓄積により、または抗生物質の誤用により、自然発生的に起こりうる。耐性微生物は、治療が次第に困難になって代替医薬またはより高用量が必要になり、いずれも個体にとってコストがかかるようになったり毒性が増したりするおそれがある。いくつかの感染症は、抗微生物剤耐性が原因ですでに治療できなくなっている。
【0004】
抗微生物剤耐性は、毎年何百万人もの死者をもたらすますます問題化している課題である。薬剤耐性の上昇傾向は、4つの主な領域、すなわち、ヒト集団における抗生物質の使用、動物集団における抗生物質の使用、ヒト源および/または非ヒト源の間の耐性株の広がり、ならびに環境中への抗生物質の放出、が原因でありうる。
【0005】
抗微生物剤耐性の最後に記した原因、すなわち、環境中への抗生物質の放出は、農業および工業の各種分野で大きくなりつつある問題である。この点で、とくに病院などの「ホットスポット」や工業廃水や未処理都市廃水による広がりおよび環境汚染は、現在、大きくなりつつある公衆衛生問題を呈する。抗生物質は、人的廃棄物(投薬、農耕)、動物治療、医薬品工業などのいくつかの発生源による導入以来、環境を汚染してきた。抗生物質廃棄物は、耐性細菌の発生源を含みうるかまたはその発生源でありうる。結果として、抗生物質廃棄物は、環境中への抗生物質耐性細菌の導入をもたらしうる。細菌は急速に複製するので、環境に入る耐性細菌は、分裂を続けてその耐性遺伝子を複製する。その他に、耐性遺伝子を保有する細菌(すなわち耐性細菌)は、そうした遺伝子を遺伝子水平伝播により他の種に広げる能力を有する。したがって、特定の抗生物質が環境中にこれ以上導入されなくても、抗生物質耐性遺伝子は、その後は連続暴露されずに複製してきた細菌を介して存在し続けるであろう。
【0006】
その結果の1つとして、抗生物質の製造業者は、最もクリーンで最も厳格でかつ持続可能な方法を適用して救命医薬の製造による環境への影響を最小限に抑えることを保証しなければならないであろう。また、この方向での最初の工程は、(産業)廃棄物ストリーム中の抗生物質の含有率の測定である。
【0007】
技術的には、これは最新技術の分析方法により可能である。水性ストリーム中の抗生物質の量は、測光法、電気化学法、ガスクロマトグラフィー法、および直接的液体クロマトグラフィー法をはじめとするいくつかの方法により測定可能である(Pettas and Karayannis (2004), Anal. Chim. Acta 522, 275-280)。これらの技術は労力と時間がかかるうえに、高価な装置と熟練した人材がしばしば必要になることが、欠点である。結果として、これらの方法は、とくに高い技能を有していない人材により高頻度でかつ/または多くの場所で実現することが、不可能ではないにしても困難である。
【0008】
したがって、廃棄物ストリーム中の抗生物質の存在および/または濃度を決定するための簡単で安価な使いやすい方法の必要性が存在する。本開示はかかる方法を提供する。
【0009】
抗生物質の微生物学的決定アッセイは、かなり前から知られていた。かかるアッセイの例は、カナダ国特許第2056581号、独国特許第3613794号、欧州特許第0005891号、欧州特許第0285792号、欧州特許第2226389号、英国特許第1467439号、国際公開第94/18343号、および国際公開第2005/118837号に記載されている。多くの場合、これらのアッセイは、とくに乳の分析のために乳業で使用するように設計されている。これらの微生物学的アッセイには、微生物を利用して、指示薬シグナルを与えうる指示薬分子などのアッセイ媒体に添加された指示薬が示す変化により結果を与える、即使用可能なアッセイが含まれる。微生物の成長を阻害するのに十分な濃度で抗生物質がサンプル中に存在すると、指示薬の色は同じままであるが、阻害が起こらないと、微生物の成長は、指示薬の指示薬シグナルの変化を引き起こす酸の生成および/または代謝物の低減または他の現象を伴うことが、その原理である。
【0010】
残念ながら、かかるアッセイを、乳よりも複雑な基質、たとえば、多くの他の成分を含む廃水ストリーム、さらには濾過ケーク、菌糸体、発酵プロセスの濃縮残渣などの(半)固体廃棄物に適用した場合、その結果は解釈が困難であるため、信頼性がない。指示薬変化が指示薬分子の色の変化である場合、かかる変化は観測や解釈が困難であることが多い。他の潜在的欠点は、複雑なサンプル中の追加の非抗微生物成分がアッセイ微生物の適正な機能に影響を及ぼすことである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
本開示は、本質的にラクトースフリーであるか、そして/あるいは0.01%(w/w)未満のラクトースを含有するラクトースフリーサンプル中の抗生物質の存在または不在を決定する方法であって、
(a)前記ラクトースフリーサンプルを、微生物とゲル化剤と微生物の成長または阻害を検出可能な指示薬とを含むアッセイ培地と接触させて、ラクトースフリーサンプルとアッセイ培地とのアセンブリーを得る工程と、
(b)前記ラクトースフリーサンプル中に抗生物質が存在しない場合に微生物を成長させるのに十分な時間にわたり、工程(a)で得られたアセンブリーをインキュベートする工程と、
(c)微生物の成長または成長阻害を指示薬で検出する工程と、
を含み、
工程(a)で乳および/または粉乳を添加することを特徴とする方法に関する。
【0012】
本開示はさらに、
(a)混合物を得るべく微生物とゲル化剤と微生物の成長または阻害を検出可能な指示薬とを含むアッセイ培地の入った容器と、
(b)本質的にラクトースフリーであるか、そして/あるいは0.01%(w/w)未満のラクトースを含有するラクトースフリーサンプル中の抗生物質の濃度を決定すべく説明書を含むマニュアルと、
を含むキットに関する。
【0013】
本開示はさらに、本質的にラクトースフリーであるか、そして/あるいは0.01%(w/w)未満のラクトースを含有するラクトースフリーサンプル中の抗生物質の濃度を決定するためのブロモクレゾールパープルまたはブロモチモールブルーの使用に関する。本開示はさらに、本質的にラクトースフリーであるか、そして/あるいは0.01%(w/w)未満のラクトースを含有するラクトースフリーサンプル中の抗生物質の濃度を決定するためのβ−ラクタム分解化合物の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本発明の目的は、廃棄物中の抗生物質を決定するための簡単で安価で使いやすい方法を提供することである。また、複雑なマトリックスを含む廃棄物、たとえば、多くの他の成分を含む廃水ストリーム、さらには濾過ケーク、菌糸体、発酵プロセスの濃縮残渣などの(半)固体廃棄物に適用するための使いやすい微生物学的アッセイと説明書とを含むパーツのキットも提供される。
