(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-538035(P2018-538035A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】経中隔横断用の直接可視化装置、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20181130BHJP
A61B 1/01 20060101ALI20181130BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20181130BHJP
A61B 1/313 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
A61B17/34
A61B1/01 513
A61B1/00 715
A61B1/313
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-523781(P2018-523781)
(86)(22)【出願日】2016年11月11日
(85)【翻訳文提出日】2018年5月24日
(86)【国際出願番号】US2016061714
(87)【国際公開番号】WO2017083785
(87)【国際公開日】20170518
(31)【優先権主張番号】62/255,008
(32)【優先日】2015年11月13日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(71)【出願人】
【識別番号】501083115
【氏名又は名称】メイヨ・ファウンデーション・フォー・メディカル・エデュケーション・アンド・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ホリスバーガー、ベン
(72)【発明者】
【氏名】レーゼ、デイビッド ジョン
(72)【発明者】
【氏名】コースラ、ジュニア ジェームズ ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】クロス、ジェームズ エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ロール、ジェームズ ピー.
【テーマコード(参考)】
4C160
4C161
【Fターム(参考)】
4C160FF49
4C160MM33
4C161AA21
4C161CC06
4C161DD01
4C161FF36
4C161FF40
4C161LL02
(57)【要約】
経中隔的横断用の直接可視化カテーテルは、少なくとも外側部材(110)と内側部材(120)と透明なバルーン部材(130)と画像化要素(140)とを備える。外側部材(110)は、近位端から遠位端に延びる管状体を含み且つその内部を貫通する第1管腔を形成する。内側部材(120)は、外側部材の第1管腔内部に摺動可能に配置され且つ遠位端を有する長尺状本体を含む。透明なバルーン部材は、その形状が、内側部材(120)と外側部材(110)とを相対的に摺動することによって調節可能なように、外側部材(110)の遠位端と内側部材(120)の遠位端との間に連結される。画像化要素(140)は、バルーン部材(130)の内部に配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端から遠位端まで延び、且つ、その内部を貫通する第1管腔を形成する管状体からなる外側部材と、
前記外側部材の第1管腔の内部に摺動可能に配置され、且つ、遠位端を有する長尺状本体からなる内側部材と、
前記内側部材と前記外側部材とを相対的に摺動することによって調節されるように前記外側部材の遠位端と前記内側部材の遠位端との間に連結された透明のバルーン部材と、
前記バルーン部材の内部に配置される画像化要素と、からなる直接可視化カテーテル。
【請求項2】
前記透明なバルーン部材の少なくとも一部は、前記バルーン部材の内腔の内部からその外側表面に膨張媒体の流出を可能にする複数個の穴を形成する、請求項1に記載の直接可視化カテーテル。
【請求項3】
前記外側部材は、前記透明なバルーン部材に膨張媒体を搬送する第2管腔を形成する、請求項2に記載の直接可視化カテーテル。
【請求項4】
前記画像化要素は、前記外側部材の遠位端に配置される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の直接可視化カテーテル。
【請求項5】
前記バルーン部材の内腔の内部に配置され且つ1つ以上の長尺状シャフトの遠位端部に連結された光ファイバー光源をさらに備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の直接可視化カテーテル。
【請求項6】
前記内側部材は、その内部を貫通するワーキングルーメンを形成する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の直接可視化カテーテル。
【請求項7】
前記透明なバルーンカテーテル部材は、前記外側部材の遠位端に連結された一端部と前記内側部材の遠位端に連結された反対側の他端部とを有する管状スリーブである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の直接可視化カテーテル。
【請求項8】
前記外側部材の遠位端は、中心から偏倚したテーパを有する形状を備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の直接可視化カテーテル。
【請求項9】
前記外側部材は、照明装置を収容する照明管腔をさらに備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の直接可視化カテーテル。
【請求項10】
請求項6に記載の直接可視化カテーテルと、
中隔壁を穿刺する為にワーキングチャネルを貫通して延びる穿刺針からなる、心臓の右心房から左心房にアクセスする為の経中隔横断システム。
【請求項11】
前記外側部材は、少なくとも1つの照明装置を収容する少なくとも1つの照明管腔をさらに備える、請求項10のシステム。
【請求項12】
前記ワーキングチャネルを通って搬送される締め具または縫合装置をさらに備える、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項13】
前記透明なバルーン部材の少なくとも一部は、前記バルーン部材の内腔の内部からその外表面に膨張媒体の流出を可能にする複数の孔を形成し、前記外側部材は、膨張媒体を前記透明なバルーン部材に送る第2管腔を形成する、請求項10〜12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記外側部材の遠位端は、中心から偏倚したテーパを有する形状を備え、前記画像化要素は、テーパを有する端部に沿って前記外側部材の遠位端に配置される、請求項10〜13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記透明なバルーン部材は、前記外側部材の遠位端に連結された一端部と、前記内側部材の遠位端に連結された反対側の他端部とを有する管状スリーブである、請求項10〜14のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、経中隔的に横断する為の装置、システム、および方法に関する。より詳細には、本願の経中隔横断装置は、調節可能な直接可視化バルーンを備える。
【背景技術】
【0002】
経中隔的な横断は、中隔壁を貫通して右心房から左心房にアクセスする際に使用される。経中隔的横断技術が使用されるようになる前には、左心房へのアクセスは、経気管支的アプローチ、または直接経皮的肩甲骨下アプローチにより行われていた。また、左心房へのアクセスは、血行動態の評価や僧帽弁形成の実施の際や、心房細動アブレーション法の際にも行われる。経中隔的に横断する際には、一般的に、卵円窩を穿刺する為に標準的なブロッケンブロウ針が使用される。カテーテルの経中隔的な横断は、蛍光透視法や超音波によってガイドされる。経中隔的な横断は、心エコー検査でも使用される。蛍光透視法は、カテーテルを配置して探り針で卵円窩を探れているかを確認すること、つまり心房中隔上で正しい位置が特定されたかを確認する際に使用される。しかしながら、蛍光透視法は、軟組織構造を可視化することができないため、意図しない構造を突き刺すことがないように、横断経路が適切か否かを確認する為に超音波法が使用される。しかしながら、蛍光透視法と超音波法とを使用しても、動脈穿孔や心膜タンポナーゼや全身塞栓症や脳空気塞栓症や血栓の形成を引き起こすリスクが依然存在する。加えて、蛍光透視法は、経中隔的な横断施術の間に放射線に長時間暴露される為、患者と医療従事者の両者にリスクを与える。
【発明の概要】
【0003】
ここに、中隔横断用の直接可視化装置とシステムと方法に関する様々な実施形態を開示する。ここで開示する装置とシステムと方法とは、医療技術者、即ち外科医が、血液環境において最適に直接可視化して経中隔的横断を実施する調節可能な形状と寸法と外傷を最小限にする中隔壁を穿刺する為の最適な形状とを有する直接可視化バルーンを備える。