【0015】
本開示は、特有で信頼性のあるかつ簡単で汎用性のある試験プロトコルを提供する。
【0016】
本発明との関連では、用語および略語は以下のように定義される。
【0017】
「抗生物質」という用語は、たとえば、β−ラクタム類、テトラサイクリン類、アミノグリコシド類、キノロン類、スルホンアミド類、それらの誘導体などの化合物、およびそれらの任意の組合せを意味する。本発明の方法またはキットで存在を検出しうる抗生物質の例は、限定されるものではないが、アミノグリコシド類(たとえば、アミカシン、ジベカシン、ゲンタマイシン、カナマイシンA、ネオマイシンB、C、およびE、ネチルマイシン、シソマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシンなど)、セファロスポリン類(たとえば、7−アミノセファロスポラン酸、7−アミノデアセトキシセファロスポラン酸、セファクロール、セファドロキシル、セファマンドール、セファトリジン、セファゾリン、セフブペラゾン、セフカペン、セフジニル、セフジトレン、セフェピム、セフェタメト、セフィキシム、セフメノキシム、セフメタゾール、セフミノクス、セフォジジム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォセリス、セフォタキシム、セフォチアム、セフォテタン、セフォベシン、セフォキシチン、セフォゾプラン、セフピラミド、セフピロム、セフポドキシム、セフプロジル、セフキノム、セフロキサジン、セフスロジン、セフタロリン、セフタジジム、セフテラム、セフチブテン、セフチオフル、セフチゾキシム、セフトビプロール、セフトロザン、セフトリアキソン、セフロキシム、セファレキシン、セファロスポリンC、セフラジンなど)、ペニシリン類(たとえば、6−アミノペニシラン酸、アモキシリン、アンピシリン、クロキサシリン、フルクロキサシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ペニシリンVなど)、第1世代キノロン類(たとえば、シノキサシン、ナリジクス酸、オキソリン酸、ピペミド酸、ピロミド酸、ロソキサシン)、第2世代キノロン類(たとえば、シプロフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、ロメフロキサシン、ナジフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、ペフロキサシン、ルフロキサシン)、第3世代キノロン類(たとえば、バロフロキサシン、グレパフロキサシン、レボフロキサシン、パズフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、トスフロキサシン)、第4世代キノロン類(たとえば、クリナフロキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、モキシフロキサシン、シタフロキサシン、トロバフロキサシン、プルリフロキサシン)、スルホンアミド類、およびテトラサイクリン類(たとえば、クロルテトラサイクリン、デメクロサイクリン、リメサイクリン、メクロサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、テトラサイクリンなど)である。重要なものとして、依然として抗微生物活性を有する以上の化合物の分解生成物または転位誘導体も含まれる。
【0018】
「アッセイ培地」という用語は、溶液の形態、固体の形態、または好ましくはゾルやゲルのようなゲル様マトリックスの形態の組成物を意味する。アッセイ培地がゲル様マトリックスの形態を有する場合、それはゲル化剤を含みうる。固形アッセイ培地がセラミック、ワタ、ガラス、金属粒子、ペーパー、任意の形状または形態のポリマー、シリケート、スポンジ、ウールなどの担体材料に基づきうることは、当業者であれば理解されよう。通常、アッセイ培地は1つ以上の指示薬を含む。アッセイ培地は、検出剤としての1つ以上のタイプの微生物または酵素と少なくとも1つの栄養素とを含みうる。アッセイ培地は、微生物と指示薬と栄養素とを含むタブレット、ディスク、または濾紙の形態を有しうる。これらの3つの成分は、単一タブレットだけでなく2つ以上のタブレットにも存在しうる。当然ながら、固体形態、液体形態、および/またはゲル様形態のアッセイ培地を組み合わせたアッセイも使用可能である。実施形態では、微生物、指示薬、および栄養素は、寒天溶液に導入される。寒天溶液は、微生物が生き続けるように、ただし、たとえば低温が原因で増殖できないように、凝固させてアッセイ培地を形成するようにしうる。実施形態では、アッセイ培地中のゲル化剤の量は、2〜100g.l−1、好ましくは5〜50g.l−1、より好ましくは10〜20g.l−1、最も好ましくは12〜15g.l−1である。好ましい実施形態では、ゲル化剤は寒天である。任意選択的に、アッセイ培地は、1種以上の緩衝剤、安定化剤、界面活性剤、塩、ある特定の抗微生物化合物に対する感受性を正(感受性を向上させる)方向もしくは負(感受性を減少させる)方向に変化させる物質、増粘剤、またはそれらの任意の組合せも含有しうる。緩衝剤が培地中に存在する場合、それを培地の成分の混合時に添加しうるか、または成分を緩衝剤に溶解および/または懸濁させうる。好適な緩衝剤としては、アラニン、リン酸カリウム、およびリン酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ある特定の抗微生物化合物に対する感受性を変化させる物質の例は、サルファ化合物に対する微生物の感受性を向上させるオルメトプリム、テトロキソプリム、トリメトプリムのような抗葉酸剤、またはテトラサイクリンに対する感受性を向上させるシュウ酸塩もしくはフッ化水素酸塩もしくはカルシウムキレート化剤である。システイン結合タンパク質およびペニシリン結合タンパク質は、ある特定の抗微生物化合物に対する感受性を減少させることが知られている化合物である。