【0004】
例1では、経中隔横断の為の直接可視化カテーテルは、外側部材と内側部材と透明バルーンと画像化要素とを備える。外側部材は、近位端から遠位端に延び且つ内部を貫通する第1管腔を形成する管状体である。内側部材は、外側部材の第2管腔の内部に摺動可能に配置される。内側部材は、遠位端を有する長尺状本体を含む。透明バルーン部材は、内側部材と外側部材とが相対的に摺動することによってその形状が調節されるように、外側部材の遠位端と内側部材の遠位端との間に固定される。画像化要素は、バルーン部材の内部に配置される。
【0005】
例2では、例1にかかる直接可視化カテーテルは、透明なバルーン部材の少なくとも一部を有し、透明なバルーン部材は、その内腔からその外側表面に膨張媒体の流出を可能にする複数の穴を形成する。
【0006】
例3では、例2にかかる直接可視化カテーテルは、外側部材が膨張媒体を透明バルーン部材に搬送する第2管腔を形成するように構成される。
例4では、例1〜3のうちの少なくともいずれか1つにかかる直接可視化カテーテルにおいて、画像化要素は、外側部材の遠位端に配置される。
【0007】
例5では、例1〜4のうちの少なくともいずれか1つにかかる直接可視化カテーテルは、バルーン部材の内腔内に配置され且つ1つ以上の長尺状シャフトの遠位端部に固定された光源をさらに備える。光源は、光ファイバーの束、プラスチック製の光ファイバー、LED,またはその他の照明装置である。
【0008】
例6では、例1〜5のうちの少なくともいずれか1つにかかる直接可視化カテーテルにおいて、内側部材は、内部を貫通するワーキング管腔を形成する。
例7では、例1〜6のうちの少なくとも1つにかかる直接可視化カテーテルにおいて、透明バルーン部材は、外側部材の遠位端に固定された一端部と内側部材の遠位端に固定された対向する端部とを備える管状スリーブである。
【0009】
例8では、例1〜7のうちの少なくとも1つにかかる直接可視化カテーテルにおいて、外側管状部材の遠位端は、中心から偏倚したテーパを有する外形を備える。
例9では、例1〜8のうちの少なくともいずれか1つにかかる直接可視化カテーテルにおいて、外側部材は、照明装置を収容する照明管腔を少なくともさらに備える。
【0010】
例10では、心臓の右心房から左心房にアクセスする為の経中隔横断システムは、例6にかかる直接可視化カテーテルと、中隔壁を穿孔する為にワーキングチャネルを貫通して延びる穿孔針と、を備える。
【0011】
例11では、例10にかかる経中隔横断システムは、少なくとも1つの照明装置をさらに備え、且つ、外側部材は、少なくとも1つの照明装置を収容する照明管腔を少なくとも1つ形成する。
【0012】
例12では、例10または例11にかかる経中隔横断システムは、ワーキングチャネルを通って搬送される締め具または縫合装置をさらに備える。
例13では、例10〜12のうちの少なくともいずれか1つにかかる中隔横断システムにおいて、透明バルーン部材の少なくとも一部は、バルーン部材の内腔からバルーン部材の外側表面に膨張媒体の流出を可能にする複数の穴を形成し、且つ、外側部材は、膨張媒体を透明バルーン部材に搬送する第2管腔を画定する。
【0013】
例14では、例10〜13のうちの少なくともいずれか1つにかかる経中隔横断システムにおいて、外側部材の遠位端は、中心から偏倚したテーパを有する外形を備え、且つ、テーパが付いた端部に沿って外側部材の遠位端に配置された画像化要素を備える。
【0014】
例15では、例10〜14の少なくともいずれか1つにかかる経中隔横断システムにおいて、透明バルーン部材は、外側部材の遠位端に連結された一端部と内側部材の遠位端に連結された対向する端部とを有する管状スリーブである。
【0015】
例16では、左心房にアクセスする方法は、直接可視化カテーテルを右心房内部に搬送することを含み、直接可視化バルーンが外側部材と内側部材と透明バルーン部材とを備えることと、外側部材が近位端から遠位端まで延びる管状体であることと、管状体が内部を貫通する第1管腔を形成することと、内側部材が外側部材の第1管腔の内部に摺動可能に配置されることと、内側部材が遠位端を有する長尺状本体を含むことと、透明バルーン部材は、その形状が内側部材と外側部材を相対的に摺動することにより調節されるように外側部材の遠位端と内側部材の遠位端との間に連結されていることと、右心房内で膨張媒体を用いて透明バルーン部材を膨張することと、所望する横断部位を同定する為に内側部材を外側部材に対して後退させて直接可視化カテーテルを用いて右心房内で中隔壁を可視化することと、透明バルーン部材を収縮することと、内側部材を外側部材に対して延伸することと、中隔を貫通して左心房内部に直接可視化カテーテルを通すことを含む。
【0016】
例17では、例16の方法は、内側部材のワーキングチャネルを貫通して穿刺器具を通過することにより中隔を穿刺することをさらに含む。
例18では、例16または例17の方法は、両方の遠位の端部が左心房内にある時には、内側部材を外側部材に対して後退して、心房を可視化する為に左心房で透明バルーン部材を膨張することをさらに含む。
【0017】
例19では、例16〜18の少なくともいずれか1つの方法は、左心房内でアブレーション施術を実施することをさらに含む。
例20では、例19の方法において、チャネルを通って内側部材を通ってアブレーション器具を搬送して損傷した組織上にそれを配置することを含む。アブレーション器具は、損傷した組織をアブレーションするラジオ周波数またはレーザー法に使用するように構成されている。
【0018】
複数の実施形態が開示されているが、当業者であれば、本願のその他の実施形態についても、本願発明の例所の実施形態を図示して説明する以下の詳細な説明から明らかであろう。したがって、図面および詳細な説明は、例示であって限定ではないと考えなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】後退され膨張された状態の直接可視化カテーテルを示す図。
【
図1B】延伸され収縮された状態の直接可視化カテーテルを示す図。
【
図2A】左心房にアクセスする際に本願発明にかかる直接可視化カテーテルがどのように使用されるかの例を示した図。
【
図2B】左心房にアクセスする際に本願発明にかかる直接可視化カテーテルがどのように使用されるかの例を示した図。
【
図2C】左心房にアクセスする際に本願発明にかかる直接可視化カテーテルがどのように使用されるかの例を示した図。
【
図3A】延伸され収縮された状態の直接可視化カテーテルを示す側面図。
【
図3B】延伸され収縮された状態の直接可視化カテーテルを示す側面図。
【
図4A】本願発明にかかる直接可視化カテーテルで使用される非外傷性先端部を示す図。
【
図4B】本願発明にかかる直接可視化カテーテルで使用される非外傷性先端部を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本願の装置とシステムとは、様々な変更形態と代替形態とが可能であり、その特別なものが例示することを目的として図面に示され以下に詳細に説明されている。しかしながら、これは、本願発明を説明した特定の実施形態に限定することを意図したものではない。むしろ、その意図は、添付の請求項によって定義される本願発明の範囲に入るすべての変更形態と均等形態と代替形態とを包含させることにある。
【0021】
本願発明にかかる直接可視化装置とシステムと方法によれば、右心房から左心房にアクセスする際の安全性を高めることができる。本願発明にかかる直接可視化装置とシステムと方法は、周辺組織または直接可視化バルーンに損傷を与えることなく、つまり左心房にアクセスする際の侵襲性を最小にして、直接可視化バルーンが小孔を通過することを可能にする要素を備える。本願発明にかかる直接可視化装置とシステムと方法とは、心臓の人工弁を搬送することと、心臓の弁を外科的に修復することと、心房細動アブレーション治療を実施することと、または治療薬または診断装置を左心室の選択部位に搬送することに使用されうる。例示の施術は、三尖弁の2尖弁化、切端縫合技術(アルフイエーリ縫合:Alfieri stitch)、僧帽弁縫合、弁傍漏出の閉鎖、経皮的弁傍漏出の閉鎖、および経皮的前弁漏出の閉鎖のうちの少なくともいずれか1つを含む。「縫合」という用語は、本明細書では、解剖学的な構造を閉じることに言及する際に使用され、縫合ねじ、クリップ、ステープル、フック、タック、クランプなどを含む任意の好適な締め具で形成される。本願発明にかかる直接可視化装置とシステムと方法は、心臓の心房とは別の解剖学的構造を可視化することにも使用され、好適な治療を実施する際に使用される。いくつかの場合には、本願発明にかかるシステムと装置と方法とは、1つ以上の心臓の弁を縫合可能である。
【0022】