増粘剤の例としては、アスコルビルメチルシラノールペクチネート、カルボマー、カルボキシメチルセルロース、セテアリルアルコール、セチルアルコール、セチルエステル、コカミドDEA、乳化ワックス、グルコース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラウルアミドDEA、リノールアミドDEA、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、マルトデキストリン、PEG−8ジステアレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、PVP/ヘキサデセンコポリマー、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、ソイアミドプロピルベタイン、キサンタンガムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適な安定化剤は、たとえばコロイドシリカである。代替的に、以上に挙げたアッセイ培地の任意選択的成分は、外因的にも添加しうる。アッセイ培地は、任意のタイプの容器内に含有しうるが、よく使用される容器は、チューブ、マイクロタイタープレート、およびペトリ皿である。容器は、指示薬の変化の観察が可能である限り、任意の形状およびサイズならびに入手可能な任意の材料の容器でありうる。指示薬の変化の観察は視覚的に行いうるが、スキャナーなどのサンプル読取り装置を用いて行うことも可能である。任意選択的に、インキュベーション時にアッセイ培地が充填された前記容器をシールするための手段、および/または使用説明書を含む挿入物、および/またはインキュベーションに必要な時間を設定するための手段は、アッセイシステムの一部である。任意選択的に、アッセイ培地は滅菌される。通常、pHは所要の値に調整される。本発明の方法は、サンプルを混合すること(たとえば、他のサンプルと共に、さらには、たとえば、塩、緩衝化合物、安定化剤、同位体標識化合物、蛍光標識化合物などと共に)、アッセイ培地への添加前にサンプルを濃縮することおよび/またはさらに希釈すること(たとえば、水などの希釈液体を用いて)を含みうる。
【0019】
「CFU」という用語は、コロニー形成単位の略語で、微生物のコロニーを生成可能な微生物の数、微生物の胞子の数、微生物の部分発芽胞子の数、および/または栄養細胞の数を意味する。前記CFUの濃度は、アッセイ培地1ml当たりのコロニー形成単位(CFU.ml−1)として表され、通常は1×10〜1×1012CFU.ml−1、好ましくは1×10〜1×1010CFU.ml−1、より好ましくは2×10〜1×10CFU.ml−1、最も好ましくは5×10〜1×10CFU.ml−1、さらにより好ましくは5×10〜2×10CFU.ml−1の範囲内である。
【0020】
「ゲル化剤」という用語は、混合物からゲルへの変化またはゲルの形態の維持を支援する化合物または物質を意味する。ゲル化剤の好適な例は、寒天、アルギン酸およびその塩、カラゲナン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルグアーおよびその誘導体、ローカストビーンガム(カロムガム)、加工ユーケマ藻類などである。
【0021】
本発明との関連では、「指示薬」という用語は、特定の成分(たとえば、酸、塩基、酸化剤、または還元剤)の存在に関してアッセイ培地の状態の測定(たとえば、色または蛍光の変化により)に使用される物質を意味する。指示薬は、ある状態から他の状態に変化すると色または蛍光の変化などの検出可能なシグナルを提供する。指示薬は、pH指示薬、レドックス指示薬、またはそれらの組合せでありうる。本明細書での指示薬という用語はまた、2種以上の指示薬も意味しうる。好適な指示薬の例は当業者に周知である(便覧H.J. Conn’s Biological Stains, R.D. Lillie ed., Baltimore, 1969を参照されたい)。とくに有用なのは、ある状態から他の状態に変化すると色または蛍光の変化などの視覚的に検出可能なシグナルを提供する指示薬である。アッセイ培地中の指示薬の量は、0.01〜50g.l−1アッセイ培地、好ましくは0.1〜10g.l−1、より好ましくは0.5〜5g.l−1、最も好ましくは1〜3g.l−1である。かかる指示薬は、‘H.J. Conn’s Biological Stains’, R.D. Lillie ed., Baltimore, 1969などの便覧から容易に選択しうる。好ましい指示薬は、pH指示薬および/またはレドックス指示薬である。好適な指示薬の例は、アシッドブルー120、アシッドオレンジ51、アシッドイエロー38、アリザリンアシッド、アリザリンブルー、アズールA、アズールB、ベーシックブルー3、ブリリアントブラック、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントクロセインMOO、ブリリアントイエロー、ブロモクレゾールグリーン、ブロモクレゾールパープル、ブロモフェノールブルー、ブロモフェノールレッド、ブロモチモールブルー、クロロクレゾールグリーン、コンゴーレッド、m−クレゾールパープル、ガロシアニン、インジゴカルミン、ヤーヌスグリーンB、リトマス、メチレンブルー、メチルレッド、ナイルブルーA、ニトラゾールイエロー(ニトラジンイエローともいう)、o−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、1−10フェナントロリン、フェノールフタレイン、フェノールレッド、サフラニンO、チオニン、チモールブルー、トルイジンブルー、およびキシレノールブルーである。好ましい指示薬は、4.5〜8.0、好ましくは5.0〜7.5、より好ましくは5.5〜7.0のpH範囲内で色が変化する指示薬であり、好ましくはこれらは、ブロモクレゾールグリーン、ブロモクレゾールパープル、ブロモチモールブルー、メチルレッド、またはフェノールレッドであり、最も好ましくはブロモクレゾールパープルまたはブロモチモールブルーである。
【0022】