本願発明にかかる直接可視化装置とシステムと方法は、バルーンカテーテルが標的部位を可視化することを可能にして、低侵襲性の施術中に装置の配置と生体構造と病変の同定に関する視覚的フィードバックを装置使用者である外科医に提供する。本願発明にかかる直接可視化装置とシステムと方法は、透明な壁を有する長尺状の柔軟なバルーンを含む。いくつかの場合には、バルーンは、バルーンが「浸出」してバルーンの周辺領域を視覚的にきれいにすることができる孔(例えば、ポア)を備える。いくつかの場合には、バルーンの壁(例えば、透明なバルーンの壁)は、シリコン材料を含む。いくつかの場合には、本願発明または本願発明の一部にかかる装置の透明性は、可視化可能な範囲、例えば、約390ナノメートル(nm)から約700nmまでの範囲の放射線波長における可視性に好適なものである。いくつかの場合には、本願の装置は、単色光イメージングおよび非可視光イメージング(例えば、IR)に好適な可視性を可能にする。
【0023】
図1Aは、部分的に膨張された直接可視化バルーンと後退姿勢の例示的な直接可視化カテーテル100の遠位端を示す。
図1Bは、収縮されたバルーンを有する延伸姿勢のカテーテル100の遠位端を示す。図示したように、
図1Bの延伸姿勢は、直接可視化カテーテルの外形を最小にする。
図2A〜2Cは、直接可視化カテーテル100が、右心房から左心房にアクセスする際にどのように使用されるかを示す。
【0024】
図1Aと
図1Bに示したように、カテーテル100は、外側部材110と内側部材120とバルーン130と画像化要素140とを含む。カテーテル100は、操縦可能なカテーテルである。内側部材120は、内側部材と外側部材とが少なくとも後退姿勢(例えば、
図1A)と延伸姿勢(例えば、
図1B)との間で相対的に摺動可能なように、外側部材で形成される第1管腔内に配置される。バルーン100は、部材が後退姿勢にあり、且つバルーンが膨張媒体で膨張された際には、バルーン130がドーナツ形状の直接可視化バルーンを形成するように、外側部材の遠位端に固定された一端部と内側部材120の遠位端に固定された対向する端部とを有するスリーブである。延伸姿勢にされた際には、バルーン130は、
図1Bに示すように、内側部材の側面と外側部材の側面の上に単一の層を形成する。延伸姿勢では、バルーンがカテーテル100の寸法に沿って重なることがない為、カテーテル100の外形は、収縮されたバルーンがカテーテルの側面に沿って複数の層を形成する場合と比べて小さくなる。
【0025】
図1Aと
図1Bにおいて、外側部材110は、テーパ付き先端部112を備える。テーパ付き先端部112は、狭い身体の通路または孔を通過する外側部材に起因する外傷を減少させ、且つカテーテル100が左心房内部に挿入された際にバルーン130が破れる可能性を減少させることができる。図示したように、テーパ付き先端部112は、中心から偏倚されている。いくつかの場合には、テーパ付き先端部112は、スタブ端である。以下で詳細に説明するが、テーパ付き先端部112は、視覚的な妨害を最小にするように構成される。外側部材110は、追加的な管腔114,116,118をさらに含み、これらの管腔は、すべてテーパ付き先端部112に遠位孔を備える。管腔114は、バルーン130の周辺組織を外科医が視認できるように視覚的な画像データを直接可視化カテーテル100の近位端に提供する画像化要素140の通路を提供する。管腔118(または、複数の管腔)は、バルーン130に光を提供する光源用(例えば、プラスチック製の光ファイバーまたはその他の光ファイバー)の通路を提供する。管腔116は、バルーン130を膨張する膨張媒体用の通路を提供する。いくつかの場合には、1つの管腔が光と膨張媒体と画像のうちの少なくともいずれか1つの組み合わせを提供する為に使用される。いくつかの場合には、膨張媒体は、内側部材120周囲の第1管腔内に送ることによってバルーン130に提供される。内側部材120は、中心ワーキングチャネル122を形成し、中心ワーキングチャネル122は、装置や治療や器具を作業空間(例えば、左心房)に通す際に使用される。
【0026】
画像化要素140は、バルーン130の周辺組織の画像を提供する好適な装置である。画像化要素140は、心臓または血管内部において血液のある視野環境において組織の画像を提供する為に使用される。いくつかの場合には、画像化要素140は、限定ではないが、患者の体内の画像を撮影する為の光学要素(例えば、レンズ)、センサー、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの場合には、画像化要素140の一部は、バルーン部材の内部に配置される。いくつかの場合には、画像化要素140の一部は、シャフト部分、連結管、または本願の装置の外側の場所、例えば無線画像化センサー、またはその他の画像化要素の内部に配置される。例えば、いくつかの場合には、画像化要素140は、バルーン内部に配置された少なくとも一つの構成要素(例えば、レンズ)を備え、別の構成要素(例えば、センサー)は、装置の異なる場所、または装置の近傍から離れた場所または装置の近傍の内部に配置される。
【0027】
いくつかの場合では、画像化要素140は、組織を可視化する為の一体化されたカメラまたは一体化された固体カメラシステム、例えば、電荷結合素子(CCD)または相補型MOS(CMOS)画像化システムなどである。いくつかの場合には、画像化要素140は、超音波センサーまたは装置を含む。いくつかの場合には、画像化要素140は、光ファイバーをベースにした装置を含む。
【0028】
図2Aでは、カテーテル100は、大腿静脈から上大静脈SVCまたは下大静脈IVCを通って、または任意のその他の好適な動脈または静脈を通って心臓の右心房RAの中に挿入される。動脈または静脈を介して挿入される間、内側部材120は、カテーテル100の外形を最小にする為に外側部材110に対して延伸姿勢にされる。カテーテル100は、動脈または静脈を介して右心房にカテーテル100の遠位先端部をガイドして移動する為の好適な技術を用いた操縦可能なカテーテルである。
図2Aに示したように、中隔を横断して左心房LAに入れる前に、バルーン130は、適切な横断位置が選択されたか否かを確認する為に右心房で組織を視覚的に調べるために膨張される。バルーン130は、
図1Aに示したように、内側部材120の位置を外側部材110に対して後退位置にシフトすることによって膨張する。適切な横断部位を視覚的に同定する為に任意の適切な技術が使用される。例えば、外科医は、血管を通って右心房や中隔や卵円窩縁を探すことができる。ワーキングチャネル122が中隔を横断する為に正しい位置にあることを外科医または医療技術者が視覚的に確認すると、カーテル100が最小の外形の小さな形状を取るように、バルーン130は収縮され、内側部材120は延伸される。
【0029】
図1Bのように、延伸されると、カテーテル100は、
図2Bのように、前方に向かって前進されて中隔を通って左心室の中に入れられる。カテーテル100は最小の外形であるため、中隔への外傷を最小にして中隔を貫通することができる。延伸姿勢では、バルーン130は、
図3Aのように、カテーテルの長さに沿って延びる波形状を形成することがある。しかしながら、このような波形状は、カテーテル100を中隔に貫通させる際に容易に変形する。いくつかの場合には、延伸姿勢にあるカテーテル100の外形をさらに収縮させるために、内側部材120を外側部材110に対してねじって、
図3Bに示したように波形状をらせん形状にすることができる。
【0030】
いくつかの場合には、中隔を横断して通過させる前に、中隔は、ワーキングチャネル122を介して穿刺器具を通すことによって、穿刺される。いくつかの場合には、穿刺器具(例えば、針、ガイドワイヤなど)は、バルーン130が膨張されて外科医または医療技術者が穿刺施術を可視化にしている間に中隔を穿刺する。カテーテル100が左心房内に入った後には、
図2Cに示したように、内側部材120は後退されてバルーン130は膨張されて左心房を直接可視化する。左心房に入ると、カテーテル100は、左心房に対して好適な装置を搬送し処置または治療を実施することに使用される。いくつかの場合には、心臓の弁を外科的に修復する為に、外科的な器具が、ワーキングチャネル122を介して通過される。いくつかの場合には、カテーテル100は、心房細動アブレーション治療を実施する為に構成される。例えば、アブレーション装置は、ワーキングチャネルを通って、損傷のある組織上に正確に配置される。いくつかの場合には、アブレーション器具は、アブレーションの為に、ラジオ周波数またはレーザー法を使用する。いくつかの場合には、左心房にアクセスしてマッピングとアブレーションを実施する為に、電気生理学的マッピングカテーテルとアブレーションカテーテルとが、適当なサイズにされたワーキングチャネルを介してカテーテル100内に通される。
【0031】
バルーン130を膨張する為に、任意の好適な膨張媒体が使用される。いくつかの場合には、膨張媒体は、生理食塩水である。上述したように、管腔116は、膨張媒体を送るために使用される。いくつかの場合には、生理食塩水などの膨張媒体をバルーン130内に注入する為に複数の管腔が使用される。外側部材110の1つ以上の管腔に供給する為に、連結管が外部流体に接続される。いくつかの場合には、張力緩和チューブとも呼ばれるが、可撓性のチューブは、カテーテル100の近位端で、連結管と外側部材110の管腔116の間を連結する。可撓性のチューブにより、カテーテル100のよじれ耐性は向上する。