「ラクトースフリーサンプル」という用語は、乳でもなく他のラクトース含有乳製品でもないサンプルを意味する。ラクトースフリーサンプルとは、抗生物質の存在または不在を決定する必要のある、かつ先行技術の抗生物質アッセイが認められて広く適用可能な乳サンプルとは区別できる、サンプルを意味する。また、ラクトースフリーとは、本質的にラクトースフリーを包含する。典型的には、ラクトースフリーサンプルは、0.01%(w/w)未満のラクトース、たとえば0.0001%(w/w)〜0.01%(w/w)のラクトース、好ましくは0.00001%(w/w)〜0.005%(w/w)のラクトースを含有する。ラクトース含有率は当業者に公知の方法により決定しうる。好ましくは、ラクトース含有率はISO22662:2007に準拠して決定される。本発明との関連でラクトースフリーサンプルの例としては、水性廃棄物ストリームおよび固形廃棄物ストリームの両方を含めてプラントからの産業廃棄物ストリームのサンプル、エフルエントおよび地表水、たとえば、河川、湖沼、小川などのサンプル、ならびに家畜糞尿のサンプルが挙げられる。本発明で使用されるラクトースフリーサンプルは、水、廃水、プロセス水、下水、飲料水、適用水、たとえば、水泳プール、サウナ、および温室に適用されたもの、冷却水などの流体のサンプルでありうる。それは、農業源、漁場、船舶バラスト、冷却塔、廃水処理プラント、発電プラント、化学産業たとえば繊維産業、紙パルプ産業、印刷産業、鉄鋼産業、コークス産業、石油産業、殺虫剤産業、塗料産業、医学・歯学産業、溶媒産業、医薬品産業、木材保存薬剤産業、および食品産業からの水でありうる。流体は、流入エフルエントおよび/またはストリーム、流出エフルエントおよび/またはストリーム、または以上の発生源のいずれかからの中間エフルエントおよび/またはストリームでありうる。
【0023】
「微生物」という用語は、その成長によりその存在または不在が決定される抗生物質に対して感受性のある微生物を意味する。
【0024】
本明細書で用いられる「栄養素」という用語は、微生物の成長を促進するおよび/またはその成長に必要とされる栄養物質または栄養成分を意味する。好適な栄養素は、アッセイ培地で使用される微生物に依存する。アッセイ培地は、2つ以上の異なる栄養素を含みうる。それらには、同化可能な炭素源、たとえば、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、デキストロースなどの炭水化物、同化可能な窒素源、たとえば、ペプトンやトリプトンなどのアミノ酸、ビタミン源および成長因子源、たとえば、牛肉抽出物または酵母抽出物、ならびにミネラル源、たとえば、バリウム塩やカルシウム塩などのアルカリ土類金属塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
「粉乳」または「乾燥乳」という用語は、乳を蒸発乾固させて製造された生産乳製品を意味する。乳を乾燥させる目的の1つは、それを保存することであり、粉乳は、その含湿率が低いため、液乳よりもはるかに長い貯蔵寿命を有し冷蔵の必要がない。他の目的は、輸送の経済性のためのその嵩を低減することである。粉乳および乳製品としては、乾燥全乳、無脂肪(スキム)乾燥乳、乾燥バター乳、乾燥ホエー製品、乾燥乳ブレンドなどの品目が挙げられる。
【0026】
本発明との関連で「胞子」という用語は、微生物により生成されるかつ新しい個別の微生物を発生しうる原始的な通常は単細胞の多くは耐環境性の休眠体または生殖体を意味する。
【0027】
第1の態様では、本発明は、本質的にラクトースフリーであるか、そして/あるいは0.01%(w/w)未満のラクトースを含有するラクトースフリーサンプル中の抗生物質の存在または不在を決定する方法であって、
(a)前記ラクトースフリーサンプルを、微生物とゲル化剤と微生物の成長または阻害を検出可能な指示薬とを含むアッセイ培地と接触させて、ラクトースフリーサンプルとアッセイ培地とのアセンブリーを得る工程と、
(b)前記ラクトースフリーサンプル中に抗生物質が存在しない場合に、微生物を成長させるのに十分な時間にわたり、工程(a)で得られたアセンブリーをインキュベートする工程と、
(c)微生物の成長または成長阻害を指示薬で検出する工程と、
を含み、
工程(a)で乳および/または粉乳を添加することを特徴とする方法に関する。
【0028】
驚くべきことに、抗生物質の存在または不在が試験されるラクトースフリーサンプルに乳または粉乳を添加すると、(粉)乳の不在下で類似のアッセイを行ったときと比較して、検出の正確性および容易性が向上することが判明した。乳中の抗生物質の微生物学的決定アッセイを行うことは、発明の背景に記載したように周知である。乳業に由来しないサンプル中の抗生物質の微生物学的決定アッセイの使用も報告されているが、通常、これらは水性ラクトースフリー流体である。しかしながら、前記ラクトースフリーサンプルに(粉)乳を添加することによりラクトースフリーサンプル中の抗生物質の決定を改善することはおろかそれを行うことすら、先行技術では提案がなされていない。この観察を裏付ける機序については、まだ十分に理解されていない。アッセイ培地、微生物(の成長)、指示薬の着色効果、または分析対象のラクトースフリーサンプルとの化学的もしくは物理的相互作用に及ぼす乳の影響に関連するか、現在、推測しているが、先行技術では立証されていない。
【0029】
第1の実施形態では、微生物は、バチルス属(Bacillus)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、またはストレプトコッカス属(Streptococcus)の株である。さらなる実施形態では、微生物は、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)やストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)などの好熱性微生物である。アッセイ培地は、検出剤として1つ以上のタイプの微生物を含みうる。微生物は、コロニーを生成可能な単位またはCFUとしてアッセイ培地に導入しうる。インキュベーション工程(b)における微生物の成長は、所定の時間、好ましくは0.5〜4時間の時間内、より好ましくは1〜3.5時間、最も好ましくは2.0〜3.25時間で行うべきである。好ましくは、微生物の成長は、所定の温度、好ましくは微生物の最適成長温度で行われる。たとえば、好熱性微生物を使用する場合、前記温度は、好ましくは40〜70℃、より好ましくは50〜65℃、最も好ましくは60〜64℃である。任意選択的に、前記反応は、サーモスタット装置を利用して行うことが可能である。サーモスタット装置を利用すると、微生物が十分な成長を示す温度などの事前設定温度にサンプルを維持することが可能である。好ましくは、前記サーモスタット装置は、アッセイ培地が充填された容器を保持できるように設計される。任意選択的に、サーモスタット装置は、事前設定時間の経過後に加熱および/または冷却が停止されるように、インキュベーションに必要な時間を設定するための手段に結合される。代替的に、微生物の成長に必要とされる時間は、消毒剤をなんら含まない検量サンプルが指示薬の変化を引き起こすのに必要とされる時間に等しい。