【0032】
いくつかの場合には、バルーン130は、引き裂き線または弱い部分を有する綿撒糸を形成する引き裂き線を備え、バルーンの壁は、生体構造に縫合されてバルーン130から分離される綿撒糸を形成する。
【0033】
外側100と内側部材120の各管腔は、様々な横断形状、例えば、円形、卵形、スロット、四角形、長方形、三角形、台形、ひし形、または不定形のうちの一つから形成される。管腔の形状は、画像化要素140のその他の構成要素、照明要素(例えば、光ファイバーケーブル)、または内側部材120を受承しやすくする。
【0034】
カテーテル100のバルーン130は、浸出バルーンである。浸出バルーンは、本願発明の文脈では、1つ以上の孔(バルーン壁を貫通して延びる穴、微小孔としても記載される)。浸出バルーンは、バルーン130の内腔から外表面にバルーン壁を貫通して膨張媒体を送る。外部表面に膨張媒体を送ることは、バルーン130を介して視覚イメージングを妨害または邪魔しうるバルーン130の外側表面から血液を移動させる効果がある。言い換えれば、1つ以上の孔を通って送られる膨張媒体によって、外側表面を視覚的にきれいに保つことができる。バルーンを生体構造の表面に対して置いた場合には、血液はバルーン表面に捕捉されて視野を妨げるが、浸出バルーンの孔を出た膨張媒体(例えば、生理食塩水)は、壁近傍のバルーン表面の血液を洗い流すことができる。いくつかの場合には、本願発明にかかるバルーンカテーテル可視化システムまたは装置に使用される浸出バルーンは、少なくとも3つの穴を有する。いくつかの場合には、本願発明にかかる直接可視化システムまたは装置で使用される浸出バルーンは、3と10000の間、または3と1000個の間、3と100の間、または3と10の間の数の穴を有する。いくつかの場合には、本願発明にかかるバルーンカテーテル可視化システムまたは装置で使用される浸出バルーンの穴の数と寸法によれば、膨張媒体を1〜50ミリリットル(ml)/分の速度で流すことができる。いくつかの場合には、本願発明にかかるシステムと方法とは、3ml/分と10ml/分の間になるように媒体の流速を調節する。いくつかの場合には、本願発明にかかる直接可視化システムと装置で使用される浸出バルーンは、バルーンを通って血液の中に膨張媒体(例えば、生理食塩水)を還流させる数百個の穴を備える。いくつかの場合には、本願発明にかかるバルーンカテーテル可視化システムまたは装置で使用される浸出バルーンは、視野の中心でバルーン壁の一部により大きな穴密度を有し、視野の周囲ではより低い密度の穴密度を有する。
【0035】
外側部材110の遠位端は、テーパ付き先端部112である。
図4Aと
図4Bとは、カテーテルのテーパ付き先端112として使用される非外傷性テーパ付き先端の実施形態を示したものである。
図4Aは、非外傷性先端部の側面図である。
図4Bは、非外傷性先端部の前面図である。図示したように、非外傷性先端は
図1Aと
図1Bに示した内側部材120などの外側部材を受承する第1管腔411を備える。非外傷性先端部は、追加的に、画像化要素を収容する管腔414と、膨張媒体を搬送する管腔416と、照明を提供する管腔418とを含む。例えば、管腔414は、デジタルカメラを収容し、管腔418は、直接可視化バルーンに光を送るためのプラスチック製光ファイバーを収容する。膨張液(例えば、生理食塩水)を直接可視化バルーン内に通過可能にすることに加えて、管腔416は、直接可視化バルーン内部に外科的器具を通過可能にする。外傷性先端部の形状は、先端の画像化要素用の管腔414を有する側の非外傷性テーパ451と、非外傷性テーパ451の反対側に沿っている閉塞していないスタブ端452とを備える。非外傷性テーパ451の角度は、画像化要素によって撮影される画像の大部分を妨げないものである。加えて、各側面周囲のテーパは、外傷を最小限にして装置全体が中隔を貫通して通過することを可能にする。
【0036】
直接可視化装置とシステムと方法の多数の実施形態について説明した。しかしながら、ここで説明した発明の主題の主旨と範囲を逸脱することなく、様々な変更が可能であることが理解できるであろう。例えば、照明は、光ファイバーの束、1つのプラスチック製光ファイバー、LED、またはその他の照明装置によって提供される。したがって、その他の実施形態も、以下の請求項の範囲内に含まれる。
【国際調査報告】