【0030】
第2の実施形態では、工程(a)の前に前記ラクトースフリーサンプルから固形分を除去する。かかる除去は、遠心分離、デカンテーション、濾過などの当業者が利用可能な操作を用いて行いうる。任意選択的に、前記ラクトースフリーサンプルが多くの固形分を含有する場合さらには固体である場合、有利には、固形分の除去前に最初にサンプルと水性溶液とを混合する。前記水性溶液は、乳または粉乳と混合された水でありうる。
【0031】
第3の実施形態では、ラクトースフリーサンプルと、添加した乳または粉乳の組合せ物中に存在するラクトースの量は、1〜10%(w/w)、好ましくは2〜5%(w/w)である。
【0032】
第4の実施形態では、対照試験は、既知量の抗生物質を工程(a)で添加して行われる。前記抗生物質は任意の抗生物質でありうるが、好ましくはペニシリンGKである。
【0033】
第5の実施形態では、対照試験は、既知量のβ−ラクタム分解化合物を工程(a)で添加して行われる。前記β−ラクタム分解化合物は任意のβ−ラクタム分解化合物でありうるが、好ましくはβ−ラクタマーゼである。
【0034】
対照試験は本発明の方法の適正機能に必須ではないが、第4および第5の実施形態の対照試験を両方とも第1の態様の方法と一緒に行うと結果の信頼性が向上することは、当業者であれば理解される。
【0035】
第6の実施形態では、本発明は、ラクトースフリーサンプル中の抗生物質の濃度の決定方法であって、
(a)乳を添加して前記ラクトースフリーサンプルの一連の希釈液を調製する工程と、
(b)工程(a)で得られた各希釈液を、微生物と栄養素と指示薬とを含むアッセイ培地と接触させる工程と、
(c)サンプル中に抗生物質が存在しない場合に微生物を成長させる時間にわたり、工程(b)で得られた各混合物をインキュベートする工程と、
(d)微生物の成長または成長阻害を指示薬で検出する工程と、
(e)微生物の成長を阻害可能な最も高い稀釈倍率の希釈液を決定する工程と、
(f)工程(e)で決定された希釈液の抗生物質の濃度を決定する工程と、
(g)工程(f)で決定された濃度と、希釈液の作製に使用した工程(e)で決定された稀釈倍率と、を乗算することにより前記ラクトースフリーサンプル中の抗生物質の濃度を決定する工程と、
を含む方法を提供する。
【0036】
微生物の成長または成長阻害は、指示薬の変化の存在または不在を観察することにより検出される。好ましくは、これは希釈範囲の各希釈液に対して行われる。たとえば、指示薬の変化が色変化である場合、色変化は目視観察しうる。しかしながら、本発明の実施形態では、色変化は、ディジタル画像データを生成する構成またはアナログ画像データを生成してから前記アナログ画像データをディジタル画像データに変換する構成を用いて、前記ディジタル画像データをコンピュータープロセッサーにより解釈することにより決定される。たとえば、パーソナルコンピューターに結合されたスキャナーなどのサンプル読取り装置でありうるかかる構成は、国際公開第03/033728号に記載されている。かかる構成を用いて試験プレート中の各サンプルの底面を走査することが可能である。反射光の色および明るさは、それぞれ1つの色成分を記述する3つの変数、たとえば、いわゆるLモデルで登録される。Lモデルでは、色スペクトルは二次元マトリックスに分割される。このマトリックス中の色の位置は、2つの変数「a」および「b」により登録される。変数Lは、強度(たとえば、明青色から暗青色まで)を表す。以下のような合成関数:
Z=w.L+w.a+w.b
(式中、w、w、およびwは、それぞれ、L値、a値、およびb値の重み係数である)
を作成するようにa値とb値とL値とを含む判定基準を設けることが可能である。これら重み係数の値は、グループ平均が広がりに関して最大距離を示すように「判別分析」により計算可能である。消毒剤のタイプおよびサンプルに依存する所定の方法でLモデル中の色成分の2つ以上を組み合わせることにより、正確な検出が可能である。実際には、アッセイが正の結果と負の結果とを切り替えるべきZのある特定の値は、各消毒剤に対して実験的にあらかじめ決定される。所望により、以上に記載の読取り装置およびコンピューター装置は、国際公開第2007/090683号に記載のサーモスタット装置などの加熱装置と組み合わせることが可能である。
【0037】
本発明の第2の態様では、本発明の第1の態様の方法を実施するためのキットであって、(a)混合物を得るべく微生物とゲル化剤と微生物の成長または阻害を検出可能な指示薬とを含むアッセイ培地の入った容器と、(b)本発明の第1の態様の方法を実施するためのマニュアル、たとえば、本質的にラクトースフリーであるか、そして/あるいは0.01%(w/w)未満のラクトースを含有するラクトースフリーサンプル中の抗生物質の濃度を決定すべく説明書を含むマニュアルと、を含むキットが提供される。かかるキットは、以上に記載のアッセイ培地を含む1つ以上の容器を含む。容器は、指示薬の変化の観察が可能である限り、任意の形状およびサイズならびに入手可能な任意の材料の試験管でありうる。また、容器は、マイクロタイタープレートに組み込まれたウェルなどのウェルでありうる。
【0038】
本発明の第1の態様の方法を実施するためのマニュアルは、濾過または遠心分離による固形分の任意選択的除去と、本発明の第1の態様に記載の乳または粉乳の添加と、を含むサンプル処理の説明書を少なくとも含むべきである。
【0039】
第1の実施形態では、キットは、粉乳を含む1つ以上の容器を含む。
【0040】
第2の実施形態では、キットは、流体を前記アッセイ培地に添加するのに利用可能な装置であるサンプリング装置を含む。好ましくは、かかる装置は、任意選択的に体積表示を有する容器である。より好ましくは、かかる装置は、シリンジ、ピペット、または自動ピペッティングシステムである。かかるシリンジまたはピペットは、1つの操作モードのみで分析対象の流体から所定の体積を取り出せるように設計しうる。任意選択的に、1回の単一ハンドリングで2つ以上のシリンジまたはピペットを操作可能な当技術分野で公知のシステムを適用しうる。本発明の第2の態様の目的は、本発明の第1の態様に従って添加流体量の単純添加を可能にするキットを提供することである。
【0041】
第3の実施形態では、キットは、アッセイ培地を含む前記容器をインキュベーション時にシールする手段を含む。
【0042】
第4の実施形態では、キットは、対照試験を実施するために使用される既知量の抗生物質の入った1つ以上の容器を含む。前記抗生物質は任意の抗生物質でありうるが、好ましくはペニシリンGKである。
【0043】
第5の実施形態では、キットは、対照試験を実施するために使用される既知量のβ−ラクタム分解化合物の入った1つ以上の容器を含む。前記β−ラクタム分解化合物は任意のβ−ラクタム分解化合物でありうるが、好ましくはβ−ラクタマーゼである。
【0044】
本発明の第2の態様の第6の実施形態では、キットは、微生物が十分な成長を示す温度などの事前設定温度にサンプルを維持するのに利用可能なサーモスタット装置を含む。好ましくは、前記サーモスタット装置は、アッセイ培地が充填された前記容器を保持できるように設計される。任意選択的に、サーモスタット装置は、事前設定時間の経過後に加熱および/または冷却が停止されるように、インキュベーションに必要な時間を設定するための手段に結合される。
【0045】
第7の実施形態では、キットは、サンプル読取り装置から得られるディジタルデータを解析するようにコンピューターに指示するのに好適なコンピュータープログラムがロードされたデータ媒体を含む。前記データ媒体は、CD−ROM、ディスケット、DVD、メモリースティック、磁気テープなどのディジタル情報の記憶に好適な任意の媒体でありうる。有利には、コンピュータープログラムがロードされた前記データ媒体は、本発明の方法に使用するのに好適な最近の入手可能なコンピュータープログラムへの容易なアクセスを提供する。
【0046】
本発明の第3の態様では、0.01%w/w未満のラクトースと、微生物と、ゲル化剤と、指示薬と、乳および粉乳の1つと、を含有するラクトースフリーサンプルを含む組成物が提供される。かかる組成物は、ラクトースフリーサンプル、たとえば、水性廃棄物ストリームおよび固形廃棄物ストリームの両方を含めてプラントからの産業廃棄物ストリームのサンプル、エフルエントおよび地表水、たとえば、河川、湖沼、小川などのサンプル、ならびに家畜糞尿のサンプルに本発明の第1の態様の方法を適用した場合の結果である。
【0047】
本発明の第4の態様では、本質的にラクトースフリーであるか、そして/あるいは0.01%(w/w)未満のラクトースを含有するラクトースフリーサンプル中の抗生物質の濃度を決定するための、ブロモクレゾールパープルまたはブロモチモールブルーまたはβ−ラクタム分解化合物の使用が提供される。
【実施例】
【0048】
実施例
実施例1
廃水中の抗生物質を決定するためのマニュアル
本発明のキットにマニュアルとして何が含まれうるか、以下に例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0049】
環境:
抗生物質の決定が実施される環境がβ−ラクタムフリーであることを確認する。それを部屋自体で保証できない場合、代替手段として層流キャビネットを使用することが可能である。
【0050】
装置/付属品:
・ 2mlの遠心分離管用の遠心分離機(回転速度15,000rpm)
・ 37℃および65℃の温度に設定可能な水浴
・ pH計
・ サンプルを貯蔵するための個別の区画を備えたフリーザー、代替手段としてフリーザー中の密閉ボックスを使用しうる
・ 10〜100μlおよび100〜1000μlのエッペンドルフピペット
・ 100μlおよび1000μlのエッペンドルフピペットポイント
・ 2.0mlの遠心分離管
・ スクリューキャップ付き10ml遠心分離管
・ スクリューキャップ付き50mlGreiner遠心分離管
・ Milli Q水システム
・ Delvotest SP NTアンプル(または同等の微生物抗生物質アッセイ)
・ メスフラスコ(100mlおよび200ml、滅菌およびMillipore水で4回洗浄)
【0051】
化学品:
・ 1N水酸化ナトリウム(β−ラクタムフリー)
・ 1N塩酸(β−ラクタムフリー)
・ β−ラクタマーゼBS(たとえば、供給業者AG scientific製品番号L-2467)
・ 全脂乳(β−ラクタムフリー)、代替粉乳として使用可能、10ml Milli Q水中1グラム粉乳。乳はフリーザー中に貯蔵可能である(貯蔵寿命3ヶ月)。
使用前、凍結乳を徐々に解凍して室温にする。すべての乳源に対して、乳がアッセイで陽性反応を与えないことを証明することが重要である。
・ ペニシリンGK
【0052】
溶液の調製:
・ 希釈水:50mlの新しいGreiner遠心分離管中に40mlのMilli Q水を添加する。
・ β−ラクタマーゼ溶液:2mlの遠心分離管中に50mgを秤取し、2mlのMilli Q水を添加する。より少ない量またはより多い量がアッセイ時に必要とされる場合、量を調整する。
・ 1N水酸化ナトリウム:50mlの新しいGreiner遠心分離管中に1グラムのNaOHを秤取し、25mlのMilli Q水に溶解させて混合する。
・ 1N塩酸:50mlの新しいGreiner遠心分離管中に24グラムのMilli Q水を添加してから0.9mlの濃HClを添加して混合する。
・ 4ppbペニシリンGKストック溶液:100mlのメスフラスコ中に正確に44mgのペニシリンGK(純度90%)を秤取し、Milli Q水を満たして溶解し混合する(溶液A)。100mlのメスフラスコ中に1.0mlの溶液Aを添加し、Milli Q水を満たして混合する(溶液B)。100mlのメスフラスコ中に1.0mlの溶液Bを添加し、Milli Q水を満たして混合する(溶液C)。50mlのGreiner遠心分離管中に5.0グラムの溶液Cを秤取し、45.0グラムの乳を添加して混合する(4ppbストック溶液)。この溶液を10mlのいくつかの遠心分離管に分けて、すべての管を個別にラベル表示し、−18℃で凍結させる(4ml/管および貯蔵寿命3ヶ月)。
・ 2ppbペニシリンGK試験溶液:フリーザーからストックペニシリンGK管を取り出し、徐々に解凍して室温にする。600μlのペニシリンGKストック溶液と600μlの全乳とをよく混合する。
【0053】
サンプリングプロセス:
サンプリング時、貯蔵時、および輸送時、β−ラクタムが導入されないことを保証することはきわめて重要である。汚染の可能性を最小限に抑えるために、以下の工程が必要とされる。
1.汚染を回避するために手袋およびクリーン実験室コートを着用する。
2.50mlの2つのGreiner遠心分離管に40mlのサンプルを充填し、添加直後にスクリューキャップを閉める。
3.サンプル管をラベル表示し、ラベル表示のテキストが可読であることを確認する。
4.未使用のプラスチックバッグに2つの管を直接入れて、ケーブルタイでそれを閉める。
5.サンプル管自体に明示されたのと同一の情報でプラスチックバッグにもラベル表示する。
6.アッセイをすぐに実施しない場合、2つのサンプル管を−18℃でプラスチックバッグ中に貯蔵する。−18℃での貯蔵は、15分以内のサンプリングで行わなければならない。
【0054】
前処理:
サンプルが凍結されている場合、分析実施の前日にサンプルを冷蔵庫(3〜10℃)に入れることによりサンプルを除霜する。
1.50mlのGreiner遠心分離管中に2グラムを秤取し、25mlのMilli Q水を添加して均一な懸濁液になるまで混合し、ドライサンプルまたは乾燥させたサンプルの場合にはとくに、両方の相が十分に混合されていることを確認する
2.室温でサンプルを少なくとも10分間振盪させる
3.1N NaOHまたは1N HClでpHを6.2〜6.8に調整する
4.2つの2ml遠心分離管を満たす
5.14,000rpmで10分間遠心分離する
透明上側レベルをさらなる分析に使用する。
【0055】
アッセイプレハンドリング:
3つの異なるアッセイに対して3つの異なるサンプルプレハンドリングが存在し、要件に依存して、これらのアッセイのいずれかまたはすべてを行いうる。
1.通常アッセイ
2.標準添加アッセイ
3.酵素分解アッセイ
これらの異なるプレハンドリング作業の実行計画では、酵素プレハンドリングが少なくとも2時間のリードタイムを要することを考慮に入れる。
【0056】
1.通常アッセイプレハンドリング:
2.0mlの遠心分離管中の600μlの透明サンプル溶液を添加し、かつ600μlの乳を添加し、そしてすぐにキャップを閉めて混合する。この混合物は直接分析可能である。
【0057】
2.標準添加アッセイプレハンドリング:
2ml遠心分離管中の600μlのサンプル溶液を添加し、かつ600μlの2ppbペニシリンGK試験溶液を添加し、そしてキャップを閉じて混合する。この混合物は直接分析可能である。
【0058】
3.酵素分解アッセイプレハンドリング:
2.0mlの遠心分離管中の700μlの透明サンプル溶液を添加し、かつ100μlのB−ラクタマーゼ溶液を添加し、そしてすぐにキャップを閉めて混合する。37℃の水浴中に遠心分離管を2時間配置し、2時間後に冷却し、そして700μlの乳を添加して混合する。この混合物は直接分析可能である。
【0059】
抗生物質決定の実行:
Delvotest SP NTアンプル(または同等品)に含まれる一般的説明を遵守する。以下の表には、サンプル表に書き込まれた仮想事項の例が与えられている。行1には、ブランク(乳)および2ppbペニシリンGK試験溶液が加えられている。異なるアッセイに対してこの例では次のコードが適用される。すなわち、通常アッセイに対してN、標準添加アッセイに対してS、酵素分解アッセイに対してE。
【0060】
【表1】
【0061】
100μlのエッペンドルフピペットを用いてすべてのサンプルから100μlの溶液をDelvotest SP NTアンプルに移す。ピペットの先端をアンプルの管カバートップに突き刺して100μlをアンプルに添加する。65℃の水浴中にアンプルを2.5時間入れる。テープでアンプルをシールする。2.5時間後、アンプルを水浴から取り出す。ブランクが黄色であるかをチェックし、そうでなければ水浴時間を30分間延長する。
【0062】
結果の解釈:
黄色は陰性であり、紫色は陽性である。陽性とは、2ppb(ペニシリンGKとして計算される)を超える抗微生物活性がサンプル中に存在することを意味する。
【0063】
通常アッセイの結果:
・ 紫色は抗微生物活性が>2ppbであり、黄色は<2ppbであることを意味する。
【0064】
標準添加アッセイの結果:
・ サンプルが標準添加アッセイで黄色であり、通常アッセイで紫色である場合、抗微生物活性のレベルは<2ppbである。
・ サンプルが標準添加アッセイで黄色であり、通常アッセイで黄色である場合、マトリックス効果が存在し、結果は信頼できない。サンプルの希釈が必要とされる。
・ サンプルが通常アッセイで紫色である場合、標準添加アッセイは使用できない。
【0065】
酵素分解アッセイ:
・ サンプルが通常アッセイで紫色であり、酵素分解アッセイで紫色である場合、結果は信頼できない。より多量の酵素を用いてサンプルを再分析する必要がある。
・ サンプルが通常アッセイで紫色であり、酵素分解アッセイで黄色である場合、抗微生物活性のレベルは>2ppbである。
・ サンプルが通常アッセイで黄色である場合、酵素分解アッセイは使用されるさらなる情報をなんら与えない。
【0066】
抗微生物活性の計算:
結果は次のように計算可能である(本方法の限界は2ppbであり、2ppbは2μg.l−1である)。
・ サンプル:2g.25ml−1、これは80g.l−1である
・ 乳で2倍希釈=>40g.l−1
・ サンプルが紫色に着色した場合、40グラム中に存在する抗微生物活性が>2μgであることを意味する。
・ 2μg.40g−1=>50μg.kg−1=>>50ppbの抗微生物活性。
・ 黄色である場合、<50ppbの抗微生物活性。
【0067】
実施例2
添加乳を用いたおよび用いないサンプル中の抗生物質の決定
供給業者のマニュアルと同様に市販のDelvotest SP NT(DSM Food Specialties B.V., Delft, The Netherlands)を用いて、2つのサンプルすなわちブランク(水)および2ppbペニシリンGK試験溶液を分析した。2つのアンプルにブランクサンプルを充填した。一方には、実施例1に概説される説明に従って乳(この実施例ではオランダのスーパーマーケットからのレギュラー低脂肪乳を使用した)を添加し、他方には、同一量の水を添加した。また、2つのアンプルに2ppbペニシリンGK試験溶液を充填し、この場合も、一方には、実施例1に概説される説明に従って乳を添加し、他方には、同一量の水を添加した。サンプルが充填されたアンプルを64℃±2℃)でインキュベートし、アンプル中の寒天の色をいくつかの時間点で視覚的に記録した。以上の実験を5回行い、観察結果の平均を以下の表にまとめた。
【0068】
【表2】
【0069】
表から分かるように、抗生物質が存在しないブランクサンプルは、寒天層中の微生物の成長をもたらし、ひいてはpH変化および紫色から黄色への指示薬の色変化をもたらす(表中の記号−−+、−++、および+++は、それぞれ、紫色から黄色への部分的な〜完全な色変化を意味する)。ペニシリンGK試験溶液のサンプルは、微生物の成長に対するペニシリンGKの阻害作用に起因してなんら色変化を示さないが、ブランクサンプルでは、乳の存在下ですでに120分後に色変化の開始が観察可能であり、一方、この観察は添加乳の不在下では180分後に見られるにすぎない。さらにまた、完全な色変化は、乳の存在下ではより迅速に起こる。
【0070】
実施例3
添加乳を用いたおよび用いないサンプル中の抗生物質の決定
インプロセス廃棄物ストリームや発酵菌糸体濾過ケーク抽出物などの各種の他のサンプルを用いて実施例2を繰り返したところ、サンプル中に抗生物質が存在しない場合、実施例2で観測された効果(乳の存在下ではDelvotest SP NT試験アンプル中の寒天層の指示薬の色変化が乳の不在下のものと比較して速い)が確認された。
【手続補正書】
【提出日】2018年7月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的にラクトースフリーであるか、そして/あるいは0.01%(w/w)未満のラクトースを含有するラクトースフリーサンプル中の抗生物質の存在または不在を決定する方法であって、
(a)前記ラクトースフリーサンプルを、微生物とゲル化剤と前記微生物の成長または阻害を検出可能な指示薬とを含むアッセイ培地と接触させて、前記ラクトースフリーサンプルと前記アッセイ培地とのアセンブリーを得る工程と、
(b)前記ラクトースフリーサンプル中に抗生物質が存在しない場合に、前記微生物を成長させるのに十分な時間にわたり、工程(a)で得られた前記アセンブリーをインキュベートする工程と、
(c)前記微生物の成長または成長阻害を前記指示薬で検出する工程と、
を含み、
工程(a)で乳および/または粉乳を添加することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記アッセイ培地が栄養素をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記指示薬がブロモクレゾールパープルまたはブロモチモールブルーである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記微生物が好熱性である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記微生物がバチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ゲル化剤が寒天である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(a)の前に、前記ラクトースフリーサンプルから固形分が除去される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ラクトースフリーサンプルと、前記添加される乳または粉乳とにおけるラクトースの量が2〜5%(w/w)である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(i)工程(a)で既知量の抗生物質を添加すること、または
(ii)工程(a)で既知量のβ−ラクタム分解化合物を添加すること、または
(iii)(i)と(ii)との組合せ、
から選択される対照試験をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
本質的にラクトースフリーであるか、そして/あるいは0.01%(w/w)未満のラクトースを含有するラクトースフリーサンプル中の抗生物質の濃度を決定する方法であって、
(a)乳を添加して前記ラクトースフリーサンプルの一連の希釈液を調製する工程と、
(b)工程(a)で得られた各希釈液を、微生物と栄養素と前記微生物の成長または阻害を検出可能な指示薬とを含むアッセイ培地と接触させて混合物を得る工程と、
(c)前記サンプル中に抗生物質が存在しない場合に、前記微生物を成長させるのに十分な時間にわたり、工程(b)で得られた各混合物をインキュベートする工程と、
(d)前記微生物の成長または成長阻害を前記指示薬で検出する工程と、
(e)前記微生物の成長を阻害可能な最も高い稀釈倍率の希釈液を決定する工程と、
(f)工程(e)で決定された希釈液の抗生物質の濃度を決定する工程と、
(g)工程(f)で決定された濃度と、前記希釈液の作製に使用した工程(e)で決定された稀釈倍率と、を乗算することにより前記ラクトースフリーサンプル中の抗生物質の濃度を決定する工程と、
を含む方法。
【請求項11】
(a)混合物を得るべく微生物とゲル化剤と前記微生物の成長または阻害を検出可能な指示薬とを含むアッセイ培地の入った容器と、
(b)本質的にラクトースフリーであるか、そして/あるいは0.01%(w/w)未満のラクトースを含有するラクトースフリーサンプル中の抗生物質の濃度を決定すべく説明書を含むマニュアルであって、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法を実施するための説明書を含みうる、マニュアルと、
を含み、
粉乳を含む容器をさらに含む、キット。
【請求項12】
0.01%w/w未満のラクトースを含有するラクトースフリーサンプルと、微生物と、ゲル化剤と、指示薬と、乳および粉乳の1つと、を含む組成物。
【国際調査報告】